(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】イオン源ガス注入によるビーム整形
(51)【国際特許分類】
H01J 27/08 20060101AFI20241029BHJP
H01J 37/08 20060101ALI20241029BHJP
H01J 37/317 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01J27/08
H01J37/08
H01J37/317 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523875
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022045795
(87)【国際公開番号】W WO2023076007
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン, アダム エム.
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101DD03
5C101DD18
5C101DD20
5C101DD22
5C101DD28
5C101DD29
(57)【要約】
高さの均一性が改善されたリボンイオンビームを抽出するためのイオン源が開示される。ガスノズルが、抽出開口に近接してチャンバ内に配置される。注入開口付近に導入されるガスは、リボンイオンビームが抽出されるときに、その形状を整える役割を果たす。例えば、抽出されるイオンビームを高さ方向に圧縮するように、イオンビームの上下にガスを注入することによって、リボンイオンビームの高さを低くすることができる。幾つかの実施形態では、抽出開口付近に供給ガスが導入される。他の複数の実施形態では、不活性ガスなどのシールドガスが、抽出開口付近に導入される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、
ガスチャネルに連通するガス入口、
前記チャンバに供給ガスを供給するために前記ガス入口に連通する供給チャネル、並びに、
前記抽出開口付近で前記チャンバ内に配置されたガスノズルであって、前記抽出開口付近に前記供給ガスの流れを提供するために前記ガスチャネルに連通するガスノズルを備える、イオン源。
【請求項2】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは前記側壁内に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは、前記側壁の内面又は外面に近接して配置されたチューブを含む、請求項1に記載のイオン源。
【請求項4】
前記抽出プレート内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記ガスチャネルに連通するプレートガスチャネルを更に備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出プレートの内面に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項5】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスノズルは、前記抽出プレートに近接した前記側壁の内面に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項6】
前記抽出プレートは、面板、及び前記チャンバの内部と前記面板との間に配置された抽出ライナーを備え、前記抽出ライナーは、前記抽出ライナーと前記面板との間に間隙が存在するように形成され、前記間隙は、前記ガスチャネルに連通し、前記イオン源は、更に、前記抽出ライナー内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記間隙に連通するプレートガスチャネルを備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出ライナーの表面に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項7】
前記ガスノズルの寸法は、抽出されるリボンイオンビームの高さの均一性を改善するために、前記抽出開口の前記幅に沿って変化する、請求項1に記載のイオン源。
【請求項8】
前記プラズマ生成器は、間接加熱カソード(IHC)を備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項9】
請求項1に記載のイオン源、
質量分析器、及び
プラテンを備える、イオン注入システム。
【請求項10】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、
ガスチャネルに連通するガス入口、
前記抽出開口付近に配置されたガスノズルであって、前記ガスチャネルに連通するガスノズル、並びに
前記チャンバに供給ガスを供給するために供給チャネルに連通する第2のガス入口を備える、イオン源であって、
前記供給チャネルと前記ガスチャネルとは、互いに流体連通していない、イオン源。
【請求項11】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは前記側壁内に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項12】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは、前記側壁の内面又は外面に近接して配置されたチューブを含む、請求項10に記載のイオン源。
【請求項13】
前記抽出プレート内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記ガスチャネルに連通するプレートガスチャネルを更に備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出プレートの内面に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項14】
