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  • 特表-粘着剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】粘着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20241031BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20241031BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241031BHJP
   C08F 220/10 20060101ALI20241031BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J133/06
C09J7/38
C08F220/10
G09F9/00 342
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531595
(86)(22)【出願日】2023-01-05
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 KR2023000243
(87)【国際公開番号】W WO2023132664
(87)【国際公開日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0002056
(32)【優先日】2022-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ビョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ビュン ス
(72)【発明者】
【氏名】リー、フイ ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ジン セオ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
4J100
5G435
【Fターム(参考)】
4J004AA01
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004AB07
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA05
4J004FA08
4J040DF021
4J040DF031
4J040DF061
4J040EF282
4J040FA132
4J040GA05
4J040GA07
4J040JB08
4J040JB09
4J040KA13
4J040KA16
4J040LA01
4J040LA02
4J040LA06
4J040NA17
4J040NA19
4J100AL04P
4J100AL05Q
4J100AL09R
4J100DA04
4J100DA24
4J100DA25
4J100JA05
5G435AA14
5G435EE12
5G435HH18
5G435HH20
(57)【要約】
本出願では、フレキシブルデバイスに適した粘着剤及びそれを含むデバイスを提供しうる。一例において、本出願では、フレキシブルデバイスに適用されて繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良を誘発せず、回復性も優れた粘着剤を提供しうる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-20℃で印加されたせん断力によって0.05秒以内に加えられた100%のひずみを1200秒間維持する間に確認される最大ストレスSMAXが1MPa以下であり、前記100%のひずみが1200秒維持された時点でのストレスS1200が12,000Pa以下である、粘着剤。
【請求項2】
下記式1の△SX1が3,500Pa/回以下であり、下記式1のSMAX50が250,000Pa以下である、粘着剤。
[式1]
△SX1=0.02×(SMAX1-SMAX50
式1においてSMAX1は、-20℃で前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において0秒~2秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SMAX50は、-20℃で前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において99秒~100秒の時間内に確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【請求項3】
最大ストレスSMAXのストレスS1200に対する割合(SMAX/S1200)が30~60の範囲内である、請求項1に記載の粘着剤。
【請求項4】
下記式3のΔSX2が15,000Pa/回以下である、請求項1または2に記載の粘着剤。
[式3]
△SX2=0.1×(SMAX1-SMAX10
式3においてSMAX1は、-20℃で前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において0秒~2秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SMAX10は、-20℃で前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において19秒~20秒の時間内に確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【請求項5】
下記式4のΔSX3が700Pa/回以下である、請求項1または2に記載の粘着剤。
[式4]
△SX3=0.025×(SMAX10-SMAX50
式4においてSMAX10は、前記粘着剤に-20℃で前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において19秒~20秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SMAX50は、前記粘着剤に-20℃で下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において99秒~100秒の時間内に確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【請求項6】
下記式5のΔSXL1が600,000Pa以下である、請求項1または2に記載の粘着剤。
[式5]
△SXL1=(SMAX1-SLAST1
式5においてSMAX1は、前記粘着剤に-20℃で下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において0秒~2秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SLAST1は、前記粘着剤に-20℃で下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程のうち2秒で確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【請求項7】
下記式6のΔSXL50が500,000Pa以下である、請求項1または2に記載の粘着剤。
[式6]
△SXL50=(SMAX50-SLAST50
式6においてSMAX50は、前記粘着剤に-20℃で下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において99秒~100秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SLAST50は、前記粘着剤に-20℃で下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程のうち100秒で確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【請求項8】
下記式7のΔSXL10が500,000Pa以下である、請求項1または2に記載の粘着剤。
[式7]
△SXL10=(SMAX10-SLAST10
式7においてSMAX10は、前記粘着剤に-20℃で下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において19秒~20秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SLAST10は、前記粘着剤に下記式2によって-20℃でせん断力を100秒間印加する過程のうち20秒で確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【請求項9】
回復率が70%以上である、請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項10】
-20℃での弾性率が1MPa以下であり、前記弾性率を確認するためのStrain-Stress曲線の線形区間における最大ストレスが30,000Pa以下である、請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項11】
粘着性ポリマーを含む、請求項1または2に記載の粘着剤。
【請求項12】
前記粘着性ポリマーは、ガラス転移温度及び溶融温度を示すアクリル共重合体である、請求項11に記載の粘着剤。
【請求項13】
前記ガラス転移温度が-30℃以下であり、前記溶融温度が-10℃以下である、請求項12に記載の粘着剤。
【請求項14】
前記溶融温度及び前記ガラス転移温度の差(Tm-Tg)が5℃以上である、請求項12に記載の粘着剤。
【請求項15】
前記アクリル共重合体は、分子量分布が3超過であり、前記アクリル共重合体が熱架橋剤で架橋されて含まれている、請求項12に記載の粘着剤。
【請求項16】
前記アクリル共重合体は、分子量分布が3以下であり、前記アクリル共重合体は、ラジカル架橋剤で架橋されて含まれている、請求項12に記載の粘着剤。
【請求項17】
前記アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含む、請求項12に記載の粘着剤。
【化1】
化1において、Rは、水素またはアルキル基を表し、Rは、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【請求項18】
基材フィルム、及び前記基材フィルムの片面または両面に形成された、請求項1または2に記載の粘着剤を含む、粘着フィルム。
【請求項19】
1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されたディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの片面または両面に存在する請求項1または2に記載の粘着剤を含む、フレキシブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年1月6日付大韓民国特許出願第10-2022-0002056号に基づく優先権の利益を主張し、当該特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、粘着剤及びその用途に関する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブル(Flexible)デバイスの種類として、いわゆるフォルダブル(Foldable)またはローラブル(Rollable)デバイスなどが知られている。そのようなデバイスは、折り畳まれた後に再び広げられるか、または巻き付けられた後に再び開かれる過程が複数回繰り返される。
【0004】
したがって、前記フォルダブルデバイスに適用される粘着剤は、繰り返し変形が起こる過程で加えられる応力に効果的に対応できなければならない。従来、前記のような粘着剤を得るために、主にその粘着剤の弾性率、特に低温での弾性率に着目した。通常、低温での弾性率が低いほど、前記繰り返し変形によって加えられる応力に効果的に対応できることが知られている。
【0005】
しかし、粘着剤を低い弾性率にのみ着目して設計する場合、回復性、信頼性及び裁断性などは低下する傾向がある。
【0006】
前述したように、フォルダブルまたはローラブルデバイスは、折り畳まれた後に再び広げられるか、または巻き付けられた後に再び開かれる過程が複数回繰り返されるため、変形後に再び元の状態に戻る特性も要求されるが、単純に弾性率だけ低い粘着剤は、前記回復する特性が低下する。
【0007】
また、デバイスを製造する過程において粘着剤は所望の形態に裁断されることになるが、弾性率が低すぎる粘着剤は、裁断性が低下し、低い弾性率は、粘着剤の信頼性の側面でも不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願は、粘着剤に関する。本出願は、繰り返し変形に効果的に対応できる追従性と応力特性を有しながらも、回復性、裁断性及び信頼性に優れた粘着剤を提供することを目的とする。本出願は、さらに前記粘着剤の用途を提供することを目的とする。一例において、前記粘着剤は、フォルダブルデバイスやローラブルデバイスなどのフレキシブルデバイスを構成するのに効果的に適用しうる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書で言及する物性のうち、測定温度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常温で測定した物性である。
