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特表2024-541552ハッシュ値に由来するRGB画像の印刷及び走査によるプルーフ・オブ・ワーク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】ハッシュ値に由来するRGB画像の印刷及び走査によるプルーフ・オブ・ワーク
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/32 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H04L9/32 200Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531503
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2022082703
(87)【国際公開番号】W WO2023094341
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21210670.2
(32)【優先日】2021-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ザイデマン,ロタール
(72)【発明者】
【氏名】イェリヒ,ホルガー カイ ペーター
(57)【要約】
少なくとも1つの印刷装置を使用してコンセンサスメカニズムとも呼ばれる、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法であって、前記印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成され、前記方法は、以下のステップ:
i) (110)暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
ii) (112)複数のカラーピクセル(116)を含む少なくとも1つの初期デジタル画像(114)を生成するステップであって、前記初期デジタル画像(114)は、前記暗号ハッシュ値の少なくとも一部を前記カラーピクセル(116)の色値に変換することによって生成される、ステップと;
iii) (118)前記初期デジタル画像(114)とは異なる複数のカラーピクセル(122)を含むタスクデジタル画像(120)を生成する、ステップと;
iv) (124)マイニングプリンタ制御設定(126)を選択し、前記選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用して前記初期デジタル画像(114)を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、前記初期デジタル画像(114)とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
v) (128)少なくとも1つの処理装置を使用することによって、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルが同一であることが判明されるまで、ステップii)~v)を繰り返すことを含み、ステップiv)(124)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定(126)が選択され、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定(126)が、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法であって、前記印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成され、前記方法は、以下のステップ:
i) (110)暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
ii) (112)複数のカラーピクセル(116)を含む少なくとも1つの初期デジタル画像(114)を生成するステップであって、前記初期デジタル画像(114)は、前記暗号ハッシュ値の少なくとも一部を前記カラーピクセル(116)の色値に変換することによって生成される、ステップと;
iii) (118)前記初期デジタル画像(114)とは異なる複数のカラーピクセル(122)を含むタスクデジタル画像(120)を生成する、ステップと;
iv) (124)マイニングプリンタ制御設定(126)を選択し、前記選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用して前記初期デジタル画像(114)を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、前記初期デジタル画像(114)とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
v) (128)少なくとも1つの処理装置を使用することによって、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルが同一であることが判明されるまで、ステップii)~v)を繰り返すことを含み、ステップiv)(124)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定(126)が選択され、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定(126)が、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、方法。
【請求項2】
前記顔料は天然有機材料及び合成有機材料から選択され、前記顔料は無機材料、好ましくは金属酸化物、より好ましくは酸化鉄から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブロックは、ブロックバージョン番号、前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、ブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、時間、ビット、及びナンス(nonce)に関する情報を含むヘッダを含み、前記ナンスは、前記初期デジタル画像を前記タスクデジタル画像(120)に転送するために見出された前記マイニングプリンタ制御設定であり、前記ビットは、前記初期デジタル画像(114)のピクセル数及び/又は前記タスクデジタル画像(120)のピクセル数を定義する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マイニングプリンタ制御設定(126)の情報は、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのナンスとして適用される数字を生成するために使用され、前記ナンスのサイズは、印刷に使用される色空間の各色の色の強度を定義する情報によって、印刷前に設定される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ナンスのサイズは、4バイトであって、0から255の範囲の色空間の色の強度を定義し、前記強度は、各顔料色について2つの16進数で表される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ナンスのサイズは、4バイトであって、8色の色空間については0から15の範囲、4色の色空間については0から255の範囲、又はさらなる色空間のさらなる色については適切な範囲の色の強度を定義し、前記色の強度は、1つ又は2つの16進数又は各顔料色についての例えば10進数の他の数字によって表される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記暗号ハッシュ値は、ブロックのブロック番号、ブロックに格納されたデータ、及び前のブロックの暗号ハッシュを入力として有する少なくとも1つのハッシュ関数を使用することによって提供される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記ハッシュ関数は、SHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512、SHA-512/224、SHA-512/256からなる群から選択される少なくとも1つのセキュアハッシュ関数SHA-2である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記暗号ハッシュ値は16進数を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記初期デジタル画像(114)の生成は、暗号ハッシュ値の16進数を有意な光学的差異のRGB色に変換することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
前記暗号ハッシュ値は、印刷する前に、前記初期デジタル画像(114)のピクセルのサイズ及び/又は形状を定義するために使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記タスクデジタル画像(120)は、前記初期デジタル画像(114)の生成に使用された以外の暗号ハッシュ値の少なくとも一部を、カラーピクセルの少なくとも1つの色値に変換することにより、及び/又は少なくとも1つのランダムアルゴリズムを使用することにより、及び/又はブロックのトランザクションのデジタル情報を色値に転送することにより、生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルの比較はピクセル単位で実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルの比較は、ピクセル化(132)によって前記マイニングデジタル画像及び/又は前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルをグループ化した後に実行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、カラーピクセルを数字に変換することによって、前記ピクセル化されたマイニングデジタル画像のカラーコードを決定することを含み、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーピクセルの比較は、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)のカラーコードを比較することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)は、ピクセルの色の各々について±30%、好ましくはピクセルの色の各々について±10%、より好ましくはピクセルの色の各々について±3%のピクセルカラー誤差許容範囲内で同一であると見なされ、及び/又は、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像(120)は、逸脱したピクセルが10%、好ましくは逸脱したピクセルが5%、より好ましくは逸脱したピクセルが1%で全体誤差許容範囲内で同一であると見なされる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ステップii)は、複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像(114)を生成することを含み、前記初期デジタル画像(114)は、前記暗号ハッシュ値の少なくとも一部を前記カラーピクセルの色値に変換することによって生成され、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像の前記カラーピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、本方法はさらに:
vi) 前記マイニングプリンタ制御設定(126)を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用することによって前記初期デジタル画像(114)の少なくとも1つのさらなる初期デジタル画像を印刷し、前記走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、前記さらなる初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
vii) 前記処理装置を使用することによって、前記さらなるマイニングデジタル画像と少なくとも1つのさらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルとを比較する、ステップと;
を含むことができ、
ここで、前記方法は、前記さらなるマイニングデジタル画像と前記さらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)からvii)を繰り返すことを含み、
ここで、前記さらなるマイニングデジタル画像と前記さらなるタスクデジタル画像、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定(126)は、前記ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項18】
前記さらなるマイニングデジタル画像及び前記さらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、前記方法は、前記プリンタ制御設定を使用して、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像の追加の異なるペア、又はタスクデジタル画像のピクセルについて、ステップvi)及びvii)を繰り返すことを含み、前記方法は、それぞれのマイニングデジタル画像及びタスクデジタル画像の前記カラーピクセル、又は前記タスクデジタル画像のそれぞれのピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)~vii)及び繰り返されたステップvi)及びvii)を繰り返すことを含み、これらの条件が満たされた前記マイニングプリンタ制御設定(126)は、前記ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップvi)とvii)の繰り返しの回数は、予め定義されたマイニング難易度に依存する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記初期デジタル画像(114)のピクセル数及び/又は初期デジタル画像の数と、前記タスクデジタル画像(120)のピクセル数とは、予め定義されたマイニング難易度によって定義される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成し検証するための、プルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法であって、前記印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成されており、前記方法は以下のステップ:
a) (134)暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
b) (136)複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像(114)を生成するステップであって、前記初期デジタル画像(114)は、暗号ハッシュ値の一部を前記カラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
c) (138)前記初期デジタル画像(114)とは異なる複数のカラーピクセルを含む第1タスクデジタル画像(120)を生成する、ステップと;
d) (140)マイニングプリンタ制御設定(126)を選択し、前記選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用することによって前記初期デジタル画像の第1初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、特に前記第1初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
e) (142)少なくとも1つの処理装置を使用することによって、前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像の前記カラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明されるまで、ステップb)~e)を繰り返すことを含み、ステップd)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定(126)が選択され、
前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、前記方法はさらに、
f) (144)前記マイニングプリンタ制御設定(126)を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用することによって前記初期デジタル画像の少なくとも1つの第2初期デジタル画像を印刷し、前記走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、特に前記第2初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
g) (146)前記処理装置を使用することによって、前記さらなるマイニングデジタル画像と少なくとも1つの第2タスクデジタル画像のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記さらなるマイニングデジタル画像と前記第2タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明するまで、ステップb)からg)を繰り返すことを含み、
ここで、(i)前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像少なくとも許容範囲内で同一であることが判明し、(ii)前記さらなるマイニングデジタル画像と前記第2タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定(126)が、前記ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、方法。
【請求項22】
ステップb)で生成された初期デジタル画像の数及びタスクデジタル画像の数又はタスクデジタル画像のピクセル数は、予め定義されたマイニング難易度によって定義される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記さらなるマイニングデジタル画像と前記第2タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、前記方法は、前記プリンタ制御設定を使用して、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像の追加の異なるペアについてステップf)及びg)を繰り返すことを含み、前記方法は、前記それぞれのマイニングデジタル画像及び前記タスクデジタル画像のカラーピクセルが同一であることが判明するまで、ステップb)~g)及び繰り返されたステップf)及びg)を繰り返すことを含み、これらの条件が満たされた前記マイニングプリンタ制御設定は、前記ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ステップf)及びg)の繰り返しの回数は、予め定義されたマイニング難易度に依存する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
デジタル画像に基づくブロックチェーンであって、前記ブロックチェーンは、リンクされた複数のブロックを含み、前記ブロックチェーンは、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するための方法に関する請求項1又は2に記載の、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するための方法の少なくとも1つを使用することによって生成される、ブロックチェーン。
【請求項26】
暗号通貨を取引するためのマイニング、非代替トークン、スマートコントラクト、金融サービス、ヘルスケア、個人識別、暗号通貨、サプライチェーン、セキュアラベルの分野における取引の安全な処理のうちの1つ又は複数の目的のための、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法に関する請求項1又は2に記載のプルーフ・オブ・ワークのコンピュータ実装方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの印刷装置を使用してコンセンサスメカニズムとも呼ばれるブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのコンピュータ実装方法と、暗号通貨を取引する(トランザクション)ためなどの前記方法の使用に関する。本発明による方法及び使用は、具体的には、スマートコントラクト、金融サービス、ヘルスケア、個人認証、暗号通貨、サプライチェーンの分野におけるトランザクションの安全な処理に使用されることができる。その他の用途も可能である。
【背景技術】
【0002】
金融サービス、ヘルスケア、個人認証、暗号通貨、サプライチェーンの分野など、多くの用途において、ブロックチェーン技術は、ライセンス供与、他社との協力及び技術の販売などの取引(トランザクション)の安全な処理を保証する効率的な技術である。
【0003】
ブロックチェーンは、暗号技術を使ってリンクされた、ブロックと呼ばれる記録のリストである。各ブロックには、前のブロックの暗号ハッシュ、タイムスタンプ、及び取引データが含まれる。設計により、ブロックチェーンはデータの変さらに対して耐性がある。それは、「二者間の取引を効率的にかつ検証可能で永続的な方法で記録することができるオープンな分散型台帳」である(en.wikipedia.org/wiki/Blockchainを参照)。分散型台帳として使用する場合、ブロックチェーンは通常、ノード間通信のプロトコルに集合的に準拠し、新しいブロックを検証するピアツーピアネットワークによって管理される。各ブロックは、ブロックチェーン内の前のブロックの暗号ハッシュを含み、両者をリンクする。リンクされたブロックはチェーンを形成する。この反復プロセスは、前のブロックの整合性を確認し、元のジェネシスブロックまで遡る。ブロックチェーン技術は通常、暗号ハッシュ関数を必要とし、複数の情報が処理される必要があり、ハッシュ関数が任意のサイズのデータを、所定のブロックのデータが遡及的に変更できないように、固定サイズの値にマッピングする必要がある。
【0004】
Eshaniらによる,「ブロックチェーンのエネルギー消費の問題に関する研究(A study on the issue of blockchain's energy consumption)」,DOI:10.1007/978-981-15-0361-0_5, は、ブロックチェーン技術は開発され、教育、ビジネス、産業の分野で利用される可能性のある最大の革新的技術の1つである、と述べている。ビットコインの誕生以来、ブロックチェーンは第三者の介入なしにデジタル情報を保存する手段として登場した。しかし現在では、単純な分散型台帳としてだけでなく、様々な他の用途に利用されている。時が経つにつれ、ブロックチェーンは経済の様々な分野に大きな影響を与え、その不変性から人気を得ている。しかし、ブロックチェーンが直面する問題もある。その1つがエネルギー消費である。ブロックチェーンは、その生成のために使用されるアルゴリズムにより、膨大な量のエネルギーを消費することが分かっている。Johannes Sedlmeirらによる,「ブロックチェーン技術のエネルギー消費:神話を超えて(The Energy Consumption of Blockchain Technology:Beyond Myth)」, Bus Inf Syst Eng 62(6):599-608 (2020), https://doi.org/10.1007/s12599-020-00656-x、及び Eshani Ghosh and Baisakhi Dasによる,「ブロックチェーンのエネルギー消費の問題に関する研究(A study on the issue of blockchain's energy consumption)」,2020年1月,DOI:10.1007/978-981-15-0361-0_5,「2019年国際倫理的ハッキング会議議事録(Proceedings of International Ethical Hacking Conference 2019)」(63~75頁),は、ブロックチェーン技術、特にプルーフ・オブ・ワークに必要な膨大なエネルギー消費について述べている。
