(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスおよび電子ユニット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20241024BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61M5/315 550J
A61M5/31 520
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526558
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2022080403
(87)【国際公開番号】W WO2023078847
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・アルト
(72)【発明者】
【氏名】ティム・グラッサー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ミュッケ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066HH02
4C066HH12
4C066QQ32
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
本開示は、薬剤の用量を設定および投薬するように構成された薬物送達デバイス(1)の駆動ユニット(3)に関し、駆動ユニットは:長手方向軸(A)に沿って延びる駆動ユニットハウジング(9)であって、遠位端(4)および近位端(5)を含む、駆動ユニットハウジング(9)と、遠位端(4)に設けられ、容器ユニット(2)および保護キャップ(14)のうちの少なくとも一方と連結するように構成された第1のインターフェース(110)であって、少なくとも第1の電気接点素子(111、112)を含む、第1のインターフェース(110)と、駆動ユニットハウジング(9)の上または内部に配置された電子ユニット(70)と、長手方向軸(A)に沿って延びる第1の長尺状デバイス構成要素(40)と、第1の長尺状デバイス構成要素(40)の上または内部に位置する第1の導体経路(141)であって、第1の経路遠位端(142)および第1の経路近位端(143)を含み、第1の導体経路(141)は電子ユニット(70)に接続され、第1の経路遠位端(142)は第1の電気接点素子(111、112)に接続されている、第1の導体経路(141)とを含み、電子ユニット(70)は、第1の導体経路(141)を介して電気検出信号を受信することに応答して、電子的に実装されている機能を実行するように動作可能である。
【選択図】
図16
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤の用量を設定および投薬するように構成された薬物送達デバイス(1)の駆動ユニット(3)であって:
長手方向軸(A)に沿って延びる駆動ユニットハウジング(9)であって、遠位端(4)および近位端(5)を含む、駆動ユニットハウジング(9)と、
遠位端(4)に設けられ、容器ユニット(2)および保護キャップ(14)のうちの少なくとも一方と連結するように構成された第1のインターフェース(110)であって、少なくとも第1の電気接点素子(111、112)を含む、第1のインターフェース(110)と、
駆動ユニットハウジング(9)の上または内部に配置された電子ユニット(70)と、
長手方向軸(A)に沿って延びる第1の長尺状デバイス構成要素(40)と、
該第1の長尺状デバイス構成要素(40)の上または内部に位置する第1の導体経路(141)と、を含み、該第1の導体経路(141)は、第1の経路遠位端(142)および第1の経路近位端(143)を含み、第1の導体経路(141)は電子ユニット(70)に接続されており、第1の経路遠位端(142)は第1の電気接点素子(111、112)に接続されており、
ここで、電子ユニット(70)は、第1の導体経路(141)を介して電気検出信号を受信することに応答して、電子的に実装されている機能を実行するように動作可能である、前記駆動ユニット。
【請求項2】
第2の電気接点素子(112)と、第1の導体経路(141)から電気的に絶縁された第2の導体経路(151)とをさらに含み、該第2の導体経路(151)は、第2の経路遠位端(152)および第2の経路近位端(153)を含み、ここで、第2の経路近位端(153)は電子ユニット(70)に接続され、第2の経路遠位端(152)は第2の電気接点素子(112)に接続されている、請求項1に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項3】
第2の経路遠位端(152)は、容器ユニット(2)および保護キャップ(14)のうちの一方の第1の相手方インターフェース(210)が第1のインターフェース(110)と係合したとき、第1の相手方インターフェース(210)を介して第1の経路遠位端(142)に接続可能である、請求項2に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項4】
第2の経路遠位端(152)は、第1のインターフェース(110)の上または中に可動に配置された電気コネクタ(115)を介して、第1の経路遠位端(142)に接続可能である、請求項2または3に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項5】
第2の導体経路(151)は、第1の長尺状デバイス構成要素(40)の上または内部に位置している、請求項2~4のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項6】
薬剤の用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方のために第1のデバイス構成要素(40)に対して可動の第2のデバイス構成要素(60)をさらに含み、ここで、電子ユニット(70)は、第2のデバイス構成要素(60)の上または中に配置されており、第2のデバイス構成要素(60)の上または内部に位置する第1の導体経路伸長部(145)が、電子ユニット(70)に電気的に接続され、第1の導体経路(141)に電気的に接続されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項7】
第2のデバイス構成要素(60)は、第1の動きの方向に沿って第1のデバイス構成要素(40)に対して可動であり、第1の導体経路(141)および第1の導体経路伸長部(145)のうちの少なくとも一方は、第1の動きの方向に沿ってまたは第1の動きの方向と平行に延びている、請求項6に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項8】
第1の導体経路(141)と第1の導体経路伸長部(145)とは、第1の摺動接点(144)を介して恒久的に電気的に接続されている、請求項6または7に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項9】
第1の摺動接点(144)は、少なくとも1つの機械的に付勢された接点導体(146)を含み、該接点導体(146)は、第1の導体経路(141)および第1の導体経路伸長部(145)のうちの一方に接続され、第1の導体経路(141)および第1の導体経路伸長部(145)のうちの他方と摺動面接触している、請求項8に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項10】
第1のデバイス構成要素(40)と第2のデバイス構成要素(60)とは、ねじ係合しており、第2のデバイス構成要素(60)は、らせん経路に沿って第1のデバイス構成要素(40)に対して可動である、請求項6~9のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項11】
第1の電気制御経路(181)および該第1の電気制御経路(181)から電気的に絶縁された第2の電気制御経路(191)を介して、電子ユニット(70)に電気的に接続された、電気機械式アクチュエータ(50)をさらに含み、ここで、電子ユニット(70)は、少なくとも1つの制御信号を生成し、第1および第2の電気制御経路(181、191)を介して電気機械式アクチュエータ(50)に送信することによって、電気機械式アクチュエータ(50)を選択的に起動するかまたは停止状態にするように動作可能である、請求項1~10のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項12】
電子ユニット(70)は、第1の導体経路(141)および第2の導体経路(151)のうちの少なくとも一方から受信された電子検出信号を処理するように動作可能であり、電気検出信号の処理に基づいて、電気制御信号を生成し、第1の電気制御経路(181)および第2の電気制御経路(191)のうちの少なくとも一方を介して電気機械式アクチュエータ(50)に送信するようにさらに動作可能である、請求項11に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項13】
第1の電気制御経路(181)は、第1の導体経路(141)に電気的に接続されており、第2の電気制御経路(191)は、第2の導体経路(151)に電気的に接続されている、請求項11に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項14】
遠位端(4)にある第2のインターフェース(120)であって、保護キャップ(14)と連結するように構成され、第1の電源接点(121)および第2の電源接点(122)を含む第2のインターフェース(120)と、
第1の長尺状デバイス構成要素(40)の上または内部に位置する第1の電源導体経路(161)であって、遠位端(162)と近位端(163)を含み、該近位端(163)は電子ユニット(70)に接続されており、遠位端(162)は第1の電源接点(121)に接続されている、第1の電源導体経路(161)と、
第1の長尺状デバイス構成要素(40)の上または内部に位置する第2の電源導体経路(171)であって、遠位端(172)および近位端(173)を含み、該近位端(173)は電子ユニット(70)に接続されており、遠位端(172)は第2の電源接点(122)に接続されている、第2の電源導体経路(171)と、
をさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)。
【請求項15】
薬剤の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイス(1)であって:
請求項1~14のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)と、
薬物容器(16)を収容するようなサイズであり、駆動ユニット(3)の第1のインターフェース(110)に連結するように構成された第1の相手方インターフェース(210)を含む、容器ユニット(2)と、を含み、
第1の相手方インターフェース(210)は第1の相手方接点素子(211)を含み、該第1の相手方接点素子(211)は:
第1の電気接点素子(111)および第2の接点素子(112)のうちの少なくとも一方に電気的に接続するように、かつ/または
第1の電気接点素子(111)と第2の電気接点素子(112)との間に電気接点を提供するように構成されている、前記薬物送達デバイス。
【請求項16】
薬剤が充填され、容器ユニット(2)の内部に配置された、薬物容器(16)をさらに含む、請求項15に記載の薬物送達デバイス。
【請求項17】
第1の薬物送達デバイス(1)および第2の薬物送達デバイス(1’)を含むキットであって、
第1および第2の薬物送達デバイス(1、1’)は、各々、請求項1~12のいずれか1項に記載の駆動ユニット(3)を含み、
第1の薬物送達デバイス(1)は、第1の薬物容器(16)のための第1の容器ユニット(2)を含み、該第1の容器ユニット(2)は、電気的にコード化された第1の相手方接点素子(211)を有する第1の相手方インターフェース(210)を含み、
第2の薬物送達デバイス(1’)は、第2の薬物容器(16’)のための第2の容器ユニット(2’)を含み、該第2の容器ユニット(2’)は、電気的にコード化された第2の相手方接点素子(211’、211’’)を有する第1の相手方インターフェース(210’、210’’)を含み、
第1の相手方接点素子(211)は、第2の相手方接点素子(211’、211’’)から区別される、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達デバイスの駆動ユニットに関し、特に、手持ち式注射デバイスの駆動ユニットに関する。本開示はさらに、電子ユニットを備えたそのような薬物送達デバイスまたは注射デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
液体薬剤の単一用量または複数用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスは、それ自体当技術分野においてよく知られている。一般に、このようなデバイスは、通常のシリンジの目的と実質的に同様の目的を有する。
【0003】
ペン型注射器などの薬物送達デバイス、たとえば注射デバイスおよび針による注射システム(NIS:needle based injection system)デバイスは、ユーザに特有の複数の要件を満たさなければならない。たとえば、糖尿病などの慢性疾患を患っている患者の場合、患者は身体的に虚弱であることがあり、視力が低下していることもある。したがって、特に家庭での投薬を目的とした好適な薬物送達デバイスは、構造が堅牢である必要があり、使用が容易でなければならない。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および全体的な取り扱いは、分かりやすく、容易に理解可能でなければならない。このような注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量の設定およびそれに続く投薬を提供しなければならない。さらに、用量設定とともに用量投薬手順は、操作が容易でなければならず、明確でなければならない。
【0004】
特定の疾患を患っている患者は、一定量の薬剤を、ペン型注射シリンジを介して注射するかまたはポンプを介して注入する必要がある場合がある。
【0005】
いくつかの薬物送達または注射デバイスは、可変サイズの薬剤の用量を選択し、予め設定した用量を注射するのを可能にする。他の注射デバイスは、固定用量の設定および投薬を可能にする。ここでは、所与の処方スケジュールに従って注射すべき薬剤の量は、常に同じであり、経時的に変化しないか、または変更することができない。
【0006】
いくつかの注射デバイスは、再使用可能な注射デバイスとして実装され、ユーザはカートリッジなどの薬剤容器を交換することができる。他の注射デバイスは、使い捨て注射デバイスとして実装される。使い捨て注射デバイスでは、内容物、すなわち薬剤を使い切ったときに、注射デバイスの全体を廃棄するように意図されている。
【0007】
再使用可能な注射デバイスでは、薬剤が使い尽くされると、薬剤容器、すなわちカートリッジを交換しなければならない。ここでは、薬剤容器、たとえば薬剤が充填されたガラスカートリッジを交換しなければならない。たとえば薬剤が充填されたカートリッジの形態である、いくつかの一次薬剤容器は、カートリッジホルダなど、注射デバイスのハウジング構成要素に予め組み付けられている。
【0008】
いずれの方法においても、再使用可能なデバイスでは、専用の薬剤容器、またはそのような薬剤容器と予め組み立てられた専用のハウジング構成要素しか、注射デバイスの専用の駆動ユニットまたは駆動機構と使用することができない、ということが保証されなければならない。
【0009】
一般に、充填量に関してまたは薬剤の医薬物質もしくは濃度に関して異なる、多種多様な一次薬剤容器が提供されることがある。薬剤容器を交換するためには、注射デバイスまたは駆動機構は、この特定のタイプの注射デバイスまたは駆動機構と使用されるように意図された専用の薬剤容器のみとしか使用することができない、ということが保証されなければならない。薬剤容器および駆動機構または注射デバイスの一致しない対が意図せず相互使用されることは、回避しなければならない。
【0010】
いくつかの注射デバイスは、電子ユニットも含み、これにより、用量の設定および/または投薬を経時的に監視および/または記録することができる。このような電子ユニットは、外部電子デバイス、たとえばスマートフォンまたはスマートウォッチなどの個人用電子デバイスとの通信を可能にすることができる。このような電子ユニットは、通常、十分な構築スペースが提供される、手持ち式注射デバイスの近位端またはその近くに実装される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような例では、特定のタイプの薬剤に関する正確な情報を電子ユニットに提供することは、きわめて困難でありかつ依然として困難である。したがって、一次薬剤容器に関する情報を電子ユニットに自動的に提供することが望ましい。さらに、患者の安全性を向上させ、安全機能が強化された薬物送達デバイスを提供することを、特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの態様によれば、本開示は、薬物送達デバイスの駆動ユニットに関する。駆動ユニットは、薬剤の1回の用量または複数回の用量を設定および投薬するように構成されている。駆動ユニットは、駆動ユニットハウジングを含む。駆動ユニットハウジングは、長手方向軸に沿って延びている。駆動ユニットハウジングは、長手方向軸に沿って延びる長尺状構造を有することができる。駆動ユニットハウジングは、遠位端および近位端を含む。遠位端および近位端は、駆動ユニットハウジングの長手方向の反対側の端部である。
【0013】
駆動ユニットは、遠位端に設けられた第1のインターフェースをさらに含む。第1のインターフェースは、薬物送達デバイスの容器ユニットおよび保護キャップのうちの少なくとも一方と連結するように構成されている。第1のインターフェースは、少なくとも第1の電気接点素子を含む。駆動ユニットは、駆動ユニットハウジングの上または内部に配置された電子ユニットをさらに含む。典型的には、電子ユニットは、駆動ユニットハウジングの近位端またはその近くに設けられている。駆動ユニットは、長手方向軸に沿って延びる第1の長尺状デバイス構成要素をさらに含む。
【0014】
