(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】重付加系のための反応性希釈剤としての(メタ)アクリレート化合物
(51)【国際特許分類】
C09D 175/00 20060101AFI20241018BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20241018BHJP
C09D 4/02 20060101ALI20241018BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20241018BHJP
C09D 175/02 20060101ALI20241018BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20241018BHJP
【FI】
C09D175/00
C08G18/08 038
C09D4/02
C09D175/04
C09D175/02
C09D7/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525376
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022080018
(87)【国際公開番号】W WO2023073069
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ブルクハルト バルター
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ブルヒェルトザイファー
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ ヤンセン
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF12
4J034DF16
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
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4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
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4J034HC22
4J034HC35
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4J034HC61
4J034HC63
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4J034HC66
4J034HC71
4J034HC73
4J034MA03
4J034MA18
4J038DG031
4J038DG051
4J038DG061
4J038DG262
4J038DG272
4J038DG282
4J038FA112
4J038HA206
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA06
4J038MA15
(57)【要約】
本発明は、コーティング組成物であって、イソシアネート化合物と、イソシアネート反応性化合物と、(メタ)アクリレート官能基を有する反応性希釈剤と、任意選択により二酸化炭素捕捉剤と、自動酸化触媒とを含むコーティング組成物に関する。さらに、本発明は、(メタ)アクリレート官能基を有する反応性希釈剤と、任意選択により二酸化炭素捕捉剤と、自動酸化触媒とを加えることにより、イソシアネート反応性化合物とのイソシアネート化合物の反応性組成物を調製する方法に関する。最後に、本発明は、自動酸化触媒と、任意選択により二酸化炭素捕捉剤との存在下における、イソシアネート反応性化合物とのイソシアネート化合物の反応のための反応性希釈剤としてのアクリレート及び/又はメタクリレートの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング組成物であって、
(A)≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物と、
(B)≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物と、
(C)イソシアネート反応性基を有さず、且つアクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される反応性希釈剤と、
(D)(A)及び(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合、二酸化炭素捕捉剤と、
(E)自動酸化触媒と、
(F)任意選択により、さらなる触媒及び添加物と
を含み、前記自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、前記遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される、コーティング組成物。
【請求項2】
前記イソシアネート化合物(A)は、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート又は組み合わされた脂肪族/芳香族イソシアネートであり、二官能性イソシアネート、三官能性イソシアネート又は多官能性イソシアネートから、モノマー、ダイマー、トリマー又はオリゴマーのイソシアネートから、好ましくはジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI)、2,4-ジイソシアナト-1-メチル-ベンゼン(TDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12-MDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート化合物(A)は、TDI、トリマーのHDI、並びにモノマー及び/又はオリゴマーのMDI、並びにこれらの混合物、から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