(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】金属化された高指数ブレーズ回折格子インカプラー
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20241018BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521268
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022044319
(87)【国際公開番号】W WO2023064077
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, チエンチー
(72)【発明者】
【氏名】バルガヴァ, サマース
(72)【発明者】
【氏名】セル, デービッド
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA82
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA37
2H249AA44
2H249AA50
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA63
2H249AA64
2H249AA65
2H249AA66
(57)【要約】
光学デバイス構造用の複数の回折格子を形成する方法が提供される。該方法は、高屈折率材料と金属コーティングを利用する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレーズド構造を備える導波路であって、前記複数のブレーズド構造は、
2.0以上の屈折率を有する回折格子材料を含む回折格子材料層、及び
前記回折格子材料層のパターニングされた表面に形成された金属コーティングを含む、導波路。
【請求項2】
前記回折格子材料は、ゲルマニウム、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiO
x)、TiO
xナノ材料、二酸化チタン(TiO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、シリコンリッチSi
3N
4、水素ドープSi
3N
4、ホウ素ドープSi
3N
4、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化スカンジウム(Sc
2O
3)、酸化ニオブ(NbO
x)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の導波路。
【請求項3】
前記金属コーティングは、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる、請求項2に記載の導波路。
【請求項4】
前記金属コーティングは、前記回折格子材料層をコンフォーマルに被覆する、請求項3に記載の導波路。
【請求項5】
前記金属コーティングは、前記回折格子材料層上にブランケットコーティングを形成する、請求項3に記載の導波路。
【請求項6】
前記複数のブレーズド構造の少なくとも1つは、垂直方向に対して約50度から約80度のブレーズ角を形成する第1のブレーズド面を有する、請求項1に記載の導波路。
【請求項7】
前記複数のブレーズド構造のうちの前記少なくとも1つは、前記第1のブレーズド面の反対側の第2のブレーズド面を更に有し、前記第2のブレーズド面は、垂直方向から約0度から約40度のブレーズ角を形成する、請求項6に記載の導波路。
【請求項8】
前記回折格子材料層の下面に隣接して配置されるマイクロディスプレイを更に備え、前記下面は前記パターニングされた表面の反対側にある、請求項1に記載の導波路。
【請求項9】
導波路を形成する方法であって、
2.0以上の屈折率を有する回折格子材料の層を堆積させること、
第1のブレーズ角を有する第1のブレーズド面と第2のブレーズ角を有する第2のブレーズド面とを含むパターニングされた表面を形成するために、前記回折格子材料の前記層をパターニングすること、及び
前記パターニングされた表面に金属からなる金属コーティングを堆積させることを含む、方法。
【請求項10】
前記回折格子材料は、ゲルマニウム、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiO
x)、TiO
xナノ材料、二酸化チタン(TiO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、シリコンリッチSi
3N
4、水素ドープSi
3N
4、ホウ素ドープSi
3N
4、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化スカンジウム(Sc
2O
3)、酸化ニオブ(NbO
x)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属コーティングは、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記回折格子材料の前記層をパターニングすることは、ナノインプリントプロセスを実行することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノインプリントプロセスは、
前記回折格子材料の前記層上にレジストを堆積させること、
前記回折格子材料の部分を露出させるために前記レジストをパターニングすること、及び
前記回折格子材料の露出された前記部分を通してエッチングすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回折格子材料の前記露出された部分を通してエッチングすることは、前記回折格子材料の前記露出された部分に入射するイオンビームを向けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記回折格子材料の前記層をパターニングすることは、フォトリソグラフィプロセスを実行することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記回折格子材料の前記層を堆積させることは、物理的気相堆積(PVD)プロセス、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、インクジェット印刷プロセス、又は三次元(3D)印刷プロセスを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
