(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-23
(54)【発明の名称】偏光子なしのLEDディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H10K 50/858 20230101AFI20241016BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241016BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20241016BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241016BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20241016BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H10K50/858
H10K50/86 865
H10K71/00
H10K59/10
G09F9/33
G09F9/30 365
G09F9/30 349C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520592
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 US2022044630
(87)【国際公開番号】W WO2023059457
(87)【国際公開日】2023-04-13
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】ウー チュン-チー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ポー-ジュイ
(72)【発明者】
【氏名】リン ホアン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スー グオ-ドン
(72)【発明者】
【氏名】リー ウェイ-カイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン チー-ジュイ
(72)【発明者】
【氏名】リン ワン-ユー
(72)【発明者】
【氏名】クァク ビョン ソン
(72)【発明者】
【氏名】フィッセル ロベルト ヤン
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC32
3K107CC33
3K107EE27
3K107EE29
3K107FF11
3K107FF12
3K107FF15
3K107GG00
5C094AA10
5C094BA23
5C094BA27
5C094CA19
5C094ED01
5C094ED15
5C094FA02
5C094FA03
5C094GB01
5C094HA08
(57)【要約】
例示的なサブピクセル構造は、10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけられる指向性発光ダイオード構造を含む。サブピクセル構造は、発光ダイオード構造から第1の距離に位置づけられたレンズであって、レンズが発光ダイオード構造からの放射光を集束させるように成形される、レンズをさらに含む。サブピクセル構造は、レンズから第2の距離に位置づけられたパターン化光吸収バリアをなおさらに含む。パターン化光吸収バリアは、バリアに開口部を画定し、レンズによって集束された光の焦点は、開口部内に位置づけられる。サブピクセル構造は、ピクセル構造に組み込むことができ、ピクセル構造は、偏光子層がないディスプレイに組み込むことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけられる指向性発光ダイオード構造と、
前記発光ダイオード構造から第1の距離に位置づけられたレンズであって、前記レンズが前記発光ダイオード構造からの前記放射光を集束させるように成形される、レンズと、
前記レンズから第2の距離に位置づけられたパターン化光吸収バリアであって、前記パターン化光吸収バリアが、前記バリアに開口部を画定し、前記レンズによって集束される前記光の焦点が、前記開口部内に位置づけられる、パターン化光吸収バリアと
を含む、発光サブピクセル構造。
【請求項2】
前記発光サブピクセル構造には偏光子層がない、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項3】
前記パターン化光吸収バリアの前記開口部を出る前記光が、45°超または約45°の視野角によって特徴づけられる、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項4】
前記発光ダイオード構造と前記レンズとの間の前記第1の距離が、前記レンズと前記パターン化光吸収バリアとの間の前記第2の距離よりも大きい、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項5】
前記レンズが、10μm超または約10μmの直径によって特徴づけられる、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項6】
前記パターン化光吸収バリアに画定された前記開口部が、1μm未満または約1μmの幅によって特徴づけられる、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項7】
前記パターン化光吸収バリアが、10μm未満または約10μmの厚さによって特徴づけられる、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項8】
前記発光ダイオード構造が、有機発光ダイオード構造を含む、請求項1に記載の発光サブピクセル構造。
【請求項9】
一群の発光ダイオード構造を含む発光層と、
パターン化光吸収バリアであって、前記バリアに一群の開口部を含み、前記開口部の各々は、前記発光ダイオード構造のうちの1つから放射される光が前記パターン化光吸収バリアを透過することを可能にする、パターン化光吸収バリアと、
前記発光層と前記パターン化光吸収バリアとの間に位置づけられたレンズ層であって、前記レンズ層が一群のレンズを含み、前記レンズが、前記発光ダイオード構造から放射された前記光を、前記パターン化光吸収バリアの開口部内に集中させるように成形される、レンズ層と
を含み、
発光ピクセルには偏光子層がない、発光ピクセル構造。
【請求項10】