複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスノズルは、前記抽出プレートに近接した前記側壁の内面に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項15】
前記抽出プレートは、面板、及び前記チャンバの内部と前記面板との間に配置された抽出ライナーを備え、前記抽出ライナーは、前記抽出ライナーと前記面板との間に間隙が存在するように形成され、前記間隙は、前記ガスチャネルに連通し、前記イオン源は、更に、前記抽出ライナー内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記間隙に連通するプレートガスチャネルを備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出ライナーの表面に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項16】
前記ガス入口に流体連通する第1のガス容器、及び前記第2のガス入口に流体連通する第2のガス容器を更に備える、請求項10に記載のイオン源。
【請求項17】
第1のマスフローコントローラと第2のマスフローコントローラとに流体連通するガス容器を更に備え、前記第1のマスフローコントローラは、前記ガス入口を通る流量を制御し、前記第2のマスフローコントローラは、前記第2のガス入口を通る流量を制御し、前記ガス入口を通る前記流量と前記第2のガス入口を通る前記流量とは、独立して制御される、請求項10に記載のイオン源。
【請求項18】
前記ガスノズルの寸法は、抽出されるリボンイオンビームの高さの均一性を改善するために、前記抽出開口の前記幅に沿って変化する、請求項10に記載のイオン源。
【請求項19】
前記プラズマ生成器は、間接加熱カソード(IHC)を備える、請求項10に記載のイオン源。
【請求項20】
請求項10に記載のイオン源、
質量分析器、及び
プラテンを備える、イオン注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月28日に出願された米国特許出願第17/513,245号の優先権を主張し、該米国特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、抽出されるイオンビームを整形するようにイオン源の中にガスを注入(inject)するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体デバイスは複数の工程を使用して製造される。それらの工程のうちの幾つかは、ワークピースの中にイオンを注入(implant)する。様々なイオン源を使用して、イオンを生成することができる。1つのそのようなイオン源は、間接加熱カソード(IHC)イオン源である。IHCイオン源は、カソードの後方に配置されたフィラメントを備える。カソードは、フィラメントよりも正の電圧に維持され得る。フィラメントに電流を流すと、フィラメントから熱電子が放出され、それらの熱電子はより正に帯電したカソードに向けて加速される。これらの熱電子は、カソードを加熱するのに役立ち、次に、カソードにイオン源のチャンバの中へ電子を放出させる。カソードは、チャンバの一端に配置される。反射電極(repeller)が、典型的には、カソードに対向するチャンバの端に配置される。
【0004】
特定の複数の実施形態では、IHCイオン源が、リボンイオンビームを抽出するように構成される。リボンイオンビームの幅は、リボンイオンビームの高さよりもかなり大きい。残念なことに、多くのシステムでは、イオン源内のプラズマ密度の不均一に起因して、抽出されるイオンビームの高さが一定でない。例えば、プラズマ密度がチャンバの中心付近で最も高い場合、リボンイオンビームの高さは、抽出開口の中心付近で最も大きい可能性がある。
【0005】
イオンビームの高さが変化すると、注入量(implant dose)が不均一になる可能性があり、問題となり得る。したがって、幾つかのイオン注入システムでは、この問題を修正するために、レンズなどの更なる構成要素が使用される。しかし、これらの更なる構成要素は、コスト及び複雑さを追加する。
【0006】
したがって、イオン源から抽出されているリボンイオンビームの高さの均一性を制御することができるシステムがあれば有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
高さの均一性が改善されたリボンイオンビームを抽出するためのイオン源が開示される。ガスノズルが、抽出開口に近接してチャンバ内に配置される。抽出開口付近に導入されるガスは、リボンイオンビームが抽出されるときに、その形状を整える役割を果たす。例えば、抽出されるイオンビームを高さ方向に圧縮するように、イオンビームの上下にガスを注入することによって、リボンイオンビームの高さを低くすることができる。幾つかの実施形態では、抽出開口付近に供給ガスが導入される。他の複数の実施形態では、不活性ガスなどのシールドガスが、抽出開口付近に導入される。
【0008】
