(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-08
(54)【発明の名称】高度なパターニングのための準グローバルカソードコンタクト方法
(51)【国際特許分類】
H10K 50/824 20230101AFI20241031BHJP
H10K 59/122 20230101ALI20241031BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241031BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20241031BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20241031BHJP
【FI】
H10K50/824
H10K59/122
H10K50/844 445
H10K59/35
H10K59/121 213
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533030
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-06-03
(86)【国際出願番号】 US2022051416
(87)【国際公開番号】W WO2023102056
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】202210430274.9
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100228337
【氏名又は名称】大橋 綾
(72)【発明者】
【氏名】リー ジュンミン
(72)【発明者】
【氏名】リン ユ シン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チュン-チア
(72)【発明者】
【氏名】チョン ジ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ハース ディーター
(72)【発明者】
【氏名】キム シ キョン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC23
3K107CC33
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD95
3K107DD96
3K107EE03
3K107EE07
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF15
(57)【要約】
本明細書に記載の実施形態は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのディスプレイで使用され得るサブピクセル回路およびサブピクセル回路を形成する方法に関する。サブピクセル回路は、複数のコンタクトオーバーハングを含む。複数のコンタクトオーバーハングは、形成されるサブピクセル回路の隣接するサブピクセル間に配置される。コンタクトオーバーハングは、PDL構造を通して露出された金属格子上に形成される。カソードが、コンタクトオーバーハングに接触するように蒸着によって堆積される。金属格子は、基板上に配置された複数の金属層に対して垂直である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブ回路であって、
アノード画定層(ADL)上に配置された金属格子であり、前記ADLが、基板上に配置されたアノードを露出させる、金属格子と、
前記金属格子上に配置された無機オーバーハング構造であり、隣接するADLが、前記サブ回路の複数のサブピクセルを画定し、前記複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルが、
前記ADLによって画定されたアノードと、
前記アノード上に前記アノードに接触して配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、
前記OLED材料上に配置されたカソードと
を含む、無機オーバーハング構造と、
前記金属格子のそれぞれの補助カソードライン上に配置された少なくとも1つのコンタクトオーバーハングであり、前記コンタクトオーバーハングが、前記複数のサブピクセルのうちの2つのサブピクセル間に配置され、前記カソードが前記コンタクトオーバーハングに接触する、少なくとも1つのコンタクトオーバーハングと
を備える、サブ回路。
【請求項2】
前記ADL上に配置されたピクセル画定層(PDL)構造をさらに備え、隣接するPDL構造が、前記サブ回路の前記複数のサブピクセルをさらに画定する、請求項1に記載のサブ回路。
【請求項3】
前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングが、前記PDL構造の露出部内に配置されて、前記金属格子を露出させる、請求項2に記載のサブ回路。
【請求項4】
前記複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルが、前記カソード、前記コンタクトオーバーハング、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハング、および前記無機オーバーハング構造上に配置された封入層をさらに含む、請求項1に記載のサブ回路。
【請求項5】
前記封入層が、前記無機オーバーハング構造の構造ステム部および構造底面に接触する、請求項4に記載のサブ回路。
【請求項6】
前記無機オーバーハング構造、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハング、および前記封入層上に配置された中間層およびグローバルパッシベーション層をさらに備える、請求項4に記載のサブ回路。
【請求項7】
前記サブ回路の前記カソードが、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングのステム部に接触する、請求項1に記載のサブ回路。
【請求項8】
