(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-01
(54)【発明の名称】定義された形態を有するAEI型ゼオライト材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20241025BHJP
【FI】
C01B39/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024525397
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022080360
(87)【国際公開番号】W WO2023078835
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ ベアデマカー、ツリーズ マリア
(72)【発明者】
【氏名】パルブレスク、アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】ギース、ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】シマンカス、ラケル
【テーマコード(参考)】
4G073
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA56
4G073BA57
4G073BA63
4G073BB44
4G073BB63
4G073CZ50
4G073FB06
4G073FB11
4G073FB21
4G073GA03
4G073GA11
4G073GB02
4G073UA01
4G073UA05
4G073UA06
4G073UA09
(57)【要約】
本発明は、SiO2、Al2O3及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、ゼオライト材料のAl:Bのモル比が3~500の範囲内に含まれ、ゼオライト材料が、2~11の範囲内に含まれる、ゼオライト材料のSi:(Al+B)のモル比を示す、ゼオライト材料に関する。本発明はまた、本発明によるゼオライト材料の調製方法、選択的接触還元法によるNOxの処理方法、及びNOxを含有するガス流の処理装置、並びに本発明によるゼオライト材料の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO
2、Al
2O
3及びB
2O
3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料のAl:Bのモル比が、3~500の範囲内に含まれ、前記ゼオライト材料が、2~11の範囲内に含まれる、前記ゼオライト材料のSi:(Al+B)のモル比を示す、ゼオライト材料。
【請求項2】
前記ゼオライト材料の一次結晶の平均粒径が0.5~4.0μmの範囲内にある、請求項1に記載のゼオライト材料。
【請求項3】
前記ゼオライト材料の前記一次結晶が、1.2超の平均アスペクト比を示す、請求項1又は2に記載のゼオライト材料。
【請求項4】
前記ゼオライト材料が、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1種以上の金属カチオンMを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【請求項5】
AEI型骨格構造を有する前記ゼオライト材料が、SSZ-39、SAPO-18、及びSIZ-8(これらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のゼオライト材料。
【請求項6】
SiO
2、Al
2O
3、及びB
2O
3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料の調製方法であって、前記方法は、
(1)構造指向剤としての1種以上の有機テンプレート、1種以上のSiO
2源、1種以上のB
2O
3源、1種以上のAl
2O
3源、任意選択的に種結晶、及び溶媒系、を含む混合物を調製することと、
(2)前記混合物から、その骨格構造中にSiO
2、B
2O
3及びAl
2O
3を含むゼオライト材料を結晶化させるために(1)で得られた前記混合物を加熱することと、を含み、
前記1種以上の有機テンプレートが、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR
1R
2R
3R
4N
+含有化合物(式中、R
1、R
2、R
3は、互いに独立してアルキルを表し、R
4は、アルキル又はアリールを表す)を含む、方法。
【請求項7】
(1)に従って調製された前記混合物中の、元素としてそれぞれ計算される、ケイ素のホウ素に対するモル比(Si:B)が、1~80の範囲内にある、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(1)に従って調製された前記混合物中の、元素としてそれぞれ計算される、ケイ素のアルミニウムに対するモル比(Si:Al)が、1~300の範囲内にある、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
R
1、R
2、R
3及びR
4が、互いに独立して、アルキルを表し、R
3及びR
4が、共通のアルキル鎖を形成する、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記(1)で調製された前記混合物が種結晶を含み、(1)で調製された前記混合物に含まれる種結晶の量が、SiO
2として計算される前記混合物中のSi100重量%に基づいて、0.1~15重量%の範囲内にある、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1種以上のSiO源
2は、FAU、FER、GIS、MOR、LTA、TON、MTT、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、シリカ、ケイ酸塩、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
AEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料は、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法に従って得ることができる及び/又は得られる、ゼオライト材料。
【請求項13】
選択的接触還元法によるNO
xの処理方法であって、
(A)1種以上の窒素酸化物を含有するガス流を提供することと、
(B)ステップ(A)で提供された前記ガス流を、請求項1~5及び12のいずれか一項に記載のゼオライト材料に接触させることと、
を含む、方法。
【請求項14】
NO
xを含有するガス流の前記処理のための装置であって、前記装置が、処理される前記ガス流に流体接触するように設けられた触媒床を含み、前記触媒床が、請求項1~5及び12のいずれか一項に記載のゼオライト材料を含む、装置。
【請求項15】
請求項1~5及び12のいずれか一項に記載のゼオライト材料の使用であって、モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒若しくはその前駆体としての、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体としての、CO
2の貯蔵及び/又は吸着のための、NH
3の酸化のための、特にディーゼルシステムにおけるNH
3スリップの酸化のための、N
2Oの分解のための、流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤としての、及び/又は有機変換反応における触媒としての、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiO2、Al2O3及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料、並びに本発明によるゼオライト材料の調製方法、選択的触媒還元法によるNOxの処理方法、及びNOxを含有するガス流の処理装置、並びに本発明によるゼオライト材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
AEI骨格タイプのものなどの小細孔ゼオライト材料は、産業用途において燃焼排ガスを処理するための、例えば、排ガス流中の窒素酸化物(NOx)を変換するための触媒又は触媒成分として潜在的に有効であることが知られている。合成AEIゼオライト材料は、一般に、ケイ素源及びアルミニウム源などのゼオライト骨格が構築される元素源を含有する合成混合物から、ゼオライト材料の結晶を沈殿させることによって製造される。別のアプローチは、AEI以外の骨格型を有する好適なゼオライト材料である出発材料を好適に反応させて、骨格型AEIを有するゼオライト材料を得る、ゼオライト骨格変換による調製であってもよい。
【0003】
しかしながら、ゼオライト材料は非常に用途が広く、特に触媒用途において広い用途があることが知られている。
【0004】
短鎖炭化水素及びその誘導体の製造のための原料を構成するオイルリザーブの量が減少していることを考慮すると、このようなベース化学物質の製造のための代替的プロセスは、ますます重要になっている。短鎖炭化水素及びその誘導体を製造するためのそのような代替的方法では、他の原料及び/又は化学物質を、特に短鎖オレフィンなどの炭化水素及びその誘導体に変換するために、しばしば高度に特異的な触媒が使用される。このようなプロセスに含まれる特定の課題は、反応パラメータの最適な選択だけでなく、より重要なことには、特にオレフィン留分などの所望の炭化水素又はその誘導体への高効率で選択的な変換を可能にする特定の触媒の使用にも依存する。この点に関して、メタノールが出発物質として使用される方法は特に重要であり、それらの触媒変換は、通常、炭化水素及びその誘導体、特にオレフィン、パラフィン、及び芳香族の混合物をもたらす。
【0005】
したがって、そのような触媒変換における特定の課題は、可能な限り少ない生成物に対する高い選択性が達成され得るように、使用される触媒(特に、ゼオライト細孔構造、酸のタイプ及び強度)並びにプロセスアーキテクチャ及びパラメータの最適化及び微調整にある。このため、このようなプロセスは、プロセスにおいて特に高い選択性が達成され得る生成物にちなんで命名されることが多い。したがって、過去数十年にわたって、オキシジェネートのオレフィンへの変換、特にメタノールのオレフィンへの変換に向けて開発されてきたプロセスであって、石油埋蔵量の減少を考慮して重要性が増してきたプロセスは、メタノール-ツー-オレフィンプロセス(MTO-process for methanol to olefins))と呼ばれる。
【0006】
そのような変換における使用のために見出された触媒材料の中で、ゼオライト材料は高効率であることが証明されており、特にペンタシル型のゼオライト材料、より具体的には、MFI型骨格構造及びMEL型骨格構造を有するゼオライト材料、特に、MFI-MEL連晶型骨格構造を示すそのようなゼオライトを含むゼオライト材料が使用される。他方で、AEI型骨格構造を有するSSZ-39の製造に関する米国特許第5,958,370号はまた、メタノールのオレフィンへの触媒変換におけるそれらの使用も記載している。すなわち、米国特許第5,958,370号は、SSZ-39、及び鋳型剤として環式又は多環式第四級アンモニウムカチオンを使用するその調製に関するものである。
【0007】
Moliner,M.et al.in Chem.Commun.2012,48,pages 8264-8266は、他方で、Cu-SSZ-39及び窒素酸化物NOxの選択的触媒還元(SCR)のためのその使用に関し、SSZ-39は、有機テンプレートとしてN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを使用して製造される。Maruo,T.et al.in Chem.Lett.2014,43,page 302-304は、テトラエチルホスホニウムカチオンの存在下でのFAUゼオライトの熱水転移によるAEIゼオライトの合成に関する。Martin,N.et al.in Chem.Commun.2015,51,11030-11033は、Cu-SSZ-39の合成及び窒素酸化物NOxのSCRにおける触媒としてのその使用に関する。上記文献中のSSZ-39ゼオライトの合成方法に関して、これらの方法は、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンの使用及びテトラエチルホスホニウムカチオンの使用を含む。Dusselier,M.et al.in ACS Catal.2015,5,10,6078-6085は、他方で、熱水処理されたSSZ-39を使用する、メタノールからオレフィンへの触媒作用を記載している。
【0008】
米国特許出願公開第2015/0118150A1号は、それぞれN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンの使用を含むゼオライト合成方法と、N,N-ジメチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンの使用を含むゼオライト合成方法とを記載している。国際特許出願公開第2016/149234A1号及びRansom,R.et al.in Ind.Eng.Chem.Res.2017,56,4350-4356は、それぞれ、有機テンプレートとして、N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムカチオンを用いた、フォージャサイトのゼオライト変換法によるSSZ-39の合成に関する。一方、国際特許出願公開第2018/113566A1号は、無溶媒ゼオライト変換によるゼオライトの合成に関し、N,N-ジメチル-2,6-ジメチルピペリジニウムカチオンを使用したゼオライトYのゼオライト変換からのSSZ-39の合成が記載されている。
【0009】
特開第2018-087105号は、テトラエチルホスホニウムをテンプレート剤として使用して調製される、AEI型骨格構造を示すホウ素含有ゼオライト材料に関する。
【0010】