一実施形態によれば、イオン源が開示される。イオン源は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、複数の壁のうちの1つは、その高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、ガスチャネルに連通するガス入口、チャンバに供給ガスを供給するためにガス入口に連通する供給チャネル、並びに、抽出開口付近でチャンバ内に配置されたガスノズルであって、抽出開口付近に供給ガスの流れを提供するためにガスチャネルに連通するガスノズルを備える。幾つかの実施形態では、複数の壁が、抽出プレートに対向する底壁、及び抽出プレートに隣接する側壁を含み、ガスチャネルが側壁内に配置される。幾つかの実施形態では、複数の壁が、抽出プレートに対向する底壁、及び抽出プレートに隣接する側壁を含み、ガスチャネルが、側壁の内面又は外面に近接して配置されたチューブを含む。幾つかの実施形態では、イオン源が、抽出プレート内に配置されたプレートガスチャネルであって、ガスチャネルに連通するプレートガスチャネルを備え、ガスノズルが、抽出開口に近接した抽出プレートの内面に配置される。特定の複数の実施形態では、複数の壁が、抽出プレートに対向する底壁、及び抽出プレートに隣接する側壁を含み、ガスノズルが、抽出プレートに近接した側壁の内面に配置される。幾つかの実施形態では、抽出プレートが、面板、及びチャンバの内部と面板との間に配置された抽出ライナーを備え、抽出ライナーは、抽出ライナーと面板との間に間隙が存在するように形成され、間隙は、ガスチャネルに連通する。イオン源は、更に、抽出ライナー内に配置されたプレートガスチャネルであって、間隙に連通するプレートガスチャネルを備え、ガスノズルが、抽出開口に近接した抽出ライナーの表面に配置される。
幾つかの実施形態では、ガスノズルの寸法が、抽出されるリボンイオンビームの高さの均一性を改善するために、抽出開口の幅に沿って変化する。幾つかの実施形態では、プラズマ生成器が間接加熱カソード(IHC)を備える。
【0009】
別の一実施形態によれば、イオン注入システムが開示される。イオン注入システムは、上述されたイオン源、質量分析器、及びプラテンを備える。
【0010】
別の一実施形態によれば、イオン源が開示される。イオン源は、第1の端部、第2の端部、及び第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、複数の壁のうちの1つは、その高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、ガスチャネルに連通するガス入口、抽出開口付近に配置されたガスノズルであって、ガスチャネルに連通するガスノズル、並びに、チャンバに供給ガスを供給するために供給チャネルに連通する第2のガス入口を備える。供給チャネルとガスチャネルとは、互いに流体連通していない。幾つかの実施形態では、複数の壁が、抽出プレートに対向する底壁、及び抽出プレートに隣接する側壁を含み、ガスチャネルが側壁内に配置される。幾つかの実施形態では、複数の壁が、抽出プレートに対向する底壁、及び抽出プレートに隣接する側壁を含み、ガスチャネルが、側壁の内面又は外面に近接して配置されたチューブを含む。幾つかの実施形態では、イオン源が、抽出プレート内に配置されたプレートガスチャネルであって、ガスチャネルに連通するプレートガスチャネルを備え、ガスノズルが、抽出開口に近接した抽出プレートの内面に配置される。特定の複数の実施形態では、複数の壁が、抽出プレートに対向する底壁、及び抽出プレートに隣接する側壁を含み、ガスノズルが、抽出プレートに近接した側壁の内面に配置される。幾つかの実施形態では、抽出プレートが、面板、及びチャンバの内部と面板との間に配置された抽出ライナーを備え、抽出ライナーは、抽出ライナーと面板との間に間隙が存在するように形成され、間隙は、ガスチャネルに連通する。イオン源は、更に、抽出ライナー内に配置されたプレートガスチャネルであって、間隙に連通するプレートガスチャネルを備え、ガスノズルが、抽出開口に近接した抽出ライナーの表面に配置される。幾つかの実施形態では、イオン源が、ガス入口に流体連通する第1のガス容器、及び第2のガス入口に流体連通する第2のガス容器を備える。幾つかの実施形態では、イオン源が、第1のマスフローコントローラと第2のマスフローコントローラとに流体連通するガス容器を備え、第1のマスフローコントローラは、ガス入口を通る流量を制御し、第2のマスフローコントローラは、第2のガス入口を通る流量を制御する。幾つかの実施形態では、ガス入口を通る流量と第2のガス入口を通る流量とが、独立して制御される。幾つかの実施形態では、ガスノズルの寸法が、抽出されるリボンイオンビームの高さの均一性を改善するために、抽出開口の幅に沿って変化する。幾つかの実施形態では、プラズマ生成器が間接加熱カソード(IHC)を備える。
【0011】
別の一実施形態によれば、イオン注入システムが開示される。イオン注入システムは、上述されたイオン源、質量分析器、及びプラテンを備える。
【0012】
本開示をより良く理解するために、参照により本明細書に援用される添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態によるイオン源のブロック図を示す。
【
図2】
図1のIHCイオン源を使用するイオン注入システムのブロックである。
【
図3A】一実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図4A】別の一実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図5A】第3の実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図6A】更なる実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図6B】更なる実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図6C】更なる実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、高さ方向の均一性が改善されたリボンイオンビームを抽出するために利用され得るIHCイオン源10の断面図を示す。IHCイオン源10は、2つの対向する端部、及びこれらの端部を接続する壁101を備える、チャンバ100を含む。これらの壁101は、側壁101a、抽出プレート103、及び抽出プレート103に対向する底壁101bを含む。したがって、側壁101aは、幅方向に沿って抽出プレート103に隣接する壁である。特定の複数の実施形態では、側壁101aと底壁101bとが、一体的な構成要素であってよい。対向する2つの端部は、高さ方向に沿って抽出プレート103に隣接している。