【0010】
本明細書において用語の常温とは、特に加温及び減温していない状態での温度であって、約10℃~30℃の範囲内のいずれかの温度、例えば、約15℃以上、18℃以上、20℃以上または約23℃以上であり、また約27℃以下の温度を意味しうる。また、特に規定しない限り、本明細書で言及する温度の単位は、℃である。
【0011】
本明細書で言及する物性のうち、測定圧力が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、常圧で測定した物性である。
【0012】
本明細書において用語の常圧とは、特に加圧及び減圧されていない状態での圧力であって、通常、大気圧レベルである約700mmHg~800mmHg程度の圧力を意味する。
【0013】
本明細書で言及する物性のうち、測定湿度が当該物性に影響を及ぼす場合に特に規定しない限り、前記物性は、前記常温及び常圧状態での自然そのままの湿度で測定した物性である。
【0014】
本出願は、粘着剤に関する。
【0015】
本出願の粘着剤は後述する特性を示し、このような特性は、繰り返し変形と回復が起こるデバイス、例えば、フォルダブルデバイスやローラブルデバイスなどのフレキシブルデバイスにおいて有用である。
【0016】
一例において、前記粘着剤は、変形が瞬間的に加えられた後、このような変形が一定時間維持される環境下で低いストレスを示し、また、加えられたストレスを相対的に早い時間内に緩和する特性を示すことができる。
【0017】
例えば、前記粘着剤は、-20℃で100%のひずみが0.05秒以内に加えられるようにせん断力を印加した後、前記100%のひずみを1200秒間維持している間に確認される最大ストレス(SMAX)が所定範囲内であってもよい。
【0018】
前記最大ストレスSMAXを測定する方式は、本明細書の実施例(実施例のStress-Relaxation測定項目)に記載されている。前記SMAX及び後述するS1200は、例えば、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA)のような測定器を使用して測定してもよく、このとき、粘着剤は厚さが約800μm程度であり、直径が約8mm程度の円状に適用される。一例において、前記最大ストレスSMAXの上限は、1MPa、0.9MPa、0.8MPa、0.7MPa、0.6MPa、0.5MPa、または0.4MPa程度であってもよい。前記最大ストレスSMAXの下限には、特別な制限はない。例えば、前記最大ストレスSMAXの下限は、約0.01MPa、0.05MPa、0.1MPa、0.15MPa、0.2MPa、0.25MPa、0.3MPaまたは0.35MPa程度であってもよい。前記最大ストレスSMAXは、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0019】
前記粘着剤は、前記100%のひずみを1200秒間維持する過程で、前記100%のひずみが1200秒維持された時点でのストレス(S1200)が所定範囲であってもよい。前記ストレスも、本明細書の実施例のStress-Relaxation測定項目における評価方法によって評価しうる。
【0020】
前記ストレスS1200の上限は、12,000Pa、11,000Pa、10,000Pa、9,500Pa、9,000Pa、8,500Pa、8,000Paまたは7,500Pa程度であってもよく、その下限は、1,000Pa、2,000Pa、3,000Pa、4,000Pa、5,000Pa、6,000Pa、7,000Paまたは8,000Pa程度であってもよい。前記最大ストレスS1200は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0021】
前記のような特性を示す粘着剤は、瞬間的に加えられる変形が一定時間維持される環境で粘着剤に加えられる応力に効果的に対応でき、このような粘着剤は、優れた裁断性、作業性、回復性及び信頼性も示すことができる。
【0022】
前記粘着剤は、さらに前記最大ストレスSMAXと前記ストレスS1200の割合SMAX/S1200が所定の範囲内であってもよい。例えば、前記割合SMAX/S1200の下限は、30、32、34、36、38、40、42、44、46または48程度であってもよく、その上限は、60、58、56、54、52、50、48、46または44程度であってもよい。前記割合SMAX/S1200は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0023】
前記粘着剤は、瞬間的に加えられる変形が繰り返される環境で粘着剤に加えられる応力に効果的に対応でき、このような粘着剤は、優れた裁断性、作業性、回復性及び信頼性も示すことができる。
【0024】
前記粘着剤は、下記式1の△SX1が所定範囲であってもよい。
【0025】
[式1]
△SX1=0.02×(SMAX1-SMAX50
【0026】
式1において、SMAX1及びSMAX50は、前記粘着剤に対してSin wave equationによってせん断力を印加する過程においてそれぞれ特定の時点で確認される最大ストレスである。
【0027】
すなわち、式1においてSMAX1は、前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において0秒~2秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)であり、SMAX50は、前記粘着剤に下記式2によってせん断力を100秒間印加する過程において99秒~100秒の時間内に確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
【0028】
[式2]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
【0029】
式2において、tは、時間(単位:秒)である。
【0030】
特に規定しない限り、本明細書において最大ストレスまたはストレスの単位は、Paである。
【0031】
前記式2によってせん断力を印加する過程及び測定方法は、本明細書の実施例の項目(Sin strainに対するstress測定項目)に記載されている。前記せん断力の印加は、-20℃で行われる。
【0032】
前記せん断力の印加は、例えば、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA)などの測定器を使用して行ってもよい。このとき、粘着剤は、厚さが約800μm程度であり、直径が約8mm程度の円状で適用される。
【0033】
式2によって粘着剤にせん断力を印加すると、粘着剤に一定レベルのひずみ(strain)が所定の時間加えられた後、再び一定レベルのひずみ(strain)が逆方向に加えられる過程が繰り返される。例えば、前記式2によってせん断力を印加すると、前記粘着剤に400%程度のひずみ(strain)が1秒間加えられるようにせん断力が1秒印加された後、続けて前記粘着剤に0%のひずみ(strain)が1秒間加えられるように逆方向にせん断力が1秒印加される過程を繰り返すことができ、このような2秒間のせん断力の印加を1サイクルと定義する。前記において逆方向とは、前記400%のひずみ(strain)が1秒間加えられるように印加されるせん断力の方向と反対方向にせん断力が印加されることを意味する。
【0034】
したがって、前記式1のSMAX1は、前記1サイクルが1回行われる間に確認される最大ストレスであり、SMAX50は、前記せん断力の印加サイクルによるせん断力の印加を50回繰り返したとき、すなわち、50回目のサイクル内で確認される最大ストレスである。
【0035】
前記のような方式でせん断力を印加すると、粘着剤にSin曲線に類似した形態のstrain(Sin strain)が加えられることになり、このような方式で印加されるstrainの下で式1のΔSX1が所定範囲内であってもよい。
【0036】
例えば、式1のΔSX1の上限は、3500Pa/回、3400Pa/回、3300Pa/回、3200Pa/回、3100Pa/回、3000Pa/回、2900Pa/回、2800Pa/回、2700Pa/回、2600Pa/回、2500Pa/回、2400Pa/回または2300Pa/回程度であってもよく、その下限は1000Pa/回、1200Pa/回、1400Pa/回、1600Pa/回、1800Pa/回、2000Pa/回または2200Pa/回程度であってもよい。前記ΔSX1は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0037】
式1のSMAX50の上限は、250,000Pa、245,000Pa、240,000Pa、235,000Pa、230,000Pa、225,000Pa、220,000Pa、215,000Pa、210,000Pa、205,000Pa、200,000Pa、195,000Pa、190,000Paまたは185,000Pa程度であってもよく、その下限は、100,000Pa、110,000Pa、120,000Pa、130,000Pa、140,000Pa、150,000Pa、160,000Pa、170,000Paまたは180,000Pa程度であってもよい。前記SMAX50は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0038】
前記粘着剤は、瞬間的に加えられる変形が繰り返される環境で粘着剤に加えられる応力に効果的に対応でき、このような粘着剤は、優れた裁断性、作業性、回復性及び信頼性も示すことができる。
【0039】
前記粘着剤は、さらに下記式3のΔSX2が所定の範囲内であってもよい。前記条件を満たす粘着剤は、フレキシブルデバイスにおいて要求される物性をより効果的に満たすことができる。
【0040】
[式3]
△SX2=0.1×(SMAX1-SMAX10
【0041】
式3においてSMAX1は、式1においてSMAX1と同じである。
【0042】
式3においてSMAX10は、式1のSMAX1とSMAX50を確認するのと同じ方式で粘着剤に式2によってせん断力を100秒間印加する過程において19秒~20秒の時間内で確認される最大ストレス(単位:Pa)である。
【0043】
このようなSMAX10は、式1で記述したせん断力の印加サイクルによるせん断力の印加を10回繰り返したときに10回目のサイクル内で確認される最大ストレスである。
【0044】
式3において△SX2の上限は、15,000Pa/回、14,000Pa/回、13,000Pa/回、12,000Pa/回、11,000Pa/回、10,000Pa/回または9,500Pa/回程度であってもよく、その下限は、5,000Pa/回、6,000Pa/回、7,000Pa/回、8,000Pa/回、8,500Pa/回または9,000Pa/回程度であってもよい。前記ΔSX2は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0045】
式3においてSMAX10の上限は、300,000Pa、280,000Pa、260,000Pa、240,000Pa、220,000Paまたは210,000Pa程度であるか、または90,000Pa、100,000Pa、150,000Paまたは200,000Pa程度であってもよい。前記SMAX10は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0046】
前記粘着剤は、さらに下記式4のΔSX3が所定範囲であってもよい。前記条件を満たす粘着剤は、フレキシブルデバイスに要求される物性をより効果的に満たすことができる。
【0047】
[式4]
△SX3=0.025×(SMAX10-SMAX50
【0048】
式4においてSMAX10は、式3においてSMAX10と同じであり、SMAX50は、式1においてSMAX50と同じである。
【0049】
前記△SX3の上限は、700Pa/回、650Pa/回または600Pa/回程度であってもよく、その下限は、100Pa/回、200Pa/回、300Pa/回、400Pa/回または550Pa/回程度であってもよい。前記ΔSX3は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0050】
式1においてSMAX1の上限は、350,000Pa、340,000Pa、330,000Pa、320,000Pa、310,000Paまたは300,000Pa程度であってもよく、その下限は、100,000Pa、150,000Pa、200,000Paまたは250,000Pa程度であってもよい。前記ΔSMAX1は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0051】
前記粘着剤は、さらに下記式5の△SXL1が所定範囲であってもよい。前記条件を満たす粘着剤は、フレキシブルデバイスにおいて要求される物性をより効果的に満たすことができる。
【0052】
[式5]
△SXL1=(SMAX1-SLAST1
【0053】
式5においてSMAX1は、式1のSMAX1と同じである。
【0054】
式5においてSLAST1は、前記粘着剤に前記せん断力の印加サイクルによるせん断力の印加を1回行った後に確認されるストレスである。
【0055】
すなわち、式5においてSLAST1は、式1のSMAX1とSMAX50を確認するのと同じ方式で粘着剤に式2によってせん断力を100秒間印加する過程において2秒で確認されるストレス(単位:Pa)、すなわち、前記100秒間の印加過程において2秒が経過した後に確認されるストレス(単位:Pa)である。
【0056】
