(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】バックプレートフィルム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241018BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241018BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20241018BHJP
G02B 1/14 20150101ALI20241018BHJP
G02B 1/16 20150101ALI20241018BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20241018BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20241018BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20241018BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20241018BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20241018BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
G02B5/30
C09J7/38
C09J201/00
G02B1/14
G02B1/16
B32B7/023
B32B27/00 M
B32B27/18 D
B32B27/30 A
H10K77/10
H10K59/10
H10K50/86
H10K59/95
H10K59/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520614
(86)(22)【出願日】2022-11-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 KR2022018860
(87)【国際公開番号】W WO2023096407
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0164149
(32)【優先日】2021-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジン・フ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ファン・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ピル・ロ
【テーマコード(参考)】
2H149
2K009
3K107
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA18
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4J040KA16
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4J040NA17
(57)【要約】
本出願は、バックプレートフィルムに関する。本出願は、モバイルフォンの前面カメラがイメージの歪みなく被写体を撮影できるアンダーディスプレイカメラ用バックプレートフィルムを提供する。本出願のバックプレートフィルムは、例えば、OLEDパネルに有用に使用されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相差基材層と、
前記位相差基材層の片面に形成された第1の粘着剤層と、を含み、
前記位相差基材層の下記式1で計算される面内位相差(R0)値の絶対値は、6,000nm以上であり、下記式2で計算される厚さ方向位相差(Rth)値の絶対値は、6,000nm以上であり、
[式1]
R0=(nx-ny)×d
[式2]
Rth=[(nx+ny)/2-nz]×d
式1及び式2において、
nx、ny、nzは、それぞれ位相差基材層の550nm波長の光に対するx軸方向、y軸方向、z軸方向の屈折率であり、
dは、位相差基材層の厚さ(nm)である、バックプレートフィルム。
【請求項2】
位相差基材層の面内位相差(R0)値の絶対値が10,000nm以下である、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項3】
位相差基材層の厚さ方向位相差(Rth)値の絶対値が10,000nm以下である、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項4】
位相差基材層の厚さが20μmから200μmの範囲内である、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項5】
位相差基材層の第1の粘着剤層が形成されていない面に形成された帯電防止層を含み、
前記帯電防止層の面抵抗が10
4Ω/squareから10
11Ω/squareの範囲内である、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項6】
第1の粘着剤層はアクリル系樹脂及び硬化剤を含み、厚さは20μmから200μmの範囲内である、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項7】
