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特表2024-539770モノアルキルシクロペンタジエン化合物及びそれを調製するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-30
(54)【発明の名称】モノアルキルシクロペンタジエン化合物及びそれを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 5/00 20060101AFI20241023BHJP
   C07C 13/15 20060101ALI20241023BHJP
   C07F 7/08 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
C07C5/00
C07C13/15
C07F7/08 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531481
(86)(22)【出願日】2022-11-16
(85)【翻訳文提出日】2024-07-03
(86)【国際出願番号】 US2022050122
(87)【国際公開番号】W WO2023096802
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,855
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】バラサンティラン, ヴァグレジャン
(72)【発明者】
【氏名】レインマン, スコット エー.
(72)【発明者】
【氏名】アルケマ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ケルミス, トーマス
【テーマコード(参考)】
4H006
4H049
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB68
4H006AB84
4H006AC90
4H006BB14
4H006BE60
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ05
4H049VR24
4H049VS96
4H049VU36
4H049VV05
4H049VV20
4H049VW02
(57)【要約】
本開示は、フルベン中間体を介して得られるモノアルキル化シクロペンタジエン構造の合成方法を提供する。一実施形態では、シクロペンタジエン環はトリアルキルシリル部分で置換されており、これにより、特定の金属ハロゲン化物とのさらなる反応が可能になり、金属付加物を形成する。例えば、トリメチルシリル基で置換されたモノアルキルシクロペンタジエンは、TiClと反応してRCpTiCl錯体を提供することができ、ここでRは式、
[式中、R及びRはここで定義される通りである]の基である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]の化合物を調製するための方法であって、

の化合物をプロトン性試薬と接触させることを含む、方法。
【請求項2】
プロトン性試薬が水である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水が酸をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
プロトン性試薬がアルコール又はポリオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
プロトン性試薬が酸をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
及びRがメチルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アルコールがC~Cアルコールから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
式(I)の化合物が、ガスクロマトグラフィにより決定される、約0.5重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物が、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]の化合物を調製するための方法であって、
シクロペンタジエンを、式
の化合物と、塩基の存在下で接触させることを含み、それにより、式
の化合物を形成し、
これを次にジアルキルマグネシウム化合物で処理し、それにより、式
の化合物を形成し、
これを次にプロトン性試薬で処理して式(I)の化合物を提供する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
プロトン性試薬が水である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
水が酸をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロトン性試薬がアルコール又はポリオールである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
アルコール又はポリオールが酸をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
及びRがメチルである、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
アルコールはC~Cアルコールから選択される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
式(II):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択され、Rは、式(C~Cアルキル)Si-の基である]の化合物を調製するための方法であって、
シクロペンタジエンを、式
の化合物と接触させ、それにより、式
の化合物を形成し、
これを次にジアルキルマグネシウム化合物で処理し、それにより、式
の化合物を形成し、
これを次に、式(C~Cアルキル)Si-X[式中、Xはハロである]の化合物で処理して、式(II)の化合物を提供することを含む方法。
【請求項18】
