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特表2024-539549レーザ電極を状態調整するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-29
(54)【発明の名称】レーザ電極を状態調整するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/038 20060101AFI20241022BHJP
   H01S 3/225 20060101ALI20241022BHJP
   H01S 3/09 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H01S3/038 Z
H01S3/225
H01S3/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518272
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022043488
(87)【国際公開番号】W WO2023069206
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/270,187
(32)【優先日】2021-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユダ
(72)【発明者】
【氏名】メルチャー,ポール,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ユ,チャンチー
(72)【発明者】
【氏名】エッフェンベルガー ジュニア,アンドリュー ジェイ
【テーマコード(参考)】
5F071
5F172
【Fターム(参考)】
5F071AA06
5F071CC01
5F071CC03
5F071FF03
5F071GG03
5F071GG05
5F071HH07
5F172AD06
5F172DD03
5F172NP03
5F172NP04
5F172NQ44
5F172ZA03
(57)【要約】
アノードとして通常機能する第2の電極も含むレーザ放電チャンバ内でカソードとして通常機能する第1の電極をパッシベーションするための装置及び方法が開示され、パッシベーションは、チャンバ製造時のパッシベーション工程の部分中か、又は、チャンバが稼働状態に置かれた後に断続的に若しくはオンデマンドで、逆の極性のパルスを第1の電極に供給することにより行われる。
【選択図】図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源であって、第1の状態であって、前記パルス電源が、第1の極性を有する少なくとも1つのパルスを生成し前記第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、前記パルス電源が、第2の極性を有する少なくとも1つの逆の極性のパルスを生成し前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する、パルス電源。
【請求項2】
前記電源は、制御信号に応答して前記第1の状態と前記第2の状態との間を遷移するように適合されている、請求項1に記載のパルス電源。
【請求項3】
レーザであって、
放電チャンバと、
少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第1の電極と、
少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第2の電極であって、前記第1の電極は第1の放電表面を有し且つ前記第2の電極は第2の放電表面を有し、前記第1の放電表面及び前記第2の放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、
電気エネルギーのパルスを生成し前記第1の電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、
前記パルス電源は、第1の状態であって、前記パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、前記パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する、レーザ。
【請求項4】
前記第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのエネルギー電圧不安定性(EVI)の特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
前記出力を受け取るように構成され、且つ、前記第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスの前記EVIの前記特性に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、請求項3に記載のレーザ。
【請求項5】
前記EVIの前記特性は、前記EVIの大きさである、請求項4に記載のレーザ。
【請求項6】
前記EVIの前記特性は、前記EVIの発生頻度である、請求項4に記載のレーザ。
【請求項7】
パルス数の観点から前記レーザの動作年数を示すパルスカウントを決定するためのパルスカウンタと、
前記パルスカウントを受け取るように構成され、且つ、前記パルスカウントが所定の値に達するのに基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、請求項3に記載のレーザ。
【請求項8】
レーザであって、
放電チャンバと、
少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された上側電極と、
少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された下側電極であって、前記上側電極は上側電極放電表面を有し且つ前記下側電極は下側電極放電表面を有し、前記上側電極放電表面及び前記下側電極放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、下側電極と、
電気エネルギーのパルスを生成し前記上側電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、
前記パルス電源は、第1の状態であって、前記パルス電源が複数の負方向のパルスを生成し前記上側電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、前記パルス電源が複数の正方向のパルスを生成し前記上側電極に供給する第2の状態と、を有する、レーザ。
【請求項9】
前記レーザの出力エネルギーを測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
制御ユニットであって、前記出力を受け取るように構成され、且つ、前記出力から1つ又は複数のEVI特性を決定し、前記複数の負方向パルスの前記1つ又は複数のEVI特性に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、請求項8に記載のレーザ。
【請求項10】
第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源を動作させる方法であって、
前記パルス電源を、第1の状態であって、前記パルス電源が、第1の極性を有する少なくとも1つのパルスを生成し前記第1の電極に供給する第1の状態、で動作させることと、
前記パルス電源を、第2の状態であって、前記パルス電源が、第2の極性を有する少なくとも1つの逆の極性のパルスを生成し前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2の状態、に遷移させることと、を含む方法。
【請求項11】
前記パルス電源を前記第2の状態に遷移させることは、制御信号を受け取ることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
レーザを動作させる方法であって、前記レーザは、放電チャンバと、少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第1の電極と、少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第2の電極であって、前記第1の電極は第1の放電表面を有し且つ前記第2の電極は第2の放電表面を有し、前記第1の放電表面及び前記第2の放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、電気エネルギーのパルスを前記第1の電極に提供するように構成されたパルス電源と、を含み、前記方法は、
前記パルス電源を、第1のモードであって、前記パルス電源が、第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを前記第1の電極に供給する第1のモード、で動作させることと、
前記パルス電源を、第2のモードであって、前記パルス電源が、第2の極性を有する第2のパルスシーケンスを前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2のモード、で動作するように遷移させることと、を含む方法。
【請求項13】
レーザの出力エネルギーを測定しこれを示す出力を生成することと、
前記出力から前記第1のパルスシーケンスの少なくとも1つのEVI特性を決定することと、
前記EVI特性に基づいて制御信号を生成することと、を更に含み、
前記パルス電源を遷移させることは、前記パルス電源が、前記制御信号を受け取ること、及び、前記制御信号に応答して前記第1のモードから前記第2のモードに遷移すること、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つのEVI特性は、前記EVIの大きさである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つのEVI特性は、前記EVIの発生頻度である、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