【0015】
抽出プレート103は、高さ、幅、及び厚さを有する。抽出プレート103は、厚さ方向において抽出プレート103を貫通する抽出開口140を含む。イオンが、抽出開口140を通して抽出される。抽出開口140は、高さ方向(Y方向とも呼ばれる)においてよりも幅方向(X方向とも呼ばれる)においてかなり大きくてよい。Z方向は、抽出プレート103の厚さに沿って規定され、リボンイオンビームの移動方向として規定される。例えば、抽出開口140は、幅方向において3インチよりも大きくてよく、高さ方向において0.3インチよりも小さくてよい。
【0016】
特定の複数の実施形態では、抽出プレート103が、面板103aと抽出ライナー103bとを含み得る。抽出ライナー103bは、チャンバ100の内部と面板103aとの間に配置される。抽出ライナー103bは、交換可能な部品であり得る。特定の複数の実施形態では、面板103aと抽出ライナー103bとが、両方ともタングステンから構築されるが、他の適切な材料を使用してもよい。
【0017】
チャンバ100の壁101は、導電性材料で構築されてよく、互いに電気的に通じていてよい。カソード110が、チャンバ100の第1の端104においてチャンバ100内に配置される。フィラメント160が、カソード110の後方に配置される。フィラメント160は、フィラメント電源165と通じている。フィラメント電源165は、電流をフィラメント160に流すように構成されている。それによって、フィラメント160は熱電子を放出する。カソードバイアス電源115が、フィラメント160をカソード110に対して負にバイアスする。したがって、これらの熱電子は、フィラメント160からカソード110に向けて加速され、これらの熱電子がカソード110の裏面に当たると、カソード110を加熱する。カソードバイアス電源115は、例えば、カソード110の電圧よりも負に200Vから1500Vの間にある電圧を有するように、フィラメント160をバイアスし得る。次いで、カソード110は、その前面からチャンバ100の中に熱電子を放出する。
【0018】
したがって、フィラメント電源165は、フィラメント160に電流を供給する。カソードバイアス電源115は、フィラメント160をバイアスする。それによって、フィラメント160はカソード110よりも負になる。その結果、電子はフィラメント160からカソード110に向けて引き寄せられる。フィラメント110は、アーク電圧電源111と通じている。アーク電圧電源111は、チャンバ100に対してカソードに電圧を供給する。このアーク電圧は、カソードで放出された熱電子をチャンバ100の中に加速して、中性ガスをイオン化する。このアーク電圧電源111によって引き出される電流は、プラズマ150を通して駆動される電流量の測定値である。特定の複数の実施形態では、壁101が他の電源の接地基準となる。
【0019】
この実施形態では、反射電極120が、カソード110に対向するチャンバ100の第2の端105においてチャンバ100内に配置される。
【0020】
反射電極120は、反射電極電源123と電気的に通じていてよい。その名が示すように、反射電極120は、カソード110から放出された電子を、チャンバ100の中心に向けて反発させる役割を果たす。例えば、特定の複数の実施形態では、反射電極120が、電子を反発させるために、チャンバ100に対して負の電圧にバイアスされてよい。例えば、特定の複数の実施形態では、反射電極120が、チャンバ100に対して0と-150Vとの間にバイアスされる。特定の複数の実施形態では、反射電極120が、チャンバ100に対して浮遊状態であってよい。言い換えると、反射電極120は、浮遊状態にあるときに、反射電極電源123にもチャンバ100にも電気的に接続されていない。この実施形態では、反射電極120の電圧が、カソード110の電圧に近い電圧にドリフトする傾向がある。代替的に、反射電極120は、壁101と電気的に接続されてよい。
【0021】
特定の複数の実施形態では、チャンバ100内で磁場190が生成される。この磁場は、電子を1つの方向に沿って閉じ込めることを目的とする。磁場190は、通常、第1の端104から第2の端105まで、壁101に平行に通っている。例えば、電子は、カソード110から反射電極120までの方向(すなわち、X方向)に平行なカラム内に閉じ込められてよい。したがって、電子は、X方向に動く電磁力を受けない。しかし、他の方向における電子の移動は、電磁力を受ける可能性がある。
【0022】
1以上のガス容器108が、ガス入口106を介してチャンバ100と連通していてよい。各ガス容器108は、各ガス容器からのガスの流量を調節するために、マスフローコントローラ(MFC)107を含んでよい。
【0023】
抽出電源170を使用して、IHCイオン源10の壁101をビームライン内の残りの構成要素に対してバイアスすることができる。例えば、プラテン260(
図2参照)は、接地などの第1の電圧であってよく、一方で、IHCイオン源10がプラテン260よりも正にバイアスされるように、IHCイオン源10に正電圧が印加される。したがって、抽出電圧と呼ばれる、抽出電源170によって供給される電圧は、IHCイオン源10から抽出されるイオンのエネルギーを決定する。更に、抽出電源170によって供給される電流は、全抽出ビーム電流の尺度となる。
【0024】
特定の複数の実施形態では、カソードバイアス電源115と抽出電源170との間にフィードバックループが存在する。具体的には、抽出ビーム電流を一定値に維持することが望ましい場合がある。したがって、抽出電源170から供給される電流がモニタされてよく、カソードバイアス電源115の出力を調整して、一定の抽出電流を維持することができる。このフィードバックループは、コントローラ180によって実行されよく、又は別のやり方で実行されてよい。
【0025】
