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特表2024-540837医療処置において対象物を追跡するためのマーカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】医療処置において対象物を追跡するためのマーカー
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20241029BHJP
   A61B 90/30 20160101ALI20241029BHJP
   A61B 17/58 20060101ALI20241029BHJP
   A61B 17/17 20060101ALN20241029BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B90/30
A61B17/58
A61B17/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520694
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-04
(86)【国際出願番号】 US2022046857
(87)【国際公開番号】W WO2023069347
(87)【国際公開日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】63/257,196
(32)【優先日】2021-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トリー、ポール アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コーミエ、フィリップ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェズィルスキ、ラファル ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ザマルリパ、ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】リベイロ、ルイス カルロス フィアル テイシェイラ
(72)【発明者】
【氏名】テイシェイラ、ルイ ホルヘ メロ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL57
(57)【要約】
医療処置における対象物の追跡。少なくとも一つの例は、方法であって、この方法は、多面体でありかつこの多面体の少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上に基準パターンを有している多面体と、多面体から遠位向きに延びた外部ネジ山付きネジと、多面体と外部ネジ山付きネジとの交差部分に対して近接したフランジと、を含む骨マーカーを、設置ツールの遠位端上に保持することと、外部ネジ山付きネジの遠位端を、マーカー位置のところで、骨に対して位置決めすることと、設置ツールを介して、外部ネジ山付きネジを、骨内へと螺着することと、フランジの直下で骨に対して組織を拘束することと、を含む。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
多面体でありかつ前記多面体の少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上に基準パターンを有している多面体と、前記多面体から遠位向きに延びた外部ネジ山付きネジと、前記多面体と前記外部ネジ山付きネジとの交差部分に対して近接したフランジと、を含む骨マーカーを、設置ツールの遠位端上に保持することと、
前記外部ネジ山付きネジの遠位端を、マーカー位置のところで、骨に対して位置決めすることと、
前記設置ツールを介して、前記外部ネジ山付きネジを、前記骨内へと螺着することと、
前記フランジの直下で前記骨に対して組織を拘束することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記骨マーカーを保持することは、
前記多面体を、前記設置ツールの前記遠位端のところにおける内容積の中に、嵌め込むことであって、前記骨マーカーは、前記多面体の頂面を貫通した入口開口を有した保持穴を含む、嵌め込むことと、
前記骨マーカーを前記設置ツールに対する係合関係に保持する保持固定部材を、前記保持穴内に配置することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外部ネジ山付きネジを前記骨内へと螺着した後に、前記保持固定部材を前記保持穴内から取り外すことを、さらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記保持固定部材を前記保持穴内に配置することは、前記保持固定部材の外部ネジ山を、前記保持穴の内部ネジ山に対する係合関係で螺着することを、さらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記外部ネジ山付きネジを前記骨内へと螺着した後に、前記保持固定部材の前記外部ネジ山を、前記保持穴の前記内部ネジ山から螺着解除することを、さらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記外部ネジ山付きネジを前記骨内へと螺着することは、前記多面体の前記少なくとも三つの外向き面に対して力を印加することを、さらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記多面体の前記少なくとも三つの外向き面に対して力を印加することは、前記少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上において、前記少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上におけるそれぞれ対応した前記基準パターンに対してオーバーラップしない位置へと、力を印加することを、さらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記外部ネジ山付きネジを前記骨内へと螺着することは、前記多面体に対してではなく前記フランジに対して、力を印加することを、さらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記骨に対して前記組織を拘束することは、前記骨の外面と、ポリマー材料とされた前記フランジの底面と、の間に前記組織を拘束することを、さらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記骨に対して前記組織を拘束することは、前記骨の外面と、金属材料とされた前記フランジの底面と、の間に前記組織を拘束することを、さらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記骨に対して前記組織を拘束することは、前記フランジによって前記組織を拘束することをさらに含み、前記フランジの一部でありかつ前記多面体の直下に位置した一部によって規定された平面に対して垂直なベクトルは、前記外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線に対して、鋭角を形成している、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記骨に対して前記組織を拘束することは、前記骨の外面と、前記フランジの、円形および長円形のうちの少なくとも一つの外形を規定している底面と、の間に前記組織を拘束することを、さらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
骨マーカーであって、
第一外向き面と第二外向き面と第三外向き面とを規定している多面体と、
前記多面体の面から突出した外部ネジ山付きネジであって、前記外部ネジ山付きネジと前記多面体とが一体的とされている、外部ネジ山付きネジと、
前記多面体を貫通した入口開口を有した保持穴であって、前記保持穴の内面上に保持特徴を規定している保持穴と、
前記第一外向き面上における第一基準パターン、前記第二外向き面上における第二基準パターン、および前記第三外向き面上における第三基準パターンであって、互いに別個のものとされた第一基準パターン、第二基準パターン、および第三基準パターンと、
前記多面体と前記外部ネジ山付きネジとの交差部分に対して近接して配置されたフランジと、を含む、骨マーカー。
【請求項14】
前記多面体は、立方体である、請求項13に記載の骨マーカー。
【請求項15】
前記外部ネジ山付きネジは、セルフタッピングネジである、請求項13または14のいずれかに記載の骨マーカー。
【請求項16】
前記保持特徴は、前記保持穴の内面上に規定されたネジ山をさらに含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の骨マーカー。
【請求項17】
前記外部ネジ山付きネジは、右ネジ山を含み、前記保持穴の前記内面上における前記ネジ山は、左ネジ山を含む、をさらに含む、請求項16に記載の骨マーカー。
【請求項18】
前記第一基準パターン、前記第二基準パターン、および前記第三基準パターンのそれぞれは、三次元パターンである、をさらに含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の骨マーカー。
【請求項19】
前記フランジは、ポリマー材料をさらに含むとともに、頂面と、前記頂面とは反対側に位置した底面と、貫通穴軸線を規定している貫通穴と、貫通穴軸線に対して平行に測定した際の厚さと、を規定しており、前記貫通穴は、前記外部ネジ山付きネジ上へと嵌め込まれており、前記フランジは、前記多面体の底面と前記外部ネジ山付きネジの近位端との前記交差部分のところに配置されている、請求項13~18のいずれか一項に記載の骨マーカー。
【請求項20】
前記フランジは、ポリマー材料、金属材料、およびシリコーン、からなる群から選択される少なくとも一つの材料を含む、請求項19に記載の骨マーカー。
【請求項21】
前記フランジは、円形および長円形からなる群から選択される少なくとも一つの形状をさらに含む、請求項19に記載の骨マーカー。
【請求項22】
前記多面体と前記外部ネジ山付きネジの近位端との前記交差部分のところに配置された環状トラフであって、前記外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線を取り囲んでいる、環状トラフと、
前記環状トラフに対して摩擦嵌合を形成している前記フランジの前記貫通穴の内径と、をさらに含む、請求項19に記載の骨マーカー。
【請求項23】
前記多面体と前記外部ネジ山付きネジの近位端との前記交差部分のところに配置された環状トラフであって、前記外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線を取り囲んでいる、環状トラフと、
前記外部ネジ山付きネジのネジ山と前記環状トラフとの間に規定された設置ネジ山と、
前記環状トラフの内部に配置された前記貫通穴の内径と、をさらに含む、請求項19に記載の骨マーカー。
【請求項24】
前記フランジは、
前記第一外向き面と前記第二外向き面と前記第三外向き面とに対して交差している頂面と、
前記外部ネジ山付きネジに対して交差している下面と、
前記外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線に対して垂直に測定した際に前記多面体の最大寸法よりも大きな直径と、をさらに含み、
前記フランジと、前記多面体と、前記外部ネジ山付きネジとは、一体的とされている、請求項13~23のいずれか一項に記載の骨マーカー。
【請求項25】
前記フランジによって規定されたインターフェース特徴をさらに含み、前記インターフェース特徴は、前記フランジの外面、および前記フランジの前記頂面上における凹所、からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項24に記載の骨マーカー。
【請求項26】
術中方法であって、
手術コントローラによって、手術時に内視鏡および付属カメラヘッドが観察する手術部位の画像でありかつ器具に関連した複数の基準パターンを有した前記器具の画像を含む画像を受領することと、
前記手術コントローラによって、前記画像内で見えている前記複数の基準パターンの中から非遮蔽基準パターンを選択することと、
前記手術コントローラによって、前記非遮蔽基準パターンに基づいて、前記手術部位内における前記器具の位置を示す値を計算することと、
前記手術コントローラによって、位置を示す前記値に基づいて、術中タスクを実行することと、を含む、術中方法。
【請求項27】
前記画像を受領することは、タッチプローブおよび照準器からなる群から選択される少なくとも一つとされた前記器具の前記画像を受領することを、さらに含む、請求項26に記載の術中方法。
【請求項28】
前記術中タスクを実行することは、前記画像内で見えている骨上の位置を登録すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル入口のための位置を選択すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル出口のための位置を選択すること、前記画像内で見えている骨に対しての、照準器の遠位端の位置を決定すること、および、前記骨を貫通した計画されたトンネルの中心軸線に対しての、照準器の長手方向中心軸線の向きを決定すること、からなる群から選択される少なくとも一つを、さらに含む、請求項26または27のいずれかに記載の術中方法。
【請求項29】
非遮蔽基準パターンを選択することは、関節鏡の視野方向に対する同軸から最も近い法線ベクトルを有した前記非遮蔽基準パターンを選択することを、さらに含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の術中方法。
【請求項30】
前記画像を受領することは、少なくとも三つの基準面を有した前記器具に関する前記画像を受領することをさらに含み、前記少なくとも三つの基準面のそれぞれは、前記器具の長手方向中心軸線に対して平行であり、前記少なくとも三つの基準面のそれぞれは、上面上に基準パターンを有している、請求項26~29のいずれか一項に記載の術中方法。
【請求項31】
前記画像を受領することは、上面上に第一基準パターンを有した第一基準面と、上面上に第二基準パターンを有した第二基準面と、上面上に第三基準パターンを有した第三基準面と、を有する前記器具に関する前記画像を受領することをさらに含み、前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面とは、少なくとも部分的に、前記器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している、請求項26~30のいずれか一項に記載の術中方法。
【請求項32】