前記発光ダイオード構造の各々が、10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけられる、請求項9に記載の発光ピクセル構造。
【請求項11】
前記発光ピクセル構造を出る前記光が、45°超または約45°の視野角によって特徴づけられる、請求項9に記載の発光ピクセル構造。
【請求項12】
前記発光ピクセル構造が、偏光層をもつ発光ピクセル構造よりも50%超または約50%明るい、請求項9に記載の発光ピクセル構造。
【請求項13】
前記レンズの各々が、前記レンズの焦点:前記レンズの直径の比が1:1未満または約1:1であることによって特徴づけられる、請求項9に記載の発光ピクセル構造。
【請求項14】
前記一群の発光ダイオード構造が、有機発光ダイオード構造を含む、請求項9に記載の発光ピクセル構造。
【請求項15】
発光ピクセルを形成するための処理方法であって、
基板上に発光層を形成することであり、前記発光層が、一群の発光ダイオード構造を含む、形成することと、
前記発光層の上にレンズ層を形成することであり、前記レンズ層が、前記発光ダイオード構造から放射された光を集中させるように動作可能な一群のレンズを含み、前記レンズ層が、前記発光層から第1の距離に位置づけられる、形成することと、
前記レンズ層の上にパターン化光吸収バリアを形成することであり、前記パターン化光吸収バリアが、前記一群の発光ダイオード構造からの光を前記バリアを通して透過させるために、前記バリアに一群の開口部を画定し、前記パターン化光吸収バリアが、前記レンズから第2の距離に位置づけられ、さらに、前記発光層と前記レンズ層との間の前記第1の距離が、前記レンズ層と前記パターン化光吸収バリアとの間の第2の距離よりも大きい、形成することと
を含む、方法。
【請求項16】
前記パターン化光吸収バリアは、
前記レンズ層の上に光吸収材料の層を堆積させることであって、前記光吸収材料の前記層が、2μm
-1超または約2μm
-1の光学密度によって特徴づけられる、堆積させることと、
前記パターン化光吸収バリアを製作するために前記光吸収材料の前記層に前記開口部を形成することであって、前記開口部が、1μm未満または約1μmの幅を有する、形成することと
によって形成される、請求項15に記載の発光ピクセル処理方法。
【請求項17】
前記発光ダイオード構造の各々が、10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけられる指向性光を放射する、請求項15に記載の発光ピクセル処理方法。
【請求項18】
前記発光ピクセルを出る前記光が、45°超または約45°の視野角によって特徴づけられる、請求項15に記載の発光ピクセル処理方法。
【請求項19】
前記発光ピクセルには偏光子層がなく、前記発光ピクセルが、偏光子層をもつ前記発光ピクセルよりも50%超または約50%明るい、請求項15に記載の発光ピクセル処理方法。
【請求項20】
前記発光ピクセルが、有機発光ピクセルを含む、請求項15に記載の発光ピクセル処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月4日に出願され、「POLARIZER-FREE LED DISPLAYS」と題する米国特許非仮出願第17/493,508号の利益および優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本技術は、発光ダイオード(LED)構造および製造プロセスに関する。より具体的には、本技術は、LEDディスプレイおよびそれを製作する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
何百万ものミクロンサイズのピクセルから製作される発光ダイオード(LED)ディスプレイデバイスは、複雑にパターン化された材料層を基板表面上に作り出す製造プロセスによって可能になる。パターン化された材料を基板上に作り出すには、材料の堆積および除去のための制御された方法が必要とされる。しかしながら、新しいデバイス設計では、非常に精密な寸法で高品質の材料層を生成することは困難である場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、LEDディスプレイデバイスのための高品質な材料および構造を作り出すために使用することができる改善されたシステムおよび方法の必要性がある。これらおよび他の必要性は、本技術によって対処される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術は、10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけられる指向性発光ダイオード構造を含むサブピクセル構造の実施形態を含む。サブピクセル構造は、発光ダイオード構造から第1の距離に位置づけられたレンズであって、レンズが発光ダイオード構造からの放射光を集束させるように成形される、レンズをさらに含む。サブピクセル構造は、レンズから第2の距離に位置づけられたパターン化光吸収バリアをなおさらに含む。パターン化光吸収バリアは、バリアに開口部を画定し、レンズによって集束される光の焦点は、開口部内に位置づけられる。
【0006】
追加の実施形態では、発光サブピクセル構造には偏光子層がない。さらなる実施形態では、パターン化光吸収バリアの開口部を出る光は、45°超または約45°の視野角によって特徴づけられる。なおさらなる実施形態では、発光ダイオード構造とレンズとの間の第1の距離は、レンズとパターン化光吸収バリアとの間の第2の距離よりも大きい。さらに追加の実施形態では、レンズは、10μm超または約10μmの直径によって特徴づけられる。より多くの実施形態において、パターン化光吸収バリアに画定された開口部は、10μm未満または約10μmの幅によって特徴づけられる。なおより多くの実施形態では、パターン光吸収バリアは、1μm未満または約1μmの厚さによって特徴づけられる。なおもさらなる実施形態では、発光ダイオード構造は、有機発光ダイオード構造を含む。
【0007】
本技術は、一群の発光ダイオード構造をさらに含む発光層を含む発光ピクセル構造の実施形態をさらに含む。発光ピクセル構造は、パターン化光吸収バリアをさらに含み、パターン化光吸収バリアは、そのバリアに一群の開口部をさらに含むことができる。開口部の各々は、発光ダイオード構造のうちの1つから放射される光がパターン化光吸収バリアを透過することを可能にする。発光ピクセル構造は、発光層とパターン化光吸収バリアとの間に位置づけられたレンズ層をさらに含むことができる。レンズ層は、一群のレンズであって、レンズが、発光ダイオード構造から放射された光を、パターン化光吸収バリアの開口部内に集中させるように成形される、一群のレンズを含むことができる。発光ピクセル構造にも偏光子層がない。