コントローラ180は、電源のうちの1以上と通じていてよい。それによって、これらの電源によって供給される電圧又電流が、モニタされてよく及び/又は修正されてよい。更に、コントローラ180は、チャンバ100の中への各ガスの流量を調節するために、各ガス容器108のMFC107と通じていてよい。コントローラ180は、マイクロコントローラ、パーソナルコンピュータ、専用コントローラ、又は別の適切な処理ユニットなどの処理ユニットを含んでよい。コントローラ180はまた、半導体メモリ、磁気メモリ、又は別の適切なメモリなどの非一時的なストレージ要素も含んでよい。この非一時的なストレージ要素は、コントローラ180が本明細書で説明される機能を実行することを可能にする指示命令及び他のデータを含み得る。例えば、コントローラ180は、IHCイオン源10がフィラメント160に対してカソードに印加される電圧を変化させることを可能にするように、カソードバイアス電源115と通じていてよい。コントローラ180はまた、反射電極をバイアスするために反射電極電源123とも通じていてよい。更に、コントローラ180は、カソードバイアス電源115によって供給される電圧、電流、及び/又は電力をモニタすることができる。
【0026】
図2は、
図1のIHCイオン源10を使用するイオン注入システムを示す。IHCイオン源10の抽出開口の外側且つ近傍には、1以上の電極200が配置されている。
【0027】
電極200から下流に、質量分析器210が配置されている。質量分析器210は、磁場を使用して、抽出されたリボンイオンビーム1の経路を導く。磁場は、それらのイオンの質量と電荷に従ってイオンの飛行経路に影響を与える。分解開口(resolving aperture)221を有する質量分解デバイス(mass resolving device)220が、質量分析器210の出力部(すなわち、遠位端)に配置される。磁場を適切に選択することによって、選択された質量及び電荷を有する抽出されたリボンイオンビーム1内のそれらのイオンのみが、分解開口221を通して導かれることとなる。他のイオンは、質量分解デバイス220又は質量分析器210の壁に衝突し、システム内でそれ以上移動することができないことになる。
【0028】
コリメータ230が、質量分解デバイス220から下流に配置され得る。コリメータ230は、分解開口221を通過した抽出されたリボンイオンビーム1からのイオンを受け入れ、複数の平行な又は略平行なビームレットから生成されるリボンイオンビームを生成する。質量分析器210の出力部(すなわち、遠位端)と、コリメータ230の入力部(すなわち、近位端)とは、一定の距離だけ離隔し得る。質量分解デバイス220は、これら2つの構成要素間のスペースに配置される。
【0029】
コリメータ230から下流に、加速/減速段240が配置されてよい。加速/減速段240は、エネルギー純度モジュールと呼ばれ得る。エネルギー純度モジュールは、イオンビームの偏向、減速、及び集束を独立して制御するように構成されたビームラインレンズ構成要素である。例えば、エネルギー純度モジュールは、垂直静電エネルギーフィルタ(VEEF)又は静電フィルタ(EF)であってよい。加速/減速段240から下流に、プラテン260が配置されている。ワークピースが、処理中にプラテン260上に配置される。
【0030】
抽出されるリボンイオンビームの高さは、ガスを抽出開口140に向けることによって改善される。ガスの流れは、抽出されるビームの高さを低くする役割を果たす。これは、複数の異なるやり方で実現され得る。
【0031】
図3A~
図3Bで示されている一実施形態では、IHCイオン源10がガスチャネル141を含み得る。ガスチャネル141は、側壁101aと抽出プレート103との間の接合部分又はその付近に配置されたガスノズル142において終端する。
図3Aは、この実施形態によるIHCイオン源10の断面図を示す。一方で、
図3Bは、この実施形態によるイオン源の側壁101aを示す。この実施形態では、
図3Aで最も良く見られるように、供給ガスが、ガス容器108内に配置されている。この供給ガスは、ガス入口106を介してチャンバ100に入る。供給ガスの流量は、MFC107によって制御される。ガス入口106は、供給ガスをチャンバ100の内部に供給する1以上の供給チャネル143に連通し得る。特定の複数の実施形態では、供給チャネル143が、底壁101bに配置され得る。他の複数の実施形態では、供給チャネル143が、側壁101aのうちの1以上に配置され得る。
【0032】
更に、ガス入口106は、壁101の内側に配置された1以上のガスチャネル141に連通し得る。例えば、ガスチャネル141は、側壁101a内に1以上のチャネルを機械加工することによって生成され得る。別の一実施形態では、ガスチャネル141が、側壁101aの内面又は外面に沿って配置されたチューブを設けることによって生成され得る。いずれの実施形態においても、ガスは、抽出プレート103に最も近い側壁101aの端部に向けられる。
【0033】
この実施形態では、ガスチャネル141が、側壁101aと抽出プレート103との間の接合部分に近接した側壁101aの上面で終端する。ガスチャネル141は、側壁101a内に配置され得る。したがって、この実施形態では、
図3Aにおいて矢印144によって示されているように、供給ガスが、側壁101a内のガスノズル142を介してガスチャネル141を出て、抽出開口140に到達する前に、抽出プレート103の内面に沿って流れる。例えば、
図3Bで示されているように、複数のガスノズル142が、抽出プレート103の両側の側壁101aの内面に配置され得る。それは、抽出プレート103が、側壁101aに接触するところである。ガスチャネル141は、X方向において側壁101aに沿って延在する水平溝146内の側壁101aの上面で終端する。ガスノズル142は、各々、水平溝146に連通する。更に、各ガスノズル142のサイズは、幾つかの実施形態では同じであり得る。他の複数の実施形態では、ガスノズル142が、実行されるべき高さ調整の量に基づいて変化し、寸法決定され得る。例えば、抽出されるリボンイオンビーム1の高さが、抽出開口140の中心で最も高い場合、抽出開口140の中心に位置合わせされるガスノズル142は、他のガスノズル142よりも大きくなり得る。このやり方で、より多くのガスが、これらのより大きいノズルを通って流れ、抽出されるリボンイオンビーム1を抑制する。この実施形態では、抽出プレート103が変化しないことに留意されたい。
