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特表2024-540584マイクロエレクトロニクスデバイス洗浄組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】マイクロエレクトロニクスデバイス洗浄組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
H01L21/304 622Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529799
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022050586
(87)【国際公開番号】W WO2023096862
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/282,385
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/307,885
(32)【優先日】2022-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ダス, アタヌ ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト, マイケル エル.
(72)【発明者】
【氏名】リウ, チュン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーマ, アーディティヤ ディリップ
【テーマコード(参考)】
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
5F057AA08
5F057AA21
5F057AA27
5F057DA38
5F057FA37
5F157AA96
5F157BC07
5F157BD03
5F157BD04
5F157BD06
5F157BE34
5F157BE45
5F157BE57
5F157BE58
5F157BF22
5F157BF23
5F157BF32
5F157BF38
5F157BF63
5F157BF73
5F157BF93
5F157DB03
5F157DB57
(57)【要約】
マイクロエレクトロニクスデバイス、特に疎水性炭素又はSiCを含む1つ又は複数の表面を含むデバイスのCMP後洗浄に有用な組成物及び方法が提供される。概して、当該組成物は、キレート剤と、水混和性溶媒と、還元剤と、pH調整剤とを含み、当該組成物は約2~約13のpHを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.キレート剤と、
b.水混和性溶媒と、
c.還元剤と、
d.pH調整剤と
を含み、
約1.5~約13のpHを有する組成物。
【請求項2】
pHが約1.5~約5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
分散剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
湿潤剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
フッ化物源をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
a.1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、及びクエン酸から選択されるキレート剤と、
b.トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される水混和性溶媒と、
c.ジエチルヒドロキシルアミン及び過酸化水素から選択される還元剤と、
d.コリン水酸化物、水酸化カリウム、硝酸、メタンスルホン酸、及び硫酸から選択されるpH調整剤と
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
湿潤剤をさらに含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
pHが約1.5~約4である、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
水混和性溶媒がジメチルスルホキシドを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項10】
a.モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンから選択される分散剤と、
b.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸及びクエン酸から選択されるキレート剤と、
c.トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される水混和性溶媒と、
d.ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、エトキシル化C~C18アルコール、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリ(アクリル酸)及びそれらの塩、並びにポリ(メタクリル酸)及びそれらの塩から選択される湿潤剤と、
e.硝酸、コリン水酸化物、及びKOHから選択されるpH調整剤と
を含み、
pHが約2~約5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
a.モノエタノールアミンと、
b.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸と、
c.トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、
d.ポリビニルピロリドンと、
e.硝酸と
を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
フッ化物源をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
フッ化物源が重フッ化アンモニウムである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
a.モノエタノールアミンと、
b.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸と、
c.トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、
d.ヒドロキシエチルセルロースと、
e.硝酸と、任意選択的に、
f.重フッ化アンモニウムと
を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
a.モノエタノールアミンと、
b.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸と、
c.トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、
d.ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルと、
e.硝酸と、任意選択的に、
f.重フッ化アンモニウムと
を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
残留物をその上に有するマイクロエレクトロニクスデバイス基板から前記残留物を除去する方法であって、基板は、銅、コバルト、タングステン、又は誘電体組成物から選択される物質を含む少なくとも1つの表面と、疎水性炭素又はSiCを含む少なくとも1つの表面とを有し、
マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面を、
a.キレート剤と、
b.水混和性溶媒と、
c.還元剤と、
d.pH調整剤と
を含む組成物と接触させることを含み、
組成物は約2~約13のpHを有し、前記基板から前記残留物が少なくとも部分的に除去される、方法。
【請求項17】
マイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄するのに適した成分を有する1つ又は複数の容器を含むキットであって、前記キットの1つ又は複数の容器は、請求項1に記載の組成物の2つ以上の成分を含む、キット。
【請求項18】