小細孔ゼオライトの合成のための当業者に知られている様々な方法にもかかわらず、新規で改善された小細孔ゼオライト材料をもたらす方法が依然として必要とされている。特に、既知の用途において改善された結果をもたらす新規な特性を有する材料を提供し、更に新規な用途におけるそれらの使用を可能にすることを考慮して、小細孔ゼオライト材料の物理的及び化学的特性の調整を可能にする合成方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、特にそれらの触媒特性に関して、新規な物理的及び化学的特性を有する小細孔ゼオライト材料の製造のための、改善された合成方法を提供することであった。したがって、驚くべきことに、比較的少量のホウ素及びテンプレート剤としてのテトラアルキルアンモニウムカチオンを含有する反応混合物を使用することによって、新規かつ予想外の特性を示すAEI型ゼオライト材料を得ることができるということが判明した。特に、比較的少量のホウ素を、テンプレート剤としてのテトラアルキルアンモニウムカチオンと組み合わせて反応混合物中に含めることによって、一次結晶のサイズが驚くほど増大するということが、全く予想外に判明した。結果として、本発明のAEI型ゼオライト材料は、実質的により低い表面積対体積比を示し、これは、得られる材料の異なる物理的及び化学的特性、特にそれらの触媒特性に関して異なる特性をもたらすことになる。更に、本発明の驚くべき技術的効果の尺度は、使用されるホウ素の量に実質的に比例するが、骨格構造中の三価元素Xに対する四価元素Yの全比率に影響を与えることなく、結果として得られる材料の物理的及び化学的特性が高精度で効果的に微調整され得るということが、全く予想外に判明した。特に、驚くべきことに、本発明の技術的効果は、得られる材料の骨格構造中の触媒活性Al部位の量が高いままであるように、比較的低い量のホウ素で達成され得るということが判明した。
【0012】
したがって、本発明は、SiO2、Al2O3及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のAl:Bのモル比が3~500の範囲内に含まれ、ゼオライト材料が、2~11の範囲内に含まれる、ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:(Al+B)のモル比を示す、ゼオライト材料に関する。
【0013】
ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のAl:Bのモル比は、5~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50、より好ましくは11~35、より好ましくは12~25、より好ましくは13~20、より好ましくは15~16の範囲内にあることが好ましい。
【0014】
ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:Bのモル比は、30以上であり、好ましくは40~2000、好ましくは50~1200、より好ましくは60~800、より好ましくは70~500、より好ましくは100~300、より好ましくは150~250、より好ましくは180~220の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:Alモル比は、2~500、好ましくは3~200、より好ましくは4~100、より好ましくは5~50、より好ましくは6~25、より好ましくは7~20、より好ましくは8~15、より好ましくは9~12、より好ましくは10~11の範囲内にあることが好ましい。
【0016】
ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:(Al+B)モル比は、4~10.5、好ましくは5~10、より好ましくは5.5~9.5、より好ましくは6~9、より好ましくは6.5~8.5、より好ましくは7~8の範囲内にあることが好ましい。
【0017】
ゼオライト材料の一次結晶の平均粒径は、0.5~4.0μm、好ましくは0.6~3.0μm、より好ましくは0.8~2.5μm、より好ましくは1.0~2.0μm、より好ましくは1.2~1.8μm、より好ましくは1.4~1.6μmの範囲内にあり、ゼオライト材料の一次結晶の平均粒径は、好ましくは参考例4の方法に従って得られることが好ましい。
【0018】
ゼオライト材料の一次結晶は、1.2超の平均アスペクト比、好ましくは1.3~6.0、より好ましくは1.4~5.0、より好ましくは1.5~4.5、より好ましくは2.0~4.0、より好ましくは2.5~3.5の範囲内の平均アスペクト比を示し、ゼオライト材料の一次結晶の平均アスペクト比は、好ましくは参考例4の方法に従って得られることが好ましい。
【0019】
ゼオライト材料の骨格の総重量に基づいて計算して、ゼオライト材料の骨格の95重量%以上、好ましくは95~100重量%、より好ましくは97~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、Si、Al、B、O、及びHからなることが好ましい。
【0020】
ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、及びCaからなる群から選択される1種以上の金属、より好ましくはLi、Na、及びKからなる群から選択される1種以上の金属を更に含有し、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位に、K及び/又はNa、好ましくはNaを更に含有することがより好ましい。
【0021】
ゼオライト材料が骨格構造のイオン交換部位にアルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属を更に含有する場合、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位にMg、Ca、又はMg及びCaを更に含有することが好ましい。
【0022】
ゼオライト材料は、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはSr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはSr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはCr、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはMo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の金属カチオンMを含むことが好ましく、より好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeを含み、好ましくはCuを含み、更により好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeからなり、好ましくはCuからなり、1種以上の金属カチオンMは、好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位に存在することが好ましい。
【0023】
ゼオライト材料が1種以上の金属カチオンMを含む場合、ゼオライト材料は、1種以上の金属カチオンMを、SiO2として計算されるゼオライト材料中のSi(ケイ素)100重量%に対して、0.01~5重量%の範囲、好ましくは0.05~4重量%の範囲、より好ましくは0.1~3重量%の範囲、より好ましくは0.2~2.5重量%の範囲、より好ましくは0.4~2重量%の範囲、より好ましくは0.6~1.5重量%の範囲、より好ましくは0.8~1.2重量%の範囲内の量で含むことが好ましい。
【0024】
ゼオライト材料が1種以上の金属カチオンMを含む場合、ゼオライト材料の総重量に基づいて計算して、ゼオライト材料の95重量%以上、好ましくは95~100重量%、より好ましくは97~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、Si、Al、B、O、H、及び1種以上の金属カチオンMからなることが更に好ましい。
【0025】
AEI型骨格構造を有するゼオライト材料は、SSZ-39、SAPO-18、及びSIZ-8(これらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、好ましくはゼオライト材料は、SSZ-39を含み、より好ましくはゼオライト材料はSSZ-39であることが好ましい。
【0026】
ゼオライト材料は、ゼオライト材料中に含有されるSiO2を100重量%として、元素として計算した場合に、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.005重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.0005重量%以下、より好ましくは0.0001重量%以下のリン(P)を含有することが好ましい。
【0027】
本発明はまた、SiO2、Al2O3及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料、好ましくは本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれか1つによるゼオライト材料の調製方法であって、方法は、
(1)構造指向剤としての1種以上の有機テンプレート、1種以上のSiO2源、1種以上のB2O3源、1種以上のAl2O3源、任意選択的に種結晶、及び溶媒系を含む混合物を調製することと、
(2)(1)で得られた混合物を加熱して、その骨格構造中に、混合物からSiO2、B2O3及びAl2O3を含むゼオライト材料を結晶化させることと、を含み、
1種以上の有機テンプレートが、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物を含み、式中、R1、R2、R3が、互いに独立してアルキルを表し、R4が、アルキル又はアリールを表す、方法に関する。
【0028】
(1)に従って調製された混合物中の、元素としてそれぞれ計算される、ケイ素のホウ素に対するモル比、すなわちSi:Bのモル比は、1~80、好ましくは2~50、より好ましくは3~35、より好ましくは4~25、より好ましくは6~20、より好ましくは8~18、より好ましくは10~15の範囲内にあることが好ましい。
【0029】
(1)に従って調製された混合物中の、元素としてそれぞれ計算される、ケイ素のアルミニウムに対するモル比、すなわちSi:Alのモル比は、1~300、好ましくは3~200、より好ましくは5~120、より好ましくは10~80、より好ましくは15~50、より好ましくは20~35、より好ましくは25~30の範囲内にあることが好ましい。
【0030】
SiO2のモル比、すなわち(1)で調製された混合物中の1種以上の有機テンプレートに対する1種以上のSiO2源の有機テンプレートのモル比は、1~50、好ましくは2~35、より好ましくは3~25、より好ましくは4~18、より好ましくは5~12、より好ましくは6~9、より好ましくは6.5~7の範囲内にあることが好ましい。
【0031】
R1、R2、R3、及びR4は、互いに独立してアルキルを表し、R3及びR4は、共通のアルキル鎖を形成することが好ましい。
【0032】
R1、R2、R3、及びR4が、互いに独立して、アルキルを表し、R3及びR4が、共通のアルキル鎖を形成する場合、R1及びR2は、互いに独立して、任意選択的に分枝鎖の(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、より好ましくは(C1~C3)アルキルを表し、より好ましくはR1及びR2は、互いに独立して、メチル又はエチル、より好ましくはメチルを表すことが好ましい。
【0033】
R1、R2、R3、及びR4が、互いに独立して、アルキルを表し、R3及びR4が、共通のアルキル鎖を形成する場合、R3及びR4は、共通の(C4~C8)アルキル鎖、より好ましくは共通の(C4~C7)アルキル鎖、より好ましくは共通の(C4~C6)アルキル鎖を表し、より好ましくは、上記の共通アルキル鎖は、C4又はC5アルキル鎖、より好ましくはC5アルキル鎖を表すことが好ましい。
【0034】
更に、かつ上述の条件とは独立して、1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-3,5-ジ(C1~C4)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-3,5-ジ(C1~C4)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-3,5-ジ(C1~C4)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-2,6-ジ(C1~C4)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-2,6-ジ(C1~C4)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-2,6-ジ(C1~C4)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
好ましくは、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-3,5-ジ(C1~C3)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-3,5-ジ(C1~C3)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-3,5-ジ(C1~C3)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-2,6-ジ(C1~C3)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-2,6-ジ(C1~C3)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-2,6-ジ(C1~C3)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1つ以上のアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、1つ以上のN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム、及び/又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウム化合物、好ましくは1種以上のN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム化合物を含むことが好ましい。