前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングに接触する前記それぞれの補助カソードラインに電流を印加することによって、前記サブ回路が起動されるように動作可能である、請求項1に記載のサブ回路。
【請求項9】
デバイスであって、
基板と、
前記基板上に配置された複数の金属層と、
前記複数の金属層および前記基板上に配置されたアノード画定層(ADL)であり、前記デバイスのアノードを画定する、アノード画定層と、
前記ADL上に配置された金属格子であり、隣接するADLが、前記デバイスのサブピクセルを画定する、金属格子と、
複数のサブ回路であり、各サブ回路が、
前記ADL上に配置された前記金属格子と、
前記金属格子上に配置された無機オーバーハング構造と、
第1の複数のサブピクセルと
を含み、前記第1の複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルが、
前記ADLによって画定されたアノードと、
前記アノード上に前記アノードに接触して配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、
前記OLED材料上に配置されたカソードと
を含む、複数のサブ回路と、
前記金属格子のそれぞれの補助カソードライン上に配置された少なくとも1つのコンタクトオーバーハングであり、前記コンタクトオーバーハングが、前記第1の複数のサブピクセルのうちの2つのサブピクセル間に配置され、前記カソードが前記コンタクトオーバーハングに接触する、少なくとも1つのコンタクトオーバーハングと
を備える、デバイス。
【請求項10】
前記ADL上に配置されたピクセル画定層(PDL)構造をさらに備え、隣接するPDL構造が、前記サブ回路の前記第1の複数のサブピクセルをさらに画定する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記金属格子が、前記PDL構造の露出部を通して露出され、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングが、前記露出部において前記金属格子上に配置されている、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第1の複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルが、前記カソード、前記コンタクトオーバーハング、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハング、および前記無機オーバーハング構造上に配置された封入層をさらに含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記封入層が、前記無機オーバーハング構造の構造ステム部および構造底面に接触する、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記無機オーバーハング構造、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハング、および前記封入層上に配置された中間層およびグローバルパッシベーション層をさらに備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記カソードが、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングの少なくともステム部に接触する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項16】
前記無機オーバーハング構造が、オーバーハング構造深さに対するオーバーハング構造高さの比として規定されたオーバーハング構造比を有し、前記オーバーハング構造比が、約1.0:1.2~約1.0:1.3である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングが、オーバーハング深さに対するオーバーハング高さの比として規定されたコンタクトオーバーハング比を有し、前記コンタクトオーバーハング比が、約1.0:1.0~約1.0:1.5である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングが、ステム部とオーバーハング部とを含み、前記オーバーハング部が、前記ステム部よりも幅広で、第1のオーバーハングを形成する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項19】
前記複数の金属層が前記金属格子に対して垂直である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項20】
デバイスであって、
基板と、
前記基板上に配置された複数の金属層と、
前記複数の金属層および前記基板上に配置されたアノード画定層(ADL)であり、前記デバイスのアノードを画定する、アノード画定層と、
前記ADL上に配置された金属格子であり、隣接するADLが、前記デバイスのサブピクセルを画定する、金属格子と、
複数のサブ回路であり、各サブ回路が、
前記ADL上に配置された前記金属格子と、
前記金属格子上に配置された無機オーバーハング構造と、
第1の複数のサブピクセルと
を含み、前記第1の複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルが、
前記ADLによって画定されたアノードと、
前記アノード上に前記アノードに接触して配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、
前記OLED材料上に配置されたカソードと
を含む、複数のサブ回路と、
前記金属格子のそれぞれの補助カソードライン上に配置された少なくとも1つのコンタクトオーバーハングであり、前記コンタクトオーバーハングが、前記第1の複数のサブピクセルのうちの2つのサブピクセル間に配置され、前記カソードが、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングの少なくともステム部に接触し、前記少なくとも1つのコンタクトオーバーハングが、オーバーハング深さに対するオーバーハング高さの比として規定されたコンタクトオーバーハング比を含み、前記コンタクトオーバーハング比が、約1.0:1.0~約1.0:1.5である、少なくとも1つのコンタクトオーバーハングと