記イソシアネート反応性化合物(B)は、ポリオール、多官能性アミン及び水から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記反応性希釈剤は、単官能性、二官能性又は多官能性のアクリル酸エステル、単官能性、二官能性又は多官能性のメタクリル酸エステル、及びこれらの混合物から選択され、好ましくはポリオールとのエステルから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記反応性希釈剤は、前記組成物の総重量に対して計算されて、0.1重量%~50重量%の範囲、より好ましくは1重量%~20重量%の範囲である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記二酸化炭素捕捉剤(D)は、水酸化カルシウム、酸化カルシウム及びこれらの混合物から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記任意選択の触媒(F)は、イソシアネートと水の反応及び/又はイソシアネートとポリオールの反応のための触媒から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
1成分又は2成分で利用可能に保持される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のコーティング組成物を調製するプロセスであって、
(A)≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物を提供するステップと、
(B)≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物を提供するステップと、
(C)イソシアネート反応性基を有さず、且つアクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される反応性希釈剤を提供するステップと、
(D)(A)及び(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合、二酸化炭素捕捉剤を提供するステップと、
(E)自動酸化触媒を提供するステップと、
(F)前記構成要素(A)~(E)を混合するステップと
を含み、前記自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、前記遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される、プロセス。
【請求項11】
≧1個のアクリレート基及び/又はメタクリレート基を有しており且つイソシアネート反応性基を有さないアクリレート及び/又はメタクリレートの、≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物(A)と≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物(B)との、(A)と(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合には二酸化炭素捕捉剤(D)、及び自動酸化触媒(E)の存在下における反応のための、反応性希釈剤としての使用であって、前記自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、前記遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物であって、イソシアネート化合物と、イソシアネート反応性化合物と、(メタ)アクリレート官能基を有する反応性希釈剤と、任意選択により二酸化炭素捕捉剤と、自動酸化触媒とを含むコーティング組成物に関する。さらに、本発明は、(メタ)アクリレート官能基を有する反応性希釈剤と、任意選択により二酸化炭素捕捉剤と、自動酸化触媒とを加えることにより、イソシアネート反応性化合物とのイソシアネート化合物の反応性組成物を調製する方法に関する。最後に、本発明は、自動酸化触媒と、任意選択により二酸化炭素捕捉剤との存在下における、イソシアネート反応性化合物とのイソシアネート化合物の反応のための反応性希釈剤としてのアクリレート及び/又はメタクリレートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン及びポリ尿素は、広範に適用されているポリマーファミリーである。これらのポリマーは、靴、マットレス、自動車部品、スポーツ用品、合成皮革などのために使用される。建設化学において、数例を挙げると、それらは、例えば、採鉱、屋根ふき、床張り、タイル取付及び防水加工のような領域におけるシーリング剤、接着剤、コーティング及びフォームのための最も広範に適用されている材料でもある。このようにして得られた硬化した組成物の酸、アルカリ及び化学物質に対する高抵抗性は、有利である。
【0003】
しかし、このような反応性樹脂をベースとする建設系は、高い粘度を有することが多い。適用可能な粘度へのこの調節は、通常、可塑剤及び/又は溶媒によって行われる。可塑剤は、機械的特性を低減させ、コーティングの上部に脂っぽい膜をもたらすことが多い。溶媒は、VOC及び臭いの原因となる。さらに、これらの樹脂の反応性出発材料は、反応が非常に速すぎることが多く、したがって非常に短いオープンタイム又はポットライフ時間をもたらす。溶媒及び/又は可塑剤による希釈は、上記の不利な効果をもたらす。
【0004】
国際公開第2019/219503A1号パンフレットは、硬質フォームを含むポリイソシアヌレート-ポリウレタン(PIR-PUR)を作製するための反応性組成物を開示しており(要約書)、前記反応性組成物は、ポリイソシアネート組成物、イソシアネート反応性組成物、フォームを含むPIR-PURを作製するのに適した少なくとも1種の触媒化合物、少なくとも1種の起泡剤及び任意選択により1種以上の界面活性剤、1種以上の難燃剤、1種以上の抗酸化剤又はこれらの組合せを含み、反応性組成物は、イソシアネート反応性基を有さず、且つ25℃で100mPa s未満の粘度を有する少なくとも1種のアクリレート及び/又はメタクリレート化合物から選択される反応性粘度低減剤をさらに含むことを特徴とする。実施形態によると、反応性組成物は、(メタ)アクリレート重合を開始させる(ペルオキシドタイプの)熱ラジカル開始剤をさらに含む。