レーザを動作させる方法であって、前記レーザは、放電チャンバと、少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された上側電極と、少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された下側電極であって、前記上側電極は上側電極放電表面を有し且つ前記下側電極は下側電極放電表面を有し、前記上側電極放電表面及び前記下側電極放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、下側電極と、電気エネルギーのパルスを生成し前記上側電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、前記方法は、
前記パルス電源を、第1のモードであって、前記パルス電力が複数の負方向のパルスを生成し前記上側電極に供給する第1のモード、で動作させることと、
前記パルス電源を、第2のモードであって、前記パルス電源が複数の正方向のパルスを生成し前記上側電極に供給する第2のモード、に遷移させることと、を含む方法。
【請求項17】
前記レーザのEVIの少なくとも1つの特性を測定しこれを示す出力を生成することと、
前記複数の負方向のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスの前記少なくとも1つのEVI特性に基づいて、制御信号を生成することと、を更に含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1のモードから前記第2のモードに遷移するように適合されている、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
第1の電極及び第2の電極を状態調整する方法であって、
パルス電源に、第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを前記第1の電極に供給させることと、
前記パルス電源に、第2のパルスシーケンスを前記第1の電極に供給させることであって、前記第2のパルスシーケンス中の前記パルスは第2の極性を有し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対であることと、を含む方法。
【請求項19】
状態調整している間に印加される前記第1の極性を有するパルスの数は、状態調整している間に印加される前記第2の極性を有するパルスの数に対して所定の比率である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
チャンバ内での使用に向けて状態調整されるべき電極を状態調整する方法であって、
試験装置であって、上側電極と、前記上側電極に負方向のパルスを供給するように接続されたパルス電源と、を含む試験装置を提供することと、
前記試験装置内に前記状態調整されるべき電極をおき、前記状態調整されるべき電極を下側電極として前記パルス電源に接続させることと、
前記上側電極にパルスを印加して前記状態調整されるべき電極をパッシベーションし、状態調整済み電極を生成することと、
前記状態調整済み電極を前記試験装置から取り外すことと、
前記状態調整済み電極を上側電極又は下側電極として前記チャンバ内に設置することと、を含む方法。
【請求項21】
第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源システムであって、
パルス電源であって、第1の状態であって、前記パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給する第1の状態、及び、第2の状態であって、前記パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2の状態、を有するように適合されたパルス電源と、
第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのEVIの少なくとも1つの特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
前記出力を受け取るように構成され、且つ、少なくとも部分的に前記出力に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、パルス電源システム。
【請求項22】
前記EVIの前記少なくとも1つの特性は、前記EVIの大きさである、請求項21に記載のパルス電源システム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのEVI特性は、前記EVIの発生頻度である、請求項21に記載のパルス電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年10月21日に出願された、「APPARATUS FOR AND METHOD OF CONDITIONING LASER ELECTRODES」と題された米国特許出願第63/270,187号の優先権を主張するものであり、該出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示の主題は、集積回路フォトリソグラフィ製造プロセスに使用されるようなレーザ生成光源に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 深紫外(「DUV」)レーザ源では、レーザ放射のパルスは、放電チャンバ内で電極間にプラズマ放電を発生させることにより生成される。従来のDUVチャンバは、放電チャンバの底部にある接地電位の下側電極、及び、放電チャンバの上部にある負の高い電圧のパルスを受け取る上側電極、を用いて負の極性で作動される。この構成は、製造時に最初の電極パッシベーション中に使用される。またこれは、現場でのチャンバの実際の稼働時においても使用される構成である。ここで及び他の場所において、「上側」及び「下側」という用語は、電極の相対的な位置を示すために使用され、必ずしも重力に対する位置を示すものではないが、「上側」及び「下側」が、重力に対する位置に対応するように電極が配置されてもよい。
【0004】
[0004] これらのレーザは通常、バーストと呼ばれるパルスのシーケンスを生成するように構成される。そのようなチャンバの1つの動作パラメータは、電極間に印加される電圧の関数として生成されるレーザエネルギーの量である。効率的なレーザとするためには、電極間の所与の電位差に対してできる限り多くのエネルギーが生成されるようにする必要がある。
【0005】
[0005] レーザチャンバの性能を評価するための別の基準は、電極間の電圧の関数としてのエネルギー生成の安定性である。言い換えると、所与の電極電圧によって生成されるレーザ放射エネルギーの量が、時間が経過してもできる限り一定に維持されることが、一般的に望ましい。しかしながら、レーザチャンバ及びチャンバの電極が成熟するにつれて、エネルギー対電圧の関係が変化する傾向があり、エネルギー電圧不安定性(EVI)が生じる。バースト間とパルス間の両方で、所与の電位差に対するエネルギー変動を制限することが望ましい。
【0006】
[0006] EVIの原因の1つは、放電チャンバ内での放電が集中し、導電性電極の表面に過渡的な電気放電、即ち、フィラメント状放電又はストリーマ、が形成される傾向があることである。このプロセスは、レーザ放射を生成するプラズマからエネルギーを奪う。また、これにより、エネルギー対電圧の関係に予測不能な変動も生じる。従って、ストリーマを減らすと、EVIの低下につながることがある。
【0007】
[0007] ストリーマは、様々なメカニズムによって損傷を受けた電極表面上の場所に形成される傾向がある。この損傷を軽減する対策の1つは、電極表面がそのような損傷を受けにくくなるように電極表面の状態を整えること、例えば、電極の放電表面をパッシベーションすること、である。通常、パッシベーションには、放電表面を電子及び負イオン(例えば、F)のフラックスにさらすことが含まれる。
【0008】
[0008] パッシベーションは、カソードに負パルスを印加してカソード及びアノードをパッシベーションすることにより、電極を実際の使用に向けて準備するプロセスの一部である。パッシベーションは、アノード及びカソードが同様の材料でできている場合であっても、正のアノード上で優先的に(より迅速且つ完全に)行われ、負のカソード上ではそのようには行われない傾向がある。従って、一般的に、カソードをパッシベーションするには、アノードよりも長い時間(即ち、より多くのパルス)がかかる。
【0009】
[0009] 現場では、使用中に、いくらかのパッシベーションが本質的に発生する。しかしながら、やはり、アノードが、カソードよりもこの本質的なパッシベーションからより多くの恩恵を受ける。従って、カソードは、ストリーマを発生させる傾向がより強くなる。
【0010】
[0010] 従って、製造中に電極をより迅速に状態調整できる、レーザ電極用の構成を提供できることが望ましい。また、チャンバが現場に配備された後で、電極放電表面上の本質的なパッシベーションを強化できることも望ましい。この状況において、本発明の必要性が生じる。
【発明の概要】
【0011】
[0011] 本発明についての基本的な理解をもたらすために、以下では1つ又は複数の実施形態の簡潔な概要を提示する。この概要は、全ての企図される実施形態の徹底したあらましではなく、また、全ての実施形態の主要な若しくは重要な要素を特定すること、又は任意の若しくは全ての実施形態の範囲を明確に記述することを意図してはいない。その唯一の目的は、後に提示するより詳細な説明の前置きとして、1つ又は複数の実施形態の幾つかの概念を簡素化した形式で提示することである。
【0012】
[0012] 一態様によれば、本開示の主題は、放電の極性を逆にすることによってカソードのパッシベーションを改善する。従って、上側電極は、逆の極性の放電期間中はアノードとして機能する。
【0013】