第1の粘着剤層は、ガラスに対する剥離速度0.3mpmの粘着力が1000gf/inから4000gf/inの範囲内である、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項8】
位相差基材層側に存在する保護フィルムをさらに含む、請求項1に記載のバックプレートフィルム。
【請求項9】
保護フィルムは、第1の基材フィルム及び第1の基材フィルムの片面に形成された第2の粘着剤層を含み、
第1の基材フィルムの厚さは、20μmから200μmの範囲内であり、
第2の粘着剤層の厚さは、10μmから200μmの範囲内である、請求項8に記載のバックプレートフィルム。
【請求項10】
第1の基材フィルムは、PETフィルムである、請求項9に記載のバックプレートフィルム。
【請求項11】
第1の基材フィルム及び第2の粘着剤層のうち少なくとも1つの片面に形成された帯電防止層をさらに含み、
前記帯電防止層の面抵抗は、10
4Ω/squareから10
11Ω/squareの範囲内である、請求項9に記載のバックプレートフィルム。
【請求項12】
前記第1の粘着剤層側に存在する離型フィルムをさらに含む、請求項8に記載のバックプレートフィルム。
【請求項13】
離型フィルムは、第2の基材フィルム及び第2の基材フィルムの片面に形成されたシリコン層を含む、請求項12に記載のバックプレートフィルム。
【請求項14】
第2の基材フィルムは、PETフィルムである、請求項13に記載のバックプレートフィルム。
【請求項15】
第2の基材フィルムの片面または両面に形成された帯電防止層を含み、
前記帯電防止層の面抵抗は、10
4Ω/squareから10
11Ω/squareの範囲内である、請求項13に記載のバックプレートフィルム。
【請求項16】
請求項1に記載のバックプレートフィルム及びOLEDパネルを含む、有機発光ディスプレイ。
【請求項17】
バックプレートフィルムの第1の粘着剤層がOLEDパネルに接している、請求項16に記載の有機発光ディスプレイ。
【請求項18】
カバーウィンドウと、偏光板と、タッチセンサと、OLEDパネルと、請求項1に記載のバックプレートフィルムと、カメラと、を順次含む、モバイルフォン。
【請求項19】
OLEDパネルに前面カメラ領域が打ち抜かれていない、請求項18に記載のモバイルフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、バックプレートフィルムに関する。
【0002】
本出願は、2021年11月25日付韓国特許出願第10-2021-0164149号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0003】
モバイルフォン(Mobile Phone)の前面カメラの場合、OLED(Organic light emitting diode,発光ダイオード)パネルに前面カメラ領域を打ち抜いてカメラモジュールを組み立てる方式で製造されている(特許文献1:韓国公開特許第10-2020-0098741号公報)。
【0004】
前面カメラにディスプレイを具現するためには、OLEDパネルに前面カメラ領域を打ち抜かずに内部にあるカメラ(アンダーディスプレイカメラ)がOLEDパネルまたは偏光板を通過して被写体を撮影する構造で設計しなければならない。
【0005】
従来のOLEDパネルに適用されるバックプレートフィルムは、基材フィルムとしてPET(Polyethylene Terephthalate,ポリエチレンテレフタレート)フィルムまたはPI(Polyimide,ポリイミド)フィルムを使用している。しかし、従来のPETフィルムの場合、高い位相差により被写体が歪んでしまい、PIフィルムの場合、色が黄色を帯びており、色補正に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2020-0098741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、モバイルフォンの前面カメラがイメージの歪みなく被写体を撮影できるアンダーディスプレイカメラ用バックプレートフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願は、バックプレートフィルムに関する。
図1は、本出願のバックプレートフィルムを例示的に示す。前記バックプレートフィルムは、位相差基材層10a及び前記位相差基材層10aの片面に形成された第1の粘着剤層10bを含んでもよい。
【0009】
本明細書において、後述する保護フィルム20及び離型フィルム30を含まず、位相差基材層10a及び第1の粘着剤層10bを含むバックプレートフィルムを第1のバックプレートフィルムと呼ぶこともあり、後述する保護フィルム20及び離型フィルム30と、位相差基材層10a及び第1の粘着剤層10bをすべて含むバックプレートフィルムを第2のバックプレートフィルムと呼ぶこともある。
【0010】
前記位相差基材層の面内位相差(R0)値の絶対値は、6,000nm以上であってもよい。前記位相差基材層の厚さ方向位相差(Rth)値の絶対値は、6,000nm以上であってもよい。本明細書において面内位相差(R0)値は、下記式1で計算されてもよい。また、本明細書において厚さ方向位相差(Rth)値は、下記式2で計算されてもよい。位相差基材層の位相差値が前記範囲内の場合、モバイルフォンの前面カメラがイメージの歪みなく被写体を撮影できるアンダーディスプレイカメラ用バックプレートフィルムを提供しうる。
【0011】
