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特表2024-541525パワー半導体デバイスのためのエッジ終端及び関連する製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】パワー半導体デバイスのためのエッジ終端及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/06 20060101AFI20241031BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20241031BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241031BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241031BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
H01L29/78 652P
H01L29/06 301G
H01L29/06 301V
H01L29/78 652R
H01L29/78 652T
H01L29/78 652J
H01L29/78 653A
H01L29/78 658A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531392
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-07-04
(86)【国際出願番号】 US2022080114
(87)【国際公開番号】W WO2023102324
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】17/538,026
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウンスン
(72)【発明者】
【氏名】リヒテンヴァルナー、ダニエル ジェンナー
(72)【発明者】
【氏名】リュー、セイ - ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イスラム、ネーム
(57)【要約】
パワー半導体デバイスは、第1の導電型の半導体ドリフト領域と、第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を含む。ガード・リングは、半導体ドリフト領域の表面内に延在する。ガード・リングは、それぞれ、表面に隣接する第1の部分と、表面から離間された第2の部分とを備え、第1の部分は第2の部分よりも広い。関連するデバイス及び製造方法も記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、前記半導体ドリフト領域の表面内に約1マイクロメートル(μm)よりも大きいそれぞれの深さまで延在し、約3μm未満のそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている、
パワー半導体デバイス。
【請求項2】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の部分と、前記表面から離間された第2の部分とを備え、前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、請求項1に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項3】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む、請求項2に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項2又は3に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項5】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備える、請求項2又は3に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項6】
前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項5に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項7】
前記第3の部分が2つ以上の次元において前記第1の部分内に閉じ込められている、請求項5に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項8】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える、請求項2から7までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項9】
前記段差が、異なるドーパント濃度を含む前記ガード・リングの部分間の界面に画定されている、請求項8に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項10】
前記半導体層構造が、前記半導体ドリフト領域内に前記第2の導電型の複数のウェル領域を含む活性領域をさらに備え、前記ウェル領域が前記第1の深さまで延在する、請求項4から9までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項11】
前記活性領域が前記ウェル領域よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む複数の遮蔽パターンをさらに備え、前記遮蔽パターンが前記第2の深さまで延在する、請求項10に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項12】
前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項2から11までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項13】
前記それぞれの深さが約1μm~約3μmであり、前記それぞれの間隔が約0.5μm~約3μmである、請求項1から12までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項14】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の幅と、前記表面から離間された第2の幅とを備え、前記第2の幅に対する前記第1の幅の比が約0.95~約2である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項15】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、前記半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の部分と、前記表面から離間された第2の部分とを備え、前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、
パワー半導体デバイス。
【請求項16】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む、請求項15に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項17】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項16に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項18】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項16に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項19】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数がそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離され、前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項15から18までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項20】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える、請求項15から19までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項21】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、前記半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の部分と、前記表面から離間された第2の部分と、側壁とを備え、それぞれのガード・リングの前記側壁が前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む、
パワー半導体デバイス。
【請求項22】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含み、前記段差が前記第1の部分と前記第2の部分との界面に画定されている、請求項21に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項23】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、請求項22に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項24】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項22又は23に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項25】
前記半導体層構造が前記半導体ドリフト領域内に前記第2の導電型の複数のウェル領域を含む活性領域をさらに備え、前記ウェル領域が前記第1の深さまで延在する、請求項24に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項26】
前記活性領域が前記ウェル領域よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む複数の遮蔽パターンをさらに備え、前記遮蔽パターンが前記第2の深さまで延在する、請求項25に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項27】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項22から26までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項28】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が約1μm~約3μmのそれぞれの深さまで前記半導体ドリフト領域の前記表面内に延在し、約0.5μm~約3μmのそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている、請求項21から27までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項29】
前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項28に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項30】
前記第1の部分が第1の幅を有し、前記第2の部分が第2の幅を有し、前記第2の幅に対する前記第1の幅の比が約0.95~約2である、請求項21から29までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項31】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、前記半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、前記表面に隣接する第1の幅と、前記表面から離間された第2の幅とをそれぞれ備え、前記第1の幅の前記第2の幅に対する比が約0.95~約2である、
パワー半導体デバイス。
【請求項32】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、それぞれ、前記第1の幅を含む第1の部分と、前記第2の幅を含む第2の部分とを備え、前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、
請求項31に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項33】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む、請求項32に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項34】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項32又は33に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項35】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項32から34までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項36】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える、請求項32から35までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項37】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が約1μm~約3μmのそれぞれの深さまで前記半導体ドリフト領域の前記表面内に延在し、約0.5μm~約3μmのそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている、請求項31から36までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項38】
前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項37に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項39】
前記比が約0.95~約1.05である、請求項31から38までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項40】