及びRのそれぞれがメチルである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
がトリメチルシリルである、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
Xがクロロである、請求項17、18、又は19に記載の方法。
【請求項21】
式(II)の化合物が、ガスクロマトグラフィにより決定される、約0.5重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
式(II)の化合物が、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
式(II)の化合物を、第IV族、第V族、又は第VI族の金属ハロゲン化物で処理する工程をさらに含む、請求項17から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
金属ハロゲン化物がTiClである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]
を含み、ガスクロマトグラフィによって決定される、約0.5重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する、化合物。
【請求項26】
及びRがメチルである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
式(I)の化合物が、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている、請求項25又は26に記載の化合物。
【請求項28】
式(II):
[式中、R及びRは、水素およびC~Cアルキルから独立して選択され、Rは、式(C~Cアルキル)Si-の基である]
を含み、ガスクロマトグラフィによって決定される、約0.5重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する、化合物。
【請求項29】
及びRがメチルである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
式(II)の化合物が、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている、請求項28又は29に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、モノアルキル化シクロペンタジエン化合物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]シクロペンタジエンは、他の多くの有用な有機化合物の中間体として有用である。特定のアルキル置換シクロペンタジエンは合成潤滑剤として有用である。(例えば、米国特許第5,144,095号及び5,012,022号を参照。さらに、シクロペンタジエン構造は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンの作製に使用される、いわゆるシングルサイトメタロセン触媒の多くにも見られる(例えば、米国特許第7,579,415号を参照。))。
【0003】
[0003]シクロペンタジエンの取り扱いにおける固有の難しさの一つは、ディールス・アルダー反応によって二量体化する傾向があることである。この二量化は室温で数時間かけて進行するが、加熱を利用することで逆転させることができ、場合によってはクラッキング手順が必要になる。さらに、シクロペンタジエンアニオン種を利用するアルキル化反応では、ジアルキル種及びトリアルキル種の生成が発生する可能性があり、これにより収率が低下し、さらなる分離と精製が必要になるため、合成体制がさらに複雑になる。
【0004】
[0004]したがって、シクロペンタジエン構造のモノアルキル化のための改善された方法論が必要である。
【発明の概要】
【0005】
[0005]要約すると、本開示は、フルベン中間体を介して得られるモノアルキル化シクロペンタジエン構造の選択的合成のための方法論を提供する。一実施形態では、シクロペンタジエン環はトリアルキルシリル部分で置換されており、これにより、特定の金属ハロゲン化物とのさらなる反応が可能になり、金属錯体を形成することができる。例えば、トリメチルシリル基で置換されたモノアルキルシクロペンタジエンは、TiClと反応してRCpTiCl錯体を与えることができ、ここでRは式、
[式中、R及びRは以下で定義される通りである]の基である。この高度に選択的なプロセスでは、結果として得られる生成物はモノアルキル化されており、ガスクロマトグラフィやNMRではジアルキル化生成物は検出されない。この点で、本発明の方法は、(モノ)イソプロピル置換シクロペンタジエンを調製するのに特に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0006]本明細書及び添付の特許請求の範囲の記述で使用される場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」には、内容が明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、内容が明確に別のことを指示しない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0007】
[0007]「約」という用語は通常、記載された値と等価であると見なされる数値の範囲を指す(例えば、同じ機能又は結果を有する)。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に丸められた数値を含み得る。
【0008】
[0008]エンドポイントを使用して表現される数値範囲には、その範囲に含まれるすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5を含む)。
【0009】
[0009]一態様では、本開示は、式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]の化合物の調製方法であって、
式、
の化合物をプロトン性試薬と接触させることを含む方法を提供する。
【0010】
[0010]この態様の一実施形態では、プロトン性試薬は水であり、任意選択的にHCl(塩酸)などの酸を含む。別の実施形態では、プロトン性試薬は、アルコール又はポリオールであり、任意選択的に酸を含む。別の実施形態では、R及びRはメチルである。他の実施形態では、アルコールはC~Cアルコールから選択される。
