(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-28
(54)【発明の名称】BCMAを標的とする組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20241018BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241018BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20241018BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241018BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20241018BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241018BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20241018BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241018BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20241018BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241018BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241018BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241018BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241018BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20241018BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241018BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20241018BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/85 Z
C07K19/00
C07K14/705
C12N5/10
C12N5/078
C12N5/0783
A61P35/00
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61P35/02
A61K38/17
A61K35/17
A61K35/76
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024548066
(86)(22)【出願日】2022-10-19
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 JP2022040573
(87)【国際公開番号】W WO2023068382
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】カーリー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エリルマズ,エルタン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】タラリコ,リーアン
(72)【発明者】
【氏名】ヒックマン,テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,クリスティーナ シュー フェン
(72)【発明者】
【氏名】フレイサー,キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハイキン
(72)【発明者】
【氏名】ピアシギッリ,アレサンドラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
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4B065CA46
4C084AA02
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4C084ZB26
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4C085BB36
4C085BB37
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4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB65
4C087BC83
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA56
4C087MA63
4C087MA65
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、BCMA結合因子(例えば、抗体)及びBCMA抗原結合分子を含むキメラ抗原受容体(CAR)構築物に関する。BCMA結合因子はBCMAに特異的に結合する。本発明のBCMA CARは、ヒンジ領域(例えば、CD28ヒンジ)、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内NK細胞シグナル伝達ドメインをさらに含む。BCMA CARを発現するNK細胞は、がん細胞を殺傷する際の有効性が増加している。本明細書において提供されるのは、BCMA結合因子及びBCMA CARの治療的使用も含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞成熟抗原(BCMA)抗体またはその抗原結合断片であって、
3つの重鎖相補性領域(HCDR)を含む重鎖可変領域を含み、HCDR1がSYAIH(配列番号2)を含み、HCDR2がVTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含み、HCDR3がAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含む、前記BCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
前記BCMA抗体またはその断片が、0より大きく150nM未満のK
DでBCMAに結合する、請求項1に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記BCMA抗体またはその断片が、1pMより大きく10nM未満のK
DでBCMAに結合する、請求項1または2に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記BCMA抗体またはその断片が、0.05~0.5μg/mlのEC50でヒト細胞上に存在するBCMAに結合する、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記BCMA抗体またはその断片が3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR2がAASTLQS(配列番号7)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記BCMA抗体またはその断片が3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR1がRASQGISSYLA(配列番号11)を含み、LCDR2がAASTLQS(配列番号7)を含み、LCDR3がQQLNSYPWT(配列番号14)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記BCMA抗体またはその断片が3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR1がRASQGINNYLA(配列番号6)を含み、LCDR2が、AASTLQS(配列番号7)を含み、LCDR3が、QQLKSYPFT(配列番号8)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記BCMA抗体またはその断片が3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR1がRASQGISSYLA(配列番号11)を含み、LCDR2が、AASTLQS(配列番号7)を含み、LCDR3が、QQLNSYPFT(配列番号12)を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記BCMA抗体またはその断片が、IgG定常領域を含む抗体である、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
B細胞成熟抗原(BCMA)抗体またはその抗原結合断片であって、3つのLCDRを含み、
LCDR1が、RASQGIX
1X
2YLA(配列番号79)を含み、
LCDR2が、AASTLQS(配列番号7)を含み、及び/または、
LCDR3が、QQLX
3SYPX
4T(配列番号80)を含み、
式中、X
1が、SまたはNから選択され、
X
2が、SまたはNから選択され、
X
3が、NまたはKから選択され、及び/または
X
4が、FまたはWから選択される、前記BCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記抗体または前記抗原結合断片が、配列番号9を含む重鎖可変領域(VH)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体。
【請求項12】
前記抗体または前記抗原結合断片が、配列番号9に対して少なくとも95%同一であるVH配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体。
【請求項13】
前記抗体または前記抗原結合断片が、配列番号1を含む重鎖可変領域(VH)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体。
【請求項14】
前記抗体または前記抗原結合断片が、配列番号1に対して少なくとも95%同一であるVH配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体。
【請求項15】
前記抗体または前記抗原結合断片が、配列番号5、10、または13を含む軽鎖可変領域(VL)を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体。
【請求項16】
前記抗体または前記抗原結合断片が、配列番号5、10、または13に対して少なくとも90%同一であるVL配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体。
【請求項17】
前記BCMA抗体またはその断片が、IgA抗体、IgG抗体、IgE抗体、IgM抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、単離されたCDRまたはそれらのセット;単鎖可変断片(scFv)、ポリペプチド-Fc融合、単一ドメイン抗体、ラクダ科動物抗体、マスク抗体、小モジュラー免疫薬(「SMIP(商標)」)、単鎖、タンデムダイアボディ、VHH、Anticalin、ナノボディ、ミニボディ、BiTE、アンキリンリピートタンパク質、DARPIN、Avimer、DART、TCR様抗体、アドネクチン、アフィリン、トランスボディ、アフィボディ、TrimerX、MicroProtein、Fynomer、Centyrin、及びKALBITORからなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記BCMA抗体またはその断片が、単鎖可変断片(scFv)である、先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
前記BCMA結合scFvがリンカー配列を含む、請求項18に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記BCMA結合scFvが配列番号15~18から選択されるリンカーを含む、請求項19に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
前記BCMA結合scFvがシグナルペプチドを含む、請求項18に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
前記BCMA結合scFvが配列番号85~87からなる群から選択される配列を含む、請求項18に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記BCMA結合scFvが、配列番号85、86、または87に対して少なくとも80%同一の配列を含む、請求項22に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
BCMA抗体またはその抗原結合断片であって、
3つの重鎖相補性領域(HCDR)を含む重鎖可変領域を含み、HCDR1がSYAIH(配列番号2)を含み、HCDR2がVTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含み、HCDR3がAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含む、抗体または抗原結合断片と競合する前記BCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
BCMA抗体またはその抗原結合断片であって、3つのLCDRを含み、
LCDR1が、RASQGIX
1X
2YLA(配列番号79)を含み、
LCDR2が、AASTLQS(配列番号7)を含み、及び/または、
LCDR3が、QQLX
3SYPX
4T(配列番号80)を含み、
式中、X
1が、SまたはNから選択され、
X
2が、SまたはNから選択され、
X
3が、NまたはKから選択され、及び/または
X
4が、FまたはWから選択される、抗体または抗原結合断片と競合する前記BCMA抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
がんを治療する方法であって、治療を必要とする対象に先行請求項のいずれか1項に記載のBCMA抗体またはその抗原結合断片を投与することを含む、前記方法。
【請求項27】
前記がんが、免疫細胞の悪性腫瘍、例えば白血病、リンパ腫、または骨髄腫である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
BCMA抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物であって前記BCMA抗体またはその抗原結合断片が:
3つの重鎖相補性領域(HCDR)を含む重鎖可変領域を含み、HCDR1がSYAIH(配列番号2)を含み、HCDR2がVTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含み、HCDR3がAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含む、前記医薬組成物。
【請求項29】
BCMA抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物であって前記BCMA抗体またはその断片が:
AASTLQS(配列番号7)を含む軽鎖可変相補性決定領域(LCDR)2を含む、前記医薬組成物。
【請求項30】
B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗原結合分子、CD28ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内細胞シグナル伝達ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチド。
【請求項31】
前記BCMAに特異的に結合する抗原結合分子が:
(a)配列番号2を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1、
(b)配列番号3を含むVH CDR2、及び
(c)配列番号4を含むVH CDR3、
を含む、請求項30に記載のポリヌクレオチド。
【請求項32】
前記BCMAに特異的に結合する抗原結合分子が:
(a)配列番号6を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)配列番号7を含むVL CDR2、及び
(c)配列番号8を含むVL CDR3、
を含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項33】
前記BCMAに特異的に結合する抗原結合分子が:
(a)配列番号11を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)配列番号7を含むVL CDR2、及び
(c)配列番号12を含むVL CDR3、
を含む、請求項32に記載のポリヌクレオチド。
【請求項34】
前記BCMAに特異的に結合する抗原結合分子が:
(a)配列番号11を含む軽鎖可変領域(VL)相補性決定領域(CDR)1、
(b)配列番号7を含むVL CDR2、及び
(c)配列番号14を含むVL CDR3、
を含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項35】
前記BCMAに特異的に結合する抗原結合分子が、配列番号1または9に対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項30~34のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項36】
前記BCMAに特異的に結合する抗原結合分子が、配列番号5、10、または13のいずれかに対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項30~35のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項37】
前記抗原結合断片が、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、または単鎖可変断片(scFv)からなる群から選択される、先行請求項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項38】
前記抗原結合分子がscFvを含む、請求項30~37のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項39】
前記VH及び前記VLがリンカーによって接続されている、請求項30~38のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項40】
前記リンカーが約50アミノ酸~約2アミノ酸を含む、請求項39に記載のポリヌクレオチド。
【請求項41】
前記リンカーが、配列番号15~18と、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項39に記載のポリヌクレオチド。
【請求項42】
前記抗原結合分子が、約1×10
-6M未満、約1×10
-7M未満、約1×10
-8M未満、または約1×10
-9M未満のK
DでBCMAに結合する、請求項30~41のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項43】
前記膜貫通ドメインが、CD28、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357、NKG2D、またはそれらの任意の組み合わせの膜貫通ドメインである、請求項30~42のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項44】
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインである、請求項43に記載のポリヌクレオチド。
【請求項45】
前記ヒンジ領域が、配列番号56に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項30~44のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項46】
共刺激領域をさらに含む、請求項30~45のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項47】
前記共刺激領域が、CD28、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム細胞死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)、CD8γ、CD3δ、CD3ε、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバー14;TNFSF1.4)、NKG2C、Igα(CD79a)、Fcγ受容体、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、11.2β、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、ITGAE、CD103、ITGAL、LFA-1、ITGAM、ITGAX、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGLl、CDIOO(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの任意の組み合わせのシグナル伝達領域である、請求項46に記載のポリヌクレオチド。
【請求項48】
前記共刺激領域が、配列番号28に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項30~47のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項49】
活性化ドメインをさらに含む、請求項30~48のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項50】
前記活性化ドメインがCD3ζドメインである、請求項49に記載のポリヌクレオチド。
【請求項51】
前記活性化ドメインが、配列番号30と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約7、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項49または50に記載のポリヌクレオチド。
【請求項52】
自殺遺伝子をさらに含む、請求項30~51のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項53】
前記自殺遺伝子が、リツキシマブ、iCaspase9、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)、及びガンシクロビル、アシクロビルまたはFIAU;オキシドレダクターゼ及びシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼ及び5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジル酸キナーゼ(Tdk:Tmk)から選択される、請求項52に記載のポリヌクレオチド。
【請求項54】
前記自殺遺伝子がiCaspase9である、請求項52~53のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項55】
サイトカインをさらに含む、請求項30~54のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項56】
前記サイトカインが、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、またはIL-21から選択される、請求項55に記載のポリヌクレオチド。
【請求項57】
前記サイトカインがIL-15である、請求項55~56のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項58】
IL-15のアミノ酸配列が配列番号23を含む、請求項57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項59】
前記CARが、配列番号19~21に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約7、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む、請求項30~58のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項60】
請求項59に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項61】
前記ベクターが、レトロウイルスベクター、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ベクター、レンチウイルスベクター、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項60に記載のベクター。
【請求項62】
請求項30~59のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによってコードされるCAR。
【請求項63】
請求項30~59のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項60~61のいずれか1項に記載のベクター、請求項62に記載のCAR、またはそれらの任意の組み合わせを含む細胞。
【請求項64】
前記細胞が免疫細胞である、請求項63に記載の細胞。
【請求項65】
前記細胞が、NK細胞、T細胞、または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、iNKT細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの混合物である、請求項63~64のいずれか1項に記載の細胞。
【請求項66】
請求項30~59のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項60~61のいずれか1項に記載のベクター、請求項62に記載のCAR、または請求項63~65のいずれか1項に記載の細胞を含む組成物。
【請求項67】
請求項63~66のいずれか1項に記載の細胞を含む免疫細胞の集団。
【請求項68】
個体におけるがんを治療する方法であって、前記個体に、治療有効量の請求項66に記載の組成物を投与するステップを含む、前記方法。
【請求項69】
前記個体に有効量の追加の療法を提供するステップをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記追加の療法が、外科手術、放射線、遺伝子療法、免疫療法、またはホルモン療法を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記ポリヌクレオチドを有する前記細胞または前記ベクターを有する前記細胞が、注入、注射、静脈内、動脈内、腹腔内、気管内、腫瘍内、筋肉内、内視鏡内、傷害内、頭蓋内、経皮的、皮下、局所的に、灌流によって、腫瘍微小環境内、またはそれらの組み合わせによって前記個体に投与される、請求項68~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記がんが、多発性骨髄腫、リンパ腫、及び/または白血病から選択される、請求項68~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
NK細胞であって、
(a)配列番号1または9に対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一である重鎖可変領域(VH)、及び
配列番号5、10、または13に対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一である軽鎖可変領域(VL)を含む、BCMAに特異的に結合する抗原結合分子、
(b)CD28ヒンジ領域、
(c)膜貫通ドメイン、及び
(d)1つ以上の細胞内細胞シグナル伝達ドメイン、を含むCARをコードするポリヌクレオチドを含む、前記NK細胞。
【請求項74】
ポリヌクレオチドであって、
(a)CD28ヒンジ、
(b)膜貫通ドメイン、
(c)共刺激ドメイン、及び
(d)IL-15サイトカイン
を含む、BCMA結合CARをコードする、前記ポリヌクレオチド。
【請求項75】
請求項74に記載のポリヌクレオチドを含むNK細胞。
【請求項76】
キメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチドを有する免疫細胞であって、前記CARが、
(a)抗原結合ドメイン、
(b)CD28ヒンジ、及び
(c)CD28膜貫通ドメイン
を含む、前記免疫細胞。
【請求項77】
前記細胞が、腫瘍細胞上で発現するBCMAに結合するCARを含む、請求項76に記載の免疫細胞。
【請求項78】
請求項1~25のいずれか1項に記載の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項79】
少なくとも1つの化学修飾を含む、請求項78に記載のポリヌクレオチド。
【請求項80】
前記ポリヌクレオチドが、配列番号55~56、58~59、63、67、71、及び76~78からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項78に記載のポリヌクレオチド。
【請求項81】
請求項62に記載のBCMA結合CARを発現するNK細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月20日に出願された米国仮出願第63/257,822号、及び2021年10月20日に出願された米国仮出願第63/257,846号に対する優先権及びその権益を主張し、これらのそれぞれの内容は、その全体が参照により組み込まれる。
【0002】
配列表への参照
本出願は、電子的に提出されたXMLフォーマットでの配列表と共に出願される。MIL-019WO1_SL.XMLという名称の配列表ファイルは、2022年10月12日に作成され、102,326バイトのサイズである;配列表の電子フォーマットの情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
非グリコシル化I型膜貫通タンパク質であるB細胞成熟抗原(BCMA、CD269、TNFRSF17としても知られる)は、分化した形質細胞において優先的に発現される腫瘍壊死受容体スーパーファミリーのメンバーである。BCMAは、種々の癌、特に、他のがんの中でもとりわけ、リンパ腫、多発性骨髄腫を含む種々のB細胞関連がんにおいて過剰発現することが示されている。BCMAの標的化は、リンパ腫、多発性骨髄腫及び他のがんを含むBCMA陽性がんを治療するための有望なアプローチとして出現した。BCMAを標的化するための最も一般的な治療モダリティとしては、BCMA特異的抗体(例えば、BiTE(登録商標)(二重特異性T細胞エンゲージャー)免疫がん療法を含む二重特異性抗体構築物)、抗体-薬物コンジュゲート(ADC)、及びキメラ抗原受容体(CAR)改変免疫細胞療法が挙げられる。
【0004】
キメラ抗原受容体(CAR)技術は、一般的な免疫抑制性腫瘍微小環境を緩和するだけでなく、免疫エフェクター細胞を細胞表面腫瘍特異的抗原に再度誘導するようにも設計されている。CARは、腫瘍細胞表面抗原を同定するために、膜貫通受容体として免疫エフェクター細胞上での発現のために人工的に生成される。
【0005】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、腫瘍細胞に対する効果的な細胞毒性を媒介し、T細胞とは異なり、同種異系の環境において移植片対宿主病(GVHD)を引き起こす可能性が欠如しているので、CAR操作のための魅力的な候補である。したがって、NK細胞は、即時臨床使用のための既製の細胞療法製品として利用可能にされ得る。CAR-NK細胞はまた、それらの天然の受容体を介して腫瘍細胞を認識し標的とするその固有の能力を保持し、したがって、原則として、CAR標的抗原の下方制御を介する疾患逃避の可能性を、CAR-T細胞で観察される可能性よりも低くする。
【0006】
本開示は、最適化されたCAR構成を介してがん細胞上のBCMA抗原を標的とすることができる新規の抗BCMA抗体及びB細胞成熟抗原(BCMA)標的化CAR-NK細胞を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、新規ヒト抗BCMA抗体、その抗原結合断片、及びとりわけ、新規BCMA結合剤を含む新規BCMA CAR構築物、及びBCMA-CAR発現NK細胞を提供する。また、本発明において、BCMA異常に関連するがんの治療のための、新規BCMA結合剤、BCMA CAR及び/またはBCMA-CAR発現NK細胞の使用方法が提供される。本発明は、BCMAに特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片、及びヒト抗BCMA抗体をコードするポリヌクレオチド、及び本発明の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体(CAR)に関する。特に、本発明は、CD28ヒンジドメインを含むCARを含むBCMAを標的とするCAR-NK細胞が、異なる(例えば、IgG1)ヒンジドメインを除いて同等のCAR構築物を発現するCAR-NK細胞と比較して、マウス多発性骨髄腫モデルにおける腫瘍抑制において予想外により効果的であるという観察に基づく。したがって、本発明は、NK細胞におけるシグナル伝達のための改善されたBCMA-CAR構築物を提供し、BCMA陽性腫瘍に対するより有効な免疫療法をもたらす。
【0008】
本発明の一態様において、本明細書に提供されるのは、ヒト抗BCMA抗体及びその抗原結合断片を含み;そのようなヒト抗BCMA抗体及びその断片は、高い特異性及び親和性でヒトBCMAに結合する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本発明の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、3つの重鎖相補性領域(HCDR)を含む重鎖可変領域を含み、HCDR1はSYAIH(配列番号2)を含み、HCDR2はVTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含み、HCDR3はAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本発明の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、0より大きく150nM未満のKDでBCMAに結合する。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、1pMより大きく10nM未満のKDでBCMAに結合する。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、0.05~0.5μg/mlのEC50でヒト細胞上に提示されるBCMAに結合する。
【0011】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR1はRASQGISSYLA(配列番号11)を含み、LCDR2はAASTLQS(配列番号7)を含み、LCDR3はQQLNSYPWT(配列番号14)を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR1は、RASQGINNYLA(配列番号6)を含み、LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)を含み、LCDR3は、QQLKSYPFT(配列番号8)を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、3つの軽鎖可変領域(LCDR)を含み、LCDR1は、RASQGISSYLA(配列番号11)を含み、LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)を含み、LCDR3は、QQLNSYPFT(配列番号12)を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその抗原結合断片は、IgG定常領域を含む抗体である。
【0016】
一実施形態では、本開示は、3つのLCDRを含む抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を包含し、
LCDR1は、RASQGIX1X2YLA(配列番号79)を含み、
LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)を含み、及び/または、
LCDR3は、QQLX3SYPX4T(配列番号80)を含み、
式中、X1は、SまたはNから選択され、
X2は、SまたはNから選択され、
X3は、NまたはKから選択され、及び/または
X4は、FまたはWから選択される。
【0017】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1を含む可変重鎖領域(VH)を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のVHを含む。いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9に対して少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のVHを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5、10、または13を含む可変軽鎖領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5、10、または13に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のVLを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、BCMA抗原結合断片は、IgA抗体、IgG抗体、IgE抗体、IgM抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、単離されたCDRまたはそれらのセット;単鎖可変断片(scFv)、ポリペプチド-Fc融合、単一ドメイン抗体、ラクダ科動物抗体、マスク抗体、小モジュラー免疫薬(「SMIP(商標)」)、単鎖、タンデムダイアボディ、VHH、Anticalin、ナノボディ、ミニボディ、BiTE、アンキリンリピートタンパク質、DARPIN、Avimer、DART、TCR様抗体、アドネクチン、アフィリン、トランスボディ、アフィボディ、TrimerX、MicroProtein、Fynomer、Centyrin、及びKALBITORからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、単鎖可変断片(scFv)を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合断片は、リンカー配列を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合断片は、配列番号15~18から選択されるリンカーを含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体または抗原結合断片はシグナルペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85~87のscFvを含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、配列番号85~87に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のscFvを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を包含する。非限定的な例として、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、
3つの重鎖相補性領域(HCDR)を含む重鎖可変領域を含み、HCDR1はSYAIH(配列番号2)を含み、HCDR2はVTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含み、HCDR3はAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含む。他の例において、抗BCMA抗体またはその断片は、AASTLQS(配列番号7)を含む軽鎖可変相補性決定領域(LCDR)2を含み得る。
【0022】
非限定的な例として、本発明の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、SYAIH(配列番号2)を含むHCDR1、VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含むHCDR2、及びAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含むHCDR3を含む3つのHCDR、ならびにRASQGINNYLA(配列番号6)を含むLCDR1、AASTLQS(配列番号7)を含むLCDR2、及びQQLKSYPFT(配列番号8)を含むLCDR3を含む3つのLCDRを含む。
【0023】
一実施形態では、本発明の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、SYAIH(配列番号2)を含むHCDR1、VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含むHCDR2、及びAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含むHCDR3を含む3つのHCDR、ならびに、RASQGISSYLA(配列番号11)を含むLCDR1、AASTLQS(配列番号7)を含むLCDR2、及びQQLNSYPWT(配列番号14)を含むLCDR3を含む3つのLCDRを含む。
【0024】
別の実施形態では、本発明の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片は、SYAIH(配列番号2)を含むHCDR1、VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)を含むHCDR2、及びAKFGEPQYFQH(配列番号4)を含むHCDR3を含む3つのHCDR、ならびに、RASQGISSYLA(配列番号11)を含むLCDR1、AASTLQS(配列番号7)を含むLCDR2、及びQQLNSYPFT(配列番号12)を含むLCDR3を含む3つのLCDRを含む。
【0025】
本発明の別の態様では、細胞外BCMA結合ドメイン、CD28ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内細胞シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)が提供され、BCMA結合ドメインは、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を含む。したがって、本明細書に記載のBCMA結合CARは、BCMA抗原を特異的に認識し、それに結合する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本発明は、BCMA抗原結合ドメイン、CD28ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び1つ以上の細胞内細胞シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの改変を含み得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)配列番号2を含む重鎖可変領域の相補性決定領域(HCDR)1、(b)配列番号3を含むHCDR2、及び(c)配列番号4を含むHCDR3を含むBCMA抗原結合ドメインをコードする配列を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)配列番号6を含む軽鎖可変領域の相補性決定領域(LCDR)1、(b)配列番号7を含むLCDR2、及び(c)配列番号8を含むLCDR3を含むBCMA抗原結合ドメインをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)配列番号11を含むLCDR1、(b)配列番号7を含むLCDR2、及び(c)配列番号12を含むLCDR3を含むBCMA抗原結合ドメインをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、(a)配列番号11を含むLCDR1、(b)配列番号7を含むLCDR2、及び(c)配列番号14を含むLCDR3を含むBCMA抗原結合ドメインをコードする配列を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号1または9に対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含むBCMA抗原結合ドメインをコードする。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、配列番号5、10、または13のいずれかに対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含むBCMA抗原結合ドメインをコードする。