【0034】
側壁101aの内面又は外面に沿って供給ガスを運ぶためにチューブが使用される場合、そのチューブは水平溝146内で終端し得ることに留意されたい。
【0035】
関連する一実施形態では、供給チャネル143が存在しなくてもよい。この実施形態では、イオン化される供給ガスが、ガスノズル142を通って入る。
【0036】
図4A~
図4Cは、第2の実施形態を示す。
図4Aは、この実施形態によるIHCイオン源10の断面図を示し、
図4Bは、この実施形態による抽出ライナー103bを示し、
図4Cは、この実施形態によるイオン源の側壁101aを示す。
【0037】
この実施形態では、
図4Aで最も良く見られるように、供給ガスが、ガス容器108内に配置されている。この供給ガスは、ガス入口106を介してチャンバ100に入る。供給ガスの流量は、MFC107によって制御される。ガス入口106は、供給ガスをチャンバ100の内部に供給する1以上の供給チャネル143に連通し得る。特定の複数の実施形態では、供給チャネル143が、底壁101bに配置され得る。他の複数の実施形態では、供給チャネル143が、側壁101aのうちの1以上に配置され得る。
【0038】
更に、ガス入口106は、壁101の内側に配置された1以上のガスチャネル141に連通し得る。例えば、ガスチャネル141は、側壁101a内に1以上のチャネルを機械加工することによって生成され得る。別の一実施形態では、ガスチャネル141が、側壁101aの内面又は外面に沿って配置されたチューブを設けることによって生成され得る。いずれの実施形態においても、ガスは、抽出プレート103に最も近い側壁101aの端部に向けられる。
【0039】
この実施形態では、ガス流路141は、側壁101aと抽出プレート103との間の接合部分に近接した側壁101aの上面で終端する。ガスチャネル141は、側壁101a内に配置され得る。
図4Cで示されているように、ガスチャネル141は、X方向に沿って延在する水平溝146内の側壁101aの上面で終端する。
【0040】
この実施形態では、
図4Bで示されているように、側壁101a内の水平溝は、抽出プレート103内の対応する水平プレート溝147に連通する。水平プレート溝147は、抽出プレート103内に配置された複数のプレートガスチャネル145に連通する。特定の複数の実施形態では、水平プレート溝147及びプレートガスチャネル145が、抽出ライナー103b内に配置される。水平プレート溝147は、組み立てられたときに側壁101a内の水平溝146と重なるように配置され得る。このやり方で、側壁101a内のガスチャネル141は、水平プレート溝147に結合された水平溝146に供給ガスを供給する。次いで、供給ガスは、抽出プレート103内のプレートガスチャネル145に入る。次いで、供給ガスは、ガスノズル142を通ってプレートガスチャネル145を出る。ガスノズル142は、0.25インチ以内などの抽出開口140付近で、抽出プレート103の内面に配置される。幾つかの実施形態では、ガスノズル142が、抽出開口140の0.1インチ以内に配置され得る。この実施形態では、ガスノズル142が、
図3A~
図3Bで示されている一実施形態よりも抽出開口140に近く、抽出されるリボンイオンビーム1の整形においてより効果的であり得る。様々なガスノズル142の寸法は、上述された通りであってよい。
【0041】
側壁101aの内面又は外面に沿って供給ガスを運ぶためにチューブが使用される場合、そのチューブは、水平溝146又は水平プレート溝147内で終端し得ることに留意されたい。
【0042】
関連する一実施形態では、供給チャネル143が存在しなくてもよい。この実施形態では、イオン化される供給ガスが、ガスノズル142を通って入る。
【0043】
図5A~
図5Bは、別の一実施形態を示す。
図5Aは、IHCイオン源10の断面図を示し、一方、
図5Bは、抽出ライナー103bを示す。この実施形態では、
図5Aで示されているように、抽出ライナー103bが、次のように形成される。すなわち、側壁101aの上面と面板103aとの間に間隙148が存在する。抽出ライナー103b内の孔149が、ガスチャネル141と間隙148との間の流体連通を可能にする。
【0044】
間隙148は、抽出ライナー103b内に配置された複数のプレートガスチャネル145に連通する。この実施形態では、水平溝146が存在しなくてよい。むしろ、ガスチャネル141は、供給ガスが間隙148の中に直接的に流れることを可能にするように孔149と整列し得る。この実施形態の他の複数の態様は、
図4A~
図4Bで示されている一実施形態に関して説明されたものと同様であってよい。
【0045】
図3A、
図4A、及び
図5Aは、全て、同じガス入口106に連通するガスチャネル141と供給チャネル143を示している。しかし、他の複数の実施形態では、2つのガス入口が存在してよい。その場合、各ガス入口に入るガスの流量は、別個のマスフローコントローラ(MFC)107を使用して独立して制御されてよい。このやり方で、抽出開口140付近に導入されるガスの流量は、イオン化のために使用される供給ガスの流量に関連付けられなくてよい。
【0046】
図6A~
図6Cは、ガス入口が分離されている3つの実施形態を示す。これらの実施形態は、それぞれ、
図3A、
図4A、及び
図5Aの実施形態に対応する。
【0047】
上述されたように、ガス容器108からのガスの流量は、MFC107によって制御される。次いで、ガスは、ガス入口106を通過し、ガスチャネル141に入る。
図6Aでは、
図3Aに関連して上述されたように、ガスチャネル141が、側壁101aと抽出プレート103との間の接合部分付近で終端している。
図6Bでは、
図4Aに関連して上述されたように、プレートガスチャネル145が、抽出プレート103内に配置されている。
図6Cでは、
図5Aに関連して上述されたように、プレートガスチャネル145が、抽出ライナー103b内に配置されている。