【0035】
更に、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピペリジニウム化合物、及び/又はN,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物は、シス配置を示すか、トランス配置を示すか、又はシス及びトランス異性体の混合物を含み、
好ましくは、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピペリジニウム化合物、及び/又はN,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物は、シス配置を示し、
より好ましくは、上記1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-シス-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、上記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、1つ以上のN,N-ジエチル-シス-2,6-ジメチルピペリジニウム化合物を含むことが好ましい。
【0036】
1種以上の有機テンプレートは、塩として、好ましくはハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは臭化物、塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩として提供され、より好ましくは、1種以上の有機テンプレートは、水酸化物及び/又は臭化物として、より好ましくは水酸化物として提供されることが好ましい。
【0037】
(1)で調製された混合物が種結晶を含み、(1)で調製された混合物中に含まれる種結晶の量は、SiO2として計算される混合物中のSi100重量%に基づいて、0.1~15重量%、好ましくは0.5~11重量%、より好ましくは0.8~8重量%、より好ましくは1.2~5重量%、より好ましくは1.5~3重量%、より好ましくは1.8~2.5重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0038】
(1)で調製された混合物が種結晶を含み、種結晶がAEI型骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0039】
(1)で調製された混合物は、水酸化物塩を含むことが好ましい。
【0040】
(1)で調製された混合物中のOH-:Siのモル比は、0.05~5、好ましくは0.1~3、より好ましくは0.2~1、より好ましくは0.3~0.8、より好ましくは0.45~0.65、より好ましくは0.5~0.6、より好ましくは0.52~0.56の範囲内にあることが好ましい。
【0041】
(1)で調製された混合物は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、及びCaからなる群から、より好ましくはLi、Na、及びKからなる群から選択される1種以上の金属を含み、より好ましくは、(1)で調製された混合物は、K及び/又はNa、好ましくはNaを含むことが好ましい。
【0042】
(1)で調製された混合物が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属を含む場合、(1)で調製された混合物は、Mg、Ca、又はMg及びCaを含むことが好ましい。
【0043】
(1)で調製された混合物が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属を含む場合、(1)で調製された混合物中の、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属の、1種以上の有機テンプレートに対するモル比は、0.01以下~50、好ましくは0.05以下~25、より好ましくは0.1以下~15、より好ましくは0.5以下~10、より好ましくは1~7、より好ましくは2~5、より好ましくは3~4、より好ましくは3.4~3.6の範囲内にあることが更に好ましい。
【0044】
(2)における加熱は、0.25~12日間、好ましくは0.5~8日間、より好ましくは1~6日間、より好ましくは1.5~4.5日間、より好ましくは2~4日間、より好ましくは2.5~3.5日間の範囲内の持続時間にわたって行われることが好ましい。
【0045】
(2)における加熱は、80~220℃、好ましくは100~200℃、より好ましくは120~180℃、より好ましくは130~170℃、より好ましくは140~160℃、より好ましくは145~155℃の範囲内の温度で行われることが好ましい。
【0046】
(2)における加熱は、自己生成圧力下で、好ましくはソルボサーマル条件下で、より好ましくは水熱条件下で行われ、好ましくは、(2)における加熱は、耐圧容器中で、好ましくはオートクレーブ中で行われることが好ましい。
【0047】
(2)において結晶化されたゼオライト材料は、AEI型骨格構造を有することが好ましい。
【0048】
SiO2、Al2O3、及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料の調製方法は、
(3)(2)で得られたゼオライト材料を、1種以上の金属カチオンMとのイオン交換に供すること、を更に含むことが好ましい。
【0049】
方法が(3)を含む場合、(3)は、
(3a)(2)で得られたゼオライト材料を、H+及び/又はNH4
+、好ましくはNH4
+による1回以上のイオン交換手順に供することと、
(3b)(3a)で得られたゼオライト材料を、1種以上の金属カチオンMによる1回以上のイオン交換手順に供することと、を含み、
(3a)及び/又は(3b)は、互いに独立して、好ましくは1~3回、より好ましくは1回又は2回、より好ましくは1回繰り返されることが好ましい。
【0050】
(3)において、(2)で得られたゼオライト材料は、1種以上の金属カチオンMによるイオン交換に直接供され、イオン交換は、(2)で得られたゼオライト材料の、1種以上の金属カチオンMによるイオン交換ステップの前に行われないことが更に好ましい。
【0051】
(3)において、1種以上の金属カチオンMは、Sr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはSr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはSr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはCr、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはMg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeを含み、好ましくはCuを含み、更により好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeからなり、好ましくはCuからなることがまた更に好ましい。
【0052】
また更に、(3)において、1種以上の金属カチオンMは、塩として、好ましくはハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩として提供され、より好ましくは、(1)による混合物を調製するために使用される1種以上の金属カチオンMは、硝酸塩及び/又は酢酸塩として、より好ましくは酢酸塩として提供されることが好ましい。
【0053】
本方法は、(2)の後かつ(3)の前に、
(i)場合により、(2)で得られたゼオライト材料を、好ましくは濾過によって単離することと、
及び/又は、好ましくは及び、
(ii)任意選択的に、(2)又は(i)で得られたゼオライト材料を、好ましくは蒸留水で洗浄することと、
及び/又は、好ましくは及び、
(iii)任意選択的に、(2)、(i)、又は(ii)で得られたゼオライト材料を、乾燥させることと、
及び/又は、好ましくは及び、
(iv)任意選択的に、(2)、(i)、(ii)、又は(iii)で得られたゼオライト材料をか焼することと、を含むことが好ましい。
【0054】
(iv)におけるか焼は、0.5~15時間、好ましくは1~10時間、より好ましくは1.5~8時間、より好ましくは2~6時間、より好ましくは2.5~5.5時間、より好ましくは3~5時間、より好ましくは3.5~4.5時間の範囲内の持続時間にわたって行われることが好ましい。
【0055】
更に、かつ上述の条件とは独立して、(iv)におけるか焼は、300~900℃、好ましくは350~800℃、より好ましくは400~750℃、より好ましくは450~700℃、より好ましくは500~650℃、より好ましくは560~600℃の範囲内の温度で行われることが好ましい。
【0056】
1種以上のSiO源2は、FAU、FER、GIS、MOR、LTA、TON、MTT、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、シリカ、ケイ酸塩、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはFAU、GIS、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはFAU、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、反応性非晶質固体シリカ、シリカゲル、焼成シリカ、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはFAU骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル、焼成シリカ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、上記の1種以上のSiO源2は、FAU骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、コロイダルシリカ、及び/又はヒュームドシリカを含むことが好ましい。
【0057】
これに関して、FAU型骨格構造を有するゼオライトは、ZSM-3、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、SAPO-37、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、[Ga-Ge-O]-FAU、Li-LSX、[Ga-Al-Si-O]-FAU、及び[Ga-Si-O]-FAU(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
好ましくは、ZSM-3、フォージャサイト、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、及びLi-LSX(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、Na-X、US-Y、及びNa-Y(これらの2種以上の混合物を含む)からなる群から、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
より好ましくは、FAU型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、より好ましくは、FAU型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYであることが好ましい。
【0058】
更に、かつ上述の条件とは独立して、BEA型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトベータ、ツァーニック沸石、[B-Si-O]-*BEA、CIT-6、[Ga-Si-O]-*BEA、ベータ多形B、SSZ-26、SSZ-33、ベータ多形A、[Ti-Si-O]-*BEA、及び純粋なシリカベータ(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から、
好ましくは、ゼオライトベータ、CIT-6、ベータ多形B、SSZ-26、SSZ-33、ベータ多形A、及び純粋なシリカベータ(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
より好ましくは、上記BEA型骨格構造を有するゼオライトが、ゼオライトベータ、好ましくは有機テンプレートを用いない合成から得られるゼオライトベータを含み、
より好ましくは、BEA型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトベータであり、好ましくは、有機テンプレート媒介合成から得られるか又は有機テンプレートを用いない合成から得られるゼオライトベータであり、より好ましくは、有機テンプレートフリー合成から得られるゼオライトベータであることが好ましい。
【0059】
更に、かつ上述の条件とは独立して、MFI型骨格構造を有するゼオライトは、シリカライト、ZSM-5、[Fe-Si-O]-MFI、[Ga-Si-O]-MFI、[As-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、Encilite、ボラライトC、FZ-1、LZ-105、ムチナイト、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、MnS-1、及びFeS-1(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から、
好ましくは、シリカライト、ZSM-5、AMS-1B、AZ-1、Encilite、FZ-1、LZ-105、ムチナイト、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、及びZMQ-TB(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