駆動ユニットは、第1の長尺状デバイス構成要素の上または内部に位置する第1の導体経路をさらに含む。第1の導体経路は、第1の経路遠位端および第1の経路近位端を含む。第1の経路近位端は電子ユニットに接続されており、第1の経路遠位端は第1の電気接点素子に接続されている。このように、第1の導体経路によって、駆動ユニットハウジングの遠位端またはその近くの第1のインターフェースにまたはその中に設けられている第1の電気接点素子を、電子ユニットに電気的に接続することができる。
【0015】
電子ユニットは、第1の導体経路を介して電気検出信号を受信することに応答して、電子的に実装された機能を実行するように動作可能である。このように、駆動ユニットハウジングの遠位端に設けられた第1のインターフェースと、典型的には駆動ユニットハウジングの反対側にまたはその近くに、したがって近位端に設けられている、電子ユニットとの間に、ガルバニック、すなわち、導電性の電気接続を提供することができる。
【0016】
駆動ユニットの第1のインターフェースは、機械的インターフェースとしてかつ/またはハイブリッド電気機械的インターフェースとして実装することができる。第1のインターフェースは、典型的には、薬物送達デバイスの容器ユニットの相補的な形状の相手方インターフェースと連結するかまたは係合するように構成されており、そこで、容器ユニットは、薬物容器を収容するサイズである。
【0017】
典型的には、容器ユニットに、第1の相手方インターフェースにおいて、第1のインターフェースの第1の接点素子と係合する第1の相手方接点素子が設けられている。このように、第1の接点素子と第1の相手方接点素子との間の電気的接触、したがって容器ユニット、すなわち薬物容器および/またはそのような薬物容器を受けるカートリッジホルダの存在を、電子ユニットによって電気的に検出することができる。
【0018】
電子ユニットは、多種多様な電子的に実装された機能を提供することができる。いくつかの例では、電子的に実装された機能は、電気機械式インターロックの解除または起動のうちの少なくとも一方を含むことができる。電気機械式インターロックまたはロッキング機構は、駆動ユニットの機械的作動を停止状態にするかまたは妨げるように動作可能でありうる。したがって、電気機械式インターロックが起動すると、用量の設定および投薬のうちの少なくとも一方が効果的に阻止される。電子ユニットは、好適には、駆動ユニットのロックを解除するように電気機械式インターロックと連結することができる。他の例では、電子的に実装された機能は、たとえば、間違ったまたは一致しない容器ユニットが駆動ユニットに取り付けられたときに、視覚警告、音響警告、または触覚警告のうちの少なくとも1つを含むことができる、ユーザが知覚可能な警告の発生を含む。
【0019】
さらなる例では、電子的に実装された機能は、通信リンクのセットアップ、および/または通信リンクを介する外部電子デバイスとの通信を含む。ここで、電子ユニットは、無線通信プロトコルに基づいて外部電子デバイスと通信するように動作可能であってもよい。外部電子デバイスは、電子ユニットによって処理可能な要求を電子ユニットに送信するように実装または構成してもよい。
【0020】
正しい容器ユニットが駆動ユニットの第1のインターフェースに組み付けられかつ/または取り付けられるいくつかの構成では、第1の電気接点素子および第1の導体経路を介して、それぞれの容器ユニット識別検出信号を提供することができる。その後、このような電気的検出信号を受信した電子ユニットは、外部電子デバイスから受信した要求を承認することができる。したがって、電子ユニットは、正しいかまたは一致する容器ユニットを示す電気検出信号を第1の導体経路を介して受信した場合に、適切にデプロイまたはセットアップすることができる。
【0021】
電気検出信号は、原則として、駆動ユニットと使用することができる、一般に入手可能な複数の容器ユニットのうちの1つを示すものでありうる。電子ユニットによって受信された特定の電気検出信号は、電子ユニットによって、電子ユニットの適切かつ意図された機能を較正および/またはデプロイするために、使用および/または処理することができる。
【0022】
さらなる例によれば、駆動ユニットは、第2の電気接点素子および第2の導体経路を含む。第2の導体経路は、第2の電気接点素子に電気的に接続されている。第2の電気接点素子は、第1の電気接点素子から電気的に絶縁されている。同様に、第2の導体経路は第1の導体経路から電気的に絶縁されている。
【0023】
第2の導体経路は、第2の導体経路遠位端および第2の導体経路近位端を含む。第2の経路近位端は電子ユニットに接続されている。第2の経路遠位端は第2の電気接点素子に接続されている。このように、第1のインターフェースから電子ユニットまで延びる2つの別個の電気的に絶縁された導体経路が提供される。
【0024】
第1の導体経路と、第1の導体経路から電気的に絶縁された第2の導体経路とによって、電子ユニットのための二重の電気接続を提供することができる。したがって、第1の導体経路は、第1の電気検出信号を電子ユニットに伝送するように構成することができる。同様に、第2の導体経路は、第2の電気検出信号を電子ユニットに伝送または伝導するように構成することができる。この限りにおいて、少なくとも第1および第2の導体経路が第1のインターフェースから電子ユニットまで延び、第1のインターフェースを電子ユニットとガルバニック接続することにより、種々の電気検出信号を伝送および処理することができる。
【0025】
さらなる例によれば、第2の経路遠位端は、容器ユニットおよび保護キャップのうちの一方の第1の相手方インターフェースが第1のインターフェースと係合したとき、第1の相手方インターフェースによって第1の経路遠位端に接続可能である。ここで、第1の経路遠位端と第2の経路遠位端とは、容器ユニットと保護キャップのうちの一方によって提供される第1の相手方インターフェースによって、互いに電気的に接続可能である。
【0026】
このように、第1の経路遠位端および第2の経路遠位端は、閉じた導体ループを形成し、それにより第1の導体経路および第2の導体経路を接続するように、直列に接続することができる。第1の相手方インターフェースに、第1の接点素子と第2の接点素子との間の電気接続を提供する接点導体を設けることができる。典型的には、駆動ユニットの第1のインターフェースが、容器ユニットおよび保護キャップのうちの一方の第1の相手方インターフェースと係合すると、接点導体は、第1の接点素子および第2の接点素子の両方と機械的に連結するとともに電気的に接続する。次いで、電子ユニットと個別に接続された第1および第2の導体経路によって提供される開回路を、閉じることができる。
【0027】
別の例によれば、第2の経路遠位端は、第1のインターフェースの上または中に可動に配置された電気コネクタによって、第1の経路遠位端に電気的に接続可能である。典型的には、電気コネクタは、解除位置と接触位置との間で可動である。解除位置では、電気コネクタは、第1の接点素子および第2の接点素子のうちの少なくとも一方に対して接触していない。接触位置では、電気コネクタは、第1の接点素子および第2の接点素子の両方と電気的に接触している。
【0028】
いくつかの例では、電気コネクタは、接点ばねの作用に抗して、解放位置から接触位置に可動である。電気コネクタは、第1の相手方インターフェースを第1のインターフェースと組み立てるかまたは係合する過程で、解放位置から接触位置に付勢することができる。解放されたとき、すなわち容器ユニットおよび保護キャップのうちの一方の第1の相手方インターフェースが、駆動ユニットの第1のインターフェースから取り外されたかまたは解放されたとき、電気コネクタは、接点ばねの作用下で解放位置に戻ることができる。
【0029】
次いで、電気コネクタ、第1の導体経路、第2の導体経路、および電子ユニットによって以前に形成された電気回路が、中断される場合がある。概して、第1の接点素子と第2の接点素子との間に電気接続がないとき、開いたまたは中断された電気回路が提供される場合があり、これは電子ユニットによって検出可能である。ここで、開回路により、電子ユニットは、たとえばエネルギーを節約するために、スリープまたはアイドルモードに入るように構成することができる。
【0030】
別の例によれば、第2の導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素の上または内部に位置している。したがって、第1および第2の導体経路は、1つの同じ長尺状デバイス構成要素の上に位置している。長尺状デバイス構成要素は管状でありうる。長尺状デバイス構成要素は、駆動ユニットのスリーブまたはハウジング部分を含むことができる。第1の導体経路は、第1のデバイス構成要素の第1の側壁セクションに沿って延びることができる。第2の導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素の第2の側壁セクションに沿って延びることができる。第1および第2の側壁セクションは、互いに周方向にまたは接線方向にオフセットしていてもよい。
【0031】
さらなる例では、第1および第2の導体経路は、たとえば長手方向に関してかつ/または周方向に関して、互いに空間的に分離されている。第1および第2の導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素の幾何学的に反対に位置する側壁セクションに位置することができる。いくつかの例では、第1の導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素の側壁の内側および外側のうちの一方に設けられる。そして、第2の導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素の側壁の内側および外側のうちの他方に設けることができる。
【0032】
典型的には、第1の長尺状デバイス構成要素は非導電性の材料で作られている。第1の長尺状デバイス構成要素は、導電性が低いかまたはごくわずかである、射出成形プラスチック構成要素として実装することができる。いくつかの例では、第1および第2の導体経路のうちの少なくとも一方は、第1の長尺状デバイス構成要素の上または内部に設けられた金属化構造または金属構造を含む。典型的には、第1の長尺状デバイス構成要素の一部、たとえば側壁部分は、金属または金属化構造でコーティング、印刷、積層、または接着することができる。いくつかの例では、第1および第2の導体経路のうちの少なくとも一方は、第1の長尺状デバイス構成要素の上に接着剤で取り付けられたかまたは接合された可撓性箔など、可撓性基板上に設けてもよい。
【0033】
他の例では、第1および第2の導体経路のうちの少なくとも一方は、射出成形されたプラスチック構成要素として実装または製造された第1の長尺状デバイス構成要素にインサート成形される。
【0034】
別の例では、駆動ユニットは、薬剤の用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方のために、第1のデバイス構成要素に対して可動の第2のデバイス構成要素を含む。電子ユニットは、第2のデバイス構成要素の上または中に配置されている。第1の導体経路伸長部が、第2のデバイス構成要素の上または内部に位置し、電子ユニットに電気的に接続されている。第1の導体経路伸長部は、第1の長尺状デバイス構成要素に設けられた第1の導体経路にさらに電気的に接続されている。典型的には、第1の導体経路伸長部と第1の導体経路とは、第1のデバイス構成要素と第2のデバイス構成要素との間のインターフェースを横切って電気的に接続されている。このように、電子ユニットを第1の導体経路に電気的に接続することができる。電子ユニットは、第1の導体経路伸長部を介して第1の導体経路に電気的に接続されている。
【0035】
第1の長尺状デバイス構成要素の上または内部に設けられた第1の導体経路によって、かつ第2のデバイス構成要素の上または内部に設けられ、第1の導体経路と恒久的に電気的に接続されている、第1の導体経路伸長部によって、電子ユニットと第1の導体経路との間に、持続的かつ恒久的な電気接続を提供することができる。
【0036】
典型的には、第1および第2のデバイス構成要素は、少なくとも部分的に重なるかまたは交互配置された構成で配置されている。いくつかの例では、第1のデバイス構成要素の外側に面する面の少なくとも一部は、第1のデバイス構成要素の内面の内側に位置し、またはその逆も同様である。
【0037】
第1のデバイス構成要素が第2のデバイス構成要素の内側に位置するいくつかの例では、第1の導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素の外側に面する面に設けることができる。ここで、第1の導体経路伸長部は、第1のデバイス構成要素の少なくとも一部を受けるかまたは収容する第2のデバイス構成要素の内側に面する面に設けられている。
【0038】
さらなる例によれば、第2のデバイス構成要素の上または内部に、第2の導体経路伸長部が設けられている。第2の導体経路伸長部は、電子ユニットに電気的に接続され、第2の導体経路にさらに電気的に接続されている。典型的には、第1および第2の導体経路伸長部は、1つの同じデバイス構成要素に設けることができる。第2の導体経路伸長部は、第1の導体経路伸長部にきわめて一致するように実装することができる。その限りにおいて、第1の導体経路伸長部に関して上述したような任意の構成、効果、および利点は、第2の導体経路伸長部にも同様に適用することができる。
【0039】
典型的には、いくつかの例では、第1および/または第2の導体経路伸長部は、長尺状構造を有する。第1および第2の導体経路伸長部のうちの少なくとも一方の遠位端は、第1の長尺状デバイス構成要素の上または中に設けられているそれぞれの第1または第2の導体経路と電気的に接触することができる。第1および/または第2の導体経路伸長部の反対側の端部、したがって近位端は、電子ユニットに直接接続することができる。
【0040】
さらなる例では、第1または第2の導体経路伸長部の一部と電気的に接続されるのは、第1および第2の導体の少なくとも一方の近位端でありうる。それぞれの第1または第2の導体経路に電気的に接続されている第1および/または第2の導体経路伸長部の部分は、第1または第2の導体経路伸長部の遠位端と近位端との間に位置することができる。これにより、長手方向軸に沿った第2のデバイス構成要素に対する第1のデバイス構成要素の相対的な動きが可能になり、それにより、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間および/または第2の導体経路と第2の導体経路伸長部との間の電気的接触を維持することができる。
【0041】
駆動ユニットのさらなる例によれば、第2のデバイス構成要素は、第1の動きの方向に沿って第1のデバイス構成要素に対して可動である。第1の導体経路および第1の導体経路伸長部のうちの少なくとも一方は、第1の動きの方向に沿って、または第1の動きの方向と平行に延びている。
【0042】
いくつかの例では、第2のデバイス構成要素は、長手方向軸に沿って第1のデバイス構成要素に対して可動でありうる。第2のデバイス構成要素は、第1の長尺状デバイス構成要素と摺動係合することができる。そして、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間の電気的接触を維持するためには、第1の導体経路および第1の導体経路伸長部のうちの少なくとも一方がまた、それぞれの動きの方向に沿って延びる場合、特に有益である。このように、第2のデバイス構成要素が第1のデバイス構成要素に対して動くとき、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間の電気的接触を維持することができる。
【0043】
また、ここでは、同じことが、第2の導体経路および第2の導体経路伸長部についても有効でありうる。
【0044】
別の例によれば、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部とは、第1の摺動接点を介して恒久的に電気的に接続されている。摺動接点は、第1の長尺状デバイス構成要素が第2のデバイス構成要素に対して動く場合、またはその逆の場合であっても、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間に恒久的な電気接続を提供する。
【0045】
別の例によれば、第2の導体経路および第2の導体経路伸長部もまた、第2の摺動接点を介して恒久的に電気的に接続されている。その限りにおいて、第1および第2の導体経路と第1および第2の導体経路伸長部との間に設けられた電気インターフェースは、実質的に同一または対応する形状である。
【0046】
別の例によれば、第1の摺動接点は、第1の導体経路および第1の導体経路伸長部のうちの一方に接続された、少なくとも1つの機械的に付勢された接点導体を含む。機械的に付勢された接点導体は、第1の導体経路および第1の導体経路伸長部のうちの他方と摺動面接触している。第1の導体経路とそれぞれの第1の導体経路伸長部とが半径方向において重なる場合、機械的に付勢された接点導体を半径方向に付勢することができる。
【0047】
機械的に付勢された接点導体は、たとえば半径方向に、弾性変形可能であってもよい。他の例では、機械的に付勢された接点導体に付勢ばねを設けてもよく、それにより、接点導体のコンタクトパッドまたはコンタクトピンは、第1の導体経路または第1の導体経路の伸長部と、機械的係合状態で、したがって、導電性面接触状態で維持される。このように、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間に、かなり信頼性が高く持続的であるとともに恒久的な電気接続を提供することができる。
【0048】
一例によれば、第1のデバイス構成要素と第2のデバイス構成要素とは、ねじ係合している。第2のデバイス構成要素は、らせん経路に沿って第1のデバイス構成要素に対して可動である。このような例では、第1の導体経路および第1の導体経路伸長部のうちの少なくとも一方は、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素のうちの一方の側壁にらせん構造を含む。らせん構造、すなわち第1のデバイス構成要素と第2のデバイス構成要素との間のねじ係合は、同じリードを含む。このように、たとえば、たとえば用量の設定または投薬中、第2のデバイス構成要素が第1のデバイス構成要素に対してらせん運動をする場合、第1の導体経路および第1の導体経路伸長部は、電気的に接触したままであり続けることができる。このように、駆動ユニットの第1のインターフェースの第1および/または第2の接点素子と、たとえば駆動ユニットの近位端またはその近くに設けられた、電子ユニットとの間に、持続的で耐久性のある電気接続を提供することができる。