前記画像を受領することは、上面上に第四基準パターンを有した第四基準面を有する前記画像を受領することをさらに含み、前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面と前記第四基準面とは、前記器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している、請求項31に記載の術中方法。
【請求項33】
前記画像を受領することは、前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面とのそれぞれが前記器具の前記長手方向中心軸線に対して平行とされた前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに含む、請求項31に記載の術中方法。
【請求項34】
前記画像を受領することは、前記器具の長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第一基準面と、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第二基準面と、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第三基準面と、を有する前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに含む、請求項26~33のいずれか一項に記載の術中方法。
【請求項35】
前記画像を受領することは、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第四基準面を有する前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに含む、請求項34に記載の術中方法。
【請求項36】
前記第一基準面上における前記複数の基準パターンのそれぞれは、同一である、請求項34に記載の術中方法。
【請求項37】
前記第一基準面上における前記複数の基準パターンのそれぞれは、相違している、請求項34に記載の術中方法。
【請求項38】
医療器具であって、
近位端と遠位端と長手方向中心軸線とを規定している長尺シャフトと、
前記遠位端に対して近接して配置された第一基準面、および、前記第一基準面上に配置された第一基準パターンと、
前記遠位端に対して近接して配置された第二基準面、および、前記第二基準面上に配置された第二基準パターンと、
前記遠位端に対して近接して配置された第三基準面、および、前記第三基準面上に配置された第三基準パターンと、を含み、
前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面とは、少なくとも部分的に、前記長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している、医療器具。
【請求項39】
前記長尺シャフトは、前記近位端から前記遠位端までにわたって貫通穴を規定している、をさらに含む、請求項38に記載の医療器具。
【請求項40】
前記遠位端に対して近接して配置された第四基準面、および、前記第四基準面上に配置された第四基準パターンを、さらに含み、
前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面と前記第四基準面とは、前記長手方向中心軸線まわりにおいて前記外面を規定している、請求項39に記載の医療器具。
【請求項41】
前記第一基準面は、前記第二基準面に対して垂直な平面を規定しており、
前記第二基準面は、前記第三基準面に対して垂直な平面を規定しており、
前記第三基準面は、前記第四基準面に対して垂直な平面を規定しており、
前記第四基準面は、前記第一基準面に対して垂直な平面を規定している、請求項40に記載の医療器具。
【請求項42】
前記第一基準パターンと前記第二基準パターンと前記第三基準パターンと前記第四基準パターンとは、同一である、請求項40に記載の医療器具。
【請求項43】
プローブ軸線を規定しているプローブ端部をさらに含み、前記プローブ軸線は、前記長手方向中心軸線に対して鋭角を形成しており、前記鋭角は、前記医療器具の前記遠位端を超えて測定されたものである、請求項38~42のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項44】
前記第一基準面は、前記第二基準面が規定する平面に対して交差する平面を規定しており、
前記第二基準面が規定する前記平面は、前記第三基準面が規定する平面に対して交差しており、
前記第三基準面が規定する前記平面は、前記第一基準面が規定する前記平面に対して交差しており、
前記長手方向中心軸線に対して垂直に見た際の断面形状は、三角形である、をさらに含む、請求項43に記載の医療器具。
【請求項45】
前記断面形状の幾何学的中心は、前記長手方向中心軸線から、非ゼロのオフセットを有している、をさらに含む、請求項44に記載の医療器具。
【請求項46】
前記第一基準面は、第一の複数の基準パターンを含み、前記第一基準パターンは、前記第一の複数の基準パターンにおける一構成要素であり、前記第一の複数の基準パターンにおける各基準パターンは、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置に位置しており、
前記第二基準面は、第二の複数の基準パターンを含み、前記第二基準パターンは、前記第二の複数の基準パターンにおける一構成要素であり、前記第二の複数の基準パターンにおける各基準パターンは、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置に位置しており、
前記第三基準面は、第三の複数の基準パターンを含み、前記第三基準パターンは、前記第三の複数の基準パターンにおける一構成要素であり、前記第三の複数の基準パターンにおける各基準パターンは、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置に位置している、をさらに含む、請求項38~45のいずれか一項に記載の医療器具。
【請求項47】
前記第一の複数の基準パターンと、前記第二の複数の基準パターンと、前記第三の複数の基準パターンと、のそれぞれは、同一である、をさらに含む、請求項46に記載の医療器具。
【請求項48】
前記第一の複数の基準パターンのそれぞれは、互いに対して相違しており、かつ、前記第二基準パターンおよび前記第三基準パターンのそれぞれに対しても相違している、をさらに含む、請求項46に記載の医療器具。
【請求項49】
手術コントローラであって、
ディスプレイデバイスに対して結合するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサに対して結合されたメモリであって、前記プロセッサによって実行された時には、前記プロセッサに、
手術時に内視鏡および付属カメラヘッドが観察する手術部位の画像でありかつ器具に関連した複数の基準パターンを有した前記器具に関する画像を含む画像を受領することと、
前記画像内で見えている前記複数の基準パターンの中から非遮蔽基準パターンを選択することと、
前記非遮蔽基準パターンに基づいて、前記手術部位内における前記器具の位置を示す値を計算することと、
位置を示す前記値に基づいて、術中タスクを実行することと、を実行させる命令を格納しているメモリと、を含む、手術コントローラ。
【請求項50】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、タッチプローブおよび照準器からなる群から選択される少なくとも一つとされた前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに実行させる、請求項49に記載の手術コントローラ。
【請求項51】
前記プロセッサが前記術中タスクを実行する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記画像内で見えている骨上の位置を登録すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル入口のための位置を選択すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル出口のための位置を選択すること、前記画像内で見えている骨に対しての、照準器の遠位端の位置を決定すること、および、前記骨を貫通した計画されたトンネルの中心軸線に対しての、照準器の長手方向中心軸線の向きを決定すること、からなる群から選択される少なくとも一つを、さらに実行させる、請求項49または50のいずれかに記載の手術コントローラ。
【請求項52】
前記プロセッサは、非遮蔽基準パターンを選択し、前記命令は、前記プロセッサに、関節鏡の視野方向に対する同軸から最も近い法線ベクトルを有した前記非遮蔽基準パターンを選択することを、さらに実行させる、請求項49~51のいずれか一項に記載の手術コントローラ。
【請求項53】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、少なくとも三つの基準面を有した前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに実行させ、前記少なくとも三つの基準面のそれぞれは、前記器具の長手方向中心軸線に対して平行であり、前記少なくとも三つの基準面のそれぞれは、上面上に基準パターンを有している、請求項49~52のいずれか一項に記載の手術コントローラ。
【請求項54】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、上面上に第一基準パターンを有した第一基準面と、上面上に第二基準パターンを有した第二基準面と、上面上に第三基準パターンを有した第三基準面と、を有する前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに実行させ、前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面とは、少なくとも部分的に、前記器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を規定している、請求項49~53のいずれか一項に記載の手術コントローラ。
【請求項55】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、上面上に第四基準パターンを有した第四基準面を有する前記画像を受領することを、さらに実行させ、前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面と前記第四基準面とは、前記器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している、請求項54に記載の手術コントローラ。
【請求項56】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記第一基準面と前記第二基準面と前記第三基準面とのそれぞれが前記器具の前記長手方向中心軸線に対して平行とされた前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに実行させる、請求項54に記載の手術コントローラ。
【請求項57】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記器具の長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第一基準面と、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第二基準面と、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第三基準面と、を有する前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに実行させる、請求項49~56のいずれか一項に記載の手術コントローラ。
【請求項58】
前記プロセッサが前記画像を受領する時には、前記命令は、前記プロセッサに、前記長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第四基準面を有する前記器具に関する前記画像を受領することを、さらに実行させる、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項59】
前記第一基準面上における前記複数の基準パターンのそれぞれは、同一である、請求項57に記載の手術コントローラ。
【請求項60】
前記第一基準面上における前記複数の基準パターンのそれぞれは、相違している、請求項57に記載の手術コントローラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、「Methods and Systems of Tracking Objects in Medical Procedures」と題して2021年10月19日付けで出願された米国仮出願通し番号第63/257,196号明細書の優先権を主張するものである。この仮出願は、以下で完全に複製されているかのようにして、参照により本明細書に援用される。
【0002】
関節鏡視下手術は、患者の皮膚を通過した小さなキーホールまたはポートを介して身体内の手術部位に対してアクセスする低侵襲性の手術である。手術部位内の様々な組織は、ポートを通して配置された関節鏡によって可視化され、内部の様子は、外部ディスプレイデバイス上に表示される。組織は、同じポートを通してまたは追加的なポートを通して、修復されたり置換されたりされ得る。
【0003】
コンピュータ支援による手術(例えば、前十字靭帯(ACL)の置換、大腿骨寛骨臼衝突の軽減)では、手術部位に対する様々な対象物の位置を、関節鏡が取り込んだ画像によって追跡することができる。特に、関連技術におけるシステムは、クイックレスポンスコード(QRコード)の読取と、三次元座標空間内におけるQRコードの向きの決定と、その後の、三次元座標空間内における付属器具もしくは骨の位置および/または向きの決定と、に基づいて、対象物(例えば、医療器具、骨)の位置を追跡することを教示している。
【0004】
しかしながら、手術部位には、破片、緩んだ組織、および、他の対象物が詰まっている可能性があり、それらは、デバイスに対して取り付けられたQRコードを遮蔽することとなる。QRコードが遮蔽された時には、コンピュータによる支援を、受けられなくなってしまう。
【発明の概要】
【0005】
一例は、方法であって、この方法は、多面体でありかつこの多面体の少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上に基準パターンを有している多面体と、多面体から遠位向きに延びた外部ネジ山付きネジと、多面体と外部ネジ山付きネジとの交差部分に対して近接したフランジと、を含む骨マーカーを、設置ツールの遠位端上に保持することと、外部ネジ山付きネジの遠位端を、マーカー位置のところで、骨に対して位置決めすることと、設置ツールを介して、外部ネジ山付きネジを、骨内へと螺着することと、フランジの直下で骨に対して組織を拘束することと、を含む。
【0006】