【0011】
[0011]別の態様では、本開示は、式(I)、
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]の化合物を調製するための方法であって、
シクロペンタジエンを、式、
の化合物と、塩基の存在下で接触させ、それにより、式、
の化合物を形成し、これを次にジアルキルマグネシウム化合物で処理し、それにより、式、
の化合物を形成し、これを次にプロトン性試薬で処理して式(I)の化合物を提供することを含む方法を提供する。
【0012】
[0012]一般に、出発物質であるフルベンは、ピロリドンやアルカリ金属水酸化物などの塩基の存在下で、シクロペンタジエンと式R-C(O)-Rのケトン又はアルデヒドを反応させることによって調製することができる。次に、図1に示すマグネソセン(2)は、ヘキサンなどの非配位溶媒中で、フルベン中間体(1)とMg(CHCHCHCHなどのジアルキルマグネシウム化合物との反応によって形成される。この点に関して、適切なジアルキルマグネシウム化合物は、β-水素化物脱離が可能なアルキル基を有する化合物を含み、例は、Mg(C~Cアルキル)、Mg(C~Cアルキル)、又はMg(C~Cアルキル)を含む。以下のスキーム1は、マグネソセン(2)をプロトン性試薬又はトリアルキルシリルハライド(トリメチルシリルクロリドなど)でクエンチして目的の化合物を得るための一般的な合成スキームを概説している。
【0013】
[0013]スキーム1:モノアルキルシクロペンタジエンの合成のための一般的な合成スキーム
【0014】
[0014]したがって、さらなる態様では、本開示は、式(II)、
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択され、Rは、式(C~Cアルキル)Si-の基である]
の化合物を調製するための方法であって、
シクロペンタジエンを、式、
の化合物と、塩基の存在下で接触させ、それにより、式、
の化合物を形成し、これを次にジアルキルマグネシウム化合物で処理し、それにより、式、
の化合物を形成し、
これを次に、式(C~Cアルキル)Si-X[式中、Xはハロである]の化合物で処理して、式(II)の化合物を提供することを含む方法を提供する。
【0015】
[0015]特定の実施形態では、R及びRは、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、sec-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、及びsec-オクチルから選択される。一実施形態では、R及びRはメチルである。一実施形態では、Rはトリメチルシリルである。一実施形態では、Xは、クロロ、ブロモ、又はヨードから選択され、別の実施形態では、Xはクロロである。
【0016】
[0016]式(I)及び式(II)の化合物は、メタロセン触媒の合成における中間体として有用である。さらに、式(II)の化合物は、対応する金属ハロゲン化物との反応により、プラス4の酸化状態の第IV族、第V族、第VI族及び金属置換化合物の調製に有用である。例えば、式(II)の化合物[式中、Rは、トリメチルシリルである]は、TiClと反応してRCpTiCl錯体を得ることができる。
【0017】
[0017]本開示では、置換フルベン出発物質から始まるプロセスにより、通常のアルキル化反応アプローチで起こり得る多重アルキル化シクロペンタジエニル種の形成に対して、モノアルキル置換化合物のみの合成が可能となり、生成物は、例えばアルキル臭化物による第2アルキル化の前に、最初の金属-Cp錯体(すなわち、アニオン性シクロペンタジエン)によって脱プロトン化される可能性がある。後者の場合、多重アルキル化のレベルは0.5~5重量パーセントの範囲になり得る。有利なことに、本開示のプロセスは、ガスクロマトグラフィ(例えば、GC及びGC-MS)又はNMRによって検出可能なレベルの多重アルキル化種を含まないモノアルキル化種を提供する。したがって、さらなる実施形態では、本開示のプロセスは、ガスクロマトグラフィによって測定される、0.5重量パーセント未満、0.3重量パーセント未満、又は0.1重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する生成物を提供する。
【0018】
[0018]さらに、本明細書で概説した置換フルベンアプローチを考慮すると、本開示は、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている式(I)及び(II)の生成物をさらに有利に提供する。
【0019】
[0019]式(I)及び(II)の化合物、すなわちモノアルキル置換シクロペンタジエンは、メタロセン触媒の合成における中間体としても有用であり、様々なポリオレフィンの合成に有用であり、あるいは原子層堆積(ALD)及び化学気相堆積(CVD)に有用な前駆体の中間体としても有用である。
【0020】
[0020]実施例-
[0021]PrCp及びPrCp-TMSの合成手順
[0022]工程1:6,6-ジメチルフルベン(1e)の合成
[0023]アセトン(1000g、17.2mol)、メタノール(3L、2360g)、及びシクロペンタジエン(「Cp」)(1138g、17.2mmol)をフラスコに添加した。得られた混合物を-10℃に冷却した。温度を<0℃に保ちながらピロリジン(100g、1.4mol)を少しずつ添加した。ピロリジンの添加が完了した後、得られた混合物を-10℃~0℃で2時間撹拌した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。得られた混合物を0~5℃に冷却し、4%酢酸水溶液(3000mL)を添加した。得られた二相混合物を沈殿させ、水層を廃棄した。有機相を塩水で洗浄し、残留溶媒を真空除去した。6,6-ジメチルフルベン(1740g)が、H-NMR及びGCによる95%の収率且つ96%の純度で得られた。さらに蒸留により精製した結果、H-NMR及びGCによる収率90%且つ99%の純度で得られた。
【0021】
[0024]化合物1a~1fは、適切なアルデヒド/ケトンを使用して同じ手順で調製された。
【0022】