【0049】
さらなる例によれば、第1の導体経路は長手方向軸に沿って延び、第1の導体経路伸長部は長手方向軸に沿って延びている。摺動接点は、環状または円弧状の接点導体を有する導体円板を含む。ここで、このような例では、導体円板は、たとえば第1の長尺状デバイス構成要素と、回転不能に接続または係合することができる。第2のデバイス構成要素が第1のデバイス構成要素に対してらせん運動をする場合、導体円板は、そのようならせん運動の長手方向部分のみに追従することができる。導体円板は、たとえば第1の長尺状デバイス構成要素の側壁の内側に設けられた、第1の長尺状導体経路に沿って摺動することができる。
【0050】
たとえば導体円板の近位方向に面する側に設けられた、半円形および/または円弧状の摺動接点は、第1の導体経路伸長部と恒久的に軸方向に接触するかまたは軸方向に係合することができる。導体円板に設けられる環状または円弧状の接点導体は、第2のデバイス構成要素が第1の長尺状デバイス構成要素に対して回転運動をするときであっても、第1の導体経路伸長部との恒久的な電気的接触を提供するか、または支持するように動作可能である。
【0051】
環状または円弧状の接点導体を有する導体円板の実施態様は、用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方の間および/またはその少なくとも一方のために、第2のデバイス構成要素が第1の長尺状デバイス構成要素に対してらせん運動をするときに、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間の電気的接触を支持し、維持するのに有益であり、そこでは、用量設定および用量投薬のうちの他方の間、第2のデバイス構成要素は、第1の長尺状ハウジング構成要素に対して非回転的に、したがって単に長手方向に摺動する。
【0052】
別の例によれば、第1の摺動接点は、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素のうちの一方に環状の接点導体を含む。第1の摺動接点は、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素のうちの他方の上で接線方向に延びるとともに半径方向に付勢された導体分岐部をさらに含む。ここで、導体分岐部は、環状の接点導体と面接触している。このような実施態様により、第1の長尺状ハウジング構成要素が、長手方向軸を回転軸とする、第2のハウジング構成要素に対する非軸方向回転運動をするとき、第1の摺動接点は、第1の長尺状ハウジング構成要素と第2のハウジング構成要素との間の恒久的な電気接続を提供する。
【0053】
このような実施態様は、第1の長尺状デバイス構成要素が、長手方向軸を回転軸として第2のデバイス構成要素に対して回転することのみが可能とされるように、第2のデバイス構成要素に対して長手方向に固定されている場合に、第1の導体経路と第1の導体経路伸長部との間の電気的接触を維持するために特に有益である。
【0054】
さらなる例では、第2の摺動接点もまた、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素のうちの一方に環状の接点導体を含み、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素のうちの他方に接線方向に延びるとともに半径方向に付勢された導体分岐部を含む。
【0055】
また、ここでは、それぞれの第2の摺動接点の導体分岐部は、環状の接点導体と面接触している。典型的には、それにより、第1の摺動接点は、第2の摺動接点から長手方向にオフセットしており、したがって、第1の摺動接点と第2の摺動接点との間の電気的絶縁が提供される。
【0056】
別の例によれば、駆動ユニットは、第1の電気制御経路および第2の電気制御経路によって電子ユニットに電気的に接続された電気機械式アクチュエータをさらに含む。第1の電気制御経路と第2の電気制御経路とは、互いに電気的に絶縁されている。電子ユニットは、少なくとも1つの制御信号を生成して、第1および第2の電気制御経路によって電気機械式アクチュエータに送信することによって、電気機械式アクチュエータを選択的に起動するかまたは停止状態にするように動作可能である。電気機械式アクチュエータは、電気駆動装置および電磁石のうちの少なくとも一方を含むことができる。電子ユニットは、電気機械式アクチュエータを起動するためまたは停止状態にするために、電気機械式アクチュエータに制御電圧および/または制御電流を供給および/または伝送するように構成されている。電気機械式アクチュエータは、用量の設定および用量の投薬の少なくとも一方を妨げるかまたは阻止するように動作可能な電気機械的に実装されたインターロックに属することができる。
【0057】
電気機械式アクチュエータおよび/またはインターロックを起動することができ、それにより、用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方を無効にすることができる。電気機械式アクチュエータは、駆動ユニットの可動構成要素の相補的な形状の相手方ラッチと係合するラッチを含むことができる。アクチュエータを起動することにより、可動構成要素の動きを妨げるかまたは阻止することができる。
【0058】
第1および第2の電気制御経路により、電気機械式アクチュエータを、電子ユニットから特定の距離に配置することができる。これにより、電気機械式アクチュエータを配置し組み立てるために、かなり大きい柔軟度が与えられる。電気機械式アクチュエータは、駆動ユニットハウジングの遠位端またはその近くに位置してもよく、または、たとえば駆動ユニットハウジングの遠位端と近位端との間に位置してもよい。電子ユニット、第1の電気制御経路、電気機械式アクチュエータ、および第2の制御経路は、閉じた電気回路を形成または構成することができる。
【0059】
回路は、電子ユニットのスイッチ配置によって開閉することができる。他の例では、電気機械式アクチュエータの回路にリレーを設けてもよい。電子的に制御可能な電気機械式アクチュエータによって、駆動ユニットを選択的にロックまたはロック解除するための電気的に実装されたインターロック配置を設けることができる。
【0060】
さらなる例によれば、電気機械式アクチュエータは、第1のデバイス構成要素の上または中に配置されており、起動されると、第2のデバイス構成要素に対する第1のデバイス構成要素の相対的な動きを阻止するかまたは妨げるように動作可能である。
【0061】
他の例では、電気機械式アクチュエータは、第2のデバイス構成要素の上または内部に配置されている。そして、電気機械式アクチュエータは、同様に、起動されると、第2のデバイス構成要素に対する第1のデバイス構成要素の相対的な動きを阻止するかまたは妨げるように動作可能である。電気機械式アクチュエータは、第1のデバイス構成要素の上または内部に配置されている場合、第2のデバイス構成要素の凹状構造と係合するように動作可能である。電気機械式アクチュエータは、第2のデバイス構成要素の上または内部に配置されている場合、第1のデバイス構成要素に設けられた凹状構造と係合するように動作可能である。
【0062】
代替例では、電気機械式アクチュエータを起動することにより、第1のデバイス構成要素と第2のデバイス構成要素との間のインターロックのロックが解除される。電気機械式アクチュエータが停止状態にされると、第1および第2のデバイス構成要素を互いにロックすることができる。そして、相互にロックされた形態は、デフォルト形態でありうる。
【0063】
さらなる例によれば、第1の制御経路は、第2のデバイス構成要素の上または内部に位置している。第1の制御経路伸長部は、第1のデバイス構成要素の上または内部に位置している。第1の電気制御経路と第1の制御経路伸長部とは、摺動接点を介して恒久的に電気的に接続されている。さらなる例では、電気機械式アクチュエータは、電子回路が位置している第2のデバイス構成要素に対して可動の第3のデバイス構成要素に設けてもよい。そして、第1の電気制御経路は第2のデバイス構成要素の上または内部に位置し、第1の制御経路伸長部は第3のデバイス構成要素の上または内部に位置する。また、ここでは、第1の電気制御経路と第1の制御経路伸長部とは、摺動接点を介して恒久的に電気的に接続されている。
【0064】
他の例では、第1の電気制御経路と第1の制御経路伸長部との間に恒久的な電気接続がなくてもよい。ここで、たとえば、駆動ユニットが、投薬手順の最後に得られるかまたは用量の設定前に提供される、ゼロ用量形態にあるとき、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素の1つのみまたは多数の選択された専用の位置状態に、それぞれの電気接続を提供してもよい。
【0065】
第1の制御経路と第1の制御経路伸長部との間の摺動接点により、電子ユニットが位置しているデバイス構成要素とは異なるデバイス構成要素にまたはその上に電気機械式アクチュエータを配置するための柔軟度が向上する。
【0066】
さらなる例によれば、電子ユニットは、第1の導体経路および第2の導体経路のうちの少なくとも一方から受信された電子検出信号を処理するように動作可能である。電子ユニットはさらに、電気検出信号の処理に基づいて、電気制御信号を生成し、第1の電気制御経路および第2の電気制御経路のうちの少なくとも一方を介して電気機械式アクチュエータに送信するように動作可能である。
【0067】
いくつかの例では、電気検出信号が、誤った容器ユニットが第1のインターフェースに組み付けられまたは取り付けられたことを示す場合、電子ユニットは、駆動ユニットをロックするために、第1および第2の導体経路を介して電気機械式アクチュエータを起動するようにかつ/または切り替えるように動作可能である。そして、誤ったまたは適していない容器ユニットが駆動ユニットハウジングの遠位端に連結されたことを検出することに応答して、用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方が、効果的に妨げられるかまたはロックされる。このように、患者の安全性を効果的に高めることができる。
【0068】
いくつかの例では、電気機械式アクチュエータは、デフォルトで起動されている場合があり、電子ユニットが第1および第2の電気制御経路を介して電気機械式アクチュエータにそれぞれの制御信号を送信することによって、停止状態にしなければならない。このように、デフォルトにより、用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方は、最初に阻止される。インターロックのロック解除には、駆動ユニットの遠位端に取り付けられた正しいかまたは好適な容器ユニットの検出が必要である。このように、第1および第2の導電経路のうちの少なくとも一方から好適な電子検出信号が受信されると、電子ユニットは、駆動ユニットの動作のロックを解除するように電気機械式アクチュエータの状態を変更するように動作可能である。
【0069】
別の例によれば、第1の電気制御経路は、第1の導体経路に電気的に接続されている。同様に、第2の電気制御経路は、第2の導体経路に電気的に接続されている。このように、駆動ユニットの遠位端に取り付けられまたは組み付けられた容器ユニットを電気的に検知または検出するための電気経路と、電気機械式アクチュエータを制御可能とするそれぞれの導体経路とは、第1のデバイス構成要素および第2のデバイス構成要素の少なくとも一方の上または中の一方において共通の導電性構造を共有することができる。
【0070】
このように、個々の導体経路および/または導体経路伸長部の数を減らすことができる。いくつかの例では、第1の電気制御経路と第1の導体経路とは、重なるか、またはさらには完全に一致してもよい。他の例では、第1の導体経路は第1の電気制御経路から分岐してもよく、その逆も同様である。同じ構成を、第2の電気制御経路と第2の導体経路に適用することができる。
【0071】
さらなる例によれば、電気検出信号は、振幅および周波数のうちの少なくとも一方を介して電気的制御信号と区別される。したがって、電気機械式アクチュエータを1つの状態から別の状態に切り替えるための制御信号は、電気検出信号に比べて振幅が大きくてもよい。電気接点に、第1の電気接点素子、および場合により第2の電気接点素子も設けることにより、電気機械式アクチュエータを切り替えるために必要な起動閾値を下回る、比較的低い振幅の電気検出信号が生成される。
【0072】
正しいカートリッジまたは間違ったカートリッジの検出に応答して、電子ユニットは、電気制御信号を生成するように、かつ電気制御信号を電気機械式アクチュエータに送信するように動作可能でありうる。ここで、制御信号は、第1の電気接点素子、および場合により第2の電気接点素子から受信された検出信号と比較して、振幅または大きさが大きい。
【0073】
同じかもしくは同様の方法で、または代替形態として、特定の容器ユニットの存在を検出することができる電気検出信号は、周波数によって電気制御信号と区別される。ここで、電気機械式アクチュエータの起動または切り替えは、所与の周波数の電気制御信号を必要とする場合がある。したがって、第1の電気接点素子、および場合により第2の電気接点素子から提供される連続的で実質的に低頻度な信号は、電気機械式アクチュエータを起動させるかまたは停止状態にするのには適していない場合がある。
【0074】
さらなる例によれば、駆動ユニットは、遠位端に第2のインターフェースを含む。第2のインターフェースは、保護キャップと連結するように構成されており、第1の電源接点および第2の電源接点を含む。駆動ユニットは、第1の長尺状デバイス構成要素の上または内部に位置する第1の電源導体経路をさらに含む。第1の電源導体経路は、遠位端および近位端を含む。近位端は、電子ユニットに接続されている。遠位端は、第1の電源接点に接続されている。駆動ユニットは、第1の長尺状デバイス構成要素の上または内部に位置する第2の電源導体経路をさらに含む。第2の電源導体経路は、遠位端および近位端を含む。またここでは、近位端は電子ユニットに接続されている。遠位端は第2の電源接点に接続されている。第1および第2の電源導体経路は、保護キャップの二次または一次電池によって提供することができる電力または電気エネルギーを電子ユニットに供給するように構成されている。
【0075】
他の例では、第1の電源導体経路は、第1の長尺状デバイス構成要素から区別される別のデバイス構成要素の上または内部に位置してもよい。第1および第2の電源導体経路は、第4のデバイス構成要素、たとえば駆動ユニットの長尺状ハウジング構成要素の上または内部に設けてもよい。
【0076】
さらなる例によれば、電子ユニットは充電式電池を含む。充電式電池は、保護キャップが第2のインターフェースに連結されたとき、保護キャップの第1の電源経路が第1の電源接点に接続されたとき、および保護キャップの第2の電源経路が第2の電源接点に接続されたとき、保護キャップの電気エネルギー源によって充電可能である。
【0077】
保護キャップのエネルギー源は、充電式電池として実装することができる。これは、駆動ユニットに組み付けられたときに電子ユニットに電力または電気エネルギーを提供するための一種のパワーバンクとして提供してもよい。第1および第2の導体経路と同様に、第1および第2の電源導体経路もまた、それぞれ、それぞれの電源導体経路伸長部を含むことができ、そこでは、電源導体経路伸長部は、電子ユニットの充電式電池に直接接続され、電源導体経路伸長部および電源導体経路は、接点によって、たとえば摺動接点によって、恒久的にまたは少なくとも一時的に電気的に接続される。このように、可動の第2のデバイス構成要素に位置する電子ユニットに電気エネルギーを供給することができる。
【0078】
原則的に、電源導体経路および任意選択的な電源導体経路伸長部は、第1および第2の導体経路および導体経路伸長部と同じかまたは同様の方法で実装することができる。
【0079】
別の態様によれば、本開示はまた、薬剤の用量を設定および投薬するための薬物送達デバイスに関する。薬物送達デバイスは、上述したような駆動ユニットを含む。薬物送達デバイスは、薬物容器を収容するようなサイズである容器ユニットをさらに含む。容器ユニットは、駆動ユニットの第1のインターフェースに連結するように構成された第1の相手方インターフェースを含む。第1の相手方インターフェースは、第1の相手方接点素子をさらに含む。第1の相手方接点素子は、第1の接点素子および第2の接点素子のうちの少なくとも一方に電気的に接続するように、かつ/または第1の接点素子と第2の接点素子との間に電気的接触を提供するように構成されている。
【0080】
第1の相手方接点素子が、駆動ユニットの第1の接点素子および第2の接点素子のうちの少なくとも一方に電気的に接続するように構成されている場合、第1の相手方接点素子の電気的特性を電子ユニットによって検出することができる。ここで、異なる容器ユニットは互いに区別することができる。それらは、幾何学的構造によって、かつ/または、第1の相手方接点素子の電気的に測定可能な特性によって特徴付けることができる。
【0081】
さらに、駆動ユニットの第1のインターフェースにまたはその中に、多種多様な接点素子を設けることができる。容器ユニットは、第1の相手方接点素子の幾何学的位置および幾何学的形状のうちの少なくとも一方によって電気的にコード化することができる。容器ユニットの1つの例では、第1の相手方接点素子は第1の位置に設けることができる。第2の容器ユニットでは、第1の相手方接点素子は、第1の位置とは異なる第2の位置に設けることができる。駆動ユニットと適切に接続されると、第1の容器ユニットの第1の相手方接点素子は、第1の電気接点素子と排他的に接触することができる。第2の容器ユニットが第1のインターフェースに連結されると、第1の相手方接点素子は、たとえば駆動ユニットの第2の電気接点素子と、電気的に接触することができる。このように、第1の相手方接点素子の位置または形状によって区別される容器ユニットを、電子ユニットによって電子的に検出することができる。
【0082】
他の例では、第1の相手方接点素子は、第1の電気接点素子と第2の電気接点素子との間に電気的接触を提供する。これは、第1および第2の接点素子とそれぞれの第1および第2の導体経路とによって提供される電気回路を閉じることができる。
【0083】
長手方向および/または周方向位置によって区別される、駆動ユニットの第1のインターフェースの上または中に、多数の第1、第2、ならびに第3および/または第4の電気接点素子を設けることができる。容器ユニットの第1の相手方接点素子は、駆動ユニットの2つの選択された電気接点素子間に電気的接触を提供するように電気的にコード化することができる。
