(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-06
(54)【発明の名称】半導体プロセスレシピの取得方法、システム及び半導体プロセス装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20241029BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241029BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523932
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-22
(86)【国際出願番号】 CN2022128199
(87)【国際公開番号】W WO2023078170
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111302143.4
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン ユエンウェイ
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BD04
5F004BD05
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA08
5F004DA00
5F004DB01
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
(57)【要約】
本開示は、半導体プロセス装置、トレイ及びカセットを提供し、半導体機器の分野に関する。半導体プロセス装置は、プロセスチャンバ、搬送チャンバ及びロードチャンバを含み、ロードチャンバはカセットを収容するために用いられ、カセットはトレイを載置するために用いられ、搬送チャンバ内にはプロセスチャンバとロードチャンバと間でトレイを搬送するための搬送装置が設けられ、ロードチャンバと搬送チャンバとの境界部には、搬送装置がトレイを移動させる過程でトレイにおける所定の特徴画像を認識してトレイの特徴情報を決定するための画像認識装置が設けられ、半導体プロセス装置は、特徴情報を取得し、特徴情報に対応する搬送パラメータを所定のトレイ情報ライブラリから検索し、搬送装置を制御して搬送パラメータに応じてトレイを搬送するためのコントローラをさらに含む。トレイは、半導体プロセス装置に適用される。カセットは、トレイを載置するために用いられる。本願は、搬送精度が低く、手間がかかるなどの問題を解決することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセスレシピの取得方法であって、
プロセスに必要な1つのプロセスパラメータ群を構築されたディープニューラルネットワークモデルにランダムに入力し、前記プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標を取得するステップであって、前記プロセスパラメータ群は複数のプロセスパラメータを含み、前記ディープニューラルネットワークモデルは訓練済みの多層ディープニューラルネットワークであり、前記ディープニューラルネットワークモデルは入力層、少なくとも1つの中間層及び出力層を含み、前記入力層は前記プロセスパラメータ群を入力するために用いられ、前記出力層は前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標を出力するために用いられるステップと、
各前記プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断するステップと、
YESであると、前記プロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用するステップと、
NOであると、前記プロセス要件に応じて、前記出力層から前記入力層への方向に沿って、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて、前記入力層において前記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで各前記中間層における固有値及び前記入力層における各前記プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し、前記プロセス要件を満たすプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用するステップと、を含むことを特徴とする半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項2】
前記ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、
前記プロセスパラメータ群に含まれるプロセスパラメータの数及び前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標の数に応じて、前記ディープニューラルネットワークモデルの層数及び構造を決定するステップであって、前記中間層の数は前記プロセスパラメータの数と前記プロセス結果評価指標の数との差であり、前記ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークは複数のニューロンを含み、前記入力層から前記出力層への方向に沿って、隣接するディープニューラルネットワーク間で1つのニューロンが順次逓減し、各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンに接続され、各プロセスパラメータは前記入力層における1つのニューロンの入力特徴とし、前記中間層の各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンの出力特徴を演算するために用いられ、前記出力層における各ニューロンの出力特徴は前記プロセス結果評価指標であり、前記プロセスパラメータ群に含まれる前記プロセスパラメータの数は前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標の数よりも大きいステップと、
前記ディープニューラルネットワークモデルの層数に応じて、前記ディープニューラルネットワークモデルで実行されるアクティベーション関数を与えるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項3】
前記ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、
プロセスデータベースを訓練データとして、深層学習方法を使用して前記ディープニューラルネットワークモデルを訓練するステップであって、前記プロセスデータベースは特定のプロセスの履歴プロセスパラメータデータ及び履歴プロセス結果データを含むステップと、
前記アクティベーション関数の訓練結果に応じて前記ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークの重み項とバイアス項を決定するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項4】
勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて各前記中間層における固有値及び前記入力層における各プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化する前記ステップは、
前記プロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標を前記出力層から見つけるステップS1と、
相違度が最も大きいプロセス結果評価指標に関連する前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを前記出力層に隣接する中間層から見つけるステップS2と、
前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値と前記バイアス項の数値を固定し、前記出力層における相違度の最も大きいプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整するステップS3と、
このとき、ほかのプロセス結果評価指標には前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないほかのプロセス結果評価指標があると、前記出力層におけるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすまで前記ステップS1~前記ステップS3を繰り返すと同時に、前記中間層における各プロセスパラメータの固有値を決定するステップS4と、
前記ステップS4で取得された前記中間層における各プロセスパラメータの固有値に基づいて、前記出力層から前記入力層への方向に沿って、前記入力層において前記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法を使用してほかの中間層における各プロセスパラメータの固有値及び前記入力層におけるプロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し続けるステップS5と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項5】