【0030】
いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、Fab断片、F(ab’)2断片、Fv断片、または単鎖可変断片(scFv)からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗原結合ドメインは、scFvを含む。いくつかの実施形態では、scFvのVH及びVLは、リンカーによって連結されている。いくつかの実施形態では、リンカーは、約50アミノ酸~約2アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号15~18と、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、約1×10-6M未満、約1×10-7M未満、約1×10-8M未満、または約1×10-9M未満のKDでBCMAに結合するBCMA結合CARをコードする。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、膜貫通ドメインをコードする配列を含む。本発明のBCMA結合CARの膜貫通ドメインは、CD28、CD3ζ、CD3ε、CD3γ、CD3δ、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、ICOS/CD278、GITR/CD357、NKG2D、またはそれらの任意の組み合わせの膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインである。
【0033】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ヒンジ領域をコードする配列を含む。本発明のBCMA結合CARのヒンジ領域は、CD28ヒンジドメインである。非限定的な例として、ヒンジ領域は、配列番号36に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一のアミノ酸配列を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、共刺激領域をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、共刺激領域は、CD28、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム細胞死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)、CD8γ、CD3δ、CD3ε、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバー14;TNFSF1.4)、NKG2C、Igα(CD79a)、Fcγ受容体、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、11.2β、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、ITGAE、CD103、ITGAL、LFA-1、ITGAM、ITGAX、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGLl、CDIOO(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの任意の組み合わせのシグナル伝達領域である。いくつかの実施形態では、共刺激領域は、配列番号28と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、活性化ドメインをコードする配列を含む。非限定的な例として、活性化ドメインはCD3ζドメインである。いくつかの実施形態では、活性化ドメインは、配列番号30と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約7、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、自殺遺伝子をコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、リツキシマブ、iCaspase9、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)、及びガンシクロビル、アシクロビルまたはFIAU;オキシドレダクターゼ及びシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼ及び5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジル酸キナーゼ(Tdk:Tmk)から選択される自殺遺伝子を含む。いくつかの実施形態では、自殺遺伝子はiCaspase9である。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、サイトカインをコードする配列をさらに含む。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、またはIL-21から選択される。いくつかの実施形態では、サイトカインはIL-15である。いくつかの実施形態では、IL-15のアミノ酸配列は、配列番号23を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のBCMA結合CARは、配列番号19~21と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示は、前述の実施形態のいずれかのポリヌクレオチドを含むベクターを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、ベクターは、レトロウイルスベクター、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルス随伴ベクター、レンチウイルスベクター、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示は、本明細書に記載のBCMA結合CARを発現する細胞を提供する。いくつかの実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に記載のBCMA結合CARをコードするポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、CAR発現細胞は、本明細書に記載のベクターを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、細胞は免疫細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、NK細胞、T細胞または腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、iNKT細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの混合物である。いくつかの実施形態では、本開示は、上記実施形態のいずれか1つの免疫細胞を含む免疫細胞の集団に関する。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示は、上記の実施形態のいずれかのポリヌクレオチド、上記の実施形態のいずれかのベクター、上記の実施形態のいずれかのCAR、または上記の実施形態のいずれかの細胞を含む組成物に関する。
【0044】
非限定的な例として、本開示は、(a)配列番号1または9に対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一の重鎖可変領域(VH)と、配列番号5、10、または13のいずれかに対して少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一の軽鎖可変領域(VL)とを含む、BCMAに特異的に結合する抗原結合分子、(b)CD28ヒンジ領域、(c)膜貫通ドメイン、及び(d)1つ以上の細胞内細胞シグナル伝達ドメイン、を含む、CARをコードするポリヌクレオチドを含むNK細胞に関する。
【0045】
いくつかの態様では、本開示は、(a)CD28ヒンジ、(b)膜貫通ドメイン、(c)共刺激ドメイン、及び(d)IL-15サイトカインを含む、BCMA結合CARをコードするポリヌクレオチドを包含する。
【0046】
一態様では、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチドを有する免疫細胞を包含し、CARは、(a)抗原結合ドメイン;(b)CD28ヒンジ;及び(c)CD28膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、腫瘍細胞上に発現するBCMAに結合するCARを含む。
【0047】
本発明のさらに別の態様では、本明細書に記載の抗BCMA抗体、その抗原結合断片、BCMA結合CAR、ベクター、細胞、及び組成物の使用方法が提供される。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示は、抗BCMA抗体、その抗原結合断片、BCMA結合CAR、ポリヌクレオチド、ベクター及び/またはBCMA結合CARを発現する細胞を使用して個体におけるがんを治療する方法であって、該方法は、個体に、治療有効量の、本開示で考察される抗体、CAR、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、及び組成物のいずれか1つを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態では、本方法は、個体に有効量の追加の治療を提供するステップをさらに含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、追加の治療は、外科手術、放射線、遺伝子治療、免疫療法、またはホルモン治療を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドを有する細胞またはベクターを有する細胞は、注入、注射、静脈内、動脈内、腹腔内、気管内、腫瘍内、筋肉内、内視鏡内、傷害内、頭蓋内、経皮的、皮下、局所的に、灌流によって、腫瘍微小環境内、またはそれらの組み合わせによって個体に投与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、がんは、免疫細胞の悪性腫瘍、例えば、白血病、リンパ腫、または骨髄腫である。いくつかの実施形態では、がんは、多発性骨髄腫、リンパ腫、及び/または白血病から選択される。
【0053】
これらの図及び他の図に示される種々の構成要素は、単に例示の目的のためのものであり、特許請求の範囲に明示的に記載されない限り、特許請求の範囲へと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】IL-15サイトカイン(例えば、可溶性IL-15)及びCD28由来のヒンジ領域を有する例示的なBCMA-CARの構築物の図である。
【
図2】非形質導入(NT)細胞と比較した、IgGヒンジ及びCD28ヒンジを有するBCMA CARを形質導入したNK細胞のインビトロ細胞傷害性アッセイのグラフである。
【
図3】IgGヒンジまたはCD28ヒンジドメインを有するBCMA-CARを発現する共投与NK細胞における腫瘍進行の絵図である。
【
図4】CD28ヒンジドメインを有するBCMA-CAR(1Mまたは3M)を発現する異なる共投与NK細胞による腫瘍進行の絵図である。
【
図5】CD28ヒンジドメインを有するBCMA-CAR(1M)を発現する異なる共投与NK細胞の絵図である。
【
図6】MM1S腫瘍細胞接種の1日後(「1日遅延投与」)、1Mまたは3Mの濃度で投与されたBCMA-CARを発現するNK細胞、対照としての非形質導入NK細胞(NT-NK)の絵図である。
【
図7】MM1s腫瘍細胞接種の1日後(「1日遅延投与」)に、百万または3百万の投与量で投与されたBCMA CARを含むNK細胞を投与されたマウスのカプランマイヤー生存曲線である。
【
図8】BCMA-CARを含む1千万個のNK細胞によるインビボ処理後に収集した、マウス肺の組織病理学的分析のスライド図である。
【
図9A】1日遅延投与でのマウスにおける血漿中のIL-15分泌を示すグラフである。
【
図9B】9日遅延投与でのマウスにおける血漿中のIL-15分泌を示すグラフである。
【
図9C】9日遅延投与でのマウスにおける血中CAR-NK細胞の増殖を示すグラフである。
【
図9D】1日遅延投与でのマウスにおける血中CAR-NK細胞の増殖を示すグラフである。
【
図10A】C11D5.3VLVH-Fcと比較した、CD28ヒンジまたはIgGヒンジを含むBCMA-CART細胞を用いた異なるエフェクター:標的(E:T)比での処理後の腫瘍細胞株の殺傷を示すグラフである。
【
図10B】CD28ヒンジまたはIgGヒンジを含むBCMA-CART細胞を用いた異なるE:T比での処理後の、アポトーシスのマーカーとしてのカスパーゼ+MM1s標的細胞%を示すグラフである。
【
図10C】CD28ヒンジまたはIgGヒンジを含むBCMA-CART細胞を用いた異なるE:T比での処理後のBCMA発現MM1s腫瘍細胞のミトコンドリア損傷%を示すグラフである。
【
図11A】800ng/mLの可溶性BCMAの存在下または非存在下での、BCMA28-1 CAR含有NK細胞によるインビトロ細胞傷害性のグラフ表示である。
【
図11B】800ng/mLの可溶性BCMAの存在下または非存在下での、BCMA28-2 CAR含有NK細胞によるインビトロ細胞傷害性のグラフ表示である。
【
図11C】800ng/mLの可溶性BCMAの存在下または非存在下での、C11D5.3Fc陽性対照によるインビトロ細胞傷害性のグラフ表示である
【
図12A】腫瘍細胞接種の9日後(「9日遅延投与」)に投与された10M用量のBCMA CAR NKで処理したマウスにおける、体重変動を示すグラフである。
【
図12B】腫瘍細胞接種の1日後(「1日遅延投与」)に投与された10M用量のBCMA CAR NKで処理したマウスにおける、体重変動を示すグラフである。
【
図13】ルシフェラーゼ発現MM腫瘍細胞を接種し、次いで、1回(10M×1)または2回(10M×2)のいずれかのBCMA28-2発現CAR-NK細胞を投与したマウスの生存の代表的な画像を示す。
【
図14A】4人の独立した臍帯血単位(CBU)ドナーにおいて生成された、BCMA28-2 CAR構築物含有NK細胞の、複数の腫瘍細胞株に対するインビトロ殺傷活性を示す。4人の独立したCBUドナーにわたるMM1s(BCMA
low)細胞におけるBCMA28-2構築物含有CAR-NK細胞対同等の非形質導入(UTD)NK細胞のインビトロ殺傷活性を示す。
【
図14B】4人の独立した臍帯血単位(CBU)ドナーにおいて生成された、BCMA28-2 CAR構築物含有NK細胞の、複数の腫瘍細胞株に対するインビトロ殺傷活性を示す。4人の独立したドナーにわたるJJN3(BCMA KO)細胞におけるBCMA28-2構築物含有CAR-NK細胞対同等の非形質導入(UTD)NK細胞のインビトロ殺傷活性を示す。
【
図14C】4人の独立した臍帯血単位(CBU)ドナーにおいて生成された、BCMA28-2 CAR構築物含有NK細胞の、複数の腫瘍細胞株に対するインビトロ殺傷活性を示す。4人の独立したCBUドナーにわたるRPMI-8226(BCMA
high)細胞におけるBCMA28-2構築物含有CAR-NK細胞対同等の非形質導入(UTD)NK細胞のインビトロ殺傷活性を示す。
【
図14D】4人の独立した臍帯血単位(CBU)ドナーにおいて生成された、BCMA28-2 CAR構築物含有NK細胞の、複数の腫瘍細胞株に対するインビトロ殺傷活性を示す。4人の独立したCBUドナーにわたるJIN親(BCMA
med)細胞におけるBCMA28-2構築物含有CAR-NK細胞対同等の非形質導入(UTD)NK細胞のインビトロ殺傷活性を示す。
【
図15A】複数回の腫瘍細胞添加後の、インビトロでのMM1S腫瘍モデルにおけるBCMA28-2発現CAR NK細胞の反復殺傷抗腫瘍活性を示す。
【
図15B】複数回の腫瘍細胞添加後の、インビトロでのMM1S腫瘍モデルにおけるBCMA28-2発現CAR NK細胞の反復殺傷抗腫瘍活性を示す。
【
図16】RPMI-8226腫瘍に対するBCMA28-2構築物のインビボ有効性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
定義
長期的な特許法規約に従って、「a」及び「an」という単語は、特許請求の範囲を含む、含むという単語と共に本明細書で使用される場合、該冠詞の文法的オブジェクトの1つまたは1つを超える(すなわち、少なくとも1つ)ことを示す。例として、「要素」は、1つの要素または1つを超える要素を意味する。本開示のいくつかの実施形態は、本開示の1つ以上の要素、方法のステップ、及び/または方法からなり得るか、またはそれらから本質的になり得る。本明細書に記載の任意の方法または組成物は、本明細書に記載の任意の他の方法または組成物に関して実施することができ、異なる実施形態を組み合わせることができると考えられる。
【0056】
本明細書全体を通して、文脈がそうでないことを必要としない限り、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含むこと(comprising)」は、述べられたステップ、もしくは要素、またはステップもしくは要素の群を含むことを意味するが、任意の他のステップ、もしくは要素、またはステップもしくは要素の群を排除することを意味しないことが理解されるだろう。「~からなる」とは、「~からなる」という語句に続くものを含み、これらに限定される。したがって、「~からなる」という語句は、挙げられる要素が必要または必須であり、かつ他の要素は存在し得ないことを示す。「~から本質的になる」とは、語句の後に列挙された任意の要素を含むことを意味し、列挙された要素の開示で指定された活性または動作を妨害しないか、またはそれらに寄与しない他の要素に限定される。したがって、「~から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であることを示すが、他の要素は必要に応じたものではなく、列挙された要素の活性または動作に影響するか否かに応じて存在し得るか、または存在し得ないことを示す。
【0057】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「特定の実施形態」、「追加の実施形態」、もしくは「さらなる実施形態」またはそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体にわたるさまざまな箇所での前述の語句の出現は、必ずしもすべてが同一の実施形態を参照しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「または」及び「及び/または」という用語は、複数の構成要素を組み合わせて、または互いを除いて記述するために利用される。例えば、「x、y、及び/またはz」は、「x」単独、「y」単独、「z」単独、「x、y、及びz」、「(x及びy)またはz」、「xまたは(y及びz)」、または「xまたはyまたはz」を指すことができる。x、y、またはzは、実施形態から特に除外され得ることが特に企図される。
【0059】
本出願全体にわたって、「約」という用語は、値が、細胞生物学及び分子生物学の領域におけるその普遍的かつ通常の意味に従って、値を決定するために使用される装置または方法についての誤差の標準偏差を含むことを示すのに使用される。
【0060】
親和性:本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、結合部分(例えば、抗原結合部分(例えば、本明細書に記載の可変ドメイン)及び/またはFc受容体結合部分(例えば、本明細書に記載のFcRn結合部分))と標的(例えば、抗原(例えば、BCMA)及び/またはFcR(例えば、FcRn))との間の結合相互作用の特徴を指し、それは結合相互作用の強さを示す。いくつかの実施形態では、親和性の尺度は、解離定数(KD)として表される。いくつかの実施形態では、結合部分は、標的に対して高い親和性(例えば、約10-7M未満、約10-8M未満、または約10-9M未満、約10-10未満、約10-10未満、約10-11未満、約10-12未満のKD)を有する。いくつかの実施形態では、結合部分は、標的に対して低い親和性を有する(例えば、約10-7Mよりも高い、約10-6Mよりも高い、約10-5Mより高い、または約10-4Mより高いKD)。いくつかの実施形態では、結合部分は、第1のpHで標的に対して高い親和性を有し、第2のpHで標的に対して低い親和性を有し、第1のpHと第2のpHとの間のpHレベルで標的に対して中間の親和性を有する。
【0061】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、1つ以上の目的の値に適用されるとき、「およそ」または「約」という用語は、言及された参照値に類似する値を指す。特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、特に明記されていない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数が可能な値の100%を超える場合を除いて)、言及された参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%またはそれ以下のいずれかの方向(より大きいまたはより小さい)の範囲内の値の範囲を指す。
【0062】
抗体:本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域、例えば、免疫グロブリン可変ドメインまたは免疫グロブリン可変ドメイン配列を提供するアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)を含み得る。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体」という用語は、抗体の抗原結合断片(例えば、単鎖抗体、Fab、F(ab’)2、Fd、Fv、及びdAb断片)、ならびに完全な抗体、例えば、IgA、IgG、IgE、IgD、IgMのタイプ(及びそのサブタイプ)の無傷の免疫グロブリンを包含する。免疫グロブリンの軽鎖は、カッパまたはラムダのタイプであってもよい。
【0063】
抗原結合断片またはその抗体断片とは、無傷の抗体の一部を指す。抗原結合断片またはその抗体断片とは、抗原(例えば、BCMA)に結合する無傷の抗体の一部を指す。抗原結合断片は、無傷の抗体の抗原決定可変領域を含み得る。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、直鎖状抗体、抗体模倣体、scFv、及び単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
結合部分:本明細書で使用される場合、「結合部分」は、標的、例えば目的の標的(例えば、抗原(例えば、BCMA)及び/またはFcR(例えば、FcRn))に特異的に結合することができる任意の分子または分子の一部である。結合部分としては、例えば、抗体、その抗原結合断片、Fc領域またはそのFc断片、抗体模倣体、ペプチド、及びアプタマーが挙げられる。
【0065】
BCMA:本明細書で使用される場合、「BCMA」という用語は、B細胞成熟抗原を指す。ヒトBCMAタンパク質は、184アミノ酸:1-54:細胞外ドメイン;55-77:膜貫通ドメイン;78-184:細胞質ドメインからなる。BCMAのアミノ酸配列は、以下を含む:
【化1】
BCMAはシグナル伝達ペプチドを欠き、BAFF受容体、膜貫通活性化因子、シクロフィリンリガンド相互作用因子、及びカルシウム調節因子(TACI)のような他の受容体に類似している。これらの受容体は、B細胞の成熟及び形質細胞への分化において主要な役割を果たす。これらのリガンドは、MM患者において発現が増加するBAFF及びAPRILを含む。BCMAは、細胞表面受容体であり、CD269及び、TNFRSF17遺伝子によってコードされる腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー17(TNFRSF17)としても知られる。この受容体は、主に成熟Bリンパ球において、及び多くの場合に多発性骨髄腫(MM)において発現する。
【0066】
相補性決定領域(CDR):可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatとChothiaの両方の蓄積、すなわちAbM、接触及び/または立体配座の定義、または当該技術分野で周知のCDR決定の任意の方法に従って同定される可変領域内のアミノ酸残基である。抗体のCDRは、Kabatらによって最初に定義された超可変領域として識別される場合がある。例えば、Kabat et al.,1992,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,Public Health Service,NIH,Washington D.C.を参照されたい。CDRの位置は、Chothia他によって最初に説明された構造的ループ構造としてまた識別され得る。例えば、Chothia et al.,Nature 342:877-883,1989を参照されたい。CDR同定のための他のアプローチとしては、KabatとChothiaの間の妥協案であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在のAccelrys(登録商標))を使用して導出される「AbM定義」、またはMacCallum et al.,J.Mol.Biol.,262:732-745,1996に記載される、観察された抗原接触に基づくCDRの「接触定義」が挙げられる。本明細書でCDRの「立体配座定義」と呼ばれる別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピーの寄与をする残基として同定することができる。例えば、Makabe et al.,Journal of Biological Chemistry,283:1 156-1166,2008を参照されたい。さらに他のCDR境界定義は、上記のアプローチの1つに厳密に従わない場合があるが、特定の残基もしくは残基の群またはCDR全体でさえ、抗原結合に大きな影響を与えないという予測または実験的発見に照らして短縮または延長される可能性があるが、それでもKabatのCDRの少なくとも一部と重複する。本明細書で使用される場合、CDRは、アプローチの組み合わせを含む、当該技術分野で知られている任意のアプローチによって定義されるCDRを指し得る。本明細書で使用される方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されたCDRを利用することができる。1つを超えるCDRを含む任意の所与の実施形態について、CDRは、Kabat、Chothia、拡張、AbM、接触、及び/または立体配座の定義に従って定義され得る。
【0067】
キメラ抗原受容体(CAR):抗原結合部分(例えば、BCMA抗体)及びシグナル伝達ドメイン(例えば、T細胞受容体からのシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ))を含むキメラ分子。典型的には、CARは、抗原結合部分、膜貫通ドメイン、及びエンドドメインを含む。エンドドメインは、典型的には、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(IT AM)、例えばCD3ζまたはFceRIyを有するシグナル伝達鎖を含む。いくつかの例において、エンドドメインは、少なくとも1つのさらなる共刺激ドメイン(例えば、CD28及び/またはCD137)の細胞内部分をさらに含む。
【0068】
定常領域:本明細書で使用される場合、「定常領域」という用語は、抗体の1つ以上の定常領域免疫グロブリンドメインに対応する、またはそれに由来するポリペプチドを指す。定常領域は、以下の免疫グロブリンドメインのうちのいずれかまたはすべてを含むことができる:CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン、CH3ドメイン(IgA、IgD、IgG、IgE、またはIgMに由来する)、及びCH4ドメイン(IgEまたはIgMに由来する)。
【0069】
操作された:本明細書で使用される場合、「操作された」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞、核酸、ポリペプチド、ベクターなどを含む、ヒトの手によって生成される実体を指す。少なくともいくつかの場合において、操作された実体は合成であり、天然に存在しない、または本開示において利用される様式で構成される要素を含む。
【0070】
エピトープ:本明細書で使用される場合、「エピトープ」は当該技術分野の用語であり、抗体が特異的に結合できる抗原の局在領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの連続アミノ酸(線状もしくは連続のエピトープ)であり得、またはエピトープは、例えば、ポリペプチド(複数可)の2つ以上の非連続領域(立体配座、非線状、不連続、もしくは不連続のエピトープ)から一緒になり得る。特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析と組み合わせた水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)、アレイベースのオリゴペプチドスキャンアッセイ、及び/または変異導入マッピング(例えば、部位特異的変異導入マッピング)によって決定され得る。X線結晶学の場合、結晶化は、当該技術分野で知られている方法のいずれかを使用して達成することができる(例えば、Giege R et al,(1994)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt 4):339-350;McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23;Chayen NE(1997)Structure 5 :1269-1274;McPherson A( 1976)J Biol Chem 251:6300-6303)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を使用して研究することができ、例えばRefmac及びPhenixなどの当該技術分野で周知のコンピュータソフトウェアを使用して精密化することができる。変異導入マッピング研究は、当業者に知られている任意の方法を使用して達成することができる。例えば、アラニンスキャニング変異導入技術を含む変異導入技術の説明について、Champe M et al,(1995)J Biol Chem 270:1388- 1394及びCunningham BC & Wells JA(1989)Science 244:1081-1085を参照されたい。
【0071】
Fc領域:本明細書で使用される場合、「Fc領域」という用語は、2つの「Fcポリペプチド」の二量体を指し、それぞれの「Fcポリペプチド」は、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを除く抗体の定常領域を含む。いくつかの実施形態では、「Fc領域」は、1つ以上のジスルフィド結合、化学リンカー、またはペプチドリンカーによって連結された2つのFcポリペプチドを含む。「Fcポリペプチド」は、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメインを指し、これらのドメインに対してN末端のフレキシブルなヒンジの一部またはすべてを含み得る。IgGの場合、「Fcポリペプチド」は、免疫グロブリンドメインCガンマ2(Cγ2)及びCガンマ3(Cγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCγ2の間のヒンジの下部を含む。Fcポリペプチドの境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fcポリペプチドは、通常、T223またはC226またはP230からそのカルボキシル末端までの残基を含むと定義され、ナンバリングは、Kabatら(1991,NIH Publication 91-3242,National Technical Information Services,Springfield,VA)のEUインデックスに従う。IgAの場合、Fcポリペプチドは、免疫グロブリンドメインCアルファ2(Cα2)及びCアルファ3(Cα3)、ならびにCアルファ1(Cα1)とCα2の間のヒンジの下部を含む。Fc領域は、合成、組換え、またはIVIGなどの天然源から生成されたものであり得る。
【0072】
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語とは、他の物質を実質的に含まない分子、生物学的物質、または細胞物質を指す。一態様では、「単離された」という用語とは、天然の供給源に存在するような、他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官からそれぞれ分離された核酸、例えばDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞小器官、または組織もしくは器官を指す。「単離された」という用語はまた、組み換えDNA技術によって製造されるときには細胞物質、ウイルス物質、もしくは培地を、または化学的に合成されるときには化学前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない核酸またはペプチドを指す。さらに、「単離された核酸」は、断片として天然には存在せず、そして天然の状態では見出されないであろう核酸断片を含むことを意味する。「単離された」という用語はまた、他の細胞タンパク質から単離され、精製されたポリペプチドと組換えポリペプチドの両方を包含することを意味するポリペプチドを指すために本明細書で使用される。「単離された」という用語は、本明細書において、他の細胞または組織から単離される細胞または組織も指すよう使用され、培養及び操作された細胞及び組織の両方を包含することを意味する。
【0073】
Ka:本明細書で使用される場合、「Ka」は、結合部分/標的複合体を形成するための特定の結合部分と標的の会合速度を指す。
【0074】
Kd:本明細書で使用される場合、「Kd」は、特定の結合部分/標的複合体の解離速度を指す。
【0075】
KD:本明細書で使用される場合、「KD」は解離定数を指し、これはKdのKaに対する比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。KD値は、当該技術分野で十分に確立された方法を使用して、例えば、表面プラズモン共鳴を使用するか、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーシステムを使用して決定することができる。
【0076】
ナチュラルキラー細胞:ナチュラルキラー細胞、またはNK細胞は、自然免疫系に重要な細胞傷害性リンパ球の一種である。NK細胞の役割は、脊椎動物の適応免疫応答における細胞傷害性T細胞の役割と類似している。NK細胞は、ウイルス感染細胞に対する迅速な応答を提供し、感染後約3日で作用し、腫瘍形成に応答する。
【0077】
同一性パーセント:本明細書で使用される場合、2つの配列間の「同一性パーセント」及び類似の語句は、2つの配列の最適なアライメントのために導入する必要のあるギャップの数とそれぞれのギャップの長さを考慮して、配列によって共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、
【数1】
また、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度を決定する際に、当業者は、いわゆる「保存的」アミノ酸置換を考慮してもよく、これは、一般に、アミノ酸残基が類似の化学構造の別のアミノ酸残基で置換され、ポリペプチドの機能、活性、または他の生物学的特性にほとんど、または本質的に影響を及ぼさないアミノ酸置換として記載され得る。そのような保存的アミノ酸置換は、当該技術分野で周知であり、例えば、WO 04/037999、GB-A-2 357 768、WO 98/49185、WO 00/46383、及びWO 01/09300から引用され、そのような置換の(好ましい)型及び/または組み合わせは、WO 04/037999及びWO 98/49185から、ならびに、それらに引用されるさらなる参照からの関連する教示に基づいて選択され得る。
【0078】
予防する:本明細書で使用される場合、「予防する」、及び「予防される」、「予防すること」などの類似の語は、疾患または状態、例えば、がんの発生または再発を予防、阻害、またはその可能性を低減するためのアプローチを示す。また、疾患または状態の発症または再発を遅延させること、または疾患または状態の症状の発症または再発を遅延させることも指す。本明細書で使用される場合、「予防」及び同様の語は、疾患または状態の発症または再発の前に、疾患または状態の強度、影響、症状、及び/または負荷を低減することも含む。
【0079】
試料:「試料」という用語は、本明細書で使用される場合、一般に、生体試料を指す。試料は、個体からの組織または細胞から採取され得る。場合によっては、試料は、組織生検、血液(例えば、全血)、血漿、細胞外液、乾燥血液スポット、培養細胞、廃棄組織を含み得るか、またはそれらに由来し得る。試料は、収集前に供給源から単離されていてもよい。非限定的な例としては、血液、脳脊髄液、胸膜液、羊水、リンパ液、唾液、尿、便、涙、汗、または粘膜排泄物、及び収集前に一次供給源から単離された他の体液が挙げられる。いくつかの例では、試料は、試料調製中に、その一次供給源(細胞、組織、血液などの体液、環境試料など)から単離される。試料は、その一次供給源から精製または他の方法で濃縮されていてもされていなくてもよい。場合によっては、一次供給源は、さらなる処理の前にホモジナイズされる。試料を濾過または遠心分離して、バフィーコート、脂質、または粒子状物質を除去することができる。試料はまた、核酸について精製または濃縮され得るか、またはRNaseで処理され得る。試料は、無傷、断片化、または部分的に分解された組織または細胞を含み得る。
【0080】
単鎖可変断片(scFv):本明細書で使用される場合、「単鎖可変断片」または「scFv」という用語は、VH::VLヘテロ二量体を形成するために共有結合された、免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を指す。重鎖(VH)と軽鎖(VL)は、直接結合されるか、またはVHのN末端をVLのC末端に、もしくはVHのC末端をVLのN末端に接続する、ペプチドコードリンカー(例えば、10、15、20、25個のアミノ酸)によって結合される。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンが豊富で、溶解性のためにセリンまたはトレオニンが豊富である。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域を連結することができる。リンカーの非限定的な例は、Shen et al.,Anal.Chem.80(6):1910-1917(2008)及びWO2014/087010に開示され、それらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
対象:「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、概して、処理または分析を受けている生体試料を有する個体を指し、特定の場合、がんを有するか、またはがんを有することが疑われる。対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類(類人猿、サル、オランウータン、またはチンパンジーなど)、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シチメンチョウ、及びニワトリ)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、及び齧歯類)、ウマ、及びトランスジェニック非ヒト動物を含む、方法または材料の対象である任意の生物または動物の対象であり得る。対象は、患者、例えば、良性または悪性の新生物、またはがんなどの疾患(医学的状態と呼ばれ得る)を有するか、または有することが疑われる患者であり得る。対象は、治療を受けている、または受けていたものであり得る。対象は、無症候性であってもよい。対象は健康な個体であるが、癌の予防が望ましいものであり得る。「個体」という用語は、少なくともいくつかの場合において、交換可能に使用され得る。本明細書で使用される場合、「対象」または「個体」は、医療施設に収容されていても、されていなくてもよく、医療施設の外来患者として治療され得る。個体は、インターネットを介して1つ以上の医療組成物を受け取っていてもよい。個体は、ヒトまたは非ヒト動物の任意の年齢を含み得、したがって、成体及び若年者(すなわち、小児)ならびに幼児の両方を含み、子宮内個体を含む。この用語は、医学的治療の必要性を意味し、したがって、個体は、臨床的または基本的な科学研究の支援に関わらず、自発的または非自発的に実験の一部であり得ることを意図していない。
【0082】
標的:本明細書で使用される場合、「標的」は、抗体の結合部分またはその抗原結合断片によって特異的に結合される任意の分子である。いくつかの実施形態では、標的は、本明細書に記載の抗原(例えば、BCMA)である。いくつかの実施形態では、標的はFcR(例えば、FcRn)である。「第1の標的」及び「第2の標的」という用語は、本明細書では、同じ分子種の2つの分子ではなく、2つの異なる分子種の分子を指すために使用される。例えば、いくつかの実施形態では、第1の標的は血清タンパク質であり、第2の標的はFcRnである。
【0083】
治療有効量:本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、任意の医学的処理に適用可能な妥当な利益/リスク比で、処理される対象に治療効果を与える治療用分子(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)の量を指す。治療効果は、客観的(すなわち、いくつかの試験またはマーカーによって測定可能である)または主観的(すなわち、対象が効果の徴候を示すか、または効果を感じる)であり得る。特に、「治療有効量」は、特定の疾患または状態を処理、改善、または予防するのに有効な、あるいは例えば、疾患に関連する症状を改善すること、疾患の発症を予防もしくは遅延させること、及び/または疾患の症状の重症度もしくは頻度をも軽減することによって検出可能な治療効果または予防効果を示すのに有効な、治療用分子または組成物の量を指す。治療有効量は、複数の単位用量から構成され得る投与レジメンで投与され得る。任意の特定の治療用分子について、治療有効量(及び/または有効な投与レジメン内での適切な単位用量)は、例えば、投与経路、他の医薬品との組み合わせに応じて変動し得る。また、任意の特定の対象に対する具体的な治療有効量(及び/または単位用量)は、処理されている障害及び障害の重症度;使用される特定の医薬品の活性;使用される特定の組成物;対象の年齢、体重、全体的な健康状態、性別、及び食事;使用される特定の治療用分子の投与時間、投与経路、及び/または排出もしくは代謝の速度;処理期間;ならびに医学分野において周知の類似の因子を含む種々の因子に依存し得る。
【0084】
治療:本明細書で使用される場合、用語「治療」または「治療すること」は、疾患または病理学的状態の症状または病理に対する任意の有益なまたは望ましい効果を含み、治療される疾患または状態、例えば、がんの1つ以上の測定可能なマーカーの最小限の減少さえも含み得る。治療は、任意選択で、疾患または状態の症状の低減または改善、または疾患または状態の進行の遅延のいずれかを含み得る。「治療」は、必ずしも、疾患もしくは状態またはその関連する症状の完全な根絶または治癒を示さない。非限定的な例として、治療は、特定の疾患、障害、及び/または状態、例えばBCMA陽性がんの1つ以上の症状または特徴を、部分的または完全に、軽減し、改善し、緩和し、阻害し、それらの発症を遅延させ、それらの重症度を低減し、及び/またはそれらの発生率を低減する治療用分子(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体及びBCMA結合CAR)の任意の投与を指す。場合によっては、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の徴候を示さない対象のもの、及び/または疾患、障害、及び/または状態の初期徴候のみを示す対象のものであり得る。代替的にまたは追加的に、そのような治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の確立された徴候を示す対象のものであり得る。
【0085】
腫瘍抗原:本明細書で使用される場合、「腫瘍抗原」は、その発現ががんを引き起こす抗原性を有する生物学的分子を意味する。
【0086】
治療、診断、または生理学的な目的または効果に関連する任意の方法はまた、記載される治療、診断、または生理学的な目的または効果を達成または実施するための、本明細書に記載される任意の化合物、組成物、または薬剤の「使用」などの「使用」請求項の言語で記載され得る。
【0087】
I.抗体
本開示は、部分的に、BCMA(例えば、ヒトBCMA)への結合を示す操作された抗体及びその抗原結合断片の発見に基づく。BCMAは、単一の膜貫通ドメイン、細胞質C末端、及び細胞外N末端を有するタンパク質である。BCMAは、成熟Bリンパ球によって優先的に発現され、その過剰発現及び活性化は、生存、増殖、接着、破骨細胞活性化、血管新生、転移、及び免疫抑制に重要な遺伝子の発現の増強に関連する。種々の血液悪性腫瘍におけるBCMA発現の証拠があり、BCMAがこれらの疾患においてバイオマーカーまたは治療標的として重要な役割を果たし得ることを示唆している。