【0084】
1つの例では、容器ユニットの第1の相手方接点素子は、駆動ユニットの第1および第2の電気接点素子間に電気的接触を提供することができる。別の例では、第1の相手方接点素子は、駆動ユニットの第1のインターフェースの第1および第3の電気接点素子間に電気的接触を提供する。
【0085】
さらなる例によれば、薬物送達デバイスはペン型注射器として実装される。これは、患者の皮膚を貫通する注射針によって薬剤を注射するように構成された手持ち式薬物送達デバイスを含むことができる。薬物送達デバイスは、薬剤で充填され、容器ユニットの内部に配置されている、薬剤容器を含むことができる。
【0086】
典型的には、駆動ユニットは、駆動ユニットハウジングの遠位端に機械的コネクタを含む。容器ユニットは、近位端に相補的な形状のコネクタまたは締結具を含む。したがって、容器ユニットの近位端は、駆動ユニットの遠位端に連結可能、たとえば解放可能に連結可能である。駆動ユニットの遠位端に設けられ、容器ユニットの近位端に設けられる、相互に対応するコネクタまたは締結具は、スナップ連結、バヨネット連結、およびねじ込み連結のうちの1つとして実装することができる。典型的には、駆動ユニットおよび容器ユニットのうちの一方は、駆動ユニットおよび容器ユニットのうちの他方のレセプタクルと相補的な形状のインサートを含む。インサートは、容器ユニットを駆動ユニットに確実に固定するために、レセプタクルに嵌まるようなサイズおよび形状を有しており、その逆も同様である。
【0087】
さらに別の態様において、本開示は、上述したような第1の薬物送達デバイスを含み、上述したような第2の薬物送達デバイスを含む、キットに関する。第1および第2の薬物送達デバイスは、各々、上述のような駆動ユニットを含む。第1の薬物送達デバイスは、第1の薬物容器のための第1の容器ユニットを含む。第1の容器ユニットは、電気的にコード化された第1の相手方接点素子を有する第1の相手方インターフェースを含む。第2の薬物送達デバイスは、第2の薬物容器のための第2の容器ユニットを含む。第2の容器ユニットは、電気的にコード化された第2の相手方接点素子を有する第1の相手方インターフェースを含む。
【0088】
第1の容器ユニットの第1の相手方接点素子は第2の相手方接点素子から区別される。第1の容器ユニットおよび第2の容器ユニットの区別される構成は、容器ユニットが駆動ユニットに連結されたときに、それぞれの駆動ユニットの電子ユニットによって検出可能である。ここで、駆動ユニットの第1のインターフェースの第1の電気接点素子と第2の電気接点素子との間の電気的接触は、第1の相手方インターフェースの相手方接点素子によって変更される。
【0089】
他の例では、駆動ユニットの第1のインターフェースの第1および第2の電気接点素子は、各々、第1の相手方インターフェースの相手方接点素子と接触する。第1の相手方接点素子は第2の相手方接点素子から電気的に区別されるため、駆動ユニットの電子ユニットは、それぞれの容器ユニットが駆動ユニットに連結されたときに、第1および第2の薬物容器のうちの一方のそれぞれのタイプを検出することができ、かつ/または検出するように構成されている。
【0090】
いくつかの例では、さまざまな容器ユニットは、たとえば、駆動ユニットの第1の電気接点素子および第2の電気接点素子のうちの少なくとも一方と電気的に接触するように構成された少なくとも1つの電気的にコード化された相手方接点素子の構成によって、電気的にコード化される。
【0091】
他の例では、容器ユニットは、第2の経路遠位端と第1の経路遠位端とを電気的に接続することができる、駆動ユニットの電気接点または電気コネクタのさまざまな位置または動きを誘起するように機械的にコード化される。
【0092】
概して、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって定義される。注射デバイスは、特定の実施形態または例に限定されず、異なる実施形態または例の要素の任意の組合せを含む。その限りにおいて、本開示は、特許請求の範囲の任意の組合せ、および異なる例または実施形態に関連して開示する構成の技術的に実現可能な任意の組合せを包含する。
【0093】
この文脈では、「遠位」または「遠位端」という用語は、人または動物の注射部位の方に面する注射デバイスの端部に関連する。「近位」または「近位端」という用語は、人または動物の注射部位から最も遠い、注射デバイスの反対側の端部に関連する。
【0094】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0095】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含みうる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられうる。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0096】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルでありうる。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約2年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約-4℃~約4℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジでありうるか、またはそれを含みうる。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0097】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2014年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0098】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかでありうる。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0099】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0100】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0101】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0102】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0103】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0104】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0105】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0106】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体でありうる。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体でありうる。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0107】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含みうるが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0108】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与しうるか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼしうる。
【0109】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0110】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0111】
以下では、薬物送達デバイスを使用するためにユーザを認証する方法の多数の例、ならびに認証システム、電子回路、薬物送達デバイス、補助デバイス、および携帯型電子デバイスの多数の実施態様を含む多数のハードウェア構成について、図面を参照することによって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【
図1】薬物送達デバイスの一例の長手方向断面を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の薬物送達デバイスの駆動ユニットの拡大図である。
【
図3】第1および第2のデバイス構成要素の一部の拡大図である。
【
図4】ロック解除または解放形態にある電気機械式アクチュエータの拡大図である。
【
図5】作動しているときの電気機械式アクチュエータを示す図である。
【
図6】典型的な使用のシナリオの間の導体経路および/または電気制御経路のうちの少なくとも一方の電圧の図である。
【
図7】エネルギーリザーバが設けられた保護キャップを有する薬物送達デバイスのさらなる例を示す図である。
【
図8】
図7による保護キャップの遠位端の拡大図である。
【
図9】保護キャップを駆動ユニットにまたは薬物送達デバイスに締結するためのインターフェースおよび相手方インターフェースの一例を示す図である。
【
図10】電気接点素子および相手方接点素子を有するインターフェースの一例を示す図である。
【
図11】
図10によるインターフェースの別の例を示す図である。
【
図12】
図10によるインターフェースのさらなる例を示す図である。
【
図13】
図10のインターフェースのさらなる例を示す図である。
【
図14】インターフェースおよび相手方インターフェースにわたって設けられた導電または電源経路のさらなる概略的な例を示す図である。
【
図15】相手方インターフェースに連結されたインターフェースの一例の横断面を示す図である。
【
図16】駆動ユニットの第1のインターフェースに締結されるように構成された、容器ユニットの近位端に設けられた相手方インターフェースの一例を示す図である。
【
図17】係合したときの
図16によるインターフェースを示す図である。
【
図18】
図16によるインターフェースおよび相手方インターフェースの別の例を示す図である。
【
図19】相互に係合したときの
図18のインターフェースを示す図である。
【
図20】インターフェースの係合前または係合中の断面A-Aを示す図である。
【
図21】インターフェースが相互に係合しているときの断面A-Aを示す図である。
【
図22】駆動ユニットの第1のインターフェースと締結されるように構成された、異なる容器ユニットの相手方インターフェースの複数の例を示す図である。
【
図23】駆動ユニットの第1のインターフェースの断面を示す図である。
【
図24】外部電子デバイスと通信するように構成された薬物送達デバイスのブロック図である。
【
図25】容器ユニットの相手方インターフェースと係合する、駆動ユニットの第1のインターフェースの別の例を示す図である。
【
図26】相互の組み立てもしくは係合前または組み立てもしくは係合中のインターフェースの拡大図である。
【
図27】インターフェースが係合しているかまたは連結されているときの
図26の例を示す図である。
【
図28】相互の組み立て前または組み立て中の容器ユニットの相手方インターフェースと動作する第1のインターフェースの他の例を示す図である。
【
図29】最終組み立て形態にあるときの
図28によるインターフェースを示す図である。
【
図30】長手方向断面における駆動ユニットの別の例を示す図である。
【
図33】薬物送達デバイスのさらなる例の長手方向断面の図である。
【
図34】
図33の薬物送達デバイスの駆動ユニットの断面を示す図である。
【
図37】遠位側から見た場合の断面C-Cの図である。
【
図38】
図34による駆動ユニットの近位端またはその近くの摺動接点配置の概略図である。
【
図41】駆動ユニットおよび/または薬物送達デバイスを使用または動作させる1つの例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0113】
図1、
図2、
図7、および
図30は、薬物送達デバイス1の例示的な実施形態を断面図で示す。薬物送達デバイス1は可変用量デバイスであり、投薬予定の薬物の異なる用量を、ユーザがそれぞれ設定またはダイヤル設定することができる。薬物送達デバイスは、ダイヤル伸長ペンである。
【0114】
図1はまた、本明細書において部材または要素または構成の位置を指定するために使用する座標系も示す。遠位方向Dおよび近位方向Pは、長手方向軸Aに平行に伸びている。長手方向軸Aは、デバイス1の主伸長軸である。半径方向Rは、長手方向軸Aに対して垂直であるとともに長手方向軸Aと交差する方向である。周方向とも称する、接線方向は、半径方向Rに対してかつ長手方向軸Aに対して垂直な方向である。
【0115】
薬物送達デバイス1は、設定機構および投薬機構を有する駆動ユニット3を含む。設定機構は、薬物用量を設定するように構成され、投薬機構は、薬物用量を投薬するように構成されている。以下、これら機構の機能原理についてさらに説明する。
【0116】
駆動ユニット3は、内側本体10と、以下では外側本体11とも称するハウジング要素11とを含む。内側本体10と外側本体11とは互いに固定して連結されており、すなわち、互いに対して回転することも軸方向に移動することもできない。外側本体11は、ユーザが触れるかまたはつかむことができる、薬物送達デバイス1の外面を形成している。
【0117】
薬物送達デバイス1は、保護キャップ14と、つまみ13の形態のユーザインターフェース部材13とをさらに含む。つまみ13は、薬物用量を設定するためにユーザによって操作されるように構成された用量設定部材である。同時に、つまみ13は、薬物用量を投薬するためにユーザによって操作されるように構成された用量投薬部材である。
【0118】
容器ユニット2とも称する薬物リザーバユニット2は、リザーバ16を含み、リザーバホルダ15がキャップ14内に受け入れられている。リザーバ16は、薬物または薬剤で充填されている。リザーバ16は、ストッパ17によって近位方向Pに封止されている。
【0119】
リザーバユニット2は、駆動ユニット3に、それぞれ作動的に結合または連結されている。駆動ユニット3は、薬物リザーバ16に作用することにより、薬物用量を投薬するための投薬プロセスを有効にするように構成されている。薬物用量を投薬するために、ストッパ17は、駆動ユニット3のプランジャロッド29によって遠位方向Dに押される。注射針18が薬物リザーバに連結されると、薬剤の用量を生体組織内に注射することができる。
【0120】
駆動ユニット3とリザーバユニット2との連結は、スナップ連結またはねじ連結であってもよい連結インターフェースを介して、内側本体10がリザーバホルダ15に連結されることによって実現される。連結は、好ましくは可逆的である。たとえば、容器ユニット2は、この連結により、内側本体10に軸方向にかつ回転不能に固定されている。
【0121】
駆動ユニット3は、互いに固定して連結されている(たとえば、互いに対して回転することも軸方向に移動することもできない)数字スリーブ26およびダイヤルスリーブ27をさらに含む。ダイヤルスリーブ27は、内側本体10のおねじ山と係合するめねじ山を含むことができる。数字スリーブ26の外面に、数字を表示することができる。ユーザは、窓12を通して数字を見ることができる。窓12は、レンズを含むことができる。窓12は、外側本体11に形成されている。窓12に可視である数字は、設定された/ダイヤル設定された用量をユーザに示す。ダイヤルスリーブ27と内側本体10とのねじ連結により、ダイヤルスリーブ27および数字スリーブ26は、後にさらに説明するように、薬物用量を設定する間および薬物用量を投薬する間、本体10、11に対して近位方向にらせん経路上を移動する。
【0122】
駆動ユニット3は、駆動スリーブも含む。駆動スリーブは、遠位駆動スリーブ20と、近位駆動スリーブ21と、遠位駆動スリーブ20を近位駆動スリーブ21に連結する駆動スリーブ連結器22とを含む。薬物用量を設定し、薬物用量を投薬するために、遠位駆動スリーブ20と近位駆動スリーブ21とは、駆動スリーブ連結器22を介して互いに固定して連結され、それにより、これらの要素は、互いに相対的に回転することも軸方向に移動することもできない。遠位駆動スリーブ20は、プランジャロッド29のおねじ山と係合するめねじ山を含むことができる。遠位駆動スリーブ20のおねじ山を、最終用量ナット30のめねじ山に係合させることができ、最終用量ナットの機能については、後にさらに説明する。
【0123】
さらに、駆動ユニット3はクラッチ28を含み、クラッチ28はつまみ13に固定して連結されており、そのため、薬物用量を設定する間および薬物用量を投薬する間、クラッチ28およびつまみ13は互いに対して回転せず軸方向に移動もしない。クラッチ28は、スプライン連結係合を介して近位駆動スリーブ20に連結されている。このスプライン連結係合により、近位駆動スリーブ21に対するクラッチ28のある一定の軸方向運動を可能にすることができるが、これら2つの要素間の相対回転は可能にならない。
【0124】
クラッチ28と駆動スリーブ連結器22との間に、駆動ユニット3の遠位クリッカ23、近位クリッカ24、およびクラッチばね25が配置されている。クラッチばね25は、駆動スリーブ連結器22と遠位クリッカ23とに連結されている。遠位クリッカ23は、近位方向Pにおいて、近位クリッカ24に当接するように構成されている。近位クリッカ24は、近位方向Pにおいてクラッチ28に当接するように構成されている。したがって、クラッチばね25は、遠位クリッカ23、近位クリッカ24、およびクラッチ28を駆動スリーブ連結器22に対して近位方向Pに付勢するように構成されている。
【0125】
遠位クリッカ23を、近位駆動スリーブ21に恒久的にスプライン連結して、これら2つの要素間の相対回転が防止されるようにしてもよい。しかしながら、遠位クリッカ23と近位駆動スリーブ21との間のある一定の軸方向運動を可能にしてもよい。近位クリッカ24を、内側本体10に恒久的にスプライン連結して、これら2つの要素間の相対回転は防止されるが、ある一定の相対的な軸方向運動は可能にすることができるようにしてもよい。