前記位相差基材層の面内位相差(R0)値の絶対値の上限は、例えば、10,000nm以下であってもよい。前記位相差基材層の厚さ方向位相差(Rth)値の絶対値の上限は、例えば、10,000nm以下であってもよい。
【0012】
位相差基材層の面内位相差(R0)値の絶対値は、例えば、6,000nm以上、6,500nm以上、7,000nm以上、7,100nm以上、7,200nm以上、7,300nm以上または7,400以上であってもよく、10,000nm以下、9,500nm以下、9,000nm以下、8,500nm以下、8,000nm以下または7,500nm以下であってもよい。一例において、位相差基材層の面内位相差(R0)値は、正数であってもよい。
【0013】
位相差基材層の厚さ方向位相差(Rth)値の絶対値は、例えば、6,000nm以上、6,500nm以上、7,000nm以上、7,500nm以上、8,000nm以上または8,100nm以上であってもよく、10,000nm以下、9,500nm以下、9,000nm以下、8,500nm以下または8,300nm以下であってもよい。一例において、 位相差基材層の厚さ方向位相差(Rth)値は、負数であってもよい。
【0014】
[式1]
R0=(nx-ny)×d
【0015】
[式2]
Rth=[(nx+ny)/2-nz]×d
式1及び2において、nx、ny及びnzは、それぞれ位相差基材層の550nm波長の光に対するx軸方向、y軸方向及びz軸方向の屈折率であり、dは、位相差基材層の厚さ(nm)である。前記x軸は、位相差基材層の遅相軸方向に平行な軸を意味し、y軸は、位相差基材層の進相軸方向に平行な軸を意味し、z軸は、位相差基材層の厚さ方向に平行な軸を意味する。
【0016】
本明細書で言及する物性の中で測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に規定のない限り、当該物性は、常温で測定した物性である。用語の常温とは、加温または減温されていない自然のままの温度で、通常、約10℃~30℃の範囲内の1つの温度または約23℃または約25℃程度である。また、本明細書で特に規定のない限り、温度の単位は、℃である。本明細書で言及する物性の中で測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に規定のない限り、当該物性は常圧で測定した物性である。用語の常圧とは、加圧または減圧されていない自然のままの圧力で、通常、約1気圧程度を常圧と呼ぶ。
【0017】
前記位相差基材層の厚さは、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選ばれてもよい。例えば、前記位相差基材層の厚さは、20μm~200μmの範囲内であってもよい。前記位相差基材層の厚さは、具体的には、20μm以上、40μm以上、60μm以上または80μm以上であってもよく、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、120μm以下、または100μm以下であってもよい。位相差基材層の厚さが薄すぎる場合、破断、折り曲がりなどの加工性の問題が発生することがあり、位相差基材層の厚さが厚すぎる場合、顧客会社の工程においてOLED曲率デザインに適用し難く、反発力により耐久性が低下するという問題があるため、位相差基材層の厚さは、前記範囲内であることが有利となり得る。
【0018】
前記位相差基材層は、帯電防止性能を有してもよい。一例において、バックプレートフィルムは、位相差基材層の片面に形成された帯電防止層を含んでもよい。このとき、位相差基材層の第1の粘着剤層が位置する反対面に帯電防止層が形成されていてもよい。前記帯電防止層の面抵抗は、例えば、104Ω/square~1011Ω/squareの範囲内であってもよい。前記帯電防止層の面抵抗は、具体的には、104Ω/square以上、105Ω/square以上、106Ω/square以上、107Ω/square以上または109Ω/square以上であってもよく、1011Ω/square以下または1010Ω/square以下であってもよい。
【0019】
前記位相差基材層の第1の粘着剤層が取り付けられる面にはコロナ処理が行われてもよい。これにより、第1の粘着剤層が例えば、アクリル系粘着剤である場合に、位相差基材層とアクリル系粘着剤層の付着力を増進させることができる。一例において、位相差基材層には、ライン速度20m/min基準で5A(アンペア)~25A(アンペア)の条件でコロナ処理を行ってもよい。
【0020】
第1の粘着剤層は、位相差基材層の片面に形成されてもよい。本明細書において粘着剤層は、例えば、粘着剤組成物の層であってもよい。本明細書において用語の「粘着剤組成物の層」とは、粘着剤組成物をコーティングするか、または硬化して形成された層を意味しうる。用語の「粘着剤組成物の硬化」とは、粘着剤組成物に含まれている成分の物理的または化学的作用ないし反応を通じて粘着剤組成物内に架橋構造を具現することを意味しうる。硬化は、例えば、常温での維持、湿気の印加、熱の印加、活性エネルギー線の照射または前記のうち2種以上の工程を同時に行って誘導することができ、それぞれの場合に応じて硬化が誘導されるタイプの粘着剤組成物は、例えば、常温硬化型粘着剤組成物、湿気硬化型粘着剤組成物、熱硬化型粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物または混成硬化型粘着剤組成物と呼ぶこともある。
【0021】
前記第1の粘着剤層は、粘着性樹脂及び硬化剤を含んでもよい。一例において、前記粘着性樹脂は、アクリル系樹脂であってもよい。本明細書においてアクリル系樹脂とは、樹脂を構成するモノマーのうち、アクリルモノマーが70wt%以上、75wt%以上、80wt%以上または85wt%以上の樹脂を意味しうる。