導波路を形成する方法であって、
第1のブレーズ角を有する第1のブレーズド面と第2のブレーズ角を有する第2のブレーズド面とを含むパターニングされた表面を形成するために、基板をパターニングすること、及び
前記パターニングされた表面に金属コーティングを堆積させることを含む、方法。
【請求項18】
前記基板は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、サファイア、高屈折率ガラスなどの高指数透明材料、又はそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属コーティングは、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基板をパターニングすることは、ナノインプリントプロセスを実行することを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、広くは、方法に関し、特に、複数の回折格子を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 仮想現実は、概して、ユーザが見かけ上の物理的存在を有する、コンピュータが生成したシミュレートされた環境であると考えられている。仮想現実体験は、三次元(3D)で生成されることが可能であり、実際の環境を置換する仮想現実環境を表示するためのレンズとしてニアアイディスプレイパネルを有する、眼鏡又はその他のウエアラブルディスプレイデバイスといったヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて視認され得る。
【0003】
[0003] しかし、拡張現実は、ユーザが眼鏡又は他のHMD装置のディスプレイレンズを通して周囲環境を依然として見ることができるが、表示のために生成され、環境の一部として現れる仮想物体の画像も見ることができる体験を可能にする。拡張現実は、任意の種類のインカップリング(音響インカップリング及び触覚インカップリングなど)に加えて、ユーザが体験する環境を強化又は拡張する仮想画像、グラフィックス、及びビデオも含み得る。
【0004】
[0004] 仮想画像は、周囲環境に重ね合わされ、ユーザに拡張現実体験を提供する。画像のオーバーレイを支援するために導波路(waveguides)が使用される。生成された光は、その光が導波路から出て周囲環境に重ね合わされるまで、導波路を通して伝搬される。幾つかの設計では、複数の導波路が、重ねられるか又は別様に組み合わされて、光学デバイス(ディスプレイレンズなど)を形成する。導波路又は導波路コンバイナの各々は、種々の回折格子領域を有する基板を含む。
【0005】
[0005] 現在の回折格子設計と既知の材料とによる導波路ディスプレイの課題のうちの幾つかには、低い光学効率、迷光、ゴースト画像、小さな視野(FOV)が含まれる。加えて、同じ基板上に最新の回折格子を製造するのは時間がかかるプロセスである。
【0006】
[0006] したがって、改善された回折格子設計、及び改善された回折格子設計のための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本開示の実施形態は、広くは、方法に関し、特に、複数の回折格子を形成する方法に関する。
【0008】
[0008] 一態様では、導波路が提供される。導波路は、複数のブレーズド構造を含む。複数のブレーズド構造は、2.0以上の屈折率を有する回折格子材料を含む回折格子材料層を含む。複数のブレーズド構造は、回折格子材料層のパターニングされた表面に形成された金属コーティングを更に含む。
【0009】
[0009] 複数の実施形態は、以下のうちの1以上を含み得る。回折格子材料は、ゲルマニウム、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiOx)、TiOxナノ材料、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、シリコンリッチSi3N4、水素ドープSi3N4、ホウ素ドープSi3N4、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、酸化ニオブ(NbOx)、酸化ニオブ(Nb2O5)、又はそれらの組み合わせから選択される。金属コーティングは、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる。金属コーティングは、回折格子材料層をコンフォーマルに被覆する。金属コーティングは、回折格子材料層上にブランケットコーティングを形成する。複数のブレーズド構造の少なくとも1つは、垂直方向に対して約50度から約80度のブレーズ角を形成する第1のブレーズド面を有する。複数のブレーズド構造のうちの少なくとも1つは、第1のブレーズド面の反対側の第2のブレーズド面を更に有し、第2のブレーズド面は、垂直方向から約0度から約40度のブレーズ角を形成する。導波路は、回折格子材料層の下面に隣接して配置されるマイクロディスプレイを更に含み、下面はパターニングされた表面の反対側にある。
【0010】
[0010] 別の一態様では、導波路を形成する方法が提供される。該方法は、2.0以上の屈折率を有する回折格子材料の層を堆積させることを含む。該方法は、第1のブレーズ角を有する第1のブレーズド面と第2のブレーズ角を有する第2のブレーズド面とを含むパターニングされた表面を形成するために、回折格子材料の層をパターニングすることを更に含む。
該方法は、パターニングされた表面に金属からなる金属コーティングを堆積させることを更に含む。
【0011】
