(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】ポリアミノアミド型レベリング剤を含む銅電着用組成物
(51)【国際特許分類】
C25D 3/38 20060101AFI20241029BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20241029BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
C25D3/38 101
H05K1/03 610N
H01L21/88 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519854
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2022076474
(87)【国際公開番号】W WO2023052254
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】アルノルト,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フリューゲル,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クットナー,エリザベート
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルハルト,ナディネ
【テーマコード(参考)】
4K023
5F033
【Fターム(参考)】
4K023AA01
4K023AA19
4K023BA06
4K023CA09
4K023CB14
4K023CB32
5F033HH11
5F033PP27
5F033QQ42
5F033VV07
5F033WW01
(57)【要約】
本発明は、銅イオンと、酸と、式L1
[B-A-B’-Z]n[Y-Z]m (L1)
で表される基を含む少なくとも1種のポリアミノアミドとを含む銅電気めっき組成物を提供するものであり、該組成物は、2つの第一級又は第二級アミノ基を含むジアミン化合物とアミノ酸とを約1:2のモル比で反応させてアミノアミド化合物を形成し、これをその後カップリング剤、及び任意にジアミンコモノマーと反応させることにより、得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅イオンと、酸と、式L1
[B-A-B’-Z]
n[Y-Z]
m (L1)
で表される基を含む少なくとも1種のポリアミノアミドとを含む銅電気めっき組成物であって、
式中、
B、B’は、同一又は異なり、好ましくは同一であり、そして式L2a
【化1】
又は式L2b
【化2】
で表されるアミノ酸フラグメントであり、
Aは、式L3a
【化3】
又は式L3b
【化4】
から独立に選択されるジアミンフラグメントであり、
D
L1は、
(a)任意にアミノ基により置換されているか、又は二重結合又はイミノ基が間に入っていてよい、C
1~C
20-アルカンジイル、
(b)式L2a
-(D
L10-O-]
oD
L10- (L2c)
で表されるエーテル又はポリエーテル基
から選択される二価の基であり、
D
L2は、
(a)任意に1個又は複数のNR
L10が間に入っていてもよい、又は1個又は複数の、好ましくは1個又は2個の基NR
L10R
L11又はOR
L10で置換されていてもよい、直鎖、分岐又は環状C
1~C
20アルカンジイル、又は
(b)-D
L13-Ar
L13-D
L13-、又は
(c)式L2cで表されるエーテル又はポリエーテル基
から選択される二価の基であり、
D
L10は、直鎖又は分岐C
1~C
6-アルカンジイル、好ましくはエタンジイル又はプロパンジイルから選択され、
D
L13は、C
1~C
6-アルカンジイル、好ましくはメタンジイル又はエタンジイルから選択され、
Ar
L13は、C
6~C
10芳香族部分、好ましくはp-フェニレンであり、
D
L11、D
L12は、
(a)直鎖又は分岐C
1~C
6アルカンジイルから独立に選択されるか、又は
(b)両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部であり、
D
L21、D
L22は、
(a)直鎖又は分岐C
1~C
6アルカンジイルから独立に選択されるか、又は
(b)両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部であり、
D
L23は、C
1~C
6アルカンジイルであり、
R
L1、R
L2は、C
1~C
6アルキルから独立に選択され、
R
L3は、H及びC
1~C
6アルキルから選択され、
X
L2は、N又はCR
L3であり、
Yは、コモノマーフラグメントであり、
Zは、式L4
【化5】
で表される二価のカップリングフラグメントであり、
Z
L1は、
(a)1個又は複数のO原子が間に入っていてもよい直鎖又は分岐C
1~C
12アルカンジイル、好ましくは、1個又は2個のO原子が間に入っていてもよいC
1~C
6アルカンジイル、又は
(b)二価の基-D
L11-Ar
L11-D
L11-
から選択され、
Z
L2、Z
L3は、化学結合及びヒドロキシエタンジイルから独立に選択され、
nは、1~400の整数であり、
mは、0又は1~400の整数であり、
oは、1~100の整数であり、
p、rは、独立に0又は1である、銅電気めっき組成物。
【請求項2】
B及びB’が同一又は異なり、好ましくは同一であり、そして式L2aで表されるアミノ酸フラグメントであり、式中、D
L1は、(i)直鎖C
2~C
10アルカンジイル基、(ii)C
2~C
3オキシアルキレン基、(iii)環状C
6~C
12アルカンジイル基、又は(iv)二価のフェニル又はピリジル基から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
B及びB’が同一又は異なり、好ましくは同一であり、そして式L2bで表されるフラグメントであり、式中、(a)D
L11及びD
L12は、直鎖又は分岐C
1~C
4アルカンジイルから独立に選択され、又は(b)D
L11、D
L12は、隣接した2個のN原子と共にイミダゾール環を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Aが式L3aで表されるフラグメントであり、D
L2がメタンジイル、エタンジイル、及び1,3-プロパンジイルから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
Aが式L3aで表されるフラグメントであり、D
L2が式L2a
-(D
L10-O-]
oD
L10- (L2a)
で表されるエーテル又はポリエーテル基から選択され、
式中、D
L10はC
1~C
4-アルカンジイルから選択され、そしてoは1~50の整数である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
Aが式L3bで表されるフラグメントであり、式中、D
L21、D
L22、及びD
L23は、メタンジイル、エタンジイル、及びプロパンジイルから独立に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
Aが式L3bで表されるフラグメントであり、式中、D
L21及びD
L22は、隣接した2個のN原子と共にイミダゾール環を形成し、そしてD
L23は、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル及びブタンジイルから独立に選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ZがC
1~C
12-アルカンジイル、ビス(2-エタンジイル)エーテル基、2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイル、及び4,4’-ビス(メチル)ビフェニルから選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
nが、2~200、好ましくは2~150の整数である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
mが0又は1~200の整数、好ましくは0又は2~150の整数である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリアミノアミドの質量平均分子量M
wが、450g/mol~150000g/mol、好ましくは1000g/mol~50000g/molである、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
1種又は複数の促進剤、1種又は複数の抑制剤、又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
導電性のフィーチャ底部および絶縁性のフィーチャ側壁を含む凹型フィーチャを含む基材上に銅を堆積させるために、請求項1から12のいずれか一項に記載の銅電気めっき組成物を使用する方法であって、前記凹型フィーチャが500nm~500μmの開口サイズを有する、方法。
【請求項14】
導電性のフィーチャ底部および絶縁性のフィーチャ側壁を含む凹型フィーチャを含む基材上に銅を電着させる方法であって、
a)請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を前記基材と接触させる工程と、
b)前記凹型フィーチャ中に銅層を堆積させるのに十分な時間、前記基材に電流を流す工程と
を含み、前記凹型フィーチャが500nm~500μmの開口サイズを有する、方法。
【請求項15】
前記開口サイズが1μm~200μmである、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアミノアミド型レベリング剤を含む銅電気めっき組成物、それを使用する方法、及び銅電着の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バンプはLSIなどの集積回路を有するウェハの表面上に形成される。そのようなバンプは集積回路の配線の一部を構成し、外部パッケージ基板(又は回路基板)の回路へ接続するための端子として機能する。バンプは一般に、半導体チップ(又はダイ)の外周に沿って配置され、ワイヤボンディング法にしたがって金線により、又はTAB法にしたがってリードにより外部回路に接続される。
【0003】