【0022】
前記アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する重合単位を含むアクリルポリマーであってもよい。本明細書において用語の「モノマー」とは、重合反応を通じてポリマーを形成できるすべての種類の化合物を意味し、あるモノマーから誘導された重合された単位を含むポリマーは、前記あるモノマーが重合して形成されたポリマーを意味しうる。
【0023】
前記(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを使用してもよい。アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、凝集力、ガラス転移温度及び粘着性の調節などを考慮し、炭素数1~20、炭素数1~14、炭素数1~12、炭素数1~8または炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用してもよい。前記においてアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよい。このようなモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、2-メチルヘプシル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレートまたはラウリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、前記のうち、1種または2種以上を適宜選択して使用してもよい。特に制限するものではないが、メタアクリル酸エステル化合物としては、炭素数1~4のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート及び炭素数5~8のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを混合して使用してもよい。
【0024】
アクリルポリマーは、架橋性官能基を有する共重合性モノマー(以下、架橋性モノマーと簡単に呼ぶこともある。)に由来する重合単位をさらに含んでもよい。本明細書において架橋性官能基を有する共重合性モノマーは、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステルモノマーのようにポリマーに含まれる他のモノマーと共重合できる部位を有し、さらに架橋性官能基を有してポリマーに架橋性官能基を付与できる化合物を意味しうる。架橋性官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、アミン基、アルコキシシリル基またはビニル基などが挙げられ、一般的には、ヒドロキシ基またはカルボキシル基などを使用してもよい。
【0025】
前記架橋性モノマーとしては、ヒドロキシ基を有する共重合性モノマーを使用してもよい。前記ヒドロキシ基を有する共重合性モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートまたは8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、または2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。ブロックを形成する他のモノマーとの反応性やガラス転移温度の調節容易性などを考慮して、前記のようなモノマーの中でヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキレングリコールアクリレートなどを使用してもよい。
【0026】
架橋性モノマー、例えば、粘着性樹脂100重量部に対して1重量部~30重量部または1~20重量部の割合で含まれてもよい。このような範囲において、粘着剤は適切な架橋構造を具現しうる。
【0027】
粘着性樹脂は、必要に応じて、例えば、適切な物性の調節などのために他の任意のコモノマーをさらに含んでもよい。前記コモノマーとしては、NVP(N-vinylpyrrolidone)、アルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシテトラアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルまたはフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリル酸エステルなどのアルキレンオキシド基含有モノマー、スチレンまたはメチルスチレンなどのスチレン系モノマー、グリシジル(メタ)アクリレートなどのグリシジル基含有モノマー、または酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステルなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。このようなコモノマーは、必要に応じて適切な種類が1種または2種以上選ばれてポリマーに含まれてもよい。このようなコモノマーは、例えば、ポリマー内で重合単位として使用される他の化合物の全重量に対して20重量部以下、または0.1重量部ないし15重量部の割合でポリマーに含まれてもよい。
【0028】
