(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】がんの治療のためのキナゾリノン化合物の新規使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20241024BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K31/517
A61P35/00
A61P35/04
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024521120
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2022080475
(87)【国際公開番号】W WO2023078881
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ボンフィル テイシドール, エステル
(72)【発明者】
【氏名】イルラロ, ラファエラ
(72)【発明者】
【氏名】ペッタッツォーニ, ピエルジョルジョ フランチェスコ トンマゾ
(72)【発明者】
【氏名】セオアネ スアレス, フワン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィヒマン, ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC45
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、がんの治療における使用のための、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩に関し、ここで、前記がんに罹患している患者は、以前に異なるBRAF阻害剤による治療を受けていた。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの治療における使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であって、前記がんに罹患している患者が、以前に式(I)の化合物以外のBRAF阻害剤による治療を受けていた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
がんの治療又は予防のための方法であって、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含み、前記がんに罹患している患者が、以前に異なるBRAF阻害剤による治療を受けていた、方法。
【請求項3】
がんの治療又は予防のための医薬の調製のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記がんに罹患している患者が、以前に異なるBRAF阻害剤による治療を受けていた、使用。
【請求項4】
以前の治療のBRAF阻害剤が、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ及びエンコラフェニブから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項5】
患者が以前にMEK阻害剤によっても治療を受けていた、請求項1から4のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項6】
以前に使用されたMEK阻害剤が、ビニメチニブ、トラメチニブ及びコビメチニブ、又はその薬学的に許容される塩から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項7】
腫瘍再発が以前の治療下で生じた、請求項1から6のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項8】
がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、メラノーマ、脳がん又は非小細胞肺がんである、請求項1から7のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項9】
がんが、メラノーマ又は非小細胞肺がんである、請求項1から8のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項10】
患者が脳転移に罹患している、請求項1から9のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項11】
がんがBRAF
V600変異に関連している、請求項1から10のいずれか一項に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【請求項12】
請求項1、又は4から11のいずれか一項に記載の使用のための、MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される、1つ又は複数のさらなる抗がん剤と組み合わせた式(I)の化合物。
【請求項13】
請求項1、又は4から11のいずれか一項に記載の使用のための、MEK阻害剤と組み合わせた式(I)の化合物。
【請求項14】
MEK阻害剤が、コビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、請求項12又は13に記載の組み合わせ。
【請求項15】
患者が、MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される、1つ又は複数のさらなる抗がん剤で治療される、請求項2、又は4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
患者がMEK阻害剤で治療される、請求項2、又は4から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
MEK阻害剤が、コビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される、1つ又は複数のさらなる抗がん剤と組み合わせた、請求項3から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項19】
MEK阻害剤と組み合わせた、請求項3から11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
MEK阻害剤が、コビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、請求項3から11、又は18から19のいずれか一項に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項21】
上に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0011]本発明は、例えばV600E/KのようなBRAF変異を有する転移性がん患者、特に脳転移患者における満たされていないニーズによりよく対処するために開発された、新規の強力な脳浸透性のパラドックスブレーカーBRAFi(化合物Ia)の使用に関する。
【0002】
[0012]BRAFi単剤療法又はMEKiとの併用療法で進行している脳転移病変の原発腫瘍における化合物Iaのin vivo試験により、化合物Iaの強力な抗腫瘍活性が明らかになり、BRAFi/MEKiに再発した後でもこの薬剤の活性が前臨床的に支持された。
【0003】
[0013]in vivoの脳転移病変及び末梢病変をモデル化することにより、化合物Iaは、両方の区画において長期間持続する応答を促進し、利用可能なBRAFi及びBRAFi/MEKi共治療に対する再発時に劇的な応答を誘発した。
【0004】
[0014]我々の結果を総合すると、化合物Iaは、単剤療法として承認されたBRAFiによる再発後、又は承認されたBRAFi/MEKi併用療法による再発時でさえも、有効性を促進する可能性があることが明らかになった。さらに、化合物Iaによる治療に切り替えた場合、化合物Iaは罹患した個体の全生存期間を有意に延長する可能性も有する。驚くべきことに、承認されたBRAF阻害剤で再発した後に化合物Iaに切り替えると、疾患の部分寛解、場合によっては完全寛解でさえも得られる可能性がある。結論として、化合物Iaは、単剤療法又はMEKi併用療法におけるBRAFi下で以前に再発したBRAF変異を有するがん患者、特に脳転移が生じた患者に、新たな有益な治療選択肢を提供する可能性がある。