半導体デバイスの高集積度及び高密度に向けた近年の進歩と共に、外部回路への接続のためのバンプの数は増加しており、半導体チップの表面の全領域にわたってバンプを形成する必要性を生じさせている。さらに、より狭い配線間隔の必要性が、表面上に形成された多数のバンプを有する半導体チップ反転させバンプを直接回路基板に接続することを伴う方法(フリップチップ法)の使用につながっている。
【0004】
電気めっきはバンプを形成する方法として広く採用される。集積回路を有するウェハの表面上にバンプを形成するプロセスは、半導体デバイスの製造の最終段階における最も重要なプロセスの1つである。これに関して、集積回路が多くの製造プロセスによりウェハ上に形成されることに注意するべきである。従って、あらゆる先行するプロセスを通過したウェハ上で行われるバンプ形成プロセスでは、非常に高い信頼性が要求される。より小型化した半導体チップへの進歩と共に、外部回路に接続するためのバンプの数が増加しており、バンプ自体が小型化している。従って、パッケージ基板などの回路基板への半導体チップのボンディングにおける位置決めの精度を高める必要性がある。さらに、バンプが溶融し固化するボンディングプロセスにおいて欠陥を生じさせないことが強く要求される。
【0005】
一般に、銅バンプは集積回路に電気的に接続しているウェハのシード層上に形成される。開口部を有するレジストがシード層上に形成され、銅が開口部におけるシード層の露出した表面上に銅電気めっきにより堆積し、それにより銅バンプが形成される。シード層は、銅が絶縁体中に拡散するのを防ぐために、例えばチタンで構成されるバリア層を含む。レジストの開口部を銅で埋めた後、レジストを除去し、次いで銅バンプにリフロー加工を行う。
【0006】
より多くの機能ユニットをかつてない小さいスペースにフィットさせる必要性は、集積回路産業をパッケージ接続のためのバンププロセスに駆り立てる。第2の原動力は、所与の面積における入出力接続の量を最大化することである。バンプ径及びバンプ間距離の減少と共に、接続密度を増加させることができる。これらのアレイはスズ又はスズ合金はんだキャップがめっきされた銅バンプ又はマイクロピラーにより実現される。すべてのバンプがウェハ全体にわたって接触することを保証するために、ボイドフリーの堆積及びリフローに加えて、均一な堆積高さが必要とされる。さらに、ファンアウト技術のような別の実装技術は、銅でできた再配線層(RDL)を必要とする。これらのRDLは、様々な線間隔において、及び様々な寸法を有するパッドにおいて、均一なめっきを必要とする。
【0007】
この均一な堆積を実現するために、いわゆるレベラーを使用することがある。文献では、様々な異なるレベリング化合物が他の電気めっき用途において記載されている。ほとんどの場合、レベリング化合物は、Nを含有する、任意に置換された及び/又は四級化されたポリマー、例えばポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン(スルホン化)、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒドリンの反応生成物、アミン、エピクロロヒドリン、及びポリアルキレンオキシドの反応生成物、アミンとポリエポキシドの反応生成物、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、ポリアルコキシル化ポリアミド、及びポリアルカノールアミンなどである。
【0008】
US2012/292193Aは、ポリアミノアミド、アルコキシル化ポリアミノアミド、官能化ポリアミノアミド、及び官能化及びアルコキシル化ポリアミノアミドを含むレベリング剤を開示している。US2014/097092Aは、シリコン貫通電極の銅電着の用途において使用するための芳香族PAAを開示している。WO2014/072885において、少なくとも1個のジアミンを少なくとも1個のN,N’-ビスアクリルアミドと反応させることにより得ることができるポリアミノアミドが記載されている。
【0009】
US6425996B1は、ポリアミノアミドとエピハロヒドリン、ジハロヒドリン及び1-ハロゲン-2,3-プロパンジオールの反応生成物をそれぞれ含むレベリング剤を開示している。
【0010】
US2016/0076160A1は、脂肪族ジ(t-アミン)とアルキル化剤との反応生成物を含むレベラーを含有する、半導体集積回路デバイス又はシリコン貫通電極のサブミクロンのフィーチャを埋めるのに有用な電解めっき組成物を開示している。
【0011】
未公開の国際特許出願第PCT/EP2021/057522号は、第三級及び第一級又は第二級アミノ基を含むジアミン、二酸及びカップリング剤から調製可能なポリアミノアミド型レベリング剤を含む銅電気めっき組成物が開示している。
【0012】
ダイ内共平面性(COP)とも呼ばれる改善された高さの均一性と併せて、良好なモルフォロジー、特に低い粗面度を有するバンプ堆積物をもたらす酸性銅電気めっき浴が、電子産業において依然として必要とされている。
【0013】
アルカリ亜鉛又は亜鉛合金、例えばZnFeCo合金において、電着組成物に特有のカチオン性ポリマーを使用して光沢及び合金部材の均一性を向上させる。例えばUS5435898に開示されるこれらのカチオン性ポリマーの1つは式
【化1】
のMIRAPOL AD-1である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】US2012/292193A
【特許文献2】US2014/097092A
【特許文献3】WO2014/072885
【特許文献4】US6425996B1
【特許文献5】US2016/0076160A1
【特許文献6】国際特許出願第PCT/EP2021/057522号
【特許文献7】US5435898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、良好なモルフォロジー、特に低い粗面度を示す銅堆積物をもたらし、限定はされないがボイドなどの欠陥を実質的に形成せずに、マイクロメートルスケールで凹型フィーチャを埋めることが可能である、銅電気めっき組成物、特に酸性銅電気めっき組成物を提供することである。さらなる本発明の目的は、特にバンプなどの500ナノメートル~500マイクロメートル幅の凹型フィーチャにおいて、均一で平面な銅堆積物をもたらす銅電気めっき浴を提供することである。
【0016】
驚くべきことに、特定のカチオン性アミノアミドポリマーを使用すると、銅バンプ及びRDL電気めっきにおいて驚くべきレベリング特性が示されることが分かった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は、銅イオンと、酸と、式L1
[B-A-B’-Z]n[Y-Z]m (L1)
で表される基を含む少なくとも1種のポリアミノアミドとを含む組成物であって、
式中、
B、B’は、同一又は異なり、好ましくは同一であり、そして式L2a
【0018】
【化2】
又は式L2b
【化3】
で表されるアミノ酸フラグメントであり、
Aは、式L3a
【化4】
又は式L3b
【化5】
から独立に選択されるジアミンフラグメントであり、
D
L1は、
(a)任意にアミノ基により置換されているか、又は二重結合又はイミノ基が間に入っていてよい、C
1~C
20-アルカンジイル、
(b)式L2a
-(D
L10-O-]
oD
L10- (L2c)
で表されるエーテル又はポリエーテル基
から選択される二価の基であり、
D
L2は、
(a)任意に1個又は複数のNR
L10が間に入っていてもよい、又は1個又は複数の、好ましくは1個又は2個の基NR
L10R
L11又はOR
L10で置換されていてもよい、直鎖、分岐又は環状C
1~C
20アルカンジイル、又は
(b)-D
L13-Ar
L13-D
L13-、又は
(c)式L2c
-(D
L10-O-]
oD
L10- (L2c)
で表されるエーテル又はポリエーテル基
から選択される二価の基であり、
D
L10は、直鎖又は分岐C
1~C
6-アルカンジイル、好ましくはエタンジイル又はプロパンジイルから選択され、
D
L13は、C
1~C
6-アルカンジイル、好ましくはメタンジイル又はエタンジイルから選択され、
Ar
L13は、C
6~C
10芳香族部分、好ましくはp-フェニレンであり、
D
L11、D
L12は、
(a)直鎖又は分岐C
1~C
6アルカンジイルから独立に選択されるか、又は
(b)両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部であり、
D
L21、D
L22は、
(a)直鎖又は分岐C
1~C
6アルカンジイルから独立に選択されるか、又は
(b)両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部であり、
D
L23は、C
1~C
6アルカンジイルであり、
R
L1、R
L2は、C
1~C
6アルキルから独立に選択され、
R
L3は、H及びC
1~C
6アルキルから選択され、
X
L2は、N又はCR
L3であり、
Yは、コモノマーフラグメントであり、
Zは、式L4
【化6】
で表される二価のカップリングフラグメントであり、
Z
L1は、
(a)1個又は複数のO原子が間に入っていてもよい直鎖又は分岐C
1~C
12アルカンジイル、好ましくは、1個又は2個のO原子が間に入っていてもよいC
1~C
6アルカンジイル、又は
(b)二価の基-D
L11-Ar
L11-D
L11-
から選択され、
Z
L2、Z
L3は、化学結合及びヒドロキシエタンジイルから独立に選択され、
nは、1~400の整数であり、
mは、0又は1~400の整数であり、
oは、1~100の整数であり、
p、rは、独立に0又は1である、組成物を提供する。
【0019】
本発明によるレベリング剤は、500nm~500μmの開口サイズを有する凹型フィーチャ、特に1~200μmの開口サイズを有するものを埋めるのに特に有用である。レベリング剤は銅バンプを堆積させるのに特に有用である。
【0020】
レベリング剤のレベリング効果に起因して、めっきされた銅バンプの改善された共平面性を有する表面が得られる。銅堆積物は、良好なモルフォロジー、特に低い粗面度を示す。電気めっき組成物は、限定はされないがボイドなどの欠陥を実質的に形成せずに、マイクロメートルスケールで凹型フィーチャを埋めることが可能である。電気めっき組成物は、様々な線間隔において、及び様々な寸法を有するパッドにおいて、均一なめっきを確実にし、このことによりこの組成物はRDL用途に特に有用なものとなる。
【0021】
さらに、本発明によるレベリング剤は、限定はされないが、有機物、塩化物、硫黄、窒素、又は他の元素などの不純物の低減をもたらす。特に、はんだを銅に直接めっきする場合、高い有機不純物レベルは顕著なカーケンダルボイドにつながる。これらのボイドははんだ積層物の信頼性を低下させ、従ってあまり好ましくない。
【0022】