[0013] 一実施形態の一態様によれば、第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源が開示され、このパルス電源は、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する少なくとも1つのパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する少なくとも1つの逆の極性のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する。電源は、制御信号に応答して第1の状態と第2の状態との間を遷移するように適合されてもよい。
【0014】
[0014] 一実施形態の別の態様によれば、レーザが開示され、このレーザは、放電チャンバと、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された第1の電極と、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された第2の電極であって、第1の電極は第1の放電表面を有し第2の電極は第2の放電表面を有し、第1の放電表面及び第2の放電表面は、ギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、電気エネルギーのパルスを生成し第1の電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、パルス電源は、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する。
【0015】
[0015] このレーザは、第1の複数のパルスのEVI特性を測定及び生成するように構成されたメトロロジユニットと、出力を受け取るように構成され且つ第1の複数のパルスのEVIのEVI特性に基づいて制御信号を生成するように適合された制御ユニットと、を更に含み、パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている。EVIの特性は、EVIの大きさであってもよい。EVIの特性は、EVIの頻度であってもよい。
【0016】
[0016] 一実施形態の別の態様によれば、レーザが開示され、このレーザは、放電チャンバと、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された上側電極と、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された下側電極であって、上側電極は上側電極放電表面を有し下側電極は下側電極放電表面を有し、上側電極放電表面及び下側電極放電表面は、ギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、下側電極と、電気エネルギーのパルスを生成し上側電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、パルス電源は、第1の状態であって、パルス電源が、複数の負方向のパルス(negative-going pulses)を生成し上側電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、パルス電源が、複数の正方向のパルス(positive-going pulses)を生成し上側電極に供給する第2の状態と、を有する。
【0017】
[0017] このレーザは、レーザのEVIを測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、この出力を受け取るように構成され且つ複数の負方向のパルスのEVI特性電圧に基づいて制御信号を生成するように適合された制御ユニットと、を更に含み、パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている。
【0018】
[0018] 一実施形態の別の態様によれば、第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源を動作させる方法が開示され、この方法は、パルス電源を、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する少なくとも1つのパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態、で動作させることと、パルス電源を、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する少なくとも1つの逆の極性のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態、に遷移させることと、を含む。パルス電源を第2の状態に遷移させることは、制御信号を受け取ることを含んでもよい。
【0019】
[0019] 一実施形態の別の態様によれば、レーザを動作させる方法が開示され、このレーザは、放電チャンバと、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された第1の電極と、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された第2の電極であって、第1の電極は第1の放電表面を有し第2の電極は第2の放電表面を有し、第1の放電表面及び第2の放電表面は、ギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、電気エネルギーのパルスを第1の電極に提供するように構成されたパルス電源と、を含み、この方法は、パルス電源を、第1のモードであって、パルス電源が第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを第1の電極に供給する第1のモードで動作させることと、パルス電源を、第2のモードであって、パルス電力が第2の極性を有する第2のパルスシーケンスで第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2のモード、で動作するように遷移させることと、を含む。
【0020】
[0020] この方法は更に、レーザのEVI特性を測定しこれを示す出力を生成することと、この出力及び第1のパルスシーケンスのEVI特性に基づいて制御信号を生成することと、を含んでもよく、パルス電源を遷移させることは、パルス電源が制御信号を受け取ること及び制御信号に応答して第1のモードから第2のモードへ遷移することを含む。
【0021】
[0021] 一実施形態の別の態様によれば、レーザを動作させる方法が開示され、このレーザは、放電チャンバと、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された上側電極と、放電チャンバ内部に少なくとも部分的に配置された下側電極であって、カソードは上側電極放電表面を有しアノードは下側電極放電表面を有し、カソード放電表面及びアノード放電表面は、ギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、下側電極と、電気エネルギーのパルスを生成しカソードに供給するように構成されたパルス電源と、を含み、この方法は、パルス電源を、第1のモードであって、パルス電力が、複数の負方向のパルスを生成しカソードに供給する第1のモードで動作させることと、パルス電源を、第2のモードであって、パルス電源が、複数の正方向のパルスを生成しカソードに供給する第2のモードに遷移させることと、を含む。
【0022】
[0022] この方法は、レーザのEVI特性を測定しこれを示す出力を生成することと、複数の負方向のパルスのEVI特性に基づいて制御信号を生成することと、を更に含んでもよく、パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1のモードから第2のモードに遷移するように適合されている。
【0023】
[0023] 一実施形態の別の態様によれば、第1の電極及び第2の電極を状態調整する方法が開示され、この方法は、パルス電源に、第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを第1の電極に供給させることと、パルス電源に、第2のパルスシーケンスを第1の電極に供給させることであって、第2のパルスシーケンス中のパルスは第2の極性を有し、第2の極性は第1の極性とは反対であることと、を含む。状態調整している間に印加される第1の極性を有するパルスの数は、状態調整している間に印加される第2の極性を有するパルスの数に対して所定の比率であってもよい。
【0024】
[0024] 一実施形態の別の態様によれば、チャンバ内での使用に向けて状態調整されるべき電極を状態調整する方法が開示され、この方法は、上側電極、及び負方向のパルスを上側電極に供給するように接続されたパルス電源、を含む試験装置を提供することと、試験装置内に状態調整されるべき電極を配置し、その状態調整されるべき電極を下側電極としてパルス電源に接続することと、上側電極にパルスを印加して状態調整されるべき電極をパッシベーションして、状態調整済み電極を生成することと、状態調整済み電極を試験装置から取り外すことと、状態調整済み電極を上側電極又は下側電極としてチャンバ内に設置することと、を含む。
【0025】
[0025] 一実施形態の別の態様によれば、第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源システムが開示され、このパルス電源システムは、パルス電源であって、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態、及び第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態、を有するように適合されたパルス電源と、第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのEVIの少なくとも1つの特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、この出力を受け取るように構成され、この出力に少なくとも部分的に基づいて制御信号を生成するように適合された制御ユニットと、を含み、パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている。