前記比が約0.99~約1.01である、請求項31から38までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項41】
第1の導電型の半導体ドリフト領域を含む半導体層構造を設けるステップと、
前記半導体ドリフト領域内に第2の導電型の複数のガード・リングを形成して、エッジ終端領域を形成するステップと、
を含み、
前記ガード・リングを形成するステップが、前記半導体ドリフト領域上に第1のマスク・パターン及び第2のマスク・パターンを用いて第1のイオン注入プロセス及び第2のイオン注入プロセスをそれぞれ順次に行うステップを含み、前記第1のマスク・パターンが前記第2のマスク・パターンとは異なる幅を有する開口部を含む、
パワー半導体デバイスを製造する方法。
【請求項42】
前記ガード・リングを形成するステップが、
前記第1のマスク・パターンを用いて前記第1のイオン注入プロセスを実行して、前記半導体ドリフト領域の表面に隣接する前記ガード・リングの第1の部分を形成するステップと、
前記第2のマスク・パターンを用いて前記第2のイオン注入プロセスを実行して、前記表面から離間された前記ガード・リングの第2の部分を形成するステップと、
を含み、
前記第2のマスク・パターンの前記開口部が前記第1のマスク・パターンの前記開口部よりも狭く、前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第2のイオン注入プロセスが前記第1のイオン注入プロセスよりも大きい注入エネルギーを含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記第2のマスク・パターンが前記第1のマスク・パターンより厚い厚さを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第2のイオン注入プロセスを実行する前に、前記第2のマスク・パターンの側壁上にスペーサを形成して、前記第2のマスク・パターン内に前記開口部を画定するステップ、
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第2のイオン注入プロセスが前記第1のイオン注入プロセスの後に実行され、前記スペーサが1つ又は複数の横方向次元において前記ガード・リングの前記第1の部分の境界に重なる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第2のイオン注入プロセスを実行する前に、前記第1のマスク・パターンの側壁上にスペーサを形成して、前記半導体ドリフト領域上に前記第2のマスク・パターンを形成するステップ、
をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記第2のマスク・パターンを用いて前記第2のイオン注入プロセスを実行するステップが、前記ガード・リングの第3の部分を形成するステップを含み、前記第3の部分が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型の前記ドーパントを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記第3の部分が2つ以上の次元において前記第1の部分内に閉じ込められている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項42から48までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記半導体層構造が活性領域をさらに含み、前記第1のマスク・パターンを用いて前記第1のイオン注入プロセスを実行するステップが、前記活性領域において前記半導体ドリフト領域の前記表面内に前記第1の深さまで延在する前記第2の導電型の複数のウェル領域を形成するステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記第2のマスク・パターンを用いて前記第2のイオン注入プロセスを実行するステップが、前記ウェル領域よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含み前記活性領域における前記半導体ドリフト領域の前記表面内に前記第2の深さまで延在する複数の遮蔽パターンを形成するステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ガード・リングが、それぞれの間隔によって互いに横方向に分離され、前記それぞれの間隔が、前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項42から52までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記それぞれの間隔が前記第2の部分間で不均一である、請求項53に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2021年11月30日に出願された米国特許出願第17/538,026号からの優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、パワー半導体デバイス及びこのようなデバイスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
パワー半導体デバイスは、大電流を流し、高電圧をサポートするために使用される。例えば、パワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)、接合障壁ショットキー・ダイオード、ゲート・ターンオフ・トランジスタ(GTO)、MOS制御サイリスタ、及び種々の他のデバイスを含む、多種多様なパワー半導体デバイスが、当技術分野で使用され得る。これらのパワー半導体デバイスは、一般に、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ガリウム(GaN)ベースの半導体材料などのワイド・バンドギャップ半導体材料から製造される。本明細書では、ワイド・バンドギャップ半導体材料は、約1.40eVより大きい、例えば約2eVより大きいバンドギャップを有する半導体材料を指す。
【0004】
パワー半導体デバイスは、横型構造又は縦型構造を有することができる。横型構造を有するデバイスでは、デバイスの端子(例えば、パワーMOSFETデバイスのドレイン端子、ゲート端子、及びソース端子)は、半導体層構造の同じ主面上(例えば、上部又は底部)にある。これに対して、縦型構造を有するデバイスでは、半導体層構造の各主面上に少なくとも1つの端子が設けられている。例えば、縦型MOSFETデバイスでは、ソースは半導体層構造の上面にあってもよく、ドレインは半導体層構造の底面にあってもよい。別の例として、パワー・ショットキー・ダイオードは、典型的には、アノード・コンタクトが半導体層構造の第1の主面(例えば、上面)に形成され、カソード・コンタクトが他方の主面(例えば、底面)に形成された縦型構造を有する。縦型構造により、高電流密度がサポートされ、高電圧を阻止することができる厚い半導体ドリフト層又は領域が可能になるため、縦型構造は、典型的には、非常に高い電力用途で使用される。半導体層構造は、下にある基板を含んでも含まなくてもよい。本明細書では、「半導体層構造」という用語は、半導体基板及び/又は半導体エピタキシャル層などの1つ又は複数の半導体層を含む構造を指す。
【0005】
MOSFETトランジスタを含む縦型パワー半導体デバイスは、トランジスタのゲート電極が半導体層構造の上に形成される標準的なゲート電極設計を有することができ、或いは、半導体層構造内のトレンチに埋め込まれたゲート電極を有することができる。埋め込みゲート電極を有するMOSFETは、典型的にはゲート・トレンチMOSFETと呼ばれる。標準的なゲート電極設計では、各単位セル・トランジスタのチャネル領域は、ゲート電極の下に水平に配置される。対照的に、ゲート・トレンチMOSFET設計では、チャネルは垂直に配置される。例えば、SiCトレンチMOSFETは、トレンチの側壁上にチャネル領域を実装することによって比較的狭いセル・ピッチが得られるため、固有のより低い比オン抵抗を提供することができる。トレンチ側壁上のチャネル移動度も、平坦なSi面よりも大幅に(例えば、2~4倍)大きくなる場合があり、結果として電流密度が向上する。したがって、ゲート・トレンチMOSFETは、性能を向上させることができるが、典型的には、より複雑な製造プロセスを必要とする。
【0006】
より一般的には、従来のパワー半導体デバイスは、典型的には、第1の導電型(例えば、n型)を有するエピタキシャル層構造が形成された第1の導電型(例えば、n型基板)を有する炭化ケイ素基板などの基板を含む。このエピタキシャル層構造(1つ又は複数の別個の層を含んでもよい)の一部は、パワー半導体デバイスのドリフト領域として機能する。デバイスは、典型的には、p-n接合又はショットキー接合などの接合を有する1つ又は複数のパワー半導体デバイスを含む「活性領域」を含む。活性領域は、ドリフト領域の上及び/又は中に形成され得る。活性領域は、逆バイアス方向の電圧を阻止し、順バイアス方向の電流を供給するための主接合として機能する。パワー半導体デバイスは、活性領域に隣接する終端領域にエッジ終端を有することもある。1つ又は複数のパワー半導体デバイスが基板上に形成されることがあり、各パワー半導体デバイスは、典型的には、それ自体のエッジ終端を有する。基板が完全に処理された後、得られた構造は、個々のエッジ終端パワー半導体デバイスを分離するためにダイシングされることがある。パワー半導体デバイスは、各パワー半導体デバイスの活性領域が、互いに平行に配置され、一緒になって単一のパワー半導体デバイスとして機能することができる複数の個々の「単位セル」構造を含む単位セル構造を有することができる。
【0007】
パワー半導体デバイスは、大きな電圧及び/又は電流を阻止する(順方向又は逆方向阻止状態で)或いは通過させる(順方向動作状態で)ように設計される。例えば、阻止状態では、パワー半導体デバイスは、数百又は数千ボルトの電位を維持するように設計されることがある。しかしながら、印加された電圧が、デバイスが阻止するように設計されている電圧レベルに近づくか、又はそれを超えると、無視できないレベルの電流がパワー半導体デバイスを通って流れ始めることがある。一般に「漏れ電流」と呼ばれるこのような電流は、非常に望ましくない場合がある。漏れ電流は、電圧がデバイスの設計電圧阻止能力を超えて増加した場合に流れ始めることがあり、これは、とりわけ、ドリフト領域のドーピング及び厚さの関数である場合がある。漏れ電流は、デバイスのエッジ終端及び/又は一次接合の故障などの他の理由によっても生じることがある。デバイスに印加される電圧が降伏電圧を超えて臨界レベルまで増加した場合、電界の増大により、半導体デバイス内で電荷キャリアが制御不能且つ望ましくない暴走を引き起こし、アバランシェ降伏として知られる状態に至る可能性がある。
【0008】
パワー半導体デバイスでは、デバイスの設計降伏電圧よりも低い電圧レベルで、無視できない量の漏れ電流が流れ始めることもある。特に、漏れ電流は、電界集中効果に起因して高電界が発生することがある活性領域のエッジで流れ始めることがある。この電界集中(及び結果として生じる漏れ電流の増加)を低減するために、パワー半導体デバイスの活性領域の一部又は全部を取り囲む上述のエッジ終端が設けられることがある。これらのエッジ終端は、より広い領域にわたって電界を分散させ、それによって電界集中を低減することができる。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一部の実施例によると、パワー半導体デバイスは、第1の導電型の半導体ドリフト領域と、第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を含む。ガード・リングのうちの1つ又は複数は、半導体ドリフト領域の表面内に約1マイクロメートル(μm)よりも大きいそれぞれの深さまで延在し、約3μm未満のそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている。
【0010】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、それぞれ、表面に隣接する第1の部分と、表面から離間された第2の部分とを備え、第1の部分は第2の部分より広い。
【0011】
一部の実施例では、第2の部分は、第1の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む。
【0012】
一部の実施例では、第1の部分は、表面内に第1の深さまで延在し、第2の部分は、第1の部分を貫通して、第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する。
【0013】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、それぞれ、第2の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む第3の部分を含む。
【0014】
一部の実施例では、第3の部分は第1の部分よりも狭い。
【0015】
一部の実施例では、第3の部分は、2つ以上の次元で第1の部分内に閉じ込められる。
【0016】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、第1の部分と第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える。
【0017】
一部の実施例では、段差は、異なるドーパント濃度を含むガード・リングの部分間の界面に画定される。
【0018】
一部の実施例では、半導体層構造は、半導体ドリフト領域内に第2の導電型の複数のウェル領域を含む活性領域をさらに備え、ウェル領域は第1の深さまで延在する。
【0019】
一部の実施例では、活性領域は、ウェル領域より高濃度の第2の導電型のドーパントを含む複数の遮蔽パターンをさらに備え、遮蔽パターンは、第2の深さまで延在する。
【0020】
一部の実施例では、それぞれの間隔は、第1の部分間で実質的に均一である。
【0021】
一部の実施例では、それぞれの深さは約1μm~約3μmであり、それぞれの間隔は約0.5μm~約3μmである。
【0022】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、表面に隣接する第1の幅と、表面から離間された第2の幅とをそれぞれ含み、第2の幅に対する第1の幅の比は、約0.95~約2である。
【0023】
本開示の一部の実施例によると、パワー半導体デバイスは、第1の導電型の半導体ドリフト領域と、半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を含む。1つ又は複数のガード・リングは、それぞれ、表面に隣接する第1の部分と、表面から離間された第2の部分とを備え、第1の部分は第2の部分よりも広い。
【0024】
一部の実施例では、第2の部分は、第1の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む。
【0025】
一部の実施例では、第1の部分は、表面内に第1の深さまで延在し、第2の部分は、第1の部分を貫通して、第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する。