例示的な方法では、骨マーカーを保持することは、多面体を、設置ツールの遠位端のところにおける内容積の中に、嵌め込むことであり、骨マーカーは、多面体の頂面を貫通した入口開口を有した保持穴を含むことと、骨マーカーを設置ツールに対する係合関係に保持する保持固定部材を、保持穴内に配置することと、をさらに含んでもよい。例示的な方法は、外部ネジ山付きネジを骨内へと螺着した後に、保持固定部材を保持穴内から取り外すことを、さらに含んでもよい。例示的な方法では、保持固定部材を保持穴内に配置することは、保持固定部材の外部ネジ山を、保持穴の内部ネジ山に対する係合関係で螺着することを、さらに含んでもよい。例示的な方法は、外部ネジ山付きネジを骨内へと螺着した後に、保持固定部材の外部ネジ山を、保持穴の内部ネジ山から螺着解除することを、さらに含んでもよい。外部ネジ山付きネジを骨内へと螺着することは、多面体の少なくとも三つの外向き面に対して力を印加することを、さらに含んでもよい。多面体の少なくとも三つの外向き面に対して力を印加することは、少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上において、少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上におけるそれぞれ対応した基準パターンに対してオーバーラップしない位置へと、力を印加することを、さらに含んでもよい。外部ネジ山付きネジを骨内へと螺着することは、多面体に対してではなくフランジに対して、力を印加することを、さらに含んでもよい。
【0007】
例示的な方法では、骨に対して組織を拘束することは、骨の外面と、ポリマー材料とされたフランジの底面と、の間に組織を拘束することを、さらに含んでもよい。
【0008】
例示的な方法では、骨に対して組織を拘束することは、骨の外面と、金属材料とされたフランジの底面と、の間に組織を拘束することを、さらに含んでもよい。
【0009】
例示的な方法では、骨に対して組織を拘束することは、フランジによって組織を拘束することをさらに含んでもよく、フランジの一部でありかつ多面体の直下に位置した一部によって規定された平面に対して垂直なベクトルは、外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線に対して、鋭角を形成している。
【0010】
例示的な方法では、骨に対して組織を拘束することは、骨の外面と、フランジの、円形および長円形のうちの少なくとも一つの外形を規定している底面と、の間に組織を拘束することを、さらに含んでもよい。
【0011】
さらに別の例は、骨マーカーであって、この骨マーカーは、第一外向き面と第二外向き面と第三外向き面とを規定している多面体と、多面体の面から突出した外部ネジ山付きネジであり、外部ネジ山付きネジと多面体とが一体的とされている、外部ネジ山付きネジと、多面体を貫通した入口開口を有した保持穴であり、保持穴の内面上に保持特徴を規定している保持穴と、第一外向き面上における第一基準パターン、第二外向き面上における第二基準パターン、および第三外向き面上における第三基準パターンであり、互いに別個のものとされた第一基準パターン、第二基準パターン、および第三基準パターンと、多面体と外部ネジ山付きネジとの交差部分に対して近接して配置されたフランジと、を含む。
【0012】
例示的な骨マーカーでは、多面体は、立方体であってもよい。例示的な骨マーカーでは、外部ネジ山付きネジは、セルフタッピングネジであってもよい。
【0013】
例示的な骨マーカーでは、保持特徴は、保持穴の内面上に規定されたネジ山をさらに含んでもよい。例示的な骨マーカーは、右ネジ山とされた外部ネジ山付きネジをさらに含んでもよく、保持穴の内面上におけるネジ山は、左ネジ山とされている。
【0014】
例示的な骨マーカーでは、第一基準パターン、第二基準パターン、および第三基準パターンのそれぞれは、三次元パターンであってもよい。
【0015】
例示的な骨マーカーでは、フランジは、ポリマー材料をさらに含み得るとともに、頂面と、頂面とは反対側に位置した底面と、貫通穴軸線を規定している貫通穴と、貫通穴軸線に対して平行に測定した際の厚さと、を規定しており、貫通穴は、外部ネジ山付きネジ上へと嵌め込まれており、フランジは、多面体の底面と外部ネジ山付きネジの近位端との交差部分のところに配置されている。フランジは、ポリマー材料、金属材料、およびシリコーン、からなる群から選択される少なくとも一つの材料をさらに含んでもよい。フランジは、円形および長円形からなる群から選択される少なくとも一つの形状をさらに含んでもよい。
【0016】
例示的な骨マーカーは、多面体と外部ネジ山付きネジの近位端との交差部分のところに配置された環状トラフであり、外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線を取り囲んでいる、環状トラフと、環状トラフに対して摩擦嵌合を形成しているフランジの貫通穴の内径と、をさらに含んでもよい。
【0017】
例示的な骨マーカーは、多面体と外部ネジ山付きネジの近位端との交差部分のところに配置された環状トラフであり、外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線を取り囲んでいる、環状トラフと、外部ネジ山付きネジのネジ山と環状トラフとの間に規定された設置ネジ山と、環状トラフの内部に配置された貫通穴の内径と、をさらに含んでもよい。
【0018】
例示的な骨マーカーでは、フランジは、第一外向き面と第二外向き面と第三外向き面とに対して交差している頂面と、外部ネジ山付きネジに対して交差している低面と、外部ネジ山付きネジの長手方向中心軸線に対して垂直に測定した際に多面体の最大寸法よりも大きな直径と、をさらに含んでもよく、フランジと、多面体と、外部ネジ山付きネジとは、一体的とされている。例示的な骨マーカーは、フランジによって規定されたインターフェース特徴をさらに含んでもよく、インターフェース特徴は、フランジの外面、およびフランジの頂面上における凹所、からなる群から選択される少なくとも一つである。
【0019】
別の例は、術中方法であって、この術中方法は、手術コントローラによって、手術時に内視鏡および付属カメラヘッドが観察する手術部位の画像でありかつ器具に関連した複数の基準パターンを有した器具に関する画像を含む画像を受領することと、手術コントローラによって、画像内で見えている複数の基準パターンの中から非遮蔽基準パターンを選択することと、手術コントローラによって、非遮蔽基準パターンに基づいて、手術部位内における器具の位置を示す値を計算することと、手術コントローラによって、位置を示す値に基づいて、術中タスクを実行することと、を含む。
【0020】
例示的な術中方法では、画像を受領することは、タッチプローブおよび照準器からなる群から選択される少なくとも一つとされた器具に関する画像を受領することを、さらに含んでもよい。
【0021】
例示的な術中方法では、術中タスクを実行することは、画像内で見えている骨上の位置を登録すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル入口のための位置を選択すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル出口のための位置を選択すること、画像内で見えている骨に対しての、照準器の遠位端の位置を決定すること、および、骨を貫通した計画されたトンネルの中心軸線に対しての、照準器の長手方向中心軸線の向きを決定すること、からなる群から選択される少なくとも一つを、さらに含んでもよい。
【0022】
例示的な術中方法では、非遮蔽基準パターンを選択することは、関節鏡の視野方向に対する同軸から最も近い法線ベクトルを有した非遮蔽基準パターンを選択することを、さらに含んでもよい。
【0023】
例示的な術中方法では、画像を受領することは、少なくとも三つの基準面を有した器具に関する画像を受領することをさらに含んでもよく、少なくとも三つの基準面のそれぞれは、器具の長手方向中心軸線に対して平行であり、少なくとも三つの基準面のそれぞれは、上面上に基準パターンを有している。
【0024】
例示的な術中方法では、画像を受領することは、上面上に第一基準パターンを有した第一基準面と、上面上に第二基準パターンを有した第二基準面と、上面上に第三基準パターンを有した第三基準面と、を有する器具に関する画像を受領することをさらに含んでもよく、第一基準面と第二基準面と第三基準面とは、少なくとも部分的に、器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している。画像を受領することは、上面上に第四基準パターンを有した第四基準面を有する画像を受領することをさらに含んでもよく、第一基準面と第二基準面と第三基準面と第四基準面とは、器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している。画像を受領することは、第一基準面と第二基準面と第三基準面とのそれぞれが器具の長手方向中心軸線に対して平行とされた器具に関する画像を受領することを、さらに含んでもよい。
【0025】
例示的な術中方法では、画像を受領することは、器具の長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第一基準面と、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第二基準面と、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第三基準面と、を有する器具に関する画像を受領することを、さらに含んでもよい。画像を受領することは、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第四基準面を有する器具に関する画像を受領することを、さらに含んでもよい。例示的な術中方法では、第一基準面上における複数の基準パターンのそれぞれは、同一であってもよい。例示的な術中方法では、第一基準面上における複数の基準パターンのそれぞれは、相違してもよい。
【0026】
さらに別の例は、医療器具であって、この医療器具は、近位端と遠位端と長手方向中心軸線とを規定している長尺シャフトと、遠位端に対して近接して配置された第一基準面、および、第一基準面上に配置された第一基準パターンと、遠位端に対して近接して配置された第二基準面、および、第二基準面上に配置された第二基準パターンと、遠位端に対して近接して配置された第三基準面、および、第三基準面上に配置された第三基準パターンと、を含み、第一基準面と第二基準面と第三基準面とは、少なくとも部分的に、長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している。
【0027】
例示的な医療器具は、近位端から遠位端までにわたって貫通穴を規定している長尺シャフトを、さらに含んでもよい。例示的な医療器具は、遠位端に対して近接して配置された第四基準面、および、第四基準面上に配置された第四基準パターンを、さらに含んでもよく、第一基準面と第二基準面と第三基準面と第四基準面とは、長手方向中心軸線まわりにおいて外面を規定している。例示的な医療器具は、第二基準面に対して垂直な平面を規定している第一基準面と、第三基準面に対して垂直な平面を規定している第二基準面と、第四基準面に対して垂直な平面を規定している第三基準面と、第一基準面に対して垂直な平面を規定している第四基準面と、をさらに含んでもよい。第一基準パターンと第二基準パターンと第三基準パターンと第四基準パターンとは、同一であってもよい。
【0028】
例示的な医療器具は、プローブ軸線を規定しているプローブ端部をさらに含んでもよく、プローブ軸線は、長手方向中心軸線に対して鋭角を形成しており、鋭角は、医療器具の遠位端を超えて測定されたものである。例示的な医療器具は、第二基準面が規定する平面に対して交差する平面を規定している第一基準面と、第三基準面が規定する平面に対して交差している、第二基準面が規定する平面と、第一基準面が規定する平面に対して交差している、第三基準面が規定する平面と、をさらに含んでもよく、長手方向中心軸線に対して垂直に見た際の断面形状は、三角形である。断面形状の幾何学的中心は、長手方向中心軸線から、非ゼロのオフセットを有してもよい。
【0029】
例示的な医療器具は、第一の複数の基準パターンを含む第一基準面であり、第一基準パターンが、第一の複数の基準パターンにおける一構成要素であり、第一の複数の基準パターンにおける各基準パターンが、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置に位置している、第一基準面と、第二の複数の基準パターンを含む第二基準面であり、第二基準パターンが、第二の複数の基準パターンにおける一構成要素であり、第二の複数の基準パターンにおける各基準パターンが、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置に位置している、第二基準面と、第三の複数の基準パターンを含む第三基準面であり、第三基準パターンが、第三の複数の基準パターンにおける一構成要素であり、第三の複数の基準パターンにおける各基準パターンが、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置に位置している、第三基準面と、をさらに含んでもよい。第一の複数の基準パターンと、第二の複数の基準パターンと、第三の複数の基準パターンと、のそれぞれは、同一であってもよい。第一の複数の基準パターンのそれぞれは、互いに対して相違してもよく、かつ、第二基準パターンおよび第三基準パターンのそれぞれに対しても相違してもよい。
【0030】
別の例は、手術コントローラであって、この手術コントローラは、ディスプレイデバイスに対して結合するように構成されたプロセッサと、プロセッサに対して結合されたメモリと、を含む。メモリは、プロセッサによって実行された時には、プロセッサに、手術時に内視鏡および付属カメラヘッドが観察する手術部位の画像でありかつ器具に関連した複数の基準パターンを有した器具に関する画像を含む画像を受領することと、画像内で見えている複数の基準パターンの中から非遮蔽基準パターンを選択することと、非遮蔽基準パターンに基づいて、手術部位内における器具の位置を示す値を計算することと、位置を示す値に基づいて、術中タスクを実行することと、を実行させる命令を格納してもよい。
【0031】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、タッチプローブおよび照準器からなる群から選択される少なくとも一つとされた器具に関する画像を受領することを、さらに実行させてもよい。
【0032】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが術中タスクを実行する時には、命令は、プロセッサに、画像内で見えている骨上の位置を登録すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル入口のための位置を選択すること、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル出口のための位置を選択すること、画像内で見えている骨に対しての、照準器の遠位端の位置を決定すること、および、骨を貫通した計画されたトンネルの中心軸線に対しての、照準器の長手方向中心軸線の向きを決定すること、からなる群から選択される少なくとも一つを、さらに実行させてもよい。