より好ましくは、上記MFI型骨格構造を有するゼオライトは、シリカライト及び/又はZSM-5、好ましくはZSM-5を含み、
より好ましくは、MFI型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトシリカライト及び/又はZSM-5、好ましくはZSM-5であることが好ましい。
【0060】
1種以上のB2O3源は、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、ホウ素エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは1種以上のB2O3源は、ホウ酸及び/又はホウ酸塩、好ましくはホウ酸を含み、より好ましくは、1種以上のB2O3源は、ホウ酸及び/又はホウ酸塩、好ましくはホウ酸からなることが好ましい。
【0061】
1種以上のAl2O源3は、FAU骨格構造を有するアルミニウム含有ゼオライト及びアルミニウム塩からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくは1種以上のAl2O源3は、FAU骨格構造を有するアルミニウム含有ゼオライト又は硝酸アルミニウムを含み、より好ましくは1種以上のAl2O源3は、FAU骨格構造を有するアルミニウム含有ゼオライト又は硝酸アルミニウムからなることが好ましい。
【0062】
1種以上のSiO2源及び1種以上のAl2O3源は、FAU骨格構造を有するケイ素及びアルミニウム含有ゼオライトを含み、好ましくは、1種以上のSiO2源及び1種以上のAl2O3源は、FAU骨格構造を有するケイ素及びアルミニウム含有ゼオライトからなることが好ましい。
【0063】
溶媒系は、任意選択的に分枝鎖の(C1~C4)アルコール、蒸留水、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくは任意選択的に分枝鎖の(C1~C3)アルコール、蒸留水、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくはメタノール、エタノール、蒸留水、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、溶媒系は蒸留水を含み、より好ましくは、溶媒系は蒸留水からなることが好ましい。
【0064】
(1)で調製され、(2)で結晶化された混合物は、(1)で調製された混合物を100重量%として、元素として計算した場合に、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.005重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.0005重量%以下、より好ましくは0.0001重量%以下のリン(P)を含有することが好ましい。
【0065】
(1)で調製された混合物は、種結晶を含み、種結晶は、実施形態15~59のいずれか1つに記載の方法に従って得られるその骨格構造中に、SiO2、B2O3、及びAl2O3を含むゼオライト材料の骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含み、好ましくは、種結晶の1種以上のゼオライト材料は、実施形態15~59のいずれか1つに記載の方法に従って得ることができる及び/又は得られることが好ましい。
【0066】
本発明はまた、好ましくは本発明の特定の好ましい実施形態のいずれか1つによる、AEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、本発明の特定の好ましい実施形態のいずれか1つの方法によって得ることができる及び/又は得られるゼオライト材料に関する。
【0067】
本発明はまた、選択的接触還元法によるNOxの処理方法であって、
(A)1種以上の窒素酸化物を含有するガス流を提供することと、
(B)ステップ(A)で供給されたガス流を、本発明の特定の好ましい実施形態のいずれか1つによるゼオライト材料に接触させることと、を含む方法である。
【0068】
(A)で供給されるガス流は、1種以上の還元剤を更に含み、還元剤は、好ましくはアンモニア及び/又は尿素を含むことが好ましい。
【0069】
(A)において提供されるガス流は、1種以上の廃ガス、好ましくは1種以上の工業プロセスからの1種以上の廃ガスを含み、より好ましくは、廃ガス流は、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチル-グリオキサール、グリオキシル酸を製造するためのプロセスにおいて、又は上述のプロセスの2つ以上からの廃ガス流の混合物を含む窒素含有物質を燃焼させるためのプロセスにおいて得られる1種以上の廃ガス流を含み、更により好ましくは、廃ガス流は、アジピン酸及び/又は硝酸を製造するためのプロセスにおいて得られる1種以上の廃ガス流を含むことが好ましい。
【0070】
(A)で供給されるガス流は、内燃機関、好ましくはディーゼルエンジン又はリーンバーンガソリンエンジンからの、1種以上の廃ガスを含むことが好ましい。
【0071】
(B)におけるガス流の、ゼオライト材料との接触は、250~550℃、好ましくは300~500℃、より好ましくは325~450℃、より好ましくは350~425℃、より好ましくは380~420℃、更により好ましくは390~410℃の範囲内に含まれる温度で行われることが好ましい。
【0072】
本発明はまた、NOxを含有するガス流の処理のための装置であって、処理されるガス流に流体接触するように設けられた触媒床を含み、触媒床が本発明の特定の好ましい実施形態のいずれか1つによるゼオライト材料を含む、装置に関する。
【0073】
この点に関して、触媒床は、固定床触媒又は流動床触媒、好ましくは固定床触媒であることが好ましい。
【0074】
更に、装置は、1つ以上の還元剤をガス流に注入するために触媒床の上流に設けられた1つ以上のデバイスを更に含み、還元剤は、好ましくはアンモニア及び/又は尿素を含むことが好ましい。
【0075】
本発明はまた、本発明の特定のかつ好ましい実施形態のいずれか1つによるゼオライト材料の使用であって、モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒若しくはその前駆体としての、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体としての、好ましくは触媒若しくはその前駆体としての及び/又は触媒担体若しくはその前駆体としての、より好ましくは触媒若しくはその前駆体としての、より好ましくは窒素酸化物NOxの選択的触媒還元法(SCR)のための、CO2の貯蔵及び/又は吸着のための、NH3の酸化のための、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のための、N2Oの分解のための触媒としての;流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤としての;及び/又は有機変換反応における、好ましくはアルコールからオレフィンへの変換における、より好ましくはメタノールからオレフィン(MTO)への触媒作用における触媒としての、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元法(SCR)のための、より好ましくは、燃焼機関からの、好ましくはディーゼルエンジンからの又はリーンバーンガソリンエンジンからの、排気ガス中の窒素酸化物NOxの選択的触媒還元法(SCR)のための使用に関する。
【0076】
本発明は更に、以下の実施形態のセット、及び示されるような依存関係及び逆参照から生じる実施形態の組み合わせによって説明される。特に、実施形態の範囲が言及される各場合において、例えば、「実施形態1~4のうちのいずれか1つの方法」などの用語の文脈において、この範囲内の全ての実施形態は、当業者に明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3、及び4のうちのいずれか1つの方法」と同義であると当業者によって理解されることに留意されたい。更に、以下の一連の実施形態は、保護の及ぶ範囲を確定する一連の特許請求の範囲ではなく、本発明の全般的な態様及び好ましい態様を対象とする説明の適切に構造化された部分を表すことに明確に留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0077】
1.SiO2、Al2O3及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のAl:Bのモル比が、3~500の範囲内に含まれ、ゼオライト材料が、2~11の範囲内に含まれる、ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:(Al+B)のモル比を示す、ゼオライト材料。
【0078】
2.ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のAl:Bのモル比が、5~200、好ましくは8~100、より好ましくは10~50、より好ましくは11~35、より好ましくは12~25、より好ましくは13~20、より好ましくは15~16の範囲内にある、実施形態1に記載のゼオライト材料。
【0079】
3.ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:Bのモル比が30以上であり、好ましくは40~2000、好ましくは50~1200、より好ましくは60~800、より好ましくは70~500、より好ましくは100~300、より好ましくは150~250、より好ましくは180~220の範囲内にある、実施形態1又は2に記載のゼオライト材料。
【0080】
4.ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:Alモル比が、2~500、好ましくは3~200、より好ましくは4~100、より好ましくは5~50、より好ましくは6~25、より好ましくは7~20、より好ましくは8~15、より好ましくは9~12、より好ましくは10~11の範囲内にある、実施形態1~3のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0081】
5.ゼオライト材料、好ましくはゼオライト材料の骨格構造のSi:(Al+B)モル比は、4~10.5、好ましくは5~10、より好ましくは5.5~9.5、より好ましくは6~9、より好ましくは6.5~8.5、より好ましくは7~8の範囲内にある、実施形態1~4のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0082】
6.ゼオライト材料の一次結晶の平均粒径は、0.5~4.0μm、好ましくは0.6~3.0μm、より好ましくは0.8~2.5μm、より好ましくは1.0~2.0μm、より好ましくは1.2~1.8μm、より好ましくは1.4~1.6μmの範囲内にあり、ゼオライト材料の一次結晶の平均粒径は、好ましくは参考例4の方法に従って得られる、実施形態1~5のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0083】
7.ゼオライト材料の一次結晶は、1.2超の平均アスペクト比、好ましくは1.3~6.0、より好ましくは1.4~5.0、より好ましくは1.5~4.5、より好ましくは2.0~4.0、より好ましくは2.5~3.5の範囲内の平均アスペクト比を示し、ゼオライト材料の一次結晶の平均アスペクト比は、好ましくは参考例4の方法に従って得られる、実施形態1~6のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0084】
8.ゼオライト材料の骨格の総重量に基づいて計算して、ゼオライト材料の骨格の95重量%以上、好ましくは95~100重量%、より好ましくは97~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、Si、Al、B、O、及びHからなる、実施形態1から~7のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0085】
9.ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、及びCaからなる群から選択される1種以上の金属、より好ましくはLi、Na、及びKからなる群から選択される1種以上の金属を更に含有し、ゼオライト材料は、骨格構造のイオン交換部位に、K及び/又はNa、好ましくはNaを更に含有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0086】
10.ゼオライト材料が、骨格構造のイオン交換部位にMg、Ca、又はMg及びCaを更に含有する、実施形態9に記載のゼオライト材料。
【0087】
11.ゼオライト材料が、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはSr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはSr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはCr、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはMo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1種以上の金属カチオンMを含むことが好ましく、より好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeを含み、好ましくはCuを含み、更により好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeからなり、好ましくはCuからなり、1種以上の金属カチオンMは、好ましくは、ゼオライト材料の骨格構造のイオン交換部位に存在する、実施形態1~10のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0088】