【0088】
本明細書に記載の抗BCMA抗体は、BCMAに結合するように設計される。特定の実施形態では、本開示の抗BCMA抗体及びその断片は、ヒトBCMAに結合する。特定の実施形態では、ヒトBCMAは、Uniprot参照番号Q02223(配列番号22)を有するアミノ酸配列またはその断片を含むか、またはそれからなる。配列番号22は以下に提供される:
MLQMAGQCSQNEYFDSLLHACIPCQLRCSSNTPPLTCQRYCNASVTNSVKGTNAILWTCLGLSLIISLAVFVLMFLLRKINSEPLKDEFKNTGSGLLGMANIDLEKSRTGDEIILPRGLEYTVEECTCEDCIKSKPKVDSDHCFPLPAMEEGATILVTTKTNDYCKSLPAALSATEIEKSISAR(配列番号22)
【0089】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体及びその抗原結合断片は、BCMAの細胞外ドメインに結合する。特定の実施形態では、抗BCMA抗体及びその抗原結合断片は、ヒトBCMAの細胞外ドメインに結合する。特定の実施形態では、ヒトBCMAの細胞外ドメインは、配列番号22のアミノ酸1~54を含むか、またはそれからなる。
【0090】
特定の実施形態では、BCMAタンパク質は、配列番号22に示されるアミノ酸配列またはその断片と、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%同一であるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0091】
本明細書に記載の抗BCMA抗体は、免疫グロブリン、重鎖抗体、軽鎖抗体、LRRベースの抗体、または抗体様特性を有する他のタンパク質足場、ならびに例えば、Fab、Fab’、Fab’2、Fab2、Fab3、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、SMIP、抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ、DVD、BiTe、TandAbなどを含む当該技術分野で公知のその他の免疫学的結合部分、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。抗体の異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構成は、当該技術分野で知られている。
【0092】
抗体は、4つのポリペプチド鎖、例えば、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖の免疫グロブリン分子であり得る。重鎖は、重鎖可変ドメイン及び重鎖定常ドメインを含むことができる。重鎖定常ドメインは、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び場合によってはCH4領域を含むことができる。適切な重鎖定常領域は、任意の免疫グロブリン(例えば、IgA、IgG、またはIgE)に由来し得る。いくつかの実施形態では、適切な重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、またはIgG4に由来し得る。特定の実施形態では、適切な重鎖定常領域はIgG1に由来する。軽鎖は、軽鎖可変ドメイン及び軽鎖定常ドメインを含むことができる。軽鎖定常ドメインは、カッパ軽鎖またはラムダ軽鎖のいずれかを含むことができる。重鎖の重鎖可変ドメイン及び軽鎖の軽鎖可変ドメインは、典型的には、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる可変性の領域にさらに分割され得る。そのような重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、アミノ末端からカルボキシル末端までFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置された、3つのCDRと4つのフレームワーク領域を含むことができる。これらのうちの1つ以上は、本明細書に記載されているように操作することができる。それぞれのドメインへのアミノ酸の割り当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987 and 1991))、またはChothia & Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987);Chothia et al.Nature 342:878-883(1989)の定義に従う。本明細書で使用される場合、CDRは、重鎖(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及び軽鎖(LCDR1、LCDR2、LCDR3)のそれぞれについて言及される。
【0093】
本発明の実施形態は、IMGT、Kabat、及びChothiaナンバリングシステムなどの従来のナンバリングシステムを使用して識別される、本明細書に記載のvH及びvLドメインに見出されるCDRを含む抗体を含む。そのようなナンバリングシステムは、当該技術分野において周知である。
【0094】
重鎖可変領域
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、共通の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、以下の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)配列を含む:
vHCDR1:SYAIH(配列番号2)
vHCDR2:VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)
vHCDR3:AKFGEPQYFQH(配列番号4)
【0095】
特定の実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムに従って識別される。
【0096】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域(VH)は、QITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSS(配列番号1)のアミノ酸配列を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、
QITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号54)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号54に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有し、一方で本明細書に記載のvH CDR1、vHCDR2、及び/またはvHCDR3の配列のうちの1つ以上をさらに含む重鎖アミノ酸配列を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1と同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、VHは、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約70%、75%、80%(例えば、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VHは、配列番号1に示されるアミノ酸配列に対して約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号1と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下のアミノ酸置換を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、抗BCMA可変重鎖領域は、以下の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる:
cagatcactttaagggagagcggaggcgatgtggtgcagcccggtcgttctttaagactgagctgtgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatccactgggtgagacaagctcccggtaaaggtttagagtgggtggctgtgacttggcacgacggctccaacaagtactatgccgagagcgtgatgggtcgtttcaccatctctcgtgacaacagcaagaacactttatatttacacatgaactctttaagggccgaggacaccggcgtgtactactgcgccagagccaagttcggcgagccccagtacttccagcactggggccaaggtacactggtgaccgtgtccagc(配列番号55)
【0101】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体重鎖は、
cagatcactttaagggagagcggaggcgatgtggtgcagcccggtcgttctttaagactgagctgtgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatccactgggtgagacaagctcccggtaaaggtttagagtgggtggctgtgacttggcacgacggctccaacaagtactatgccgagagcgtgatgggtcgtttcaccatctctcgtgacaacagcaagaacactttatatttacacatgaactctttaagggccgaggacaccggcgtgtactactgcgccagagccaagttcggcgagccccagtacttccagcactggggccaaggtacactggtgaccgtgtccagcgctagcaccaagggcccatcggtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagagagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtataccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctatagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtccccgggt(配列番号56)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる。
【0102】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号56と同一の核酸配列を有するポリヌクレオチドによってコードされる重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号54と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下のアミノ酸置換を含む抗体をコードする核酸配列を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号9に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされ、一方で、本明細書に記載のvHCDR1、vHCDR2、及び/またはvHCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、共通の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、以下の重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)配列を含む:
vHCDR1:SYAIH(配列番号2)
vHCDR2:VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)
vHCDR3:AKFGEPQYFQH(配列番号4)
【0105】
特定の実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムに従って識別される。
【0106】
いくつかの実施形態では、重鎖の可変領域は、EVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTTVTVSS(配列番号9)のアミノ酸配列を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、
EVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号57)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号57に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列を含み、一方で、本明細書に記載のvHCDR1、vHCDR2、及び/またはvHCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号57と同一の重鎖アミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、VHは、配列番号9に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%)同一または相同であるアミノ酸配列を含む。例えば、VHは、配列番号9に示されるアミノ酸配列に対して約70%、75%、80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約100%同一または相同であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号9と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下のアミノ酸置換を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、抗BCMA可変重鎖は、以下の核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされる:
gaggtgcagttagtggagagcggaggcgatgtggtgcagcccggtcgttctttaagactgagctgtgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatccactgggtgagacaagctcccggtaaaggtttagagtgggtggctgtgacttggcacgacggctccaacaagtactatgccgagagcgtgatgggtcgtttcaccatctctcgtgacaacagcaagaacactttatatttacacatgaactctttaagggccgaggacaccggcgtgtactactgcgccagagccaagttcggcgagccccagtacttccagcactggggccaaggtacaaccgtgaccgtgtccagc(配列番号58)
【0111】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体をコードするポリヌクレオチドは、
gaggtgcagttagtggagagcggaggcgatgtggtgcagcccggtcgttctttaagactgagctgtgccgccagcggcttcaccttcagcagctacgccatccactgggtgagacaagctcccggtaaaggtttagagtgggtggctgtgacttggcacgacggctccaacaagtactatgccgagagcgtgatgggtcgtttcaccatctctcgtgacaacagcaagaacactttatatttacacatgaactctttaagggccgaggacaccggcgtgtactactgcgccagagccaagttcggcgagccccagtacttccagcactggggccaaggtacaaccgtgaccgtgtccagcgctagcaccaagggcccatcggtcttccccctggcaccctcctccaagagcacctctgggggcacagcggccctgggctgcctggtcaaggactacttccccgaaccggtgacggtgtcgtggaactcaggcgccctgaccagcggcgtgcacaccttcccggctgtcctacagtcctcaggactctactccctcagcagcgtggtgaccgtgccctccagcagcttgggcacccagacctacatctgcaacgtgaatcacaagcccagcaacaccaaggtggacaagagagttgagcccaaatcttgtgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtataccctgcccccatcccgggaggagatgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcagccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctatagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtccccgggt(配列番号59)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖核酸配列を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号59と同一の重鎖核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号9と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下のアミノ酸置換を含む抗体をコードする核酸配列を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号59に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する重鎖アミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドによってコードされ、一方で、本明細書に記載のvHCDR1、vHCDR2、及び/またはvHCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【表1】
【0114】
当業者によって理解されるように、任意のそのような重鎖CDR配列は、例えば、分子生物学の技術によって、本明細書で開示されるまたは他に当該技術分野で知られる任意の形式の抗体またはその抗原結合断片に存在し得るような、本明細書で開示されるまたは他に当該技術分野で知られる任意のフレームワーク領域、CDR、または定常ドメイン、またはその一部を含む、本明細書に提供されるか、そうでなければ当該技術分野で既知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
【0115】
本明細書に記載されるさまざまな操作された抗体において、重鎖定常ドメインは、任意のクラス(またはサブクラス)であり得る。本明細書に記載のさまざまな操作された抗体において、重鎖定常ドメインは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2などのサブクラスを含む、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEのうちの1つ以上のいずれかのアミノ酸配列を含み得る。さまざまな実施形態では、本明細書に記載の操作された抗体の定常ドメインは、免疫グロブリン重鎖定常ドメインの2つ以上のクラス(またはサブクラス)の混合物を含み得る。例えば、抗BCMA抗体は、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEクラスの定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第1の部分と、第1のものとは異なる、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEクラスの定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第2の部分とを含むことができる。場合によっては、本明細書に記載の抗BCMA抗体の定常ドメインは、定常ドメインの特定のクラスの2つ以上のサブクラスの混合物、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラス定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第1の部分と、第1とは異なる、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラス定常ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインの配列を有する定常ドメインの第2の部分とを含むことができる。いくつかの特定の実施形態では、定常ドメインは、IgG2定常ドメインの全部または一部と、IgG4定常ドメインの全部または一部と、を含む。
【0116】
場合によっては、抗BCMA抗体は、1つ以上のFc受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、またはFcRn受容体)に対する(参照定常領域と比べて)改変された結合を示す抗体定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、1つ以上のFγc受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、またはFcγRIV)に対する(参照定常領域と比べて)減少した結合を示す抗体定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、血清pHで、及び/または細胞内pHで(参照定常領域と比較して)FcRn受容体への増加した結合を示す抗体定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。
【0117】
例えば、抗BCMA抗体は、アミノ酸残基251~256、285~290、308~314、385~389、及び428~436(Kabatナンバリング(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH))のうちの1つ以上の、アミノ酸付加、欠失、または置換を含むように操作されたIgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片を含み得る。理論に拘束されることは望まないが、これらの定常領域、Fc領域、またはFc断片アミノ酸のうちの1つ以上が、Fc受容体、例えばFcRnとの相互作用を媒介すると考えられている。いくつかの実施形態では、これらの開示されたアミノ酸の1つ以上が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで置換されている。いくつかの実施形態では、非ヒスチジン残基がヒスチジン残基で置換されている。いくつかの実施形態では、ヒスチジン残基が非ヒスチジン残基で置換されている。
【0118】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、位置308、309、311、312、及び314のうちの1つ以上にアミノ酸改変を有するIgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、308位、309位、311位、312位、及び314位のうちの1つ以上での置換は、それぞれトレオニン、プロリン、セリン、アスパラギン酸、及びロイシンによるものである。いくつかの実施形態では、308位、309位、及び311位のうちの1つ以上の残基が、それぞれイソロイシン、プロリン、及びグルタミン酸で置換されている。さらに他の実施形態では、308位、309位、311位、312位、及び314位のうちの1つ以上の残基が、それぞれトレオニン、プロリン、セリン、アスパラギン酸、及びロイシンで置換されている。
【0119】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、位置251、252、254、255、及び256のうちの1つ以上にアミノ酸改変を有する、より具体的には、これらの位置のうちの1つ以上に置換を有する、IgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、残基251はロイシンまたはアルギニンで置換され、残基252はロイシン、チロシン、フェニルアラニン、セリン、トリプトファン、またはトレオニンで置換され、残基254はトレオニンまたはセリンで置換され、残基255はロイシン、グリシン、イソロイシン、またはアルギニンで置換され、及び/または残基256は、セリン、フェニルアラニン、アルギニン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニン、アスパラギン、またはトレオニンで置換されている。いくつかの実施形態では、残基251はロイシンで置換され、残基252はチロシンまたはロイシンで置換され、残基254はトレオニンまたはセリンで置換され、及び/または残基255はアルギニンで置換されている。さらに他の実施形態では、残基252はフェニルアラニンで置換され、及び/または残基256はアスパラギン酸で置換されている。いくつかの実施形態では、残基251はロイシンで置換され、残基252はチロシンで置換され、残基254はトレオニンまたはセリンで置換され、及び/または残基255はアルギニンで置換されている。
【0120】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、位置428、433、434、435、及び436のうちの1つ以上にアミノ酸改変を有する、より具体的には、これらの位置のうちの1つ以上に置換を有する、IgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、残基428は、メチオニン、トレオニン、ロイシン、フェニルアラニン、またはセリンで置換され、残基433は、リジン、アルギニン、セリン、イソロイシン、プロリン、グルタミン、またはヒスチジンで置換され、残基434は、フェニルアラニン、チロシン、またはヒスチジンで置換され、残基435はチロシンで置換され、及び/または残基436は、ヒスチジン、アスパラギン、アルギニン、トレオニン、リジン、メチオニン、またはトレオニンで置換されている。いくつかの実施形態では、433位、434位、435位、及び436位のうちの1つ以上の残基は、それぞれリジン、フェニルアラニン、チロシン、及びヒスチジンで置換されている。いくつかの実施形態では、残基428はメチオニンで置換され、及び/または残基434はチロシンで置換されている。
【0121】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、位置385、386、387、及び389のうちの1つ以上にアミノ酸改変を有する、より具体的には、これらの位置のうちの1つ以上に置換を有する、IgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む。いくつかの実施形態では、残基385は、アルギニン、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、ヒスチジン、リジン、またはアラニンで置換され、残基386は、トレオニン、プロリン、アスパラギン酸、セリン、リジン、アルギニン、イソロイシン、またはメチオニンで置換され、残基387は、アルギニン、ヒスチジン、セリン、トレオニン、アラニン、またはプロリンで置換され、及び/または残基389はプロリンまたはセリンで置換されている。いくつかの実施形態では、385位、386位、387位、及び389位のうちの1つ以上の残基は、アルギニン、トレオニン、アルギニン、及びプロリンでそれぞれ置換されている。いくつかの実施形態では、385位、386位、及び389位のうちの1つ以上の残基は、それぞれアスパラギン酸、プロリン、及びセリンで置換されている。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、以下の置換のうちの1つ以上を有するIgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片を含む:残基251でのロイシン、残基252でのチロシンまたはロイシン、残基254でのトレオニンまたはセリン、残基255でのアルギニン、残基308でのトレオニン、残基309でのプロリン、残基311でのセリン、残基312でのアスパラギン酸、残基314でのロイシン、残基385でのアルギニン、残基386でのトレオニン、残基387でのアルギニン、残基389でのプロリン、残基428でのメチオニン、残基433でのリジン、残基434でのフェニルアラニンまたはチロシン、位置435でのチロシン、及び/または436位でのチロシン。定常領域、Fc領域、またはFc断片に含めることができる追加のアミノ酸置換としては、例えば、米国特許第6,277,375号;同第8,012,476号;及び同第8,163,881号に記載されるものが挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、例えば、PCT公開番号WO94/28027及びWO98/47531;ならびにXu et al.(2000)Cell Immunol 200:16-26に記載されたAla-Ala変異を含む重鎖定常ドメインを含む。したがって、いくつかの実施形態では、Ala-Ala変異を含む重鎖定常領域内に1つ以上の変異を有する抗BCMA抗体は、エフェクター機能が低下しているか、またはエフェクター機能を有していない。これらの実施形態によれば、本明細書に記載の抗BCMA抗体の定常領域は、234位でアラニンへの置換、及び/または235位(EUナンバリング)でのアラニンへの変異を含み得る。
【0124】
当業者によって理解されるように、任意のそのような重鎖定常ドメイン配列は、例えば、分子生物学の技術によって、本明細書で開示されるまたは他に当該技術分野で知られる任意の形式の抗体またはその抗原結合断片に存在し得るような、本明細書で開示されるまたは他に当該技術分野で知られる任意のフレームワーク領域、CDR、または定常ドメイン、またはその一部を含む、本明細書に提供されるか、そうでなければ当該技術分野で既知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
【0125】
軽鎖可変領域
軽鎖相補性決定領域LCDR1~3を含む、1つ以上の軽鎖可変領域に種々の特定の配列を含むBCMA抗体またはその断片も提供される。種々の実施形態では、指定された軽鎖可変領域を有する分子は、上で議論されたように重鎖配列と共に提供される。特定の実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムに従って識別される。
【0126】
したがって、いくつかの態様では、本発明は、RASQGISSYLA(配列番号11)(LCDR1)、AASTLQS(配列番号7)(LCDR2)、及びQQLNSYPWT(配列番号14)(LCDR3)の相補性決定領域(CDR)配列を有する軽鎖可変領域を含む、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0127】
いくつかの実施形態では、本発明は、RASQGINNYLA(配列番号6)(LCDR1)、AASTLQS(配列番号7)(LCDR2)、及びQQLKSYPFT(配列番号8)(LCDR3)の相補性決定領域(CDR)配列を有する軽鎖可変領域を含む、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0128】
いくつかの実施形態では、本発明は、RASQGISSYLA(配列番号11)(LCDR1)、AASTLQS(配列番号7)(LCDR2)、及びQQLNSYPFT(配列番号12)(LCDR3)の相補性決定領域(CDR)配列を有する軽鎖可変領域を含む、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本発明は、配列番号5、10、または13のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)を含む抗BCMA抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0130】
いくつかの例では、本発明は、SYAIH(配列番号2)(HCDR1)、VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)(HCDR2)、及びAKFGEPQYFQH(配列番号4)(HCDR3)の重鎖可変相補性決定領域(CDR)配列と、RASQGISSYLA(配列番号11)(LCDR1)、AASTLQS(配列番号7)(LCDR2)、及びQQLNSYPWT(配列番号14)(LCDR3)の相補性決定領域(CDR)配列を有する軽鎖可変領域と、を含むBCMA抗体またはその断片を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、SYAIH(配列番号2)(HCDR1)、VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)(HCDR2)、及びAKFGEPQYFQH(配列番号4)(HCDR3)の重鎖可変相補性決定領域(CDR)配列と、RASQGINNYLA(配列番号6)(LCDR1)、AASTLQS(配列番号7)(LCDR2)、及びQQLKSYPFT(配列番号8)(LCDR3)の相補性決定領域(CDR)配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、SYAIH(配列番号2)(HCDR1)、VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)(HCDR2)、及びAKFGEPQYFQH(配列番号4)(HCDR3)の重鎖可変相補性決定領域(CDR)配列と、RASQGISSYLA(配列番号11)(LCDR1)、AASTLQS(配列番号7)(LCDR2)、及びQQLNSYPFT(配列番号12)(LCDR3)の相補性決定領域(CDR)配列を有する軽鎖可変領域と、を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、配列番号5に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変(VL)領域と、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変(VH)領域と、を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、配列番号10に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%同一である核酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変(VL)領域と、配列番号9に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%同一である核酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変(VH)領域と、を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、配列番号13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖可変(VL)領域と、配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖可変(VH)領域と、を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、表2に示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域(VL)及び/またはLCDRを含む。
【表2】
【0137】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号5、10、または13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する可変軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号5、10、または13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%の配列同一性を有する可変軽鎖アミノ酸配列を含み、一方で、本明細書に記載のvLCDR1、vLCDR2、及び/またはvLCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号73、74、または75に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号73:
DIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPWTFGQGTKVDIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号73)対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号74:
DIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGINNYLAWYQQKPGIAPKLLIYAASTLQSGVPSRFGGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLKSYPFTFGPGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号74)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号75:
DIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPFTFGPGTKVDIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号75)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号73、74、または75に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖アミノ酸配列を含み、一方で、本明細書に記載のvL CDR1、vLCDR2、及び/またはvLCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、配列番号5、10、及び13と同一の可変軽鎖(VL)アミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号5、10、及び13と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下のアミノ酸置換を含む。
【0145】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号76~78に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号76~78と同一の軽鎖核酸配列を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号76:
gacatcgtgatgacccagagccccagctttctgagcgccagcgtgggcgatcgtgtgaccatcacttgtcgtgccagccaaggtatcagcagctatttagcttggtaccagcagaagcccggcaaggcccccaagctgctgatctacgccgccagcactttacagagcggcgtgccttctcgtttttctggcagcggctctggcaccgagttcactttaaccatcagctctttacagcccgaggacttcgccacctattactgccagcagctgaactcctacccttggaccttcggccaaggtaccaaggtggacatcaagcgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgt(配列番号76)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖核酸配列を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号77、
gacatcgtgatgacccagagccctagctttttaagcgccagcgtgggcgacagagtgaccatcacttgtcgtgccagccaaggtatcaacaactatttagcttggtaccagcagaagcccggtatcgcccccaagctgctgatctacgccgccagcacactgcagagcggcgtgcctagcagatttggtggcagcggctctggcacagagttcactttaaccatcagctctttacagcccgaggacttcgccacctactactgccagcagctgaagagctaccccttcaccttcggccccggcaccaaggtggagatcaagcgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgt(配列番号77)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖核酸配列を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号78:
gacatcgtgatgacccagagccctagctttttaagcgccagcgtgggcgacagagtgaccatcacttgtcgtgccagccaaggtatcagcagctatttagcttggtaccagcagaagcccggcaaggcccccaagctgctgatctacgccgccagcactttacagagcggagtgcctagcagattcagcggcagcggctccggcaccgagttcactttaaccatcagctctttacagcccgaggacttcgccacctactactgccagcagctgaacagctaccccttcaccttcggccccggcaccaaggtggacatcaagcgtacggtggctgcaccatctgtcttcatcttcccgccatctgatgagcagttgaaatctggaactgcctctgttgtgtgcctgctgaataacttctatcccagagaggccaaagtacagtggaaggtggataacgccctccaatcgggtaactcccaggagagtgtcacagagcaggacagcaaggacagcacctacagcctcagcagcaccctgacgctgagcaaagcagactacgagaaacacaaagtctacgcctgcgaagtcacccatcagggcctgagctcgcccgtcacaaagagcttcaacaggggagagtgt(配列番号78)に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有する軽鎖核酸配列を含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号5、10、及び13と比べて、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、または2個以下のアミノ酸置換を含む抗体をコードする核酸配列を含む。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその抗原結合断片の軽鎖は、3つのLCDRを含み、
LCDR1は、RASQGIX1X2YLA(配列番号79)を含み、
LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)を含み、及び/または、
LCDR3は、QQLX3SYPX4T(配列番号80)を含み、
式中、X1は、SまたはNから選択され、
X2は、SまたはNから選択され、
X3は、NまたはKから選択される荷電アミノ酸であり、及び/または
X4は、FまたはWから選択される疎水性アミノ酸である。
【0151】
当業者によって理解されるように、任意のそのような軽鎖CDR配列は、例えば、分子生物学の技術によって、本明細書で開示されるまたは他に当該技術分野で知られる任意の形式の抗体またはその抗原結合断片に存在し得るような、本明細書で開示されるまたは他に当該技術分野で知られる任意のフレームワーク領域、CDR、または定常ドメイン、またはその一部を含む、本明細書に提供されるか、そうでなければ当該技術分野で既知の任意の他の抗体配列またはドメインと容易に組み合わせることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、任意の軽鎖定常ドメイン配列、例えば当業者に知られている軽鎖の定常配列を含む軽鎖を含む。当業者が認識するように、軽鎖定常ドメインは、カッパ軽鎖定常ドメインまたはラムダ軽鎖定常ドメインであり得る。特定の実施形態では、本明細書に開示される軽鎖の定常ドメインは、カッパ軽鎖定常ドメインである。種々の実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、軽鎖定常ドメインを含む。
【0153】
例示的な抗体
