(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】抽出イオンビームの角度制御のためのミスマッチ光学系
(51)【国際特許分類】
H01J 27/08 20060101AFI20241029BHJP
H01J 37/08 20060101ALI20241029BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01J27/08
H01J37/08
H01J37/317 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523604
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 US2022044861
(87)【国際公開番号】W WO2023075969
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リハンスキー, アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】シューアー, ジェイ ティ.
(72)【発明者】
【氏名】マハリンガム, スダカー
(72)【発明者】
【氏名】クレイ, ネビン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101DD03
5C101DD18
5C101DD22
5C101DD25
5C101DD29
5C101DD38
(57)【要約】
垂直方向の角度広がりの均一性が改善されたリボンイオンビームを抽出することができるイオン源が開示される。抽出プレートと抽出光学系は、隣接する構成要素間に少なくとも1つの不均一な間隙が存在するように設計されている。不均一な間隙は、抽出されたリボンイオンビームの角度広がりの不均一性を低減させるのに効果的であり得る。具体的には、Z方向に所与の間隙が与えられた場合、低いプラズマ密度を有する領域から抽出されたイオンは、垂直方向の角度広がりが大きくなる可能性がある。この領域における構成要素間のZ方向における間隙が大きいと、垂直方向の角度広がりが、プラズマ密度が高い領域から抽出されたイオンの垂直方向の角度広がりに近くなる可能性がある。不均一な間隙は、平坦な又は曲線状の抽出プレートと、平坦、凸状、又は凹状である電極とを有することによって、生成されてよい。特定の複数の実施形態では、不均一な間隙が、抽出プレートと抑制電極との間に配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、並びに
前記チャンバの外側で前記抽出開口に近接して配置された抑制電極を備える、イオン源であって、前記抽出プレートの外側表面と前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の表面との間の間隙が、幅方向において不均一であり、前記間隙における差は、少なくとも0.3mmである、イオン源。
【請求項2】
プラズマが前記チャンバ内で生成され、前記チャンバ内のプラズマ密度は不均一であり、前記チャンバ内の第1の領域は、第2の領域よりも高いプラズマ密度を有し、前記抽出プレートの前記外側表面と前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面との間の前記間隙は、前記第2の領域付近の前記間隙よりも前記第1の領域付近で小さい、請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記プラズマ密度は、前記抽出開口の縁部においてよりも前記抽出開口の中心において高い、請求項2に記載のイオン源。
【請求項4】
前記抽出プレートの前記外側表面は平坦であり、前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面は凸状である、請求項3に記載のイオン源。
【請求項5】
前記抽出プレートの前記外側表面は凸状であり、前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面は平坦である、請求項3に記載のイオン源。
【請求項6】
前記抽出プレートの前記外側表面は凸状であり、前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面は凸状である、請求項3に記載のイオン源。
【請求項7】
前記プラズマ密度は、前記抽出開口の中心においてよりも前記抽出開口の縁部において高い、請求項2に記載のイオン源。
【請求項8】
前記抽出プレートの前記外側表面は平坦であり、前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面は凹状である、請求項7に記載のイオン源。
【請求項9】
前記抽出プレートの前記外側表面は凹状であり、前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面は平坦又は凹状である、請求項7に記載のイオン源。
【請求項10】