【0005】
対照的に、本発明の組成物は、硬質PIR-PURフォームを形成せず、起泡剤を必要としない。さらに、ビニル官能基を有する化合物は、反応性組成物の粘度を調節するだけでなく、反応性希釈剤としての役割を果たし、したがって組成物のオープンタイムを延長し、その乾燥時間を加速する。最終的に、本発明の組成物は、熱ラジカル開始剤を伴わないが、空気と接触して自動酸化触媒の影響下で乾燥する。
【0006】
欧州特許出願公開第1557455A1号明細書は、イソシアネート、エポキシド、アルコキシシラン及びこれらの混合物並びに(メタ)アクリレートB1の単独重合又は少なくとも1種のさらなる(メタ)アクリレートとの(メタ)アクリレートB1の共重合によって生成される少なくとも1種のポリマーのチキソトロープ剤B、平均2.5~4.5個の(メタ)アクリレート官能基を有する(メタ)アクリレート混合物を含む群から選択される、少なくとも2個の反応性基を有する少なくとも1種の化合物Aを有する反応性組成物について開示している(要約書)。そのうちの(メタ)アクリレートB1は、3個以上の(メタ)アクリレート基を有する。この発明は、チキソトロープ剤としての化合物Bの使用についても開示している。(対照的に、本発明によるビニル化合物は、ポリマー形態で加えられないが、反応性樹脂の適用の過程で重合する。)
【0007】
英国特許出願公開第836398A号明細書は、スチレン及びナフテン酸コバルトと、ジイソシアネートのOH末端プレポリマー及びヒマシ油及びNCO末端ヒマシ油プレポリマーとのブレンディングを開示している。本発明は、対照的に、スチレンの代わりに(メタ)アクリレートを使用し、OH末端プレポリマーを使用しない。
【0008】
ロシア特許第2233859C2号明細書(機械翻訳)は、実施例において、ポリイソシアネート、水、ナフテン酸コバルト、オリゴエーテルアクリレート及びポルトランドセメントを含む混合物について開示している。本発明の自動酸化触媒は、Mn、Cu及びFeをベースとする。さらに、本発明による二酸化炭素捕捉剤は、水酸化カルシウム、酸化カルシウム及びこれらの混合物から選択される。
【0009】
米国特許出願公開第4125487A号明細書は、スチレン、ポリオキシエチレングリコール、ポリマーのフェニルポリイソシアネート、tert-ブチルペルベンゾエート及びナフテン酸コバルトを含む組成物について開示している(実施例1)。本発明は、対照的に、スチレンの代わりに(メタ)アクリレートを使用し、ナフテン酸コバルト及びtert-ブチルペルベンゾエートを使用しない。
【0010】
国際公開第92/03483A1号パンフレットは、実施例1~4において、アクリレート、ポリオール、イソシアネート及び鉄(1+)錯体の混合物について開示している。しかし、これらの鉄(1+)錯体は、光酸化触媒として使用されている。
【0011】
欧州特許出願公開第0344910A2号明細書は、実施例6及び7において、アクリル酸メチル、ポリエチレングリコール、ジイソシアン酸ヘキサメチレン及び鉄(1+)錯体を含む混合物を開示している。しかし、この鉄(1+)錯体は、光酸化触媒として使用されている。
【0012】
欧州特許出願公開第0344911A2号明細書は、実施例5及び6において、アクリル酸メチル、ポリエチレングリコール、ジイソシアン酸ヘキサメチレン及び鉄(1+)錯体を含む混合物について開示している。再び、この鉄(1+)錯体は、光酸化触媒として使用されている。
【0013】
欧州特許出願公開第0476822A2号明細書は、請求項1において、少なくとも1種のフリーラジカル光重合した構成要素、少なくとも1種の光重合したポリウレタン構成要素、少なくとも1種の有機金属錯塩開始剤及び少なくとも1種のラジカル開始剤を含む感圧性の接着剤について開示している。本発明は、対照的に、光重合を使用しない。
【0014】
国際公開第93/19108A1号パンフレットは、実施例3、5~8において、アクリレート、鉄(1+)錯体、ポリオール及びポリイソシアネートを含む混合物について開示している。本発明と対照的に、硬化は、ペルオキシドによってもたらされる。
【0015】
米国特許出願公開第5225498A号明細書は、ポリエーテルポリオール、ジイソシアネート、エポキシビニルエステルポリマー、ペルオキシド及びナフテン酸コバルトの組合せについて開示している(実施例3)。対照的に、本発明は、反応性希釈剤として(メタ)アクリレート、異なる自動酸化触媒を用い、ペルオキシドを使用しない。
【0016】
引用された文献の内容は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記の不都合の少なくともいくつかを本質的に回避することが本発明の目的であった。より特定すると、蒸発も移動も可塑化効果も起こらないように、系の適用後に二次硬化反応において重合する反応性希釈剤を見出すことが本発明の目的であった。最終的に、オープンタイムを延長し、且つ/又は組成物の乾燥を加速する一方、組成物の粘度を低減させる反応性希釈剤を見出すことが本発明の目的であった。熱ラジカル開始剤、例えばペルオキシドは、回避すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的は、独立請求項の特徴で達成された。従属請求項は、好ましい実施形態に関する。
【0019】
イソシアネート反応性基を有さず、且つアクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される(メタ)アクリレート官能基を有する化合物は、オープンタイムを延長し、且つ/又は組成物の乾燥時間を加速する一方、組成物の粘度を低減させる上述の反応性樹脂のための非常に有用な反応性希釈剤であることが驚くべきことに見出された。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の態様によれば、本発明は、コーティング組成物であって、
(A)≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物と、