【背景技術】
【0005】
[0008]転移を示すBRAF変異がん患者において承認されたBRAF阻害剤(BRAFi)の単剤療法又はMEK阻害剤(MEKi)との併用療法の治療的有益性は、かなり限られた期間であり、より優れた治療選択肢の必要性を強調している。例えば、BRAF V600E/K陽性メラノーマを有する脳転移患者において、利用可能なBRAFi/MEKi併用療法の臨床的有益性は、脳以外の転移部位を有する患者と比較してはるかに持続期間が短く、再発は主に脳転移部位で生じることが多い(Lancet Oncol.2017 Jul;18(7):863-873)。
【0006】
[0009]承認された3つのBRAFi(ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、及びエンコラフェニブ)だけでなく、それらのMEKi(コビメチニブ、トラメチニブ、及びビニメチニブ)との併用に対する耐性のメカニズムは、ほとんどの場合、RAF二量体化を可能にする遺伝的事象の獲得によって主に媒介されるMAPKシグナル伝達の回復を通じて生じる(Cancer Discov.2019 Mar;9(3):329-341)。実際、メカニズムの研究により、BRAF V600E/Kは単量体タンパク質としてシグナル伝達をし、利用可能な阻害剤によって効果的に阻害される立体構造である一方、RAF二量体では1つのプロトマーのみがBRAFiによって効率的に結合され得、2番目のプロトマーは薬物結合にとって不利な立体構造を明示することが明らかになった(Nature 2010;464(7287):427-30 doi 10.1038/nature08902.)。
【0007】
[0010]前臨床及び臨床報告では、RAS(HRAS、KRAS、NRAS)変異、受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナルの活性化、BRAF増幅、及び二量体を形成するBRAFスプライスバリアントp61の発現を含む、RAF二量体を介するシグナル伝達を可能にする複数の遺伝的事象が記載されている(Cancer Discov. 2014 Jan;4(1):94-109 Eur J Cancer 2015;51(18):2792-9 doi 10.1016/j.ejca.2015.08.022)。
【発明の概要】
【0008】
[0001]本発明は、がんの治療における使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、前記がんに罹患している患者は、異なるBRAF阻害剤による治療を以前に受けていた。
【0009】
[0002]本発明は、上に定義した式(I)の化合物の新規の方法及び使用にさらに関する。
【0010】
[0003]式(I)の化合物の化学名は、(3R)-N-[2-シアノ-4-フルオロ-3-(3-メチル-4-オキソ-キナゾリン-6-イル)オキシ-フェニル]-3-フルオロ-ピロリジン-1-スルホンアミドである。本明細書中では、式(I)の化合物は化合物Iaとも呼ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】[0004]ビヒクル、ダブラフェニブ又は化合物Iaのいずれかで治療したA375腫瘍を皮下に移植した個々のマウスにおける腫瘍体積に対する化合物Iaの効果を示す。第4の治療コホートでは、腫瘍の再発が生じるまでダブラフェニブが投与され、その時点でダブラフェニブ治療が中止され、マウスは代わりに化合物Iaで治療された。
【
図1B】皮下にA375腫瘍を移植したマウスの生存確率に対する薬物治療の効果を示す。マウスは、ビヒクル、ダブラフェニブ又は化合物Iaのいずれかで治療された。第4の治療コホートでは、腫瘍の再発が生じるまでダブラフェニブが投与され、その時点でダブラフェニブ治療が中止され、マウスは代わりに化合物Iaで治療された。
【
図2A】[0005]頭蓋内にA375腫瘍を移植したマウスの生存確率に対する化合物Iaの効果を示す。マウスは、ビヒクル、ダブラフェニブ又は化合物Iaのいずれかで治療された。第4の治療コホートでは、腫瘍の再発が生じるまでダブラフェニブが投与され、その時点でダブラフェニブ処理が中止され、マウスは代わりに化合物Iaで処理された。
【
図2B】[0006]頭蓋内にA375腫瘍を移植した個々のマウスにおける腫瘍体積に対する化合物Iaの効果を示し、ダブラフェニブ治療下の疾患再発を実証している。
【
図3】[0007]ダブラフェニブ/トラメチニブ治療下又はエンコラフェニブ/ビニメチニブ治療下で再発が生じた後の、頭蓋内にA375腫瘍移植したマウスの生存確率に対する化合物Iaの効果を示す。マウスは、ビヒクル、ダブラフェニブ/トラメチニブ、エンコラフェニブ/ビニメチニブ又は化合物Iaのいずれかで治療された。2つの追加の治療コホートでは、ダブラフェニブ/トラメチニブ及びエンコラフェニブ/ビニメチニブは、腫瘍が再発するまで投与され、その時点で治療は中止され、マウスは代わりに化合物Iaで治療された。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0015]「阻害剤」という用語は、特定のリガンドの特定の受容体への結合と競合する、結合を減少させる、若しくは結合を妨げる化合物、又は特定のタンパク質の機能を減少させる若しくは妨げる化合物を表す。特に、その中で使用される阻害剤は、BRAF及びMEKから選択されるそれぞれの標的の活性を標的化する、活性を低下させる、又は活性を阻害する化合物を指し、特定の阻害剤は、1μM未満、500nM未満、200nM未満、100nM未満、50nM未満、25nM未満、10nM未満、5nM未満、2nM未満又は1nM未満のIC50値を有する。本発明のいくつかの実施態様では、「BRAF阻害剤」という用語は、BRAFキナーゼ活性を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%低下させる化合物を指す。本発明のいくつかの実施態様では、「MEK阻害剤」という用語は、MEKキナーゼ活性を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%低下させる化合物を指す。
【0013】
[0016]「IC50」という用語は、測定された比活性の50%を阻害するために必要な特定の化合物の濃度を指す。
【0014】
[0017]「薬学的に許容される塩」という用語は、生物学的に又はその他望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する式(I)の化合物又はMEK阻害剤の塩を指す。これらの塩は、例えば、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、特に塩酸、及び有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステイン等で形成することができる。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して調製してもよい。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等が含まれるが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩には、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂等の塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容される塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、及びクエン酸塩である。[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]-[3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル]メタノン又はコビメチニブの特定の薬学的に許容される塩は、フマル酸塩及びコハク酸塩、特にヘミフマル酸塩及びヘミコハク酸塩である。