【0008】
追加の実施形態では、発光ダイオード構造の各々は、10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけることができる。さらなる実施形態では、発光ピクセル構造を出る光は、45°超または約45°の視野角によって特徴づけることができる。なおさらなる実施形態では、発光ピクセル構造は、偏光層をもつ発光ピクセル構造よりも50%超または約50%明るい。さらに追加の実施形態では、レンズ層のレンズの各々は、レンズの焦点:レンズの直径の比が1:1未満または約1:1であることによって特徴づけることができる。より多くの実施形態において、一群の発光ダイオード構造は、有機発光ダイオード構造を含むことができる。
【0009】
本技術は、発光ピクセルを形成する方法の実施形態をさらに含む。この方法は、基板上に発光層を形成することであって、発光層が、一群の発光ダイオード構造を含む、形成することを含むことができる。この方法は、発光層の上にレンズ層を形成することであって、レンズ層が、発光ダイオード構造から放射された光を集中させるように動作可能な一群のレンズを含み、レンズ層が、発光層から第1の距離に位置づけられる、形成することをさらに含むことができる。この方法は、レンズ層の上にパターン化光吸収バリアを形成することをさらに含むことができる。パターン化光吸収バリアは、一群の発光ダイオード構造からの光をバリアを通して透過させるために、バリアに一群の開口部を画定し、レンズ層から第2の距離に位置づけることができる。発光ピクセルにおいて、発光層とレンズ層との間の第1の距離は、レンズ層とパターン化光吸収バリアとの間の第2の距離よりも大きくすることができる。
【0010】
追加の実施形態では、パターン化光吸収バリアは、レンズ層の上に光吸収材料の層を堆積させることであって、光吸収材料の層が、2μm-1超または約2μm-1の光学密度によって特徴づけられる、堆積させることによって形成することができる。開口部は、パターン化光吸収バリアを製作するために光吸収材料の層に形成することができる。さらなる実施形態では、発光ダイオード構造の各々は、10°未満または約10°の発散角を有する放射光の半値全幅(FWHM)によって特徴づけられる指向性光を放射するように動作可能であり得る。なおさらなる実施形態では、発光ピクセルを出る光は、45°超または約45°の視野角によって特徴づけることができる。さらに追加の実施形態では、発光ピクセルには偏光子層がなく、発光ピクセルは、偏光子層をもつ発光ピクセルよりも50%超または約50%明るい。より多くの実施形態において、発光ピクセルは、有機発光ピクセルを含むことができる。
【0011】
そのような技術は、従来のLEDピクセルおよびそのピクセルを用いて製作されたディスプレイと比較して非常に多くの利益を提供することができる。例えば、本サブピクセルおよびピクセルの実施形態は、ディスプレイに偏光子層を含む必要性を除去する。偏光子層は、ピクセルによって生成された光の60%も遮断することがあり、そのため、偏光子層がないピクセル構造は、偏光子層を有するピクセル構造よりも最大60%明るくなる可能性がある。さらなる実施形態では、本サブピクセルおよびピクセルは、高い指向性の発光ダイオード構造と、指向性光を広い視野角にわたって広げることができるレンズとピンホールの組合せとを含む。これにより、画像の視野角を望ましくなく小さい程度に制限することなく、発光ダイオード構造によって放射される光をより多く、表示される画像に含めることが可能になる。これらおよび他の実施形態は、それらの利点および特徴の多くとともに、以下の説明および添付図と併せてより詳細に説明される。
【0012】
開示される技術の性質および利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分および図面を参照することによって達成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの1つの実施形態の平面図である。
【
図2】本技術のいくつかの実施形態によるLED半導体デバイスを形成する方法における例示的な動作を示す図である。
【
図3】本技術の実施形態による半導体LEDサブピクセル構造の断面図である。
【
図4】本技術の追加の実施形態による半導体LEDピクセル構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図のうちのいくつかは、概略図として含まれる。図は、例示の目的のためのものであり、縮尺通りであると具体的に述べられない限り、縮尺通りであると見なされるべきではないことを理解されたい。加えて、概略図として、図は、理解を助けるために提供され、写実的な表現と比較して、すべての態様または情報を含むわけではなく、例示の目的のために誇張された材料を含むことがある。
【0015】
添付の図において、同様の構成要素および/または特徴は同じ参照ラベルを有する場合がある。さらに、同じタイプの様々な構成要素は、同様の構成要素を区別する文字を参照ラベルの後に続けることによって区別することができる。第1の参照ラベルのみが本明細書において使用される場合、説明は、文字にかかわりなく、同じ第1の参照ラベルを有する同様の構成要素の任意のものに適用可能である。
【0016】
LEDディスプレイは、電源によって供給される電流を、ディスプレイ上に画像を形成する放射光に変換することができる発光ダイオード構造のアレイを含む。電流から放射光へのエネルギー経路は、LEDの活性領域への電子、正孔、および他の電荷キャリアの通過中のエネルギーの損失(すなわち、注入効率)、ならびに電流エネルギーの非放射経路への下降(すなわち、内部量子効率)を含む多くの非生産的な出口を含む。多くの場合、最も大きいエネルギー損失は、光線が間違った方向に進んでいるかまたは間違った位相を有するので、LED構造によって生成される光を有効に利用することができないことから生じる(すなわち、抽出効率)。多くの異なる方向に光を放射する従来のLED構造は、低い指向性を有すると言われる。低い指向性によって特徴づけられるLED構造は、ディスプレイ上に画像を作り出すのに役立つ有用な方向に放射される光の割合が低い。
【0017】