【0126】
クラッチ28の遠位面と近位クリッカ24の近位面とは、これら2つの面が互いに係合することができるように、ともに歯付きであってもよい。さらに、近位クリッカ24の遠位面と遠位クリッカ23の近位面とは、これら2つの歯付き面が互いに係合することができるように、ともに歯付きであってもよい。クラッチ28の近位面は歯付き、たとえばドッグ歯付きであってもよく、ダイヤルスリーブ27の歯付き、たとえばドッグ歯付きの遠位面に係合するように配置してもよい。
【0127】
図1は、用量が設定されていないとき(0単位/0単位位置)の薬物送達デバイス1を示す。用量の設定は、離散的な1の単位、たとえば0~80単位で可能にすることができる。所望の薬物用量を設定するために、ユーザは、つまみ13を回転させなければならない。これは、つまみ13を遠位方向Dに押さずに行われる。つまみ13を遠位方向Dに押さない限り、クラッチばね25がクラッチ28を近位方向Pに付勢するか、または少なくともクラッチ28が自然に遠位方向Dに移動するのを阻止するため、クラッチ28とダイヤルスリーブ27との間のドッグ歯係合が確立される。クラッチ28とダイヤルスリーブ27との間のドッグ歯係合により、結果として、2つの要素は互いにロックされ、それにより、つまみ13が回転すると、ダイヤルスリーブ27および数字スリーブ26も回転する。ダイヤルスリーブ27は内側本体10にねじ係合しているため、つまみ13を回転させると、結果として、つまみ13、クラッチ28、ダイヤルスリーブ27、および数字スリーブ26が、本体10、11に対して近位方向Pにらせん経路上を移動する。これにより、窓12を通して可視の数字スリーブ26の数字が増加する。
【0128】
近位駆動スリーブ21はクラッチ28にスプライン連結されているため、近位駆動スリーブ21、ならびに、それとともに遠位駆動スリーブ20および駆動スリーブ連結器22もまた、内側本体10に対して近位方向Pにらせん経路上を移動する。
【0129】
プランジャロッド29は、互いに重なり合う、反対の巻き方向の2つのおねじ山を含む。プランジャロッド29は、遠位駆動スリーブ20のめねじ山とねじ係合している。これらのねじ山は、遠位駆動スリーブ20の近位方向Pにおけるらせん運動の間、プランジャロッド29が回転せず、軸方向にも移動しないように、選択されている。
【0130】
最終用量ナット30は、内側本体10にスプライン連結することができ、したがって、内側本体10に対して回転することができない。最終用量ナット30が遠位駆動スリーブ20とねじ係合しているため、最終用量ナット30は、薬物用量を設定する間、近位方向Pに強制的に動かされる。最大用量が設定された(1回の薬物設定プロセスで設定されたか複数回の薬物設定プロセスで設定されたかに関わらず、たとえば、80単位の最大用量が設定された)とき、最終用量ナット30は、遠位駆動スリーブ20と回転ロックインターフェースを確立し、それにより、最終用量ナット30は、遠位駆動スリーブ20に対してそれ以上回転することができなくなる。この結果、遠位駆動スリーブ20はそれ以上回転することができず、それ以上の薬物用量を設定することができない。薬物送達デバイス1は、その後、その初期状態にリセットしなければならない。
【0131】
薬物用量を設定する間、遠位クリッカ23と近位クリッカ24との互いに面する歯付き面は、ラチェット式に互いを乗り越え、それによって、ユーザに薬物用量が設定されたことを示すクリック音を引き起こす。この目的のために、2つの面の歯は好ましくは浅い三角形として形成され、それにより、クリッカ23とクリッカ24との間の相対回転が可能であり、クラッチばね25がわずかな圧縮および伸張を繰り返すことになる。
【0132】
所望の用量を設定した後、ユーザは、これで、設定した薬物用量を投薬するためにつまみ13を遠位方向Dに押すことができる。これにより、つまみ13に対する遠位方向に向けられた力は、つまみ13からクラッチ28を介して近位クリッカ24に、近位クリッカ24から遠位クリッカ23に伝達され、この力がクラッチばね25を圧縮する。ここで、2つのクリッカ23および24は互いに押し付けられ、それらの歯付き面が係合する。ここで、2つのクリッカ23、24間の相対回転は阻止される。近位クリッカ24は内側本体10にスプライン連結され、遠位クリッカ23は近位駆動スリーブ21にスプライン連結されているため、近位駆動スリーブ21は、内側本体10に対してそれ以上回転することができなくなる。しかしながら、近位駆動スリーブ21はクラッチ28にもスプライン連結されているため、クラッチ28およびつまみ13は、内側本体10に対してそれ以上回転することができなくなる。
【0133】
つまみ13に加えられる遠位方向に向けられた力により、結果として、すでに述べたように、クラッチ28がつまみ13とともに、ダイヤルスリーブ27に対して遠位方向Dにわずかに移動し、それにより、クラッチばね25が圧縮される。これによって、ダイヤルスリーブ27とクラッチ28との間のドッグ歯係合が解除され、それにより、ダイヤルスリーブ27は、クラッチ28に対してそれ以上回転不能にロックされなくなる。したがって、つまみ13が遠位方向Dに押されたとき、ダイヤルスリーブ27は、数字スリーブ26とともに、内側本体10に対して依然として回転することができる。ここで、つまみ13が遠位方向Dに動かされると、ダイヤルスリーブ27に対する止め具が、ダイヤルスリーブ27もまた遠位方向Dに強制的に移動させる。ダイヤルスリーブ27が内側本体10とねじ係合しているため、ダイヤルスリーブ27は数字スリーブ26とともに、遠位方向Dにらせん経路上を移動する。これにより、窓12で可視の数字スリーブ26の数字が減少する。
【0134】
同時に、クラッチ28、クリッカ23、24、および駆動スリーブ20、21、22は、遠位方向Dに(回転せずに)強制的に動かされる。プランジャロッド29と遠位駆動スリーブ20との間のねじ係合が、プランジャロッド29を強制的に回転させる。次いで、プランジャロッド29と内側本体10のめねじ山との間のさらなるねじ係合が、設定された薬物用量を投薬するためにカートリッジ16内部のストッパ17を遠位方向Dに押すために、プランジャロッド29を強制的に遠位方向に移動させることができる。投薬中、遠位駆動スリーブ20は回転しないため、最終用量ナット30は、遠位駆動スリーブ20に対するその位置を変えることなく、遠位駆動スリーブ20とともに遠位方向Dに移動する。
【0135】
設定された薬物用量を投薬した後、つまみ13が完全にその初期位置に戻されたとき、つまみ13を近位方向Pにらせん経路上を再び回転させることにより、新たな薬物用量を設定することができる。この間、プランジャロッド29はその位置を変えない。用量を投薬するときのみ、プランジャロッド29は遠位方向Dに動かされる。
【0136】
図1に関して説明したように、つまみ13の形態の1つのユーザインターフェース部材は、薬物用量を設定するとともに、薬物用量を投薬するためにも使用される。しかしながら、薬物用量を設定および投薬するために別々のユーザインターフェース部材を使用することも可能である。
【0137】
注射デバイス1とともに実装される駆動ユニット3のさらなる例は、WO2014/033195A1またはWO2014/033197A1に見出すことができ、それらの全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0138】
図2~
図33は、
図1の薬物送達デバイス1であるが、
図1とは異なる図で、かつより詳細に示す。
図2は、詳細のうちのいくつかをより良く説明するために、薬物送達デバイス1の近位部分のみを示す。
【0139】
薬物送達デバイス1は、すべて機械的に実装されるペン型注射デバイスとして提供される。したがって、薬剤を注射するために必要な力は、すべてデバイスのユーザによって与えられる。薬物送達デバイス1は、使い捨てデバイスとして実装することができる。このようなデバイスは、薬物容器16に提供された薬剤が使い切られたときに廃棄されるように意図されている。他の例では、薬物送達デバイスは、再使用可能なデバイスとして実装される。ここで、薬物送達デバイスの近位部分を形成または構成する駆動ユニット3には、容器ユニット2との機械的解放可能な連結を提供する連結インターフェース8が設けられている。薬物送達デバイスは、さらなる連結インターフェース7をさらに含むことができ、これにより、保護キャップ14は、ハウジング6、たとえば駆動ユニットハウジング9およびカートリッジホルダ15のうちの少なくとも一方に取り外し可能に固定可能である。概して、薬物送達デバイスのハウジング6は、容器ユニット2と連結されたまたは連結可能な近位に位置する駆動ユニットハウジング9を含む。容器ユニット2は、薬物送達デバイス1の遠位ハウジング構成要素としての役割を果たすカートリッジホルダ15を含む。カートリッジホルダ15は、典型的には、薬物送達デバイスが使用されていないとき、保護キャップ14によって覆われるべきである。
【0140】
図2により詳細に示すように、駆動ユニット3には、電子ユニット70が設けられている。電子ユニット70は、用量ボタン13によって覆われた中空空間内に配置されている。電子ユニット70は、駆動ユニット3の近位端5の近くにまたは近位端5に設けられている。反対側に位置する遠位端またはその近くにおいて、駆動ユニット3は、第1のインターフェース110を含む。第1のインターフェース110には、第1の電気接点素子111および第2の電気接点素子112が設けられている。第1および第2の電気接点素子111、112は、駆動ユニット3の遠位端4にあるレセプタクル内に設けることができる。レセプタクルは、カートリッジホルダ15の相補的な形状の挿入セクションを受けるようなサイズとしかつそのように構成することができる。
【0141】
第1の電気接点素子111は、第1の長尺状デバイス構成要素40の上または内部に位置する、第1の導体経路141と接続されている。ここで図示する例では、第1の長尺状デバイス構成要素40は、駆動ユニット3の内側本体10によって提供される。代替的に、上述したように、駆動ユニット3の他の任意の長尺状構成要素によって提供してもよい。
【0142】
第1のデバイス構成要素40は、幾分か管状かつ長尺状の形状を有する。図示するように、第1の導体経路141は、第1のデバイス構成要素40の側壁41の内面43に沿って延びている。同様に、第2の導体経路151が設けられている。第2の導体経路151もまた、第1の長尺状デバイス構成要素40の側壁41の内面43に設けられている。
【0143】
第1および第2の電気接点素子111、112は、第1のハウジング構成要素の遠位方向に面する長手方向端面44に設けられている。ここで、第1および第2の導体経路141、151の長手方向端部、すなわち遠位端142、152は、それぞれ第1および第2の電気接点素子111、112と恒久的に電気的に接触している。反対側の長手方向端部では、第1の長尺状デバイス構成要素40は、近位に面する長手方向端面45を含む。
【0144】
第1および第2の導体経路141、151の近位端143、153は、それぞれの長手方向端面45で終端している。
図2に示すように、近位端143、153は、第1のデバイス構成要素40の長手方向端面45において半径方向外向きに延びている。
【0145】
駆動ユニット3は、ここではダイヤルスリーブ27および/または数字スリーブ26として実装されている、少なくとも第2のデバイス構成要素60をさらに含む。第2のデバイス構成要素60もまた管状の形状である。代替的にかつ概して、第2のデバイス構成要素は、第1のデバイス構成要素40に対して可動である、上述したような駆動ユニット3の任意の構成要素によって表してもよい。
【0146】
第1のデバイス構成要素40は、第2のデバイス構成要素60の内部に位置している。第2のデバイス構成要素60の管状の側壁61は、第1のデバイス構成要素14の外面42を囲んでいる。さらに、第1のデバイス構成要素40と第2のデバイス構成要素60とは、ねじ係合している。したがって、第1のデバイス構成要素40の外面42には、ねじ付きセクション46が設けられており、このねじ付きセクション46は、第2のデバイス構成要素60の内面63にある対応する形状のねじ付きセクション66とねじ係合する。このように、第2のデバイス構成要素60は、らせん経路に沿って第1のデバイス構成要素40に対して可動である。
【0147】
第2のデバイス構成要素60の側壁61の内側に、たとえば、たとえばダイヤルスリーブ27によって形成された第2のデバイス構成要素60の近位端に向かって、第1の導体経路伸長部145および第2の導体経路伸長部155が設けられている。第1および第2の導体経路伸長部145、155は、第2のデバイス構成要素60の側壁61の側面63に設けられている。
【0148】
第1の導体経路伸長部145および第2の導体経路伸長部155は、多数の巻きを有するらせん巻き構造を有する。第1の導体経路伸長部145のらせん巻き構造および第2の導体経路伸長部155のらせん巻き構造は、第2のデバイス構成要素60の側壁61の内面63に入れ子式にまたは渦巻き状に配置することができる。近位端65に向かって、第1および第2の導体経路伸長部145、155は、かなり直線状であり、さらに電子ユニット70に電気的に接続されている。
【0149】
図2に示すように、第1の導体経路141の近位端143は、第1の導体経路伸長部145と摺動接触している。この摺動接点144の詳細は、
図31および
図32に関してさらに説明する。同様に、第2の導体経路153の近位端153には、第2の導体経路伸長部155と面接触している摺動接点154が設けられている。
【0150】
第1および第2の導体経路伸長部145、155のらせん構造は、第1のデバイス構成要素40と第2のデバイス構成要素60との間のねじ係合と同じリードを有する。このように、たとえば第2のデバイス構成要素60が第1のデバイス構成要素40に対してらせん運動をする場合、第1の導体経路141と第1の導体経路伸長部145との間の電気的接触が維持される。同じことが、第2の導体経路151および第2の導体経路伸長部155にも適用される。
【0151】
図2~
図5には、第1の電気制御経路181および第2の電気制御経路191がさらに示されている。第1および第2の電気制御経路181、191は、電子ユニット70から、薬物送達デバイス1の近位端5から長手方向に距離をおいて設けられた電気機械式アクチュエータ50に向かって延びている。第1の電気制御経路181は、電子ユニット70に恒久的に接続された近位端183を含む。同様に、第2の電気制御経路191は、電子制御ユニット70に恒久的に接続された近位端193を含む。電子制御ユニット70は、第2のデバイス構成要素60の近位端に配置されるかまたは取り付けられている。電子制御ユニット70は、第2のデバイス構成要素60の近位端面に位置していてもよい。
【0152】
第1の電気制御経路181および第2の電気制御経路191は、第2のデバイス構成要素60の上または内部に位置している。それらは、第2のデバイス構成要素60の側壁61に沿ってまたは側壁61内で長手方向に延びている。
図2~
図5に示すように、電気機械式アクチュエータ50は、内側本体10の上または中に設けられている。電気機械式アクチュエータ50は、第1のデバイス構成要素40と一体的に形成してもよい。電気機械式アクチュエータ50は、長手方向Aに延びる曲げアーム55を含むことができる。電気機械式アクチュエータ50は、その近位端に向かってまたはその近位端に自由端を含む。曲げアーム55の近位端または自由端には、第2のデバイス構成要素60に設けられた相補的な形状の凹部54と係合する、半径方向内向きに延びる突出部53が設けられている。
【0153】
電気機械式アクチュエータ50は、たとえば、
図4および
図5に示すように外側本体11の上または内部に設けられた、第1の磁石51を含む。電気機械式アクチュエータ50は、磁石51と長手方向に位置合わせされている第2の磁石52をさらに含む。第2の磁石52は、電磁石として実装することができる。第2の磁石52は、第1の制御経路伸長部185および第2の制御経路伸長部195と電気的に接続されている。第1および第2の制御経路伸長部185、195を介して電流を提供することにより、第2の磁石52は、磁場を発生させ、たとえば第1の磁石51の静磁場と相互作用し、第1の磁石51と第2の磁石52との間の引力または反発をもたらす。
【0154】
曲げアーム55は、半径方向に弾性変形可能である。電磁石52を駆動電流で好適に駆動することにより、曲げアーム55の、したがって突出部53の半径方向に向けられた動きを誘起することができる。このように、電磁石52に電流を印加することにより、突出部53と、第2のデバイス構成要素60の外面に設けられる複数の凹部54のうちの1つとの間の機械的な係合を確立するかまたは無効にすることができる。
【0155】
図4に、ロック解除構成が図示されており、そこでは、曲げアーム55、したがってその突出部53は凹部54と係合していない。
図5では、電磁石52の作動または起動により、突出部53の半径方向内向きに向けられた動きがもたらされ、それによって突出部53が凹部54と係合する。曲げアーム55が内側本体10に固定して取り付けられているため、第2のデバイス構成要素60、特に数字スリーブ26は、回転しないようにロックされている。したがって、
図5に示すようなロック形態では、用量の設定および用量の注射のうちの少なくとも一方がロックされている。
【0156】
他の例では、電気機械式アクチュエータ50が停止状態にされるかまたは初期状態にあるとき、ロッキング機構56が起動され、したがって突出部53は凹部54と係合している。そのため、デフォルトで、インターロック、したがってロッキング機構56は起動される。電気機械式アクチュエータ50の起動、たとえば電磁石52に電流を印加することにより、ロッキング機構56のロックが解除される。
【0157】
電磁石52を起動するかまたは停止状態にするための制御信号は、電子ユニット70によって生成および提供される。制御信号は、
図3により詳細に示すように、第1および第2の電気制御経路181、191、ならびに第1の電気制御経路181と第1の制御経路伸長部185との間の相互電気接触構成を介するとともに、第2の電気制御経路191および第2の制御経路伸長部195を介して、伝送される。
【0158】
第1および第2の制御経路伸長部185、195は、各々、曲げアーム55に設けられた電磁石52に接続された近位端を含む。第1および第2の制御経路伸長部185、195は、曲げアーム55の上に設けても内部に設けてもよい。それらは互いに電気的に絶縁されている。
