(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】下流残留物の管理ハードウェア
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20241018BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/44 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521347
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 US2022046182
(87)【国際公開番号】W WO2023064217
(87)【国際公開日】2023-04-20
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グー, ツァオユアン
(72)【発明者】
【氏名】シオン, イン
(72)【発明者】
【氏名】ハー, スンウォン
(72)【発明者】
【氏名】カジャ, アブドゥル アジズ
(72)【発明者】
【氏名】バンサル, アミット
(72)【発明者】
【氏名】プーマニ, プラサース
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ, アジト ラクスマン
(72)【発明者】
【氏名】ボベック, サラ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ラマムルティ, バドリ エヌ.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA11
4K030FA01
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB31
5F045AC00
5F045AC11
5F045BB15
5F045CB06
5F045DQ17
5F045EB06
5F045EE14
5F045EG02
5F045EH05
5F045EJ01
5F045EJ09
5F045EJ10
5F045EK06
5F045EM02
5F045EN04
(57)【要約】
例示的な処理チャンバは、側壁と底部プレートとを有する本体を含み得る。底部プレートは、排気口及びガス入口を画定し得る。チャンバは、本体の上に着座したフェースプレートを含み得る。チャンバは、底部プレートの上に着座したパージリングを含み得る。パージリングは、外側エッジと、内側開口部を画定している内側エッジとを有するリング本体を含み得る。リング本体は、底部プレートに当接して配置された面を有し得る。リング本体は、排気口と位置合わせされた開口部を画定し得る。面は、ガス入口と位置合わせされて結合された流体ポートを画定し得る。面は、流体ポート内に延在している円弧状溝を画定し得る。円弧状溝は、内側エッジ及び外側エッジと平行であってよい。面は、内側開口部から円弧状溝に延在している半径方向溝を画定し得る。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理チャンバであって、
側壁と底部プレートとを有するチャンバ本体であって、前記底部プレートは、排気口及び少なくとも1つのパージガス入口を画定している、チャンバ本体と、
前記チャンバ本体の上に着座したフェースプレートと、
前記底部プレートの上に着座したパージリングであって、
外側エッジと内側エッジとを有するリング本体であって、前記内側エッジは内側開口部を画定している、リング本体
を含む、パージリングと
を備え、
前記リング本体は、第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、
前記第2の面は、前記底部プレートの上面に当接して配置され、
前記リング本体は、前記外側エッジと前記内側エッジとの間に開口部を画定し、
前記開口部は前記底部プレートの前記排気口と位置合わせされており、
前記第2の面は、少なくとも1つの流体ポートを画定し、各流体ポートは、前記少なくとも1つのパージガス入口の対応する1つと位置合わせされて流体的に結合され、
前記第2の面は、1又は複数の円弧状溝を画定し、前記円弧状溝の各々は、前記少なくとも1つの流体ポートの対応する1つに延在し、
前記1又は複数の円弧状溝は、前記リング本体の内側エッジ及び外側エッジと概ね平行であり、
前記第2の面は、各々が前記内側開口部から前記1又は複数の円弧状溝のうちの1つに延在する複数の半径方向溝を画定する、
半導体処理チャンバ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパージガス入口に流体的に結合されたパージ源
を更に備える、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項3】
前記リング本体は、概ねC字形状であり、第2の端部から離間した第1の端部を含み、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に形成された間隙は、前記開口部を含む、
請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項4】
前記リング本体は環状形状を有し、
前記開口部は、前記開口部の外周全体に沿って前記リング本体の一部によって境界が定められた開孔を含む、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項5】
前記1又は複数の円弧状溝は、集合的に、前記内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在する、
請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項6】
前記1又は複数の円弧状溝は、前記リング本体を中心として再帰的流路を形成する、
請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項7】
前記半径方向溝は、集合的に、前記内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在する、
請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項8】
前記半径方向溝は、前記リング本体を中心として一定の角度間隔で離間している、
請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項9】
前記排気口に流体的に結合されたフォアライン、スロットルバルブ、及びポンプ
を更に備える、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項10】
前記パージリングは、アルミニウムを含む、
請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項11】
パージリングであって、
外側エッジと内側エッジとを有するリング本体であって、前記内側エッジは内側開口部を画定している、リング本体
を備え、