操作された抗体は、本明細書に記載のさまざまな重鎖及び軽鎖を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、2つの重鎖及び軽鎖を含み得る。さまざまな実施形態では、本開示は、少なくとも1つの本明細書に開示される重鎖及び/または軽鎖、少なくとも1つの本明細書に開示される重鎖フレームワークドメイン及び/または軽鎖フレームワークドメイン、少なくとも1つの本明細書に開示される重鎖CDRドメイン及び/または軽鎖CDRドメイン、及び/または本明細書に開示される任意の重鎖定常ドメイン及び/または軽鎖定常ドメインを含む抗体を包含する。
【0154】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1と同一の免疫グロブリンVHアミノ酸配列と、配列番号13と同一の免疫グロブリンVLアミノ酸配列と、を含む。いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、配列番号13に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVL領域と;配列番号1に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVH領域と、を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号1及び/または配列番号13に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVH及び/またはVLアミノ酸配列を含み、一方で、本明細書に記載のvH CDR1、vHCDR2、vHCDR3、vLCDR1、vLCDR2、及び/またはvLCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、共通の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、以下のvHCDR配列及びvLCDR配列を含む:
vHCDR1:SYAIH(配列番号2)
vHCDR2:VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)
vHCDR3:AKFGEPQYFQH(配列番号4)
vLCDR1:RASQGISSYLA(配列番号11)
vLCDR2:AASTLQS(配列番号7)
vLCDR3:QQLNSYPWT(配列番号14)
【0156】
特定の実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムに従って識別される。
【0157】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号1と同一の免疫グロブリンVHアミノ酸配列と、配列番号5と同一の免疫グロブリンVLアミノ酸配列と、を含む。いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、配列番号5に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVL領域と、配列番号1に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVH領域と、を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号5及び/または配列番号1に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVH及び/またはVLアミノ酸配列を含み、一方で、本明細書に記載のvH CDR1、vHCDR2、vHCDR3、vLCDR1、vLCDR2、及び/またはvLCDR3配列のうちの1つ以上をも含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、共通の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、以下のvHCDR配列及びvLCDR配列を含む:
vHCDR1:SYAIH(配列番号2)
vHCDR2:VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)
vHCDR3:AKFGEPQYFQH(配列番号4)
vLCDR1:RASQGINNYLA(配列番号6)
vLCDR2:AASTLQS(配列番号7)
vLCDR3:QQLKSYPFT(配列番号8)
【0159】
特定の実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムに従って識別される。
【0160】
いくつかの実施形態では、操作された抗体は、配列番号9と同一の免疫グロブリンVHアミノ酸配列と、配列番号10と同一の免疫グロブリンVLアミノ酸配列と、を含む。いくつかの実施形態では、BCMA抗体またはその断片は、配列番号10に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVL領域と、配列番号9に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む免疫グロブリンVH領域と、を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、配列番号9及び/または配列番号10に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するVH及び/またはVLアミノ酸配列を含み、一方で、本明細書に記載のvH CDR1、vHCDR2、vHCDR3、vLCDR1、vLCDR2、及び/またはvLCDR3のうちの1つ以上をも含む。
【0161】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、共通の重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は、以下のvHCDR配列及びvLCDR配列を含む:
vHCDR1:SYAIH(配列番号2)
vHCDR2:VTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)
vHCDR3:AKFGEPQYFQH(配列番号4)
vLCDR1:RASQGISSYLA(配列番号11)
vLCDR2:AASTLQS(配列番号7)
vLCDR3:QQLNSYPFT(配列番号12)
【0162】
特定の実施形態では、CDRは、Kabatナンバリングシステムに従って識別される。
【0163】
例示的な単鎖可変断片
いくつかの実施形態では、本開示は、単鎖可変断片を提供する。いくつかの実施形態では、scFvはヒトscFvである。「単鎖可変断片」または「scFv」は、VH::VLヘテロ二量体を形成するために共有結合された、免疫グロブリン(例えば、マウスまたはヒト)の重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を指す。重鎖(VH)と軽鎖(VL)は、直接結合されるか、またはVHのN末端をVLのC末端に、もしくはVHのC末端をVLのN末端に接続する、ペプチドコードリンカー(例えば、10、15、20、25個のアミノ酸)によって結合される。リンカーは通常、柔軟性のためにグリシンが豊富で、溶解性のためにセリンまたはトレオニンが豊富である。リンカーは、細胞外抗原結合ドメインの重鎖可変領域と軽鎖可変領域を連結することができる。リンカーの非限定的な例は、Shen et al.,Anal.Chem.80(6):1910-1917(2008)及びWO2014/087010に開示され、それらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、リンカーは、G4Sリンカーである。
【0164】
代替的にまたは追加的に、scFvは、(例えば、Fabライブラリから得られた抗体からではなく)Fab’に由来してもよい。特定の実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片はFabである。特定の実施形態では、Fabは架橋されている。特定の実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片はF(ab)2である。前述の分子のいずれも、異種配列との融合タンパク質に含まれて、抗BCMA抗原抗体またはその抗原結合断片を形成することができる。
【0165】
特定の実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、少なくとも約1×10-12M、少なくとも約1×10-7M、少なくとも約1×10-8M、少なくとも約1×10-9M、または少なくとも約1×10-10Mの解離定数(Kd)でBCMA(例えば、ヒトBCMA)に結合する。特定の実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、少なくとも約2×10-8Mの解離定数(KD)でBCMA(例えば、ヒトBCMA)に結合する。特定の実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、約2×10-8M~約8×10-9Mの解離定数(KD)でBCMA(例えば、ヒトBCMA)に結合する。
【0166】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、約1nM~50nM、約5nM~30nM、約5nM~25nM、または約8nM~20nMの解離定数(KD)でBCMA(例えば、ヒトBCMA)に結合する。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、少なくとも約50nM、少なくとも約40nM、少なくとも約35nM、少なくとも約30nM、少なくとも約25nM、少なくとも約20nM、少なくとも約19nM、少なくとも約18nM、少なくとも約17nM、少なくとも約16nM、少なくとも約15nM、少なくとも約14nM、少なくとも約13nM、少なくとも約12nM、少なくとも約11nM、少なくとも約10nM、少なくとも約9nM、少なくとも約8nM、少なくとも約7nM、少なくとも約6nM、少なくとも約5nMの解離定数(KD)でBCMA(例えば、ヒトBCMA)に結合する。
【0167】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、配列番号1~4を含む可変重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、表1に提供される1つ以上のCDR配列を含む可変重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、表2に提供される1つ以上の軽鎖配列を含む可変軽鎖を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下に提供される配列番号15に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるリンカーを含む:
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号15)。いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下に提供される配列番号81に示される核酸配列を含むか、またはそれからなるリンカーを含む:
ggagggggcggtagcggagggggaggatctgggggtgggggctcc(配列番号81)
【0169】
いくつかの実施形態では、リンカーは、以下に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGSGGGGS(配列番号16)
【0170】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下に提供される配列番号82に示される核酸配列を含むか、またはそれからなるリンカーを含む:
ggggggggggggagcggagggggggggagtggtggggggtcaggagggggaggaagt(配列番号82)
【0171】
いくつかの実施形態では、リンカーは、以下に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS(配列番号17)
【0172】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下に提供される配列番号83に示される核酸配列を含むか、またはそれからなるリンカーを含む:
gggggagggggatcaggaggcggtgggagcgggggaggtggatccggtggagggtcaggaggtggagggtcc(配列番号83)。
【0173】
いくつかの実施形態では、リンカーは、以下に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS(配列番号18)
【0174】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下に提供される配列番号84に示される核酸配列を含むか、またはそれからなるリンカーを含む:
ggtggtggcggcagcggcggcggcggtagcggtggcggcggttctggaggaggaggcagcggtggaggaagcggaggtggaggctcc(配列番号84)。
【0175】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体またはその断片は、保存的配列改変を含む(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片)。いくつかの実施形態では、保存的配列改変は、アミノ酸配列を含む本開示の抗BCMA抗体またはその断片(例えば、抗体またはその断片)の結合特性に有意な影響を及ぼさないか、またはそれらの結合特性を変更しないアミノ酸改変である。保存的改変としては、アミノ酸の置換、付加、及び欠失が含まれる。改変は、部位特異的変異導入及びPCR媒介変異導入などの当該技術分野で知られている標準的な技術によって、抗BCMA抗体またはその断片に導入することができる。アミノ酸は、それらの電荷及び極性などの物理化学的性質に応じてグループに分類できる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が同じグループ内のアミノ酸で置き換えられているものである。例えば、アミノ酸は電荷によって分類できる:正電荷のアミノ酸にはリジン、アルギニン、ヒスチジンが含まれ、負電荷のアミノ酸にはアスパラギン酸、グルタミン酸が含まれ、中性電荷のアミノ酸にはアラニン、アスパラギン、システイン、グルタミン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが含まれる。さらに、アミノ酸は極性によって分類できる:極性アミノ酸には、アルギニン(塩基性極性)、アスパラギン、アスパラギン酸(酸性極性)、グルタミン酸(酸性極性)、グルタミン、ヒスチジン(塩基性極性)、リジン(塩基性極性)セリン、トレオニン、及びチロシンが含まれ;非極性アミノ酸には、アラニン、システイン、グリシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、及びバリンが含まれる。したがって、CDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基を同じグループからの他のアミノ酸残基で置換することができ、改変された抗体を保持された機能について試験することができる。特定の実施形態では、特定の配列またはCDR領域内の1つ以下、2つ以下、3つ以下、4つ以下、5つ以下の残基が改変される。
【0176】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下のアミノ酸配列を含む:EVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPFTFGPGTKVDIK(配列番号85)
【0177】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下のアミノ酸配列を含む:
QITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGINNYLAWYQQKPGIAPKLLIYAASTLQSGVPSRFGGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLKSYPFTFGPGTKVEIK(配列番号86)
【0178】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、以下のアミノ酸配列を含む:
QITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPWTFGQGTKVDIK(配列番号87)
【0179】
いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、配列番号51~53のいずれかに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、配列番号51~53のいずれかに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一方で、それぞれの可変領域を含む。いくつかの実施形態では、抗BCMA scFvは、配列番号51~53のいずれかに対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、一方で、それぞれのCDR領域を含む。
【0180】
ヌクレオチド配列
本開示は、1つ以上の重鎖、重鎖可変ドメイン、重鎖フレームワーク領域、重鎖CDR、重鎖定常ドメイン、軽鎖、軽鎖可変ドメイン、軽鎖フレームワーク領域、軽鎖CDR、軽鎖定常ドメイン、または他の免疫グロブリン様配列、または本明細書に開示される抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド配列は、哺乳動物発現のためにコドン最適化されている。種々の実施形態では、そのようなヌクレオチド配列はベクター内に存在し得る。種々の実施形態では、そのようなヌクレオチドは、細胞、例えば、治療を必要とする対象の細胞、または抗体産生のための細胞、例えば、抗体産生のための哺乳動物細胞のゲノムに存在し得る。
【0181】
操作された抗体と融合タンパク質
いくつかの実施形態では、本開示は、(i)本明細書に記載の1つ以上の抗原結合領域(例えば、免疫グロブリンの抗原結合領域、重鎖抗体、軽鎖抗体、LRRベースの抗体、または抗体様特性を有する他のタンパク質足場、ならびに例えば、Fab、Fab’、Fab’2、Fab2、Fab3、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、SMIP、抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ、DVD、BiTe、TandAbなど)、例えば、本明細書に記載の1つ以上の可変ドメイン、またはその一部(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCDR)と、(ii)1つ以上の追加のポリペプチドと、を含む、融合タンパク質を提供する。例えば、アルブミンは豊富な血清タンパク質であり、FcRnとの相互作用によって媒介されるpH依存性のリサイクルによって分解から保護されている。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の1つ以上の可変ドメインまたは操作された抗体、またはその一部(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCDR)は、アルブミン、その一部(FcRnに結合するアルブミンの一部など)、及び/または改善された親和性でFcRnに結合するアルブミンの操作されたバリアントに融合されている。他の例では、本明細書に記載の1つ以上の可変ドメインまたは操作された抗体、またはその一部(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCDR)は、アルブミンに結合して融合タンパク質-アルブミン複合体を形成するポリペプチドに融合され、結果としてFcRnに結合することができる。いくつかの実施形態では、アルブミンに結合するポリペプチドは、単鎖可変断片(scFv)である。アルブミンまたはその一部は、FcRnへの結合を改変できる1つ以上のアミノ酸の変異を含むことができる。そのような変異は当該技術分野で知られている(例えば、Andersen et al.,Nature Communications 3:610 doi:10.1038/nocmms1607(2012)を参照されたい)。他の例では、本明細書に記載の1つ以上の可変ドメインまたは操作された抗体、またはその一部(例えば、本明細書に記載の1つ以上のCDR)がトランスフェリンに融合されている。トランスフェリンは、トランスフェリン受容体に結合することによってリサイクルされる(例えば、Widera et al.,Adv. Drug Deliv. Rev.55:1439-66(2003)を参照されたい)。
【0182】
キメラ抗原受容体(CAR)
いくつかの例では、BCMA抗体はまた、腫瘍抗原特異的CAR(キメラ抗原受容体、人工T細胞受容体としても知られる)、またはキメラ免疫受容体などの抗原特異的CAR及び/またはCARを発現するように操作された細胞傷害性Tリンパ球(CTL)と組み合わせて使用することができる。一般に、CARは、結合部分、細胞外ヒンジ、及びスペーサー要素、膜貫通領域、及びシグナル伝達機能を果たすエンドドメインを含む(Cartellieri et al.,Biomed Biotechnol 2010:956304,2010)。多くの場合、結合部分は、scFvなどのモノクローナル抗体の抗原結合断片であるか、または単一ドメイン抗体である。いくつかの異なるエンドドメインが、CARを生成するために使用されている。例えば、エンドドメインは、CD3ζまたはFcRΙγなどのIT AMを有するシグナル伝達鎖からなることができる。いくつかの例において、エンドドメインは、少なくとも1つのさらなる共刺激ドメイン(例えば、CD28及び/またはCD137)の細胞内部分をさらに含む。
【0183】
本開示によるBCMA抗体及びその断片は、1つ以上の目的の標的に特異的に結合する1つ以上の結合部分を含むように操作される。scFvまたはFabなどの細胞外抗原結合領域は、抗原特異性を決定するCARの一部であり得る。細胞外抗原結合領域は、任意の相補的な標的(例えば、BCMA)に結合し得る。本明細書に開示される任意の実施形態の特定の態様において、scFvなどの細胞外抗原結合領域は、抗原に特異的な軽鎖CDRを含み得る。軽鎖CDRは、CARのscFv軽鎖などの抗原結合ユニットの相補性決定領域であり得る。BCMA抗体及びその断片には、核酸(例えば、RNA及びDNA)、タンパク質(例えば、抗体)、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0184】
CARを発現するCTLを使用して、腫瘍細胞などの特定の細胞型を標的とすることができる。したがって、腫瘍抗原特異的モノクローナル抗体は、抗原特異的抗体の抗原結合断片を含むCARを発現するCTLを操作するために使用され得、それによって、腫瘍抗原発現腫瘍細胞に対して操作されたCTLを標的化する。操作されたT細胞は、いくつかのタイプのがんのための養子療法のために以前に使用されている(例えば、Park et al.,Mol Ther 15(4):825-833,2007を参照されたい)。CARを発現するT細胞の使用は、CARを発現するCTLがHLA非拘束性であり、したがって、標的抗原を発現する腫瘍を有する任意の患者に使用され得るので、標準的なCTLベースの免疫療法よりも普遍的である。
【0185】
結合部分としての抗体またはその断片
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片は、抗BCMA抗体である。場合によっては、本明細書に記載の1つ以上の結合部分は、抗体、その抗原結合断片、及び/またはそのFc領域(またはFc断片)であるか、またはそれらを含む。IgG抗体の基本構造は、ジスルフィド結合によって一緒に連結された、2つの同一の軽ポリペプチド鎖と2つの同一の重ポリペプチド鎖とからなる。それぞれの鎖のアミノ末端に位置する最初のドメインは、アミノ酸配列が可変であり、各個別の抗体に見られる抗体結合特異性を提供する。これらは、可変重(VH)領域及び可変軽(VL)領域として知られている。それぞれの鎖の他のドメインは、アミノ酸配列が比較的不変であり、定常重(CH)領域及び定常軽(CL)領域として知られている。IgG抗体の場合、軽鎖には1つの可変領域(VL)と1つの定常領域(CL)が含まれる。IgG重鎖は、可変領域(VH)、第1の定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2の定常領域(CH2)、及び第3の定常領域(CH3)を含む。IgE及びIgM抗体では、重鎖に追加の定常領域(CH4)が含まれる。
【0186】
抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、組換え産生抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、操作された抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖及び2つの軽鎖分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖-抗体重鎖対、細胞内抗体、抗体融合体(本明細書では「抗体コンジュゲート」と呼ばれることもある)、ヘテロコンジュゲート抗体、単一ドメイン抗体、一価抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(「抗体模倣体」と呼ばれることもある)、及び上記のいずれかの抗原結合断片が挙げられ得る。特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団を指す。
【0187】
本明細書で使用される場合、「Fc断片」という用語は、Fc機能及び/またはFc受容体への結合など、本明細書に記載の活性を保持するFc領域の1つ以上の断片を指す。本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合部分」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する、抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含される結合断片の例としては、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、dAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546)、及び単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を使用して得ることができ、断片は、無傷の抗体と同一の方法で有用性についてスクリーニングできる。
【0188】
いくつかの態様において、本発明は、ヒト重鎖及び/または軽定常領域を含み、ヒト重定常領域が、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、またはヒトIgG4のFc領域を含むアイソタイプバリアントを含む、ヒトBCMAに結合する抗体またはその断片を提供する。
【0189】
さらなる態様において、本発明は、ヒトBCMAに結合するヒト化抗体またはその断片を提供し、抗体は、親抗体のアミノ酸324位のセリンをアスパラギンで置換するアミノ酸置換S324Nを含むバリアントヒトIgG Fc領域を含み、一方、バリアントヒトIgG Fc領域を含む抗体は、親抗体と比較して改善された補体依存性細胞傷害(CDC)を示す。
【0190】
抗体または断片は、抗体を合成するための当該技術分野で公知の任意の方法によって生成することができる(例えば、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Brinkman et al.,1995,J.Immunol. Methods 182:41-50;WO 92/22324;WO 98/46645を参照されたい)。キメラ抗体は、例えば、Morrison,1985,Science 229:1202に記載されている方法を使用して産生することができ、ヒト化抗体は、例えば、米国特許第6,180,370号に記載される方法による。
【0191】
本明細書に記載のさらなる組成物及び方法は、二重特異性抗体及び多価抗体であり、例えば、Segal et al.,J.Immunol. Methods 248:1-6(2001);及びTutt et al.,J.Immunol.147:60(1991)に記載される。
【0192】
操作された抗原結合領域
いくつかの実施形態では、結合部分は、抗体(例えば、IgG抗体、例えば、IgG1、IgG2、もしくはIgG3抗体)、または抗原結合断片であるか、またはそれを含み、異なる親和性で1つ以上の標的(すなわち、抗原)に結合するように操作される。例えば、抗体は、1つ以上の抗体CDR内及び/または抗体のCDR構造に関与する位置のアミノ酸を改変することによって(例えば、付加、削除、または置換することによって)操作することができる。改変され得る抗体の例示的な非限定的部位としては、以下が挙げられる(アミノ酸位置は、Kabatナンバリング(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH)に基づいて示される)。
【0193】
いくつかの実施形態では、これらの開示されたアミノ酸の1つ以上が、ヒスチジン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで置換され得る。理論に縛られることは望まないが、これらの位置の1つ以上のアミノ酸をヒスチジンで置換すると、pH依存性抗原結合特性を有する抗体が得られると考えられる。いくつかの実施形態では、非ヒスチジン残基がヒスチジン残基で置換されている。いくつかの実施形態では、ヒスチジン残基が非ヒスチジン残基で置換されている。追加の操作された抗原結合領域としては、例えば、米国特許出願公開第20110229489号に記載されるものが挙げられる。
【0194】
操作された定常領域
場合によっては、結合部分は、1つ以上のFc受容体(例えば、FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIB、FcγRIIIA、FcγRIIIB、FcγRIV、またはFcRn受容体)に結合する抗体定常領域、Fc領域、またはFc断片であるか、またはそれらを含む。
【0195】
いくつかの例では、結合部分は、本明細書に記載のアミノ酸残基(例えば、251~256、285~290、308~314、385~389、及び428~436(Kabatナンバリング(Kabat et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,NIH)))のうちの1つ以上の、アミノ酸付加、欠失、または置換を含むように操作されたIgG抗体の定常領域、Fc領域、またはFc断片であり得るか、またはそれらを含み得る。
【0196】
BCMA抗体及びその断片の生成及び産生
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のBCMA抗体は、ヒト化マウスをヒトBCMAで免疫化することによって生成される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片は、1つ以上の結合部分を含むようにさらに操作される。例えば、参照ポリペプチド(例えば、治療用抗体または治療用融合タンパク質)の配列を得ることができ、1つ以上のアミノ酸残基を付加、欠失、または置換することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基は、グリシン、アラニン、セリン、システイン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン、プロリン、ヒスチジン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、バリン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、トレオニン、アスパラギン、またはグルタミンで置換される。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸を含む抗体は、BCMAに対する抗体の結合を増強する置換である。
【0197】
抗体は、最初に宿主動物から抗体及び抗体産生細胞を単離し、遺伝子配列を得て、この遺伝子配列を使用して宿主細胞(例えば、CHO細胞)において抗体を組換え発現させることによって、組換え的に作製され得る。使用され得る別の方法は、植物(例えば、タバコ)またはトランスジェニック乳において抗体配列を発現することである。植物または乳において抗体を組換え発現するための方法が開示されている。例えば、Peeters,et al.Vaccine 19:2756,2001;Lonberg,N.and D.Huszar Int.Rev.Immunol 13:65,1995;及びPollock,et al.,J Immunol Methods 231 :147,1999を参照されたい。抗体の誘導体、例えばヒト化、一本鎖などを作製するための方法は、当該技術分野で公知である。
【0198】
結合部分と標的の相互作用の測定
本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)の標的(例えば、BCMA及び/またはFcRn)への結合特性は、当該技術分野で公知の方法、例えば、以下の方法のうちの1つによって測定することができる:BIACORE分析、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、X線結晶学、配列分析及びスキャニング変異導入。抗体とBCMA及び/またはFcRnとの結合相互作用は、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して分析できる。SPRまたは生体分子相互作用分析(BIA)は、相互作用物質のいずれをも標識することなく、生体特異的な相互作用をリアルタイムで検出する。BIAチップの結合表面における質量の変化(結合事象を示す)は、表面近くの光の屈折率の変化をもたらす。屈折率の変化は検出可能なシグナルを生成し、生体分子間のリアルタイム反応の指標として測定される。SPRを使用するための方法は、例えば、米国特許第5,641,640号;Raether(1988)Surface Plasmons Springer Verlag;Sjolander and Urbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338-2345;Szabo et al.(1995)Curr.Opin. Struct. Biol.5:699-705、及びBIAcore International AB(Uppsala,Sweden)によって提供されるオンライン資料に記載されている。さらに、Sapidyne Instruments(Boise,Id.)から入手可能なKinExA(登録商標)(結合平衡除外法)アッセイも使用できる。
【0199】
SPRからの情報は、標的に対する結合部分(例えば、BCMA及び/またはFcRnに対する抗BCMA抗体)の結合について、平衡解離定数(KD)、ならびにKonとKoffを含む動力学パラメータの正確かつ定量的な測定を提供するために使用できる。このようなデータは、異なる分子を比較するために使用できる。SPRからの情報は、構造活性相関(SAR)の開発にも使用できる。例えば、さまざまなpHレベルでの標的への特定の結合部分の動力学的及び平衡結合パラメータを評価することができる。特定のpHレベルで、特定の結合パラメータ、例えば、高親和性、低親和性、及び遅いKoffと相関する所与の位置のバリアントアミノ酸を同定することができる。
【0200】
II.CARの実施形態
さらに、本開示は、T細胞を含む他の免疫細胞に適する生物学とは対照的に、NK細胞により適切である1つ以上の成分を有するので、BCMA CAR構築物がNK細胞における使用により適している方法及び組成物に関する。
【0201】
いくつかの実施形態では、本発明は、N末端からC末端に向けて、(i)BCMAに対する単鎖可変断片(scFv)(すなわち、「BCMA結合因子」)、(ii)ヒンジ領域、(iii)膜貫通ドメイン、及び(iv)1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、少なくとも1つの共刺激ドメイン及び活性化ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)融合タンパク質に関する。
【0202】
特定の実施形態では、本開示は、BCMAを発現するがん細胞を標的にするためのNK細胞(例えば、臍帯血(CB)由来NK細胞)の再プログラミングに関する。本開示は、ヒンジ領域、特にCD28またはIgG1ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、ならびにCD247(CD3ζとしても知られる)及びCD28の細胞質部分を含むシグナル伝達ドメインに融合された異なるBCMA scFvを組み込む多くの新規CAR構築物を提供する。代替的な実施形態では、CD28以外の他の共刺激ドメイン(複数可)が利用される。
【0203】
BCMA結合因子
本発明による適切なBCMA結合因子は、BCMAに特異的に結合するscFvであり得る。典型的には、scFvは、VH-リンカー-VLまたはVL-リンカー-VHの形態であり得る。
【0204】
VH鎖及びVL鎖を連結する特定のリンカーが利用され得る。リンカーアミノ酸配列の一例は以下の通りである:
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号15)、またはGGGGSGGGGSGGGSGGGGS(配列番号16)、またはGGGGSGGGGSGGGGSGGGSGGGGS(配列番号17)、またはGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号18)、またはGGTGGTGGTGGTTCTGGTGGTGGTGGTTCTGGCGGCGGCGGCTCCGGTGGTGGTGGATCC(配列番号24)。いくつかの実施形態では、リンカーは、配列番号15~18及び24と、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、リンカーは、GGGGSGGGGSGGGSGGGGS(配列番号16)のアミノ酸配列を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARのBCMA結合因子領域は、可変重鎖領域(VH)及び可変軽鎖領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合因子は、VH領域及びVL領域にそれぞれ、3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)すなわちHCDR1、HCDR2、及びHCDR3と、3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)、すなわちLCDR1、LCDR2、及びLCDR3とを含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、HCDR1はSYAIH(配列番号2)のアミノ酸配列を含み、HCDR2はVTWHDGSNKYYAESVMG(配列番号3)のアミノ酸配列を含み、HCDR3はAKFGEPQYFQH(配列番号4)のアミノ酸配列を含む。
【0208】
いくつかの実施形態では、LCDR1はRASQGINNYLA(配列番号6)のアミノ酸配列を含み、LCDR2はAASTLQS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、LCDR3はQQLKSYPFT(配列番号8)のアミノ酸配列を含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、LCDR1は、RASQGISSYLA(配列番号11)のアミノ酸配列を含み、LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、QQLNSYPFT(配列番号12)のアミノ酸配列を含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、LCDR1は、RASQGISSYLA(配列番号11)のアミノ酸配列を含み、LCDR2は、AASTLQS(配列番号7)のアミノ酸配列を含み、LCDR3は、QQLNSYPWT(配列番号14)のアミノ酸配列を含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、BCMA結合因子の重鎖可変領域(VH)は、以下のアミノ酸配列を含む:
QITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSS(配列番号1)。
【0212】
CDR配列以外の任意の位置における任意のアミノ酸置換は、別のアミノ酸、例えば、保存的アミノ酸置換(本明細書に定義される)に変更され得ることが想定される。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して70%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して75%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して85%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して95%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号1に対して99%同一である配列を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、BCMA結合因子の重鎖可変領域(VH)は、アミノ酸配列:
EVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTTVTVSS(配列番号9)を含む。
【0214】
CDR配列以外の任意の位置における任意のアミノ酸置換は、別のアミノ酸、例えば、保存的アミノ酸置換(本明細書に定義される)に変更され得ることが想定される。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して70%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して75%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して85%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して95%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号9に対して99%同一である配列を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、BCMA結合因子は、軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、VLは、以下のアミノ酸配列を含む:
DIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGINNYLAWYQQKPGIAPKLLIYAASTLQSGVPSRFGGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLKSYPFTFGPGTKVEIK(配列番号5)。
【0216】
CDR配列以外の任意の位置における任意のアミノ酸置換は、別のアミノ酸、例えば、保存的アミノ酸置換(本明細書に定義される)に変更され得ることが想定される。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して70%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して75%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して85%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して95%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号5に対して99%同一である配列を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、CARのBCMA結合領域は、軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、VLは、以下のアミノ酸配列を含む:
DIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPFTFGPGTKVDIK(配列番号10)。
【0218】
CDR配列以外の任意の位置における任意のアミノ酸置換は、別のアミノ酸、例えば、保存的アミノ酸置換(本明細書に定義される)に変更され得ることが想定される。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して70%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して75%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して85%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して95%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号10に対して99%同一である配列を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、CARのBCMA結合領域は、軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、VLは、以下のアミノ酸配列を含む:
DIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPWTFGQGTKVDIK(配列番号13)。
【0220】
CDR配列以外の任意の位置における任意のアミノ酸置換は、別のアミノ酸、例えば、保存的アミノ酸置換(本明細書に定義される)に変更され得ることが想定される。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して70%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して75%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して80%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して85%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して90%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して95%同一である配列を含む。いくつかの実施形態では、VLは、配列番号13に対して99%同一である配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1のVH及び配列番号5のVLを含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも70%同一のVH及び配列番号5に対して少なくとも70%同一のVLを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも75%同一のVH及び配列番号5に対して少なくとも75%同一のVLを含む。
【0224】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも80%同一のVH及び配列番号5に対して少なくとも80%同一のVLを含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも90%同一のVH及び配列番号5に対して少なくとも90%同一のVLを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも95%同一のVH及び配列番号5に対して少なくとも95%同一のVLを含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも97%同一のVH及び配列番号5に対して少なくとも97%同一のVLを含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号9に対して少なくとも70%同一のVH及び配列番号10に対して少なくとも70%同一のVLを含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号9に対して少なくとも75%同一のVH及び配列番号10に対して少なくとも75%同一のVLを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号9に対して少なくとも80%同一のVH及び配列番号10に対して少なくとも80%同一のVLを含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号9に対して少なくとも90%同一のVH及び配列番号10に対して少なくとも90%同一のVLを含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号9に対して少なくとも95%同一のVH及び配列番号10に対して少なくとも95%同一のVLを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号9に対して少なくとも97%同一のVH及び配列番号10に対して少なくとも97%同一のVLを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1のVH及び配列番号13のVLを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも70%同一のVH及び配列番号13に対して少なくとも70%同一のVLを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも75%同一のVH及び配列番号13に対して少なくとも75%同一のVLを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも80%同一のVH及び配列番号13に対して少なくとも80%同一のVLを含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも90%同一のVH及び配列番号13に対して少なくとも90%同一のVLを含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも95%同一のVH及び配列番号13に対して少なくとも95%同一のVLを含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体中のBCMA結合因子は、配列番号1に対して少なくとも97%同一のVH及び配列番号13に対して少なくとも97%同一のVLを含む。
【0241】
いくつかの実施形態、実施形態、具体的な実施形態において、抗原に特異的に結合する分子は、約1×10-7Mの解離定数(Kd)で結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、Kdが約1×10-9M~約5×10-9Mである場合、「高親和性」で抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、抗原結合分子は、Kdが1×10-10M~約5×10-10Mである場合、「非常に高い親和性」で抗原に特異的に結合する。一実施形態では、抗原結合分子は10-9MのKdを有する。一実施形態では、オフレートは、約1×10-5未満である。他の実施形態では、抗原結合分子は、約1×10-7M~約1×10-13MのKdでヒトBCMAに結合する。さらに別の実施形態では、抗原結合分子は、約1×10-10M~約5×10-10MのKdでヒトBCMAに結合する。
【0242】
別の特定の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、同様の結合条件下で他のタンパク質と交差反応しない。別の特定の実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、他の非BCMAタンパク質と交差反応しない。特定の実施形態では、別の無関係な抗原よりも高い親和性でBCMAに結合する抗体またはその断片が本明細書で提供される。特定の実施形態では、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、または結合平衡除外法によって測定される場合、別の無関係な抗原よりも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはそれ以上高い親和性でBCMA(例えば、ヒトBCMA)に結合する抗体またはその断片が、本明細書において提供される。特定の実施形態において、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその抗原結合断片の無関係な非BCMAタンパク質に対する結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイによって測定した場合、抗体のBCMAタンパク質に対する結合の10%、15%、または20%未満である。
【0243】
特定の実施形態では、別の種のBCMAよりも高い親和性でヒトBCMAに結合する抗体またはその断片が本明細書で提供される。特定の実施形態では、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、または結合平衡除外法によって測定される場合、別の種のBCMAよりも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、またはそれ以上高い親和性でヒトBCMAに結合する抗体またはその断片が、本明細書において提供される。特定の実施形態では、ヒトBCMAに結合する、本明細書に記載の抗体またはその断片は、例えば、ラジオイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴、または結合平衡除外法によって測定した場合、ヒトBCMAタンパク質に対する抗体またはその断片の結合の10%、15%、または20%未満で、別の種のBCMAタンパク質に結合する。
【0244】
ヒンジ領域
特定の実施形態では、CARポリペプチドは、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインとを連結する細胞外スペーサードメイン(ヒンジとも呼ばれ得る)を含む。ヒンジドメインは、細胞膜からのscFvの分離を提供するスペーサー、及びNK細胞の活性化またはT細胞の活性化を媒介する細胞内シグナル伝達モジュールである。細胞外スペーサードメインは、ヒトタンパク質由来のヒンジを含み得るが、これらに限定されない。例えば、一実施形態では、ヒンジは、ヒトIg(免疫グロブリン)ヒンジ、例えば、IgG4ヒンジ、またはCD8aヒンジ、Gly3などのポリペプチドから作製される人工スペーサー、またはIgG(ヒトIgGlもしくはIgG4など)のCH1、CH2、及び/またはCH3ドメインであり得る。
【0245】
特定の場合において、細胞外スペーサードメインは、(i)IgG4のヒンジ、CH2、及びCH3領域、(ii)IgG4のヒンジ領域、(iii)IgG4のヒンジ及びCH2、(iv)CD8-αのヒンジ領域、(v)CD28のヒンジ領域、(vi)IgGlのヒンジ、CH2、及びCH3領域、(vii)IgGlのヒンジ領域を含み得る。
【0246】
本発明によれば、特に有用なヒンジは、CD28に由来する。特定の実施形態では、CARポリペプチドは、特定のCD28ヒンジアミノ酸配列を含むか、または特定のCD28ヒンジ核酸配列によってコードされる。例は以下の通りである:
【0247】
例示的な適切なCD28ヒンジは、以下のアミノ酸配列を含む:
RAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPKDPK(配列番号36)
【0248】
例示的な適切なCD28ヒンジは、以下の核酸配列によってコードされる:
cgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccaaagatcccaaa(配列番号35)
【0249】
例示的な適切なIgGヒンジは、以下のアミノ酸配列を含む:
RTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPK(配列番号37)
【0250】
例示的な好適なIgGヒンジは、以下の核酸配列を含む:
cgtacggtcactgtctcttcacaggatcccgccgagcccaaatctcctgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcaaccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaaaaagatcccaaa(配列番号38)
【0251】
膜貫通ドメイン
膜貫通は、細胞内シグナル伝達ドメインをCARのヒンジ領域に接続する。いくつかの実施形態では、CARは、膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、本発明による好適な膜貫通ドメインは、CD28、4-1BB/CD137、CD8(例えば、CD8α)、CD4、CD19、CD3ε、CD45、CD5、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CTLA4、PD-1、またはCD154の膜貫通ドメインである。例示的な膜貫通ドメインは、WO2020227446(その全体が本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0252】
いくつかの実施形態では、膜貫通は、CD28膜貫通ドメインである。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、以下のアミノ酸配列を含むCD28の膜貫通ドメインである:
FWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWV(配列番号26)
【0253】
いくつかの実施形態では、膜貫通は、以下の核酸配列によってコードされる:
ttttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtg(配列番号27)
【0254】
共刺激ドメイン
CARは、1つ以上の共刺激ドメインを含み得る。共刺激シグナルは、細胞拡大、機能、持続性、及び抗腫瘍活性を含む強固なキメラ抗原受容体(CAR)を達成するために必要とされる。いくつかの実施形態では、本発明による共刺激領域は、CD28、OX-40、4-1BB/CD137、CD2、CD7、CD27、CD30、CD40、プログラム細胞死-1(PD-1)、誘導性T細胞共刺激分子(ICOS)、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1(CD11a/CD18)、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD247、CD276(B7-H3)、LIGHT(腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバー14;TNFSF14)、NKG2C、Igα(CD79a)、Fcγ受容体、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、免疫グロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、活性化NK細胞受容体、BTLA、Tollリガンド受容体、ICAM-1、B7-H3、CDS、ICAM-1、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8α、CD8β、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、CD83と特異的に結合するリガンド、またはそれらの任意の組み合わせのシグナル伝達領域である。
【0255】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、
RSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRS(配列番号28)を含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、共刺激ドメインは、
aggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctca(配列番号29)によってコードされる。
【0257】
活性化ドメイン
本発明によれば、CAR構築物は、活性化ドメインも含み得る。特定の実施形態では、CARポリペプチドは、免疫細胞活性化部分を含む。活性化部分は、共刺激部分と共に、NK細胞の活性化、増殖、エフェクター機能の獲得、ならびに炎症性サイトカイン及びケモカインの分泌をもたらす下流のシグナル伝達カスケードを活性化するように作用する。いくつかの実施形態では、活性化部分はCD3ζである。
【0258】
CD3ζアミノ酸配列の一例は以下の通りである:
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号30)
【0259】
CD3ζ核酸配列の一例は以下の通りである:
cgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgc(配列番号31)
【0260】
シグナルペプチド
特定の実施形態では、CARポリペプチドは、シグナルペプチドを含む。シグナルペプチドは、CARポリペプチドの外部ドメインの一部である。いくつかの実施形態では、外部ドメインは、細胞質の外側にあり、細胞外空間に曝露されるCARタンパク質の一部である。シグナルペプチドの機能は、認識されたタンパク質シグナルを細胞小胞体に伝達することである。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、重鎖シグナルペプチド、IL-15シグナルペプチド、CD8aシグナルペプチド、GMCSF-Rシグナルペプチドから選択することができる。
【0261】
シグナルペプチドアミノ酸配列の一例は以下の通りである:
MEFGLSWLFLVAILKGVQC(配列番号51)
【0262】
シグナルペプチド核酸配列の一例は以下の通りである:
atggaattcggattgtcatggttgttcctcgtcgcaattctcaagggcgtgcagtgc(配列番号52)。
【0263】
シグナルペプチドアミノ酸配列の一例は以下の通りである:
MRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEA(配列番号32)
【0264】
シグナルペプチド核酸配列の一例は以下の通りである:
Atgcgcattagcaagccccacctgcggagcatcagcatccagtgctacctgtgcctgctgctgaacagccacttcctgaccgaggcc(配列番号33)。
【0265】
いくつかの実施形態では、CARは切断部位を含む。切断部位の一例は以下の通りである:
GPQCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号39)。
【0266】
いくつかの実施形態では、切断部位は、
ggaccgcagtgtactaattatgctctcttgaaattggctggagatgttgagagcaatcccgggccc(配列番号40)によってコードされる。
【0267】
サイトカイン
いくつかの実施形態では、CAR発現細胞におけるサイトカインの発現は、その抗腫瘍効果を改善する。一実施形態では、サイトカインは、CARの一部として発現される。別の実施形態では、サイトカインは、別個の発現系で発現される。いくつかの実施形態では、サイトカインは、IL-15、IL-12、IL-2、IL-18、IL-21、またはそれらの組み合わせから選択され得る。一実施形態では、サイトカインは、ヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモンなどの成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH)などの糖タンパク質ホルモン;肝臓増殖因子(HGF);線維芽細胞増殖因子(FGF);プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;ミュラー管抑制因子;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF-βなどの神経増殖因子(NGF);血小板増殖因子;TGF-α及びTGF-βなどの形質転換増殖因子(TGF);インスリン様増殖因子I及びII;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン-α、β、及びγなどのインターフェロン;マクロファージ-CSF(M-CSF)、顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF)、及び顆粒球-CSF(G-CSF)などのコロニー刺激因子(CSF);IL-1、IL-1α、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-15などのインターロイキン(IL);TNFαまたはTNF-βなどの腫瘍壊死因子;ならびにLIF及びkitリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子から選択される。
【0268】
一実施形態では、サイトカインはIL-15である。一実施形態では、サイトカインIL-15領域は、以下のアミノ酸配列を含む:
GIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号23)。
【0269】
IL-15核酸配列の一例は以下のとおりである:
ggcatccacgtgttcatcctgggctgcttcagcgccggactgcccaagaccgaggccaactgggtgaacgtgatcagcgacctgaagaagatcgaggacctgatccagagcatgcacatcgacgccaccctgtacaccgagagcgacgtgcaccccagctgcaaggtgaccgccatgaagtgctttctgctggaactgcaggtgatcagcctggaaagcggcgacgccagcatccacgacaccgtggagaacctgatcatcctggccaacaacagcctgagcagcaacggcaacgtgaccgagagcggctgcaaagagtgcgaggaactggaagagaagaacatcaaagagtttctgcagagcttcgtgcacatcgtgcagatgttcatcaacaccagc(配列番号34)
【0270】
いくつかの実施形態では、本開示に包含されるIL-15ポリペプチドは、配列番号23、または配列番号23に対して少なくとも70、75、80、85、90、95、96、97、98、99%、もしくはそれ以上同一である配列を含み得る。
【0271】
自殺遺伝子
特定の実施形態では、自殺遺伝子は、その使用を制御し、所望の事象及び/または時間での細胞療法の終了を可能にするために、任意の種類の細胞療法と組み合わせて利用される。自殺遺伝子は、必要な場合に形質導入細胞の死を誘発する目的で、形質導入細胞に使用される。本開示に包含されるベクターを保有するように改変された本開示の抗原標的化細胞は、1つ以上の自殺遺伝子を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「自殺遺伝子」という用語は、プロドラッグまたは他の薬剤の投与の際に、その宿主細胞を殺傷する化合物への遺伝子産物の移行を生じさせる遺伝子として定義される。他の実施形態において、自殺遺伝子は、所望される場合、自殺遺伝子産物を標的とする薬剤(例えば、抗体)によって標的とされる遺伝子産物をコードする。「自殺遺伝子産物」は、自殺遺伝子によってコードされるタンパク質またはポリペプチドを記載する。
【0272】
使用され得る自殺遺伝子/プロドラッグの組み合わせの例は、単純ヘルペスウイルス-チミジンキナーゼ(HSV-tk)とガンシクロビル、アシクロビル、またはFIAU;オキシドレダクターゼとシクロヘキシミド;シトシンデアミナーゼと5-フルオロシトシン;チミジンキナーゼチミジル酸キナーゼ(Tdk:Tmk)とAZT;ならびにデオキシシチジンキナーゼとシトシンアラビノシドである。プロドラッグ6-メチルプリンデオキシリボシドを毒性プリン6-メチルプリンに変換する、E.coliプリンヌクレオシドホスホリラーゼ、いわゆる自殺遺伝子を使用することができる。プロドラッグ療法で使用される自殺遺伝子の他の例は、E.coliシトシンデアミナーゼ遺伝子、及びHSVチミジンキナーゼ遺伝子である。
【0273】
例示的な自殺遺伝子としてはまた、CD20、CD52、EGFRv3、または誘導性カスパーゼ9が挙げられる。一実施形態では、EGFRバリアントIII(EGFRv3)の切り詰め型を、セツキシマブによって除去することができる自殺抗原として使用することができる。本開示において使用され得る当該技術分野において公知のさらなる自殺遺伝子としては、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、チトクロムp450酵素(CYP)、カルボキシペプチダーゼ(CP)、カルボキシルエステラーゼ(CE)、ニトロレダクターゼ(NTR)、グアニンリボシルトランスフェラーゼ(XGRTP)、グリコシダーゼ酵素、メチオニン-α,γ-リアーゼ(MET)、及びチミジンホスホリラーゼ(TP)が挙げられる。
【0274】
いくつかの実施形態では、誘導性カスパーゼ9(iC9)を例示的な自殺遺伝子として使用する。例となるiC9は、例えば、Yagyu S,et al.Mol Ther.2015 Sep;23(9):1475-85に記載されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態では、iCaspase9は、以下のアミノ酸配列を含む:
MSTESMIRDVELAEEALPKKTGGPQGSRRCLFLSLFSFLIVAGATTLFCLLHFGVIGPQREEFPRDLSLISPLAQAVRSSSRTPSDKPVAHVVANPQAEGQLQWLNRRANALLANGVELRDNQLVVPSEGLYLIYSQVLFKGQGCPSTHVLLTHTISRIAVSYQTKVNLLSAIKSPCQRETPEGAEAKPWYEPIYLGGVFQLEKGDRLSAEINRPDYLDFAESGQVYFGIIAL(配列番号25)。
【0275】
いくつかの実施形態では、本開示は、26kdのTNFαの切断不可能な変異体を使用して細胞治療を終了させるために提供される方法及び組成物に関する。TNFα変異体は切断不可能であり、膜に結合した非分泌性のものとする。切断不可能なTNFα変異体を発現する細胞は、例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、またはアダリルマブなどの現在臨床にあるFDAに認可されたTNFα抗体を使用することを含む選択的欠失を標的とすることができる。変異したTNFαポリペプチドは、CARをコードする遺伝子などの1つ以上の治療用導入遺伝子と共発現され得る。さらに、TNF-α変異体発現細胞は、膜結合TNFαタンパク質の生物活性によって媒介される、腫瘍標的に対して優れた活性を有する。
【0276】
特定の実施形態では、自殺遺伝子は、TNFα-変換酵素(TACEとも呼ばれる)などの天然でTNFを切断する標準的な酵素によって切断不可能な腫瘍壊死因子(TNF)α変異体である。この場合、TNFα変異体は、特定の実施形態において、膜結合及び非分泌性である。本開示において使用されるTNFα変異体は、少なくとも抗体を含む、変異体に結合する1つ以上の薬剤によって標的化され得、その結果、細胞の表面上のTNFα変異体への薬剤(複数可)の結合に続いて、細胞が死滅する。本開示の実施形態は、TNFα変異体を、それを発現する細胞のマーカーとして利用することを可能にする。
【0277】
切断不可能なTNFα変異体を発現する細胞は、例えば、エタネルセプト、インフリキシマブ、またはアダリルマブなどの現在臨床にあるFDAに認可されたTNFα抗体を使用することを含む選択的欠失を標的とすることができる。変異したTNFαポリペプチドは、BCMA標的化CARを含むCARをコードする遺伝子などの、細胞における1つ以上の治療用導入遺伝子と共発現され得る。さらに、TNF-α変異体発現細胞は、膜結合TNFαタンパク質の生物活性によって媒介される、腫瘍標的に対して優れた活性を有する。
【0278】
野生型TNFαは、26kDの膜貫通形態及び17kDの分泌成分を有する。いくつかの実施形態では、TNFα変異体は、Perez el al(1990)に記載され、本開示において利用され得る。特定の実施形態では、TNFα変異体は、-3、-2、-1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13位、またはそれらの組み合わせにおけるそれぞれのアミノ酸の欠失を含む。具体的な組み合わせとしては、-3位~13位;-3位~12位;-3位~11位;-3位~10位;-3位~9位;-3位~8位;-3位~7位;-3位~6位;-3位~5位;-3位~4位;-3位~3位;-3位~2位;-3位~1位;-3位~-1位;-3位~-2位;-2位~13位;-2位~12位;-2位~11位;-2位~10位;-2位~9位;-2位~8位;-2位~7位;-2位~6位;-2位~5位;-2位~4位;-2位~3位;-2位~2位;-2位~1位;-2位~-1位;-1位~13位;-1位~12位;-1位~11位;-1位~10位;-1位~9位;-1位~8位;-1位~7位;-1位~6位;-1位~5位;-1位~4位;-1位~3位;-1位~2位;-1位~1位;1位~13位;1位~12位;1位~11位;1位~10位;1位~9位;1位~8位;1位~7位;1位~6位;1位~5位;1位~4位;1位~3位;1位~2位;などの位置における欠失が挙げられる。特定の実施形態において、本開示のTNF-α変異体の例は、17kDのTNFに関して少なくとも以下を含む:(1)Val1の欠失及びProll2の欠失;(2)Val13の欠失;(3)Val1の欠失及びVal13の欠失;(4)Val1~Pro12の欠失及びVal13の欠失(13アミノ酸の欠失);(5)Ala-3~Val13の欠失(16アミノ酸の欠失)。
【0279】
TNFα変異体は、任意の適切な方法によって生成され得るが、特定の実施形態において、それらは、部位特異的変異導入によって生成される。場合によっては、TNFα変異体は、タンパク質を切断不能にする変異以外の変異を有し得る。特定の場合において、TNFα変異体は、Val、Pro12、及び/またはVal13、またはそれらの間の領域における欠失以外に、1、2、3、またはそれ以上の変異を有し得る。変異体を非分泌性にする変異以外の変異は、アミノ酸置換、欠失、付加、反転などのうちの1つ以上であってもよい。追加の変異がアミノ酸置換である場合、置換は、例えば、保存的アミノ酸に対してであってもなくてもよい。場合によっては、1、2、3、4、5、またはそれ以上の追加のアミノ酸が、タンパク質のN-末端及び/またはC-末端に存在し得る。いくつかの場合において、TNFα変異体は、(1)変異体を非分泌性にする1つ以上の変異;(2)変異体に対するアウトサイドインシグナル伝達を防止する1つ以上の変異;及び/または(3)TNF受容体1及び/またはTNF受容体2への変異体の結合を妨害する1つ以上の変異を有する。
【0280】
特定の実施形態では、TNFα変異体ポリペプチドは、以下の配列番号25に関する欠失を含む:アミノ酸残基1及びアミノ酸残基12;アミノ酸残基1及びアミノ酸残基13;アミノ酸残基1~12;アミノ酸残基1~13;またはアミノ酸残基-1~13。
【0281】
例示的なTNFα変異体ポリペプチド配列、変異体及びバリアントは、WO2020106619及びWO2021055349に開示されており、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0282】
例示的な全長BCMA-CAR配列
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、MEFGLSWLFLVAILKGVQCEVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPFTFGPGTKVDIKRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号19)を含むアミノ酸配列を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号19に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、以下を含む核酸配列を含む:
atggaatttggactgtcatggctttttcttgtcgccatcctgaaaggggtacagtgtgaagtgcaactggtcgaatctgggggagacgttgtccagcccgggaggtctttgcggttgtcatgcgcagcttcaggttttactttctcttcatacgccatccattgggttcggcaagcgcctggtaagggactcgaatgggttgcagtgacctggcatgacggatcaaacaagtattatgcagaatcagtaatgggcaggtttaccatttcacgcgacaatagcaaaaatacactttatttgcacatgaattcactcagagccgaagataccggcgtctattattgcgccagagcaaaatttggggagccacagtacttccaacattggggacaaggcactaccgtcaccgtgagttcaggcggggggggatcaggcggaggaggttcaggcggcggcggcagtgacatagtgatgactcagagtccttcatttttgagcgcaagtgttggggatagggtcactataacgtgtagagcatctcaaggcatttcttcatatttggcctggtatcaacagaaacctggaaaggccccaaagctccttatttacgctgcatcaaccctgcaatctggcgtcccaagccgattctctgggtctggaagcggcacagaatttaccctgactatatcatctctccaacctgaagattttgccacctattattgtcagcaattgaattcatacccgttcacattcggccctggaactaaagtcgacatcaagcgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccaaagatcccaaattttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcacgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgctga(配列番号42)。
【0285】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも70%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも75%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも97%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号42に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、リンカー及び切断ペプチドを介してIL-15に連結され、これは配列番号45:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCEVQLVESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPFTFGPGTKVDIKRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号45)を含む。
【0287】
配列番号45によって表されるIL-15に連結されたBCMA-CARは、本明細書においてBCMA28-1と呼ばれることもある。CD28ヒンジがIgG1ヒンジに置き換えられている、IL-15に連結された別のBCMA-CARは、本明細書においてBCMAIg1と呼ばれることもある。
【0288】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号45に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL-15は、以下を含む:
atggaatttggactgtcatggctttttcttgtcgccatcctgaaaggggtacagtgtgaagtgcaactggtcgaatctgggggagacgttgtccagcccgggaggtctttgcggttgtcatgcgcagcttcaggttttactttctcttcatacgccatccattgggttcggcaagcgcctggtaagggactcgaatgggttgcagtgacctggcatgacggatcaaacaagtattatgcagaatcagtaatgggcaggtttaccatttcacgcgacaatagcaaaaatacactttatttgcacatgaattcactcagagccgaagataccggcgtctattattgcgccagagcaaaatttggggagccacagtacttccaacattggggacaaggcactaccgtcaccgtgagttcaggcggggggggatcaggcggaggaggttcaggcggcggcggcagtgacatagtgatgactcagagtccttcatttttgagcgcaagtgttggggatagggtcactataacgtgtagagcatctcaaggcatttcttcatatttggcctggtatcaacagaaacctggaaaggccccaaagctccttatttacgctgcatcaaccctgcaatctggcgtcccaagccgattctctgggtctggaagcggcacagaatttaccctgactatatcatctctccaacctgaagattttgccacctattattgtcagcaattgaattcatacccgttcacattcggccctggaactaaagtcgacatcaagcgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccaaagatcccaaattttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcacgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgcggaccgcagtgtactaattatgctctcttgaaattggctggagatgttgagagcaatcccgggcccatgcgcattagcaagccccacctgcggagcatcagcatccagtgctacctgtgcctgctgctgaacagccacttcctgaccgaggccggcatccacgtgttcatcctgggctgcttcagcgccggactgcccaagaccgaggccaactgggtgaacgtgatcagcgacctgaagaagatcgaggacctgatccagagcatgcacatcgacgccaccctgtacaccgagagcgacgtgcaccccagctgcaaggtgaccgccatgaagtgctttctgctggaactgcaggtgatcagcctggaaagcggcgacgccagcatccacgacaccgtggagaacctgatcatcctggccaacaacagcctgagcagcaacggcaacgtgaccgagagcggctgcaaagagtgcgaggaactggaagagaagaacatcaaagagtttctgcagagcttcgtgcacatcgtgcagatgttcatcaacaccagctga(配列番号46)。
【0290】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも70%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも75%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号46に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも97%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号46に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。
【0291】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、以下を含むアミノ酸配列を含む:MEFGLSWLFLVAILKGVQCQITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGINNYLAWYQQKPGIAPKLLIYAASTLQSGVPSRFGGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLKSYPFTFGPGTKVEIKRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号20)
【0292】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号20に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0293】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、以下を含む核酸配列を含む:
atggaattcgggctgtcctggcttttcttggtcgcaattcttaagggcgtccaatgtcagataactctgcgcgagtcaggaggagacgtggtgcaaccgggcagatctctcaggctttcatgtgccgccagtggcttcacatttagctcttatgcaatacattgggtcaggcaggctcctggcaagggcttggaatgggtagcggttacctggcatgatggatctaacaaatactacgccgagtctgttatgggtcgattcacaatttctcgagacaattcaaaaaacacactctacctgcatatgaactcacttagagcagaggacactggtgtctattactgcgccagagcaaaattcggcgagccacagtatttccagcactggggacaaggaaccctcgtaacagtatctagtgggggcggagggtctggaggaggggggagcgggggaggcggctctgatattgttatgacccaatcaccatcttttctgagcgctagtgtcggcgacagggttacaatcacatgccgagcaagccaaggaatcaacaattatctcgcatggtatcaacaaaaaccaggtatcgccccgaaacttcttatttacgcagcatcaaccctgcaaagcggagttccttctagatttggtggcagcggctccgggactgaattcactcttactatttcctcccttcaacccgaagatttcgccacatattactgccagcagcttaagtcataccccttcacttttggcccaggaactaaagttgaaatcaaacgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccaaagatcccaaattttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcacgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgctga(配列番号43)
【0294】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも70%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも75%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも97%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号43に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、リンカー及び切断ペプチドを介してIL-15に連結され、これは配列番号47:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCQITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGINNYLAWYQQKPGIAPKLLIYAASTLQSGVPSRFGGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLKSYPFTFGPGTKVEIKRAAAIEVMYPPPYLDNEKSNGTIIHVKGKHLCPSPLFPGPSKPKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号47)を含む。
【0296】
IL-15に連結されたBCMA-CARは、配列番号47によって表され、これは本明細書においてBCMA28-2と呼ばれることもある。CD28ヒンジがIgG1ヒンジに置き換えられている、IL-15に連結された別のBCMA-CARは、本明細書においてBCMAIg2と呼ばれることもある。
【0297】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号47に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL-15は、以下を含む:
atggaattcgggctgtcctggcttttcttggtcgcaattcttaagggcgtccaatgtcagataactctgcgcgagtcaggaggagacgtggtgcaaccgggcagatctctcaggctttcatgtgccgccagtggcttcacatttagctcttatgcaatacattgggtcaggcaggctcctggcaagggcttggaatgggtagcggttacctggcatgatggatctaacaaatactacgccgagtctgttatgggtcgattcacaatttctcgagacaattcaaaaaacacactctacctgcatatgaactcacttagagcagaggacactggtgtctattactgcgccagagcaaaattcggcgagccacagtatttccagcactggggacaaggaaccctcgtaacagtatctagtgggggcggagggtctggaggaggggggagcgggggaggcggctctgatattgttatgacccaatcaccatcttttctgagcgctagtgtcggcgacagggttacaatcacatgccgagcaagccaaggaatcaacaattatctcgcatggtatcaacaaaaaccaggtatcgccccgaaacttcttatttacgcagcatcaaccctgcaaagcggagttccttctagatttggtggcagcggctccgggactgaattcactcttactatttcctcccttcaacccgaagatttcgccacatattactgccagcagcttaagtcataccccttcacttttggcccaggaactaaagttgaaatcaaacgggcggccgcaattgaagttatgtatcctcctccttacctagacaatgagaagagcaatggaaccattatccatgtgaaagggaaacacctttgtccaagtcccctatttcccggaccttctaagcccaaagatcccaaattttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcacgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgcggaccgcagtgtactaattatgctctcttgaaattggctggagatgttgagagcaatcccgggcccatgcgcattagcaagccccacctgcggagcatcagcatccagtgctacctgtgcctgctgctgaacagccacttcctgaccgaggccggcatccacgtgttcatcctgggctgcttcagcgccggactgcccaagaccgaggccaactgggtgaacgtgatcagcgacctgaagaagatcgaggacctgatccagagcatgcacatcgacgccaccctgtacaccgagagcgacgtgcaccccagctgcaaggtgaccgccatgaagtgctttctgctggaactgcaggtgatcagcctggaaagcggcgacgccagcatccacgacaccgtggagaacctgatcatcctggccaacaacagcctgagcagcaacggcaacgtgaccgagagcggctgcaaagagtgcgaggaactggaagagaagaacatcaaagagtttctgcagagcttcgtgcacatcgtgcagatgttcatcaacaccagctga(配列番号48)
【0299】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも70%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも75%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号48に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも97%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号48に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、以下を含むアミノ酸配列を含む:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCQITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPWTFGQGTKVDIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号21)
【0301】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号21に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0302】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、以下を含む核酸配列を含む:
atggaattcggattgtcatggttgttcctcgtcgcaattctcaagggcgtgcagtgccaaattactcttcgagagtccggcggagatgtggtacagccagggagaagcctgagactctcctgtgcagcaagcggatttaccttttcttcttacgctatccactgggttagacaggctcccggtaagggactggaatgggtcgcagtaacatggcacgacggttcaaataagtactacgcagagtcagtcatgggaaggtttactatttcacgggacaattctaagaacacactctacctgcatatgaactccctcagagctgaagacaccggcgtatattattgtgctagagctaaatttggagaaccacagtattttcaacactggggccaaggcacacttgtaacggtttcaagcggtggtggggggtctggcggaggaggtagtggaggtggaggctccgatatcgttatgacacaatcacccagcttcttgtcagcttctgttggtgatcgggtaacaattacttgtcgcgcatctcagggtatcagttcatatctggcatggtatcagcaaaagcctggaaaagcccctaaacttctgatttacgccgcgagcacactgcaaagtggagttccgtcaagattctctggctctgggtccggtaccgaatttactttgactatcagctcactccaacctgaggatttcgccacgtactattgccaacagcttaactcctatccttggacatttggtcagggcactaaagttgatattaaacgtacggtcactgtctcttcacaggatcccgccgagcccaaatctcctgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcaaccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaaaaagatcccaaattttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcacgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgctga(配列番号44)
【0303】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも70%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも75%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも97%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号44に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。
【0304】
いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、リンカー及び切断ペプチドを介してIL-15に連結され、これは配列番号49:
MEFGLSWLFLVAILKGVQCQITLRESGGDVVQPGRSLRLSCAASGFTFSSYAIHWVRQAPGKGLEWVAVTWHDGSNKYYAESVMGRFTISRDNSKNTLYLHMNSLRAEDTGVYYCARAKFGEPQYFQHWGQGTLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPSFLSASVGDRVTITCRASQGISSYLAWYQQKPGKAPKLLIYAASTLQSGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPEDFATYYCQQLNSYPWTFGQGTKVDIKRTVTVSSQDPAEPKSPDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGKKDPKFWVLVVVGGVLACYSLLVTVAFIIFWVRSKRSRLLHSDYMNMTPRRPGPTRKHYQPYAPPRDFAAYRSRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPRGPQCTNYALLKLAGDVESNPGPMRISKPHLRSISIQCYLCLLLNSHFLTEAGIHVFILGCFSAGLPKTEANWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANNSLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号49)を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも97%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号49に対して少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0306】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL-15は、以下を含む:
atggaattcggattgtcatggttgttcctcgtcgcaattctcaagggcgtgcagtgccaaattactcttcgagagtccggcggagatgtggtacagccagggagaagcctgagactctcctgtgcagcaagcggatttaccttttcttcttacgctatccactgggttagacaggctcccggtaagggactggaatgggtcgcagtaacatggcacgacggttcaaataagtactacgcagagtcagtcatgggaaggtttactatttcacgggacaattctaagaacacactctacctgcatatgaactccctcagagctgaagacaccggcgtatattattgtgctagagctaaatttggagaaccacagtattttcaacactggggccaaggcacacttgtaacggtttcaagcggtggtggggggtctggcggaggaggtagtggaggtggaggctccgatatcgttatgacacaatcacccagcttcttgtcagcttctgttggtgatcgggtaacaattacttgtcgcgcatctcagggtatcagttcatatctggcatggtatcagcaaaagcctggaaaagcccctaaacttctgatttacgccgcgagcacactgcaaagtggagttccgtcaagattctctggctctgggtccggtaccgaatttactttgactatcagctcactccaacctgaggatttcgccacgtactattgccaacagcttaactcctatccttggacatttggtcagggcactaaagttgatattaaacgtacggtcactgtctcttcacaggatcccgccgagcccaaatctcctgacaaaactcacacatgcccaccgtgcccagcacctgaactcctggggggaccgtcagtcttcctcttccccccaaaacccaaggacaccctcatgatctcccggacccctgaggtcacatgcgtggtggtggacgtgagccacgaagaccctgaggtcaagttcaactggtacgtggacggcgtggaggtgcataatgccaagacaaagccgcgggaggagcagtacaacagcacgtaccgtgtggtcagcgtcctcaccgtcctgcaccaggactggctgaatggcaaggagtacaagtgcaaggtctccaacaaagccctcccagcccccatcgagaaaaccatctccaaagccaaagggcagccccgagaaccacaggtgtacaccctgcccccatcccgggatgagctgaccaagaaccaggtcagcctgacctgcctggtcaaaggcttctatcccagcgacatcgccgtggagtgggagagcaatgggcaaccggagaacaactacaagaccacgcctcccgtgctggactccgacggctccttcttcctctacagcaagctcaccgtggacaagagcaggtggcagcaggggaacgtcttctcatgctccgtgatgcatgaggctctgcacaaccactacacgcagaagagcctctccctgtctccgggtaaaaaagatcccaaattttgggtgctggtggtggttggtggagtcctggcttgctatagcttgctagtaacagtggcctttattattttctgggtgaggagtaagaggagcaggctcctgcacagtgactacatgaacatgactccccgccgccccgggcccacccgcaagcattaccagccctatgccccaccacgcgacttcgcagcctatcgctcacgcgtgaagttcagcaggagcgcagacgcccccgcgtaccagcagggccagaaccagctctataacgagctcaatctaggacgaagagaggagtacgatgttttggacaaaagacgtggccgggaccctgagatggggggaaagccgagaaggaagaaccctcaggaaggcctgtacaatgaactgcagaaagataagatggcggaggcctacagtgagattgggatgaaaggcgagcgccggaggggcaaggggcacgatggcctttaccagggtctcagtacagccaccaaggacacctacgacgcccttcacatgcaggccctgccccctcgcggaccgcagtgtactaattatgctctcttgaaattggctggagatgttgagagcaatcccgggcccatgcgcattagcaagccccacctgcggagcatcagcatccagtgctacctgtgcctgctgctgaacagccacttcctgaccgaggccggcatccacgtgttcatcctgggctgcttcagcgccggactgcccaagaccgaggccaactgggtgaacgtgatcagcgacctgaagaagatcgaggacctgatccagagcatgcacatcgacgccaccctgtacaccgagagcgacgtgcaccccagctgcaaggtgaccgccatgaagtgctttctgctggaactgcaggtgatcagcctggaaagcggcgacgccagcatccacgacaccgtggagaacctgatcatcctggccaacaacagcctgagcagcaacggcaacgtgaccgagagcggctgcaaagagtgcgaggaactggaagagaagaacatcaaagagtttctgcagagcttcgtgcacatcgtgcagatgttcatcaacaccagctga(配列番号50)
【0307】
いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも70%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも75%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CARは、配列番号50に対して少なくとも80%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも85%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも90%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも95%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも97%同一である核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、BCMA-CAR-IL15は、配列番号50に対して少なくとも99%同一である核酸配列を含む。
【0308】
本開示の実施形態は、本明細書に包含される、1つ以上のCAR及び1つ以上の自殺遺伝子を発現する細胞を包含する。NK細胞は、特定の実施形態において、1つ以上のCARと、1つ以上の操作された非分泌性の膜結合TNF-α変異体ポリペプチドとをコードする組換え核酸を含む。特定の実施形態では、1つ以上のCAR及びTNF-α変異体ポリペプチドを発現することに加えて、細胞はまた、1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸を含む。
【0309】
ベクター
特定の態様において、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターが本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ベクターは、DNAベクター、RNAベクター、プラスミド、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、AAVベクター、またはレトロウイルスベクターから選択される。いくつかの実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターであり得る。ウイルスベクターの例としては、少なくともレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターが挙げられる。非ウイルスベクターの例としては、少なくともプラスミド、トランスポゾン、脂質、ナノ粒子などが挙げられる。
【0310】
免疫細胞が、遺伝子操作された受容体をコードするベクターで形質導入され、また、自殺遺伝子及び/またはサイトカイン及び/または任意の治療用遺伝子産物などの細胞への別の遺伝子または複数の遺伝子の形質導入を必要とする場合、抗原標的化受容体、自殺遺伝子、サイトカイン、及び任意の治療用遺伝子は、同じベクター上に、または同じベクターと共に含まれても、含まれなくてもよい。場合によっては、CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、及び任意の治療用遺伝子は、同じベクター分子(例えば、同じウイルスベクター分子)から発現する。そのような場合、CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、及び任意の治療用遺伝子の発現は、同じ調節エレメント(複数可)によって調節されても、調節されなくてもよい。CAR、自殺遺伝子、サイトカイン、及び任意の治療用遺伝子が同じベクター上にある場合、それらは別個のポリペプチドとして発現されても、発現されなくてもよい。別個のポリペプチドとして発現される場合、それらは、例えば、2A要素またはIRESエレメントによってベクター上で分離され得る(または両方の種類が、1回または2回以上同じベクター上で使用され得る)。
【0311】
いくつかの実施形態では、サイトカイン及び自殺遺伝子は、同じポリペプチドから発現され、2Aエレメントによって分離される。いくつかの実施形態では、2Aエレメントは、細胞中のタンパク質の翻訳中にリボソームスキッピングを誘導することができる。
【0312】
いくつかの実施形態では、2Aエレメントは、QCTNYALLKLAGDVESNPGP(配列番号53)のアミノ酸配列を含む。
【0313】
細胞
本開示は、CD28ヒンジドメインを含むBCMA CARを含む遺伝子操作された受容体をコードする少なくとも1つのベクターを有する任意の種類の免疫細胞または幹細胞を包含する。場合によっては、異なるベクターがCARをコードするvs.自殺遺伝子及び/またはサイトカインをコードする。NK細胞を含む免疫細胞は、臍帯血(複数の供給源由来のプールされた臍帯血を含む)、末梢血、誘導多能性幹細胞(iPSC)、造血幹細胞(HSC)、骨髄、またはそれらの混合物に由来し得る。NK細胞は、例えば、非限定的に、NK-92細胞などの細胞株に由来し得る。NK細胞は、臍帯血単核細胞、例えばCD56+NK細胞であり得る。
【0314】
本開示は、免疫細胞または任意の種類の他の細胞を包含し、通常型T細胞、γ-δT細胞、NKT及びインバリアントNK T細胞、制御性T細胞、マクロファージ、B細胞、樹状細胞、間葉系間質細胞(MSC)、またはそれらの混合物を含む。
【0315】
NK細胞は、先天性免疫応答の重要な成分であり、悪性細胞に対する防御の第1の系統における重要な役割を果たす。前感作なしで悪性細胞を殺傷するNK細胞の能力は、HLA分子との関連で提示される腫瘍抗原の認識を必要とするT細胞とは異なり、その迅速な作用に寄与する。
【0316】
場合によっては、NK細胞は、任意の適切な比率を含む、有効量の普遍的抗原提示細胞(UAPC)の存在下で拡大されている。細胞は、例えば、1:2の比を含む、10:1~1:10;9:1~1:9;8:1~1:8;7:1~1:7;6:1~1:6;5:1~1:5;4:1~1:4;3:1~1:3;2:1~1:2;または1:1の比でUAPCと共に培養され得る。場合によっては、NK細胞を、例えば10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、10~50、100~500、100~400、100~300、100~200、200~500、200~400、200~300、300~500、300~400、または400~500U/mLの濃度のIL-2の存在下で増殖させた。
【0317】
ベクター(複数可)による遺伝子改変後、NK細胞を直ちに注入するか、または保存することができる。特定の態様では、遺伝子改変後、細胞は、細胞への遺伝子導入後約1、2、3、4、5日またはそれ以上の範囲内で、バルク集団としてエクスビボで、数日、数週間または数ヶ月にわたって増殖され得る。さらなる態様では、トランスフェクトした細胞をクローニングし、単一の組み込まれたまたはエピソームで維持された発現カセットまたはプラスミドの存在を実証するクローンをクローニングし、CARの発現をエクスビボで拡大させる。
【0318】
本開示の実施形態は、本明細書に包含される、1つ以上のCAR及び1つ以上の自殺遺伝子を発現する細胞を包含する。NK細胞は、特定の実施形態において、1つ以上のCARと、1つ以上の操作された非分泌性の膜結合TNF-α変異体ポリペプチドとをコードする組換え核酸を含む。特定の実施形態では、1つ以上のCAR及びTNF-α変異体ポリペプチドを発現することに加えて、細胞はまた、1つ以上の治療用遺伝子産物をコードする核酸を含む。
【0319】
細胞は、個体から直接得てもよいし、保管場所または他の保管施設から得てもよい。治療としての細胞は、細胞が治療として提供される個体に対して自家または同種異系であってもよい。
【0320】
細胞は、医学的状態のための治療を必要とする個体からのものであってよく、CAR、任意選択での自殺遺伝子、任意選択でのサイトカイン(複数可)、及び任意選択での治療用遺伝子産物(複数可)を発現するようにそれらの操作に続いて(例えば、養子細胞治療のための形質導入及び拡大のための標準的な技術を使用して)、それらは、元々起源であった個体に戻して提供され得る。場合によっては、細胞は、後で個体または別の個体に使用するために保存される。
【0321】
免疫細胞は、細胞の集団に含まれてもよく、その集団は、1つ以上の受容体及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインで形質導入される大部分を有してもよい。細胞の集団は、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の、1つ以上のCAR及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインで形質導入された免疫細胞を含み得る。1つ以上のCAR及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインは、別個のポリペプチドであり得る。
【0322】
免疫細胞は、特定の目的に関してモジュール化することを意図して、1つ以上のCAR及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインを用いて産生され得る。例えば、CAR及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインを発現する商業的分配(または、その後の形質導入のために変異体をコードする核酸と共に分配される)を含む細胞を生成することができ、ユーザーは、それらの意図された目的(複数可)に応じて1つ以上の他の目的の遺伝子(治療用遺伝子を含む)を発現するように、それらを改変することができる。例えば、抗原陽性のがんまたは感染因子に感染した細胞を含む抗原陽性細胞の治療に関心のある個体は、自殺遺伝子発現細胞(または異種サイトカイン発現細胞)を得るかまたは生成し、それらを改変して、抗原特異的scFvを含む受容体を発現し得るか、またはその逆である。
【0323】
特定の実施形態では、NK細胞が利用され、1つ以上のCAR及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインを発現する形質導入されたNK細胞のゲノムが改変され得る。ゲノムは、任意の様式で改変され得るが、特定の実施形態において、ゲノムは、例えば、CRISPR遺伝子編集によって改変される。細胞のゲノムは、任意の目的で細胞の有効性を高めるように改変され得る。
【0324】
非限定的な例として、NK細胞は、配列番号19~21、45、47、及び49からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むBCMA結合CARを発現し得る。いくつかの例において、NK細胞は、配列番号42~44、46、48、及び50からなる群から選択される核酸配列を含むポリヌクレオチドを含み得る。
【0325】
III.治療方法
種々の実施形態では、その表面上に所望の標的を発現する罹患した細胞または他の細胞は、医学的状態を有する個体における医学的状態を改善する目的で、または個体における医学的状態のリスクを低減する目的で、または医学的状態の重症度及び/または発症を遅延させる目的で、標的化される。特定の場合において、内因性抗原を発現するがん細胞は、がん細胞を殺傷する目的で標的化される。他の場合には、感染因子に感染した細胞は、感染細胞を殺傷する目的で標的化される。
【0326】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)は、1つ以上のBCMA関連状態を治療する方法で使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)は、医薬として使用するためのものである。BCMA関連状態は、非限定的に、BCMA発現によって引き起こされる状態、BCMA発現に関与する状態、全体的にまたは部分的にBCMA発現に起因する症状に関与する状態、またはBCMA発現に関連して起こることが知られている状態を含み得る。
【0327】
本開示によれば、本明細書に記載の抗体、その断片、ならびにCAR、及び組成物を、BCMA関連がんを治療するために使用することができる。がんは、体内の異常な細胞の制御不能の増殖を特徴とするさまざまな疾患の広いグループである。制御不能の細胞分裂と増殖により、悪性腫瘍が形成され、隣接する組織に侵入し、リンパ系または血流を介して体の離れた部分に転移し得る。いくつかの実施形態では、「がん」または「がん組織」は固形腫瘍を含む。本発明の方法によって治療できるがんの例としては、リンパ腫、白血病、骨髄腫、及び他の白血球悪性腫瘍を含む免疫系のがんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0328】
いくつかの態様において、本発明は、BCMAに結合する薬剤(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片)を投与することを含む、がんを治療する方法を提供する。
【0329】
さまざまな実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片)の投与は、有病率、頻度、レベル、及び/または本明細書に記載の、または当該技術分野で知られているBCMA関連状態の1つ以上の症状またはバイオマーカーの量の減少、例えば、対象における以前の測定値または参照値と比較した、1つ以上の症状またはバイオマーカーの少なくとも3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%の減少をもたらす。
【0330】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)をがんを有する対象に投与すると、がんの1つ以上の症状またはバイオマーカーが、参照抗体、例えば、同等の条件下でのBCMA結合を交差競合する抗体がするよりも大幅に減少または改善される。
【0331】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)は、抗BCMA抗体が参照(例えば、BCMA結合について交差競合する抗体)と同一、同等、または実質的に同等の製剤で、及び/または参照と同一、同等、または実質的に同等の投与経路によって投与される場合、参照タンパク質、例えば、BCMA結合について交差競合する抗体と比較して少ない用量で投与して、同等、同等に有効、同等に有効、または実質的に有効な転帰を達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、抗BCMA抗体が参照と同一、同等、または実質的に同等の製剤で、及び/または参照と同一、同等、または実質的に同等の投与経路によって投与される場合、参照抗体(例えば、BCMA結合について交差競合する抗体)と比較して広げられた間隔で投与して、同等、同等に有効、同等に有効、または実質的に有効な転帰を達成することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、抗BCMA抗体が参照(例えば、BCMA結合について交差競合する抗体)と同一、同等、または実質的に同等の製剤で、及び/または参照と同一、同等、または実質的に同等の投与経路によって投与される場合、参照抗体と比較して、減少した単位用量の数で、及び/または短縮された治療期間で投与して、同等、同等に有効、同等に有効、または実質的に有効な転帰を達成することができる。
【0332】
いくつかのそのような実施形態によれば、本明細書に記載の抗BCMA抗体の投与用量は、参照抗体、例えば、例えば、BCMA結合について交差競合する抗体の有効用量よりも、対象に投与されたときに有害反応、例えば、有害免疫反応を誘発する可能性が低い可能性がある。したがって、さまざまな実施形態では、本明細書に開示される抗BCMA抗体は、投与される活性単位あたりで、参照抗体よりも有害反応または副作用を誘発する可能性が低くあり得る。さまざまな実施形態では、本明細書に開示される抗BCMA抗体は、投与される活性単位あたりで、参照抗体よりも、特定の重症度を有する有害反応または副作用を誘発する可能性が低くあり得る。さまざまな実施形態では、本明細書に開示される抗BCMA抗体は、投与される活性単位当たり、参照抗体よりも低い程度で、またはより少ない患者において、1つ以上の有害反応または副作用を誘発する可能性がある。BCMAに結合できる抗体の投与に関連する可能性のある有害反応または副作用の例としては、頭痛、鼻咽頭炎、背中の疼痛、悪心、下痢、高血圧、上気道感染症、腹痛、嘔吐、貧血、咳、末梢浮腫、及び/または尿路感染が挙げられ得る。
【0333】
いくつかの実施形態では、対象への投与時に(例えば、単回用量で)、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)は、投与後の定義された時間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、またはそれ以上)に、同じ定義された時間での対照(例えばBCMA結合に対して交差競合する抗体)のレベルと比べて血漿中の増加したレベルで測定される。例えば、単回用量の投与後の所定の時点で、本明細書に記載の抗BCMA抗体のレベルは、参照抗体の対応するレベルよりも、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、または500%高い。
【0334】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)は、(例えば単回用量の)投与後の定義された時間(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、またはそれ以上)に、同じ定義された時間での対照のレベルと比べて血漿中の増加したレベルで測定される。例えば、投与後の所定の時点で、本明細書に記載の抗BCMA抗体のレベルは、参照抗体の対応するレベルよりも、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、300%、400%、または500%高い。
【0335】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、(例えば、対照、例えば、参照抗体、例えば、BCMA結合について交差競合する抗体と比べて)増加した半減期を有し、したがって、抗BCMA抗体は、投与間隔を広げて対象に投与することができる。例えば、抗BCMA抗体は、毎週1回、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、またはそれ以上の期間で投与することができる。
【0336】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片の治療有効量は、参照治療用タンパク質、例えば、BCMA結合について交差競合する抗体の有効量の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、または5%である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体の単回用量は、参照抗体の2回以上の用量と同等の治療効果を達成する。
【0337】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、対象における標的抗原(例えば、BCMA)の濃度の約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、また5%である用量で投与される。
【0338】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、当業者に知られているさまざまな方法及び送達システムのいずれかを使用して、対象に物理的に導入することができる。本明細書に開示される製剤の例示的な投与経路としては、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄または他の非経口投与経路、例えば注射または注入によるものが挙げられる。本明細書で使用される場合、「非経口投与」という語句は、経腸投与と局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、非限定的に、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、ならびにインビボエレクトロポレーションが含まれる。いくつかの実施形態では、製剤は、局所、表皮または粘膜の投与経路を含む非経口経路によって、例えば、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下、または局所で投与される。また、投与することは、例えば1回、複数回、及び/または1つ以上の長い期間にわたって行うことができる。
【0339】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体またはその断片は、多くの診断用途及び治療用途に使用することができる。例えば、本明細書に記載の操作された抗体の検出可能に標識されたバージョンをアッセイで使用して、試料(例えば、生体試料)中のBCMAの存在または量を検出することができる。本明細書に記載の操作された抗体は、BCMAへの結合を研究するためのインビトロアッセイで使用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、そうでなければBCMA関連障害を治療するのに有用である追加の新規化合物を同定するために設計されたアッセイにおける陽性対照として使用することができる。例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、BCMAに結合する追加の化合物(例えば、小分子、アプタマー、または抗体)を同定するためのアッセイにおいて陽性対照として使用することができる。
【0340】
本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片は、対象、例えば、1つ以上のBCMA関連状態を有する、有する疑いがある、発症するリスクがある、または治療中である、対象をモニタリングするのに使用することができる。モニタリングは、対象、例えば、対象の血清中のBCMAの量または活性を決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、評価は、本明細書に記載の抗BCMA抗体の投与後、少なくとも1時間、例えば、少なくとも2、4、6、8、12、24、または48時間、または少なくとも1日間、2日間、4日間、10日間、13日間、20日間、もしくはそれ以上、または少なくとも1週間、2週間、4週間、10週間、13週間、20週間、もしくはそれ以上行われる。対象は、以下の期間の1つ以上で評価することができる:治療の開始前;治療中;または治療の1つ以上の要素が投与された後。評価は、さらなる治療の必要性を評価すること、例えば、投与量、投与頻度、または治療期間を変更すべきかどうかを評価することを含むことができる。また、選択された治療法を追加または中断する必要性を評価すること、例えば、本明細書に記載のBCMA関連障害の任意の治療を追加または中断することも含み得る。本発明の一実施形態では、多発性骨髄腫を含む種々の血液学的悪性腫瘍の治療のための、BCMA結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)が開示される。BCMAタンパク質はがん細胞上で発現する。CARのBCMA抗原結合部分は、そのBCMA断片の細胞外ドメイン内のエピトープと相互作用する。
【0341】
特定の実施形態では、本明細書で企図されるCAR構築物、核酸配列、ベクター、免疫細胞など、及び/またはそれを含む医薬組成物は、がん性疾患などの疾患の予防、治療、または改善のために使用される。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、例えば、特定の抗原を発現し、固形腫瘍であってもなくてもよいがんを含むがんを予防、改善、及び/または治療するのに特に有用であり得る。
【0342】
受容体が利用される免疫細胞は、特定の実施形態において、哺乳動物の細胞療法のために操作されたNK細胞、T細胞、γδT細胞、αβT細胞、またはNKTもしくはインバリアントNKT(iNKT)、またはインバリアントNKT細胞であり得る。細胞がNK細胞である場合、NK細胞療法は任意の種類であってよく、NK細胞は任意の種類であってよい。特定の実施形態では、細胞は、1つ以上のCAR及び/または1つ以上の自殺遺伝子及び/または1つ以上のサイトカインを発現するように操作されたNK細胞である。特定の実施形態では、細胞は、CARを形質導入されたNK細胞である。
【0343】
特定の実施形態では、本開示は、一部には、単独で、または標準的なベクター及び/または遺伝子送達系を使用する任意の組み合わせで、少なくともいくつかの態様では、薬学的に許容される担体または賦形剤と一緒に投与することができる、CAR発現細胞、CAR構築物、CAR核酸分子、及びCARベクターを企図する。特定の実施形態では、投与後、核酸分子またはベクターは、対象のゲノムに安定に組み込まれ得る。
【0344】
特定の実施形態では、特定の細胞または組織に特異的であり、NK細胞に存続するウイルスベクターを使用することができる。適切な薬学的担体及び賦形剤は、当該技術分野において周知である。本開示に従って調製された組成物は、上記で同定された疾患の予防または治療または遅延のために使用され得る。
【0345】
さらに、本開示は、腫瘍疾患の予防、治療、または改善のための方法であって、それを必要とする対象に、本明細書で企図されるCAR、核酸配列、ベクターを発現する、及び/または本明細書で企図されるプロセスによって産生される細胞の有効量を投与するステップを含む方法に関する。
【0346】
例示的なCAR細胞の組成物(複数可)の投与に対する可能な適応症は、例えば、B細胞悪性腫瘍、多発性骨髄腫、乳癌、膠芽腫、腎癌、膵臓癌、または肺癌を含む腫瘍性疾患を含むがん性疾患である。抗原標的化CAR細胞の組成物(複数可)の投与の例示的な適応症は、抗原を発現する任意の悪性腫瘍を含むがん性疾患である。本開示の組成物(複数可)の投与は、例えば、最小残留疾患、初期がん、進行がん、及び/または転移性がん及び/または難治性がんを含む、すべてのステージ(I、II、III、またはIV)及びすべてのタイプのがんに有用である。
【0347】
本開示は、免疫細胞を介して作用する他の化合物、例えば、二重特異性抗体構築物、標的化毒素、または他の化合物との共投与プロトコールをさらに包含する。本発明の化合物(複数可)の共投与のための臨床レジメンは、他の成分の投与と同時、その前または後の共投与を包含し得る。特定の併用療法は、化学療法、放射線、外科手術、ホルモン療法、または他のタイプの免疫療法を含む。
【0348】
特定の態様では、本発明は、BCMA発現がん細胞の集団の増殖を阻害するか、またはBCMA発現がん細胞の集団を減少させる方法であって、該方法は、BCMA発現がん細胞の集団を、BCMA発現細胞に結合する本発明の抗BCMA CAR発現細胞(例えば、BCMA CAR発現NK細胞)と接触させることを含む、方法を提供する。一態様では、本発明は、BCMA発現がん細胞の集団の増殖を阻害するか、またはBMCA発現がん細胞の集団を減少させる方法であって、BCMA発現がん細胞の集団を、BCMA発現細胞に結合する本発明の抗BCMA CAR発現細胞(例えば、BCMA CAR発現NK細胞)と接触させることを含む、方法を提供する。特定の態様では、本発明の抗BCMA CAR発現細胞(例えば、BCMA CAR発現NK細胞)は、骨髄性白血病またはBCMA発現細胞に関連する別のがんの対象または動物モデルにおける細胞及び/またはがん細胞の数、量、または割合を、陰性対照と比較して少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも65%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%低減する。一態様では、対象はヒトである。
【0349】
いくつかの実施形態では、本発明の治療方法が有用ながんは、任意の悪性細胞型、例えば固形腫瘍または血液学的腫瘍に見出されるものを含む。例示的な固形腫瘍は、膵臓、結腸、盲腸、胃、脳、頭部、頸部、卵巣、腎臓、喉頭、肉腫、肺、膀胱、黒色腫、前立腺、及び乳房からなる群から選択される器官の腫瘍を含むことができるが、これらに限定されない。例示的な血液学的腫瘍は、骨髄、TまたはB細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫、芽細胞腫、骨髄腫などの腫瘍を含む。本明細書に提供される方法を使用して治療できるがんのさらなる例としては、肺癌(小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜癌、胃癌(gastric cancer)または胃癌(stomach cancer)(消化管癌及び消化管間質癌を含む)、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜または子宮癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌(kidney cancer)または腎臓癌(renal cancer)、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、種々のタイプの頭頸部癌、及び黒色腫が挙げられるが、これらに限定されない。
【0350】
