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特表2024-541366ガスディフューザハウジング、デバイス、および関係する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ガスディフューザハウジング、デバイス、および関係する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024528482
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-27
(86)【国際出願番号】 US2022049416
(87)【国際公開番号】W WO2023091340
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/280,283
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アドリシオ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マクリモン, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ワーク, ヴィレンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ディオン, デボン
(72)【発明者】
【氏名】スクーラー, ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA04
5F131BA17
5F131BA37
5F131CA12
5F131DA05
5F131GA12
5F131GA92
5F131HA22
5F131HA25
5F131JA04
5F131JA08
5F131JA16
5F131JA28
5F131JA35
(57)【要約】
方向性ガスディフューザデバイスおよびそれのハウジング構成要素と、ガスディフューザデバイスを含むシステムと、ガスディフューザデバイスを使用する方法と、ガスディフューザデバイスを製造する方法とが説明される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いハウジング
を備える、方向性ガスディフューザであって、前記ハウジングが、
入口端部と、
閉端部と、
前記入口端部と前記閉端部との間の長さと、
前記ハウジングの前側上に前記長さに沿って延在する開口と、
前記入口端部と前記閉端部との間に延在するチャネルと
を備え、前記チャネルが、
前記前側に沿って延在する前記開口と、
細長い裏面と、
細長い側面と
によって、前記長さに沿って画定され、
前記チャネルが、長さと、幅と、深さと、前記チャネル長さに沿った変動する断面積とを有する、方向性ガスディフューザ。
【請求項2】
前記長さが前記幅よりも大きく、前記幅が前記チャネルの最大深さよりも大きい、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項3】
前記深さは、前記チャネルが前記閉端部に向かって延在するにつれて、前記長さの一部分に沿って減少する、請求項1または2に記載のディフューザ。
【請求項4】
前記細長い裏面が非多孔質であり、2つの細長い側面が非多孔質である、請求項1から3のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項5】
前記ハウジングが、前記細長い裏面から前記前側まで延在する多層複合物をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項6】
前記多層複合物が、金属または金属合金、金属複合材マトリックス、セラミック、あるいはポリマーを含む、請求項5に記載のディフューザ。
【請求項7】
前記多層複合物がシームを含んでいない、請求項1から6のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項8】
前記開口に固定されたディフューザメンブレンをさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項9】
均一な断面積をもつチャネルを有する、別様の同等のディフューザに対して、前記長さに沿った前記変動する断面積が、前記ディフューザメンブレンの前記長さに沿って前記ディフューザメンブレンを通る流体のより均一な流量を作り出す、請求項8に記載のディフューザ。
【請求項10】
前記ディフューザが、前記ディフューザメンブレンを通して水の層流を作り出すことが可能であり、それにより、前記ディフューザは、前記ディフューザメンブレンが下を向く状態で水平方向に位置し、前記ディフューザを通過する水が、前記ディフューザメンブレンの長さに沿った流れる水から形をなす連続的な薄い水膜を作り出すことが可能である、請求項8または9に記載のディフューザ。
【請求項11】
細長いハウジング
を備える、方向性ガスディフューザであって、前記ハウジングが、
入口を備える入口端部と、
閉端部と、
前記入口端部と前記閉端部との間の長さと、
前記ハウジングの前面上に前記長さに沿って延在する開口と、
前記入口と前記閉端部との間に延在する内部チャネルと
を備え、前記チャネルが、
前側上の前記開口と、
細長い、非多孔質裏面と、
細長い非多孔質側面と
によって、前記長さに沿って画定される、方向性ガスディフューザ。
【請求項12】
前記長さが幅よりも大きく、前記幅が前記チャネルの最大深さよりも大きい、請求項11に記載のディフューザ。
【請求項13】
深さは、前記チャネルが前記閉端部に向かって延在するにつれて、前記長さの一部分に沿って減少する、請求項11または12に記載のディフューザ。
【請求項14】
細長い裏面が非多孔質であり、2つの細長い側面が非多孔質である、請求項11から13のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項15】
前記ハウジングが、前記細長い裏面から前記前側まで延在する多層複合物をさらに備える、請求項11から14のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項16】
前記多層複合物が、金属または金属合金、金属複合材マトリックス、セラミック、あるいはポリマーを含む、請求項15に記載のディフューザ。
【請求項17】
前記多層複合物がシームを含んでいない、請求項11から16のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項18】
1つまたは複数の半導体ウエハを含んでいるように適応された内部を含むチャンバを備える装置であって、前記チャンバが、不活性ガスの源に接続された、前記内部における、請求項1から17のいずれか一項に記載の方向性ガスディフューザを備える、装置。
【請求項19】
ウエハキャリアとウエハ搬送ステーションとから選択される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項19に記載のウエハ搬送ステーションのチャンバ中の圧力を均等化する方法であって、前記方法は、前記チャンバが、複数の半導体ウエハを含んでいる状態で、前記チャンバが、閉じられ、雰囲気圧力未満にある内部を含んでいる状態で、前記内部内の前記圧力を増加させるために前記ディフューザを通して不活性ガスを分配することを含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載のウエハキャリアのチャンバ中のガス状雰囲気を置換する方法であって、前記方法は、前記チャンバが、前記ガス状雰囲気中に複数の半導体ウエハを含んでいる状態で、前記内部に不活性ガスを加えるために前記ディフューザを通して前記不活性ガスを分配することを含む、方法。
【請求項22】
前記チャンバ中の前記ガス状雰囲気が空気であり、前記不活性ガスが前記空気を置換する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
付加製造によって、請求項1から17のいずれか一項に記載の方向性ガスディフューザのハウジングを作る方法であって、前記方法が、
固化した供給原料の第1の層を形成することと、
固化した供給原料の前記第1の層の表面上に、固化した供給原料の第2の層を形成することと
を含み、
固化した供給原料の前記層が、前記ハウジングの一部である、方法。
【請求項24】
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、前記供給原料層が無機粒子を含む、第1の供給原料層を形成することと、
前記第1の供給原料層から、固化した供給原料を形成することと、
前記第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、前記第2の供給原料層が無機粒子を含む、第2の供給原料層を形成することと、
前記第2の供給原料層から、第2の固化した供給原料を形成することと
をさらに含み、
固化した供給原料層が、前記方向性ガスディフューザのハウジングの一部である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