前記リング本体は、第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面とを有し、
前記リング本体は、前記外側エッジと前記内側エッジとの間に開口部を画定し、
前記第2の面は、少なくとも1つの流体ポートを画定し、
前記第2の面は、1又は複数の円弧状溝を画定し、前記1又は複数の円弧状溝の各々は、前記少なくとも1つの流体ポートの対応する1つに延在し、
前記1又は複数の円弧状溝は、前記リング本体の内側エッジ及び外側エッジと概ね平行であり、
前記第2の面は、各々が前記内側開口部から前記1又は複数の円弧状溝のうちの1つに延在する複数の半径方向溝を画定する、
パージリング。
【請求項12】
前記リング本体は、概ねC字形状であり、第2の端部から離間した第1の端部を含み、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に形成された間隙は、前記開口部を含む、
請求項11に記載のパージリング。
【請求項13】
前記リング本体は環状形状を有し、
前記開口部は、前記開口部の外周全体に沿って前記リング本体の一部によって境界が定められた開孔を含む、請求項11に記載のパージリング。
【請求項14】
前記1又は複数の円弧状溝は、集合的に、前記内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在する、請求項11に記載のパージリング。
【請求項15】
前記1又は複数の円弧状溝は、前記リング本体を中心として再帰的流路を形成する、
請求項11に記載のパージリング。
【請求項16】
前記半径方向溝は、集合的に、前記内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在する、
請求項11に記載のパージリング。
【請求項17】
前記半径方向溝は、前記リング本体を中心として一定の角度間隔で離間している、
請求項11に記載のパージリング。
【請求項18】
基板の処理方法であって、
処理チャンバ内に前駆体を流すことと、
前記処理チャンバの処理領域内に前記前駆体のプラズマを生成することと、
前記処理領域内に配置された基板に材料を堆積させることと、
前記処理チャンバの底部プレートに結合されたパージリングに形成された複数の溝を通してパージガスを流すことであって、前記複数の溝は、1又は複数の円弧状溝と複数の半径方向溝とを含み、前記複数の半径方向溝は、前記パージガスを前記パージリングの内側開口部に導く、前記処理チャンバの底部プレートに結合されたパージリングに形成された複数の溝を通してパージガスを流すことと
を含む方法。
【請求項19】
少なくとも1つのフォアライン、スロットルバルブ、及びポンプを介して、前記前駆体及び前記パージガスを前記処理チャンバから排出することであって、前記フォアラインの入口開口部は、前記パージリングの開口部と位置合わせされている、少なくとも1つのフォアライン、スロットルバルブ、及びポンプを介して、前記前駆体及び前記パージガスを前記処理チャンバから排出すること
を更に含む、請求項18に記載の半導体基板の処理方法。
【請求項20】
前記パージガスは、約500sccmから10,000sccmの流量で流される、
請求項18に記載の半導体基板の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2021年10月15日出願の「DOWNSTREAM RESIDUE MANAGEMENT HARDWARE」と題する米国特許出願第17/502,873号の利益及び優先権を主張するものであり、その内容を全て、参照により本明細書に援用する。
【0002】
[0002]本技術は、半導体製造用の構成要素及び装置に関する。より具体的には、本技術は、処理チャンバ構成要素及びその他の半導体処理機器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]集積回路は、基板表面に複雑にパターニングされた材料層を形成するプロセスによって実現される。基板にパターニングされた材料を形成するには、材料の形成と除去を制御する方法が必要である。多くの場合、基板に材料を均一に堆積させる又はエッチングするために、前駆体が処理領域に供給され、分配される。チャンバ内のプロセス条件の均一性、構成要素を通る流れの均一性、その他のプロセス及び構成要素のパラメータ等、処理チャンバの多くの態様がプロセスの均一性に影響を与える可能性がある。基板全体のわずかな不一致でさえ、形成又は除去プロセスに影響を与える可能性がある。
【0004】
[0004]従って、高品質のデバイス及び構造を製造するために使用できる、改良されたシステム及び方法が必要である。これら及びその他のニーズは、本技術によって対処される。
【発明の概要】
【0005】
[0005]例示的な半導体処理チャンバは、側壁と底部プレートとを有するチャンバ本体を含み得る。底部プレートは、排気口及び少なくとも1つのパージガス入口を画定し得る。チャンバは、チャンバ本体の上に着座したフェースプレートを含み得る。チャンバは、底部プレートの上に着座したパージリングを含み得る。パージリングは、外側エッジと内側エッジとを有するリング本体を含み得る。内側エッジは、内側開口部を画定し得る。リング本体は、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とを有していてよい。第2の面は、底部プレートの上面に当接して配置され得る。リング本体は、外側エッジと内側エッジとの間に開口部を画定し得る。開口部は、底部プレートの排気口と位置合わせされていてよい。第2の面は、少なくとも1つの流体ポートを画定し得る。各流体ポートは、少なくとも1つのパージガス入口の対応する1つと位置合わせされて流体的に結合されていてよい。第2の面は、1又は複数の円弧状溝を画定していてよく、円弧状溝の各々は、少なくとも1つの流体ポートの対応する1つに延在している。1又は複数の円弧状溝は、リング本体の内側エッジ及び外側エッジと概ね平行であってよい。第2の面は、各々が内側開口部から1又は複数の円弧状溝のうちの1つに延在する複数の半径方向溝を画定し得る。
【0006】
[0006]幾つかの実施形態では、チャンバは、少なくとも1つのパージガス入口に流体的に結合されたパージ源を含み得る。リング本体は、概ねC字形状であってよく、第2の端部から離間した第1の端部を含み得る。第1の端部と第2の端部との間に形成された間隙は、開口部を含み得る。リング本体は環状形状を有し得る。開口部は、開口部の外周全体に沿ってリング本体の一部によって境界が定められた開孔を含み得る。1又は複数の円弧状溝は、集合的に、内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在し得る。1又は複数の円弧状溝は、リング本体を中心として再帰的流路を形成し得る。半径方向溝は、集合的に、内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在し得る。半径方向溝は、リング本体を中心として一定の角度間隔で離間していてよい。チャンバは、排気口に流体的に結合されたフォアライン、スロットルバルブ、及びポンプを含み得る。パージリングは、アルミニウムを含み得る。
【0007】