【0015】
[0018]「溶媒和物」という用語は、溶媒と溶質との非共有結合性の化学量論的又は非化学量論的組み合わせを指す。「水和物」という用語は、水と溶質との非共有結合性の化学量論的又は非化学量論的組み合わせを指す。例えば、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、非溶媒和形態、及びアニソール、ジクロロメタン、トルエン、1,4-ジオキサン、水等の薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在し得る。
【0016】
[0019]本発明の特定の実施態様は、がんの治療における使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩を提供し、ここで、前記がんに罹患している患者は、以前に異なるBRAF阻害剤による治療を受けていた。
【0017】
[0020]本発明による使用のためのMEK阻害剤の非限定的な例には、コビメチニブ、ビニメチニブ、トラメチニブ、セルメチニブ、ピマセルチブ、レファメチニブ、N-[2(R),3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)ベンズアミド(PD-325901)、2-(2-クロロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロベンズアミド(Cl-1040)及び3-[2(R),3-ジヒドロキシプロピル]-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733)が含まれる。
【0018】
[0021]本発明のいくつかの実施態様では、MEK阻害剤はコビメチニブである。コビメチニブは、RAS/RAF経路の中心構成要素である、MEK1及びMEK2の経口的に利用可能な強力かつ高度に選択的な阻害剤である。コビメチニブは、化学名[3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードアニリノ)フェニル]-[3-ヒドロキシ-3-[(2S)-ピペリジン-2-イル]アゼチジン-1-イル]メタノンを有し、以下の構造を有する:
。
【0019】
[0022]コビメチニブは、国際公開第2007/044515号に記載されている方法に従って調製され得る。コビメチニブは市販されており、以下のCAS登録番号:934660-93-2を有する。
【0020】
[0023]本発明のいくつかの実施態様では、MEK阻害剤はビニメチニブである。ビニメチニブは、RAS/RAF経路の中心構成要素である、MEK1及びMEK2の経口的に利用可能な強力かつ高度に選択的な阻害剤である。ビニメチニブは、化学名5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンズイミダゾール-6-カルボキサミドを有し、以下の構造を有する:
。
【0021】
[0024]ビニメチニブは、国際公開第2003/077914号に記載されている方法に従って調製され得る。ビニメチニブは市販されており、以下のCAS登録番号:606143-89-9を有する。
【0022】
材料及び方法
[0025]略語:
DNA=デオキシリボ核酸、PCR=ポリメラーゼ連鎖反応、PO=経口で(per os)(ラテン語)、QD=1日1回(quaque die)(ラテン語)。
【0023】
[0026]細胞株:
A375をAmerican type Culture Collection(ATCC)から入手し、5% CO2の加湿雰囲気で37℃に維持した。培養条件を以下の表に示す:
【0024】
[0027]細胞株の操作:
A375親細胞にEF1a-ルシフェラーゼ(ホタル)-2A-GFP(ピューロマイシン)のウイルス粒子(GenTarget Inc.カタログ番号LVP437-PBS)を形質導入した。ルシフェラーゼ活性は、製造業者の指示に従ってLuciferase Assay Reagent(Promegaカタログ番号E1483)を通じて確認された。0.8ug/mlのPolybrene感染試薬(Milliporeカタログ番号TR-1003-G)の存在下で24時間ウイルスの形質導入を行い、1ug/mlのPuromycin(Thermo Fisherカタログ番号A1113803)を添加して細胞を選択した。
【0025】
[0028]試験薬剤:
エンコラフェニブ(HY-15605)、ダブラフェニブ(HY-14660A)、ビニメチニブ(HY-15202)及びトラメチニブ(cHY-10999)は、MedChemExpressから購入した。化合物Iaは内部合成した。化合物Iaは、国際公開第2021116055A1号に記載されている手順に従って合成され得る。
【0026】
[0029]In vivo実験:
すべての動物実験は、欧州連合及び国の指令に基づき、バルデブロン研究所のInstitutional Animal Care Committeeの承認を受け、そのガイドラインに従って実施された。4~5週齢の雌雄NOD scidガンマ(NSG)マウスをCharles Riverから購入した。
【0027】
[0030]頭蓋内モデルの場合、5×105個のA375 luc細胞をマウスの右脳半球の線条体(ラムダの前方1mm及び側方1.8mm、実質内2.5mm)に定位接種した。脳移植された腫瘍は、通常のバイオルミネッセンス(BLI)シグナル検出を通じてモニターされ、BLIシグナルの進行性漸増が観察された時点で再発と判定された。
【0028】
[0031]皮下モデルの場合、5×106個のA375メラノーマ細胞をマウスの片方の脇腹に皮下注射した。腫瘍の成長はCalipherでモニターされた。
【実施例】
【0029】
[0032]以下の実施例及び図面は、本発明を説明するために提供され、限定的な特徴を有しない。
【0030】
[0033]実施例1
メラノーマモデルとして、BRAF V600Eを発現するA375細胞株を使用した。腫瘍サイズのモニタリングを容易にするため、この細胞株にルシフェラーゼ発現ベクターを安定的に形質導入した。A375 lucを皮下移植して末梢疾患を模倣し、その後、腫瘍が100~300mm
3に達したときに無作為化した。(10マウス/群)。マウスには、ビヒクル、化合物Ia 10mg/kg(QD Po)又はダブラフェニブ100mg/kg(QD PO)のいずれかを投与した。第4の治療コホートでは、腫瘍の再発が生じるまでダブラフェニブ100mg/kg(QD PO)が投与され、その時点でダブラフェニブ治療が中止され、マウスは代わりに化合物Ia 10mg/kg(QD PO)で治療された。再発時の腫瘍サイズは300mm
3と700mm
3の間であり、平均値は558mm
3であった。
図1(A)は、ダブラフェニブ治療下で再発が生じた後の、皮下にA375腫瘍を移植した個々のマウスにおける腫瘍体積に対する化合物Iaの効果を示す。
図1(B)は、ダブラフェニブ治療下で再発が生じた後の、皮下にA375腫瘍を移植したマウスの生存確率に対する化合物Iaの効果を示す。
【0031】
[0034]実施例2
メラノーマモデルとして、BRAF V600Eを発現するA375細胞株を使用した。腫瘍サイズのモニタリングを容易にするため、この細胞株にルシフェラーゼ発現ベクターを安定的に形質導入した。脳転移を模倣してA375 lucを前脳に移植し、マウスを無作為に割り付けた(10匹/群)。脳移植された腫瘍は、通常のバイオルミネッセンス(BLI)シグナル検出を通じてモニターされ、BLIシグナルの進行性漸増が観察された時点で再発と判定された。マウスには、ビヒクル、化合物Ia 10mg/kg(QD Po)又はダブラフェニブ100mg/kg(QD PO)のいずれかを投与した。第4の治療コホートでは、腫瘍の再発が生じるまでダブラフェニブ100mg/kg(QD PO)が投与され、その時点でダブラフェニブ治療が中止され、マウスは代わりに化合物Ia 10mg/kg(QD PO)で治療された。