レーザーを使用して無機粒子を溶融することによって、前記固化した供給原料を形成することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記固化した供給原料層が、金属または金属合金粒子と、金属複合材マトリックス粒子と、セラミック粒子と、ポリマー粒子とから選択される粒子を含む、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ガスディフューザデバイスに関し、詳細には、方向性ガスディフューザ(directional gas diffuser)デバイスおよびそれのハウジング構成要素と、ガスディフューザデバイスを含むシステムと、ガスディフューザデバイスを使用する方法と、ガスディフューザデバイスを製造する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業プロセスおよび製造システムは、製造中に1つまたは複数の半導体ウエハを処理、格納、移送、またはハンドリングするために使用されるチャンバの密閉(enclosed)内部空間中にガスを分配する、プロセスステップおよび機器を伴う。例示的なシステムは、洗浄、エッチング、または材料堆積ステップ(たとえば、化学気相堆積、原子蒸着など)のプロセスにおいて使用されるガスを供給する、半導体および超小型電子デバイスを処理するためのシステムを含む。これらのシステムに供給されるガスは、反応性ガスと、腐食性ガス、たとえば、臭化水素(HBr)および他のハロゲン化物含有ガスと、不活性ガスとを含む。
【0003】
他のシステムは、複数の半導体ウエハを、含んでいる、ハンドリングする、搬送する、または移動するために使用される、機器を含み、例は、ウエハ搬送チャンバ、ウエハキャリア(「FOUP」)などと呼ばれるデバイスである。これらの機器は、ウエハが処理されている間、複数の半導体ウエハを含んでいるように適応された密閉内部空間を含む。デバイスの密閉空間は、ウエハを含んでおり、真空にされた(すなわち、減圧下である)雰囲気を含んでいることがあるか、または空気とは異なるガス、たとえば、不活性ガスを含んでいる。
【0004】
一例として、ウエハ搬送ステーションは、複数のインプロセス半導体ウエハがその内部において保持される間、使用中に真空にされる密閉内部をもつチャンバを含んでいるデバイスである。ウエハを除去するために真空チャンバを開く前に、ガスが密閉内部に戻されて、その内部の圧力を外部(周辺)圧力と均等化し得る。ガスは、不活性ガスであり得、一般に、ディフューザと呼ばれるデバイスを通して密閉内部に導入される。ディフューザは、乱された場合にウエハの表面に積もり得る、内部に存在し得るいかなる汚染物質粒子をも乱すことを回避するために、安定したおよび拡散された様式で搬送ステーションの内部にガスを導入する。
複数の半導体ウエハを含んでいるように適応された密閉空間を含む別のデバイスが、「フロントオープニングユニファイドポッド(Front Opening Unified Pod)」または「フロントオープニングユニバーサルポッド(Front Opening Universal Pod)」を表し得る、「FOUP」と呼ばれることがある、ウエハキャリアである。FOUPは、複数の半導体ウエハを移送するために、密閉内部においてそれらのウエハを含んでいる。使用中に、チャンバ内部においてウエハを含んでいる間、その内部は、空気雰囲気とは対照的に、不活性ガス雰囲気で充填される。不活性ガスは、一般に、ディフューザによって密閉チャンバ内部に加えられる。ディフューザは、乱された場合にウエハの表面に積もり得る、内部に存在し得る汚染物質粒子を乱すことを回避するために、安定したおよび拡散された流れとしてウエハキャリアの内部に不活性ガスを導入する。
【発明の概要】
【0005】
半導体ハンドリングまたは処理デバイスのチャンバ、あるいは他の反応チャンバ、真空チャンバなどの、密閉内部にガス状原材料を分配するために有用である、方向性ガスディフューザのためのディフューザハウジングが説明される。また、ハウジングとディフューザメンブレンなどのディフューザの他の構成要素とを含むディフューザアセンブリと、ハウジングおよびディフューザアセンブリを作る方法と、ディフューザアセンブリを含む処理システムと、ハウジングおよびディフューザアセンブリを使用する方法とが説明される。
【0006】
例示的なディフューザハウジングによれば、ハウジングは、1つの端部における入口と、閉じられた第2の端部と、ディフューザ出口(たとえば、「開口」)とを含む、細長い本体を備え、ディフューザ出口は、入口端部と閉端部との間の長さに沿って本体の面にわたって延在する。ハウジングの内部におけるチャネルが、入口端部と閉端部との間に、上記長さに沿って延在し、入口におよびディフューザ出口に接続される。チャネルは、ディフューザ出口を通る流れの均一性を改善するために、ディフューザハウジングの長さに沿った変動する寸法を有することができる。たとえば、チャネルが、上記長さに沿って異なる位置において、長手方向軸に沿った方向において観察されたとき、変動する断面積、深さ、またはその両方を有し得る。チャネルの断面積または深さは、上記長さに沿って、ディフューザ出口を通るガスの流れの均一性を改善するために、閉端部により近い位置において低減され得る。
【0007】
任意の有用な方法によって、説明されるディフューザ本体が準備され得、いくつかの有用なまたは現在好ましい方法が、一般に「3D印刷」技法と呼ばれる方法を含む、付加製造技法を含む。本方法は、概して、ディフューザハウジングを形成するために、供給原料の層から得られる固化した供給原料複合材(feedstock composition)の複数の層を順次形成する一連の個々の層形成ステップを伴う。一般的なタイプの付加製造技法のいくつかの特定の例が、様々な「バインダジェット印刷」技法を含む、一般に「パウダーベッド(powder-bed)」付加製造方法と呼ばれるものを含む。他の例は、ステレオリソグラフィ技法(SLS)および「供給原料分配方法」(FDM:feedstock dispensing method)を含む。さらに他の例は、「レーザー金属堆積」、「直接金属堆積」、および「直接エネルギー堆積」と呼ばれる。説明されるディフューザ本体は、これらの付加製造方法のいずれか、ならびに現在知られているかまたは将来において開発され得る他の方法によって、準備され得る。
【0008】
一態様では、本発明は、細長いハウジングを含む方向性ガスディフューザに関する。ハウジングは、入口端部、閉端部、入口端部と閉端部との間の長さ、ハウジングの前側上に上記長さに沿って延在する開口、入口端部と閉端部との間に延在するチャネルを含む。チャネルは、前側に沿って延在する開口と、細長い裏面と、細長い側面とによって、上記長さに沿って画定される。チャネルは、長さと、幅と、深さと、チャネル長さに沿った変動する断面積とを有する。
【0009】
別の態様では、本発明は、細長いハウジングを含む方向性ガスディフューザであって、ハウジングが、入口を備える入口端部、閉端部、入口端部と閉端部との間の長さ、ハウジングの前側上に上記長さに沿って延在する開口、入口と閉端部との間に延在する内部チャネルを含み、チャネルが、前側上の開口と、細長い、非多孔質裏面と、細長い非多孔質側面とによって、上記長さに沿って画定される、方向性ガスディフューザに関する。
【0010】
また別の態様では、本発明は、付加製造によって、説明される方向性ガスディフューザを作る方法に関する。本方法は、表面上に第1の供給原料層を形成することであって、上記供給原料層が無機粒子を含む、第1の供給原料層を形成することと、第1の供給原料層から、固化した供給原料を形成することと、第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が無機粒子を含む、第2の供給原料層を形成することと、第2の供給原料層から、第2の固化した供給原料を形成することとを含み、固化した供給原料層は、方向性ガスディフューザの一部である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】説明されるディフューザハウジングおよびディフューザアセンブリの一例を示す図である。
図2A-2B】説明されるチャンバおよびディフューザアセンブリの一例を示す図である。
図3A】説明されるディフューザハウジングの一例を示す図(側面斜視図)である。
図3B】説明されるディフューザハウジングの一例を示す図(平面図)である。
図3C】説明されるディフューザハウジングの一例を示す図(側面破断図)である。
図4】説明されるディフューザハウジングの側面破断図である。
図5A-5B】説明されるディフューザデバイスを通るガスの流れの比較を示す図である。
図6】説明されるディフューザを通る水の層流を示す写真の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
すべての図は、概略図であり、必ずしも一定の縮尺であるとは限らない。
【0013】
本開示は、半導体処理チャンバの、または他のタイプの真空チャンバ、反応チャンバなどの、密閉内部にガス状原材料(たとえば、「試薬ガス」)を分配するために有用である、方向性ガスディフューザのためのディフューザハウジング(または、単に「ハウジング」)に関する。本開示はまた、ハウジングとディフューザメンブレンなどのディフューザの他の構成要素とを含むディフューザアセンブリに関し、ハウジングおよびディフューザアセンブリを作る方法に関し、ディフューザアセンブリを含む処理システムに関し、ハウジングおよびディフューザアセンブリを使用する様々な方法に関する。