を備える、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般にディスプレイに関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのディスプレイで使用され得るサブピクセル回路およびサブピクセル回路を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイデバイスを含む入力デバイスを、様々な電子システムにおいて使用することができる。有機発光ダイオード(OLED)は、電子発光層(emissive electroluminescent layer)が電流に反応して発光する有機化合物の膜である、発光ダイオード(LED)である。OLEDデバイスは、発された光が透明なまたは半透明な下部電極とパネルが上に製造された基板とを通過する場合、ボトムエミッションデバイスと分類される。トップエミッションデバイスは、OLEDデバイスから発された光がデバイスの製造後に追加されたリッドを通って出る否かに基づいて分類される。OLEDは、現在、多くの電子機器のディスプレイデバイスを作製するために使用されている。OLEDデバイスは、隣接するピクセル画定層(PDL)構造によって画定された複数のサブピクセルを含む。各サブピクセルは、アノードと、アノード上に配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、OLED材料上に配置されたカソードとを有する。1つまたは複数のサブピクセルに電力を供給するために、ローカル補助格子を使用して、入力電流を1つまたは複数のサブピクセルのカソードに分配する。ローカル補助格子を使用すると、漏れ電流が増加することがある。OLED性能を向上させるために、改良されたカソードコンタクトの必要性が残っている。したがって、インチ当たりのピクセルを増加させ、OLED性能を向上させる、サブピクセル回路およびサブピクセル回路を形成する方法が、当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、サブ回路が提供される。サブ回路は、アノード画定層(ADL)上に配置された金属格子を備える。ADLは、基板上に配置されたアノードを露出させる。サブ回路は、金属格子上に配置された無機オーバーハング構造をさらに備える。隣接するADLは、サブ回路の複数のサブピクセルを画定する。複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルは、ADLによって画定されたアノードと、アノード上にアノードに接触して配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、OLED材料上に配置されたカソードとを含む。サブ回路は、金属格子のそれぞれの補助カソードライン上に配置された少なくとも1つのコンタクトオーバーハングをさらに備える。コンタクトオーバーハングは、複数のサブピクセルのうちの2つのサブピクセル間に配置され、カソードはコンタクトオーバーハングに接触する。
【0004】
別の実施形態において、デバイスが提供される。デバイスは、基板と、基板上に配置された複数の金属層と、複数の金属層および基板上に配置されたアノード画定層(ADL)とを備える。ADLは、デバイスのアノードを画定する。デバイスは、ADL上に配置された金属格子をさらに備える。隣接するADLは、デバイスのサブピクセルを画定する。デバイスは、複数のサブ回路をさらに備える。各サブ回路は、ADL上に配置された金属格子と、金属格子上に配置された無機オーバーハング構造と、第1の複数のサブピクセルとを含む。第1の複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルは、ADLによって画定されたアノードと、アノード上にアノードに接触して配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、OLED材料上に配置されたカソードとを含む。デバイスは、金属格子のそれぞれの補助カソードライン上に配置された少なくとも1つのコンタクトオーバーハングをさらに備える。コンタクトオーバーハングは、第1の複数のサブピクセルのうちの2つのサブピクセル間に配置され、カソードはコンタクトオーバーハングに接触する。
【0005】
さらに別の実施形態において、デバイスが提供される。デバイスは、基板と、基板上に配置された複数の金属層と、複数の金属層および基板上に配置されたアノード画定層(ADL)とを備える。ADLは、デバイスのアノードを画定する。デバイスは、ADL上に配置された金属格子をさらに備える。隣接するADLは、デバイスのサブピクセルを画定する。デバイスは、複数のサブ回路をさらに備える。各サブ回路は、ADL上に配置された金属格子と、金属格子上に配置された無機オーバーハング構造と、第1の複数のサブピクセルとを含む。第1の複数のサブピクセルのうちの各サブピクセルは、ADLによって画定されたアノードと、アノード上にアノードに接触して配置された有機発光ダイオード(OLED)材料と、OLED材料上に配置されたカソードとを含む。デバイスは、金属格子のそれぞれの補助カソードライン上に配置された少なくとも1つのコンタクトオーバーハングをさらに備える。コンタクトオーバーハングは、第1の複数のサブピクセルのうちの2つのサブピクセル間に配置され、カソードは、少なくとも1つのコンタクトオーバーハングの少なくともステム部に接触する。少なくとも1つのコンタクトオーバーハングは、オーバーハング深さに対するオーバーハング高さの比として規定されたコンタクトオーバーハング比を含み、コンタクトオーバーハング比は、約1.0:1.0~約1.0:1.5である。
【0006】