【0033】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが非遮蔽基準パターンを選択する時には、命令は、プロセッサに、関節鏡の視野方向に対する同軸から最も近い法線ベクトルを有した非遮蔽基準パターンを選択することを、さらに実行させてもよい。
【0034】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、少なくとも三つの基準面を有した器具に関する画像を受領することを、さらに実行させてもよく、少なくとも三つの基準面のそれぞれは、器具の長手方向中心軸線に対して平行であり、少なくとも三つの基準面のそれぞれは、上面上に基準パターンを有している。
【0035】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、上面上に第一基準パターンを有した第一基準面と、上面上に第二基準パターンを有した第二基準面と、上面上に第三基準パターンを有した第三基準面と、を有する器具に関する画像を受領することを、さらに実行させてもよく、第一基準面と第二基準面と第三基準面とは、少なくとも部分的に、器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を規定している。プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、上面上に第四基準パターンを有した第四基準面を有する画像を受領することを、さらに実行させてもよく、第一基準面と第二基準面と第三基準面と第四基準面とは、器具の長手方向中心軸線まわりにおいて外面を形成している。
【0036】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、第一基準面と第二基準面と第三基準面とのそれぞれが器具の長手方向中心軸線に対して平行とされた器具に関する画像を受領することを、さらに実行させてもよい。
【0037】
例示的な手術コントローラでは、プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、器具の長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第一基準面と、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第二基準面と、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第三基準面と、を有する器具に関する画像を受領することを、さらに実行させてもよい。プロセッサが画像を受領する時には、命令は、プロセッサに、長手方向中心軸線に関する別個の軸線方向位置のところにおいて上面上に複数の基準パターンを有した第四基準面を有する器具に関する画像を受領することを、さらに実行させてもよい。第一基準面上における複数の基準パターンのそれぞれは、同一であってもよい。第一基準面上における複数の基準パターンのそれぞれは、相違してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
例示的な実施形態に関する詳細な説明のために、次に、添付図面を参照する。
【0039】
図1図1は、少なくともいくつかの実施形態による手術システムを示している。
【0040】
図2図2は、少なくともいくつかの実施形態による骨マーカーに関する斜視側面図を示している。
【0041】
図3図3は、少なくともいくつかの実施形態による骨マーカーに関する斜視側面図を示している。
【0042】
図4図4は、少なくともいくつかの実施形態による骨マーカーに関する斜視側面図を示している。
【0043】
図5図5は、少なくともいくつかの実施形態による骨マーカーに関する斜視図を示している。
【0044】
図6A図6Aおよび図6Bは、少なくともいくつかの実施形態による、設置ツールの遠位端上に保持された骨マーカーに関する斜視図を示している。
図6B】同上。
【0045】
図7図7は、少なくともいくつかの実施形態による、設置ツールの遠位端と骨マーカーとに関する分解斜視図を示している。
【0046】
図8図8は、少なくともいくつかの実施形態による骨マーカーに関する斜視図を示している。
【0047】
図9図9は、少なくともいくつかの実施形態による骨マーカーに関する斜視図を示している。
【0048】
図10図10は、少なくともいくつかの実施形態による照準器の遠位端に関する斜視図を示している。
【0049】
図11図11は、少なくともいくつかの実施形態によるタッチプローブに関する斜視側面図を示している。
【0050】
図12図12は、少なくともいくつかの実施形態によるタッチプローブの遠位端に関する断面図を示している。
【0051】
図13図13は、少なくともいくつかの実施形態による、プローブアセンブリを通して遠位向きに見た断面図を示している。
【0052】
図14図14は、少なくともいくつかの実施形態による関節鏡と複数の基準パターンとに関する側面図を示している。
【0053】
図15図15は、少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。
【0054】
図16図16は、少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。
【0055】
図17図17は、少なくともいくつかの実施形態によるコンピュータシステムを示している。
【0056】
図18図18は、別の例示的な骨マーカーに関する斜視側面図を示している。
【0057】
図19図19は、別の例示的な骨マーカーに関する斜視側面図を示している。
【0058】
定義
様々な用語が、特定のシステム構成要素を指すために使用されている。異なる企業は、一つの構成要素を異なる名称で参照する場合があるけれども、この文書は、名称は異なるが機能は異ならない構成要素どうしを区別することを意図していない。以下の議論および特許請求の範囲では、「含む」および「備える」という用語は、制限のない態様で使用されているため、「~を含むが、これらに限定されない」を意味するものとして解釈されるべきである。また、「結合する(couple)」または「結合する(couples)」という用語は、間接的な接続または直接的な接続のいずれかを意味することを意図している。よって、第一デバイスが第二デバイスに対して結合される場合、その接続は、直接的な接続によるものであってもよく、または、他のデバイスや他の接続を介した間接的な接続であってもよい。
【0059】
「貫通穴」とは、根底をなす対象物を貫通した開口部または通路を意味するものとする。しかしながら、「貫通穴」という用語は、何らかの形成方法を暗示するものとして解釈されてはならない。よって、貫通穴は、穿孔、穴開け、レーザー穿孔、鋳造、などの、任意の適切な手法で形成されてもよい。
【0060】
「ザグリ穴」とは、根底をなす対象物内への開口部または通路を意味するものとする。ザグリ穴が、他の開口部(例えば、貫通穴)に対して交差する場合、ザグリ穴は、それにより、内部での肩部を規定してもよい。しかしながら、「ザグリ穴」という用語は、何らかの形成方法を暗示するものとして解釈されてはならない。ザグリ穴は、穿孔、穴開け、レーザー穿孔、鋳造、などの、任意の適切な手法で形成されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下の議論は、本発明の様々な実施形態を対象としている。これら実施形態における一つまたは複数の実施形態が好ましい場合があるけれども、開示する実施形態は、特許請求の範囲を含めた本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、また、他の態様で使用されるべきではない。加えて、当業者であれば、以下の説明が広範な応用を有していること、また、任意の実施形態に関する議論が、その実施形態に関する例示に過ぎないことが意図されており、特許請求の範囲を含めた本開示の範囲が、その実施形態に限定されることを暗示することを意図するものではないことは、理解されよう。
【0062】
様々な例は、医療処置において対象物を追跡するための方法およびシステムを対象としている。より詳細には、様々な例は、関節鏡視下手術において、対象物(例えば、骨マーカー、医療器具)に対して取り付けられた基準パターンを遮蔽してしまう破片および/または組織の発生を低減するための、方法ならびに関連システムを対象としている。なおもより詳細には、例示的な方法およびシステムは、破片および/または組織が一つの基準パターンを遮蔽してしまう程度でも、別の基準パターンがそれでも見えているよう、よってコンピュータ支援がなおも利用可能であり得るよう、追跡対象物の周囲における様々な位置で、および/または追跡対象物に沿った様々な位置で、基準パターンを複製する。骨マーカーに関する例示的な場合には、骨マーカーは、複数の外向き面上に基準パターンを有した多面体を含んでもよい。追加的に、骨マーカーは、下方に位置した組織が基準パターンを遮蔽してしまうことの発生を低減するために、下方に位置した組織を圧縮または拘束するためのフランジを含んでもよい。手術部位内に配置された医療器具に関する例示的な場合には、医療器具は、医療器具の周囲に配置された複数の基準パターンを含んでもよい、および/または、医療器具に沿った様々な軸線方向位置に配置された複数の基準パターンを含んでもよい。複数の基準パターンを実装することにより、基準パターンを遮蔽してしまう破片および/または組織のためにコンピュータ支援が手術部位内における医療器具の位置を見失うことの発生が、低減される。読者を方向付けるため、本明細書では、まず例示的なシステムについて説明する。
【0063】
図1は、少なくともいくつかの実施形態による手術システム(正確な縮尺ではない)を示している。特に、例示的な手術システム100は、タワーまたはデバイスカート102と、例示的な機械的切除器具104と、例示的なプラズマベースの焼灼器具(以下では、単に、焼灼器具106)と、関節鏡108と付属カメラヘッド110とからなる例示的な形態とされた内視鏡と、を含む。デバイスカート102は、内視鏡光源およびビデオコントローラと一緒に、カメラ112(立体視カメラとして例示的に示されている)と、ディスプレイデバイス114と、切除コントローラ116と、カメラコントロールユニット(CCU)と、を含んでもよい。例示的な場合には、CCUと、内視鏡光源と、ビデオコントローラとは、関節鏡108に対して光を供給するとともに、カメラヘッド110から受領した画像を表示するだけでなく、手術部位内の対象物の位置を追跡することなどの様々な追加的な態様をも実装する。よって、CCUと、内視鏡光源と、ビデオコントローラとは、以下では、手術コントローラ118と称される。しかしながら、他の場合には、CCUと、内視鏡光源と、ビデオコントローラとは、術中追跡の態様を処理するコントローラに対して別体とされた別個のシステムであり得るけれども、それでもなお、別個のデバイスは、動作可能に結合されることとなる。
【0064】
例示的なデバイスカート102は、ポンプコントローラ120(例えば、シングルまたはデュアルの蠕動ポンプ)をさらに含む。機械的切除器具104と焼灼器具106との流体接続は、図面を過度に複雑化しないよう、示されていない。同様に、ポンプコントローラ120と患者との間の流体接続は、図面を過度に複雑化しないよう、示されていない。例示的なシステムでは、機械的切除器具104と焼灼器具106との両方が、二重機能コントローラをなす切除コントローラ116に対して、結合されている。しかしながら、他の場合には、焼灼コントローラに対して別体とされて別個とされた機械的切除コントローラが設けられてもよい。デバイスカート102に関連した例示的なデバイスおよびコントローラは、単なる例示であり、他の例は、真空ポンプ、様々な器具を保持するロボットアーム、超音波切断デバイスおよび関連コントローラ、患者位置決めコントローラ、ならびにロボット手術システム、を含む。
【0065】
図1は、関節鏡視下手術中に存在し得る追加的な器具をさらに示している。特に、図1は、例示的な、タッチプローブ122と、照準器124と、骨マーカー126と、を示している。タッチプローブ122は、手術時に、関節鏡108およびカメラヘッド110が取り込んだ画像内で見えている下方に位置した骨に対して三次元骨モデルを登録するための情報などの情報を、また、外科医が術前のトンネル計画から逸脱することを選択した時における、修正済みトンネル進入位置および/または修正済みトンネル退出位置に関する情報などの情報を、手術コントローラ118に対して提供するために、使用されてもよい。照準器124は、骨を貫通する初期的トンネルすなわちパイロットトンネルを形成するために、ドリルワイヤの配置のためのガイドとして、また、ドリルワイヤによる穿孔のためのガイドとして、使用されてもよい。骨マーカー126は、骨に対して堅固に取り付けられ得るものであって、手術コントローラ118が骨の向きを知るためのアンカー位置として機能し得る(例えば、三次元骨モデルへの登録後)。ドリルワイヤ、骨を貫通するトンネルの貫通穴態様およびザグリ穴態様を形成するための様々なリーマ、ならびに、移植片を縫合してアンカー止めするためのものといったような様々なツール、などの、追加的なツールおよび追加的な器具が存在することとなる。図面をさらに複雑化しないよう、これらの追加的なツールおよび器具は、示されていない。
【0066】
図2は、例示的な骨マーカー126に関する斜視側面図を示している。特に、例示的な骨マーカー126は、多面体200と、外部ネジ山付きネジ202と、フランジ204と、を含む。例示的な多面体は、頂面または上面206と、外向き面208および外向き面210などの複数の外向き面と、を規定している。図2の例では、多面体200は、立方体であるため、二つの追加的な外向き面が存在しているけれども、図2の図では見えていない。しかしながら、多面体200は、頂面206と、少なくとも三つの外向き面と、外部ネジ山付きネジ202が突出している位置(例えば、低面)と、を規定するような、任意の適切な形状をとってもよい。図2で見えている外向き面208、210などの外向き面のそれぞれには、上面上に、基準パターン212、214などの基準パターンがそれぞれ配置されている。基準パターン214を代表として参照すると、基準パターン214は、多面体200の外向き面210を一意的に識別する機械可読コードである。すなわち、関節鏡108(図1)およびカメラヘッド110(図1)が取り込んだ画像を受領した手術コントローラ118(図1)は、基準パターン214によって表される値を読み取ってもよい。その上、基準パターン214は、基準パターン214の画像内における基準パターン214の三次元特徴どうしまたは三次元パターンどうし(例えば、外側コーナー、内側コーナー、相対的な線幅)の物理的関係を分析することにより、手術コントローラ118が、これにより、関節鏡108の視野内の三次元座標空間における基準パターンの物理的配向を、ひいては骨マーカー126の物理的配向を、決定し得るように、設計されて構成されている。これにより、骨マーカー126が骨に対して結合された時には、手術コントローラ118は、関節鏡108の視野内の三次元座標空間において、結合された骨の物理的配向を決定してもよい。例示的なシステムでは、外向き面のそれぞれ上における基準パターンは、一意的なかつ別個のパターンである。