がんは、特に以下の組織学的型のものであってよいが、これらに限定されない:新生物、悪性;癌腫;癌、未分化;巨細胞癌及び紡錘細胞癌;小細胞癌;乳頭癌;扁平上皮癌;リンパ上皮癌;基底細胞癌;毛孔腫癌;移行上皮癌;乳頭状移行上皮癌;腺癌;ガストリノーマ、悪性;胆管癌;肝細胞癌;肝細胞癌と胆管癌の合併;小柱癌;腺嚢胞癌;腺腫ポリープにおける腺癌;腺癌、家族性大腸ポリポーシス;固形癌;カルチノイド腫瘍、悪性;細気管支肺胞腺癌;乳頭癌;嫌色素性癌;好酸性癌;好酸性腺癌;塩基好性癌;明細胞腺癌;顆粒細胞癌;濾胞性腺癌;乳頭及び濾胞の腺癌;非被包性硬化性癌;副腎皮質癌;類内膜癌;皮膚付属器癌;アポクリン腺癌;皮脂腺癌;耳垢腺癌;粘表皮癌;嚢胞腺癌;乳頭状嚢胞腺癌;乳頭状漿液嚢胞腺癌;粘液性嚢胞腺癌;粘液性腺癌;印環細胞癌;浸潤性導管癌;髄様癌;小葉癌;炎症性癌;パジェット病、乳房;腺房細胞癌;腺扁平上皮癌;扁平上皮化生随伴腺癌;胸腺腫、悪性;卵巣間質腫、悪性;莢膜細胞腫、悪性;顆粒膜細胞腫、悪性;アンドロブラストーマ、悪性;セルトリ細胞腫;ライディッヒ細胞腫、悪性;脂質細胞腫瘍、悪性;パラガングリオーマ、悪性;乳房外パラガングリオーマ、悪性;クロム親和細胞腫;血管球血管肉腫;悪性黒色腫;無色素性黒色腫;表在拡大型黒色腫;黒子悪性黒色腫;末端黒子黒色腫;結節性黒色腫;巨大色素性母斑中の悪性黒色腫;類上皮細胞黒色腫;青色母斑、悪性;肉腫;線維肉腫;線維性組織球腫、悪性;粘液肉腫;脂肪肉腫;平滑筋肉腫;横紋筋肉腫;胎児性横紋筋肉腫;胞巣型横紋筋肉腫;間質性肉腫;混合腫瘍、悪性;ミューラー混合腫瘍;腎芽腫;肝芽腫;癌肉腫;間葉腫、悪性;ブレンナー腫瘍、悪性;葉状腫瘍、悪性;滑膜肉腫;中皮腫、悪性;未分化胚細胞腫;胚性がん腫;テラトーマ、悪性;卵巣甲状腺腫、悪性;絨毛癌;中腎腫、悪性;血管肉腫;血管内皮腫、悪性;カポジ肉腫;血管周囲細胞腫、悪性;リンパ管肉腫;骨肉腫;傍骨骨肉腫;軟骨肉腫;軟骨芽細胞腫、悪性;間葉性軟骨肉腫;骨巨細胞腫;ユーイング肉腫;歯原性腫瘍、悪性;エナメル上皮歯牙肉腫;エナメル上皮腫、悪性;エナメル上皮線維肉腫;松果体腫、悪性;脊索腫;神経膠腫、悪性;上衣腫;星状細胞腫;原形質性星状細胞腫;線維性星状細胞腫;星状芽細胞腫;膠芽細胞腫;乏突起神経膠腫;乏突起神経膠芽細胞腫;原始神経外胚葉性;小脳肉腫;神経節芽細胞腫;神経芽細胞腫;網膜芽細胞腫;嗅神経腫瘍;髄膜腫、悪性;神経線維肉腫;神経鞘腫、悪性;顆粒細胞腫瘍、悪性;悪性リンパ腫;ホジキン病;ホジキン側肉芽腫;悪性リンパ腫、小リンパ球性;悪性リンパ腫、びまん性大細胞性;悪性リンパ腫、濾胞性;菌状息肉腫;特定された他の非ホジキンリンパ腫;B細胞リンパ腫;低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中間悪性度/濾胞性NHL;中間悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽球NHL;高悪性度リンパ芽球NHL;高悪性度小型非切れ込み細胞NHL;巨大腫瘤病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;悪性組織球腫;多発性骨髄腫;肥満細胞肉腫;免疫増殖性小腸疾患;白血病;リンパ性白血病;血漿細胞白血病;赤白血病;リンパ肉腫細胞白血病;骨髄性白血病;好塩基球性白血病;好酸球性白血病;単球性白血病;マスト細胞白血病;巨核芽球性白血病;骨髄肉腫;有毛細胞白血病;慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);及び慢性骨髄芽球性白血病。
【0351】
非限定的な例として、本発明の抗BCMA抗体、CAR、細胞、及び組成物は、B細胞関連疾患を治療するために使用される。いくつかの実施形態では、がんはB細胞関連疾患である。いくつかの実施形態では、B細胞関連疾患は、形質細胞腫、ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、地域性バーキットリンパ腫、散発性バーキットリンパ腫、辺縁帯リンパ腫、節外性粘膜関連リンパ組織リンパ腫、結節性単球様B細胞リンパ腫、脾リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、大細胞リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、悪性度未知のB細胞、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節疾患、関節リウマチ、重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、抗リン脂質症候群、ANCA関連血管炎、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、急速進行性糸球体腎炎、重鎖病、及び原発性または免疫細胞関連性アミロイドーシスからなる群から選択される。
【0352】
医薬組成物
本開示の医薬組成物は、有効量の、薬学的に許容される担体中に分散されたNK細胞を含む組成物を含む。いくつかの実施形態では、本組成物は、薬学的に許容される担体、希釈剤、可溶化剤、乳化剤、保存剤、及び/またはアジュバントを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、賦形剤を含む。組成物を含む医薬組成物の調製は、参照により本明細書に組み込まれる、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.Lippincott Williams and Wilkins,2005によって例示されるように、本開示に照らして当業者に公知である。さらに、動物(例えばヒト)投与の場合、製剤は、FDA Office of Biological Standardsによって要求される、無菌性、発熱性、一般的な安全性、及び純度の基準を満たすべきであることが理解されよう。
【0353】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」としは、当業者に公知であるような、任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物、薬物安定剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、染料、同様の材料及びそれらの組み合わせが挙げられる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。任意の従来の担体が活性成分と適合しない場合を除いて、医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0354】
医薬組成物は、固体、液体またはエアロゾル形態で投与されるかどうか、及び注射のような投与経路に対して無菌である必要があるかどうかに応じて、異なる種類の担体を含み得る。本開示の組成物は、当業者に公知である、静脈内、皮内、経皮的、髄腔内、動脈内、内視鏡的、腹腔内、鼻腔内、膣内、直腸内、局所、筋肉内、経皮的、皮下、粘膜内、経口、局所、吸入(例えば、エアロゾル吸入)、注射、注入、持続注入、標的細胞を直接浸す局所灌流、カテーテルを介して、洗浄を介して、クリーム中、脂質組成物(例えば、リポソーム)中、灌流による局所的、腫瘍微小環境内で、または他の方法もしくは前述の任意の組み合わせによって投与することができる(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990を参照されたい)。
【0355】
製剤化及び投与
種々の実施形態では、本明細書に記載の抗体またはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)を医薬組成物に組み込むことができる。そのような医薬組成物は、例えば、疾患、例えばBCMA関連障害の予防及び/または治療のために有用であり得る。医薬組成物は、当業者に知られている方法によって製剤化することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th edition,ed.Alfonso R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,Pa.(1985)に記載されているように)。
【0356】
投与の適切な手段は、対象の年齢及び状態に基づいて選択することができる。本明細書に記載の抗体またはその断片(例えば、本明細書に記載の抗BCMA抗体)を含む医薬組成物の単回用量は、体重1kgあたり0.001~1000mgの範囲から選択することができる。一方、用量は体重あたり0.001~100000mgの範囲で選択できるが、本開示はそのような範囲に限定されない。用量及び投与方法は、患者の体重、年齢、状態などに応じて変動し、当業者であれば必要に応じて適宜選択することができる。
【0357】
種々の実施形態では、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含むように製剤化することができる。薬学的に許容される担体の例としては、非限定的に、生理学的に適合性のある任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。本発明の組成物は、薬学的に許容される塩、例えば酸付加塩または塩基付加塩を含むことができる。
【0358】
種々の実施形態では、本明細書に記載の抗体を含む組成物、例えば注射用無菌製剤は、ビヒクルとして注射用蒸留水を使用して、従来の薬務に従って製剤化することができる。例えば、生理食塩水またはブドウ糖と、D-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、及び塩化ナトリウムなどの他の補充成分を含む等張液を、任意選択で適切な可溶化剤、例えば、エタノールなどのアルコール、及びプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの多価アルコール、ポリソルベート80(商標)、HCO-50などの非イオン性界面活性剤などと組み合わせて、注射用水溶液として使用することができる。
【0359】
本明細書に開示される場合、医薬組成物は当該技術分野で知られている任意の形態であってよい。そのような形態としては、例えば、液体、半固体、及び固体の剤形、例えば、液体の液剤(例えば、注射剤及び点滴剤)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム、及び坐剤が挙げられる。
【0360】
任意の特定の形態の選択または使用は、部分的には、意図する投与様式及び治療への適用に依存し得る。例えば、全身または局所送達を目的とする組成物を含む組成物は、注射剤または点滴剤の形態であり得る。したがって、組成物は非経口様式(例えば静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射)による投与用に製剤化され得る。本明細書中で使用される場合、非経口投与は、通常は注射による、経腸投与及び局所投与以外の投与様式を指し、非限定的に、静脈内、鼻腔内、眼内、肺内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、肺内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内及び胸骨内の注射及び注入が含まれる。
【0361】
投与経路は、非経口、例えば、注射による投与、経鼻投与、経肺投与、または経皮投与であり得る。投与は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射による全身または局所であり得る。
【0362】
種々の実施形態では、本発明の医薬組成物は、液剤、マイクロエマルション、分散剤、リポソーム、または高い濃度での安定した保存に適した他の規則構造として製剤化することができる。滅菌注射剤は、必要量の本明細書に記載の組成物を上に挙げた成分の1つまたは組み合わせと共に適正な溶媒に組み込み、必要により、続いて濾過滅菌を行うことによって調製することができる。一般的に、分散剤は、本明細書に記載の組成物を、基礎的な分散媒及び上に列挙されるものからの必要とされる他の成分を含む滅菌ビヒクルへと混合することによって調製される。滅菌注射剤を調製するための滅菌粉末の場合、調製方法は、事前に滅菌濾過された本明細書の組成物の溶液から、本明細書の組成物と任意の所望の追加成分(下記参照)との粉末を生じる、真空乾燥及び凍結乾燥を含む。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズの維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを組成物中に含めることによってもたらすことができる。
【0363】
医薬組成物は、水または別の薬学的に許容される液体中の滅菌の溶液または懸濁液を含む注射可能な製剤の形態で非経口的に投与することができる。例えば、医薬組成物は、治療用分子を、薬学的に許容されるビヒクルまたは媒体、例えば、滅菌水及び生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味賦形剤、希釈剤、ビヒクル、防腐剤、結合剤と好適に組み合わせ、続いて、一般的に受け入れられている薬務に必要な単位用量形態で混合することによって製剤化することができる。医薬製剤に含まれる活性成分の量は、指定された範囲内の適切な用量が提供されるような量である。油性液体の非限定的な例としては、ゴマ油及び大豆油が挙げられ、可溶化剤として安息香酸ベンジルまたはベンジルアルコールと組み合わせることができる。含まれ得る他の品目は、リン酸緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液などの緩衝剤、塩酸プロカインなどの無痛化剤、ベンジルアルコールまたはフェノールなどの安定剤、及び抗酸化剤である。処方された注射剤は、適切なアンプルに包装することができる。
【0364】
いくつかの実施形態では、組成物は、0℃未満の温度(例えば、-20℃または-80℃)で保存するために凍結製剤化することができる。凍結保存した細胞を解凍し、対象に注射した。凍結製剤化に使用される培地として、以下の凍結保存の培地が例示される;
【化1】
【0365】
凍結製剤化に使用されるそれぞれの成分は、任意の市販の供給源から得ることができる。非限定的な例として、上述のそれぞれの成分は、以下のベンダーから得ることができる:
【化2】
【0366】
いくつかの実施形態では、組成物は、最大2年間(例えば、1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、11か月間、1年間、1.5年間、または2年間)、2~8℃(例えば4℃)での保存のために製剤化することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、2~8℃(例えば、4℃)で少なくとも1年間保存安定である。
【0367】
特定の例では、医薬組成物は、溶液として製剤化することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、適切な濃度で、2~8℃(例えば、4℃)での保存に適した緩衝された溶液として製剤化することができる。
【0368】
本明細書に記載の1つ以上の操作された抗体を含む組成物は、イムノリポソーム組成物に製剤化することができる。そのような製剤は、当該技術分野で知られている方法によって調製することができる。循環時間が強化されたリポソームは、例えば、米国特許第5,013,556号に開示される。
【0369】
特定の実施形態では、組成物は、インプラント及びマイクロカプセル化の送達系を含む制御放出製剤など、化合物を急速な放出から保護する担体と共に製剤化することができる。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーを使用できる。そのような製剤の調製のための多くの方法は、当該技術分野で知られている。例えば、J.R.Robinson(1978)“Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,” Marcel Dekker,Inc.,New Yorkを参照されたい。
【0370】
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒトなどの哺乳動物への肺内投与(例えば、吸入器またはネブライザーによる投与)に適した組成物に製剤化することができる。そのような組成物を製剤化する方法は、当該技術分野で周知である。乾燥粉末吸入製剤及び製剤の投与に適したシステムも当該技術分野で知られている。経肺投与は経口及び/または鼻投与であってよい。肺送達用の薬学的デバイスの例としては、定量吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)、及びネブライザーが挙げられる。例えば、本明細書に記載の組成物は、乾燥粉末吸入器によって対象の肺に投与することができる。これらの吸入器は、分散性で安定した乾燥粉末製剤を肺に送達する噴射剤を使用しないデバイスである。乾燥粉末吸入器は医学の技術分野でよく知られており、非限定的に、TURBOHALER(登録商標)(AstraZeneca;London,England)、AIR(登録商標)吸入器(ALKERMES(登録商標);Cambridge,Mass.);ROTAHALER(登録商標)(GlaxoSmithKline;London,England);及びECLIPSE(商標)(Sanofi-Aventis;Paris,France)が含まれる。例えば、PCT公開番号WO04/026380、WO04/024156、及びWO01/78693を参照されたい。DPIデバイスは、インスリン及び成長ホルモンなどのポリペプチドの肺投与に使用されてきた。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、定量吸入器によって肺内投与することができる。これらの吸入器は、噴射剤に依存して、個別の用量の化合物を肺に送達する。追加のデバイス及び肺内投与方法は、例えば、米国特許出願公開第20050271660号及び同第20090110679号に記載されており、これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0371】
いくつかの実施形態では、組成物は、例えば、薬学的に許容される溶液、懸濁液、または軟膏の形態で、眼への送達のために製剤化することができる。眼の治療に使用する製剤は、例えば、非限定的に、防腐剤、緩衝剤、等張化剤、抗酸化剤及び安定剤、非イオン性湿潤剤または清澄化剤、ならびに増粘剤などの追加の成分を含む、滅菌水性溶液の形態であり得る。本明細書に記載の製剤は、治療を必要とする対象(例えば、AMDに罹患している対象)の眼に、従来の方法、例えば点滴薬の形態で、または眼を1つ以上の組成物を含む治療溶液に浸すことによって、局所的に投与することができる。
【0372】
特定の実施形態では、眼の硝子体腔に薬物を導入するためのさまざまなデバイスが、本明細書に記載の組成物の投与に適切であり得る。例えば、米国特許出願公開第2002/0026176号は、硝子体腔内に突出して医薬品を硝子体腔内に送達するように、強膜を通して挿入することができる薬剤含有プラグを記載している。別の例では、米国特許第5,443,505号は、眼の内部への薬物の徐放のために、脈絡膜上腔または無血管領域への導入のための移植可能なデバイスを記載している。米国特許第5,773,019号及び同第6,001,386号はそれぞれ、眼の強膜表面に取り付け可能な移植可能な薬物送達デバイスを開示している。治療薬を眼に送達するための追加の方法及びデバイス(例えば、経強膜パッチ及びコンタクトレンズを介した送達)は、例えば、Ambati and Adamis(2002)Prog Retin Eye Res 21(2):145-151;Ranta and Urtti(2006)Adv Drug Delivery Rev 58(11):1164-1181;Barocas and Balachandran(2008)Expert Opin Drug Delivery 5(1):1-10(10);Gulsen and Chauhan(2004)Invest Opthalmol Vis Sci 45:2342-2347;Kim et al.(2007)Ophthalmic Res 39:244-254;及びPCT公開番号WO04/073551に記載され、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0373】
特定の実施形態では、本明細書に記載の抗体の投与は、抗体をコードする核酸を対象に投与することによって達成される。本明細書に記載の治療用抗体をコードする核酸は、細胞内で抗体を発現及び産生するために使用できる核酸を送達するための遺伝子治療プロトコールの一部として使用される遺伝子構築物に組み込むことができる。そのような成分の発現構築物は、任意の治療上有効な担体、例えば、成分遺伝子をインビボで細胞に効果的に送達できる任意の製剤または組成物中で投与することができる。アプローチとしては、組換えのレトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、及び単純ヘルペスウイルス-1(HSV-1)を含むウイルスベクター、または組換え細菌または真核生物のプラスミドへの対象遺伝子の挿入が挙げられる。ウイルスベクターは細胞に直接トランスフェクトできる。プラスミドDNAは、例えば、カチオン性リポソーム(リポフェクチン)または誘導体化されたポリリジンコンジュゲート、グラミシジンS、人工ウイルスエンベロープ、または他のそのような細胞内担体の助けを借りて送達することができ、さらに遺伝子構築物の直接注入またはCaPO4沈殿によって送達することができる(例えば、WO04/060407を参照されたい)。適切なレトロウイルスの例としては、当業者に知られているpLJ、pZIP、pWE、及びpEMが挙げられる(例えば、Eglitis et al.(1985)Science 230:1395-1398;Danos and Mulligan(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85:6460-6464;Wilson et al.(1988)Proc Natl Acad Sci USA 85:3014-3018;Armentano et al.(1990)Proc Natl Acad Sci USA 87:6141-6145;Huber et al.(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:8039-8043;Ferry et al.(1991)Proc Natl Acad Sci USA 88:8377-8381;Chowdhury et al.(1991)Science 254:1802-1805;van Beusechem et al.(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:7640-7644;Kay et al.(1992)Human Gene Therapy 3:641-647;Dai et al.(1992)Proc Natl Acad Sci USA 89:10892-10895;Hwu et al.(1993)J Immunol 150:4104-4115;米国特許第4,868,116号、及び同第4,980,286号;ならびにPCT公開番号WO89/07136、WO89/02468、WO89/05345、及びWO92/07573を参照されたい)。別のウイルス遺伝子送達システムは、アデノウイルス由来のベクターを利用する(例えば、Berkner et al.(1988)BioTechniques 6:616;Rosenfeld et al.(1991)Science 252:431-434;及びRosenfeld et al.(1992)Cell 68:143-155を参照されたい)。アデノウイルス株Ad5型dl324またはアデノウイルスの他の株(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)に由来する適切なアデノウイルスベクターは、当業者に知られている。対象遺伝子の送達に有用なさらに別のウイルスベクター系は、アデノ随伴ウイルス(AAV)である。例えば、Flotte et al.(1992)Am J Respir Cell Mol Biol 7:349-356;Samulski et al.(1989)J Virol 63:3822-3828;及びMcLaughlin et al.(1989)J Virol 62:1963-1973を参照されたい。
【0374】
さまざまな実施形態では、皮下投与は、注射器、充填済み注射器、自動注射器(例えば、使い捨てまたは再使用可能)、ペン型注射器、パッチ注射器、ウェアラブル注射器、皮下注入セットを備えた携帯用注射器注入ポンプ、または皮下注射用の抗体薬と組み合わせるための他のデバイスなどのデバイスによって達成され得る。
【0375】
本開示の注射システムは、米国特許第5,308,341号に記載されているように送達ペンを使用することができる。糖尿病患者へのインスリンの自己送達に最も一般的に使用されるペンデバイスは、当該技術分野で周知である。このようなデバイスは、少なくとも1本の注射針(例えば、長さ約5~8mmの31ゲージの針)を含むことができ、通常、1回または複数回の治療単位用量の治療溶液が事前に充填されており、可能な限り疼痛が少なく、対象への溶液の迅速な送達に有用である。1つの薬物送達ペンは、治療薬または他の薬物のバイアルを受け取ることができるバイアルホルダーを含む。ペンは完全に機械的なデバイスである場合もあれば、電子回路と組み合わせてユーザーに注射される医薬の投与量を正確に設定及び/または示す場合もある。例えば、米国特許第6,192,891号を参照されたい。いくつかの実施形態では、ペンデバイスの針は使い捨てであり、キットは、1つ以上の使い捨て交換針を含む。現在特徴付けられている組成物のいずれか1つの送達に適したペンデバイスはまた、例えば、米国特許第6,277,099号;同第6,200,296号;及び同第第6,146,361号に記載されている。これらのそれぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。マイクロニードルベースのペンデバイスは、例えば、米国特許第7,556,615号に記載されている。この開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。Scandinavian Health Ltd.製のPrecision Pen Injector(PPI)デバイス、MOLLY(商標)も参照されたい。
【0376】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、局所投与によって対象に治療的に送達することができる。本明細書で使用される場合、「局所投与」または「局所送達」は、組成物または薬剤の、血管系を介したその意図する標的組織または部位への輸送に依存しない送達を指すことができる。例えば、組成物は、組成物もしくは薬剤の注射もしくは移植によって、または組成物もしくは薬剤を含有する装置の注射もしくは移植によって送達され得る。特定の実施形態では、標的組織または部位の近くで局所投与した後、組成物もしくは薬剤、またはそれらの1つ以上の成分は、投与部位ではない意図された標的組織または部位に拡散し得る。
【0377】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される組成物は、自己投与に適し得る単位剤形で存在し得る。このような単位剤形は、典型的には例えばバイアル、カートリッジ、充填済みシリンジ、または使い捨てペンなどの容器内で提供され得る。米国特許第6,302,855号に記載された投与装置のような投与装置も、例えば、本明細書に記載の注射システムと共に使用することができる。
【0378】
対象の障害を治療または予防することができる本明細書に記載の組成物の適切な用量は、例えば、治療対象の年齢、性別、及び体重、ならびに使用される特定の阻害剤化合物を含む、さまざまな因子に依存し得る。例えば、本明細書に記載の抗体を含むある組成物の異なる用量は、その抗体の異なる製剤の用量と比較して、BCMA関連障害を有する対象を治療するために必要とされ得る。対象に投与される用量に影響を及ぼす他の因子としては、例えば、障害の種類または重症度が挙げられる。例えば、あるBCMA関連障害を有する対象は、別のBCMA関連障害を有する対象とは異なる投与量の投与を必要とし得る。他の因子としては、例えば、同時にまたは以前に対象に影響を及ぼした他の医学的障害、対象の全体的な健康状態、対象の遺伝的素因、食事、投与期間、排泄速度、薬物の組み合わせ、及び対象に投与される任意の他の追加の治療法が挙げられ得る。任意の特定の対象に対する具体的な投与量及び治療レジメンもまた、治療する医師の判断に基づいて調整され得ることも理解されるべきである。
【0379】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、固定用量として、またはキログラムあたりのミリグラム(mg/kg)の用量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物中の抗体またはその抗原結合断片の1つ以上に対する抗体の生成または他の宿主免疫応答を低減または回避するように用量が選択される。限定することを決して意図するものではないが、本明細書に記載の組成物などの抗体の例示的な投与量としては、例えば、1~1000mg/kg、1~100mg/kg、0.5~50mg/kg、0.1~100mg/kg、0.5~25mg/kg、1~20mg/kg、及び1~10mg/kgが挙げられる。本明細書に記載の組成物の例示的な投与量としては、非限定的に、0.1mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4mg/kg、8mg/kg、または20mg/kgが挙げられる。
【0380】
いくつかの実施形態では、組成物は、異常なBCMA発現に関連する疾患の1つ以上の症状を低減または治療するのに十分な用量及び投与間隔で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、毎日、1日2回、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、2週間に1回、1か月間に1回、2か月間に1回、6か月間に1回、または1年間に1回投与される。いくつかの実施形態では、治療は、抗体の単回投与を含む。
【0381】
いくつかの実施形態では、本組成物は、1つ以上の賦形剤を含む医薬組成物である。
【0382】
医薬組成物は、治療有効量の本明細書で記載の組成物を含むことができる。このような有効量は、当業者であれば、投与された組成物の効果、または複数の薬剤が使用される場合には組成物と1つ以上の追加の活性剤との組合せ効果に部分的に基づいて容易に決定することができる。本明細書に記載の組成物の治療有効量は、個体の病状、年齢、性別、及び体重、ならびに、組成物(及び1つ以上の追加の活性剤)が個体における所望の応答、例えば、少なくとも1つの状態パラメータの改善、例えば、少なくとも1つのBCMA関連障害の症状の改善を誘発する能力などの因子によってもまた変動し得る。例えば、本明細書に記載の組成物の治療有効量は、特定の障害、及び/または当該技術分野で知られている、もしくは本明細書に記載されている特定の障害の症状のうちのいずれか1つを阻害する(重症度を軽減する、もしくは発生を排除する)、及び/または予防することができる。治療有効量はまた、組成物の任意の毒作用または有害作用よりも治療的に有益な効果が上回る量である。
【0383】
本明細書に記載の組成物のうちのいずれかの適切なヒト用量は、例えば第I相用量漸増試験でさらに評価することができる。例えば、van Gurp et al.(2008)Am J Transplantation 8(8):1711-1718;Hanouska et al.(2007)Clin Cancer Res 13(2,part 1):523-531;及びHetherington et al.(2006)Antimicrobial Agents and Chemotherapy 50(10):3499-3500を参照されたい。
【0384】
組成物の毒性及び治療効果は、細胞培養または実験動物(例えば、BCMA関連障害のいずれかの動物モデル)における既知の薬学的手順によって決定することができる。これらの手順は、例えば、LD50(集団の50%に対する致死量)及びED50(集団の50%における治療有効用量)を決定するために使用することができる。毒性と治療効果と間の用量比は、治療指数であり、それはLD50/ED50の比率として表すことができる。高い治療指数を示す本明細書に記載の組成物が好ましい。有毒な副作用を示す組成物が使用される場合があるが、そのような化合物を影響を受ける組織の部位に標的化する送達システムを設計し、正常細胞への潜在的な損傷を最小限に抑え、それによって副作用を軽減するように注意する必要がある。
【0385】
当業者は、細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータを、ヒトで使用するための投与量範囲を製剤化する際に使用できることを理解するであろう。本明細書に記載の組成物の適切な投与量は、一般に、毒性がほとんどまたは全くないED50を含む組成物の循環濃度の範囲内にある。投与量は、採用された剤形及び使用される投与経路に依存して、この範囲内で変動する可能性がある。本明細書に記載の組成物に関して、治療有効量は、最初に細胞培養分析から推定することができる。用量は、細胞培養で決定されるI0(すなわち、症状の最大阻害の半分を達成する抗体の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて製剤化することができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用できる。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。いくつかの実施形態では、例えば、局所投与(例えば、眼または関節への)が望まれる場合、細胞培養または動物モデルを使用して、局所部位内で治療有効濃度を達成するのに必要な用量を決定することができる。
【0386】
併用療法
本開示によれば、本明細書に記載の、抗体、抗原結合断片、CAR、CARを発現するベクター及び細胞、ならびに組成物を、がん治療のための他の療法と組み合わせて使用することができる。
【0387】
さまざまな実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体は、対象への少なくとも1つの追加の薬剤の投与をさらに含む一連の治療に含まれ得る。種々の実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、化学療法薬であり得る。
【0388】
いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体、その断片は、がん細胞に結合し、がん細胞に治療剤を送達し、ヒトBCMAを発現するがん細胞を殺傷するために、治療剤(例えば、化学療法剤及び放射性原子)にコンジュゲート(例えば、連結)することができる。いくつかの実施形態では、抗BCMA抗体は治療剤に連結される。いくつかの実施形態では、治療剤は、化学療法剤、サイトカイン、放射性原子、siRNA、または毒素である。いくつかの実施形態では、治療薬は化学療法薬である。いくつかの実施形態では、薬剤は放射性原子である。
【0389】
いくつかの実施形態では、方法は、BCMA関連障害の他の治療法と併せて実施することができる。例えば、組成物は、化学療法と同時に、その前に、またはその後に対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、養子療法の方法と同時に、その前に、またはその後に対象に投与することができる。
【0390】
さまざまな実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、抗BCMA抗体と同時に、抗BCMA抗体と同じ日に、または抗BCMA抗体と同じ週に投与され得る。さまざまな実施形態では、本明細書に記載の抗BCMA抗体と組み合わせて投与される追加の薬剤は、抗BCMA抗体と共に単一製剤で投与され得る。特定の実施形態では、追加の薬剤は、本明細書に記載の抗BCMA抗体の投与から時間的に離れた様式で、例えば、抗BCMA抗体の投与の1時間以上前または後に、1日以上前または後に、1週間以上前または後に、または1か月以上前または後に投与される。さまざまな実施形態では、1つ以上の追加の薬剤の投与頻度は、本明細書に記載の抗BCMA抗体の投与頻度と同じ、同様、または異なり得る。
【0391】
併用療法に包含されるのは、本明細書に記載の2つの異なる抗体の投与を含む治療レジメン、及び/または複数の製剤及び/または投与経路による本明細書に記載の抗体の投与を含む治療レジメンである。
【0392】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の追加の治療薬、例えば、対象におけるBCMA関連障害(例えば、がんまたは自己免疫障害)を治療または予防するための追加の治療と共に製剤化することができる。対象におけるBCMA関連障害を治療するための追加の薬剤は、治療される特定の障害に応じて変化するが、非限定的に、リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾン、オスファミド、カルボプラチン、エトポシド、デキサメタゾン、シタラビン、シスプラチン、シクロホスファミド、またはフルダラビンを含むことができる。
【0393】
本明細書に記載の組成物は、以前に、または現在投与されている治療を置き換えるかまたは増強することができる。例えば、本明細書に記載の組成物で治療すると、1つ以上の追加の活性剤の投与は、本明細書に記載の抗BCMA抗体の投与に続いて、停止または減少することができ、例えば、より低いレベルで、例えば、BCMA結合について交差競合する参照抗体のより低いレベルで投与される。いくつかの実施形態では、以前の治療の投与を維持することができる。いくつかの実施形態では、組成物のレベルが治療効果を提供するのに十分なレベルに達するまで、以前の治療が維持される。2つの治療法は組み合わせて投与することができる。
【0394】
特定の実施形態では、本発明の実施形態の組成物及び方法は、少なくとも1つの追加の療法と組み合わせた免疫細胞集団(NK細胞集団を含む)を含む。追加の療法は、放射線療法、外科手術(例えば、腫瘍切除術及び乳房切除術)、化学療法、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ホルモン療法、腫瘍溶解性ウイルス、またはこれらの組み合わせであり得る。追加の療法は、補助療法または術前補助療法の形態であり得る。
【0395】
いくつかの実施形態では、追加の療法は、小分子酵素阻害剤または抗転移薬の投与である。いくつかの実施形態において、追加の療法は副作用制限剤(例えば、抗悪心剤などの治療の副作用の発生及び/または重篤度を軽減することを意図した剤)の投与である。いくつかの実施形態において、追加の療法は放射線療法である。いくつかの実施形態において、追加の治療は外科手術である。いくつかの実施形態において、追加の療法は放射線療法と外科手術の組み合わせである。いくつかの実施形態において、追加の療法はガンマ線照射である。いくつかの実施形態では、追加の療法は、PBK/AKT/mTOR経路を標的とする療法、HSP90阻害剤、チューブリン阻害剤、アポトーシス阻害剤、及び/または化学予防剤である。追加の療法は、当該技術分野で公知の化学療法薬のうちの1つ以上であり得る。
【0396】
特定の実施形態では、本開示の本発明の細胞療法に加えて、個体は、外科手術、放射線、免疫療法(本開示の細胞療法以外)、ホルモン療法、遺伝子療法、化学療法などのうちの1つ以上を含む、がんに対する特定の追加の療法が提供されている、提供され得る、及び/または提供される。
【0397】
免疫細胞療法は、追加のがん療法に対して、その前、中、後、または種々の組み合わせで投与され得る。投与は、同時的から数分間、数日間、数週間に至る範囲の間隔で行われてもよい。免疫細胞療法が追加の治療薬と別個に患者に提供される実施形態では、それぞれの送達の間にかなりの期間が過ぎないようにして、2つの化合物が、患者に対する組み合わせた効果を有益に発揮することがまだできるようにすることが、一般的に確保されている。このような例では、抗体療法と抗がん療法を互いに対して約12~24時間または72時間以内に、より具体的には互いに対して約6~12時間以内に患者に提供し得ることが企図される。いくつかの状況において、治療のための期間を十分に延長することが望ましく、それぞれの投与の間に、数日(2、3、4、5、6、または7日)から数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)経過する。
【0398】
種々の組み合わせが使用され得る。例えば、以下で、免疫細胞療法は「A」であり、抗がん療法は「B」である。
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A A/B/B/B B/A/B/B
B/B/B/A B/B/A/B A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A A/B/A/A A/A/B/A
【0399】
本発明の実施形態の任意の化合物または細胞療法の患者への投与は、もしあるなら、薬剤の毒性を考慮して、そのような化合物の投与のための一般的なプロトコールに従うであろう。したがって、いくつかの実施形態では、併用療法に寄与する毒性をモニタリングするステップがある。
【0400】
A.化学療法
本発明の実施形態に従って、多種多様な化学療法剤を使用することができる。「化学療法」という用語は、がんを治療するための薬物の使用を指す。「化学療法薬」は、がんの治療において投与される化合物または組成物を考慮するために使用される。これらの薬剤または薬物は、細胞内の活性の様式、例えば、それらが細胞周期に影響を及ぼすかどうかか、及びどの段階で細胞周期に影響を及ぼすか、によって分類される。代替的に、薬剤は、核酸合成に影響を及ぼすことによって、DNAを直接的に架橋する、DNAにインターカレートする、または染色体及び有糸分裂の異常を誘導するその能力に基づいて特徴付けられ得る。
【0401】
化学療法剤の例としては、チオテパ及びシクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド、及びトリメチロールメラミンを含むエチレンイミン及びメチルアメラミン;アセトゲニン(特に、ブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(アドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシン合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成類似体、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エリューセロビン;パンクラチスタチン;サルコディクチン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、クロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、及びウラシルマスタードなどの窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロウレア;エンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンω1I);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;ならびにネオカルチノスタチン発色団及び関連する色素タンパクエンジイン抗生物質発色団、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウトラナイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラナイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、及びゾルビシンなどの抗生物質;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、プテロプテリン、及びトリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、及びチオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、及びフロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、及びテストラクトンなどのアンドロゲン;ミトタン及びトリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補給剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビスアントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサマイトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK多糖複合体;ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特に、T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアンギジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;タキソイド、例えば、パクリタキセル及びドキセタキセルゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;シスプラチン、オキサリプラチン、及びカルボプラチンなどの白金配位錯体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(例えば、CPT-11);トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;カルボプラチン、プロカルバジン、プリコマイシン、ゲムシタビエン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質タンスフェラーゼ阻害剤、トランス白金、ならびに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0402】
B.放射線療法
DNAに損傷を引き起こし、広範に使用されている他の因子は、γ線、X線、及び/または放射性同位体の腫瘍細胞への直接的な送達として知られているものを含む。マイクロ波、陽子線照射(米国特許第5,760,395号及び第4,870,287号)及びUV照射などの他の形態のDNA損傷因子も考慮される。これらの因子のすべては、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製及び修復、ならびに、染色体の会合と維持に対し広範囲の損傷を与える可能性が最も高い。X線の線量範囲は、長期間(3~4週間)に対して50~200レントゲンの1日用量から2000~6000レントゲンの単回用量までの範囲までである。放射性同位体の線量範囲は、広範囲に変動し、同位体の半減期、放出された放射線の強さと型、及び新生物細胞による取り込みに依存する。
【0403】
C.免疫療法