湿潤剤が、ポリ(ビニルピロリドン)、ヒドロキシエチルセルロース、エトキシル化脂肪アルコール、キサンタンガム、カルボキシアルキルセルロース、並びにヒドロキシプロピルセルロース、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリ(アクリル酸)及びそれらの塩、並びにポリ(メタクリル酸)及びそれらの塩から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項19】
湿潤剤が、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリアクリル酸及びそれらの塩、並びにポリ(メタクリル酸)及びそれらの塩から選択される、請求項18に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、概して、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面を洗浄するための水性組成物、例えば、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面からCMP後の残留物を洗浄するための水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]マイクロエレクトロニクスデバイス基板は、集積回路デバイスの製造に使用される。マイクロエレクトロニクスデバイスの基板は、高度に平坦な表面を有するシリコンウエハなどのベースを含む。ベースの平面上に、多数の選択的な配置及び除去ステップを経て、電子的に機能するフィーチャの領域が追加される。該フィーチャは、絶縁性、導電性、又は半導体特性を示す電子機能性材料を選択的に追加及び除去することによって作られる。これらの電子機能性材料は、フォトレジスト、化学エッチング剤、及び表面処理を助ける研磨粒子と化学物質を含むスラリーなどの処理材料を使用して、必要に応じて配置される。
【0003】
[0003]集積回路のフィーチャの1つは、導電性の「相互接続」の配列であり、これは「ライン」や「ビア」とも呼ばれる。集積回路の一部として、導電性相互接続は、様々な他の電子機能間で電流を伝導する役割を果たす。各相互接続は、絶縁材料、すなわち誘電体材料などの誘電体材料内に形成された開口部内に延び、開口部によって(形状とサイズが)画定される。誘電体材料は、非常に近接した相互接続構造間、及び相互接続構造と集積回路の他の電子機能との間の絶縁体として機能する。
【0004】
[0004]相互接続と誘電体構造の製造に使用される材料の種類は、高効率と高信頼性で動作する集積回路の一部として適切に機能するように選択されなければならない。例えば、相互接続の導電性材料は、時間の経過とともに、また材料間に電圧がかかった状態での使用中に、隣接する誘電体材料に過度に移行(例えば、拡散)しないタイプのものであるべきであり、このような相互接続材料の隣接する誘電体材料への移行は、しばしば「エレクトロマイグレーション」と呼ばれる。同時に、相互接続と誘電体材料を組み合わせた構造は、これらの材料間のインターフェースを含め、十分な完全性を備えていなければならず、その結果、欠陥レベルが低く、パフォーマンスの信頼性が高くなる。例えば、使用中に誘電体材料が相互接続材料から分離するのを防ぐために、界面に強力な結合が存在しなければならない。
【0005】
[0005]過去には相互接続は一般的にアルミニウム又はタングステンで作られていましたが、最近では銅で作られている。銅はアルミニウムやタングステンに比べて導電性が高いという利点がある。さらに、銅ベースの相互接続はアルミニウムに比べてエレクトロマイグレーションに対する耐性が優れているため、長期にわたって集積回路の信頼性が向上する。それでも、十分な電気的バイアスがかかると銅イオンは二酸化ケイ素(SiO)に拡散する傾向があり、銅と二酸化ケイ素及びその他の誘電体との接着性は悪くなる可能性がある。
【0006】
[0006]銅と誘電体材料とのこうした悪影響を防ぐため、最近の集積回路構造は、銅相互接続構造と隣接する誘電体材料との間にバリア層を含めるように設計されている。バリア層の例は、導電性材料又は非導電性材料であり得、例は、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、レニウム(Rh)、及びそれらの合金などを含む。
【0007】
[0007]マイクロエレクトロニクスデバイスの様々な機能を基板上に配置するプロセスには、基板表面上へ、絶縁材料(誘電体など)、半導体材料、金属材料(導電線及びビア(つまり相互接続))などを選択的に配置するプロセスを含む。これらの材料の選択的な配置と除去には、フォトレジスト、エッチング剤、研磨材と化学物質を含むCMPスラリー、プラズマなどのプロセス組成物が、フォトレジストコーティング、エッチング(ウェットエッチング、プラズマエッチングなど)、化学機械処理(別名、化学機械研磨、化学機械平坦化、又は単に「CMP」)、アッシング(「プラズマアッシング」)などのステップでの使用を含み得る。
【0008】
[0008]化学機械処理は、処理された表面に次の材料層を適用する準備として、マイクロエレクトロニクスデバイスの基板の表面から非常に少量(厚さ)の材料を正確に除去して表面を研磨(又は「平坦化」)するプロセスである。化学機械処理は、表面の非常に精密な機械的研磨と、表面に存在する物質又は表面から除去された物質の酸化、還元、キレート化などの化学物質の制御された相互作用を含む。多くの場合、基板表面の1種類の材料(例えば、金属の過剰堆積)は、表面に存在する1つ又は複数の他の材料(誘電体など)の低減された除去の程度に比べて、高い選択性で優先的に除去される。
【0009】
[0009]CMPプロセスは、表面に「スラリー」を適用し、移動するCMPパッドを表面に接触させる。「スラリー」は、表面の機械的研磨を行う微細研磨粒子を、表面の材料と化学的に相互作用して表面から特定の材料を選択的に除去し、多くの場合、別の表面材料の除去を阻止する化学物質と共に含む液体組成物である。スラリーが表面に適用され、CMPパッドが所望の圧力と動きで表面に接触することで、表面から選択された材料の研磨及び化学除去が促進される。パッドの機械的作用と表面に対して移動する研磨粒子と化学成分の作用の組み合わせにより、欠陥と残留物の望ましい低レベルを維持しながら、表面の望ましい除去、平坦化、研磨が実現する。CMPプロセスは、マイクロエレクトロニクスデバイスの後続の層を適用できる、高度に平坦、低欠陥、低残留物の表面を生成するべきである。
【0010】
[0010]処理ステップ(例えば、化学機械処理、エッチング、アッシング)の後、基板の表面に少なくともいくらかの量の残留物が存在することになる。残留物は、CMPスラリー又はその他の処理材料からの研磨粒子、CMPスラリーの一部である活性化学成分(例えば、酸化剤、触媒、抑制剤)若しくはその他の処理組成物(例えば、エッチング剤)、処理材料若しくはその成分の反応生成物若しくは副産物、化学エッチング剤、フォトレジストポリマー又はその他の固体処理成分などを含む。欠陥やデバイスのパフォーマンス又は信頼性を低下させるその他の潜在的な原因を回避するために、マイクロエレクトロニクスデバイス製造プロセスの次の段階を実行する前に、このような残留物は表面を洗浄して除去しなければならない。
【0011】
[0011]例えば、エッチング工程の後、CMP工程の後、又は多層マイクロエレクトロニクスデバイスの製造に使用される別の工程の後のマイクロエレクトロニクス基板の表面を洗浄するために一般的に使用される特定の方法及び装置は、残留物及び汚染物質を除去するためにメガソニック、ジェット、又はブラッシングと組み合わせて表面に洗浄液を流す方法及び装置を含む。典型的な洗浄液は、例えば、適切な水酸化物化合物と、残留物と化学的に相互作用して表面から残留物を除去する他の化学物質を一緒に含むアルカリ溶液を含む。洗浄液は表面から高い割合の残留物を除去するのに効果的であるべきであるが、基板の機能性フィーチャに関しても安全でなければならない。洗浄液はこれらの機能に損傷を与えてはならない。例えば、洗浄液は基板の金属部分の腐食(つまり酸化)を引き起こすべきではならず、例えば、相互接続部分又はバリア部分として存在する可能性のある基板の銅又はコバルト金属部分を酸化してはならない。
【0012】
[0012]特に新しいマイクロエレクトロニクスデバイス構造で使用するために、新しく、有用で、改善された洗浄組成物及び特定の成分が継続的に求められている。さらに、疎水性カーボン表面やSiC表面などの疎水性表面を含むマイクロエレクトロニクスデバイス構造において、このような洗浄機能を発揮できる改良された洗浄組成物を開発することは興味深いことであり、なぜなら、そのような表面は、CMP後の金属酸化物の廃棄物を保持する傾向があるからである。
【発明の概要】
【0013】
[0013]要約すると、本発明は、
a.キレート剤と、
b.水混和性溶媒と、
c.還元剤と、
d.pH調整剤と
を含み、