【0067】
この例では、外部ネジ山付きネジ202は、多面体200の、頂面206とは反対側の面から、突出している。例示的な場合には、多面体200と外部ネジ山付きネジ202とは、金属材料(例えば、アルミニウム)からなる連続部材などの一体型構造とされている。例えば、多面体200と外部ネジ山付きネジ202とは、型内で同時に鋳造されてもよい、あるいは、アルミニウム、ステンレス鋼、またはチタンからなる単一部材から切削加工されてもよい。例示的な外部ネジ山付きネジ202は、セルフドリリングネジすなわちセルフタッピングネジであり、これは、外部ネジ山付きネジ202の遠位端216が、骨内への初期的開口を形成するための穿孔特徴を含むことを、意味する。外部ネジ山付きネジ202は、外部ネジ山付きネジ202の遠位端216の近傍から近位端に向けて延びたネジ山218を、さらに含む。場合によっては、ネジ山218は、右ネジ山であり、これは、骨マーカー126が骨内へと螺着される時には、多面体200の上方から長手方向中心軸線に沿って外部ネジ山付きネジに向けて見た際に、骨マーカー126が、その長手方向中心軸線220まわりにおいて、時計まわりに回転駆動されることを、意味する。ネジ山218は、代替的には、左ネジ山であってもよい。
【0068】
骨マーカー126は、比較的小さな対象物であり、一例では、外部ネジ山付きネジ202の外径は、約2.5ミリメートル(mm)であるけれども、より大きなサイズおよびより小さなサイズも想定される。例示的な場合には、多面体200は、約4mmの長さ(長手方向中心軸線220に対して平行に測定した際に)とされた面を形成してもよい。場合によっては、各面上における基準パターンは、同じ大きさであるけれども、他の場合には、基準パターンは、(重複パターンであっても)同じ大きさである必要はない。例示的な骨マーカーの全長は、境界値を含めて10mm~15mmであってもよく、一例では、12mmであってもよい。
【0069】
なおも図2を参照すると、例示的な骨マーカー126は、フランジ204をさらに含む。例示的なフランジ204は、多面体200と外部ネジ山付きネジ202との交差部分に対して近接して、配置されている。例示的なフランジ204は、多面体200と外部ネジ山付きネジ202とがなす一体的構造に対して別体とされて別個とされた構成要素である。フランジ204は、金属材料(例えば、アルミニウム)から作製されてもよく、しかしながら、他の場合には、フランジ204は、骨マーカー126が骨内へと螺着される際にフランジ204が下方に位置した骨の形状に対して適合することを可能とするよう、ポリマー材料(例えば、シリコーン)から作製されてもよい。フランジ204は、頂面222と、頂面222とは反対側に位置した底面224と、貫通穴軸線を規定した貫通穴(図2では見えていない)と、直径(例えば、約9mm)と、貫通穴軸線に対して平行に測定された厚さTFLANGEと、を規定している。例示的な場合には、図示のように、フランジ204の厚さTFLANGEは、貫通穴からフランジ204の外側エッジまでにわたって、一様である。しかしながら、他の場合には、例えば貫通穴の近傍でより大きな厚さを有しかつ貫通穴から外側エッジに向けて距離につれてより薄い厚さを有したテーパー形状厚さなどの、非一様な厚さは使用されてもよい。
【0070】
図3は、例示的な骨マーカー126に関する斜視図を示している。特に図3で見えているものは、多面体200と、外部ネジ山付きネジ202の一部と、である。外向き面208、210も、また、それぞれ対応した基準パターン(具体的に符号が付されているわけではない)と一緒に、見えている。しかしながら、図3の図では、フランジ204を貫通した貫通穴226を、多面体200と外部ネジ山付きネジ202の近位端との交差部分のところに配置された環状トラフ228と一緒に、見えている。設置および/または形成の後には、貫通穴226の内径は、環状トラフ228の内部に配置されている。図2および図3に示すように、例示的なフランジ204は、骨マーカー126の設置時に、下方に位置した骨または軟組織の向きに対して適合するよう、環状トラフ228の内部で移動してもよい。
【0071】
なおも図3を参照すると、例示的な骨マーカー126は、多面体200の頂面206を貫通した入口開口232を有した保持穴230を、さらに含む。保持穴230は、保持穴230の内面上におけるネジ山として例示的に示しているような保持特徴234を、規定している。保持特徴234を使用することにより、未設置の骨マーカー126が患者の皮膚を通過したポートから配置され得るよう、さらにその後に、骨内の所定位置へと螺着され得るよう、骨マーカー126が、設置ツール(図3には図示せず)に対する動作関係に保持されてもよい。所定位置へと螺着された後には、設置ツールは、保持特徴234から取り外されてもよく、これにより、設置ツールを引き抜くことができて、骨マーカー126を、所定位置に残すことができる。フランジ204は、不透明なもの、透明なもの、またはその中間、であってもよい。
【0072】
図4は、多面体200から離れた位置へとフランジ204を変位させた状態で、例示的な骨マーカー126に関する斜視側面図を示している。特に図4で良好に見えているものは、環状トラフ228である。環状トラフ228は、多面体200と外部ネジ山付きネジ202の近位端との間に配置されており、例示的な環状トラフ228は、骨マーカー126の長手方向中心軸線220の周囲に位置している。フランジ204が剛性材料であるという例示的な場合には、例示的な骨マーカー126は、環状トラフ228の外側から環状トラフ228の内側へのチャネルを提供する設置ネジ山400を含んでもよい。設置ネジ山400は、貫通穴226の内径が環状トラフ228の内部に位置するようにしてフランジ204を設置することを可能とする。しかしながら、他の場合には、設置ネジ山400は、省略されてもよい。例えば、フランジ204がポリマー材料から作製されている時には、フランジ204は、フランジ204の内径を環状トラフ228の内部に配置するための設置時に、弾性変形することができる。さらに他の場合には、フランジ204は、環状トラフ228と一緒に所定位置に鋳造されてもよく、これにより、フランジ204を鋳造するために使用される型の一部を形成してもよい。フランジ204を骨マーカー126に対して設置するに際しては、任意の適切な手法またはシステムが使用されてもよい。
【0073】
図5は、別の例示的な骨マーカー126に関する斜視図を示すものであって、様々な代替例を示している。特に、図5の例示的な骨マーカー126は、フランジ204を含むものの、図5における例示的なフランジ204は、楕円形または長円形を有するものとして示されている。すなわち、上方から貫通穴軸線に沿って見た時には、外側エッジまたは外面は、長円形状を規定している。貫通穴226は、長円形状に対して中心から位置ズレした位置(例えば、楕円の焦点のところ)で示されているけれども、貫通穴は、任意の適切な位置に配置されてもよい。図5の例示的なフランジ204は、フランジ204の長さ寸法における両端部のところに配置された貫通穴500、502を、さらに含む。貫通穴500および/または502を使用することにより、骨マーカー126を骨内へと最終的に締め付ける前に、外科医が要望した向きへと、フランジ204を位置決めすることが補助されてもよい。例示的な長円形状のフランジ204は、骨マーカー126が脛骨プラトー上に配置されるような関節鏡視下ACL修復において、格別に使用され得る。そのような位置では、プラトー面から突出した組織が存在する可能性があるため、長円形状により、多面体200の直下において、フランジが、骨とフランジ204の底面との間に組織を捕捉したり拘束したりすることを可能とすることができる。一例では、図5の例示的なフランジ204の長円形状における最大寸法は、約16mmである。
【0074】
図5は、他の例では、貫通穴226が環状トラフ内に保持される必要がないことを、さらに示している。図示のように、貫通穴226は、外部ネジ山付きネジ202上へと嵌め込まれているけれども、貫通穴226の貫通穴軸線504と、多面体200の長手方向中心軸線220と、の相対的な配向は、図5の例示的なシステムの場合、より大きくてもよい。さらになお、図5は、貫通穴226自体が円形である必要がないことを、示している。図5の例示的な貫通穴226における内面は、貫通穴軸線504に沿って見た時に、中心軸線504と長手方向中心軸線220との間におけるより大きな相対的な配向を可能とするよう、長円形状を形成してもよい。
【0075】
図5の代替例どうしが、相互に排他的なものとして読んではならない。例えば、長円形状のフランジは、環状トラフ228(図2)の内部に配置される内径を貫通穴226が有するよう、設計されて構築されてもよい。逆に、円形形状のフランジは、長円形状を規定する貫通穴を含めて、貫通穴を図5に示すように浮遊させるよう、設計されて構築されてもよい。さらに、図5に示す長円形状のフランジ204は、マーカー軸線220まわりに回転してもよく、あるいは、マーカー202に対して回転可能にキー止めされてもよい。ここで、骨マーカー126を骨内へと配置する際に、例示的な骨マーカー126を、設置ツール内に保持することについて説明する。
【0076】
図6Aは、例示的な設置ツールの遠位端上に保持された骨マーカー126に関する斜視図を示している。特に、図6Aは、遠位端604と近位端606とを規定している長尺シャフト602を含む例示的な設置ツール600を、示している。長尺シャフト602は、近位端606上で、ハンドル608に対して結合されている。図6Aでは見えていないけれども、長尺シャフト602とハンドル608とは、同軸的な貫通穴を規定している。また、図6Aで見えているものは、例示的な骨マーカー126であり、ここでは、骨マーカー126と設置ツール600の遠位端604との交差部分を遮蔽しないよう、フランジが省略されている。図6Bは、骨マーカー126を含む遠位端604に関する拡大図を示している。この例では、骨マーカー126は、設置ツール600の遠位端604のところにおける内容積の中に多面体200を嵌め込むことにより、設置ツール600の内部に保持されている。以下で図示してより詳細に説明するように、骨マーカー126は、保持穴230(図2)内の保持特徴234(図2)に対して係合関係で配置された保持固定部材(図6Aまたは図6Bでは見えていない)によって、嵌め込み関係で保持されている。保持固定部材は、骨マーカー126を嵌め込み関係で保持する傾向を有した軸線方向力を、提供する。設置ツールの内部に骨マーカー126を保持することにより、骨マーカー126を直接的に設置することができ、ガイドワイヤによってパイロットトンネルを穿孔した後に骨マーカーをガイドに沿ってスライドさせることで骨上の適正位置へと骨マーカーを誘導するという関連技術のアプローチを、排除することができる。
【0077】
使用時には、設置ツール600の遠位端604と、保持された骨マーカー126とは、患者の皮膚を通過したポートを通してなどにより、手術部位内へと配置される。その後、設置ツール600を使用することにより、骨マーカー126を、設置のための適切な位置(例えば、ACL修復/置換の場合には、顆間凹所)に配置し得るだけでなく、外部ネジ山付きネジを骨内へと導入するとともに骨マーカー126を骨に対して固定するための回転駆動力を骨マーカー126に対して提供することができる。多面体200の外向き面上における基準パターンを凹ませたり傷つけたりする可能性を低減するために、例示的な場合には、設置ツール600によって多面体200に対して印加される回転駆動力は、各外向き面上における、外向き面上のそれぞれ対応した基準パターンに対して接触したりオーバーラップしたりしない位置に、位置している。別の言い方をすれば、骨マーカー126の設置のための回転駆動力は、各外向き面上における、それぞれ対応した基準パターンの境界よりも外側の位置のところに、印加される。
【0078】
図7は、設置ツール600の遠位端と骨マーカー126とに関する分解斜視図を示している。特に、長尺シャフト602の遠位端604は、骨マーカー126の多面体200上へと嵌め込まれるように設計されて構築された内面を規定している。多面体200が立方体とされた例示的な場合には、長尺シャフトの遠位端604の内面は、そのため、正方形の断面形状を規定している。長尺シャフト602は、長尺シャフト602の長手方向中心軸線610に沿って、貫通穴をさらに規定している。貫通穴は、内面に対して交差しているとともに、多面体200が遠位端604内へと軸線方向に並進移動することを制限する肩部領域(具体的には図示していない)を形成している。貫通穴内へと長手方向中心軸線610に沿って嵌め込まれているものは、長尺ロッド614の外部ネジ山付き部分として例示的に示している保持固定部材612である。長尺ロッド614は、ハンドル608(図6A)へと延び得るとともに、ハンドル608を通して遠位端604へと延びてもよい。
【0079】
よって、骨マーカー126を、設置ツール600の遠位端604上に保持することは、多面体200を、設置ツール600の遠位端604のところにおける内面によって規定された内容積の中に、嵌め込むことを含んでもよい。その後、保持固定部材612が、多面体200の頂面上における保持穴230(図2)の内部に位置した保持特徴234(図2)に対して結合されてもよい。図示の例では、外部ネジ山の形態とされた保持固定部材612が、保持穴230の内部に位置した内部ネジ山の形態とされた保持特徴234に対して、螺着的に結合されてもよい。よって、長尺ロッド614は、骨マーカー126を設置ツール600に対して係合関係で保持する傾向を有した力を、提供してもよい。この例では、骨マーカー126が設置ツールに対して係合関係で保持された時には、骨マーカー126の長手方向中心軸線220は、長尺シャフト602の貫通穴の長手方向中心軸線610に対して、および長尺ロッド614の長手方向中心軸線に対して、同軸的とされている。しかしながら、他の場合には、長手方向中心軸線どうしは、同軸的である必要はない。
【0080】
骨マーカー126が骨内に配置された後には、保持固定部材612は、保持穴230から取り外されてもよい(図2)。特に、保持固定部材612が外部ネジ山であるという例示的な場合には、設置ツール600を使用することにより、保持固定部材612の外部ネジ山が係合関係から螺着解除される際に、骨マーカー126は、回転に関する一定の向きで保持され得る。場合によっては、例示的な保持固定部材612のネジ山は、右ネジ山であるけれども、骨マーカー126が設置ツール600によって所定位置に保持され得ることを考慮すると、例示的な保持固定部材612のネジ山が螺着解除されたとしても、骨マーカー126は、骨から螺着解除されるわけではない。しかしながら、他の場合には、例示的な保持固定部材612のネジ山は、左ネジ山であってもよく、外部ネジ山付きネジ202のネジ山は、右ネジ山であってもよく(または、その逆でもよい)、このため、例示的な保持固定部材612のネジ山を螺着解除する行為は、骨マーカー126を下方に位置した骨に対してさらに強固に接続する傾向があることとなる。