【0005】
既知のブロックチェーン技術及びブロックチェーンを生成する方法の成果にもかかわらず、特に近年のコンピュータ技術の進歩と、コンピュータの能力とリソースの利用可能性の増加の観点から、ブロックチェーン技術のエネルギー消費、特にプルーフ・オブ・ワークに必要なエネルギー消費の削減が依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上記の技術的課題に対処する方法及び装置を提供することが望ましい。具体的には、プルーフ・オブ・ワークのためのエネルギー消費を削減することができる、少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この問題は、少なくとも1つの印刷装置を使用したブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法及び独立請求項の特徴の使用によって対処される。独立した方式で、又は任意の組み合わせで実現され得る有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
以下で使用される場合、「有する」、「備える」、又は「含む」という用語、又はそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入された特徴の他に、この文脈で説明されている実体にさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を指し得る。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外にAに他の要素が存在しない状況(つまり、Aは専らかつ排他的にBを構成する状況)と、Bに加えて、1つ以上の要素、例えば要素C、要素CとD、又はさらに要素などが実体Aに存在する状況の双方を指し得る。
【0009】
さらに、「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語、又は、特徴もしくは要素が1回以上存在し得ることを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照するときに、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」という表現は、それらの特徴又は要素が1回以上現れ得るという事実にもかかわらず、繰り返されないことに留意されたい。
【0010】
さらに、以下で使用される場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」という用語、又は、同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴に関連して使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、いかなる意味でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本発明は、当業者であれば認識するように、代替的特徴を用いて実施することができる。同様に、「本発明の一実施形態では」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替実施形態に関するいかなる制限もなく、本発明の範囲に関するいかなる制限もなく、及び、そのような方法で導入される特徴を本発明の他の任意の又は非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、任意の特徴であることが意図されている。
【0011】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法が提案される。印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成される。
【0012】
本方法は、以下のステップを含み、該ステップは、具体的には、所定の順序で実行され得る以下の方法ステップを含んでいる。それでも、異なる順序も可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを完全に又は部分的に同時に実行することが可能である。さらに、方法ステップの1つ以上、あるいはすべてを1回実行してよく、又は、1回又は数回繰り返すなど、繰り返し実行することも可能である。さらに、本方法は、列挙されていない追加の方法ステップを含んでもよい。
【0013】
本方法は以下のステップ:
i) 暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
ii) 複数のカラーピクセルを含む少なくとも1つの初期デジタル画像を生成するステップであって、前記初期デジタル画像は、暗号ハッシュ値の少なくとも一部をカラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
iii) 初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを含むタスクデジタル画像を生成する、ステップと;
iv) マイニングプリンタ制御設定を選択し、選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、該印刷装置を使用して初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
v) 少なくとも1つの処理装置を使用することによって、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、本方法は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルが同一であることが判明されるまで、ステップii)~v)を繰り返すことを含み、
ステップiv)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定が選択され、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される。
【0014】
本明細書で使用される「コンピュータ実装」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つのプロセッサを含むデータ処理手段などのデータ処理手段を用いることによって、完全に又は部分的に実施されるプロセスを指し得る。したがって、「コンピュータ」という用語は、一般に、少なくとも1つのプロセッサなどの少なくとも1つのデータ処理手段を有する、装置、又は装置の組み合わせもしくはネットワークを指し得る。コンピュータは、さらに、データ記憶装置、電子インターフェース又はヒューマンマシンインターフェースのうちの少なくとも1つなど、1つ以上のさらなるコンポーネントを含んでいてよい。
【0015】
本明細書で使用される「ブロック」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、ブロックチェーンの構成部品又は要素を指し得る。ブロックチェーンは、特定の記録を保持することができるブロックのチェーンとして定義されることができ、ブロックは暗号化の原理を使用して互いにリンクされており、さらなる詳細については、Eshaniらによる「ブロックチェーンのエネルギー消費の問題に関する研究(A study on the issue of blockchain's energy consumption)」, 第2章, DOI: 10.1007/978-981-15-0361-0_5又はen.wikipedia.org/wiki/Blockchainを参照されたい。各ブロックは取引データを含むことができる。ブロックは、前のブロックのハッシュ値を含むことによってリンクされ得る。各ブロックは前のブロックの暗号ハッシュ値を含む。各ブロックはさらにタイムスタンプを含むことができる。ブロックチェーンは、複数のリンクされたブロックを含むことができる。
【0016】
ブロックは、複数のフィールドを含むヘッダを含んでいてよい。具体的には、ヘッダは、ブロックバージョン番号、前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、ブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、時間、ビット、及びナンス(nonce)に関する情報が含まれる。ブロックの構造は、例えばen.bitcoin.it/wiki/Block_hashing_algorithmに記載されているような、ビットコインのブロックアーキテクチャに類似していてよい。ブロックヘッダは、以下のフィールドが含まれる:
【0017】
【表1】
【0018】
「バージョン(Version)」とも表記されるブロックバージョン番号、「hashPrevBlock」とも表記される前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、「hashMerkleRoot」とも表記されるブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、及び「時間(Time)」のフィールドは、ビットコインの場合と同じ方法で生成されてもよく、同じ意味を維持してよい。時間は、1970-01-01T00:00UTCからの秒数としてのタイムスタンプであってよい。この方法は、各ブロックのトランザクションのプロトコルに時間を調整することを可能にすることができる。しかし、他の時間も可能である。
【0019】
暗号ハッシュ値(ハッシュ値とも表記される)は、ハッシュ関数を用いて生成されてよい。ハッシュ関数は、任意のサイズのデータを固定サイズの値にマッピングするために使用できる任意の関数であってよい。ハッシュ関数によって返される値はハッシュ値と呼ばれる。本明細書で使用される「暗号ハッシュ値」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、データを一意に表す固定長の数値を指し得る。例えば、暗号ハッシュ値は16進数を含む。本明細書で使用される「データ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、情報及び/又は情報を表す機械可読信号もしくは記号を指し得る。データは、具体的には、デジタルデータ及びアナログデータの一方又は両方であってよく、又はそれらを含んでいてよい。暗号ハッシュ値は、ブロックのブロック番号、ブロックに格納されたデータ、及び前のブロックの暗号ハッシュを入力として有する少なくとも1つのハッシュ関数を使用することによって提供されてよい。例えば、ハッシュ関数は、SHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512、SHA-512/224、SHA-512/256からなる群から選択される少なくとも1つのセキュアハッシュ関数SHA-2であってよい。本明細書で使用される暗号ハッシュ値を「提供する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、又は暗号ハッシュ値(cryptographic hash value)の生成及び/又は適用及び/又は使用することを指し得る。ナンスの発見とそれの検証のための本発明のアプローチにより、暗号ハッシュは、一定数のゼロを含まなくてよい。さらに、プルーフ・オブ・ワーク(https://en.wikipedia.org/wiki/Proof_of_work)の要求は依然として満たされる。具体的には、「計算量(computational effort)」の代わりに、本発明は「印刷量(printing effort)」を提案する。しかし、他の選択肢も可能である。例えば、暗号ハッシュ値は、現在のブロックの各要素の少なくとも1つの16進数;例えば、前のブロックのハッシュ値、タイムスタンプのハッシュ値などのSHA256を適用した現在のブロックの各要素のハッシュ値の少なくとも1つの16進数;例えば、SHA256を適用した、例えば別個の数ジェネレータからの入力後のハッシュ値の少なくとも1つの16進数;16進数を提供する任意の他の利用可能なデータソース、からなる群から選択された少なくとも1つの要素として提供されることができる。他のタイプの数字、例えば10進数も可能である。
【0020】
例えば、現在のブロックのバージョン番号、ブロックに格納されているデータ、及び前のブロックのハッシュは、ハッシュ関数(例えばSHA256関数)の入力として使用され、現在のブロックの暗号ハッシュ値を取得することができる、すなわち、SHA256(ブロックのバージョン番号,データ,前のブロックのヘッダの暗号ハッシュ)->暗号ハッシュ値、例:暗号ハッシュ値=C019286295F2CDEC9958BEE25B9603B5F94C76B2CCC69A59CE54872ED26DC479。
【0021】
本明細書で使用される「ビット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。ビットは、初期デジタル画像のピクセル数を定義することができる。ビットはまた、タスクデジタル画像のピクセル数を定義してもよい。具体的には、ビットはマイニング難易度を定義することができる。フィールド「ビット」は、各印刷及び走査の繰り返しのピクセル数によって、難易度及び/又は印刷時間をアドレスするために使用されてよい。したがって、フィールド「ビット」は、ビットコインの場合と異なって使用されてよい。
【0022】
マイニングプリンタ制御設定の情報は、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのナンス(nonce)として適用される数字を生成するために使用されることができる。数字は、記号又は数字を示す記号のグループ、例えば、数字列、16進数などであってよい。本明細書で使用される「ナンス(nonce)」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、一度しか使用できない(1次元)任意の数字を指し得る。ナンスは、初期デジタル画像をタスクデジタル画像に転送するために見つけられたプリンタ制御設定であり得る。具体的には、ナンスは、特に、印刷、走査、及びピクセル化のうちの1つ以上の後に、初期デジタル画像をタスクデジタル画像に転送するマイニングプリンタ制御設定であってよい。
【0023】
ナンスのサイズは、印刷に使用される色空間の各色の色の強度を定義する情報によって、印刷前に設定される。これにより、強度は、印刷に使用される色ドットのサイズ及び色空間の各色の色ドット間の距離を定義することができる。例えば、色空間、例えばCMYK色空間の各色の強度は、0~255の範囲で変化させることができる。したがって、ナンスの構造は{CC-MM-YY-KK}であってよい。例えば、ナンスのサイズは、0から255の範囲の色空間の色の強度を定義するために、4バイトであってよい。具体的には、ナンスのサイズは、0から255の範囲の色空間の4色の強度を定義するために4バイトであってよい。例えば、ナンスのサイズは、8色の色空間については0から15の範囲、4色の色空間については0から255の範囲、又はさらなる色空間のさらなる色については適切な範囲の色の強度を定義するために4バイトであってよく、色の強度は、1つ又は2つの16進数又は他の数字、例えば各顔料色についての10進数、によって表される。強度は、各色について2つの16進数で表すことができる。
【0024】
本明細書で使用される「ブロックを生成する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、ブロックチェーンに新しいブロックを追加及び/又は生成(producing)及び/又は作成する(creating)ことを指し得る。本明細書で使用される「プルーフ・オブ・ワーク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、ブロックチェーンの新しいブロックの生成を確保するためのコンセンサスプロセスを指し得る。ブロックがブロックチェーンに追加される前に、ブロックに含まれる情報は、ブロックチェーン技術に基づいて構築されたネットワーク(ブロックチェーンネットワークとも呼ばれる)によって「検証」される必要がある。これは、暗号パズルを解くことによっていわゆるハッシュを生成することによって行われる。ネットワークに参加するノード、いわゆるマイナーは、暗号パズルの解を特に最初に見つけたときは、新しいブロックを生成する権利を持つことができる。解を探索するプロセスは通常「マイニング」又は「マイニングプロセス」と呼ばれる。ネットワークの他のノードは、見つかった解が正しいかどうかをチェックすることができる。他のノードがその有効性を確認した場合、そのブロックは有効とみなされ、ブロックチェーンに追加されることができる。
【0025】
本明細書で使用される、「印刷装置」(プリンタとも呼ばれる)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、プリンタ制御設定に従って、少なくとも1つの材料を少なくとも1つの印刷面又は基板上に、具体的にはパターン化された様式で適用、例えば印刷するように構成された装置を指し得る。特に、印刷装置は、イメージドラムなどのドラム;転写ベルトなどのコンベア;レーザ、少なくとも1つのミラー、例えば回転可能なミラーを含むレンズシステムなどのレンズシステム;ロール、スクレーパ、又は例えばドラム又はコンベアをクリーニングするための同様のクリーニング手段;カセット、例えば、用紙カセットなど、基板の1つ以上を保存するためのカセット;少なくとも1つの搬送要素、例えば、基板、具体的には紙を、印刷装置内へ、印刷装置内に、及び/又は印刷装置から供給、転送、及び/又は排出するための、例えばローラ及び/又はコンベアなどの少なくとも1つの移送要素;の1つ以上を含むことができる。特に、材料は、イメージドラムなどのドラムの表面、又は転写ベルトなどのコンベア上に印刷される。
【0026】
さらに、例えば、印刷装置は、紙カセットなど、基板の1つ又は複数を格納するためのカセット;ローラ及び/又はコンベアのような、例えば、基板、具体的には紙を印刷装置内へ、印刷装置内で、及び/又は印刷装置から供給、転送及び/又は排出するための少なくとも1つの搬送要素を備えることができる。
【0027】
印刷装置は、少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成される。デジタル画像は、走査されるエリアに照射を適用することにより基板上の少なくとも1つの材料の光学的印象を走査することから得られ得る。「デジタル画像」(デジタル写真とも呼ばれる)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、物理的オブジェクトの二次元表現を指し得る。画像及び写真という用語は、以下において同義語として使用される。デジタル画像は、複数のカラーピクセルを含むことができる。例えば、デジタル画像はデジタルRGB画像であってよい。デジタルRGB画像は、3つのカラーチャンネル、すなわち1つが赤(R)、1つが緑(G)、1つが青(B)の3つのカラーチャンネルを有するカラーデジタル画像であってよい。デジタルRGB画像の原色は、赤、緑、青であり得る。RGBデジタル画像は、各原色の色チャンネルを有することができる。デジタルカラー画像は、複数の画像ピクセルを含むことができ、各画像ピクセルは、原色の組み合わせで作られる。例えば、デジタルRGB画像は24ビット又は48ビットであり得る。デジタルRGB画像の各ピクセルは、2つの空間座標と3つの色値によって指定されることができる。例えば、デジタル画像はデジタルCMYKカラー画像であってよく、CMYK色空間の原色はブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトである。しかし、他の色空間も可能である。
【0028】
印刷は、印刷装置における本明細書ではドラムとも表記される転写ベルト上に画像を印刷することを含み得る。
【0029】
本明細書で使用される「プリンタ制御設定」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、印刷装置の少なくとも1つの機能を制御するための複数のパラメータを含むプリンタ制御情報を指し得る。例えば、プリンタ制御設定は、予め定義された長さの文字列を含むことができる。プリンタ制御設定は、混成情報の少なくとも1つの項目を含むことができ、これについては以下でさらに詳細に概説する。したがって、典型的には、印刷装置は、プリンタ制御設定に従って、少なくとも1つの印刷面上にテキスト及び/又は画像、文字列、ビットマップ画像、ベクトル画像、例えば少なくとも1つのプリンタ制御言語で提供されるコンピュータプログラムのうちの1つ以上を生成するように構成されてよい。特に、印刷装置、具体的には印刷装置の少なくとも1つの機能は、少なくとも1つのプリンタ制御言語、例えば1つ以上のページ記述言語(PDL)、プリンタコマンド言語(PCL)、ポストスクリプト、XML Paper仕様書などを通じて制御可能であってよい。
【0030】
本明細書で使用される「少なくとも1つの初期デジタル画像を生成する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、初期デジタル画像のピクセルの色を決定するプロセスを指し得る。本明細書で使用される「初期デジタル画像」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、マイニングの開始点として使用される任意のデジタル画像を指し得る。初期デジタル画像は、暗号ハッシュ値の少なくとも一部を初期デジタル画像のカラーピクセルの色値に変換することによって生成される。例えば、初期デジタル画像の生成は、暗号ハッシュ値の16進数の少なくとも一部をRGB色に変換して、さらなる色空間、例えばCMYK色空間に従って、顔料粒子を使用して基板上に初期デジタル画像を印刷することを含むことができる。例えば、16進数から色値への変換は、少なくとも1つの数学的アルゴリズム及び/又はルックアップテーブルなどの少なくとも1つの事前に決定された関係を使用し、例えば、www.rapidtables.com/convert/color/hex-to-rgb.html、又は「The Image-Interface:Graphical Supports for Visual Information」、Everardo Reyes-Garcia、John Wiley & Sons、2017年、ISBN 978-1-1194-7497-5に記載されているように実行され得る。
【0031】
初期デジタル画像の生成は、暗号ハッシュ値から16進数を選択することを含み得る。例えば、暗号ハッシュ値は、ブロックのヘッダに含まれているものとして使用されることができる。例えば、初期デジタル画像の最初のピクセルについては、16進数の最初の6桁が選択され、RGB色に変換される。初期デジタル画像のさらなるピクセルについては、連続して次の6桁が選択され、RGB色に変換され得る。しかし、暗号ハッシュから16進数を選択する他の実施形態が可能である。例えば、暗号ハッシュ値は、例えばソート及び/又は少なくとも1つのさらなる数学的アルゴリズムによって、処理されてよい。例えば、本方法は、初期デジタル画像の各ピクセルについて、行(rows)及び列(columns)を含むテーブルを生成することを含むことができる。各行は、初期暗号ハッシュ値の異なる処理バージョンを含むことができる。例えば、初期デジタル画像の最初のピクセルについては、最初の列の最初の6行の数字が選択され得る。初期デジタル画像のさらなるピクセルについては、連続して次の行及び/又は列が選択され得る。
【0032】
初期デジタル画像の生成は、暗号ハッシュ値の16進数を有意な光学的差異のRGB色に変換することを含み得る。本明細書で使用される「有意な光学的差異」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。例えば、暗号ハッシュ値の16進数から有意な光学的差異のRGB色への変換は、予め定義されたルックアップテーブル(例示的に4ビット色空間に対して行われる)に従って行われることができる:
【0033】
【表2】
【0034】
RGB色空間は24ビット色空間であってよい。RGBカラーパレットは、(2色を含み得る。有意な光学的差異を達成するために、2つの16進数のみが、それぞれのRGB色を定義するために使用され得る。
【0035】