前記ステップS3の後、前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断し、満たすと、前記ステップS4を実行するステップと、満たさないと、前記ステップS3で調整及び最適化によって取得された前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを固定し、
前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標に関連する前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータを前記出力層に隣接する中間層から見つけるステップS6と、
前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値を固定し、前記出力層における前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整するステップS7と、を実行するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項6】
前記ステップS5の後、
前記プロセス結果評価指標に関連するすべてのプロセスパラメータを最適化及び調整した後、前記出力層には前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないプロセス結果評価指標がまだあると、
各プロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度の二乗和が最も小さいことを可能にするプロセスパラメータを選択して新たなプロセスパラメータ群を形成し、前記新たなプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとするステップS8をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項7】
前記勾配アルゴリズムの計算式は下記の式であることを特徴とする請求項1、4~6のいずれか1項に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
x
i=x
i-θ×(∂y/∂x
i)
(式中、x
iは中間層における調整されたプロセスパラメータ、yは調整されたプロセス結果評価指標、θは調整ステップである。)
【請求項8】
前記相違度は下記の式によって計算され、
前記設定された要件として、前記プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度は0~10%であることを特徴とする請求項1、4~6のいずれか1項に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
Δ=|(y-y
実際)/y
実際|
(式中、Δはプロセス結果評価指標と設定されたプロセス要件との相違度、yはディープニューラルネットワークモデルから出力されたプロセス結果評価指標、y
実際は与えられたプロセス要件である。)
【請求項9】
半導体プロセスレシピの自動取得システムであって、
訓練済みの多層構造のディープニューラルネットワークであり、入力されたプロセスパラメータに基づいて、前記プロセスパラメータ群に対応する正確なプロセス結果評価指標を出力することが可能であるディープニューラルネットワークモデルと、
請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体プロセスレシピの取得方法を実行するための計算モジュールと、を含むことを特徴とする半導体プロセスレシピの自動取得システム。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体プロセスレシピの自動取得システムを含むことを特徴とする半導体プロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造の技術分野に関し、より具体的には、半導体プロセスレシピの取得方法、システム及び半導体プロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクス製造の分野では、プラズマエッチングはデバイス加工過程における1つの重要なプロセスである。例えば、トランジスタディスクリートデバイスにトレンチゲートをエッチングすることで、デバイスの短チャネル効果を抑制し、チャネルの電子散乱によって引き起こされる移動度の低下などの問題を解決することができ、従って、トランジスタディスクリートデバイスは、従来の平面ゲートからトレンチゲートへの変革を遂げているとともに、シリコンベースと炭化シリコンベースの金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)デバイスに適用され、また例えば、トランジスタディスクリートデバイスにスーパージャンクションをエッチングすることで、導通抵抗を効果的に低減し、デバイスのスイッチング速度を向上させることができ、横方向構造のスーパージャンクションを採用するときの駆動電流が小さいため、市場の主流製品は垂直構造のスーパージャンクションを採用したものであり、プロセス技術は、マルチエピタキシャルプロセスからディープトレンチプロセスへと発展しており、従って、シリコン深掘りエッチングを採用する必要があり、さらに例えば、窒化ガリウムの高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)デバイスでは、ノーマリオフデバイスを実現するための方法の1つとして、ゲートに凹溝(gate recess)をエッチングし、凹溝によってゲートの窒化ガリウムの表面エネルギー準位を変更することによってデバイスのノーマリオフを実現する。元々トレンチエッチングを行う必要があるディスクリートデバイスも高アスペクト比と高垂直性へと発展しており、例えば、従来のシリコンコンデンサデバイスでは、トレンチが深いほど、デバイスのスペースをより効果的に利用でき、容量値を増加させ、垂直性が高いほど、実際のデバイスが理論モデルと一致し、設計要件をより良く満たすことができ、さらに例えば、アドバンスドパッケージングでは、シリコン貫通ビア(TSV:Through Silicon Vias)構造をエッチングすることで、デバイスの性能を向上させ、消費電力を削減し、デバイスを小型化することができる。
【0003】
従って、半導体ディスクリートデバイスやアドバンスドパッケージングなどの分野の発展によって、シリコン深掘りエッチングの要件がますます高くなっている。シリコン深掘り微細構造は、アスペクト比が大きく垂直性が高いため、従来のウェットエッチングでは形成することが困難であり、ドライエッチング方法で形成される必要がある。深く垂直なシリコン微細構造を得るためには、時間で分割されたドライエッチングプロセスである「Bosch」プロセスが主に使用される。該プロセスは、フルオロカーボンポリマーをプラズマで誘起することで側壁パッシベーション保護とフッ素系プラズマの化学反応を提供して下へシリコンをエッチングし、側壁パッシベーション保護(堆積ステップ)とフッ素系プラズマ化学反応(エッチングステップ)は交互に行われる。「Bosch」プロセスは堆積とエッチングを交互に行うため、必然的にスカラップ構造が形成され、側壁粗さが大きくなる。
【0004】
一般には、シリコン深掘り構造の上部にあるスカラップは、寸法が最も大きく、側壁が最も粗く、顕著なスカラップや横方向のしわが見える。従って、シリコン深掘り構造の上部の粗さを小さくする方法を見つける必要がある。側壁粗さを考慮することに加えて、エッチング形態(側壁角度)に常に注意を払い、その理由として、シリコン深掘り構造の形成後、プラズマはシリコン深掘り構造に侵入し難く、エッチング後の生成物もシリコン深掘り構造から抽出され難く、上部が大きく下部が小さいシリコン深掘り構造を形成しやすい場合が多く、このとき、プロセスパラメータを調整することでプラズマの平均自由行程を改善し、プラズマのウエハへの移動を助ける必要がある。また、エッチング深さ、エッチング速度、マスク選択比などもシリコン深掘りエッチング効果の品質を評価する指標であり、良好なシリコン深掘りエッチング効果を得るためには、プロセスパラメータを最適化し、即ち、プロセスレシピを調整する必要があり、現在、主にプロセス担当者は手動で様々なレシピを1つずつ試することで、プロセス要件を満たすことができるレシピを決定し、このプロセスは、非常に複雑で非効率的であり、自動化を実現できない場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、所定のプロセス要件に応じて対応するプロセスレシピを自動的に取得し、プロセスレシピの取得効率を向上する半導体プロセスレシピの取得方法、システム及び半導体プロセス装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、
プロセスに必要な1つのプロセスパラメータ群を構築されたディープニューラルネットワークモデルにランダムに入力し、前記プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標を取得するステップであって、前記プロセスパラメータ群は複数のプロセスパラメータを含み、前記ディープニューラルネットワークモデルは訓練済みの多層ディープニューラルネットワークであり、前記ディープニューラルネットワークモデルは入力層、少なくとも1つの中間層及び出力層を含み、前記入力層は前記プロセスパラメータ群を入力するために用いられ、前記出力層は前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標を出力するために用いられるステップと、