前記プラズマ生成器は間接加熱カソードを備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項11】
プラズマが前記チャンバ内で生成され、前記チャンバ内のプラズマ密度は不均一であり、前記抽出プレートの前記外側表面と前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の前記表面との間の前記間隙は、前記プラズマ密度が最も高くなるところで最も小さい、請求項1に記載のイオン源。
【請求項12】
前記抑制電極が少なくとも1つの更なる電極と前記抽出プレートとの間に配置されるように配置された前記少なくとも1つの更なる電極を更に備え、第2の不均一な間隙が、一組の隣接する電極の間に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項13】
請求項1に記載のイオン源、
質量分析器、及び
プラテンを備える、イオン注入システム。
【請求項14】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、
前記チャンバの外側で前記抽出開口に近接して配置された抑制電極、並びに
前記抑制電極が少なくとも1つの更なる電極と前記抽出プレートとの間に配置されるように配置された前記少なくとも1つの更なる電極を備える、イオン源であって、
幅方向における不均一な間隙が、一組の隣接する電極の間に配置されている、イオン源。
【請求項15】
前記少なくとも1つの更なる電極が接地電極を含み、前記不均一な間隙が前記抑制電極と前記接地電極との間に配置されている、請求項14に記載のイオン源。
【請求項16】
前記接地電極に対向する前記抑制電極の表面が凸状であり、前記抑制電極に対向する前記接地電極の表面が平坦又は凸状である、請求項15に記載のイオン源。
【請求項17】
前記接地電極に対向する前記抑制電極の表面が平坦であり、前記抑制電極に対向する前記接地電極の表面が凸状である、請求項15に記載のイオン源。
【請求項18】
前記少なくとも1つの更なる電極は第2の電極と第3の電極を含み、前記不均一な間隙は、前記抑制電極と前記第2の電極との間、又は前記第2の電極と前記第3の電極との間に配置されている、請求項14に記載のイオン源。
【請求項19】
前記少なくとも1つの更なる電極は、第2の電極、第3の電極、及び第4の電極を含み、前記不均一な間隙は、前記抑制電極と前記第2の電極との間、前記第2の電極と前記第3の電極との間、又は前記第3の電極と前記第4の電極との間に配置されている、請求項14に記載のイオン源。
【請求項20】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、抽出開口を有する抽出プレートであり、前記第1の端部と前記第2の端部との間の方向がX方向であり、前記X方向に垂直な方向がY方向であり、前記抽出開口は、前記Y方向における寸法よりも大きい前記X方向における寸法を有する、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、並びに
前記チャンバの外側で前記抽出開口に近接して配置された抑制電極を備える、イオン源であって、前記抽出プレートの外側表面と前記抽出プレートに対向する前記抑制電極の表面との間の間隙が、X方向において不均一であり、前記間隙における差は、少なくとも0.3mmである、イオン源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月26日に出願された米国特許出願第17/510,996号の優先権を主張し、該米国特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、間接加熱カソード(IHC)イオン源などのイオン源から抽出されるリボンイオンビームの角度広がりを制御するためのシステムを説明する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスは複数の工程を使用して製造される。それらの工程のうちの幾つかは、ワークピースの中にイオンを注入する。様々なイオン源を使用して、イオンを生成することができる。1つのそのような機構は、間接加熱カソード(IHC)イオン源である。IHCイオン源は、カソードの後方に配置されたフィラメントを備える。カソードは、フィラメントよりも正の電圧に維持され得る。フィラメントに電流を流すと、フィラメントから熱電子が放出され、それらの熱電子はより正に帯電したカソードに向けて加速される。これらの熱電子は、カソードを加熱するのに役立ち、次に、カソードにイオン源のチャンバの中へ電子を放出させる。カソードは、チャンバの一端に配置される。反射電極(repeller)が、典型的には、カソードに対向するチャンバの端に配置される。
【0004】