[0007]本技術の幾つかの実施形態は、パージリングを包含し得る。パージリングは、外側エッジと内側エッジとを有するリング本体を含み得る。内側エッジは、内側開口部を画定し得る。リング本体は、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面とを有していてよい。リング本体は、外側エッジと内側エッジとの間に開口部を画定し得る。第2の面は、少なくとも1つの流体ポートを画定し得る。第2の面は、1又は複数の円弧状溝を画定し得る。1又は複数の円弧状溝の各々は、少なくとも1つの流体ポートの対応する1つに延在し得る。1又は複数の円弧状溝は、リング本体の内側エッジ及び外側エッジと概ね平行であってよい。第2の面は、各々が内側開口部から1又は複数の円弧状溝のうちの1つに延在する複数の半径方向溝を画定し得る。
【0008】
[0008]幾つかの実施形態では、リング本体は、概ねC字形状であってよく、第2の端部から離間した第1の端部を含み得る。第1の端部と第2の端部との間に形成された間隙は、開口部を含み得る。リング本体は、環状形状を有していてよい。開口部は、開口部の外周全体に沿ってリング本体の一部によって境界が定められた開孔を含み得る。1又は複数の円弧状溝は、集合的に、内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在し得る。1又は複数の円弧状溝は、リング本体を中心として再帰的流路を形成し得る。半径方向溝は、集合的に、内側開口部を中心として少なくとも270度周囲に延在し得る。半径方向溝は、リング本体を中心として一定の角度間隔で離間していてよい。
【0009】
[0009]本技術の幾つかの実施形態は、基板の処理方法を包含し得る。本方法は、処理チャンバ内に前駆体を流すことを含み得る。本方法は、処理チャンバの処理領域内に前駆体のプラズマを生成することを含み得る。本方法は、処理領域内に配置された基板に材料を堆積させることを含み得る。本方法は、処理チャンバの底部プレートに結合されたパージリングに形成された複数の溝を通してパージガスを流すことを含み得る。複数の溝は、1又は複数の円弧状溝と複数の半径方向溝とを含み得る。複数の半径方向溝は、パージガスをパージリングの内側開口部に導くことができる。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのフォアライン、スロットルバルブ、及びポンプを介して、前駆体及びパージガスを処理チャンバから排出することを含み得る。フォアラインの入口開口部は、パージリングの開口部と位置合わせされている。パージガスは、約500sccmから10,000sccmの流量で流され得る。
【0011】
[0011]上記技術は、従来のシステム及び技術に優る多数の利点を提供し得る。例えば、本技術の実施形態は、処理チャンバの下部領域にパージガスを導いて、処理システムの構成要素からの残留物を防止及び/又は除去するために、チャンバ本体の底部プレートに結合されたパージリングを用いることができる。これらの実施形態及び他の実施形態を、それらの多くの利点及び特徴と共に、以下の説明及び添付の図と併せてより詳細に説明する。
【0012】
[0012]開示された技術の性質及び利点の更なる理解は、明細書の残りの部分及び図面を参照することによって得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理システムを示す上面図である。
【
図2】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なプラズマシステムを示す概略断面図である。
【
図3】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理チャンバを示す概略断面図である。
【
図4A-B】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なパージリングを示す概略図である。
【
図4C】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なパージリングを示す概略図である。
【
図5】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なパージリングを示す概略上面図である。
【
図6】本技術の幾つかの実施形態に係る処理チャンバのチャンバ本体の底部プレートの上に設置された例示的なパージリングを示す概略上面図である。
【
図7】本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な半導体処理方法の工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0020]幾つかの図は概略図として含まれている。図は説明のためのものであり、特に縮尺が明記されていない限り、縮尺通りとはみなされないことを理解されたい。更に、概略図として、図は理解を助けるために提供されたものであり、現実的な表現と比較してすべての態様又は情報が含まれていない場合があり、説明のために誇張された材料が含まれている可能性がある。
【0015】
[0021]添付の図において、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照ラベルを有する場合がある。更に、同じ種類の様々な構成要素は、参照ラベルの後に類似の構成要素間を区別する文字を付けることによって区別することができる。本明細書において最初の参照ラベルのみを使用する場合、その説明は、文字に関係なく、同じ最初の参照ラベルを有する類似の構成要素のいずれにも適用可能である。
【0016】
[0022]プラズマ堆積プロセスは、基板への膜形成を促進するために、1又は複数の構成前駆体に電圧を印加することがある。半導体構造を開発するために、導電膜及び誘電体膜のほか、材料の移送及び除去を容易にする膜を含む、任意の数の材料膜を形成することができる。例えば、基板のパターニングを容易にする一方で、他の方法で維持される下層の材料を保護するために、ハードマスク膜を形成することができる。多くの処理チャンバでは、多数の前駆体がガスパネル内で混合され、基板が配置され得るチャンバの処理領域に供給され得る。リッドスタックの構成要素は、処理チャンバ内への流れの分布に影響を与える可能性があるが、他の多くのプロセス変数も同様に、堆積の均一性に影響を与える可能性がある。
【0017】