各前記プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断するステップと、
YESであると、前記プロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用するステップと、
NOであると、前記プロセス要件に応じて、前記出力層から前記入力層への方向に沿って、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて、前記入力層において前記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで各前記中間層における固有値及び前記入力層における各前記プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し、前記プロセス要件を満たすプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用するステップと、を含む半導体プロセスレシピの取得方法を提供する。
【0007】
選択可能に、前記ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、
前記プロセスパラメータ群に含まれるプロセスパラメータの数及び前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標の数に応じて、前記ディープニューラルネットワークモデルの層数及び構造を決定するステップであって、前記中間層の数は前記プロセスパラメータの数と前記プロセス結果評価指標の数との差であり、前記ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークは複数のニューロンを含み、前記入力層から前記出力層への方向に沿って、隣接するディープニューラルネットワーク間で1つのニューロンが順次逓減し、各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンに接続され、各プロセスパラメータは前記入力層における1つのニューロンの入力特徴とし、前記中間層の各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンの出力特徴を演算するために用いられ、前記出力層における各ニューロンの出力特徴は前記プロセス結果評価指標であり、前記プロセスパラメータ群に含まれる前記プロセスパラメータの数は前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標の数よりも大きいステップと、
前記ディープニューラルネットワークモデルの層数に応じて、前記ディープニューラルネットワークモデルで実行されるアクティベーション関数を与えるステップと、を含む。
【0008】
選択可能に、前記ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、
プロセスデータベースを訓練データとして、深層学習方法を使用して前記ディープニューラルネットワークモデルを訓練するステップであって、前記プロセスデータベースは特定のプロセスの履歴プロセスパラメータデータ及び履歴プロセス結果データを含むステップと、
前記アクティベーション関数の訓練結果に応じて前記ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークの重み項とバイアス項を決定するステップと、をさらに含む。
【0009】
選択可能に、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて各前記中間層における固有値及び前記入力層における各プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化する前記ステップは、
前記プロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標を前記出力層から見つけるステップS1と、
相違度が最も大きいプロセス結果評価指標に関連する前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを前記出力層に隣接する中間層から見つけるステップS2と、
前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値と前記バイアス項の数値を固定し、前記出力層における相違度の最も大きいプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整するステップS3と、
このとき、ほかのプロセス結果評価指標には前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないほかのプロセス結果評価指標があると、前記出力層におけるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすまで前記ステップS1~前記ステップS3を繰り返すと同時に、前記中間層における各プロセスパラメータの固有値を決定するステップS4と、
前記ステップS4で取得された前記中間層における各プロセスパラメータの固有値に基づいて、前記出力層から前記入力層への方向に沿って、前記入力層において前記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法を使用してほかの中間層における各プロセスパラメータの固有値及び前記入力層におけるプロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し続けるステップS5と、を含む。
【0010】
選択可能に、前記ステップS3の後、前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断し、満たすと、前記ステップS4を実行するステップと、満たさないと、前記ステップS3で調整及び最適化によって取得された前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを固定し、
前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標に関連する前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータを前記出力層に隣接する中間層から見つけるステップS6と、
前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値を固定し、前記出力層における前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整するステップS7と、を実行するステップと、をさらに含む。
【0011】
選択可能に、前記ステップS5の後、
前記プロセス結果評価指標に関連するすべてのプロセスパラメータを最適化及び調整した後、前記出力層には前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないプロセス結果評価指標がまだあると、
各プロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度の二乗和が最も小さいことを可能にするプロセスパラメータを選択して新たなプロセスパラメータ群を形成し、前記新たなプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとするステップS8をさらに含む。
【0012】
選択可能に、前記勾配アルゴリズムの計算式は下記の式である。
【0013】
xi=xi-θ×(∂y/∂xi)
式中、xiは中間層における調整されたプロセスパラメータ、yは調整されたプロセス結果評価指標、θは調整ステップである。
【0014】
選択可能に、前記相違度は下記の式によって計算され、
前記設定された要件として、前記プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度は0~10%である。
【0015】
Δ=|(y-y実際)/y実際|
式中、Δはプロセス結果評価指標と設定されたプロセス要件との相違度、yはディープニューラルネットワークモデルから出力されたプロセス結果評価指標、y実際は与えられたプロセス要件である。
【0016】
第2態様では、本発明は、
訓練済みの多層構造のディープニューラルネットワークであり、入力されたプロセスパラメータに基づいて、前記プロセスパラメータ群に対応する正確なプロセス結果評価指標を出力することが可能であるディープニューラルネットワークモデルと、
第1態様に記載の半導体プロセスレシピの取得方法を実行するための計算モジュールと、を含む半導体プロセスレシピの自動取得システムをさらに提供する。
【0017】
第3態様では、本発明は、第2態様に記載の半導体プロセスレシピの自動取得システムを含む半導体プロセス装置をさらに提供する。
【0018】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0019】