特定の複数の実施形態では、IHCイオン源が、リボンイオンビームを抽出するように構成される。リボンイオンビームの幅は、リボンイオンビームの高さよりもかなり大きい。残念なことに、多くのシステムでは、抽出されたリボンイオンビームの角度広がりが、その幅に沿って均一ではない。例えば、リボンイオンビームの中心付近のビーム角度の範囲は、リボンイオンビームの縁部付近のビーム角度の範囲よりも小さい可能性がある。幾つかの実施形態では、四重極レンズなどのビームライン内の更なる構成要素を利用して、この不均一性を補償しようと試み得る。これらの対策は、ビームラインシステムに更なる複雑さとコストを追加する可能性がある。
【0005】
したがって、イオン源から抽出されているリボンイオンビームの垂直方向の角度広がりの均一性を制御することができるシステムがあれば有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
垂直方向の角度広がりの均一性が改善されたリボンイオンビームを抽出することができるイオン源が開示される。抽出プレートと抽出光学系は、隣接する構成要素間に少なくとも1つの不均一な間隙が存在するように設計されている。不均一な間隙は、抽出されたリボンイオンビームの角度広がりの不均一性を低減させるのに効果的であり得る。具体的には、Z方向に所与の間隙が与えられた場合、低いプラズマ密度を有する領域から抽出されたイオンは、垂直方向の角度広がりが大きくなる可能性がある。この領域における構成要素間のZ方向における間隙が大きいと、垂直方向の角度広がりが、プラズマ密度が高い領域から抽出されたイオンの垂直方向の角度広がりに近くなる可能性がある。不均一な間隙は、平坦な又は曲線状の抽出プレートと、平坦、凸状、又は凹状である電極とを有することによって、生成されてよい。特定の複数の実施形態では、不均一な間隙が、抽出プレートと抑制電極との間に配置される。
【0007】
一実施形態によれば、イオン源が開示される。イオン源は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、複数の壁のうちの1つは、その高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、並びにチャンバの外側で抽出開口に近接して配置された抑制電極を備える。抽出プレートの外側表面と抽出プレートに対向する抑制電極の表面との間の間隙が、幅方向において不均一である。その間隙における差は、少なくとも0.3mmである。幾つかの実施形態では、プラズマがチャンバ内で生成され、チャンバ内のプラズマ密度は不均一である。チャンバ内の第1の領域は、第2の領域よりも高いプラズマ密度を有する。抽出プレートの外側表面と抽出プレートに対向する抑制電極の表面との間の間隙は、第2の領域付近の間隙よりも第1の領域付近で小さい。幾つかの実施形態では、プラズマ密度が、抽出開口の縁部においてよりも抽出開口の中心において高い。特定の複数の実施形態では、抽出プレートの外側表面が平坦であり、抽出プレートに対向する抑制電極の表面が凸状である。特定の複数の実施形態では、抽出プレートの外側表面が凸状であり、抽出プレートに対向する抑制電極の表面が平坦である。特定の複数の実施形態では、抽出プレートの外側表面は凸状であり、抽出プレートに対向する抑制電極の表面が凸状である。幾つかの実施形態では、プラズマ密度が、抽出開口の中心においてよりも抽出開口の縁部において高い。特定の複数の実施形態では、抽出プレートの外側表面が平坦であり、抽出プレートに対向する抑制電極の表面が凹状である。特定の複数の実施形態では、抽出プレートの外側表面が凹状であり、抽出プレートに対向する抑制電極の表面が平坦又は凹状である。幾つかの実施形態では、プラズマ生成器が、間接加熱カソードを備える。幾つかの実施形態では、プラズマがチャンバ内で生成され、チャンバ内のプラズマ密度が不均一である。抽出プレートの外側表面と抽出プレートに対向する抑制電極の表面との間の間隙は、プラズマ密度が最も高くなるところで最も小さい。特定の複数の実施形態では、イオン源が、抑制電極が少なくとも1つの更なる電極と抽出プレートとの間に配置されるように配置された少なくとも1つの更なる電極を備える。第2の不均一な間隙が、一組の隣接する電極の間に配置される。
【0008】
別の一実施形態によれば、イオン注入システムが開示される。イオン注入システムは、上述されたイオン源、質量分析器、及びプラテンを備える。
【0009】
別の一実施形態によれば、イオン源が開示される。イオン源は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、複数の壁のうちの1つは、その高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、チャンバの外側で抽出開口に近接して配置された抑制電極、並びに抑制電極が少なくとも1つの更なる電極と抽出プレートとの間に配置されるように配置された少なくとも1つの更なる電極を備える。幅方向における不均一な間隙が、一組の隣接する電極の間に配置される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの更なる電極が接地電極を含み、不均一な間隙が抑制電極と接地電極との間に配置される。特定の複数の実施形態では、接地電極に対向する抑制電極の表面が凸状であり、抑制電極に対向する接地電極の表面が平坦又は凸状である。特定の複数の実施形態では、接地電極に対向する抑制電極の表面が平坦であり、抑制電極に対向する接地電極の表面が凸状である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの更なる電極が第2の電極と第3の電極を含み、不均一な間隙が、抑制電極と第2の電極との間、又は第2の電極と第3の電極との間に配置される。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの更なる電極が、第2の電極、第3の電極、及び第4の電極を含み、不均一な間隙が、抑制電極と第2の電極との間、第2の電極と第3の電極との間、又は第3の電極と第4の電極との間に配置される。