暗号ハッシュ値は、基板上に印刷する前に、初期デジタル画像のピクセルのサイズ及び/又は形状を定義するために、使用されることができる。暗号ハッシュ値の16進数は、好ましくは、ピクセルあたりのカラードットの量を定義するために使用される。暗号ハッシュ値の16進数は、ピクセルあたりのカラードットの量を定義するために使用され得る。上記で概説したように、本方法は、初期デジタル画像の各ピクセルに対して、行及び列を含むテーブルを生成することを含んでよい。各行は、初期暗号ハッシュ値の異なる処理バージョンを含んでよい。例えば、初期デジタル画像の第1のピクセルのサイズは、第1の列の7番目の行によって定義され得る。初期デジタル画像のさらなるピクセルについては、連続して次の7番目の行及び/又は列が選択され得る。ピクセルの形状は、暗号ハッシュ値の一部によって定義され得る。例えば、7番目の行も形状に使用されてよく、及び/又は別の行が形状を定義するために使用されてよい。例えば、ピクセルは、0~4の数字に対しては円形状、5~8の数字に対しては三角形状、9~Bの数字に対しては正方形状、及び/又はC~Fの数字に対しては菱形状であってよい。ただし、他の実施形態も可能である。本方法は、ピクセルを2次形式に配置することを含んでいてよい。各ピクセルのエリアサイズは、10mm×10mm、好ましくは3mm×3mmに設定されることができる。
【0036】
本明細書で使用される「タスクデジタル画像」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、暗号パズルとして使用される任意のデジタル画像を指し得る。タスクデジタル画像は、初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを含む。タスクデジタル画像のカラーピクセルは、同一又は異なる色値を有することができる。初期デジタル画像及び/又はタスクデジタル画像のカラーピクセルは、RGB色空間のカラーピクセルであってよい。
【0037】
タスクデジタル画像は、初期デジタル画像の生成に使用された以外の暗号ハッシュ値の少なくとも一部を、カラーピクセルの少なくとも1つの色値に変換することによって生成されることができる。暗号ハッシュ値の少なくとも一部をタスクデジタル画像のピクセルの色値に変換することに関しては、初期デジタル画像の生成を参照されたい。しかし、タスクデジタル画像については、初期デジタル画像用以外の暗号ハッシュ値の一部が使用され得る。ただし、他の色空間も可能であり得る。例えば、ナンスをマイニングするために、まずタスクデジタル画像のRGB色を自動的に定義することができる。このために、例えば、前のブロックの暗号ハッシュの最後の24ビットが取得され得る。
【0038】
追加的に又は代替的に、タスクデジタル画像は、少なくとも1つのランダムアルゴリズムを使用することによって生成されることができる。このようなランダムアルゴリズムは、一般に当業者に知られている。ランダムアルゴリズムによって生成された16進数などの乱数は、色値に変換され得る。16進数から色値への変換は、少なくとも1つの数学的アルゴリズム、及び/又は、例えば「カラールックアップテーブルを使用した画像パフォーマンスの向上(Improving Image Performance by Using Color Lookup Tables)」,アドビ開発者サポート、テクニカルノート#5121,1992年3月31日、又はhttps://www.rgbtohex.net/hextorgb/に記載されているようなルックアップテーブルのような少なくとも1つの予め決定された関係を使用して、実行されてよい。
【0039】
追加的に又は代替的に、タスクデジタル画像は、追加されるブロック又は前のブロックなどのブロックのトランザクションのデジタル情報を変換することによって、色値、例えばRGB色又はCMYK色で提供されてよい。
【0040】
トランザクションは、支払い、ライセンス、注文、請求書などの金融トランザクション、及び/又は、配送、保管記録、旅行記録などの物流トランザクション、及び/又は、非代替トークン、計画に関するトランザクション、及び/又は、税務申告、及び/又は、契約、及び/又は、個人の健康情報などを含み得る。本明細書で使用される「トランザクションのデジタル情報」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの取引(トランザクション)を記述するデータ(取引データとも呼ばれる)を指し得る。取引データは、取引の時間、取引の数値、取引のテキスト、取引のデジタル写真、取引のテキスト、取引のデジタル画像などのうちの1つ以上に関する情報を含んでよい。取引データはバイナリ形式で提供されてよい。
【0041】
本明細書で使用される「マイニングプリンタ制御設定」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、初期デジタル画像からタスクデジタル画像を生成するために使用されると想定されるプリンタ制御設定を指し得る。マイニングプリンタ制御設定は、特にステップiv)を繰り返すときに繰り返し選択されることができる。ただし、ステップi)において異なる暗号ハッシュ値を使用する場合、例えば後続のブロックに対して方法を繰り返す場合、ステップiv)~v)において既に選択及び使用された同じマイニングプリンタ制御設定が、使用されることができる。例えば、マイニングプリンタ制御設定は、ピクセル単位で、及び/又はピクセルのグループに対して色を調整するように選択されてよい。例えば、マイニングプリンタ制御設定は、文字列を含むことができ、ここで、数字などの文字列の文字は、繰り返し変更されてよく、例えば、文字列の数字は、次のマイニングプリンタ制御設定を選択するときに、例えば番号は1つずつ増加されてよい。マイニングプリンタ制御設定は、少なくとも1つのクラウドサービス、ブロックチェーンネットワークのノードの少なくとも1つの処理装置などのうちの1つ以上によって選択されてよい。例えば、ノードの各々は、マイニングプリンタ制御設定を選択するように構成されたソフトウェアプログラムを実行するように構成されてよい。例えば、マイニングプリンタ制御設定を定義するための入力は、乱数発生器を使用することによって、及び/又は少なくとも1つの事前に定義されたアルゴリズムを使用することによって提供されてよい。例えば、マイニングプリンタ制御設定は、ランダムに選択された32ビットのマイニングプリンタ制御設定ナンバーの16進数を、例えば段階的に、例えば9(例えば、e34a701b5であるマイニングプリンタ制御設定ナンバーをe34a701beであるさらなるプリンタ制御設定ナンバーまで増加させる)であってもよい定数だけ増加させることによって提供されてよい。
【0042】
本発明が提案するマイニングは、ブロックヘッダの暗号ハッシュ値を使用することによって生成された初期デジタル画像をタスクデジタル画像に転送するマイニングプリンタ制御設定を見つけることに関する。特に、ナンスのマイニングプロセスは、CMYK色空間の4色の強度を変更することに関する。これにより、強度は、印刷に使用される色空間の各色のカラードットのサイズ及びカラードット間の距離を定義することができる。これにより、転写ベルト又はイメージローラ上の初期RGB画像の顔料ピクセルの光学的外観を変化することができる。二次色空間の各色の強度は、32ビットナンスの構造が{CC-MM-YY-KK}であることを意味する0~255から変化させることができ、これはターゲットピクセルカラーが達成される限り、プリンタ制御によって変化させることができる。
【0043】
マイナーは、初期デジタル画像をタスクデジタル画像に変換するマイニングプリンタ制御設定ナンバー(nonce)の発見を競う。初期デジタル画像をタスクデジタル画像に変換するマイニングプリンタ制御設定を最初に見つけたマイナーに報酬が与えられる。他のマイナーは、マイニングプリンタ制御設定をチェックすることができる。他のマイナーも同じマイニングデジタル画像を生成し、この方法でナンスを検証することができる。エラー許容範囲外にあるすべてのマイニングプリンタ制御設定は拒否される。エラー許容範囲内にあるマイニングプリンタ制御設定はすべて受け入れられる。したがって、最初にそれを見つけた者がブロックをチェーンに追加し、暗号コインの報酬を得ることができる。マイニングされた暗号通貨ユニットに基づく報酬とトランザクション手数料は、ビットコインのマイニングと同じであり得る。しかし、本発明は、計算能力の代わりにプリンタの能力を、電力の代わりに顔料を提案する。印刷装置は、マイニングコンピュータとしてブロックチェーンネットワークに実装されることができ、特にそれらは同じ機能を果たすことができる。
【0044】
フィールド「ビット」、例えば32ビット「ビット」は、印刷される初期デジタル画像のピクセル数及び/又はタスクデジタル画像のピクセル数を定義することができる。また、フィールド「ビット」、例えば32ビット「ビット」は、ターゲットデジタル画像のピクセル数を定義するために使用されることもできる。例えば、最初の16ビットは、印刷される初期デジタル画像のピクセル数を定義するために使用されることができる。第2の16ビットは、タスクデジタル画像のピクセル数を定義するために使用されることができる。フィールド「ビット」は、マイニング難易度を定義することができる。
【0045】
マイニングデジタル画像は、初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有する。マイニングデジタル画像のカラーピクセルは、CMYK又はRGB色空間のカラーピクセルであってもよい。24ビットのRGB色空間において、マイニングデジタル画像と初期デジタル画像との間のカラーコードの差は、1ピクセルについて、RGB色空間の3色のうちの1色について1(例えば、初期デジタル画像とマイニングデジタル画像のピクセルのカラーコードは同じであるが、1ピクセルについて、マイニングデジタル画像のカラーコードは4472C5であり、初期デジタル画像の同じピクセルのカラーコードは4472C4である)であってよい。
【0046】
本明細書で使用される「マイニングデジタル画像」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混成及び/又は混合することにより、印刷装置を使用して初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、生成されるデジタル画像を指し得る。印刷は、基板への印刷を含むことができる。混成は、顔料を定義された方法で混合し、それによって混成物を生成する少なくとも1つのプロセスを含んでよい。印刷装置は、混成装置として使用されるように構成され得る。具体的には、印刷装置は混成情報の少なくとも1つの項目を受信し、及びデジタル画像を生成するように構成される。印刷装置は、具体的には、混成情報の少なくとも1つの項目に従って少なくとも2つの材料を少なくとも1つの基板上に混成するように構成され得る。特に、印刷装置は、混成情報の項目に従って少なくとも2つの材料を混成し、それによって、例えば混成物を受けるための基板上に混成物を生成するように構成され得る。印刷装置の実施形態に関しては、WO2021/001147が参照され、その全内容が参照により本明細書に含まれる。
【0047】
本明細書で使用される「材料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、化学元素又は化学化合物、具体的には他の化学元素又は化学化合物と混合することが可能な化学元素又は化学化合物を指し得る。材料は、具体的には、流し込むのに適しているものであり得る。材料は、一般に、固体状態、具体的には粒状の固体状態、液体状態、又は気体状態のうちの1つ以上であることができる。具体的には、材料は、粉末もしくは液体のうちの少なくとも1つであってよく、又は粉末もしくは液体のうちの少なくとも1つを含んでよい。材料は、均質な単体の材料であってよい。あるいは、材料はまた、均質又は不均質に混合される複数の構成要素を含むことができる。したがって、材料は、混合物又はそれ自体複合物であることができる。一例として、材料は、液体であってよく、又は液体を含んでよく、液体は、一例として、少なくとも1つの溶媒と、少なくとも1つの溶媒中に溶解、乳化、又は分散された少なくとも1つの化学化合物とを含む。溶媒は、材料の一部を形成することができ、又は、代替的に、少なくとも1つの化学化合物を材料と見なすことができ、一方、溶媒は、単に材料に対する補助剤又は添加剤であると見なすことができる。
【0048】
本明細書で使用される「混成」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも2つの材料を定義された方法で混合し、それによって混成物を作成するプロセスを指し得る。混成と混合という用語は、本明細書では互換可能に使用される。混成物を生成するプロセスは、少なくとも2つの材料の温度変化又は温度処理などのさらなるステップを含むことができる。混合は、少なくとも2つの材料の性質に応じて、様々な方法で行われる。一例として、少なくとも2つの材料が粉末を含む場合、混合は、混合物を攪拌するオプションも含めて、粉末を共通の容器に共分注させるか、続いて分注することを含むことができる。追加的に又は代替的に、少なくとも2つの材料が液体を含む場合、混合は、混合物を攪拌するオプションも含めて、液体を共通の容器に共分注させるか、続いて分注することを含むことができる。追加的に又は代替的に、以下でさらに詳しく説明するように、混合は、印刷プロセス、例えば共通の基板上への、例えば少なくとも2つの材料のインクジェット印刷を含むことができる。追加的に又は代替的に、混成は、少なくとも2つの材料の他の種類の混合プロセス、例えば、少なくとも1つの共通の基板上で少なくとも2つの材料を混合することを含んでよい。一例として、混成は、例えば共通の基板上への、例えば静電気を帯びた表面上への少なくとも2つの材料の静電析出など、1つ以上の静電析出プロセスを含んでよい。したがって、具体的には、混成及び/又は混合は、印刷プロセスにおける静電析出を含むことができる。例えば、混成及び/又は混合は、静電気中和された表面上への少なくとも2つの静電気帯電した材料の、印刷プロセスにおける静電析出を含むことができる。したがって、材料は混合され、それによって少なくとも一時的にそれらの電荷を変化させることができる。具体的には、混成及び/又は混合は、レーザプリンタで典型的に行われるプロセスなど、レーザプリントプロセスにおける静電析出を含むことができる。特に、少なくとも2つの材料、例えば顔料は、例えば最初に静電的に帯電され、例えばレーザ及び/又はLEDを使用することによって特定の領域が静電的に中和されている等しく帯電したイメージロール上に堆積され得る。これらの堆積された材料は、一例として、その後、逆帯電した紙によってなどの逆帯電した基板によって、イメージロールから引き出され、及び/又は除去され得る。
【0049】
混成は、材料を変化させないままでもよく、又は、材料の性質を完全にもしくは部分的に変化させてもよい。したがって、一例として、材料は、化学的な変化を伴わずに単に混合されることがある。追加的に又は代替的に、材料は混合され、それによってその化学的性質を変化することがある。後者は特に、材料が溶媒を含んでいて、混成中又はその後に、完全に又は部分的に蒸発する場合に起こる可能性がある。また、追加的又は代替的に、材料は互いに完全に又は部分的に反応し、それによって少なくとも1つの反応生成物が生成されることがある。
【0050】
本明細書で使用される「混成物(blend)」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも2つの材料の混合物を指し得る。混合物は、具体的には、少なくとも1つの容器(receptacle)内及び/又は少なくとも1つの基板上に存在することができる。混合物は、一般に、固体状態、具体的には粒状の固体状態、液体状態、又は気体状態のうちの1つ以上であり得る。具体的には、混合物は、粉末もしくは液体のうちの少なくとも1つであってよく、又はそれを含んでよい。混合物は、材料と同じ状態であってよく、又は異なる状態であってもよい。一例として、材料のうちの少なくとも1つは液体状態であってよく、混合物はまた、固体状態(これは、例えば乾燥プロセス後の場合であり得る)であってよい。したがって、一例として、少なくとも2つの材料を、混成プロセスにおいて、液体状態で混合することができ、その後、乾燥を行うことができ、それによって少なくとも1つの溶媒を蒸発させ、及び/又は、それによって混合された材料の化学的性質を変化させることができる。一例として、混合プロセスは、液体状態にある少なくとも2つの材料を少なくとも1つの基板上へ印刷し、それに続いて乾燥又は凝固プロセスを行うことを含むことができ、したがって、混成物は、乾燥又は固体状態であり得る。他の例は、混合後の材料の硬化又は固体化などの相変化プロセスを含むことができる。
【0051】
本明細書で使用される「混成情報の項目」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、定義された混成プロセスを記述する情報の少なくとも1つの項目を指し得る。混成情報の少なくとも1つの項目は、少なくとも2つの材料が混合される方法など、混成プロセス自体、例えば混合プロセスのプロセスパラメータ、を指し得る。追加的に又は代替的に、混成情報の少なくとも1つの項目は、混成のための材料、例えば混成プロセスにおいて混合される量、例えば材料の質量又は体積、を指し得る。
【0052】
本明細書で使用される「混成装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、上述した混成プロセスを実行するように構成された装置を指し得る。具体的には、以下にさらに詳細に概説するように、混成装置は、材料の各々に対してフィード又はリザーバの少なくとも1つを備えることができる。混成装置はまた、ノズル、攪拌装置、プリンタ、混合器などの少なくとも1つなど、少なくとも1つの混成要素を備えることができる。
【0053】
したがって、本明細書で使用される用語「混成物」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも2つの材料の混合物を指し得る。混成物は、具体的には、基板上又は容器内に存在することができる。混成物は、具体的には、有限の量の材料を含むことができる。
【0054】
マイニングデジタル画像の生成は、少なくとも1つの検出器を使用することによって混成物の少なくとも1つの材料特性を検出することを含んでよい。本明細書で使用される「材料特性」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、混成物などの材料の任意の特性を指し得る。特性は、具体的には、物理的特性、化学的特性、又は生物学的特性のうちの1つ以上を指し得る。具体的には、材料特性は、材料の機械特性又は光学特性のうちの少なくとも1つを含むことができる。材料特性は、具体的には、それぞれの材料の測定可能な特性を指し得る。より具体的には、少なくとも1つの材料特性は、混成物の少なくとも1つの色であってよく、又はそれを含んでいてよい。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの特性は、混成物の比密度;混成物の体積;混成物の質量;混成物の光学特性;混成物のスペクトル組成、具体的には混成物の色スペクトル;混成物の色強度;混成物の粘度からなる群から選択される。他の材料特性を代替的又は追加的に使用することもできる。
【0055】
混成物の少なくとも1つの材料特性を具体的に検出するステップは、具体的には、材料特性に関する測定情報の少なくとも1つの項目を生成することを含んでよい。したがって、測定情報の少なくとも1つの項目は、一般に、少なくとも1つの材料特性の測定結果、例えば、混成物の少なくとも1つの材料特性を示す、又は混成物の少なくとも1つの材料特性の特徴である、少なくとも1つの数値測定値、を指し得る。したがって、一例として、測定情報の少なくとも1つの項目は、以下の情報項目:混成物の比密度測定値;混成物の体積測定値;混成物の質量測定値;混成物の光学特性測定値;混成物の色測定値;混成物のスペクトル組成測定値、具体的には混成物の色スペクトル測定値;混成物の色強度測定値;混成物の粘度測定値;のうちの少なくとも1つを含むことができる。これらの測定値(一例としてそれぞれ)は、分布、スペクトルなどの単一の数値又は複数の数値であり得るか、又はそれらを含んでよい。具体的には、測定情報の少なくとも1つの項目は、デジタル値などの少なくとも1つの数値であってよく、又はそれを含んでよい。
【0056】
本明細書で使用される「検出する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、特性又は測定可能な変数についての情報を生成するプロセスを指し得、定性的及び/又は定量的な情報は取り出すことができる。この用語は、具体的には、物理的物体の少なくとも1つの測定可能な変数を測定するプロセスを指し得る。したがって、本明細書で使用される「検出器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、物体の少なくとも1つの測定可能な変数を測定するための少なくとも1つのセンサを有する装置など、検出プロセスを実行するように構成された任意の装置を指し得る。一例として、センサは、質量センサ、具体的には質量計;体積センサ;密度センサ;色センサ;粒径分布センサ;のうちの1つ以上を含むことができる。他のセンサを代替的又は付加的に使用することもできる。
【0057】
混成情報の少なくとも1つの項目は、具体的には、n個の混成変数を含むことができ、nは正の整数を示す。本明細書で使用される「混成変数(blending variable)」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、混成の少なくとも1つの態様又はパラメータを定量的又は定性的に記述する変数を指し得る。一例として、混成変数は、混合物などに対する数量又は材料ストリームなどの混成プロセスの検出をするための少なくとも2つの材料を指し得る。さらに、混成物のm個の材料特性を検出することができ、mは正の整数である。具体的には、検出される材料特性の数mは、混成変数の数nと同じか又はそれより大きいことがあり得る。言い換えれば、好ましくはm≧nである。さらに言い換えれば、具体的には、検出によって生成される情報は、混成物の生成に使用される情報と少なくとも同じ大きさでよく、ここで「情報」という用語は、それぞれ数n及びmを指し得、及び/又は一般的に、自由度数、及び/又はそれぞれlog nもしくはlog mなどの自由度の対数を指し得る。
【0058】
混成される少なくとも2つの材料は、具体的に、異なる材料であってよく、具体的には、化学的性質、具体的には化学組成;光学的性質、具体的には色、透明度、輝きの1つ以上のような光学的外観;機械的性質、具体的には粒度、粒径、密度、粘性又は流動性の1つ以上;静電気帯電性;圧縮性;結晶性;粒子形状からなる群から選択される少なくとも1つの性質に関して異なる材料である。さらに、追加的又は代替的に、他の特性を使用することができる。
【0059】
少なくとも2つの材料は、具体的には、バルク材料及び/又はルース材料を含むことができる。少なくとも2つの材料は、それぞれ独立して、固体材料、気体材料、及び液体材料からなる群から選択されることができる。より具体的には、少なくとも2つの材料は、独立して、
- 粉末、具体的には
○ 無機粉末、具体的には鉱物から作られた無機粉末と;
○ 有機粉末、具体的にはポリマーから作られた有機粉末と;
○ 顔料と;
○ トナーパウダー、
からなる群から選択される粉末と、
- 液体、具体的には純粋な液体、懸濁液、乳濁液、又は溶液からなる群から選択される液体、より具体的には液体染料及びインクのうちの1つ以上の液体と、
からなる群から選択され得、及び/又はそれらからなる群から選択される少なくとも2つの材料を含むことができる。
【0060】
材料及び顔料という用語は、本明細書では同義語として使用されることがある。したがって、顔料という用語は、色粒子、粉末、これらの粒子を含む液体を含む場合がある。顔料という用語は、純粋な顔料及び/又は少なくとも1つのポリマーコーティング、例えばスチレンアクリレートコポリマー、ポリエステル樹脂、スチレンブタジエンコポリマー、又は同様のポリマーを有する顔料を含むことができる。具体的には、顔料という用語は、トナーパウダーを指し得る。本発明の文脈では、任意の適切な顔料を使用することができる。また、本発明の文脈では、例えば1つ以上の顔料又は1つ以上の顔料のトナーパウダーの混合物を使用することも可能である。
【0061】
本発明の文脈では、使用される顔料の量は変化し得る。好ましくは、使用される顔料の量は、10-15g/cm~1g/cmの範囲、より好ましくは10-9g/cm~10-3g/cmの範囲である。
【0062】
好ましくは、使用される顔料の粒径は、10ナノメートルから1ミリメートルの範囲、好ましくは、特に、100ナノメートルから100マイクロメートルの範囲である。
【0063】
好ましくは、適切な顔料は、無機材料から、好ましくは金属酸化物、金属酸化物、好ましくは天然由来の金属酸化物から選択される。適切なものは、例えば、酸化鉄から選択される顔料であってよい。酸化鉄顔料は、太陽光への曝露による色の変化に抵抗し、良好な耐薬品性を有し、通常の周囲条件下で安定な、比較的低コストの材料である。酸化鉄は、材料がリサイクル及び再利用が容易であるため、特に適していることが判明している。例えば、酸化鉄顔料を回収し、鉄鋼生産の原料として使用することで、使用済み顔料を廃棄物として廃棄することを回避することにつながる。