図2(A)は、ダブラフェニブ治療下で再発が生じた後の、頭蓋内にA375腫瘍を移植したマウスの生存確率に対する化合物Iaの効果を示す。
図2(B)は、ダブラフェニブ治療下で再発が生じた後の、頭蓋内にA375腫瘍を移植した個々のマウスにおける腫瘍体積に対する化合物Iaの効果を示す。
【0032】
[0035]実施例3
メラノーマモデルとして、BRAF V600Eを発現するA375細胞株を使用した。腫瘍サイズのモニタリングを容易にするため、この細胞株にルシフェラーゼ発現ベクターを安定的に形質導入した。脳転移を模倣してA375 lucを前脳に移植し、治療前にマウスを無作為に割り付けた。脳移植された腫瘍は、通常のバイオルミネッセンス(BLI)シグナル検出を通じてモニターされ、BLIシグナルの進行性漸増が観察された時点で再発と判定された(全光束(p/s)を使用して腫瘍サイズを推定した)。再発時の腫瘍サイズは、2×10
8p/sと5.9×10
9p/sの間であり、D+T治療で再発した群の平均はおよそ2×10
9p/sであった。再発時の腫瘍サイズは、2×10
8p/sと2.5×10
9p/sの間であり、D+T治療で再発した群の平均はおよそ1.3×10
9p/sであった。
図3は、承認されたBRAFi/MEKiの組み合わせである、ダブラフェニブ/トラメチニブ、又はエンコラフェニブ/ビニメチニブによる治療下での再発後の、頭蓋内にA375腫瘍を移植したマウスの生存確率に対する化合物Iaの効果を示す。マウスには、ビヒクル(19匹)、化合物Ia 75mg/kg(10匹)、ダブラフェニブ100mg/kg及びトラメチニブ0.25mg/kg(D+T;19匹)、又はエンコラフェニブ36mg/kg及びビニメチブ10mg/kg(E+B;19匹)のいずれかを投与した。第5のコホートでは、ダブラフェニブ/トラメチニブの併用(D+T)を再発が生じるまで投与し(D+Tコホートから10匹)、その時点で治療を中止し、代わりに化合物Ia 75mg/kg(QD PO)をマウスに投与した。第6のコホートでは、エンコラフェニブ/ビニメチニブの併用(E+B)を再発が生じるまで投与し(E+Bコホートから10匹)、その時点で治療を中止し、代わりに化合物Ia 75mg/kg(QD PO)をマウスに投与した。投与は1日1回、全群に経口で実施した。
【0033】
[0036]以下に、本発明の特定の実施態様を記載する。以下に記載するすべての別々の実施態様は組み合わせることができる。
【0034】
本発明は、特に、以下のものに関する:
がんの治療における使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であって、前記がんに罹患している患者が、異なるBRAF阻害剤による治療を以前に受けていた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩;
がんの治療又は予防のための方法であって、それを必要とする患者に式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含み、前記がんに罹患している患者が、異なるBRAF阻害剤による治療を以前に受けていた、方法;
がんの治療又は予防のための医薬の調製のための式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記がんに罹患している患者が、異なるBRAF阻害剤による治療を以前に受けていた、使用;
以前の治療のBRAF阻害剤が、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ及びエンコラフェニブから選択される、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
以前の治療のBRAF阻害剤が、ダブラフェニブ及びエンコラフェニブから選択される、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
以前の治療のBRAF阻害剤がベムラフェニブである、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
患者がMEK阻害剤によっても以前に治療されていた、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
以前に使用されたMEK阻害剤が、ビニメチニブ、トラメチニブ及びコビメチニブから選択される、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
以前に使用されたMEK阻害剤が、ビニメチニブ及びトラメチニブから選択される、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
以前に使用されたMEK阻害剤がコビメチニブである、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
以前の治療下で腫瘍再発が生じた、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、メラノーマ、脳がん又は非小細胞肺がんである、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
がんが、メラノーマ又は非小細胞肺がんである、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
患者が脳転移に罹患している、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
がんがBRAF
V600変異に関連する、本明細書に記載の、使用のための化合物、方法又は使用;
本明細書に記載の使用のための、MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1つ又は複数のさらなる抗がん剤と組み合わせた式(I)の化合物;
本明細書に記載の使用のための、MEK阻害剤と組み合わせた式(I)の化合物;
MEK阻害剤が、コビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、本明細書に記載の組み合わせ;
患者が、MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1つ又は複数のさらなる抗がん剤で治療される、本明細書に記載の方法;
患者がMEK阻害剤で治療される、本明細書に記載の方法;
MEK阻害剤がコビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、本明細書に記載の方法;
MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される1つ又は複数のさらなる抗がん剤と組み合わせた、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用;
MEK阻害剤と組み合わせた、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用;及び
MEK阻害剤がコビメチニブである、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0035】
[0037]本明細書中に示す構造はまた、1つ又は複数の同位体濃縮された原子が存在するという点でのみ異なる化合物を含むことを意味する。放射性同位体の特定の例は、2H、3H、13C、14C及び18Fである。例えば、1つ又は複数の水素原子が重水素又はトリチウムで置き換えられた構造、又は1つ又は複数の炭素原子が13C若しくは14C濃縮炭素で置き換えられた構造は、本発明の範囲内である。
【0036】
[0038]さらに、本発明は、適用可能な場合、式(I)の化合物の全ての光学異性体、すなわち、ジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ラセミ混合物、それらの全ての対応するエナンチオマー及び/又は互変異性体、並びにそれらの溶媒和物を含む。必要に応じて、本発明の化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて、分別再結晶化又はクロマトグラフィーのような標準的方法によって個々のジアステレオマーを分離する等、当技術分野で公知の方法で行うことができる。