【0010】
別の一実施形態によれば、イオン源が開示される。イオン源は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、複数の壁のうちの1つは、抽出開口を有する抽出プレートであり、第1の端部と第2の端部との間の方向がX方向であり、X方向に垂直な方向がY方向であり、抽出開口は、Y方向における寸法よりも大きいX方向における寸法を有する、チャンバ、チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、並びにチャンバの外側で抽出開口に近接して配置された抑制電極を備える。抽出プレートの外側表面と抽出プレートに対向する抑制電極の表面との間の間隙が、X方向において不均一である。その間隙における差は、少なくとも0.3mmである。
【0011】
本開示をより良く理解するために、添付の図面が参照される。添付の図面では、同様な要素が同様な数字を用いて参照される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【
図2】
図1のIHCイオン源を使用するイオン注入システムのブロック図である。
【
図3】第2の実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【
図4A】第3の実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【
図4B】第4の実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【
図5】第5の実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【
図6】第6の実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【
図7】第7の実施形態によるIHCイオン源及び抽出光学系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、一実施形態による、垂直方向の角度の均一性が改善されたリボンイオンビームを抽出するために利用され得る、抽出光学系150を有するIHCイオン源10を示す。この実施形態では、IHCイオン源10が、2つの対向する端部及びこれらの端部を接続する壁101を備えるチャンバ100を含む。これらの壁101は、側壁、すなわち、抽出プレート103と抽出プレート103に対向する底壁とを含む。抽出プレート103は、イオンが抽出される抽出開口140を含む。抽出開口140は、高さ方向(Y方向とも呼ばれる)においてよりも幅方向(X方向とも呼ばれる)においてかなり大きくてよい。X方向は、第1の端部104と第2の端部105との間の方向として規定され得る。Y方向は、X方向に垂直である。Z方向は、抽出プレート103の厚さに沿って規定され、リボンイオンビームの移動方向として規定される。例えば、抽出開口140は、幅方向において2インチよりも大きくてよく、高さ方向において0.5インチよりも小さくてよい。更に、抽出開口は任意の形状であってよい。幾つかの実施形態では、抽出開口140が卵型又は矩形状であってよい。他の複数の実施形態では、抽出開口140が不規則な形状を有してよい。全ての実施形態では、より長い寸法が幅と呼ばれ、より短い寸法が高さと呼ばれる。
【0014】
チャンバ100の壁101は、導電性材料(タングステン又は別の高融点金属など)で構築されてよく、互いに電気的に通じていてよい。カソード110が、チャンバ100の第1の端104においてチャンバ100内に配置される。フィラメント160が、カソード110の後方に配置される。フィラメント160は、フィラメント電源165と通じている。フィラメント電源165は、電流をフィラメント160に流すように構成されている。それによって、フィラメント160は熱電子を放出する。カソードバイアス電源115が、フィラメント160をカソード110に対して負にバイアスする。したがって、これらの熱電子は、フィラメント160からカソード110に向けて加速され、これらの熱電子がカソード110の裏面に当たると、カソード110を加熱する。カソードバイアス電源115は、例えば、カソード110の電圧よりも負に200Vから1500Vの間にある電圧を有するように、フィラメント160をバイアスし得る。次いで、カソード110は、その前面からチャンバ100の中に熱電子を放出する。