12.ゼオライト材料が1種以上の金属カチオンMを含む場合、ゼオライト材料は、1種以上の金属カチオンMを、SiO2として計算されるゼオライト材料中のSi(ケイ素)100重量%に対して、0.01~5重量%の範囲、好ましくは0.05~4重量%の範囲、より好ましくは0.1~3重量%の範囲、より好ましくは0.2~2.5重量%の範囲、より好ましくは0.4~2重量%の範囲、より好ましくは0.6~1.5重量%の範囲、より好ましくは0.8~1.2重量%の範囲内の量で含む、実施形態11に記載のゼオライト材料。
【0089】
13.ゼオライト材料が1種以上の金属カチオンMを含む場合、ゼオライト材料の総重量に基づいて計算して、ゼオライト材料の95重量%以上、好ましくは95~100重量%、より好ましくは97~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、Si、Al、B、O、H、及び1種以上の金属カチオンMからなる、実施形態11又は12に記載のゼオライト材料。
【0090】
14.AEI型骨格構造を有するゼオライト材料は、SSZ-39、SAPO-18、及びSIZ-8(これらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、好ましくはゼオライト材料は、SSZ-39を含み、より好ましくはゼオライト材料はSSZ-39である、実施形態1~13のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0091】
15.ゼオライト材料は、ゼオライト材料中に含有されるSiO2を100重量%として、元素として計算した場合に、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.005重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.0005重量%以下、より好ましくは0.0001重量%以下のリン(P)を含有する、実施形態1~14のいずれか1つに記載のゼオライト材料。
【0092】
16.SiO2、Al2O3、及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料、好ましくは実施形態1~15のいずれか1つに記載のゼオライト材料の調製方法であって、方法は、
(1)構造指向剤としての1種以上の有機テンプレート、1種以上のSiO2源、1種以上のB2O3源、1種以上のAl2O3源、任意選択的に種結晶、及び溶媒系を含む混合物を調製することと、
(2)(1)で得られた混合物を加熱して、その骨格構造中に、混合物からSiO2、B2O3及びAl2O3を含むゼオライト材料を結晶化させることと、を含み、
1種以上の有機テンプレートが、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物(式中、R1、R2、R3は、互いに独立してアルキルを表し、R4は、アルキル又はアリールを表す)を含む、方法。
【0093】
17.(1)に従って調製された混合物中の、元素としてそれぞれ計算される、ケイ素のホウ素に対するモル比、すなわちSi:Bのモル比は、1~80、好ましくは2~50、より好ましくは3~35、より好ましくは4~25、より好ましくは6~20、より好ましくは8~18、より好ましくは10~15の範囲内にある、実施形態16に記載の方法。
【0094】
18.(1)に従って調製された混合物中の、元素としてそれぞれ計算される、ケイ素のアルミニウムに対するモル比、すなわちSi:Alのモル比は、1~300、好ましくは3~200、より好ましくは5~120、より好ましくは10~80、より好ましくは15~50、より好ましくは20~35、より好ましくは25~30の範囲内にある、実施形態16又は17に記載の方法。
【0095】
19.SiO2のモル比、すなわち(1)で調製された混合物中の1種以上の有機テンプレートに対する1種以上のSiO2源の有機テンプレートのモル比は、1~50、好ましくは2~35、より好ましくは3~25、より好ましくは4~18、より好ましくは5~12、より好ましくは6~9、より好ましくは6.5~7の範囲内にある、実施形態16~18のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
20.R1、R2、R3及びR4が、互いに独立して、アルキルを表し、R3及びR4が、共通のアルキル鎖を形成する、実施形態16~19のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
21.R1及びR2が、互いに独立して、任意選択的に分枝鎖の(C1~C6)アルキル、好ましくは(C1~C5)アルキル、より好ましくは(C1~C4)アルキル、より好ましくは(C1~C3)アルキルを表し、より好ましくはR1及びR2が、互いに独立して、メチル又はエチル、より好ましくはメチルを表す、実施形態20に記載の方法。
【0098】
22.R3及びR4が、共通の(C4~C8)アルキル鎖、より好ましくは共通の(C4~C7)アルキル鎖、より好ましくは共通の(C4~C6)アルキル鎖を形成し、より好ましくは、共通のアルキル鎖が、C4又はC5アルキル鎖、より好ましくはC5アルキル鎖である、実施形態20又は21に記載の方法。
【0099】
23.1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-3,5-ジ(C1~C4)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-3,5-ジ(C1~C4)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-3,5-ジ(C1~C4)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-2,6-ジ(C1~C4)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-2,6-ジ(C1~C4)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C4)アルキル-2,6-ジ(C1~C4)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上のアンモニウム化合物を含み、
好ましくは、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-3,5-ジ(C1~C3)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-3,5-ジ(C1~C3)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-3,5-ジ(C1~C3)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-2,6-ジ(C1~C3)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-2,6-ジ(C1~C3)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C3)アルキル-2,6-ジ(C1~C3)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、
より好ましくは、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1つ以上のアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、1つ以上のN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム、及び/又はN,N-ジエチル-2,6-ジメチルピペリジニウム化合物、好ましくは1種以上のN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウム化合物を含む、実施形態20~22のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
24.N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピペリジニウム化合物、及び/又はN,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物は、シス配置を示すか、トランス配置を示すか、又はシス及びトランス異性体の混合物を含み、
好ましくは、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピロリジニウム化合物、N,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルピペリジニウム化合物、及び/又はN,N-ジアルキル-2,6-ジアルキルヘキサヒドロアゼピニウム化合物は、シス配置を示し、
より好ましくは、上記1つ以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-シス-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のアンモニウム化合物を含み、より好ましくは、上記1種以上のテトラアルキルアンモニウムカチオンR1R2R3R4N+含有化合物は、1つ以上のN,N-ジエチル-シス-2,6-ジメチルピペリジニウム化合物を含む、実施形態23に記載の方法。
【0101】
25.1種以上の有機テンプレートは、塩として、好ましくはハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは臭化物、塩化物、水酸化物、硫酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩として提供され、より好ましくは、1種以上の有機テンプレートは、水酸化物及び/又は臭化物として、より好ましくは水酸化物として提供される、実施形態16~24のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
26.(1)で調製された混合物が種結晶を含み、(1)で調製された混合物中に含まれる種結晶の量は、SiO2として計算される混合物中のSi(ケイ素)100重量%に基づいて、0.1~15重量%、好ましくは0.5~11重量%、より好ましくは0.8~8重量%、より好ましくは1.2~5重量%、より好ましくは1.5~3重量%、より好ましくは1.8~2.5重量%の範囲内にある、実施形態16~25のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
27.(1)で調製された混合物が種結晶を含み、種結晶がAEI型骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含む、実施形態16~26のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
28.(1)で調製された混合物が、水酸化物塩を含む、実施形態16~27のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
29.(1)で調製された混合物中のOH-:Siのモル比は、0.05~5、好ましくは0.1~3、より好ましくは0.2~1、より好ましくは0.3~0.8、より好ましくは0.45~0.65、より好ましくは0.5~0.6、より好ましくは0.52~0.56の範囲内にある、実施形態16~28のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
30.(1)で調製された混合物は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属、好ましくはLi、Na、K、Rb、Cs、Mg、及びCaからなる群から、より好ましくはLi、Na、及びKからなる群から選択される1種以上の金属を含み、より好ましくは、(1)で調製された混合物は、K及び/又はNa、好ましくはNaを含む、実施形態16~29のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
31.(1)で調製された混合物が、Mg、Ca、又はMg及びCaを含む、実施形態30のいずれか1つに記載の方法。
【0108】
32.(1)で調製された混合物中の、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群から選択される1種以上の金属の、1種以上の有機テンプレートに対するモル比は、0.01以下~50、好ましくは0.05以下~25、より好ましくは0.1以下~15、より好ましくは0.5以下~10、より好ましくは1~7、より好ましくは2~5、より好ましくは3~4、より好ましくは3.4~3.6の範囲内にある、実施形態30又は31に記載の方法。
【0109】
33.(2)における加熱は、0.25~12日間、好ましくは0.5~8日間、より好ましくは1~6日間、より好ましくは1.5~4.5日間、より好ましくは2~4日間、より好ましくは2.5~3.5日間の範囲内の持続時間にわたって行われる、実施形態16~32のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
34.(2)における加熱は、80~220℃、好ましくは100~200℃、より好ましくは120~180℃、より好ましくは130~170℃、より好ましくは140~160℃、より好ましくは145~155℃の範囲内の温度で行われる、実施形態16~33のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
35.(2)における加熱は、自己生成圧力下で、好ましくはソルボサーマル条件下で、より好ましくは水熱条件下で行われ、好ましくは、(2)における加熱は、耐圧容器中で、好ましくはオートクレーブ中で行われる、実施形態16~34のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
36.(2)において結晶化されたゼオライト材料が、AEI型骨格構造を有する、実施形態16~35のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
37.