[0023]処理工程中及び/又は処理工程後に、前駆体及び/又は他のプロセスガスが、処理チャンバの下部領域内に流され得る。例えば、一部のプロセスガスは、処理工程中に基板支持体を越えて下方に流され得る、及び/又はガスは、チャンバの底部に結合されたフォアラインを通してプロセスチャンバから排出され得る。上記プロセスガスからのラジカルに起因する残留物は、ウエハがチャンバ内外に移送されるスリットバルブ、チャンバ本体の下壁及び/又は底部プレート、ならびにフォアライン、スロットルバルブ、及び/又はポンプを含み得る排出システムを含むチャンバ本体の下部領域に集まることがある。これらの残留物により、チャンバ機器をより頻繁に、より集中的に洗浄する必要が生じ、ダウンタイムと運用コストにつながる可能性がある。更に、残留物の蓄積は、様々な構成要素の耐用年数の短縮につながる可能性がある。更に、スロットルバルブ内の残留物の蓄積は、スロットルバルブの流路の断面積を減少させることがあり、これは、スロットルバルブを通るフローコンダクタンスを効果的に変化させ、スロットルバルブドリフトを引き起こす。例えば、時間の経過とともに、残留物の蓄積が流路の断面積を減少させ、これにより、所望のコンダクタンスを維持するためにスロットルバルブをより大きく開くこと(ドリフト)が必要となってくる。このスロットルドリフトは、スロットルバルブの各角度に関連する流路の断面積を変化させ、時間の経過とともに、スロットルバルブを通って流れるガスのコンダクタンスの低下と圧力の変化を考慮して、スロットルバルブをより大きい角度まで開くことが必要となる。角度が大きくなると、正確なコンダクタンスと流体圧力を供給するためにスロットルバルブを制御することが困難になる。
【0018】
[0024]本技術は、チャンバ本体の底部プレートに固定されたパージリングを用いることにより、これらの課題を克服している。パージリングは、パージガスをチャンバ本体の下部領域に導くことができる一連の溝を画定し得る。処理工程中にパージガスを流すことができ、プロセスガスからのラジカルが下部領域内で残留堆積物を形成するのを低減又は防止することができる。更に、パージガスは、存在する全ての残留物を除去することができる。この残留物の減少により、洗浄工程の頻度及び/又は強度が減少し、チャンバ構成要素の耐用年数が延在る可能性がある。更に、スリットバルブに近接した堆積物の減少により、移送プロセス中のウエハ上の汚染が減少する可能性がある。更に、実施形態は、スロットルバルブのドリフトを減少させ、フォアラインを通るフローコンダクタンスを改善することができる。従って、本技術は、チャンバ内の残留堆積物の発生を低減することができる。
【0019】
[0025]残りの開示は、開示された技術を用いた特定の堆積プロセスを常に特定するが、システム及び方法は、他の堆積チャンバ及び洗浄チャンバ、ならびに記載されたチャンバで行われ得るプロセスに等しく適用可能であることが容易に理解されるであろう。従って、本技術は、これらの特定の堆積プロセス又はチャンバのみでの使用に限定されると考えるべきではない。本開示は、本技術の実施形態に係るこのシステムに対する追加の変形及び調整を説明する前に、本技術の実施形態に係るリッドスタック構成要素を含み得る1つの可能なシステム及びチャンバについて説明する。
【0020】
[0026]
図1は、実施形態に係る堆積、エッチング、焼成、及び硬化チャンバの処理システム100の一実施形態の上面図である。図において、一対の前方開口型統一ポッド102は、ロボットアーム104によって受け取られ、タンデムセクション109a~cに位置決めされた基板処理チャンバ108a~fの1つに配置される前に低圧保持エリア106に配置される様々なサイズの基板を供給する。第2のロボットアーム110を使用して、基板ウエハを保持エリア106から基板処理チャンバ108a~fに、またその逆に輸送することができる。各基板処理チャンバ108a~fは、プラズマ化学気相堆積、原子層堆積、物理的気相堆積、エッチング、前洗浄、ガス抜き、配向、及びアニール、アッシング等を含む他の基板プロセスに加えて、本明細書に記載の半導体材料のスタックの形成を含む多数の基板処理工程を実行するために装備することができる。
【0021】
[0027]基板処理チャンバ108a~fは、基板に誘電体膜又は他の膜を堆積、アニール、硬化及び/又はエッチングするための1又は複数のシステム構成要素を含み得る。ある構成では、2対の処理チャンバ、例えば、108c~d及び108e~fを使用して、基板に誘電体材料を堆積させることができ、第3の対の処理チャンバ、例えば、108a~bを使用して、堆積された誘電体をエッチングすることができる。別の構成では、3対のチャンバすべて、例えば108a~fが、基板に交互の誘電体膜のスタックを堆積させるように構成され得る。記載のプロセスのいずれか1又は複数を、異なる実施形態で示す製造システムから分離されたチャンバで実施することができる。誘電体膜のための堆積、エッチング、アニール、及び硬化チャンバの追加の構成がシステム100によって想定されることが理解されよう。
【0022】
[0028]
図2は、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なプラズマシステム200を示す概略断面図である。プラズマシステム200は、上述したタンデムセクション109のうちの1又は複数に装備されていてよく、本技術の実施形態に係るフェースプレート又は他の構成要素もしくはアセンブリを含み得る一対の処理チャンバ108を例示し得る。プラズマシステム200は、概して、側壁212、底壁216、及び一対の処理領域220A及び220Bを画定している内部側壁201を有するチャンバ本体202を含み得る。処理領域220A~220Bの各々は、同様に構成することができ、同一の構成要素を含んでいてよい。
【0023】
[0029]例えば、処理領域220B(その構成要素は処理領域220Aにも含まれ得る)は、プラズマシステム200の底壁216に形成された通路222を通って処理領域に配置されたペデスタル228を含み得る。ペデスタル228は、本体部分等のペデスタルの露出面上に基板229を支持するように適合されたヒータを設けることができる。ペデスタル228は、基板温度を所望のプロセス温度に加熱及び制御し得る、例えば抵抗加熱要素等の加熱要素232を含み得る。ペデスタル228はまた、ランプアセンブリ等の遠隔加熱要素、又は任意の他の加熱装置によっても加熱することができる。
【0024】
[0030]ペデスタル228の本体は、フランジ233によってステム226に結合されていてよい。ステム226は、ペデスタル228を電源コンセント又は電源ボックス203に電気的に結合させることができる。電源ボックス203は、処理領域220B内におけるペデスタル228の上昇及び移動を制御する駆動システムを含み得る。ステム226はまた、ペデスタル228に電力を供給するための電力インタフェースを含み得る。電源ボックス203はまた、電力及び温度インジケータ、例えば熱電対インタフェースのためのインタフェースを含み得る。ステム226は、電源ボックス203に着脱可能に結合されるように適合されたベースアセンブリ238を含み得る。周囲リング235が電源ボックス203の上方に示されている。幾つかの実施形態では、周囲リング235は、ベースアセンブリ238と電源ボックス203の上面との間に機械的なインタフェースを提供するように構成された機械的な停止部又はランドとして適合された肩部であってよい。
【0025】
[0031]処理領域220Bの底壁216に形成された通路224を貫通するロッド230が含まれていてよく、ペデスタル228の本体を貫通して配置された基板リフトピン261を位置決めするために用いられ得る。基板リフトピン261は、ペデスタルから基板229を選択的に間隔を空けて配置し、基板移送ポート260を通して基板229を処理領域220B内外に移送するために用いられるロボットによる基板229の交換を容易にすることができる。
【0026】