【0014】
説明されるディフューザアセンブリは、「シャワーヘッド」ディフューザ、「チューブ」ディフューザ、「ディスク」ディフューザ、および「プレート」ディフューザなど、他の一般的なタイプのディフューザとは異なる、「方向性ディフューザ」と呼ばれることがあるタイプのものである。方向性ディフューザは、細長いディフューザハウジングの2つの端部間の細長いディフューザ本体を含む形態を有し、1つの端部が流体入口端部であり、第2の端部が閉端部である。方向性ディフューザは、ディフューザ本体の1つの側上のみに入口端部と閉端部との間の細長いディフューザハウジングの長さに沿って延在するディフューザ開口を含み、ディフューザ開口は、その開口をカバーするディフューザメンブレンをもつ。ディフューザメンブレンは、多孔質であり、ガスの流れに対して半抵抗性(semi-resistant)であり、これは、適度の圧力下のガスが、ハウジングの1つの側のみから方向付け(direct)られた分散されたまたは「拡散された」ストリームとして、そのメンブレンを通って流れることを可能にする。ガスは、入口端部においてディフューザハウジング中に流れ、ハウジングの長さに沿って流れ、次いで、ハウジングを通る流れに対して横方向においてメンブレンを通って、ハウジングの一部分のみから(たとえば、1つの側から)横方向に、たとえば、ハウジング中へのおよびハウジング内のガスの流れの方向に対して直角に、ハウジングから出る。ハウジングの残りの部分(開口およびディフューザメンブレンを含まない側)上で、ハウジングは、入口から、ハウジングの長さに沿って、閉端部まで延在し、ディフューザメンブレンに接触する、内部チャネルを密閉する非多孔質表面を含む。
【0015】
ガス状流体が、内部チャネルの入口中におよび入口端部中に流れることができる。流体は、次いで、内部チャネルの長さに沿って流れ、これはまた、ハウジングの1つの側上で長さ方向の開口(length-wise opening)において保持されるディフューザメンブレンの長さに沿ったものである。流体が内部チャネル内でハウジングの長さに沿って流れるとき、流体の一部分が、メンブレンの長さ全体にわたってディフューザメンブレンを(チャネルに沿った流れの方向に対して)横方向にも通過する。ディフューザメンブレンは、ディフューザの長さに沿って延在するディフューザ出口として機能し、ディフューザ本体の長さに沿って流れるガスが、内部チャネル内で、横方向に(内部チャネルの長さ方向(length-wise direction)に対して直角に)流れ、ディフューザハウジングの1つの(および、ただ1つの)側上でハウジングから出ることを可能にし、ハウジングからのガス状流体の流れは、主に、ハウジングの内部チャネルを通る流体の流れに対して直角である方向におけるものであり、流体は入口においてチャネルに入る。
【0016】
ディフューザは、横方向流れがディフューザの外周に対して方向的に発生するので、「方向性」として説明される。ディフューザは、長さの方向において観察されたとき、外周を有する。横方向流れは、外周のすべての方向において(すなわち、外周の360度すべてにおいて)発生するとは限らない。代わりに、ガスが通って流れるハウジングにおける開口は、ハウジングの「側」と呼ばれることがある、外周の一部分にわたるものである。横方向流れが発生するハウジングの一部分は、外周全体の1/2未満であり得、たとえば、流れは、外周の180度未満にわたって、たとえば、10度から170度までの、または20度から150度までの、または40度から120度までの範囲にわたって、発生し得る。
【0017】
外周全体未満にわたるディフューザからの方向性流れの利益は、チャンバへの直接ガス流れの方向および配置を制御する能力である。流れは、粒子汚染が存在し得るチャンバのエリアへのガスの直接流れを回避する目的のために方向付けられ得る。チャンバのエリアに積もった粒子に向かうガスの直接流れは、チャンバ内の粒子を乱し、分散させることがあり、これは、好ましくは回避される。より一般的には、流れは、チャンバ内のウエハまたはワークピースとのガスの均一なまたは十分な接触を提供するように方向付けられ得る。
【0018】
方向性ディフューザは、入口端部と閉端部との間の長さ寸法と、その長さに直交する幅と、その長さおよび幅に直交する深さとを有する。方向性ディフューザは、細長いものであり、幅よりも大きいおよび深さよりも大きい、長さを有する。例示的な方向性ディフューザは、ハウジングの外部表面において測定された、深さ、または幅の、あるいはその両方の大きさの、少なくとも2、4、5、10、12、15、20、または30倍である長さを有し得る。
【0019】
図1を参照すると、例示的な方向性ディフューザ100が示されている。方向性ディフューザ100は、長さ(L)と、幅(w)と、深さ(d)とを有する、ハウジング112を含む。ハウジング112は、入口端部106における入口102、第2の端部(「閉端部」)104を含み、長さLは入口端部106と閉端部104との間に延在する。ハウジング112の前側108(図示のように、上部側)上で、開口118が、入口端部106と閉端部104との間に、長さLおよび幅wに沿って延在する。図示のように、2つの別個の長さ方向の開口118が示されているが、2つの開口118は、代替的に、長さLに沿って遮られない単一の開口として形成され得る。多孔質ディフューザメンブレン120が、2つの開口118の各々内に保持される。
【0020】
さらに詳細には、入口102は、1つの側上の多孔質ディフューザメンブレン120によって、および、(見えない)左側壁114と、右側壁116と、(見えない)底部または裏側壁122とを含む、3つの他の側の3つの細長い非多孔質側壁によって画定された、内部チャネル(図示せず)に通じる。各側壁114、116、および122は、非多孔質であり、すなわち、ガスの流れに対して透過性がなく、各側壁114、116、および122は、ハウジング100の長さLに沿って延在する内部チャネルを画定する非多孔質内表面を含む。
【0021】
概して、半導体ハンドリングまたは処理デバイスの密閉チャンバ(「チャンバ」または「密閉チャンバ」)の内側での使用のために配置されるとき、方向性ディフューザは、チャンバの側壁、上部、または底部から延在し、ディフューザの長さは、側壁、上部、または底部からチャンバの内部空間中に延在する。随意に、方向性ディフューザは、ディフューザがディフューザの長さに沿って延在する軸を中心として回転されることを可能にする、回転マウント上にチャンバ内で取り付けられ得る。
【0022】
図2Aを参照すると、本明細書で説明される方向性ディフューザ200を含むチャンバ220の側面図が示されている。方向性ディフューザ200は、チャンバ202の密閉内部空間220内に取り付けられ、ガス源(図示せず)から、ウエハ218を含んでいる、チャンバ202の内部220に、ガスの均一な流れを分配するために使用される。
【0023】
チャンバ202は、密閉チャンバ内部220を画定する、底部206と、上部204と、(左および右)側壁208および210とを含む。方向性ディフューザ200は、ハウジング230と、入口端部222と、閉端部224と、それら2つの端部間の長さとを含む。(図示のように、左を向く)ハウジング230の前側226上で、開口232は、入口端部222と閉端部224との間に、およびハウジング230の外周の一部分から方向的に、長さLおよび幅wに沿って延在する(図2B参照)。多孔質ディフューザメンブレン(図示せず)が、開口内で保持される。
【0024】
ガス状流体が、入口端部222においてディフューザ200に入り、ディフューザ200の長さに沿って図2Aの矢印の方向において流れる。流体が上記長さに沿って通過するとき、流体の一部分が、前面226に沿って延在する多孔質ディフューザメンブレンを横方向に(図2Aにおける矢印参照)通過する。流体は、多孔質ディフューザメンブレンを通過し、密閉チャンバ202の内部220に入る。
【0025】
図2Bは、ディフューザ200およびチャンバ202の上面破断図を示す。図2Bにおいて示されている詳細は、チャンバ202の前側壁212および裏側壁214と、ディフューザハウジング230の側壁242および244、ならびに裏壁246と、ディフューザハウジング230の内部における内部チャネル240とを含む。内部チャネル240は、前面226に位置する多孔質ディフューザメンブレン(図示せず)によって、ならびに、左および右側壁242および244と、裏側壁246とを含む、3つの他の側の3つの細長い非多孔質側壁によって画定される。各側壁242、244、および246は、非多孔質であり、すなわち、ガスの流れに対して透過性がなく、各側壁242、244、および246は、ハウジング230の長さLに沿って延在する内部チャネル240を画定する非多孔質内表面を含む。
【0026】