(3)(2)で得られたゼオライト材料を、1種以上の金属カチオンMとのイオン交換に供すること、を更に含む、実施形態16~36のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
38.(3)が、
(3a)(2)で得られたゼオライト材料を、H+及び/又はNH4
+、好ましくはNH4
+による1回以上のイオン交換手順に供することと、
(3b)(3a)で得られたゼオライト材料を、1種以上の金属カチオンMによる1回以上のイオン交換手順に供することと、を含み、
(3a)及び/又は(3b)は、互いに独立して、好ましくは1~3回、より好ましくは1回又は2回、より好ましくは1回繰り返される、実施形態37に記載の方法。
【0115】
39.(3)において、(2)で得られたゼオライト材料は、1種以上の金属カチオンMによるイオン交換に直接供され、イオン交換ステップは、(2)で得られたゼオライト材料の、1種以上の金属カチオンMによるイオン交換の前に行われない、実施形態37又は38に記載の方法。
【0116】
40.1種以上の金属カチオンMは、Sr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、好ましくはSr、Zr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはSr、Cr、Mg、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはCr、Mg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはMg、Mo、Fe、Ni、Cu、Zn、Ag、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeを含み、好ましくはCuを含み、更により好ましくは、1種以上のカチオンMは、Cu及び/又はFeからなり、好ましくはCuからなる、実施形態37~39のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
41.1種以上の金属カチオンMは、塩として、好ましくはハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種以上の塩として提供され、より好ましくは、(1)による混合物を調製するために使用される1種以上の金属カチオンMは、硝酸塩及び/又は酢酸塩として、より好ましくは酢酸塩として提供される、実施形態37又は40のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
42.(2)の後及び(3)の前に、
(i)場合により、(2)で得られたゼオライト材料を、好ましくは濾過によって単離することと、
及び/又は、好ましくは及び、
(ii)任意選択的に、(2)又は(i)で得られたゼオライト材料を、好ましくは蒸留水で洗浄することと、
及び/又は、好ましくは及び、
(iii)任意選択的に、(2)、(i)、又は(ii)で得られたゼオライト材料を、乾燥させることと、
及び/又は、好ましくは及び、
(iv)任意選択的に、(2)、(i)、(ii)、又は(iii)で得られたゼオライト材料をか焼することと、を含む、実施形態37~41のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
43.(iv)におけるか焼は、0.5~15時間、好ましくは1~10時間、より好ましくは1.5~8時間、より好ましくは2~6時間、より好ましくは2.5~5.5時間、より好ましくは3~5時間、より好ましくは3.5~4.5時間の範囲内の持続時間にわたって行われる、実施形態42に記載の方法。
【0120】
44.(iv)におけるか焼は、300~900℃、好ましくは350~800℃、より好ましくは400~750℃、より好ましくは450~700℃、より好ましくは500~650℃、より好ましくは560~600℃の範囲内の温度で行われる、実施形態42又は43に記載の方法。
【0121】
45.1種以上のSiO源2は、FAU、FER、GIS、MOR、LTA、TON、MTT、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、シリカ、ケイ酸塩、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、好ましくはFAU、GIS、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、シリカ、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはFAU、BEA、及び/又はMFI骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、反応性非晶質固体シリカ、シリカゲル、焼成シリカ、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはFAU骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、シリカゲル、焼成シリカ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1種以上のSiO源2は、FAU骨格構造を有するケイ素含有ゼオライト、コロイダルシリカ、及び/又はヒュームドシリカを含む、実施形態16~44のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
46.FAU型骨格構造を有するゼオライトが、ZSM-3、フォージャサイト、[Al-Ge-O]-FAU、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、SAPO-37、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、[Ga-Ge-O]-FAU、Li-LSX、[Ga-Al-Si-O]-FAU、及び[Ga-Si-O]-FAU(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から、
好ましくは、ZSM-3、フォージャサイト、CSZ-1、ECR-30、ゼオライトX、ゼオライトY、LZ-210、ZSM-20、Na-X、US-Y、Na-Y、及びLi-LSX(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から、
より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、ゼオライトY、Na-X、US-Y、及びNa-Y(これらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、より好ましくは、フォージャサイト、ゼオライトX、及びゼオライトY(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
より好ましくは、FAU型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYを含み、より好ましくは、FAU型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトX及び/又はゼオライトY、好ましくはゼオライトYである、実施形態45に記載の方法。
【0123】
47.BEA型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトベータ、ツァーニック沸石、[B-Si-O]-*BEA、CIT-6、[Ga-Si-O]-*BEA、ベータ多形B、SSZ-26、SSZ-33、ベータ多形A、[Ti-Si-O]-*BEA、及び純粋なシリカベータ(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から、
好ましくは、ゼオライトベータ、CIT-6、ベータ多形B、SSZ-26、SSZ-33、ベータ多形A、及び純粋なシリカベータ(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
より好ましくは、上記BEA型骨格構造を有するゼオライトが、ゼオライトベータ、好ましくは有機テンプレートを用いない合成から得られるゼオライトベータを含み、
より好ましくは、BEA型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトベータであり、好ましくは、有機テンプレート媒介合成から得られるか又は有機テンプレートを用いない合成から得られるゼオライトベータであり、より好ましくは、有機テンプレートフリー合成から得られるゼオライトベータである、実施形態45又は46に記載の方法。
【0124】
48.MFI型骨格構造を有するゼオライトは、シリカライト、ZSM-5、[Fe-Si-O]-MFI、[Ga-Si-O]-MFI、[As-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、Encilite、ボラライトC、FZ-1、LZ-105、ムチナイト、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、MnS-1、及びFeS-1(それらの2つ以上の混合物を含む)からなる群から、
好ましくは、シリカライト、ZSM-5、AMS-1B、AZ-1、Encilite、FZ-1、LZ-105、ムチナイト、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、及びZMQ-TB(それらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択され、
より好ましくは、上記MFI型骨格構造を有するゼオライトは、シリカライト及び/又はZSM-5、好ましくはZSM-5を含み、
より好ましくは、MFI型骨格構造を有するゼオライトは、ゼオライトシリカライト及び/又はZSM-5、好ましくはZSM-5である、実施形態45~47のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
49.1種以上のB2O3源は、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチル、ホウ素エステル、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは1種以上のB2O3源は、ホウ酸及び/又はホウ酸塩、好ましくはホウ酸を含み、より好ましくは、1種以上のB2O3源は、ホウ酸及び/又はホウ酸塩、好ましくはホウ酸からなる、実施形態16~48のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
50.1種以上のAl2O源3は、FAU骨格構造を有するアルミニウム含有ゼオライト及びアルミニウム塩からなる群から選択される1種以上の化合物を含み、好ましくは1種以上のAl2O源3は、FAU骨格構造を有するアルミニウム含有ゼオライト又は硝酸アルミニウムを含み、より好ましくは1種以上のAl2O源3は、FAU骨格構造を有するアルミニウム含有ゼオライト又は硝酸アルミニウムからなる、実施形態16~49のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
51.1種以上のSiO2源及び1種以上のAl2O3源は、FAU骨格構造を有するケイ素及びアルミニウム含有ゼオライトを含み、好ましくは、1種以上のSiO2源及び1種以上のAl2O3源は、FAU骨格構造を有するケイ素及びアルミニウム含有ゼオライトからなる、実施形態16~50のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