前記粘着性樹脂の重量平均分子量は、例えば、50万~150万の範囲内であってもよい。前記重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatograph,ゲル浸透クロマトグラフィー)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。前記粘着性樹脂の重量平均分子量は、具体的には60万以上、70万以上または80万以上であってもよく、140万以下、130万以下、120万以下、110万以下または100万以下であってもよい。
【0029】
前記粘着性樹脂は、固形分28%で測定された粘度が約1000cps~2000cpsの範囲内であってもよい。前記粘度は、具体的には、1100cps以上、1200cps以上、1300cps以上、1400cps以上、1500cps以上または1600cps以上であってもよく、1900cps以下、1800cps以下または1700cps以下であってもよい。
【0030】
硬化剤(架橋剤)は、例えば、粘着性樹脂の固形分100重量部に対して0.1~0.3重量部で含まれてもよい。硬化剤の種類は特に限定されず、粘着性樹脂に含まれる架橋性官能基の種類を考慮して選ばれてもよい。硬化剤としては、例えば、イソシアネート架橋剤、エポキシ架橋剤、アジリジン架橋剤及び金属キレート架橋剤などの一般的な架橋剤を使用してもよい。本出願の一実施例によれば、硬化剤としてイソシアネート架橋剤を使用してもよい。
【0031】
前記第1の粘着剤層の厚さは、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選ばれてもよい。例えば、前記第1の粘着剤層の厚さは、20μm~200μmの範囲内であってもよい。
【0032】
前記第1の粘着剤層は、ガラスに対する剥離速度0.3mpm(mm/min)の粘着力が1,000gf/in以上であってもよい。前記粘着力は、具体的には、1,500gf/in以上または2,000gf/in以上であってもよい。前記粘着力の上限は、例えば、4,000gf/in以下であってもよい。第1の粘着剤層のガラスに対する粘着力が前記範囲内の場合、OLEDパネル合着後の耐久性の側面で有利となり得る。
【0033】
前記位相差基材層に第1の粘着剤層を形成する方法は、特に制限されるものではない。一例において、公知の離型フィルム(後述する離型フィルム30とは別途の構成)上に第1の粘着剤層を形成するための粘着剤組成物を塗布して乾燥した後、位相差基材層とラミネーションしてロール状に巻き取ることができる。前記乾燥は、乾燥温度50℃~140℃の区間(乾燥オーブンの長さは、約20m~50m)でライン速度5m/min~25m/minの条件で行われてもよい。前記離型フィルムは、第1の粘着剤層に後述する離型フィルム30を貼り付ける前に剥離して除去されてもよい。
【0034】
図2は、前記位相差基材層10a及び第1の粘着剤層10bに加えて、保護フィルム20及び離型フィルム30をさらに含む第2のバックプレートフィルムの構造を例示的に示す。
【0035】
図2に示すように、バックプレートフィルムは、位相差基材層10a側に存在する保護フィルム20をさらに含んでもよい。保護フィルムは、バックプレートフィルムの移送または工程の進行時に前記位相差基材層を保護する役割を果たすことができる。バックプレートフィルムが有機発光ディスプレイに適用される場合、前記保護フィルムは除去されてもよい。
【0036】
前記保護フィルム20は、第1の基材フィルム20a及び第1の基材フィルム20aの片面に形成された第2の粘着剤層20bを含んでもよい。このとき、保護フィルムは、第2の粘着剤層を介して位相差基材層に取り付けられてもよい。
【0037】
第1の基材フィルム及び第2の粘着剤層の厚さは、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選ばれてもよい。一例において、保護フィルムに含まれる第1の基材フィルムの厚さは、20μm~200μmの範囲内であってもよい。一例において、保護フィルムに含まれる第2の粘着剤層の厚さは、10μm~200μmの範囲内であってもよい。
【0038】
一例において、前記第1の基材フィルムは、PET(polyethylene terephthalate)フィルムであってもよい。一例において、前記第2の粘着剤層は、アクリル系粘着剤であってもよい。
【0039】
前記第1の基材フィルム及び第2の粘着剤層は、それぞれ独立して帯電防止性能を有してもよい。一例において、バックプレートフィルムは、第1の基材フィルムの片面に形成された帯電防止層を含んでもよい。このとき、第1の基材フィルムの第2の粘着剤層が形成された反対面に帯電防止層が形成されていてもよい。一例において、バックプレートフィルムは、第2の粘着剤層の片面に形成された帯電防止層をさらに含んでもよい。このとき、第2の粘着剤層の第1の基材フィルムが形成された反対面に帯電防止層が形成されていてもよい。前記帯電防止層の面抵抗は、例えば、104Ω/square~1011Ω/squareの範囲内であってもよい。前記帯電防止層の面抵抗は、具体的には、104Ω/square以上、105Ω/square以上、106Ω/square以上、107Ω/square以上または109Ω/square以上であってもよく、1011Ω/square以下または1010Ω/square以下であってもよい。
【0040】
図2に示すように、バックプレートフィルムは、第1の粘着剤層10b側に存在する離型フィルム30をさらに含んでもよい。
【0041】
離型フィルム30は、第2の基材フィルム30b及び第2の基材フィルムの片面に形成されたシリコン層30aを含んでもよい。離型フィルムは、第1の粘着剤層を保護する役割を果たすことができる。バックプレートフィルムが有機発光ディスプレイに適用される場合、前記離型フィルムは除去されてもよい。