本明細書に記載の添加剤はさらに、高いめっき速度を容易にし、高温でのめっきを可能にする。
【0023】
本発明によるレベリング剤のさらなる利点は、窒素含量、親水性、電荷及び電荷密度、抑制能力の適合に関するその柔軟性であり、このことはそれらのレベリング剤を基材の非常に具体的な要求に適合させることを容易にする。国際特許出願第PCT/EP2021/057522号の観点から、第三級アミノ酸、ジアミン及びカップリング剤から合成された本発明によるレベラーは、ビルディングブロックの全く新しい組み合わせが利用可能であるので、この柔軟性をさらに高める。
【0024】
本発明は、導電性のフィーチャ底部及び絶縁性のフィーチャ側壁を含む凹型フィーチャを含む基材上に銅を堆積させるために、本明細書に記載の水性組成物を使用する方法であって、凹型フィーチャが500nm~500μmの開口サイズを有する、方法にさらに関する。
【0025】
本発明は、導電性のフィーチャ底部及び絶縁性のフィーチャ側壁を含む凹型フィーチャを含む基材上に銅を電着させる方法であって、
(a)本明細書に記載の組成物を基材と接触させる工程と、
(b)凹型フィーチャ中に銅層を堆積させるのに十分な時間、基材に電流を流す工程と
を含み、凹型フィーチャが500nm~500μmの開口サイズを有する、方法にさらに関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
改善されたレベリング性能を示す、バンプ構造の銅電気めっきにおけるレベリング剤として、四級化カップリング化アミノアミドポリマーを有利に使用することができることが分かった。四級化カップリング化アミノアミドポリマーは、本明細書において「カチオン性アミノアミドポリマー」、「カップリング化アミノアミドポリマー」、「カップリング化アミノアミド」、「レベリング剤」、又は「レベラー」とも呼ばれる。
【0027】
本明細書で使用する「促進剤」は、電気めっき浴のめっき速度を高める有機添加剤を指す。「促進剤(accelerator)」及び「促進剤(accelerating agent)」という用語はこの明細書の全体にわたって交換可能に使用される。文献において、場合により促進剤成分は「光沢剤(brightener)」又は「光沢剤(brightening agent)」とも名付けられる。「抑制剤(suppressing agent)」又は「抑制剤(suppressor)」とは、電気めっき浴のめっき速度を低下させ、底部から上部まで凹型フィーチャがボイドレスで埋められること(いわゆる「ボトムアップ充填」)を確実にする有機化合物を指す。「抑制剤(suppressor)」及び「抑制剤(suppressing agent)」という用語は、この明細書の全体にわたって交換可能に使用される。「レベラー」とは、多数の又は少数の凹型フィーチャを有する領域にわたって、又はウェハ又はダイの様々な領域にわたって、実質的に平面の金属堆積物を提供することが可能である有機化合物を指す。「レベラー」、「レベリング剤」、及び「レベリング添加剤」という用語は、この明細書の全体にわたって交換可能に使用される。
【0028】
本発明による「開口サイズ」は、めっき前の凹型フィーチャの最小の直径又は自由距離を意味する。「幅」、「直径」、「開口(aperture)」、及び「開口(opening)」という用語は本明細書において、フィーチャ(溝、ビアなど)の形状に応じて同義に使用される。本明細書で使用する、「アスペクト比」は、凹型フィーチャの深さ対開口サイズの比を意味する。
【0029】
本明細書で使用する、「化学結合」は、それぞれの部分は存在しないが隣接した部分の間に直接的な化学結合を形成するようにそれらの隣接した部分が橋架けされていることを意味する。例として、分子A-B-Cにおいて部分Bが化学結合である場合、隣接した部分A及びCが共に基A-Cを形成する。
【0030】
「Cx」という用語は、それぞれの基がxの数のC原子を含むことを意味する。「Cx~Cyアルキル」という用語は、x~yの数の炭素原子を有するアルキルを意味し、明確に指定されない限り、非置換の直鎖、分岐、及び環状アルキルを含む。本明細書で使用する、「アルカンジイル」とは、直鎖、分岐、又は環状アルカン、又はそれらの組み合わせのジラジカルを指す。
【0031】
本明細書で使用する、「芳香族環」はアリール及びヘテロアリール基を網羅する。
【0032】
本発明によるレベリング剤
銅イオン及び酸に加えて、金属電気めっき組成物は、式I:
[B-A-B’-Z]n[Y-Z]m (L1)
で表される少なくとも1種のポリアミノアミドを含む。
【0033】
式L1による添加剤は一般に、まず2個の第一級又は第二級アミノ基を含むジアミン化合物([a])とアミノ酸「b」とをおよそ1:2のモル比で反応させてアミノアミド化合物b-A-b’を形成させることにより、得ることができる。US6425996B1に開示される化合物とは対照的に、別々のモノマー化合物がこの中間生成物において得られる。
【0034】
その後このモノマーアミノアミド中間化合物をカップリング剤「z」と反応させていくつかのアミノアミド化合物を互いに結合させて本発明によるカップリング化アミノアミド[A-B-A’-Z]nを得る。
【0035】
例として、この反応スキームは、3-アミノプロピルアミン、N,N-ジメチルグリシン及びエピクロロヒドリンから出発することによるレベラー調製を示す:
【化7】
【0036】
第一の工程において、別々のアミノアミドモノマーb-A-b’が調製され、次いでこれらはカップリング剤zと共にカップリングされる。この場合mは0である。
【0037】
第三級アミノ基及び第二級又は第三級アミノ基を含むさらなるアミンコモノマーYとアミノアミド化合物とを共カップリングさせることも可能である。この場合mは1以上である。
【0038】
フラグメントA、B、B’、Z、及びYは下記でより詳細に説明される。
【0039】
第一の実施形態において、アミノ酸化合物b及び「b」は、式L2a
【化8】
で表される2個のアミノ酸フラグメントB及びB’を形成する。
【0040】
式L2において、アミノ酸スペーサーDL1は、(a)任意にアミノ基により置換されているか、又は二重結合又はイミノ基が間に入っていてよい、C1~C20-アルカンジイル、又は(b)式L2a
-(DL10-O-]oDL10- (L2c)
で表されるエーテル又はポリエーテル基から選択される二価の基から選択され、
式中、DL10は、C1~C6-アルカンジイルから、好ましくはC1~C4-アルカンジイルから、最も好ましくはエタンジイル又はプロパンジイルから選択され、oは1~100、好ましくは1~20、最も好ましくは1~15の整数である。特定の実施形態においてoは3~10であり、別の実施形態においてoは10~20である。
【0041】
好ましい実施形態において、DL1は、(i)非置換又はアミノ基によって置換されていてよい直鎖C2~C10アルカンジイル基、(ii)C2~C3オキシアルキレン基、(iii)環状C6~C12アルカンジイル基、又は(iv)二価のフェニル又はピリジル基から選択される。
【0042】
別の好ましい実施形態において、DL1は、非置換又はアミノ基によって置換されていてよいエタンジイル、プロパンジイル、ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、オクタンジイル、ノナンジイル、又はデカンジイルから選択される。最も好ましくはDL1は、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ペンタン-1,5-ジイル、5-アミノペンタン-1,5-ジイル、及びヘキサン-1,6-ジイルから選択される。
【0043】
式L2aにおいて、RL1及びRL2は、C1~C6アルキル、好ましくはメチル、エチル又はプロピルから独立に選択される。RL3は、H及びC1~C6アルキル、好ましくはH及びメチルから選択される。
【0044】
別の実施形態では、アミノ酸化合物b及び「b」は、式L2b
【化9】
で表される2個のアミノ酸フラグメントB及びB’を形成する。
【0045】
式L2bにおいて、二価の基DL11及びDL12は、(a)直鎖又は分岐C1~C6アルカンジイルから独立に選択されるか、又は(b)両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部である。DL1は、上記式L2aについて定義したものと同じであってよい。RL1は、C1~C6アルキル、好ましくはメチル、エチル又はプロピルから選択される。
【0046】
式L2bの第一の好ましい実施形態において、DL11及びDL12は、直鎖又は分岐C1~C4アルカンジイルから独立に選択される。さらにより好ましくは、DL11及びDL12は、(CH2)gから選択され、式中、gは1~6、好ましくは1~3の整数である。最も好ましくは、DL11及びDL12は両方ともエタンジイルであるか、又はDL11がメタンジイルでありDL12がプロパンジイルである。
【0047】
式L2bの別の好ましい実施形態では、DL11及びDL12は、隣接した2個のN原子と共にイミダゾール環を形成する。
【0048】
限定するものではないが、本発明によるレベラーの調製に特に有用な第三級アミノ酸は、N,N-ジメチルグリシン、3-(ジメチルアミノ)プロパン酸、4-(ジメチル-アミノ)-ブタン酸、5-(ジメチル-アミノ)ペンタン酸、1H-イミダゾール-1-酢酸、1H-イミダゾール-1-プロパン酸、1H-イミダゾール-1-ブタン酸、及び式L2d
【化10】
で表されるアミノ酸である。
【0049】
アミノ酸は、遊離酸の形で、又はカルボン酸誘導体、例えば無水物、エステル、アミド又は酸ハロゲン化物、特に塩化物として使用してよい。遊離アミノ酸の使用が好ましい。
【0050】
アミノ酸フラグメントB及びB’は正に荷電しているので、組成物全体を中和するために対イオンYy-が必要であり、式中、yは正の整数である。好ましくは、このような対イオンは、ハロゲン化物、特に塩化物、メタンスルホネート、スルフェート又はアセテートから選択してよい。
【0051】
ジアミン化合物「a」は、式L3a
【化11】
又は式L3b
【化12】
で表されるジアミンフラグメントAを形成する。
【0052】
ここで両方のアミン化合物の第一級又は第二級アミン官能基は、アミノ酸フラグメントのカルボニル官能基にそれぞれ結合している。
【0053】
式L3aの第一の実施形態において、二価の基DL2は、任意に1個又は複数のNRL10又はSが間に入っていてもよい、又は1個又は複数の、好ましくは1個又は2個の基NRL10RL11又はORL10で置換されていてもよい、直鎖又は分岐C1~C20アルカンジイルから選択され、式中RL10、RL11は、H及びC1~C10アルキルから、より好ましくはH及びC1~C4アルキルから、最も好ましくはH、メチル、又はエチルから独立に選択される。特に好ましい実施形態において、DL2は直鎖又は分岐C1~C6アルカンジイルから選択される。さらにより好ましくは、DL2は(CH2)gから選択され、式中、gは1~6、好ましくは1~3の整数である。最も好ましくは、DL2は1,2-エタンジイル又は1,3-プロパンジイルである。