【0026】
[0026] EVIの少なくとも1つの特性は、EVIの大きさであってもよい。少なくとも1つのEVI特性は、EVIの発生頻度であってもよい。
【0027】
[0027] 本開示の主題の更なる実施形態、特長、及び利点、並びに、様々な実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。
【0028】
[0028] 本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明について例示し、更には、説明文と共に、本発明の原理を説明し、当業者が本発明を作製したり使用したりするのを可能にするように働く。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】[0029]開示される主題の一態様による、フォトリソグラフィシステムの全体的な広い概念の、正確な縮尺ではない、概略図である。
図2】[0030]開示される主題の一態様による、照明システムの全体的な広い概念の、正確な縮尺ではない、概略図である。
図3】[0031]開示される主題の複数の態様による、エキシマレーザ用の放電チャンバの、正確な縮尺ではない、概略断面図である。
図4】[0032]開示される主題の複数の態様による、エキシマレーザ用の放電チャンバ用のパルス電源の機能ブロック図である。
図5】[0033]開示される主題の複数の態様による、エキシマレーザ用の放電チャンバ用のパルス電源の回路図である。
図6】[0034]エキシマレーザ用の放電チャンバのパルス電圧を時間の関数として示すグラフである。
図7】[0035]開示される主題の複数の態様による、エキシマレーザ用の放電チャンバのパルス電圧を時間の関数として示すグラフである。
図8A】[0036]開示される主題の複数の態様による、電極状態調整のための構成の部分概略機能ブロック図である。
図8B】[0037]開示される主題の複数の態様による、電極状態調整のための構成の部分概略機能ブロック図である。
図8C】[0038]開示される主題の複数の態様による、電極状態調整のための構成の部分概略機能ブロック図である。
図9】[0039]開示される主題の複数の態様による、電極を状態調整するための別の構成の部分概略機能ブロック図である。
図10】[0040]開示される主題の複数の態様による、エキシマレーザの放電チャンバ用の電極を状態調整する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[0041] 本発明の更なる特長及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。なお、本発明は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定はされない。そのような実施形態は、単に例示目的で本明細書中に提示される。本明細書に含まれる教示に基づくと、更なる実施形態が当業者には明らかであろう。
【0031】
[0042] ここで、図面を参照して様々な実施形態について説明する。図面では、全体を通じて、同様の要素を指すために同様の参照番号を用いる。以下の説明では、説明の目的のために、1つ又は複数の実施形態の完全な理解を容易にするために、多数の具体的な詳細について記載する。しかしながら、幾つかの又は全ての場合において、以下で説明する実施形態を、以下に説明する特定の設計詳細を用いることなく実施することができることは、明らかであることがある。他の場合では、1つ又は複数の実施形態の説明を容易にするために、周知の構造及びデバイスについては、ブロック図の形式で示す。この概要は、全ての企図される実施形態の徹底したあらましではなく、また、全ての実施形態の主要な若しくは重要な要素を特定することも、又は任意の若しくは全ての実施形態の範囲を明確に記述することも意図してはいない。
【0032】
[0043] 図1は、照明システム105を含むフォトリソグラフィシステム100を示す。以下でより完全に説明するように、照明システム105は、光源であって、パルス光ビーム110を生成し、そのビームを、ウェーハ120上に超微小電子フィーチャをパターン形成するフォトリソグラフィ露光装置又はスキャナ115に向ける光源、を含む。ウェーハ120は、ウェーハテーブル125であって、ウェーハ120を保持するように構築され、且つ、特定のパラメータに従ってウェーハ120を正確に位置決めするように構成されたポジショナ127に接続されたウェーハテーブル125、上に置かれる。
【0033】
[0044] フォトリソグラフィシステム100は、例えば248ナノメートル(nm)又は193nmの波長を伴う深紫外(DUV)範囲の波長を有する光ビーム110を使用する。ウェーハ120上にパターン形成することができる超微小電子フィーチャの最小寸法は、光ビーム110の波長に依存し、波長をより短くすると最小のフィーチャサイズをより小さくできる。スキャナ115は、例えば、1つ又は複数の集光レンズ、マスク、及び対物系構成を有する光学的構成を含む。マスクは、1つ又は複数の方向に沿って、例えば、光ビーム110の光軸に沿って、又は光軸に垂直な面内で、移動可能である。対物系構成は、投影レンズを含み、マスクからウェーハ120上のフォトレジストへの画像転写を可能にする。照明システム105は、マスクに当たる光ビーム110の角度の範囲を調節する。照明システム105はまた、マスク全体に渡る光ビーム110の強度分布を均質化(均一化)する。
【0034】
[0045] スキャナ115は、とりわけ、層がウェーハ120上にどのようにプリントされるかを制御するリソグラフィコントローラ130を含むことができる。リソグラフィコントローラ130は、例えば使用するマスク、並びに露光に影響を与える他の要因に基づいて、ウェーハ120上での露光の長さを決定するプロセスレシピなどの情報を記憶するメモリを含む。リソグラフィ中に、光ビーム110の複数のパルスがウェーハ120の同じ領域を照射して、照射ドーズとなる。
【0035】
[0046] フォトリソグラフィシステム100はまた、制御システム135を含むことも好ましい。一般的に、制御システム135は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちの1つ又は複数を含む。制御システム135は、読み出し専用メモリ及び/又はランダムアクセスメモリであり得るメモリも含む。コンピュータプログラム命令及びデータを具体的に取り込むのに適したストレージデバイスとしては、例として、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスを含む全ての形態の不揮発性メモリ、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、及びCD-ROMディスクが挙げられる。
【0036】
[0047] 制御システム135は、1つ又は複数の入力デバイス(例えば、キーボード、タッチスクリーン、マイクロホン、マウス、手持ち式入力デバイス、等)及び1つ又は複数の出力デバイス(例えば、スピーカー又はモニター等)を含むこともできる。制御システム135は、1つ又は複数のプログラム可能プロセッサ、及び、1つ又は複数のプログラム可能プロセッサによって実行されるように機械可読ストレージデバイス内に具体的に取り込まれた1つ又は複数のコンピュータプログラムも含むことができる。1つ又は複数のプログラム可能プロセッサはそれぞれ、命令のプログラムを実行して、入力データを操作し適切な出力を生成することによって、所望の機能を実施することができる。一般的に、プロセッサは、メモリから命令及びデータを受け取る。前述のいずれも、特別に設計されたASIC(特定用途向け集積回路)によって補完されるか、又は組み込まれることがある。制御システム135は、中央集中型とすることも、又はフォトリソグラフィシステム100全体に渡って部分的に若しくは全面的に分散させることもできる。
【0037】
[0048] 図2は、照明システム105の一例として、光ビーム110としてパルスレーザビームを生成するパルスレーザ源を示す。図2は、非限定的な例として2チャンバレーザシステムを示しているが、ここで説明する原理は、単一チャンバレーザシステムにも同様に適用可能であることが理解されるであろう。ガス放電レーザシステムは、例えば、固体又はガス放電シードレーザシステム140、増幅ステージ、例えば、パワーリング増幅器(「PRA」)ステージ145、リレー光学部品150、及びレーザシステム出力サブシステム160を含んでもよい。シードシステム140は、例えば、以下に説明するような一対の電極を含む主発振器(「MO」)チャンバ165を含んでもよい。
【0038】
[0049] シードレーザシステム140はまた、主発振器出力カプラ(「MO OC」)175を含んでもよく、このMO OC175は、部分反射ミラーを含んでもよく、ライン狭隘化モジュール(「LNM」)170内の反射格子(図示せず)と共に、発振器キャビティであって、シードレーザ140が発振してシードレーザ出力パルスを形成する発振器キャビティを形成してもよい、即ち、主発振器(「MO」)を形成してもよい。このシステムは、ライン中心分析モジュール(「LAM」)180も含んでもよい。MO波面エンジニアリングボックス(「WEB」)185は、MOシードレーザシステム140の出力を増幅ステージ145に向け直すように作用してもよく、且つ、例えば、マルチプリズムビーム拡大器(図示せず)及び光遅延経路(図示せず)を用いた、例えばビーム拡大を含んでもよい。
【0039】
[0050] 増幅ステージ145は、例えばPRAレージングチャンバ200を含んでもよく、PRAレージングチャンバ200もまた、例えば、シードビーム注入及び出力結合光学系(図示せず)によって形成される発振器であってもよく、この結合光学系は、PRA WEB210に組み込まれていてもよく、且つ、ビーム反転器220によってチャンバ200内の利得媒質を通過して戻るように向け直されてもよい。PRA WEB210は、部分反射型入力/出力カプラ(図示せず)と、公称動作波長(例えば、ArFシステムの場合には約193nm)に対する最大限の反射ミラーと、1つ又は複数のプリズムと、を組み込んでもよい。レージングチャンバ200は、以下で説明するような一対の電極も含んでもよい。
【0040】