チャンバ202は、複数の半導体ウエハを製造、格納、移送、またはハンドリングする際に使用されるデバイスまたは装置の構成要素であり得る。たとえば、図2Aおよび図2Bにおいて示されている、チャンバ202を含んでいる例示的なタイプのデバイスは、一般にウエハキャリア(「FOUP」)およびウエハ搬送ステーションとして知られるデバイスおよび装置を含む。他の例は、特に、堆積チャンバ(たとえば、化学気相堆積チャンバ、原子層堆積チャンバなど)、ならびにエッチングチャンバを含む。これらのプロセスのいずれかのために分配され得る例示的なガスは、不活性ガス、反応性または腐食性ガス(たとえば、臭化水素などのハロゲンまたはハロゲン含有ガス)、ならびに他のものを含む。
【0027】
図2Aを参照すると、ディフューザ200は、外部源からチャンバ202の内部220に、不活性ガスなど、ガスを送達するために使用され得る。例示的なディフューザハウジングおよびディフューザアセンブリによれば、ディフューザハウジングは、非多孔質側壁(「側壁」という用語は、側壁および裏壁を指す)によってハウジングの内部内で画定される、説明されるチャネルを含み、チャネルは、ディフューザ長さに沿って、ディフューザメンブレンを通る(流圧、流量(flow rate)、またはその両方に基づく)流れの所望の均一性とともに含む、有用な、所望の、または改善された流れ特性を作り出すように、ディフューザメンブレンを通るガス状流体の流れを制御する、サイズおよび形状特徴で設計される。
【0028】
方向性ディフューザの目的は、ガス状流体をガスの均一な流れとしてチャンバに分配することである。そのために、説明されるディフューザアセンブリは、たとえば、ディフューザメンブレンの長さに沿って異なる位置において、ディフューザメンブレンを通る流れの均一性を改善することによって、ディフューザを通るガスの流れの追加された制御を提供する様式でチャネルの長さに沿って変動する形状または寸法を含む、内部チャネルを含むように設計され得る。たとえば、図5Aを参照されたい。
【0029】
ディフューザの長さに沿った流れの改善された均一性を達成するために、ディフューザを通る流れの所望の制御を提供する1つの方式として、内部チャネルは、上記長さに沿った変動する断面サイズ(図1に示されているように、両方ともディフューザハウジングの長さに直交する、幅成分と深さ成分とを有する、面積)または寸法(たとえば、深さまたは幅)を呈し得る。使用中に、ガス状流体が、圧力下で、内部チャネルに入れられ、ディフューザアセンブリの入口端部から閉端部まで流れるとき、流体の圧力は、ディフューザの長さに沿って変動することになる。チャネル内のガスの圧力は、通常、ガスの加圧の源からより遠い、すなわち、入口端部からより遠い、および閉端部により近い、チャネルの位置において減少することになる。
【0030】
内部チャネルの長さに沿ったガス圧力の低減に合わせて調整する(たとえば、低減するかまたは防ぐ)ために、ガスがチャネルの入口端部から閉端部まで流れるとき、チャネルは、長さに沿って、サイズにおいて、すなわち、断面積において、深さにおいて、幅において、またはこれらの組合せで、調整され得る。ディフューザメンブレンを通るガスの流れの均一性を改善するために、これは、ディフューザメンブレンの長さに沿って異なる位置において測定されるディフューザメンブレンを通る(流量またはガス圧力に基づく)ガスのより均一な流れを提供することを意味し、内部チャネルは、チャネルの長さに沿って減少する断面積、深さ、またはその両方を有することができ、チャネルは、入口端部により近い位置において、より大きい断面積、深さ、またはその両方を有し、閉端部により近い位置において、低減された断面積、深さ、またはその両方を有する。
【0031】
内部チャネルの長さに沿って変動する深さおよび断面積を有する、内部チャネルを含む、ディフューザ(300)の一例が、図3A図3B、および図3Cにおいて示されている。図3Aは、方向性ディフューザ300の側面斜視図を示し、図3Bは、方向性ディフューザ300の平面図であり、図3Cは、方向性ディフューザ300の側面破断図である。図3Aを参照すると、例示的な方向性ディフューザ300が示されている。方向性ディフューザ300は、長さ(L)と、幅(w)と、深さ(d)とを有する、ハウジング312を含む。ハウジング312は、入口端部306における入口302、第2の端部(「閉端部」)304を含み、長さLは入口端部306と閉端部304との間に延在する。ハウジング312の前側308上で、開口318が、入口端部306と閉端部304との間に、長さLおよび幅wに沿って延在する。多孔質ディフューザメンブレン(図示せず)が、ディフューザアセンブリの一部として開口318内で保持され得る。
【0032】
入口302は、1つの側上の開口318によって、ならびに、左および右側壁314および316と、底部または裏側壁322とを含む、3つの他の側の3つの(長さ方向において)細長い非多孔質側壁によって画定された、内部チャネル310に通じる。それらの側壁は、個別でなく、単一の湾曲した表面として互いに混合される。側壁314、316、および322の各々は、非多孔質であり、すなわち、ガスの流れに対して透過性がなく、各側壁314、316、および322は、ハウジング300の長さLに沿って延在する内部チャネルを画定する非多孔質内表面324を含む。
【0033】
図3Cによって最も良く示されているように、内部チャネル314は、チャネル310の長さ(L)に沿って変動する、断面積と、深さ(d)とを有する。特に深さに関して、入口端部306の近くで、内部チャネル310の一部分を画定する、非多孔質下側または裏表面324が、入口302のチャネル302aに合う。表面324は、開口318と側壁314、316、および322の表面324との間のチャネル310の深さ(d)を画定する。深さ(d)は、チャネル310の遠位端334とチャネル310の近位端332との間の、チャネル324のおおよその中間点330において最も大きくなる。
【0034】
内部チャネルの長さに沿って各々変動する断面積および深さを有する、内部チャネルを含む、ディフューザ(400)の別の例が、図4において示されている。図4は、長さ(L)と、幅(w)と、深さ(d)とを有する、ディフューザハウジング412を含む、方向性ディフューザ400の側面破断図を示す。ハウジング412は、入口端部406における入口402、第2の端部(「閉端部」)404を含み、長さLは入口端部406と閉端部404との間に延在する。ハウジング412の前側408上で、開口418が、入口端部406と閉端部404との間に、長さLおよび幅wに沿って延在する。多孔質ディフューザメンブレン(図示せず)が、ディフューザアセンブリの一部として各細長い開口418内で保持され得る。
【0035】
入口402は、1つの側上の開口418によって、および、残りの側上の(長さ方向において)細長い非多孔質側壁によって画定された、内部チャネル414に通じる。図示のように、内部チャネル414は、入口端部406と閉端部404との間の、チャネル414の長さ(L)に沿って変動する深さ(d)を有し、ハウジング412の遠位部分における内部チャネル414の深さの安定したおよび漸進的な低減は、「テーパ状(tapered)」深さ、あるいは深さの「テーパ状」または「漸進的」低減と呼ばれることがある。特に、入口端部406の近くで、表面324が、開口418と裏表面424との間の、チャネル414の深さ(d)を画定する。深さ(d)は、d-maxにおいて最も大きくなり、閉端部404に向かう方向において長さLに沿って漸進的に低減されるようになる。
【0036】
本明細書の特定の例示的なディフューザによれば、ディフューザは、ディフューザの長さに沿った位置におけるディフューザメンブレンを通る流れの改善された一様性または均一性を作り出すように、ハウジングの長さに沿った異なる位置における、ディフューザハウジングの長さを通る、およびディフューザメンブレンを通る、流体の流れを制御する、内部チャネルを有するように設計され得る。一般に、ディフューザの長さに沿って断面および寸法において均一である内部チャネルを含む、方向性ディフューザでは、(ディフューザの長さに沿った位置における)ディフューザメンブレンを通るガスの流れは、入口端部における流体のより大きい流れ(または圧力)と、出口端部におけるより低い流れ(または圧力)とを有することによって、一様でない。
【0037】
図5Aおよび図5Bは、説明されるディフューザ500および600のメンブレン510および610を通るガス状流体の流れのガス流量(速度)を図式的に示す。図5Aを参照すると、メンブレン510を含む、ディフューザ500は、入口端部512から閉端部514まで、ディフューザ500の長さに沿って断面積および寸法において均一である、内部チャネル(図示せず)を有する。ガス状流体は、入口端部512中に流れ、閉端部514に向かってディフューザ500の長さに沿って通過する。この経路に沿って、内部チャネル内の流体の圧力が、漸進的に減少し、これは、メンブレン510を通る流れの漸進的に低減されるレベルを引き起こす。
【0038】
図5Aおよび図5Bは、グレーの濃淡の範囲として、ディフューザメンブレン510とメンブレン610とを通る流体のより高い流量(rate of flow)およびより低い流量を示す。異なる相対流量が、グレースケールにおいて示されている。図5Aおよび図5Bの流れは、ディフューザメンブレン510の外側周囲エッジ(518、618)において最も低くなる。わずかにより高い相対流量が、位置524および624、ならびに同じグレーの濃淡のエリアにおいて発生する。さらにわずかにより高い相対流量が、位置522および622、ならびに同じグレーの濃淡のエリアにおいて発生する。最も高い相対流量が、最も暗いエリア、位置520および620、ならびに同じ暗いグレーの濃淡のエリアである。