[0011] 複数の実施形態は、以下のうちの1以上を含み得る。回折格子材料は、ゲルマニウム、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiOx)、TiOxナノ材料、二酸化チタン(TiO2)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、シリコンリッチSi3N4、水素ドープSi3N4、ホウ素ドープSi3N4、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、酸化ニオブ(NbOx)、酸化ニオブ(Nb2O5)、又はそれらの組み合わせから選択される。金属コーティングは、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる。回折格子材料の層をパターニングすることは、ナノインプリントプロセスを実行することを含む。ナノインプリントプロセスは、回折格子材料の層上にレジストを堆積させること、回折格子材料の部分を露出させるためにレジストをパターニングすること、及び回折格子材料の露出された部分を通してエッチングすることを含む。回折格子材料の露出された部分を通してエッチングすることは、回折格子材料の露出された部分に入射するイオンビームを向けることを含む。回折格子材料の層をパターニングすることは、フォトリソグラフィプロセスを実行することを含む。回折格子材料の層を堆積させることは、物理的気相堆積(PVD)プロセス、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、インクジェット印刷プロセス、又は三次元(3D)印刷プロセスを含む。
【0012】
[0012] 更に別の一態様では、導波路を形成する方法が提供される。該方法は、第1のブレーズ角を有する第1のブレーズド面と第2のブレーズ角を有する第2のブレーズド面とを含むパターニングされた表面を形成するために、基板をパターニングすることを含む。該方法は、パターニングされた表面に金属コーティングを堆積させることを更に含む。
【0013】
[0013] 複数の実施形態は、以下のうちの1以上を含み得る。基板は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、サファイア、高屈折率ガラスなどの高指数(すなわち、高屈折率の)透明材料、又はそれらの組み合わせから選択される材料を含む。金属コーティングは、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる。基板をパターニングすることは、ナノインプリントプロセスを実行することを含む。
【0014】
[0014] 別の一態様では、非一時的なコンピュータ可読媒体が、複数の指示命令を記憶している。該指示命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに上述の装置及び/又は方法の工程を実行させる。
【0015】
[0015] 上述の本開示の特徴を詳細に理解し得るように、上記で簡単に要約された本開示のより具体的な説明が、複数の実施形態を参照することによって得られ、一部の実施形態は、付随する図面に例示されている。しかし、本開示は他の等しく有効な実施形態も許容し得ることから、添付の図面が本開示の典型的な実施形態のみを例示しており、よって本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】[0016] 本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの斜視前面図を示す。
【
図1B】[0017]
図1B及び
図1Cは、本開示の1以上の実施形態による複数の回折格子構造の概略断面図を示す。
【
図1C】
図1B及び
図1Cは、本開示の1以上の実施形態による複数の回折格子構造の概略断面図を示す。
【
図1D】[0018] 本開示の1以上の実施形態によるブレーズド構造の概略断面図を示す。
【
図2】[0019] 本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナを製造するための方法のフロー図を示す。
【
図3A】[0020]
図3A~
図3Eは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図3B】
図3A~
図3Eは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図3C】
図3A~
図3Eは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図3D】
図3A~
図3Eは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図3E】
図3A~
図3Eは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図4】[0021] 本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナを製造するための別の方法のフロー図を示す。
【
図5A】[0022]
図5A~
図5Dは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図5B】
図5A~
図5Dは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図5C】
図5A~
図5Dは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【
図5D】
図5A~
図5Dは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0023] 理解を容易にするために、可能な場合には、図に共通する同一の要素を指し示すのに同一の参照番号を使用した。一実施形態の要素及び特徴は、追加の記述がなくても、他の複数の実施形態に有益に組み込むことができると考えられている。
【0018】
[0024] 本開示の実施形態は、広くは、方法に関し、特に、複数の回折格子を形成する方法に関する。本開示の様々な実施形態の完全な理解をもたらすために、特定の詳細が以下の説明及び
図1~
図5Dで提示される。導波路ディスプレイ及び回折格子に関連付けられることが多い周知の構造及びシステムを説明する他の詳細は、様々な実施形態の説明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、以下の開示では提示されない。
【0019】
[0025] 図に示す詳細、寸法形状、角度、及びその他の特徴の多くは、特定の実施形態の例示に過ぎない。したがって、他の複数の実施形態は、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、他の詳細、構成要素、寸法形状、角度、及び特徴を有し得る。加えて、本開示の更なる複数の実施形態は、以下で説明される詳細のうちの幾つかがなくても実施可能である。