本開示の前述した特徴を詳細に理解できるように、一部が添付図面に例示されている実施形態を参照しながら、上記で簡単に要約した本開示をより具体的に説明し得る。しかしながら、添付図面は例示的な実施形態を示しているに過ぎず、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではなく、その他の等しく有効な実施形態も許容され得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の概略断面図である。
【
図1B】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の概略断面図である。
【
図1C】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の概略断面図である。
【
図1D】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の概略断面図である。
【
図1E】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の概略上面図である。
【
図2A】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の一部の概略断面図である。
【
図2B】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の一部の概略断面図である。
【
図3】本明細書に記載の実施形態によるサブピクセル回路の概略上面図である。
【
図5A】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略上面図である。
【
図5B】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略上面図である。
【
図5C】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略上面図である。
【
図5D】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略上面図である。
【
図5E】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略上面図である。
【
図6A】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略断面図である。
【
図6B】本明細書に記載の実施形態による方法中の、サブピクセル回路の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
理解を容易にするために、可能であれば、同一の参照数字を使用して、図に共通する同一の要素を示している。一実施形態の要素および特徴を、さらなる記述なしで、他の実施形態に有益に組み込むことができると考えられる。
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、一般にディスプレイに関する。より詳細には、本明細書に記載の実施形態は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのディスプレイで使用され得るサブピクセル回路およびサブピクセル回路を形成する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、ディスプレイは、トップエミッション(TE)OLEDディスプレイである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる別の実施形態において、ディスプレイは、パッシブマトリックス(PM)またはアクティブマトリックス(AM)OLEDディスプレイである。各サブピクセルは、通電されると白、赤、緑、青、または他の色の光を発するように構成されたOLED材料を有する。例えば、第1のサブピクセルのOLED材料は、通電されると赤い光を発し、第2のサブピクセルのOLED材料は、通電されると緑の光を発し、第3のサブピクセルのOLED材料は、通電されると青い光を発する。
【0010】
図1Aおよび
図1Cは、サブピクセル回路100の概略断面図である。
図1Aは、
図1Eの切断線に沿って取られたものである。サブピクセル回路100は基板102を含む。基板102は、ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO
2)、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化ケイ素(SiN)、またはサファイア含有材料を含むが、これらに限定されるものではない。複数の金属層104が、基板102上に配置されている。金属層104は、それぞれのサブピクセルのアノードとして動作するように構成されている。金属層104は、クロム、チタン、金、銀、銅、アルミニウム、ITO、それらの組合せ、または他の適切な導電性材料を含むが、これらに限定されるものではない。金属層104は、サブピクセル回路100をボトムエミッションディスプレイとして使用するかトップエミッションディスプレイとして使用するかに応じて、透明または反射性であってよい。
【0011】
アノード画定層(ADL)108が、金属層104および基板102上に配置されている。ADL108の開口部が、金属層104のアノード114を露出させる。サブピクセル回路100のそれぞれのサブピクセル118が、アノード114を含む。一実施形態において、ADL108は、ポリイミド材料を含むが、これに限定されるものではない。別の実施形態において、ADL108は、第1の無機絶縁体材料を含む。第1の無機絶縁体材料は、酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(Si2N2O)、フッ化マグネシウム(MgF2)、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。
【0012】
一実施形態において、
図1Aに示すように、ピクセル画定層(PDL)構造110が、基板102、複数の金属層104、およびADL108上に配置されている。PDL構造110は、第2の無機絶縁体材料を含む。第2の無機絶縁体材料は、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、酸窒化ケイ素(Si