【0039】
図5Aは、ディフューザメンブレン510を通る流体の流れが、入口端部512の近くの領域502において最も大きくなり、閉端部514に向かってディフューザ500の長さに沿って漸進的に低減され、閉端部514の近くで最も低い流量を有することを示す。メンブレン510を通る流量の均一性の欠如は、入口からの距離に正確に相関しないことがあるが、一般的な意味で、内部チャネル内の流体圧力とメンブレン510を通る流体の流量とは、ディフューザ500の、入口端部512の近くで最も大きくなり、閉端部514の近くで最も低くなる。
【0040】
対照的に、図5Bは、説明されるディフューザの、ディフューザの長さに沿った、ディフューザメンブレンを通る流体の流量の変動性の低減を示す。図5Bを参照すると、メンブレン610を含む、ディフューザ600は、ディフューザの長さに沿った漸進的に低減される深さおよび断面積を呈する、内部チャネル(図示せず)を有し、より大きい深さおよび断面積が、入口端部610の近くにあり、より低い(たとえば、最小の)深さおよび断面積が、閉端部614の近くにある。ガス状流体は、入口端部612中に流れ、閉端部614に向かってディフューザ600の長さに沿って通過する。この経路に沿って、ディフューザ600の内部チャネルの断面積および深さは、漸進的に低減される。
【0041】
図5Bは、ディフューザ500の長さに沿った変動しうる深さまたは断面積を有しない、ディフューザ500のディフューザメンブレン510を通る流体の流れと比較して、ディフューザ600の長さに沿ってより均一である、ディフューザメンブレン610を通る流体の流れを示す。メンブレン610を通る流量の改善された均一性は、閉端部614の近くの領域604におけるメンブレン610を通る流体の流量と比較して、入口端部612の近くの領域602におけるメンブレン610を通る流体の比較的一様な流量として観測され得る。メンブレン610を通るガスの流量は、入口端部612からの距離に正確に相関しないことがあるが、一般的な意味で、メンブレン610を通るガス状流体の流量は、領域604におけるメンブレン610を通る流体の流量と比較して、領域602において著しく異ならない。ガス状流体の流量のいくらかの量の変動性が、依然として、ディフューザ600およびメンブレン610の長さに沿って残っているが、その変動性は、図5Aのディフューザに対して低減され、入口端部612の近くの有意なまたは明確な最大流れ、あるいは閉端部614の近くの圧力または流れの有意なまたは明確な最小レベルを含まない。
【0042】
ディフューザアセンブリが、説明されるディフューザハウジングを含み、ハウジングの1つの側上にハウジングの長さに沿って延在する1つまたは複数の開口に取り付けられた、およびその開口内に含まれている、1つまたは複数のディフューザメンブレンを含むことができる。使用中、ガスが、内部チャネルから方向性ディフューザの外部に通過する場合、ガスは、ディフューザメンブレンを通過しなければならない。ディフューザメンブレンは、1つの表面がハウジングの内部チャネルを向き、第2の表面が、使用中、チャンバの密閉内部空間である、ハウジングの外部にある空間を向いて、位置する。
【0043】
その構造を通るガス状流体の流れを可能にする、様々な多孔質のまたはアパーチャ付きシート状構造(「メンブレン」)を含む、様々な異なるタイプのディフューザメンブレンが知られている。メンブレンディフューザは、ガス源から、ハウジングの内部チャネルを通過し、ディフューザメンブレンを通って、チャンバの内部空間に至る、試薬ガスの一様な流れを分配するのに有効であり、ディフューザアセンブリは、チャンバの内部空間中に延在する。ディフューザメンブレンは、流れが、内部空間中に存在し得る粒子状汚染物質を乱し、移動することを防ぐために、試薬ガスが反応チャンバ中に一様に流れて、ガスを、拡散された形態でチャンバ内に一様に分布させることを引き起こすように設計される。
【0044】
焼結多孔質体から形成されたディフューザメンブレンの例が、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第2013/0305673号において説明される。
【0045】
ディフューザアセンブリの好ましい例によれば、説明される方向性ディフューザは、平坦なまたはわずかに湾曲したシートタイプディフューザメンブレンを備え、このディフューザメンブレンは、ディフューザメンブレンの長さに沿って比較的一様である、実質的に層流の形態でディフューザメンブレンから出る、および膜またはカーテンとしてディフューザメンブレンから落下する、ディフューザアセンブリを通る水の流れを作り出すことが可能である。図6は、テスト条件においてディフューザを通る、この好ましいタイプの、水の層流を呈する、方向性ディフューザの一例の写真である。
【0046】
本明細書のディフューザアセンブリは、水を使用して、水(たとえば、脱イオン水)が、入口中に進み、内部チャネルを通って流れ、次いで、ディフューザアセンブリの1つの表面に位置するディフューザメンブレンを通って流れることによって、そのアセンブリを通って流れることを可能にすることによって、このタイプの所望の層流特性についてテストされ得る。ディフューザアセンブリが水平方向に配向された状態で、その長さと幅とが共通の水平平面にある状態で、ならびにディフューザメンブレンが下を向き、その深さが垂直方向に配向された状態で、低い圧力から適度の圧力における水が、入口中に流れるようにされ、ディフューザメンブレンを通って通過することを可能にされる。望ましくは、周辺圧力および温度においてテストされるとき、水は、好ましくは、ディフューザメンブレンの長さに沿った流れる水から形をなす、薄膜または「カーテン」の形態で、ディフューザメンブレンを通って比較的一様に流れることになる。メンブレンから流れる水は、好ましくは、流れが維持される限り、膜またはカーテンの形態を保つ。図6を参照されたい。
【0047】
説明される細長い形態と、入力端部と、閉端部と、内部チャネルとを有する、本明細書で説明されるディフューザハウジングは、ハウジングを準備するために使用される特定の方法に関して限定されない。説明されるハウジングは、説明されるディフューザハウジングを形成するのに有効であろう、任意の現在のまたは将来の製造方法によって準備され得る。
【0048】
いくつかの特定の方法が、説明されるディフューザハウジングの異なる例を形成するために有用であり得る。たとえば、チャネルの長さに沿った、変動しうる断面積または深さ、あるいはその両方を有する、内部チャネルを含む、ディフューザハウジングは、機械加工、成形、またはCNC(コンピュータ数値制御)機器および技法のみを使用することによって、コスト効果的な様式で、商業スケールで形成するのが困難であり得る。
【0049】
例示的な方法および例示的なディフューザハウジングによれば、ディフューザハウジングまたはディフューザハウジングの構成要素を準備するために有効であることがわかっている技法は、一般に「3D印刷」技法と呼ばれる方法を含む、付加製造技法を含む。
【0050】
付加製造技法の多くの異なるバージョンが知られている。付加製造方法は、概して、供給原料複合材から得られる固化した供給原料複合材の層の上に層を順次形成する、一連の個々の層形成ステップを伴う。一般的なタイプの付加製造技法のいくつかの特定の例が、様々な「バインダジェット印刷」技法を含む、一般に「パウダーベッド」付加製造方法と呼ばれるものを含む。他の例は、ステレオリソグラフィ技法(SLS)および「供給原料分配方法」(FDM)を含む。「レーザー金属堆積」、または「直接金属堆積」、または「直接エネルギー堆積」と呼ばれる、さらに他の例は、レーザーおよび(パウダーまたはワイヤとしての)供給原料複合材の使用を伴って、表面上に「溶接プール」を連続的に形成し、これは、連続的に固化して、多層本体の複数の層を連続的に形成する。
【0051】
説明されるディフューザ本体は、これらの付加製造方法のいずれか、ならびに、そのいずれかが現在知られているかまたは将来において開発され得る、他の方法によって、準備され得る。
【0052】
各ステップが構造の単一の層を形成する、一連の付加製造ステップを使用して、固化した供給原料の複数の層が、本明細書では多層複合物(multi-layer composite)(または「複合物(composite)」)と呼ばれる構造に順次形成される。本明細書で使用される「複合物」(または「多層複合物」)という用語は、固化した供給原料の、一連の、複数の個々の層および個々に形成された層を順次形成することによって、付加製造によって形成された構造を指す。複合物は、本明細書のディフューザハウジング、またはディフューザハウジングの構成要素の形態をとり、これは、入口を備える入口端部と、閉端部と、入口端部と閉端部との間の長さと、前側上の開口と、入口と閉端部との間に延在する内部チャネルとを含み、チャネルは、前側上の開口と、細長い、非多孔質裏面と、細長い非多孔質側面とによって、上記長さに沿って画定される。ハウジングは、本明細書で説明されるように、長さ、幅、および深さと呼ばれる寸法を有する。いくつかの実施形態では、チャネルの、断面積、深さ、またはその両方は、チャネルの長さに沿って変動する。