式5において△SXL1の上限は、600,000Pa、550,000Pa、500,000Paまたは450,000Pa程度であってもよく、その下限は、100,000Pa、150,000Pa、200,000Pa、250,000Pa、300,000Pa、350,000Paまたは400,000Pa程度であってもよい。前記△SXL1は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0057】
前記粘着剤は、下記式6の△SXL50が所定範囲であってもよい。前記条件を満たす粘着剤は、フレキシブルデバイスにおいて要求される物性をより効果的に満たすことができる。
【0058】
[式6]
△SXL50=(SMAX50-SLAST50
【0059】
式6においてSMAX50は、式1のSMAX50と同じである。
【0060】
式6においてSLAST50は、前記粘着剤に前記せん断力の印加サイクルによるせん断力の印加を50回行った後に確認されるストレスである。
【0061】
すなわち、式6においてSLAST50は、式1のSMAX1とSMAX50を確認するのと同じ方式で粘着剤に式2によってせん断力を100秒間印加する過程において100秒で確認されるストレス(単位:Pa)、すなわち、前記100秒間の印加過程において100秒が経過した後に確認されるストレス(単位:Pa)である。
【0062】
式6において△SXL50の上限は、500,000Pa、480,000Pa、460,000Pa、440,000Pa、420,000Pa、400,000Pa、380,000Paまたは360,000Paであってもよく、その下限は、100,000Pa、150,000Pa、200,000Pa、250,000Pa、300,000Paまたは350,000Pa程度であってもよい。前記△SXL50は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0063】
前記粘着剤は、下記式7において△SXL10が所定範囲であってもよい。前記条件を満たす粘着剤は、フレキシブルデバイスにおいて要求される物性をより効果的に満たすことができる。
【0064】
[式7]
△SXL10=(SMAX10-SLAST10
【0065】
式7においてSMAX10は、式3のSMAX10と同じである。
【0066】
式7においてSLAST10は、前記粘着剤に前記せん断力の印加サイクルによるせん断力の印加を10回行った後に確認されるストレスである。
【0067】
すなわち、式7においてSLAST10は、式1のSMAX1とSMAX50を確認するのと同じ方式で粘着剤に式2によってせん断力を100秒間印加する過程において20秒で確認されるストレス(単位:Pa)、すなわち前記100秒間の印加過程において20秒が経過した後に確認されるストレス(単位:Pa)である。
【0068】
式7において△SXL10の上限は、500,000Pa、480,000Pa、460,000Pa、440,000Pa、420,000Pa、400,000Paまたは380,000Pa程度であってもよく、その下限は、100,000Pa、150,0000Pa、200,000Pa、250,000Pa、300,000Paまたは350,000Pa程度であってもよい。前記△SXL10は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0069】
前記粘着剤は、前述した特性のうち少なくとも1つを満たすことができ、一例において、前述した特性のうち2つ以上の組み合わせを満たすことができ、適切には前述した特性をすべて満たすことができる。
【0070】
通常、粘着剤がフォルダブルデバイスなどのフレキシブルデバイスに適しているか否かの確認は、粘着剤の弾性率を確認して行った。例えば、フレキシブルデバイスに適用される粘着剤は、繰り返し変形にさらされるため、一般に低温で低い弾性率を有することが有利であることが知られており、粘着剤がフレキシブルデバイスに適しているか否かは、当該粘着剤の弾性率、特に低温で弾性率が低いかどうかを確認するのが一般的である。
【0071】
しかし、粘着剤の低温弾性率のみに着目すると、粘着剤が実際のフレキシブルデバイスに適用された場合にデバイスに瞬間的に加えられる変形が繰り返される環境で前記変形に効果的に追従できなかったり、追従しても変形が消えたときの回復が足りなくなるなどの問題が発生する場合が多く、場合によっては、前記繰り返し変形下で粘着剤に加えられるストレスによってデバイスの性能に悪影響を及ぼす場合がよく発生する。
【0072】
しかし、粘着剤が前述した特性のうち1つ以上の特性を示すように設計される場合、実際のフレキシブルデバイスに適用された状態で粘着剤に前記デバイスに適した性能を示すようにすることができる。
【0073】
前記粘着剤は、さらに、デバイスに適用された状態で他の構成要素の性能を維持または改善するか、または性能の劣化を防止しうる。
【0074】
例えば、前記粘着剤は、下記式8のΔR1の絶対値が所定範囲となる特性を示すことができる。
【0075】
[式8]
△R1=100×(R5-Ri)/Ri
【0076】
式8において、R5は、ITO(Indium Tin Oxide)フィルム、前記粘着剤及びPET(poly(ethyleneterephthalate))フィルムを前記順に含む積層体を2秒間につき一度フォールディングした後に広げる過程を50,000回繰り返した後の前記ITOフィルムのITO層の抵抗であり、Riは、前記フォールディング後の広げる過程を50,000回繰り返す前の前記ITOフィルムのITO層の抵抗である。
【0077】
前記粘着剤は、電極を含むデバイスに適用され、繰り返し変形にさらされる場合にも前記電極の特性が安定的に維持されるようにすることができる。
【0078】
式8の△R1の絶対値の上限は、200%、195%、190%、185%、180%、175%、170%、165%、160%、155%、150%、145%、140%、135%、130%、125%、120%、115%、110%、105%または100%程度であってもよく、その下限は、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、110%、120%、130%、140%または150%程度であってもよい。前記△R1の絶対値は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0079】
前記ΔR1を確認する積層体を構成する方式を図1を参照して説明する。前記積層体は、図1に示すように、ITO(Indium Tin Oxide)フィルムとPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムを前記粘着剤を介して積層してITOフィルム/粘着剤層/PETフィルムの積層構造を有するように製造しうる。このような積層体は横及び縦の長さがそれぞれ約15cm及び約2.5cmとなるように裁断し、前記フォールディングに適用してもよい。
【0080】
前記ITOフィルムとしては、厚さが約50μm程度のPET(poly(ethylene terephthalate))フィルム(基材フィルム)の表面に厚さが約1μm程度の結晶性ITO(Indium Tin Oxide)層が形成されたものを使用してもよく、PETフィルムとしては厚さが約50μm程度のフィルムを使用してもよい。前記積層体に適用される粘着剤層の厚さは、約25μm程度に調節してもよく、積層時にITOフィルムの基材フィルムが粘着剤に接するように積層する。
【0081】
図1に示すように、前記裁断された積層体のITO層上に銀ペースト(silver paste)を約1cmの幅で印刷する。ITO層の中心(図1の下図の点線部分)を基準として左右に約4cm程度離れた状態で2つの銀ペーストを印刷し、印刷後に約150℃で1時間程度印刷されたペーストを乾燥する。
【0082】
前記積層体を試片として前記フォールディングを行ってもよい。このとき、フォールディングは、前記積層体をダイナミックチャンバー(Dynamic Chamber)にローディングし、試片を中心部(図1の下図の点線部分)が一度折り畳まれ、広げられることを1サイクルとして前記サイクルを繰り返す。前記折り畳み(フォールディング)は、約2.5Rの曲率で行い、遂行温度は-20℃で固定する。1サイクルで一度折り畳み、広げることが2秒間行われるようにし、前記折り畳み(フォールディング)は、ITOフィルムの銀ペーストが最上部にくるようにして行う。
【0083】
前記銀ペーストを使用して前記フォールディング前のITO層の初期抵抗Riを求め、50,000回のフォールディング後のITO層の抵抗R5を求め、これを式1に代入してΔR1を求めることができる。
【0084】
前記粘着剤は、さらに、前記フォールディングをさらに繰り返した後でもITO層の特性を維持しうる。
【0085】
例えば、前記粘着剤は、下記式9のΔR2またはその絶対値が所定範囲となる特性を示すことができる。
【0086】
[式9]
△R2=100×(R10-Ri)/Ri
【0087】
式9において、R10は、ITO(Indium Tin Oxide)フィルム、前記粘着剤及びPET(poly(ethylene terephthalate))フィルムを前記順に含む積層体を2秒間につき一度フォールディング後に広げる過程を100,000回繰り返した後の前記ITOフィルムのITO層の抵抗であり、Riは、前記フォールディング後の広げる過程を100,000回繰り返す前の前記ITOフィルムのITO層の抵抗である。
【0088】
式9の△R2を求めるための前記フォールディング過程は、式8の△R1を求める場合と同じである。
【0089】
式9の△R2またはその絶対値の上限は、290%、285%、280%、275%、270%、265%、260%、255%、250%、245%、240%、235%、230%、225%、220%、215%、210%、205%、200%、195%、190%、185%、180%、175%、170%、165%、160%、155%、150%、145%、140%、135%、130%、125%または120%程度であってもよく、その下限は、0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、110%、120%、130%、140%または150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%または200%程度であってもよい。前記△R2またはその絶対値は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0090】
前記粘着剤は、前述した特性とともに優れた回復率を示すことができる。例えば、前記粘着剤は回復率の下限は、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%または83%程度であってもよく、その上限は、100%、98%、96%、94%、92%、90%、88%、86%、84%または82%程度であってもよい。前記回復率は、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0091】
前記回復率は、本明細書の実施例の回復率測定方式によって測定した結果である。
【0092】
前記粘着剤は、低温で適切な弾性率を示すことができる。
【0093】
例えば、前記粘着剤の-20℃における弾性率の上限は、1MPa、0.9MPa、0.8MPa、0.7MPa、0.6MPa、0.5MPa、0.4MPa、0.3MPaまたは0.2MPa程度であってもよく、その下限は、0.01MPa、0.03MPa、0.05MPa、0.07MPa、0.09MPa、0.1MPa、0.2MPa、0.3MPa、0.4MPaまたは0.5MPa程度であってもよい。前記弾性率は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0094】
また、前記粘着剤は、前記弾性率を確認するためのStrain-Stress曲線の線形区間における最大ストレスが所定の範囲内であってもよい。例えば、前記最大ストレスの上限は、30,000Pa、25,000Pa、20,000Pa、15,000Pa、10,000Paまたは9,000Pa程度であってもよく、その下限は、1,000Pa、3,000Pa、5,000Pa、7,000Pa、8,000Pa、8,500Pa、10,000Pa、15,000Pa、20,000Pa、22,000Paまたは24,000Pa程度であってもよい。前記最大ストレスは、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0095】
前記弾性率及び最大ストレスを測定する方法は、本明細書の実施例(弾性率及び最大ストレスの測定項目)に記載されている。
【0096】
前記弾性率は、一定のひずみ(strain)が発生するようにせん断力を印加しながら粘着剤にかかるストレス(stress)を測定し、前記ひずみによる前記ストレスの変化を示すグラフ(Strain-Stress曲線、X軸をstrain(%)とし、Y軸をstress(Pa)して示したグラフ)を通じて求められるYoung's modulusである。このようなYoung's modulusは、通常、前記Strain-Stress曲線においてstrainに対するstressの変化が実質的に線形を示す区間で測定する。このようなYoung's modulusは、加えられたstrainによるstressの変化率を示すため、同じYoung's modulusを持つ粘着剤の場合でも応力に対する挙動は異なることがあり、したがって、これを反映するために前記線形区間内での最大ストレスを導入してもよい。すなわち、前記Young's modulus及び最大ストレスを同時に示す粘着剤は、フレキシブルデバイスの要求物性を効果的に満たすことができる。