2N
2O)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施形態において、第1の無機絶縁体材料と第2の無機絶縁体材料とは、同じ材料である。隣接するPDL構造110は、それぞれのサブピクセル118を画定し、サブピクセル回路100のサブピクセル118の金属層104のアノード114をさらに画定する。別の実施形態において、
図1Cに示すように、PDL構造110は設けられていない。隣接するADL108は、サブピクセル回路100のそれぞれのサブピクセル118を画定する。
【0013】
PDL構造110(必要であれば)をADL108上に堆積する前に、金属格子112が、ADL108上に配置される。
図1Aに示すように、PDL構造110は、その後にADL108および金属格子112上に配置される。金属格子112をADL108上に配置することにより、金属格子112を絶縁する。金属格子112は、それぞれのサブピクセル118間に配置されている。金属格子112は、金属などの導電性材料を含む。例えば、金属格子112は、クロム、チタン、アルミニウム、ITO、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。金属格子112は、金属格子幅116を有する。金属格子幅116は少なくとも1μmである。一例では、金属格子幅116は約10μmである。別の例では、金属格子幅116は約20μm~約30μmである。
【0014】
コンタクトオーバーハング122が、金属格子112上に形成されている。コンタクトオーバーハング122は、導電性金属含有材料を含むが、これに限定されるものではない。例えば、金属含有材料は、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、銀、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、またはそれらの組合せを含む。コンタクトオーバーハング122は、ステム部128とオーバーハング部130とを含む。オーバーハング部130は、底面132、側面134、および上面136を含む。オーバーハング部130の底面132は、ステム部128よりも幅広で、第1のオーバーハング138を形成する。第1のオーバーハング138により、コンタクトオーバーハング122のオーバーハング部130は、ステム部128上にシャドーイング効果を生じさせることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、ステム部128の金属含有材料とオーバーハング部130の金属含有材料とは同じである。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる別の実施形態において、ステム部128の金属含有材料とオーバーハング部130の金属含有材料とは異なる。
【0015】
サブピクセル回路100は、複数のサブピクセル118を含む。本明細書に記載の実施形態のサブピクセル回路100は、第1のサブピクセルおよび第2のサブピクセルなどの1つまたは複数のサブピクセル118を含むことができる。各サブピクセル118は、有機発光ダイオード(OLED)材料120を有する。OLED材料120は、金属層104上に配置されている。一例では、
図1Aに示すように、OLED材料120は、隣接するPDL構造110上にも配置されている。別の例では、
図1Cに示すように、OLED材料120は、ADL108上にも配置されている。OLED材料120を、蒸着(evaporation deposition)によって堆積させることができる。OLED材料120は、通電されると白、赤、緑、青、または他の色の光を発するように構成されている。例えば、サブピクセル118のOLED材料120は、通電されると赤い光を発する、通電されると緑の光を発する、通電されると青い光を発する、または通電されると白い光を発する、のうちの1つであるように構成されている。OLED材料120は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、および電子輸送層(ETL)のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0016】
カソード124が、OLED材料上に配置されている。カソード124は、金属などの導電性材料を含む。例えば、カソード124は、クロム、チタン、アルミニウム、ITO、またはそれらの組合せを含むが、これらに限定されるものではない。カソード124は、各サブピクセル118のOLED材料120上に配置されている。第1のオーバーハング138のシャドーイング効果は、OLED材料120およびカソード124のそれぞれの蒸着中の堆積角度を規定する。OLED材料120は、コンタクトオーバーハング122および金属格子112に接触しない。カソード124は、コンタクトオーバーハング122の少なくともステム部128と金属格子112とに接触する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、カソード124は、コンタクトオーバーハング122のステム部128およびオーバーハング部130に接触する。
【0017】
コンタクトオーバーハング122は、オーバーハング深さ140を含む。オーバーハング深さ140は、ステム部128から側面134までの距離として規定される。コンタクトオーバーハング122は、オーバーハング高さ142をさらに含む。
図1Aでは、オーバーハング高さ142は、PDL構造110から底面132までの距離として規定される。
図1Cでは、オーバーハング高さ142は、ADL108から底面132までの距離として規定される。コンタクトオーバーハング比が、オーバーハング深さ140に対するオーバーハング高さ142の比として規定される。コンタクトオーバーハング122のコンタクトオーバーハング比は、約1.0:0.5~約1.0:3.0である。例えば、コンタクトオーバーハング122のコンタクトオーバーハング比は、約1.0:1.5である。コンタクトオーバーハング比により、カソード124は第1のオーバーハング138の下に延びることができ、カソード124がコンタクトオーバーハング122の少なくともステム部128に接触するようになっている。