【0054】
式L3aの第二の実施形態において、二価の基DL2は-DL11-ArL13-DL13から選択され、式中、DL13は、C1~C6-アルカンジイルから、好ましくはメタンジイル又はエタンジイルから選択され、ArL13はC6~C10芳香族部分、好ましくはフェニレン、最も好ましくはp-フェニレンである。
【0055】
式L3aの第三の実施形態において、二価の基DL2は式L2a
-(DL10-O-]oDL10- (L2a)
で表されるエーテル又はポリエーテル基から選択され、
式中、DL10は、C1~C6-アルカンジイル、好ましくはC1~C4-アルカンジイル、最も好ましくはエタンジイル又はプロパンジイルから選択され、oは1~100、好ましくは1~50、最も好ましくは1~15の整数である。特定の実施形態において、oは3~10の整数であり、別の実施形態において、oは10~40の整数である。
【0056】
式L3bにおいて、二価の基DL21及びDL22は、(a)直鎖又は分岐C1~C6アルカンジイル、好ましくはメタンジイル、エタンジイル、又はプロパンジイルから独立に選択されるか、又は(b)DL21及びDL22の両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部である。DL23はC1~C6アルカンジイル、好ましくはメタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル又はブタンジイル、最も好ましくはメタンジイル、エタンジイル又はプロパンジイルであってよい。RL3は、H及びC1~C6アルキルから、好ましくはH又はメチルから、最も好ましくはHから選択されてよい。XL2は、N又はCRL3、好ましくはN、C-H又はC-CH3であってよく、p及びrは、同一又は異なってよく、そして0又は1であってよい。p又はrが1である場合、それぞれのアミノ酸は第一級又は第二級アミン官能基に結合しており、p又はrが0である場合、それぞれのアミノ酸は環系の一部である第二級アミン官能基に結合している。
【0057】
式L3bの第一の好ましい実施形態において、DL21及びDL22は、直鎖又は分岐C1~C4アルカンジイルから独立に選択される。さらにより好ましくは、DL21及びDL22は、(CH2)gから選択され、式中、gは1~6、好ましくは1~3の整数である。最も好ましくは、DL21及びDL22は両方ともエタンジイルであるか、又はDL21がメタンジイルでありDL22がプロパンジイルである。
【0058】
式L3bの第二の好ましい実施形態において、DL21及びDL22は、隣接した2個のN原子と共にイミダゾール環を形成する。
【0059】
本発明によるレベラーの調製に特に有用なジアミンは、プロピレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,8-ジアミノオクタン、1,12-ジアミノドデカン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロ-ヘキシル-メタン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、キシレンジアミン、平均重合度が1~50、好ましくは2~40、最も好ましくは1~10のポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル)、及びリジンである。
【0060】
本明細書において、「平均重合度」とは、ポリマー中の繰り返しモノマー単位の平均数を意味する。
【0061】
カップリング剤「z」は式L4
【化13】
で表されるカップリングフラグメントZを形成し、
式中、
Z
L1は、
(a)1個又は複数のO原子が間に入っていてもよい直鎖又は分岐C
1~C
12アルカンジイル、好ましくは、1個又は2個のO原子が間に入っていてもよいC
1~C
6アルカンジイル、又は
(b)二価の基-D
L11-Ar
L11-D
L11-
から選択され、
Z
L2、Z
L3は、化学結合又はヒドロキシエタンジイルから独立に選択される。
【0062】
第一の好ましい実施形態において、ZL1は、C1~C12アルカンジイル、好ましくはC1~C4アルカンジイル、最も好ましくはメタンジイル又はエタンジイルから選択される。第二の好ましい実施形態において、ZL1は、式-(DL10-O-]oDL10-のアルキルエーテル又はポリアルキルエーテル基、特にビス(2-エタンジイル)エーテル基から選択され、式中、DL10はC1~C6-アルカンジイル、好ましくはC1~C4-アルカンジイル、最も好ましくはエタンジイル又はプロパンジイルから選択され、oは1~100、好ましくは1~20、最も好ましくは1~10の整数である。特定の実施形態において、oは1~5であり、別の実施形態において、oは5~15である。第三の好ましい実施形態において、ZL1は二価の基-DL11-ArL11-DL11-、特にビフェニル基から選択され、式中、DL11はC1~C6-アルカンジイル、好ましくはメタンジイル及びエタンジイルから選択され、ArL11はC6~C12芳香族部分、好ましくはフェニレン又はビフェニレンである。
【0063】
別の好ましい実施形態において、ZL2は化学結合から選択され、ZL3はヒドロキシエタンジイルから選択される。さらに別の好ましい実施形態において、ZL2及びZL3は両方とも化学結合から選択される。
【0064】
そのようなカップリングフラグメントZは、限定はされないが例えばハロゲン、特にCl又はBr、及び/又はエポキシ基などの脱離基を含むカップリング剤から得られる。
【0065】
特に好ましいカップリング剤「z」は、ビス(2-クロロエチル)エーテル、ビス(2-クロロエトキシ)エタン、エピクロロヒドリン、1,ω-ジハロ(C2~C10)アルカン、限定はされないが例えば1,3-ジクロロプロパン、1,4-ジクロロブタン、1,5-ジクロロペンタン、及び1,6-ジクロロヘキサンなど、ビス(2-クロロエチル)エーテル、ジ(ハロアルキル)アリール基、限定されないが例えばキシリレンジクロリド及び4,4’-ビス(ブロモメチル)ビフェニルなどから選択される。本明細書において、クロリド又はブロミドは、他の脱離基、限定はされないが例えばトリフレート、トシレート、メシレートなどにより交換されてもよい。
【0066】
式L1において、nは1~400、好ましくは2~200、より好ましくは2~150の整数であってよい。特定の実施形態において、nは2~50の整数であり、別の実施形態において、nは50~150であってよい。
【0067】
式L1において、mは0であるか、又はコモノマーが存在する場合は1~400、好ましくは1~200、より好ましくは2~150の整数である。
【0068】
コモノマーを使用する場合、n対mの比は、10:90~95:5、好ましくは20:70~90:10、より好ましくは30:70~70:30であってよい。
【0069】
一般に、レベリング剤の質量平均分子量Mwは、約450~約150000g/mol、好ましくは1000~80000g/mol、最も好ましくは1000~50000g/molであってよい。
【0070】
本発明によるレベラーの第一の好ましい実施形態は、式L5
【化14】
で表されるカップリング化アミノアミドであり、
一般的な定義は上記のとおりである。好ましくは、D
L1及びD
L2は、メタンジイル、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイルから独立に選択される。別の実施形態では、環状アルカンジイル基D
L2、限定はされないが例えば、
【化15】
又は
【化16】
を使用してよい。
【0071】
本発明によるレベラーの第二の好ましい実施形態は、式L6
【化17】
で表されるカップリング化アミノアミドであり、
一般的な定義は上記のとおりである。好ましくは、D
L1及びD
L2は、メタンジイル、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、及びブタン-1,4-ジイルから独立に選択され、D
L11及びD
L12は、(a)メタンジイル、エタンジイル及びプロパンジイルから選択されるか、又は(b)両方が、隣接した2個のN原子と共に、5員又は6員の芳香族複素環系の一部である。特に好ましいレベラーは、式L6a
【化18】
で表されるものである。
【0072】
本発明によるレベラーの第三の好ましい実施形態は、式L7
【化19】
で表されるカップリング化アミノアミドであり、
一般的な定義は上記のとおりである。好ましくは、D
L1は、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル、ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、オクタンジイル、ノナンジイル及びデカンジイルから選択され、R
L3は、メチル、エチル及びプロピルから選択され、そしてoは2~50、好ましくは2~40の整数である。
【0073】
本発明によるレベラーの第四の好ましい実施形態は、式L8
【化20】
で表されるカップリング化アミノアミドであり、
一般的な定義は上記のとおりである。好ましくは、Ar
L13は、フェニレン、特にフェニル-1,4-ジイルであり、D
L13及びD
L1は、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル、及びブタンジイルから独立に選択される。
【0074】
本発明によるレベラーの第五の好ましい実施形態は、式L9
【化21】
で表されるカップリング化アミノアミドであり、
一般的な定義は上記のとおりである。好ましくは、D
L1及びD
L23は、メタンジイル、エタンジイル、プロパンジイル及びブタンジイルから独立に選択され、D
L21及びD
L22は、メタンジイル、エタンジイル及びプロパンジイルから独立に選択され、R
L1及びR
L2は、メチル、エチル、プロピル及びブチルから独立に選択される。
【0075】
本明細書に記載のアミノアミドポリマーは通常、第三級アミン基又は部分的に反応したカップリング剤「z」で末端化されている。
【0076】
特に好ましいポリアミノアミド型のレベラーは、以下の通りである:
【化22】
【0077】