【0097】
一例において、前記線形区間は、0%のひずみから400%のひずみまでのひずみが1秒間一定に発生するように設定された機器を介して示されたStrain-Stress曲線において0.7%~4%ひずみの区間であってもよく、したがって、前記最大ストレスは、前記Strain-Stress曲線において4%のstrainでのストレスであってもよい。
【0098】
前記粘着剤は、フォルダブルデバイスに適した弾性特性とともに優れた裁断性、作業性、回復性及び信頼性を示すことができる。すなわち、前記のような粘着剤は、フォルダブルデバイスに適用され、繰り返される変形に効果的に追従しながらも適切な回復性、裁断性及び信頼性などを示すことができる。
【0099】
一例において、前記のような特性を示す粘着剤は、以下の粘着剤であってもよい。
【0100】
前記粘着剤は、粘着性ポリマーを含んでもよい。
【0101】
粘着性ポリマーとしては、業界で粘着剤を形成しうることが知られているポリマーを使用してもよい。前記粘着性は、公知のように水、溶剤または熱などを使用せずに、常温で圧力を加えることで接着が可能であり、剥離できる特性を意味する。
【0102】
一例において、前記粘着性ポリマーは、アクリル共重合体であってもよい。
【0103】
本明細書で使用される用語の共重合体とは、2種以上のモノマーを含むモノマー混合物の重合反応の結果物を意味する。
【0104】
本明細書において、用語のモノマー単位とは、前記重合反応後のモノマーの状態を意味する。
【0105】
本明細書において用語のアクリル共重合体は、アクリルモノマー単位を主成分として含む共重合体である。このとき、主成分は、前記アクリル共重合体において前記アクリルモノマー単位の割合が55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上または95重量%以上の場合を意味する。アクリル共重合体においてアクリルモノマー単位の含量の上限には特に制限はない。例えば、前記アクリル共重合体は、前記アクリルモノマー単位を100重量%以下または100重量%未満で含んでもよい。
【0106】
本明細書において用語のアクリルモノマーとは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
【0107】
本明細書において用語の(メタ)アクリルは、アクリルやメタクリルを意味する。
【0108】
本出願の粘着剤において、前記粘着性ポリマーが架橋性の場合、粘着剤内で前記ポリマーは、架橋後の状態であってもよい。このような粘着剤は、例えば、前記粘着性ポリマーを含む粘着剤組成物を架橋させて形成しうる。
【0109】
粘着剤は、前記粘着性ポリマーを主成分で含んでもよい。例えば、前記粘着剤組成物内で前記粘着性ポリマーの割合は、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上または99重量%以上程度であってもよい。粘着剤において前記粘着性ポリマーの含量の上限には特に制限はない。例えば、前記粘着性ポリマーは、前記粘着剤内に100重量%以下または100重量%未満で含まれてもよい。
【0110】
本出願では、前記特定の粘着剤を形成するために、前記粘着性ポリマーとして、特定のアクリル共重合体を適用してもよい。
【0111】
例えば、前記アクリル共重合体として、結晶性を示すアクリル共重合体を適用してもよい。本出願においてアクリル共重合体が結晶性を示すということは、本明細書の実施例に記載のDSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法において融点(Tm,melting point)が確認されることを意味する。本明細書において融点と溶融温度は、同じ意味である。
【0112】
アクリル共重合体は一般的に非結晶性である。本出願では、前記アクリル共重合体のモノマー単位の制御を通じて前記共重合体に結晶性を付与する。
【0113】
本出願では、前記アクリル共重合体として、ガラス転移温度(Tg,glass transition temperature)及び融点を同時に有する共重合体を使用してもよく、これにより所望の粘着剤を効果的に形成しうる。前記においてガラス転移温度と融点を同時に有するということは、前記DSC(Differential Scanning Calorimeter)測定方法においてガラス転移温度と融点が同時に確認されることを意味する。
【0114】
所望の特性を確保するために、前記融点とガラス転移温度が調節されてもよい。
【0115】
例えば、前記アクリル共重合体のガラス転移温度の上限は、-30℃、-35℃、-40℃、-45℃、-50℃、-55℃または-60℃程度であってもよく、その下限は、-100℃、-90℃、-80℃、-70℃または-65℃程度であってもよい。前記ガラス転移温度は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0116】
前記アクリル共重合体の融点の上限は、-10℃、-15℃、-20℃、-25℃、-30℃、-35℃または-40℃程度であってもよく、その下限は、-80℃、-75℃、-70℃、-65℃、-60℃、-55℃、-50℃または-45℃程度であってもよい。前記融点は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0117】
前記アクリル共重合体の融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)の差が所定範囲であってもよい。前記差は、融点(Tm)から前記ガラス転移温度(Tg)を引いた値(Tm-Tg)である。前記差の下限は、5℃、10℃または15℃程度であってもよく、その上限は、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃または20℃程度であってもよい。前記融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)の差は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0118】
このような特性を示すアクリル共重合体の適用を通じて、所望の特性を効率的に確保しうる。
【0119】
適切な特性を確保するために、前記アクリル共重合体の重量平均分子量が調節されてもよい。前記重量平均分子量と後述する分子量の分布は、本明細書に記載のGPC(gel permeation chromatography)により測定する。
【0120】
前記アクリル共重合体の重量平均分子量の下限は、100万、110万、120万、130万、140万または150万程度であってもよく、その上限は、500万、400万、300万、250万、200万、190万、180万、170万、160万または155万程度であってもよい。前記重量平均分子量は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0121】
前記アクリル共重合体は、所定範囲の分子量分布を有してもよい。また、前記アクリル共重合体は、前記分子量分布に応じて適切な架橋剤により架橋され、前記粘着剤に含まれていることが適切である。分子量分布は、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値(Mw/Mn)である。通常、分子量分布が小さいほど、共重合体内に平均分子量を基準として相対的に分子量の小さい成分と相対的に分子量の大きい成分の割合が少なく、共重合体の組成が均一であり、弾性率などの流変物性も安定的であると認識される。しかし、フレキシブルデバイスに適した物性は、変形に対する追従性と回復性、前記追従性と裁断性及び信頼性などの互いに相反する物性を含み、したがって、このような物性の安定的な確保のためには、適用される架橋剤の種類に応じて分子量分布が調節されることが必要である場合がある。
【0122】
一例において、前記アクリル共重合体が後述する熱架橋剤により架橋して含まれる場合、前記分子量分布の下限は、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0程度であってもよく、その上限は、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6または5.5程度であってもよい。前記分子量分布は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述する熱架橋剤によって架橋されることが所望のタイプの粘着剤の形成に適切である。このようなタイプのアクリル共重合体は、前記熱架橋剤によってのみ架橋されることが適切である。例えば、前記アクリル共重合体は、前記熱架橋剤によってのみ架橋されるか、または前記熱架橋剤及びラジカル架橋剤を同時に適用して架橋される場合にも使用される熱架橋剤の重量(A)とラジカル架橋剤の重量(B)の割合(B/A)が一定レベル以下であることが適切である。例えば、前記重量比B/Aの上限は、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007、0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、0.001、0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.0004、0.0003、0.0002または0.0001程度であってもよく、その下限は0程度であってもよい。前記割合B/Aは、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述するラジカル架橋剤によって架橋されることが所望のタイプの粘着剤の形成に適切である。
【0123】
一例において、前記アクリル共重合体が後述するラジカル架橋剤により架橋して含まれる場合、前記分子量分布の下限は、0.5、1、1.5または2程度であってもよく、その上限は、3、2.8、2.6または2.4程度であってもよい。前記分子量分布は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述するラジカル架橋剤によって架橋されることが所望のタイプの粘着剤の形成に適切である。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述する熱架橋剤によって架橋されることが所望のタイプの粘着剤の形成に適切である。このようなタイプのアクリル共重合体は、前記ラジカル架橋剤によってのみ架橋されることが適切である。例えば、前記アクリル共重合体は、前記ラジカル架橋剤によってのみ架橋されるか、または前記熱架橋剤及びラジカル架橋剤を同時に適用して架橋される場合にも使用される熱架橋剤の重量(C)とラジカル架橋剤の重量(D)の割合(C/D)が一定レベル以下であることが適切である。例えば、前記重量比C/Dの上限は、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.09、0.08、0.07、0.06、0.05、0.04、0.03、0.02、0.01、0.009、0.008、0.007,0.006、0.005、0.004、0.003、0.002、0.001、0.0009、0.0008、0.0007、0.0006、0.0005、0.0004、0.0003、0.0002または0.0001程度であってもよく、その下限は0程度であってもよい。前記割合C/Dは、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。このような分子量分布のアクリル共重合体は、後述するラジカル架橋剤によって架橋されることが所望のタイプの粘着剤の形成に適切である。
【0124】
アクリル共重合体の分子量分布を調整する方法そのものは公知であり、例えば、分子量調節剤の使用、開始剤の割合の調整及び/又は重合時間の調整などの中から選ばれる1つ以上の方式を通じて前記分子量分布を制御しうる。
【0125】
このような前記アクリル共重合体は、少なくともアルキル(メタ)アクリレート単位、下記化1の単位及び極性官能基含有単位を含んでもよい。
【0126】
また、単位は、モノマー単位を意味する。
【0127】
【化1】
【0128】
化1において、Rは、水素またはアルキル基を表し、Rは、炭素数11~13のアルキル基を表す。
【0129】
前記モノマー単位を含むアクリル共重合体は、所望の粘着剤を形成するのに効果的である。
【0130】
アクリル共重合体は、前記化1の単位及び/又は極性官能基含有単位の所定割合下で前述した結晶性共重合体から形成されるか、またはそれに類似した性質を有する共重合体から形成されてもよい。また、このような結晶性の共重合体を前述した分子量分布で形成することにより、所望の特性を効果的に満たす粘着剤が得られる。
【0131】
例えば、化1の単位が所定の割合で存在する場合、そして、場合に応じて化1の単位が所定の割合で存在する極性官能基と相互作用する場合、このような共重合体は結晶性を示すか、または少なくとも結晶性に類似した性質を示すことができる。このように結晶性を有するか、または結晶性に類似した性質を示す共重合体が適用される場合、前述した特性の粘着剤を効率的に形成しうる。したがって、このような共重合体が適用された粘着剤を通じて前述した弾性率の特性を示す粘着剤を効果的に形成しうる。
【0132】