【0026】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、第2の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、第3の部分は第1の部分よりも狭い。
【0027】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、それぞれの間隔によって互いに横方向に分離され、それぞれの間隔は、第1の部分間で実質的に均一である。
【0028】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、第1の部分と第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える。
【0029】
本開示の一部の実施例によると、パワー半導体デバイスは、第1の導電型の半導体ドリフト領域と、半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を含む。1つ又は複数のガード・リングは、それぞれ、表面に隣接する第1の部分と、表面から離間された第2の部分と、側壁とを備え、それぞれのガード・リングの側壁は、第1の部分と第2の部分との間に段差を含む。
【0030】
一部の実施例では、第2の部分は、第1の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含み、段差は、第1の部分と第2の部分との界面に画定される。
【0031】
一部の実施例では、第1の部分は第2の部分よりも広い。
【0032】
一部の実施例では、第1の部分は、表面内に第1の深さまで延在し、第2の部分は、第1の部分を貫通して、第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する。
【0033】
一部の実施例では、半導体層構造は、半導体ドリフト領域内に第2の導電型の複数のウェル領域を含む活性領域をさらに備え、ウェル領域は第1の深さまで延在する。
【0034】
一部の実施例では、活性領域は、ウェル領域よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む複数の遮蔽パターンをさらに備え、遮蔽パターンは、第2の深さまで延在する。
【0035】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、第2の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、第3の部分は第1の部分よりも狭い。
【0036】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、半導体ドリフト領域の表面内に約1μm~約3μmのそれぞれの深さまで延在し、約0.5μm~約3μmのそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている。
【0037】
一部の実施例では、それぞれの間隔は、第1の部分間で実質的に均一である。
【0038】
一部の実施例では、第1の部分は第1の幅を有し、第2の部分は第2の幅を有し、第2の幅に対する第1の幅の比は約0.95~約2である。
【0039】
本開示の一部の実施例によると、パワー半導体デバイスは、第1の導電型の半導体ドリフト領域と、半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を含む。1つ又は複数のガード・リングは、それぞれ、表面に隣接する第1の幅と、表面から離間された第2の幅とを備え、第2の幅に対する第1の幅の比は、約0.95対約2である。
【0040】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、それぞれ、第1の幅を含む第1の部分と、第2の幅を含む第2の部分とを備え、第1の部分は第2の部分よりも広い。
【0041】
一部の実施例では、第2の部分は、第1の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む。
【0042】
一部の実施例では、第1の部分は、表面内に第1の深さまで延在し、第2の部分は、第1の部分を貫通して、第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する。
【0043】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、第2の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、第3の部分は第1の部分よりも狭い。
【0044】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、第1の部分と第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える。
【0045】
一部の実施例では、ガード・リングのうちの1つ又は複数は、半導体ドリフト領域の表面内に約1μm~約3μmのそれぞれの深さまで延在し、約0.5μm~約3μmのそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている。
【0046】
一部の実施例では、それぞれの間隔は、第1の部分間で実質的に均一である。
【0047】
一部の実施例では、この比は約0.95~約1.05である。
【0048】
一部の実施例では、この比は約0.99~約1.01である。
【0049】
本開示の一部の実施例によると、パワー半導体デバイスを製造する方法は、第1の導電型の半導体ドリフト領域を含む半導体層構造を設けるステップと、半導体ドリフト領域に第2の導電型の複数のガード・リングを形成して、エッジ終端領域を形成するステップとを含む。ガード・リングを形成するステップは、半導体ドリフト領域上に第1のマスク・パターン及び第2のマスク・パターンを用いて第1及び第2のイオン注入プロセスをそれぞれ順次に行うステップを含み、第1のマスク・パターンは第2のマスク・パターンとは異なる幅の開口部を含む。
【0050】
一部の実施例では、ガード・リングを形成するステップは、第1のマスク・パターンを用いて第1のイオン注入プロセスを実行して、半導体ドリフト領域の表面に隣接するガード・リングの第1の部分を形成するステップと、第2のマスク・パターンを用いて第2のイオン注入プロセスを実行して、表面から離間されたガード・リングの第2の部分を形成するステップとを含む。第2のマスク・パターンの開口部は、第1のマスク・パターンの開口部よりも狭く、第2の部分は、第1の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む。
【0051】
一部の実施例では、第2のイオン注入プロセスは、第1のイオン注入プロセスよりも大きい注入エネルギーを含む。
【0052】
一部の実施例では、第2のマスク・パターンは、第1のマスク・パターンよりも大きい厚さを含む。
【0053】
一部の実施例では、第2のイオン注入プロセスを実行する前に、本方法は、第2のマスク・パターンの側壁にスペーサを形成してそこに開口部を画定するステップを含む。
【0054】
一部の実施例では、第2のイオン注入プロセスは、第1のイオン注入プロセスの後に実行され、スペーサは、1つ又は複数の横方向次元においてガード・リングの第1の部分の境界に重なる。
【0055】
一部の実施例では、第2のイオン注入プロセスを実行する前に、本方法は、第1のマスク・パターンの側壁にスペーサを形成して、半導体ドリフト領域上に第2のマスク・パターンを形成するステップを含む。
【0056】
一部の実施例では、第2のマスク・パターンを用いて第2のイオン注入プロセスを実行するステップは、ガード・リングの第3の部分を形成するステップを含み、第3の部分は、第2の部分よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含む。
【0057】
一部の実施例では、第3の部分は、2つ以上の次元で第1の部分内に閉じ込められる。
【0058】
一部の実施例では、第1の部分は、表面内に第1の深さまで延在し、第2の部分は、第1の部分を貫通して、第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する。
【0059】
一部の実施例では、半導体層構造は活性領域をさらに含み、第1のマスク・パターンを用いて第1のイオン注入プロセスを実行するステップは、活性領域の半導体ドリフト領域の表面内に第1の深さまで延在する第2の導電型の複数のウェル領域を形成するステップを含む。
【0060】
一部の実施例では、第2のマスク・パターンを用いて第2のイオン注入プロセスを実行するステップは、ウェル領域よりも高濃度の第2の導電型のドーパントを含み活性領域における半導体ドリフト領域の表面内に第2の深さまで延在する複数の遮蔽パターンを形成するステップを含む。
【0061】
一部の実施例では、ガード・リングは、それぞれの間隔によって横方向に互いに分離され、それぞれの間隔は、第1の部分間で実質的に均一である。
【0062】
一部の実施例では、それぞれの間隔は、第2の部分間で不均一である。
【0063】
一部の実施例による他のデバイス、装置、及び/又は方法は、以下の図面及び詳細な説明を検討すると当業者には明らかになるであろう。上記の実施例のいずれか及びすべての組合せに加えて、すべてのこのような追加の実施例は、本明細書内に含まれ、本発明の範囲内にあり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1A】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスの概略平面図である。
図1B】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスの、図1Aの長い線B-B’をとる概略断面図である。
図2A】本開示の一部の実施例によるガード・リング構造の拡大概略断面図である。
図2B】本開示の一部の実施例によるガード・リング構造の拡大概略断面図である。
図3A】本開示の一部の実施例によるガード・リング構造の拡大概略断面図である。
図3B】本開示の一部の実施例によるガード・リング構造の拡大概略断面図である。
図4A】本開示の一部の実施例によるガーデニング構造の拡大概略断面図である。
図4B】本開示の一部の実施例によるガーデニング構造の拡大概略断面図である。
図5A】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図5B】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図5C】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図5D】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図5E】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図5F】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6A】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6B】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6C】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6D】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6E】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6F】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6G】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図6H】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7A】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7B】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7C】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7D】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7E】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7F】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7G】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図7H】本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図8A】本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図8B】本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図8C】本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図8D】本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図8E】本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図8F】本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。
図9】本開示の実施例によるパワー半導体デバイスを製造するための操作を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
パワー半導体デバイスは、逆バイアス方向の電圧を阻止し、順バイアス方向の電流を提供するための主接合として機能するp-n及び/又はショットキー接合と、主接合に隣接するエッジ終端とを含むことができる。例えば、接合終端拡張(JTE)領域は、イオン注入によって形成されて、反対の導電型の領域を画定することができ、主接合を取り囲むことができる。JTE領域の目的は、エッジにおける電界集中を低減又は防止し、空乏領域がデバイスの表面と相互作用することを低減又は防止することである。表面効果によって、空乏領域が不均一に広がり、デバイスの降伏電圧に悪影響を及ぼす可能性がある。他のエッジ終端には、ガード・リング及びフローティング・フィールド・リング(FFR)が含まれる。
【0066】
本開示の一部の実施例は、一部の既存のパワー半導体デバイスのエッジ終端における限界の認識から生じている場合がある。パワー半導体デバイスは、第1の(n-又はp-)導電型を有する層と、デバイスの上面からより深いレベル(例えば、約1~5ミクロン以上)の層内に第2の(p-又はn-)導電型を有する領域とを含むことができる。ドーパントを導入するためのエピタキシャル及び/又は拡散ベースの技術は、炭化ケイ素又は他のワイド・バンドギャップ半導体材料において課題を提起し得るため、このような深いパターンの形成は、典型的には、イオン注入によって実施されることがある。