低い指向性をもつLED構造はまた、あるピクセルからの迷光が隣接するサブピクセルの放射光と部分的に重なって干渉するので、サブピクセル間の光クロストークが大きくなる場合がある。多くの従来のLED構造では、光クロストークは、コリメートされていない光が表示面に到達するのを遮断するために構造上に偏光子層を配置することによって低減される。偏光子層はまた、ディスプレイによって反射される外部環境からの周囲光のかなりの部分を遮断することができる。この反射された周囲光は、ディスプレイのLED構造によって放射された有効な光と、外部環境からの反射された周囲光との間の周囲コントラスト比を低減することがある。ディスプレイによって反射される周囲光を低減し、ディスプレイの周囲コントラスト比を増加させるために、偏光子層がディスプレイに組み込まれる。多くのタイプのOLEDディスプレイを含む多くのタイプのLEDディスプレイにおいて、偏光子層のない周囲コントラスト比は、屋外の昼光環境などの明るい視聴環境では非常に低いので、ディスプレイは見ることができない。
【0018】
残念ながら、LEDディスプレイにおいて光クロストークを低減し、周囲コントラスト比を増加させるために偏光子層を使用する場合、大きいトレードオフがある。偏光子層は、LED構造によって放射された光の60%も遮断し、そのため、画像の表示が著しく暗くなる。これは、ディスプレイの輝度を減少させるだけでなく、偏光子層がディスプレイからの外部周囲光の反射率を減少させることから生じる周囲コントラスト比の利得も低下させる。輝度の損失を補償することは、偏光子層を使用するLEDディスプレイにとって、数ある問題の中で特に、実質的により低い量子効率(例えば、電力変換効率)をもたらす。
【0019】
LED構造の効率を改善するための1つの手法は、構造によって放射される光の指向性を向上させることであった。LED構造によって放射される光のより多くが、ディスプレイ上の画像の形成に向けられる場合、偏光子層によって遮断される光を補償するために必要とされる余分な電力が少ない。LEDによって放射される光が高い指向性である場合、隣接するサブピクセル間の光クロストークは本質的により低く、周囲コントラスト比は、外部周囲光に対する放射光の強度の増加により向上する。これにより、ディスプレイにおける偏光子層の必要性が低下する。残念ながら、放射光の指向性とその視野角との間にもトレードオフがあり、高い指向性の光は、一般に、視野角が狭く、それにより、ディスプレイを0°の傾斜角以外の角度から見ることが困難になる可能性がある。したがって、多くの高い指向性のLED構造は、低い指向性の光を放射する従来のLED構造よりも明るい画像を生成することができるが、画像の視野角は狭い。
【0020】
本技術の実施形態は、ディスプレイのサブピクセルおよびピクセルにレンズ-ピンホール構造を組み込むことにより、高い指向性の光と狭い視野角との間のトレードオフに対処する。実施形態において、LED構造によって放射される高い指向性の光は、レンズを通して、パターン化光吸収層によって画定された開口部内に集束される。レンズの焦点は開口部にあり、その点から、光は、かなり広い発散角で開口部を出る。実施形態において、開口部から放射される光は、45°超または約45°の視野角によって特徴づけられる。
【0021】
LED構造によって放射される初期の光は指向性が高いので、隣接するサブピクセルによって生成される光クロストークは低く、周囲コントラスト比は偏光子層なしでも高い。本技術の実施形態は、偏光子層がなく、偏光子層を使用する同等のLEDディスプレイによって生成される画像と比較して、表示される画像の輝度を50%超または約50%増加させる。
【0022】
図1は、本技術のいくつかの実施形態による、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、ベーキングチャンバ、硬化チャンバの処理システム100の1つの実施形態の平面図を示す。図において、1対の前方開口型統一ポッド102は、様々なサイズの基板を供給し、基板は、ロボットアーム104によって受け取られ、低圧保持区域106に配置され、その後、タンデムセクション109a~109cに位置づけられた基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つに配置される。第2のロボットアーム110を使用して、基板ウエハを保持区域106から基板処理チャンバ108a~108fに移送し、そして戻すことができる。各基板処理チャンバ108a~108fは、ドライエッチングプロセス、周期的層堆積プロセス、原子層堆積プロセス、金属有機化学気相堆積プロセスを含む化学気相堆積プロセス、エッチングプロセス、前洗浄プロセス、化学機械研磨プロセスを含む平坦化プロセス、アニールプロセス、プラズマ処理プロセス、ガス抜きプロセス、配向プロセス、および他の半導体製造プロセスに加えて、本明細書に記載の物理的気相堆積プロセスを含むいくつかの基板処理動作を実行するように装備することができる。
【0023】
基板処理チャンバ108a~108fは、基板またはウエハ上の材料膜の堆積、アニール、硬化、および/またはエッチングのための1つまたは複数のシステム構成要素を含むことができる。ある構成では、2対の処理チャンバ、例えば、108c~108d、108e~108fを使用して、基板上に材料を堆積させることができ、第3の対の処理チャンバ、例えば、108a~108bを使用して、堆積膜を平坦化、アニーリング、硬化、または処理することができる。別の構成では、すべての3つの対のチャンバ、例えば、108a~108fが、基板上の膜の堆積と硬化の両方を行うように構成することができる。記載のプロセスのうちの1つまたは複数は、異なる実施形態に示される、製造システムから分離された追加のチャンバにおいて実行されてもよい。材料膜のための堆積チャンバ、エッチングチャンバ、アニーリングチャンバ、および硬化チャンバの追加の構成がシステム100によって意図されていることが理解されよう。加えて、任意の数の他の処理システムが、本技術を用いて利用されてもよく、特定の動作のいずれかを実行するためのチャンバを組み込んでもよい。いくつかの実施形態では、言及した保持および移送区域などの様々なセクションにおける真空環境を維持しながら多数の処理チャンバにアクセスすることができるチャンバシステムは、別個のプロセスの間で特定の真空環境を維持しながら多数のチャンバにおいて動作を実行することを可能にすることができる。
【0024】
システム100、またはより具体的にはシステム100もしくは他の処理システムに組み込まれたチャンバを使用して、本技術のいくつかの実施形態に従ってサブピクセルおよびピクセルを作り出すことができる。
図2は、本技術のいくつかの実施形態によるピクセルを形成する方法200における例示的な動作を示す図である。方法200は、例えば、システム100に組み込まれたチャンバなどの1つまたは複数の処理チャンバにおいて実行することができる。方法200は、前端処理、堆積、エッチング、研磨、洗浄、または記載の動作の前に実行され得る任意の他の動作を含む、この方法の開始の前の1つまたは複数の動作を含んでも含まなくてもよい。この方法は、本技術による方法のいくつかの実施形態に具体的に関連することもあれば関連しないこともあるいくつかのオプションの動作を含んでもよい。