図2に示すように、曲げアーム55の遠位端に向かって、第1および第2の制御経路伸長部185、195は、曲げアーム55と一体的に形成してもよい第1の長尺状デバイス構成要素40の側壁41の外面42に向かってかつその上に延びている。
【0159】
図3に示すように、第1および第2の制御経路伸長部185、195は、外面42上にらせん構造で設けられている。第1および第2の制御経路181、191は、第1のデバイス構成要素40とねじ係合している第2のデバイス構成要素60の上にまたはそれを貫通して延びている。
図3に示すように、第1の電気制御経路181の遠位端182は、摺動接点184を介して第1の制御経路伸長部185に接続されている。同様に、第2の電気制御経路191の遠位端192は、さらなる摺動接点194の第2の制御経路伸長部195と接続されている。
【0160】
第1および第2の制御経路伸長部185、195のらせん構造のリードは、第1のデバイス構成要素40の相補的な形状のねじ付きセクション46とねじ係合している第2のデバイス構成要素60のねじ付きセクション66のリードと実質的に等しい。このように、第2のデバイス構成要素60が、たとえば用量の設定および/または投薬中に、第1のデバイス構成要素40に対して相対的にらせん運動をするとき、第1および第2の電気制御経路181、191とそれぞれの第1および第2の制御経路伸長部185、195との間の電気的接触を維持することができる。
【0161】
図7および
図8に示すようなさらなる例では、薬物送達デバイス1、したがって駆動ユニット3は、第1の電源導体経路161および第2の電源導体経路171を含む。駆動ユニット3は、駆動ユニットハウジング9の遠位端4に設けられた第2のインターフェース120を含む。第2のインターフェース120は、第1の電源導体経路161と電気的に接続された第1の電源接点121を含む。第2のインターフェース120は、第2の電源導体経路171に電気的に接続された第2の電源接点122をさらに含む。ここで、第2のインターフェース120は、電気インターフェース130を形成するかまたは構成することができる。
【0162】
第1および第2の電源接点121、122は、保護キャップ14の近位端に設けられた相手方インターフェース220の相補的な形状の第1および第2の相手方電源接点221、222と電気的に接触するように構成されている。相手方電源接点221、222は、保護キャップ14の中または上に設けられたエネルギーリザーバ250と電気的に接続されている。たとえば二次電池として実装される、エネルギーリザーバ250は、第1の電源経路261を介して第1の相手方電源接点221に電気的に接続されている。第2の相手方電源接点222は、第2の電源経路271によってエネルギーリザーバ250と接続されている。
図7に示すように、第1の電源経路261の遠位端262は、電気エネルギーリザーバ250と接続されている。近位端263は、第1の相手方電源接点221に電気的に接続されている。同様に、第2の電源経路271の遠位端272は、電気エネルギーリザーバ250に電気的に接続されている。
【0163】
第1および第2の電源経路261、271は、本体240の中空レセプタクル244の側壁241の内面245に設けられており、このレセプタクルは、カートリッジホルダ15を受けるようなサイズである。他の例(図示せず)では、第1および第2の電源経路261、271は、本体240の側壁241の外面246にも設けることができる。
【0164】
電源経路271の反対側に位置する近位端273は、第2の相手方電源接点222に電気的に接続されている。
図7に示すように、第1および第2の電源経路261、271は互いに電気的に絶縁されている。それらは、保護キャップ14のキャップ本体240の側壁241の内面に設けられている。電気エネルギーリザーバ250は、キャップ本体240の遠位端242にまたはその近くに位置している。相手方電源接点221、222は、保護キャップ14の近位端243にまたはその近くに位置している。
【0165】
保護キャップ14が薬物送達デバイス1に適切に組み付けられるとき、第1の電源接点121は、第1の相手方電源接点221に電気的に接続される。同様に、第2の電源接点122は、第2の相手方電源接点222に電気的に接続される。このように、第1および第2の電源導体経路161、171が電子ユニット70に電気的に接続されているため、電子ユニット70に電気エネルギーを提供することができる。特に、電子ユニット70の電池73は、保護キャップ14の電気エネルギーリザーバ250によって提供される電気エネルギーによって充電することができる。
【0166】
図7および
図30にさらに示すように、第1および第2の電源導体経路161、171は、第1および第2の電源導体経路伸長部165、175を介して電子ユニット70に間接的に接続されている。第1および第2の電源導体経路161、171は、外側本体11の側壁の外面に配置されている。同様に、それらは、外側本体11の内面に設けてもよい。代替的に、それらは、内側本体10の外面に、したがって第1のデバイス構成要素40の外面に設けてもよい。
【0167】
図30に詳細に示すように、電源導体経路伸長部165、175は、電子ユニット70に直接電気的に接続されている。これらは第2のハウジング構成要素60の外面62にらせん状に設けられている。第1および第2の電源導体経路161、171の近位端163、173は、ここでは外側本体11として実装されている第1のデバイス構成要素40の近位端で終端している。
【0168】
第1の電源導体経路161の近位端163は、摺動接点164を介して第1の電源導体経路伸長部165と電気的に接続されている。同様に、第2の電源導体経路171の近位端173は、別の摺動接点174によって第2の電源導体経路伸長部175に電気的に接続されている。このように、第2のデバイス構成要素60が第1のデバイス構成要素40に対してらせん運動をした場合でも、駆動ユニット3の遠位端4にまたはその近くに設けられた第1および第2の電源接点121、122と、駆動ユニット3の近位端5にまたはその近くに設けられる電子ユニット70との間に、恒久的な電気的接触を提供することができる。
【0169】
図8にさらに示すように、保護キャップ14に、プリント回路基板(PCB)251および論理回路255が設けられている。PCB251には、さらに電源コネクタ252が設けられている。電源コネクタ252は、エネルギーリザーバ250を再充電するように外部電源への電気接続を提供する。典型的には、エネルギーリザーバ250は、充電式電池として実装されている。エネルギーリザーバ250は、典型的には、電子ユニット70の電池73のそれぞれの蓄電容量よりも実質的に大きい蓄電容量を有する。
【0170】
さらに、保護キャップの上または中に、論理回路255に接続された信号発生器254を設けることができる。信号発生器254は、視覚信号、可聴信号、または触覚信号のうちの少なくとも1つを生成しかつ/または伝送するように動作可能である。このように、論理回路255は、たとえば、電子ユニット70との電気的接触の無効化が所定の時間間隔を超える状況では、自律的に警告信号を生成するように構成することができる。使用後に保護キャップ14が駆動ユニット3にまたは薬物送達デバイス1に再び組み付けられていない状況では、信号発生器254が生成する警告は、保護キャップ14を薬物送達デバイス1に戻すようにデバイスのユーザに思い出させることができる。
【0171】
さらに、電子回路255は、エネルギーリザーバ250の充電レベルを監視および/または検出するように動作可能であってもよい。論理回路255が、充電レベルが所定の最小閾値未満であることを検出した場合、論理回路255は、信号発生器254を介してそれぞれの警告を生成させるように構成してもよい。このように、デバイスのユーザに対して、エネルギーリザーバ250を再充電するために、保護キャップ14、したがって薬物送達デバイス1全体を外部電源に接続するように促すことができる。
【0172】
図30の例では、第1および第2の導体経路141、151は、外側本体11の内側に位置しかつ配置されている。第1および第2の導体経路伸長部145、155は、第2のハウジング構成要素60の側壁61の外面62に設けられかつ配置されている。ここで、第1および第2の導体経路伸長部145、155とともに、第1および第2の電源導体経路伸長部165、175は、第2のハウジング構成要素60の側壁61の外面62上に入れ子式にまたは渦巻き状に、したがって交互配置で配置されている。
【0173】
ここでもまた、さまざまな導体経路伸長部145、155、165、175のらせん構造のリードは、第1のデバイス構成要素40と第2のデバイス構成要素60との間のねじ係合のリードと実質的に同一である。
【0174】
図31および
図32による断面に、摺動接点144、154、164、174の1つの実施態様の詳細を示す。各摺動接点144、154、164、174は、少なくとも1つの機械的に付勢された接点導体146、156、166、176を含む。摺動接点144の例では、接点導体146は、第1の導体経路141および第1の導体経路伸長部145のうちの一方に接続されている。機械的に付勢された接点導体146は、第1のデバイス構成要素40の内部に設けられている第1の導体経路141と、第2のデバイス構成要素60の外面に設けられている第1の導体経路伸長部145との間の電気的接触を維持するように、半径方向に本質的に付勢されている柔軟なまたは弾性変形可能な導電性凸縁部として実装することができる。
【0175】
他の例では、機械的に付勢された接点導体146は、付勢ばね、すなわち接点ばねの作用に抗してまたはその作用下で可動の導電ピンを含んでもよい。
【0176】
さらなる接点導体156、166、176を同様に実装してもよい。
【0177】
図9~
図15には、第2のインターフェース120と保護キャップ14の相手方インターフェース220との間の機械的相互作用が示されている。ここで、インターフェース120、220間の機械的係合は、スナップ機能またはスナップ型の連結として実装される。第2のインターフェース120は、スナップ要素125として実装された締結具124を含む。スナップ要素125は、その遠位端に半径方向突出部126を含み、長手方向にそれに続いて凹部127を含む。したがって、相手方インターフェース220は、相補的な形状の相手方締結具224またはそれぞれの相手方締結具構造を含む。相手方締結具224は、相補的な形状の相手方スナップ要素225を含む。相手方スナップ要素225は、その近位端に突出部227、たとえば半径方向突出部を含み、それに続いて凹部226を含む。適切に組み立てられると、突出部227は凹部127に係合し、突出部126は凹部226に係合する。
【0178】
図10~
図13にさらに示すように、電源接点121は、凹部127および突出部126のうちの一方の内側に設けてもよい。したがって、相補的な形状の相手方電源接点221は、突出部227と凹部226のうちの一方に設けられている。
図10および
図12の例では、電源接点121は、凹部127で終端している。相補的な形状の相手方電源接点221は、突出部227のそれぞれの表面上で終端している。
【0179】
図11および
図13の例では、電源接点121は、突出部126上で終端している。相補的な形状の相手方電源接点221は、凹部226を横切って設けられ、場合により、さらには突出部227に向かってかつ突出部227内に延びる場合もある。
【0180】
図14のさらなる図では、それぞれのインターフェース120、220に、2つの電源接点121、122と、それぞれの第1および第2の相手方電源接点221、222とが設けられている。ここで、第1の電源接点121は、凹部127に位置している。第2の電源接点122は、第1の電源接点121から長手方向に所定の距離をおいて設けられている。このため、第2の電源接点122は、突出部126の上または中に設けられている。したがって、第1の相手方電源接点221は、突出部227の上に設けられ、第2の相手方電源接点222は、凹部226の上または中に設けられている。適切に接続され、第2のインターフェース120と相手方インターフェース220との間にスナップフィット連結が確立されたとき、第1の電源接点121は第1の相手方電源接点221と排他的に接続される。同様に、第2の電源接点122は、第2の相手方電源接点222と電気的に接触している。
【0181】
図15による断面には、第1および第2の電源接点121、122が幾分か円形または少なくとも半円形の形状を有し、駆動ユニットハウジング9またはカートリッジホルダ15の円周に沿って延びていることが示されている。相補的な形状の相手方電源接点221、222は、第1および第2の相手方電源接点221’、222’の破線によって示すように、それらの周方向位置に関して変更してもよい。これにより、たとえば締結具124および相互に対応する相手方締結具224によって規定されるように、所定の範囲内で内側または外側本体10、11に対して保護キャップ14を回転させることができ、これにより電気的接触が維持される。
【0182】
図示するように、第1および第2の電気的相手方電源接点221、222の周方向の範囲は、第1の電源接点121と第2の電源接点122との間の周方向の間隙よりもわずかに小さい。このように、第1または第2の相手方電源接点221、222のうちの任意のものによる第1の電源接点121と第2の電源接点122との間の短絡を、効果的に防止することができる。
【0183】
図16~
図21の図では、駆動ユニット3と容器ユニット2との間の機械的連結の一例を例示的に示す。駆動ユニット3は、容器ユニット2の近位端に設けられているそれぞれの相手方インターフェース210と係合するように相補的な形状でありかつ係合するように構成された第1のインターフェース110を含む。図示するように、第1のインターフェース110は、容器ユニット2の近位端に設けられている挿入セクションを受けるように構成されかつそのような形状である、レセプタクルを含む。駆動ユニット3の遠位端、特に駆動ユニットハウジング9の遠位端は、相手方インターフェース210の相補的な形状の相手方締結具214と係合するように構成された締結具114を含む。
図16~
図19に示すように、締結具114と相手方締結具214との相互連結は、バヨネット継手を含むかまたは形成することができる。スナップフィット連結またはねじ式連結などの他のタイプの連結も、同様に利用可能であるかまたは考えられる。
【0184】
図16にさらに示すように、容器ユニット2の相手方インターフェース210には、第1の相手方接点素子211と第2の相手方接点素子212とが設けられている。第1および第2の相手方接点素子211、212は、幾分か面取りされたまたは傾斜した近位端面を含む。第1のインターフェース110の上または中に設けられている第1および第2の接点111、112は、第1のインターフェース110の中または上に可動に配置された電気コネクタ115によって、選択的に電気的に接続することができる。
【0185】
接点ばね116の作用に抗してまたは作用下で長手方向に変位可能な、キャリア119を設けることができる。
図16の図では、電気コネクタ115は、キャリア119に設けられている。電気コネクタ115は、第1および第2の電気接点素子111、112と接触していない。容器ユニット2が駆動ユニット3に連結されると、相手方接点素子211、212は、キャリア119と係合し、接点ばね116の作用に抗して、キャリア119を近位方向に向かって付勢する。相手方締結具214が締結具114と完全に係合する最終組み立て形態に達したとき、キャリア119とキャリア119に設けられている接点導体115とは、第1の電気接点素子111と第2の電気接点素子112との接点位置まで移動している。このように、第1の電気接点素子111と第2の電気接点素子112との間の電気接点が閉じられる。したがって、第1の導体経路141と第2の導体経路161との間に閉じた導体ループが設けられることになる。
【0186】
図18および
図19のさらなる例では、電気コネクタ115は、可動キャリア119上に位置しまたは配置された第1の電気接点素子117および第2の電気接点素子118を含む。ここで、電気コネクタ115の第1および第2の接点素子117、118は、互いに電気的に絶縁されている。それらは個々に、第1のインターフェース110の第1および第2の電気接点111、112と電気的に接触することができる。
【0187】
このように、第1の電気接点111と第2の電気接点112との間の相互の電気的接触は、別個の接点導体215が設けられている第1および第2の相手方接点素子211、212との機械的係合によって提供される。ここで、第1および第2の相手方接点素子211、212の表面に、導電性構造または材料を設けることができる。さらに、第1および第2の相手方接点素子211、212は、接点導体215を介して電気的に接続される。
図19ではまだ達せられていない最終組み立て形態では、第1の電気接点素子111は、さらなる接点素子117に電気的に接続されている。さらなる接点素子117は、相手方接点素子211に電気的に接続されている。相手方接点素子211は、相手方接点素子212に恒久的に電気的に接続されている。また、相手方接点素子212は、電気コネクタ115のさらなる接点素子118と電気的に接触しており、この接点素子118は、さらに第2の電気接点素子112と電気的に接続されている。
【0188】
図20では、最終組み立て位置に達する前であって、相手方締結具214が締結具114の溝内の端部位置に達する前の形態を表す断面A-Aを示す。ここで、相手方接点素子211、212は、接点素子117、118から周方向にオフセットして位置している。最終組み立て位置に達すると、それぞれの接触形態が得られる。
【0189】
図25~
図29の例では、第1のインターフェース110と相手方インターフェース120との間に電気的接触を確立する別の方法を概略的に示す。ここでは、第1または第2の接点111、112には、導電性の接点素子117が設けられており、この接点素子117は、第2の導体経路151の遠位端152に可動に配置されているかまたは可動に接続されている。カートリッジホルダ15の近位端には、それぞれの相手方接点素子212を設けることができる。相手方接点素子212は、カートリッジホルダ15の側壁の近位端面に導電構造として設けることができる。それは、カートリッジホルダ15の近位端または端面の環状の閉じた導電性リング構造を含むことができる。
図26に示すような構成では、最終組み立て位置にはまだ達していない。ここでは、相手方接点素子212および接点素子117は係合していない。
【0190】
図27に示すような最終組み立て形態に達すると、接点素子117は相手方接点素子212と面接触する。さらに、接点素子117は、接点ばね116によって機械的に付勢されている。接点ばね116は、導電性材料で作ることができ、接点素子117と導体経路151との間で電気信号のそれぞれの伝送を提供することができる。