【0042】
離型フィルム30は、シリコン層30aが第2の基材フィルム30bに比べて第1の粘着剤層10bに近接して配置されてもよい。位相差基材層10aと離型フィルム30は、第1の粘着剤層10bを介して取り付けられていてもよい。
【0043】
一例において、第2の基材フィルムは、PET(polyethylene terephthalate)フィルムであってもよい。
【0044】
前記第2の基材フィルムは、帯電防止性能を有してもよい。一例において、バックプレートフィルムは、第2の基材フィルムの片面または両面に形成された帯電防止層を含んでもよい。一例において、離型フィルムは、シリコン層、帯電防止層、第2の基材フィルム及び帯電防止層を順次含んでもよい。前記帯電防止層の面抵抗は、例えば、104Ω/square~1011Ω/squareの範囲内であってもよい。前記帯電防止層の面抵抗は、具体的には、104Ω/square以上、105Ω/square以上、106Ω/square以上、107Ω/square以上または109Ω/square以上であってもよく、1011Ω/square以下または1010Ω/square以下であってもよい。
【0045】
第2の基材フィルムの厚さは、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選ばれてもよい。一例において、第2の基材フィルムの厚さは、20μm~200μmの範囲内であってもよい。
【0046】
シリコン層は、第2の基材フィルム上にシリコン層形成用組成物をコーティングした後、乾燥することにより形成されてもよい。前記シリコン層形成用組成物のコーティングの厚さは、例えば、10nm~2000nmの範囲内であってもよい。
【0047】
前記バックプレートフィルムにおいて各層間の剥離力及び線抵抗は、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選ばれてもよい。
【0048】
一例において、保護フィルム20を位相差基材層10aに貼り付けた後に剥離しながら測定された剥離力は、1gf/in~9gf/inの範囲内であってもよい。一例において、第1のバックプレートフィルム10の第1の粘着剤層10bをガラスに貼り付けた後に剥離しながら測定された剥離力は、1,100gf/in~3,000gf/inの範囲内であってもよい。一例において、離型フィルム30を第1のバックプレートフィルム10の第1の粘着剤層10bに貼り付けた後、剥離しながら測定された剥離力は、1gf/in~7gf/inの範囲内であってもよい。
【0049】
一例において、保護フィルム20の基材フィルム20a面に対して測定された線抵抗は、104Ω~109Ω、105Ω~109Ω、106Ω~109Ω、または107Ω~109Ω範囲内であってもよい。一例において、第1のバックプレートフィルム10の位相差基材層10a面に対して測定された線抵抗は、104Ω~109Ω、105Ω~109Ω、106Ω~109Ω、107Ω~109Ωまたは108Ω~109Ω範囲内であってもよい。一例において、第1のバックプレートフィルム10の第1の粘着剤層10b面に対して測定された線抵抗は、1011Ω~1016Ω、1011Ω~1015Ω、1011Ω~1014Ωまたは1013Ω~1014Ω範囲内であってもよい。一例において、離型フィルム30のシリコン層30a面に対して測定された線抵抗は、104Ω~109Ω、105Ω~109Ωまたは106Ω~108Ω範囲内であってもよい。一例において、離型フィルム30の第2の基材フィルム30bの面に対して測定された線抵抗は、104Ω~109Ω、104Ω~108Ω、105Ω~107Ω範囲内であってもよい。
【0050】
本出願は、さらに前記バックプレートフィルムの用途に関する。
【0051】
一例において、本出願は、前記バックプレートフィルム及びOLED(organic light emitting diode)パネルを含む有機発光ディスプレイに関する。前記バックプレートに関する内容は、前述した内容が同様に適用されてもよい。バックプレートフィルムは、保護フィルム及び離型フィルムが除去された状態で、例えば、位相差基材層及び第1の粘着剤層のみを含む状態でOLEDパネルに適用されてもよい。
【0052】
前記OLEDパネルは、プラスチック(ポリマー)基板を含むフレキシブル(flexible)OLEDパネルであってもよい。前記バックプレートフィルムは、前記第1の粘着剤層を介してOLEDパネルのポリマー基板に取り付けられてもよい。フレキシブルOLEDパネルの生産ラインでキャリアガラス上にポリマー基板、例えば、PI基板を作製して有機物蒸着とインキャップなどの工程を終えたOLEDパネルは、レーザーリフトオフ(LLO)工程を経ることができる。LLOを通じてキャリアガラスを取り外したポリマー基板は薄いため、そのままに放置しておくと巻き込まれるという問題が発生することがある。前記ポリマー基板を巻き込まないように固定する役割をバックプレートフィルムが果たすことができる。前記ポリマー基板にバックプレートフィルムを貼り付けた後、タッチセンサ、偏光板などの貼り付け工程を行ってもよい。
【0053】
一例において、本出願は、前記バックプレートフィルムを含むモバイルフォンに関する。すなわち、前記有機発光ディスプレイは、モバイルフォンであってもよい。