【0064】
適切な酸化鉄は天然顔料としても利用できる。適切な赤色顔料はヘマタイトから得られ、黄色や茶色の顔料(オークル、シエラ、アンバーなど)は褐鉄鉱から得られ、黒色酸化鉄顔料はマグネタイトから提供され得る。さらに、合成顔料、特に酸化鉄のような金属酸化物は、粒径、分布及び形状などの制御された条件下で製造され、優れた均一性がもたらされ、本発明に従って色品質及び化学純度を改善するために使用され得る。
【0065】
例えば、天然由来の顔料、例えば植物、動物、及び鉱物からの有機材料などの天然有機材料から選択される顔料は、本発明の方法に適している。合成有機材料から選択される顔料、例えばアゾ顔料なども適している。適切な鉱物顔料は、例えばオークル、シエナ、アズライト、コバルト、ウルトラマリンである。また、スピネルも使用されることができる。オークルは、通常、鉄鉱石又は含鉄粘土から得られる赤色又は黄色である。シエナは褐鉄鉱粘土の一種で、酸化第二鉄から得られ、濃厚な赤色を生じる。アズライトは、銅鉱床の上部の酸化した部分で見つかる。ウルトラマリンは、ラピスラズリから得られるか、又は人工的に製造されることができる。スピネルは、イエロー、オレンジ、ターコイズ、ブルーがある。さらなる例として、カルミンレイクナチュラルレッド4(コチニール)、ナチュラルイエロー3レイク(植物由来)、マダーレイクナチュラルレッド9(アカネ根)、インディゴレイクナチュラルブルー2(ウォード)、クロロフィリングリーンレイク(植物体)、植物又は骨黒、チタンホワイト、酸化鉄、タルク、チョーク、カオリン、その他の土顔料が挙げられる。
【0066】
本発明のさらなる実施形態によれば、使用される顔料の、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは30%、最も好ましくは40%が、天然由来、すなわち石油化学産業の製品以外の天然物から、簡単な分離又は精製ステップによって得られるべきである。
【0067】
本発明の文脈では、顔料という用語は、UV光下で可視である顔料をも含む。エコトレインのラベルで入手可能なクラリアント社の顔料、例えば、Novoperm Yellow HR 72、Hostaperm Blue B2G 03、Hostaperm Green GNX 01、Hansa Brilliant Yellow 2GX 72-S、Hostaperm Yellow H3G EDW VP 5131、https://www.clariant.com/de/Solutions/Products/2014/10/14/10/39/Novoperm-Orange-HL-71 "Novoperm Orange HL 71、Hostaperm Blue B2G-EDS VP 3491の群から選択される顔料など、持続可能で環境に優しい材料を使用することができる。
【0068】
本発明の文脈では、例えば吸収顔料、金属効果顔料、及び真珠光沢顔料のような効果顔料を使用することも可能である。金属効果顔料(metal effect pigments)又は金属効果顔料(metallic effect pigments)は、通常、アルミニウム、銅、銅-亜鉛合金、亜鉛及び他の金属のフレーク又はプレートレットからなる。適切な真珠光沢顔料は、例えば雲母ベースの顔料であるが、シリカ又はアルミナフレークをベースとする顔料もある。例えば、TiO又は酸化鉄などの金属酸化物の薄膜でコーティングされた天然マイカの顔料が適切である。さらに、シリカフレーク(SiO)に基づく顔料又はアルミナ(Al)に基づく顔料を本発明の文脈で使用することができる。適切な基板を含まない真珠光沢顔料は、例えば天然真珠エッセンス、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、雲母質酸化鉄及びTiOフレークである。
【0069】
特に、「天然顔料」など、化学合成を行うためのエネルギー投入を必要としない上述の顔料が使用される場合、エネルギー消費量は増やされ得る。プリンタで天然顔料を使用すると、ビットコインブロックチェーン技術に関する公開データと比較して、電気エネルギー消費を、99%削減できる可能性がある(上記刊行物を参照)。このように、本発明は、電気エネルギーのほとんどが再生可能エネルギー源からではないため、コスト及びCO排出量の削減に大きく貢献する。
【0070】
少なくとも2つの材料の混成は、少なくとも1つの混成情報の項目に従って実行され得る。混成情報の少なくとも1つの項目は、具体的には:混成される少なくとも2つの材料の量;混成される少なくとも2つの材料の質量;混成される少なくとも2つの材料の体積;混成される少なくとも2つの材料の体積の混成比;混成される少なくとも2つの材料の質量の混成比;混成される少なくとも2つの材料の2つ以上の連続的又は非連続的なストリームを混合するための混合命令;混成される少なくとも2つの材料を混成するための印刷命令、例えば、異なる傾きのラスター画像(例えば、プリンタのラスター画像プロセッサ(RIP)によって生成されたラスター画像)を使用して混成される少なくとも2つの材料を混成するための傾き情報、のうちの少なくとも1つを含むことができる。さらに、追加的又は代替的に、他のタイプの混成情報を使用することもできる。
【0071】
少なくとも2つの材料は、混成装置に連続的又は不連続的に供給されることができる。したがって、一例として、混成装置は、混成される少なくとも2つの材料のための少なくとも2つのリザーバを含んでいてよい。しかし、追加的又は代替的に、少なくとも1つの混成装置に材料を供給する他の手段も可能である。したがって、一例として、少なくとも1つの材料のために少なくとも1つのリザーバを使用することに加えて、又は代替的に、連続供給も可能である。
【0072】
混成装置は、混成物を受け取るための少なくとも1つの受取要素をさらに備えることができる。本明細書で使用される「受取要素」という用語は、一般に、混成物を受け取るように構成された任意の要素を指し得る。受取要素は、具体的には、混成物を受け取るための少なくとも1つの受取表面及び/又は少なくとも1つの受取材料を有することができる。したがって、一例として、少なくとも1つの受取要素は、具体的には、混成物を受け取るための受取容器;混成物を受け取るための基板、からなる群から選択される少なくとも1つの要素を含むことができる。少なくとも1つの受取要素は、固定された受取要素であってよく、及び/又は回転可能な受取要素のような動く受取要素であってもよい。例として、受取要素は、少なくとも1つの基板、例えば、平面的な基板表面であってよく、もしくはそれを含んでいてよい少なくとも1つの基板表面、及び/又は湾曲した基板表面であってよく、もしくはそれを含んでいてよい少なくとも1つの基板表面を有する基板を含んでいてよい。一例として、受取要素は、回転ドラムなど、混成物を受け取るための受取表面を有する少なくとも1つのドラムを備えていてよい。混成物は、混成装置を使用することによって、具体的には、回転ドラムに直接又は間接的に堆積させることができる。一例として、混成物が例えば静電的に一時的に固定されるドラムが使用されてよい。このような静電ドラムは、印刷、例えばレーザプリントの技術分野で一般に知られている。
【0073】
受取要素が少なくとも1つのドラムを含んでいる場合、ドラムは具体的には回転ドラムであってよい。そこで、本方法は、少なくとも1つの材料特性を検出した後、混成物が具体的にはドラムの受取表面から除去され得る、少なくとも1つの洗浄ステップをさらに含んでよい。一例として、粉末及び/又は顔料は、回転ドラム上に分配され、一例として、静電気力によって回転ドラムの表面に一時的に固定され得る。回転ドラムの表面に混成物を固定している間に、表面上の混成物の少なくとも1つの材料特性が、例えば光学的読み取りによって、検出され得る。一例として、また以下にさらに詳細に概説するように、色が検出され、その後、一例として、2進数の行などのバイナリ情報に変換されてよい。その後、ドラムは、例えば、ドラムを90°回転させることによって、洗浄位置に回転することによって、洗浄され得る。
【0074】
同様の手順が、任意に、静電気による固定を伴わずに、インクジェット印刷を使用することによって、ドラムの表面に、及び/又は紙の基板などの移動する基板に直接印刷を実行することもできる。ドラムは、少なくとも1つの特性を検出した後、再使用するために洗浄され得る。したがって、一例として、混成装置は、少なくとも1つのインクジェットプリンタを備えることができる。材料は、少なくとも1つの受取要素上への、例えば少なくとも1つの回転ドラム上及び/又は少なくとも1つの基板上への、材料(液体材料であってよく又はそれを含んでよい)のインクジェット印刷であってよく又はそれを含んでよい。その後、例えば光学的読み取りにより、少なくとも1つの光学特性の検出など、少なくとも1つの材料特性の検出が行われる得る。また、一例として、色が検出され得、その後、一例として、2進数の行などのバイナリ情報に変換されてよい。その後、ドラムは、例えば、ドラムを90°回転させることによって、洗浄位置に回転することによって、洗浄され得る。追加的に又は代替的に、少なくとも1つの受取要素を洗浄することに加えて、新しい受取要素又は受取要素の新しい部分を、例えばさらなる印刷のため、及び混成及び検出を繰り返すためなど、さらなるステップのために使用することができる。
【0075】
混成装置は、具体的には、混成物を生成するための少なくとも1つの混成要素を備えることができる。本明細書で使用される「混成要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、例えば少なくとも1つの任意の受取要素上への堆積前、堆積中、又は堆積後に、具体的には少なくとも2つの材料を混合することによって、少なくとも2つの材料を混成するように構成された任意の要素、装置、又は要素の組み合わせを指し得る。一例として、少なくとも1つの混成要素は、2つの材料のうちの少なくとも1つを連続的又は非連続的に分配するためのディスペンサ;少なくとも1つの受取要素上へ、具体的には少なくとも1つの基板上へ少なくとも2つの材料を印刷するためのプリンタ、具体的にはインクジェットプリンタ、レーザプリンタからなる群から選択される少なくとも1つのプリンタ;からなる群から選択される少なくとも1つの要素とすることができ、又はそれを含むことができる。さらに、追加的に又は代替的に、他のタイプの混成要素を使用することもできる。したがって、一例として、混成要素は、攪拌要素、ディスペンサ、ノズル、押出器のうちの少なくとも1つであってよく、又はそれを含んでよい。
【0076】
プリンタは、特に、少なくとも1つの混成情報の項目に従って少なくとも2つの材料を少なくとも1つの基板上に混成するように構成され得る。特に、プリンタは、混成情報の項目に従って、少なくとも2つの材料を混成し、それによって例えば、混成物を受け取るための基板上に混成物を生成するように構成され得る。基板は、具体的には、少なくとも1つのキャリア媒体、例えば、ガラス板又はガラスシートなどのガラスキャリア;プラスチック板又はプラスチックシートなどのプラスチックキャリア;紙シートなどの紙キャリア;キャンバスからなる群から選択されるキャリア媒体などの少なくとも1つのキャリア媒体であってよく、又はこれらを含んでいてよい。その他の基板も可能であり得る。一例として、基板は、プリンタ自体の一部であってよく、又はプリンタ内に埋め込まれていてよい。特に、プリンタによって含まれる基板は、洗浄可能な表面を有する媒体、例えばプリンタのドラム、例えば回転ドラムなどの再利用可能なキャリア媒体であってよい。
【0077】
プリンタは、少なくとも1つのパターン、具体的には少なくとも1つの干渉パターンが生成されるように、少なくとも2つの材料を混成するようにさらに構成されてよい。プリンタによって混成される少なくとも2つの材料は、特に、異なる材料であってよく、具体的には、少なくとも1つの特性に関して異なる材料であってよい。一例として、プリンタによって混成される少なくとも2つの材料は、化学的性質、具体的には化学組成;光学的性質、具体的には色、透明度、輝きの1つ以上のような光学的外観;機械的性質、具体的には粒度、粒径、密度、粘性又は流動性の1つ以上;静電気帯電性;圧縮性;結晶性;粒子形状からなる群から選択される少なくとも1つの性質に関して異なっていてよい。
【0078】
本方法は、検出された材料特性を、マイニングデジタル画像を生成するためのピクセルの色値に変換することを含んでよい。変換は、材料特性に少なくとも1つの変換アルゴリズムを適用するように構成された少なくとも1つのデータ処理装置を使用することによって実行されてよい。少なくとも1つの材料特性の色値への変換は、コンピュータ実装方式で行われてよい。したがって、少なくとも1つの材料特性の色値への変換は、少なくとも1つの変換アルゴリズムを材料特性に適用するように構成された少なくとも1つのデータ処理装置を使用することによって行われる。本明細書で使用される「データ処理装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つのプロセッサを有し、任意に少なくとも1つのデータ記憶装置を有するコンピュータ又はコンピュータシステムを指し得る。そこで、プロセッサは、一例として、コンピュータ可読命令を実行するように構成された少なくとも1つの集積回路を備えることができる。プロセッサは、追加的に又は代替的に、少なくとも1つの特定用途向け集積回路及び/又は少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイであってよく、又はこれらを備えることができる。少なくとも1つの変換アルゴリズムを適用するデータ処理装置の構成は、一例として、例えば少なくとも1つのデータ記憶装置を介して及び/又は少なくとも1つのインターフェースを介して、複数のコンピュータ可読命令をデータ処理装置に提供することによって実行されることができる。
【0079】
本明細書で使用される「プロセッサ」(処理装置とも呼ばれる)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電子装置又はシステムの基本動作を実行するように構成された任意の論理回路、及び/又は一般に、計算もしくは論理動作を実行するように構成された装置を指し得る。特に、プロセッサは、コンピュータなどの装置又はシステムを駆動する基本命令を処理するように構成されることができる。一例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理ユニット(ALU)、数学コプロセッサ又は数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給して動作結果を記憶するように構成されたレジスタ、ならびにL1及びL2キャッシュメモリなどのメモリを備えることができる。
【0080】
本明細書で使用される「アルゴリズム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、続いて及び/又は並行して実行される複数のプロセスステップを指し得る。アルゴリズムは、具体的には、少なくとも1つの入力変数に適用される1つ以上の数学的演算を含むことができる。したがって、「変換アルゴリズム」という用語は、具体的には、少なくとも1つの入力変数に適用される1つ以上の数学的演算を使用することによって材料特性を色値に変換するための変換プロセスを実行するアルゴリズムを指し得る。材料特性の色値への変換は、単一のステップ、又は複数のステップで行われてよい。
【0081】
材料特性を色値へ変換することは、具体的には、少なくとも1つの材料特性を、少なくとも1つのテスト、具体的には少なくとも1つの所定のテストに供することを含んでよい。少なくとも1つのテストは、少なくとも1つの材料特性を、例えば測定情報の少なくとも1つの項目を使用することによって、少なくとも1つの比較値、少なくとも1つの比較値範囲などと、直接又は間接的に比較することであってよく、又はそのようなことを含んでよい。他の数学的テストは一般的に可能であり、また適用されることもできる。少なくとも1つのテストの結果に従って、RGB値を生成することができる。材料特性を色値に変換することは、具体的には、材料特性を表す測定情報の少なくとも1つの項目を使用するオプションを含めて、少なくとも1つの材料特性を、少なくとも1つの閾値と比較することを含むことができる。この比較の結果に応じて、各原色について、少なくとも1つの数値が材料特性に割り当てられ得る。
【0082】
好ましくは、マイニングデジタル画像は、混成物、又は混成物の少なくとも関心領域を走査、特にデジタル走査することによって生成されることができる。デジタル走査は、少なくとも1つの走査装置を使用して行われ得る。本明細書で使用される「走査装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの物体及び/又は要素、例えば混成物の少なくとも1つの特性を検出するように構成された装置を指し得る。特に、走査装置は、混成物の少なくとも1つの材料特性を検査及び/又は検出するように構成されることができる。一例として、走査装置は、混成物に関する空間的に分解された一次元、二次元、又はさらには三次元の光学情報を光学的に記録及び/又はキャプチャするように構成された少なくとも1つの走査要素を有することができる。したがって、例えば光検出のために、走査装置は、例えば、光センサなどの少なくとも1つのセンサ、具体的にはイメージセンサ、例えば少なくとも1つの感光コンデンサ、少なくとも1つの電荷結合装置(CCD)を備えることができる。走査装置は、例えば、少なくとも1つのCCDチップ及び/又は少なくとも1つのCMOSチップを備えることができる。具体的には、走査装置は、光学システムなどを使用することなどによって、混成物、例えば混成され及び/又は溶け込まされた粉末成分の光信号を検出するように構成されることができる。特に、走査装置は、例えばプリズムを使用することによって、混成物の光信号を赤色、緑色、及び青色などの原色に変換、例えば分解するように構成されることができる。走査装置は、具体的には、例えば複数の感光コンデンサを備えるセンサなどの少なくとも1つのセンサを使用することによって、原色に変換された光信号などの光信号を、少なくとも1つのデジタル画像に変換するように構成されることができる。さらに、走査装置は、混成物を照射するように構成された要素などの少なくとも1つの照射要素を備えることができ、走査装置は、混成物の反射を使用することによって、混成物の少なくとも1つの特性を検出するように構成されることができる。本明細書では、走査装置をスキャナと呼ぶこともある。走査装置は、具体的には、CCDスキャナ;CISスキャナ;カメラ;フィルムからなる群から選択される装置であってよく、又はそれを備えてよい。特に、走査装置は、少なくとも1つの光検出システムを備えることができ、光検出システムは、具体的には、光検出器、イメージセンサ、例えば光電子増倍管(PMT)、例えば入射光子を電気信号に変換する真空管、シリコン光電子増倍管(SiPM)、例えば入射光子を電気信号に変換する固体状態装置、のうちの1つ以上を備える。走査装置は、具体的には、少なくとも1つのプロセッサを備えていてよく、プロセッサは、走査装置の少なくとも1つの走査動作を制御するように構成されることができる。
【0083】
走査は、例えば、走査時の波長が10nmから1mmの範囲、好ましくは300nmから800nmの範囲の光を使用して実行されることができる。使用される光の1mあたりの光度は、好ましくは0.001 lm/mから10000000 lm/mの範囲であり、より好ましくは10 lm/mから1000000 lm/mの範囲である。
【0084】
波長スペクトルは、例えば3,000Kの色温度の光を射出する少なくとも1つのLEDライトによって設定されることができる。
【0085】
印刷されたピクセル上の光の局所的な強度は、少なくとも1つのレンズ又はレンズ系によって定義され得る。レンズ又はレンズ系は、より明るいエリア及びより暗いエリアを生成するように構成されてよい。例えば、レンズ又はレンズ系は、拡大ガラス箔を含むことができる。
【0086】
印刷装置及び混成の実施形態に関しては、WO2021/001147を参照し、全内容を参照により本明細書に組み込む。本発明は、固体粒子バルクが混合及び/又は混成される際の高いエントロピーを使用するという利点を利用する。特に、固体粒子バルクの混合及び/又は混成を行うために着色顔料を適用することは、光学原理による物理的結果を分析するための効果的な方法として見出された。特に、「プルーフ・オブ・ワーク 」のためのエネルギー消費の最も顕著な部分は、混合及び/又は混成の物理的プロセスに転送されることが提案される。プリンタ技術を適用し、プルーフ・オブ・ワークの実行に顔料を使用することで、プルーフ・オブ・ワークのエネルギー消費は1000分の1に削減できる。さらに、エネルギー消費量削減のもう1つの理由は、顔料のコスト(マイナーは報酬を得るよりも多くを顔料に費やすことはないため、スループットが低下する)によるものであり得る。
【0087】
混合粒子は物理法則に基づく方程式に従って挙動する。数値的方法に基づいてこれらの系のバルク特性を得るためには、第1に、個々の粒子のすべてのパラメータ、例えば、形状、質量、粗さ、ファンデルワールス力及び/又は静電気力などを定義する必要がある。個々の粒子のパラメータが高い費用で見つけられたとしても、第2に、バルク特性の数値計算(DEMシミュレーション)が、特に粒子が小さい場合は、未知のパラメータをさらに有する多重方程式系であるこれらの粒子間の相互作用を解決する必要がある。したがって、マイナーは、計算能力に依存しないプリンタで物理的なハッシュ処理をバイパスすることはできない。さらに、粒子数が多いという統計により、固体バルクの特性は再現可能に振る舞うが、前述のように、数値シミュレーションでは決定できない。したがって、粉末、混合器、混合が同じように行われれば(これは、最先端のカラーレーザプリンタがそうである)、同じバルク特性(密度、色など)を達成できる可能性がある。印刷装置は完全なハッシングマシンであることがわかった。本発明は、印刷と走査のプロセスを適切に操作することによって、顔料の処理を変更することを提案する。しかし、もし攻撃者が適切なカラーシミュレーションモデルを開発するために必要なすべてのバリエーションを印刷しようとする場合、プリンタと走査のプロセスを継続的に変更することが、その労力とコストを不経済なレベルまで追い込むことになるだろう。すべての可能な印刷設定を割り出すには、全世界の顔料生産量でも十分ではない。
【0088】
暗号セキュリティの例として、必要な顔料の量を9ピクセルについて例示的に計算した:まず、数十億のRGB色を、印刷装置を使用して確実に走査及びデジタル処理するために、約100の有意なカラーにクラスター化する。異なるRGB色の9つのデジタルピクセルがグループ化され、これらの9つの異なるカラードットがピクセル化によって印刷後の新しいカラードットに割り当てられ得る。そのため、各ピクセルについて100色のばらつきがあると仮定すると、ピクセルの位置がピクセル化後の新しい色に影響しないため、2.76*1014のバリエーションが生じることになる。走査される9ピクセルの各グループあたりこれらの2.76*1014のバリエーションが0.001グラムの顔料を必要とする場合、これは276,000トンを意味する。したがって、10,000トンの桁の顔料(そして、そのコストは1億から10億ユーロである!)が印刷される必要がある(我々の物理的な印刷と走査のプロセスを回避するのに十分に堅固なデジタルカラーモデルを導出するために、すべての組み合わせの3~10%が印刷され、走査され、分析されると予想して)。
【0089】
本方法は、異なる及び/又は調整可能なマイニング難易度で実行されてよい。マイニング難易度は、以下の変数:顔料色の量、初期デジタル画像のサイズ、タスクデジタル画像のサイズ、同じプリンタ制御設定についてのピクセル数、ピクセルカラー誤差許容(例えば、赤±10%)、全体誤差許容(100ピクセルのうち10ピクセルが間違っている)、ラスタリング、傾斜、モアレ効果などの1つ以上によって調整可能であってよい。例えば、本方法は、特にセキュリティをさらに高めるために、個々のピクセルのサイズを連続的に変更すること、例えば4ドットの代わりに6ドットに変更すること、及び/又はピクセル化の設定を連続的に変更すること、例えば13ピクセルに変更すること、又はさらには走査時の照射を連続的に変更することを含んでいてよい。つまり、この作業が何度も何度も行われる必要があり、攻撃者のコストをさらに増大させることになる。
【0090】
本方法は、ステップv)において、少なくとも1つの処理装置を使用することによって、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルを比較することを含む。本方法は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)からステップv)を繰り返すことを含む。
【0091】
マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルの比較は、ピクセル単位で行うことができる。マイニングデジタル画像及びタスクデジタル画像のカラーピクセルの比較は、ピクセル化によってマイニングデジタル画像又は/及びタスクデジタル画像のカラーピクセルをグループ化した後に実行されてよい。具体的には、本方法は、マイニングデジタル画像及び/又はタスクデジタル画像をピクセル化することを含んでいてよい。ピクセル化することは、マイニングデジタル画像及び/又はタスクデジタル画像をピクセルに、特に予め定義された数のピクセルに分割することを含んでよい。例えば、マイニングデジタル画像の予め定義されたピクセル数は、タスクデジタル画像のピクセル数に対応し得る。例えば、予め定義されたピクセル数は、マイニング難易度に依存し得る。
【0092】
この方法は、カラーピクセルを例えば16進数又は2進数に変換することによって、ピクセル化されたマイニングデジタル画像のカラーコードを決定することを含んでよい。例えば、色値を16進数への変換することは、例えば、www.farben-umrechnen.de又は「画像インターフェース:視覚情報のグラフィカルサポート(The Image-Interface:Graphical Supports for Visual Information)」、Everardo Reyes-Garcia、John Wiley & Sons、2017年、ISBN 978-1-1194-7497-5に記載されているような、少なくとも1つの数学的アルゴリズム及び/又はルックアップテーブルのような少なくとも1つの予め決定された関係を使用して実行されてよい。16進数は、少なくとも1つの数学的アルゴリズム、及び/又は、例えば「カラールックアップテーブルを使用した画像パフォーマンスの向上(Improving Image Performance by Using Color Lookup Tables)」,アドビ開発者サポート、テクニカルノート#5121,1992年3月31日又はhttps://www.rgbtohex.net/hextorgb/に記載されているようなルックアップテーブルのような少なくとも1つの予め決定された関係を使用することによって、第1デジタルRGB画像のバイナリコードにさらに変換されてよい。
【0093】
マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルを比較することは、ピクセル化されたマイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーコードを比較することを含んでよい。比較は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像とが、少なくとも予め定義されたピクセルカラー許容範囲内で同一であるかどうかを決定することを含んでよい。マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像は、ピクセルの色の各々について±30%、好ましくはピクセルの色の各々について±10%、より好ましくはピクセルの色の各々について±3%のピクセルカラー誤差許容範囲内で同一であると見なされることができる。追加的に又は代替的に、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像の全体の一致を決定することができる。マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像は、逸脱したピクセルが10%、好ましくは逸脱したピクセルが5%、より好ましくは逸脱したピクセルが1%で全体誤差許容範囲内で同一であると見なされることができる。比較は、ノードの処理装置、例えば印刷装置によって実行され得る。
【0094】
本方法は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像とが少なくとも予め定義された許容範囲内で同一であるかどうかをネットワークの他のノードによって判定することを含んでいてよい。本方法を実行するノードのピクセルカラー誤差許容範囲は、他のノードの予め定義された許容範囲と比較して、より狭い場合がある。これにより、印刷装置の精度が逸脱していても、見つけられたマイニングプリンタ制御マイニングプリンタ制御設定が許容範囲内で正しいことを他の各ノードによって確認することができる。より大きな誤差許容範囲は、ノードの印刷装置が通常互いに比較して同一には動作しないことを考慮することができる。プリンタ制御設定ナンバーが複数の他のノード、例えば10以上の異なる他のノードによって検証された場合、プルーフ・オブ・ワークが正しく、定義された量のトークンがノードのウォレットに転送されることができる。
【0095】
本方法は、少なくとも1つの較正を含むことができる。使用される色空間の原色など、予め指定された複数のカラーフィールドが、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像に加えて提供されてよく、マイニングデジタル画像と共に印刷されてよい。これにより、走査結果の較正が可能になり得る。
【0096】
本方法は、ハッシュレートで実行されてよい。例えば、最大ハッシュレートは、1TH/s(100万台のプリンタが毎秒100万ピクセルを印刷する)であってよい。
【0097】
本方法は、ブロックバージョン番号、前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、ブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、時間、ビット、及びナンスに関する情報を含む後続ブロックのヘッダを生成することを含んでよい。ナンスは、初期デジタル画像をタスクデジタル画像に転送するとして発見されたマイニングプリンタ制御設定であってよい。
【0098】
上記で概説したように、本明細書で開示されるプルーフ・オブ・ワークの方法は、少なくとも1つのコンピュータ又はコンピュータネットワークによって完全又は部分的にコンピュータ実装されることができる。ステップi)からv)は、部分的にコンピュータに実装されるか、又はコンピュータにサポートされることもできる。その結果、本発明はまた、コンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムがコンピュータ又はコンピュータネットワーク上で実行されるときに、本明細書に包含される1つ以上の実施形態で本発明によるプルーフ・オブ・ワークのための方法を完全又は部分的に実行又はサポートするための、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム及びコンピュータプログラム製品も開示する。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データキャリア及び/又はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されていてよい。本明細書で使用される「コンピュータ可読データキャリア」及び「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、その上にコンピュータ実行可能な命令を記憶したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指し得る。コンピュータ可読データキャリア又は記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、又はそれらを含んでいてよい。
【0099】
ステップii)は、複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像を生成することを含んでよい。初期デジタル画像は、暗号ハッシュ値の少なくとも一部をカラーピクセルの色値に変換することによって生成されることができる。
【0100】
ステップiii)は、少なくとも1つのさらなるカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるタスクデジタル画像を生成すること、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルを使用することを含むことができる。
【0101】
マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像のカラーピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、本方法はさらに:
vi) 前記マイニングプリンタ制御設定を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、印刷装置を使用することによって初期デジタル画像の少なくとも1つのさらなる初期デジタル画像を印刷し、走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、さらなる初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
vii) 処理装置を使用することによって、さらなるマイニングデジタル画像と少なくとも1つのさらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルとを比較する、ステップと;
を含むことができ、
ここで、本方法は、さらなるマイニングデジタル画像とさらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)からvii)を繰り返すことを含み、
ここで、さらなるマイニングデジタル画像とさらなるタスクデジタル画像、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される。
【0102】
本方法は、例えば、さらなるタスクデジタル画像の第1色値又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルの色値との比較に使用され得る1つの色値を得るため、さらなるマイニングデジタル画像の複数のカラーピクセルをピクセル化することを含んでよい。ステップvii)における比較は、さらなるマイニングデジタル画像とさらなるタスクデジタル画像のピクセル化後に得られるカラーピクセル、例えば、さらなるタスクデジタル画像の第1ピクセルの色値、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像のさらなるピクセルの色値と比較することを含み得る。本方法は、例えば、さらなるマイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られる色値と、さらなるタスクデジタル画像の第1ピクセルの色値、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像のさらなるピクセルの色値とが同一であることが判明するまで、ステップii)からvii)を繰り返すことを含むことができる。ステップiv)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定が選択され得る。さらなるマイニングデジタル画像とさらなるタスクデジタル画像、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定は、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される。
【0103】
初期デジタル画像のピクセル数及び/又は初期デジタル画像のピクセル数と、タスクデジタル画像のピクセル数とは、予め定義されたマイニング難易度によって定義されてよい。初期画像のピクセル数及び/又は初期デジタル画像のピクセル数は、タスクデジタル画像のピクセル数に対応してよい。
【0104】
さらなるマイニングデジタル画像及びさらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又はマイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、本方法は、前記プリンタ制御設定を使用して、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像の追加の異なるペア、又はタスクデジタル画像の少なくとも1つのピクセルについて、ステップvi)及びvii)を繰り返すことを含んでよい。本方法は、それぞれのマイニングデジタル画像及びタスクデジタル画像のカラーピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)~vii)及び繰り返されたステップvi)及びvii)を繰り返すことを含んでよい。これらの条件が満たされたマイニングプリンタ制御設定は、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用され得る。ステップvi)とvii)の繰り返しの回数は、予め定義されたマイニング難易度に依存してよい。
【0105】
方法ステップi)~v)及びvi)~vii)は、連続して実施されてよく、又は少なくともいくつかのステップが並行して実施されてよい。
【0106】
さらなる態様において、少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成し検証するための、プルーフ・オブ・ワークのためのさらなるコンピュータ実装方法が提案される。印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成される。
【0107】
本方法は、以下の方法ステップを含み、該方法ステップは具体的には所与の順序で実行され得る。ただし、異なる順序も可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを完全に又は部分的に同時に実施することも可能である。さらに、1つ以上、あるいは、すべての方法ステップを1回又は数回繰り返すなど、繰り返し実行することができる。さらに、該方法は、挙げられていない追加の方法ステップを含んでよい。定義及び実施形態については、本発明の第1の態様で説明されているプルーフ・オブ・ワークのための方法の説明を参照されたい。
【0108】
本方法は以下のステップ:
a) 暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
b) 複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像を生成するステップであって、前記初期デジタル画像は、暗号ハッシュ値の一部をカラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
c) 初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを含む第1タスクデジタル画像を生成する、ステップと;
d) マイニングプリンタ制御設定を選択し、選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、該印刷装置を使用して初期デジタル画像の第1初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、特に第1初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
e) 少なくとも1つの処理装置を使用することによって、マイニングデジタル画像と第1タスクデジタル画像のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、本方法は、マイニングデジタル画像と第1タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明されるまで、ステップb)~e)を繰り返すことを含み、ステップd)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定が選択され、
マイニングデジタル画像と第1タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、方法はさらに、
f) 前記マイニングプリンタ制御設定を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、印刷装置を使用することによって初期デジタル画像の第2初期デジタル画像を印刷し、走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、特に第2初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
g) 処理装置を使用することによって、さらなるマイニングデジタル画像と第2タスクデジタル画像のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含むことができ、
ここで、本方法は、さらなるマイニングデジタル画像と第2タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明するまで、ステップb)からg)を繰り返すことを含み、
ここで、(i)マイニングデジタル画像と第1タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明し、(ii)さらなるマイニングデジタル画像と第2タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される。
【0109】
方法ステップa)~e)及びf)~g)は、連続して実行されてよく、又は少なくともいくつかのステップを並行して実行されてよい。本方法は、少なくとも2つの相互作用ループにおいて段階的に実行されてよい。本方法は、マイニングデジタル画像の生成及び走査の速度を最適化するために、段階的に並列的に実行されてよく、又はマイニングデジタル画像の生成及び走査のための顔料の消費を最小化するために、連続的に実行されてもよい。
【0110】
例えば、第1タスクデジタル画像は、ブロック内の全トランザクションに基づく暗号ハッシュ値(「hash-MerkleRoot」とも表記される)の一部を、カラーピクセルの色値に変換することによって生成される。
【0111】
この方法は、例えば、第1タスクデジタル画像との比較、例えば、第1タスクデジタル画像の第1色値の色値との比較に使用され得る1つの色値を得るために、マイニングデジタル画像のピクセルをピクセル化することを含んでよい。第1色値は、第1タスクデジタル画像の第1ピクセルの色値であってよい。本方法は、マイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値と、例えば第1タスクデジタル画像の第1ピクセルの色値とが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明するまで、ステップb)~e)を繰り返すことを含むことができる。ステップd)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定が選択される。
【0112】
本方法は、例えば、第2タスクデジタル画像との比較、例えば第2タスクデジタル画像の第1色値の色値との比較に使用され得る1つの色値を得るために、さらなるマイニングデジタル画像のピクセルをピクセル化することを含んでよい。第1色値は、第2タスクデジタル画像の第1ピクセルの色値であってよい。
【0113】
第2タスクデジタル画像は、例えば、ブロック内の全トランザクションに基づく暗号ハッシュ値(「hash-MerkleRoot」とも表記される)の一部を、カラーピクセルの色値に変換することによって生成されるさらなるタスクデジタル画像であってよい。
【0114】
あるいは、第2タスクデジタル画像は、マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった第1タスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセル、例えば第1タスクデジタル画像の第2ピクセルを含むことができる。ステップg)は、処理装置を使用することによって、さらなるマイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値と、第1タスクデジタル画像の第2ピクセルの色値とを比較することを含んでいてよい。本方法は、さらなるマイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られる色値と、第1タスクデジタル画像の第2ピクセルの色値とが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明するまで、ステップb)~g)を繰り返すことを含んでいてよい。さらなるマイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られる色値と、第1タスクデジタル画像の第2ピクセルの色値とが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定は、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用され得る。
【0115】
初期デジタル画像のピクセル数及び/又は初期デジタル画像のピクセル数と、タスクデジタル画像のピクセル数は、予め定義されたマイニング難易度によって定義されてよい。初期画像のピクセル数及び/又は初期デジタル画像のピクセル数は、タスクデジタル画像のピクセル数に対応していてよい。
【0116】
さらなるマイニングデジタル画像及び第2タスクデジタル画像のカラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、本方法は、前記プリンタ制御設定を使用して、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像の追加の異なるペアについて、ステップf)及びg)を繰り返すことを含んでよい。本方法は、それぞれのマイニングデジタル画像及びタスクデジタル画像のカラーピクセルが同一であることが判明するまで、ステップb)~g)及び繰り返されたステップf)及びg)を繰り返すことを含むことができる。これらの条件が満たされたマイニングプリンタ制御設定は、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用され得る。ステップf)及びg)の繰り返しの回数は、予め定義されたマイニング難易度に依存してよい。
【0117】
本発明の第1態様に記載の方法は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像が同一であることが見出されたマイニングプリンタ制御設定(ナンス)を見出すために限られたリソースを必要とすることができ、特に、ターゲットの色が見出されるまで混合レシピを変更するために限られたリソースを必要とすることができる。しかしながら、本発明のこの態様に記載される方法を使用することにより、チャレンジの数を増加させることによって、マイニング難易度を増加させることができる。提供されたハッシュ値は複数のデジタル情報を提供することができ、これは少なくとも1つのさらなるチャレンジ、特に複数のチャレンジを定義するために使用されることができる。これらのさらなるチャレンジはそれぞれ、この得られたプリンタ制御設定が、1つの初期デジタル画像からタスクデジタル画像への第2転送も解決するかどうかをチェックするために、少なくとも1,000回の追加試行を要求することができる。例えば、3つのチャレンジの場合、初期デジタル画像のこれら3つの独立したマイニングデジタル画像(例えば各々が4つのカラーピクセルを有する)のすべてを、これら3つの独立したタスクデジタル画像(例えば各々が1つのカラーピクセルのカラータスクデジタル画像)に、転送する単一のプリンタ制御設定を見つけるチャンスは、1:1,000,000,000の成功確率に終わることができる。印刷されるピクセルの量は、このプルーフ・オブ・ワークが一定の時間内に解決できるように、プリンタの能力に応じて制御されることができる。
【0118】
ピクセル数は難易度に依存し得る。画像あたりのピクセル数は任意の数まで増やすことができる。具体的には、難易度は、提案された方法を回避するために攻撃者が必要な実験をすべてを前もって行うための達成不可能なコストが発生するように設定することができる。例えば、1画像あたり16ピクセルは、1032のバリエーションを意味し;印刷と走査のプロセスで、ピクセルあたり約100色の異なる色を再現可能に処理でき、かつ、1,000回の試行の各ループに0.001gが必要であると仮定した場合には、1026kgのトナーが印刷されることを意味する。
【0119】
本発明のさらなる態様では、デジタル画像に基づくブロックチェーンが開示される。ブロックチェーンは、リンクされた複数のブロックを含む。ブロックチェーンは、上で説明されたように、又は以下でより詳細に説明されるように、本発明によるプルーフ・オブ・ワークの方法のうちの1つを使用することによって生成される。したがって、定義及び実施形態については、プルーフ・オブ・ワークの方法の説明を参照されたい。