式L1の代替の実施形態において、mは1以上であり、Yは、少なくとも2個の第三級又は第二級アミノ基を含むアミンコモノマー「y」がアミノアミド化合物と共に共カップリングしている場合に得られるアミンコモノマーフラグメントである。この共カップリングは、混合した状態で又は任意の順番で順次に行われてもよい。好ましいのはアミノアミド及びアミンコモノマーを含む混合物からの共カップリングである。
【0078】
Yは式L3a又は式L3bで表されるフラグメントであってもよい。この場合、YはA及びA’と同一又は異なっていてもよい。或いは、Yは、参照により本明細書に組み込まれるUS2016/0076160A1の第6頁に開示される、他のフラグメント(その対イオンCl-から独立している)であってもよい。
【0079】
特に好ましいフラグメントYは、1-(ビス(3-ジメチルアミノ)プロピル)アミノ)-2-プロパノール、4,4-トリメチレンジピペリジン、テトラメチル-1,2エチレンジアミン、テトラメチル-1,3プロパンジアミン、テトラメチル-1,4ブタンジアミン、テトラメチル-1,6ヘキサンジアミン、テトラメチル-1,8オクタンジアミン、テトラエチル-1,3プロパンジアミン、テトラメチルフェニレンジアミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、テトラメチル-2-ブテン-1,4-ジアミン、テトラメチル-2,2-ジメチル-1,3プロパンジアミンの反応により得られるものである。コモノマーを使用することによって、例えば窒素含量、親水性、電荷及び電荷密度、又は他の化学的又は物理的特性を高めるか又は低下させることにより、添加剤の特性にさらに影響を与えることができる。
【0080】
アミノ酸及びジアミンの縮合は通常、アミノ酸及びジアミンを例えば100~250℃、好ましくは120~200℃の温度に加熱し、縮合の際に生成される反応水を留去することにより行われる。前記アミノ酸誘導体を使用する場合、所与の温度よりも低い温度で縮合を行ってもよい。カチオン性アミノアミドポリマーの調製は、触媒を添加せずに、又は代替的に酸性又は塩基性触媒を使用して行うことができる。好適な酸性触媒は、例えば酸、例えばルイス酸など、例えば硫酸、p-トルエンスルホン酸、亜リン酸、次亜リン酸、リン酸、メタンスルホン酸、ホウ酸、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、テトラエチルオルトチタネート、二酸化スズ、ブチルスズジラウレート、又はそれらの混合物である。好適な塩基性触媒は、例えばアルコキシド、例えばナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドなど、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、又は水酸化リチウムなど、アルカリ土類金属酸化物、例えば酸化マグネシウム又は酸化カルシウムなど、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の炭酸塩、例えばナトリウム、カリウム、及び炭酸カルシウムなど、リン酸塩、例えばリン酸カリウムなど、及び複合金属水素化物、例えば水素化ホウ素ナトリウムなどである。使用する場合、触媒は一般に出発物質の総量に対して0.05~10質量%、好ましくは0.5~1質量%の量で使用される。
【0081】
反応は好適な溶媒中で、又は好ましくは溶媒の非存在下で行うことができる。溶媒を使用する場合、好適な例は、炭化水素、例えばトルエン又はキシレンなど、ニトリル、例えばアセトニトリルなど、アミド、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなど、エーテル、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテルなど、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどである。溶媒は一般に、反応の間に又は反応が完了したときに留去される。この蒸留は任意に保護ガス下で、例えば窒素又はアルゴン下などで行ってもよい。
【0082】
一般に、電気めっき浴中のレベリング剤の総量は、めっき浴の総質量に対して0.05ppm~10000ppmである。本発明によるレベリング剤は、典型的にはめっき浴の総質量に対して約0.1ppm~約1000ppm、より典型的には1~100ppmの総量で使用されるが、より多い又は少ない量を使用してもよい。
【0083】
Cuめっき金属の所望の表面仕上げを実現するために、多種多様な添加剤が典型的には浴中で使用されてもよい。通常、1種を超える添加剤が使用され、各添加剤は所望の機能を成す。有利には、電気めっき浴は、促進剤、抑制剤、ハロゲン化物イオン源、微細化剤、及びそれらの混合物のうち1種又は複数を含有していてもよい。最も好ましくは、電気めっき浴は、本発明によるレベリング剤に加えて促進剤及び抑制剤の両方を含有する。
【0084】
他の添加剤
Cuめっき金属の所望の表面仕上げを実現するために、多種多様なさらなる添加剤が典型的には浴中で使用されてもよい。通常、1種を超える添加剤が使用され、各添加剤は所望の機能を成す。有利には、電気めっき浴は、促進剤、抑制剤、ハロゲン化物イオン源、微細化剤、及びそれらの混合物のうち1種又は複数を含有していてもよい。最も好ましくは、電気めっき浴は、本発明によるレベリング剤に加えて促進剤及び抑制剤の両方を含有する。他の添加剤も本発明の電気めっき浴において好適に使用することができる。
【0085】
促進剤
任意の促進剤を本発明によるめっき浴において有利に使用することができる。本明細書で使用する「促進剤」とは、電気めっき浴のめっき速度を高める有機添加剤を指す。「促進剤(accelerator)」及び「促進剤(accelerating agent)」という用語はこの明細書の全体にわたって交換可能に使用される。文献において、場合により促進剤成分は「光沢剤(brightener)」、「光沢剤(brightening agent)」、又は「減極剤」とも名付けられる。本発明において有用な促進剤としては、限定はされないが、1個又は複数の硫黄原子を含む化合物、及びスルホン酸/ホスホン酸又はそれらの塩が挙げられる。好ましくは、組成物は少なくとも1種の促進剤をさらに含む。
【0086】
好ましい促進剤は、一般構造MO3YA-XA1-(S)dRA2を有し、
- Mは水素又はアルカリ金属、好ましくはNa又はKであり、
- YAはP又はS、好ましくはSであり、
- dは1~6の整数、好ましくは2であり、
- XA1は、C1~C8アルカンジイル又はヘテロアルカンジイル基、二価のアリール基、又は二価のヘテロ芳香族基から選択される。ヘテロアルキル基は、1個又は複数のヘテロ原子(N、S、O)及び1~12個の炭素を有することになる。炭素環アリール基は典型的なアリール基、例えばフェニル又はナフチルなどである。ヘテロ芳香族基も好適なアリール基であり、1個又は複数のN、O、又はS原子及び1~3個の別々の又は縮合した環を含有し、
- RA2はH又は(-S-XA1’YAO3M)から選択され、式中、XA1’は基XA1から独立に選択される。
【0087】
より具体的には、有用な促進剤としては、以下の式:
MO3S-XA1-SH
MO3S-XA1-S-S-XA1’-SO3M
MO3S-Ar-S-S-Ar-SO3M
で表されるものが挙げられ、
式中、XA1は上記で定義される通りであり、Arはアリールである。
【0088】
特に好ましい促進剤は、
- SPS:ビス-(3-スルホプロピル)-ジスルフィド
- MPS:3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸
である。両方とも通常はそれらの塩の形、特にそれらのナトリウム塩の形で適用される。
【0089】
単独で又は混合した状態で使用される、促進剤の他の例としては、限定はされないが:MES(2-メルカプトエタンスルホン酸、ナトリウム塩)、DPS(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸(3-スルホプロピルエステル)、ナトリウム塩)、UPS(3-[(アミノ-イミノメチル)-チオ]-1-プロピルスルホン酸)、ZPS(3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩)、3-メルカプト-プロピルスルホン酸-(3-スルホプロピル)エステル、メチル-(ω-スルホプロピル)-ジスルフィド、二ナトリウム塩、メチル-(ω-スルホプロピル)-トリスルフィド、二ナトリウム塩が挙げられる。
【0090】
そのような促進剤は、典型的には、めっき浴の総質量に対して約0.1ppm~約3000ppmの量で使用される。本発明で有用な促進剤の特に好適な量は1~500ppm、より詳細には2~100ppmである。
【0091】
抑制剤
抑制剤は有利には本発明によるレベラーと組み合わせて使用してもよい。本明細書で使用する、「抑制剤」は、電着の際に過電圧を高める添加剤である。本明細書に記載の抑制剤は表面活性物質でもあるので、「界面活性剤」及び「抑制剤」という用語は同義に使用される。通常、抑制剤は、アルコール又はアミンスターターのポリオキシアルキル化によって得ることができるオキシ(C2~C4)アルキレンホモポリマー又はコポリマーを含む。
【0092】
特に有用な抑制剤は以下である:
(a)WO2010/115796に記載される、少なくとも3個の活性アミノ官能基を含むアミン化合物と、エチレンオキシド及びC3及びC4アルキレンオキシドから選択される少なくとも1種の化合物の混合物とを反応させることにより得ることができる抑制剤。
【0093】
好ましくはアミン化合物は、ジエチレントリアミン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、3,3’-イミノジ(プロピルアミン)、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、及びN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンから選択される。
【0094】
(b)活性アミノ官能基を含むアミン化合物と、エチレンオキシド及びC3及びC4アルキレンオキシドから選択される少なくとも1つの化合物の混合物とを反応させることにより得ることができる抑制剤であって、WO2010/115756に記載されるような、6000g/mol以上の分子量Mwを有し、エチレンC3及び/又はC4アルキレンランダムコポリマーを成す抑制剤。
【0095】
(c)少なくとも3個の活性アミノ官能基を含むアミン化合物と、混合物で又は順次に、エチレンオキシド及びC3及びC4アルキレンオキシドから選択される少なくとも1つの化合物とを反応させることにより得ることができる抑制剤であって、WO2010/115757に記載されるような、6000g/mol以上の分子量Mwを有する抑制剤。