本発明は、プロセス要件が与えられている場合、構築されたディープニューラルネットワークモデルに基づいて、設定されたプロセス要件に応じて、出力層から入力層への方向に沿って、ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標がプロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を実際のプロセスのプロセスレシピとして逆方向に導出するまで勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法を使用して各中間層における固有値及び入力層のプロセスパラメータ群を層ごとに最適化及び調整し、本発明は、プロセスレシピパラメータの手動デバッグを繰り返す従来の方法に比べて、プロセス要件に応じてディープニューラルネットワークモデルによってプロセス要件を満たすプロセスレシピパラメータを自動的に出すことができ、プロセスレシピの取得効率を向上させるとともに、エッチング装置の自動化程度を向上させる。
【0020】
本発明のシステムは、ほかの特性及び利点を有し、これらの特性及び利点は本明細書に組み込まれている図面及び後の具体的な実施形態から明らかになるか、又は本明細書に組み込まれている図面及び後の具体的な実施形態において詳しく説明され、これらの図面及び具体的な実施形態はともに本発明の特定の原理を解釈するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図面を参照しながら本発明の例示的な実施例をより詳しく説明することにより、本発明の上記及びほかの目的、特徴及び利点がより明らかになり、本発明の例示的な実施例では、同じ符号は通常、同じ部材を示す。
【0022】
【
図1】従来技術1におけるフォトリソグラフィ装置に適用されるディープニューラルネットワークモデルの模式図である。
【
図2】従来技術3におけるエッチングプロセス結果を予測するニューラルネットワークモデルの模式図である。
【
図3A】本発明の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法のステップのフローチャートである。
【
図3B】本発明の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法のステップの別のフローチャートである。
【
図3C】本発明の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法のステップのさらに別のフローチャートである。
【
図3D】本発明の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法の1つの具体的な実施例のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるディープニューラルネットワークモデルの模式図である。
【
図5】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法における3ミクロンの限界寸法を持つエッチングプロセス模式図である。
【
図6】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるチャンバ圧力の溝エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図7】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるエッチングステップの下部電極の最終電力の溝エッチングプロセス結果評価指標に対する影響模式図である。
【
図8】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるエッチングステップ最終時間の溝エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図9】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法における堆積ステップ最終時間の溝エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図10】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるエッチングステップのSF
6吸気の溝エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図11】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法における堆積ステップのC
4F
8吸気の溝エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図12】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法における溝エッチングプロセス要件のSEM図である。
【
図13】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるチャンバ圧力の孔エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図14】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるエッチングステップの下部電極の最終電力の孔エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図15】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるエッチングステップ最終時間のエッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図16】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法における堆積ステップ最終時間の孔エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図17】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におけるエッチングステップのSF
6吸気の孔エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図18】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法におおける堆積ステップのC
4F
8吸気の孔エッチングプロセス結果評価指標に対する影響の模式図である。
【
図19】本発明の1つの具体的な実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法における孔エッチングプロセス要件のSEM図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
従来技術1は、フォトリソグラフィ装置に適用されるディープニューラルネットワークモデルを開示し、該ディープニューラルネットワークモデルは
図1に示される。該手段は深層学習を完了するディープニューラルネットワークモデルに基づいて、モデルに入力されたフォトリソグラフィプロセスパラメータに応じてフォトリソグラフィプロセス結果を自動的に出力することができる。
【0024】
ディープニューラルネットワークモデルは、従来技術であり、具体的には、まず、モデルのアクティベーション関数を定義し、入力層のパラメータに対して線形変換を行う必要があり、y=f(Σiwixi+b)であり、式中、xiは入力固有ベクトル(feature)、wiは各固有値の重み(weight)、bはバイアス項(bias)である。これは1層のみを有する最も簡単なニューラルネットワークの場合であり、多層ニューラルネットワークが存在する場合、2層のモデルアクティベーション関数はy=g(Σjwjf(Σiwixi+b1)+b2)に変換され、3層のモデルアクティベーション関数はy=h(Σkwkg(Σjwjf(Σiwixi+b1)+b2)+b3)に変換され、以下同様である。
【0025】
次に、該モデルのアクティベーション関数を使用して得られた入力出力値(xi,y)と実際のデータセット(xi,yr)との偏差二乗和に応じて目的関数J(wi,b)=(Σiwixi+b-yr)2を定義し、n個の実際のデータセット(xi,n,yr,n)が存在すると、目的関数に対して算術平均を行う必要があり、J(wi,b)=(1/n)Σn(Σiwixi,n+b-yr,n)2である。
【0026】
ニューラルネットワークモデルでは、データ訓練は重要な一環であり、主にパラメータの最適化に関し、現在、主流のオプティマイザーには、主として確率的勾配降下法、モーメンタム付き確率的勾配降下法及びAdam最適化方法などの3種類がある。確率的勾配降下法を例とし、そのアルゴリズムは、wi=wi-η×[∂J(wi,b)/∂wi]、b=b-η×[∂J(wi,b)/∂b]である。
【0027】
即ち、関連パラメータに対して偏導関数計算を行い、毎回ステップηと偏導関数との積に従って移動し、最終的に、目的関数が最小値を取得し、即ち、モデルによって予測されるデータと実際値との偏差は最も小さいまで安定する。多層ニューラルネットワークの場合、層ごとに逆方向に実行して各層の目的関数を最小値にすることができ、即ち、モデルによって予測されるデータと実際値との偏差はいずれも最も小さい。
【0028】
発明者は、研究をしたところ、従来技術1に以下の問題があることを見出した。
【0029】
ニューラルネットワークモデルは、順方向の学習及び予測のみを提供し、即ち、プロセスパラメータレシピからプロセス結果を順方向に導出するしかできず、順方向導出を行う際に、勾配最適化アルゴリズムにおける変数は重み値wiであり、プロセス要件に応じてプロセスパラメータを取得する逆方向導出を実現できず、且つ機械の自動化を伴わない。
【0030】