【0020】
[0026] 回折導波路ディスプレイは、光を導波路に結合させるために回折格子を利用する。典型的には、これらの回折格子が、パターニングされた低指数(例えば、n<2.0)ポリマー材料に基づく。現在の設計及び材料を使用する導波路ディスプレイの主たる課題には、低い光学効率、迷光、ゴースト画像、及び小さな視野(FOV)が含まれる。他の複数の実施形態と組み合わされ得る本開示の幾つかの実施形態では、金属で被覆された高指数材料(n>=2.0)ブレーズド回折格子が提供される。これらの金属で被覆された高指数材料ブレーズド回折格子は、例えば、入力カップリング回折格子として使用され得、高いインカップリング効率と導波路ディスプレイの高い画質とを持ち、これらは、光学効率、迷光、及びゴースト画像の測定によって定量化され得る。したがって、迷光やゴースト画像の原因となり得る光エンジンへの光の逆回折を大幅に低減できる。加えて、これらの金属で被覆された高指数材料ブレーズド回折格子は、大きな入射角に対する光学効率を向上させ得る。それによって、FOVも拡大され得る。
【0021】
[0027]
図1Aは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナ100の斜視前面図を示す。以下で説明される導波路コンバイナ100は、例示的な導波路コンバイナであると理解されたい。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、導波路コンバイナ100が、拡張現実導波路コンバイナである。導波路コンバイナ100は、(
図1Cで示されているように)基板上に配置された複数の回折格子構造102、又は(
図1Bで示されているように)基板に直接パターニングされた複数の回折格子構造102を含む。導波路コンバイナ100は、複数の回折格子構造102の上に配置された金属コーティング120を更に含む。
図1Bで示されているように、複数の回折格子構造102は、基板(例えば、基板101)に直接パターニングされる。
図1Cで示されているように、複数の回折格子構造102は、基板101の上面113に形成された回折格子材料層114内に形成される。デバイス構造102は、サブミクロン寸法(例えば、1μm未満の限界寸法などのナノサイズ寸法)を有するナノ構造であり得る。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、回折格子構造102の領域が、1以上の回折格子104(第1の回折格子104a、第2の回折格子104b、及び第3の回折格子104cなど)に対応する。
【0022】
[0028] 本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、導波路コンバイナ100が、少なくとも、入力カップリング回折格子に対応する第1の回折格子104aと出力カップリング回折格子に対応する第3の回折格子104cとを含む、導波路コンバイナである。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態による導波路コンバイナ100は、中間回折格子に対応する第2の回折格子104bを含み得る。
【0023】
[0029]
図1B及び
図1Cは、複数の回折格子構造102の概略断面図である。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、回折格子構造102が、ブレーズド構造106a~106d(集合的に106)である。本明細書で説明される方法200及び方法400は、ブレーズド構造106を形成する。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、回折格子構造102が、導波路コンバイナ(例えば、導波路コンバイナ100)のブレーズド構造106である。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態による導波路コンバイナ100は、回折格子104のうちの少なくとも1つにおいてブレーズド構造106を含み得る。
【0024】
[0030]
図1Dは、本開示の1以上の実施形態によるブレーズド構造106の概略断面図を示す。
図1Dを参照すると、ブレーズド構造106は、第1のブレーズド面108、第1のブレーズド面108の反対側の第2のブレーズド面112、上面126、上面126の反対側の下面128、回折格子深さ「h」、上幅「T
w」、下幅「B
w」、及び線幅「d」を含む。回折格子深さ「h」は、約10ナノメートルから約500ナノメートル、例えば、約50ナノメートルから約80ナノメートル、又は約20ナノメートルから約40ナノメートルであり得る。第1のブレーズド面108は、ブレーズ角「A」を形成する。ブレーズ角「A」は、垂直方向に対して約50度から約80度、例えば、垂直方向から約60度から約70度であり得る。第2のブレーズド面112は、ブレーズ角「B」を形成する。ブレーズ角「B」は、垂直方向から約0度から約40度、例えば、垂直方向から約10度から約30度であり得る。トップデューティーサイクルは、(上幅T
w/回折格子周期)として規定される。トップデューティーサイクルは、約0%から約40%、例えば、約10%から約20%であり得る。ボトムデューティサイクルは、(下幅B
w/回折格子周期)として規定される。ボトムデューティサイクルは、約55%から約100%、例えば、約60%から約80%であり得る。
【0025】
[0031] 本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、2つ以上のブレーズド構造106のブレーズ角「A」及び/又は「B」が異なっている。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、2つ以上のブレーズド構造106のブレーズ角「A」及び/又は「B」が同じである。本明細書で説明される他の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、2つ以上のブレーズド構造106の深さhが異なっている。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、2つ以上のブレーズド構造106の深さhが同じである。
【0026】
[0032]