【0025】
図2は、本技術のいくつかの実施形態による発光ピクセル構造を形成する方法200における例示的な動作を示す。方法200は、
図3に示されるサブピクセル構造300および
図4に示されるピクセル構造400を製作するために使用することができる。方法200は、動作205において、発光構造を形成することを含むことができる。実施形態において、動作205は、サブピクセル300に有機発光ダイオード(OLED)構造302を形成することと、ピクセル400に発光構造404、406、および408を形成することとを含むことができる。さらなる実施形態では、動作205は、第1の(例えば、底部)電極層312と、一群の有機層314、316、および318と、第2の(例えば、上部)電極層320とを含む、OLED構造302の層が形成される基板310を用意することを含む。より多くの実施形態において、OLED構造302は、第1の電極312と第2の電極320との間の電荷キャリア(例えば、電子および正孔)の流れに際して、発光有機層(例えば、有機層316)から光を生成するように設計される。発光有機層316によって放射される光は、可視スペクトルの一部におけるピーク波長強度によって特徴づけることができる。実施形態において、発光有機層316は、数あるピーク波長強度の中で特に、約620nm~750nm(赤色光)、約495nm方約570nm(緑色光)、または約450nm~495nm(青色光)のピーク波長強度によって特徴づけることができる。発光有機層316は、電荷キャリアによって活性化された後に光を放射する層の中の有機分子のタイプおよび量に依存するピーク波長強度で光を生成するように動作可能である。
【0026】
追加の実施形態では、OLED構造302の基板310は、酸化ケイ素(別名、ガラス)、プラスチック、数ある金属フォイルの中で特にアルミニウムフォイルまたは銅フォイルなどの金属フォイル、および数ある有機ポリマーの中で特にポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、またはポリイミド(PI)などの有機ポリマーのうちの1つまたは複数から製作することができる。さらなる実施形態では、基板310は、ディスプレイデバイス上に画像を生成するための1つまたは複数の制御デバイス構造を含む平面基板層とすることができる。実施形態において、制御デバイス構造は、数ある種類の層の中で特に、緩衝層、層間誘電体層、絶縁層、活性層、および電極層などのデバイス層を含むことができる。より多くの実施形態において、制御デバイス構造は、1つまたは複数のタイプのディプレイ駆動バックプレーン回路を含むことができる。なおより多くの実施形態では、基板310は、OLED構造302の発光有機層316によって生成される光の波長に対して透明とすることができる。
【0027】
さらなる実施形態では、第1の電極層312は、基板310の表面に接触することができる。なおさらなる実施形態では、第1の電極層312は、1つまたは複数のタイプの導電性材料から製作された導電層とすることができる。実施形態において、第1の電極層312は、導電性酸化物または金属などの少なくとも1つの材料から製作することができる。追加の実施形態では、導電性酸化物は、数ある導電性酸化物の中で特に、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、フッ素ドープスズ酸化物(FTO)、およびドープ亜鉛酸化物を含むことができる。さらに追加の実施形態では、金属は、数ある金属の中で特に、銀、金、マグネシウム、アルミニウム、銅、およびスズを含むことができる。
【0028】
より多くの実施形態において、一群の有機層314、316、および318は、OLED構造302内の第1の電極層312上に位置づけることができる。実施形態において、有機層は、正孔輸送層314と、発光層316と、電子輸送層318とを含むことができる。追加の実施形態では、正孔輸送層314は、正にバイアスされるアノード電極として作用することができる第1の電極層312と接触することができる。第1の電極層312から生じた正に帯電した正孔は、正孔輸送層314を通して発光層316に輸送され得る。さらなる実施形態では、電子輸送層318は、負にバイアスされるカソード電極として作用することができる第2の電極層320と接触することができる。第2の電極層320から生じた負に帯電した電子は、電子輸送層318を通して発光層316に輸送され得る。なおもさらなる実施形態では、正孔輸送層314および電子輸送層318を通って移動する正孔および電子は、電荷移動経路を通って発光層316内で再結合し、それにより、発光層内の発光化合物を活性化して発光させることができる。さらなる実施形態では、一群の有機層は、第1の電極層312と正孔輸送層314との間に位置づけられる正孔注入層(図示せず)をさらに含んでもよい。なおさらなる実施形態では、一群の有機層は、第2の電極層320と電子輸送層318との間に位置づけられる電子注入層(図示せず)をさらに含んでもよい。
【0029】
より多くの実施形態において、有機層314は、数ある有機化合物の中で特に、N,N’-ジ(1-ナフチル)-N,N’-ジフェニル-(1,1’ビフェニル)-4、4’-ジアミン(NPB)を含むことができる。なおもより多くの実施形態では、有機層314は、300nm未満または約300nm、200nm未満または約200nm、150nm未満または約150nm、120nm未満または約120nm、100nm未満または約100nm、75nm未満または約75nm、50nm未満または約50nm、あるいはそれ以下の非ゼロの厚さによって特徴づけることができる。なおより多くの実施形態では、有機層316は、数ある有機化合物の中で特に、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル(CBP)を含むことができる。追加の実施形態では、有機層516は、50nm未満または約50nm、40nm未満または約40nm、30nm未満または約30nm、20nm未満または約20nm、10nm未満または約10nm、あるいはそれ以下の非ゼロの厚さによって特徴づけることができる。さらなる実施形態では、有機層318は、数ある有機化合物の中で特に、2,2’,2”-(1,3,5-ベンジントリイル)-トリス(1-フェニル-1-H-ベンゾイミダゾール)(TPBi)を含むことができる。なおさらなる実施形態では、有機層318は、300nm未満または約300nm、200nm未満または約200nm、140nm未満または約140nm、120nm未満または約120nm、100nm未満または約100nm、75nm未満または約75nm、50nm未満または約50nm、20nm未満または約20nm、あるいはそれ以下の非ゼロの厚さによって特徴づけることができる。より多くの実施形態において、正孔注入層は、数ある有機化合物の中で特に、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HATCN)を含むことができる。なおもより多くの実施形態では、電子注入層は、数ある種類の層の中で特に、フッ化リチウム(LiF)層およびマグネシウム銀(Mg:Ag)層を含むことができる。