【0081】
図18は、別の例示的な骨マーカー126に関する斜視側面図を示している。特に、例示的な骨マーカー126は、多面体200と、外部ネジ山付きネジ202と、を含む。図18の骨マーカー126は、フランジ無しで示されているけれども、それでもなお、所望に応じてフランジと一緒に使用されてもよい。例示的な多面体200は、頂面または上面206と、外向き面208および外向き面210などの複数の外向き面と、を規定している。図18の例では、多面体200は、立方体ではあるけれども、この場合には、立方体は、傾斜しており、外部ネジ山付きネジ202は、立方体の「コーナー」から延びている。図18で見えている外向き面208、210などの外向き面のそれぞれには、各面上に、基準パターンが配置されている。
【0082】
この例では、外部ネジ山付きネジ202は、多面体200の、頂面206とは反対側の面から、突出している。別の言い方をすれば、外部ネジ山付きネジ202の長手方向中心軸線は、例示的な立方体の反対側に位置した二つのコーナーを通して延びている。上記と同様に、例示的な場合には、多面体200と外部ネジ山付きネジ202とは、金属材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン)からなる連続部材などの一体型構造とされている。例示的な外部ネジ山付きネジ202は、セルフドリリングネジまたはセルフタッピングネジである。再び上記と同様に、図18の骨マーカー126は、比較的小さな対象物であり、一例では、外部ネジ山付きネジ202の外径は、約2.5ミリメートル(mm)であるけれども、より大きなサイズおよびより小さなサイズも想定される。例示的な場合には、多面体200は、約4mmの長さ(長手方向中心軸線220に対して平行に測定した際に)とされた面を形成してもよい。例示的な骨マーカーの全長は、境界値を含めて10mm~15mmであってもよく、一例では、12mmであってもよい。
【0083】
図19は、別の例示的な骨マーカー126に関する斜視側面図を示している。特に、図19の左側部分は、側面図を示しており、図19の右側部分は、平面図を示している。図19の例示的な骨マーカー126も、同様に、多面体200と、外部ネジ山付きネジ202と、を含む。図19の骨マーカー126は、フランジ無しで示されているけれども、それでもなお、所望に応じてフランジと一緒に使用されてもよい。例示的な多面体200は、頂面または上面206と、外向き面208および外向き面210などの複数の外向き面と、を規定している。図19の例では、多面体200は、六面体である。図19で見えている外向き面208、210などの外向き面のそれぞれには、各面上に、基準パターンが配置されている。
【0084】
この例では、外部ネジ山付きネジ202は、六面体の、頂面206とは反対側に位置した底面から、突出している。別の言い方をすれば、外部ネジ山付きネジ202の長手方向中心軸線は、六面体の底部を通して延びている。上記と同様に、例示的な場合には、多面体200と外部ネジ山付きネジ202とは、金属材料(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン)からなる連続部材などの一体型構造とされている。例示的な外部ネジ山付きネジ202は、セルフドリリングネジまたはセルフタッピングネジである。再び上記と同様に、図19の骨マーカー126は、比較的小さな対象物であり、一例では、外部ネジ山付きネジ202の外径は、約2.5ミリメートル(mm)であるけれども、より大きなサイズおよびより小さなサイズも想定される。例示的な場合には、多面体200は、約4mmの長さ(長手方向中心軸線220に対して平行に測定した際に)とされた面を形成してもよい。例示的な骨マーカーの全長は、境界値を含めて10mm~15mmであってもよく、一例では、12mmであってもよい。
【0085】
図19に示す例では、六面体は、切欠1900、1902、1904、1906などの、下側コーナーの切欠と関連付けられてもよい。各切欠は、閉塞した底部と、開放した頂部と、切欠軸線と、を規定してもよい。図示の例では、切欠軸線どうしは、互いに平行であってもよく、かつ、外部ネジ山付きネジ202の中心軸線(具体的には図示していない)に対して平行であってもよい。切欠は、図19の骨マーカー126に対して回転設置力が印加される位置となるよう、設置ツール(具体的には図示していない)によって使用されてもよい。さらに、上記と同様に、頂面206は、内部に配置された保持特徴(図19では具体的には図示していない)を有した保持穴230に対して関連してもよく、保持特徴は、上述した任意の様々な形態とされる。
【0086】
ここまでに説明した様々な例示的な骨マーカーでは、フランジ(存在する場合)は、多面体に対して、さらにその多面体から突出した外部ネジ山付きネジに対して、別体とされて別個とされた構成要素として説明されている。しかしながら、なおも更なる例では、フランジは、多面体と外部ネジ山付きネジとに対する一体的構成要素であってもよく、例示的な場合には、フランジは、多面体と外部ネジ山付きネジとに対して一体的であってもよい。
【0087】
図8は、例示的な骨マーカー126に関する斜視図を示している。特に、図8における例示的な骨マーカー126は、多面体200と、外部ネジ山付きネジ202と、を含む。上記の例と同様に、多面体200は、頂面206を規定しており、頂面206は、ネジ山の形態とされた例示的な保持特徴234を含む保持穴230を、内部に規定している。さらに上記と同様に、外部ネジ山付きネジ202は、多面体200の、頂面206とは反対側に位置した面から、突出している。さらに上記と同様に、フランジ204は、多面体200と外部ネジ山付きネジ202の近位端との交差部分に対して近接して、配置されている。しかしながら、図8の例では、フランジ204は、外部ネジ山付きネジ202に対して一体的構成要素とされている。よって、フランジ204は、多面体と外部ネジ山付きネジ202とに対して、剛直に結合されている。場合によっては、多面体200と、フランジ204と、外部ネジ山付きネジ202とは、金属材料(例えば、アルミニウム)からなる連続部材などの一体型構造とされている。例えば、多面体200と、フランジ204と、外部ネジ山付きネジ202とは、型内で同時に鋳造されてもよい、あるいは、アルミニウムからなる単一部材から切削加工されてもよい。それでもなお、例示的なフランジ204は、フランジ204の直下で骨に対して組織を捕捉または拘束することで、多面体200に関連した基準パターンを破片および/または組織が遮蔽してしまうことの発生を低減することができる。図8の例示的な骨マーカー126は、直下に位置した骨が比較的平坦である時に、あるいは、直下に位置した骨が取付点から離間する向きに傾斜している時に、有益な使用を見出すことができる。例えば、図8の骨マーカー126は、骨マーカー126が骨盤の前上腸骨棘上に配置された時に、大腿骨寛骨臼衝突の処置に際して有益な使用を見出すことができる。
【0088】
その上、図8の例示的なフランジ204は、骨マーカー126を骨内に設置するために回転駆動力が印加される位置であってもよい。その目的のために、図8の例示的なフランジ204は、フランジ204の面上に、複数の凹所すなわち複数の切欠800を規定している。よって、設置ツール(図示せず)は、多面体200上へと嵌め込まれるように、さらに、切欠800に対して相互作用するように、設計されて構築されてもよい。切欠800のところで設置のための回転駆動力を印加することにより、多面体200の外向き面上における基準パターンが損傷を受けてしまう可能性が、低減される。しかしながら、切欠800のところで設置のための回転駆動力を印加することは、また、設置ツールの遠位端の直径を増大させる可能性がある。切欠800は、骨マーカー126の設置および回収のための回転駆動力を印加するために設置ツールが結合し得るような、フランジ204に関連した特徴に関する一例に過ぎず、切欠800は、フランジ204上における、フランジ204の外面に対して交差しない位置に配置された、任意の適切な形状の一つまたは複数のザグリ穴などの、また、フランジ204上における、フランジ204の外面に対して交差しない位置に配置された、任意の適切な形状の一つまたは複数の貫通穴などの、任意の適切な形態をとってもよい。
【0089】
図8の例では、多面体200は、外部ネジ山付きネジ202に対して、およびフランジ204に対して、別個の構成要素であってもよい。特に、図8の例示的な骨マーカー126は、フランジ204から近位向きに延びたチューブまたはニップルを含んでもよく、その場合、ニップルの内面が、保持穴230および保持特徴234を形成する。よって、ニップルと、フランジ204と、外部ネジ山付きネジ202とは、一体的な構成要素(例えば、金属製)であってもよく、他方、多面体200は、骨マーカー126の組立時にニップル上へと嵌め込まれるような、別体とされて別個とされた構成要素(例えば、プラスチックなどのポリマー材料)であってもよい。フランジ204を、設置のための回転駆動力が印加される機械的構造として使用することにより、多面体を、異なる材料から作製することができ、可能であれば、より安価な異なる構築技法を使用して作製することができる。
【0090】
図9は、例示的な骨マーカー126に関する斜視図を示している。特に、図9における例示的な骨マーカー126は、多面体200と、外部ネジ山付きネジ202と、を含む。上記の例と同様に、多面体200は、頂面206を規定しており、頂面206は、ネジ山の形態とされた例示的な保持特徴234を含む保持穴230を、内部に規定している。さらに上記と同様に、外部ネジ山付きネジ202は、多面体200の、頂面206とは反対側に位置した面から、突出している。さらに上記と同様に、フランジ204は、外部ネジ山付きネジ202の近位端上における多面体200の交差部分に対して近接して、配置されている。図9の例では、フランジ204は、骨マーカー126に対して一体的構成要素とされている。よって、フランジ204は、多面体と外部ネジ山付きネジ202とに対して、剛直に結合されている。場合によっては、多面体200と、フランジ204と、外部ネジ山付きネジ202とは、金属材料(例えば、アルミニウム)からなる連続部材などの一体型構造とされている。上記と同様に、例示的なフランジ204は、フランジ204の直下で骨に対して組織を捕捉または拘束することで、多面体200に関連した基準パターンを破片および/または組織が遮蔽してしまうことの発生を低減することができる。図8の骨マーカーと同様に、図9の例示的な骨マーカー126は、直下に位置した骨が比較的平坦である時に、あるいは、直下に位置した骨が取付点から離間する向きに傾斜している時に、有益な使用を見出すことができる。
【0091】
その上、図9の例示的なフランジ204は、骨マーカー126を骨内に設置するために回転駆動力が印加される位置であってもよい。その目的のために、図9の例示的なフランジ204の外面は、六角形を規定している。よって、設置ツール(図示せず)は、多面体200上へと嵌め込まれるように、さらに、六角形の外面900上へと嵌め込まれてその外面900に対して相互作用するように、設計されて構築されてもよい。六角形の外面900のところで、設置のための回転駆動力を印加することにより、多面体200の外向き面上における基準パターンが損傷を受けてしまう可能性が、低減される。しかしながら、六角形の外面900のところで、設置のための回転駆動力を印加することは、また、設置チューブの遠位端の直径を増大させる可能性がある。六角形の外面900は、骨マーカー126の設置および回収のための回転駆動力を印加するために設置ツールが結合し得る特徴に関する一例に過ぎない。
【0092】
図9の例においても、多面体200は、外部ネジ山付きネジ202に対して、およびフランジ204に対して、別個の構成要素であってもよい。特に、図9の例示的な骨マーカー126は、フランジ204から近位向きに延びたチューブまたはニップルを含んでもよく、その場合、ニップルの内面が、保持穴230および保持特徴234を形成する。ニップルと、フランジ204と、外部ネジ山付きネジ202とは、一体的な構成要素(例えば、金属製)であってもよく、他方、多面体200は、別体とされて別個とされた構成要素(例えば、プラスチックなどのポリマー材料)であってもよい。よって、この場合にも、フランジ204を、設置のための回転駆動力が印加される機械的構造として使用することにより、多面体を、異なる材料から作製することができる。ここで、本明細書では、照準器という例示的な文脈において、基準パターンを遮蔽してしまう破片および/または組織を低減するための方法ならびにシステムという他の例について説明する。
【0093】
図10は、例示的な照準器124の遠位端に関する斜視図を示している。特に、図10は、例示的な照準器124が、遠位端1002と、近位端(見えていない)と、長手方向中心軸線1004と、を規定している、長尺シャフト1000を含むことを示している。例示的な照準器124では、遠位端1002は、配置時および穿孔時に骨に対して照準器124を所定位置に保持することを補助するよう、尖鋭化されているけれども、他の場合には、尖鋭化が、省略されてもよい。手術コントローラ118(図1)が、関節鏡108(図1)およびカメラヘッド110(図1)が観察する画像内で見えている骨に対しての、照準器124の位置を決定するために、例示的な照準器124は、照準器124に関連した複数の基準パターンを含む。より詳細には、例示的な照準器124は、遠位端1002に対して近接して配置された基準面1006を規定している。基準面1006は、異なる軸線方向位置のところにおいて、上面上に複数の基準パターンを含む。例えば、基準面1006は、遠位基準パターン1008と、中央基準パターン1010と、近位基準パターン1012と、を含む。遠位基準パターン1008は、長手方向中心軸線1004に沿った遠位軸線方向位置のところに位置している。中央基準パターン1010は、遠位基準パターン1008よりも近位のところに配置されている。近位基準パターン1012は、中央基準パターン1010よりも近位のところに配置されている。三つの基準パターンが、基準面1006に関連して示されているけれども、関節鏡視下手術時に破片および/または組織が基準パターンを遮蔽してしまうことの発生を低減するに際しては、二つ以上の基準パターンが、基準面1006上に実装されてもよい。場合によっては、基準面1006は、基準パターンが上面上に形成されたまたは取り付けられた平面を規定している。基準面1006が平面を規定していることにより、基準パターンの向きを決定するに際して手術コントローラ118が依存し得る追加的な直線特徴が提供される。しかしながら、なおも更なる他の場合には、基準面は、平面的である必要はなく、他の適切な形状(例えば、円筒形)をとってもよい。
【0094】