図1Bを参照すると、線幅「d」は、隣接するブレーズド構造106の第1のブレーズド面108の間の距離に対応する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、2つ以上のブレーズド構造106の線幅「d」が異なっている。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、2つ以上のブレーズド構造106の線幅「d」が同じである。
【0027】
[0033] 基板101はまた、約100から約3,000ナノメートルの1以上の波長などの、所望の波長又は波長範囲の適切な量の光を透過するように選択されてもよい。非限定的に、幾つかの実施形態では、基板101が、光スペクトルのIRからUV領域の約50%以上から約100%を透過するように構成される。基板101は、所望の波長又は波長範囲内の光を適切に透過し得、(ブレーズド構造106が回折格子材料層114内に形成されたときに)本明細書で説明されるブレーズド構造106用の適切な支持体として働き得ることを条件として、任意の適切な材料から形成されてよい。基板の選択は、非限定的に、非晶質誘電体(amorphous dielectric)、非晶質でない誘電体(non-amorphous dielectric)、結晶性誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、及びこれらの組み合わせを含む、任意の適切な材料の基板を含んでよい。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、基板101が透明な材料を含む。適切な複数の例には、酸化物、硫化物、リン化物、テルル化物、又はこれらの組み合わせが含まれ得る。一実施例では、基板101が、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、サファイア、高屈折率ガラスなどの高指数透明材料、又はそれらの組み合わせを含む。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、基板101が、本明細書で説明されるように、高屈折率回折格子材料を含む。
【0028】
[0034] 他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、回折格子材料層114が、2.0以上の屈折率を有する高屈折率回折格子材料である。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、回折格子材料層114が、非限定的に、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム、酸炭化ケイ素(SiOC)、酸化チタン(TiOx)、TiOxナノ材料、二酸化チタン(TiO2)、バナジウム(IV)酸化物(VOx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウム-スズ酸化物(ITO)、二酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、五酸化タンタル(Ta2O5)、窒化ケイ素(Si3N4)、シリコンリッチSi3N4、水素ドープSi3N4、ホウ素ドープSi3N4、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化スカンジウム(Sc2O3)、二酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニオブ(NbOx)、酸化ニオブ(Nb2O5)、ニオブ-ゲルマニウム(Nb3Ge)、スタンナートカドミウム(Cd2SnO4)、又は炭窒化ケイ素(SiCN)含有材料のうちの1以上を含む。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る他の複数の実施形態では、回折格子材料層114の材料が、2.0以上、例えば、約2.0から約2.65、例えば、約2.0から約3.8などの屈折率を有する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る他の複数の実施形態では、回折格子材料層114の材料が、約3.5と約4.0の間の屈折率を有する。
【0029】
[0035] 金属コーティング120は、複数の回折格子構造102の上面126に堆積される。より具体的には、金属コーティング120が、複数のブレーズド構造106の上面126、第1のブレーズド面108、及び第2のブレーズド面112、並びに基板101の上面113(露出している場合)に堆積される。金属コーティング120は、任意の適切な形状であり得る。他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、金属コーティング120が、ブレーズド構造106の上又はブレーズド構造106上にコンフォーマルなコーティングを形成する。他の複数の実施形態と組み合わされ得る他の複数の実施形態では、金属コーティング120が、ブランケットコーティングを形成するか、又はブレーズド構造106によって画定されたパターンをオーバーフィル(overfill)する。金属コーティング120は、動作スペクトルにおける金属の表皮厚さ(skin depth)よりも大きい厚さを有する。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、金属コーティング120が、約10ナノメートルから約100ナノメートル、例えば、約50ナノメートルから約80ナノメートル、又は約20ナノメートルから約40ナノメートルの厚さを有する。
【0030】
[0036] 本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、金属コーティング120が、1以上の金属を含み、1以上の金属からなり、又は1以上の金属から本質的になる。金属コーティング120は、非限定的に、透明な導電性材料(例えば、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、若しくはドープ酸化亜鉛)、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせを含む。
【0031】
[0037] 一実施例では、ブレーズド構造106が、酸化チタンである回折格子材料層114を含み、金属コーティング120はアルミニウムである。波長は520ナノメートル(緑色光)であり、回折格子周期は355ナノメートルであり、上幅「Tw」は約30ナノメートルであり、下幅「Bw」は約355ナノメートルであり、ブレーズ角「A」は70度であり、ブレーズ角「B」は10度である。