【0030】
実施形態において、OLED構造302は、基板310、有機層314、316、および318、ならびに電極層312、320のうちの1つまたは複数における波形表面によって特徴づけることができる。さらなる実施形態では、波形表面は、指向性が向上し単色性が向上した光の放射にバイアスをかけるために、発光層316の導波路キャビティの寸法に結びつけられる高さおよび周期性を有する波パターンによって特徴づけることができる。実施形態において、OLED構造302によって放射される高い指向性の光は、小さい発散角(例えば、
図4における発散角Θ)によって特徴づけることができる。追加の実施形態では、高い指向性の光は10°未満または約10°、9°未満または約9°、8°未満または約8°、7°未満または約7°、6°未満または約6°、5°未満または約5°、4°未満または約4°、3°未満または約3°、2°未満または約2°、1°未満または約1°、あるいはそれ以下の発散角によって特徴づけることができる。OLED構造302によって放射される高い単色性の光は、150nm未満または約150nm、100nm未満または約100nm、75nm未満または約75nm、50nm未満または約50nm、あるいはそれ以下の半値全幅(FWHM)分布によって特徴づけることができる。
【0031】
実施形態において、一群のOLED構造302のような発光構造が、発光層に形成され得る。
図4は、ピクセル400の基板402上の発光層に形成された発光構造404、406、および408を示す。追加の実施形態では、発光層は、2つ未満の発光構造または約2つの発光構造、3つ未満の発光構造または約3つの発光構造、5つ未満の発光構造または約5つの発光構造、10個未満の発光構造または約10個の発光構造、20個未満の発光構造または約20個の発光構造、30個未満の発光構造または約30個の発光構造、40個未満の発光構造または約40個の発光構造、50個未満の発光構造または約50個の発光構造、100個未満の発光構造または約100個の発光構造、またはそれ以上の発光構造を含むことができる。さらなる実施形態では、発光構造の各々は、100μm未満または約100μm、90μm未満または約90μm、80μm未満または約80μm、70μm未満または約70μm、60μm未満または約60μm、50μm未満または約50μm、40μm未満または約40μm、30μm未満または約30μm、20μm未満または約20μm、10μm未満または約10μm、あるいはそれ以下の幅によって特徴づけることができる。なおもさらなる実施形態では、発光構造は、100μm未満または約100μm、75μm未満または約75μm、50μm未満または約50μm、40μm未満または約40μm、30μm未満または約30μm、20μm未満または約20μm、10μm未満または約10μm、5μm未満または約5μm、あるいはそれ以下のエッジ間距離だけ互いに分離され得る。
【0032】
方法200は、動作210において、発光構造上に1つまたは複数の中間層を形成することを含むことができる。
図3に示された実施形態では、中間層324、328は、発光構造302上に形成される。
図4では、中間層401、403は、発光構造404、406、および408を、カラーフィルタ410、412、および414ならびにパターン化光吸収バリア421から分離する。実施形態において、発光構造上に形成される中間層の数は、1つ超または約1つ、2つ超または約2つ、3つ超または約3つ、4つ超または約4つ、5つ超または約5つ、またはそれ以上とすることができる。さらなる実施形態では、1つまたは複数の中間層によって作り出される、発光層とパターン化光吸収バリアとの間の距離は、50μm超または約50μm、60μm超または約60μm、70μm超または約70μm、80μm超または約80μm、90μm超または約90μm、100μm超または約100μm、120μm超または約120μm、150μm超または約150μm、180μm超または約180μm、200μm超または約200μm、あるいはそれ以上とすることができる。
【0033】
追加の実施形態では、動作210において形成された1つまたは複数の中間層は、薄膜カプセル化(TFE)層および1つまたは複数の有機層を含む多層構造の形成を含むことができる。さらなる実施形態では、中間層304は、誘電体層と有機層の組合せを含む多層構造として特徴づけることができる。実施形態において、中間層304は、誘電体層および有機層を含むことができる。追加の実施形態では、誘電体層は、数ある誘電体酸化物材料の中で特に、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、および酸化アルミニウムなどの1つまたは複数の誘電体材料を含むことができる。さらに追加の実施形態では、有機層は、アクリルポリマーを含むことができる。より多くの実施形態において、中間層は、高い屈折率を有する層と低い屈折率を有する層とが交互であってもよい。実施形態において、誘電体層は、1.6超または約1.6、1.7超または約1.7、1.8超または約1.8、あるいはそれ以上の屈折率によって特徴づけることができる。追加の実施形態では、有機層は、1.5未満または約1.5、1.4未満または約1.4、1.3未満または約1.3、あるいはそれ以下の屈折率によって特徴づけることができる。
【0034】
方法200は、加えて、動作215において、中間層の間にまたは中間層の上にレンズを形成することを含むことができる。実施形態において、レンズは、サブピクセル300におけるレンズ326と、ピクセル400におけるレンズ416、418、および420とを含むことができる。さらなる実施形態では、レンズは、発光構造から第1の距離(例えば、
