(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】半導体ウェハを洗浄するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/304 647Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527586
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2022080179
(87)【国際公開番号】W WO2023083628
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロック,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】キューンシュテッター,アルベルト
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA42
5F157AA46
5F157AA73
5F157AC01
5F157AC23
5F157BD33
5F157BE46
5F157CB13
5F157DB03
(57)【要約】
本発明は、所与の順序の以下の工程を有する、半導体ウェハの表面を洗浄するための方法に関する。(1)オゾン水を使用する洗浄プロセスのための第1の洗浄工程、およびその後の清浄水を使用するすすぎ工程、(2)オゾン水を使用する処理工程を含む第2の洗浄工程であって、HF含有液体を使用する処理工程が前記処理工程に続き、第2の洗浄工程を複数回繰り返すことができる、第2の洗浄工程、(3)オゾン水を使用する洗浄プロセスのための第3の洗浄工程、およびその後の清浄水を使用するすすぎ工程、ならびに(4)半導体ウェハの表面を乾燥させる乾燥工程。本発明は、第1の洗浄工程が始まるときに半導体ウェハの表面がまだ湿っているように、水を使用する前洗浄工程が第1の洗浄工程の直前に実行されることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハの表面を洗浄するための方法であって、
(1)オゾン水による洗浄のための第1の洗浄工程、およびその後の精製水によるすすぎ工程と、
(2)オゾン水による処理工程、それに続くHF含有液体による処理工程を含む第2の洗浄工程とを順に備え、前記第2の洗浄工程は複数回繰り返されてもよく、さらに
(3)オゾン水による洗浄のための第3の洗浄工程、およびその後の精製水によるすすぎ工程と、
(4)前記半導体ウェハの前記表面を乾燥させる乾燥工程とを順に備え、
前記第1の洗浄工程を開始する際に前記半導体ウェハの前記表面が濡れた状態となるように、前記第1の洗浄工程の直前に水による予備洗浄工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記予備洗浄工程中に、オゾン水の割合が前記予備洗浄工程の開始時の0%から前記予備洗浄工程の終了時に100%まで上昇し、
5%より小さい割合の持続時間が10秒より短く、1秒より長い、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予備洗浄工程が少なくとも1秒~15秒継続する、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記半導体ウェハの前記表面が水平に位置合わせされ、前記予備洗浄工程中に500rpmより大きく1000rpmより小さい速度で回転する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
ノズルが前記予備洗浄工程において前記水を加えるために使用され、この場合の前記ノズルの流速が0.5m/s~2m/sであり、その流量が0.5l/分~1.5l/分である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ノズル流の方向が前記半導体ウェハの前記表面と角度αを形成し、前記角度αが70°より小さく30°より大きくなるように、前記ノズルが位置合わせされる、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、半導体ウェハを洗浄するためのプロセスである。
【背景技術】
【0002】
従来技術
例えば、マイクロ電子部品を製造するための基板として機能する半導体ウェハ、通常シリコンウェハは、研磨および(例えば、エピタキシャル堆積による)コーティングもしくは熱処理工程(「アニーリング」)の後、ならびに/または高温作業工程の前に、湿式化学プロセスを使用して洗浄される。洗浄の目的は、例えば銅などの金属または有機物による半導体ウェハの汚染を可能な限り取り除くこと、およびまたウェハ表面に付着した粒子を可能な限り取り除くことであり、そのような汚染は、その後の部品の製造において、ゲート酸化物の不均一な成長またはポリシリコンゲートの不均一な堆積などの問題をもたらすからである。
【0003】
これに関連して使用されるプロセスは、半導体ウェハがその中心軸の周りを急速に回転し、同時に、最初に1つまたは複数の液体で洗浄され、次いで脱イオン水ですすがれ、乾燥される、単一ウェハ洗浄プロセスを含む。液体は、回転する半導体ウェハに加えられ、遠心力によってウェハ縁部に向かって加速し、液体を外側に流出させ、ウェハのほぼ全表面を覆う薄膜が残る。その後、半導体ウェハをさらに回転させながら、例えば液膜の表面張力を低下させる(例えば、イソプロパノールの)蒸気を加えて乾燥させると、液膜全体が外側に流出する。そのようなプロセスは、例えば、米国特許出願公開第2004/0103915号および欧州特許出願公開第0905747号に記載されている。