【0096】
好ましくはアミン化合物は、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、ネオペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,9-ジオキサデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、トリエチレングリコールジアミン、ジエチレントリアミン、(3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、3,3’-イミノジ(プロピルアミン)、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、及びN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンから選択される。
【0097】
(d)式S1
【化23】
で表される化合物から選択される抑制剤であって、式中、R
S1ラジカルが、エチレンオキシドと少なくとも1種のさらなるC
3~C
4アルキレンオキシドとのコポリマーからそれぞれ独立に選択され、前記コポリマーがランダムコポリマーであり、R
S2ラジカルが、R
S1又はアルキルからそれぞれ独立に選択され、X
S及びY
Sが独立にスペーサー基であり、各繰り返し単位sのX
Sは、C
2~C
6アルカンジイル及びZ
S-(O-Z
S)
tから独立に選択され、式中、Z
SラジカルがC
2~C
6アルカンジイルからそれぞれ独立に選択され、sが0以上の整数であり、tが1以上の整数である、WO2010/115717に記載されるような抑制剤。
【0098】
好ましくはスペーサー基XS及びYSは独立に、及び各繰り返し単位のXSは独立に、C2~C4アルキレンから選択される。最も好ましくはXS及びYSは独立に、及び各繰り返し単位sのXSは独立に、エチレン(-C2H4-)又はプロピレン(-C3H6-)から選択される。
【0099】
好ましくはZSは、C2~C4アルキレンから、最も好ましくはエチレン又はプロピレンから選択される。
【0100】
好ましくはsは1~10、より好ましくは1~5、最も好ましくは1~3の整数である。好ましくはtは1~10、より好ましくは1~5、最も好ましくは1~3の整数である。
【0101】
別の好ましい実施形態において、C3~C4アルキレンオキシドはプロピレンオキシド(PO)から選択される。この場合、EO/POコポリマー側鎖は活性アミノ官能基から出発して生成される。
【0102】
エチレンオキシドとさらなるC3~C4アルキレンオキシドとのコポリマーにおけるエチレンオキシドの含量は、一般に約5質量%~約95質量%、好ましくは約30質量%~約70質量%、特に好ましくは約35質量%~約65質量%とすることができる。
【0103】
式(S1)の化合物は、アミン化合物と1種以上のアルキレンオキシドとを反応させることにより調製される。好ましくはアミン化合物は、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、ネオペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,9-ジオキサデカン-1,12-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、トリエチレングリコールジアミン、ジエチレントリアミン、(3-(2-アミノエチル)アミノ)プロピルアミン、3,3’-イミノジ(プロピルアミン)、N,N-ビス(3-アミノプロピル)メチルアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、及びN,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミンから選択される。
【0104】
式S1の抑制剤の分子量Mwは、約500g/mol~約30000g/molであってよい。好ましくは分子量Mwは約6000g/mol以上、好ましくは約6000g/mol~約20000g/mol、より好ましくは約7000g/mol~約19000g/mol、最も好ましくは約9000g/mol~約18000g/molであるべきである。抑制剤におけるアルキレンオキシド単位の好ましい総量は、約120~約360、好ましくは約140~約340、最も好ましくは約180~約300であってよい。
【0105】
抑制剤におけるアルキレンオキシド単位の典型的な総量は、約110エチレンオキシド単位(EO)及び10プロピレンオキシド単位(PO)、約100EO及び20PO、約90EO及び30PO、約80EO及び40PO、約70EO及び50PO、約60EO及び60PO、約50EO及び70PO、約40EO及び80PO、約30EO及び90PO、約100EO及び10ブチレンオキシド(BO)単位、約90EO及び20BO、約80EO及び30BO、約70EO及び40BO、約60EO及び50BO、又は約40EO及び60BOから、約330EO及び30PO単位、約300EO及び60PO、約270EO及び90PO、約240EO及び120PO、約210EO及び150PO、約180EO及び180PO、約150EO及び210PO、約120EO及び240PO、約90EO及び270PO、約300EO及び30BO単位、約270EO及び60BO、約240EO及び90BO、約210EO及び120BO、約180EO及び150BO、又は約120EO及び180BOであってよい。
【0106】
(e)式(S2)XS(OH)uで表される少なくとも1種のポリアルコールから縮合により得られる多価アルコール縮合化合物と少なくとも1つのアルキレンオキシドとを反応させてポリオキシアルキレン側鎖を含む多価アルコール縮合物を形成させることにより得ることができる抑制剤であって、式中、uが3~6の整数であり、XSが置換又は非置換であってもよい、3~10個の炭素原子を有するu価の直鎖又は分岐の脂肪族又は脂環式ラジカルである、WO2011/012462号に記載されるような抑制剤。
【0107】
好ましいポリアルコール縮合物は、式
【化24】
で表される化合物から選択され、式中、Y
Sは置換又は非置換であってよい、1~10個の炭素原子を有するu価の直鎖又は分岐の脂肪族又は脂環式ラジカルであり、aは2~50の整数であり、bは各ポリマーアームuについて同一又は異なっていてもよく、1~30の整数であり、cは2~3の整数であり、uは1~6の整数である。最も好ましいポリアルコールは、グリセリン縮合物及び/又はペンタエリスリトール縮合物である。
【0108】
(f)少なくとも5個のヒドロキシル官能基を含む多価アルコールと少なくとも1つのアルキレンオキシドとを反応させてポリオキシアルキレン側鎖を含む多価アルコールを形成させることにより得ることができる、WO2011/012475号に記載されるような抑制剤。好ましいポリアルコールは、式(S3a)又は(S3b)
HOCH2-(CHOH)v-CH2OH (S3a)
(CHOH)w (S3b)
により表される直鎖又は環状の単糖アルコールであり、
式中、vは3~8の整数であり、wは5~10の整数である。最も好ましい単糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、リビトール、及びイノシトールである。さらに好ましいポリアルコールは、式(S4a)又は(S4b)
CHO-(CHOH)x-CH2OH (S4a)
CH2OH-(CHOHy-CO-(CHOH)z-CH2OH (S4b)
で表される単糖であり、
式中、xは4~5の整数であり、y、zは整数であり、y+zは3又は4である。最も好ましい単糖アルコールは、アルドースであるアロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、グルコヘプトース、マンノヘプトース、又はケトースであるフルクトース、プシコース、ソルボース、タガトース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース、タロヘプツロース、アロヘプツロースから選択される。
【0109】
(g)WO2018/073011に記載されるような、環状アミンに基づくアミンベースのポリオキシアルキレン抑制剤は、驚くべき超充填特性を示す。
【0110】
(h)WO2018/114985に記載されるような、アルキレンオキシドと反応させる前に抑制剤へ分岐基を導入する、限定はされないがグリシドール又はグリセロールカーボネートなどの化合物との反応により修飾される、ポリアミンベース又は多価アルコールベースの抑制剤は、驚くべき超充填特性を示す。
【0111】
抑制剤を使用する場合、それらは典型的には浴の質量に対して約1~約10,000ppm、好ましくは約5~約10,000ppmの範囲内の量で存在する。
【0112】
当業者は1種を超えるレベリング剤を使用してもよいことを認識することになる。2種以上のレベリング剤を使用する場合、レベリング剤のうちの少なくとも1種は、本発明によるレベリング剤又は本明細書に記載のその誘導体である。めっき組成物において1種のみのレベリング剤を使用することが好ましい。
【0113】
さらなるレベリング剤
さらなるレベリング剤を本発明による銅電気めっき浴において有利に使用できる。2種以上のレベリング剤を使用する場合、レベリング剤のうちの少なくとも1種は、本明細書に記載のポリアルコキシル化ポリアルキレンイミン又はその誘導体である。めっき組成物において本発明によるポリアルコキシル化ポリアルキレンポリアミンである1種のみのレベリング剤を使用することが好ましい。
【0114】
好適なさらなるレベリング剤としては、限定はされないが、他のポリエチレンイミン及びそれらの誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-co-ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、アミン、エピクロロヒドリン、及びポリアルキレンオキシドの反応生成物、アミンとポリエポキシドの反応生成物、ポリビニルピリジン、例えばWO2011/151785A1に記載されるようなポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、例えばWO2011/064154A2及びWO2014/072885A2に記載されるようなポリアミノアミド、又はそれらのコポリマー、ニグロシン、ペンタメチル-パラ-ローザニリンヒドロハライド、ヘキサメチル-パラローザニリンヒドロハライド、ジ-又はトリアルカノールアミン、及びWO2010/069810に記載されるようなそれらの誘導体、WO2012/085811A1に記載されるようなビグアナイド、又は式N-R-S(式中、Rは置換アルキル、非置換アルキル、置換アリール、又は非置換アリールである)で表される官能基を含有する化合物のうち、1種又は複数が挙げられる。典型的には、アルキル基はC1~C6アルキル、好ましくはC1~C4アルキルである。一般に、アリール基としては、C6~C20アリール、好ましくはC6~C10アリールが挙げられる。アリール基がフェニル又はナフチルであることが好ましい。式N-R-Sで表される官能基を含有する化合物が一般に知られ、一般に市販されており、さらに精製することなく使用することができる。