図3は、前記モバイルフォンを例示的に示す。前記モバイルフォンは、カバーウィンドウ100、偏光板200、タッチセンサ300、OLEDパネル400、バックプレートフィルム500及びカメラ600を順次含んでもよい。前記バックプレートに関する内容は、前述した内容が同様に適用されてもよい。バックプレートフィルムは、保護フィルム及び離型フィルムが除去された状態で、例えば、位相差基材層及び第1の粘着剤層のみを含む状態でモバイルフォンに適用されてもよい。前記バックプレートフィルムの第1の粘着剤層がOLEDパネルに接していてもよい。すなわち、バックプレートフィルムは、第1の粘着剤層を介してOLEDパネルに貼り付けられてもよい。
【0054】
一例において、前記モバイルフォンは、バックプレートフィルムの位相差基材層の片面に形成された金属層をさらに含んでもよい。前記金属層は、接着剤層を介して位相差基材層に取り付けられてもよい。前記金属層は、ディスプレイに発生する熱を拡散させる放熱機能を果たすことができる。
【0055】
前記カメラは、OLEDパネルの前面カメラであってもよい。前記OLEDパネルに前面カメラ領域が打ち抜かれていなくてもよい。したがって、前記モバイルフォンの前面カメラ領域にもディスプレイを具現しうる。
【0056】
前記カバーウィンドウ、偏光板、タッチセンサ、OLED(organic light emitting diode)パネル及びカメラは、それぞれ本願の目的を損なわない範囲内で当業界において公知のものを適宜選択して使用してもよい。
【発明の効果】
【0057】
本出願は、モバイルフォンの前面カメラがイメージの歪みなく被写体を撮影できるアンダーディスプレイカメラ用バックプレートフィルムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本出願のバックプレートフィルムを例示的に示す。
【
図2】本出願のバックプレートフィルムを例示的に示す。
【
図3】本出願のモバイルフォンの構造を例示的に示す。
【
図4】イメージの歪みの発生を評価するために撮影した写真である。
【
図5】イメージの歪みの発生を評価するために撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本出願による実施例及び本出願によらない比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記の実施例によって制限されるものではない。
【0060】
測定例1.粘着力測定
粘着剤層の粘着力は、180°角度及び300mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer)(Stable Micro Systems社)を用いて測定し、離型フィルム上に形成された粘着剤層を横×縦=1インチ(inch)×6インチ(inch)の大きさに切った後、2kgのゴムローラーで1回往復してガラス基板に貼り付けた後に測定した。
【0061】
測定例2.離型力測定
粘着剤層の離型力は、180°角度及び300mm/分の剥離速度でテクスチャーアナライザー(Texture analyzer)(Stable Micro Systems社)を用いて測定し、離型フィルム上に形成された粘着剤層を横×縦=1インチ(inch)×6インチ(inch)の大きさに切った後、両面テープに貼り付けた後に測定した。
【0062】
測定例3.光学特性測定
横×縦=3cm×3cmサイズのサンプルを製造した後、Hazemeter(Nippon Denshoku社のCOH400)装備を用いて、離型フィルムの剥離後に粘着剤層が貼り付けられた状態の基材層のD65光源に対するヘイズ及び透過度を測定した。
【0063】
測定例4.位相差測定
横×縦=3cm×3cmサイズのサンプルを製造した後、AXO-SCAN(AXO-METRICS社)装備を用いて、離型フィルムの剥離後に基材層の550nm波長の光に対する面内位相差(R0)値及び厚さ方向位相差(Rth)値を測定した。
【0064】
実施例1.
位相差基材層として、厚さ80μmのSRF(Super retardation film)基材層(TA-044、Toyobo社)を準備した。前記SRF基材層のヘイズは0.89%であり、透過度が93.13%であった。また、前記SRF基材層は、面内位相差(R0)が7,418nmであり、厚さ方向位相差(Rth)が-8,110nmであった。前記SRF基材の片面にメイヤーバー#3で帯電防止剤をコーティングした後、マティスオーブンで温度100℃において100秒間乾燥して帯電防止層を形成し、前記帯電防止層の面抵抗は、109Ω/squareであった。前記面抵抗は、抵抗測定器(Nittoseiko Analytech社のMCP-HT800)を用いて測定した。
【0065】
粘着性樹脂(SYS-3355、三栄社)100重量部(固形分)、硬化剤(DR-7030HD、三栄社)0.25重量部、遅延剤(アセチルアセトン)3重量部及びトルエン溶媒を混合して固形分19%の1次配合液を製造した。粘着性樹脂(SYS-3355、三栄社)とトルエンを混合して固形分21%に合わせて2次配合液を製造した。前記粘着性樹脂(SYS-3355、三栄社)は、2-EHA(2-Ethylhexyl acrylate)75重量部、MMA(Methyl methacrylate)10重量部、NVP(N-vinylpyrrolidone)5重量部及び2-HEA(2-Hydroxyethyl acrylate)10重量部を重合単位で含む。前記硬化剤(DR-7030HD、三栄社)は、H12MDI(1-isocyanato-4-[(4-isocyanatocyclohexyl)methyl]cyclohexan)30重量部及びIPDI(5-isocyanato-1-(isocyanatomehtyl)-1,3,3-trimethylcyclohexane)70重量部を含む。前記粘着性樹脂の重量平均分子量は、89万であり、温度25℃で固形分28%の粘度は、1650cpであった。