【0004】
米国特許出願公開第2014/048100号は、以下の工程を使用する半導体ウェハを洗浄するためのプロセスを開示している。
【0005】
(1)オゾン水による洗浄のための第1の洗浄工程、およびその後の精製水によるすすぎ工程、
(2)オゾン水による処理工程、それに続くHF含有液体による処理工程を含む第2の洗浄工程であって、第2の洗浄工程が複数回繰り返されてもよい、第2の洗浄工程、
(3)オゾン水による洗浄のための第3の洗浄工程、およびその後の精製水によるすすぎ工程、
(4)半導体ウェハの面を乾燥させる乾燥工程。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このプロセスを試行する際に、本発明者らは、LLS測定で測定可能な欠陥パターンがウェハ上に発生する可能性があることを発見した。これらの欠陥は、明らかに基板の中心で優先的に発生し、部品製造作業において影響を受ける半導体ウェハの挙動に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、これらの欠陥をもたない、または少なくともこれらの欠陥の発生の可能性を最小限に抑えるプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
目的は、特許請求の範囲に記載されたプロセスによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】1つの半導体ウェハが従来技術(A)から知られているプロセスによって処理され、別の半導体ウェハが本発明のプロセスによって洗浄された後に、測定することができる半径方向欠陥密度を例示の形態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のプロセス(B)は、従来技術のプロセス(A)よりも半導体ウェハの中心における欠陥をより良好に回避できることは明らかである。
【0011】
発明の例示的な実施形態の詳細説明
単一ウェハクリーナ装置を使用して半導体ウェハを洗浄するための従来技術のプロセスを試行する際に、本発明者らは、LLS測定で測定可能な欠陥パターンがウェハ上に発生する可能性を判断した。
【0012】
これらの欠陥パターンは、例えば、KLA-TencorおよびSurfscan SP1 MXからの計器を使用して、光散乱測定によって視覚化することができ、したがって、局所光散乱欠陥と呼ばれる。国際公開第2005101483号は、エピタキシャルコーティングされた半導体ウェハの散乱光測定のための技法を開示している。
【0013】
図1が示すように、これらの欠陥は、半導体ウェハの中心で優先的に発生する。それらは、部品製造作業において影響を受ける半導体ウェハの挙動に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0014】
これらの欠陥の発生を除去しようと試みる際に、本発明者らは、最初にオゾン水で洗浄するための第1の洗浄工程、およびその後の精製水によるすすぎ工程を実行し、次いで、オゾン水での処理工程、その後のHF含有液体による処理工程を含む第2の洗浄工程を実行し、第2の洗浄工程は複数回繰り返されてもよく、次いで、オゾン水で洗浄するための第3の洗浄工程、およびその後の精製水によるすすぎ工程を実行し、半導体ウェハの表面を乾燥させる乾燥工程を実行することが有利であり、したがって好ましいことを発見した。
【0015】
ここで、第1の洗浄工程の直前に水による予備洗浄工程が存在することが好ましい。ここで、第1の洗浄工程が始まる前に、洗浄を受ける半導体ウェハの表面がまだ濡れていることが不可欠である。
【0016】
本発明者らは、予備洗浄工程中に、オゾン水の割合が予備洗浄工程の開始時の0%から予備洗浄工程の終了時に100%まで上昇する場合好ましいことをさらに認識しており、5%より小さい割合の持続時間は10秒より短く、1秒より長い。
【0017】
予備洗浄工程から第1の洗浄工程までの間のオゾン水の割合におけるこの連続的な増加は、明らかに、発見される欠陥の数をさらに減少させる効果を有する。
【0018】
予備洗浄工程が少なくとも1秒~15秒継続する場合特に好ましく、工程が少なくとも3秒~8秒継続することが非常に好ましい。
【0019】
洗浄される半導体ウェハの表面が水平に位置合わせされ、500rpmより大きく1000rpmより小さい速度で予備洗浄工程中に回転することが、プロセスにとって不可欠である。
【0020】
予備洗浄工程において水を加えるためにノズルが使用される場合特に好ましい。この場合のノズルの流速は、より好ましくは0.5m/s~2m/sであり、関連する流量は、好ましくは0.5l/分~1.5l/分である。
【0021】
ノズルは、ノズル流の方向が70°より小さく30°より大きい半導体ウェハの表面との角度αを形成するように位置合わせされることが同様に好ましい。
【0022】
本発明のプロセスの特に好ましい一実施形態が表1に示されている。
【0023】
【符号の説明】
【0024】
DIW 脱イオン水。
【0025】
O3W 脱イオン水に溶解した15~20ppmのオゾン(O3)からなるオゾン水。
SC1 脱イオン水に0.3%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH:tetramethylammonium hydroxide、[N(CH3)4]OH)および0.7%の過酸化水素(H2O2)を含有する「標準洗浄1」。
【0026】
HF 脱イオン水に溶解した0.5%~1%のフッ化水素(HF)。
DRY 100%窒素雰囲気(N2)内で実行される乾燥作業。
【国際調査報告】