[0025]工程2:ビス[1-イソプロピル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]マグネシウム(2e)の合成
[0026]6,6-ジメチルフルベン(21.2g、0.2モル)とヘキサン(50mL)を窒素下でフラスコに添加した。ヘプタン中の1Mジ-n-ブチルマグネシウム(100mL、0.1モル)を、温度を<50℃に維持しながら滴下した。ジ-n-ブチルマグネシウムを添加した後、得られた溶液を室温で一晩撹拌した。真空下で揮発性物質を完全に除去すると、ビス[1-イソプロピル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]マグネシウム(23.2g)が、H-NMRによる98.3%の収率で99%の純度で生成された。
【0023】
[0027]注意:ヘキサン中のn-ブチル-sec-ブチルマグネシウムは、ジ-n-ブチルマグネシウムヘプタンの代わりに使用することができる。
【0024】
[0028]化合物2a、2c、2e及び2fは、適切なフルベンを用いて同様の手順で調製された。
【0025】
[0029]工程3A:イソプロピル-Cp(3e)の合成
[0030]ビス[1-イソプロピル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]マグネシウム(10g)とヘキサン(100mL)を窒素下でフラスコに添加した。得られた混合物を0℃まで冷却し、温度を<5℃に保ちながら0.1M HCl(25mL)を滴下した。得られた混合物を室温まで温めた。水層を捨て、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。得られた混合物をろ過した。減圧下でヘキサンを除去すると、イソプロピルシクロペンタジエン(8.3g、異性体混合物)が、H-NMR及びGCによる91%の収率且つ98%の純度で生成された。
【0026】
[0031]注意:0.1M HCl溶液の代わりに水、アルコールが使用できる。
【0027】
[0032]化合物3a、3c、3e及び3fは、適切なビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム錯体を用いて同様の手順で調製した。
【0028】
[0033]工程3B:イソプロピルトリメチルシリル-Cp(4e)の合成
[0034]ビス[1-イソプロピル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]マグネシウム(10g)とヘキサン(100mL)を窒素下でフラスコに添加した。得られた混合物を0℃まで冷却し、温度を<5℃に保ちながらトリメチルシリルクロリド(9.3g)を滴下した。得られた混合物を室温まで温め、シリカプラグを通過させた。減圧下でヘキサンを除去すると、イソプロピルトリメチルシリルシクロペンタジエン(13.8g、異性体混合物)が、H-NMRによる90%の収率且つ98%の純度で生成された。
【0029】
[0035]化合物4c、4e及び4fは、適切なビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム錯体を用いて同様の手順で調製した。
【0030】
[0036]表1:アルキル-Cps及びアルキル-Cp-TMS材料の概要
【0031】
[0037]態様
[0038]第1の態様では、本開示は、式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]の化合物の調製方法であって、式、
の化合物をプロトン性試薬と接触させることを含む方法を提供する。
【0032】
[0039]第2の態様では、本開示は第1の態様の方法を提供し、ここで、プロトン性試薬は水である。
【0033】
[0040]第3の態様では、本開示は第2の態様の方法を提供し、ここで、水が酸をさらに含む。
【0034】
[0041]第4の態様において、本開示は第1の態様の方法を提供し、ここで、プロトン性試薬はアルコール又はポリオールである。
【0035】
[0042]第5の態様において、本開示は第4の態様の方法を提供し、プロトン性試薬は酸をさらに含む。
【0036】
[0043]第6の態様において、本開示は第1~第5の態様のいずれか1つの方法を提供し、ここで、R及びRはメチルである。
【0037】
[0044]第7の態様では、本開示は第4の態様の方法を提供し、ここで、アルコールはC~Cアルコールから選択される。
【0038】
[0045]第8の態様において、本開示は第1~第7の態様のいずれか1つの方法を提供し、ここで、式(I)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって測定される、約0.5重量パーセント未満、約0.3重量パーセント未満、又は約0.1重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する。
【0039】
[0046]第9の態様において、本開示は第1~第8の態様のいずれか1つの方法を提供し、ここで、式(I)の化合物は、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている。
【0040】
[0047]第10の態様では、本開示は、式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]の化合物を調製するための方法であって、
シクロペンタジエンを、式、
の化合物と、塩基の存在下で接触させ、それにより、式、
の化合物を形成し
これを次にジアルキルマグネシウム化合物で処理し、それにより、式、
の化合物を形成し、
これを次に、プロトン性試薬で処理して式(I)の化合物を提供することを含む方法を提供する。
【0041】
[0048]第11の態様において、本開示は第10の態様の方法を提供し、ここで、プロトン性試薬は水である。
【0042】
[0049]第12の態様では、本開示は第11の態様の方法を提供し、ここで、水が酸をさらに含む。
【0043】
[0050]第13の態様において、本開示は第10の態様の方法を提供し、ここで、プロトン性試薬はアルコール又はポリオールである。
【0044】
[0051]第14の態様において、本開示は第13の態様の方法を提供し、ここでアルコール又はポリオールは酸をさらに含む。
【0045】
[0052]第15の態様において、本開示は第10~第14の態様のいずれか1つの方法を提供し、ここで、R及びRはメチルである。