【0066】
前記1次配合液及び2次配合液を混合して粘着剤組成物を製造した。前記粘着剤組成物をスリットダイとニップダイを用いて離型フィルムの離型層(Si層)に塗布した後、6つの区間(1区間5m)からなるオーブンに60℃、90℃、110℃、120℃、120℃、120℃の温度に設定して速度15m/minで乾燥することにより、厚さ15μmの第1の粘着剤層を製造した。乾燥した第1の粘着剤層と前記位相差基材層とラミネーションした後、ロール状に巻き取ることにより、第1のバックプレートフィルムを製造した。前記第1の粘着剤層は、測定例1で測定された粘着力が2039gf/inであり、測定例2で測定された離型力が4.5gf/inであった。
【0067】
厚さ75μmのPETフィルム(第1の基材フィルム)の片面にマイクログラビアを用いて帯電防止剤をコーティングすることにより、帯電防止層を形成し、前記帯電防止層の面抵抗は、109Ω/squareであった。前記PETフィルムの反対面に厚さ15μmのアクリル系粘着剤(第2の粘着剤層)をコーティングした後、オーブンコーティングした。前記アクリル系粘着剤面に離型フィルムの離型層(Si層)と合着して巻き取った後、2日間エージングして保護フィルム20を製造した。
【0068】
離型フィルム30としてSKC HTM社のRF02ASW製品を準備した。離型フィルムは、PETフィルム(第2の基材フィルム)及び前記PETフィルムの片面に形成されたシリコン層を含む。
【0069】
位相差基材層に形成された第1の粘着剤層を介して位相差基材層と離型フィルムを貼り付けた。このとき、離型フィルムのシリコン層が前記第1の粘着剤層に接するように貼り付けた。保護フィルムの第2の粘着剤層を介して保護フィルムを位相差基材層に貼り付けて、
図2の構造のバックプレートフィルムを製造した。
【0070】
バックプレートフィルムの物性は、下記表1の通りである。剥離力において、PFは保護フィルム20を位相差基材層10aに貼り付けた後に剥離しながら測定された値であり、Adhesionは、第1のバックプレートフィルム10の第1の粘着剤層10bをガラスに貼り付けた後に剥離しながら測定した値であり、LFは、離型フィルム30を第1のバックプレートフィルム10の第1の粘着剤層10bに貼り付けた後に剥離しながら測定した値である。前記剥離力は、テクスチャーアナライザー(Texture analyzer)(Stable Micro Systems社)を180°の角度及び0.3mpmの剥離速度で測定した値である。線抵抗において、PF sideは、保護フィルム20の基材フィルム20a面に対して測定された値であり、Film sideは、第1のバックプレートフィルム10の位相差基材層10a面に対して測定された値であり、PSA sideは、第1のバックプレートフィルム10の第1の粘着剤層10b面に対して測定された値であり、LF(Si)sideは、離型フィルム30のシリコン層30a面に対して測定された値であり、LF Sideは、離型フィルム30の第2の基材フィルム30b面に対して測定された値である。前記線抵抗は、抵抗測定器(Nittoseiko Analytech社のMCP-HT800)を用いて測定した。
【0071】
【0072】
比較例1.
位相差基材層及び第1の粘着剤層を以下のように変更したことを除いては、実施例1と同じ方法でバックプレートフィルムを製造した。
【0073】
位相差基材層として厚さ50μmのPET基材(T914J75、三菱社)を準備した。前記PET基材のヘイズは1.5%であり、透過度が90.3%である。また、前記PET基材は、面内位相差(R0)が2,509nmであり、厚さ方向位相差(Rth)が-3,297nmである。前記PET基材の片面にメイヤーバー#3で帯電防止剤をコーティングした後、マティスオーブンで温度100℃において100秒間乾燥して帯電防止層を形成し、前記帯電防止層の面抵抗は、109Ω/squareであった。
【0074】
第1の粘着剤層の厚さを10μmに変更したことを除いては、実施例1と同様に第1の粘着剤層を形成した。前記第1の粘着剤層は、測定例1で測定された粘着力が1909gf/inであり、測定例2で測定された離型力が1.2gf/inであった。
【0075】
評価例1.イメージ歪み発生評価
実施例1及び比較例1のバックプレートフィルムから保護フィルム及び離型フィルムを剥離した。位相差基材層及び第1の粘着剤層を含むバックプレートフィルムを偏光子に貼り付けたサンプルをカメラの前面に配置した後、イメージを撮影し、前面カメラがイメージの歪みなく被写体撮影が可能であるかを評価した。偏光子は、吸収型線偏光子としてヨウ素により染着されたPVA(ポリビニアルコール)系偏光子である。
図4及び
図5は、それぞれ撮影された写真を示す。実施例1のバックプレートフィルムを適用した場合(A)、前面カメラがイメージの歪みなく被写体の撮影が可能であったが、比較例1のバックプレートフィルム(B)を適用した場合、被写体の歪みが発見された。
【符号の説明】
【0076】
10:第1のバックプレートフィルム
10a:位相差基材層
10b:第1の粘着剤層
20:保護フィルム
20a:第1の基材フィルム
20b:第2の粘着剤層
30:離型フィルム
30a:シリコン層
30b:第2の基材フィルム
100:カバーウィンドウ
200:偏光板
300:タッチセンサ
400:OLEDパネル
500:バックプレートフィルム
600:カメラ
【国際調査報告】