【0067】
例えば、デバイスのウェル領域及び/又はゲート電極の下の半導体材料の層とは異なる導電型の、遮蔽パターンとも呼ばれる深い又は「埋め込み」遮蔽半導体領域を形成することが望ましい場合がある。デバイスのエッジ終端も同様に、終端と活性領域との間に平滑な電界を提供するために、(例えば、深いイオン注入によって形成された)深い遮蔽パターンを含むことができる。しかしながら、高エネルギー注入を使用してこのようなパターンを形成すると、隣接する注入領域間に横方向の拡張(又は「ストラグル(straggle)」)が生じることがあり、隣接する注入特徴を電気的に接続する可能性がある。
【0068】
本明細書に記載される一部の実施例は、特定の半導体材料、設計、及び/又は製造プロセスにとって有益である可能性がある、エッジ終端における深い注入と浅い注入の両方を実施するための複数の連続的なマスク及び注入プロセスを提供する。本明細書では、例として特定の導電型(すなわち、n型及びp型)の領域を参照して説明及び図示するが、本開示の実施例によると、領域の導電型は逆(すなわち、p型及びn型)であってもよいことが理解されよう。
【0069】
図1Aは、本開示の一部の実施例によるパワー半導体デバイス100の概略平面図である。図1Bは、図1Aの線B-B’に沿ったパワー半導体デバイス100の一部の拡大概略断面図である。パワー半導体デバイス100は、単なる例としてトレンチ・ゲート縦型パワーMOSFETとして示されているが、例えば、プレーナ・ゲート・パワーMOSFET、ショットキー・ダイオード、パワーIGBT、又は他のパワー半導体デバイスであってもよい。パワー半導体デバイス100は、活性領域が、互いに並列に配置された複数の個々のデバイスを含み、それらが一緒になって単一のパワー・デバイスとして機能する「単位セル」構造を有する。
【0070】
図1A及び図1Bに示すように、パワー半導体デバイス100は、活性領域14がエッジ終端領域16内に画定され、周縁領域15が活性領域14とエッジ終端領域16との間に延在する基板110を含む。エッジ終端領域16は、活性領域14のエッジで発生し得る望ましくない電界集中効果を低減するのに役立つ可能性がある。エッジ終端領域16は、活性領域14を完全に又は実質的に取り囲むことができるが、必ずしもそうである必要はない。
【0071】
基板110は、高濃度にドープされた(例えば、n)基板であってもよい。低濃度にドープされた(例えば、n)半導体ドリフト層又はドリフト領域120が、基板110上に設けられている。一実施例において、ドリフト領域120の上部は電流拡散層(「CSL」)を含むことができる。反対の導電型(例えば、p)の中程度にドープされた領域が、ドリフト領域120上に(例えば、エピタキシャル成長又は注入によって)形成され、デバイス100のためのウェル領域又はウェル170’(例えば、p型ウェル又は「pウェル」)として作用する。基板110、ドリフト領域120(電流拡散層を含む)、及びウェル領域170を画定する中程度にドープされた領域は、その中に形成された様々な領域/パターンとともに、パワー半導体デバイス100の半導体層構造106に含まれる。
【0072】
半導体層構造106は、ワイド・バンドギャップ半導体材料を含むことができる。例示的なパワー半導体デバイス100では、基板110及びドリフト層120は、炭化ケイ素(SiC)ベースであり、例えば、SiC基板110及びその上に均一な又は段階的なドーピング濃度でエピタキシャル成長させたSiCドリフト層120である。基板110及びドリフト層120は、SiCに限定されず、例えば、III族窒化物(例えば、GaN)、ガリウム砒素(GaAs)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコン・ゲルマニウム(SiGe)などの他の材料系から形成されてもよい。
【0073】
図1A及び図1Bに示すように、トレンチ180は、「ストライプ状」ゲート・トレンチ・レイアウトで半導体層構造106内に形成され、トレンチ180は、長手(例えば、Y)方向に互いに平行に連続的に延在する。トレンチ180(ゲート電極184が形成される)は、中程度にドープされた領域170を貫通して延在し、ウェルを画定する。高濃度にドープされた(例えば、p型)遮蔽パターン140’は、例えば、トレンチ180によって露出した部分へのイオン注入によって、ドリフト領域120内に形成され、深い遮蔽パターン140’とも呼ばれる。遮蔽パターン140’は、ウェル170’と電気的に接続されていてもよい。トレンチ180の底面及び側壁にはゲート絶縁層182が形成されている。
【0074】
ゲート電極184(又は「ゲート」)は、それぞれのゲート・トレンチ180を充填するように各ゲート絶縁層上に形成される。トランジスタ伝導チャネル(破線矢印178によって示される)は、ゲート絶縁層182に隣接するウェル領域170内に設けられている。高濃度にドープされた(例えば、n)ソース領域160は、例えば、イオン注入を介して形成されるように、ウェル領域170’の上部に延在する。ソース・コンタクトは、高濃度にドープされたソース領域160上に形成され得る。一部の実施例では、ソース・コンタクトはオーミック金属であってもよい。ドレイン・コンタクトは、基板110の下面、例えばドリフト領域120の反対側に形成されてもよい。各ゲート電極184上には、ゲート・コンタクトが形成されてもよい。ソース、ドレイン、及びゲート・コンタクトは、説明を容易にするために示されていない。
【0075】
エッジ終端領域16は、複数のガード・リング36を有する。ガード・リング36は、ドリフト層120の対応する部分を、ドリフト層120とは反対の第2の導電型のドーピング材料で高濃度にドーピングすることによって形成することができ、デバイス100の活性領域14の周囲のエッジ終端領域16に同心のリングとして実装することができる。ガード・リング36は、例えば、イオン注入により形成することができる。ガード・リング36は、互いに(例えば、本明細書に記載されるような横方向の間隙又は間隔S1、S2によって)、及びデバイス100の他の特徴から電気的に絶縁され得る。ガード・リング36は、電気的にフローティング状態であってもよい。図1Bに示すように、一部の実施例では、エッジ終端領域16は、表面120sに隣接する第1のより広い部分170(上部ガード・リング部分とも呼ばれる)と、表面120sの反対側の(例えば、表面120sの下にあるか、又は表面120sから離間された)第2のより狭い部分140(下部ガード・リング部分とも呼ばれる)とを有する、表面120s内に(例えば、Z方向に)延在するガード・リング36を含むことができる。
【0076】
一部の実施例では、上部ガード・リング部分170及び下部ガード・リング部分140は、例えば、図5A図8Fを参照して後述するように、複数のマスク及び注入操作を使用して形成され得る。実質的に矩形として図示されているが、エッジ終端領域16及び/又はガード・リング36は、任意の形状であってもよく、図示された実施例では矩形である活性領域14の周縁部の形状に概ね対応する。これらの要素のそれぞれは、活性領域14の周囲に連続的に又は不連続的に延在してもよい。また、エッジ終端領域16は、ドリフト層120の上面120sと実質的に同一平面上にあってもよく、又はドリフト層120の上面120sに対して非同一平面上(例えば、ドリフト層120の上面120sから突出している、又は凹んでいる)であってもよいことが理解されよう。
【0077】
周縁領域15は、ガード・リング36と活性領域14の外縁部との間に設けられてもよく、活性領域14及び/又はエッジ終端16の特徴に対応する特徴のすべてではないが一部を含んでもよい。例えば、周縁領域15は、活性領域14及びエッジ終端16の深い遮蔽パターン140及び/又は高濃度ドーピング領域150を含むことができる。しかしながら、周縁領域15は、例えば、本明細書に記載されるような連続的なマスキング及び注入操作に基づいて、ウェル領域170’を含まなくてもよく、又はウェル領域170’がなくてもよい。
【0078】
上述したように、図1A及び図1Bは、(限定はしないが)縦型MOSFETデバイス、特にトレンチ・ゲートMOSFETデバイスに関する例示的な実施例を示す。トレンチ・ゲートMOSFET縦型パワー・デバイス100は、トレンチ180の側壁に沿ってチャネル領域178を実装することによってセル・ピッチが狭くなるため、(例えば、プレーナ・ゲート・デバイスと比較して)より低い比オン抵抗を本質的に有する可能性がある。さらに、トレンチ180の側壁上のチャネル移動度は、平坦なSi面よりも高い(例えば、約2~4倍)可能性があり、その結果、電流密度が向上する。
【0079】
トレンチ・ゲートMOSFETを実現するために、様々な製造方法を使用することができる。図1Bの実例では、高エネルギー(例えば、MeV)注入を使用して、高濃度にドープされた(例えば、p+)又は高濃度の注入領域140’(遮蔽パターンとも呼ばれる)を設けることができる。この構造は、トレンチ180の対向する側壁の両方における積極的なセル・ピッチの縮小と側壁導電率の利用を可能にすることができる。
【0080】
デバイスのエッジ終端16も同様に、エッジ終端16と活性領域14との間に平滑な電界を提供するために、同様の深い又は埋め込み遮蔽パターン140及び高濃度注入領域150を含むことができる。しかしながら、高エネルギー注入は、隣接する注入領域150間に横方向の拡張又は「ストラグル」をもたらす可能性があり、これは、エッジ終端16のガード・リング36などの注入特徴間に狭い横方向間隔S1が存在し得る実施態様では特に問題となる可能性がある。
【0081】
図2A図2B図3A図3B、及び図4A図4Bは、本開示の一部の実施例によるガード・リング構造(本明細書ではガード・リングとも呼ばれる)の拡大概略断面図である。各ガード・リング構造は、所望の電界効果を維持しながら、横方向のストラグルを低減又は回避し、隣接する及び/又は同心のガード・リングの電気的分離を維持するように、複数のドーパント濃度及び特徴サイズ(例えば、幅及び/又は深さ)を含み得る。一部の実施例では、それぞれのドーパント濃度及び/又は特徴寸法は、例えば、連続的な深い注入プロセス及び浅い注入プロセスを実施するために、複数の連続的なマスク・プロセスを使用して達成され得る。
【0082】
図2A図2B図3A図3B、及び図4A図4Bの実例に示すように、第1の(例えば、n型)導電型のドリフト領域120の部分は、エッジ終端領域16を画定するために第2の(例えば、p型)導電型の複数のガード・リング36を含むことができる。ガード・リング36は、半導体ドリフト領域120の表面120s内に(例えば、Z方向に)約1マイクロメートル(μm)よりも大きいそれぞれの深さD2まで延在する。ガード・リングは、表面120sに隣接して約3μm未満のそれぞれの間隔S1a、S1b(総称してS1)によって互いに横方向に(例えば、X方向及び/又はY方向に)分離されている。ガード・リング36は、それぞれ、異なる深さ(例えば、D1、D2)、異なる横方向間隔(例えば、S1、S2)、及び/又は第2の導電型のドーパントの異なる濃度(例えば、濃淡及び/又はハッチングの違いによって示される)を有する複数の部分(例えば、170、140、150)を含むことができる。
【0083】
より詳細には、ガード・リング36は、ドリフト領域の表面120sに隣接する第1の部分170と、表面120sから離間された第2の部分140とを含む。第1の部分170は、表面120sに隣接するそれぞれの間隔S1によって互いに横方向に分離され、第2の部分140は、表面120sから離間されたそれぞれの間隔S2、S2’、S2’’(総称してS2)によって互いに横方向に分離されている。間隔S1及びS2は、隣接する及び/又は同心のガード・リング36間の電気的絶縁を維持するのに十分であり得る。
【0084】
一部の実施例では、エッジ終端領域16のガード・リング36の第1の部分170は、活性領域14のウェル領域170’と同時に形成されてもよく、又はその他の方法でこれに対応してもよく、したがって、ウェル領域170と同様の濃度の第2の導電型のドーパントを含むことができる。第1の部分170は、それぞれの幅W1a、W1b(総称してW1)を有し、表面120sに隣接するそれぞれの間隔S1によって互いに横方向に分離され、それぞれの深さD1まで表面120s内に延在する。本明細書で使用されるように、幅W1、W2は、間隔S1、S2と同じ横方向に沿って(例えば、X又はY方向に)測定され得る。深さD1、D2は、表面120sに対して垂直方向に沿って(例えば、Z方向に)測定され得る。例えば、表面120sに隣接するガード・リング36間のそれぞれの間隔S1は、約3μm~約0.5μm、例えば、約2μm~約0.8μm、又は約1.5μm~1μmであってもよい。表面120sに隣接するガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1は、約3μm~約0.5μm、例えば、約2.5μm~約0.5μm、又は約1.5μm~1μmであってもよい。ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの深さD1は、約3μm~約1μm、例えば、約2.5μm~約1.5μm、又は約1.5μm~1μmであってもよい。
【0085】
一部の実施例では、エッジ終端領域16におけるガード・リング36の第2の部分140は、活性領域14及び/又は周縁領域15における遮蔽領域140’と同時に形成されてもよく、又はその他の方法でこれに対応してもよい。第2の部分140は、例えば、遮蔽領域140’の濃度と同様に、第1の部分170よりも高濃度の第2の導電型ドーパントを有することができる。第2の部分140は、それぞれの幅W2、W2’、W2’’’(総称してW2)を有し、表面120sから離間されたそれぞれの間隔S2、S2’、S2’’(総称してS2)によって互いに横方向に分離され、表面120s内に(第1の部分170内に又はそれを貫いて)それぞれの深さD2まで延在する。例えば、表面120sから離間されたガード・リング36間のそれぞれの間隔S2は、約3μm~約0.5μm、例えば、約2μm~約0.8μm、又は約1.5μm~1μmであってもよい。表面120sから離間されたガード・リング36の第2の部分140のそれぞれの幅W2は、約3μm~約0.5μm、例えば、約2.5μm~約0.5μm、又は約1.5μm~1μmであってもよい。ガード・リング36の第2の部分140のそれぞれの深さD2は、約1μm~約5μm、例えば、約2μm~約4μm、又は約2.5μm~3.5μmであってもよい。
【0086】
一部の実施例では、ガード・リング36の第1の部分170間のそれぞれの横方向間隔S1は、例えば、図2A図2B図4A、及び図4Bに示すように、第2の部分140間の横方向間隔S2よりも小さくてもよい。他の実施例では、ガード・リング36の第1の部分170間のそれぞれの横方向間隔S1は、例えば、図3A及び図3Bに示すように、第2の部分140間の横方向間隔S2’とほぼ等しいか又はそれよりも大きくてもよい。ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1は、それぞれの深さD1にわたって実質的に均一であってもよい。したがって、隣接するガード・リングの第1の部分170間の横方向間隔S1は、同様に、それぞれの深さD1にわたって実質的に均一であってもよい。
【0087】