[0032]チャンバリッド204は、チャンバ本体202の上部に結合され得る。リッド204は、それに結合された1又は複数の前駆体分配システム208を収容することができる。前駆体分配システム208は、ガス供給アセンブリ218を通して反応剤及び洗浄前駆体を処理領域220B内に供給し得る前駆体入口通路240を含み得る。ガス供給アセンブリ218は、フェースプレート246の中間に配置されたブロッカプレート244を有するガスボックス248を含み得る。無線周波数(「RF」)源265が、ガス供給アセンブリ218に結合されていてよく、ガス供給アセンブリ218に電力を供給して、ガス供給アセンブリ218のフェースプレート246と、チャンバの処理領域であり得るペデスタル228との間でのプラズマ領域の生成を促進し得る。幾つかの実施形態では、RF源は、プラズマ生成を促進するために、ペデスタル228等のチャンバ本体202の他の部分に結合され得る。誘電体アイソレータ258を、リッド204とガス供給アセンブリ218との間に配置して、リッド204へのRF電力の伝導を防止することができる。ペデスタル228に係合するシャドウリング206が、ペデスタル228の周辺に配置されていてよい。
【0027】
[0033]ガス分配システム208のガスボックス248には、工程中にガスボックス248を冷却するためのオプションの冷却チャネル247が形成されていてよい。水、エチレングリコール、ガス等の熱伝達流体が、ガスボックス248が所定の温度に維持され得るように、冷却チャネル247を通って循環され得る。ライナアセンブリ227を、処理領域220B内でチャンバ本体202の側壁201、212に近接するように配置して、側壁201、212が処理領域220B内の処理環境に暴露されないようにすることができる。ライナアセンブリ227は、周囲ポンピングキャビティ225を含んでいてよく、このポンピングキャビティ225は、処理領域220Bからガス及び副生成物を排気し、処理領域220B内の圧力を制御するように構成されたポンピングシステム264に結合されていてよい。複数の排気ポート231が、ライナアセンブリ227に形成されていてよい。排気ポート231は、システム200内の処理を促進する方法で、処理領域220Bから周囲ポンピングキャビティ225へのガスの流れを可能にするように構成され得る。
【0028】
[0034]
図3は、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な処理システム300を示す概略部分断面図である。
図3は、システム200内の構成要素に関連する更なる詳細を図示し得る。システム300は、幾つかの実施形態では前述したシステム200の任意の特徴又は態様を含むと理解される。システム300は、前述したようなハードマスク材料の堆積、ならびに他の堆積、除去、及び洗浄工程を含む半導体処理工程を実行するために使用され得る。システム300は、説明している、半導体処理システムに組み込まれ得るチャンバ構成要素の部分図を示し得、フェースプレートの中心全体にわたる図を示し得るが、そうでなければ、任意のサイズであってよく、任意の数の開孔を含んでいてよい。システム300のいかなる態様もまた、当業者に容易に理解されるように、他の処理チャンバ又はシステムと共に組み込むことが可能である。
【0029】
[0035]システム300は、フェースプレート305を含む処理チャンバを含んでいてよく、このフェースプレート305を通して処理のために前駆体を供給することができ、このフェースプレート305は、チャンバの処理領域内でプラズマを生成するための電源に結合されていてよい。チャンバはまた、図示したように、側壁及び底部プレート312又は他のベースを含み得るチャンバ本体310を含んでいてよい。フェースプレート305は、チャンバ本体310によって直接的又は間接的に支持されていてよい。ほんの一例として、フェースプレート305は、チャンバ本体310の上面に着座し得るアイソレータ又は他のライナ335の上に支持され得る。ペデスタル又は基板支持体(図示せず)は、前述したように、チャンバの底部プレート312を貫通して延在し得る。基板支持体は、半導体基板を支持し得る支持プレートを含み得る。支持プレートは、チャンバの底部プレート312を貫通して延在するシャフトに結合されていてよい。
【0030】
[0036]底部プレート312は、処理領域から処理チャンバに結合された1又は複数のフォアライン350へのガスの流れを可能にする1又は複数の排気口340を画定し得る。例えば、各排気口340は、1又は複数のフォアライン350の上端に流体的に結合されていてよい。各フォアライン350は、処理チャンバから外へプロセスガスを流し、フォアライン350を通る流体コンダクタンスを制御し得るスロットルバルブ355を通してプロセスガスを導くための流体導管を画定し得る。ポンプ380は、フォアライン350及びスロットルバルブ355に流体的に結合され、処理領域から外へガスを引き出す負圧を生じさせることができる。
【0031】
[0037]底部プレート312はまた、各々が1又は複数のパージガスルーメン347を介する等して、パージガス源345と位置合わせされ、これと流体的に結合され得る1又は複数のパージガス入口314も画定し得る。システム300は、底部プレート312の上に着座し得るパージリング365を含み得る。例えば、パージリング365は、幾つかの実施形態では、底部プレート312の上面に直接着座していてよい。パージリング365の下面は、パージガス入口314に流体的に結合され得る多数の溝370を画定し得る。パージリング365が底部プレート312の上面に結合されると、溝370及び底部プレート312は、堆積及び/又は他の工程中にプロセスガスから形成される残留物の堆積を防止及び/又は除去するために、パージガス源345によって供給されるパージガスを底部プレート312の内部部分に導くことができるパージガスチャネルを形成し得る。ポンピングプレート375は、幾つかの実施形態では、パージリング365の上に位置決めされ得る。
【0032】
[0038]パージリングは、プロセスガスからのラジカルが下部領域内で残留堆積物を形成するのを低減又は防止するために、処理工程中にチャンバ本体の下部領域にパージガスを導くことができる。更に、パージガスは、存在するあらゆる残留物を除去することができる。この残留物の減少により、洗浄工程の頻度及び/又は強度を減少させて、チャンバ構成要素の耐用年数を延ばすことができる。特に、パージリングは、ポンプ内の固体残留物の蓄積を低減する助けとなり得、ポンプの運転寿命を延ばすのに役立つ可能性がある。更に、処理チャンバのスリットバルブに近接する堆積物の減少により、移送プロセス中のウエハ上の汚染が減少する可能性がある。更に、パージガスの流れにより、スロットルバルブのドリフトが減少し、フォアラインを通るフローコンダクタンスが向上する可能性もある。
【0033】
[0039]
図4A~
図4Cは、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なパージリング400を示す図である。パージリング400は、前述した任意のチャンバ又はシステムだけでなく、パージリングから利益を得ることができる任意の他のチャンバ又はシステムにも含めることができる。例えば、パージリング400を、