図4における距離「d1」)に形成することができる。実施形態において、第1の距離は、100μm未満または約100μm、90μm未満または約90μm、80μm未満または約80μm、70μm未満または約70μm、60μm未満または約60μm、50μm未満または約50μm、あるいはそれ以下とすることができる。追加の実施形態では、レンズは、円形または楕円形をもつ平面(別名、水平)基部を有することができる。さらに追加の実施形態では、レンズは、100μm未満または約100μm、75μm未満または約75μm、50μm未満または約50μm、25μm未満または約25μm、10μm未満または約10μm、5μm未満または約5μm、あるいはそれ以下の水平直径によって特徴づけることができる。なおもより多くの実施形態では、レンズは、10μm未満または約10μm、9μm未満または約9μm、8μm未満または約8μm、7μm未満または約7μm、6μm未満または約6μm、5μm未満または約5μm、4μm未満または約4μm、3μm未満または約3μm、2μm未満または約2μm、1μm未満または約1μm、あるいはそれ以下の垂直高さによって特徴づけることができる。より多くの実施形態において、レンズは、レンズが集束している放射光を供給する発光構造の幅にわたる水平直径を有することができる。
【0035】
実施形態において、レンズは、発光構造からの光を、パターン化光吸収層によって画定された開口部内に置かれた焦点に集束させるように成形することができる。さらなる実施形態では、この焦点は、レンズの基部と開口部との間の第2の距離(例えば、
図4における距離「d2」)に位置づけることができる。実施形態において、第2の距離は、1μm超または約1μm、5μm超または約5μm、10μm超または約10μm、20μm超または約20μm、30μm超または約30μm、40μm超または約40μm、50μm超または約50μm、60μm超または約60μm、70μm超または約70μm、80μm超または約80μm、90μm超または約90μm、100μm超または約100μm、あるいはそれ以上とすることができる。より多くの実施形態において、第2の距離は、レンズの直径とほぼ同じとすることができる。
【0036】
さらなる実施形態では、レンズは、レンズに接触する中間層の材料などの周囲の材料よりも高い屈折率を有する材料から形成することができる。実施形態において、レンズは、0.2超または約0.2、0.3超または約0.3、0.4超または約0.4、0.5超または約0.5、あるいはそれ以上の量だけ周囲の材料の屈折率よりも大きい屈折率によって特徴づけることができる。より多くの実施形態において、レンズは、1.5超または約1.5、1.6超または約1.6、1.7超または約1.7、1.8超または約1.8、あるいはそれ以上の屈折率によって特徴づけることができる。なおもより多くの実施形態では、レンズは、有機ポリマーおよび有機樹脂、または酸化ケイ素などの無機誘電体材料から製作することができる。
【0037】
追加の実施形態では、レンズは、発光構造から放射された光を、パターン化光吸収層に画定された開口部内の焦点上に集束させるように成形および位置づけることができる。さらなる実施形態では、焦点は、開口部を出る光の閾値視野角(例えば、
図4における視野角Φ)を与えるために開口部に位置づけることができる。より多くの実施形態において、開口部を出る光は、10°超または約10°、15°超または約15°、20°超または約20°、25°超または約25°、30°超または約30°、35°超または約35°、40°超または約40°、45°超または約45°、50°超または約50°、55°超または約55°、60°超または約60°、65°超または約65°、70°超または約70°、75°超または約75°、80°超または約80°、85°超または約85°、90°超または約90°、あるいはそれ以上の視野角によって特徴づけることができる。上記のように、本技術の実施形態におけるレンズと開口部の設計は、発光構造によって最初に放射される高い指向性の光の視野角を拡大させることができる。
【0038】
方法200は、動作215において、中間層の上にカラーフィルタを形成することをさらに含むことができる。実施形態において、カラーフィルタは、サブピクセル300におけるカラーフィルタ326と、ピクセル400におけるカラーフィルタ410、412、および414とを含むことができる。さらなる実施形態では、カラーフィルタは、近接して位置づけられた発光構造の光を透過させ、他の波長の光の透過を遮断するように動作可能であり得る。追加の実施形態では、カラーフィルタは、パターン化光吸収層(例えば、層330および421)と接触することができる。さらに追加の実施形態では、各カラーフィルタは、パターン化光吸収層によって画定された開口部の幅にわたることができる。
【0039】
方法200は、加えて、動作220において、中間層上にパターン化光吸収層を形成することを含むことができる。パターン化光吸収層は、その層に、発光構造からの光の一部が光吸収層を通って移動することを可能にする一群の開口部を画定する。実施形態において、これらの開口部は、パターン化光吸収層330の開口部332と、パターン化光吸収層421の開口部とを含むことができる。追加の実施形態では、パターン化光吸収層は、1つまたは複数の発光ピクセルの中間層およびカラーフィルタ上に遮光材料を堆積させることによって形成することができる。なおも追加の実施形態では、遮光材料は、1μm超または約1μm、2.5μm超または約2.5μm、5μm超または約5μm、7.5μm超または約7.5μm、10μm超または約10μm、あるいはそれ以上の厚さを有するブランケット遮光層として堆積させることができる。より多くの実施形態において、堆積された遮光材料をフォトリソグラフィでパターン化して、パターン化光吸収層に開口部を形成することができる。実施形態において、開口部の各々は、それぞれ、開口部332と発光構造302との位置合せ、および開口部の各々と発光構造404、406、および408との位置合せにおいて見られるように、発光構造と位置合わせされ得る。さらなる実施形態では、開口部と発光構造との位置合せは、開口部の中心位置と発光構造の中心位置との垂直位置合せによって特徴づけることができる。なおさらなる実施形態では、光吸収層内にパターン化される開口部は、数ある形状の中で特に、円形、楕円形、正方形、長方形、および台形などの1つまたは複数の形状を含むことができる。
【0040】
より多くの実施形態において、遮光材料は、有機ポリマーマトリクスと、光吸収性顔料またはカーボンブラックなどの光吸収性化合物との組合せを含むことができる。なおより多くの実施形態では、パターン化光吸収層は、2.0μm-1超または約2.0μm-1、2.25μm-1超または約2.25μm-1、2.5μm-1超または約2.5μm-1、2.75μm-1超または約2.75μm-1、3.0μm-1超または約3.0μm-1、3.25μm-1超または約3.25μm-1、3.5μm-1超または約3.5μm-1、3.75μm-1超または約3.75μm-1、4.0μm-1超または約4.0μm-1、あるいはそれ以上の光学密度によって特徴づけることができる。