約2~約13のpHを有する組成物を提供する。
【0014】
[0014]一実施形態では、組成物のpHは約2~約5である。別の実施形態では、組成物は分散剤をさらに含む。別の実施形態では、組成物は湿潤剤をさらに含む。別の実施形態では、組成物はフッ化物源をさらに含む。本発明の組成物は、疎水性表面、特に疎水性炭素表面を有するマイクロエレクトロニクスデバイス基板からのCMP後の廃棄物の洗浄に有効である。さらに、本組成物は、SiC表面を含む基板からCMP後の材料を除去するのにも効果的である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0015]本明細書及び添付の特許請求の範囲の記述で使用される場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」には、内容が明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象が含まれる。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される「又は」という用語は、内容が明確に別のことを指示しない限り、一般に「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0016】
[0016]「約」という用語は通常、記載された値と等価であると見なされる数値の範囲を指す(例えば、同じ機能又は結果を有する)。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に丸められた数値を含み得る。
【0017】
[0017]エンドポイントを使用して表現される数値範囲には、その範囲に含まれるすべての数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5を含む)。
【0018】
[0018]第一の態様において、本発明は、
a.キレート剤と、
b.水混和性溶媒と、
c.還元剤と、
d.pH調整剤と
を含み、
約2~約13のpHを有する組成物を提供する。
【0019】
[0019]一実施形態では、組成物のpHは約2~約5である。別の実施形態では、組成物は分散剤をさらに含む。別の実施形態では、組成物は湿潤剤をさらに含む。別の実施形態では、組成物はフッ化物源をさらに含む。
【0020】
[0020]一実施形態では、組成物は、約60~90重量パーセントの水、約0.1~約20重量パーセントのキレート剤、約0.1~約10重量パーセントの水混和性溶媒、約0.1~約5重量パーセントの還元剤、及び所望のpHを達成するために必要な量の酸又は塩基から構成される。
【0021】
[0021]特定の実施形態では、組成物は、前述の任意の成分の有無にかかわらず、上記の成分a.~成分d.からなるか、又は本質的にそれらからなる。
【0022】
[0022]本明細書において、特に指定がない限り、1つ又は複数の指定された項目から「から本質的になる(consisting essentially of)」と記載されている組成物又は組成物の成分とは、指定された項目のみで構成され、その他の(追加の)材料がごく少量以下である組成物又は成分を指し、例えば、指定された項目のみを含み、組成物又は成分の全重量に基づいて、5、3、2、1、0.5、0.1、0.05、又は0.01重量パーセント以下の追加成分を含む。本明細書において、1つ又は複数の特定の項目から「からなる(consisting of)」と記載されている組成物又は組成物の成分は、それらの特定の項目のみから構成される組成物又は成分を指す。
【0023】
[0023]本発明の組成物において、適切なキレート剤は、ホスホネート(例えば、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、1,5,9-トリアザシクロドデカン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸)(DOTRP)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N’,N’’,N’’’-テトラキス(メチレンホスホン酸)(DOTP)、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DETAP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタメチレンホスホン酸、1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N’,N’’-トリス(メチレンホスホン酸(NOTP)、ヒドロキシエチルジホスホネート、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸、2-ホスホノブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、カルボキシエチルホスホン酸、アミノエチルホスホン酸、グリホサート、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)フェニルホスホン酸、それらの塩、且つそれらの誘導体)及び/又はカルボン酸(例えば、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸、フタル酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、トリカルバリル酸、トリメチロールプロピオン酸、ピコリン酸、ジピコリン酸、サリチル酸、スルホサリチル酸、スルホフタル酸、スルホコハク酸、ベタイン、グルコン酸、酒石酸、グルクロン酸、2-カルボキシピリジン)及び/又はTIRON(4,5-ジヒドロキシ-1,3-ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム塩)やHEPES--(2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸)などのスルホン酸から選ばれる。特定の実施形態では、キレート剤は、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸及びイミノジ酢酸を含む。組成物中のキレート剤の量は、一実施形態では、除去組成物の全重量に基づいて、約0.01重量%~約10重量%の範囲にある。アミノ酸とキレート酸。一実施形態では、キレート剤は、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸である。
【0024】
[0024]本発明の組成物において、適切な水混和性溶媒は、アルコール、グリコール、ポリオール、及びグリコールエーテルを含む。例は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及び高級アルコール、C~Cジオール及びC~Cトリオール、テトラヒドロフルフリルアルコール、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノール)、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン N-メチルピロリジノン、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール、プロピオフェノン、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル二塩基性エステル、グリセリン炭酸塩、ソルビトール、グリセロール、及びジメチルスルホキシドを含む。
【0025】
[0025]特定の実施形態では、水混和性溶媒は、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びジメチルスルホキシドから選択される。
【0026】