【0115】
N-R-S官能基を含有するそのような化合物において、硫黄(「S」)及び/又は窒素(「N」)は、単結合又は二重結合によりそのような化合物に結合していてもよい。硫黄が単結合によりそのような化合物に結合している場合、硫黄は、限定はされないが水素、C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、C6~C20アリール、C1~C12アルキルチオ、C2~C12アルケニルチオ、C6~C20アリールチオなどの別の置換基を有することになる。同様に、窒素は、限定はされないが水素、C1~C12アルキル、C2~C12アルケニル、C7~C10アリールなどの1個又は複数の置換基を有することになる。N-R-S官能基は非環式又は環状であってよい。環状N-R-S官能基を含有する化合物としては、窒素又は硫黄のいずれか、又は窒素及び硫黄の両方を環系の中に有するものが挙げられる。
【0116】
一般に、電気めっき浴中のレベリング剤の総量は、めっき浴の総質量に対して0.5ppm~10000ppmである。本発明によるレベリング剤は、典型的にはめっき浴の総質量に対して約0.1ppm~約1000ppm、より典型的には1~100ppmの総量で使用されるが、より多い又は少ない量を使用してもよい。
【0117】
さらなる詳細及び代替物がWO2018/219848、WO2016/020216、及びWO2010/069810に記載されており、これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
一般に、電気めっき浴中のレベリング剤の総量は、めっき浴の総質量に対して0.5ppm~10000ppmである。本発明によるレベリング剤は、典型的にはめっき浴の総質量に対して約100ppm~約10000ppmの総量で使用されるが、より多い又は少ない量を使用してもよい。
【0119】
電解質
本発明による電気めっき組成物は、銅イオン及び酸を含む電解質を含む。
【0120】
銅イオン
銅イオン源は、堆積させようとする金属イオンを電気めっき浴において十分な量で放出することが可能である任意の化合物であってよく、すなわち電気めっき浴中に少なくとも部分的に可溶性である。金属イオン源はめっき浴中に可溶性であることが好ましい。好適な金属イオン源は金属塩であり、限定はされないが、スルフェート、ハロゲン化物、アセテート、ニトレート、フルオロボレート、アルキルスルホネート、アリールスルホネート、スルファメート、金属グルコネートなどが挙げられる。
【0121】
金属イオン源は、基材上の電気めっきにおいて十分な金属イオンを供給する量で本発明において使用されてもよい。金属が銅のみである場合、典型的にはめっき溶液の約1~約300g/l、好ましくは約20~約100g/l、最も好ましくは約40~約70g/lの範囲の量で存在する。
【0122】
任意に、本発明によるめっき浴は、10質量%以下、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下の量で1種又は複数の合金化金属イオンを含有していてよい。好適な合金化金属としては、限定はされないが、銀、金、スズ、ビスマス、インジウム、亜鉛、アンチモン、マンガン、及びそれらの混合物が挙げられる。好ましい合金化金属は、銀、スズ、ビスマス、インジウム、及びそれらの混合物であり、より好ましくはスズである。合金化金属の任意の浴に可溶な塩を合金化金属イオン源として好適に使用してもよい。そのような合金化金属塩の例としては、限定はされないが、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属フルオロボレート、金属スルフェート、金属アルカンスルホネート、例えば金属メタンスルホネート、金属エタンスルホネート、及び金属プロパンスルホネートなど、金属アリールスルホネート、例えば金属フェニルスルホネート、金属トルエンスルホネート、及び金属フェノールスルホネートなど、金属カルボキシレート、例えば金属グルコネート及び金属アセテートなどが挙げられる。好ましい合金化金属塩は、金属スルフェート、金属アルカンスルホネート、及び金属アリールスルホネートである。1種の合金化金属が本発明の組成物に加えられる場合、二成分系合金堆積物が得られる。2種、3種以上の異なる合金化金属が本発明の組成物に加えられる場合、三元、四元、又はより高次の合金堆積物が得られる。本発明の組成物において使用されるそのような合金化金属の量は、所望の特定のスズ-合金によって決まることになる。合金化金属のそのような量の選択は当業者の能力の範囲内である。銀などの特定の合金化金属を使用する場合、さらなる錯化剤が必要とされる場合があることを当業者は認識することになる。そのような錯化剤(complexing agent)(又は錯化剤(complexer))は当技術分野において良く知られており、所望のスズ-合金組成物を得るために任意の好適な量で使用されてもよい。
【0123】
好ましい実施形態において、めっき溶液は本質的にスズを含まず、すなわち、めっき溶液は1質量%未満のスズ、より好ましくは0.1質量%未満のスズ、さらにより好ましくは0.01質量%未満のスズを含有し、さらにより好ましくはスズを含まない。別の好ましい実施形態において、めっき溶液は本質的に如何なる合金化金属も含まず、すなわち、めっき溶液は1質量%未満の合金化金属、より好ましくは0.1質量%未満の合金化金属、さらにより好ましくは0.01質量%未満の合金化金属を含有し、さらにより好ましくは合金化金属を含まない。最も好ましくは、金属イオンは銅イオンから成り、すなわち銅の他に如何なる他のイオンも含まない。
【0124】
本発明の電気めっき組成物は、好ましくは純粋な銅層であるか又は代わりに10質量%以下、好ましくは5質量%以下、最も好ましくは2質量%以下の合金化金属(複数可)を含む銅合金層であってもよい、銅含有層を堆積させるのに好適である。例示的な銅合金層としては、限定はされないが、スズ-銀、スズ-銅、スズ-インジウム、スズ-ビスマス、スズ-銀-銅、スズ-銀-銅-アンチモン、スズ-銀-銅-マンガン、スズ-銀-ビスマス、スズ-銀-インジウム、スズ-銀-亜鉛-銅、及びスズ-銀-インジウム-ビスマスが挙げられる。好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、純粋なスズ、スズ-銀、スズ-銀-銅、スズ-インジウム、スズ-銀-ビスマス、スズ-銀-インジウム、及びスズ-銀-インジウム-ビスマス、より好ましくは純粋なスズ、スズ-銀、又はスズ-銅を堆積させる。
【0125】
合金金属含量は、原子吸光法(AAS)、蛍光X線(XRF)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)のいずれかにより測定されてよい。
【0126】
一般に、銅イオン及び少なくとも1種のレベリング剤の他に、本発明の銅電気めっき組成物は好ましくは、電解質、すなわち酸性又はアルカリ性電解質、任意にハロゲン化物イオン、及び任意に促進剤及び抑制剤のような他の添加剤を含む。
【0127】
そのような浴は典型的には水性である。一般に、本明細書で使用する「水性」とは、本発明の電気めっき組成物が少なくとも50%の水を含む溶媒を含むことを意味する。好ましくは、「水性」とは、組成物の大部分が水である、より好ましくは溶媒の90%が水である、最も好ましくは溶媒が水から成る又は水から本質的に成ることを意味する。蒸留水、脱イオン水、又は水道水などの、任意の種類の水を使用してよい。
【0128】
酸
本発明のめっき浴は酸性であり、すなわち、それらはpHが7未満である。典型的には、銅電気めっき組成物のpHは4未満、好ましくは3未満、最も好ましくは2未満である。pHは主に組成物中に存在する酸の濃度に依存する。
【0129】
好適な酸としては、無機酸及び有機酸、限定はされないが、例えば硫酸、酢酸、フルオロホウ酸など、アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸など、アリールスルホン酸、例えばフェニルスルホン酸及びトルエンスルホン酸など、スルファミン酸、塩酸、及びリン酸が挙げられる。硫酸及びメタンスルホン酸が好ましい。
【0130】
酸は典型的には約1~約300g/l、好ましくは約60~約200g/l、最も好ましくは約80~約140g/lの範囲内の量で存在する。
【0131】
そのような電解質は任意に(及び好ましくは)、塩化銅又は塩酸のような、塩化物イオン源などのハロゲン化物イオン源を含有していてもよい。約0~約500ppmなどの広範囲のハロゲン化物イオン濃度を本発明において使用してもよい。好ましくは、ハロゲン化物イオン濃度はめっき浴に対して約10~約100ppmの範囲内である。電解質は硫酸又はメタンスルホン酸であり、好ましくは硫酸又はメタンスルホン酸及び塩化物イオン源の混合物であることが好ましい。本発明で有用な酸及びハロゲン化物イオン源は一般に市販されており、さらに精製することなく使用することができる。
【0132】
プロセス
本発明による組成物は、導電性のフィーチャ底部及び絶縁性のフィーチャ側壁を含む凹型フィーチャを含む基材上に銅を電着させるのに特に有用であり、凹型フィーチャは500nm~500μmの開口サイズを有する。本発明によるレベリング剤は1~200μmの開口サイズを有する凹型フィーチャを埋めるのに特に有用である。レベリング剤は銅バンプを堆積させるのに特に有用である。
【0133】
銅は、金属堆積物の内部に実質的にボイドを形成することなく本発明によって凹部に堆積される。「実質的にボイドを形成することなく」という用語は、1000nmを超えるボイドが金属堆積物中に存在しない、好ましくは500nmを超えるボイドが金属堆積物中に存在しない、最も好ましくは100nmを超えるボイドが金属堆積物中に存在しないことを意味する。最も好ましくは堆積物は如何なる欠陥も含まない。
【0134】
レベリング剤のレベリング効果に起因して、めっきされた銅バンプの改善された共平面性を有する表面が得られる。銅堆積物は良好なモルフォロジー、特に低い粗面度を示す。電気めっき組成物は、限定はされないがボイドなどの欠陥を実質的に形成することなく、マイクロメートルスケールで凹型フィーチャを埋めることが可能である。