[0051] 増幅ステージ145の出力部にある帯域幅分析モジュール(「BAM」)230は、増幅ステージから出力されたパルスのレーザ光ビームを受け取り、その光ビームの一部を計測目的のために取り出して、例えば、出力帯域幅及びパルスエネルギーを測定してもよい。次いで、レーザ出力光ビームのパルスは、光パルスストレッチャー(「OPuS」)240及び出力結合自動シャッター計測モジュール(「CASMM」)250を通過し、CASMM250は、パルスエネルギーメーターが置かれる位置でもあってもよい。OPuS240の目的の1つは、例えば、単一の出力レーザパルスをパルス列に変換することであってもよい。元の単一の出力パルスから生成される二次パルスは、互いに対して遅延していてもよい。元のレーザパルスのエネルギーを二次パルス列に分配することにより、レーザの有効パルス長を拡大することができ、同時に、ピークパルス強度を低下させることができる。従って、OPuS240は、BAM230を介してPRA WEB210からレーザビームを受け取り、OPuS240の出力をCASMM250に向けることができる。
【0041】
[0052] PRAレージングチャンバ200及びMO165はチャンバとして構成され、このチャンバでは、電極間の放電がレージングガス中でレージングガス放電を引き起こして、例えばAr、Kr、F,及び/又はXeを含む高エネルギー分子の反転分布を生み出して比較的に広帯域の放射を生成し、この放射は、当分野で知られるように、LNM170において選択された比較的に非常に狭い帯域幅及び中心波長にライン狭隘化されてもよい。
【0042】
[0053] 図3には、PRAレージングチャンバ200又はMO165として機能し得るような放電チャンバ300の構成が示されている。チャンバ300はカソードとして機能する上側電極310と、アノードとして機能する下側電極320とを含む。下側電極320及び上側電極310の一方又は両方は、チャンバ壁305によって画定されるチャンバ300の圧力エンベロープ内に完全に包含されてもよく、或いは、これらの電極のうちの一方又は両方はそのように包含されていなくてもよい。Cは、レーザシステム電極310、320に並列に電気的に接続されたピーキングコンデンサ(これは、レーザチャンバ300の一部としてレーザチャンバ300の上部に取り付けられた並列の複数のコンデンサから構成される列であり得る)である。
【0043】
[0054] 図3には、上側絶縁体315及び下側絶縁体325も示されている。下側電極320は通常、チャンバ300の壁305に電気的に接続されている。安全上の理由により、チャンバ壁305、よって下側電極320を接地電位に維持することが望ましい。図3に示す実施形態では、上側電極310は、下側電極320に対して負である電圧で電圧源340によって駆動される。従って、この構成では、上側電極はカソードとして機能しており、下側電極はアノードして機能している。
【0044】
[0055] 前述のように、図3には、カソード310とアノード320との間にパルス電圧勾配を確立する電圧源340も示されている。電圧源340の出力の極性について、表記(-)が示されているが、これは、絶対的な極性ではなく相対的なものである、即ち、下側電極320の極性を基準にしたものである、ということを理解されたい。上側電極(カソード310)は、大きな(例えば、約20kV)負の電圧に帯電する。
【0045】
[0056] 図4は、高電圧電源モジュール410、共振充電器モジュール420、コミュテータモジュール430、及び圧縮ヘッドモジュール440を含むパルス電源400の一例の機能ブロック図である。パルス電力回路400を使用して、電力の短く強力なパルス(例えば、60~150nsの範囲内で、通常は1パルスあたり2~3Jのエネルギーのパルス)を生成してもよい。電気パルスは、レーザから光パルスを生成するために、ピーキングコンデンサCと、放電パルスとしてレーザチャンバ内の電極とに供給されてもよい。
【0046】
[0057] 圧縮ヘッドモジュール440の出力は、例えば、デュアルチャンバシステムのうちの一方のチャンバ(MO又はPA)であり得るレーザチャンバモジュール450に供給されてもよい。一般に、各放電チャンバには、そのチャンバ自体のそれぞれのパルス電力回路400が備えられている。しかしながら、各チャンバのパルス電力回路400は、共有高電圧電源モジュール410及び共振充電器モジュール420などの様々な要素を共有してもよい。パルス電力回路400は、ソリッドステートパルス電力モジュール(SSPPM)として構成されてもよい。
【0047】
[0058] 動作においては、高電圧電源モジュール410は、外部電力、例えば三相の通常のプラント電力を、高DC電圧に変換する。共振充電器モジュール420は、コミュテータモジュール430内のコンデンサ列を、調整された電圧まで充電して、パルスを生成する。コミュテータモジュール430は、パルスを短くし、パルスの電圧を増加させる。圧縮ヘッドモジュール440は更に、コミュテータモジュール430からの電気パルスを、ピーク電流の対応する増加を伴いながら時間的に圧縮して、所望の立上り時間及び電圧を有するパルスを生成する。次いで、これらのパルスは、ピーキングコンデンサ間及びレーザチャンバモジュール450内の電極(図示せず)間に印加される。そのようなレーザシステムの構成及び動作の更なる詳細については、例えば、2006年7月18日に発行された「Control System for a Two Chamber Gas Discharge Laser」と題された米国特許第7,079,564号に見出すことができる。この回路の動作の更なる詳細については、2006年2月21日に発行された「Method and Apparatus for Cooling Magnetic Circuit Elements」と題された米国特許第7,002,443号に見出されることがある。
【0048】
[0059] 本明細書で引用する全ての特許出願、特許、及び印刷刊行物は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるが、なんらかの定義、主題免責条項又は責任否認は除くものとし、且つ、組み込まれる資料が、本明細書の明示的な開示と不整合をおこす範囲は除くものとし、その場合には、本開示の文言が制御する。
【0049】
[0060] 図5は、高電圧電源モジュール410に接続されたSSPPM500の特定の構成要素の簡略化された回路図であり、SSPPMは、一実施形態の一態様に従って、図3のパルス電力回路内で使用することができるような、共振充電器モジュール420、コミュテータモジュール430、及び圧縮モジュール440を含む。破線AとBとの間の要素は、コミュテータモジュール430を実装する回路を含む。高電圧電源モジュール410は、既知の態様で動作する共振充電器モジュール420に電力を供給する。共振充電器モジュール420からのパルスは、コミュテータモジュール430に供給されて、コンデンサ510を充電する。コンデンサ510は通常、Cと呼ばれ、コンデンサ510の電圧は通常、VCと呼ばれる。トリガー信号Tがコミュテータソリッドステートスイッチ520に供給されると、コミュテータソリッドステートスイッチ520は閉じ、コンデンサ510を充電インダクタンス540を介してコンデンサ530へと放電させる。コンデンサ530は通常、Cと呼ばれ、コンデンサ530の両端間の電圧は通常、VCと呼ばれる。この電圧は、磁気スイッチとして機能する可飽和リアクトル550が飽和し、変圧器570を介して圧縮ヘッドモジュール440内のコンデンサCp-1へとコンデンサ530を放電させるまで、コンデンサ530に保持される。圧縮ヘッドモジュール440も通常、今しがた説明したのと同様の態様で動作する磁気スイッチとして機能する1つ又は複数の可飽和リアクトル580を含む。
【0050】
[0061] 最終的に、レーザチャンバモジュール450内のピーキングコンデンサCは、SSPPM500によってパルス充電される。電流の流れが増大し始め、ピーキングコンデンサCから流れ出て、静電容量としてモデル化される電極間の放電につながる。ピーキングコンデンサCの電圧はゼロを通過し、放電を介した電流は落ち着き始めるが、ピーキングコンデンサCからの継続した電流の流れにより、ピーキングコンデンサC上の電圧VCPの極性が強制的に反転される。図6に、電圧VCPのグラフが示されている。見て分かるように、t=0での電圧は負のピークであり、これに続いて正のオーバーシュートが起こり、その後、一連の減衰振動が起こる。負のピーク前のVCPの時間微分dVCP/dtは、最初は負であり、これを負方向のパルスにする。言い換えると、パルスは、放電が発生している間は負である。
【0051】
[0062] SSPPMに関する更なる情報は、「Very High Energy, High Stability Gas Discharge Laser Surface Treatment System」と題された、2007年1月23日に発行された米国特許第7,167,499号から見つけることができる。
【0052】
[0063] 前述のように、従来、SSPPM500は、上側電極(従来のカソード)310に負方向の(最初は負のdVCP/dtである)パルスを印加するように適合されている。パルス中に上側電極310に対してより高い相対電位にある下側電極320は、上側電極310よりも本質的にパッシベーションされる傾向がより大きい。
【0053】
[0064] 例えば、製造中に、パッシベーションと呼ばれる電極の状態を整える工程が実行される。カソードのパッシベーションは、電子とF-イオンを衝突させ、表面をフッ素と反応しにくくすることによって、実行される。パッシベーションプロセスは、従来のアノードが既にこの時点で既にパッシベーションされているとしても、従来のカソードをパッシベーションするために十分に長い時間、実行されなくてはならない。
【0054】
[0065] 一旦チャンバが現場に配備されると、その電極放電表面のパッシベーション層は劣化する。この劣化にある程度対抗するのは、dVCP/dt負ピークパッシベーションによる本質的な再パッシベーションであり、そこでは、カソードに印加される負パルスの性質により、十分な運動量を有する十分な数の電子及びFイオンが衝突し、上側電極表面をパッシベーションする。しかしながら、使用においては、カソード放電表面は、そのパッシベーションが、従来のアノードのパッシベーションほど堅牢ではないので、再度のイオンの衝撃による損傷に、より影響されやすい。