【0037】
[0039]実施態様では、光学的に純粋なエナンチオマーが提供される場合、光学的に純粋なエナンチオマーとは、化合物が所望の異性体を90重量%超、特に所望の異性体を95重量%超、又はより具体的には所望の異性体を99重量%超含むことを意味し、前記重量パーセントは、化合物の異性体の全重量に基づく。キラル的に純粋な又はキラル的に濃縮された化合物は、キラル選択的合成によって、又はエナンチオマーの分離によって調製され得る。エナンチオマーの分離は、最終生成物上で、あるいは適切な中間体上で行われ得る。
【0038】
[0040]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つはEGFR阻害剤である。EGFR阻害剤の非限定的な例としては、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、オシメルチニブ(メレレクチニブ(merelectinib)、Tagrisso(登録商標))、エルロチニブ(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(lressa(登録商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、ネラチニブ(Nerlynx(登録商標))、ラパチニブ(Tykerb(登録商標))、バンデタニブ(Caprelsa(登録商標))及びブリガチニブ(Alunbrig(登録商標)が挙げられる。EGFR阻害剤のさらなる例は、当技術分野で公知である。いくつかの実施態様では、EGFR阻害剤はアロステリックEGFR阻害剤である。
【0039】
[0041]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つはHER2及び/又はHER3の阻害剤である。HER2及び/又はHER3阻害剤の非限定的な例としては、ラパチニブ、カネルチニブ、(E)-2-メトキシ-N-(3-(4-(3-メチル-4-(6-メチルピリジン-3-イルオキシ)フェニルアミノ)キナゾリン-6-イル)アリル)アセトアミド(GP-724714)、サピチニブ、7-[[4-[(3-エチニルフェニル)アミノ]-7-メトキシ-6-キナゾリニル]オキシ]-N-ヒドロキシ-ヘプタンアミド(CUDC-101)、ムブリチニブ、6-[4-[(4-エチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル]-N-[(1R)-1-フェニルエチル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-アミン(AEE788)、イルビニチニブ(ツカチニブ)、ポジオチニブ、N-[4-[1-[4-アセチル-1-ピペラジニル)シクロへキシル]-4-アミノ-3-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル-2-メトキシフェニル]-1-メチル-2-インドールカルボキサミド(KIN001-111)、7-シクロペンチル-5-(4-フェノキシフェニル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イルアミン(KIN001-051)、6,7-ジメトキシ-N-(4-フェノキシフェニル)キナゾリン-4-アミン(KIN001-30)、ダサチニブ及びボスチニブが挙げられる。
【0040】
[0042]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つはSHP2の阻害剤である。SHP2阻害剤の非限定的な例としては、6-(4-アミノ-4-メチルピペリジン-1-イル)-3-(2,3-ジクロロフェニル)ピラジン-2-アミン(SHP099)、[3-[(3S,4S)-4アミノ-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル]-6-(2,3-ジクロロフェニル)-5-メチルピラジン-2-イル]メタノール(RMC-4550)、RMC-4630、TNO155、並びに国際公開第2015/107493号パンフレット、国際公開第2015/107494号パンフレット、国際公開第2015/107495号パンフレット、国際公開第2019/075265号パンフレット、PCT/U82019/056786号パンフレット及びPCT/l82020/053019号パンフレットに開示されている化合物が挙げられる。
【0041】
[0043]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つは、PI3K阻害剤である。非限定的な例としては、ブパルリシブ(BKM120)、アルペリシブ(BYL719)、サモトリシブ(LY3023414)、8-[(1R)-1-[(3,5-ジフルオロフェニル)アミノ]エチル]-N,N-ジメチル-2-(モルホリン-4-イル)-4-オキソ-4H-クロメン-6-カルボキサミド(AZD8186)、テナリシブ(RP6530)、ボキタリシブ塩酸塩(voxtalisib hydrochloride)(SAR-245409)、ゲダトリシブ(PF-05212384)、パヌリシブ(P-7170)、タセリシブ(GDC-0032)、トランス-2-アミノ-8-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシピリジン-3-イル)-4-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オン(PF-04691502)、デュベリシブ(ABBV-954)、N2-[4-オキソ-4-[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-1-ベンゾピラン-2-イル)モルホリン-4-イウム-4-イルメトキシ]ブチリル]-L-アルギニル-グリシル-L-アスパルチル-L-セリンアセテート(SF-1126)、ピクチリシブ(GDC-0941)、2-メチル-1-[2-メチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジル]-6-(モルホリン-4-イル)-1H-ベンズイミダゾール-4-カルボン酸(GSK2636771)、イデラリシブ(GS-1101)、ウンブラリシブトシレート(TGR-1202)、ピクチリシブ(GDC-0941)、コパンリシブ塩酸塩(BAY84-1236)、ダクトリシブ(BEZ-235)、1-(4-[5-[5-アミノ-6-(5-tert-ブチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)ピラジン-2-イル]-1-エチル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル]ピペリジン-1-イル)-3-ヒドロキシプロパン-1-オン(AZD-8835)、5-[6,6-ジメチル-4-(モルホリン-4-イル)-8,9-ジヒドロ-6H-[1,4]オキサジノ[4,3-e]プリン-2-イル]ピリミジン-2-アミン(GDC-0084)、エベロリムス、ラパマイシン、ペリホシン、シロリムス及びテムシロリムスが挙げられる。
【0042】
[0044]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つはALK阻害剤である。非限定的な例としては、クリゾチニブ(PF-02341066)、セリチニブ(LDK378)、アレクチニブ(アレセンサ)、ブリガチニブ(AP26113)、ロルラチニブ(PF-6463922)、エンサルチニブ(X-396)、エントレクチニブ(RXDX-101)、レポトレクチニブ(reprotectinib)(TPX-0005)、ベリザチニブ(TSR-011)、アルコチニブ(ZG-0418)、フォリチニブ(foritinib)(SAF-189)、CEP-37440、TQ-B3139、PLB1003及びTPX-0131が挙げられる。
【0043】