【0015】
したがって、フィラメント電源165は、フィラメント160に電流を供給する。カソードバイアス電源115は、フィラメント160をバイアスする。それによって、フィラメント160はカソード110よりも負になる。その結果、電子はフィラメント160からカソード110に向けて引き寄せられる。フィラメント110は、アーク電圧電源111と通じている。アーク電圧電源111は、チャンバ100に対してカソードに電圧を供給する。このアーク電圧は、カソードで放出された熱電子をチャンバ100の中に加速して、中性ガスをイオン化する。このアーク電圧電源111によって引き出される電流は、プラズマを通して駆動される電流量の測定値である。特定の複数の実施形態では、壁101が他の電源の接地基準となる。
【0016】
この実施形態では、反射電極120が、カソード110に対向するチャンバ100の第2の端105においてチャンバ100内に配置される。カソード110の中心と反射電極120の中心とは、チャンバ100の中心軸109上の2点を形成してよい。
【0017】
反射電極120は、反射電極電源123と電気的に通じていてよい。その名が示すように、反射電極120は、カソード110から放出された電子を、チャンバ100の中央に向けて反発させる役割を果たす。例えば、特定の複数の実施形態では、反射電極120が、電子を反発させるために、チャンバ100に対して負の電圧にバイアスされてよい。例えば、特定の複数の実施形態では、反射電極120が、チャンバ100に対して0と-150Vとの間にバイアスされる。特定の複数の実施形態では、反射電極120が、チャンバ100に対して浮遊状態であってよい。言い換えると、反射電極120は、浮遊状態にあるときに、反射電極電源123にもチャンバ100にも電気的に接続されていない。この実施形態では、反射電極120の電圧が、カソード110の電圧に近い電圧にドリフトする傾向がある。代替的に、反射電極120は、壁101と電気的に接続されてよい。
【0018】
特定の複数の実施形態では、チャンバ100内で磁場190が生成される。この磁場は、電子を1つの方向に沿って閉じ込めることを目的とする。磁場190は、通常、第1の端104から第2の端105まで、壁101に平行に通っている。例えば、電子は、カソード110から反射電極120までの方向(すなわち、X方向)に平行なカラム内に閉じ込められてよい。したがって、電子は、X方向に動く電磁力を受けない。しかし、他の方向における電子の移動は、電磁力を受ける可能性がある。
【0019】
1以上のガス容器108が、ガス入口106を介してチャンバ100と連通していてよい。各ガス容器108は、各ガス容器からのガスの流れを調節するために、マスフローコントローラ(MFC)を含んでよい。
【0020】
抽出電源170を使用して、IHCイオン源10の壁101をビームライン内の残りの構成要素に対してバイアスすることができる。例えば、プラテン260(
図2参照)は、接地などの第1の電圧であってよく、一方で、IHCイオン源10がプラテン260よりも正にバイアスされるように、IHCイオン源10に正電圧が印加される。したがって、抽出電圧と呼ばれる、抽出電源170によって供給される電圧は、IHCイオン源10から抽出されるイオンのエネルギーを決定する。更に、抽出電源170によって供給される電流は、全抽出ビーム電流の尺度となる。
【0021】
特定の複数の実施形態では、カソードバイアス電源115と抽出電源170との間にフィードバックループが存在する。具体的には、抽出ビーム電流を一定値に維持することが望ましい場合がある。したがって、抽出電源170から供給される電流がモニタされてよく、カソードバイアス電源115の出力を調整して、一定の抽出電流を維持することができる。このフィードバックループは、コントローラ180によって実行されよく、又は別のやり方で実行されてよい。
【0022】
抽出光学系150は、電場を使用してチャンバ内からイオンを引き寄せるために使用される。特定の複数の実施形態では、抽出光学系150が抑制電極151を含む。抑制電極151は、抽出開口140を通してイオンを引き寄せるために、プラズマに対して負にバイアスされる。
【0023】
抑制電極151は、抑制開口153が配置された単一の導電性構成要素であり得る。代替的に、抑制電極151は、間に抑制開口153を生成するように離隔した2つの導電性構成要素から構成され得る。抑制電極151は、チタンなどの金属であり得る。抑制電極151は、抑制電源155を使用して電気的にバイアスされ得る。抑制電極151は、抽出プレート103よりも負になるようにバイアスされ得る。特定の複数の実施形態では、抑制電極151が、抑制電源155によって、-3kVと-15kVの間の電圧などの負にバイアスされる。
【0024】
他の複数の実施形態では、抽出光学系150が、抑制電極151と接地電極152を含む。抑制電極151は、抽出プレート103と接地電極152との間に配置される。
【0025】