共重合体に含まれるアルキル(メタ)アクリレート単位としては、例えば、炭素数1~10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートに由来する単位を使用してもよい。前記アルキル基は、他の例において炭素数2~20、炭素数3~10、炭素数4~10、炭素数4~10、炭素数4~9または炭素数4~8のアルキル基であってもよい。前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例において、前記アルキル基として直鎖または分岐鎖であり、また非置換されたアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートを使用して前記単位を形成しうる。
【0133】
前記アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートまたはイソオクチル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0134】
前記アクリル共重合体は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を所定の割合で含んでもよい。例えば、前記共重合体内の前記単位の含量の下限は、約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%または40重量%程度であってよく、その上限は、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%または40重量%程度であってもよい。このような範囲内で所望の粘着剤を効果的に形成しうる。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0135】
前記極性官能基含有単位は、極性官能基を有するモノマーによって形成された単位である。このようなモノマーは、通常、重合性基(ex.炭素炭素二重結合)及び極性官能基を同時に含む。
【0136】
極性官能基を有するモノマーとしては、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー及び窒素含有モノマーなどが挙げられ、本出願では、特にヒドロキシ基含有モノマーを適用することが有利であるが、これに制限されるものではない。
【0137】
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたは2-ヒドロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられ、カルボキシル基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物などが挙げられ、窒素含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンまたはN-ビニルカプロラクタムなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。前記のうち1種または2種以上の混合が使用されてもよい。
【0138】
一例において前記極性官能基含有単位としては、ヒドロキシ含有モノマー単位が適用されてもよく、具体的には、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単位が適用されてもよく、このとき、前記ヒドロキシアルキル部位のアルキルの炭素数が1~20、1~16、1~12、1~8、1~4または2~4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単位が適用されてもよい。前記ヒドロキシアルキル部位のアルキルは、直鎖または分岐鎖であってもよい。
【0139】
前記極性官能基含有単位の前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対する重量部の下限は、10重量部、15重量部、20重量部、25重量部、30重量部、35重量部、40重量部、45重量部または50重量部程度であってもよく、その上限は、200重量部、195重量部、190重量部、185重量部、180重量部、175重量部、170重量部、165重量部、160重量部、155重量部、150重量部、145重量部、140重量部、135重量部、130重量部、125重量部、120重量部、115重量部、110重量部、105重量部、100重量部、95重量部、90重量部、85重量部、80重量部、75重量部、70重量部、65重量部、60重量部、55重量部、50重量部、45重量部、40重量部または38重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。このような割合下で粘着剤の耐久性と粘着性と剥離力を安定的に維持しうる。
【0140】
化1の単位は、長鎖のアルキル基を含む単位であり、このような単位は一定割合以上共重合体に含まれ、場合に応じて極性官能基と相互作用して共重合体に結晶性または結晶性に類似した性質を付与しうる。
【0141】
化1の単位においてRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0142】
化1においてRは、炭素数11~13のアルキル基であり、このようなアルキル基は、直鎖または分岐鎖であってもよく、置換または非置換されたものであってもよい。一例において、前記Rは、直鎖であり、非置換されたアルキル基であってもよい。例えば、ラウリル(メタ)アクリレート及び/又はテトラデシル(メタ)アクリレートなどを使用して化1の単位を形成しうる。
【0143】
化1の単位は、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対する重量部の下限は、80重量部、85重量部、90重量部、95重量部、100重量部、105重量部、110重量部、115重量部、120重量部、125重量部、130重量部、135重量部、140重量部、145重量部、150重量部、155重量部、160重量部、175重量部、180重量部、185重量部、190重量部、195重量部、200重量部、205重量部、210重量部、215重量部、220重量部、225重量部、230重量部、235重量部、240重量部、245重量部、250重量部、255重量部、260重量部、275重量部、280重量部、285重量部、290重量部、295重量部または300重量部程度であってよく、その上限は、600重量部、595重量部、590重量部、585重量部、580重量部、575重量部、570重量部、565重量部、560重量部、555重量部、550重量部、545重量部、540重量部、535重量部、530重量部、525重量部、520重量部、515重量部、510重量部、505重量部、500重量部、495重量部、490重量部、485重量部、480重量部、475重量部、470重量部、465重量部、460重量部、455重量部、450重量部、445重量部、440重量部、435重量部、430重量部、425重量部、420重量部、415重量部、410重量部、405重量部、400重量部、395重量部、390重量部、385重量部、380重量部、375重量部、370重量部、365重量部、360重量部、355重量部、350重量部、345重量部、340重量部、335重量部、330重量部、325重量部、320重量部、315重量部、310重量部、305重量部、300重量部、295重量部、290重量部、285重量部、280重量部、275重量部、270重量部、265重量部、260重量部、255重量部、250重量部、245重量部、240重量部、235重量部、230重量部、225重量部、220重量部、215重量部、210重量部、205重量部、200重量部、195重量部、190重量部、185重量部、180重量部、175重量部、170重量部、165重量部、160重量部、155重量部、150重量部、145重量部、140重量部、135重量部、130重量部、125重量部、120重量部、115重量部、110重量部、105重量部または100重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であるか、または前述した上限のうち任意のいずれかの上限の以下または未満でありながら、前述した下限のうち任意のいずれかの下限の以上または超過であってもよい。
【0144】
前記アクリル共重合体が前述したガラス転移温度と融点を同時に示すようにするために、モノマー単位の割合が調節されてもよい。
【0145】
すなわち、前述した3種のモノマー単位を所定割合で含むアクリル共重合体は結晶性を有するか、または結晶性に類似した性質を示しやすいが、前述した融点とガラス転移温度を同時に有するようにするために、アクリル共重合体の組成がさらに調節されてもよい。
【0146】
例えば、アクリル共重合体が前述した結晶性を示すためには、前述した単位のうち、化1の単位が前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して少なくとも80重量部以上含まれる必要がある。結晶性アクリル共重合体において前記化1の単位の割合は、他の例において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して85重量部以上、95重量部以上または100重量部以上程度であるか、または500重量部以下、495重量部以下、490重量部以下、485重量部以下、480重量部以下、475重量部以下、470重量部以下、465重量部以下、460重量部以下、455重量部以下、450重量部以下、445重量部以下、440重量部以下、435重量部以下、430重量部以下、425重量部以下、420重量部以下、415重量部以下、410重量部以下、405重量部以下、400重量部以下、395重量部以下、390重量部以下、385重量部以下、380重量部以下、375重量部以下、370重量部以下、365重量部以下、360重量部以下、355重量部以下、350重量部以下、345重量部以下、340重量部以下、335重量部以下、330重量部以下、325重量部以下、320重量部以下、315重量部以下、310重量部以下、305重量部以下、300重量部以下、295重量部以下、290重量部以下、285重量部以下、280重量部以下、275重量部以下、270重量部以下、265重量部以下、260重量部以下、255重量部以下、250重量部以下、245重量部以下、240重量部以下、235重量部以下、230重量部以下、225重量部以下、220重量部以下、215重量部以下、210重量部以下、205重量部以下、200重量部以下、195重量部以下、190重量部以下、185重量部以下、180重量部以下、175重量部以下、170重量部以下、165重量部以下、160重量部以下、155重量部以下、150重量部以下、145重量部以下、140重量部以下、135重量部以下、130重量部以下、125重量部以下、120重量部以下、115重量部以下、110重量部以下、105重量部以下または100重量部以下程度であってもよい。
【0147】
結晶性アクリル共重合体において前記化1の単位の重量(A)と前記極性官能基含有単位の重量(B)の割合(A/B)は、1.5以上であってもよい。前記割合(A/B)は、他の例において、1.7以上、1.9以上、2.1以上、2.3以上または2.5以上であってもよく、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下または3以下程度であってもよい。また、結晶性アクリル共重合体において前記極性官能基含有単位は、ヒドロキシ基含有単位であってもよい。一例において、炭素数3~6、炭素数3~5、炭素数3~4または炭素数4程度のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、前記結晶性アクリル共重合体を適切に形成しうる。その理由は明確ではないが、化1の単位のアルキル基(R)と前記ヒドロキシアルキル基の相互作用がアクリル共重合体の結晶性の発現に寄与するものと考えられる。
【0148】
結晶性アクリル共重合体では、前記アルキル(メタ)アクリレート単位を約15~55重量%の範囲内の割合で含んでもよい。前記アルキル(メタ)アクリレート単位の割合は、他の例において、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上または40重量%以上であってもよく、50重量%以下または45重量%以下程度であってもよい。このような範囲内で所望の粘着剤層を効果的に形成しうる。
【0149】
前記割合で含まれる各モノマー単位の相互作用または規則性によってアクリル共重合体に結晶性が付与され、融点が確認されるものと考えられる。
【0150】
アクリル共重合体は、前述したモノマー単位にさらに目的を損なわない限り、他のモノマー単位を含んでもよい。
【0151】
例えば、前記アクリル共重合体は、下記化2のモノマー単位をさらに含んでもよい。下記化2のモノマー単位は、任意のモノマー単位であり、前記アクリル共重合体に含まれなくてもよい。
【0152】
【化2】
【0153】
化2において、Rは、水素またはアルキル基を表し、Rは、芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基である。
【0154】
化2の単位は、側鎖に芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基を含む単位である。
【0155】
粘着剤内で前記芳香族ケトン基または(メタ)アクリロイル基は、その状態で存在してもよく、後述する水素除去反応またはラジカル反応を経た後の状態で存在してもよい。
【0156】