【0055】
[0066] 一実施形態の一態様によれば、パッシベーションの製造中、各チャンバは、第1の間隔の間は「通常の」極性(dVCP/dt負ピーク)(図6)で、第2の間隔の間は逆の極性(dVCP/dt正ピーク)(図7)で、動作する。この方法を使用すると、新しい各チャンバの両方の電極を、配備する前に、多数のより少ないパルス(例えば、数十億個のパルスの代わりに数億個のパルス)を用いて完全に成熟させることができる。
【0056】
[0067] 一実施形態の別の態様によれば、製造中、状態調整動作が実行され、この動作では、電極が新しくなる度に状態調整装置内に配置され、その新しい電極がチャンバ内に設置される前に、アノードとして(即ち、対向する電極を基準にして正である極性で)事前作動される。
【0057】
[0068] 一実施形態の別の態様によれば、チャンバが稼働状態に置かれた後で、チャンバを時折、逆の極性で作動させることもできる。一態様によれば、チャンバのEVIは監視され、EVIが所定の閾値を超えた場合、逆の極性での動作の間隔が命令される。或いは、逆の極性での動作の間隔は、設定された動作マイルストーン(例えば、パルスの数、低電圧動作でのパルスの数、等)で発生するようにされてもよく、このマイルストーンは、EVIが不安定になると予測できるパルスカウント及び状態に対応するように推測的に決定される。逆極性の間隔は、通常の極性のパルスのバーストの間にあることがある。一実施形態の一態様によれば、電極用のSSPPMシステムは、パルス間で、更にはパルス毎に極性を切り替えて、電極の本質的に連続的な再パッシベーションを可能にするように適合される。
【0058】
[0069] 一実施形態の別の態様によれば、SSPPMシステムは設計されているので、そのため、レーザは、適切にプログラムされたコントローラの制御下で極性を切り替えることができる。コントローラは、レーザEVIの挙動を動的に監視し、一旦EVI有意性が所定のレベルを超えると、SSPPM作動極性を反転させるように構成される。これは、SSPPM500変圧器570の二次ルーティングを変更することにより達成することができる。また、これは、コミュテータモジュール430の極性を変更することにより、SSPPM500を変更することも含んでもよい。また、これは、電源圧縮ヘッドモジュール440の磁気スイッチの変更も含んでもよい。逆極性のパルスを制御可能に生成するようにSSPPM500を修正できる複数の方法があることが、当業者には明らかであろう。代替として、SSPPM500は、従来の負方向のパルスを生成するための第1の回路と、正方向の(最初は正のdVCP/dtである)パルスを生成するための第2の回路と、スイッチング要素であって、第1及び第2の回路の一方若しくは他方に電力を供給するか、又は、第1及び第2の回路の一方若しくは他方からの出力を供給するスイッチング要素と、を含むことができる。
【0059】
[0070] 図8Aは、電極製造プロセスの一貫として電極を状態調整するための構成の部分概略機能ブロック図である。図示する構成では、上側電極810及び下側電極820を有するチャンバ800がパッシベーション装置830内に置かれている。電源840は、パルスを電極810、820に供給する。コントローラ850は、チャンバ800内の電極に印加されるパルスの極性を制御する。従って、電極を準備するパッシベーションステップの一部として、電源840は、一定の間隔の間従来の負方向のパルスを生成し、次いで、コントローラ850によってそうするように指示されると、一連の正方向のパルスを生成する。負方向のパルスの間は、上側電極810は従来のカソードとして機能し、下側電極820は従来のアノードとして機能する。正方向のパルスの間は、上側電極810は従来のアノードとして機能し、下側電極820は従来のカソードとして機能する。一実施形態の一態様によれば、状態調整中に印加される負方向のパルスの数は、状態調整中に印加される正方向のパルスの数に対して所定の比率、例えば1:1である。負方向のパルス及び正方向のパルスは、望まれる場合にはパルス毎に交互に生成されることがある。負方向のパルスと正方向のパルスの両方を使用すると、全体的な初期のパッシベーション時間が短縮される、というのも、上側電極810は、従来のアノードとして機能する際により効率的にパッシベーションされるからである。
【0060】
[0071] 図8Bは、代替的な構成を示しており、この構成では、コントローラ850からの制御信号が、スイッチ845であって、第1の極性を有するパルスを生成する第1のパルス電源842か又は第1の極性とは逆の第2の極性を有するパルスを生成する第2のパルス電源847に電極810を接続するスイッチ845、の動作を制御する。
【0061】
[0072] 図8Cは、上側電極又は下側電極として使用されることになる電極880が、状態調整装置885内に置かれ、アノードとしてパルス電源890に電気的に接続されることにより、チャンバに設置される前に状態調整される構成を示す。従って、この実施態様では、使用される場合、全ての電極が、最終的に上側電極として使用されるか又は下側電極として使用されるかに関わらず、アノードとしてパッシベーションを受ける。
【0062】
[0073] 図9は、チャンバが使用状態に置かれた後に電極を状態調整するための構成の部分概略機能ブロック図である。図示する構成では、電源840は、チャンバ800内の電極810、820に負方向のパルス又は正方向のパルスを供給する。コントローラ850は、チャンバ800内の電極に印加されるパルスの極性を制御する。図2に関連して上述したBAM230などのメトロロジユニットは、パルスエネルギーを測定し、それをコントローラ850に中継する。コントローラ850は、ビームの出力エネルギーを比較して、上側電極を再パッシベーションするのが有益であり得ることを示す有意なEVI(例えば、大きさ、発生頻度、又はその両方の点で所定の閾値を上回っているなど)があるかどうかを判断する。次いで、コントローラ850は、一連の正方向のパルスを生成するように電源840に指示する。正方向のパルスを印加すると、上側電極810が効率的に再パッシベーションされる。コントローラ850は、所定の時間後、又は所定の条件(例えば、EVIが許容可能なパラメータの範囲内でのみ発生している)に応答して、電源840に、従来の負方向のパルスの生成を再開するように指示することができる。逆の極性での動作の期間中に生成された放射は、フォトリソグラフィに使用することができる。
【0063】
[0074] 図10は、図5に示したような構成を動作させる方法の一例を示すフローチャートである。ステップS10では、特定の動作期間の間、従来の(負方向の)パルスを使用してレーザが作動される。レーザが作動されている間、即ち、ステップS10を実行している間、ステップS20では、エネルギー電圧不安定性(EVI)が監視される。ステップS30では、EVIのなんらかの特性(例えば、大きさ、発生頻度)が、所定の容認閾値を超えているかどうかを判断する。この所定の閾値は、チャンバの年数、動作要件などの特定の要因に応じて変化することがあることが理解されよう。レーザが依然として許容可能なEVIパラメータの範囲内で動作していると判断された場合、ステップS10、S20、及びS30が継続する。レーザが許容可能なEVIパラメータの範囲内で動作していないと判断された場合、ステップS40で、レーザは逆の極性の(正方向の)パルスで動作される。ステップS40の実施は、例えば、従来のカソードのパッシベーションを復元するのに十分であると推測的に知られている期間の間、継続する。次いで、このプロセスはステップS10に戻って通常の動作を再開する。
【0064】
[0075] 上記の説明は、複数の実施形態の例を含む。当然ながら、前述の実施形態を説明する目的のために、構成要素又は方法の全ての考えられる組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者であれば、様々な実施形態の多数の更なる組み合わせ及び置き換えが可能であることを理解することができる。従って、記載した実施形態は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に該当するそのような変更形態、修正形態、及び変形形態の全てを包含することが意図されている。更に、「含む(includes)」という用語が発明を実施するための形態又は特許請求の範囲のいずれかで使用される範囲では、そのような用語は、「含む(comprising)」が請求項で移行語として用いられる場合に解釈されるように、「含む(comprising)」という用語と同様の態様で包括的であることが意図されている。更に、記載した態様及び/又は実施形態の要素は単数形で記載又は請求されていることがあるが、単数に限定することが明示されていない限り、複数も企図されている。更に、特に断りの無い限り、任意の態様及び/又は実施形態の全て又は一部は、任意の他の態様及び/又は実施形態の全て又は一部と共に利用されてもよい。
【0065】
[0076] 実施形態については、以下の条項を使用して更に説明することができる。
1.第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源であって、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する少なくとも1つのパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する少なくとも1つの逆の極性のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する、パルス電源。
2.電源は、制御信号に応答して第1の状態と第2の状態との間を遷移するように適合されている、条項1に記載のパルス電源。
3.レーザであって、
放電チャンバと、
少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された第1の電極と、