フォトリソグラフィ装置は、精度要件が高く、且つそのオプティマイザーのアルゴリズムが複雑である(一方、エッチング装置などのほかの半導体プロセス装置は、計算処理速度に対して精度要件に一定の許容範囲を持っている)。
【0031】
従来技術2は、自己無撞着反復方法を開示し、即ち、超越方程式を解くときに解析解を得ることができず、数値解しか得られず、数値解を求めるときに連続反復方法を使用し、最終的に最適解に収束して自己無撞着を形成する。
【0032】
方程式のある演算子が未知数の関数である場合、自己無撞着反復方法を使用するしかできず、まず、仮定された1組の未知数の数値に対して演算子を求め、元の方程式に代入して該未知数の別の組の数値解を得て、仮定された未知数の数値が最後に算出された未知数の数値と完全に一致し、即ち、自己無撞着になるまで繰り返し、この方法は、量子化計算分野でハートリー-フォック方程式を解くときに使用される。
【0033】
該方法は、現在、ニューラルネットワークモデルには適用されておらず、半導体プロセス装置の分野にも適用されていない。
【0034】
従来技術3は、エッチングプロセス結果を予測するニューラルネットワークモデルを開示し、
図2に示すように、発明者は、研究をしたところ、該手段に1層のみのニューラルネットワークモデルが使用され、ディープニューラルネットワークではなく普通のニューラルネットワークに属し、エッチングプロセス結果を予測するしかできず、エッチングプロセス結果からプロセスパラメータを逆方向に導出することができない。
【0035】
本発明は、ソフトウェアアルゴリズムを使用して実際のプロセス要件に応じて関連プロセス(例えば、ドライエッチングなど)時のプロセスレシピを自動的に提供することができる。具体的な応用では、ユーザーが特定のエッチング深さ、側壁角度、側壁粗さ、及びマスク選択比のシリコン深掘り構造を得る必要があり、且つ特定のエッチング速度で完了することを期待する場合、本発明の手段によって、チャンバ圧力、上部・下部電極電力、吸気流量及びエッチング時間などの対応するプロセスパラメータレシピを自動的に出すことができる。
【0036】
以下、図面を参照して本発明をより詳しく説明する。図面には本発明の好ましい実施例が示されるが、本発明はここに記載の実施例に限定されるものではなく、様々な形態で実現され得ることを理解すべきである。むしろ、これらの実施例は、本発明をより明確かつ完全なものにし、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることができるために提供される。
【0037】
図3A~
図3Dは、本発明の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法のステップのいくつかのフローチャートである。
図3A~
図3Dと併せて参照すると、半導体プロセスレシピの取得方法は、以下のステップS101~S104を含む。
【0038】
ステップS101:プロセスに必要な1つのプロセスパラメータ群(複数のプロセスパラメータを含む)を構築されたディープニューラルネットワークモデルにランダムに入力し、該プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標を取得する。
【0039】
ディープニューラルネットワークモデルは訓練済みの多層ディープニューラルネットワークであり、該ディープニューラルネットワークモデルは入力層、少なくとも1つの中間層及び出力層を含み、入力層はプロセスパラメータ群を入力するために用いられ、出力層は該プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標を出力するために用いられる。つまり、入力層、少なくとも1つの中間層及び出力層のそれぞれは1層のディープニューラルネットワークである。
【0040】
具体的には、上記ステップS101の前に、まず、ディープニューラルネットワークモデルを構築し、
図3Bに示すように、該ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、以下のステップS201~S202を含む。
【0041】
ステップS201:プロセスパラメータ群に含まれるプロセスパラメータの数及びプロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標の数に応じて、ディープニューラルネットワークモデルの層数及び構造を決定する。
【0042】
ディープニューラルネットワークモデルは入力層、少なくとも1つの中間層及び出力層を含み、中間層の数はプロセスパラメータ群に含まれるプロセスパラメータの数と該プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標の数との差であり、ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークは複数のニューロンを含み、入力層から出力層への方向に沿って、隣接するディープニューラルネットワーク間で1つのニューロンが順次逓減し、各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンに接続され、各プロセスパラメータは入力層における1つのニューロンの入力特徴とし、中間層の各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンの出力特徴を演算するために用いられ、出力層における各ニューロンの出力特徴は対応するプロセス結果評価指標であり、プロセスパラメータ群に含まれるプロセスパラメータの数は該プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標の数よりも大きい。
【0043】
ステップS202:ディープニューラルネットワークモデルの層数に応じて、ディープニューラルネットワークモデルで実行されるアクティベーション関数を与える。
【0044】
本実施例のディープニューラルネットワークモデルは
図4に示される。その後、選択可能に、該ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、以下のステップS203~S204をさらに含む。
【0045】
ステップS203:プロセスデータベースを訓練データとして、深層学習方法を使用してディープニューラルネットワークモデルを訓練する。
【0046】
該プロセスデータベースは特定のプロセスの履歴プロセスパラメータデータ及び履歴プロセス結果データを含む。
【0047】
ステップS204:アクティベーション関数の訓練結果に応じてディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークの重み項とバイアス項を決定し、最終的にディープニューラルネットワークモデルの構築を完了する。
【0048】
具体的な実施過程では、エッチング装置などの半導体分野の加工機械の場合、プロセス結果評価指標の数は一般にプロセスパラメータの数よりも少ない。従って、従来技術1に開示されているニューラルネットワークモデルの構築方法を基に、本発明のディープニューラルネットワークモデルを構築することができる。
【0049】
ニューラルネットワークモデルの層数は、入力変数の数(プロセスパラメータの数)と出力変数の数(プロセス結果評価指標の数)との差によって決定され、各層のディープニューラルネットワーク間で1つの中間特徴変数が逓減し、
図4に示すように、エッチング装置を例とする場合、入力されたプロセスパラメータ群にはチャンバ圧力、上部電極電力、下部電極電力、SF
6流量、O
2流量及びエッチング時間を含む6つのプロセスパラメータ、即ち6つの変数があり、最終的に取得された、該プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果にはエッチング深さ、側壁角度及びエッチング速度を含む3つの評価指標があると、2層の中間特徴変数を有するディープニューラルネットワークモデル(3層ディープニューラルネットワーク)を構築する。
【0050】
平常時に取得されたプロセスパラメータとプロセス結果のプロセスデータベースをモデルの深層学習訓練に使用し、従来技術1と同様の最適化アルゴリズムを使用して最適なモデル関数y=h(Σkwkg(Σjwjf(Σiwixi+b1)+b2)+b3)を求めることができ、即ち、プロセスパラメータとプロセス結果とのモデル関係が取得される。
【0051】
実際の問題では、プロセス結果/プロセス要件が既知である場合、好ましいプロセスレシピを逆方向に導出する必要があり、本発明のディープニューラルネットワークモデルからわかるように、プロセス結果の指標の数がプロセスレシピにおけるプロセスパラメータの数よりも少ないため、該問題は不定方程式を解くことに相当し、理論的には無限の解があり、従って、最適解を迅速に出すために、本発明は自己無撞着反復方法を使用して最適解を求める。
【0052】
ステップS102:各プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断する。
【0053】
ステップS103:YESであると、入力された上記プロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用する。
【0054】
具体的には、ステップS101~ステップS103では、まず、1つのプロセスパラメータ群(複数のプロセスパラメータxiを含む)をディープニューラルネットワークモデルの入力層における各ニューロンの入力特徴としてランダムに与え、ディープニューラルネットワークモデルの出力層から出力されたプロセス結果評価指標yをプロセス要件y実際と比較し、設定された要件を満たすと、該プロセスパラメータ群を使用して実際のプロセスを行う。