[0026]本発明の組成物において、適切な還元剤は、リン酸水素(HPO)、アスコルビン酸、L(+)-アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、DEHA(ジエチルヒドロキシルアミン)、還元糖(ガラクトース)及びそれらの組み合わせから選択される。さらに、リン酸、亜硫酸、チオ硫酸アンモニウム及びチオ硫酸カリウム、キシロース、ソルビトール。N-アミノモルホリン、N-アミノピペラジン、ヒドロキノン、カテコール、テトラヒドロフルバレン、N,N-ジメチルアニリンベンジルアミン、ヒドロキシルアミン、及びその他の硫黄ベースの還元剤が利用され得る。特定の場合では、マンガン及び鉄などの特定の金属が存在すると、過酸化水素は還元剤としても機能する。特定の実施形態では、還元剤は、ジエチルヒドロキシルアミン、アスコルビン酸、及び過酸化水素から選択される。他の実施形態では、還元剤は、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、ドーパミンHCl、亜リン酸、ホスフィン酸、次亜リン酸、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸アンモニウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸アンモニウム、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、ギ酸アンモニウム、ドーパミン、二酸化硫黄溶液、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の実施形態では、還元剤はジエチルヒドロキシルアミン及び過酸化水素から選択される。様々な実施形態において、組成物中の還元剤の量は、洗浄組成物の全重量に基づいて約0.0001重量%~約5重量%の範囲にある。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、本発明の組成物は分散剤をさらに含む。適切な分散剤はアルカノールアミンを含む。アルカノールアミンの例は、限定されないが、アミノエチルエタノールアミン、N-メチルアミノエタノール、アミノエトキシエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、モノエタノールアミン(MEA)、トリエタノールアミン(TEA)、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノプロピルジエタノールアミン、N,N-ジメチルプロパノールアミン、N-メチルプロパノールアミン、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-ブタノール、イソブタノールアミン、トリエチレンジアミン、その他のC1~C8アルカノールアミン、及びそれらの組み合わせなどのアルカノールアミンを含む。アミンがアルキルエーテル成分を含む場合、アミンは、アルコキシルアミン、例えば1-メトキシ-2-アミノエタン、又はモルホリン又はモルホリンキソイドと見なされ得る。
[0028]一実施形態では、アルカノールアミン分散剤はモノエタノールアミンである。
【0028】
[0029]いくつかの実施形態では、本発明の組成物は湿潤剤をさらに含む。適切な湿潤剤はポリマーと界面活性剤から選択される。
【0029】
[0030]例示的なポリマーは、限定されず、アクリル酸又はメタクリル酸ホモポリマー、及びそれらのコポリマー及びそれらの塩、例えば、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びマレイン酸;ポリAMPS(アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(アクリル酸-コ-スチレン)、ポリ(ヒドロキシエチル)アクリレート、ポリ(ヒドロキシエチル)メタクリレート、ジメチルアミノメタクリレートポリマー及びそれらのコポリマー、トリメチルアンモニウムメチルメタクリレートポリマー及びそれらのコポリマー、ポリ(アクリルアミド)、及びポリ(アクリル酸)(PAA)及びポリ(メタクリル酸)(PMAA)、それらのナトリウム塩及びアンモニウム塩を含み、及び含む。その他の適切なポリマーは、マレイン酸/ビニルエーテル共重合体、ポリ(マレイン酸-コ-メチルビニルエーテル)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(ビニルピロリドン)/酢酸ビニル、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(スチレン-コ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリ(スチレン-コ-ビニルピロリドン)、ポリ(スチレン-コ-アリルアルコール)、ポリ(スチレン-コ-無水マレイン酸)、ポリ(無水マレイン酸-コ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ホスホン化ポリエチレングリコールオリゴマー、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、及びポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリエチレンオキシド(PEO)、PPG-PEG-PPGブロック共重合体、PEG-PPG-PEGブロック共重合体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸カリウム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコサミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド、PEG化(すなわち、ポリエチレングリコール化)メタクリレート/アクリレート共重合体、ポリMADQuat及びその共重合体、並びにポリ(ビニルアルコール)を含む。その他の例は、ポリ(スチレンスルホン酸)、ポリ(ビニルスルホン酸)、ポリ(ビニルホスホン酸)、ポリ(ビニルリン酸)、及びそれらの塩、並びにポリ(エチレンイミン)、ポリ(プロピレンイミン)、ポリアリルアミン、及びそれらの塩を含む。これらのポリマーの組み合わせも使用できる。上記の共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。存在する場合、組成物中のポリマーの量は、組成物の全重量に基づいて、約0.0001重量%~約5重量%の範囲にある。別の実施形態では、組成物中のポリマーの量は、組成物の全重量に基づいて、約0.0001重量%~約5重量%の範囲にある。
【0030】
[0031]本明細書において使用される用語「界面活性剤」は、2つの液体間又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる有機化合物を指し、典型的には疎水基(例えば炭化水素(例えばアルキル)の「末端」)及び親水基を含む有機両親媒性化合物を指す。界面活性剤の例は、1つ又は複数のC~C18直鎖状又は分岐鎖状アルキル基で置換されてもよい、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸(DDPA)、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、オクタデシルホスホン酸、パーフルオロヘプタン酸、プレフルオロデカン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、(±)及びメソの混合物、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールエトキシレートベンゼンスルホン酸又はそれらの塩、Calfaxシリーズなどのジフェニルオキシド、ドデセニルコハク酸、ジオクタデシル水素ホスフェート、オクタデシル二水素リン酸、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ジュニパー酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、ドデシルリン酸を含むが、限定されない、両性塩、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。検討される非イオン性界面活性剤は、限定されないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート-ブロック-プロポキシレート)テトロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン又はポリプロピレングリコールエーテル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドをベースとするブロックコポリマー、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル、t-オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、10-エトキシ-9,9-ジメチルデカン-1-アミン、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分岐状の、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分岐鎖、ジノニルフェニルポリオキシエチレン、ノニルフェノールアルコキシレート、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、アルコールアルコキシレート、アルキルポリグルコシド、エチルパーフルオロブチレート、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,5-ビス[2-(5-ノルボルネン-2-イル)エチル]トリシロキサン、モノマーオクタデシルシラン誘導体、シロキサン変性ポリシラザン、シリコーンポリエーテル共重合体、及びエトキシル化フッ素界面活性剤を含む。