図3に関連して説明したように、パージリング365として使用し、底部プレート312の上に位置決めすることができる。パージリング400は、パージリング365と同様であってよく、パージリング365に関連して説明した特徴のいずれかを含み得る。パージリング400は、アルミニウム等の処理チャンバ適合材料から形成され得るが、これに限定されないリング本体405を含み得る。リング本体405は、外側エッジ407と内側エッジ409とによって画定されていてよく、内側エッジ409は、パージリング400の内側開口部402を画定している。リング本体405の内径(例えば、内側エッジ409の直径)は、内側エッジ409と所定の処理チャンバ内に配置された基板支持体のシャフトの横方向の面との間に間隙が形成されるほど十分に大きくてよい。上記間隙により、底部プレートの概ね環状の部分が露出したままになり得る。リング本体405は、外側エッジ407と内側エッジ409との間に延在する開口部410を画定し得る。開口部410は、処理工程中及び/又は処理工程後に、プロセスガス及び/又はパージガスがフォアラインを通って処理チャンバから排出されることが可能になるように、底部プレートの排気口と位置合わせされていてよい。
図4A~
図4Cに示すような幾つかの実施形態では、開口部410は、内側エッジ409と外側エッジ407の両方を完全に貫通して延在し得る。例えば、リング本体405は、概ねC字形状であってよく、開口部410を形成する間隙によって離間した第1の端部412及び第2の端部414を含み得る。
【0034】
[0040]リング本体405は、第1の面406と、第1の面406の反対側の第2の面408とを特徴とし得る。処理チャンバ内に設置された場合、第1の面406は、処理チャンバの処理領域に面していてよく、第2の面408は、処理チャンバの底部プレートに面し、それに結合されていてよい。
図4Aの上面等角図に最もよく示すように、第1の面406は、幾つかの実施形態では概ね一様であってよく、パージリング400を底部プレートに結合するために使用され得る締結機構を受容するための多数の開孔415のみがそれを貫通して画定されている。
【0035】
[0041]
図4B及び
図4Cに示すように、リング本体405の第2の面408は、底部プレートのそれぞれのパージガス入口と位置合わせされるように位置決めされ得る1又は複数の流体ポート420を画定し得る。2つの流体ポート420を示したが、様々な実施形態では、任意の数の流体ポート420が含まれていてよく、流体ポート420の数は、典型的には、底部プレートによって画定されるパージガス入口の数と一致することが理解されよう。例えば、第2の面408は、少なくとも約1つの流体ポート420、少なくとも約2つの流体ポート420、少なくとも約3つの流体ポート420、少なくとも約4つの流体ポート420、少なくとも約5つの流体ポート420、又はそれ以上を画定し得る。第2の面408は、流体ポート420に流体的に結合されていてよく、流体ポート420を通って流れたパージガスをパージリング400の内側開口部402の方へ導くことができる多数の溝を画定し得る。例えば、第2の面408は、1つの又は概ね弓形の溝425を画定し得る。円弧状溝425は、リング本体405の内側エッジ409及び外側エッジ407と概ね平行であってよい。各円弧状溝425は、それぞれの流体ポート420に流体的に結合されていてよく、内側開口部402の少なくとも一部を中心に延在していてよい。幾つかの実施形態では、円弧状溝425は、個々に、及び/又は集合的に、内側開口部402を中心に少なくとも約270度、内側開口部402を中心に少なくとも約285度、内側開口部402を中心に少なくとも約300度、内側開口部402を中心に少なくとも約315度、内側開口部402を中心に少なくとも約330度、内側開口部402を中心に少なくとも約345度、又はそれ以上、周囲に延在していてよく、範囲が大きくなるほど、内側開口部402を中心としたより均一なパージガスの分布が可能になる。任意の数の円弧状溝425を設けることができ、各円弧状溝425は中央開口部402の少なくとも一部を中心に延在する。例えば、第2の面408は、少なくとも約1つの円弧状溝425、少なくとも約2つの円弧状溝425、少なくとも約3つの円弧状溝425、少なくとも約4つの円弧状溝425、少なくとも約5つの円弧状溝425、又はそれ以上の円弧状溝425を画定し得る。図示したように、単一の円弧状溝425が第2の面408内に画定され、単一の円弧状溝は、第1の端部412と第2の端部414との間の実質的に全距離を延在し、円弧状溝425の対向する端部はそれぞれ、流体ポート420の対応する1つに結合されている。例えば、円弧状溝425は、第1の端部412と第2の端部414との間の距離の少なくとも約75%、距離の少なくとも約80%、距離の少なくとも85%、距離の少なくとも約90%、距離の少なくとも約95%、距離の少なくとも約97%、又はそれ以上を延在し得る。
【0036】
[0042]1又は複数の円弧状溝425は、幾つかの実施形態では、内側開口部402の実質的な部分を中心にパージガスを均一に分配し得る再帰的流路を画定し得る。例えば、図示したように、円弧状溝425は、各々が内側領域429と結合する前に、内側開口部402の一部を中心に流体ポート420のうちの1つから反対方向に延在する(例えば、一方の外側領域427が反時計回りの方向に延在し、他方の外側領域427が時計回りの方向に延在する)外側領域427を含む。内側領域は、内側開口部402の実質的に全体(例えば、約270度、285度、300度、315度、330度、345度等以上)において延在していてよく、これは、内側開口部402の実質的な部分においてパージガスを均一に分配するのに役立ち得る。様々な実施形態では他の再帰的経路が可能であることが理解されるであろう。幾つかの実施形態では、多数の再帰的パターンを形成する多数の個別の円弧状溝425及び/又は再帰的パターンを形成しない円弧状溝425が含まれ得る。
【0037】
[0043]第2の面408は、多数の半径方向溝430を画定し得る。各半径方向溝430は、円弧状溝425の対応する1つと内側開口部402との間に延在していてよい。例えば、図示したように、各半径方向溝430は、内側領域429から内側開口部402まで延在して、円弧状溝425及び流体ポート420を内側開口部402に流体的に結合させる。第2の面408は、任意の数の半径方向溝430を画定し得る。例えば、第2の面408は、少なくとも約5個の半径方向溝430、少なくとも約10個の半径方向溝430、少なくとも約15個の半径方向溝430、少なくとも約20個の半径方向溝430、少なくとも約25個の半径方向溝430、又はそれ以上の数の半径方向溝430を画定していてよく、半径方向溝430の数が多いほど、内側開口部402の周囲のパージガスのより均一な流れが可能になる。半径方向溝430は、内側開口部402を中心に規則的及び/又は不規則な間隔で設けることができる。幾つかの実施形態では、半径方向溝430は、内側開口部402を中心に少なくとも約270度、内側開口部402を中心に少なくとも約285度、内側開口部402を中心に少なくとも約300度、内側開口部402を中心に少なくとも約315度、内側開口部402を中心に少なくとも約330度、内側開口部402を中心に少なくとも約345度、又はそれ以上延在していてよく、カバレッジが大きくなるほど、内側開口部402を中心により均一なパージガスの分布が可能になる。例えば、半径方向溝430は、第1の端部414と第2の端部416との間の距離の実質的な部分にまたがっていてよい。例えば、半径方向溝430は、第1の端部412と第2の端部414との間の距離の少なくとも約75%、距離の少なくとも約80%、距離の少なくとも85%、距離の少なくとも約90%、距離の少なくとも約95%、距離の少なくとも約97%、又はそれ以上に分布していてよい。