【0055】
相違度は下記の式によって計算される。
【0056】
Δ=|(y-y実際)/y実際|
式中、Δはプロセス結果評価指標と設定されたプロセス要件との相違度、yはディープニューラルネットワークモデルから出力されたプロセス結果評価指標、y実際は設定されたプロセス要件であり、
選択可能に、設定された要件として、プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度は0~10%であり、好ましくは、5%である。
【0057】
ステップS104:NOであると、設定されたプロセス要件に応じて、上記出力層から入力層への方向に沿って、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて、入力層において上記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が対応して設定されたプロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで各中間層における固有値及び入力層における各プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し、上記プロセス要件を満たす該プロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用する。
【0058】
具体的には、
図3Cに示すように、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて各上記中間層における固有値及び上記入力層におけるプロセスパラメータ値を層ごとに最適化するステップは、以下のステップS301~303を含む。
【0059】
ステップS301:対応して設定されたプロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標を出力層から見つける。
【0060】
ステップS302:相違度が最も大きいプロセス結果評価指標に関連する重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを出力層に隣接する中間層から見つける。
【0061】
ステップS303:上記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値とバイアス項の数値を固定し、出力層における相違度の最も大きいプロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して該重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整する。
【0062】
ステップS303の後、以下のステップS304~S307をさらに含む。
【0063】
ステップS303で対応して調整されたプロセス結果評価指標と設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断し、満たすと、ステップS304を実行し、満たさないと、ステップS306を実行する。
【0064】
ステップS304:このとき、ほかのプロセス結果評価指標には対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないほかのプロセス結果評価指標があると、出力層におけるすべてのプロセス結果評価指標が対応して設定されたプロセス要件を満たすまでステップS301~ステップS303を繰り返すと同時に、中間層における各プロセスパラメータの固有値を決定する。
【0065】
ステップS305:ステップS304で取得された中間層における各プロセスパラメータの固有値に基づいて、出力層から入力層への方向に沿って、入力層においてディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が対応して設定されたプロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法を使用してほかの中間層における各プロセスパラメータの固有値及び入力層におけるプロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し続ける。
【0066】
ステップS306:ステップS303で調整及び最適化によって取得された数値が最も大きい重み項に対応する1つのプロセスパラメータを固定し、ステップS303で対応して調整されたプロセス結果評価指標に関連する重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータを出力層に隣接する中間層から見つける。
【0067】
ステップS307:重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値を固定し、出力層におけるステップS303で対応して調整されたプロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整する。
【0068】
別のいくつかの選択可能な実施例では、ステップS303を完了した後に、ステップS303で対応して調整されたプロセス結果評価指標と設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断せず、ステップS304を直接実行し、且つ上記ステップS306とステップS307を省略してもよい。
【0069】
好ましくは、ステップS305の後、ステップS308をさらに含んでもよい。
【0070】
ステップS308:プロセス結果評価指標に関連するすべてのプロセスパラメータを最適化及び調整した後、出力層には対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないプロセス結果評価指標がまだあると、
【0071】
各プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度の二乗和が最も小さいことを可能にするプロセスパラメータを選択して新たなプロセスパラメータ群を形成し、該新たなプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとする。
【0072】
本実施例では、勾配アルゴリズムの計算式は下記の式である。
【0073】
xi=xi-θ×(∂y/∂xi)
式中、xiは中間層における調整されたプロセスパラメータ、yは調整されたプロセス結果評価指標、θは調整ステップである。
【0074】
上記ステップ301~ステップ308の具体的な実施過程では、まず、ディープニューラルネットワークモデルの出力層から出力されたプロセス結果評価指標yをプロセス要件y実際と比較し、設定された要件を満たさないと、出力されたプロセス結果評価指標yとプロセス要件y実際との相違度Δ=|(y-y実際)/y実際|に応じて、設定されたプロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標を見つけ、該プロセス結果評価指標に対応するプロセスパラメータ群の重み項の数値wの大きさに応じて、勾配アルゴリズムxi=xi-θ×(∂y/∂xi)(θはステップである)に従って最大重み項の数値に対応するプロセスパラメータ群の特定のプロセスパラメータxiを調整し、結果が自己無撞着になり、即ち、与えられたプロセスパラメータに応じてディープニューラルネットワークモデルによって得られたプロセス結果がプロセス要件とほぼ一致する(出力されたプロセス結果評価指標は、設定されたプロセス要件の95%に達すればよく、その値は90%~100%であり得る)まで繰り返す。
【0075】
重み項の数値が最も大きいプロセスパラメータを勾配アルゴリズムに従って完全にトラバーサルしてもプロセス要件を満たすことができない場合、ステップ303で調整及び最適化によって取得された重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを固定し、重み項の数値が2番目に大きいプロセスパラメータの固有値に対して勾配アルゴリズムによる最適化を行い、以下同様であり、すべてのプロセスパラメータを完全にトラバーサルしてもプロセス要件を満たすことができない場合、プロセス結果評価指標yとプロセス要件y実際との相違度Δに応じてすべてのプロセス指標に対して二乗和が最も小さいプロセスパラメータを求めて実際のプロセスを行い、即ち、各プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度の二乗和が最も小さいことを可能にする1組のプロセスパラメータを選択して新たなプロセスパラメータ群を形成し、新たなプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとする。
【0076】
以下、エッチング装置を例として、上記自己無撞着反復法で最適解を求める過程をさらに説明する。
【0077】
まず、プロセスレシピにおける1つのプロセスパラメータ群をランダムに使用し、ディープニューラルネットワークモデルに入力して出力層においてプロセス結果を取得し、次に、設定されたプロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標をプロセス結果から見つけ、例えば、側壁角度の相違度が最も大きいことを仮定すると、このとき、前層のディープニューラルネットワークにおいて側壁角度に関連する1つの最大重み項を検索し、続いて、該重み項の数値を固定し、側壁角度が要件を満たす(例えば、設定値の95%を満たす)まで勾配アルゴリズムに従ってこの重み項の数値をステップ調整し、このとき、モデルから出力されたほかのプロセス結果評価指標も変化している可能性があり、ほかのプロセス結果評価指標も設定されたプロセス要件を超える場合、すべてのプロセス結果評価指標が設定されたプロセス要件を満たすまで上記方法と同様に該プロセス結果評価指標を最適化すると同時に、プロセス結果評価指標の値に隣接する1組の中間層におけるプロセスパラメータの固有値も取得し、以下同様に、