[0045]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つはチェックポイント阻害剤である。いくつかの実施態様では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4阻害剤、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤である。いくつかの実施態様では、CTLA-4阻害剤はイピリムマブ(Yervoy(登録商標))又はトレメリムマブ(GP-675,206)である。いくつかの実施態様では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))及びRN888から選択される。いくつかの実施態様では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))及びデュルバルマブ(ImfinziTM)から選択される。いくつかの実施態様では、PD-L1阻害剤はアテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))である。
【0044】
[0046]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つは抗体-薬物コンジュゲートである。抗体-薬物コンジュゲートの非限定的な例としては、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(商標))、イノツズマブオゾガマイシン(Besponsa(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris(登録商標))、ado-トラスツズマブエムタンシン(TDM-f;Kadcyla(登録商標))、ミルベツキシマブソラブタンシン(IMGN853)及びアネツマブラブタンシンが挙げられる。
【0045】
[0047]いくつかの実施態様では、さらなる抗がん剤の1つは、ベバシズマブ(MvastiTM)、Avastin(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、アベルマブ(Bavencio(登録商標))、リツキシマブ(MabTheraTM、Rituxan(登録商標))、エドレコロマブ(Panorex)、ダラツムマブ(Darzalex(登録商標))、オララツマブ(LartruvoTM)、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、オレゴボマブ、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin(登録商標))、オビヌツズマブ(Gazyva(登録商標))、トレメリムマブ(GP-675,206)、ラムシルマブ(Cyramza(登録商標))、ウブリツキシマブ(TG-1101)、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、エロツズマブ(EmplicitiT’V’)、ネシツムマブ(PortrazzaT’V’)、シルムツズマブ(UC-961)、イブリツモマブ(Zevalin(登録商標))、イサツキシマブ(SAR650984)、ニモツズマブ、フレソリムマブ(GC1008)、リリルマブ(INN)、モガムリズマブ(Poteligeo(登録商標))、フィクラツズマブ(AV-299)、デノスマブ(Xgeva(登録商標))、ガニツマブ、ウレルマブ、ピジリズマブ、アマツキシマブ、ブリナツモマブ(AMG103;Blincyto(登録商標))又はミドスタウリン(Rydapt)などの抗体である。
【0046】
[0048]本発明の別の実施態様は、1つ又は複数の組成物を含有する薬学的組成物であって、各組成物が、本発明による使用のための1つ又は複数の化合物及び1つ又は複数の治療的に不活性な担体、希釈剤又は添加物を含有する、薬学的組成物と、そのような薬学的組成物を調製する方法とを提供する。一例において、式(I)の化合物は、生理学的に許容される担体、すなわち生薬の投与形態に採用される用量及び濃度でレシピエントに対して無毒な担体と、周囲温度、適切なpH及び所望の純度で混合することによって製剤化され得る。製剤のpHは、特定の用途及び化合物の濃度に主に依存するが、好ましくは約3から約8の範囲である。一例では、式(I)の化合物は、pH5の酢酸緩衝剤中で製剤化される。別の実施態様では、式(I)の化合物は無菌である。化合物は、例えば、固体若しくは非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液として保管され得る。
【0047】
[0049]組成物は、適正な医療行為と一致した様式で配合、投薬、及び投与される。これに関連して考慮すべき要因としては、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療施術者に既知である他の要因が挙げられる。
【0048】
[0050]本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される添加物」は、溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌薬及び抗真菌薬、等張剤及び吸収遅延剤、並びに医薬品の投与と適合可能な他の材料及び化合物を含む、医薬品の投与と適合可能なありとあらゆる物質を含むことが意図される。いずれかの従来の媒体又は薬剤が活性のある化合物と不適合である場合を除いて、本発明の組成物においてその使用が企図される。補助的な活性のある化合物を、組成物中に組み込むこともできる。
【0049】
[0051]薬学的組成物は、本明細書に記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される無機若しくは有機の担体又は添加物で処理することによって得ることができる。ラクトース、コーンスターチ若しくはその誘導体、タルク、ステアリン酸若しくはその塩等は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセル剤の担体として使用することができる。軟質ゼラチンカプセルに適した担体は、例えば、植物油、ワックス、油脂、半固形及び液状ポリオール等である。しかし、活性物質の性質に応じて、軟質ゼラチンカプセル剤の場合、通常、担体は必要とされない。溶液及びシロップ剤の製造に適した担体は、例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤に適した担体は、例えば、天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0050】
[0052]さらに、薬学的組成物は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤又は抗酸化剤を含有し得る。それらはまた、他の治療上価値のある物質も含有し得る。
【0051】
[0053]式(I)の化合物の薬学的組成物は、保管用に、単独で又は第2の抗がん剤と組み合わせて、所望の程度の純度を有する有効成分を任意選択的な薬学的に許容される担体、添加物又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.(ed.)(1980))と混合することによって、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製され得る。許容される担体、添加物、又は安定剤には、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルバラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース若しくはデキストリンを含むその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース若しくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEENTM、PLURONICSTM若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0052】