52.溶媒系は、任意選択的に分枝鎖の(C1~C4)アルコール、蒸留水、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくは任意選択的に分枝鎖の(C1~C3)アルコール、蒸留水、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくはメタノール、エタノール、蒸留水、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、溶媒系は蒸留水を含み、より好ましくは、溶媒系は蒸留水からなる、実施形態16~51のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
53.(1)で調製され、(2)で結晶化された混合物は、(1)で調製された混合物を100重量%として、元素として計算した場合に、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.005重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.0005重量%以下、より好ましくは0.0001重量%以下のリン(P)を含有する、実施形態16~52のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
54.(1)で調製された混合物は、種結晶を含み、種結晶は、実施形態15~59のいずれか1つに記載の方法に従って得られるその骨格構造中に、SiO2、B2O3、及びAl2O3を含むゼオライト材料の骨格構造を有する1種以上のゼオライト材料を含み、好ましくは、種結晶の1種以上のゼオライト材料は、実施形態15~59のいずれか1つに記載の方法に従って得ることができる及び/又は得られる、実施形態16~53のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
55.好ましくは実施形態1~15のいずれか1つに記載の、AEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、実施形態16~54のいずれか1つに記載の方法に従って得ることができる及び/又は得られる、ゼオライト材料。
【0132】
56.選択的接触還元法によるNOxの処理方法であって、
(A)1種以上の窒素酸化物を含有するガス流を提供することと、
(B)ステップ(A)で提供されたガス流を、実施形態1~15及び55のいずれか1つに記載のゼオライト材料に接触させることと、
を含む、方法。
【0133】
57.(A)で供給されるガス流は、1種以上の還元剤を更に含み、還元剤は、好ましくはアンモニア及び/又は尿素を含む、実施形態56に記載の方法。
【0134】
58.(A)において提供されるガス流は、1種以上の廃ガス、好ましくは1種以上の工業プロセスからの1種以上の廃ガスを含み、より好ましくは、廃ガス流は、アジピン酸、硝酸、ヒドロキシルアミン誘導体、カプロラクタム、グリオキサール、メチル-グリオキサール、グリオキシル酸を製造するためのプロセスにおいて、又は上述のプロセスの2つ以上からの廃ガス流の混合物を含む窒素含有物質を燃焼させるためのプロセスにおいて得られる1種以上の廃ガス流を含み、更により好ましくは、廃ガス流は、アジピン酸及び/又は硝酸を製造するためのプロセスにおいて得られる1種以上の廃ガス流を含む、実施形態56又は57に記載の方法。
【0135】
59.(A)で供給されるガス流は、内燃機関、好ましくはディーゼルエンジン又はリーンバーンガソリンエンジンからの、1種以上の廃ガスを含む、実施形態56~58のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
60.(B)におけるガス流の、ゼオライト材料との接触は、250~550℃、好ましくは300~500℃、より好ましくは325~450℃、より好ましくは350~425℃、より好ましくは380~420℃、更により好ましくは390~410℃の範囲内に含まれる温度で行われる、実施形態56~59のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
61.NOxを含有するガス流の処理のための装置であって、処理されるガス流に流体接触するように設けられた触媒床を含み、触媒床が実施形態1から15及び55のいずれか1つに記載のゼオライト材料を含む、装置。
【0138】
62.触媒床が、固定床触媒又は流動床触媒、好ましくは固定床触媒である、実施形態61の装置。
【0139】
63.1つ以上の還元剤をガス流中に注入するために触媒床の上流に設けられた1つ以上のデバイスを更に含み、還元剤は、好ましくはアンモニア及び/又は尿素を含む、実施形態61又は62に記載の装置。
【0140】
64.実施形態1~15及び55のいずれか1つに記載のゼオライト材料の使用であって、モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒若しくはその前駆体としての、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体としての、好ましくは触媒若しくはその前駆体としての及び/又は触媒担体若しくはその前駆体としての、より好ましくは触媒若しくはその前駆体としての、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元法(SCR)のための、CO2の貯蔵及び/又は吸着のための、NH3の酸化のための、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のための、N2Oの分解のための、触媒としての、流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤としての、及び/又は有機変換反応における、好ましくはアルコールからオレフィンへの変換における、より好ましくはメタノールからオレフィン(MTO)への触媒作用における、より好ましくは、窒素酸化物NOxの選択的触媒還元法(SCR)のための、より好ましくは、燃焼機関からの、好ましくはディーゼルエンジンからの又はリーンバーンガソリンエンジンからの、排気ガス中の窒素酸化物NOxの選択的触媒還元法(SCR)のための、触媒としての、使用。
【実施例】
【0141】
実験セクション
参考例1:誘導結合プラズマ(ICP)
誘導結合プラズマ原子発光分光計(ICP-AES、Shimadzu ICPE-9000)で、元素分析を行った。
【0142】
参考例2:走査型電子顕微鏡法(SEM)
FE-SEM画像は、1kVで動作するHitachi S-5200顕微鏡で得た。
【0143】
参考例3:X線回折データ(XRD)の測定
粉末X線回折(XRD)パターンを、CuKα放射線(40kV、40mA)を使用して、Rigaku Ultima III回折計で収集した。
【0144】
参考例4:平均アスペクト比及び平均粒径の決定
ゼオライト材料の一次結晶のアスペクト比を決定するために、電子プローブに垂直に配向されたゼオライト一次微結晶を、評価のためにSEM画像において手動で選択した。所与の結晶についての両方の利用可能な寸法(すなわち、結晶の幅及び高さ)を測定し、各粒子について記録した。この手順は、少なくとも120個の異なる粒子、好ましくは少なくとも150個の異なる粒子、より好ましくは少なくとも200個の異なる粒子についての値を得るのに必要なだけの枚数のSEM画像であって、試料の表面の異なる部分を表示するSEM画像について行った。測定された粒子の全てについて得られたアスペクト比、すなわち各粒子の高さに対する幅の比の平均値は、試料の平均アスペクト比を構成した。上記の方法で得られた一次結晶の平均の幅(最大の寸法)が、試料の一次結晶の平均粒径を構成した。
【0145】
参考例5:N,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムヒドロキシド(DMPOH)の合成
最初に、24gの3,5-ジメチルピペリジン(TCI、98%、シス-トランス混合物)を、220mLのメタノール(Wako、99.9%)及び42gの炭酸カリウム(Wako、99.5%)と混合した。次いで、121gのヨウ化メチル(Wako、99.5%)を滴下して加え、得られた混合物を還流下で1日間維持した。蒸発させてメタノールを部分的に除去した後、クロロホルムを添加し、撹拌し、続いて濾過して炭酸カリウムを除去した。このステップを繰り返して、メタノール及び炭酸カリウムを完全に除去した。その後、エタノールを加えて再結晶を行い、ジエチルエーテルを加えてヨウ化物塩を析出させた。濾過後、固体生成物を乾燥させ、水酸化物イオン交換樹脂(DIAION SA10AOH、Mitsubishi)及び蒸留水と混合した。1日後、樹脂を濾過により除去し、DMPOH水溶液(35.1重量%)を得た。
【0146】
比較例1:テンプレート剤としてテトラエチルホスホニウムを用いた、AEI型骨格構造を有するゼオライト材料の調製
まず、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド(TEPOH)水溶液を、8MのNaOH水溶液(Wako)及び蒸留水と混合した。次いで、ホウ酸(Wako)を上記溶液に添加し、1時間撹拌した。次いで、HYゼオライト(Si/Al=15のCBV720、Zeolyst)を上記溶液に添加し、1時間撹拌した。得られたゲルのモル組成は、1のSiO
2:0~0.2のH3BO3:0.067のAl:0.2のTEPOH:0.1のNaOH:5のH
2Oであった。このようにして調製した母ゲルを、オートクレーブ中、170℃で5日間、タンブリング条件(40r.p.m.)下で結晶化させた。固体生成物を遠心分離によって回収し、蒸留水で洗浄し、空気下100℃で一晩乾燥させた。
図1に示される得られた材料のXRDから分かるように、AEI骨格型構造を示すゼオライト材料がそれぞれ得られた。得られた材料のSEM画像を
図3に示す。
【0147】
OSDAとしてTEPOHを使用して、合成されたままのSSZ-39及び[B,Al]-AEIゼオライト(0.5g)を、水素/窒素混合物の流れ(H2:15mL/分、N2:60mL/分)中、600℃で6時間か焼して、テンプレートを除去した。
【0148】
か焼したNa型ゼオライト(1g)を、2.5MのNH4NO3水溶液100mLにより、80℃で3時間、2回イオン交換した。固体生成物を濾過によって回収し、蒸留水で洗浄し、空気中100℃で乾燥させ、空気中600℃で5時間か焼して、H型ゼオライトを得た。
【0149】
ホウ素を使用せずに得られたゼオライト、並びにSiO2:H3BO3のモル比20、10、及び5を用いて得られた試料の平均粒径は、それぞれ参考例4の方法に従って得た。したがって、ホウ素を使用せずに得られたゼオライト、並びに20及び10のSiO2:H3BO3モル比を用いて得られたゼオライトは、それぞれ140nmの平均粒径を示し、一方、5のSiO2:H3BO3のモル比を用いて得られたゼオライトは、800nmの平均粒径を示した。
【0150】
したがって、
図3のゼオライト材料のSEM画像に反映される平均粒径の測定結果から分かるように、より大きな結晶サイズは、出発ゲル中に多量のホウ素を使用した場合にのみ得られる。出発ゲル中により少ないホウ素を使用するか、又はホウ素を全く使用しない場合、非常に小さい結晶のみが得られる。
【0151】
実施例1:テンプレート剤としてN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムを用いた、AEI型骨格構造を有するゼオライト材料の調製