検討されるカチオン界面活性剤は、限定されず、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、4-(4-ジエチルアミノフェニルアゾ)-1-(4-ニトロベンジル)ピリジウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド一水和物、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、オキシフェノニウムブロミド、グアニジン塩酸塩(C(NHCl)又はトリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウムなどのトリフラート塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムブロミド、ジ(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド、及びポリオキシエチレン(16)牛脂エチルモニウムエトサルフェートを含む。検討されるアニオン性界面活性剤は、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸塩、2-スルホコハク酸塩、2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸塩、ジシクロヘキシルスルホコハク酸ナトリウム塩、7-エチル-2-メチル-4-ウンデシル硫酸ナトリウム、リン酸フッ素界面活性剤、フッ素界面活性剤、及びポリアクリレートを含むが、これらに限定されない。両性イオン界面活性剤は、アセチレンジオール又は変性アセチレンジオール、エチレンオキシドアルキルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミンN-オキシド、コカミンプロピネートナトリウム、3-(N,N-ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、及び(3-(4-ヘプチル)フェニル-3-ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホネートを含むが、これらに限定されない。別の実施形態では、組成物中の界面活性剤の量は、組成物の全重量に基づいて、約0.0001重量%~約5重量%の範囲にある。
【0031】
[0032]特定の実施形態では、湿潤剤は、ポリ(ビニルピロリドン)、ヒドロキシエチルセルロース、エトキシル化脂肪アルコール、キサンタンガム、カルボキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリ(アクリル酸)及びそれらの塩、及びポリ(メタクリル酸)及びそれらの塩から選択される。
【0032】
[0033]本発明の組成物において、適切なpH調整剤は、酸及び/又は塩基を含む。
【0033】
[0034]塩基は、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム(すなわち、アンモニア)、及び式NROH[式中、R,R,R及びR7は、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖状又は分岐鎖状C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル)基、C~Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、及びヒドロキシヘキシル)基、及び置換又は非置換C~C10アリール基(例えば、ベンジル基)からなる群から選択される]を有するテトラアルキルアンモニウム水酸化物化合物を含むが、これらに限定されない。市販されているテトラアルキルアンモニウム水酸化物には、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TMAH)、テトラエチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、トリブチルメチルアンモニウム水酸化物(TBMAH)、ベンジルトリメチルアンモニウム水酸化物(BTMAH)、コリン水酸化物、エチルトリメチルアンモニウム水酸化物、トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム水酸化物、ジエチルジメチルアンモニウム水酸化物、及びそれらの組み合わせを含み、使用され得る。あるいは、又はさらに、pH調整剤は、式(PR1011)OH[式中、R、R、R10、及びR11は、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖状C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル)基、分岐状C~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、及びヒドロキシヘキシル)基、置換C~C10アリール基、非置換C~C10アリール基(例えば、ベンジル基)、及びそれらの任意の組み合わせ]を有する第四級塩基であり得、例えば、テトラブチルホスホニウム水酸化物(TBPH)、テトラメチルホスホニウム水酸化物、テトラエチルホスホニウム水酸化物、テトラプロピルホスホニウム水酸化物、ベンジルトリフェニルホスホニウム水酸化物、メチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、エチルトリフェニルホスホニウム水酸化物、N-プロピルトリフェニルホスホニウム水酸化物である。
【0034】
[0035]酸は、硝酸、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、及びそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0035】
[0036]一実施形態では、pH調整剤は、KOH及びコリン水酸化物の少なくとも1つから選択される。
【0036】
[0037]いくつかの実施形態では、本発明の組成物はさらにフッ化物化合物を含む。本明細書において、「フッ化物化合物」とは、イオン性フッ化物イオン(F)又は共有結合したフッ素を有する種に対応する。フッ化物種は、フッ化物種として含まれていてもよいし、in situで生成されていてもよいことが理解される。特定の実施形態では、フッ化物イオンを生成できるこの化合物は、HF、モノフルオロリン酸(MFPA)、ジフルオロリン酸(DFPA)、又はヘキサフルオロリン酸から誘導される。他の実施形態では、フッ化物化合物は、CsF及びKFから選択され得る。他の実施形態では、フッ化物化合物は、テトラメチルアンモニウムヘキサフルオロリン酸、アンモニウムヘキサフルオロリン酸、重フッ化アンモニウム(ammonium bifluoride)、アンモニウムビフルオリド(NHHF)、それぞれ式NR’4BF4及びPR’4BF4[式中、各R’は、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖状、分岐鎖状、又は環状C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、及び直鎖状又は分岐鎖状C~C10アリール(例えば、ベンジル)から選択される]を有する第四級アンモニウムテトラフルオロボレート及び第四級ホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TBA-BF)、及びそれらの組み合わせから選択され得る。特定の実施形態では、フッ化物化合物は、重フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、四級アンモニウムテトラフルオロホウ酸塩(例えば、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸塩)、四級ホスホニウムテトラフルオロホウ酸塩、又はそれらの組み合わせから選択される。特定の実施形態では、フッ化物化合物は、重フッ化アンモニウム、重フッ化アンモニウム、又はそれらの組み合わせを含む。
【0037】