[0054]式(I)の化合物の薬学的組成物には、経口、経鼻、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣及び/又は非経口投与に適したものが含まれる。組成物は、都合良く、単位剤形で提示されてもよく、薬学分野で周知のいずれかの方法によって調製され得る。単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式に依存して変化する。単一投与形態を製造するために担体物質と組み合わせることができる有効成分の量は、通常、治療効果を生じさせる式(I)の化合物の量であろう。一般に、100パーセントのうち、この量は、有効成分の約1パーセント~約90パーセント、好ましくは約5パーセント~約70パーセント、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの範囲である。これらの組成物を調製する方法は、式(I)の化合物を担体及び任意選択的に1つ又は複数の補助成分と会合させる工程を含む。通常、薬学的組成物は、式(I)の化合物を、液体担体若しくは細かく分けた固体担体又はその両方と均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することによって調製することができる。経口投与に適した薬学的組成物は、カプセル剤、カシェ剤、サシェ剤、丸薬、錠剤、ロゼンジ剤(香味料基剤、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカントを使用)、粉末、顆粒剤の形態で、又は水性若しくは非水性液体中の液剤若しくは懸濁剤として、又は水中油型若しくは油中水型液体乳剤として、又はエリキシル剤若しくはシロップ剤として、又はトローチ剤(ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアなどの不活性基剤を使用)として、及び/又は洗口剤等としてであってもよく、それぞれが有効成分として所定量の式(I)の化合物を含有する。
【0053】
[0055]本発明のさらなる実施態様では、式(I)の化合物及びMEK阻害剤は、1つ又は2つの別々の薬学的組成物中に配合される。
【0054】
[0056]有効成分はまた、例えばコアセルベーション技法又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルション中に取り込まれてもよい。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.(ed.)(1980)に開示されている。
【0055】
[0057]in vivo投与のために使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜による濾過によって容易に達成される。
【0056】
[0058]投与量は、広範囲で変化させることができ、当然、それぞれの具体的な場合において個々の要件に対して調整される必要がある。経口投与の場合、成人の投与量は、一般式(I)の化合物又は対応する量のその薬学的に許容される溶媒和物で、1日あたり約0.01mgから約8000mgで変化させることができる。1日投与量は、単回投与又は分割投与で投与されてもよく、さらに、示されていることが判明した場合、上限を超えることもできる。経口投与の場合、高脂肪食の後又は10時間の絶食後に投与することができる。
【0057】
[0059]以下の例は、本発明を限定することなく説明するが、本発明の代表例に過ぎない。薬学的組成物は、好都合には約1~500mg、特に5~250mgの式(I)の化合物を含有する。ある特定の実施態様では、式(I)の化合物を含有する薬学的組成物は、さらに約1~500mg、特に5~80mgのMEK阻害剤を固定用量の組み合わせで含有する。
【0058】
[0060]本発明による組成物の非限定的な例は以下の通りである。
実施例A-1
以下の組成の錠剤を、通常の方法で製造する:
製造手順
1.成分1、2、3及び4を混合し、精製水で顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合し、適切なプレス機で圧縮する。
【0059】
実施例B-1
以下の組成のカプセルを製造する:
製造手順
1.成分1、2及び3を適切なミキサーで30分間混合する。
2,成分4及び5を添加し、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0060】
式(I)の化合物、ラクトース及びコーンスターチを、初めにミキサー中、次いで粉砕機中で混合する。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを加えてよく混合する。混合物を、適切なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに、機械で充填する。
【0061】
実施例B-2
以下の組成の軟質ゼラチンカプセルを製造する:
製造手順
式(I)の化合物を他の成分の温かい融解物に溶解し、混合物を適切なサイズの軟質ゼラチンカプセルに充填する。充填した軟質ゼラチンカプセルを通常の手順に従って処理する。
【0062】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する:
製造手順
坐剤塊をガラス又はスチール容器中で溶融し、充分に混合し、45℃に冷却する。すぐに、微粉末化した式(I)の化合物をこれに添加して、完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切なサイズの坐剤型に注ぎ、冷えるまで放置し、次いで坐剤を型から取り出し、ろう紙又は金属箔で個々に包装する。
【0063】
実施例D
以下の組成の注射液を製造する:
製造手順
式(I)の化合物を、ポリエチレングリコール400と注射用の水(一部)との混合物に溶解する。酢酸でpHを5.0に調整する。残量の水を添加し、体積を1.0mlに調整する。溶液をフィルタにかけ、適切な過量を用いてバイアルに充填し、滅菌する。
【0064】
実施例E
以下の組成のサシェ剤を製造する:
製造手順
式(I)の化合物を、ラクトース、微結晶セルロース及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムと混合し、ポリビニルピロリドンが水に入った混合物で顆粒化する。顆粒をステアリン酸マグネシウム及び香味添加剤と混合し、サシェ剤に充填する。
【0065】
特定の番号が付与された実施態様:
以下に記載するすべての別々の実施態様は組み合わせることができる。
1.がんの治療における使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であって、前記がんに罹患している患者が、以前に式(I)の化合物以外のBRAF阻害剤による治療を受けていた、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0066】
2.再発したがん患者の治療における使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であって、以前に式(I)の化合物以外のBRAF阻害剤による治療を受けたことがある、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0067】
3.治療耐性の形成を防止するための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩であって、特に、形成が、式(I)の化合物以外のBRAF阻害剤による治療を受けたことがある患者において観察された、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【0068】
4.がんの治療耐性を減少させることにおける使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩。
【0069】
5.BRAF変異を有するがんの再発を治療することにおける使用のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩。
【0070】