一部の実施例では、ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1は、第2の部分140のそれぞれの幅W2よりも広くてもよい。他の実施例では、ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1は、第2の部分140のそれぞれの幅W2とほぼ等しいか、それよりも狭くてもよい。例えば、第1の部分170の幅W1と第2の部分140の幅W2との比は、約0.95~約2(すなわち、W1:W2=約0.95:約2.0)であってもよい。一部の実施例では、第1の部分170の幅W1及び第2の部分の幅W2は、ほぼ等しいか、又は均一であってもよく、例えば、W1:W2の比は約0.95:約1.05、又は約0.99:約1.01であってもよい。
【0088】
さらに図2A図2B図3A図3B、及び図4A図4Bを参照すると、ガード・リング36は、ドリフト領域の表面120s内に延在する第3の部分150をさらに含むことができる。第3の部分150は、周縁領域15の高濃度領域150と同時に形成されてもよく、又はその他の方法でこれに対応してもよい。第3の部分150は、第2の部分140よりも高濃度の第2の導電型ドーパントを有することができる。例えば、ガード・リング36の第3の部分150は、(例えば、p型領域の場合)約1×1017~約1×1020/cmのドーパント濃度を有することができる。第2の部分140は、第3の部分150よりも低いが、同じ又は同様の範囲のドーパント濃度(例えば、p型領域の場合、約1×1017~約5×1019/cmのドーパント濃度)を有することができる。ガード・リングの第1の部分170は、第2の部分140よりも低いが、同じ又は同様の範囲のドーパント濃度(例えば、p型領域の場合、約1×1017~約1×1019/cmのドーパント濃度)を有することができる。
【0089】
第3の部分150は、第1の部分170のそれぞれの幅W1及び深さD1よりも小さいそれぞれの幅W3及び/又は深さD3を有することができる。一部の実施例では、第3の部分150は、2つ以上の次元(例えば、複数の横方向次元及び/又は深さ方向次元)において第1の部分170内に閉じ込められ得る。例えば、第1の部分170及び第3の部分150は、隣接するガード・リング36の横方向の「ストラグル」(及び結果として生じる電気的接続)を回避するように、それぞれのマスク特徴及び/又は注入操作を使用して表面120s内に注入され得る。そのため、ガード・リング36は、ドリフト領域120とは異なる導電型の電気的に絶縁された領域であってもよく、異なるドーパント濃度を有する2つ、3つ、又はそれ以上の部分をそれぞれ含むことができ、深さ方向次元に沿って2つ、3つ、又はそれ以上の異なる間隔で互いに横方向に分離されてもよく、及び/又はドリフト領域120の表面120s内に2つ、3つ、又はそれ以上の異なる深さまで延在することができる。
【0090】
ガード・リング36は、異なる形状で形成されてもよい。例えば、図2A及び図2Bに示すように、ガード・リングの第2の部分140は、例えば、第1の部分170の内部及びそれを越えて延在する「U」字形状の断面を画定するように、深さD2にわたって実質的に均一な幅W2で延在する側壁を有するように形成されてもよい。或いは、図3A図3B及び図4A図4Bに示すように、ガード・リングの第2の部分140は、例えば、断面が逆マッシュルーム形及び「V」字形をそれぞれ画定するように、深さD2にわたって幅W2’及びW2’’が変化する側壁を有するように形成されてもよい。幅W2は、深さD2にわたって、例えば、約0.25μm~約1.25μm、例えば、約0.5μm~約1μm、又は約0.6μm~0.9μmだけ変化してもよい。したがって、隣接するガード・リング36の第2の部分140間の間隔S2は、実質的に均一であってもよく、又は不均一であってもよい。
【0091】
特に、図2A図2Bは、第2の部分140の幅W2(したがって、それらの間の横方向間隔S2)が、それぞれの深さD2にわたって実質的に均一であってもよいことを示す。図3A図3Bは、第2の部分140の幅W2’(したがって、それらの間の横方向間隔S2’)が深さD2にわたって不均一であってもよいことを示しており、例として、第2の部分140の下部領域がその上部領域よりも広いことが示されている。図4A図4Bは、第2の部分140の幅W2’’(したがって、それらの間の横方向間隔S2’’)が深さD2にわたって連続的に変化し得ることを示しており、例として、表面120sからの距離とともに連続的に減少する幅W2’’が示されている。第1の部分170の幅W1(したがって、それらの間の横方向間隔S1)は、それぞれの深さD1にわたって実質的に均一であってもよい。
【0092】
ガード・リング36の第1の部分170、第2の部分140、及び/又は第3の部分150の幅の差は、深さ方向に沿って幅又はプロファイルが不均一であるガード・リング側面36s(本明細書では側壁とも呼ばれる)を画定することができる。したがって、側壁36sは、ガード・リング36のそれぞれの部分170、140、及び/又は150の間の幅の差に基づく1つ又は複数の段差SDを含むことができる。例えば、図2A図3A、及び図4Aに示すように、表面120sに隣接する第1の部分170の幅W1と、表面120sから離間された第2の部分の幅W2との間の差は、ガード・リング36の側壁36sに沿って段差SDを画定することができる。したがって、本明細書に記載される段差は、幅の緩やかな変化又は他の急激でない変化を含む、ガード・リング36のそれぞれの部分間の幅の任意の変化を指すことがあり、急激な変化又は段差の変化に限定されない。したがって、段差SDは、約0.5μm~約2μm、例えば、約0.75μm~約1.75μm、又は約1μm~1.5μmの範囲であってもよい。上述したように、第2の部分140は、第1の部分170よりも高いドーパント濃度を有することができるため、段差SDは、異なるドーパント濃度を有するガード・リング36の部分間の界面に画定される。
【0093】
ガード・リング36は、複数のマスク及び/又は注入操作を用いて、異なる濃度、深さ、及び/又は幅で形成されてもよい。例えば、図9に示され、図5A図5F図6A図6H図7A図7H、及び図8A図8Fを参照して以下に詳細に説明されるように、ブロック905において第1の導電型の半導体ドリフト領域120を含む半導体層構造106が設けられてもよい。ブロック915において、エッジ終端領域16を画定するために、半導体ドリフト領域内に第2の導電型の複数のガード・リングを形成することができる。ガード・リング36は、半導体ドリフト領域120上に異なる幅の開口部をそれぞれ画定する2つ以上のマスク・パターンを用いて2回以上のイオン注入プロセスを順次に行って形成することができる。例えば、エッジ終端領域16は、所望の間隔S1でドリフト領域120の表面120sに隣接する注入領域170の横方向境界(それぞれの幅W1を有する)を画定するために、より低いエネルギー(例えば、約1.0MeV未満)によるより浅い注入のためのより広い開口部を有するより薄いマスク・パターンを用いて形成されてもよく、エッジ終端領域16内の注入領域140の接合深さD2を画定するために、より高いエネルギー(例えば、約1.0MeV~約2.0MeV)によるより深い注入のためのより狭い開口部を有するより厚いマスク・パターンを用いて形成されてもよい。一部の実施例では、エッジ終端領域16の接合深さD2は活性領域14の遮蔽パターン140’の接合深さD2と同一であっても(すなわち、一致していても)よい。
【0094】
一部の実施例によるパワー半導体デバイスを製造する方法が以下に記載される。これらの実例では、説明を容易にするためにドリフト領域(又はその一部)のみが示されているが、図示された半導体層構造は、基板と、例えばエピタキシャル成長によって基板上に設けられた第1の導電型の追加の半導体層とを含み得ることが理解されよう。半導体層構造は、SiC基板及び均一な又は段階的なドーピング濃度でその上にエピタキシャル成長させたSiCドリフト層を含むがこれらに限定されないワイド・バンドギャップ半導体材料を含むことができる。
【0095】
図5A図5Fは、本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。図5Aに示すように、第1の導電型の低濃度にドープされた(例えば、n-)半導体ドリフト領域120が、エピタキシャル成長によって半導体基板上に形成される。ドリフト層120の上部には、第1の導電型の電流拡散層が形成されてもよい。ドリフト領域120は、活性領域14と、エッジ終端領域16と、活性領域14とエッジ終端領域16との間に延在する周縁領域15とを含む。高濃度にドープされた(例えばn)ソース領域160が、例えばマスキング及びイオン注入を介して、活性領域14の上部に形成される。
【0096】
さらに図5Aを参照すると、第1のマスク・パターン505が、ドリフト領域120の表面120s上に形成される。第1のマスク・パターン505は、例えば、約0.75μm~約2.25μm、例えば、約1μm~約2μmの厚さを有する比較的薄い層(例えば、SiOなどの窒化物又は酸化物層)であってもよい。第1のマスク・パターン505は、周縁領域15の表面120sを覆うが、活性領域14及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を含む。エッジ終端領域16における第1のマスク・パターン505の開口部は、表面120sの一部を露出させるそれぞれの幅W1mを有する。一部の実施例では、活性領域14における第1のマスク・パターン505の開口部は、ウェル領域170’を画定するようにサイズ調整されてもよく、第1のマスク・パターン505は、ウェル注入マスクと呼ばれることもある。例えば、ウェル注入マスク505は、(エッジ終端領域16の幅W1nを有するマスク開口部に加えて)活性領域14に所望の寸法を有するマスク開口部を含むことができ、したがって、領域14及び16の両方を同時に、又はその他の方法で同じ注入マスク505を使用して注入することができる。
【0097】
図5Bに示すように、第1のマスク・パターン505を注入マスクとして使用して1つ又は複数の第1の注入プロセス510を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120s内に第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、エッジ終端領域16におけるガード・リング36の第1の部分170と、一部の実施例では、活性領域14におけるウェル領域170’とを画定する。注入領域170、170’は、例えば、約1×1017~約1×1020/cmの第2の導電型ドーパント濃度で中程度にドープされてもよい。エッジ終端領域16において第1のマスク・パターン505によって覆われた表面120sの部分は、第1の部分170ガード・リング36の間の横方向間隔S1を画定することができる。第1の注入プロセス510は、比較的浅い深さD1で表面120s内に延在する注入領域170、170’を画定するために、比較的より低い注入エネルギー(例えば、約0.25MeV~約1.0MeV、例えば、約0.5MeV)で実行され得る。ガード・リング36の隣接する部分170間の間隔S1は、エッジ終端領域16のそれぞれの深さD1にわたって実質的に均一であってもよい。すなわち、比較的薄い第1のマスク・パターン505を使用するより低いエネルギー注入510により、ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1、したがって第1の部分170間のそれぞれの間隙又は狭い横方向間隔S1をより正確に制御することが可能になる。
【0098】
図5Cに示すように、第1のマスク・パターン505を除去し、図5Dにおいてドリフト領域120の表面120sに第2のマスク・パターン515を形成する。第2のマスク・パターン515は、約2μm~約5μm、例えば、約2.5μm~約4μmの厚さを有する比較的厚い層(例えば、SiOなどの窒化物又は酸化物層)で形成されてもよい。第2のマスク・パターン515の厚さは第1のマスク・パターン505の厚さより厚い。第2のマスク・パターン515は、活性領域14、周縁領域15、及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を含む。第2のマスク・パターン515内の開口部は、エッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させるそれぞれの幅W2mを有する。第2のマスク・パターン515の開口部の幅W2mは、第1のマスク・パターン505の開口部の幅W1mよりも狭く、注入領域170のエッジを越えて横方向に延在する。一部の実施例では、活性領域14における第2のマスク・パターン515の開口部は、遮蔽領域140’を画定するようにサイズ調整されてもよく、第2のマスク・パターン515は、遮蔽注入マスクと呼ばれることもある。例えば、遮蔽注入マスク515は、厚さが数マイクロメートルであってもよく、(エッジ終端領域16の幅W2mを有するマスク開口部に加えて)活性領域14に所望の寸法を有するマスク開口部を含むことができるため、領域14及び16の両方を同時に、又はその他の方法で同じ注入マスク515を使用して注入することができる。遮蔽領域140’は、幅が数マイクロメートルであってもよい。
【0099】
図5Eに示すように、第2のマスク・パターン515を注入マスクとして使用して1つ又は複数の第2の注入プロセス520を実行して、第2のマスク・パターン515によって露出されたドリフト領域120の表面120s内に第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、エッジ終端領域16、周縁領域、及び/又は活性領域14に注入領域140、140’、150を画定する。第2の注入プロセス520は、第1の注入プロセス510と比較して比較的より高い注入エネルギー(例えば、約2MeV~約5MeV、例えば、約3MeV~約4MeV)で実行されて、比較的深い深さD2で表面120s内に延在するガード・リング36の第2の部分として注入領域140、140’(シールド注入とも呼ばれる)を画定することができる。深さD2は、ガード・リングの第1の部分を提供する注入領域170、170’の深さD1よりも大きく、すなわち注入領域170は注入領域140よりも浅い。第2の部分140、140’は、例えば、約1×1017~約1×1020/cmの第2の導電型ドーパント濃度で、第1の部分170、170’よりも高濃度にドープされてもよい。
【0100】
第2の注入プロセス520は、複数の注入ステップを含むことができる。第2の注入プロセス520は、ガード・リング36の第3の部分を提供する注入領域150を画定するために、より低いエネルギーの注入プロセスを含むこともできる。第3の部分150は、例えば、約1×1017~約1×1020/cm、例えば、約1×1018~約1×1020/cmの第2の導電型ドーパント濃度を有する、第2の部分140よりも高い第2の導電型の濃度領域を有してもよい(したがって、「プラス」注入と呼ばれることがある)。第3の部分150は、ガード・リング36の第1の部分170内に設けられてよい。一部の実施例では、第3の部分150は、第1の部分170の1つ又は複数の次元内、例えば、横方向(例えば、X、Y)及び/又は深さ方向(例えば、Z)次元内に閉じ込められ得る。ガード・リングの第3の部分150は、第2の部分140の前又は後に形成されてもよい。
【0101】