(B)≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物と、
(C)イソシアネート反応性基を有さず、且つアクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される反応性希釈剤と、
(D)(A)及び(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合、二酸化炭素捕捉剤と、
(E)自動酸化触媒と、
(F)任意選択により、さらなる触媒及び添加物と
を含むコーティング組成物を提供し、自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される。
【0021】
米国特許出願公開第2012/0010357A1号明細書は、請求項1において、(i)少なくとも1種の第1のイソシアネート化合物及びイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の化合物の反応により、1個以上のイソシアネート基及び少なくとも1個のイソシアネート反応性基を含む付加体を調製することと、(iv)少なくとも1個のイソシアネート反応性基及び少なくとも1個の(メタ)アクリレート基を含むイソシアネート反応性(メタ)アクリレート化合物との反応を含む、放射線硬化性、高官能性、高度に分岐した又は高分岐ポリウレタン(メタ)アクリレートを調製するプロセスを開示している。さらに、米国特許出願公開第2012/0010357A1号明細書は、実施例1において、メタクリレート化合物がイソシアネート反応性基を含有しない系を開示している。付加体は、イソシアネート基及びイソシアネート反応性基も含む。その結果、このように得られたポリウレタンは、高度に分岐されているか又は高分岐であるはずである。最終的に、この系の硬化は、記載されていない。
【0022】
対照的に、本発明による(B)との(A)の反応生成物は、イソシアネート反応性基を含有することが想定されず、反応性希釈剤(C)は、イソシアネート反応性基を含有することも想定されない。本発明による(B)との(A)の反応生成物は、高度に分岐したポリウレタン(メタ)アクリレートでも高分岐のポリウレタン(メタ)アクリレートでもない。本発明によると、異なるイソシアネートの段階的な添加は必要ない。さらに、米国特許出願公開第2012/0010357A1号明細書は、放射線硬化を必要とする一方、本発明による反応性希釈剤(C)の硬化は、自動酸化触媒(E)の存在によってもたらされる。
【0023】
本発明のコーティング組成物は、保存安定組成物であることに留意すべきである。貯蔵により、組成物は、酸素から保護され、すなわち(相当な量の)酸素を含有しない。好ましくは、安定剤が保存安定組成物中に存在する。適切及び広範に使用される抗酸化剤は、2,6-ビス(t-ブチル-)ヒドロキシトルエン(BHT)及びヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)である。組成物が表面に適用されるときのみ、安定剤を消費し、自動酸化触媒は、過剰な酸素との接触によって反応性希釈剤の重合反応を触媒する。
【0024】
用語「保存安定」は、本発明の意味において、少なくとも6週間、好ましくは少なくとも7週間、より好ましくは少なくとも8週間、例えば少なくとも3カ月、少なくとも6カ月、特に少なくとも12カ月の保存寿命又は貯蔵時間を可能とする本発明のコーティング組成物の安定性を表す。
【0025】
「重量%」は、本明細書において使用する場合、それぞれの組成物又は配合物の全重量に対する重量パーセントを意味する。
【0026】
本発明によるイソシアネート化合物は、≧2個の-NCO官能基を有する脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート又は組み合わされた脂肪族/芳香族イソシアネートである。
【0027】
適切なイソシアネートは、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、すなわちイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシル-2,2-プロパン、p-フェニレンジイソシアネート、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)又はこれらの混合物、トリジンジイソシアネート(トルイジンジイソシアネート)、2,2’-、2,4’-及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はこれらの混合物、1,2-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)並びにこれらの混合物を含む。
【0028】
イソシアネート基を連結する部分においてヘテロ原子を含有するイソシアネート、すなわち尿素基、ウレタン基、ビウレット基、アロファネート基、ウレチジンジオン基、イソシアヌレート基、イミド基、カルボジイミド基、ウレトンイミン基などを含有するポリイソシアネートも適切である。いわゆる「プレポリマー」も適切であり、プレポリマーは、適切なポリオール(イソシアネート反応性化合物として本明細書の下記に記載されている)を伴うイソシアネートの反応生成物であり、ただし、これらのプレポリマーは、≧2個の-NCO官能基を有する。さらに、本発明によるイソシアネートは、重合可能な二重結合を含有するべきではない。異なる反応性を有する異なるイソシアネートの段階的な添加も本発明によって必要とされない。
【0029】
TDI、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体(MDI)をベースとするモノマー、オリゴマー及び/又はポリマーのイソシアネート、いわゆるMDIグレードを使用することが好ましい。さらに、分子中にイソシアヌレート基を有するトリマーのHDIを使用することも好ましい。
【0030】
イソシアネート反応性化合物は、≧2個のイソシアネート反応性基を有する1種以上のイソシアネート反応性化合物又は水を含む。イソシアネート反応性基は、少なくとも1個のイソシアネート反応性活性水素原子を有する基である。