【0018】
各サブピクセル118は、封入層126を含む。封入層126は、ローカルパッシベーション層であっても、ローカルパッシベーション層に対応していてもよい。それぞれのサブピクセル118の封入層126は、カソード124(およびOLED材料120)ならびにPDL構造110(設けられる場合)上に配置されている。封入層126は、ケイ素含有材料などの非導電性無機材料を含む。ケイ素含有材料は、Si3N4含有材料を含むことができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、封入層126は、コンタクトオーバーハング122のオーバーハング部130の少なくとも一部の下に、ステム部128に沿って延びる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、封入層126は、コンタクトオーバーハング122の底面132上に配置されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、封入層126は、コンタクトオーバーハング122の側面134およびコンタクトオーバーハング122の上面136上に配置されている。
【0019】
サブピクセル回路100は、コンタクトオーバーハング122および封入層126上に配置された少なくともグローバルパッシベーション層144をさらに含むことができる。中間層146を、グローバルパッシベーション層144とコンタクトオーバーハング122および封入層126との間に配置することができる。中間層146は、インクジェット層であってよい。インクジェット層は、アクリル材料を含むことができる。
【0020】
図1Bおよび
図1Dは、サブピクセル回路100の概略断面図である。
図1Bは、
図1Eの切断線に沿って取られたものである。前述したように、サブピクセル回路100は、金属格子112と、コンタクトオーバーハング122と、OLED材料120と、カソード124と、封入層126とを含む。一例では、
図1Bに示すように、サブピクセル回路100はPDL構造110を含む。別の例では、
図1Cに示すように、サブピクセル回路100はPDL構造110を含まない。
【0021】
一例では、
図1Bに示すように、無機オーバーハング構造148が、PDL構造110上に配置されている。別の例では、
図1Dに示すように、無機オーバーハング構造148は、金属格子112上に配置されている。無機オーバーハング構造148は、サブピクセル回路100に固定されている。無機オーバーハング構造148は、サブピクセル回路100の各サブピクセル118をさらに画定する。無機オーバーハング構造148は、非導電性無機材料または導電性無機材料のうちの少なくとも一方を含む。非導電性無機材料は、無機ケイ素含有材料またはポリマー材料を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、ケイ素含有材料は、ケイ素の酸化物もしくは窒化物、またはそれらの組合せを含む。導電性無機材料は、金属含有材料を含むが、これに限定されるものではない。例えば、金属含有材料は、銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、銀、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、またはそれらの組合せを含む。無機オーバーハング構造148は、OLED材料120とカソード124との連続堆積を妨げる。
【0022】
無機オーバーハング構造148は、構造ステム部150と構造オーバーハング部152とを含む。構造オーバーハング部152は、構造底面154、構造側面156、および構造上面158を含む。構造底面154は、構造ステム部150よりも幅広で、第2のオーバーハング160を形成する。第2のオーバーハング160により、コンタクトオーバーハング122の構造オーバーハング部152は、構造ステム部150をシャドーイングすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、構造ステム部150と構造オーバーハング部152とは、同じ材料を含む。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる別の実施形態において、構造ステム部150と構造オーバーハング部152とは異なる材料を含む。
【0023】
無機オーバーハング構造148は、オーバーハング構造深さ162を含む。オーバーハング構造深さ162は、構造ステム部150の頂点151から構造側面156までの距離として規定される。無機オーバーハング構造148は、オーバーハング構造高さ164をさらに含む。一例では、
図1Bに示すように、オーバーハング構造高さ164は、PDL構造110から構造底面154までの距離として規定される。別の例では、
図1Dに示すように、オーバーハング構造高さ164は、金属格子112から構造底面154までの距離として規定される。オーバーハング構造比が、オーバーハング構造深さ162に対するオーバーハング構造高さ164の比として規定される。無機オーバーハング構造148のオーバーハング構造比は、約1.0:2.0~約1.0:3.0である。オーバーハング構造比により、カソード124を第2のオーバーハング160の下に堆積することができ、カソード124が第2のオーバーハング160の下でOLED材料120に接触するようになっている。一例では、
図1Bに示すように、カソード124は、OLED材料120およびPDL構造110に接触する。別の例では、
図1Dに示すように、カソード124は、OLED材料120および金属格子112に接触する。
【0024】
本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、封入層126は、無機オーバーハング構造148の構造オーバーハング部152の少なくとも一部の下に、構造ステム部150に沿って延びる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、封入層126は、無機オーバーハング構造148の構造底面154上に配置されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、封入層126は、無機オーバーハング構造148の構造側面156および無機オーバーハング構造148の構造上面158上に配置されている。