【0032】
[0038]
図1B及び
図1Cで示されているように、画像面内に仮想画像を形成するための光142を生成するマイクロディスプレイ生成器140が、
図1Cで示されているように基板101(存在する場合)に隣接して配置され得るか、又は
図1Bで示されているように下面128に隣接して配置され得る。マイクロディスプレイ生成器140は、シリコン上の液晶画像生成器、又は他の高解像度画像生成器であり得る。マイクロディスプレイ生成器140によって生成された光142は、複数の回折格子構造102によって変調される。
【0033】
[0039]
図2は、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナ(例えば、導波路コンバイナ100)を製造するための方法200のフロー図を示す。
図3A~
図3Eは、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナの製造の様々な段階の概略断面図を示す。
図3A~
図3Eと併せて方法200の工程が説明されるが、該方法の工程を任意の順序で実行するように構成された任意のシステムが、本明細書で説明される複数の実施形態の範囲内に入ることを当業者は理解するであろう。方法200は、複数の指示命令を含むコンピュータ可読媒体としてのコントローラ及び/又は二次コントローラに記憶され得るか又はそれらによってアクセス可能であり、該指示命令は、コントローラ及び/又は二次コントローラのCPUによって実行されたときに、システムに方法200を実行させる。
【0034】
[0040] 方法200は、工程210において開始し、回折格子材料層(例えば、回折格子材料層114)が堆積される。回折格子材料層114は、基板(例えば、基板101)(存在する場合)上に堆積され得る。回折格子材料層114の堆積のための任意の適切な方法が使用され得る。適切な薄膜堆積方法の複数の例には、物理的気相堆積(PVD)プロセス(例えば、イオンビームスパッタリング、マグネトロンスパッタリング、電子ビーム蒸着)、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、インクジェット印刷プロセス、又は三次元(3D)印刷プロセスが含まれる。
【0035】
[0041] 該方法は、工程220で続けられ、ブレーズド構造106を形成するために、格子材料層114がパターニングされる。
図3Bを参照すると、パターニングされたレジスト310が、回折格子材料層114の上に形成される。パターニングされたレジスト310は、回折格子材料層114の表面316の上に配置された複数のレジスト構造330a~330d(集合的に330)にパターニングされたレジスト材料320を含む。パターニングされたレジスト310のレジスト材料320は、回折格子材料層114のエッチング化学に基づいて選択される(ブレーズド構造106を形成するために、回折格子材料層114がエッチングされる複数の実施形態では)。一実施形態では、レジスト材料320が、感光性材料である。それによって、パターニングされたレジスト310は、フォトリソグラフィ若しくはデジタルリソグラフィなどのリソグラフィプロセスによって、又はレーザーアブレーションプロセスによってパターニングされて、複数のレジスト構造330を形成し得る。一実施形態では、レジスト材料320が、インプリント可能な材料であり、パターニングされたレジスト310が、ナノプリントプロセスによってパターニングされて、複数のレジスト構造330を形成し得る。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る別の一実施形態では、レジスト材料320が、ハードマスク材料であり、パターニングされたレジスト310が、1以上のエッチングプロセスを介してパターニングされて、複数のレジスト構造330を形成する。回折格子材料層114の表面316の4つのレジスト構造330a~330d及び3つの露出された部分332a~332c(集合的に332)のみが図示されているが、導波路コンバイナ100用の所定の設計に応じて所望の数のブレーズド構造106が形成されるように、パターニングされたレジスト310の全体がエッチングされ得る。
【0036】
[0042] 工程220は、回折格子材料層114に入射するイオンビームを向けることを更に含む。工程220は、イオンビームエッチングや集束イオンビームエッチングなどを含み得る。工程220では、回折格子材料層114が、回折格子材料層114の表面法線に対するビーム角度でイオンビームに曝露される。本明細書で説明される他の複数の実施形態と組み合わされ得る一実施形態では、基板101の表面法線に対するビーム角度が、約10度から約80度である。ビームは、レジスト構造330に選択的なデバイスエッチング化学を有する。すなわち、回折格子材料層114の露出された部分332は、レジスト構造330よりも速い速度で除去される。
図3Cを参照すると、ビームは、回折格子材料層114の露出された部分332をエッチングして、ブレーズド構造106を画定する第1のブレーズド面108と第2のブレーズド面112のうちの少なくとも一方を形成する。次いで、
図3Dで示されているように、レジスト構造330は除去される。
【0037】
[0043] 工程230では、
図3Eで示されているように、金属コーティング120がブレーズド構造106の上に形成されて、金属化された高指数ブレーズド回折格子構造350を形成する。金属コーティング120は、ブレーズド構造106の露出面を被覆する。金属コーティング120は、任意の適切な形状であり得る。他の複数の実施形態と組み合わされ得る幾つかの実施形態では、金属コーティング120が、ブレーズド構造106の上又はブレーズド構造106上にコンフォーマルなコーティングを形成する。他の複数の実施形態と組み合わされ得る他の複数の実施形態では、金属コーティング120が、ブランケットコーティングを形成するか、又はブレーズド構造106によって画定されたパターンをオーバーフィルする。金属コーティング120は、動作スペクトルにおける金属の表皮厚さよりも大きい厚さを有する。
【0038】