【0120】
さらなる態様では、暗号通貨を取引する(トランザクション)ためのマイニング、非代替トークン、スマートコントラクト、金融サービス、ヘルスケア、個人識別、暗号通貨、サプライチェーン、セキュアラベルの分野における取引(トランザクション)の安全な処理を目的とする、先行する請求項のいずれか1項によるプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法の使用が開示される。その他の用途も可能である。
【0121】
要約すると、及びさらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る:
【0122】
実施形態1.少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法であって、前記印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成され、前記方法は、以下のステップ:
i) 暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
ii) 複数のカラーピクセルを含む少なくとも1つの初期デジタル画像を生成するステップであって、前記初期デジタル画像は、前記暗号ハッシュ値の少なくとも一部を前記カラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
iii) 前記初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを含むタスクデジタル画像を生成する、ステップと;
iv) マイニングプリンタ制御設定を選択し、前記選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用して前記初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、前記初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
v) 少なくとも1つの処理装置を使用することによって、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像のカラーピクセルが同一であることが判明されるまで、ステップii)~v)を繰り返すことを含み、ステップiv)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定が選択され、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、方法。
【0123】
実施形態2.前記顔料は天然有機材料及び合成有機材料から選択される、先行する実施形態に記載の方法。
【0124】
実施形態3.前記顔料は無機材料、好ましくは金属酸化物、より好ましくは酸化鉄から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
実施形態4.前記ブロックは、ブロックバージョン番号、前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、ブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、時間、ビット、及びナンス(nonce)に関する情報を含むヘッダを含み、前記ナンスは、前記初期デジタル画像を前記タスクデジタル画像に転送するために見出された前記マイニングプリンタ制御設定であり、前記ビットは、前記初期デジタル画像のピクセル数及び/又は前記タスクデジタル画像のピクセル数を定義する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0126】
実施形態5.前記マイニングプリンタ制御設定の情報は、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのナンスとして適用される数字を生成するために使用され、前記ナンスのサイズは、印刷に使用される色空間の各色の色の強度を定義する情報によって、印刷前に設定される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
実施形態6.前記ナンスのサイズは、4バイトであって、0から255の範囲の色空間の色の強度を定義し、前記強度は、各顔料色について2つの16進数で表される、先行する実施形態に記載の方法。
【0128】
実施形態7.前記ナンスのサイズは、4バイトであって、8色の色空間については0から15の範囲、4色の色空間については0から255の範囲、又はさらなる色空間のさらなる色については適切な範囲の色の強度を定義し、前記色の強度は、1つ又は2つの16進数又は各顔料色についての例えば10進数の他の数字によって表される、実施形態5に記載の方法。
【0129】
実施形態8.前記暗号ハッシュ値は、ブロックのブロック番号、ブロックに格納されたデータ、及び前のブロックの暗号ハッシュを入力として有する少なくとも1つのハッシュ関数を使用することによって提供される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
実施形態9.前記ハッシュ関数は、SHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512、SHA-512/224、SHA-512/256からなる群から選択される少なくとも1つのセキュアハッシュ関数SHA-2である、先行する実施形態に記載の方法。
【0131】
実施形態10.前記暗号ハッシュ値は16進数を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
実施形態11.前記初期デジタル画像の生成は、暗号ハッシュ値の16進数の少なくとも一部をRGB色に変換して、さらなる色空間に従って、顔料粒子を使用して基板上に前記初期デジタル画像を印刷することを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施形態12.前記タスクデジタル画像は、前記初期デジタル画像の生成に使用された以外の暗号ハッシュ値の少なくとも一部を、カラーピクセルの少なくとも1つの色値に変換することにより、及び/又は少なくとも1つのランダムアルゴリズムを使用することにより、及び/又はブロックのトランザクションのデジタル情報を色値に転送することにより生成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施形態13.前記初期デジタル画像の生成は、暗号ハッシュ値の16進数を有意な光学的差異のRGB色に変換することを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施形態14.前記暗号ハッシュ値は、印刷する前に、前記初期デジタル画像の前記ピクセルのサイズ及び/又は形状を定義するために使用される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施形態15.前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像の前記カラーピクセルの比較は、ピクセル単位で実行される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
実施形態16.前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像の前記カラーピクセルの比較は、ピクセル化によって前記マイニングデジタル画像又は/及び前記タスクデジタル画像の前記カラーピクセルをグループ化した後に実行される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
実施形態17.前記方法は、カラーピクセルを数字に変換することによって、前記ピクセル化されたマイニングデジタル画像のカラーコードを決定することを含み、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像のカラーピクセルの比較は、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像のカラーコードを比較することを含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0139】
実施形態18.前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像は、ピクセルの色の各々について±30%、好ましくはピクセルの色の各々について±10%、より好ましくはピクセルの色の各々について±3%のピクセルカラー誤差許容範囲内で同一であると見なされる、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
実施形態19.前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像は、逸脱したピクセルが10%、好ましくは逸脱したピクセルが5%、より好ましくは逸脱したピクセルが1%で全体誤差許容範囲内で同一であると見なされる、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
実施形態20.前記マイニングプリンタ制御設定は反復的に選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
実施形態21.前記マイニングプリンタ制御設定は、少なくとも1つのクラウドサービス、ブロックチェーンネットワークのノードの少なくとも1つの処理装置のうちの1つ以上によって選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
実施形態22.ステップii)は、複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像を生成することを含み、前記初期デジタル画像は、前記暗号ハッシュ値の少なくとも一部を前記カラーピクセルの色値に変換することによって生成され、前記マイニングデジタル画像と前記タスクデジタル画像の前記カラーピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、本方法はさらに:
vi) 前記マイニングプリンタ制御設定を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用することによって前記初期デジタル画像の少なくとも1つのさらなる初期デジタル画像を印刷し、前記走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、前記さらなる初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
vii) 前記処理装置を使用することによって、前記さらなるマイニングデジタル画像と少なくとも1つのさらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルとを比較する、ステップと;
を含むことができ、
ここで、前記方法は、前記さらなるマイニングデジタル画像と前記さらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)からvii)を繰り返すことを含み、
ここで、前記さらなるマイニングデジタル画像と前記さらなるタスクデジタル画像、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、前記ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
実施形態23.前記さらなるマイニングデジタル画像及び前記さらなるタスクデジタル画像のカラーピクセル、又は前記マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった生成されたタスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセルが、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、前記方法は、前記プリンタ制御設定を使用して、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像の追加の異なるペア、又はタスクデジタル画像のピクセルについて、ステップvi)及びvii)を繰り返すことを含み、前記方法は、それぞれのマイニングデジタル画像及びタスクデジタル画像の前記カラーピクセル、又は前記タスクデジタル画像のそれぞれのピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)~vii)及び繰り返されたステップvi)及びvii)を繰り返すことを含み、これらの条件が満たされた前記マイニングプリンタ制御設定は、前記ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、先行する実施形態に記載の方法。
【0145】
実施形態24.ステップvi)とvii)の繰り返しの回数は、予め定義されたマイニング難易度に依存する、先行する実施形態に記載の方法。
【0146】
実施形態25.前記初期デジタル画像のピクセル数及び/又は初期デジタル画像のピクセル数と、前記タスクデジタル画像のピクセル数とは、予め定義されたマイニング難易度によって定義される、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
実施形態26.少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成し検証するための、プルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法であって、前記印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成されており、前記方法は以下のステップ:
a) 暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
b) 複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像を生成するステップであって、前記初期デジタル画像は、暗号ハッシュ値の一部を前記カラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
c) 前記初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを含む第1タスクデジタル画像を生成する、ステップと;
d) マイニングプリンタ制御設定を選択し、前記選択されたマイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用して前記初期デジタル画像の第1初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、特に前記第1初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
e) 少なくとも1つの処理装置を使用することによって、前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像の前記カラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像の前記カラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明されるまで、ステップb)~e)を繰り返すことを含み、ステップd)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定が選択され、
前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像の前記カラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、前記方法はさらに;
f) 前記マイニングプリンタ制御設定を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定で顔料を混合及び/又は混成することにより、前記印刷装置を使用することによって前記初期デジタル画像の少なくとも1つの第2初期デジタル画像を印刷し、前記走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、特に前記第2初期デジタル画像とは、異なる複数のカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
g) 前記処理装置を使用することによって、前記さらなるマイニングデジタル画像と少なくとも1つの第2タスクデジタル画像の前記カラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、前記方法は、前記さらなるマイニングデジタル画像と前記第2タスクデジタル画像の前記カラーピクセルが少なくとも許容範囲内で同一であることが判明するまで、ステップb)からg)を繰り返すことを含み、
ここで、(i)前記マイニングデジタル画像と前記第1タスクデジタル画像少なくとも許容範囲内で同一であることが判明し、(ii)前記さらなるマイニングデジタル画像と前記第2タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、前記ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、方法。
【0148】
実施形態27.前記初期デジタル画像のピクセル数及び/又は初期デジタル画像のピクセル数と、前記タスクデジタル画像のピクセル数とは、予め定義されたマイニング難易度によって定義される、先行する実施形態に記載の方法。
【0149】
実施形態28.前記さらなるマイニングデジタル画像と前記第2タスクデジタル画像が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、前記方法は、前記プリンタ制御設定を使用して、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像の追加の異なるペアについてステップf)及びg)を繰り返すことを含み、前記方法は、前記それぞれのマイニングデジタル画像及び前記タスクデジタル画像の前記カラーピクセルが同一であることが判明するまで、ステップb)~g)及び繰り返されたステップf)及びg)を繰り返すことを含み、これらの条件が満たされた前記マイニングプリンタ制御設定は、前記ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される、先行する実施形態に記載の方法。
【0150】
実施形態29.ステップf)及びg)の繰り返しの回数は、予め定義されたマイニング難易度に依存する、先行する実施形態に記載の方法。
【0151】
実施形態30.ブロックチェーンは、リンクされた複数のブロックを含み、前記ブロックチェーンは、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するための方法に関する先行する実施形態のいずれか1つに記載のブロックチェーンのブロックを生成し検証するための方法の少なくとも1つを使用することによって生成される、ブロックチェーン。
【0152】
実施形態31.暗号通貨を取引するためのマイニング、非代替トークン、スマートコントラクト、金融サービス、ヘルスケア、個人識別、暗号通貨、サプライチェーン、セキュアラベルの分野における取引の安全な処理のうちの1つ又は複数の目的のための、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法に関する実施形態のいずれか1つに記載のプルーフ・オブ・ワークのコンピュータ実装方法の使用。
【図面の簡単な説明】
【0153】
さらなる任意の特徴及び実施形態は、後続の実施形態の説明において、好ましくは従属請求項に関連して、より詳細に開示される。そこでは、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、分離された態様で、また任意の実行可能な組み合わせで実現されてよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図において同一の参照番号は、同一の又は機能的に互換可能な要素を示す。
【0154】
図では:
図1】プルーフ・オブ・ワークの方法の一実施形態を示す図である。
図2】プルーフ・オブ・ワークの方法のさらなる実施形態を示す図である。
図3】初期デジタル画像の1ピクセルの生成のために64ビットハッシュを使用する方法ステップii)のさらなる実施形態を示す図である。
図4図4A図4Eは、プルーフ・オブ・ワークのための方法の実施形態と、暗号ハッシュ値からピクセルのサイズと形状を定義する実施形態を示す図である。
図5】ブロックチェーンのブロックを生成し検証するための、本発明による方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0155】
実施形態の詳細な説明
図1及び図2には、少なくとも1つの印刷装置を使用してブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークのためのコンピュータ実装方法の実施形態を示す。印刷装置は、プリンタ制御設定に依拠して少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成される。
【0156】
本方法は、以下のステップを含み、該ステップは、具体的には、所定の順序で実行され得る以下の方法ステップを含んでいる。それでも、異なる順序も可能である。さらに、2つ以上の方法ステップを完全に又は部分的に同時に実行することが可能である。さらに、方法ステップの1つ以上、あるいはすべてを1回実行してよく、又は、1回又は数回繰り返すなど、繰り返し実行することも可能である。さらに、本方法は、列挙されていない追加の方法ステップを含んでもよい。
【0157】
本方法は以下のステップ:
i) (参照番号110で示す)暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
ii) (参照番号112で示す)複数のカラーピクセル116を含む少なくとも1つの初期デジタル画像114を生成するステップであって、前記初期デジタル画像114は、暗号ハッシュ値の少なくとも一部をカラーピクセル116の色値に変換することによって生成される、ステップと;
iii) (参照番号118で示す)初期デジタル画像114とは異なる複数のカラーピクセル122を含むタスクデジタル画像120を生成する、ステップと;
iv) (参照番号124で示す)マイニングプリンタ制御設定126を選択し、選択されたマイニングプリンタ制御設定126で顔料を混合及び/又は混成することにより、該印刷装置を使用して初期デジタル画像114を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、初期デジタル画像114とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップと;
v) (参照番号128で示す)少なくとも1つの処理装置を使用することによって、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーピクセルを比較する、ステップと;
を含み、
ここで、本方法は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーピクセルが同一であることが判明されるまで、ステップii)~v)を繰り返すことを含み、
ステップiv)の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定126が選択され、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定126が、ブロックチェーンのブロックを生成及び検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される。
【0158】
ブロックは、ブロックチェーンのコンポーネント又は要素であってよい。ブロックチェーンは、特定の記録を保持することができるブロックのチェーンとして定義されることができ、ブロックは暗号化の原理を使用して互いにリンクされており、さらなる詳細については、Eshaniらによる「ブロックチェーンのエネルギー消費の問題に関する研究(A study on the issue of blockchain's energy consumption)」, 第2章, DOI: 10.1007/978-981-15-0361-0_5又はen.wikipedia.org/wiki/Blockchainを参照されたい。各ブロックは取引データを含むことができる。ブロックは、前のブロックのハッシュ値を含むことによってリンクされ得る。各ブロックは前のブロックの暗号ハッシュ値を含む。各ブロックはさらにタイムスタンプを含むことができる。ブロックチェーンは、複数のリンクされたブロックを含むことができる。