【0048】
しかし、これらの実施形態では、チャンバ100に供給ガスを供給するために、第2のガス入口116が使用される。具体的には、供給ガスが、第2のガス容器118内に貯蔵され得る。供給ガスの流量は、第2のMFC117によって制御される。供給ガスは、第2のガス入口116を介して入る。第2のガス入口116は、供給チャネル143に連通している。したがって、2つのガス入口を通るガスの流量は、別々に制御され得る。
【0049】
これらの実施形態では、ガスチャネル141と供給チャネル143とが、完全に分離されている。それによって、供給チャネル143とガスチャネル141との間に流体連通は存在しない。
【0050】
図6A~
図6Cは、2つの異なるガス容器を示しているが、単一のガス容器からのガスが供給チャネル143とガスチャネル141の両方にガスを供給するために使用されるように、1つのガス容器が両方のMFCに連通し得ることを理解されたい。言い換えると、MFC107を使用して、ガスノズル142を通るガスの流量を調節することができ、一方で、第2のMFC117を使用して、供給チャネル143を通るチャンバ100の中への供給ガスの流量を独立して制御する。このやり方で、2つの流量は、別々に制御され、それらのそれぞれの機能向けに最適化され得る。
【0051】
特定の複数の実施形態では、2つの別個のガス入口を使用することによって、2つの異なるガスを使用することが可能になる。例えば、供給ガスが、第2のガス容器118内に提供され得る。供給ガスとは異なるシールドガスが、ガス容器108内に貯蔵され得る。シールドガスは、アルゴン又はキセノンなどの不活性種であり得る。
【0052】
更に、
図6A~
図6Cは、イオン源の底壁101bに配置された供給チャネル143を示しているが、供給チャネル143の位置は変更され得ることを理解されたい。例えば、供給チャネル143は、側壁101aを介してチャンバ100に入り得る。
【0053】
上述されたのは、IHCイオン源であるイオン源である。しかし、他のイオン源も、ガスノズル142と共に使用され得る。例えば、磁化DCプラズマ源、管状カソード源、ベルナスイオン源、及び誘導結合プラズマ(ICP)イオン源も、ガスチャネル及びガスノズルを使用することができる。したがって、抽出プレートは、様々な異なるプラズマ生成器を有するイオン源と共に使用されてよい。
【0054】
動作中、
図3A、
図4A、及び
図5Aで示されている複数の実施形態のための供給ガス又は
図6A~
図6Cで示されている複数の実施形態のためのシールドガスであり得るガスは、ガスチャネル141に供給され得る。ガスは、ガスチャネル141を通って移動し、ガスノズル142を通って出る。抽出開口140付近を流れるガスは、抽出開口140を通して抽出されているリボンイオンビームを圧縮する傾向がある。抽出されるイオンビームの高さの均一性を改善するために、X方向に沿った抽出開口140の異なる部分において、その流量は異なり得る。例えば、抽出されるイオンビームの高さが従来最も大きかった領域において、大きなガスノズルが採用され得る。
図6A~
図6Cで示されているような幾つかの実施形態では、ガスノズル142を通るガスの流量が、第2のMFC117によって制御される供給ガスの流量とは独立して、MFC107を使用して調節され得る。
【0055】
本システムは、多くの利点を有する。抽出開口付近でガス(供給ガス又はシールドガスのいずれか)を流すことができれば、抽出されているリボンイオンビームの整形が容易になり得る。具体的には、高さ方向においてイオンの流れが圧縮され得る。従来、イオン源から抽出されるリボンイオンビームは、プラズマの形状及びイオン源の内側の化学的性質の結果として、高さが不均一になることがあった。一般的な不均一プロファイルを考慮してイオンの一部の流れを圧縮又はブロックすることによって、高さ方向においてより均一なリボンイオンビームを抽出することが実現され得る。
【0056】
本開示は、本明細書で説明される特定の複数の実施形態による範囲には限定されない。実際、本明細書に記載のものに加えて、本開示の他の様々な実施形態及び修正例が、前記載及び添付図面から当業者には明らかだろう。このため、そのような他の実施形態及び修正例は、本開示の範囲内に含まれると意図される。更に、本明細書では、本開示を、特定の目的のための特定の環境における特定の実施態様の文脈で説明したが、当業者は、その有用性がそれに限定されず、本開示が、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実装され得ることを認識するであろう。したがって、以下で説明される特許請求の範囲は、本明細書に記載した本開示の範囲及び精神を最大限広く鑑みた上で解釈されたい。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と前記第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、
ガスチャネルに連通するガス入口、
前記チャンバに供給ガスを供給するために前記ガス入口に連通する供給チャネル、並びに、
前記抽出開口付近で前記チャンバ内に配置されたガスノズルであって、前記抽出開口付近に前記供給ガスの流れを提供するために前記ガスチャネルに連通するガスノズルを備える、イオン源。
【請求項2】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは前記側壁内に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは、前記側壁の内面又は外面に近接して配置されたチューブを含む、請求項1に記載のイオン源。
【請求項4】