【0031】
イソシアネート反応性化合物は、これらに限定されないが、ポリオール、多官能性アミン、カルボン酸、特にジ-及びトリ-カルボン酸並びに水から選択することができる。好ましくは、ポリオール、多官能性アミン及び水が適切である。1構成要素イソシアネート系の場合、大気水で十分であり得る。
【0032】
ポリオールは、≧2個の-OH官能基を有する多官能性アルコールである。適切なポリオールは、これらに限定されないが、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)(1,2-プロピレングリコール)、(ポリ)(1,3-プロピレングリコール)、(ポリ)(2-メチル-1,3-プロパンジオール)、(ポリ)(1,2-ブタンジオール)、(ポリ)(1,3-ブタンジオール)、(ポリ)(1,4-ブタンジオール)及び(ポリ)(2,3-ブタンジオール)、(ポリ)(1,6-ヘキサンジオール)、(ポリ)(1,8-オクタンジオール)、(ポリ)(ネオペンチルグリコール)、(ポリ)(シクロヘキサンジメタノール)、(ポリ)(シクロヘキサン-1,4-ジオール)、(ポリ)(1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン)、(ポリ)(1,5-ペンタンジオール)、(ポリ)(3-メチル-1,5-ペンタンジオール)、(ポリ)(1,12-ドデカンジオール)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール;グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、脂肪族及び/又は芳香族源からのポリエステルポリオール、例えばポリカプロラクトン、アジペート、テレフタル酸エステル、ポリカーボネート、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを含む)(これらの全ては、≧2個の-NCO官能基を有するプレポリマーのための可能な出発材料である)を含む。適切であるのは、ポリヒドロキシル化天然油及びそれらの誘導体、例えば変性ヒマシ油でもある。さらに、前記化合物の混合物を使用し得る。用語「(ポリ)」は、括弧内に記載するように、モノマー化合物、オリゴマー化合物及び/又はポリマー化合物を表す。
【0033】
多官能性アミンは、≧2の官能基を有するアミンである。アミン構成要素は、直鎖状又は分岐状であり得る。アミン構成要素の骨格は、脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、脂環式及び複素環構造を含有し得る。アミン官能基自体は、脂肪族であり、すなわち、窒素は、芳香族環の部分ではない。好ましい多官能性アミンは、アミノ官能化ポリアルキレングリコール、例えばHuntsman Corp.からのJeffamines(登録商標)、例えばJeffamines D-230、D-400、D-2000、D-4000、T-403、T-3000、T-5000、ED-600、ED-2003又は一般式H2N-(CH2CH2-NH)m-CH2CH2-NH2(式中、m=1~10である)のアミン、例えばジエチレントリアミンである。ポリアミン、樹枝状ポリアミン、ポリイミン(例えば、BASF SEからのLupasol(登録商標)タイプのポリエチレンイミン)、ポリアミド、ポリアミノアミド、ポリウレタン、ポリビニルアミン又はこれらの混合物から選択されるポリマーは、多官能性アミン構成要素として好ましい。
【0034】
イソシアネート反応性化合物のいずれも重合可能な二重結合を含有すべきでない。上記のように、本発明による(B)との(A)の反応生成物は、イソシアネート反応性基を含有すると想定されない。これは、適切な可能な(A)を使用することによってもたらし得る。換言すると、(B)との(A)の反応生成物がイソシアネート反応性基を含有しないように、(A)と(B)との反応が行われる。
【0035】
反応性希釈剤は、アクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される。
【0036】
反応性希釈剤は、好ましくは、単官能性、二官能性又は多官能性アクリル酸エステル、単官能性、二官能性又は多官能性メタクリル酸エステル及びこれらの混合物、好ましくはポリオールとのエステル(本明細書の上記に定義されているような)から選択される。
【0037】
反応性希釈剤の量は、組成物の全重量に対して計算されて、0.1重量%~50重量%の範囲、好ましくは0.5重量%~35重量%の範囲、より好ましくは1重量%~20重量%の範囲であり得る。
【0038】
1個の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートは、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、4-tert-ブチルシクロヘキシルアクリレート(TBCHA)、ベンジルアクリレート(BZA)及びフェノール(EO)アクリレート(PHEA);ベンジルメタクリレート(BZMA)、フェノキシエチルメタクリレート(PHEMA)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(THFMA)及びイソボルニルメタクリレート(IBOMA)などの化合物から選択され得る。
【0039】
2個又は3個の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレートは、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ヒドロキシピバル酸ネオペンチルグリコールジジアクリレート(HPNDA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、トリエチレングリコールジアクリレート(TEGDA)及びテトラエチレングリコールジアクリレート(TTEGDA);1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(BDDMA)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート(NPGDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGDMA)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TREGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(T4EGDMA)及びポリエチレングリコール200ジメタクリレート(PEG200DMA)並びに1,2-又は1,4-シクロヘキサンジオールジメタクリレートなどの化合物から選択され得る。