まず、参考例5に従って得られた0.7555gのDMPOH水溶液を、0.82gの8MのNaOH水溶液(Wako)及び蒸留水と混合した。次いで、0.033gのホウ酸(Wako)を上記溶液に添加し、1時間撹拌した。次いで、0.6665gのHYゼオライト(Si/Al=30を有するCBV760、Zeolyst)を上記溶液に添加し、1時間撹拌した。得られたゲルのモル組成は、1のSiO
2:0.05のH3BO3:0.033のAl:0.155のDMPOH:0.48のNaOHであり、ここでゲルのH
2O:SiO
2のモル比は20~40の間で変化した。このようにして調製した母ゲルを、オートクレーブ中、150℃で3日間、タンブリング条件(30r.p.m.)下で結晶化させた。固体生成物を濾過によって回収し、蒸留水で洗浄し、空気下100℃で一晩乾燥させた。
図2に示される得られた材料のXRDから分かるように、AEI骨格型構造を示すゼオライト材料がそれぞれ得られた。得られた材料のSEM画像を
図4に示す。
【0152】
次いで、DMPOHをOSDAとして使用して、合成されたままのSSZ-39及び[B,Al]-AEIゼオライトを、空気中600℃で6時間焼成して、テンプレートを除去した。
【0153】
焼成されたNa型ゼオライト(1g)を、2.5MのNH4NO3水溶液100mLにより、80℃で3時間、2回イオン交換した。固体生成物を濾過によって回収し、蒸留水で洗浄し、空気中100℃で乾燥させ、空気中600℃で5時間焼成して、H型ゼオライトを得た。
【0154】
H2O:SiO2のモル比20、30、及び40を用いて得られたゼオライトの、平均アスペクト比及び平均粒径は、それぞれ参考例4の方法に従って得られた。したがって、H2O:SiO2のモル比20を用いて得られたゼオライトの平均粒径は、1.5μmの平均粒径及び4.3の平均アスペクト比を与え、H2O:SiO2のモル比30を用いて得られたゼオライトは、1.0μmの平均粒径及び3.0の平均アスペクト比を与え、H2O:SiO2のモル比40を用いて得られたゼオライトは、1.0μmの平均粒径及び2.0の平均アスペクト比を与えた。
【0155】
したがって、
図4のゼオライト材料のSEM画像に反映される平均粒径の測定結果から分かるように、出発ゲル中のホウ素の量が少なくても、大きな結晶サイズを達成することができる。したがって、ホウ素によるAl部位の同形置換がはるかに大きな程度で起こる、比較例1に従って達成された結果と比較して、比較的高濃度の触媒活性Al部位を含有するより大きな結晶を、比較例1に従って得られたより大きな結晶と比較して得ることができる。
【0156】
前述の利点に加えて、本発明の方法は、比較例1による出発ゲルと比較して、はるかに多量の水を有する出発ゲルの使用を可能にする。その結果、より良好な結晶性が達成され得る。更に、本発明の方法による出発ゲルは、比較例1による方法を使用した場合に可能であるよりもはるかに大きな程度でテンプレート及び/又は未反応材料の再生利用を可能にする本発明の方法の結果として、より高い希釈度に起因して、夾雑物に対してはるかに高い程度の耐性を示す。
【0157】
最後に、比較例1の方法は、リン含有テンプレートの除去のための精巧な手順、すなわち還元性雰囲気下でのか焼を必要とするが、それにもかかわらず、リン含有残留物を全く含まない生成物をもたらさないが、本発明の方法は、空気中でのか焼のみによって使用される有機テンプレートの定量的な除去を可能にする。
【0158】
実施例2:テンプレート剤としてN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムを用いた、AEI型骨格構造を有するゼオライト材料の調製
AEI型骨格構造を有するゼオライト材料は、テンプレート剤としてN,N-ジメチル-3,5-ジメチルピペリジニウムを使用し、1のSiO
2:0~0.2のH3BO3:0.033のAl:0.155のDMPOH:0.1のNaOH:20~31のH
2Oの出発ゲル組成物を使用し、出発ゲルにおいて使用されるSi:Bのモル比を、5~20の間で変化させて、実施例1の方法に基づく手順に従って調製した。
図5に示される得られた材料のXRDから分かるように、AEI骨格型構造を示すゼオライト材料がそれぞれ得られた。得られた材料のSEM画像を
図6に示す。
【0159】
得られたゼオライト材料を、ICPにより元素分析することにより、以下の表に示す結果が得られた。
【0160】
【0161】
図6のゼオライト材料のSEM画像から分かるように、出発ゲル中のホウ素の量を増加させると、出発ゲル中に、Si:Bのモル比20を用いた実施例1と比較して、得られるゼオライト材料の結晶サイズの更なる増加を達成し得る。しかしながら、比較例1について
図3に示された結果との比較から分かるように、比較例に従って得られたものに匹敵する結晶サイズを得るために、本発明の方法では、はるかに少ないホウ素しか必要とされない。したがって、再び、実施例1の結果の考察において上で示したように、出発ゲル中のホウ素の量が比較的少ない場合であっても、ホウ素によるAl部位の同形置換がはるかに大きな程度で起こる、比較例1に従って得られたより大きな結晶と比較して、比較的高濃度の触媒活性Al部位を含有する大きな結晶サイズを達成し得る。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【
図1】比較例1に従って得られた製造されたままの[B,Al]-AEIゼオライトのXRDパターンを示す図である。
【
図2】実施例1に従って得られた製造されたままの[B,Al]-AEIゼオライトのXRDパターンを示す図である。
【
図3】比較例1に従って得られた製造されたままの[B,Al]-AEIゼオライトのSEM画像を示す図である。
【
図4】実施例1に従って得られた製造されたままの[B,Al]-AEIゼオライトのSEM画像を示す図である。
【
図5】比較例2に従って得られた製造されたままの[B,Al]-AEIゼオライトのXRDパターンを示す図である。
【
図6】実施例2に従って得られた製造されたままの[B,Al]-AEIゼオライトのSEM画像を示す図である。
【0163】
引用文献
-米国特許第5,958,370号
-Moliner,M.et al.in Chem.Commun.2012,48,pages 8264-8266
-Maruo,T.et al.in Chem.Lett.2014,43,page 302-304
-Martin,N.et al.in Chem.Commun.2015,51,11030-11033
-Dusselier,M.et al.in ACS Catal.2015,5,10,6078-6085
-米国特許出願公開第2015/0118150A1号
-国際特許出願公開第2016/149234A1号
-Ransom,R.et al.in Ind.Eng.Chem.Res.2017,56,4350-4356
-国際特許出願公開第2018/113566A1号
-特開第2018-087105A号
【手続補正書】
【提出日】2023-05-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO2、Al2O3、及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料のAl:Bのモル比が、10~50の範囲内に含まれ、前記ゼオライト材料のSi:Bのモル比が180~220の範囲内であり、前記ゼオライト材料が、5~10の範囲内に含まれる、前記ゼオライト材料のSi:(Al+B)のモル比を示し、前記ゼオライト材料のSi:Alモル比が、6~25の範囲内であり、前記ゼオライト材料の一次結晶の平均粒径が、0.5~4.0μmの範囲内であり、前記ゼオライト材料の前記一次結晶が、1.4~5.0の平均アスペクト比を示す、ゼオライト材料。
【請求項2】
前記ゼオライト材料が、Sr、Zr、Cr、Mo、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Ag、Os、Ir、Pt、Au、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、Sc、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1種以上の金属カチオンMを含む、請求項1に記載のゼオライト材料。
【請求項3】
AEI型骨格構造を有する前記ゼオライト材料が、SSZ-39、SAPO-18、及びSIZ-8(これらの2種以上の混合物を含む)からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のゼオライト材料。
【請求項4】
請求項1に記載の、SiO2、Al2O3、及びB2O3を含むAEI型骨格構造を有する前記ゼオライト材料の調製方法であって、前記方法は、
(1)構造指向剤としての1種以上の有機テンプレート、1種以上のSiO2源、1種以上のB2O3源、1種以上のAl2O3源、任意選択的に種結晶、及び溶媒系、を含む混合物を調製することであって、前記1種以上のSiO2源及び前記1種以上のAl2O3源が、FAU骨格構造を有するケイ素及びアルミニウム含有ゼオライトを含み、
(1)に従って調製された前記混合物中の、元素としてそれぞれ計算された、前記ケイ素の前記ホウ素に対するモル比(Si:B)が、4~25の範囲内にあり、
(1)に従って調製された前記混合物中の、元素としてそれぞれ計算された、前記ケイ素の前記ホウ素に対するモル比(Si:Al)が、15~50の範囲内にある、ことと、
(2)前記混合物から、その骨格構造中にSiO2、B2O3、及びAl2O3を含むゼオライト材料を結晶化させるために(1)で得られた前記混合物を加熱することと、
を含み、
前記1つ以上の有機テンプレートが、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-3,5-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、N,N-ジ(C1~C2)アルキル-2,6-ジ(C1~C2)アルキルピペリジニウム化合物、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、方法。
【請求項5】
(1)で調製された前記混合物が種結晶を含み、(1)で調製された前記混合物に含まれる種結晶の量が、SiO2として計算される前記混合物中のSi100重量%に基づいて、0.1~15重量%の範囲内にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
AEI型骨格構造を有するゼオライト材料であって、前記ゼオライト材料は、請求項4又は5に記載の方法に従って得ることができる及び/又は得られる、ゼオライト材料。
【請求項7】
選択的接触還元法によるNOxの処理方法であって、
(A)1種以上の窒素酸化物を含有するガス流を提供することと、
(B)ステップ(A)で提供された前記ガス流を、請求項1~3及び6のいずれか一項に記載のゼオライト材料に接触させることと、
を含む、方法。
【請求項8】
NOxを含有するガス流の前記処理のための装置であって、前記装置が、処理される前記ガス流に流体接触するように設けられた触媒床を含み、前記触媒床が、請求項1~3及び6のいずれか一項に記載のゼオライト材料を含む、装置。
【請求項9】
請求項1~3及び6のいずれか一項に記載のゼオライト材料の使用であって、モレキュラーシーブとしての、吸着剤としての、イオン交換のための、触媒若しくはその前駆体としての、及び/又は触媒担体若しくはその前駆体としての、CO2の貯蔵及び/又は吸着のための、NH3の酸化のための、特にディーゼルシステムにおけるNH3スリップの酸化のための、N2Oの分解のための、流動接触分解(FCC)プロセスにおける添加剤としての、及び/又は有機変換反応における触媒としての、使用。
【国際調査報告】