第2のマスク・パターン515の厚さは、単独で、又はその開口部の幅W2mと組み合わせて、より高い注入エネルギーでの領域140、150の部分の横方向の膨張(又は「マッシュルーム化」)を低減するように構成され得る。すなわち、高エネルギー注入は、隣接する注入領域140及び/又は150間の横方向の拡張をもたらす可能性があるため、本開示の実施例は、より高いエネルギー注入とともに使用するためのより大きい厚さ及び/又はより狭い開口部を有する1つ又は複数の追加のマスク・パターンを提供し、これにより、ガード・リング36の第2の部分140のそれぞれの幅W2をより正確に制御することができ、隣接するガード・リング36間の横方向の拡張及び結果として生じる電気的接触を低減又は回避することができる。具体的には、第2のマスク・パターン515の開口部W2mは、第2のマスク・パターンW2mが、隣接するガード・リング36間の横方向の膨張が起こり得るより高いエネルギー又は他の注入条件下で、所望の横方向間隔S1を画定するガード・リング36の第1の部分140のエッジ又は境界を覆うように、十分に狭くてもよい。一部の実施例では、ガード・リング36の隣接する部分140間の間隔S2は、エッジ終端領域16のそれぞれの深さD2にわたって不均一であってもよく、一部の実施例では、(図2A図4Bに示すように)ガード・リング36の側壁36sに沿って1つ又は複数の段差SDを画定してもよい。
【0102】
図5Fに示すように、第2のより高いエネルギー及び/又はより高濃度の注入プロセス520を実行した後、第2のマスク・パターン515をドリフト領域120の表面120sから除去することができる。図1Bに示すように、活性領域14にゲート・トレンチ180、ゲート絶縁層182、及び/又はゲート184を画定するために、追加のマスキング、エッチング、及び/又は堆積ステップが実行されてもよい。
【0103】
図5A図5Fでは、最初に、より低いエネルギー注入510及びより広い開口部W1mを有する第1のマスク・パターン505を用いて注入領域170を形成し、その後、より高いエネルギー注入520及びより狭い開口部W2mを有する第2のマスク・パターンを用いて注入領域140及び150を形成するものとして示されているが、ガード・リング36の部分140、150、170は、示された順序で形成される必要はないことが理解されよう。例えば、一部の実施例では、注入領域140及び150は、最初に、より狭い開口部W2mを有する第2のマスク・パターンを用いて、より高いエネルギー及び/又はより高濃度の注入520を使用して形成されてもよく、注入領域170は、その後、より広い開口部W1mを有する第1のマスク・パターン505を用いて、より低いエネルギー及び/又はより低濃度の注入510を使用して形成されてもよい。より一般的には、本明細書では特定の操作順序を使用してパワー半導体デバイスを製造することに関して示されているが、操作のうちの1つ又は複数は、示された順序又は順番から外れて実行され得ることが理解されよう。
【0104】
図6A図6Hは、本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。特に、(幅W2mを有する)より狭い開口部を有するより厚い第2のマスク・パターン515が、上述の高エネルギー注入プロセス520において使用され得るが、注入領域140の横方向の拡張又はストラグルを低減又は回避するために、十分に狭い開口部W2m(例えば、サブミクロン幅)を有するこのようなより厚いマスク・パターン515を製造するには課題がある場合がある。図6A図6Hに示されるような本開示の実施例は、所望のサブミクロン幅を有する開口部を達成するために使用され得るスペーサ製造プロセスをさらに含む。図6A図6Hの一部の態様は、図5A図5Fを参照して上述した構造及び/又は操作と同様である場合があり、したがって、このような同様の構造及び/又は操作の説明は簡略化又は省略されることがある。
【0105】
図6Aに示すように、第1のマスク・パターン505は、活性領域14、エッジ終端領域16、及びそれらの間の周縁領域15を含むドリフト領域120の表面120sに形成される。第1のマスク・パターン505は、比較的薄くてもよく、活性領域14及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を含む。エッジ終端領域16の開口部は、それぞれの幅W1mを有し、一方、活性領域14の開口部は、ウェル領域170’を画定するようにサイズ調整されてもよい。
【0106】
図6Bに示すように、第1のマスク・パターン505を注入マスクとして使用して、1つ又は複数の比較的より低いエネルギーの第1の注入プロセス510を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120sに第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、横方向間隔S1(例えば、X及び/又はY次元の)を有するエッジ終端領域16におけるガード・リング36の中程度にドープされた第1の部分170と、一部の実施例では、比較的浅い深さD1を有する活性領域14のウェル領域170’とを画定する。比較的薄い第1のマスク・パターン505を使用するより低いエネルギー注入510は、ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1をより正確に制御することを可能にし、したがって、ガード・リング36の第1の部分170間のそれぞれの間隙又は狭い横方向間隔S1を画定するために使用され得る。
【0107】
図6Cに示すように、第1のマスク・パターン505が除去され、比較的厚い第2のマスク・パターン515’が、図6Dのドリフト領域120の表面120sに形成される。第2のマスク・パターン515’の厚さは、第1のマスク・パターン505の厚さよりも大きく、活性領域14、周縁領域15、及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を含む。第2のマスク・パターン515’の開口部は、エッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させるそれぞれの幅W2m’を有する。第2のマスク・パターン515の開口部の幅W2m’は、エッジ終端領域16における第1のマスク・パターン505の開口部の幅W1mよりも広くてもよく、等しくてもよく、狭くてもよい。
【0108】
図6Eに示すように、共形マスク層615が、第2のマスク・パターン515’の上面及び側壁に沿って延在し、ドリフト領域120の表面120sの露出部分に形成される。共形マスク層615は、例えば、約0.1μm~約0.5μm、例えば、約0.25μm~約0.4μmの厚さを有する比較的薄い誘電体層(例えば、窒化物(SiNなど)又は酸化物層)であってもよい。共形マスク層615の厚さは、第2のマスク・パターン515’の側壁への共形マスク層615の堆積が、第2のマスク・パターン515’の幅W2m’よりも狭い幅W2mを有する開口部を画定するように選択され得る。
【0109】
図6Fに示すように、エッチバック・プロセス(例えば、異方性エッチング)を実行して、第2のマスク・パターン515’の上面上及びドリフト領域120の表面120sの露出部分上の共形なスペーサ層615の一部を除去して、第2のマスク・パターン515’の側壁上にスペーサ615’を画定する。スペーサ615’は、1つ又は複数の横方向(例えば、X及び/又はY)次元において注入領域170のエッジ部分又は境界に重なるか、又はそれを覆う。第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’は、活性領域14、周縁領域15、及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を有する注入マスクを集合的に画定する。エッジ終端領域16のマスク開口部は、それぞれの幅W2mを有し、一方、活性領域14のマスク開口部は、遮蔽領域140’を画定するようにサイズ調整されてもよく、その結果、領域14及び16の両方を同時に、又はその他の方法で同じ注入マスク515’、615’を使用して注入することができる。
【0110】
図6Gに示すように、第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’を注入マスクとして使用して、1つ又は複数の比較的より高いエネルギーの第2の注入プロセス520を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120sに第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、横方向間隔S2(例えば、X及び/又はY次元の)を有するエッジ終端領域16の(第1の部分170と比較して)ガード・リング36のより高濃度にドープされた第2の部分140と、一部の実施例では、比較的深い深さD2を有する活性領域14の遮蔽領域140’と、を画定する。ガード・リング36の隣接する部分140間の間隔S2は、エッジ終端領域16のそれぞれの深さD2にわたって不均一であってもよく、ガード・リング36の側壁36sに沿って1つ又は複数の段差SDを画定してもよい。
【0111】
比較的より厚い第2のマスク・パターン515’の側壁上に比較的薄い共形層615からスペーサ615’を形成することによって、(第2のマスク・パターン515’の開口部の幅W2m’と比較して)より狭い(例えば、サブミクロン)幅W2mを有する開口部を達成することができ、スペーサ615’は、隣接するガード・リング36の第1の部分170のエッジ又は境界に重なる。したがって、より高いエネルギーの第2の注入プロセス520は、比較的狭い(例えば、サブミクロン)幅W2を有する第2の部分140を画定し、それによって、隣接するガード・リング36間の横方向のストラグルを低減又は回避することができる。一部の実施例では、図6A図6Hに示される操作は、図5A図5Fに示される操作より狭いマスク開口幅W2m(及びそれに対応してより狭いガード・リング幅W2)を達成し得る。
【0112】
第2の注入プロセス520は、注入領域150を形成するために、より低いエネルギー、より高濃度の注入プロセスを含むこともでき、(第2の部分140と比較して)より高濃度の第2の導電型を有するガード・リング36の第3の部分を提供する。第3の部分150は、上述したように、1つ又は複数の次元において、ガード・リング36の第1の部分170内に閉じ込められ得る。
【0113】
図6Hに示すように、第2の高エネルギー注入プロセス520を実行した後に、第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’がドリフト領域120の表面120sから除去される。図1Bに示すように、活性領域14にゲート・トレンチ180、ゲート絶縁層182、及び/又はゲート184を画定するために、追加のマスキング、エッチング、及び/又は堆積ステップが実行されてもよい。
【0114】
図6A図6Hでは、最初に、より低いエネルギー注入510と、より広い開口部W1mを有する第1のマスク・パターン505とを使用して注入領域170を形成し、その後、より高いエネルギー注入520と、より狭い開口部W2mを有する第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’とを使用して注入領域140及び150を形成するものとして示されているが、ガード・リング36の部分140、150、170は、示された順序で形成される必要はないことが理解されるであろう。すなわち、より高いエネルギーの深い注入520及びより低いエネルギーの浅い注入510は、任意の順序で実行されてもよく、示された順番に限定されない。例えば、一部の実施例では、図7A図7Hを参照して後述するように、注入領域140及び150は、最初に、より狭い開口部W2mを画定する第2のマスク・パターン515’及び/又はスペーサ615’を用いて、より高いエネルギー注入520を使用して形成されてもよく、注入領域170は、その後、より広い開口部W1mを有する第1のマスク・パターン505を用いて、より低いエネルギー注入510を使用して形成されてもよい。
【0115】
図7A図7Hは、本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。特に、図7A図7Hに示されるような本開示の実施例は、図6A図6Hと比較して、注入順序を逆にすることができることを示す。図6A図6Hを参照して上述した構造及び/又は操作と同様である図7A図7Hの態様の説明は、簡略化又は省略されることがある。
【0116】
図7Aに示すように、第2のマスク・パターン515’は、活性領域14、エッジ終端領域16、及びそれらの間の周縁領域15を含むドリフト領域120の表面120sに形成される。第2のマスク・パターン515’は、比較的厚くてもよく、活性領域14、周縁領域15、及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を含む。第2のマスク・パターン515’の開口部は、エッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させるそれぞれの幅W2m’を有する。
【0117】
図7Bに示すように、共形マスク層615が、第2のマスク・パターン515’の上面及び側壁に沿って延在し、ドリフト領域120の表面120sの露出部分に形成される。共形マスク層615は比較的薄くてもよく、その厚さは、第2のマスク・パターン515’の側壁への共形マスク層615の堆積が、第2のマスク・パターン515’の幅W2m’よりも狭い幅W2mを有する開口部を画定するように選択される。
【0118】
図7Cに示すように、エッチバック・プロセスを実行して、第2のマスク・パターン515’の上面上及びドリフト領域120の表面120sの露出部分上の共形なスペーサ層615の一部を除去して、第2のマスク・パターン515’の側壁上にスペーサ615’を画定し、スペーサ615’は、1つ又は複数の横方向次元において注入領域170のエッジ部分又は境界に重なるか、又はそれを覆う。第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’は、活性領域14、周縁領域15、及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を有する注入マスクを集合的に画定する。エッジ終端領域16のマスク開口部は、それぞれの幅W2mを有し、一方、活性領域14のマスク開口部は、遮蔽領域140’を画定するようにサイズ調整されてもよく、その結果、領域14及び16の両方を同時に、又はその他の方法で同じ注入マスク515’、615’を使用して注入することができる。
【0119】
図7Dに示すように、第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’を注入マスクとして使用して、1つ又は複数の比較的より高いエネルギーの第2の注入プロセス520を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120sに第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、横方向間隔S2を有するエッジ終端領域16のガード・リング36のより高濃度にドープされた第2の部分140と、一部の実施例では、比較的深い深さD2を有する活性領域14の遮蔽領域140’とを画定する。一部の実施例では、ガード・リング36の隣接する部分140間の間隔S2は、エッジ終端領域16のそれぞれの深さD2にわたって不均一であってもよく、及び/又は、(例えば、図3A図3B及び図4A図4Bに示すように)ガード・リング36の側壁36sに沿って1つ又は複数の段差SDを画定してもよい。