【0191】
図28および
図29に示すようなさらなる例では、第2の電気接点素子112の接点素子117は、容器ユニット2の近位端に設けられた相手方接点素子212と係合する際に、近位方向に向かって変形可能または枢動可能である、柔軟なまたは弾性変形可能な凸縁部として実装されている。相手方接点素子212は、カートリッジホルダ15の側壁の近位端における環状構造を有することができる。近位接触位置において、相手方接点素子212は、両方の接点素子111、112に電気的に接続される。このように、カートリッジホルダ15の存在と、カートリッジホルダ15の駆動ユニット2への正しい取り付けを、電子的に検出することができる。
【0192】
図22は、典型的には異なる薬物容器16および/または異なる薬剤を備えた一連の異なるタイプの容器ユニット2、2’、2’’の一連の異なるように構成された相手方インターフェース210、210’、210’’を例示するものである。相手方インターフェース210、210’、201’’は、
図22に示すように、相手方接点素子211、212の位置または向きによって電気的にコード化される。さらに、相手方インターフェース210、210’、210’’には、駆動ユニット3の第1のインターフェース110と同様に、相補的な形状の締結具114と機械的に係合するように構成された同一の相手方締結具214が設けられている。この図では、特定の角度オフセットで2つの締結具114が設けられている。
【0193】
さまざまな容器ユニット2、2’、2’’の相手方締結具214は、それぞれの角度オフセットで設けられている。このように、相手方インターフェース210、210’、210’’は、回転軸Aとしての長手方向軸に関して、1つの別個の向きでのみ締結することができる。
【0194】
図23に示すように、第1のインターフェース110は、第1の電気接点素子111および第2の電気接点素子112のみでなく、第3の電気接点素子131および第4の電気接点素子133も含む。第3の接点素子131は、第3の長手方向に延びる導体経路132と接続されている。第4の接点素子133は、それぞれの導体経路134と接続されている。これらの補助的な導体経路133、134は、第1および第2の導体経路141、151と同じかまたは同様の導電様式で電子ユニット70に接続することができる。
【0195】
図22に示すような多数の容器ユニットおよび相手方インターフェース210、210’、210’’では、相手方締結具214に対して同じ位置に位置する共通の相手方接点素子212が常に設けられている。多数の相手方インターフェース210、210’、210’’では、さらなる相手方接点素子211、211’、211’’の位置は、相手方接点素子212に対してかつ/または相手方締結具214に対して、周方向に関して変化する。
【0196】
接点素子131、111、133のうちの1つのみを、相手方接点素子211、211’、211’’と電気的に接続することができる。たとえば、相手方インターフェース210では、相手方接点素子211が相手方接点素子212と電気的に接続される。相手方インターフェース210’では、相手方接点素子212が相手方接点素子211’と電気的に接続され、相手方インターフェース210’’では、相手方接点素子212が相手方接点素子211’’と電気的に接続される。
【0197】
ここで、相手方インターフェース210が第1のインターフェース110に連結されると、電気接点素子112は、相手方接点素子212と電気的に接触する。さらに、接点素子111は、相手方接点素子211と電気的に接触する。したがって、電子ユニット70は、第1の電気接点素子111と第2の電気接点素子112との間の電気的接触を検知または検出することができ、したがって、容器ユニット2および駆動ユニット3の存在および/または正しい組み立てを特定することができる。
【0198】
さらなる相手方インターフェース210’が第1のインターフェース110と係合すると、相手方接点素子211’は、第3の電気接点素子131と電気的に接触する。相手方接点素子212は、第2の接点素子112と電気的に接触する。したがって、電子ユニット70は、第2の接点素子112と第3の接点素子131との間の電気接続を検出することができ、したがって、それぞれの相手方インターフェース210’を特定することができる。
【0199】
さらに、相手方インターフェース210’’を備えた容器ユニット2が第1のインターフェース110と組み立てられるか連結されると、第2の接点素子112と第2の相手方接点素子212との間に電気的接触が提供される。加えて、相手方接点素子211’’と第4の接点素子133との間に電気的接触が提供される。したがって、相手方接点素子212が相手方接点素子211’’と電気的に接続されると、第2の接点素子112と第4の接点素子133との間に電気的接触が提供される。この電気的接触は、電子回路70によって検出および検知することができ、電子回路70は、それに応じて、異なる電気的にコード化された容器ユニット2、2’、2’’を区別することができる。
【0200】
図33~
図40に、近位端に電子ユニット70が設けられ、電気的にコード化された容器ユニット2が設けられた、注射デバイス1の別の例が示されている。
図33~
図40のデバイス1は、
図1~
図32の例と比較して異なるタイプの駆動ユニット3を含む。この特定の駆動ユニットについては、たとえば、WO2004/078239A1、WO2004/078240A1、またはWO2004/078241A1においてより詳細に説明されており、それらの全体を参照により本明細書に組み入れる。ここで、
図1~32において上述したような駆動ユニット3に関連して以前に使用された参照番号は、同一または同様の機能を有する。
【0201】
駆動ユニット3は、数字スリーブ380を含み、数字スリーブ380は、目下設定されている用量の視覚的標示を提供するために、用量ダイヤル312が回されたときに動くように構成されている。用量ダイヤル312は、用量の設定および/または投薬もしくは排出中に回されると、ハウジング9に対してらせん経路上を回転する。
【0202】
注射デバイス1は、投与量ダイヤル312を回すと機械的なクリック音が生じてユーザに音響フィードバックを提供するように、構成することができる。数字スリーブ80は、カートリッジまたは薬物容器16内のストッパ17と機械的に相互作用する。用量の送達中、用量ダイヤルは、軸方向運動で、すなわち回転なしに、その初期位置に向けられ、一方、数字スリーブ380は、その初期位置に戻るように、たとえばゼロ単位の用量を表示するように回転する。
【0203】
図33の注射デバイス1は、使い捨て注射デバイスとして実装することができる。
【0204】
ハウジング9のフランジ状支持体が、ピストンロッド320の第1のねじ山または遠位ねじ山とねじ係合するねじ付きの軸方向貫通口を含む。ピストンロッド320の遠位端は軸受を含み、この軸受の上で、押さえが、ピストンロッド320の長手方向軸を回転軸として自由に回転することができる。押さえは、容器16のストッパ17の近位に向いたスラスト受け面に対して軸方向に当接するように構成されている。投薬動作中、ピストンロッド320は、ハウジング9に対して回転し、それにより、ハウジングに対して遠位方向に向けられた前進運動を行う。
【0205】
ピストンロッド320には、その近位端に第2のねじ山がさらに設けられている。遠位ねじ山と近位ねじ山とは、反対巻きである。ピストンロッド320を受ける中空内部を有する駆動スリーブ330が、さらに設けられている。駆動スリーブ330は、ピストンロッド320の近位ねじ山とねじ係合するめねじ山を含む。さらに、駆動スリーブ330は、その遠位端におねじ付きセクション331を含む。ねじ付きセクション331は、遠位フランジ部分332と、遠位フランジ部分332から所定の軸方向距離に位置する別のフランジ部分333との間で、軸方向に境界が定められている。2つのフランジ部分332、333の間に、駆動スリーブ330のねじ付きセクション331と嵌合するめねじ山を有する半円形ナットの形態の最終用量リミッタ335が設けられている。
【0206】
最終用量リミッタ335は、その外周に、ハウジング9の側壁の内側にある相補的な形状の凹部または突出部と係合する、半径方向の凹部または突出部をさらに含む。このように、最終用量リミッタ335は、ハウジング9に、たとえば本開示による第1のデバイス構成要素40に、スプライン連結される。連続する用量設定手順の間、用量増加方向または時計回り方向における駆動スリーブ330の回転により、駆動スリーブ330に対する最終用量リミッタ335の累積的な軸方向変位がもたらされる。
【0207】
フランジ部分333の近位方向に面する面と軸方向に当接している環状のばね340が、さらに設けられている。さらに、管状のクラッチ360が設けられている。クラッチ360には、その第1の端部に、周方向に向けられた一連の鋸歯が設けられている。クラッチ360の反対側の第2の端部に向かって、半径方向内側に向けられたフランジが位置している。
【0208】
さらに、数字スリーブ380とも示す用量ダイヤルスリーブが設けられている。数字スリーブ380は、ばね340およびクラッチ360の外側に設けられており、ハウジング9の半径方向内側に位置している。数字スリーブ380の外面にわたって、らせん溝381が設けられている。ハウジング9には、投与量窓が設けられており、そこを通して、数字スリーブ380の外面の一部を見ることができる。ハウジング9には、インサート片362の内側側壁部分においてらせんリブ368がさらに設けられており、らせんリブ368は、数字スリーブ380のらせん溝381に嵌められている。管状のインサート片362は、ハウジング9の近位端に挿入されている。インサート片362は、ハウジング9に対して回転不能に軸方向に固定されている。数字スリーブ380がハウジング9に対してらせん運動で回転する用量設定手順を制限するように、ハウジング9に第1および第2の止め具が設けられている。
【0209】
したがって、らせん状リブ368は、第1のデバイス構成要素40のねじ付き部分46を表すことができる。それぞれの溝381は、第2のデバイス構成要素60の相補的な形状のねじ付き部分66である。
【0210】
用量ダイヤルグリップの形態の用量ダイヤル312は、数字スリーブ380の近位端の外面にわたって配置されている。用量ダイヤル312の外径は、典型的には、ハウジング9の外径に対応し、ハウジング9の外径と一致する。用量ダイヤル312は数字スリーブ380に固定されて、それらの間の相対的な動きを阻止する。用量ダイヤル312には、中央開口部が設けられている。
【0211】
用量ボタンとも示すトリガ311は、実質的にT字型である。トリガ311は、注射デバイス1の近位端に設けられている。トリガ311のステム364が、用量ダイヤル312の開口部を通り、駆動スリーブ330の伸長部の内径を通って、ピストンロッド320の近位端の受け凹部内に延びている。ステム364は、駆動スリーブ330内で軸方向運動が制限され、かつ駆動スリーブ330に対して回転しないように、保持される。トリガ11の頭部は、概して円形である。トリガ側壁またはスカートが、頭部の周縁から延びており、用量ダイヤル312の近位からアクセス可能な環状凹部に嵌められるようにさらに適用されている。
【0212】
用量をダイヤル設定するために、ユーザは用量ダイヤル312を回転させる。ばね340とクラッチ360とが係合した状態で、駆動スリーブ330、ばね340、クラッチ360、および数字スリーブ380が、用量ダイヤル312とともに回転する。トルクは、ばね340とクラッチ360との間の鋸歯を介して伝達される。数字スリーブ380のらせん溝381と駆動スリーブ330のらせん溝とは、同じリードを有する。これにより、同じ速度で、数字スリーブ380がハウジング9から延び、駆動スリーブ330がピストンロッド320を上る。移動の限界点において、数字スリーブ380上の半径方向止め具が、ハウジング9上に設けられた第1の止め具または第2の止め具のいずれかと係合して、第1の回転方向における、たとえば、用量増加方向における、さらなる動きを防止する。ピストンロッド20上の全体的な従動ねじ山が反対方向であることから、ピストンロッド320の回転は防止される。
【0213】
ハウジング9にキー締結された最終用量リミッタ335は、駆動スリーブ330の回転によってねじ付きセクション331に沿って前進する。
【0214】
用量のダイヤル設定または設定の間、ラチェット機構が、第2の回転方向に沿ったクラッチ360に対する数字スリーブ380の回転を可能にするとともに支持し、この回転には、クラッチ360の可撓性アームの規則的なクリック音が伴う。第1の回転方向に沿って数字スリーブ380に加えられる角運動量は、変化することなくクラッチ360に伝達される。ここで、ラチェット機構の相互に対応するラチェット機能により、数字スリーブ380からクラッチ360へのトルク伝達が提供される。
【0215】
所望の用量がダイヤル設定されると、ユーザは、単に、トリガ311を押し下げることにより、設定された用量を投薬することができる。これにより、クラッチ360が数字スリーブ380に対して軸方向に変位し、それにより、そのドッグ歯が係合解除する。しかしながら、クラッチ360は、回転中に駆動スリーブ330にキー締結されたままである。数字スリーブ380および用量ダイヤル312は、ここではらせん溝381に従って自由に回転する。
【0216】
軸方向運動により、ばね340の可撓性アームが変化して、投薬中に鋸歯がオーバーホールすることができないことが確実になる。これにより、ハウジング9に対する駆動スリーブ330の回転が防止されるが、駆動スリーブ330は、依然としてハウジング9に対して軸方向に自由に移動することできる。この変形はその後、遠位方向に向けられた投薬の圧力が取り除かれたとき、ばね340およびクラッチ360を駆動スリーブ330に沿って戻すように付勢して、クラッチ360と数字スリーブ380との連結を回復させるために使用される。
【0217】
駆動スリーブ330の長手方向の軸方向運動により、ピストンロッド320がハウジング9の支持体の貫通口を通って回転し、それにより、ストッパ17が容器16内で前進する。ダイヤル設定された用量が投薬されると、用量ダイヤル312から延びている少なくとも1つの止め具が、ハウジング9の少なくとも1つの対応する止め具と接触することにより、数字スリーブ380がさらに回転することが防止される。ゼロ用量位置は、数字スリーブ380の軸方向に延びる縁部または止め具のうちの1つが、ハウジング9の少なくとも1つまたはいくつかの対応する止め具に当接することによって決定することができる。
【0218】
駆動ユニットハウジング9は、長尺状の管状スリーブを含む。これは、上述したように、第1の電気接点素子111および第2の電気接点素子112が設けられている第1のインターフェース110を含む。第1のデバイス構成要素40の側壁41の内側に設けられた第1の導体経路141がさらに設けられている。上述したような駆動スリーブ30は、本明細書に記載の第2のデバイス構成要素60を表し、この第2のデバイス構成要素60は、第1のデバイス構成要素40の内部に可動に配置されている。第2のデバイス構成要素60の外面62に、したがって管状の駆動スリーブ330の外面に、第1および第2の導体経路伸長部145および155が設けられている。
【0219】
第1および第2の導体経路伸長部145、155は、それぞれの摺動接点144、154を介して第1および第2の導体経路141、151に恒久的に電気的に接続されている。ここで、摺動接点144、154は、ばね340によって提供されている。
図37に示すようなばね340は、幾分か円板状の構造を有する。これは、第1のデバイス構成要素40と長手方向に摺動係合している。ここで、ばね340は、側壁41の内側の相補的な形状の凹部343、345内に摺動自在に配置された、第1および第2の半径方向外向きに延びる突出部341、342を含む。このように、ばね340は、長手方向軸Aに沿って摺動することは可能とされるが、第1のデバイス構成要素40に対する回転に対しては阻止される。
【0220】
第1の半径方向凹部343の底部には、第1の導体経路141が設けられている。さらなる凹部345の底部には、第2の導体経路151が設けられている。このように、ばね340は、第1の導体経路141および第2の導体経路151の両方に電気的に接続されている。
【0221】
円板状ばね340の上に、接点導体146’、156’が設けられている。接点導体146’、156’は、一端が突出部341、342のうちの一方に延びている。そこでは、それらは、それぞれの突出部341、342の半径方向外縁に向かって延びている。突出部341、342の半径方向外縁には、第1および第2の導体経路141、151との摺動接点144、154が設けられている。反対方向において、接点導体146’、156’は、平面状ばね340によって形成された平面状導体円板148の上に延びている。
【0222】
第1の接点導体146’は、第1の直径を有する半円形または円弧状の構造を有する。第2の接点導体156’もまた、導体円板148上で半円形形状に延びている。第1の接点導体146’は、第1の導体円板部分148’の上に設けられている。第2の接点導体156は第2の導体円板部分148’’上に設けられている。第1および第2の導体円板部分148’、148’’は、導体円板148を効果的に分離する絶縁体149によって互いに電気的に絶縁されている。代替的に、導体円板148が、非導電性材料で作られるべきである場合には、絶縁体149によるこのような分離は不要である場合もある。
【0223】
図示するように、絶縁体149は、第1の突出部341および第2の突出部を2つの部分に分割し、そこでは、第1の部分は第1の導体円板部分148’に属し、第2の部分は第2の導体円板部分148’’に属する。
図37にさらに示すように、第1の接点導体146’の半径方向の広がりおよび/または直径と、第2の接点導体156の半径方向の広がりまたは直径とは、互いに異なっている。この図では、半円形の第2の接点導体156’の直径は、第1の接点導体146’の直径よりも大きい。
【0224】
図36に、近位方向から見た、駆動スリーブ330の近位フランジ333の、したがって第2のデバイス構成要素60の近位当接面が示されている。フランジ333には、円形、したがって環状のさらなる接点導体146’’と、別の円形状のさらなる接点導体156’’とが設けられている。さらなる接点導体146’’の直径または形状は、導体円板148の上に設けられた第1の接点導体146’の直径および半径方向位置に一致する。環状の接点導体156’’の直径および半径方向位置は、第2の接点導体156’とサイズおよび形状が一致する。