【0038】
[0044]幾つかの実施形態では、パージガスは、パージリングの各流体ポートにおいて、約500sccmから5000sccm、約750sccmから2500sccm、又は約1000sccmから2000sccmの流量で流すことができる。流量は、用いられるパージガスの種類及び/又は他のプロセス条件に依存し得る。幾つかの実施形態では、パージガスは、O2、CO2、オゾン、及び/又は他の洗浄ガスを含み得る。
【0039】
[0045]パージリングは、処理工程中にチャンバ本体の下部領域にパージガスを導いて、プロセスガスからのラジカルが下部領域内で残留堆積物を形成するのを低減又は防止することができる。更に、パージガスは、存在するあらゆる残留物を除去することができる。この残留物の減少により、洗浄工程の頻度及び/又は強度を減少させて、チャンバ構成要素の耐用年数を延ばすことができる。更に、処理チャンバのスリットバルブに近接する堆積物の減少により、移送プロセス中のウエハ上の汚染が減少する可能性がある。更に、パージガスの流れにより、スロットルバルブのドリフトが減少し、フォアラインを通るフローコンダクタンスが向上し得る。更に、スロットルバルブ内の残留堆積物の減少により、スロットルバルブの高温パージガス洗浄の頻度を減らすことができ、ヒータ等のチャンバ構成要素を上記パージガス流から保護するのに役立つ可能性がある。
【0040】
[0046]幾つかの実施形態では、リング本体405の第1の面406は、リング本体405の厚さを貫通して延在する1又は複数のパージ開孔440を画定し得る。パージ開孔440は、第2の面408に形成された溝に流体的に結合されていてよい。例えば、各パージ開孔440は、半径方向溝430の対応する1つと位置合わせされていてよい、及び/又は他の方法で流体的に結合されていてよい。幾つかの実施形態では、各半径方向溝430は、多数のパージ開孔440が内側開口部402を中心に離間されるように、パージ開孔440の対応する1つを含み得る。他の実施形態では、一部の半径方向溝430は、1つよりも多い、又はゼロのパージ開孔440を含み得る。幾つかの実施形態では、パージ開孔440は、円弧状溝425の1又は複数に延在し得る。パージ開孔440は、パージリング400を通って流れたパージガスの一部がリング本体405の第1の面406に流れることを可能にし得る。このパージガスは、パージリング400の表面に残留物が蓄積するのを防ぐのに役立つ場合がある。
【0041】
[0047]
図5は、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的なパージリング500を示す概略等角図である。パージリング500は、前述した任意のチャンバ又はシステムだけでなく、記載事項から利益を得ることができる任意の他のチャンバ又はシステムにも含めることができる。例えば、パージリング500は、
図3に関連して上述したチャンバ本体310の底部プレート312の上に配置され得る。パージリング500は、パージリング365及び400と同様であってよく、パージリング365及び400に関連して説明した特徴のいずれかを含み得る。例えば、パージリング500は、第1の面506及び第2の面(図示せず)を特徴とするリング本体505を含み得る。リング本体505は、外側エッジ507及び内側エッジ509を特徴とする環状形状を有していてよい。内側エッジ509は、中央開口部502を画定し得る。第2の面は、1又は複数の流体ポート、1又は複数の円弧状溝、及び/又は1又は複数の半径方向溝(図示していないが、
図4A~
図4Cに示したものと同様であってよい)を画定し得る。リング本体505はまた、リング本体505の外側エッジ507と内側エッジ509との間に延在し得る開口部510を画定し得る。開口部510は、処理工程中及び/又は処理工程後に、プロセスガス及び/又はパージガスがフォアラインを通って処理チャンバから排出されることを可能にするために、底部プレートの排気口と位置合わせされていてよい。幾つかの実施形態では、開口部510は、リング本体505の一部によって部分的及び/又は完全に境界が定められた、リング本体505を貫通する開孔の形態であってよい。例えば、図示したように、開口部510は、リング本体505によって完全に画定された外周部を有する円形(又は他の形状)の開口部であってよい。開口部510は、パージリング500がチャンバ本体の底部プレートに結合されたときに、開口部510が底部プレートの排気口へのアクセスを提供し、処理チャンバからガスが排出されることを可能にするようなサイズ及び形状であってよい。例えば、幾つかの実施形態では、開口部510は、底部プレートの排気口と実質的に同じ大きさであってよい。
【0042】
[0048]
図6は、本技術の幾つかの実施形態に係る処理チャンバのチャンバ本体675の底部プレート650の上に設置された例示的なパージリング600を示す概略上面図である。パージリング600及び底部プレート650は、前述した任意のチャンバ又はシステムだけでなく、記載事項から利益を受け得る任意の他のチャンバ又はシステムにも含めることができる。例えば、パージリング600は、
図3に関連して上述したように、底部プレート650(チャンバ本体310の底部プレート312として使用され得る)の上に配置され得る。底部プレート650は、底部プレート312と同様であってよく、底部プレート312に関連して説明した任意の特徴を含み得る。底部プレート650は、パージリング600を取り付けることができる上面655を含み得る。底部プレート650は、基板支持体のシャフトを受容し得る中央開孔660を画定し得る。底部プレート650はまた、処理チャンバからガスを排出するために使用され得るフォアライン、スロットルバルブ、及び/又はポンプに流体的に結合され得る排気口665を画定し得る。底部プレート650はまた、1又は複数のパージガス入口(図示せず)を画定し得る。
【0043】
[0049]パージリング600は、パージリング365、400、及び500と同様であってよく、パージリング365、400、及び500に関連して説明した特徴のいずれかを含み得る。例えば、パージリング600は、第1の面606と、底部プレート650の上面655に当接して位置決めされた第2の面(図示せず)とを特徴とするリング本体605を含み得る。リング本体605は、外側エッジ607及び内側エッジ609を特徴としていてよく、内側エッジ609は、リング本体605の内側開口部602を画定している。図示したように、リング本体605は、概してC字形状であってよく、開口部610を形成する間隙によって離間した第1の端部612及び第2の端部614を含み得る。開口部610は、処理工程中及び/又は処理工程後に、プロセスガス及び/又はパージガスがフォアラインを通して処理チャンバから排出されることを可能にするために、底部プレート650の排気口665と位置合わせされていてよい。パージリング600の第2の面は、1又は複数の円弧状溝及び多数の半径方向溝(上述したものと同様)等の多数の溝に流体的に結合された多数の流体ポートを画定し得る。流体ポート及び溝は、底部プレート650のパージガス入口を通って流されたパージガスを内側開口部602の方へ導く流体経路を形成し得る。パージガスは、底部プレート650の上面655、ならびに他の下流側構成要素(例えば、フォアライン、スロットルバルブ、ポンプ等)、及び/又はチャンバ本体675に形成され、処理チャンバ内外への基板の移送に使用されるスリットバルブ680に堆積する残留物を防止及び/又は除去することができる。