【0120】
比較的より厚い第2のマスク・パターン515’の側壁上の比較的薄いスペーサ615’は、(第2のマスク・パターン515’の開口部の幅W2m’と比較して)より狭い(例えば、サブミクロン)幅W2mを有する開口部を提供する。したがって、より高いエネルギーの第2の注入プロセス520は、比較的狭い(例えば、サブミクロン)幅W2を有する第2の部分140を画定し、それによって、隣接するガード・リング36間の横方向のストラグルを低減又は回避することができる。
【0121】
第2の注入プロセス520は、注入領域150を形成するために、より低いエネルギー、より高濃度の注入プロセスを含むこともでき、(第2の部分140と比較して)より高濃度の第2の導電型を有するガード・リング36の第3の部分を提供する。第3の部分150は、上述したように、1つ又は複数の次元において、ガード・リング36の第1の部分170内に閉じ込められ得る。
【0122】
図7Eに示すように、第2のより高いエネルギー注入プロセス520を実行した後、第2のマスク・パターン515’及びスペーサ615’がドリフト領域120の表面120sから除去される。図7Fでは、ドリフト領域120の表面120sに第1のマスク・パターン505が形成されている。
【0123】
第1のマスク・パターン505は、(第2のマスク・パターン515’と比較して)比較的薄くてもよく、活性領域14及びエッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を含む。第1のマスク・パターン505は、周縁領域15におけるドリフト領域120s(及び注入領域140、150)の表面を覆うことができる。エッジ終端領域16のマスク開口部は、それぞれの幅W1mを有する。マスク開口部の幅W1mは、注入領域140及び/又は150の幅W2よりも広く、その結果、注入領域140及び150の両側の表面120sの部分は、エッジ終端領域16における第1のマスク・パターン505のマスク開口部によって露出される。活性領域14のマスク開口部も、ウェル領域170’を画定するようにサイズ調整されてもよく、その結果、領域14及び16の両方が、同時に、又はその他の方法で同じ注入マスク505を使用して注入され得る。
【0124】
図7Gに示すように、第1のマスク・パターン505を注入マスクとして使用して、1つ又は複数の比較的より低いエネルギーの第1の注入プロセス510を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120sに第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、横方向間隔S1を有するエッジ終端領域16におけるガード・リング36の中程度にドープされた第1の部分170と、一部の実施例では、比較的浅い深さD1を有する活性領域14のウェル領域170’とを画定する。ガード・リング36の第1の部分170は、第2の部分140及び/又は第3の部分150の外側に横方向に延在してもよく、ガード・リング36の第2の部分140が延在する深さD2よりも浅いドリフト層120内の深さD1まで形成されてもよい。
【0125】
比較的薄い第1のマスク・パターン505を使用するより低いエネルギー注入510は、前の注入操作520によって達成されたガード・リング36のより高濃度の第2の部分140及び/又は第3の部分150に実質的に影響を及ぼすことなく、ガード・リング36の第1の部分170のそれぞれの幅W1をより正確に制御することを可能にし得る。したがって、ガード・リング36の第1の部分170間のそれぞれの間隙又は狭い横方向間隔S1は、隣接するガード・リング36間の横方向のストラグルを低減又は回避するように、より低いエネルギー注入510及び比較的薄い第1のマスク・パターン505を使用して実質的に均一になるように画定され得る。
【0126】
図7Hに示すように、第1のマスク・パターン505を除去する。図1Bに示すように、活性領域14にゲート・トレンチ180、ゲート絶縁層182、及び/又はゲート184を画定するために、追加のマスキング、エッチング、及び/又は堆積ステップが実行されてもよい。
【0127】
図7A図7Hでは、特定の操作及び操作の順序を参照して図示されているが、図示された操作は、(例えば、図6A図6Hに示すように)他の順序で、及び/又は(例えば、第2のマスク・パターン515がより狭い開口部W2mを含み、スペーサ615’を製造するための操作が省略された図5A図5Fに示すように)追加の若しくは省略された操作で実行されてもよいことが理解されるであろう。すなわち、ガード・リング36の部分140、150、170は、図示された順序で形成される必要はなく、より高いエネルギーの深い注入520及びより低いエネルギーの浅い注入510は、具体的に図示されたものよりも追加の又はより少ない操作で、任意の順序で実行されてもよい。
【0128】
図8A図8Fは、本開示の一部の実施例による、パワー半導体デバイスを製造する方法における例示的な操作を示す概略断面図である。特に、図8A~8Fに示されるような本開示の実施例は、所望のサブミクロン幅を有する開口部を達成するために、注入操作が自己整合プロセスで、スペーサ製造プロセスを使用して実行され得ることを示す。図5A図5F図6A図6H、及び/又は図7A図7Hを参照して上述した構造及び/又は操作と同様である図8A図8Fの態様の説明は、簡略化又は省略されることがある。
【0129】
図8Aに示すように、第1のマスク・パターン505は、ドリフト領域120の表面120sに形成され、エッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を有する。第1のマスク・パターン505は、例えば、約1μm~約2μmの厚さを有する比較的薄い層(例えば、SiOなどの窒化物又は酸化物層)であってもよい。エッジ終端領域16のマスク開口部は、それぞれの幅W1mを有する。一部の実施例では、第1のマスク・パターン505は、ウェル領域170’を画定するようにサイズ調整されたマスク開口部を有する活性領域14(図示せず)上にも形成されてもよい。
【0130】
図8Bに示すように、第1のマスク・パターン505を注入マスクとして使用して、1つ又は複数の比較的より低いエネルギーの第1の注入プロセス510を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120sに第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、横方向間隔S1を有し(及び一部の実施例では、活性領域14のウェル領域170’)、比較的浅い深さD1を有するエッジ終端領域16におけるガード・リング36の中程度にドープされた第1の部分170を画定する。比較的薄い第1のマスク・パターン505を使用するより低いエネルギー注入510は、ガード・リング36の第1の部分を提供する注入領域170のそれぞれの幅W1をより正確に制御することを可能にし、したがって、ガード・リング36の第1の部分170間に所望の横方向間隔S1(深さD1にわたって実質的に均一であってもよい)を有するそれぞれの間隙を画定するために使用され得る。
【0131】
図8Cに示すように、共形マスク層615が、第1のマスク・パターン505の上面及び側壁に沿って延在し、ドリフト領域120の表面120sの露出部分に形成される。共形マスク層615は、図6Eを参照して上述したように、比較的薄い誘電体層であってもよい。共形マスク層615の厚さは、第1のマスク・パターン505の側壁への共形マスク層615の堆積が、第1のマスク・パターン505の幅W1mよりも狭い幅W2mを有する開口部を画定するように選択され得る。
【0132】
図8Dに示すように、エッチバック・プロセス(例えば、異方性エッチング)を実行して、第1のマスク・パターン505の上面上及びドリフト領域120の表面120sの露出部分上の共形なスペーサ層615の一部を除去して、第1のマスク・パターン505の側壁上にスペーサ615’を画定する。スペーサ615’は、1つ又は複数の横方向(例えば、X及び/又はY)次元において注入領域170のエッジ部分又は境界に重なるか、又はそれを覆う。第1のマスク・パターン505及びスペーサ615’は、エッジ終端領域16の表面120sの一部を露出させる開口部を有する注入マスクを集合的に画定する。エッジ終端領域16のマスク開口部は、それぞれの幅W2mを有する。
【0133】
図8Eに示すように、第1のマスク・パターン505及びスペーサ615’を注入マスクとして使用して、1つ又は複数の比較的より高いエネルギーの第2の注入プロセス520を実行して、マスク・パターン505によって露出されたドリフト領域120の表面120sに第2の導電型(例えば、p型)のドーパントを注入して、横方向間隔S2及び比較的深い深さD2を有するエッジ終端領域16のガード・リング36のより高濃度にドープされた第2の部分140を画定する。第1のマスク・パターン505の側壁上に比較的薄い共形層615からスペーサ615’を形成することによって、より狭い(例えば、サブミクロン)幅W2mを有する開口部を達成することができる。一部の実施例では、第2の注入プロセス520は、図5A図5F図6A図6H、及び/又は図7A図7Hの実施例よりも低い注入エネルギー(例えば、約50keV~約500keV)での深いチャネリング注入プロセスを含むことができ、これにより、所望の横方向間隔S1、S2を維持しながら、且つより薄い第1のマスク・パターン505を依然として使用しながら、ガード・リング36の第2の部分140を深さD2まで注入することが可能になり得る。
【0134】
したがって、第2の注入プロセス520は、比較的狭い(例えば、サブミクロン)幅W2を有する第2の部分140を画定し、それによって、隣接するガード・リング36間の横方向のストラグルを低減又は回避することができる。ガード・リング36の隣接する部分140間の間隔S2は、一部の実施例では、エッジ終端領域16のそれぞれの深さD2にわたって不均一であってもよい。また、図2A図4Bに示すように、ガード・リング36の側壁36sに沿って1つ又は複数の段差SDが画定されてもよい。特に、段差SDは、ガード・リング36の第1の部分170及び第2の部分140の幅W1、W2の差によって形成されてもよい。
【0135】
第2の注入プロセス520は、注入領域150を形成するために、第2の部分140よりも高い第2の導電型の濃度を有するガード・リング36の第3の部分を提供し、より低いエネルギー、より高濃度の注入プロセスを含むこともできる。第3の部分150は、上述したように、1つ又は複数の次元において、ガード・リング36の第1の部分170内に閉じ込められ得る。図8Fに示すように、第2の注入プロセス520を実行した後、第1のマスク・パターン505及びスペーサ615’は、ドリフト領域120の表面120sから除去される。
【0136】
図8A図8Fでは、最初に、より低いエネルギー注入510及びより広い開口部W1mを有する第1のマスク・パターン505を使用して注入領域170を形成し、その後、より高いエネルギー注入520及びより狭い開口部W2mを有するスペーサ615’を使用して注入領域140及び150を形成するものとして示されているが、ガード・リング36の部分140、150、170は、示された順序で形成される必要はないことが理解されるであろう。より一般的には、本発明の実施例は、エッジ終端領域16を通して一貫したガード・リング間隔S1、S2を維持しながら、複数のマスク及び/又は注入プロセスを使用してサブミクロン遮蔽パターン140を提供するために、上記及び/又は他の操作の任意の組合せを含むことができる。
【0137】
追加のマスキング、エッチング、及び/又は堆積ステップを実行して、活性領域14のドリフト領域120の表面120s内に延在するゲート・トレンチ180を画定することができ、トレンチ180内にゲート絶縁層182及びゲート電極184を形成することができる。例えば、図1Bに示すように、酸化物層などのゲート絶縁層182が、各ゲート・トレンチ180の底面及び側壁上に形成される。各ゲート絶縁層182上にはゲート電極184が形成されている。コンタクトは、半導体層構造106の上面及び底面に形成されてもよい。例えば、ドレイン・コンタクトは、ドリフト領域120の反対側の基板110の下面に形成されてもよい。ソース・コンタクトは、高濃度にドープされたソース領域160上の半導体層構造の上部に形成されてもよい。ソース・コンタクトは、一部の実施例では、遮蔽パターン140’への電気的接続を提供し得る。ソース・コンタクトは、一部の実施例ではオーミック金属であってもよく、遮蔽パターン140’を電気接地に電気的に接続するように構成された共通ソースを提供してもよい。上記の説明では、製造ステップが例示的な順番又は順序で記載されているが、製造ステップは異なる順番で実行されてもよいことが理解されよう。例えば、様々なエッチング及びイオン注入ステップの順番は、上述したものから変更されてもよい。
【0138】
本開示は、主にパワーMOSFETの実施態様に関して本明細書に記載されているが、本明細書に記載される技術は、接合又はエッジ終端領域を含み得る他のパワー半導体デバイスにも等しく良好に適用されることが諒解されよう。すなわち、本開示の実施例は、MOSFETに限定されず、本明細書で開示される技術は、IGBT、ショットキー・ダイオード、又は任意の他の適切なデバイスなどの他のパワー半導体デバイスで使用されてもよい。
【0139】
本明細書に開示される異なる実施例の特徴は、任意の方法で組み合わされて、多くの追加の実施例を提供し得ることが理解されるであろう。例えば、本明細書に記載される任意のMOSFETの実施例の特徴は、SiC又はSiなどの他の半導体材料上に製造されたIGBTの実施例に組み込まれてもよい。したがって、本発明の概念の様々な特徴が特定の実例に関して本明細書に記載されているが、これらの特徴は、多くの追加の実施例を提供するために、他の実施例に追加され、及び/又は他の実施例の例示的な特徴の代わりに使用され得ることが諒解されよう。したがって、本開示は、これらの異なる組合せを包含すると理解されるべきである。
【0140】
上記の説明において、各例示的実施例は、特定の導電型を有する。上記の実施例のそれぞれにおいて、n型層及びp型層の導電性を単に逆にすることによって、反対の導電型のデバイスを形成することができることが理解されよう。したがって、本開示は、異なるデバイス構造(例えば、MOSFET、IGBTなど)ごとにnチャネル・デバイスとpチャネル・デバイスの両方をカバーすることが諒解されよう。
【0141】
本開示は、主に、炭化ケイ素ベースのパワー半導体デバイスに関して上述されている。しかしながら、本明細書では炭化ケイ素が一例として使用されており、本明細書で説明されるデバイスは、任意の適切なワイド・バンドギャップ半導体材料系で形成され得ることが理解されよう。一例として、窒化ガリウム系半導体材料(例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニウム・ガリウムなど)が、上述の実施例のいずれかにおいて炭化ケイ素の代わりに使用されてもよい。本明細書に記載される異なる実施例の異なる特徴を組み合わせて、追加の実施例を提供することができることも理解されるであろう。