少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された第2の電極であって、第1の電極は第1の放電表面を有し且つ第2の電極は第2の放電表面を有し、第1の放電表面及び第2の放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、
電気エネルギーのパルスを生成し第1の電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、
パルス電源は、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する、レーザ。
4.第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのエネルギー電圧不安定性(EVI)の特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
その出力を受け取るように構成され、且つ、第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのEVIの特性に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている、条項3に記載のレーザ。
5.EVIの特性は、EVIの大きさである、条項4に記載のレーザ。
6.EVIの特性は、EVIの発生頻度である、条項4に記載のレーザ。
7.パルス数の観点からレーザの動作年数を示すパルスカウントを決定するためのパルスカウンタと、
パルスカウントを受け取るように構成され、且つ、パルスカウントが所定の値に達するのに基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている、条項3に記載のレーザ。
8.レーザであって、
放電チャンバと、
少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された上側電極と、
少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された下側電極であって、上側電極は上側電極放電表面を有し且つ下側電極は下側電極放電表面を有し、上側電極放電表面及び下側電極放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、下側電極と、
電気エネルギーのパルスを生成し上側電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、
パルス電源は、第1の状態であって、パルス電源が複数の負方向のパルスを生成し上側電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、パルス電源が複数の正方向のパルスを生成し上側電極に供給する第2の状態と、を有する、レーザ。
9.レーザの出力エネルギーを測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
制御ユニットであって、出力を受け取るように構成され、且つ、出力から1つ又は複数のEVI特性を決定し、複数の負方向パルスの1つ又は複数のEVI特性に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている、条項8に記載のレーザ。
10.第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源を動作させる方法であって、
パルス電源を、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する少なくとも1つのパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態、で動作させることと、
パルス電源を、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する少なくとも1つの逆の極性のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態、に遷移させることと、を含む方法。
11.パルス電源を第2の状態に遷移させることは、制御信号を受け取ることを含む、条項10に記載の方法。
12.レーザを動作させる方法であって、レーザは、放電チャンバと、少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された第1の電極と、少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された第2の電極であって、第1の電極は第1の放電表面を有し且つ第2の電極は第2の放電表面を有し、第1の放電表面及び第2の放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、電気エネルギーのパルスを第1の電極に提供するように構成されたパルス電源と、を含み、この方法は、
パルス電源を、第1のモードであって、パルス電源が、第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを第1の電極に供給する第1のモード、で動作させることと、
パルス電源を、第2のモードであって、パルス電源が、第2の極性を有する第2のパルスシーケンスを第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2のモード、で動作するように遷移させることと、を含む方法。
13.レーザの出力エネルギーを測定しこれを示す出力を生成することと、
出力から第1のパルスシーケンスの少なくとも1つのEVI特性を決定することと、
EVI特性に基づいて制御信号を生成することと、を更に含み、
パルス電源を遷移させることは、パルス電源が、制御信号を受け取ること、及び、制御信号に応答して第1のモードから第2のモードに遷移すること、を更に含む、条項12に記載の方法。
14.少なくとも1つのEVI特性は、EVIの大きさである、条項13に記載の方法。
15.少なくとも1つのEVI特性は、EVIの発生頻度である、条項13に記載の方法。
16.レーザを動作させる方法であって、レーザは、放電チャンバと、少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された上側電極と、少なくとも部分的に放電チャンバ内部に配置された下側電極であって、上側電極は上側電極放電表面を有し且つ下側電極は下側電極放電表面を有し、上側電極放電表面及び下側電極放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、下側電極と、電気エネルギーのパルスを生成し上側電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、この方法は、
パルス電源を、第1のモードであって、パルス電力が複数の負方向のパルスを生成し上側電極に供給する第1のモード、で動作させることと、
パルス電源を、第2のモードであって、パルス電源が複数の正方向のパルスを生成し上側電極に供給する第2のモード、に遷移させることと、を含む方法。
17.レーザのEVIの少なくとも1つの特性を測定しこれを示す出力を生成することと、
複数の負方向のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスの少なくとも1つのEVI特性に基づいて、制御信号を生成することと、を更に含み、
パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1のモードから第2のモードに遷移するように適合されている、条項16に記載の方法。
18.第1の電極及び第2の電極を状態調整する方法であって、
パルス電源に、第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを第1の電極に供給させることと、
パルス電源に、第2のパルスシーケンスを第1の電極に供給させることであって、第2のパルスシーケンス中のパルスは第2の極性を有し、第2の極性は第1の極性とは反対であることと、を含む方法。
19.状態を調整している間に印加される第1の極性を有するパルスの数は、状態を調整している間に印加される第2の極性を有するパルスの数に対して所定の比率である、条項18に記載の方法。
20.チャンバ内での使用に向けて状態調整されるべき電極を状態調整する方法であって、
試験装置であって、上側電極と、上側電極に負方向のパルスを供給するように接続されたパルス電源と、を含む試験装置を提供することと、
試験装置内に状態調整されるべき電極をおき、状態調整されるべき電極を下側電極としてパルス電源に接続させることと、
上側電極にパルスを印加して状態調整されるべき電極をパッシベーションし、状態調整済み電極を生成することと、
状態調整済み電極を試験装置から取り外すことと、
状態調整済み電極を上側電極又は下側電極としてチャンバ内に設置することと、を含む方法。
21.第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源システムであって、
パルス電源であって、第1の状態であって、パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し第1の電極に供給する第1の状態、及び、第2の状態であって、パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し第1の電極に供給し、第2の極性は第1の極性とは反対である、第2の状態、を有するように適合されたパルス電源と、
第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのEVIの少なくとも1つの特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
出力を受け取るように構成され、且つ、少なくとも部分的に出力に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を含み、
パルス電源は、制御信号を受け取るように構成され、且つ、制御信号に応答して第1の状態から第2の状態に遷移するように適合されている、パルス電源システム。
22.EVIの少なくとも1つの特性は、EVIの大きさである、条項21に記載のパルス電源システム。