いくつかの手術では、基準面1006と関節鏡108(図1)の視野角との間における関係は、基準面1006が常に関節鏡108の視野内に位置しているようなものであってもよい。しかしながら、他の手術(例えば、ACL置換)では、関節鏡108の視野に対しての、照準器124の回転の向きが保証されない場合がある。よって、なおも更なる場合には、例示的な照準器124は、追加的な基準面を含み、この場合、追加的な基準面のそれぞれが、同様に、複数の基準パターンを有している。特に、図10は、遠位基準パターン1016と中央基準パターン1018と近位基準パターン1020とを含む別の基準面1014を、示している。例示的な照準器124は、四つの基準面を含むけれども、図10の図では、基準面1006、1014だけしか、見えていない。四つの基準面が実装されている時には、基準面は、隣接した基準面が規定する平面に対して垂直な平面を、規定してもよい。例えば、基準面1006は、基準面1014が規定する平面に対して垂直な平面を、規定している。例示的な四つの基準面は、長尺シャフト1000の外面まわりに、外面を形成しており、これにより、長手方向中心軸線1004まわりに、外面を形成している。
【0095】
長手方向中心軸線1004まわりに外面を形成する四つの基準面を有することは、一例に過ぎない。他の場合には、三つ以下の基準面が使用されてもよい。例えば、三つの基準面が使用されてもよく、それら三つの基準面は、長手方向中心軸線1004まわりに外面を形成してもよい。なおもさらに、基準面は、長手方向中心軸線1004を完全に取り囲む外面を形成する必要はない。例えば、関節鏡の視野が、長手方向中心軸線1004に対して一定範囲の回転方向であることが比較的確実であり得る場合には、一つまたは複数の基準面は、また、それぞれ対応した基準パターンは、省略されてもよい(例えば、対象物の背面上における基準面)。
【0096】
例示的な照準器124では、基準パターン1008は、基準パターン1016に対して同じ軸線方向位置に位置しているけれども、長手方向中心軸線1004まわりでは、異なる径方向位置に位置している。図10では見えていない基準面に関して、遠位基準パターンは、同様に、基準パターン1008、1016に対して同じ軸線方向位置に位置し得るけれども、この場合にも、それぞれ、長手方向中心軸線1004まわりでは、別個の径方向位置に位置し得る。同様に、基準パターン1010は、基準パターン1018に対して同じ軸線方向位置に位置しているけれども、長手方向中心軸線1004まわりでは、異なる径方向位置に位置している。見えていない基準面上における中央基準パターンは、同じ軸線方向位置に位置してもよい。基準パターン1012は、基準パターン1020に対して同じ軸線方向位置に位置しているけれども、長手方向中心軸線1004まわりでは、異なる径方向位置に位置している。見えていない基準面上における近位基準パターンは、同じ軸線方向位置に位置してもよい。なおも更なる他の例では、基準パターンの軸線方向位置どうしは、基準面どうしの間にわたって、同じである必要はない。
【0097】
なおも図10を参照すると、例示的な照準器124の場合、基準面(例えば、1006、1014)は、任意の適切な態様で、構築され得るとともに、長尺シャフト1000に対して関連付けられてもよい。例えば、場合によっては、基準面およびそれぞれ対応した基準パターンは、長尺シャフト1000に対して一体的であってもよい。他の場合には、基準面およびそれぞれ対応した基準パターンは、長尺シャフト1000上へと嵌め込まれたような、別体とされて別個とされた構成要素であってもよい。例えば、基準面およびそれぞれ対応した基準パターンは、貫通穴を規定した基準アセンブリの一部であってもよい。基準アセンブリは、長尺シャフト1000上へと嵌め込まれ得るものであって、その場合、貫通穴の内径は、長尺シャフト1000の外面に対して摩擦嵌合を形成するように、設計されて構築される。よって、基準アセンブリは、ポリマー材料(例えば、プラスチック)から作製された使い捨て部材であってもよく、下方に位置した照準器124は、金属製であってもよく、そのため、オートクレーブによって滅菌されてもよい。
【0098】
照準器124に関する動作情報は、関節鏡108(図1)およびカメラヘッド110(図1)が取り込んだ画像内における他の対象物に対しての、長手方向中心軸線1004の向きである。すなわち、手術コントローラ118(図1)が、関節鏡108の視野の三次元座標空間内における長手方向中心軸線1004の向きを決定し得る場合には、更なる空間的関係は、不要であり得る。例えば、手術コントローラ118が、長手方向中心軸線1004の向きを知った後には、他の追跡対象物(例えば、骨)に対しての照準器124の向きを決定することができる。このことから、照準器124の場合、遠位先端1022の正確な位置は、基準パターンに対して規定される必要はない。その理由のため、基準パターンは、基準面に沿って明確である必要はなく、また、基準パターンは、基準面どうしの間で明確である必要もない。別の言い方をすれば、長手方向中心軸線1004の向きだけにしか興味がない時には、すべての基準パターンは、図10に示すように、同一であってもよい。タッチプローブ122(図2)などの、他の医療器具の場合には、遠位先端の正確な位置を知る必要がある場合がある。
【0099】
図11は、例示的なタッチプローブ122の遠位端に関する斜視図を示している。特に、図11は、例示的なタッチプローブ122が、長尺シャフト1100と、近位端(見えていない)と、長手方向中心軸線1102と、を含むことを、示している。例示的なタッチプローブ122は、プローブ軸線1108を有したプローブ端部1106を含む遠位端1104を有している。例示的な場合には、プローブ端部1106は、円錐台を規定しており、この円錐台は、タッチ面1110を形成するように丸められた細い遠位端と、長手方向中心軸線1102に対してより近くに位置した広い近位端と、を有している。例示的な場合には、プローブ軸線1108は、長手方向中心軸線1102に対して鋭角を形成しており、この鋭角は、タッチプローブ122の遠位端1104を超えて測定されている。使用時には、タッチ面1110を、骨に対して接触させることで、位置情報が手術コントローラ118(図1)に対して提供される、例えば、三次元骨モデルを骨に対して登録するためのデータが提供されたり、術中のトンネル経路変更時に、修正済みトンネル入口位置および修正済みトンネル出口位置が提供されたり、する。
【0100】
手術コントローラ118(図1)が、関節鏡108(図1)およびカメラヘッド110(図1)が観察する画像内において見えている骨に対しての、タッチ面1110の位置を決定するために、例示的なタッチプローブ122は、タッチプローブ122に関連した複数の基準パターンを含む。より詳細には、例示的なタッチプローブ122は、タッチ面1110に対して近接して配置された基準面1112を規定している。基準面1112は、長手方向中心軸線1102に関して異なる軸線方向位置のところにおいて、上面上に複数の基準パターンを含む。例えば、基準面1112は、遠位基準パターン1114と、中央基準パターン1116と、近位基準パターン1118と、を含む。遠位基準パターン1114は、長手方向中心軸線1102に沿った遠位軸線方向位置のところに位置している。中央基準パターン1116は、遠位基準パターン1114よりも近位のところに配置されている。近位基準パターン1118は、中央基準パターン1116よりも近位のところに配置されている。三つの基準パターンが、基準面1112に関連して示されているけれども、関節鏡視下手術時に破片および/または組織が基準パターンを遮蔽してしまうことの発生を低減するに際しては、二つ以上の基準パターンが、基準面1112上に実装されてもよい。場合によっては、基準面1112は、基準パターンが上面上に形成されたまたは取り付けられた平面を規定している。基準面1112が平面を規定していることにより、基準パターンの向きを決定するに際して手術コントローラ118が依存し得る追加的な直線特徴が提供される。しかしながら、なおも更なる他の場合には、基準面は、平面的である必要はなく、他の適切な形状(例えば、円筒形)をとってもよい。
【0101】
いくつかの手術では、基準面1112と関節鏡108(図1)の視野角との間における関係は、基準面1112が常に関節鏡108の視野内に位置しているようなものであってもよい。しかしながら、より可能性が高いことは、タッチプローブ122の回転方向が術中の処置中に大きく変化し得ることである。よって、なおも更なる他の場合には、タッチプローブ122は、追加的な基準面を含み、この場合、追加的な基準面のそれぞれが、同様に、複数の基準パターンを有している。特に、図11は、遠位基準パターン1122と中央基準パターン1124と近位基準パターン1126とを含む別の基準面1120を、示している。例示的なタッチプローブ122は、三つの基準面を含むけれども、図11の図では、基準面1112、1120だけしか、見えていない。例示的な三つの基準面は、長手方向中心軸線1102まわりに、外面を形成している。他の場合には、基準面は、長手方向中心軸線1102を完全に取り囲む外面を形成する必要はない。
【0102】
例示的なタッチプローブ122では、基準パターン1114は、基準パターン1122に対して同じ軸線方向位置に位置しているけれども、長手方向中心軸線1102まわりでは、異なる径方向位置に位置している。図11では見えていない基準面に関して、遠位基準パターンは、同様に、基準パターン1114、1122に対して同じ軸線方向位置に位置し得るけれども、この場合にも、それぞれ、長手方向中心軸線1102まわりでは、別個の径方向位置に位置し得る。同様に、基準パターン1116は、基準パターン1124に対して同じ軸線方向位置に位置しているけれども、長手方向中心軸線1102まわりでは、異なる径方向位置に位置している。見えていない基準面上における中央基準パターンは、同じ軸線方向位置に位置してもよい。基準パターン1118は、基準パターン1126に対して同じ軸線方向位置に位置しているけれども、長手方向中心軸線1102まわりでは、異なる径方向位置に位置している。見えていない基準面上における近位基準パターンは、同じ軸線方向位置に位置してもよい。なおも更なる他の例では、基準パターンの軸線方向位置どうしは、基準面どうしの間にわたって、同じである必要はない。
【0103】
タッチプローブ122に関する動作情報は、関節鏡108(図1)およびカメラヘッド110(図1)が取り込んだ画像内における他の対象物に対しての、タッチ面1110の位置である。長手方向中心軸線1102からのタッチ面1110のオフセット(長手方向中心軸線1102に対して垂直に測定した際の、オフセット)のために、各基準パターンとタッチ面1110との間の直線距離どうしは、相違している。例えば、基準パターン1118とタッチ面1110との間の距離は、基準パターン1114とタッチ面1110との間の距離と比較して、より大きい。同様に、基準パターン1126とタッチ面1110との間の距離は、基準パターン1122とタッチ面1110との間の距離と比較して、より大きい。なおもさらに、基準パターン1126とタッチ面1110との間の直線距離は、基準パターン1118とタッチ面1110との間の直線距離と比較して、相違している。各基準パターンとタッチ面1110との間の距離が相違していることのために、実装された各基準パターンは、タッチプローブ122によって実装されたすべての他の基準パターンに対して、別個でありかつ一意的であってもよい。よって、手術コントローラ118(図1)は、受領した画像内で見えている基準パターンの少なくとも一つを読み取ることにより、関節鏡108の視野の三次元座標空間内におけるタッチ面1110の位置を決定する。破片および/または組織が、一つまたは複数の基準パターンを遮っている時には、手術コントローラ118は、それでもなお、まだ見えている一つまたは複数の基準パターンに基づいて、タッチ面1110の位置を決定することができる。本明細書では、画像内に二つ以上の基準パターンが見えている時に、手術コントローラが特定の基準パターンをどのように選択するかに関する一例について、以下においてより詳細に説明する。
【0104】
図12は、例示的なタッチプローブ122に関する断面図を示しており、図12における断面は、長手方向中心軸線1102に沿って、基準面1112の中央を通して、見たものである。特に、図12で見えているものは、長尺シャフト1100と、プローブ端部1106と、タッチ面1110と、プローブ軸線1108と、基準面1112と、遠位基準パターン1114と、中央基準パターン1116と、近位基準パターン1118と、である。例示的なタッチプローブ122では、三つの基準面が使用されているため、断面図では、基準面1112だけが示されている。
【0105】
例示的なタッチプローブ122は、少なくとも二つの構成要素を含む、すなわち、少なくとも、長尺シャフト1100と、プローブアセンブリ1200と、を含む。特に、例示的な長尺シャフト1100は、長手方向中心軸線1102に沿って突出したネジ山付きステム1202を規定している。さらに、長尺シャフト1100は、長尺シャフト1100の外径よりも大きな外径を有したフランジ領域1204を、規定している。フランジ領域1204は、ネジ山付きステム1202の外径とフランジ領域1204の外径との間に配置された肩部1206を、規定している。プローブアセンブリ1200と肩部1206との間のインターフェースを使用することにより、プローブアセンブリ1200をネジ山付きステム1202から螺着解除するのに必要な力を増大させてもよく、これにより、術中の処置中、プローブアセンブリ1200が緩んでしまう可能性を低減することができる。
【0106】
プローブ端部1106は、タッチプローブ122から遠位向きに測定した際に鋭角αで、長手方向中心軸線1102から離間する向きに延びている。その上、タッチ面1110は、長手方向中心軸線1102から垂直に測定した際にオフセットOを有している。そして、タッチ面1110は、基準面1112から、オフセットO(この場合にも、長手方向中心軸線1102から垂直に測定される)を有している。様々な例では、オフセットO、Oは、プローブアセンブリ1200が切欠領域1208を規定するように、設計されて構築されている。切欠領域1208は、外科医が手術野内における様々な対象物の「周囲」へと手を伸ばすことを可能としてもよく、それでもなお、骨面に対して接触することを可能としてもよい。一例では、オフセットOは、約7mmとされ、オフセットOは、約5mmとされ、フランジ領域1205の外径は、約10mmとされている。よって、切欠領域1208は、プローブ端部1106の変位がフランジ領域1204の外径を約2mmだけ超えるように維持しながら、約5mmのオフセットOを可能とする。
【0107】
図12の例示的なタッチプローブ122では、プローブアセンブリ1200は、ネジ山付きステム1202の外部ネジ山に対して結合する内部ネジ山を規定したザグリ穴を有している。しかしながら、機械的構成は、一例に過ぎない。他の例は、プローブアセンブリ1200が、近位向きに突出したネジ山付きステムを規定することと、長尺シャフト1100が、内部ネジ山を有したザグリ穴を規定することと、そのザグリ穴の内部に、プローブアセンブリのネジ山付きステムが結合されることと、を含む。なおもさらに、プローブアセンブリ1200は、それ自体が、二つの部材からなる構成要素であってもよく、その場合、プローブ端部1106は、長尺シャフトに対して結合されるネジ山付きステムを規定し、基準面は、ネジ山付きステム上へと嵌め込まれる貫通穴を有した部材である。別の例は、先端を含む遠位部分が縮径された一部材型シャフトである。三角形の基準セクションが、縮径されたセクション上へとスライドされ、シャフトに対して回転可能にキー結合される。基準から遠位向きに突出した縮径セクションは、最終的には角度αで曲げられる。多くの変形例が可能である。