【0046】
[0053]第16の態様において、本開示は、第13又は第14の態様の方法を提供し、ここでアルコールは、C~Cアルコールから選択される。
【0047】
[0054]第17の態様では、本開示は、式(II):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択され、Rは、式(C~Cアルキル)Si-の基である]の化合物を調製するための方法であって、
シクロペンタジエンを、式、
の化合物と接触させ、それにより、式、
の化合物を形成し、
これを次にジアルキルマグネシウム化合物で処理し、それにより、式、
の化合物を形成し、
これを次に、式(C~Cアルキル)Si-X[式中、Xはハロである]の化合物で処理して、式(II)の化合物を提供することを含む方法を提供する。
【0048】
[0055]第18の態様では、本開示は第17の態様の方法を提供し、ここで、R及びRのそれぞれがメチルである。
【0049】
[0056]第19の態様において、本開示は第17又は第18の態様の方法を提供し、ここで、Rがトリメチルシリルである。
【0050】
[0057]第20の態様において、本開示は第17、第18、又は第19の態様の方法を提供し、ここで、Xはクロロである。
【0051】
[0058]第21の態様において、本開示は第17~第20の態様のいずれか1つの方法を提供し、ここで、式(II)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって測定される、約0.5重量パーセント未満、約0.3重量パーセント未満、又は約0.1重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する。
【0052】
[0059]第22の態様において、本開示は第17~第21の態様のいずれか1つの方法を提供し、式(II)の化合物は、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている。
【0053】
[0060]第23の態様において、本開示は第17~第22の態様のいずれか1つの方法を提供し、ここで、式(II)の化合物を第IV族、第V族、又は第VI族の金属ハロゲン化物で処理する工程をさらに含む。
【0054】
[0061]第24の態様において、本開示は、第23の態様の方法を提供し、ここで、金属ハロゲン化物はTiClである。
【0055】
[0062]第25の態様において、本開示は、式(I):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択される]
の化合物を提供し、ここで、式(I)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって決定される、約0.5未満パーセントの多重アルキル化種を有する。
【0056】
[0063]第26の態様において、本開示は第25の態様の化合物を提供し、ここで、R及びRはメチルである。
【0057】
[0064]第27の態様において、本開示は第25又は26の態様の方法を提供し、ここで、式(I)の化合物は、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている。
【0058】
[0065]第28の態様において、本開示は第25~第27の態様のいずれか1つにおいて請求される式(I)の化合物を提供し、ここで、式(I)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって測定される、約0.3重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する。
【0059】
[0066]第29の態様において、本開示は、第25~第27の態様のいずれか1つにおいて請求される式(I)の化合物を提供し、ここで、式(I)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって測定される、約0.1重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する。
【0060】
[0067]第30の態様において、本開示は、式(II):
[式中、R及びRは、水素及びC~Cアルキルから独立して選択され、Rは、式(C~Cアルキル)Si-の基である]
の化合物を提供し、ここで、式(II)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって決定される、約0.5未満重量パーセントの多重アルキル化種を有する。
【0061】
[0068]第31の態様において、本開示は第30の態様の化合物を提供し、ここで、R及びRはメチルである。
【0062】
[0069]第32の態様において、本開示は第30又は31の態様の方法を提供し、ここで式(II)の化合物は、ジシクロペンタジエン種及び混合ジシクロペンタジエン種を欠いている。
【0063】
[0070]第33の態様において、本開示は第30~第32の態様のいずれか1つにおいて請求される式(II)の化合物を提供し、ここで、式(II)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって測定される、約0.3重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する。
【0064】
[0071]第34の態様において、本開示は第30~第32の態様のいずれか1つにおいて請求される式(II)の化合物を提供し、ここで、式(II)の化合物は、ガスクロマトグラフィによって測定される、約0.1重量パーセント未満の多重アルキル化種を有する。
【0065】
[0072]以上、本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明したが、当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲内でさらに他の実施形態が作成及び使用され得ることは容易に理解されるであろう。この文書で取り上げられている開示の数多くの利点は、前述の説明で述べられている。しかしながら、この開示は、多くの点で、単なる例示に過ぎないことが理解されるであろう。当然ながら、開示の範囲は、添付の請求項が表現されている言語で定義される。
【国際調査報告】