化2の単位において芳香族ケトン基は、電磁波に晒されると、重合体鎖から水素除去(hydrogen abstraction)を誘導する芳香族ケトン基またはそのような芳香族ケトン基を含む置換基を意味する。
【0157】
電磁波に晒されると、前記芳香族ケトン基は、他の重合体鎖からまたは重合体鎖の他の部分から水素原子を除去しうる。このような除去はラジカルの形成を引き起こし、ラジカルは、重合体鎖の間に、または同一重合体鎖内に架橋結合を形成してもよい。このような芳香族ケトン基のカテゴリーには、例えば、ベンゾフェノン、アセトフェノン、またはアントロキノンの誘導体などの芳香族ケトン基が含まれる。
【0158】
芳香族ケトン基を有する化2の単位を誘導するモノマーとしては、4-ベンゾイルフェニル(メタ)アクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシエトキシ-4'-メトキシベンゾフェノン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-4'-ブロモベンゾフェノン及び/又は4-アクリロイルオキシエトキシ-4'-ブロモベンゾフェノンなどがあるが、これに制限されるものではない。
【0159】
化2の単位において(メタ)アクリロイル基は、適切なラジカル開始剤の存在下で電磁波に晒されると、フリーラジカル重合を誘導する(メタ)アクリロイル基またはそれを含む置換基を意味する。このような(メタ)アクリロイル基は、電磁波の照射により前記芳香族ケトン基に類似した作用が可能である。
【0160】
前記Rが(メタ)アクリロイル基である化2の単位は、例えば、前駆体共重合体を製造し、次に不飽和試薬化合物とさらに反応させて(メタ)アクリロイル基を導入して形成してもよい。通常、前記(メタ)アクリロイル基の導入は、(1)前駆体共重合体上の求核性基と不飽和試薬化合物上の求電子性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求電子性基及び(メタ)アクリロイル基の両方を含む。)との間の反応、または(2)前駆体共重合体上の求電子性基と不飽和試薬化合物上の求核性基(すなわち、不飽和試薬化合物は、求核性基及び(メタ)アクリロイル基の両方を含む)との間の反応を伴う。求核性基と求電子性基との間のこれらの反応は、典型的には開環反応、付加反応または縮合反応である。
【0161】
この場合、前駆体共重合体は、ヒドロキシ、カルボン酸(-COOH)、または無水物(-O-(CO)-O-)基を有する。前駆体共重合体がヒドロキシ基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、カルボン酸(-COOH)、イソシアネート(-NCO)、エポキシ(すなわち、オキシラニル)または無水物基を有する。前駆体共重合体がカルボキシル基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えて、ヒドロキシ、アミノ、エポキシ、イソシアネート、アジリジニル、アゼチジニルまたはオキサゾリニル基を有する。前駆体(メタ)アクリレート共重合体が無水物基を有する場合、不飽和試薬化合物は、(メタ)アクリロイル基に加えてヒドロキシまたはアミン基を有する。
【0162】
一例において、前駆体共重合体は、カルボキシル基を有し、不飽和試薬化合物は、エポキシ基を有してもよい。例示的な不飽和試薬化合物には、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが含まれる。他の例において、前駆体共重合体は、無水物基を有し、これはヒドロキシ-置換されたアルキル(メタ)アクリレート、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの不飽和試薬化合物と反応する。さらに他の例において、前駆体共重合体は、ヒドロキシ基を有し、不飽和試薬化合物は、イソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有する。このような不飽和試薬化合物にはイソシアネートアルキル(メタ)アクリレート、例えば、イソシアネートエチル(メタ)アクリレートが含まれるが、これに限定されるものではない。
【0163】
前記(メタ)アクリロイル基は、一例において、化学式CH=CHR-(CO)-Q-L-(ここで、Lは、連結基であり、Qは、オキシ(-O-)または-NH-である)で表される。前記Lは、アルキレン、アリーレンまたはこれらの組み合わせを含み、(メタ)アクリロイル基を形成するように反応する、前駆体共重合体及び特定の不飽和試薬化合物によって選択的に-O-、-O-(CO)-、-NH-(CO)-、-NH-、またはこれらの組み合わせをさらに含む。一部の特定の例において、前記(メタ)アクリロイル基は、前駆体共重合体の化学式-(CO)-O-R-OHで表されるヒドロキシ含有基と化学式HC=CHR-(CO)-O-R-NCOで表されるイソシアネートアルキル(メタ)アクリレートである不飽和試薬化合物との反応により形成されるHC=CHR1-(CO)-O-R-NH-(CO)-O-R-O-(CO)-である。前記R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基、例えば、1~10個の炭素原子、1~6個の炭素原子、または1~4個の炭素原子を有するアルキレンである。また、前記においてRは、メチルまたは水素である。
【0164】
化2の単位においてRは、水素または炭素数1~4のアルキル基であってもよく、具体的には、水素、メチルまたはエチル基であってもよい。
【0165】
化2の単位は、含まれる場合に前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して約0.001~5重量部の割合でアクリル共重合体に含まれてもよい。
【0166】
適切な例において、前記アクリル共重合体は、前記化2の単位を含まないか、または相対的に少量で含まれてもよく、このような組成下で所望の物性の粘着剤をより効果的に形成しうる。すなわち、前記化2の単位は、電磁波などの追加的なエネルギーによって粘着剤において架橋構造を形成させることができる単位であるが、このような単位が一定レベル以上存在すると、設計された粘着剤の架橋構造が変更され、流変物性などが損なわれるおそれがあるため、所望の特性を確保するためには、前記単位を含まない方がより有利となり得る。
【0167】
したがって、一例において、前記アクリル共重合体の全重量を基準とした前記化2の単位の割合の上限は、0.1重量%、0.09重量%、0.08重量%、0.07重量%、0.06重量%、0.05重量%、0.04重量%、0.03重量%、0.02重量%、0.01重量%、0.009重量%、0.008重量%、0.007重量%、0.006重量%、0.005重量%、0.004重量%、0.003重量%、0.002重量%または0.001重量%程度であってもよく、その下限は、0重量%程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0168】
他の例において、前記アルキル(メタ)アクリレート単位100重量部に対して前記化2の単位の割合の上限は、0.2重量部、0.15重量部、0.1重量部、0.05重量部、0.01重量部、0.005重量部、0.004重量部、0.003重量部、0.002重量部、0.001重量部、0.00095重量部または0.0009重量部程度であってよく、その下限は、0重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0169】
前記粘着剤層は、架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤は、前記アクリル共重合体と反応して架橋構造を具現してもよい。
【0170】
架橋剤の種類は特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物などの一般的な架橋剤を使用してもよい。このようなタイプの架橋剤は、熱の印加によって架橋構造を具現する、いわゆる熱架橋剤であり、後述するラジカル架橋剤とは異なるものである。このような架橋剤は、前述した内容によってアクリル共重合体の分子量分布に応じて選ばれてもよい。前記イソシアネート系化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート及び前記のいずれかのポリオール(ex.トリメチロールプロパン)との反応物からなる群から選ばれる1つ以上が挙げられ、エポキシ系化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N,N,N',N'-テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられ、アジリジン系化合物の具体例としては、N,N'-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N,N'-ジフェニルメタン-4,4'-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル-1-(2-メチルアジリジン)及びトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドからなる群から選ばれる1つ以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。また、前記金属キレート系化合物の具体例としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム及び/又はバナジウムなどの多価金属がアセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルなどに配位している化合物などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0171】
粘着剤層において前記熱架橋剤の前記アクリル共重合体100重量部に対する重量部の下限は、0.01重量部、0.02重量部、0.03重量部、0.04重量部、0.05重量部、0.06重量部または0.07重量部程度であってもよく、その上限は、20重量部、15重量部、10重量部、5重量部、4重量部、3重量部、2重量部、1重量部、0.8重量部、0.6重量部、0.4重量部、0.2重量部、0.15重量部、0.1重量部または0.09重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0172】
前記含量範囲において適切なレベルで前記アクリル共重合体を架橋させるように架橋剤の含量が選択されれば、所望の粘着剤を効果的に形成しうる。
【0173】
粘着剤は、前記架橋剤として、前記熱架橋剤とは異なるタイプの架橋剤であり、いわゆるラジカル架橋剤を含んでもよい。このような架橋剤は、ラジカル反応により架橋構造を具現する。このような架橋剤も前述したアクリル共重合体の分子量分布に応じて選ばれてもよい。所望の特性を効率的に達成するために、前記のようなラジカル架橋剤を適用することがより有利となり得る。このようなラジカル架橋剤としては、いわゆる多官能アクリレートが挙げられ、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalicl acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorine)などの二官能性アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、三官能性ウレタン(メタ)アクリレート、またはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの三官能性アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能性アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの五官能性アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアネートモノマー及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物などの六官能性アクリレートなどが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0174】
粘着剤層において前記ラジカル架橋剤も目的に応じて適正割合で存在してもよく、例えば、前記アクリル共重合体100重量部に対する前記ラジカル架橋剤の重量割合の下限は、0.001重量部、0.005重量部、0.01重量部、0.02重量部、0.03重量部、0.04重量部または0.05重量部程度であってよく、その上限は、10重量部、9.5重量部、9重量部、8.5重量部、8重量部、7.5重量部、7重量部、6.5重量部、6重量部、5.5重量部、5重量部、4.5重量部、4重量部、3.5重量部、3重量部、2.5重量部、2重量部、1.5重量部、1重量部、0.9重量部、0.8重量部、0.7重量部、0.6重量部、0.5重量部、0.4重量部、0.3重量部、0.2重量部、0.1重量部、0.09重量部、0.08重量部、0.07重量部、0.06重量部または0.05重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0175】
粘着剤は、前記成分の他にも必要に応じて適正な添加成分を含んでもよく、例えば、ラジカル開始剤や紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤及び/又は架橋触媒などの成分をさらに含んでもよい。