【0225】
ばね340、したがって導体円板148が、フランジ333と軸方向に当接しているとき、第1の接点導体146’は、さらなる接点導体146’’と電気的に接触している。さらに、第2の接点導体156’は、さらなる接点導体156’’と電気的に接触している。
【0226】
図35に示すように、さらなる接点導体146’’は、第2の管状のデバイス構成要素60の外面の上に延びている第1の導体経路伸長部145と恒久的に電気的に接触している。さらなる環状の接点導体156’’は、第2の導体経路伸長部155と恒久的に電気的に接続されている。このように、第1および第2の導体経路141、151とそれぞれの第1および第2の導体経路伸長部145、155との間に恒久的な電気的接触が提供される。
【0227】
図34および
図38~
図40に示すように、第1および第2の導体経路伸長部145、155は、駆動スリーブ330の近位端に向かって、したがって第2のデバイス構成要素60の近位端まで延びている。そこで、第2のデバイス構成要素60の近位端は、トリガボタン311のステム364を受けるレセプタクルを含む。トリガボタン311の内部に、電子ユニット70のための構築スペースが設けられている。電子ユニット70は、プリント回路基板71上に取り付けられている。電子ユニット70には、
図1~
図32に関して記載したような例に関連して前述したように、充電式電池として実装してもよい電池73を設けることができる。
【0228】
ステム364の内部において、第1および第2の電気経路延長部141’、151’が延びている。それらの近位端に向かって、導体経路伸長部145、155は、各々、ステム364の外面に設けられている切り欠き365、366の外側に面する表面部分と摺動係合している、1つの導体分岐部または2つの導体分岐部147、157で終端している。各切り欠き365、366には、ステム364の溝または切り欠きの全周に延びる別の接点導体146’’’、156’’’が設けられている。
図39の断面E-Eに示すように、専用の長手方向位置において、ステム364を通って長手方向に延びる導体経路延長部151’は、この切り欠き366の外側に設けられている別の接点導体156’’’に電気的に接続されている。そこでは、導体経路伸長部155の互いに対向して位置する分岐部157が、接点導体156’’’の外面と摺動接触している。このように、別の摺動接点154’’が形成されている。
【0229】
図38および
図40に示すように、断面E-Eから長手方向にオフセットして断面F-Fが提供されている。そこでは、第1の導体経路延長部141’が、ステム364の切り欠き365または溝の外面に設けられている環状の接点導体146’’に電気的に接続されている。ここで、第1の導体経路伸長部145の接線方向に延びる分岐部147が、環状形状の接点導体146’’’の外側表面と摺動接触している。このように、第1の導体経路伸長部145と第1の電気経路延長部141’との間に別の摺動接点144’’が設けられている。第1の電気経路延長部141’はPCB71に直接接続されている。同様に、第2の電気経路延長部151’はPCB71と直接接続されている。したがって、少なくとも二重の摺動接点が設けられている。
【0230】
ここで、第2のデバイス構成要素60は、用量の設定中、らせん経路に沿って可動である。円弧状または半円形の接点導体146’、156’の半円形の形状により、電気接点が恒久的に提供される。ダイヤル設定するためおよび/または用量を投薬するために、トリガボタン311と駆動スリーブ330との間、したがって電子ユニット70と第2のデバイス構成要素60との間に、単に回転する動きをさらに提供することができる。電子ユニット70と第2のデバイス構成要素60との間のこのような単に回転する非長手方向の相対的な動きのために、さらなる摺動接点144’’、154’’が提供されている。
【0231】
図33~
図40に明示的には示さないが、駆動ユニット3に、第2のインターフェース120を設けてもよく、保護キャップ14にもまた、上述したような電気エネルギーリザーバ250を設けてもよい。加えて、駆動ユニット3にもまた、用量の設定および用量の投薬のうちの少なくとも一方を阻止するためにまたはロックするために、電気機械式アクチュエータ50を設けてもよい。
【0232】
図24は、電子ユニット70が設けられている、本明細書に記載のさまざまな注射デバイス1のブロック図である。この例では、電子ユニット70は、薬物送達デバイス1の内部に組み込まれている。電子ユニット70は、ハウジング6の近位端またはその近くに配置されている。
【0233】
電子ユニット70は、プロセッサ72が設けられたプリント回路基板71を含む。電子ユニット70には、典型的には電池73として実装される、電気エネルギー源がさらに設けられている。プロセッサ72および電池73は、プリント回路基板71の反対側に設けてもよい。
【0234】
電子ユニット70は、第1および第2の導体経路141、161のうちの少なくとも一方に電気的に接続されたインターフェース78をさらに含む。電子ユニット70が近位ハウジング構成要素14内に可動に配置されているか、または近位ハウジング構成要素に対して可動のダイヤル伸長部に接続されている、いくつかの例では、インターフェース78は、摺動接点を含むか、または摺動接点144、154、164、174、184、194に接続されている。このように、インターフェース78および電子ユニット70は、インターフェース110、120のうちの少なくとも一方と電気的に接触したままである。
【0235】
電子ユニット70は、たとえば近距離無線通信インターフェース76の形態の通信インターフェースをさらに含むことができ、これは、特に、外部電子デバイス80の対応する近距離通信インターフェース86と通信するように構成されている。
【0236】
プロセッサ72は、ロッキング機構56に接続され、ロッキング機構56の動作を制御するように動作可能である。
【0237】
場合により、電子ユニット70には、駆動ユニット3の少なくとも1つの可動構成要素の動きを検出または測定するように動作可能なセンサ74が設けられている。光センサ、容量センサ、誘導センサ、光学センサ、または音響センサのうちの1つとして実装することができるセンサ74によって、駆動ユニット3の動作、したがって注射デバイス1の動作を管理および監視することができる。
【0238】
センサ74によって、目下設定されている、ダイヤル設定された、または投薬された用量のサイズに関する情報を得ることができ、ローカル記憶装置75に記憶することができる。繰り返されかつ後続する注射デバイス10の使用中に捕捉または取得されたデータは、記憶装置75に記憶することができる。記憶装置75に記憶されたこのような注射関連データは、近距離通信インターフェース76によって、たとえば、医療提供者によってホストまたは提供される、外部電子デバイス80および/または外部データベース92と同期させることができる。
【0239】
典型的には、外部電子デバイス80は、スマートフォンとして、スマートウォッチとして、またはタブレットコンピュータとして実装される。外部電子デバイス80は、通信ネットワーク90を介して外部データベース92への通信リンクを確立するための広域通信インターフェース88を含んでいてもよい。典型的には、外部電子デバイス80は、モバイルデバイスまたはウェアラブルデバイスである。外部電子デバイス80は、ユーザと通信するためのディスプレイ81および/またはスピーカ82を含む。
【0240】
外部電子デバイス80は、電子ユニット70と無線でペアリングすることができる。ペアリングが成功したとき、たとえば外部電子デバイス80のディスプレイ81を介してかつ/またはスピーカ82を介して、それぞれの確認をユーザに提供することができる。電子ユニット70と外部電子デバイス80との間でデータまたは情報が転送されたとき、たとえば電子ユニット70によってかつ/または外部電子デバイス80によって、視覚的なかつ/または可聴の確認をユーザに提供することができる。
【0241】
プロセッサ72は、たとえば、各投薬の終了後または注射手順において、自動再ロッキングを実施するように構成してもよい。さらに、センサ74から取得可能な信号に基づいて、プロセッサ72に、薬剤容器16の残りの充填レベルを示す情報を提供することができる。このように、センサ74が、薬剤容器16が実質的に使い尽くされているかまたは空であるというそれぞれのセンサ信号を提供したとき、プロセッサ72は、インターロック56の起動を引き起こすことができ、またはインターロック56のロック解除を阻止することができる。薬剤容器16の取り外しまたは薬剤容器16の挿入とともに、容器ユニット2の連結解除または再連結により、用量の設定のためおよび/または用量の投薬のための駆動ユニット3の機能の自動化されたロッキングまたは無効化をトリガすることができる。
【0242】
図6に示すように、本明細書に記載の薬物送達デバイスの動作は、時刻t1に開始することができる。ここで、それぞれの薬物送達デバイスから保護キャップ14を取り除くことができる。このような除去は、たとえば、第2のインターフェース120と相手方インターフェース220との間の電気的接触が無効にされたときに、電子制御ユニットによって検出することができる。
【0243】
時刻t2において、電子ユニット70は、カートリッジホルダ検出ルーチンを行うように構成することができる。ここで、第1および/または第2の電気接点素子111、112によって提供される信号または電気的接触は、電子ユニット70によって評価される。
【0244】
正しい容器ユニット2またはカートリッジホルダ15が検出された場合、電子ユニット70は起動モードに切り替わることができる。誤ったカートリッジホルダ15が検出された場合、またはカートリッジホルダが検出されなかった場合、電子ユニット70は、警告信号を生成するように動作可能であってもよく、または、電気機械式アクチュエータ50によって提供されるようにインターロック56を起動することによって駆動ユニット3の動作をロックするように動作可能であってもよい。
【0245】
用量ボタン13内の電子ユニット70は、カートリッジホルダ15からのまたはカートリッジホルダ15によって誘導される電気信号を、評価することができ、したがって、正しいかまたは意図されたカートリッジホルダまたは容器ユニット2が存在した場合、駆動ユニット3のロックを解除することができる。正しい容器ユニットの確認は、カートリッジホルダ15の電気的に検出可能なコード化に基づいて提供される。加えて、時刻t3において、たとえば外部電子デバイス80との無線通信リンクによって、ユーザ確認または認証手続きもまた行ってもよい。
【0246】
これらの要求がすべて承認され、電気機械式アクチュエータ50によって提供される駆動ユニット3のロッキング機構56がロックされた場合、電子ユニット70は、ロック解除制御信号を生成することができ、第1および第2の電気制御経路181、191を介してそれぞれのロック解除または制御信号を送信し、それによって駆動ユニット3のロックを解除することができる。
【0247】
上述したように、制御経路181、191は、導体経路141、151と一致する場合もあれば、導体経路141、151に電気的に接続されている場合もある。そのため、電気機械式アクチュエータ50の作動には、電磁石52を起動させるかまたは切り替えるために、増大した電圧または電流を印加することのみが必要である場合がある。その後、時刻t5において、ユーザは適切なサイズの用量を設定し、時刻t6において、ユーザはそれぞれの注射手順を行うことができる。注射の終了時、したがって時間t7において、たとえば電子ユニット70からの制御信号を変更することによって、駆動ユニット3のインターロックを再度起動することができる。時刻t8において、保護キャップ14の再取り付けを検出することができる。
【0248】
実際には、カートリッジホルダ検出信号用と電気機械式アクチュエータ50を作動させるための制御信号用とに、1つの共通電気回路のみを使用することにより、導電経路の総数を減らすことができる。
図6に示すように、保護キャップ14を取り除くことにより、デバイス1をウェークアップさせることができる。最初に、たとえばカートリッジホルダ検出の目的でかつ/または外部電子デバイス80との通信の目的で、第1および第2の導体経路141、151にかなり低い電圧信号が印加される。カートリッジホルダ15の確認後、および/またはユーザの認証後、デバイスのロックを解除するために高い(または相対的に高い)電圧信号が印加される。
【0249】
図41のフローチャートに、電気的に実装されるカートリッジホルダ検証を行う多数の方法ステップをさらに示す。ステップ400において、デバイスはスリープモードにある。ステップ402において、保護キャップ14が取り外されるかまたは取り除かれる。注射デバイス1、したがって電子ユニット70は、ウェークアップモードに切り替えられる。ステップ404において、キャップの再取り付けを制御または監視するために、タイマが開始される。ステップ410において、キャップ14が、所定の期間にわたってデバイスに再度取り付けられていないことが検出された場合、電子ユニット70、および/または保護キャップ14の論理回路255は、ユーザが知覚可能な警告信号を生成するように動作可能である。
【0250】
ステップ406において、電池残量点検を行うことができる。ステップ408において、電池の残量が少ないことが検出された場合、駆動ユニット3はロックされた状態のままであり続けることができ、したがって、用量の設定および/または投薬を防止することができる。ステップ412において、電子ユニット70がデバイス1の適切な動作のために十分な電気エネルギーを有している場合、たとえば、外部電子デバイスと通信することにより、およびそれぞれの認証ルーチンを行うことにより、上述したようなユーザ認証が行われる。
【0251】
ステップ414において、カートリッジホルダ15が正しいものであるか否か、および/または駆動ユニット3に取り付けられた容器ユニット2が正しいものであるか否かが検出される。ステップ414において、容器ユニット2が不適切であり、ユーザの駆動ユニット3と一致しないことが検出された場合、ステップ416において、それぞれのフィードバックが提供される。ステップ414において、正しいカートリッジホルダが検出された場合のみ、電子ユニット70によって生成され電気機械式アクチュエータ50に送信されたそれぞれの制御信号によって、駆動ユニット3のロックが解除される。ステップ420において、ユーザは注射デバイスを使用する。ステップ422において、薬物送達デバイス1に保護キャップ14が再び取り付けられ、ステップ424において、ステップ404で開始されたタイマが停止され、この手順がステップ426で終了し、デバイス1がスリープモードに戻る。
【符号の説明】
【0252】
1 薬物送達デバイス
2 容器ユニット
3 駆動ユニット
4 遠位端
5 近位端
6 ハウジング
7 連結インターフェース
8 連結インターフェース
9 駆動ユニットハウジング
10 内側本体
11 外側本体
12 窓
13 用量ボタン
14 保護キャップ
15 カートリッジホルダ
16 薬物容器
17 ストッパ
18 注射針
20 遠位駆動スリーブ
21 近位駆動スリーブ
22 駆動スリーブ連結器
23 遠位クリッカ
24 近位クリッカ
25 クラッチばね
26 数字スリーブ
27 ダイヤルスリーブ
28 クラッチ
29 プランジャロッド
30 最終用量ナット
40 デバイス構成要素
41 側壁
42 外面
43 内面
44 長手方向端面
45 長手方向端面
46 ねじ付きセクション
50 アクチュエータ
51 磁石
52 磁石
53 突出部
54 凹部
55 曲げアーム
56 ロッキング機構
60 デバイス構成要素
61 側壁
62 外面
63 内面
64 長手方向端部
65 長手方向端部
66 ねじ付きセクション
70 電子ユニット
71 プリント回路基板
72 プロセッサ
73 電池
74 センサ
75 記憶装置
76 通信インターフェース
78 インターフェース
80 外部電子デバイス
81 ディスプレイ
82 スピーカ
86 通信インターフェース
88 通信インターフェース
90 ネットワーク
92 データベース
110 インターフェース
111 接点素子
112 接点素子
114 締結具
115 電気コネクタ
116 接点ばね
117 接点素子
118 接点素子
119 キャリア
120 インターフェース
121 電源接点
122 電源接点
124 締結具
125 スナップ要素
126 突出部
127 凹部
130 電気インターフェース
131 接点素子
132 導体経路
133 接点素子
134 導体経路
141 導体経路
141’ 経路延長部
142 遠位端
143 近位端
144 摺動接点
145 導体経路伸長部
146 接点導体
147 導体分岐部
148 導体円板
148’、148’’ 導体円板部分
149 絶縁体
151 導体経路
151’ 経路延長部
152 遠位端
153 近位端
154 摺動接点
155 導体経路延長部
156 接点導体
157 導体分岐部
161 電源経路
162 遠位端
163 近位端
164 摺動接点
165 電源経路伸長部
166 接点導体
171 電源経路
172 遠位端
173 近位端
174 摺動接点
175 電源経路伸長部
176 接点導体
181 制御経路
182 遠位端
183 近位端
184 摺動接点
185 制御経路伸長部
191 制御経路
192 遠位端
193 近位端
194 摺動接点
195 制御経路伸長部
210 相手方インターフェース
211 相手方接点素子
212 相手方接点素子
214 相手方締結具
215 接点導体
220 相手方インターフェース
221 相手方電源接点
222 相手方電源接点
224 相手方締結具
225 相手方スナップ要素
226 凹部
227 突出部
240 キャップ本体
241 側壁
242 遠位端
243 近位端
250 エネルギーリザーバ
251 プリント回路基板
252 電源コネクタ
254 信号発生器
255 論理回路
261 電源経路
262 遠位端
263 近位端
271 電源経路
272 遠位端
273 近位端
311 トリガ
312 用量ダイヤル
320 ピストンロッド
330 駆動スリーブ
331 ねじ付きセクション
332 フランジ部分
333 フランジ部分
335 最終用量リミッタ
340 ばね
341 凹部
342 突出部
343 凹部
345 突出部
360 クラッチ
362 インサート片
364 ステム
365 切り欠き
366 切り欠き
368 リブ
380 数字スリーブ
381 溝
【国際調査報告】