これらの実施形態では、接地電極152が、抑制電極151に近接して配置され得る。抑制電極151と同様に、接地電極152は、接地開口154が配置された単一の導電性構成要素であってよく、又は間に接地開口154を生成するように離隔した2つの構成要素から構成されてよい。接地電極152は、電気的に接地されてよい。無論、他の複数の実施形態では、接地電極152が、別個の電源を使用してバイアスされてよい。抽出開口140、抑制開口153、及び接地開口154は、全て整列している。
【0026】
他の複数の実施形態では、抽出光学系150が、2つより多い電極、例えば、3つの電極又は4つの電極を含んでよい。これらの実施形態では、電極が、機能的及び構造的に上述されたものと同様であってよいが、異なる電圧でバイアスされてよい。
【0027】
各電極は2つの表面を有する。第1の表面は、IHCイオン源10に対向し、近位表面又はイオン源側表面と呼ばれることがある。第2の表面は、プラテン260に対向し、遠位表面又はビームライン側表面と呼ばれることがある。
【0028】
コントローラ180は、電源のうちの1以上と通じていてよい。それによって、これらの電源によって供給される電圧又電流が、モニタされてよく及び/又は修正されてよい。更に、コントローラ180は、チャンバ100の中への各ガスの流量を調節するために、各ガス容器108のMFCと通じていてよい。コントローラ180は、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、専用コントローラ、又は別の適切な処理ユニットなどの処理ユニットを含んでよい。コントローラ180はまた、半導体メモリ、磁気メモリ、又は別の適切なメモリなどの非一時的なストレージ要素も含んでよい。この非一時的なストレージ要素は、コントローラ180が本明細書で説明される機能を実行することを可能にする指示命令及び他のデータを含み得る。例えば、コントローラ180は、IHCイオン源10がフィラメント160に対してカソードに印加される電圧を変化させることを可能にするように、カソードバイアス電源115と通じていてよい。コントローラ180はまた、反射電極をバイアスするために反射電極電源123とも通じていてよい。更に、コントローラ180は、カソードバイアス電源115によって供給される電圧、電流、及び/又は電力をモニタすることができる。
【0029】
図2は、
図1のIHCイオン源10を使用するイオン注入システムを示す。IHCイオン源10の抽出開口の外側で抽出開口に近接して、抽出光学系150が配置される。抽出光学系150は、1以上の電極を含み得る。
【0030】
抽出光学系150の下流には、質量分析器210が配置されている。質量分析器210は、磁場を使用して、抽出されたリボンイオンビーム1の経路を導く。磁場は、それらのイオンの質量と電荷に従ってイオンの飛行経路に影響を与える。分解開口(resolving aperture)221を有する質量分解デバイス(mass resolving device)220が、質量分析器210の出力部(すなわち、遠位端)に配置される。磁場を適切に選択することによって、選択された質量及び電荷を有する抽出されたリボンイオンビーム1内のそれらのイオンのみが、分解開口221を通して導かれることとなる。他のイオンは、質量分解デバイス220又は質量分析器210の壁に衝突し、システム内でそれ以上移動することができないことになる。
【0031】
コリメータ230が、質量分解デバイス220から下流に配置され得る。コリメータ230は、分解開口221を通過した抽出されたリボンイオンビーム1からのイオンを受け入れ、複数の平行な又は略平行なビームレットから生成されるリボンイオンビームを生成する。質量分析器210の出力部(すなわち、遠位端)と、コリメータ230の入力部(すなわち、近位端)とは、一定の距離だけ離隔し得る。質量分解デバイス220は、これら2つの構成要素間のスペースに配置される。
【0032】
コリメータ230から下流に、加速/減速段240が配置されてよい。加速/減速段240は、エネルギー純度モジュールと称され得る。エネルギー純度モジュールは、イオンビームの偏向、減速、及び集束を独立して制御するように構成されたビームラインレンズ構成要素である。例えば、エネルギー純度モジュールは、垂直静電エネルギーフィルタ(VEEF)又は静電フィルタ(EF)であってよい。加速/減速段240から下流に、プラテン260が配置されている。ワークピースが、処理中にプラテン260上に配置される。
【0033】
図1では、抽出プレート103の外側表面が凸状である。それによって、外側表面は、縁部においてよりも中心107においてチャンバ100から更に突出する。曲率半径は、一例として500mmと1000mmの間であってよい。抽出開口140の中心107は、X軸に沿った中点として規定される。更に、抑制電極151は直線状であってよい。このやり方で、Z方向において、抽出プレート103の外側表面と抑制電極151のイオン源側表面との間の間隙は一定ではない。