当業者は、さらなる免疫療法が、実施形態の方法と組み合わせて(in combination)、または組み合わせて(in conjunction)使用され得ることを理解する。がん治療の文脈では、免疫療法は、一般に、がん細胞を標的にして破壊させるために、免疫エフェクター細胞及び分子を使用することに依存する。リツキシマブ(リツキサン(登録商標))は、そのような例である。免疫エフェクターは、例えば、腫瘍細胞の表面上にあるいくつかのマーカーに特異的な抗体であり得る。抗体のみが治療のエフェクターとして作用し得る、または他の細胞を動員させて、実際に細胞を死滅させ得る。抗体はまた、薬物または毒素(化学療法剤、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)に結合させて、標的化剤として作用し得る。代替的に、エフェクターは、腫瘍細胞標的と直接的または間接的に相互作用する表面分子を担持するリンパ球であり得る。種々のエフェクター細胞としては、細胞傷害性T細胞及びNK細胞が挙げられる。
【0404】
抗体薬物コンジュゲートは、がん治療薬の開発に対するブレークスルーアプローチとして出現した。がんは、世界中で死の主要な原因の1つである。抗体薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞殺傷薬に共有結合しているモノクローナル抗体(MAb)を含む。このアプローチは、それらの抗原標的に対するMAbの高い特異性を非常に強力な細胞毒性薬物と組み合わせ、その結果、抗原の濃縮レベルを有する腫瘍細胞にペイロード(薬物)を送達する「武装された」MAbが得られる。薬物の標的化送達はまた、正常組織におけるその曝露を最小限にし、毒性の減少及び治療指数の改善をもたらす。FDAによる2種のADC薬物、2011年のADCETRIS(登録商標)(ブレンツキシマブベドチン)及び2013年のKADCYLA(登録商標)(トラスツズマブエムタンシンまたはT-DM1)の承認により、このアプローチが確認された。現在、がん治療のための臨床試験の種々の段階において、30を超えるADC薬物候補が存在する(Leal et al.,2014)。抗体工学及びリンカー-ペイロード最適化がより多く、より成熟するようになると、新しいADCの発見及び開発は、このアプローチ及び標的化MAbの生成に適した新しい標的の同定及び検証にますます依存する。ADC標的に対する2つの基準は、腫瘍細胞における発現の上方制御/高レベル及び強固な内在化である。
【0405】
免疫療法の一態様では、腫瘍細胞は、標的化に対応する、すなわち他の細胞の大部分には存在しない多少のマーカーを保持している必要がある。多くの腫瘍マーカーが存在し、これらのいずれも、本発明の実施形態の文脈において、標的化に好適であり得る。一般的な腫瘍マーカーとしては、CD20、癌胎児性抗原、チロシナーゼ(p97)、gp68、TAG-72、HMFG、シアリルルイス抗原、MucA、MucB、PLAP、ラミニン受容体、erb B、及びp155が挙げられる。免疫療法の代替態様は、抗がん効果を免疫刺激効果と組み合わせることである。IL-2、IL-4、IL-12、GM-CSF、γ-IFNなどのサイトカイン、MIP-1、MCP-1、IL-8などのケモカイン、及びFLT3リガンドなどの増殖因子を含む免疫刺激分子も存在する。
【0406】
現在調査中または使用中の免疫療法の例は、免疫アジュバント、例えば、Mycobacterium bovis、Plasmodium falciparum、ジニトロクロロベンゼン、及び芳香族化合物(米国特許第5,801,005号及び同第5,739,169号;Hui and Hashimoto,1998;Christodoulides et al.,1998);サイトカイン療法、例えば、インターフェロンα、β、及びγ、IL-1、GM-CSF、及びTNF(Bukowski et al.,1998;Davidson et al.,1998;Hellstrand et al.,1998);遺伝子療法、例えば、TNF、IL-1、IL-2、及びp53(Qin et al.,1998;Austin-Ward and Villaseca,1998;米国特許第5,830,880号及び同第5,846,945号);ならびにモノクローナル抗体、例えば、抗CD20、抗ガングリオシドGM2、及び抗p185(Hollander,2012;Hanibuchi et al.,1998;米国第5,824,311号)である。1つ以上の抗がん療法が、本明細書に記載される抗体療法と共に使用され得ることが企図される。
【0407】
いくつかの実施形態では、免疫療法は、免疫チェックポイント阻害剤であり得る。免疫チェックポイントは、シグナル(例えば、共刺激分子)を上げるか、またはシグナルを下げる。免疫チェックポイント遮断によって標的化され得る阻害性免疫チェックポイントとしては、アデノシンA2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られる)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4、CD152としても知られる)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン(KIR)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、プログラム死1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、ならびにT細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)が挙げられる。特に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1軸及び/またはCTLA-4を標的とする。
【0408】
免疫チェックポイント阻害剤は、小分子、リガンドまたは受容体の組換え型などの薬物であってよく、または特に、ヒト抗体などの抗体であってよい(例えば、国際特許出願公開第WO2015016718号;Pardoll,Nat Rev Cancer,12(4):252-64,2012;両方とも参照により本明細書に組み込まれる)。免疫チェックポイントタンパク質またはその類似体の公知の阻害剤を使用することができ、特に、キメラ化、ヒト化、またはヒト型の抗体を使用することができる。当業者が知るように、代替名及び/または等価名が、本開示に記載の特定の抗体に使用され得る。そのような代替名及び/または等価名は、本開示の文脈において交換可能である。例えば、ランブロリズマブも代替名及び等価名MK-3475及びペンブロリズマブの下で公知であることが知られている。
【0409】
いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-1リガンド結合パートナーは、PDL1及び/またはPDL2である。別の実施形態では、PDL1結合アンタゴニストは、PDL1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な一態様では、PDL1結合パートナーは、PD-1及び/またはB7-1である。別の実施形態では、PDL2結合アンタゴニストは、PDL2のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な一態様では、PDL2結合パートナーは、PD-1である。アンタゴニストは、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドであり得る。例示的な抗体は、米国特許第8735553号、同第8354509号、及び同第8008449号に記載されており、すべて参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に提供される方法で使用するための他のPD-1軸アンタゴニストは、米国特許出願第US20140294898号、同第US2014022021号、及び同第US20110008369号に記載されるように当該技術分野で公知であり、すべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0410】
いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)である。いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、及びCT-011からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合したPDL1またはPDL2の細胞外またはPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、AMP-224である。MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558、及びオプジーボ(登録商標)としても知られるニボルマブは、WO2006/121168に記載されている抗PD-1抗体である。MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、キイトルーダ(登録商標)、及びSCH-900475としても知られるペムブロリズマブは、WO2009/114335に記載の抗PD-1抗体である。hBATまたはhBAT-1としても知られるCT-011は、WO2009/101611に記載される抗PD-1抗体である。B7-DCIgとしても知られるAMP-224は、WO2010/027827及びWO2011/066342に記載のPDL2-Fc融合可溶性受容体である。
【0411】
本明細書に提供される方法において標的化され得る別の免疫チェックポイントは、CD152としても知られる細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)である。ヒトCTLA-4の完全なcDNA配列は、Genbankアクセッション番号L15006を有する。CTLA-4は、T細胞の表面上に見出され、抗原提示細胞の表面上のCD80またはCD86に結合した場合、「オフ」スイッチとして作用する。CTLA4は、ヘルパーT細胞の表面上に発現され、T細胞に阻害性シグナルを伝達する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質CD28に類似し、両方の分子は、抗原提示細胞上のCD80及びCD86(それぞれB7-1及びB7-2とも呼ばれる)に結合する。CTLA4はT細胞に阻害性シグナルを伝達し、CD28は刺激性シグナルを伝達する。細胞内CTLA4も制御性T細胞に見られ、その機能に重要であり得る。T細胞受容体及びCD28を介したT細胞活性化は、B7分子に対する阻害性受容体であるCTLA-4の発現の増加をもたらす。
【0412】
いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4抗体(例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体)、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、またはオリゴペプチドである。
【0413】
本発明での方法における使用に適した抗ヒト-CTLA-4抗体(またはそれに由来するVH及び/またはVLドメイン)は、当該技術分野で周知の方法を使用して生成され得る。代替的に、当該技術分野で認識されている抗CTLA-4抗体を使用することができる。例えば、US 8,119,129、WO 01/14424、WO 98/42752;WO 00/37504(CP675,206、トレメリムマブ、以前はチシリムマブとしても知られている)、米国特許第6,207,156号;Hurwitz et al.(1998)Proc Natl Acad Sci USA 95(17):10067-10071;Camacho et al.(2004)J Clin Oncology 22(145):Abstract No.2505(antibody CP-675206);及びMokyr et al.(1998)Cancer Res 58:5301-5304に開示される抗CTLA-4抗体は、本明細書に開示された方法において使用することができる。前述の刊行物のそれぞれの教示は、参照により本明細書に組み込まれる。CTLA-4への結合に関するこれらの当該技術分野で認識される抗体のいずれかと競合する抗体もまた、使用され得る。例えば、ヒト化CTLA-4抗体は、国際特許出願第WO2001014424号、同第WO2000037504号、及び米国特許出願第8,017,114号に記載され、そのすべては参照により本明細書に組み込まれる。
【0414】
例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(10D1、MDX-010、MDX-101、及びヤーボイ(登録商標)としても知られる)またはその抗原結合断片及びバリアント(例えば、WO 01/14424を参照されたい)である。他の実施形態では、抗体は、イピリムマブの重鎖及び軽鎖のCDRまたはVRを含む。したがって、一実施形態では、抗体は、イピリムマブのVH領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメイン、ならびにイピリムマブのVL領域のCDR1、CDR2、及びCDR3ドメインを含む。別の実施形態において、抗体は、上記の抗体と同じCTLA-4上のエピトープとの結合及び/またはそれへの結合について競合する。別の実施形態では、抗体は、上記の抗体に対して少なくとも約90%の可変領域アミノ酸配列同一性(例えば、イピリムマブに対して少なくとも約90%、95%、または99%の可変領域同一性)を有する。
【0415】
CTLA-4を調節するための他の分子は、すべて参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5844905号、同第5885796号、及び国際特許出願第WO1995001994号及び同第WO1998042752号に記載されるようなCTLA-4リガンド及び受容体、ならびに参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8329867号に記載されるようなイムノアドヘシンを含む。
【0416】
D.外科手術
がんを有する個人の約60%は、予防、診断、または病期分類、治癒的及び緩和的な手術を含むいくつかの型の手術を経験する。治癒手術には、がん性組織の全部または一部が物理的に除去、切除、及び/または破壊される切除が含まれ、本実施形態の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子療法、免疫療法、及び/または代替療法などの他の療法と併用されてもよい。腫瘍切除は、腫瘍の少なくとも一部の物理的な除去を指す。腫瘍切除に加えて、手術による治療は、レーザー手術、凍結手術、電気手術、及び顕微鏡的に制御された手術(モース手術)を含む。
【0417】
がん性細胞、組織、または腫瘍の一部または全部の切除の際、生体内に空洞を形成することができる。治療は、灌流、直接注入、またはさらなる抗がん治療の領域への局所適用によって達成し得る。そのような治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、もしくは7日ごと、または1、2、3、4、及び5週間ごと、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月ごとに繰り返し得る。同様に、これらの治療は変動する用量であり得る。
【0418】
E.組換え遺伝子技術
本開示に従って、当業者の技能範囲内の従来の分子生物学、微生物学、及び組換えDNA技術を使用することができる。そのような技術は文献(例えば、Sambrook,Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;DNA Cloning:A Practical Approach,Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985);Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait ed.1984);Nucleic Acid Hybridization(B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985));Transcription And Translation(B.D.Hames & S.J.Higgins,eds.(1984));Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1986));Immobilized Cells and Enzymes(IRL Press,(1986));B.Perbal,A Practical Guide To Molecular Cloning(1984);F.M.Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.(1994)を参照されたい)に記載されている。
【0419】
本明細書に記載の抗BCMA抗体などのポリペプチドをコードする核酸などの遺伝子の組換え発現は、ポリペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターの構築を含み得る。いくつかの実施形態では、BCMA核酸配列は、哺乳動物細胞発現のためのコドン最適化配列であり得る。ポリヌクレオチドが得られると、ポリペプチドの産生のためのベクターは、当該技術分野で知られている技術を使用する組換えDNA技術によって産生することができる。既知の方法を使用して、ポリペプチドコード配列と適切な転写及び翻訳制御シグナルとを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組換えが挙げられる。
【0420】
発現ベクターを従来の技術によって宿主細胞に導入し、次いでトランスフェクトした細胞を従来の技術によって培養して、ポリペプチドを産生する。本明細書において言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。さらに、物質、方法、及び例は、例示にすぎず、限定を意図しない。別途定義されない限り、本明細書において使用される技術用語及び科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されているものと類似または同等の方法及び物質を本発明の実施または試験において使用することができるが、適切な方法及び物質を本明細書に記載する。
【0421】
F.他の薬剤
治療の治療効果を改善するために、他の薬剤を本発明の実施形態の特定の態様と組み合わせて使用し得ることが企図される。これらのさらなる剤は、細胞表面受容体及びギャップジャンクションの上方制御に影響を及ぼす剤、細胞分裂停止剤及び分化剤、細胞接着の阻害剤、過剰増殖細胞のアポトーシス誘導因子に対する感受性を増加する剤、または他の生物学的製剤を含む。ギャップジャンクションの数を上昇させることによって細胞内シグナル伝達を増加することは、隣接する過剰増殖細胞集団に対する抗過剰増殖効果を増大させる。他の実施形態において、細胞分裂停止剤または分化剤は、治療の抗過剰増殖効果を向上するために、本発明の実施形態の特定の態様と組み合わせて使用できる。細胞接着の阻害剤は、本発明の実施形態の有効性を向上するために企図される。細胞接着の阻害剤の例は、接着斑キナーゼ(FAK)阻害剤及びロバスタチンである。抗体c225等の過剰増殖細胞のアポトーシスに対する感受性を向上する他の剤を、治療の有効性を向上するために、本発明の実施形態の特定の態様と組み合わせて使用できることもさらに企図される。
【0422】
本開示のキット
本明細書に記載の組成物のいずれも、キットに含まれ得る。非限定的な例では、細胞、細胞を産生するための試薬、ベクター、及びベクター及び/またはその成分を産生するための試薬は、キットに含まれ得る。特定の実施形態では、NK細胞は、キットに含まれてもよく、それらは、(a)CD28ヒンジ、任意選択でのサイトカイン、または任意選択での自殺遺伝子を含むBCMA-CARを発現してもしなくてもよい。そのようなキットは、細胞の操作のための1つ以上の試薬を有しても有しなくてもよい。そのような試薬は、例えば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩、及び/またはそれらの組み合わせを含む。1つ以上のCAR、自殺遺伝子産物、及び/またはサイトカインをコードするヌクレオチドをキットに含めてもよい。サイトカインまたは抗体などのタンパク質(モノクローナル抗体を含む)は、キットに含まれ得る。操作されたCAR受容体の成分をコードするヌクレオチドは、それを生成するための試薬を含むキットに含まれ得る。
【実施例】
【0423】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者によって発見された技術を表し、したがってその実施のための特定の様式を構成すると考えることができることを当業者は理解されたい。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、それでも本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができる。
【0424】
実施例1:抗BCMAモノクローナル抗体の生成及び結合
本実施例は、抗BCMA抗体の特性評価を示す。マウス(ヒトトランスジェニック重鎖遺伝子座及びκ遺伝子座を有するTrianniマウス、8~10週齢)を、文献に記載の方法に従って免疫化した。一次免疫化のために、動物に、5μgの組換えBCMA-マウスFcを、等量のGerbUMMを含むエマルジョンとしてホック注射した。マウスを、3~4日毎に同じ方法で免疫化し、合計10回の追加免疫を行った。高い抗原特異的抗体力価を有する動物に、RNA抽出またはハイブリドーマ融合のためのさらなる処理のための脾臓及びリンパ節採取の4日前に、同じ免疫原による融合前追加免疫を与えた。
【0425】
マウス由来の脾臓を単離し、10mlのRPMI、10%FBS(0.2um濾過)を含む50mlチューブに移し、リンパ球を単離するために物理的に分離した。リンパ球を、1200rpmで10分間遠心分離することによって回収した。リンパ球をEasySep緩衝液(2ml;0.2um濾過)に懸濁した。
【0426】
免疫化されたscFvファージディスプレイライブラリの生成及び選択によって、抗BCMA scFvを同定した。最初に、全RNAを、BCMA発現CHO細胞で予め免疫化した1匹の個々のマウス由来の脾細胞の単細胞懸濁液から精製した。次いで、マウスから、マウス抗体遺伝子からの可変領域を増幅するためのテンプレートとして全RNAを使用して、ランダムにプライミングしたcDNAによってscFvライブラリを作製した。重鎖及びκ鎖アンプリコンを組み合わせ、ファージミドベクターにクローニングした。BCMA特異的scFvファージクローンを同定するために、組換えBCMAタンパク質(ヒトBCMA-Fc、ヒトBCMA-6His)及び/またはカニクイザルBCMAを発現する細胞に対して3回の選択を行った。次いで、選択されたscFvクローンのペリプラズム抽出物を、ELISAまたはフローサイトメトリーによってスクリーニングした。配列決定のためにクローンを選択し、ペリプラズム抽出物を用いてOctetにより結合を確認した。全体で、ファージディスプレイを通して19個のクローンを同定した。19個のクローンに加えて、BCMA抗体の他の42個の新たに同定されたクローンを抗体選択に適用した。表2は、ヒトBCMA scFvのヒトBCMAに対する結合親和性を示す。
【0427】
Octet分析
Octet結合分析を行って、BCMAとの結合の動態を評価した。
【0428】
結合の特徴付けのために、抗BCMAクローンのパネルを有するヒトBCMAタンパク質を用いてOctet結合アッセイを実施した。ヒトBCMAを適切にコーティングされたOctetセンサーチップ上に捕捉し、次いで結合のために抗BCMAクローンを含むウェル内に配置した。センサーチップを解離ウェルに入れた後、相互作用の応答をそれぞれの抗BCMAクローンと対応するヒトBCMAタンパク質について計算した。
【0429】
FACS分析
抗BCMAクローンを、BCMA過剰発現CHO細胞を用いてFACSにより細胞上結合について試験した。細胞を抗BCMAクローンと共にインキュベートし、続いて抗BCMAクローンに結合できる二次抗体と共にインキュベートした。これらの試料を適切に洗浄し、Attune NxT Flow Cytometer(Thermo Fisher Scientific)で評価した。FlowJo中でFACS分析を行った。
【0430】
表3は、例示的な抗BCMA抗体とヒトBCMAに対する、例示的な抗BCMAクローンのOctet及びFACS分析を示す。例示的なFab(IgG)は、高いk
on速度及び低いk
off速度を有し、K
D値は低いピコモル範囲であることが観察された。
【表3】
【表4】
【0431】
実施例2:キメラ抗原受容体の構築物
本実施例は、腫瘍量を低減するための例示的なCAR構築物を示す。
図1は、BCMA結合剤領域含むCAR構築物を示す。
【0432】
BCMA CARは、抗BCMA特異的結合因子、IgG1ヒンジまたはCD28ヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、及びIL-15サイトカイン(例えば、可溶性IL-15)を含む。そのようなCARは、配列番号45、配列番号47、または配列番号49のアミノ酸を含み得る。
【0433】
実施例3:BCMA IgGヒンジ及びBCMA CD28ヒンジCAR構築物のインビトロ有効性
本実施例は、CB-NK細胞におけるIgGヒンジドメインと比較した、CD28ヒンジドメインを配列番号45として含むBCMA CARの有効性を示す。
【0434】
CB-NK細胞の細胞傷害性を、標準的な4時間の51クロム(51Cr)放出アッセイで評価した。簡潔に述べると、標的細胞に51Crを負荷し、洗浄し、異なるBCMA特異的scFv結合因子を有する異なるCAR構築物を形質導入したCB-NK細胞と4時間共培養し、その後、上清を回収し、51Crレベルをガンマカウンターを用いて測定した。
【0435】
BCMA結合因子を、IgG1ヒンジまたはCD28ヒンジのいずれかを含むCAR骨格中で試験した。次いで、これらのCARをCB-NKに形質導入し、インビトロ殺傷効果をクロム放出殺傷アッセイで試験した。
【0436】
図2に見られるように、すべての構築物は、形質導入されていないCB-NKよりも高い殺傷を示し、特に低いE:T比で、CD28ヒンジを含む構築物によって示される殺傷がわずかに増強された。
【0437】
実施例4:インビボでの腫瘍量の低減におけるCD28ヒンジドメインとIgG1ヒンジドメインの比較。
本実施例は、マウスにおける腫瘍量を低減するための、CD28ヒンジを有するBCMA-CAR構築物の使用の利点を例示する。
【0438】
BCMAIg1、BCMAIg2、BCMA28-1、またはBCMA28-2を含む10百万個のBCMA CAR-NK細胞(約70%CAR+ve)をこの実験に使用した。10~12週齢の雌NSGマウスを、腫瘍接種の24時間前に150cGyで全身に照射した。MM.1S-ffluc-MDA細胞を、0.5×10^6/動物での細胞の静脈内接種のために、2.5×106細胞/mlの濃度でPBS懸濁液中で調製した。生物発光画像を、投与の1日前、腫瘍接種の6日後に撮影し、動物を、1群あたり4匹または5匹の動物の群への全流束に基づいて無作為化した。腫瘍接種の0、1、または9日後に動物に投与した。適切な濃度のCAR NK細胞をPBSに再懸濁し、CAR NK細胞の生存度を維持しながら動物への適時な注入を確実にするために、小さなバッチで氷上で飼育施設に移した。腫瘍の進行をモニターするために、Xenogen IVISで生物発光画像を毎週行った。体重を週に3回測定し、臨床観察と共に、毒性の任意の徴候をモニターした。マイクロサンプリング(血液の顎下採取を介して)を、ddPCRまたはフローサイトメトリー分析のいずれかによって、インビボでのCAR NK拡大を定量するための細胞動態分析のために週1回実施した。人道的評価項目または研究評価項目において、目的の研究からの動物の剖検を行って、病理学的評価のための種々の組織を得た。
【0439】
qPCR CKの場合、マウス全血試料(50μL)からのゲノムDNA(gDNA)を抽出し、RNアーゼAの存在下でMagMAX(商標)DNA Multi-Sample Ultra 2.0 Kitで精製した。精製されたgDNAは、次いで、CAR構築物のコピー数及び参照a-アクチン1(ACTA1)遺伝子(ヒトとマウスのゲノムの両方における単一コピー遺伝子)を同時に決定するように設計された最適化されたデジタル液滴PCR(ddPCR)に基づく二重鎖アッセイ法を用いて分析された。腫瘍の進行をモニターし、7日の間隔で画像化した。
図3は、CD28ヒンジドメインを有するBCMA CARと比較した、IgGヒンジを有するBCMA-CARを形質導入した臍帯血由来NK細胞による処理後のマウスにおける腫瘍の増殖を、未処理のマウス(腫瘍単独)及び形質導入していないNK細胞を用いて処理したマウス(NT NK)の増殖と比較して表す。
【0440】
BCMA-CD28を受けたマウスは、腫瘍単独またはNT NKと比較した場合、より低い腫瘍量を有することが観察された。BCMA CD28を受けたマウスは、非腫瘍量関連死まで死亡する前の最初の2週間以内に、BCMA IgGと比較して優れた腫瘍制御を有した。肺、肝臓、及び脾臓をリンパ球浸潤について調べた。
図8は、正常マウスの肺をBCMA28-2 CAR-NK細胞で処理したマウスの肺と比較する例示的な組織病理学的スライドを示す。すべての組織を、10%緩衝ホルマリン中で、浸漬及び肺の気管点滴注入によって固定した。完全な固定の際に(24~48時間)、器官を切り取り、パラフィン包埋のために処理した。パラフィンブロックを4~6ミクロンで薄切し、組織切片をスライドガラスに載せ、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色し、カバースリップした。
【0441】
【0442】
病理学的評価は、委員会認可の(ECVP)獣医学者によって行った。腫瘍性病変を、検査した器官におけるそれらの存在に従ってスコア化した。非腫瘍性病変を、その重症度及び分布に基づいてスコア付けした。組織病理学的所見は、Pristima(登録商標)Software Systemで取得した。
【0443】
図8に見られるように、肺、肝臓、及び脾臓へのリンパ球の浸潤が観察され、非腫瘍量関連死の原因であると考えられる。しかしながら、
図4に見られるように、百万個及び3百万個の全NK細胞への用量減少は、非腫瘍量関連死を有意に改善し、生存率を増強した。
【0444】
実施例5:MM1s-腫瘍マウスにおける共投与BCMA-CARの抗腫瘍活性の比較
本実施例は、例示的な共投与BCMA-CAR NK細胞の抗腫瘍活性を比較した。
【0445】
マウスにおいて、配列番号19または20を含む百万個のBCMA CAR-NK細胞(約70%CAR+ve)をMM1s腫瘍と共投与した。腫瘍の進行をモニターし、6~7日の間隔で画像化した。
図5は、BCMA28-1またはBCMA28-2を含む1MのBCMA-NK細胞で処理したマウスの生存の絵図を示す。BCMA28-1を含むCAR-NK細胞を共投与したマウスと比較した場合、BCMA28-2を含むBCMA-CARを投与したマウスは、腫瘍関連死に対して77日目に50%を超えるマウスが生存して最も良好に機能したことが観察された。
【0446】
実施例6:BCMA-CAR-NK及びBCMA-CAR-Tの遅延投与レジメン
本実施例は、BCMA28-1が試験した他のBCMA-CARと比較して最も良好に機能することを実証したが、すべてのCAR構築物が強い抗腫瘍活性を提供した。
【0447】
CAR-T細胞産生:
CAR-Tの産生のために、ヒト白血球アフェレーシス製品(leukopak)をStem cell Technologiesから購入した。Ficoll密度勾配を用いて新鮮なleukopakからPBMCを単離した。Stemcell technologies製のEasySep Human T cell Isolation Kitを用いてT細胞を精製し、次いでT細胞TransActビーズ及びMiltenyi Biotec製の研究等級IL-2を用いて活性化/拡大した。T細胞活性化の2日目に、細胞をVSVGウイルスでスピノキュレーションにより形質導入し、次いで7日目にインビトロアッセイに使用した。
【0448】
CAR-NK細胞産生:
CAR-NK産生のために、研究のための臍帯血(CB)単位をMD Anderson Cancer Center Cord Blood Bankから得た。Ficoll密度勾配遠心分離により、凍結CB単位からCB単核細胞を単離した。臍帯血由来NK細胞(CB-NK細胞)のエクスビボ拡大は、2日毎にIL-2を供給することに加えて、0日目にuAPC刺激を使用した。6日目に、細胞をRD114ウイルスでスピノキュレーションにより形質導入した。細胞を、8または9日目に第2ラウンドのuAPC添加で刺激し、15日目にインビボまたはインビトロ試験に使用するまで2日毎にIL-2を供給した。
【0449】
BCMA28-2を含む百万個または3百万個のBCMA CAR-NK細胞(約70%CAR+ve)を、MM1s腫瘍細胞接種の1日後にマウスIVに投与した(「1日遅延投与」)。
【0450】
腫瘍の進行をモニターし、7日の間隔で画像化した。
図6は、非形質導入NK細胞またはCD28ヒンジドメインを有するBCMA-CARを形質導入したNK細胞で処理したマウスにおける腫瘍の増殖を、1日遅延投与レジメンにおける日数の関数として表す。
図7は、BCMA28-2を発現するNK細胞の1日遅延投与のカプランマイヤー生存曲線を示す。同様の実験を、BCMA28-2 CARを発現するNK細胞を9日遅延投与して繰り返した。BCMA28-2 CAR-NK細胞は、腫瘍のみまたは非トランスフェクトNK細胞と比較して延長された生存を生じることが観察された。
【0451】
共投与から遅延投与条件(1日遅延投与及び9日遅延投与)への切り替えが、BCMA CAR-NK治療の陽性抗腫瘍影響を示し続けたことが観察された。
【0452】
実施例7:BCMA-CAR-NK細胞におけるIL-15の分泌
本実施例は、1000個の細胞あたりのCARのコピー数及びIL-15の分泌をモニタリングすることによって測定した場合、例示的なBCMA-CAR-IL-15構築物を形質導入したNK細胞がインビボで存続したことを示す。
【0453】
NSGマウス血漿サンプル中のヒトIL-15の生体分析を、Meso Scale Discovery(MSD(登録商標))プラットフォーム及びU-PLEXヒトIL15アッセイキット(カタログ番号K151URK/(BRS 20-735)、Vendor MSD)上の電気化学発光イムノアッセイを用いて行った。U-PLEX(登録商標)アッセイでは、ビオチン化捕捉抗体を最初にU-PLEX(登録商標)プレート表面上のストレプトアビジンに結合させる。キャリブレーター、対照、及び試料をプレートに添加し、室温で振盪しながらインキュベートする。キャリブレーター、対照、及びサンプル中のヒトIL-15は、次いで、捕捉抗体に結合した。洗浄後、電気化学発光標識(MSD GOLD SULFO-TAG)と結合した検出抗体を含む溶液をプレートに添加し、次いで別のインキュベーション期間を続けた。検出抗体とのインキュベーション後、プレートを洗浄し、2×読み取り緩衝液をウェルに添加した。プレートをMSD Sector Imager S600で直ちに読み取った。
図9に見られるように、配列番号20のBCMA-CARを発現するBCMA CAR-NK細胞の強い用量依存的拡大及びIL-15産生の増加が、遅延投与条件において観察された。
【0454】
実施例8:とりわけT細胞の環境において腫瘍細胞殺傷を改善するためのBCMA CAR構築物の使用
本実施例は、腫瘍細胞殺傷活性におけるBCMA CAR構築物(例えば、BCMAIg1、BCMAIg2、BCMA28-1、BCMA28-2)の使用を実証した。
【0455】
T細胞環境における細胞傷害性を、PromegaのCellTiter-Glow Luminescent Cell Viability Assayを用いて、製造業者のプロトコールに従って評価した。アポトーシス及びミトコンドリア損傷の分析のために、MM.1S-ffluc-MDA標的細胞をInvitrogen製のCellTracker Deep Red色素で標識し、Sartorius製のMultiCyt Apoptosis Kitを使用して、製造業者のプロトコールに従ってカスパーゼ陽性及びミトコンドリア損傷を測定した。簡潔に述べると、カスパーゼ3及びカスパーゼ7の活性化は、切断の際に蛍光を発するNucView 488 Caspase-3/7基質の使用によって検出される。ミトコンドリア膜電位は、ミトコンドリア脱分極の際、活性膜電位が細胞質中に漏れ、細胞が蛍光の減少を示す、無傷のミトコンドリアの管腔内の蛍光小分子の隔離によって決定された。Intellicyte製のiQueフローサイトメーターを用いて、フローサイトメトリー読み出しを得た。
【0456】
BCMA CAR構築物(例えば、BCMAIg1、BCMAIg2、BCMA28-1、BCMA28-2)を、BCMA陽性細胞株MM.1S-ffluc-MDAに対して、ヒト初代T細胞において同じCAR骨格で試験した。
【0457】
BCMA CAR構築物のすべては、CD19 CAR発現T細胞(陰性対照)の殺傷を上回る殺傷を示した。さらに、CD28ヒンジを利用する構築物は、IgG1ヒンジを含むCAR骨格中の同じ結合因子と比較した場合、細胞傷害性、アポトーシス、及びミトコンドリア損傷のレベルの増強を示した。3つの異なるアッセイ読み取りに基づく腫瘍細胞の特異的殺傷は、
図10(A~C)に見られる。
【0458】
実施例9:トランスフェクトされたCAR-NK細胞におけるアポトーシスの分析
この実験は、可溶性BCMAの存在下または非存在下でBCMA28-1またはBCMA28-2を形質導入したCAR-NKにおけるアポトーシスを分析するように設計された。
【0459】
アポトーシスの分析のために、MM.1S-ffluc-MDA標的細胞をInvitrogen製のCellTracker Deep Red色素で標識し、Sartorius製のMultiCyt Apoptosis Kitを使用して、製造業者のプロトコールに従ってカスパーゼ陽性を測定した。エフェクター細胞を、ACRO Biosciencesから入手した800ng/mLの可溶性組換えBCMAの存在下または非存在下で標的細胞と共培養した。簡潔に述べると、カスパーゼ3及びカスパーゼ7の活性化は、切断の際に蛍光を発するNucView 488 Caspase-3/7基質の使用によって検出される。Intellicyte製のiQueフローサイトメーターを用いて、フローサイトメトリー読み出しを得た。
【0460】
図11に見られるように、CAR-NKは、800ng/mLの可溶性BCMAの存在下で、特に高いE:T比で、標的細胞におけるより低いレベルのアポトーシスを誘導することが観察された。
【0461】
実施例10:MM1S腫瘍に対するBCMA CAR構築物のインビボ有効性
本実施例は、MM1S腫瘍に対する、CB-NK細胞において発現されたBCMA28-2含有CARの有効性を示す。
【0462】
10~12週齢のメスNSGマウスを、腫瘍接種の24時間前に150 cGyで全身照射した。MM. 1S-ffluc-MDA細胞を、0.5×106/動物での細胞の静脈内接種のために、2.5×106細胞/mlの濃度でPBS懸濁液中で調製した。生物発光画像を、投与の1日前、腫瘍接種の6日後に撮影し、動物を、1群あたり4匹の動物の群への全流束に基づいて無作為化した。腫瘍接種の7日後に動物に投与した。凍結製剤(例えば、38.6%血漿-LYTE A+50%CS10+10%HSA+0.8%AA+ビタミン+30mMのトレハロース)中で凍結保存されたCAR発現NK(すなわち、CAR NK)細胞を解凍し、洗浄せずにPBS緩衝液でマウスに直接注射した。腫瘍の進行をモニターするために、Xenogen IVISで生物発光画像を毎週行った。体重を週に3回取得し、臨床観察と共に、毒性の任意の徴候をモニターした。マイクロサンプリング(血液の顎下採取を介して)を、ddPCRまたはフローサイトメトリー分析のいずれかによって、インビボでのCAR NK拡大を定量するための細胞動態分析のために週1回実施した。人道的評価項目または研究評価項目において、目的の研究からの動物の剖検を行って、毒性/病理学的評価のための種々の組織を得た。
【0463】
すべてのCAR形質導入NK細胞は、腫瘍単独と比較した場合、生存利益を示した(
図13)。
【0464】
CAR-NK細胞製造
CAR-NK産生のために、研究のための臍帯血(CB)単位をMD Anderson Cancer Center Cord Blood Bankから得た。Ficoll密度勾配遠心分離により、凍結CB単位からCB単核細胞を単離した。臍帯血由来NK細胞(CB-NK細胞)のエクスビボ拡大は、2日毎にIL-2を供給することに加えて、0日目にuAPC刺激を使用した。6日目に、細胞をRD114ウイルスでスピノキュレーションにより形質導入した。細胞を、8または9日目に第2ラウンドのuAPC添加で刺激し、15日目にインビボまたはインビトロ試験に使用するまで2日毎にIL-2を供給したか、または後の使用のために21日目に凍結保存した。
【0465】
実施例11:複数の腫瘍株に対するBCMA CAR構築物のインビトロ有効性
本実施例は、異なる腫瘍細胞に対するCB-NK細胞において発現されたBCMA28-2 CARの有効性を示す。
【0466】
MM1S-Luc、RPMI-8226-Luc、JJN3-Luc、及びJJN3-Luc BCMA KO細胞を、PBSで1回洗浄し、250万個/mlの細胞密度で、37℃でPBS中1:10,000希釈で、細胞トレーサーdeep red色素(Invitrogen#C34565)と共に20分間インキュベートした。インキュベーションの最後に、20mlの細胞培養培地を細胞に添加し、細胞を500gで5分間遠心沈殿させ、上清を除去し、対応する細胞培養培地を用いてもう1回洗浄した。次いで、細胞を25万個/mlで培養培地中に再懸濁し、30μμlの細胞をv底384ウェルアッセイプレート(Greiner、カタログ:781280)のそれぞれのウェルに添加した。細胞を37℃の細胞培養インキュベーターで5%のCO2で1~2時間インキュベートした。新鮮なエフェクター細胞を15日目に回収し、細胞をサイトカインを含まないNK細胞培地(10%HI-FBS及び2mMグルタミンを含むCellGenix GMP SCGM)中で1回洗浄し、次いで10μlのエフェクター細胞を異なるE:T比でアッセイプレートに添加した。標的細胞及びエフェクターウェルを20時間共培養し、次いで細胞を遠心沈殿させ、上清をサイトカイン放出アッセイのために回収した。細胞を、対応する標的細胞培地中で1時間、37℃の細胞培養インキュベーター中で1:500に希釈した10μlのカスパーゼ3/7試薬(Intellicyt、カタログ:91035)と共にインキュベートし、次いで、Sartorius iQue3またはSartorius iQueスクリーナーPlusのいずれかを用いたFACS分析に供した。陽性カスパーゼ3/7染色を有する標的細胞のパーセンテージを用いて、エフェクター細胞の細胞傷害性を報告した。
【0467】
インビトロ殺傷活性は、複数の腫瘍細胞株に対する異なるCBUドナー由来BCMA28-2 CAR構築物含有NK細胞によって実証された(
図14A~Dに示すように)。
【0468】
実施例12.BCMA CAR NK細胞が複数回の再刺激でインビトロで腫瘍細胞を殺傷する能力
本実施例は、CB-NK細胞において発現されたBCMA28-2 CARの有効性を示す。
【0469】
エフェクター細胞を回収し、10%熱不活性化FBS(Sigma、カタログ番号:F4135-500mL)、1%L-グルタミン(Gibco、カタログ番号:25030-081)、1%Penn Strep(Gibco、カタログ番号:15140-122)及び100IU/mLヒトIL-2(Miltenyi、カタログ番号:130-097-748)を補充したSCGM(CellGenix、カタログ番号:20802-0500)に再懸濁した。エフェクター細胞を、2e5細胞/ウェルの密度で、48ウェル平底非組織培養処理プレート(Corning、カタログ番号3548)に三重で播種した(MM1Sモデル)。NucLight Redレンチウイルス(Sartorius、カタログ番号:4476)を予め形質導入し、1μg/mLピューロマイシン(Sigma、カタログ番号:P8833-10MG)を用いて選択した標的細胞を回収し、上記の完全培地に再懸濁し、5e4細胞/ウェルの密度で播種した。プレートをIncuCyte S3(Sartorius Inc.)に入れ、ウェル当たり4通りの読み取り値を、30分毎に10倍対物レンズを用いて明視野と赤色チャネルの両方で測定した。標的細胞を上記のように調製し、48~72時間ごとに5e4細胞/ウェルの密度で再播種して(MM1Sモデル)、合計9回の腫瘍刺激/再抗原刺激を行った。標的細胞の細胞溶解は、画像当たりの平均赤色物体カウント(
図15A)及び赤色物体カウントの曲線下総平均面積(
図15B)として表される。
【0470】
実施例13:RPMI-8226腫瘍に対するBCMA CAR構築物のインビボ有効性
10~12週齢のメスNSGマウスを、腫瘍接種の24時間前に150 cGyで全身照射した。RPMI-8226-luc細胞を、0.5×106/動物での細胞の静脈内接種のために、2.5×106細胞/mlの濃度でPBS懸濁液中で調製した。生物発光画像を、投与の1日前、腫瘍接種の6日後に撮影し、動物を、1群あたり4匹の動物の群への全流束に基づいて無作為化した。腫瘍接種の7日後に動物に投与した。適切な濃度のCAR発現NK細胞をPBSに再懸濁し、CAR発現NK細胞の生存度を維持しながら動物への適時な注入を確実にするために、小さなバッチで氷上で飼育施設に移した。腫瘍の進行をモニターするために、Xenogen IVISで生物発光画像を毎週行った。体重を週に3回取得し、臨床観察と共に、毒性の任意の徴候をモニターした。マイクロサンプリング(血液の顎下採取を介して)を、ddPCRまたはフローサイトメトリー分析のいずれかによって、インビボでのCAR NK拡大を定量するための細胞動態分析のために週1回実施した。
【0471】
BCMA28-2(CD28共刺激ドメインを有する)-CAR NK処理群は、UTD NKと比較して、抗腫瘍活性を示した(
図16)。
【配列表】
【国際調査報告】