【0040】
上記のように、反応性希釈剤(C)は、イソシアネート反応性基を含有すると想定されない。換言すると、反応性希釈剤は、ポリウレタン又はポリアミン鎖に化学的に結合されない。代わりに、反応性希釈剤は、自動酸化触媒(E)を用いて空気(酸素)との接触によって独立に重合する。
【0041】
ポリウレタンタイプのポリマーにおいて二酸化炭素捕捉剤として一般に使用される全ての二酸化炭素捕捉剤を使用することができる。適切には、二酸化炭素捕捉剤は、アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、ケイ酸塩及びアルミン酸塩、特に水酸化物、例えば水酸化カルシウム及び酸化物、例えば酸化カルシウムから選択される。好ましい二酸化炭素捕捉剤は、酸化カルシウムである。
【0042】
本発明の組成物中に存在し得る任意選択の触媒は、イソシアネート/水の反応及びイソシアネート/ポリオールの反応のための触媒である。
【0043】
イソシアネート触媒的触媒は、イソシアネート構成要素の反応を触媒する任意の化合物であり得る。適切な触媒は、有機金属触媒及び第三級アミン化合物を含む。適切なアミン化合物は、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン並びにこれらに限定されないが、2-(ジメチルアミノ)エタノールを含むトリアルキルアミンの誘導体並びに他のジアルキルアルカノールアミン、例えば2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル及び2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)を含む。特に好ましい第三級アミン化合物は、トリエチレンジアミン(1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DABCO)である。好ましい有機金属触媒は、スズをベースとする、亜鉛をベースとする、ストロンチウムをベースとする及びビスマスをベースとする触媒を含む。好ましいスズをベースとする触媒は、ジブチルスズジラウレート(DBTL)である。好ましいビスマスをベースとする及び亜鉛をベースとする触媒は、ビスマス及び亜鉛のカルボン酸塩、例えばビスマストリス2-エチルヘキサノエートを含む。
【0044】
自動酸化触媒は、本発明の組成物の必須の構成物である。これは、空気(又は酸素の任意の他の源)との接触により、(メタ)アクリレート基のラジカル重合を開始する触媒である。(メタ)アクリレートの酸化乾燥において有効である触媒の中でも、特にCu、Mn及びFeをベースとするものがある。このような触媒は、一般に、全体的な組成物又は配合物に基づいて約0.1重量%のレベルで有用及び有効である。(メタ)アクリレートの硬化は、Co、Zn、Zr、Li及びVをベースとする触媒でも起こる。しかし、好ましいのは、遷移金属化合物であり、遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される。
【0045】
これらの自動酸化触媒の1つの主要な利点は、熱ラジカル開始剤、光及び/又はペルオキシドを完全に回避することができ、且つ組成物を1構成要素形態で貯蔵することができることである(これが乾燥し、酸素非含有であり、安定剤、例えば任意選択によりBHTで安定化されている限り)。酸素との接触により、自動酸化触媒は、(メタ)アクリレート基のラジカル重合を開始し、したがって組成物の乾燥時間の短縮化をもたらす。本発明の組成物は、1つの構成要素又は2つの構成要素において(1成分又は2成分で)利用可能に保持されてもよい。
【0046】
第2の態様によれば、本発明は、本発明のコーティング組成物を調製するプロセスであって、
(A)≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物と、
(B)≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物と
を提供することと、
(C)イソシアネート反応性基を有さず、且つアクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される反応性希釈剤と、
(D)(A)及び(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合、二酸化炭素捕捉剤と、
(E)自動酸化触媒と
を加えることと
を含むプロセスを提供し、自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される。
【0047】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明のコーティング組成物を調製するプロセスであって、
(A)≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物を提供するステップと、
(B)≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物を提供するステップと、
(C)イソシアネート反応性基を有さず、且つアクリレート、メタクリレート及びこれらの混合物から選択される反応性希釈剤を提供するステップと、
(D)(A)及び(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合、二酸化炭素捕捉剤を提供するステップと、
(E)自動酸化触媒を提供するステップと、
(F)構成要素(A)~(E)を混合するステップと