【0159】
ブロックは、複数のフィールドを含むヘッダを含んでいてよい。具体的には、ヘッダは、ブロックバージョン番号、前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、ブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、時間、ビット、及びナンス(nonce)に関する情報が含まれる。ブロックの構造は、例えばen.bitcoin.it/wiki/Block_hashing_algorithmに記載されているような、ビットコインのブロックアーキテクチャに類似していてよい。ブロックヘッダは、以下のフィールドが含まれる:
【0160】
【表3】
【0161】
「バージョン(Version)」とも表記されるブロックバージョン番号、「hashPrevBlock」とも表記される前のブロックヘッダの暗号ハッシュ、「hashMerkleRoot」とも表記されるブロック内のすべてのトランザクションに基づく暗号ハッシュ、及び「時間(Time)」のフィールドは、ビットコインの場合と同じ方法で生成されてもよく、同じ意味を維持してよい。時間は、1970-01-01T00:00UTCからの秒数としてのタイムスタンプであってよい。この方法は、各ブロックのトランザクションのプロトコルに時間を調整することができる。しかし、他の時間も可能である。
【0162】
暗号ハッシュ値は、ハッシュ関数を用いて生成される。ハッシュ関数は、任意のサイズのデータを固定サイズの値にマッピングするために使用できる任意の関数であってよい。ハッシュ関数によって返される値はハッシュ値と呼ばれる。例えば、暗号ハッシュ値は16進数で構成される。データは、具体的には、デジタルデータ及びアナログデータの一方又は両方であってよく、又はそれらを含んでいてよい。暗号ハッシュ値は、ブロックのブロック番号、ブロックに格納されたデータ、及び前のブロックの暗号ハッシュを入力として有する少なくとも1つのハッシュ関数を使用することによって提供されてよい。例えば、ハッシュ関数は、SHA-224、SHA-256、SHA-384、SHA-512、SHA-512/224、SHA-512/256からなる群から選択される少なくとも1つのセキュアハッシュ関数SHA-2であってよい。例えば、図2に示すように、SHA256関数を使用して、現在のブロックの暗号ハッシュ値を取得することができる:SHA256(ブロックのバージョン番号、データ、前のブロックのヘッダの暗号ハッシュ)->暗号ハッシュ値、例:暗号ハッシュ値=C019286295F2CDEC9958BEE25B9603B5F94C76B2CCC69A59CE54872ED26DC479。
【0163】
ナンスを見つけて検証するための本発明のアプローチにより、暗号ハッシュは、一定数を含まない場合がある。さらに、プルーフ・オブ・ワーク(https://en.wikipedia.org/wiki/Proof_of_work)の要件は依然として満たされる。具体的には、「計算量(computational effort)」の代わりに、本発明は「印刷量(printing effort)」を提案する。
【0164】
ビットは、初期デジタル画像のピクセル数を定義することができる。具体的には、ビットはマイニング難易度を定義することができる。フィールド「ビット」は、各印刷及び走査の反復ごとのピクセル数によって、難易度及び/又は印刷時間に対処するために使用されてよい。したがって、フィールド「ビット」は、ビットコインの場合と異なって使用されてよい。
【0165】
マイニングプリンタ制御設定の情報は、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのナンスとして適用される数字を生成するために使用されることができる。数字は、数字を示す記号、又は記号のグループであってよく、例えば、数字列、16進数などである。ナンスは、1度しか使用できない任意の数字(1次元)であってよい。ナンスは、初期デジタル画像をタスクデジタル画像に転送するために見出されたプリンタ制御設定であり得る。具体的には、ナンスは、特に、印刷、走査、及びピクセル化のうちの1つ以上の後に、初期デジタル画像をタスクデジタル画像に転送するマイニングプリンタ制御設定であってよい。
【0166】
ナンスのサイズは、印刷に使用される色空間の各色の色の強度を定義する情報によって、印刷前に設定される。例えば、色空間、例えばCMYK色空間の各色の強度は、0~255の範囲で変化させることができる。したがって、ナンスの構造は{CC-MM-YY-KK}であってよい。例えば、ナンスのサイズは、4バイトであって、0から255の範囲の色空間の色の強度を定義する。具体的には、ナンスのサイズは、4バイトであって、0から255の範囲の色空間の4色の強度を定義する。例えば、ナンスのサイズは、4バイトであって、8色の色空間については0から15の範囲、4色の色空間については0から255の範囲、又はさらなる色空間のさらなる色については適切な範囲の色の強度を定義し、色の強度は、1つ又は2つの16進数又は各顔料色についての例えば10進数の他の数字によって表される。強度は、各色について2つの16進数で表すことができる。
【0167】
ブロックの生成は、ブロックチェーンに新しいブロックを追加及び/又は生成及び/又は作成することが含まれ得る。プルーフ・オブ・ワークは、ブロックチェーンの新しいブロックの生成を確保するためのコンセンサスプロセスを含み得る。ブロックがブロックチェーンに追加される前に、ブロックに含まれる情報は、ブロックチェーン技術に基づいて構築されたネットワーク(ブロックチェーンネットワークとも呼ばれる)によって「検証」される必要がある。これは、暗号パズルを解くことによっていわゆるハッシュを生成することによって行われる。ネットワークに参加するノード、いわゆるマイナーは、暗号パズルの解を特に最初に見つけたときは、新しいブロックを生成する権利を持つことができる。解を探索するプロセスは通常「マイニング」又は「マイニングプロセス」と呼ばれる。ネットワークの他のノードは、見つかった解が正しいかどうかをチェックすることができる(図2のステップ130参照)。他のノードがその有効性を確認した場合、そのブロックは有効とみなされ、ブロックチェーンに追加されることができる。
【0168】
印刷装置は、プリンタ制御設定に従って、少なくとも1つの材料を少なくとも1つの印刷面又は基板上に、具体的にはパターン化された様式で適用、例えば印刷するように構成された装置であり得る。特に、印刷装置は、イメージドラムなどのドラム;転写ベルトなどのコンベア;レーザ、少なくとも1つのミラー、例えば回転可能なミラーを含むレンズシステムなどのレンズシステム;ロール、スクレーパ、又は例えばドラム又はコンベアをクリーニングするための同様のクリーニング手段;カセット、例えば、用紙カセットなど、基板の1つ以上を保存するためのカセット;少なくとも1つの搬送要素、例えば、基板、具体的には紙を、印刷装置内へ、印刷装置内に、及び/又は印刷装置から供給、転送、及び/又は排出するための、例えばローラ及び/又はコンベアなどの少なくとも1つの移送要素;の1つ以上を含むことができる。特に、材料は、イメージドラムなどのドラムの表面、又は転写ベルトなどのコンベア上に印刷される。
【0169】
さらに、例えば、印刷装置は、紙カセットのような、基板の1つ又は複数を格納するためのカセット;ローラ及び/又はコンベアのような、例えば、基板、具体的には紙を印刷装置内へ、印刷装置内から、及び/又は印刷装置から供給、転送及び/又は排出するための少なくとも1つの搬送要素を備えることができる。
【0170】
印刷装置は、少なくとも1つのデジタル画像を生成するように構成される。デジタル画像は、基板上の少なくとも1つの材料の光学的印象を走査し、走査されたエリアに照射を適用することから得られ得る。デジタル画像は、物理的オブジェクトの二次元表現であり得る。画像及び写真という用語は、以下において同義語として使用される。デジタル画像は、複数のカラーピクセルを含むことができる。例えば、デジタル画像はデジタルRGB画像であってよい。デジタルRGB画像は、3つのカラーチャンネル、すなわち1つが赤(R)、1つが緑(G)、1つが青(B)の3つのカラーチャンネルを有するカラーデジタル画像であってよい。デジタルRGB画像の原色は、赤、緑、青であり得る。RGBデジタル画像は、各原色の色チャンネルを有することができる。デジタルカラー画像は、複数の画像ピクセルを含むことができ、各画像ピクセルは、原色の組み合わせで作られる。例えば、デジタルRGB画像は24ビット又は48ビットであり得る。デジタルRGB画像の各ピクセルは、2つの空間座標と3つの色値によって指定されることができる。例えば、デジタル画像はデジタルCMYKカラー画像であってよく、CMYK色空間の原色はブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、ホワイトである。しかし、他の色空間も可能である。
【0171】
プリンタ制御設定は、印刷装置の少なくとも1つの機能を制御するための複数のパラメータを含むプリンタ制御情報であり得、及び/又は、それを含み得る。例えば、プリンタ制御設定は、予め定義された長さの文字列を含むことができる。プリンタ制御設定は、混成情報の少なくとも1つの項目を含むことができ、これについては以下でさらに詳細に概説する。したがって、典型的には、印刷装置は、プリンタ制御設定に従って、少なくとも1つの印刷面上にテキスト及び/又は画像、文字列、ビットマップ画像、ベクトル画像、例えば少なくとも1つのプリンタ制御言語で提供されるコンピュータプログラムのうちの1つ以上を生成するように構成されてよい。特に、印刷装置、具体的には印刷装置の少なくとも1つの機能は、少なくとも1つのプリンタ制御言語、例えば1つ以上のページ記述言語(PDL)、プリンタコマンド言語(PCL)、ポストスクリプト、XML Paper仕様書などを通じて制御可能であってよい。
【0172】
少なくとも1つの初期デジタル画像114の生成112は、初期デジタル画像114のピクセル116の色を決定するプロセスを含んでいてよい。初期デジタル画像114は、マイニングの開始点として使用される任意のデジタル画像であり得る。初期デジタル画像114は、暗号ハッシュ値の少なくとも一部を初期デジタル画像114のカラーピクセル116の色値に変換することによって生成される。例えば、初期デジタル画像の生成は、暗号ハッシュ値の16進数の少なくとも一部をRGB色に変換して、さらなる色空間、例えばCMYK色空間に従って、顔料粒子を使用して基板上に初期デジタル画像を印刷することを含むことができる。暗号ハッシュ値の16進数の一部をRGB色に変換する例を、6ピクセル116について図2に示す。例えば、16進数から色値への変換は、少なくとも1つの数学的アルゴリズム及び/又はルックアップテーブルなどの少なくとも1つの事前に決定された関係を使用して、例えば、www.rapidtables.com/convert/color/hex-to-rgb.html、又は「The Image-Interface:Graphical Supports for Visual Information」、Everardo Reyes-Garcia、John Wiley & Sons、2017年、ISBN 978-1-1194-7497-5に記載されているように実行することができる。
【0173】
初期デジタル画像114の生成112は、暗号ハッシュ値から16進数を選択することが含まれる場合がある。例えば、暗号ハッシュ値は、ブロックのヘッダに含まれているものとして使用されることができる。例えば、図2に示すように、初期デジタル画像の最初のピクセルについては、16進数の最初の6桁が選択され、RGB色に変換される。初期デジタル画像のさらなるピクセルについては、連続して次の6桁が選択され、RGB色に変換され得る。しかし、暗号ハッシュから16進数を選択する他の実施形態が可能である。例えば、暗号ハッシュ値は、例えばソート及び/又は少なくとも1つのさらなる数学的アルゴリズムによって処理されてよい。例えば、図3に示すように、本方法は、初期デジタル画像114の各ピクセル116について、行(rows)及び列(columns)を含むテーブルを生成することを含むことができる。各行は、初期暗号ハッシュ値の異なる処理バージョンを含むことができる。例えば、初期デジタル画像の最初のピクセルについては、最初の列の最初の6行の数字が選択される。初期デジタル画像114のさらなるピクセル116については、連続して次の行及び/又は列が選択され得る。
【0174】
初期デジタル画像114の生成112は、暗号ハッシュ値の16進数を有意な光学的差異のRGB色に変換することを含む場合がある。例えば、暗号ハッシュ値の16進数から有意な光学的差異のRGB色への変換は、予め定義されたルックアップテーブル(例示的に4ビット色空間に対して行われる)に従って行われることができる:
【0175】
【表4】
【0176】
RGB色空間は24ビット色空間であってよい。RGBカラーパレットは、(2)83色を含み得る。有意な光学的差異を達成するために、それぞれのRGB色を定義するために2つの16進数のみが使用され得る。
【0177】
暗号ハッシュ値は、基板上に印刷する前に、初期デジタル画像114のピクセル116のサイズ及び/又は形状を定義するために使用されることができる。暗号ハッシュ値の16進数は、好ましくは、ピクセル116あたりのカラードットの量を定義するために使用される。暗号ハッシュ値の16進数は、ピクセルあたりのカラードットの量を定義するために使用され得る。上記で概説したように、本方法は、初期デジタル画像114の各ピクセルに対して、行及び列を含むテーブルを生成することを含んでよい(図3の第1のピクセルの例を参照)。各行は、初期暗号ハッシュ値の異なる処理バージョンを含んでよい。例えば、初期デジタル画像114の第1のピクセルのサイズは、第1の列の第7の行によって定義される。初期デジタル画像のさらなるピクセルについては、連続して次の7行目及び/又は列が選択され得る。ピクセルの形状は、暗号ハッシュ値の一部によって定義され得る。例えば、7番目の行も形状に使用されてよく、及び/又は別の行が形状を定義するために使用されてよい。例えば、ピクセルは、0~4の数字に対しては円形状、5~8の数字に対しては三角形状、9~Bの数字に対しては正方形状、及び/又はC~Fの数字に対しては菱形状であってよい。ただし、他の実施形態も可能である。
【0178】
タスクデジタル画像120は、暗号パズルとして使用される任意のデジタル画像であり得る。タスクデジタル画像120は、初期デジタル画像114とは異なる複数のカラーピクセル122を含む。タスクデジタル画像120のカラーピクセル122は、同一又は異なる色値を有することができる。初期デジタル画像114及び/又はタスクデジタル画像120のカラーピクセル116は、RGB色空間のカラーピクセルであってよい。
【0179】
図2に示すように、タスクデジタル画像120は、初期デジタル画像114の生成に使用された以外の暗号ハッシュ値の少なくとも一部を、カラーピクセル122の少なくとも1つの色値に変換することによって生成されることができる。暗号ハッシュ値の少なくとも一部をタスクデジタル画像120のピクセル122の色値に変換することに関しては、初期デジタル画像114の生成112を参照されたい。しかし、タスクデジタル画像120には、初期デジタル画像114用以外の暗号ハッシュ値の一部が使用され得る。ただし、他の色空間も可能であり得る。例えば、ナンスをマイニングするために、まずタスクデジタル画像120のRGB色を自動的に定義することができる。このために、例えば、前のブロックの暗号ハッシュの最後の24ビットが取得され得る。
【0180】
図1に示すように、タスクデジタル画像120は、少なくとも1つのランダムアルゴリズムを使用することによって生成されることができる。このようなランダムアルゴリズムは、一般に当業者に知られている。ランダムアルゴリズムによって生成された16進数などの乱数は、色値に変換され得る。16進数から色値への変換は、少なくとも1つの数学的アルゴリズム、及び/又は、例えば「カラールックアップテーブルを使用した画像パフォーマンスの向上(Improving Image Performance by Using Color Lookup Tables)」,アドビ開発者サポート、テクニカルノート#5121,1992年3月31日、又はhttps://www.rgbtohex.net/hextorgb/に記載されているようなルックアップテーブルのような少なくとも1つの予め決定された関係を使用して、実行されてよい。
【0181】
マイニングプリンタ制御設定126は、初期デジタル画像114からタスクデジタル画像120を生成するために使用されると想定されるプリンタ制御設定であり得る。マイニングプリンタ制御設定126は、特にステップiv)を繰り返すときに繰り返し選択されることができる。例えば、マイニングプリンタ制御設定126は、ピクセル単位で、及び/又はピクセルのグループに対して色を調整するように選択されてよい。例えば、マイニングプリンタ制御設定126は、文字列を含むことができ、ここで、数字などの文字列の文字は、繰り返し変更されてよく、例えば、文字列の数字は、次のマイニングプリンタ制御設定を選択するときに、例えば番号は1つずつ増加されてよい。マイニングプリンタ制御設定126は、少なくとも1つのクラウドサービス、ブロックチェーンネットワークのノードの少なくとも1つの処理装置などのうちの1つ以上によって選択されてよい。例えば、ノードの各々は、マイニングプリンタ制御設定を選択するように構成されたソフトウェアプログラムを実行するように構成されてよい。
【0182】
本発明が提案するマイニングは、ブロックヘッダの暗号ハッシュ値を使用することによって生成された初期デジタル画像114をタスクデジタル画像120に転送するマイニングプリンタ制御設定126を見つけることである。特に、ナンスのマイニングプロセスは、CMYK色空間の4色の強度を変更することである。これにより、転写ベルト又はイメージローラ上の初期RGB画像の顔料ピクセルの光学的外観が変化する。二次色空間の各色の強度は0~255で変化させることができ、32ビットナンスの構造は{CC-MM-YY-KK}であることを意味し、これはターゲットピクセルカラーが達成される限り、プリンタ制御によって変化させることができる。
【0183】
マイナーは、初期デジタル画像114をタスクデジタル画像120に変換するマイニングプリンタ制御設定126の発見を競う。初期デジタル画像114をタスクデジタル画像120に転送するマイニングプリンタ制御設定126を最初に見つけたマイナーに報酬が与えられる(図2のステップ130を参照)。さらに、ステップ130では、他のマイナーは、マイニングプリンタ制御設定126をチェックすることができる。他のマイナーも同じマイニングデジタル画像を生成し、この方法でナンスを検証することができる。エラー許容範囲外にあるすべてのマイニングプリンタ制御設定126は拒否される。エラー許容範囲内にあるマイニングプリンタ制御設定126はすべて受け入れられる。したがって、最初にそれを見つけた者がブロックをチェーンに追加し、暗号コインの報酬を得ることができる。マイニングされた暗号通貨ユニットとトランザクション手数料に基づく報酬は、ビットコインのマイニングと同じであり得る。しかし、本発明は、計算能力の代わりにプリンタの容量を、電力の代わりに顔料を提案する。印刷装置は、マイニングコンピュータと同様にブロックチェーンネットワークに実装することができ、特に同じ機能を果たすことができる。
【0184】
フィールド「ビット」、例えば32ビット「ビット」は、印刷される初期デジタル画像114のピクセル数及び/又はタスクデジタル画像120のピクセル数を定義することができる。フィールド「ビット」は、マイニングの難易度を定義することができる。また、フィールド「ビット」、例えば32ビット「ビット」は、ターゲットデジタル画像のピクセル数を定義するために使用されることもでき、例えば、最初の16ビットは、印刷される初期デジタル画像のピクセル数を定義するために使用されることができる。第2の16ビットは、ターゲットデジタル画像のピクセル数を定義するために使用されることができる。
【0185】
マイニングデジタル画像は、初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有する。マイニングデジタル画像のカラーピクセルは、CMYK又はRGB色空間のカラーピクセルであってもよい。マイニングデジタル画像は、選択されたマイニングプリンタ制御設定126で顔料を混成及び/又は混合することにより、印刷装置を使用して初期デジタル画像114を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、生成されるデジタル画像であり得る。印刷は、基板への印刷を含むことができる。混成は、顔料を定義された方法で混合し、それによって混成物を生成する少なくとも1つのプロセスを含んでよい。印刷装置は、混成装置として使用されるように構成され得る。具体的には、印刷装置は混成情報の少なくとも1つの項目を受信し、及びデジタル画像を生成するように構成される。印刷装置は、具体的には、混成情報の少なくとも1つの項目に従って少なくとも2つの材料を少なくとも1つの基板上に混成するように構成され得る。特に、印刷装置は、混成情報の項目に従って少なくとも2つの材料を混成し、それによって、例えば混成物を受けるための基板上に混成物を生成するように構成され得る。印刷装置の実施形態に関しては、WO2021/001147が参照され、その全内容が参照により本明細書に含まれる。
【0186】
本発明は、固体粒子バルクが混合及び/又は混成される際の高いエントロピーを使用するという利点を利用する。特に、固体粒子バルクの混合及び/又は混成を行うために着色顔料を適用することは、光学原理による物理的結果を分析する効果的な方法として見出された。特に、「プルーフ・オブ・ワーク」のためのエネルギー消費の最も重要な部分は、混合及び/又は混成の物理的プロセスに転送されることが提案されている。プリンタ技術を適用し、プルーフ・オブ・ワークの実行に顔料を使用することで、プルーフ・オブ・ワークのエネルギー消費は1000分の1に削減できる。さらに、エネルギー消費量削減のもう1つの理由は、顔料のコストによるものであり得、マイナーは、報酬を得るよりも顔料に多くを費やすことはないため、スループットが低下する。
【0187】
混合粒子は物理法則に基づく方程式に従って挙動する。数値的方法に基づいてこれらの系のバルク特性を得るためには、第1に、個々の粒子のすべてのパラメータ、例えば、形状、質量、粗さ、ファンデルワールス力及び/又は静電気力などを定義する必要がある。個々の粒子のパラメータが高い費用で見つかったとしても、第2に、バルク特性の数値計算(DEMシミュレーション)は、特に粒子が小さい場合は、未知のパラメータをさらに有する多重方程式系であるこれらの粒子間の相互作用を解決する必要がある。したがって、マイナーは、計算能力に依存しないプリンタで物理的なハッシュ処理をバイパスすることはできない。さらに、粒子数が多いという統計により、固体バルクの特性は再現可能な動作をしているかもしれないが、前述のように数値シミュレーションでは決定できない。したがって、粉末、混合器、混合が同じように行われれば、同じバルク特性(密度、色など)を達成できる可能性があり、これは、最先端のカラーレーザプリンタの場合である。印刷装置は完全なハッシングマシンであることがわかった。本発明は、印刷と走査のプロセスを適切に操作することによって、顔料の処理を変更することを提案する。しかし、もし攻撃者が適切なカラーシミュレーションモデルを開発するために必要なすべてのバリエーションを印刷したい場合、プリンタと走査のプロセスを継続的に変更することは、労力とコストを不経済なレベルまで追い込むことになる。すべての可能な印刷設定を把握するには、全世界の顔料生産量だけでは十分ではない。
【0188】
暗号セキュリティの例として、必要な顔料の量を9ピクセルについて例示的に計算した:まず、数十億のRGB色を、印刷装置を使用して確実に走査及びデジタル処理できるように約100の有意なカラーにまとめる。異なるRGB色の9つのデジタルピクセルをグループ化し、これらの9つの異なるカラードットをピクセル化によって印刷後の新しいカラードットに割り当てることができる。そのため、各ピクセルに100色のばらつきがあると仮定すると、ピクセルの位置はピクセル化後の新しい色に影響しないため、2.76*1014のバリエーションが生じることになる。これらの2.76*1014のバリエーションを9ピクセルのグループごとに走査する場合、0.001グラムの顔料が必要となり、これは276,000トンを意味する。したがって、10,000トンの顔料を印刷する必要がある(そして、そのコストは1億から10億ユーロである!)(すべての組み合わせの3~10%が印刷され、走査され、分析され、物理的な印刷と走査のプロセスをバイパスするのに十分ロバストなデジタルカラーモデルが導出されることが予想される)。