【0041】
さらなる実施形態では、動作225においてパターン化光吸収層を形成することには、遮光材料の堆積されたままの層に開口部を形成することがさらに含まれる。実施形態において、開口部は、パターン化光吸収層の全幅として比較して小さい幅をもつ「ピンホール」開口部として特徴づけることができる。追加の実施形態では、開口部は、10μm未満または約10μm、5μm未満または約5μm、2.5μm未満または約2.5μm、1μm未満または約1μm、0.5μm未満または約0.5μm、あるいはそれ以下の幅によって特徴づけることができる。さらなる実施形態では、開口部の幅:レンズの直径の比は、1:5未満または約1:5、1:10未満または約1:10、1:15未満または約1:15、1:20未満または約1:20、1:25未満または約1:25、あるいはそれ以下とすることができる。なおさらなる実施形態では、開口部は、数ある形状の中で特に、円形、楕円形、正方形、長方形、または台形とすることができる。
【0042】
方法200は、動作230において、パターン化光吸収層上にカバー層を形成することをさらに含むことができる。実施形態において、カバー層は、反射防止層および帯電防止層を含む1つまたは複数の種類の層を含むことができる。
【0043】
方法200は、動作235において、発光ピクセルをディスプレイに組み込むことをなおさらに含むことができる。実施形態において、動作235は、発光ピクセルの各々の個々のサブピクセルを活性化するための制御デバイスを含むバックプレーン基板上に発光ピクセルのマトリクスを配置することを含むことができる。さらなる実施形態では、動作は、発光ピクセルのマトリクス上に表示スクリーンを配置することをさらに含むことができる。なおさらなる実施形態では、ディスプレイは、数ある種類のディスプレイの中で特に、テレビジョン、コンピュータモニタ、スマートフォン、タブレット、または家庭用電気機器デバイスのスクリーンディスプレイとすることができる。
【0044】
サブピクセル300およびピクセル400を製作するための方法200のような本技術の実施形態は、偏光子層を使用する従来のディスプレイと比較して、抽出効率が向上し、周囲コントラスト比が高い偏光子層なしのディスプレイの構成要素を製作するための動作を含む。実施形態において、本技術のピクセルは、ピクセルが偏光子層によって減光された同じ画像よりも著しく明るい表示画像を生成することができる。さらなる実施形態では、本技術の偏光子層なしのピクセルを組み込んだディスプレイは、偏光子層を有する類似のディスプレイよりも25%超または約25%、30%超または約30%、35%超または約35%、40%超または約40%、45%超または約45%、50%超または約50%、55%超または約55%、60%超または約60%、あるいはそれ以上の増加した輝度によって特徴づけることができる。なおさらなる実施形態では、本技術の偏光子層なしのピクセルを組み込んだディスプレイは、10%超または約10%、25%超または約25%、30%超または約30%、35%超または約35%、40%超または約40%、45%超または約45%、50%超または約50%、55%超または約55%、60%超または約60%、70%超または約70%、80%超または約80%、90%超または約90%、100%超または約100%、あるいはそれ以上の増加した周囲コントラスト比によって特徴づけることができる。
【0045】
前の記述では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために非常に多くの詳細が記載された。しかしながら、特定の実施形態はこれらの詳細の一部がなくてもまたは追加の詳細があっても実践され得ることが当業者には明らかであろう。
【0046】
いくつかの実施形態を開示したが、当業者であれば、実施形態の趣旨から逸脱することなく、様々な変更、代替構成、および均等物を使用することができることを認識するであろう。加えて、いくつかのよく知られているプロセスおよび要素は、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために、説明されていない。したがって、上述の説明は、技術の範囲を限定するものとして受け取るべきでない。加えて、方法またはプロセスが逐次的としてまたは段階的に説明されている場合があるが、動作は、同時に、または列挙されたものと異なる順序で実行されてもよいことを理解されたい。
【0047】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値もまた、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、下限の単位の10分の1まで、具体的に開示されていると理解される。明記された範囲内の任意の明記された値または明記されていない介在値と、その明記された範囲内の任意の他の明記された値または介在値との間の任意のより狭い範囲も包含される。それらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、その範囲に含まれてもよくまたは除外されてもよく、そのより小さい範囲に、限界のいずれかが含まれるか、限界の両方が含まれるか、または限界のどちらも含まれない場合の各範囲はまた、明記された範囲における任意の具体的に除外される限界を条件として、本技術内に包含される。明記された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外した範囲も含まれる。
【0048】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確にそうでないと指示しない限り、複数への参照を含む。したがって、例えば、「ピクセル(a pixel)」への参照は、複数のそのようなピクセルを含み、「層(the layer)」への参照は、当業者に知られている1つまたは複数の層およびその均等物への参照などを含む。
【0049】
さらに、「備える、含む(comprise(s))」、「備えている、含んでいる(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、および「含んでいる(including)」という単語は、本明細書および以下の特許請求の範囲において使用されるとき、明記された特徴、整数、構成要素、または動作の存在を指定するように意図されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、構成要素、動作、行為、またはグループの存在または追加を排除しない。
【国際調査報告】