[0038]別の実施形態では、組成物は殺生物剤をさらに含む。例示的な殺生物剤は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ベンズイソチアゾロン、1,2-ベンズイソチアゾール-3[2H]-オン、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0038】
[0039]本明細書で使用されている用語「残留物」(「汚染物質」を含む)は、マイクロエレクトロニクスデバイスの製造に使用される処理ステップ、例えばプラズマエッチング、プラズマアッシング(エッチングされたウエハからフォトレジストを除去する)、化学機械処理、ウェットエッチングなどの処理ステップの後にマイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面に残留する化学物質又は粒子状物質である任意の物質を指す。残留物は、化学エッチング剤、フォトレジスト、CMPスラリーなど、処理ステップで使用される処理組成物の一部である、いずれの非水性化学物質であってよい。残留物は、処理ステップ中に処理組成物の材料から得られる物質であってもよい。これらのタイプの残留物の例としては、処理後に基板の表面に残る非水性、粒子状又は非粒子状の化学物質又は研磨剤(例えば、研磨粒子、界面活性剤、酸化剤、腐食防止剤、触媒)を含む。残留物は、CMPスラリーやエッチング組成物などの材料に元々存在していてもよく、例えば、CMP研磨スラリー中に存在する固体研磨粒子や化学物質などである。あるいはまた、残留物は、処理中に生成される副産物又は反応生成物(粒子状(例えば、凝集物、沈殿物)又は非粒子状)であり得、例えば、CMPスラリー又はウェットエッチング組成物などの処理組成物中に存在する化学物質の副産物又は反応生成物、又はプラズマエッチング又はプラズマアッシングプロセス中に存在する、又は使用される、又は生成される化学物質であり得る。
【0039】
[0040]「CMP後残留物」という用語は、CMP処理ステップの終了時に存在する残留物、例えばCMPスラリー中に存在するか又はCMPスラリーから得られる粒子又は化学物質;具体的な例としては、研磨粒子(例えば、シリカ含有又はシリカベースの研磨粒子、金属酸化物(例えば、アルミナ)粒子、セリア又はセリアベースの粒子など);スラリーに元々含まれている酸化剤、触媒、界面活性剤、抑制剤、錯化剤などの化学物質;処理中の基板表面から除去された金属材料から得られる金属(イオンなど)、金属酸化物、若しくは金属錯体;又はなどの基板由来の化学物質を使用して生成される反応生成物又は複合体;パッド粒子、又はCMPプロセスの生成物であるその他の材料を指す。
【0040】
[0041]「エッチング後残留物」とは、バック・エンド・オブ・ライン(BEOL)デュアル・ダマシン処理やウェット・エッチング・プロセスなどの気相プラズマ・エッチング・プロセスの後に残る材料を指す。エッチング後の残留物は、有機、有機金属、有機ケイ素、又は無機の性質を持つ場合があり、例えば、シリコン含有材料、炭素ベースの有機材料、及び酸素やフッ素などのエッチングガス残留物などがある。
【0041】
[0042]「アッシング後残留物」とは、硬化したフォトレジストや下部反射防止コーティング(BARC)材料を除去するための酸化プラズマ又は還元プラズマアッシング後に残る材料を指す。アッシング後の残留物は、有機物、有機金属物、有機ケイ素物、又は無機物であり得る。
【0042】
[0043]上述のように、本発明は、残留物を有するマイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面から残留物を除去する洗浄方法に有用な組成物(すなわち、洗浄組成物)に関する。記載された組成物は、本明細書に記載の非水性成分の組み合わせとともに水性キャリア(すなわち、水)を含む組成物である。特定の実施形態では、組成物は、洗浄プロセスで使用される前は、固体研磨粒子、凝集物、凝固物などの固体又は懸濁物質が存在せず、水及び溶解した非水性成分を含む、又はそれらからなる、又は本質的にそれらからなる均質溶液である。
【0043】
[0044]記載した組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイス及びその前駆体、具体的にはマイクロエレクトロニクスデバイス基板、すなわち、最終の完成された機能的なマイクロエレクトロニクスデバイスに加工される過程にある1つ又は複数のマイクロエレクトロニクスデバイス又はその前駆体を表面に含む半導体ウエハの洗浄に有用である。ここで使用されるマイクロエレクトロニクスデバイスとは、非常に小さい(例えば、ミクロンスケール以下)寸法の電気回路及び関連構造がその上に形成されたデバイスである。例示的なマイクロエレクトロニクスデバイスは、フラットパネルディスプレイ、集積回路、メモリデバイス、ソーラーパネル、太陽光発電、及びマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)を含む。マイクロエレクトロニクスデバイス基板は、最終的なマイクロエレクトロニクスデバイスを形成するために準備された状態の、1つ又は複数のマイクロエレクトロニクスデバイス又はその前駆物質を含むウエハ(半導体ウエハなど)などの構造である。
【0044】
[0045]本明細書に記載の組成物及び方法は、処理のあらゆる段階で、様々な形態のマイクロエレクトロニクスデバイスを洗浄するのに有用である。特に有用かつ有益に洗浄できるマイクロエレクトロニクスデバイス基板(又は、ここでは単に「基板」と略す)は、基板の表面に露出したコバルト、タングステン、又は誘電体、又はこれら3つすべてを含む基板を含む。
【0045】
[0046]特に有用かつ有益に洗浄できるマイクロエレクトロニクスデバイス基板は、露出した炭素又はSiC表面を有する基板など、疎水性表面を含む基板を含む。特定の場合において、本明細書に記載の湿潤剤を含めることは、そのようなデバイス基板を洗浄するために使用する場合、特に有利であることが判明した。
【0046】
[0047]本発明によれば、組成物は、これらの一般的なタイプ及び特定のタイプのマイクロエレクトロニクスデバイス基板を洗浄して、マイクロエレクトロニクスデバイス基板を処理するステップの後に、基板表面に存在するCMP後残留物、アッシング後残留物、エッチング後残留物、又はその他の残留物など(ただしこれらに限定されない)の残留物を除去するために使用することができる。洗浄組成物は、有用な又は有利な洗浄特性を提供し、これは、洗浄組成物が既知の装置(例えば、CMP後洗浄装置)で使用可能であり、マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面の残留物、汚染物質、又はその両方の量を大幅に低減し、コバルト、タングステン、及び誘電体表面への悪影響のレベルを改善できることを意味する。本明細書に記載の洗浄組成物及び方法を使用することにより、基板表面に存在する残留物の大部分を表面から効果的に除去することができ、例えば、残留物の少なくとも70、80、85、90、95、又は99パーセントを除去することができる(「洗浄効率」とも呼ばれる)。
【0047】
[0048]マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面の残留物を測定する方法及び装置はよく知られている。洗浄効果は、洗浄前に存在した残留粒子の量(例えば、数)と比較した、洗浄後のマイクロエレクトロニクスデバイス表面に存在する残留粒子の量(例えば、数)の減少に基づいて評価される場合がある。例えば、原子間力顕微鏡を使用して洗浄前後の分析を実行することができる。表面上の残留粒子はピクセルの範囲として登録される場合がある。ヒストグラム(例えば、Sigma Scan Pro)を適用して、特定の強度(例えば、231~235)のピクセルをフィルタリングし、残留粒子の数をカウントすることがでる。残留粒子の除去量、つまり洗浄効率は、次の比率を使用して計算できる。
(表面上の洗浄前残留粒子の数-表面上の洗浄後残留粒子の数):(表面上のプレクリーン残留粒子の数)。
【0048】
[0049]あるいは、洗浄効果は、洗浄前と洗浄後を比較して、残留粒子状物質で覆われた基板表面の全量の割合として考えることができる。例えば、原子間力顕微鏡は、Z平面スキャンを実行して特定の高さのしきい値を超える地形上の対象領域を識別し、対象領域で覆われた全表面の面積を計算するようにプログラムすることができる。洗浄後に、対象領域と判断される領域の量が減少することは、洗浄組成物及び洗浄プロセスがより効果的であることを示している。
【0049】
[0050]本発明の組成物は、比較的少量の水、したがって比較的濃縮された量の非水性成分を含む濃縮物の形態で調製され、販売され得る。濃縮液は、非水性成分の濃縮量と比較的少ない量の水とを含有しながら販売及び輸送され、最終的には使用時点で濃縮液の購入者によって希釈されるように商業的に調製される。濃縮物中の異なる非水成分の量は、濃縮物を希釈すると、使用組成物中に存在するそれらの非水成分の所望の量となる量である。