図4において最左側の入力層であるプロセスレシピにおける上記プロセスパラメータ群のデータを取得するまで同様な方法で該中間層におけるプロセスパラメータの固有値を最適化する。
【0078】
本発明の実施例は、
訓練済みの多層構造のディープニューラルネットワークであり、入力されたプロセスパラメータ群に基づいて、該プロセスパラメータ群に対応する正確なプロセス結果評価指標を出力することが可能であるディープニューラルネットワークモデルと、
以上の実施例に係る半導体プロセスレシピの取得方法を実行するための計算モジュールと、を含む半導体プロセスレシピの自動取得システムをさらに提供する。
【0079】
本発明は、以上の実施例の半導体プロセスレシピ取得システムを含む半導体プロセス装置をさらに提供する。
【0080】
本発明の手段では、プロセス要件に応じて、ソフトウェアによって対応するプロセスレシピを自動的に出すことができ、エッチング装置の自動化程度を向上させる。即ち、元々プロセスエンジニアが経験に従ってプロセスパラメータを入力し且つデバッグを繰り返すことから、プロセス要件を直接入力し、さらにソフトウェアによって対応するプロセスレシピを出すことへの進化を遂げる。
【0081】
以下、具体的な実施例をもって本発明をさらに解釈及び説明する。
【0082】
具体的な実施例
本発明をエッチング装置に適用し、具体的なプロセスは3ミクロンの限界寸法(Critical dimension)を持つエッチングプロセスを実現することであった。限界寸法が3ミクロンのエッチングプロセスは
図5に示される。
【0083】
該エッチングパターンにはBoschプロセスを使用する必要があるため、プロセスパラメータ群うちの複数のプロセスパラメータxiは、堆積ステップのチャンバ圧力、堆積ステップの上部電極中央電力、堆積ステップの上部電極エッジ電力、堆積ステップの中央C4F8流量、堆積ステップのエッジC4F8流量、堆積ステップ開始時間、堆積ステップ開始時間、エッチングステップのチャンバ圧力、エッチングステップの上部電極中央電力、エッチングステップの上部電極エッジ電力、エッチングステップの下部電極開始電力、エッチングステップの下部電極最終電力、エッチングステップの中央C4F8流量、エッチングステップエッジのC4F8流量、エッチングステップ開始時間、エッチングステップ最終時間が含まれ、プロセス評価指標yは、エッチング深さ、上部開口寸法、下部開口寸法、選択比、上部側壁粗さ(スカラップ寸法)、下部側壁粗さ(スカラップ寸法)などを含む。
【0084】
溝エッチングを例として、
図6~
図11に示すプロセスデータベースに従って、上記実施例のディープニューラルネットワークモデルを訓練する。
【0085】
図6~
図11に示すプロセスデータベースから、以下の傾向を持つモデル関数の重み項の数値を訓練することができる。
【0086】
チャンバ圧力はエッチング形態と高い相関性を示し、重み項の数値が大きく、下部電極最終(バイアス、Bias)電力も形態と高い関連性を示し、重み項の数値が大きい。
【0087】
なお、本実施例においてプロセスデータベースを自ら構築することに加えて、上記プロセスデータベースにおけるプロセス傾向も様々な文献に記載されており、従って、文献を参照することにより対応するプロセスデータベースを構築することも可能である。
【0088】
訓練済みのモデルを得た後、再帰反復方法で、
図12に示すプロセス結果に応じて、プロセス要件を満たすプロセスレシピを逆方向に導出し、例えば、エッチング角度を逆方向に導出する際に、エッチングの下部電極最終電力及びエッチングの最終シングルステップ時間と大きな関係(重み)を有し、本発明の手段によれば、これら2つのプロセスパラメータを勾配アルゴリズムで同時に最適化し、最終的に得たプロセスレシピは表1に示される。
【0089】
【0090】
*下部電極電力は、開始値から最終値に逓増する。
**シングルステップ時間は、開始値から最終値に逓増する。
【0091】
孔エッチングプロセスの場合、同様に
図13~
図18に示すプロセスデータベースを構築して上記ディープニューラルネットワークモデルを訓練し、訓練済みのモデルを得た後、再帰反復方法で、
図19に示すプロセス結果に応じてプロセスレシピを逆方向に導出し、表2に示される。
【0092】
【0093】
以上のように、本発明の手段を使用すると、エッチング装置においてプロセス結果に応じてプロセスレシピを自動的に出し、機械の自動化度を向上させることができる。なお、本発明は、エッチング装置だけでなく、PVD、CVD、炉管、洗浄機などの半導体分野のほかのプロセスにも適用できる。
【0094】
以上、本発明の各実施例を説明したが、上記説明は網羅的ではなく例示的なものであり、開示されている各実施例に限定されるものでもない。説明された各実施例の範囲及び精神から逸脱することなく、多くの修正や変更は当業者にとって明らかである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
具体的には、
図3Cに示すように、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて各上記中間層における固有値及び上記入力層におけるプロセスパラメータ値を層ごとに最適化するステップは、以下のステップS301~
S303を含む。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
上記ステップS301~ステップS308の具体的な実施過程では、まず、ディープニューラルネットワークモデルの出力層から出力されたプロセス結果評価指標yをプロセス要件y実際と比較し、設定された要件を満たさないと、出力されたプロセス結果評価指標yとプロセス要件y実際との相違度Δ=|(y-y実際)/y実際|に応じて、設定されたプロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標を見つけ、該プロセス結果評価指標に対応するプロセスパラメータ群の重み項の数値wの大きさに応じて、勾配アルゴリズムxi=xi-θ×(∂y/∂xi)(θはステップである)に従って最大重み項の数値に対応するプロセスパラメータ群の特定のプロセスパラメータxiを調整し、結果が自己無撞着になり、即ち、与えられたプロセスパラメータに応じてディープニューラルネットワークモデルによって得られたプロセス結果がプロセス要件とほぼ一致する(出力されたプロセス結果評価指標は、設定されたプロセス要件の95%に達すればよく、その値は90%~100%であり得る)まで繰り返す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
重み項の数値が最も大きいプロセスパラメータを勾配アルゴリズムに従って完全にトラバーサルしてもプロセス要件を満たすことができない場合、ステップS303で調整及び最適化によって取得された重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを固定し、重み項の数値が2番目に大きいプロセスパラメータの固有値に対して勾配アルゴリズムによる最適化を行い、以下同様であり、すべてのプロセスパラメータを完全にトラバーサルしてもプロセス要件を満たすことができない場合、プロセス結果評価指標yとプロセス要件y実際との相違度Δに応じてすべてのプロセス指標に対して二乗和が最も小さいプロセスパラメータを求めて実際のプロセスを行い、即ち、各プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度の二乗和が最も小さいことを可能にする1組のプロセスパラメータを選択して新たなプロセスパラメータ群を形成し、新たなプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
該エッチングパターンにはBoschプロセスを使用する必要があるため、プロセスパラメータ群うちの複数のプロセスパラメータxiは、堆積ステップのチャンバ圧力、堆積ステップの上部電極中央電力、堆積ステップの上部電極エッジ電力、堆積ステップの中央C4F8流量、堆積ステップのエッジC4F8流量、堆積ステップ開始時間、堆積ステップ最終時間、エッチングステップのチャンバ圧力、エッチングステップの上部電極中央電力、エッチングステップの上部電極エッジ電力、エッチングステップの下部電極開始電力、エッチングステップの下部電極最終電力、エッチングステップの中央C4F8流量、エッチングステップエッジのC4F8流量、エッチングステップ開始時間、エッチングステップ最終時間が含まれ、プロセス結果評価指標yは、エッチング深さ、上部開口寸法、下部開口寸法、選択比、上部側壁粗さ(スカラップ寸法)、下部側壁粗さ(スカラップ寸法)などを含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセスレシピの取得方法であって、