具体的には、中心107に配置された中心間隙141は、抽出開口140の縁部における縁部間隙142よりも小さい。特定の複数の実施形態では、中心間隙141と縁部間隙142との間の差が、少なくとも0.3mmであってよい。特定の複数の実施形態では、中心間隙141が、4mmと50mmの間であってよく、一方、縁部間隙142は、4.3mmと55mmの間であってよい。したがって、不均一な間隙が生成され、その間隙はZ方向であり、不均一性は、X方向すなわち幅方向にある。
【0034】
特定の複数の実施形態では、Z方向に所与の間隙が与えられた場合、低いプラズマ密度を有するチャンバ内の領域から抽出されたイオンは、プラズマ密度が高い領域から抽出されたイオンよりも垂直方向の角度広がりが大きい傾向があることが分かっている。抽出プレート103の外側表面と抑制電極151のイオン源側表面との間の距離を大きくすることによって、この垂直方向の角度広がりは、高いプラズマ密度領域に関連する垂直方向の角度広がりと同様になり得る。したがって、プラズマ密度が中心107付近で最も高くなるイオン源では、
図1で示されている構成が、殊に抽出開口140の縁部付近において、抽出されたリボンイオンビームの垂直方向の角度広がりを低減させ、したがって、垂直方向の角度広がりを幅方向にわたってより均一にすることができる。
【0035】
図3は、第2の実施形態を示す。第2の実施形態を使用して、プラズマがチャンバ100の中心107において最も密度が高いときに、垂直方向の角度広がりを低減させることができる。この実施形態では、抽出プレート103の外側表面が平坦又は平面的であり、一方、抽出プレート103に対向する抑制電極151の表面が凸状である。抑制電極151の曲率半径は、100mmよりも大きくてよく、例えば、100mmから1000mmである。
図1と同様に、この構成は、中心間隙141が縁部間隙142よりも小さくなることを可能にする。幾つかの実施形態では、縁部間隙142が、中心間隙141よりも少なくとも0.3mm大きくてよい。
【0036】
特定の複数の実施形態では、抽出プレート103の外側表面と抑制電極151の近位表面との両方が凸状であってよい。
【0037】
他の複数の実施形態では、プラズマ密度が、縁部においてよりも中心107において低くなり得る。これらの実施形態では、縁部間隙142よりも大きい中心間隙141を有することが望ましい場合がある。
図4Aは、この結果を実現する構成を示す。この実施形態では、抽出プレート103に対向する抑制電極151の近位表面が凹状である。曲率半径は、400mmと1000mmの間であってよい。抽出プレート103の外側表面は、平坦又は平面的である。これにより、中心間隙141を縁部間隙142よりも大きくすることが可能になる。再び、幾つかの実施形態では、中央間隙141と縁部間隙142との間の差が0.3mmを超えてよい。
【0038】
図4Bで示されている別の一実施形態では、抽出プレート103の外側表面が凹状であってよく、一方、抑制電極151の近位表面は平坦又は平面的であってよい。これによっても、中心間隙141を縁部間隙142よりも大きくすることが可能になる。
【0039】
前述の開示は、抽出プレート103の外側表面と抑制電極151との間の不均一な間隙を開示しているが、他の複数の実施形態も可能である。
【0040】
抽出光学系150が2つ以上の電極を含む複数の構成では、隣接する電極の間にも間隙が存在する。例えば、
図1では、2つの電極が存在し、したがって、抑制電極151と接地電極152との間に間隙が存在する。N個の電極を持つ抽出光学系では、Nが2以上であり、隣接する電極の間にN-1個の間隙が存在する。
【0041】
したがって、特定の複数の実施形態では、上述された不均一な間隙は、抽出プレート103の外側表面と抑制電極151の近位表面との間には存在しなくてもよいが、むしろ抽出光学系150における2つの隣接する電極の間に存在してよい。
【0042】
図5は、そのような一実施形態を示す。この実施形態では、抽出プレート103の外側表面が平坦であり、抑制電極151の両面も同様である。抑制電極151に対向する接地電極152の近位表面は凸状である。したがって、抑制電極151と接地電極152との間の間隙は不均一である。この実施形態では、中心間隙141が縁部間隙142よりも小さい。特定の複数の実施形態では、この差が少なくとも0.3mmであってよい。
【0043】
電極間の中心間隙141が縁部間隙142よりも小さくなることをもたらす他の複数の構成も存在することに留意されたい。例えば、抑制電極151の遠位表面は凸状であってよく、一方、接地電極152の近位表面は平坦である。代替的に、抑制電極151の遠位表面と接地電極152の近位表面とは、両方とも凸状であってよい。
【0044】
図6は、隣接する2つの電極間のより大きな中心間隙141を実現する一実施形態を示す。例えば、抑制電極151の遠位表面は平坦であり、一方、接地電極152の近位表面は凹状である。この実施形態では、中心間隙141が縁部間隙142よりも大きい。特定の複数の実施形態では、この差が少なくとも1cmであってよい。
【0045】