[0044] 金属コーティング120の堆積のための任意の適切な方法が使用され得る。適切な薄膜堆積方法の複数の例には、物理的気相堆積(PVD)(例えば、イオンビームスパッタリング、マグネトロンスパッタリング、電子ビーム蒸着)、化学気相堆積(CVD)、プラズマ化学気相堆積(PECVD)、原子層堆積(ALD)、インクジェット印刷、又は三次元(3D)印刷が含まれる。
【0039】
[0045] 工程230後に、金属化された高指数ブレーズド回折格子構造350が、更なる処理を受け得る。
【0040】
[0046]
図4は、本開示の1以上の実施形態による導波路コンバイナを製造するための別の方法400のフロー図を示す。方法400は、複数のブレーズド構造106が基板101にパターニングされることを除いて、方法200と同様である。
図5A~
図5Dは、方法400による導波路コンバイナの様々な段階の概略断面図を示す。
【0041】
[0047] 方法400は、工程410で続けられ、ブレーズド構造106を形成するために、基板101がパターニングされる。
図5Aを参照すると、パターニングされたレジスト310が、基板101の上面113に形成される。パターニングされたレジスト310は、上面113の部分532a~532c(集合的に532)を露出させる。工程410は、基板101の露出された部分532に入射するイオンビームを向けることを更に含む。
図5Bを参照すると、ビームは、基板101の露出された部分332をエッチングして、ブレーズド構造106を画定する第1のブレーズド面108と第2のブレーズド面112のうちの少なくとも一方を形成する。次いで、
図5Cで示されているように、レジスト構造330は除去される。
【0042】
[0048] 工程420では、
図5Dで示されているように、金属コーティング120が、ブレーズド構造106の上に形成されて、金属化されたブレーズド回折格子構造550を形成する。工程420後に、金属化されたブレーズド回折格子構造550が、更なる処理を受け得る。
【0043】
[0049] まとめると、金属被覆高屈折率材料(n>=2.0)ブレーズド回折格子、及びその形成方法が提供される。これらの金属で被覆された高屈折率材料ブレーズド回折格子は、例えば、入力カップリング回折格子として使用され得、高いインカップリング効率と導波路ディスプレイの高い画質とを持ち、これらは、光学効率、迷光、及びゴースト画像の測定によって定量化され得る。高屈折率材料は、より高い平均回折効率をサポートすることができ、これは、より高いインカップリング効率につながり得る。高屈折率材料は、より均一な(より平坦な)角度拡散の効率をサポートすることができ、これは、より高い輝度均一性につながる。加えて、これらの金属で被覆された高指数材料ブレーズド回折格子は、大きな入射角に対する光学効率を向上させ得る。それによって、FOVも拡大され得る。
【0044】
[0050] 本明細書で説明される実施形態及び全ての機能的動作は、デジタル電子回路において、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェア(この明細書で開示されている構造的手段及びその構造的等価物を含む)において、又はこれらの組合せにおいて実装され得る。本明細書で説明される実施形態は、データ処理装置(例えばプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータ)によって実行されるため、又はかかるデータ処理装置の動作を制御するための1以上の非一時的なコンピュータプログラム製品(すなわち、機械可読記憶デバイスにおいて有形に具現化される1以上のコンピュータプログラム)として実装され得る。
【0045】
[0051] 本明細書で説明される処理及び論理フローは、入力データで動作し出力を生成することによって機能を実施するために1以上のコンピュータプログラムを実行する、1以上のプログラム可能プロセッサによって実施され得る。処理及び論理フローは、特殊用途論理回路(例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、またはASIC(特定用途向け集積回路))によって実施されることも可能であり、かつ、装置が、かかる特殊用途論理回路として実装されることも可能である。
【0046】
[0052] 「データ処理装置」という用語は、1つのプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを例として含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題になっているコンピュータプログラムの実行環境を作り出すコード(例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はこれらの1以上の組み合わせを構成するコード)を含むことができる。コンピュータプログラムを実行するのに適しているプロセッサには、例として、汎用と専用の両方のマイクロプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1以上のプロセッサが含まれる。
【0047】
[0053] コンピュータプログラム指示命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、全ての形態の不揮発性のメモリ、媒体、及びメモリデバイスを含む。かかるメモリ、媒体、及びメモリデバイスは、例としては、半導体メモリデバイス(EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなど)、磁気ディスク(内蔵ハードディスク又は着脱可能ディスクなど)、光磁気ディスク、並びにCD ROMディスク及びDVD-ROMディスクを含む。プロセッサ及びメモリは、特殊用途論理回路によって補足すること、又は特殊用途論理回路に組み込むことができる。
【0048】
[0054] 本開示の要素、又は、それらの例示的な態様若しくは(1以上の)実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、要素が1以上存在することを意味することが意図されている。
【0049】
[0055] 備える(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という表現は、包括的であるように意図されており、列挙された要素以外に追加の要素があり得ることを意味する。
【0050】