【0142】
本開示の実施例は、本発明の実施例が示される添付の図面を参照して上述された。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、上述の実施例に限定されるものとして解釈されるべきではないことが理解されるであろう。むしろ、これらの実施例は、本開示が完璧且つ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。
【0143】
第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書全体を通して使用されるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。「及び/又は」という用語は、関連付けられ列挙された項目のうちの1つ又は複数の任意及びすべての組合せを含む。
【0144】
本明細書で使用される用語は、特定の実施例を説明することのみを目的としており、本発明を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も同様に含むことが意図されている。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、及び/又は「含んでいる(including)」は、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0145】
層、領域又は基板などの要素が、別の要素の「上に(on)」あるか、又は別の要素の「上に(onto)」延在していると言及される場合、それは、別の要素の直接上にあり得るか、又は別の要素の直接上に延在し得るか、又は介在要素も存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素の「直接上に(directly on)」あるか、又は別の要素の「直接上に(directly onto)」延在すると言及されるとき、介在要素は存在しない。また、ある要素が別の要素に「接続される(connected)」又は「結合される(coupled)」と言及される場合、その要素は他の要素に直接接続又は結合されてもよく、或いは介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続される(directly connected)」又は「直接結合される(directly coupled)」と呼ばれるとき、介在要素は存在しない。
【0146】
「下(below)」又は「上(above)」又は「上側(upper)」又は「下側(lower)」又は「上部(top)」又は「底部(bottom)」などの相対的な用語は、本明細書では、図に示されるように、1つの要素、層又は領域の別の要素、層又は領域に対する関係を説明するために使用され得る。これらの用語は、図に示される向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含することが意図されていることが理解されるであろう。
【0147】
本発明の実施例は、本発明の理想化された実施例(及び中間構造)の概略図である断面図を参照して本明細書に記載されている。図面における層及び領域の厚さは、明確にするために誇張されていることがある。さらに、例えば、製造技術及び/又は公差の結果として、図の形状とは異なることが予想される。本発明の実施例はまた、流れ図を参照して説明されている。流れ図に示されるステップは、示された順番で実行される必要はないことが理解されるであろう。
【0148】
本発明の一部の実施例は、層及び/又は領域内の多数キャリア濃度を指すn型又はp型などの導電型を有するものとして特徴付けられる半導体層及び/又は領域を参照して説明されている。したがって、n型材料は、負に帯電した電子が平衡濃度の大部分を有し、p型材料は、正に帯電した正孔が平衡濃度の大部分を有する。一部の材料は、(n+、n-、p+、p-、n++、n--、p++、p--などのように)「+」又は「-」を用いて指定され、別の層又は領域と比較して、多数キャリアの比較的多い(「+」)又は少ない(「-」)濃度を示すことがある。しかしながら、このような表記は、層又は領域内の多数又は少数キャリアの特定の濃度の存在を暗示しない。
【0149】
図面及び明細書では、本発明の典型的な実施例が開示されており、特定の用語が用いられているが、それらは、限定を目的としたものではなく、一般的且つ説明的な意味でのみ使用されており、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に記載されている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、前記半導体ドリフト領域の表面内に約1マイクロメートル(μm)よりも大きいそれぞれの深さまで延在し、約3μm未満のそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている、
パワー半導体デバイス。
【請求項2】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の部分と、前記表面から離間された第2の部分とを備え、前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、請求項1に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項3】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む、請求項2に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項4】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項2又は3に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項5】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備える、請求項2又は3に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項6】
前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項5に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項7】
前記第3の部分が2つ以上の次元において前記第1の部分内に閉じ込められている、請求項5に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項8】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える、請求項2から7までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項9】
前記段差が、異なるドーパント濃度を含む前記ガード・リングの部分間の界面に画定されている、請求項8に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項10】
前記半導体層構造が、前記半導体ドリフト領域内に前記第2の導電型の複数のウェル領域を含む活性領域をさらに備え、前記ウェル領域が前記第1の深さまで延在する、請求項4から9までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項11】
前記活性領域が前記ウェル領域よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む複数の遮蔽パターンをさらに備え、前記遮蔽パターンが前記第2の深さまで延在する、請求項10に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項12】
前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項2から11までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項13】
前記それぞれの深さが約1μm~約3μmであり、前記それぞれの間隔が約0.5μm~約3μmである、請求項1から12までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項14】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の幅と、前記表面から離間された第2の幅とを備え、前記第2の幅に対する前記第1の幅の比が約0.95~約2である、請求項1から12までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項15】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、前記半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の部分と、前記表面から離間された第2の部分とを備え、前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、
パワー半導体デバイス。
【請求項16】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む、請求項15に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項17】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項16に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項18】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項16に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項19】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数がそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離され、前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項15から18までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項20】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が、前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む側壁をそれぞれ備える、請求項15から19までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項21】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、前記半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、それぞれ、前記表面に隣接する第1の部分と、前記表面から離間された第2の部分と、側壁とを備え、それぞれのガード・リングの前記側壁が前記第1の部分と前記第2の部分との間に段差を含む、
パワー半導体デバイス。
【請求項22】
前記第2の部分が前記第1の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含み、前記段差が前記第1の部分と前記第2の部分との界面に画定されている、請求項21に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項23】
前記第1の部分が前記第2の部分よりも広い、請求項22に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項24】
前記第1の部分が前記表面内に第1の深さまで延在し、前記第2の部分が、前記第1の部分を貫通して、前記第1の深さよりも大きい第2の深さまで延在する、請求項22又は23に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項25】
前記半導体層構造が前記半導体ドリフト領域内に前記第2の導電型の複数のウェル領域を含む活性領域をさらに備え、前記ウェル領域が前記第1の深さまで延在する、請求項24に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項26】
前記活性領域が前記ウェル領域よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む複数の遮蔽パターンをさらに備え、前記遮蔽パターンが前記第2の深さまで延在する、請求項25に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項27】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が前記第2の部分よりも高濃度の前記第2の導電型のドーパントを含む第3の部分をそれぞれ備え、前記第3の部分が前記第1の部分よりも狭い、請求項22から26までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項28】
前記ガード・リングのうちの前記1つ又は複数が約1μm~約3μmのそれぞれの深さまで前記半導体ドリフト領域の前記表面内に延在し、約0.5μm~約3μmのそれぞれの間隔によって互いに横方向に分離されている、請求項21から27までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項29】
前記それぞれの間隔が前記第1の部分間で実質的に均一である、請求項28に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項30】
前記第1の部分が第1の幅を有し、前記第2の部分が第2の幅を有し、前記第2の幅に対する前記第1の幅の比が約0.95~約2である、請求項21から29までのいずれか一項に記載のパワー半導体デバイス。
【請求項31】
第1の導電型の半導体ドリフト領域と、前記半導体ドリフト領域の表面内に延在する第2の導電型の複数のガード・リングを含むエッジ終端領域とを含む半導体層構造を備え、
前記ガード・リングのうちの1つ又は複数が、前記表面に隣接する第1の幅と、前記表面から離間された第2の幅とをそれぞれ備え、前記第1の幅の前記第2の幅に対する比が約0.95~約2である、
パワー半導体デバイス。
【請求項32】
第1の導電型の半導体ドリフト領域を含む半導体層構造を設けるステップと、
前記半導体ドリフト領域内に第2の導電型の複数のガード・リングを形成して、エッジ終端領域を形成するステップと、
を含み、
前記ガード・リングを形成するステップが、前記半導体ドリフト領域上に第1のマスク・パターン及び第2のマスク・パターンを用いて第1のイオン注入プロセス及び第2のイオン注入プロセスをそれぞれ順次に行うステップを含み、前記第1のマスク・パターンが前記第2のマスク・パターンとは異なる幅を有する開口部を含む、
パワー半導体デバイスを製造する方法。
【国際調査報告】