を含むプロセスを提供し、自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される。
【0048】
構成要素(A)~(E)を提供及び混合する順序は、上記のプロセスの定義において示した順序と異なる順序で技術的に実行することができる。例えば、(A)及び(B)を最初に混合することができ、他の構成要素をそれに続いてそこに加え、混合することができる。コーティング組成物は、1構成要素の配合物として又は2構成要素の配合物として配合することができる。例えば、イソシアネート構成要素(A)(「パートB」とも称され得る)は、他の構成要素(B)~(E)(集合的に「パートA」とも称され得る)と別々に提供し得る。両方のパートは、コーティング組成物の適用の直前に混合すべきである。
【0049】
第3の態様によれば、本発明は、≧2個の-NCO基を有するイソシアネート化合物(A)及び≧2個のイソシアネート反応性基を有するイソシアネート反応性化合物(B)の、(A)及び(B)の反応が二酸化炭素を遊離させる場合には二酸化炭素捕捉剤(D)と、自動酸化触媒(E)との存在下における反応のための反応性希釈剤としての、≧1個のアクリレート及び/又はメタクリレート基を有し、且つイソシアネート反応性基を有さないアクリレート及び/又はメタクリレートの使用を提供し、自動酸化触媒(E)は、遷移金属化合物から選択され、遷移金属は、Mn、Fe及びCuから選択される。
【0050】
本発明を以下の非限定的実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0051】
実施例1
65.55重量%(すなわち組成物の全重量に対する重量パーセント)のHDI三量体(Desmodur N3600、Covestro AG)、16.60重量%のトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA、Sartomer SR205H、Sartomer Arkema)、0.42重量%の鉄(1+)-クロロ-[ジメチル-9,9-ジヒドロキシ-3-メチル-2,4-ジ-(2-ピリジニル-kN)-7-[(2-ピリジニル-kN)メチル]-3,7-ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン-1,5-ジカルボキシレート-kN3、kN7]-クロリド(1-)(CAS番号:478945-46-9、1,3プロパンジオール中、本明細書の下記で「Borchi-Oxy-Coat1410」と称する、Borchers GmbH)、0.83重量%の2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE、Jeffcat DMDEE/PC CAT、Huntsman Performance Chemicals)及び16.60重量%の酸化カルシウム分散液(A:表面改質CaO分散液、B:Byk2616、Altana)を混合した。同じ組成物(しかし、メタクリレートを伴わず、且つ鉄触媒を伴わない)も混合した(79%のHDI三量体、1%のDMDEE、20%のCaO分散液)。
【0052】
粘度は、speed mixerによって1分間1000rpmで混合した後に測定した。1構成要素系をポリプロピレンシート上に1000μmのスクイジー(「Rakel」)で室温において適用した。23℃において50%相対湿度(標準的な気候)で乾燥を行った。結果を表1(表面改質酸化カルシウム分散液Aについて)及び表2(酸化カルシウム分散液Bについて)に示す。
【0053】
【0054】
【0055】
表1及び2から、反応性希釈剤の効果は、適用されたコートの粘度の低減及び乾燥時間の短縮をもたらすことを見ることができる。
【0056】
実施例2
パートA:55.0重量%のポリテトラメチレンエーテルグリコールポリオール650(CAS番号:25190-06-1、PTMEG650、BASF SE)、20.0重量%のトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA、Sartomer SR205H、Sartomer Arkema)、1.0重量%のLutensol(登録商標)AO3(非イオン性界面活性剤、BASF SE)、20.0重量%の水、2.0重量%のネオデカン酸銅リチウム(Duroct Lithium、2%NDA(ネオデカン酸)、DURA Chemicals,Inc)、1.0重量%の2,2’ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE、Jeffcat DMDEE/PC CAT、Huntsman Performance Chemicals)及び1.0%のBorchi-Oxy-Coat1410(Borchers GmbH)。パートB:80.0重量%のHDI三量体(Desmodur N3600、Covestro AG)及び20重量%の酸化カルシウム分散液(Byk2616、Altana)。25重量部のパートA及び75重量部のパートBを混合した。同じ組成物(しかし、メタクリレートを伴わず、且つ鉄触媒を伴わない)も混合した(パートA:69.62%のPTMEG650、25.32%の水、1.27%のLutensol、1.27%のDMDEE及び2.52%のネオデカン酸銅リチウム)。
【0057】
粘度は、speed mixerによって1分間1000rpmで混合した後に測定した。混合物をポリプロピレンシート上に1000μmのスクイジー(「Rakel」)で室温において適用した。23℃において50%相対湿度(標準的な気候)で乾燥を行った。結果を表3に示す。
【0058】
【0059】
表3から、反応性希釈剤の効果は乾燥時間の加速をもたらすことを見ることができる。ポットライフ時間は差異を測定するには短すぎた。粘度に関して殆ど差異はなかった。
【0060】
実施例3