【0050】
[0051]記載された組成物は、非水成分の液体キャリア、すなわち溶質として水を含む。水は脱イオン水(DIW)であることができる。水は、濃縮物の形態の組成物を生成するために他の成分と組み合わされる成分に含まれることによって、又は濃縮物の他の成分に純粋な形で組み合わされた水として、又は、例えば使用時点で濃縮物を希釈して使用組成物を形成する目的で希釈水として使用者によって濃縮物に添加される水としてなど、あらゆる供給源から組成物中に存在することができる。
【0051】
[0052]組成物中の水の量は、濃縮物に対する所望の量、又は使用組成物の所望の量であることができ、これは通常、濃縮物中の水の量に比べて高い全量である。濃縮組成物中の水の例示的な量は、限定するものではないが、濃縮組成物の全重量に基づいて、約30、40、又は50~約85又は90重量パーセント、例えば、約60、65、又は70~約80重量パーセントの水であり得る。希釈すると、これらの量は希釈率に応じて減少する。
【0052】
[0053]本発明の組成物は、各成分を単に添加し、溶液などの均一な状態になるまで混合するだけで容易に調製することができる。さらに、組成物は、使用時に又はその前に混合される単一パッケージ配合物又は複数部配合物として容易に配合することができ、例えば、複数部配合物の個々の部分は、処理ツール(洗浄装置)又は処理ツールの上流の貯蔵タンクのいずれかで使用者によって混合することができる。
【0053】
[0054]したがって、本発明の別の態様は、本明細書に記載の組成物の1つ又は複数の成分を1つ又は複数の容器内に含むキットに関する。キットには、製造現場又は使用現場で追加の溶媒(水など)と混合するための、本明細書に記載の組成物の成分が1つ又は複数の容器に含まれていてもよい。キットは、本明細書に記載される他の任意の成分も含み得る。キットの容器は、組成物の保管及び輸送に適したものでなければならず、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Entegris, Inc.,米国マサチューセッツ州ビレリカ)などが挙げられる。
【0054】
[0055]さらに、本明細書に記載の組成物は、使用時に適切な量の水で希釈できる濃縮物の形態で市場に提供されることができる。濃縮物形態では、組成物(濃縮物)は、本明細書に記載の非水性成分を含み、濃縮物が所望の量の水(例えば、脱イオン水)で希釈されると、洗浄組成物の各成分が、CMP後洗浄ステップなどの洗浄ステップで使用するために望ましい量で希釈使用組成物中に存在するような量で濃縮物中に存在する。使用組成物を形成するために濃縮物に添加される水の量は、濃縮物の体積あたり1倍の水の量であってもよく、例えば、濃縮物の体積あたり2倍の水の量(例えば、3倍、4倍、5倍、又は10倍の水の量)であってもよい。濃縮物をこのような量の水で希釈すると、濃縮物の固体成分のそれぞれは、濃縮物を希釈するために添加された水の体積数に基づいて減少した濃度で使用組成物中に存在することになる。
【0055】
[0056]説明した洗浄組成物は、エッチング後残留物除去、アッシング後残留物除去表面処理、CMP後残留物除去などの方法によって基板表面を洗浄するプロセスを含むマイクロエレクトロニクスデバイス処理用途に有用であり得る。このようなプロセスによって洗浄できる基板の例は、疎水性炭素又はSiCを含む少なくとも1の表面が存在する、金属タングステン、金属コバルト、低誘電率誘電体材料、又はこれら3つすべてを含む基板を含む。
【0056】
[0057]洗浄組成物及び洗浄方法は、洗浄工程の前に表面に最初に存在していた量の残留物を表面から除去するのに効果的である。一実施形態では、洗浄組成物は、洗浄工程において、洗浄工程による残留物の除去前に基板の表面に存在する残留物の少なくとも85パーセント、又は洗浄工程前に最初に存在していた残留物の少なくとも90パーセント、又は残留物の少なくとも95パーセント、又は残留物の少なくとも99パーセントを除去するのに効果的であり得る。
【0057】
[0058]CMP後の残留物洗浄ステップなどの洗浄ステップでは、洗浄組成物は、様々な既知の従来の市販の洗浄ツール、例えば、VerteqシングルウェーハメガソニックGoldfinger、OnTrakシステムDDS(両面スクラバー)、SEZ又はその他のシングルウェーハスプレーリンス、Applied Materials Mirra-Mesa(商標)/Reflexion(商標)/Reflexion LK(商標)、及びMegasonicバッチウェットベンチシステム、及び300mmモデル(FREX300S2及びFREX300X3SC)及び200mmCMPシステム(FREX200M)などのEbara Technologies, Inc.製品を含むいずれかと共に使用できるが、これらに限定されない。
【0058】
[0059]洗浄ステップの条件とタイミングは必要に応じて設定でき、基板と残留物の種類に応じて異なる場合がある。CMP後残留物、エッチング後残留物、アッシング後残留物又は汚染物質を、それらを有するマイクロエレクトロニクスデバイス基板から洗浄するための組成物を使用する場合、洗浄組成物は、約1秒~約20分、例えば約5秒~約10分、又は約15秒~約5分の間、約20℃~約90℃、又は約20℃~約50℃の範囲の温度で基板表面に接触させることができ、このような接触時間及び温度は例示であり、表面から初期量の残留物を少なくとも部分的に、好ましくは実質的に洗浄するのに有効であれば、他の適切な時間及び温度条件も有用である可能性がある。
【0059】
[0060]デバイス基板表面の所望のレベルの洗浄後、洗浄ステップで使用した洗浄組成物は、所定の最終用途において望ましくかつ効果的であるように、デバイス表面から容易に除去することができる。例えば、脱イオン水を含む洗浄液を使用して除去を行うことができる。その後、デバイスは、乾燥(例えば、窒素又はスピン乾燥サイクルを使用)するなど、必要に応じて処理され、続いて洗浄及び乾燥したデバイス表面の後続処理が行われる。
【0060】
[0061]他のより一般的な又は具体的な方法では、マイクロエレクトロニクスデバイス基板は、まず、CMP処理、プラズマエッチング、ウェットエッチング、プラズマアッシングなどのいずれか1つ又は複数を含む処理ステップに供され、その後、本発明の組成物で基板表面を洗浄することを含む洗浄ステップに供される。最初の処理ステップの終了時には、基板の表面に残留物(例えば、エッチング後の残留物、CMP後の残留物、アッシング後の残留物)が残る。説明した洗浄組成物を使用する洗浄ステップは、マイクロエレクトロニクスデバイスの表面からかなりの量の残留物を除去するのに効果的である。
【0061】
[0062]したがって、さらなる態様において、本発明は、残留物を有するマイクロエレクトロニクスデバイス基板から残留物を除去する方法を提供し、該基板は少なくとも1つの疎水性表面、特に疎水性炭素又はSiCを含む表面を有する。本方法は、
マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面を、
a.キレート剤と、
b.水混和性溶媒と、
c.還元剤と、
d.pH調整剤と
を含む組成物に接触させることを含み、
組成物は約2~約13のpHを有し、基板から残留物が少なくとも部分的に除去される。
【0062】
[0063]実施例
[0064]ICP手順
50mLの金属を含まないチューブに、100倍(又は60倍)に希釈した配合物30gを取り、その配合物中にFeを0.1g添加した。撹拌棒を置き、室温で600rpmで5分間撹拌した。次に、1.8mlのアリコートを遠心管に移し、15,000rpmで20分間遠心分離した。チューブを遠心分離機から取り出し、上清を15mLの金属を含まないICPチューブに移した。上清0.1mLをピペットで採取し、2%硝酸9.9mLを含有する、金属を含まない15mLチューブ中に入れて、ICP分析のために1:100に希釈した試料を調製する。ICP試料をボルテックスして完全に混合する。試料をオートサンプラーラック中に置いて、鉄(Fe)ICP-OES分析を待つ。単一元素ICP-OES鉄(Fe)分析により鉄(Fe)含有量を決定する。
*比較例の組成物
**酸性の組成物については、pHを調整するためにHNOが添加された。
【0063】
[0065]表2-接触角性能
手順
測定する最初の1インチ×1インチのクーポンを接触角「ステージ」に置く-「対照」クーポン(エッチングなし)を最初に測定する必要があることに注意すべきである。クーポンを針の下に差し込む。ステージをポイントに移動させる。針を下ろす。接触角機器からDIWの滴を放出するためにドロップを作製する。