【0044】
[0050]
図7は、本技術の幾つかの実施形態に係る例示的な半導体処理方法700の工程を示す図である。本方法は、パージリング365、400、500、及び600ならびに/又は底部プレート312及び650等の、本技術の実施形態に係るパージリング及び/又は底部プレートを含み得る、上述の処理システム200及び/又は300を含む様々な処理チャンバにおいて実行され得る。方法700は、本技術に係る方法の幾つかの実施形態に特に関連し得る、又は関連しないこともある、多数のオプションの工程を含み得る。
【0045】
[0051]方法700は、ハードマスク膜を形成するための工程又は他の堆積工程を含み得る処理方法を含み得る。本方法は、方法700の開始前のオプションの工程を含み得る、又は本方法は追加の工程を含み得る。例えば、方法700は、図示とは異なる順序で実行される工程を含み得る。幾つかの実施形態では、方法700は、工程705において、処理チャンバ内に1又は複数の前駆体又は他のプロセスガスを流すことを含み得る。例えば、前駆体は、システム200又は300に含まれるようなチャンバ内に流すことができ、前駆体をチャンバの処理領域内に供給する前に、ガスボックス、ブロッカプレート、又はフェースプレートのうちの1又は複数を通して前駆体を流すことができる。
【0046】
[0052]工程710において、フェースプレートにRF電力を印加してプラズマを生成する等により、処理領域内の前駆体からプラズマが生成され得る。プラズマ中で形成された材料は、工程715において基板に堆積され得る。工程720において、パージガスが、処理チャンバのチャンバ本体の底部プレートに結合されたパージリングに形成された多数の溝を介して処理チャンバ内に流され得る。例えば、パージガスは、底部プレートに形成された1又は複数のパージガス入口を通してパージガス源から流すことができる。次いで、パージガスは、パージリングに形成された流体ポート内に流れ、溝により、パージリングの内側開口部に導かれ得る。パージガスは、処理チャンバの下部領域内に流れるプロセスガスからの残留物を防止及び/又は除去することができる。上記残留物の防止及び/又は除去は、フォアライン、スロットルバルブ、及びポンプを含む様々なチャンバ構成要素の耐用年数を延ばすのに役立ち得る。また、チャンバ本体のスリットバルブに近接した残留物形成が減少する可能性があり、これは、ウエハが処理チャンバ内外に移送される際のウエハの汚染を低減するのに役立つ可能性がある。幾つかの実施形態では、パージガスは、500sccmから10,000sccm(パージリングのすべての流体ポートを通して累積的に)の流量で流すことができ、流量は、どのような種類のパージガスが使用されるか、及び/又は他のプロセス条件に依存する。幾つかの実施形態では、パージガスは、O2、CO2、オゾン、及び/又は他の洗浄ガスを含み得る。幾つかの実施形態では、パージガスは、処理チャンバの下部領域内に形成されたあらゆる残留物を洗浄するために、処理工程の後に流され得る。
【0047】
[0053]幾つかの実施形態では、方法700は、少なくとも1つのフォアライン、スロットルバルブ、及びポンプを介して、前駆体及びパージガスを処理チャンバから排出することを含み得る。ガスは、フォアラインに到達する前に、底部プレートに形成された排気口を通過し得る。フォアライン内のパージガスの存在は、フォアライン、スロットルバルブ、及びポンプからの残留物を防止及び/又は除去することができる。スロットルバルブ内の残留物の減少は、スロットルバルブを通る適切なコンダクタンスを維持するのに役立ち、スロットルバルブのドリフト量を減少させることができ、ひいては洗浄工程の頻度を減らすことができる。
【0048】
[0054]上記の記述では、説明の目的で、本技術の様々な実施形態の理解が得られるように、多数の詳細を記載してきた。しかしながら、特定の実施形態は、これらの幾つかの詳細なく、又は追加の詳細とともに実施され得ることが当業者には明らかであろう。
【0049】
[0055]幾つかの実施形態を開示してきたが、当業者であれば、実施形態の主旨から逸脱することなく、様々な変更、代替的な構成、及び等価物を使用することができることを認識するであろう。更に、本技術が不必要にあいまいにならないように、多くのよく知られたプロセス及び要素は説明していない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものとみなすべきではない。
【0050】
[0056]値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしていない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の最小部分までの各介在値もまた、具体的に開示されることを理解されたい。いずれかの記載された値又は記載された範囲の記載されていない介在値と、その記載された範囲の他のいずれかの記載された値又は介在値との間のいかなるより狭い範囲も含まれる。これらのより小さい範囲の上限と下限は、独立して範囲に含まれる又は除外される場合があり、より小さい範囲に一方の限界値、又は両方の限界値が含まれる、又はどちらの限界値も含まれない各範囲も、記載された範囲におけるいずれかの具体的に除外された限界値に従って、本技術内に含まれる。記載された範囲に限界値の一方又は両方が含まれる場合、それら含まれる限界値の一方又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0051】
[0057]本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。したがって、例えば、「開孔」への言及は、複数の上記開孔を含み、「プレート」への言及は、当業者に周知の1又は複数のプレート及びその等価物等への言及を含む。
【0052】
[0058]また、本明細書及び以下の特許請求の範囲で使用する場合、「含む、備える(comprise)」、「含む、備える(comprising)」、「含む(contain)」、「含む(containing)」、「含む(include)」、及び「含む(including)」という用語は、記載された特徴、整数、構成要素、又は工程の存在を指定するものであるが、1又は複数の他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、又は群の存在又は追加を排除するものではない。
【国際調査報告】