異なるポリオールを使用した。パートA:79.3重量%のポリカーボネートジオール2000mw(CAS番号:92538-66-4、Desmophen C1200、Covestro AG)、20.0重量%のトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA、Sartomer SR205H、Sartomer Arkema)、0.2重量%のジブチルスズジラウレート(Cosmos19、Evonik AG)及び0.5重量%のBorchi-Oxy-Coat1410(Borchers GmbH)並びにパートB:HDI三量体(Desmodur N3600、Covestro AG)を混合した(100重量部のパートA及び15重量部のパートB)。同じ組成物(しかし、メタクリレートを伴わず、且つ鉄触媒を伴わない)を混合した(パートA:99.75%のポリカーボネートジオール、0.25%のジブチルスズジラウレート;100のパートA:19のパートB)。
【0061】
粘度は、speed mixerによって1分間1000rpmで混合した後に測定した。混合物をポリプロピレンシート上に1000μmのスクイジー(「Rakel」)で室温において適用した。23℃において50%相対湿度(標準的な気候)で乾燥を行った。結果を表4に示す。
【0062】
【0063】
表4から、反応性希釈剤の効果は延長されたポットライフ時間をもたらすことを見ることができる。乾燥時間は短すぎて、差異を測定できなかった。粘度はメタクリレートを伴わないよりもメタクリレートを伴って非常により低かった。
【0064】
実施例4
別のイソシアネート化合物を試験した。70.9%のIPDIプレポリマー(IPDI、Evonik AG及びポリエーテルポリオール混合物(Desmophen3600Z、Desmophen1600U)、Covestro AGから作製)を、8.0%の潜在性硬化剤(ビスオキサゾリジン、Incorez Ltd.)と混合した。20.0重量%のトリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA、Sartomer SR205H、Sartomer Arkema)、0.5重量%のBorchi-Oxy-Coat1410(Borchers GmbH)、0.1重量%のジブチルスズジラウレート(DBTDL、Cosmos19、Evonik AG)及び0.5重量%の2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE、Jeffcat DMDEE/PC CAT、Huntsman)を加え、混合した。同じ組成物(しかし、メタクリレートを伴わず、且つ鉄触媒を伴わない)も混合した(すなわち91.4%のIPDIプレポリマー、8.0%の潜在性硬化剤、0.1%のCosmos19、0.5%のDMDEE)。
【0065】
【0066】
反応性希釈剤及び自動酸化触媒を有する組成物は、非常により低い粘度及びより速い乾燥時間を有したことを表5から見ることができる。
【0067】
実施例5
異なる自動酸化触媒を試験した。下記の表6において、「Cu-TMEDA」は、トリエチルホスフェート中のジ-μ-ヒドロキソ-ビス-[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)-銅(II)]クロリド溶液、0.2%(Sigma-Aldrich)を表す。「Deca Mn.8HS」は、デカン酸マンガン(Borchers GmbH)を表す。「Borchi OxyCoat」は、上述のBorchi-Oxy-Coat1410(Borchers GmbH)である。
【0068】
1.0重量%のそれぞれの触媒を、76.0重量%のポリTHF(ポリTHF650、BASF SE)、20.0重量%のTEGDMA(Sartomer SR205H、Sartomer Arkema)、2.0重量%のネオデカン酸銅リチウム(Duroct Lithium、2%NDA、DURA Chemicals,Inc)及び1.0重量%の2,2’ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE、Jeffcat DMDEE/PC CAT、Huntsman)の組成物中で使用した。100重量部の前者の組成物を43重量部のHDI三量体(Desmodur N3600、Covestro AG)と混合し、粘度、ポットライフ時間及び乾燥時間について試験した。メタクリレートを伴わずに且つ自動酸化触媒を伴わずに最初の操作は行ったが、メタクリレート及びそれぞれの触媒を伴って他の操作は行った。結果を表6に示す。Borchi OxyCoatは不変のままである乾燥時間でより短いポットライフ時間をもたらす。
【0069】
【0070】
実施例6
異なる自動酸化触媒を使用した。Borchi-Oxy-Coat1410の代わりに触媒としてネオデカン酸マンガン(2+)(「Mn」)及びネオデカン酸銅(2+)(「Cu」)で実施例3を繰り返した。
【0071】
【0072】
上記の表5から見ることができるように、結果は、Borchi-Oxy-Coat1410と本質的に同じであった。乾燥時間の僅かな増加があるが、これは、ポットライフ時間における大きい改善及び開始粘度の低減によって差し引かれる。
【0073】
実施例7
異なる反応性希釈剤を試験した。下記の表8において、「Sartomer SR239EU」は、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレートを表し、「Sartomer SR210HH」は、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEG200DMA)グレードであり、「Sartomer SR350D」は、トリメチロールプロパントリメタクリレートであり(全て、Sartomer Arkemaから)、「Laromer LR8887」は、BASF SEからのトリメチロールプロパンの単官能性アクリル酸エステルである。
【0074】
パートA:79.3重量%のポリカーボネートジオール、2000mw(CAS番号:92538-66-4、Desmophen C1200、Covestro AG)、20.0重量%のそれぞれの反応性希釈剤、0.2重量%のジブチルスズジラウレート(Cosmos19、Evonik AG)及び0.5重量%のBorchi-Oxy-Coat1410(Borchers GmbH)並びにパートB:HDI三量体(Desmodur N3600、Covestro AG)を混合した(100重量部のパートA及び15重量部のパートB)。結果は一貫性があった。
【0075】
【国際調査報告】