23.少なくとも1つのEVI特性は、EVIの発生頻度である、条項21に記載のパルス電源システム。
【0066】
[0077] 上述した実施態様及び他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザであって、
放電チャンバと、
少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第1の電極と、
少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第2の電極であって、前記第1の電極は第1の放電表面を有し且つ前記第2の電極は第2の放電表面を有し、前記第1の放電表面及び前記第2の放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、
電気エネルギーのパルスを生成し前記第1の電極に供給するように構成されたパルス電源と、を含み、
前記パルス電源は、第1の状態であって、前記パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給する第1の状態と、第2の状態であって、前記パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2の状態と、を有する、レーザ。
【請求項2】
前記第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスのエネルギー電圧不安定性(EVI)の特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
前記出力を受け取るように構成され、且つ、前記第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスの前記EVIの前記特性に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、請求項1に記載のレーザ。
【請求項3】
前記EVIの前記特性は、前記EVIの大きさである、請求項2に記載のレーザ。
【請求項4】
前記EVIの前記特性は、前記EVIの発生頻度である、請求項2に記載のレーザ。
【請求項5】
パルス数の観点から前記レーザの動作年数を示すパルスカウントを決定するためのパルスカウンタと、
前記パルスカウントを受け取るように構成され、且つ、前記パルスカウントが所定の値に達するのに基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を更に含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、請求項1に記載のレーザ。
【請求項6】
レーザを動作させる方法であって、前記レーザは、放電チャンバと、少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第1の電極と、少なくとも部分的に前記放電チャンバ内部に配置された第2の電極であって、前記第1の電極は第1の放電表面を有し且つ前記第2の電極は第2の放電表面を有し、前記第1の放電表面及び前記第2の放電表面はギャップを挟んで互いに対向するように構成されている、第2の電極と、電気エネルギーのパルスを前記第1の電極に提供するように構成されたパルス電源と、を含み、前記方法は、
前記パルス電源を、第1のモードであって、前記パルス電源が、第1の極性を有する第1のパルスシーケンスを前記第1の電極に供給する第1のモード、で動作させることと、
前記パルス電源を、第2のモードであって、前記パルス電源が、第2の極性を有する第2のパルスシーケンスを前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2のモード、で動作するように遷移させることと、を含む方法。
【請求項7】
パルスエネルギーを測定することと、
前記レーザの出力エネルギーを示す出力を生成することと、
前記出力から前記前記第1のパルスシーケンスの少なくとも1つのEVI特性を決定することと、
前記少なくとも1つのEVI特性に基づいて制御信号を生成することと、を更に含み、
前記パルス電源を遷移させることは、前記パルス電源により、前記制御信号を受け取ること、及び、前記制御信号に応答して前記第1のモードから前記第2のモードに動作を遷移させること、を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのEVI特性は、前記EVIの大きさ又は前記EVIの発生頻度である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
第1の電極及び第2の電極を含むレーザ放電チャンバ用のパルス電源システムであって、
パルス電源であって、第1の状態であって、前記パルス電源が、第1の極性を有する第1の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給する第1の状態、及び、第2の状態であって、前記パルス電源が、第2の極性を有する第2の複数のパルスを生成し前記第1の電極に供給し、前記第2の極性は前記第1の極性とは反対である、第2の状態、を有するように適合されたパルス電源と、
第1の複数のパルスのうちの少なくとも幾つかのパルスの少なくとも1つの特性を測定しこれを示す出力を生成するように構成されたメトロロジユニットと、
前記出力を受け取るように構成され、且つ、少なくとも部分的に前記出力に基づいて制御信号を生成するように適合された、制御ユニットと、を含み、
前記パルス電源は、前記制御信号を受け取るように構成され、且つ、前記制御信号に応答して前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、パルス電源システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの特性は、EVIの大きさ又は前記EVIの発生頻度である、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの特性は、低電圧動作での前記第1の複数のパルスの数を含む、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項12】
前記パルス電源は、パルスの合間に前記第1の状態から前記第2の状態に遷移するように適合されている、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項13】
前記第1の電極及び前記第2の電極は、前記第1の状態と前記第2の状態との間での切り替え中にパッシベーション及び再パッシベーションされる、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項14】
前記第1の複数のパルスは、一連の負方向のパルスを含み、パルスの前記第2の極性は、一連の正方向のパルスを含む、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項15】
前記一連の負方向のパルスの数と前記一連の正方向のパルスの数との比は1:1である、請求項14に記載のパルス電源システム。
【請求項16】
ピーキングコンデンサを更に含み、前記一連の負方向のパルスは、前記ピーキングコンデンサの電圧の時間微分により規定される、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項17】
前記第1の電極は、前記第2の電極と同じパッシベーションにかけられる、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項18】
前記第1の状態では、前記第1の電極はカソードとして機能し、前記第2の電極はアノードとして機能し、前記第2の状態では、前記第1の電極はアノードとして機能し、前記第2の電極はカソードとして機能する、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項19】
スイッチと、第1のパルス電源と、第2のパルス電源と、を更に含み、前記第1の電極は、前記第1のパルス電源又は前記第2のパルス電源のいずれかに接続される、請求項9に記載のパルス電源システム。
【請求項20】
前記レーザ放電チャンバは、主発振器である、請求項9に記載のパルス電源システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
[0010] 従って、製造中に電極をより迅速に状態調整できる、レーザ電極用の構成を提供できることが望ましい。また、チャンバが現場に配備された後で、電極放電表面上の本質的なパッシベーションを強化できることも望ましい。この状況において、本開示の必要性が生じる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
[0011] 本開示についての基本的な理解をもたらすために、以下では1つ又は複数の実施形態の簡潔な概要を提示する。この概要は、全ての企図される実施形態の徹底したあらましではなく、また、全ての実施形態の主要な若しくは重要な要素を特定すること、又は任意の若しくは全ての実施形態の範囲を明確に記述することを意図してはいない。その唯一の目的は、後に提示するより詳細な説明の前置きとして、1つ又は複数の実施形態の幾つかの概念を簡素化した形式で提示することである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
[0028] 本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示について例示し、更には、説明文と共に、本開示の原理を説明し、当業者が本開示を作製したり使用したりするのを可能にするように働く。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
[0041] 本開示の更なる特長及び利点、並びに本開示の様々な実施形態の構造及び動作については、添付の図面を参照して以下で詳細に説明する。なお、本開示は、本明細書に記載する特定の実施形態に限定はされない。そのような実施形態は、単に例示目的で本明細書中に提示される。本明細書に含まれる教示に基づくと、更なる実施形態が当業者には明らかであろう。
【国際調査報告】