【0108】
図13は、プローブアセンブリ1200を通して、プローブ端部1106に向けて遠位向きに見た断面図を示している。特に、図13は、基準面1112と基準面1120と第三基準面1300とを例示的に含むプローブアセンブリ1200の断面を、示している。この例では、基準面1112、1120、1300は、長手方向中心軸線1102(図13の図では、長手方向中心軸線1102は、ページがなす平面に対して垂直であるため、点として示されている)まわりに、外面を形成している。形成される外面は、基準面どうしの間における丸められたコーナーすなわち湾曲したコーナーにもかかわらず、三角形である。断面では、基準面1120上における基準パターンの一部も、また、見えており、この一部は、基準パターン1114、1116、または1118のいずれとすることもできる。さらに断面では、基準面1120上における基準パターンの一部も、また、見えており、この一部は、基準パターン1122、1124、または1126のいずれとすることもできる。例示的な場合には、基準面1300は、同様に、三つの基準パターンを有することとなり、図13の図は、それら三つの基準パターンのいずれとすることもできる。
【0109】
例示的な三角形プローブアセンブリ1200では、三角形部分の断面は、幾何学的中心1302を規定している。別の言い方をすれば、プローブアセンブリ1200の三角形部分は、長手方向中心軸線を規定しており、この長手方向中心軸線は、図13の図では、ページがなす平面に対して垂直であるため、幾何学的中心1302として示されている。例示的な場合には、幾何学的中心1302は、長手方向中心軸線1102から、非ゼロのオフセットを有している。別の言い方をすれば、基準面1112は、幾何学的中心1302と比較して、長手方向中心軸線1102に対してより近くに位置しており、この場合、両方の距離は、長手方向中心軸線1102に対して垂直に測定されたものである。長手方向中心軸線1102に対する基準面1112の関係により、およびオフセットOにより、切欠領域1208(図12)が形成される。
【0110】
例示的な、骨マーカー126と、照準器124と、タッチプローブ122と、のすべては、複数の基準パターンを有している。基準パターンは、対象物の長手方向中心軸線まわりにおいて、径方向に広がっており、照準器124およびタッチプローブ122の場合には、基準パターンは、長手方向中心軸線に沿って、軸線方向に広がっている。目的は、手術時に、破片および/または組織が基準パターンのいくつかを遮蔽してしまった場合であってさえ、少なくとも一つの基準パターンが見えているようにすることである。しかしながら、多くの実例では、手術コントローラ118(図1)は、関節鏡108(図1)およびカメラヘッド110(図1)が取り込んだ画像内における複数の基準パターンを見ることができる。より詳細には、手術コントローラ118は、手術時に関節鏡108および付属カメラヘッド110が観察する画像でありかつ複数の基準パターンを有した器具に関する画像を含む画像を受領する。その後、手術コントローラ118は、画像内で見えている複数の基準パターンの中から非遮蔽基準を選択し、この非遮蔽基準パターンに基づいて、手術部位内における器具の位置を示す値を計算する。位置を示す値には、様々な形態をとり得る。骨マーカー126の場合には、位置を示す値は、骨マーカー126に対して予め登録された三次元骨モデルに関するアンカー位置をなすような、関節鏡の視野の三次元座標空間内における位置であってもよい。照準器124の場合には、位置を示す値は、照準器124の長手方向中心軸線の向きであってもよい。タッチプローブ122の場合には、位置を示す値は、関節鏡の視野の三次元座標空間内におけるタッチ面1110の位置であってもよい。
【0111】
位置を示す計算された正確な値にかかわらず、例示的なシステムでは、手術コントローラ118は、その後、位置を示す値に基づいて術中タスクを実行する。術中タスクは、多くの形態をとってもよい。例えば、手術コントローラは、画像内で見えている骨上の位置でありかつタッチプローブ122が選択したまたは指定した位置を、登録してもよい。別の例として、手術コントローラ118は、位置を示す値を使用することにより、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル入口を、あるいは、骨を貫通したトンネルに関する修正済みトンネル出口の位置を、選択してもよい。照準器124の長手方向中心軸線の形態とされたような、位置を示す値を使用することにより、画像内で見えている骨に対しての、照準器の遠位端の位置が決定されてもよい、および/または、骨を貫通した計画されたトンネルの中心軸線に対しての、照準器124の長手方向中心軸線の相対的な向きが決定されてもよい。
【0112】
図14は、受領した画像内に二つ以上の基準パターンが見えている時に基準パターンを選択することについて説明するために、関節鏡108と複数の基準パターンとに関する側面図を示している。特に、図14は、基準パターン1402、1404、および1406を含む基準面1400を、示している。図は、側面図であるため、図14では、基準パターン1402、1404、および1406に関する実際のパターンは、見えていない。各基準パターン1402、1404、および1406は、それぞれ法線ベクトル1408、1410、および1412を規定している。それぞれの場合において、「法線ベクトル」とは、基準パターンの外面に対して垂直なベクトルであり、場合によっては、下方に位置した基準面1400に対して垂直なベクトルである。例示的な関節鏡108は、例示的な矢印1414、1416によって囲まれた視野角を規定している。さらに、例示的な関節鏡108は、視野角の範囲を規定するベクトルをなす視野方向1418を規定している。図14の例では、基準パターン1402は、関節鏡108の視野角内では全く見えないけれども、基準パターン1404、1406は、視野角内で見えている。
【0113】
問題は、更なる処理を行う対象として、非遮蔽基準パターン1404または1406のいずれを選択するかである。例示的なシステムでは、手術コントローラ118は、関節鏡108の視野方向1418に対する同軸から最も近い法線ベクトルを有した非遮蔽基準パターンを選択する。図14の例では、基準パターン1404の法線ベクトル1410が、視野方向1418に対する同軸から最も近いため、基準パターン1404、1406の両方が見えているけれども、手術コントローラ118は、進めるべき一方を選択する。例示的な図14は、二次元的であって、ページがなす平面に過ぎない。しかしながら、実際には、関節鏡108の視野方向1418は、見えている基準パターンの法線ベクトルに対して、三次元的に変化することがある。視野方向に最も近い法線ベクトルを有した基準パターンを選択することは、基準パターンの向きが、よって下方に位置した対象物の向きが、例えば、小さな鋭角(例えば、視野角と法線ベクトルとの間の角度が大きい)で観察した基準パターンと比較して、不確実性がより少ないことを意味し得る。
【0114】
図15は、少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。特に、本方法は、開始され(ブロック1500)、多面体でありかつこの多面体の少なくとも三つの外向き面のそれぞれ上に基準パターンを有している多面体と、多面体から遠位向きに延びた外部ネジ山付きネジと、多面体と外部ネジ山付きネジとの交差部分に対して近接したフランジと、を含む骨マーカーを、設置ツールの遠位端上に保持すること(ブロック1502)と、外部ネジ山付きネジの遠位端を、マーカー位置のところで、骨に対して位置決めすること(ブロック1504)と、設置ツールを介して、外部ネジ山付きネジを、骨内へと螺着すること(ブロック1506)と、フランジの直下で骨に対して組織を拘束すること(ブロック1508)と、を含む。その後、例示的な方法は、終了する(ブロック1510)。
【0115】
図16は、少なくともいくつかの実施形態による方法を示している。特に、図16の例示的な方法は、少なくとも部分的には、コンピュータシステム内における手術コントローラ118(図1)などのプロセッサによって実行される命令により、実装され得る。例示的な方法は、開始され(ブロック1600)、手術時に内視鏡および付属カメラヘッドが観察する画像でありかつ器具に関連した複数の基準パターンを有した器具に関する画像を含む画像を受領すること(1602)と、画像内で見えている複数の基準パターンの中から非遮蔽基準パターンを選択すること(1604)と、非遮蔽基準パターンに基づいて、手術部位内における器具の位置を示す値を計算すること(ブロック1606)と、位置を示す値に基づいて、術中タスクを実行すること(ブロック1608)と、を含む。その後、例示的な方法は、終了し(ブロック1610)、次なる画像セットを受領して再開されることとなる。
【0116】
図17は、例示的なコンピュータシステム1700を示している。一例では、コンピュータシステム1700は、手術コントローラ118、手術室内のタブレットデバイス、または、本明細書で説明する任意のもしくはすべての様々な方法を実装する任意の他のシステム、に対応してもよい。コンピュータシステム1700は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、および/またはエクストラネット(例えば、デバイスカート102ネットワーク)、あるいは特定の時には、インターネット(例えば、手術で使用されていない時)内で、他のコンピュータシステムに対して接続(例えば、ネットワーク接続)されてもよい。コンピュータシステム1700は、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、あるいは、そのデバイスによって実行されるべきアクションを指定する一連の命令(シーケンシャルまたはその他)を実行可能な任意のデバイス、であってもよい。さらに、単一のコンピュータシステムのみが図示されているけれども、「コンピュータ」という用語は、また、本明細書で説明する任意の一つもしくは複数の方法を実行するための一組の(または、複数組の)命令を個別的にまたは共同で実行する複数のコンピュータからなる任意の集合体も含むように解釈されるものとする。
【0117】
コンピュータシステム1700は、処理デバイス1702と、メインメモリ1704(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)などの動的ランダムアクセスメモリ(DRAM))と、静的メモリ1706(例えば、フラッシュメモリ、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM))と、データストレージデバイス1708と、を含み、これらは、バス1710を介して互いに通信する。
【0118】
処理デバイス1702は、マイクロプロセッサ、中央処理装置、もしくは同種のものなどの、一つまたは複数の汎用処理デバイスを表している。より詳細には、処理デバイス1702は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または、他の命令セットを実装するプロセッサ、もしくは命令セットの組合せを実装するプロセッサ、であってもよい。処理デバイス1702は、また、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ、もしくは同種のものなどの、一つまたは複数の特定用途向け処理デバイスであってもよい。処理デバイス1702は、本明細書で説明する任意の動作およびステップを実行するための命令を実行するように構成されている。特定の命令によってプログラムされた後には、処理デバイス1702は、ひいてはコンピュータシステム1700の全体は、手術コントローラ118などの特定用途向けデバイスとなる。
【0119】
コンピュータシステム1700は、任意の適切なネットワーク(例えば、デバイスカート102ネットワーク)と通信するためのネットワークインターフェースデバイス1712を、さらに含んでもよい。コンピュータシステム1700は、また、ビデオディスプレイ1714(例えば、ディスプレイデバイス114)と、一つまたは複数の入力デバイス1716(例えば、マイクロフォン、キーボード、および/またはマウス)と、一つまたは複数のスピーカ1718と、を含んでもよい。一例では、ビデオディスプレイ1714および入力デバイス(単数または複数)1716は、単一の構成要素またはデバイス(例えば、LCDタッチスクリーン)内へと、組み合わせられてもよい。
【0120】
データストレージデバイス1708は、本明細書で説明する方法論もしくは機能の任意の一つまたは複数を具現化する命令1722が格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体1720を含んでもよい。命令1722は、また、コンピュータシステム1700によるその実行時に、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ1704内におよび/または処理デバイス1702内に、存在してもよい。よって、メインメモリ1704および処理デバイス1702も、また、コンピュータ可読媒体を構成している。特定の場合には、命令1722は、ネットワークインターフェースデバイス1712を介して、ネットワーク上で、さらに送信または受信されてもよい。
【0121】
コンピュータ可読ストレージ媒体1720は、例示した例では、単一の媒体であるように示されているけれども、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、一つもしくは複数の命令セットを格納した単一のまたは複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型のデータベース、および/または、関連したキャッシュやサーバ)を含むように解釈されるものとする。また、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、機械による実行のための命令セットを、また、本開示における任意の一つまたは複数の方法論を機械に実行させる命令セットを、格納したり符号化したりまたは担持したりし得る任意の媒体を含むように解釈されるものとする。したがって、「コンピュータ可読ストレージ媒体」という用語は、ソリッドステートメモリ、光学媒体、および磁気媒体を含むがこれらに限定されないように、解釈されるものとする。
【0122】
上記の議論は、本発明の原理および様々な実施形態を例示することを意図している。上記の開示が充分に理解されれば、当業者には、数多くの変形および改変が明らかとなるであろう。以下の特許請求の範囲が、すべてのそのような変形および改変を包含するものと解釈されることが、意図されている。
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【国際調査報告】