【0053】
付加製造技法によって準備される、例示的なディフューザ本体によれば、2つの端部間の、および前面から裏側までの、ハウジング全体は、もっぱら、付加製造方法の複数の層形成ステップによって形成された複数の層の構造として、および真空ろう付けステップなどの接合ステップを使用して、2つの別個に作り出された部片を互いに接合することなしに、一緒に形成および保持され得る。付加製造方法によって、(真空ろう付けなどによって)接合することなしに、多層複合物として形成されるディフューザハウジングは、本明細書では「連続的」ディフューザハウジングと呼ばれることがある。
【0054】
このコンテキストにおける「連続的」という用語は、完全なハウジングが、複数の順次形成された層から単一部片複合物構造(composite structure)として形成されることを意味する。「連続的」という用語は、2つの個々の部片を別個に形成し、次いで、2つの別個に形成された部片を互いに接合することによって、たとえば、真空ろう付け技法によって、または異なるタイプの接合技法によって、準備される構造を指さない。連続的ディフューザハウジングは、接合ステップから生じる、シームまたは境界、特に、ディフューザハウジングの材料とは異なる複合材(composition)を有する接合材料またはフィラー材料から作られた、シームまたは境界を含まないことになる。
【0055】
付加製造技法の1つの特定の例が、一般に「選択的レーザー溶融」と呼ばれる技法である。直接金属レーザー溶融(DMLM)またはレーザーパウダーベッド融合(LPBF)としても知られる、選択的レーザー溶融(SLM)は、供給原料材料の固体粒子を溶融するために高電力密度レーザーを使用する、3次元印刷方法であり、これは、粒子の溶融された(液体)材料が、流れて、溶融された材料の層を形成することを可能にし、次いで、その層が、冷却し、固化して、固化した供給原料を形成することを可能にする。いくつかの特定の例示的な方法によれば、供給原料の粒子は、完全に溶融されて、液体を形成し(すなわち、液化され)得、液体材料は、流れて、実質的に連続的な、実質的に非多孔質の(たとえば、80、85、90、または95パーセント未満の多孔性)膜を形成することを可能にされ、この膜は、次いで、冷却し、多層複合物の固化した供給原料層として硬化する。
【0056】
付加製造技法は、(合金を含む)金属材料、金属マトリックス複合材料(metal matrix composite material)、セラミック材料、ポリマー、およびこれらの組合せを含む、広範囲の材料から作られる、ディフューザハウジングを形成するために有用であり得る。
【0057】
選択的レーザー溶融技法を含む、付加製造技法では、ディフューザハウジングを形成するために使用され得る可能な金属、合金、および金属マトリックス複合材(metal matrix composite)の範囲は、機械加工技法などの以前の技法によって有用なディフューザハウジングに容易に形成されない材料を、有利に含むことができる。付加製造技法で利用可能な材料の範囲は、アルミニウム合金、鉄ベース合金(ステンレス鋼合金)チタン合金、ニッケルおよびニッケルベース合金、ならびに様々な金属マトリックス複合材料など、レーザーエネルギーによって溶融され得る金属および金属合金を含み、そのうちの一部は、機械加工によって容易に処理されない。例示的な材料は、その材料が、正確な寸法と変動する寸法(たとえば、変動する深さ)とを含む、ディフューザハウジングの正確な構造を形成するために機械加工技法によって処理するのが困難であり得るほど、高い硬度を呈し得る。付加製造技法を使用すると、これらの材料は、標準の機械加工技法を使用することによって同様に形成するのが困難であろう材料からでも、チャネルの長さに沿った、変動しうる寸法、たとえば、変動しうる断面積、変動しうる深さ、またはその両方を有する、内部チャネルを含む、ディフューザハウジングを形成するように処理され得る。
【0058】
ディフューザハウジングを準備するために使用される材料は、ディフューザハウジングを準備するために有用である任意の材料、たとえば、(合金を含む)様々な金属、金属マトリックス複合材、セラミック材料、およびポリマーを含む、無機材料であり得る。
【0059】
有用なポリマーの例は、ポリエチレン、ポリスチレン、ならびに、ハイドロフルオロポリマーと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびパーフルオロアルキルポリマー(PFA)など、パーフルオロポリマーとを含む、フルオロポリマーを含み得る。
【0060】
「金属」という用語は、本明細書では、金属、化学、および付加製造技術内の「金属」という用語の意味に従う様式で使用され、任意の金属または半金属化学元素、あるいはこれらの元素のうちの2つまたはそれ以上の合金を指す。
【0061】
「金属マトリックス複合材」(「MMC」)という用語は、少なくとも2つの構成成分または2つの相、金属または金属合金である1つの相と、異なる金属、あるいは金属マトリックス中に分散された、ファイバー、粒子、またはウィスカーなど、別の非金属材料である、別の相とを含むように準備された複合材料を指す。非金属材料は、炭素ベース、無機、セラミックなどであり得る。いくつかの例示的な金属マトリックス複合材料は、アルミナ粒子を含むアルミニウム合金、炭素を含むアルミニウム合金、シリコンを含むアルミニウム合金、炭化ケイ素(SiC)を含むアルミニウム合金、TiBを含むチタン合金、シリコンを含むチタン合金、炭化ケイ素(SiC)を含むチタン合金の組合せから作られる。
【0062】
本明細書の方法による、有用であり得る金属および金属合金は、ディフューザ構造を準備するために過去に使用された金属および金属合金と、さらに、使用されていなかった他の材料とを含む。有用なまたは好ましい材料は、鉄合金(たとえば、ステンレス鋼および他のタイプの鋼)、チタンおよびチタン合金、ニッケルおよびニッケル合金(たとえば、ハステロイC22、ハステロイC276)、アルミニウムおよびアルミニウム合金、モリブデンおよびモリブデン合金など、金属と、様々な金属マトリックス複合材料とを含む。
【0063】
付加製造方法によって、完全な(または実質的に完全な)機能的ディフューザハウジングが、単一の製造プロセス(単一の付加製造「ステップ」)を使用して準備され得、これは、単位当たりの低減された時間量における高い製造効率(高い製造スループット)を与える。すべての必要とされる構造(たとえば、入口端部、閉端部、前面、側壁、および内部チャネル)を実質的に完全にもつディフューザハウジングが、単一の一連の付加製造ステップによって準備され得る。たとえば、ディフューザ構造を形成するための「1ステップ」付加製造プロセスと呼ばれることがあるものは、ディフューザハウジングの、多くの、大部分の、またはすべての必要とされる構造(たとえば、入口端部、閉端部、前面、側壁、および内部チャネル)を、説明される単一の、多層複合物として、形成することができる。1ステップ付加製造プロセスは、別個のステップによって複数の別個の部片を個々に形成することと、その後に続く、複数の、別個に形成された部片を一緒に接合して、機能的ディフューザ構造を形成する、さらに追加のステップとの必要を回避する。
【0064】
またさらに、付加製造技法は、内部チャネルの長さに沿った内部チャネルの変動する寸法(断面積、深さ、幅、またはこれらの組合せ)を含む、従来の技法によって形成するのが困難である形状または変動する寸法を含む、高精度の寸法、あるいは変動する寸法または形状を有する、ディフューザハウジングを形成するために使用され得る。
【0065】
複合物の各層が、説明される設計を有する多層複合物の形態のディフューザハウジングを作り出すために、所望の材料から、および所望の厚さで、所望されるように形成され得る。例示的な付加製造方法によって、各層は、概してパウダーの形態のものである粒子の集合(これは「供給原料」と呼ばれる)から準備される。供給原料は、高エネルギーレーザーによって溶融されて、液化し、流れて、溶融された材料の層を形成して、次いで、冷却して、固化して、多層複合物の層を形成することができる、1つのまたは様々な異なる無機材料から作られる、小さい粒子を含んでいる。
【0066】
本明細書による、有用である粒子は、説明される有用な多層複合物を形成するために処理され得る任意の粒子であり得る。有用な粒子の例は、説明されるディフューザハウジングの層を形成するために、レーザーエネルギーによって、完全に溶融されるか、部分的に溶融(たとえば、焼結)されるか、または液化されることが可能である、無機粒子を含む。そのような粒子の例は、(合金を含む)金属、セラミック、または金属マトリックス複合材から作られる、無機粒子を含む。いくつかの有用な例は、概して、ステンレス鋼、ニッケルベース合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金、ならびにチタンおよびチタン合金など、金属および金属合金、ならびに金属マトリックス複合材を含む。
【0067】
供給原料の有用な粒子は、(たとえば、500ミクロン未満、100ミクロン未満、50ミクロン未満、10ミクロン、または5ミクロン未満の平均サイズを有する)ミクロンのスケールでの小さいまたは比較的小さい粒子を含む、有効である任意のサイズ(たとえば、平均粒子サイズ)またはサイズ範囲のものであり得る。