[0056] 前述されたことは本開示の複数の実施形態を対象としているが、本開示の他の及び更なる複数の実施形態が、その基本的な範囲から逸脱することなしに考案されてよく、その範囲は以下の特許請求の範囲によって規定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレーズド構造を備える導波路であって、前記複数のブレーズド構造は、
回折格子材料を含む回折格子材料層、及び
前記回折格子材料層のパターニングされた表面に形成された金属コーティングを含む、導波路。
【請求項2】
前記回折格子材料は、ゲルマニウム、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiO
x)、TiO
xナノ材料、二酸化チタン(TiO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、シリコンリッチSi
3N
4、水素ドープSi
3N
4、ホウ素ドープSi
3N
4、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化スカンジウム(Sc
2O
3)、酸化ニオブ(NbO
x)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の導波路。
【請求項3】
前記金属コーティングは、透明な導電性材
料、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる、請求項2に記載の導波路。
【請求項4】
前記金属コーティングは、前記回折格子材料層をコンフォーマルに被覆する、請求項3に記載の導波路。
【請求項5】
前記金属コーティングは、前記回折格子材料層上にブランケットコーティングを形成する、請求項3に記載の導波路。
【請求項6】
前記複数のブレーズド構造の少なくとも1つは、垂直方向に対して約50度から約80度のブレーズ角を形成する第1のブレーズド面を有する、請求項1に記載の導波路。
【請求項7】
前記複数のブレーズド構造のうちの前記少なくとも1つは、前記第1のブレーズド面の反対側の第2のブレーズド面を更に有し、前記第2のブレーズド面は、垂直方向から約0度から約40度のブレーズ角を形成する、請求項6に記載の導波路。
【請求項8】
前記回折格子材料層の下面に隣接して配置されるマイクロディスプレイを更に備え、前記下面は前記パターニングされた表面の反対側にある、請求項1に記載の導波路。
【請求項9】
導波路を形成する方法であって、
回折格子材料の層を堆積させること、
第1のブレーズ角を有する第1のブレーズド面と第2のブレーズ角を有する第2のブレーズド面とを含むパターニングされた表面を形成するために、前記回折格子材料の前記層をパターニングすること、及び
前記パターニングされた表面に金属からなる金属コーティングを堆積させることを含む、方法。
【請求項10】
前記回折格子材料は、ゲルマニウム、シリコン、炭化ケイ素(SiC)、酸化チタン(TiO
x)、TiO
xナノ材料、二酸化チタン(TiO
2)、五酸化タンタル(Ta
2O
5)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、シリコンリッチSi
3N
4、水素ドープSi
3N
4、ホウ素ドープSi
3N
4、酸化ハフニウム(HfO
2)、酸化スカンジウム(Sc
2O
3)、酸化ニオブ(NbO
x)、酸化ニオブ(Nb
2O
5)、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属コーティングは
、インジウム-スズ酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)
、ドープ酸化亜
鉛、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記回折格子材料の前記層をパターニングすることは、ナノインプリントプロセスを実行することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノインプリントプロセスは、
前記回折格子材料の前記層上にレジストを堆積させること、
前記回折格子材料の部分を露出させるために前記レジストをパターニングすること、及び
前記回折格子材料の露出された前記部分を通してエッチングすることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記回折格子材料の前記露出された部分を通してエッチングすることは、前記回折格子材料の前記露出された部分に入射するイオンビームを向けることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記回折格子材料の前記層をパターニングすることは、フォトリソグラフィプロセスを実行することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記回折格子材料の前記層を堆積させることは、物理的気相堆積(PVD)プロセス、化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ化学気相堆積(PECVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、インクジェット印刷プロセス、又は三次元(3D)印刷プロセスを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
導波路を形成する方法であって、
第1のブレーズ角を有する第1のブレーズド面と第2のブレーズ角を有する第2のブレーズド面とを含むパターニングされた表面を形成するために、基板をパターニングすること、及び
前記パターニングされた表面に金属コーティングを堆積させることを含む、方法。
【請求項18】
前記基板は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、サファイア、高屈折率ガラスなどの高指数透明材料、又はそれらの組み合わせから選択される材料を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記金属コーティングは、透明な導電性材
料、銀、アルミニウム、金、又はそれらの組み合わせからなる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基板をパターニングすることは、ナノインプリントプロセスを実行することを含む、請求項19に記載の方法。
【国際調査報告】