【0176】
ただし、前記粘着剤は、クエン酸エステル系化合物、例えば、末端が水素またはアルキル基に置換されたクエン酸エステル系化合物を含まないか、または含む場合でもその含量の一定レベル以下に制限されてもよい。その理由は明確ではないが、前記のようなクエン酸エステル系化合物は、粘着剤の架橋構造が目的水準とは異なるように調節されるようにし、それによって所望の物性を確保しにくくする傾向がある。
【0177】
一例において、前記アクリル共重合体100重量部に対する前記クエン酸エステル系化合物の重量割合の上限は、5重量部、4.5重量部、4重量部、3.5重量部、3重量部、2.5重量部、2重量部、1.5重量部、1重量部または0.5重量部程度であってよく、その下限は、0重量部、0.5重量部、1重量部、1.5重量部、2重量部、2.5重量部または3重量部程度であってもよい。前記割合は、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満であるか、または前述した下限のうち任意のいずれかの下限以上または超過でありながら、前述した上限のうち任意のいずれかの上限以下または未満の範囲内であってもよい。
【0178】
前記粘着剤は、前記成分を含む粘着剤組成物を架橋して形成してもよい。架橋により前記粘着剤層を形成する方法は特に制限されず、粘着性ポリマー及び/又は架橋剤のタイプを考慮して適正な架橋方式を適用して前記粘着剤を形成してもよい。例えば、前記ポリマー及び/又は架橋剤が熱の印加により架橋されるタイプであれば、適切な熱を印加して架橋物を形成してもよく、電磁波の照射により架橋されるタイプであれば適切な電磁波を照射して架橋物を形成してもよく、その他の架橋方式も適用されてもよい。
【0179】
このような粘着剤は、前述した特性を示すことができる。
【0180】
このような本出願の粘着剤は層状であってもよい。この場合、前記粘着剤層の厚さは特に制限されず、適用される用途を考慮して通常の粘着剤層の厚さを有してもよい。通常、粘着剤層の厚さは5μm~100μmの範囲内で定められるが、これに制限されるものではない。
【0181】
本出願は、さらに基材フィルム及び前記基材フィルムの片面または両面に形成された粘着剤を含む粘着フィルムまたは光学積層体に関する。光学積層体の場合、前記基材フィルムは、光学フィルムであってもよい。前記粘着剤は、層状で含まれてもよい。
【0182】
本出願の粘着剤は、前記基材フィルムの片面または両面に形成されて粘着フィルムを形成してもよく、または光学フィルムである前記基材フィルムの片面または両面に形成されて光学積層体を形成してもよい。
【0183】
前記基材フィルムの種類は、特に制限されるものではない。前記基材フィルムとしては、通常、粘着フィルムの形成に適用できる基材フィルムが適用されてもよい。
【0184】
例えば、基材フィルムとしては、PET(poly(ethylene terephthalate))フィルム、PTFE(poly(tetrafluoroethylene))フィルム、PP(polypropylene)フィルム、PE(polyethylene)フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、COP(cyclic olefin polymer)フィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム及び/又はポリイミドフィルムなどが使用されてもよいが、これに制限されるものではない。
【0185】
前記基材フィルムの厚さなどは特に制限されず、目的に適した範囲内で適正な厚さを有してもよい。
【0186】
基材フィルムとして光学フィルムが適用される場合、前記光学フィルムの種類にも特に制限はない。一例において、前記光学フィルムは、偏光フィルム、偏光板または位相差フィルムなどであってもよい。この場合にも前記光学フィルムは、目的に応じて適切な範囲の厚さを有してもよい。
【0187】
前記粘着フィルムや光学積層体は、また、必要に応じて前記粘着剤層を使用する前まで保護するための離型フィルムまたは保護フィルムをさらに含んでもよい。
【0188】
本出願は、さらに前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体を含むフレキシブルデバイスに関する。前記粘着剤は、層状で含まれてもよい。前記デバイスにおいて前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態には、特に制限はない。例えば、前記粘着剤は、前記デバイスにおいて、いわゆるOCA(Optically Clear Adhesive)またはOCR(Optically Clear Resin)の用途として使用されてもよく、したがって、前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体の適用形態は、通常のOCAまたはOCRの適用形態と同じであってもよい。
【0189】
この場合、一例において、前記フレキシブルデバイスは、ディスプレイパネル及び前記ディスプレイパネルの片面または両面に存在する前記粘着剤、粘着フィルムまたは光学積層体を含んでもよい。この場合、前記ディスプレイパネルは、1つ以上のフォールディング軸またはローリング軸を通じてフォールディングまたはローリングできるように構成されてもよい。
【0190】
前記のようなフレキシブルデバイスを構成する他の要素は特に制限はなく、公知のフレキシブルデバイスの構成要素を制限なく採用してもよい。
【発明の効果】
【0191】
本出願では、フレキシブルデバイスに適した粘着剤及びそれを含むデバイスを提供しうる。一例において、本出願では、フレキシブルデバイスに適用されて繰り返される変形と回復に効果的に対応し、変形前後に不良を誘発せず、回復性、裁断性、作業性及び信頼性なども優れた粘着剤を提供しうる。本出願は、さらに前記粘着剤を含む粘着フィルムまたは光学フィルム及びフォルダブルデバイスまたはローラブルデバイスなどのフレキシブルデバイスを提供しうる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
図1】フォールディングテストが行われる過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0193】
以下、実施例及び比較例を通じて本出願を具体的に説明するが、本出願の範囲が下記実施例によって制限されるものではない。
【0194】
1.弾性率及び最大ストレスの測定
粘着剤層の弾性率は、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA)を使用して評価した。厚さが約800μmの粘着剤層サンプルを直径が約8mm程度の円状に裁断して試片を製造した。前記粘着剤層サンプルは、厚さが約25μm程度の粘着剤層を32枚積層して製造したものである。パラレルプレートフィクスチャ(parallel plate fixture)(直径:約8mm)を使用し、前記試片に対して測定温度での弾性率を評価した。具体的には、試片に一定のひずみ(strain)が発生するようにせん断力を加えながら粘着剤にかかるストレス(stress)を測定し、ひずみによるストレスの変化が線形を示す区間(線形区間、0.7%~4%ひずみの区間)での最大ストレス(STSMAX)と最小ストレス(STSMIN)を求める。求められた前記最大ストレス(STSMAX)と最小ストレス(STSMIN)を下記式Aに代入して弾性率(Young's Modulus)を求めることができる。前記ひずみの変化は、0%のひずみから400%のひずみまでのひずみが1秒間一定に発生するように機器を設定して行った。
【0195】
[式A]
弾性率(Young's Modulus)(単位:Pa)=100×(STSMAX-STSMIN)/(STNMAX-STNMIN
【0196】
式Aにおいて、STSMAXは、前記線形区間内で粘着剤にかかる最大ストレス(単位:Pa)であり、STSMINは、前記線形区間内で粘着剤にかかる最小ストレス(単位:Pa)であり、STNMAXは、前記最大ストレスが確認されるひずみ(strain)(単位:%)であり、STNMINは、前記最小ストレスが確認されるひずみ(strain)(単位:%)である。
【0197】
2.Stress-Relaxationの測定
粘着剤のStress-Relaxationは、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA)を使用して評価した。厚さが約800μm程度の粘着剤層サンプルを直径が約8mm程度の円状に裁断して試片を製造した。前記粘着剤層サンプルは、厚さが約25μm程度の粘着剤層を32枚積層して前記厚さとなるように製造したものである。パラレルプレートフィクスチャ(parallel plate fixture)(直径:約8mm)を使用し、前記Stress-Relaxationを評価した。100%のひずみ(strain)が0.05秒以内に発生するように装置を設定し、せん断力を加えた。装備に試片をローディングし、設定によって100%のひずみが加えられるように装備を駆動した。装備が駆動され、100%のひずみが加えられた状態を維持しながら試片にかかるストレスを確認しながら最大ストレスSMAXを求め、また、前記100%のひずみが1200秒維持された時点でのストレスS1200を求めた。ひずみが加えられる状態は、装備駆動時点から1200秒以上維持し、このとき、温度は-20℃に固定した。前記1200秒は、ひずみが加えられる時点から計算した維持時間である。
【0198】
3.回復率の測定
粘着剤の回復率は、前記Stress-Relaxation測定と同様にして100%のひずみを1200秒維持し、下記式Bによって計算した。
【0199】
[式B]
回復率(%)=100×(S1s-S1200s)/S1s
【0200】
式Bにおいて、S1sは、前記100%のひずみを1200秒維持する過程においてせん断力の印加後、1秒経過した時点で粘着剤にかかるストレスであり、S1200sは、前記100%のひずみを1200秒維持する過程でせん断力の印加後、1200秒経過した時点で粘着剤にかかるストレスである。
【0201】
4.Sin strainに対するstressの測定
粘着剤のSin strainに対するstressは、ARES G2(Advanced Rheometric Expansion System G2)(TA)を使用して評価した。厚さが約800μm程度の粘着剤層のサンプルを直径が約8mm程度の円状に裁断して試片を製造した。前記粘着剤層サンプルは、厚さが約25μm程度の粘着剤層を32枚積層して前記厚さとなるように製造したものである。パラレルプレートフィクスチャ(parallel plate fixture)(直径:約8mm)を使用し、前記Sin strainに対するstressを評価した。前記試片に時間に応じて下記式CのSin関数(Sin wave equation)によってひずみが発生するように装置を設定し、2秒間、下記式Cによるひずみを粘着剤のサンプルに印加させることを1サイクルとし、これを50回繰り返し(100秒)ながら、試片に対して初期ストレス、最大ストレス及び最後のストレスをそれぞれ評価した。
【0202】
[式C]
Sin wave equation=4×sin(1.575×t)
【0203】
式Cにおいて、tは、時間(単位:秒)である。
【0204】
前記のような方式でひずみを発生させると、約400%のひずみが1秒以内にサンプルに発生し、再び1秒以内の0%のひずみが発生するようにせん断力が逆方向に加えられる。前記初期ストレスは、それぞれの個別サイクルが開始される時点(すなわち、せん断力が加えられる時点)での粘着剤試片から確認されるストレスであり、最大ストレスは、それぞれの個別サイクル内で確認される最大のストレスであり、最後のストレスは、それぞれの個別サイクルが終了する時点で粘着剤の試片で確認されるストレスである。
【0205】
5.融点及びガラス転移温度の評価
融点及びガラス転移温度は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)装備を使用した測定方法によって測定した。装備としてはDSC2500装備(TA社)を使用した。試料(共重合体)約10mgを専用パン(pan)に充填し、昇温条件を10℃/分、冷却条件は、-10℃/分としてN雰囲気で吸熱及び発熱量を温度に応じて確認し、融点及びガラス転移温度を測定した。測定温度の範囲は、-120℃~200℃であった。その条件は、まず常温(約30℃)から-120℃まで約-10℃/分の速度で冷却し、再び200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(一次加熱)。その後、再び約-10℃/分の速度で-120℃まで冷却し、再び200℃まで10℃/分の昇温速度で加熱した(二次加熱)。融点とガラス転移温度は、前記二次加熱時に評価した。
【0206】
6.重量平均分子量の評価
重量平均分子量(Mw)及び分子量分布は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)を使用して測定し、測定条件は、下記の通りである。重量平均分子量の測定時に検量線の作製には標準ポリスチレン(Aglient system(製))を使用して測定結果を換算した。分子量分布は、前記方式により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた後、これを除した値(Mw/Mn)とした。
【0207】
<GPC測定条件>
測定機:Aglient GPC(Aglient 1200 series,U.S.)