【0068】
粒子は、供給原料中に含まれており、供給原料層に形成され、完全に溶融されるかまたは部分的に溶融(たとえば、焼結)されて、溶融された粒子を含んでいる層を形成することが可能であり、これが、冷却して、固化した供給原料を多層複合物の層として形成することができるように、説明される処理における有効性を達成するために、選択され得る。粒子のサイズ、形状、および化学組成は、これらの目的のために有効である任意のものであり得る。
【0069】
粒子は、本明細書の付加製造プロセスにおいて使用され得る供給原料複合材の形態のものであり得る。例によれば、付加製造プロセスにおいて有用な供給原料は、加熱されて、部分的に溶融されるかまたは完全に溶融され、次いで、冷却されて、多層複合物の層を形成することが可能である、粒子を含んでいることがある。供給原料材料は、他の材料を含んでいることを必要とされないが、所望される場合、随意に、ある量の他の材料を含んでいることがある。
【0070】
選択的レーザー溶融または選択的レーザー焼結技法において使用するための例示的な供給原料複合材は、供給原料複合材の総重量に基づいて、重量で少なくとも80、90、または95、98、または99パーセントの無機粒子を含んでいることがある。所望される場合、流動助剤(flow aid)、界面活性剤、潤滑剤、レベリング剤などのうちの1つまたは複数など、他の成分が、低い量において、存在し得る。
【0071】
多層複合物の各層が、任意の有用な厚さを有するように形成され得る。多層複合物の層の厚さは、層が、供給原料層の粒子を溶融して、溶融された供給原料層を形成することによって形成され、次いで、冷却されて、複合物の固化した供給原料層を形成した後の、複合物の層から測定される。複合物の固化した層の例示的な厚さは、30ミクロンから100、200、またはそれ以上のミクロンまでの、たとえば、30から50、60、70、80ミクロン、最高90、100、150、200、300、400、または500ミクロンまでの範囲であり得る。例示的な複合物構造では、複合物のすべての層が、同じ厚さまたは実質的に同じ厚さを有し得る。他の例示的な複合物構造では、それらの層は、すべて同じ厚さを有するとは限らないが、複合物の異なる層は、各々、異なる厚さを有し得る。
【0072】
説明されるディフューザハウジングは、一連の個々の層形成ステップを使用して、高密度金属または金属マトリックス複合材多層複合物構造を形成する、付加製造方法によって準備され得る。一例として、レーザー付加製造技法(LAMT)と呼ばれる技法が、層ごとに、「付加製造」様式で、多層複合物を形成するために使用され得る。レーザー付加製造技法は、高電力レーザーエネルギーを使用して、選択的に、供給原料層の金属または金属マトリックス複合材粒子が、加熱され、(少なくとも部分的に)溶融し、流れ、実質的に固化した供給原料層を形成することを引き起こす。選択的レーザー溶融(SLM)と呼ばれる、1つの特定の例によって、供給原料層は、溶融されて、実質的に連続的な、非多孔質の、溶融された層を形成し、これは、実質的に連続的な、非多孔質の固化した供給原料層として固化する。選択的レーザー焼結(SLS)と呼ばれる、異なる特定の例によって、供給原料層は、焼結されて(部分的に溶融されて)、部分的に溶融された供給原料粒子の層を形成し、これは、冷却して、孔空間として、溶融された粒子間のあるレベルの空間を含んでいることがある、固化した供給原料層を形成する。
【0073】
より詳細には、多層複合物は、より大きい3次元構造(複合物)の多くの薄い断面(本明細書の、「層」の「固化した供給原料」)を作り出す順次ステップによって構築され得る。供給原料の層が、形成され、金属または金属マトリックス複合材の多くの粒子を含む。レーザーエネルギーが、供給原料の層の一部分にわたって供給原料層に選択的に印加される。レーザーエネルギーを受ける供給原料層の一部分は、ディフューザハウジングとして形成されることになる部分である。
【0074】
レーザーエネルギーは、レーザーエネルギーに露出される供給原料の一部分における粒子を少なくとも部分的に溶融する。粒子の溶融された材料は、液化し、流れて、他の溶融された粒子に接触し、溶融された粒子は、冷却して、固化した供給原料の層として固化する。
【0075】
固化した供給原料の初期層が形成された後に、供給原料の追加の薄い層が、固化した供給原料を含んでいる完成した層の上部表面の上に堆積される。プロセスは、繰り返されて、固化した供給原料の複数の層を形成し、各層が、前の層の上部上に形成され、前の層の上部表面に付着する。複数の層が、各完成した層の上に1つずつ、順に、堆積されて、連続的に形成された固化した供給原料の複数の層の複合物である、多層複合物を形成する。複数の層は、同じ複合材および厚さのものであり得るか、または異なる複合材および異なる層厚さのものであり得る。
【0076】
バインダジェット付加製造方法は、固化した供給原料層を形成するためのポリマーと、ポリマーを含んでいる「成形体(green body)」の形成と、ポリマーを除去するための脱バインダ、および熱処置(たとえば、焼結)など、後処理ステップとを伴う。本明細書で概しておよび詳細に説明されるものなど、多くのレーザーベース付加製造方法は、固化した供給原料層の形成中のポリマーの必要を回避する。これらのレーザーベース方法はまた、最終多層複合物を形成するために脱バインダステップまたは焼結ステップを必要としない。
【0077】
第1の態様は、細長いハウジングを備える、方向性ガスディフューザであって、ハウジングが、入口端部と、閉端部と、入口端部と閉端部との間の長さと、ハウジングの前側上に上記長さに沿って延在する開口と、入口端部と閉端部との間に延在するチャネルとを備え、チャネルが、前側に沿って延在する開口と、細長い裏面と、細長い側面とによって、上記長さに沿って画定され、チャネルが、長さと、幅と、深さと、チャネル長さに沿った変動する断面積とを有する、方向性ガスディフューザを対象とする。
【0078】
第1の態様による第2の態様では、上記長さは上記幅よりも大きく、上記幅はチャネルの最大深さよりも大きい。
【0079】
第1または第2の態様による第3の態様では、上記深さは、チャネルが閉端部に向かって延在するにつれて、上記長さの一部分に沿って減少する。
【0080】
第1から第3の態様のいずれか1つによる第4の態様では、細長い裏面は非多孔質であり、2つの細長い側面は非多孔質である。
【0081】
第1から第4の態様のいずれか1つによる第5の態様では、ハウジングは、細長い裏面から前側まで延在する多層複合物をさらに備える。
【0082】
第1から第5の態様のいずれか1つによる第6の態様では、多層複合物は、金属または金属合金、金属複合材マトリックス(metal composite matrix)、セラミック、あるいはポリマーを含む。
【0083】
第1から第6の態様のいずれか1つによる第7の態様では、多層複合物はシームを含んでいない。
【0084】
第1から第7の態様のいずれか1つによる第8の態様では、ディフューザは、開口に固定されたディフューザメンブレンをさらに備える。
【0085】
第8の態様による第9の態様では、均一な断面積をもつチャネルを有する、別様の同等のディフューザに対して、上記長さに沿った変動する断面積は、ディフューザメンブレンの長さに沿ってディフューザメンブレンを通る流体のより均一な流量を作り出す。
【0086】
第8または第9の態様による第10の態様では、ディフューザは、ディフューザメンブレンを通して水の層流を作り出すことが可能であり、それにより、ディフューザは、ディフューザメンブレンが下を向く状態で水平方向に位置し、ディフューザを通過する水が、ディフューザメンブレンの長さに沿った流れる水から形をなす連続的な薄い水膜を作り出すことが可能である。
【0087】
第11の態様は、細長いハウジングを備える、方向性ガスディフューザであって、ハウジングが、入口を備える入口端部と、閉端部と、入口端部と閉端部との間の長さと、ハウジングの前面上に上記長さに沿って延在する開口と、入口と閉端部との間に延在する内部チャネルとを備え、チャネルが、前側上の開口と、細長い、非多孔質裏面と、細長い非多孔質側面とによって、上記長さに沿って画定される、方向性ガスディフューザを対象とする。
【0088】
第11の態様による第12の態様では、上記長さは上記幅よりも大きく、上記幅はチャネルの最大深さよりも大きい。
【0089】
第11または第12の態様による第13の態様では、上記深さは、チャネルが閉端部に向かって延在するにつれて、上記長さの一部分に沿って減少する。
【0090】
第11から第13の態様のいずれか1つによる第14の態様では、細長い裏面は非多孔質であり、2つの細長い側面は非多孔質である。
【0091】
第11から第14の態様のいずれか1つによる第15の態様では、ハウジングは、細長い裏面から前側まで延在する多層複合物をさらに備える。
【0092】
第15の態様による第16の態様では、多層複合物は、金属または金属合金、金属複合材マトリックス、セラミック、あるいはポリマーを含む。
【0093】
第11から第16の態様のいずれか1つによる第17の態様では、多層複合物はシームを含んでいない。
【0094】