【0135】
さらに、本発明によるレベリング剤は、限定はされないが有機物、塩化物、硫黄、窒素、又は他の元素などの不純物の低減をもたらす。これは大きい結晶粒及び改善された導電率を示す。これはまた高いめっき速度を容易にし、高温でのめっきを可能にする。
【0136】
一般に、本発明を使用して基材上に銅を堆積させる場合、使用中にめっき浴をかき混ぜる。任意の好適なかき混ぜ法を本発明で使用してもよく、そのような方法は当技術分野において良く知られている。好適なかき混ぜ法としては、限定はされないが、不活性ガス又はエアスパージング、ワークピースかき混ぜ、インピンジメントなどが挙げられる。そのような方法は当業者に知られている。本発明を使用してウェハなどの集積回路基材をめっきする場合、ウェハを1~150RPMなどで回転させてよく、ポンピング又は噴霧などによりめっき溶液が回転するウェハに接触する。別の方法では、めっき浴の流れが所望の金属堆積物をもたらすのに十分である場合はウェハを回転させる必要がない。
【0137】
半導体基材をめっきするためのめっき装置が良く知られている。めっき装置は、銅電解質が入りプラスチック又は電解めっき溶液に対して不活性な他の材料などの好適な材料でできている、電気めっき槽を含む。槽は、ウェハのめっきにおいて特に、円筒形であってもよい。カソードは槽の上部に水平に置かれ、開口部を有するシリコンウェハなどの任意の種類の基材であってよい。
【0138】
これらの添加剤は、アノード液からカソード液を隔てる膜(1枚又は複数)の存在下又は非存在下で、可溶性及び不溶性アノードと共に使用できる。
【0139】
カソード基材及びアノードは配線によりそれぞれ電源へ電気的に接続されている。直流又はパルス電流のためのカソード基材は正味負電荷を有するので、溶液中の金属イオンはカソード基材において還元されてカソード表面上でめっき金属を形成する。酸化反応はアノードで起こる。カソード及びアノードは槽内で水平又は垂直に置かれてもよい。
【0140】
一般に、銅バンプを製造する際、フォトレジスト層を半導体ウェハに施し、続いて標準的なフォトリソグラフィー露光及び現像技術を行って凹型フィーチャ又はビアを有するパターン形成されたフォトレジスト層(又はめっきマスク)を形成させる。絶縁性めっきマスクの寸法(めっきマスクの厚さ及びパターンにおける開口のサイズ)は、I/Oパッド及びUBM上に堆積される銅層のサイズ及び位置を画定する。そのような堆積物の直径は典型的には1~300μmの範囲、好ましくは2~100μmの範囲内である。通常は、めっきマスクにより設けられる凹部は、完全にではなく部分的にのみ埋められる。めっきマスクにおける開口部を銅により埋めた後、めっきマスクを除去し、次いで銅バンプに通常はリフロー加工を行う。
【0141】
典型的には、本発明のめっき浴は10~65℃又はそれを超える任意の温度で使用してよい。めっき浴の温度は10~35℃、より好ましくは15℃~30℃であることが好ましい。
【0142】
あらゆるパーセント、ppm、又は同等の値は、別段の指示がない限りそれぞれの組成物の全質量に対する質量を指す。あらゆる引用文献は参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく本発明をさらに説明する。
【0144】
分析法
抑制剤の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定された。ポリスチレンを標準物質として、テトラヒドロフランを溶出液として使用した。カラムの温度を30℃とし、注入量を30μl(マイクロリットル)、流量を1.0ml/分とした。抑制剤の質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、及び多分散性PDI(Mw/Mn)を決定した。
【0145】
アミン価はDIN53176に準拠して酢酸中のポリマーの溶液を過塩素酸で滴定することにより決定した。
【0146】
厚さ120μmのパターン形成されたフォトレジスト及び複数の銅シードの75マイクロメートルの開口ビアを有する300mmのシリコンウェハセグメント(IMAT,Inc.、Vancouver,WA、米国より入手可能)を使用することにより、実験を行った。
【0147】
電気めっきされた銅を3Dレーザー走査顕微鏡(3D LSM)により調べた。バンプにおける堆積された銅層の高さを視覚的に決定した。
【0148】
合計で27個の測定されたバンプの高さから不均一性を決定し、ここでは150μmのピッチサイズを有する密集領域における15個のバンプと、375μmのピッチサイズを有する12個のバンプを測定した。
【0149】
不均一性の指標である共平面性は、以下の式:
【数1】
を使用して高さから計算され、
式中、
「孤立領域のバンプ高さ平均」及び「密集領域のバンプ高さ平均」は、それぞれの領域の算術平均である。「平均高さ」は「孤立領域のバンプ高さ平均」及び「密集領域のバンプ高さ平均」の和を2で割って計算される。
【実施例】
【0150】
実施例1:レベラーの調製
実施例1.1
撹拌機、コンデンサ管、温度計、及び窒素導入管を備えた0.5lの反応器へ反応物を入れた。ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル(n~6)、BASF社より入手可能、(225.8g)及び次亜リン酸(0.3g)を窒素雰囲気下で反応器へ入れ、80℃まで加熱した。次いでN,N-ジメチルグリシン(106.3g)を20分にわたって小分けして加えた。酸を完全に添加した後、反応混合物を120℃で1時間撹拌した。次いで温度を150℃まで上昇させ、系から生じる水を除去しながら反応混合物を8時間にわたって撹拌した。3.3mmol/gのアミン価を有する茶色油として予備生成物が得られた(収率:94%)。
【0151】
予備生成物(85g)及び水(108g)を250mlのフラスコへ入れ、80℃まで加熱し、20分にわたって撹拌した。次いでエピクロロヒドリン(23g)を90分にわたって滴下して加えた。反応を完了させるために、Preussmann試験が陰性になるまで混合物を18.5時間かけて後反応させた。1.02mmol/gの塩化物値を有する橙色、粘性溶液として生成物(レベラー1)を得た(収率:98%)。
【0152】
実施例1.2:
撹拌機、コンデンサ管、温度計、及び窒素導入管を備えた0.5lの反応器へ反応物を入れた。ポリ(プロピレングリコール)ビス(2-アミノプロピルエーテル(n~2)、BASF社より入手可能、(150.0g)及び次亜リン酸(0.3g)を窒素雰囲気下で反応器へ入れ、80℃まで加熱した。次いでN,N-ジメチルグリシン(129.7g)を20分にわたって小分けして加えた。酸を完全に添加した後、反応混合物を120℃で1時間撹拌した。次いで温度を150℃まで上昇させ、系から生じる水を除去しながら反応混合物を8時間にわたって撹拌した。5.2mmol/gのアミン価を有する茶色油として予備生成物が得られた(収率:93%)。
【0153】
予備生成物(85g)及び水(123g)を250mlのフラスコへ入れ、80℃まで加熱し、20分にわたって撹拌した。次いでエピクロロヒドリン(37.9g)を90分にわたって滴下して加えた。反応を完了させるために、Preussmann試験が陰性になるまで混合物を18時間かけて後反応させた。1.4mmol/gの塩化物値を有する橙色、粘性溶液として生成物(レベラー2)を得た(収率:99%)。
【0154】
実施例2:電気めっきの実験
実施例2.1 比較例
51g/lのCuイオン、100g/lの硫酸、及び50ppmの塩化物を含有する銅電気めっき浴を研究に使用した。さらに、浴は以下の添加剤:50ppmのSPS、及び4000g/molの平均分子量を有する100ppmのエチレンオキシドポリマー抑制剤を含有した。
【0155】
基材にプレウェッティングを行い、めっき前に電気的に接触させた。Yamamoto MSより入手可能なベンチトップ型めっき治具を使用することにより銅層をめっきした。基材の前にあるポンプ及びパドルにより電解質の対流を実現した。すべてのめっき条件についてパドルのRPMは50RPMとした。浴温度を制御し25℃に設定し、印加電流密度を4ASDで340秒間、及び8ASDで1875秒間とし、高さがおよそ50μmのバンプが得られた。
【0156】
上記で詳細に説明したように、めっきしたバンプをLSMにより試験した。24.7%の共平面性(COP)と決定された。
【0157】
実施例2.2
51g/lのCuイオン、100g/lの硫酸、及び50ppmの塩化物を含有する銅電気めっき浴を研究に使用した。さらに、浴は以下の添加剤:50ppmのSPS、4000g/molの平均分子量を有する100ppmのエチレンオキシドポリマー抑制剤、及び20ppmの実施例1.1のレベラー1を含有した。
【0158】
基材にプレウェッティングを行い、めっき前に電気的に接触させた。Yamamoto MSより入手可能なベンチトップ型めっき治具を使用することにより銅層をめっきした。基材の前にあるポンプ及びパドルにより電解質の対流を実現した。すべてのめっき条件についてパドルのRPMは50RPMとした。浴温度を制御し25℃に設定し、印加電流密度を4ASDで340秒間、及び8ASDで1875秒間とし、高さがおよそ50μmのバンプが得られた。
【0159】
上記で詳細に説明したように、めっきしたバンプをLSMにより試験した。14.4%の共平面性(COP)と決定された。
【0160】
結果を表1にまとめる。
【0161】
実施例2.3
51g/lのCuイオン、100g/lの硫酸、及び50ppmの塩化物を含有する銅電気めっき浴を研究に使用した。さらに、浴は以下の添加剤:50ppmのSPS、4000g/molの平均分子量を有する100ppmのエチレンオキシドポリマー抑制剤、及び20ppmの実施例1.2のレベラー2を含有した。
【0162】
基材にプレウェッティングを行い、めっき前に電気的に接触させた。Yamamoto MSより入手可能なベンチトップ型めっき治具を使用することにより銅層をめっきした。基材の前にあるポンプ及びパドルにより電解質の対流を実現した。すべてのめっき条件についてパドルのRPMは50RPMとした。浴温度を制御し25℃に設定し、印加電流密度を4ASDで340秒間、及び8ASDで1875秒間とし、高さがおよそ50μmのバンプが得られた。
【0163】
上記で詳細に説明したように、めっきしたバンプをLSMにより試験した。15.6%の共平面性(COP)と決定された。
【0164】
【0165】
表1は、すべてのレベラーが、非常に良好な共平面性及びレベラーを使用しない比較例2.1と比較してはるかに良好な共平面性を有する、銅堆積物をもたらすことを示す。
【国際調査報告】