カラム:PL Mixed B 2個連結
カラム温度:40℃
溶離液:THF(Tetrahydrofuran)
流速:1.0μL/分
濃度:~1mg/mL(100μl injection)
【0208】
7.ダイナミックフォールディングテスト
フォールディングテストは、図1に示した試片を製造して行った。ITO(Indium Tin Oxide)フィルムとPET(poly(ethylene terephthalate))フィルム(SG00)を粘着剤(F-OCA)で積層し、ITOフィルム/粘着剤層/PETフィルムの積層構造のサンプルを製造し、これを横の長さが約15cmで、縦の長さが約2.5cmとなるように裁断した。前記ITOフィルムは、厚さが約50μm程度のPET(poly(ethyleneterephthalate))フィルム(基材フィルム)の表面に厚さが約1μm程度の結晶性ITO(Indium Tin Oxide)層が形成されたものを使用し、PETフィルムとしては、厚さが約50μm程度のフィルムを使用し、粘着剤層の厚さは、約25μm程度となるようにした。また、積層時にITOフィルムの基材フィルムが粘着剤に接するようにした。図1に示すように、前記裁断された積層体のITO層上に銀ペースト(silver paste)を約1cmの幅で印刷した。ITO層の中心(図1の下図の点線部分)を基準として、左右に約4cm程度離れた状態で2つの銀ペーストを印刷した。前記印刷後、約150℃で約1時間程度印刷されたペーストを乾燥した。前記積層体を試片としてダイナミックフォールディングテストを行った。前記試片をダイナミックチャンバー(Dynamic Chamber)にローディングした。その後、試片を中心部(図1の下図の点線部分)が一度折り畳まれ、広げられることを1サイクルとして前記サイクルを繰り返した。前記折り畳みは、約2.5Rの曲率で折り曲げられ、このとき、温度は-20℃で固定し、1サイクルで一度折り畳まれ、広げられることが2秒間行われるようにした。また、前記折り畳みは、ITOフィルムの銀ペーストが最上部にくるようにして行った。前記フォールディングテスト後、以下の基準に従って粘着剤サンプルを評価した。
【0209】
<評価基準>
O:ITOフィルムの抵抗変化率が300%以下の場合
△:ITOフィルムの抵抗変化率が300%超過、500%以下の場合
×:ITOフィルムの抵抗変化率が500%超過の場合
【0210】
製造例1.共重合体(A)の製造
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、ラウリルアクリレート(LA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を40:40:20の重量比(2-EHA:LA:HBA)で反応器内の溶媒であるエチルアセテートに投入し、ラジカル開始剤(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))を約500ppm添加した後、約50℃で約8時間重合反応させて重合物(共重合体(A))を製造した。
【0211】
製造例2.共重合体(B)の製造
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、ラウリルアクリレート(LA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を45:40:15の重量比(2-EHA:LA:HBA)で50mL vialに投入して混合し、N窒素パージした。光ラジカル開始剤(Irgacure184)を前記混合物に約500ppm程度の量で添加し、メタルハライドランプ(metal halide lamp)で光を照射して共重合体(B)を製造した(照射条件:UV A基準、光量:0.8J/cm、照射時間:約20秒)。前記共重合体(B)は、部分重合されたプレポリマーの形態であった。
【0212】
製造例3.共重合体(C)の製造
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)及びアクリル酸(AA)を98:2の重量比(2-EHA:AA)で反応器内の溶媒であるエチルアセテートに投入し、ラジカル開始剤(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))を約500ppm添加した後、約50℃で約8時間重合反応させて重合物(共重合体(C))を製造した。
【0213】
製造例4.共重合体(D)の製造
2-エチルヘキシルアクリレート(2-EHA)、ラウリルアクリレート(LA)及び4-ヒドロキシブチルアクリレート(HBA)を60:20:20の重量比(2-EHA:LA:HBA)で反応器内の溶媒であるエチルアセテートに投入し、ラジカル開始剤(2,2'-Azobis(4-methoxy-2,4-dimethylvaleronitrile))を約500ppm添加した後、約50℃で約8時間重合反応させて重合物(共重合体(D))を製造した。
【0214】
前記製造された各共重合体に対する重量平均分子量、ガラス転移温度、融点及び分子量分布を下記表1にまとめて記載した。
【0215】
【表1】
【0216】
実施例1.
製造例1の共重合体(A)100重量部に対して約0.07重量部のイソシアネート架橋剤(xylylene diisocyanate)及び0.005重量部の触媒を配合して粘着剤組成物を製造した。前記触媒としては、通常、ヒドロキシ基とイソシアネート基のウレタン反応を促進する触媒を使用した。製造された粘着剤組成物を離型PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムの離型表面上に塗布し、130℃で約3分程度維持して厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0217】
実施例2.
製造例2の共重合体(プレポリマー)(B)に前記共重合体(B)100重量部に対して約0.05重量部の1,6-ヘキサンジオールジアクリレート及び約3重量部の開始剤(Irgacure651)を配合して粘着剤組成物を製造した。前記粘着剤組成物を離型PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムの離型表面上に塗布し、紫外線を照射して厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した(紫外線照射条件:波長=約365nm(black light lamp)、総光量=約1J/cm、照射時間:約3分)。
【0218】
比較例1.
製造例3の共重合体(重合物)(C)100重量部に対して約0.035重量部の架橋剤(製造社:三永インクペイント社,製品名:BXX-5240 0.03重量部及びBXX-5627 0.005重量部)を配合して粘着剤組成物を製造した。前記製造された粘着剤組成物を離型PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムの離型表面上に塗布し、130℃で約3分程度維持して厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0219】
比較例2.
製造例4の共重合体(D)100重量部に対して約0.07重量部のイソシアネート架橋剤(xylylene diisocyanate)及び0.005重量部の触媒を配合して粘着剤組成物を製造した。前記触媒としては、通常、ヒドロキシ基とイソシアネート基のウレタン反応を促進する触媒を使用した。前記製造された粘着剤組成物を離型PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムの離型表面上に塗布し、130℃で約3分程度維持して厚さが約25μm程度の粘着剤層を形成した。
【0220】
比較例3.
比較例3としては、3M社のOCA粘着剤(商品名:CEF3502)を使用した。前記粘着剤を離型PET(poly(ethylene terephthalate))フィルムの離型表面上に約25μm厚さで形成し、比較例3とした。
【0221】
実施例及び比較例の粘着剤層に対して弾性率を評価した結果を下記表2にまとめた。下記表2において弾性率(Young's Modulus)(単位:Pa)は、前記式Aによって得られた値であり、STSMAXは、前記測定方法において説明した線形区間内で粘着剤にかかる最大ストレス(単位:Pa)であり、STSMINは、前記線形区間内で粘着剤にかかる最小ストレス(単位:Pa)であり、STNMAXは、前記最大ストレスが確認されるひずみ(strain)(単位:%)であり、STNMINは、前記最小ストレスが確認されるひずみ(strain)(単位:%)である。下記表2の結果は、約-20℃で測定した結果である。
【0222】
【表2】
【0223】
実施例及び比較例の粘着剤層に対してStress-Relaxatoinを評価した結果を下記表3にまとめた。以下の表3において、MAX Stressは、前記Stress-Relaxatoin評価過程において確認される最大ストレス(SMAX)であり、1200s stressは、前記Stress-Relaxation測定において装備駆動時点から1200秒経過した時点で粘着剤にかかるストレス(S1200)として、前記回復率評価式BのS1200sであり、1sStressは、装備駆動時点で1秒経過した時点で粘着剤にかかるストレスであり、前記回復率評価式BのS1sである。
【0224】
【表3】
【0225】
実施例及び比較例の粘着剤層に対してSin strainに対するstress測定結果を下記表4にまとめた。以下の表4において、1Cycle、10Cycle及び50Cycleは、それぞれ1回目のサイクル、10回目のサイクル及び50回目のサイクルにおける結果を意味する。また、Initialは、各サイクルの開始時点でのストレスであり、MAXは、各サイクルで測定された最大stressであり、LASTは、各サイクルの終了時点でのストレスを意味する。
【0226】
したがって、下記表4において1CycleでのMAXは、式1、3及び5におけるSMAX1であり、10CycleでのMAXは、式3、4及び7におけるSMAX10であり、50CycleでのMAXは、式1、4及び6におけるSMAX50である。また、下記表4において、1CylcleでのLASTは、式5におけるSLAST1であり、10CycleでのLASTは、式7のSLAST10であり、50CycleでのLASTは、式6におけるSLAST50である。
【0227】
【表4】
【0228】
実施例及び比較例の粘着剤層に対してダイナミックフォールディングテストを行った結果を下記表5にまとめた。下記表5において、50,000cycle及び100,000cycleは、それぞれ前記測定方法で説明した約2.5Rの曲率で折り畳まれた後に広げられるサイクルをそれぞれ50,000回及び100,000回行った結果であることを表示する。また、下記表5に記載した数値は、最初ITOフィルムの抵抗値を100%としたときに抵抗値が増加した割合を意味する(すなわち、例えば、数値が400%の場合に抵抗値が4倍増加したことを意味する)。
【0229】
【表5】
図1
【国際調査報告】