*Brij L23=ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル
**プルロニック17R4界面活性剤(BASF)
***Span(登録商標)80、ソルビタンモノオレエート(Croda)
【0064】
[0066]表3--KMnO4/Zrベースのスラリーで研磨し、配合物1~8で洗浄した酸化ケイ素膜のTOF-SIMS金属分析:
*すべての成分は重量パーセントで表記される
説明文
DMSO=ジメチルスルホキシド
BzOH=ベンジルアルコール
MSA=ベンジルアルコール
AA=酢酸
OA=シュウ酸
TGMBE=トリエチレングリコールモノブチルエーテル
PVP=ポリビニルピロリドン
【0065】
[0067]実施例7~14の配合物による金属除去の向上は、対照と比較して次のとおりである。表面のMnは1.33倍-2.4倍少なく、表面のZrは5.36倍-25.15倍少なくなる。疎水性カーボンフィルムの洗浄に使用した同じ配合物7-4は、対照と比較して同様に性能が向上し、表面Mnは2倍~4.3倍、表面Zrは16倍~28倍減少しました。TOF-SIMSデータ)。
【0066】
[0068]表4-濁度
[0069]下表の実施例A~Hの組成物は、下表に示す量の溶剤及びポリマーを含んでおり、残りは次の基本配合である。
基本配合
【0067】
[0070]濁度値は、0.02gの10nmダイヤモンドを配合物に加えることによって決定され、配合物は、0.3gの濃縮配合物を29.7gのDI水に加えて事前に希釈し、超音波浴に5分間浸漬した後、同期回転装置で5分間回転させた。濁度を時間に対して記録した。表の値は超音波処理後8分後に測定された濁度である。8分後の濁度が高ければ高いほど、ダイヤモンドがより良好に分散している、及び/又はより遅く沈殿する。
【0068】
[0071]態様
[0072]第一の態様において、本発明は、
a.キレート剤と、
b.水混和性溶媒と、
c.還元剤と、
d.pH調整剤と
を含み、
約1.5~約13のpHを有する組成物を提供する。
【0069】
[0073]第2の態様において、本発明は、pHが約1.5~約5である第1の態様の組成物を提供する。
【0070】
[0074]第3の態様において、本発明は、第1又は第2の態様の組成物を提供し、この組成物は分散剤をさらに含む。
【0071】
[0075]第4の態様において、本発明は、第1、第2、又は第3の態様のいずれか一の組成物を提供し、この組成物はさらに湿潤剤を含む。
【0072】
[0076]第5の態様において、本発明は、第1~第4の態様のいずれか一の組成物を提供し、該組成物はフッ化物源をさらに含む。
【0073】
[0077]第6の態様において、本発明は、
a.1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレン)トリホスホン酸、及びクエン酸から選択されるキレート剤と、
b.トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される水混和性溶媒と、
c.ジエチルヒドロキシルアミン及び過酸化水素から選択される還元剤と、
d.コリン水酸化物、水酸化カリウム、硝酸、メタンスルホン酸、及び硫酸から選択されるpH調整剤と
を含む、第1の態様の組成物を提供する。
【0074】
[0078]第7の態様において、本発明は、第6の態様の組成物であって、湿潤剤をさらに含む組成物を提供する。
【0075】
[0079]第8の態様において、本発明は、pHが約1.5~約4である第6又は第7の態様の組成物を提供する。
【0076】
[0080]第9の態様において、本発明は、水混和性溶媒がジメチルスルホキシドを含む、第6、第7、又は第8の態様のいずれか一の組成物を提供する。
【0077】
[0081]第10の態様において、本発明は、
a.モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンから選択される分散剤と、
b.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸、ニトリロトリス(メチレン)ホスホン酸及びクエン酸から選択されるキレート剤と、
c.トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルから選択される水混和性溶媒と、
d.ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、エトキシル化C~C18アルコール、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリアクリル酸及びそれらの塩、ポリメタクリル酸及びそれらの塩から選択される湿潤剤と、
e.硝酸、コリン水酸化物、及びKOHから選択されるpH調整剤と
を含み、
pHが約2~約5である、第1の態様の組成物を提供する。
【0078】
[0082]第11の態様において、本発明は、
f.モノエタノールアミンと、
g.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸と、
h.トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、
i.ポリビニルピロリドンと、
j.硝酸と
を含む、第1又は第10の態様の組成物を提供する。
【0079】
[0083]第12の態様において、本発明は、フッ化物源をさらに含む、第10又は第11の態様の組成物を提供する。
【0080】
[0084]第13の態様において、本発明は、フッ化物源が重フッ化アンモニウムである、第12の態様の組成物を提供する。
【0081】
[0085]第14の態様において、本発明は、
k.モノエタノールアミンと、
l.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸と、
m.トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、
n.ヒドロキシエチルセルロースと、
o.硝酸と、任意選択的に
p.重フッ化アンモニウムと
を含む、第10の組成物を提供する。
【0082】
[0086]第15の態様において、本発明は、
q.モノエタノールアミンと、
r.ヒドロキシエチリデンジホスホン酸と、
s.トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、
t.ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルと、
u.硝酸と、任意選択的に
v.重フッ化アンモニウムと
を含む、第10の組成物を提供する。
【0083】
[0087]第16の態様において、本発明は、残留物を有するマイクロエレクトロニクスデバイス基板から残留物を除去する方法を提供し、基板は疎水性炭素又はSiCを含む少なくとも1つの表面を有し、本方法は、
マイクロエレクトロニクスデバイス基板の表面を、第1~第16の態様のいずれか一の組成物と接触させて、前記基板から前記残留物を少なくとも部分的に除去することを含む。
【0084】
[0088]第17の態様において、本発明は、マイクロエレクトロニクスデバイスの洗浄に適した成分を含む1つ又は複数の容器を含むキットを提供し、前記キットの1つ又は複数の容器は、第1~第16の態様のいずれか一の組成物の2つ以上の成分を含む。
【0085】
[0089]第18の態様において、本発明は、湿潤剤が、ポリ(ビニルピロリドン)、ヒドロキシエチルセルロース、エトキシル化脂肪アルコール、キサンタンガム、カルボキシアルキルセルロース、並びにヒドロキシプロピルセルロース、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリ(アクリル酸)及びそれらの塩、並びにポリ(メタクリル酸)、及びそれらの塩から選択される、第4の態様の組成物を提供する。
【0086】
[0090]第19の態様において、本発明は、湿潤剤が、ポリスチレンスルホン酸及びそれらの塩、ポリアクリル酸及びそれらの塩、及びポリメタクリル酸及びそれらの塩から選択される、第4又は第18の態様の組成物を提供する。
【0087】
[0091]以上、本開示のいくつかの例示的な実施形態について説明したが、当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲内でさらに他の実施形態が作成及び使用され得ることは容易に理解されるであろう。この文書で取り上げられている開示の数多くの利点は、前述の説明で述べられている。しかしながら、この開示は、多くの点で、単なる例示に過ぎないことが理解されるであろう。当然ながら、開示の範囲は、添付の請求項が表現されている言語で定義される。
【国際調査報告】