前記抽出プレート内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記ガスチャネルに連通するプレートガスチャネルを更に備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出プレートの内面に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項5】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスノズルは、前記抽出プレートに近接した前記側壁の内面に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項6】
前記抽出プレートは、面板、及び前記チャンバの内部と前記面板との間に配置された抽出ライナーを備え、前記抽出ライナーは、前記抽出ライナーと前記面板との間に間隙が存在するように形成され、前記間隙は、前記ガスチャネルに連通し、前記イオン源は、更に、前記抽出ライナー内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記間隙に連通するプレートガスチャネルを備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出ライナーの表面に配置されている、請求項1に記載のイオン源。
【請求項7】
前記ガスノズルの寸法は、抽出されるリボンイオンビームの高さの均一性を改善するために、前記抽出開口の前記幅に沿って変化する、請求項1に記載のイオン源。
【請求項8】
前記プラズマ生成器は、間接加熱カソード(IHC)を備える、請求項1に記載のイオン源。
【請求項9】
請求項1に記載のイオン源、
質量分析器、及び
プラテンを備える、イオン注入システム。
【請求項10】
第1の端部、第2の端部、及び前記第1の端部と第2の端部とを接続する複数の壁を備えるチャンバであって、前記複数の壁のうちの1つは、高さよりも大きい幅を有する抽出開口を有する抽出プレートである、チャンバ、
前記チャンバ内でプラズマを生成するためのプラズマ生成器、
ガスチャネルに連通するガス入口、
前記抽出開口付近に配置されたガスノズルであって、前記ガスチャネルに連通するガスノズル、並びに
前記チャンバに供給ガスを供給するために供給チャネルに連通する第2のガス入口を備える、イオン源であって、
前記供給チャネルと前記ガスチャネルとは、互いに流体連通していない、イオン源。
【請求項11】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは前記側壁内に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項12】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスチャネルは、前記側壁の内面又は外面に近接して配置されたチューブを含む、請求項10に記載のイオン源。
【請求項13】
前記抽出プレート内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記ガスチャネルに連通するプレートガスチャネルを更に備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出プレートの内面に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項14】
前記複数の壁は、前記抽出プレートに対向する底壁、及び前記抽出プレートに隣接する側壁を含み、前記ガスノズルは、前記抽出プレートに近接した前記側壁の内面に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項15】
前記抽出プレートは、面板、及び前記チャンバの内部と前記面板との間に配置された抽出ライナーを備え、前記抽出ライナーは、前記抽出ライナーと前記面板との間に間隙が存在するように形成され、前記間隙は、前記ガスチャネルに連通し、前記イオン源は、更に、前記抽出ライナー内に配置されたプレートガスチャネルであって、前記間隙に連通するプレートガスチャネルを備え、前記ガスノズルは、前記抽出開口に近接した前記抽出ライナーの表面に配置されている、請求項10に記載のイオン源。
【請求項16】
前記ガス入口に流体連通する第1のガス容器、及び前記第2のガス入口に流体連通する第2のガス容器を更に備える、請求項10に記載のイオン源。
【請求項17】
第1のマスフローコントローラと第2のマスフローコントローラとに流体連通するガス容器を更に備え、前記第1のマスフローコントローラは、前記ガス入口を通る流量を制御し、前記第2のマスフローコントローラは、前記第2のガス入口を通る流量を制御し、前記ガス入口を通る前記流量と前記第2のガス入口を通る前記流量とは、独立して制御される、請求項10に記載のイオン源。
【請求項18】
前記ガスノズルの寸法は、抽出されるリボンイオンビームの高さの均一性を改善するために、前記抽出開口の前記幅に沿って変化する、請求項10に記載のイオン源。
【請求項19】
前記プラズマ生成器は、間接加熱カソード(IHC)を備える、請求項10に記載のイオン源。
【請求項20】
請求項10に記載のイオン源、
質量分析器、及び
プラテンを備える、イオン注入システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
【
図1】一実施形態によるイオン源のブロック図を示す。
【
図2】
図1のIHCイオン源を使用するイオン注入システムのブロック
図である。
【
図3A】一実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図4A】別の一実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図5A】第3の実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図6A】更なる実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図6B】更なる実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【
図6C】更なる実施形態によるイオン源の断面図を示す。
【国際調査報告】