【0189】
本方法は、異なる及び/又は調整可能なマイニング難易度で実行されてよい。マイニング難易度は、以下の変数:顔料色の量、初期デジタル画像のサイズ、タスクデジタル画像のサイズ、同じプリンタ制御設定についてのピクセル数、ピクセルカラー誤差許容(例えば、赤±10%)、全体誤差許容(100ピクセルのうち10ピクセルが間違っている)、ラスタリング、傾斜、モアレ効果などの1つ以上によって調整可能であってよい。例えば、この方法は、特にセキュリティをさらに高めるために、個々のピクセルのサイズを連続的に変更すること、例えば4ドットの代わりに6ドットに変更すること、及び/又はピクセル化の設定を変更すること、例えば13ピクセルに変更すること、又はさらには走査時の照射を変更することを含んでいてよい。つまり、この作業は何度も何度も行われる必要があり、攻撃者のコストがさらに増大することになる。
【0190】
本方法は、ステップv)128において、少なくとも1つの処理装置を使用することによって、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーピクセルを比較することを含む。本方法は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーピクセルが同一であることが判明するまで、ステップii)からステップv)を繰り返すことを含む。マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーピクセルの比較は、ピクセル単位で行うことができる。マイニングデジタル画像及びタスクデジタル画像120のカラーピクセルの比較は、ピクセル化によってマイニングデジタル画像又は/及びタスクデジタル画像120のカラーピクセルをグループ化した後に実行されてよい。具体的には、本方法は、マイニングデジタル画像及び/又はタスクデジタル画像120をピクセル化すること132を含んでいてよい。ピクセル化することは、マイニングデジタル画像及び/又はタスクデジタル画像120をピクセルに、特に予め定義された数のピクセルに分割することを含んでよい。例えば、マイニングデジタル画像の予め定義されたピクセル数は、タスクデジタル画像のピクセル数に対応し得る。例えば、予め定義されたピクセル数は、マイニング難易度に依存し得る。
【0191】
この方法は、カラーピクセルを例えば16進数又は2進数に変換することによって、ピクセル化されたマイニングデジタル画像のカラーコードを決定することを含んでよい。例えば、色値を16進数への変換することは、例えば、www.farben-umrechnen.de又は「画像インターフェース:視覚情報のグラフィカルサポート(The Image-Interface:Graphical Supports for Visual Information)」、Everardo Reyes-Garcia、John Wiley & Sons、2017年、ISBN 978-1-1194-7497-5に記載されているような、少なくとも1つの数学的アルゴリズム及び/又はルックアップテーブルのような少なくとも1つの予め決定された関係を使用して実行されてよい。16進数は、少なくとも1つの数学的アルゴリズム、及び/又は、例えば「カラールックアップテーブルを使用した画像パフォーマンスの向上(Improving Image Performance by Using Color Lookup Tables)」,アドビ開発者サポート、テクニカルノート#5121,1992年3月31日又はhttps://www.rgbtohex.net/hextorgb/に記載されているようなルックアップテーブルのような少なくとも1つの予め決定された関係を使用することによって、第1デジタルRGB画像のバイナリコードにさらに変換されてよい。
【0192】
マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーピクセルを比較することは、ピクセル化されたマイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120のカラーコードを比較することを含んでよい。比較は、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120とが、少なくとも予め定義されたピクセルカラー許容範囲内で同一であるかどうかを決定することを含んでよい。マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120は、ピクセルの色の各々について±30%、好ましくはピクセルの色の各々について±10%、より好ましくはピクセルの色の各々について±3%のピクセルカラー誤差許容範囲内で同一であると見なされることができる。追加的に又は代替的に、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像の全体の一致を決定することができる。マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120は、逸脱したピクセルが10%、好ましくは逸脱したピクセルが5%、より好ましくは逸脱したピクセルが1%で全体誤差許容範囲内で同一であると見なされることができる。比較は、ノードの処理装置、例えば印刷装置によって実行され得る。
【0193】
本方法は、ステップ130で、マイニングデジタル画像とタスクデジタル画像120とが少なくとも予め定義された許容範囲内で同一であるかどうかをネットワークの他のノードによって判定することを含んでいてよい。本方法を実行するノードのピクセルカラー誤差許容範囲は、他のノードの予め定義された許容範囲と比較して、より狭い場合がある。これにより、印刷装置の精度が逸脱していても、見つけられたマイニングプリンタ制御設定が許容範囲内で正しいことを他の各ノードによって確認することができる。
【0194】
本方法は、少なくとも1つの較正を含むことができる。使用される色空間の原色など、予め指定された複数のカラーフィールドが、初期デジタル画像及びタスクデジタル画像に加えて提供されてよく、マイニングデジタル画像と共に印刷されてよい。これにより、走査結果の較正が可能になり得る。
【0195】
図4Aは、プルーフ・オブ・ワークの方法のさらなる実施形態を示す。具体的には、図4Aでは、SHA256関数を使用して現在のブロックの暗号ハッシュ値を取得することができる:C019286295F2CDEC9958BEE25B9603B5F94C76B2CCC69A59CE54872ED25D97DC。暗号ハッシュ値から、図4Aに示すように、暗号ハッシュ値の異なる部分を使用することによって、初期デジタル画像114の例示的な6ピクセルを生成することができる。例えば、初期デジタル画像114の最初のピクセルについては、16進数の最初の6桁を選択し、RGB色に変換することができる。初期デジタル画像114のさらに5つのピクセルについて、16進数の次の6桁が連続して選択され得る。図4Aに例示的に示すように、タスクデジタル画像120については、単一のピクセル122を含み得、暗号ハッシュ値の最後の6桁が使用され、少なくとも1つのRGB値に変換され得る。さらなる方法ステップ、具体的には方法ステップiv)、v)、ピクセル化及びチェック130に関しては、図1及び図2の説明を参照されたい。
【0196】
図4Aは、プルーフ・オブ・ワークの方法のさらなる実施形態を示す。具体的には、図4Aでは、SHA256関数を使用して現在のブロックの暗号ハッシュ値を取得することができる:C019286295F2CDEC9958BEE25B9603B5F94C76B2CCC69A59CE54872ED25D97DC。図4Aと同様に、図4Bでは、初期デジタル画像114の最初のピクセルについて、16進数の最初の6桁が選択され、RGB色に変換され得る。初期デジタル画像114のさらに5つのピクセルについて、16進数の次の6桁が連続して選択され得る。図4Bでは、タスクデジタル画像120が3つのピクセル122を含む例が示されている。タスクデジタル画像120の最初のピクセル122には、暗号ハッシュ値の最後の6桁が使用され、少なくとも1つのRGB値に変換される。タスクデジタル画像120のさらに5つのピクセルについては、16進数の先行する6桁を連続して選択することができる。
【0197】
図4Cは、初期デジタル画像124の図4A及び図4Bに示すピクセルの上段のピクセル116のピクセルサイズを定義する実施形態を示し、特に、ハッシュ値の数値からピクセル当たりのドット数を定義することによってピクセルサイズを変更する。各ピクセル116について、16進ハッシュ値の2桁がピクセル116当たりのドット数を定義するために選択され、10進数に変換されてもよく、例えば、最初のピクセル116について、16進数「62」が10進数「98」に変換される。図4Dは、ピクセル116、例えば初期デジタル画像124の図4A及び図4Bに示すピクセルの上段のピクセル116の形状を定義する実施形態を示す。各ピクセル116について、16進ハッシュ値の1桁を形状を選択して定義することができ、10進数に変換することができる。例えば、ピクセルは、0~4の数字に対しては円形状、5~8の数字に対しては三角形状、9~Bの数字に対しては正方形状、及び/又はC~Fの数字に対しては菱形状であってよい。したがって、第1ピクセル116に対しては、円形状であることを定義する「3」が選択され得、第2ピクセル116に対しては、三角形状であることを定義する「7」が選択され得、第3ピクセル116に対しては、ひし形状であることを定義する「F」が選択得る。図4Eは、暗号ハッシュ値からピクセルのサイズ及び形状を定義する実施形態、特に図4C及び図4Dに示す実施形態の組み合わせを示す。
【0198】
プルーフ・オブ・ワークの方法の例示的な実施形態のフローチャートを図5に示す。本方法は以下のステップ:
a) (134)暗号ハッシュ値を提供する、ステップと;
b) (136)複数のカラーピクセルを含む複数の初期デジタル画像114を生成するステップであって、前記初期デジタル画像114は、暗号ハッシュ値の一部をカラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
c) (138)初期デジタル画像114とは異なる複数のカラーピクセルを含む第1タスクデジタル画像120を生成するステップ。例えば、タスクデジタル画像114は、ブロック内の全トランザクションに基づく暗号ハッシュ値の一部(「hash-MerkleRoot」とも表記される)を、カラーピクセルの色値に変換することによって生成される、ステップと;
d) (140)マイニングプリンタ制御設定126を選択し、選択されたマイニングプリンタ制御設定126で顔料を混合及び/又は混成することにより、該印刷装置を使用して初期デジタル画像の第1初期デジタル画像を印刷し、少なくとも1つの走査装置を使用して印刷された画像を走査することにより、特に第1初期デジタル画像とは異なる複数のカラーピクセルを有するマイニングデジタル画像を生成する、ステップ。さらに、本方法は、複数のカラーピクセルをピクセル化して1つの色値を取得することを含むことができる、ステップと;
e) (142)少なくとも1つの処理装置を使用することによって、マイニングデジタル画像と第1タスクデジタル画像のカラーピクセル、例えば、マイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値と、第1タスクデジタル画像の第1ピクセルの第1色値の色値とを比較するステップと;
を含み、
ここで、本方法は、マイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値と、第1タスクデジタル画像の第1ピクセルの色値が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明されるまで、ステップb)~e)を繰り返すことを含み、ステップd)140の各場合において、異なるマイニングプリンタ制御設定126が選択され、マイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値と、第1タスクデジタル画像の第1ピクセルの色値が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明した場合、方法はさらに;
f) (144)前記マイニングプリンタ制御設定126を使用し、前記マイニングプリンタ制御設定126で顔料を混合及び/又は混成することにより、印刷装置を使用することによって初期デジタル画像の少なくとも1つの第2初期デジタル画像を印刷し、走査装置を使用することによって印刷された画像を走査し、それにより、第2初期デジタル画像とは、異なる複数のカラーピクセルを有する少なくとも1つのさらなるマイニングデジタル画像を生成する、ステップ。さらに、本方法は、さらなるマイニングデジタル画像の複数のカラーピクセルをピクセル化して1つの色値を取得することを含むことができる、ステップと;
g) (146)さらなるマイニングデジタル画像と第2タスクデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値を比較する、ステップと;
を含むことができ、
ここで、例えば、第2タスクデジタル画像は、マイニングデジタル画像との比較に使用されなかった第1タスクデジタル画像の少なくとも1つのさらなるピクセル、例えば、第1タスクデジタル画像の第2ピクセルを含むことができ、
ここで、(i)マイニングデジタル画像と第1タスクデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値が、少なくとも許容範囲内で同一であることが判明し、(ii)さらなるマイニングデジタル画像のカラーピクセルのピクセル化から得られた色値と、第1タスクデジタル画像の第2ピクセルの色値が少なくとも許容範囲内で同一であることが判明したマイニングプリンタ制御設定が、ブロックチェーンのブロックを生成し検証するためのプルーフ・オブ・ワークとして使用される。
【0199】
例えば、ステップa)134において、第1ノードは、現在のブロックからの以下のデジタル入力:ブロック番号(4バイト)、時間(4バイト)、前のブロックのハッシュ値(32バイト)、現在のトランザクションのMerkle Treeの実際のハッシュ値(32バイト)、難易度番号(4バイト)、及びプリンタ制御設定(4バイト)、例えばCC-MM-YY-KK、を使用することができる。難易度番号は、マイニング難易度を定義し、初期デジタル画像のピクセル数とターゲットデジタル画像のピクセル数として定義されることができる。
【0200】
第1ノードは、現在のブロックの入力をSHA256でハッシュすることによって、暗号ハッシュ値を生成し、32バイトの一意のハッシュ値を提供することができる。ナンスの探索は、ブロック時間を一定に保つために、予め定義された難易度に従って実行され得る。ターゲット画像の数は、難易度番号の第1の部分によって定義されてよい。ステップb)において、本方法は、第1初期デジタル画像、特に第1のRGB初期デジタル画像を生成することを含んでよい。第1のRGB初期デジタル画像のピクセル数は、難易度番号の第2の部分によって定義されてよい。例えば、図3に示すように、ピクセルの24ビットRGB色は、現在のブロックのハッシュ値の64個の16進数から以下のように導出され得る:
- 第1ピクセル
赤の等級は、最初の16進数(HV_01)と最後の16進数(HV_64)によって定義される;
緑色の等級は、最後から2番目の16進数(HV_63)と最後から3番目の16進数(HV_62)によって定義される;
青色の等級は、最後から4番目の16進数(HV_61)と最後から5番目の16進数(HV_60)によって定義される;
したがって、第1ピクセルの24ビットRGBカラーコードは、本実施形態[(HV_01,HV_64);(HV_63,HV_62);(HV_61,HV_60)]となり、
- 第2ピクセル
赤の色等級は、2番目の16進数(HV_02)と1番目の16進数(HV_01)によって定義され;
緑色の色等級は、最後の16進数(HV_64)と最後から2番目の16進数 (HV_63)によって定義され;
青色の色等級は、最後から3番目の16進数(HV_62)と最後から4番目の16進数(HV_61)によって定義され;
したがって、第2ピクセルの24ビットRGBカラーコードは、本実施形態では[(HV_02,HV_01);(HV_64,HV_63);(HV_62,HV_61)]となり、
カラーコードの定義の同じロジックが、後続のすべてのピクセルに適用され得る。本方法は、ピクセルを二次形式に配置することを含んでいてよい。
【0201】
ステップd)140は、印刷装置を使用する事によって、特に印刷装置の転写ベルト上に、RGB画像を印刷することを含むことができる。強度、したがって、適用された原色トナー粒子(CMYK)の量は、マイニングプリンタ制御設定によって定義され得る。各ピクセルのエリアサイズは、10mm×10mm、好ましくは3mm×3mmに設定され得る。走査は、印刷された画像を照射することを含んでよい。波長スペクトルは、例えば3,000Kの色温度の光を射出する少なくとも1つのLEDライトによって設定されることができる。印刷されたピクセル上の光の局所的な強度は、少なくとも1つのレンズ又はレンズ系によって定義され得る。レンズ又はレンズ系は、より明るいエリア及びより暗いエリアを生成するように構成されてよい。例えば、レンズ又はレンズ系は、拡大ガラス箔を含むことができる。本方法は、走査された画像のピクセル化を含み、それにより24ビットの1つのRGBカラーコードを実現することができる。
【0202】
ステップc)138は、第1タスクデジタル画像のRGBカラーコードを定義することを含み得る。例えば、図3の文脈で見えるように、第1のRGB色は、現在のブロックのMerkle Treeのハッシュ値の64個の16進数から導出されてよい。例えば、赤の色等級は、最初の16進数(HV_01)と2番目の16進数(HV_02)によって定義され;緑の色等級は、3番目の16進数(HV_03)と4番目の16進数(HV_04)によって定義され、青の色等級は、5番目の16進数(HV_05)と6番目の16進数(HV_06)によって定義され得る。したがって、第1タスクデジタル画像の24ビットRGBカラーコードは、[(HV_01,HV_02);(HV_03,HV_04);(HV_05,HV_06)]であり得る。
【0203】
ステップe)142は、走査及びピクセル化後の印刷画像のRGB色数値の16進数を、第1タスクデジタル画像のRGBカラーコードの16進数と比較することを含み得る。走査されたピクセル化画像のRGB色数値の16進数と、第1タスクデジタル画像の16進数との差が、各RGB色について10等級未満である場合、マイニングプリンタ制御設定(「ナンス(Nonce)」)は、プルーフ・オブ・ワークの第1の前提条件を解決する。
【0204】
この実施形態では、第2のRGB初期デジタル画像を生成することを含んでよい。入力画像のピクセル数は、難易度番号の第2の部分によって定義されてよい。ピクセルの24ビットRGB色は、現在のブロックのハッシュ値の64個の16進数から(例えば、図3に示すハッシュを使用して)以下のように導出され得る:
- 第1ピクセル
赤の色等級は、最初の16進数(HV_01)と最後の16進数(HV_64)によって定義され;
緑の色等級は、最後から2番目の16進数(HV_63)及び最後から3番目の16進数(HV_62)によって定義され;
青の色等級は、最後から4番目の16進数(HV_61)及び最後から5番目の16進数(HV_60)によって定義され;
したがって、第1ピクセルの24ビットRGBカラーコードは、[(HV_01,HV_64);(HV_63,HV_62);(HV_61,HV_60)]であり得、
- 第2ピクセル
赤の色等級は、2番目の16進数(HV_02)と1番目の16進数(HV_01)によって定義され;
緑の色等級は、最後の16進数(HV_64)と最後から2番目の16進数(HV_63)によって定義され;
青の色等級は、最後から3番目の16進数(HV_62)と最後から4番目の16進数(HV_61)によって定義され;
したがって、第2のピクセルの24ビットRGBカラーコードは、[(HV_02,HV_01);(HV_64,HV_63);(HV_62,HV_61)]であり得、
カラーコードの定義の同じロジックが、後続のすべてのピクセルに適用され得る。本方法は、ピクセルを二次形式に配置することを含んでいてよい。
【0205】
ステップf)144は、印刷装置内の転写ベルト上に第2のRGB初期デジタル画像を印刷することを含むことができる。適用される原色トナー粒子(CMYK)の強度及びしたがって量は、マイニングプリンタ制御設定によって定義される。各ピクセルのエリアサイズは10mm×10mmに設定される。本方法は、印刷された画像を照射することを含んでいてよい。例えば、波長スペクトルは、3,000Kの色温度の光を射出するLEDライトによって設定される。印刷されたピクセル上の光の局所的な強度は、拡大ガラス箔を使用してより明るいエリア及びより暗いエリアを生成するレンズ系によって構成されてよい。本方法は、印刷装置において転写ベルト上の印刷画像を走査することを含んでいてよい。本方法は、24ビットの1つのRGBカラーコードを実現する走査された初期画像のピクセル化を含んでいてよい。
【0206】
ステップc)138は、例えば、現在のブロックのMerkle Treeのハッシュ値の64個の16進数(例えば、図3に示すようなハッシュ値)を使用して、第2タスクデジタル画像のRGBカラーコードを生成することを含み得る:
赤の色等級は、7番目の16進数(HV_07)と8番目の16進数(HV_08)によって定義され;
緑の色等級は、9番目の16進数(HV_09)と10番目の16進数(HV_10)によって定義され;
青の色等級は、11番目の16進数(HV_11)と12番目の16進数(HV_12)によって定義され;
したがって、第2ターゲット画像の24ビットRGBカラーコードは、[(HV_07,HV_08);(HV_09,HV_10);(HV_11,HV_12)]であり得る。
【0207】
ステップg)146は、走査及びピクセル化後の印刷された第2初期デジタル画像のRGB色数の16進数と、第2タスクデジタル画像のRGBカラーコードの16進数とを比較することを含む場合がある。走査されピクセル化された第2初期デジタル画像のRGB色数値の16進数と、第2タスクデジタル画像の16進数との差が、各RGB色について10等級未満である場合、マイニングプリンタ制御設定(「ナンス(Nonce)」)は、チャレンジとも呼ばれるプルーフ・オブ・ワークの第2の前提条件を解決する。
【0208】
この方法は、マイニング難易度によって定義されるループの回数が繰り返される、さらなる課題を含んでいてよい。
【0209】
マイニングプリンタ制御設定がすべての課題を解決しない場合、ステップa)134からg)146が繰り返される。マイニングプリンタ制御設定が定義されたチャレンジをすべて解決した場合、プルーフ・オブ・ワークの要件が満たされ、発見された課題は「ナンス(Nonce)」としてブロックチェーンのネットワークに配布される。
【0210】
プルーフ・オブ・ワークの検証及び/又はコンセンサスは、ネットワークのノードにおいて分散マイニングプリンタ制御設定を適用することによって実行されることができる。本方法は、ブロックチェーンのネットワークの他のノードにおいて、発見されたマイニングプリンタ制御設定が、同じ種類の印刷装置で実行されるタスクデジタル画像と初期デジタル画像の同じ類似性を提供するかどうかをチェックすることを含んでよい。本方法を実行するノードの予め定義された許容範囲は、他のノードの予め定義された許容範囲と比較してより狭い場合がある。ノードにおけるRGB各色の許容差は、ステップa)134からg)146を実行するノードにおける許容差よりも大きくてよい。より大きな誤差許容範囲は、ノードの印刷装置が通常、互いに比較して同一には動作しないことを考慮したものであってよい。プリンタ制御設定ナンバーが複数の他のノードによって、例えば10を超える異なる他のノードによって検証された場合、プルーフ・オブ・ワークが正しく、定義された量のトークンがノードのウォレットに転送される可能性がある。
【符号の説明】
【0211】
110 ステップi)
112 ステップii)
114 デジタル初期 画像
116 カラーピクセル
118 ステップiii)
120 タスクデジタル画像
122 カラーピクセル
124 ステップiv)
126 マイニングプリンタ制御設定
128 ステップv)
130 チェック
132 ピクセル化
134 ステップa)
136 ステップb)
138 ステップc)
140 ステップd)
142 ステップe)
144 ステップf)
146 ステップg)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
【国際調査報告】