6.がんの治療又は予防のための方法であって、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含み、前記がんに罹患している患者が、以前に異なるBRAF阻害剤による治療を受けていた、方法。
【0071】
7.治療有効量の式(I)の化合物を投与することを含む、がん細胞の再発増殖を減少させるための方法であって、特に、前記投与ががん細胞の再発増殖を減少させ、より具体的には、式(I)の化合物以外の少なくとも1つのBRAF阻害剤の先行投与後に再発が観察された、方法。
【0072】
8.がんの治療又は予防のための医薬の調製のための、式(I)の化合物
又はその薬学的に許容される塩の使用であって、前記がんに罹患している患者が、以前に異なるBRAF阻害剤による治療を受けていた、使用。
【0073】
9.以前の治療のBRAF阻害剤が、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ及びエンコラフェニブから選択される、実施態様1から8のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0074】
10.以前の治療のBRAF阻害剤がダブラフェニブである、実施態様1から9のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0075】
11.以前の治療のBRAF阻害剤がベムラフェニブである、実施態様1から9のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0076】
12.11.以前の治療のBRAF阻害剤がエンコラフェニブである、実施態様1から9のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0077】
13.患者が以前にMEK阻害剤によっても治療を受けていた、実施態様1から12のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0078】
14.以前に使用されたMEK阻害剤が、ビニメチニブ、トラメチニブ及びコビメチニブから選択される、実施態様1から13のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0079】
15.以前に使用されたBRAF阻害剤がビニメチニブである、実施態様1から14のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0080】
16.以前に使用されたBRAF阻害剤がトラメチニブである、実施態様1から14のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0081】
17.以前に使用されたBRAF阻害剤がコビメチニブである、実施態様1から14のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0082】
18.腫瘍再発が以前の治療下で生じた、実施態様1から17のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0083】
19.がんが、甲状腺がん、結腸直腸がん、メラノーマ、脳がん又は非小細胞肺がんである、実施態様1から18のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0084】
20.がんが、メラノーマ又は非小細胞肺がんである、実施態様1から19のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0085】
21.がんが、メラノーマ又は非小細胞肺がんである、実施態様1から19のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0086】
22.がんが非小細胞肺がんである、実施態様1から19のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0087】
23.患者が脳転移に罹患している、実施態様1から22のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0088】
24.がんがBRAFV600変異に関連している、実施態様1から23のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0089】
25.がんがBRAFV600E変異に関連している、実施態様1から24のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0090】
26.がんがBRAFV600K変異に関連している、実施態様1から24のいずれか1つに記載の、使用のための化合物、方法又は使用。
【0091】
27.実施態様1から5、又は9から26のいずれか1つに記載の使用のための、MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される、1つ又は複数のさらなる抗がん剤と組み合わせた式(I)の化合物。
【0092】
28.実施態様1から5、又は9から26のいずれか1つに記載の使用のための、MEK阻害剤と組み合わせた式(I)の化合物。
【0093】
29.MEK阻害剤が、ビニメチニブ、トラメチニブ及びコビメチニブ、又はその薬学的に許容される塩から選択される、実施態様27又は28に記載の組み合わせ。
【0094】
30.MEK阻害剤が、コビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、実施態様27又は28に記載の組み合わせ。
【0095】
31.患者が、MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される、1つ又は複数のさらなる抗がん剤で治療される、実施態様6、7、又は9から26のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
32.患者がMEK阻害剤で治療される、実施態様6、7、又は9から26のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
33.MEK阻害剤が、ビニメチニブ、トラメチニブ及びコビメチニブ、又はその薬学的に許容される塩から選択される、実施態様31又は32に記載の方法。
【0098】
34.MEK阻害剤がコビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、実施態様31から33のいずれか1つに記載の方法。
【0099】
35.患者がチェックポイント阻害剤で治療される、実施態様6、7、又は9から26のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
36.チェックポイント阻害剤がアテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))である、実施態様35に記載の方法。
【0101】
37.MEK阻害剤、MEK分解剤、EGFR阻害剤、EGFR分解剤、HER2及び/又はHER3の阻害剤、HER2及び/又はHER3の分解剤、SHP2阻害剤、SHP2分解剤、Axl阻害剤、Axl分解剤、ALK阻害剤、ALK分解剤、PI3K阻害剤、PI3K分解剤、SOS1阻害剤、SOS1分解剤、シグナル伝達経路阻害剤、チェックポイント阻害剤、アポトーシス経路の調節剤、細胞傷害性化学療法剤、血管新生標的治療薬、免疫標的剤、並びに抗体-薬物コンジュゲートから選択される、1つ又は複数のさらなる抗がん剤と組み合わせた、実施態様8から26のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0102】
38.MEK阻害剤と組み合わせた、実施態様8から26のいずれか1つに記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【0103】
39.MEK阻害剤が、コビメチニブ又はその薬学的に許容される塩である、実施態様37又は38に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【国際調査報告】