電極間の中心間隙141が縁部間隙142よりも大きくなることをもたらす他の複数の構成も存在することに留意されたい。例えば、抑制電極151の遠位表面は凹状であってよく、一方、接地電極152の近位表面は平坦である。代替的に、抑制電極151の遠位表面と接地電極152の近位表面とは、両方とも凹状であってよい。
【0046】
更に、
図5~
図6は、抑制電極151と接地電極152との間の不均一な間隙を示しているが、他の構成も可能である。例えば、抽出光学系が3つの電極を有するイオン源では、抑制電極と第2の電極との間、又は第2の電極と第3の電極との間に、不均一な間隙が存在してよい。同様に、抽出光学系が4つの電極を有するイオン源では、抑制電極と第2の電極との間、第2の電極と第3の電極との間、又は第3の電極と第4の電極との間に、不均一な間隙が存在してよい。
【0047】
更に、
図1及び
図3~
図6は、各電極の少なくとも1つの表面が平坦であることを示しているが、他の構成も可能である。例えば、
図7を参照すると、抽出プレート103の外側表面が凸状であり、抑制電極151の近位表面は凹状である。それによって、抑制電極151の近位表面と抽出プレート103の外側表面との間の間隙は均一である。一実施形態では、抑制電極151の遠位表面が凸状であってよく、接地電極152の近位表面は平坦である。それによって、抑制電極151と接地電極152との間の間隙は不均一である。このやり方で、
図1で示されている不均一な間隙は、抑制電極151と接地電極152との間に移動している。
【0048】
更に、特定の複数の実施形態では、不均一な2つ以上の間隙が存在してよい。例えば、
図1の抽出プレート103は、
図5の接地電極と組み合わされて、2つの不均一な間隙を生成してよい。第1の不均一な間隙は、抽出プレート103の外側表面と抑制電極151の近位表面との間にあり、第2の不均一な間隙は、抑制電極151の遠位表面と接地電極152の近位表面との間にある。無論、抽出プレート103、抑制電極151、及び接地電極152の他の構成を使用して、複数の不均一な間隙を実現することができる。更に、3つ以上の電極が使用される場合、複数の不均一な間隙が、任意の組の隣接する電極の間に存在してよい。
【0049】
上記の開示は、凸状及び凹状の構成要素について説明し、図は、それらの構成要素が中心107の周りで対称であることを示している。しかし、他の複数の実施態様も可能である。例えば、プラズマ密度が、不均一であり、X方向において非対称である場合、間隙も、Xすなわち幅方向において非対称であるように設計され得る。例えば、プラズマ密度は、カソード110と中心107との間の位置で最も高くなる場合がある。この実施形態では、間隙が、最小間隙がX方向においてプラズマ密度が最も高い位置に存在するように設計され得る。したがって、特定の複数の実施形態では、間隙が、プラズマ密度のプロファイルを補完するように設計される。
【0050】
上述されたのは、IHCイオン源であるイオン源である。しかし、他のイオン源も、この抽出プレート103と共に使用されてよい。例えば、磁化DCプラズマ源、管状陰極源、ベルナスイオン源、及び誘導結合プラズマ(ICP)イオン源も、これらの抽出光学系150を有するこの抽出プレート103を使用してよい。したがって、抽出プレートは、様々な異なるプラズマ生成器を有するイオン源と共に使用されてよい。
【0051】
本システム及び方法は、多くの利点を有する。ある試験では、IHCイオン源からリボンイオンビームが抽出された。その場合、抽出プレート103の外側表面と抑制電極151の近位表面との間の間隙は均一であった。開口の中心付近の垂直方向の角度広がりは、約2°と測定され、-2°と+2°との間に密集していた。しかし、抽出開口の縁部付近の垂直方向の角度広がりは、はるかに大きかった。具体的には、-1°と+1°との間に密集が存在したが、±6°の垂直方向の角度も存在した。次いで、幅方向において不均一な間隙を提供するように構成された抽出プレート103及び抑制電極151を使用して試験が繰り返された。その場合、最も大きな間隙は、抽出開口140の縁部に沿っていた。この試験では、抽出開口の中心付近の垂直方向の角度広がりは変化しなかったが、縁部付近の垂直方向の角度広がりは著しく修正された。具体的には、垂直方向の角度広がりは、リボンイオンビームの幅を通して略均一であった。これは、ワークピースにおける均一性を向上させる結果をもたらし得る。
【0052】
本開示は、本明細書で説明される特定の複数の実施形態による範囲には限定されない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び修正例が、前記載及び添付図面から当業者には明らかだろう。このため、そのような他の実施形態及び修正例は、本開示の範囲内に含まれると意図される。更に、本明細書では、本開示を、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で説明したが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実装され得ることを認識するであろう。したがって、以下で説明される特許請求の範囲は、本明細書に記載した本開示の範囲及び精神を最大限広く鑑みた上で解釈されたい。
【国際調査報告】