プロセスに必要な1つのプロセスパラメータ群を構築されたディープニューラルネットワークモデルにランダムに入力し、前記プロセスパラメータ群に対応するプロセス結果評価指標を取得するステップであって、前記プロセスパラメータ群は複数のプロセスパラメータを含み、前記ディープニューラルネットワークモデルは訓練済みの多層ディープニューラルネットワークであり、前記ディープニューラルネットワークモデルは入力層、少なくとも1つの中間層及び出力層を含み、前記入力層は前記プロセスパラメータ群を入力するために用いられ、前記出力層は前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標を出力するために用いられるステップと、
各前記プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断するステップと、
YESであると、前記プロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用するステップと、
NOであると、前記プロセス要件に応じて、前記出力層から前記入力層への方向に沿って、勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて、前記入力層において前記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで各前記中間層における固有値及び前記入力層における各前記プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し、前記プロセス要件を満たすプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとして使用するステップと、を含むことを特徴とする半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項2】
前記ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、
前記プロセスパラメータ群に含まれるプロセスパラメータの数及び前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標の数に応じて、前記ディープニューラルネットワークモデルの層数及び構造を決定するステップであって、前記中間層の数は前記プロセスパラメータの数と前記プロセス結果評価指標の数との差であり、前記ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークは複数のニューロンを含み、前記入力層から前記出力層への方向に沿って、隣接するディープニューラルネットワーク間で1つのニューロンが順次逓減し、各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンに接続され、各プロセスパラメータは前記入力層における1つのニューロンの入力特徴とし、前記中間層の各ニューロンは前層のディープニューラルネットワークにおけるすべてのニューロンの出力特徴を演算するために用いられ、前記出力層における各ニューロンの出力特徴は前記プロセス結果評価指標であり、前記プロセスパラメータ群に含まれる前記プロセスパラメータの数は前記プロセスパラメータ群に対応する前記プロセス結果評価指標の数よりも大きいステップと、
前記ディープニューラルネットワークモデルの層数に応じて、前記ディープニューラルネットワークモデルで実行されるアクティベーション関数を与えるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項3】
前記ディープニューラルネットワークモデルの構築方法は、
プロセスデータベースを訓練データとして、深層学習方法を使用して前記ディープニューラルネットワークモデルを訓練するステップであって、前記プロセスデータベースは特定のプロセスの履歴プロセスパラメータデータ及び履歴プロセス結果データを含むステップと、
前記アクティベーション関数の訓練結果に応じて前記ディープニューラルネットワークモデルにおける各層のディープニューラルネットワークの重み項とバイアス項を決定するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項4】
勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法に基づいて各前記中間層における固有値及び前記入力層における各プロセスパラメータの数値を層ごとに最適化する前記ステップは、
前記プロセス要件との相違度が最も大きい1つのプロセス結果評価指標を前記出力層から見つけるステップS1と、
相違度が最も大きいプロセス結果評価指標に関連する前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを前記出力層に隣接する中間層から見つけるステップS2と、
前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値と前記バイアス項の数値を固定し、前記出力層における相違度の最も大きいプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整するステップS3と、
このとき、ほかのプロセス結果評価指標には前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないほかのプロセス結果評価指標があると、前記出力層におけるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすまで前記ステップS1~前記ステップS3を繰り返すと同時に、前記中間層における各プロセスパラメータの固有値を決定するステップS4と、
前記ステップS4で取得された前記中間層における各プロセスパラメータの固有値に基づいて、前記出力層から前記入力層への方向に沿って、前記入力層において前記ディープニューラルネットワークモデルから出力されるすべてのプロセス結果評価指標が前記プロセス要件を満たすことを可能にするプロセスパラメータ群を取得するまで勾配アルゴリズムと自己無撞着反復法を使用してほかの中間層における各プロセスパラメータの固有値及び前記入力層におけるプロセスパラメータの数値を層ごとに最適化し続けるステップS5と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項5】
前記ステップS3の後、前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすか否かを判断し、満たすと、前記ステップS4を実行するステップと、満たさないと、前記ステップS3で調整及び最適化によって取得された前記重み項の数値が最も大きい1つのプロセスパラメータを固定し、
前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標に関連する前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータを前記出力層に隣接する中間層から見つけるステップS6と、
前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの重み項の数値を固定し、前記出力層における前記ステップS3で対応して調整されたプロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たすまで勾配アルゴリズムを使用して前記重み項の数値が2番目に大きい1つのプロセスパラメータの固有値を最適化してステップ調整するステップS7と、を実行するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項6】
前記ステップS5の後、
前記プロセス結果評価指標に関連するすべてのプロセスパラメータを最適化及び調整した後、前記出力層には前記プロセス要件との相違度が設定された要件を満たさないプロセス結果評価指標がまだあると、
各プロセス結果評価指標と前記プロセス要件との相違度の二乗和が最も小さいことを可能にするプロセスパラメータを選択して新たなプロセスパラメータ群を形成し、前記新たなプロセスパラメータ群を、実際のプロセスを行うプロセスレシピとするステップS8をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
【請求項7】
前記勾配アルゴリズムの計算式は下記の式であることを特徴とする請求項
1に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
x
i=x
i-θ×(∂y/∂x
i)
(式中、x
iは中間層における調整されたプロセスパラメータ、yは調整されたプロセス結果評価指標、θは調整ステップである。)
【請求項8】
前記相違度は下記の式によって計算され、
前記設定された要件として、前記プロセス結果評価指標と対応して設定されたプロセス要件との相違度は0~10%であることを特徴とする請求項
1に記載の半導体プロセスレシピの取得方法。
Δ=|(y-y
実際)/y
実際|
(式中、Δはプロセス結果評価指標と設定されたプロセス要件との相違度、yはディープニューラルネットワークモデルから出力されたプロセス結果評価指標、y
実際は与えられたプロセス要件である。)
【請求項9】
半導体プロセスレシピの自動取得システムであって、
訓練済みの多層構造のディープニューラルネットワークであり、入力されたプロセスパラメータに基づいて、前記プロセスパラメータ群に対応する正確なプロセス結果評価指標を出力することが可能であるディープニューラルネットワークモデルと、
請求項1~8のいずれか1項に記載の半導体プロセスレシピの取得方法を実行するための計算モジュールと、を含むことを特徴とする半導体プロセスレシピの自動取得システム。
【請求項10】
請求項9に記載の半導体プロセスレシピの自動取得システムを含むことを特徴とする半導体プロセス装置。
【国際調査報告】