第18の態様は、1つまたは複数の半導体ウエハを含んでいるように適応された内部を含むチャンバを備える装置であって、チャンバが、不活性ガスの源に接続された、上記内部における、態様1から17のいずれか1つに記載の方向性ガスディフューザを備える、装置を対象とする。
【0095】
ウエハキャリアとウエハ搬送ステーションとから選択される、第18の態様による第19の態様。
【0096】
第20の態様は、第19の態様に記載のウエハ搬送ステーションのチャンバ中の圧力を均等化する方法であって、方法は、チャンバが、複数の半導体ウエハを含んでいる状態で、チャンバが、閉じられ、雰囲気圧力未満にある内部を含んでいる状態で、上記内部内の圧力を増加させるためにディフューザを通して不活性ガスを分配することを含む、方法を対象とする。
【0097】
第21の態様は、第19の態様に記載のウエハキャリアのチャンバ中のガス状雰囲気を置換する方法であって、方法は、チャンバが、ガス状雰囲気中に複数の半導体ウエハを含んでいる状態で、上記内部に不活性ガスを加えるためにディフューザを通して不活性ガスを分配することを含む、方法を対象とする。
【0098】
第21の態様による第22の態様では、チャンバ中のガス状雰囲気は空気であり、不活性ガスは空気を置換する。
【0099】
第23の態様は、付加製造によって、第1から第17の態様のいずれか1つに記載の方向性ガスディフューザのハウジングを作る方法であって、方法が、固化した供給原料の第1の層を形成することと、固化した供給原料の第1の層の表面上に、固化した供給原料の第2の層を形成することとを含み、固化した供給原料の層が、ハウジングの一部である、方法を対象とする。
【0100】
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、上記供給原料層が無機粒子を含む、第1の供給原料層を形成することと、第1の供給原料層から、固化した供給原料を形成することと、第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が無機粒子を含む、第2の供給原料層を形成することと、第2の供給原料層から、第2の固化した供給原料を形成することとをさらに含み、固化した供給原料層が、方向性ガスディフューザのハウジングの一部である、第23の態様による第24の態様。
【0101】
レーザーを使用して無機粒子を溶融することによって、固化した供給原料を形成することをさらに含む、第23の態様による第25の態様。
【0102】
第23から第25の態様のいずれか1つによる第26の態様では、固化した供給原料層は、金属または金属合金粒子と、金属複合材マトリックス粒子と、セラミック粒子と、ポリマー粒子とから選択される粒子を含む。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いハウジング
を備える、方向性ガスディフューザであって、ハウジングが、
入口端部と、
閉端部と、
入口端部と閉端部との間の長さと、
ハウジングの前側上に長さに沿って延在する開口と、
入口端部と閉端部との間に延在するチャネルと
を備え、チャネルが、
前側に沿って延在する開口と、
細長い裏面と、
細長い側面と
によって、長さに沿って画定され、
チャネルが、長さと、幅と、深さと、チャネル長さに沿った変動する断面積とを有する、方向性ガスディフューザ。
【請求項2】
長さが幅よりも大きく、幅がチャネルの最大深さよりも大きい、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項3】
深さは、チャネルが閉端部に向かって延在するにつれて、長さの一部分に沿って減少する、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項4】
細長い裏面が非多孔質であり、2つの細長い側面が非多孔質である、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項5】
ハウジングが、細長い裏面から前側まで延在する多層複合物を更に備える、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項6】
多層複合物が、金属又は金属合金、金属複合材マトリックス、セラミック、あるいはポリマーを含む、請求項5に記載のディフューザ。
【請求項7】
多層複合物がシームを含んでいない、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項8】
開口に固定されたディフューザメンブレンを更に備える、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項9】
均一な断面積をもつチャネルを有する、別様の同等のディフューザに対して、長さに沿った変動する断面積が、ディフューザメンブレンの長さに沿ってディフューザメンブレンを通る流体のより均一な流量を作り出す、請求項8に記載のディフューザ。
【請求項10】
ディフューザが、ディフューザメンブレンを通して水の層流を作り出すことが可能であり、それにより、ディフューザは、ディフューザメンブレンが下を向く状態で水平方向に位置し、ディフューザを通過する水が、ディフューザメンブレンの長さに沿った流れる水から形をなす連続的な薄い水膜を作り出すことが可能である、請求項8に記載のディフューザ。
【請求項11】
細長いハウジング
を備える、方向性ガスディフューザであって、ハウジングが、
入口を備える入口端部と、
閉端部と、
入口端部と閉端部との間の長さと、
ハウジングの前面上に長さに沿って延在する開口と、
入口と閉端部との間に延在する内部チャネルと
を備え、チャネルが、
前側上の開口と、
細長い、非多孔質裏面と、
細長い非多孔質側面と
によって、長さに沿って画定される、方向性ガスディフューザ。
【請求項12】
長さが幅よりも大きく、幅がチャネルの最大深さよりも大きい、請求項11に記載のディフューザ。
【請求項13】
深さは、チャネルが閉端部に向かって延在するにつれて、長さの一部分に沿って減少する、請求項11に記載のディフューザ。
【請求項14】
細長い裏面が非多孔質であり、2つの細長い側面が非多孔質である、請求項11に記載のディフューザ。
【請求項15】
ハウジングが、細長い裏面から前側まで延在する多層複合物を更に備える、請求項11に記載のディフューザ。
【請求項16】
多層複合物が、金属又は金属合金、金属複合材マトリックス、セラミック、あるいはポリマーを含む、請求項15に記載のディフューザ。
【請求項17】
多層複合物がシームを含んでいない、請求項11に記載のディフューザ。
【請求項18】
1つ又は複数の半導体ウエハを含んでいるように適応された内部を含むチャンバを備える装置であって、チャンバが、不活性ガスの源に接続された、内部における、請求項1に記載の方向性ガスディフューザを備える、装置。
【請求項19】
ウエハキャリアとウエハ搬送ステーションとから選択される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項19に記載のウエハ搬送ステーションのチャンバ中の圧力を均等化する方法であって、前記方法は、チャンバが、複数の半導体ウエハを含んでいる状態で、チャンバが、閉じられ、雰囲気圧力未満にある内部を含んでいる状態で、内部内の圧力を増加させるためにディフューザを通して不活性ガスを分配することを含む、方法。
【請求項21】
請求項19に記載のウエハキャリアのチャンバ中のガス状雰囲気を置換する方法であって、前記方法は、チャンバが、ガス状雰囲気中に複数の半導体ウエハを含んでいる状態で、内部に不活性ガスを加えるためにディフューザを通して不活性ガスを分配することを含む、方法。
【請求項22】
チャンバ中のガス状雰囲気が空気であり、不活性ガスが空気を置換する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
付加製造によって、請求項1に記載の方向性ガスディフューザのハウジングを作る方法であって、前記方法が、
固化した供給原料の第1の層を形成することと、
固化した供給原料の第1の層の表面上に、固化した供給原料の第2の層を形成することと
を含み、
固化した供給原料の層が、ハウジングの一部である、方法。
【請求項24】
表面上に第1の供給原料層を形成することであって、供給原料層が無機粒子を含む、第1の供給原料層を形成することと、
第1の供給原料層から、固化した供給原料を形成することと、
第1の供給原料層の上に第2の供給原料層を形成することであって、第2の供給原料層が無機粒子を含む、第2の供給原料層を形成することと、
第2の供給原料層から、第2の固化した供給原料を形成することと
を更に含み、
固化した供給原料層が、方向性ガスディフューザのハウジングの一部である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
レーザーを使用して無機粒子を溶融することによって、固化した供給原料を形成することを更に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
固化した供給原料層が、金属又は金属合金粒子と、金属複合材マトリックス粒子と、セラミック粒子と、ポリマー粒子とから選択される粒子を含む、請求項23に記載の方法。
【国際調査報告】