【0025】
図1Eは、サブピクセル回路100の概略上面図である。
図1Eに示すサブピクセル回路100は、
図1Aおよび
図1Bに示すサブピクセル回路100に対応する。サブピクセル回路100は、第1の構成のコンタクトオーバーハング122を含む。
図1Eに示すように、サブピクセル回路100は、複数のピクセル開口部166を含む。各ピクセル開口部166には、サブピクセル118のそれぞれを形成する場所を規定する、隣接する無機オーバーハング構造148が接している。サブピクセル回路100は、サブピクセル118のそれぞれを形成する場所をさらに規定するPDL構造110をさらに含む。隣接するPDL構造110は、それぞれのサブピクセルを画定し、サブピクセル回路100のそれぞれのサブピクセルの金属層104(すなわち、アノード)のアノード114を露出させる。コンタクトオーバーハング122は、隣接するサブピクセル118間に配置されている。コンタクトオーバーハング122は、PDL構造110の露出部168内に配置されている。露出部168は、PDL構造110に形成されて、PDL構造110の下のADL108上に配置された金属格子112を露出させる。露出部168により、コンタクトオーバーハング122は、金属格子112に接触することができる。
【0026】
図2Aは、
図1Aに示すサブピクセル回路100の部分205の概略断面図である。コンタクトオーバーハング122が、PDL構造110の露出部168内に配置されている。PDL構造110は、PDL構造110の下に配置されたADL108をさらに含む。露出部168により、コンタクトオーバーハング122は、金属格子112に接触することができる。部分205は、OLED材料120、カソード124、および封入層126を示す。OLED材料120は、コンタクトオーバーハング122に接触しない。カソード124は、金属格子112の少なくともステム部128に接触する。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、カソード124は、PDL構造110に接触する。コンタクトオーバーハング122は、金属格子112に電気的接触を提供する。したがって、コンタクトオーバーハング122に接触したカソード124は、コンタクトオーバーハング122を介して金属格子112から電流を受け取る。コンタクトオーバーハング比は、カソード124がコンタクトオーバーハング122に接触する蒸着を提供する。さらに、蒸着源は、カソード124とOLED材料120とを異なる角度で堆積させて、カソード124とOLED材料120とが配置される場所を調節することができる。
【0027】
アノード114とカソード124との間の最小距離に起因して、デバイス漏れ(device leakage)が発生する。加えて、OLED材料120が無機オーバーハング構造148に接触することに起因して、デバイス漏れが発生することがある。コンタクトオーバーハング122は、他の手法と比べて、サブピクセルのカソード接点(すなわち、カソード124がコンタクトオーバーハング122に接触する場所)と金属層104のアノード114との間の距離を増加させることによって、サブピクセル回路300内の漏れを低減させるように動作可能である。例えば、カソード接点(すなわち、カソード124がコンタクトオーバーハング122に接触する場所)と金属層104のアノード114との間の距離は、約10mm~約5インチである。コンタクトオーバーハング122がカソード接点の数を減らして、カソード接点とアノード114との間の距離を増加させるため、距離を増加させることにより、漏れの発生が低減する。
【0028】
図2Bは、
図1Bに示すサブピクセル回路100の部分210の概略断面図である。無機オーバーハング構造148が、PDL構造110上に配置されている。PDL構造110は、PDL構造110の下に配置されたADL108をさらに含む。部分210は、OLED材料120、カソード124、および封入層126を示す。OLED材料120は、コンタクトオーバーハング122に接触しない。カソード124は、無機オーバーハング構造148に接触しない。オーバーハング構造比は、カソード124が無機オーバーハング構造148に接触しない蒸着を提供する。したがって、無機オーバーハング構造148の形成は、同じ精度を必要としない。例えば、オーバーハング構造比がOLED材料120とカソード124との連続堆積を妨げる限り、無機オーバーハング構造148を、より低い精度で形成することができる。サブピクセル回路300のこの設計により、ボトムエミッションディスプレイで一般に使用される無機オーバーハング構造148を使用して、トップエミッションディスプレイを形成することができる。ボトムエミッションディスプレイは、より低いフォト精度要件で、無機オーバーハング構造148を使用する。
【0029】
図3は、サブピクセル回路300の概略上面図である。サブピクセル回路300は、第2の構成のコンタクトオーバーハング122を有するサブピクセル回路100(
図1A~
図1Eに示す)の実施形態である。コンタクトオーバーハング122は、隣接するサブピクセル118間に配置されている。サブピクセル回路300は、無機オーバーハング構造148を含む。サブピクセル回路300は、複数のピクセル開口部166を含む。各ピクセル開口部166には、サブピクセル118のそれぞれを形成する場所を規定する、隣接する無機オーバーハング構造148が接している。隣接するPDL構造110および隣接する無機オーバーハング構造148は、それぞれのサブピクセル118を画定する。
図3に示すように、サブピクセル回路300は、5×5のサブピクセル118の格子を含み、25のサブピクセル118が存在するようになっている。各サブピクセル118は、異なる色の光を発するように動作可能である。例えば、各サブピクセル118は、起動されると赤、緑、青、または白の光のうちの1つを発することができる。
【0030】
サブピクセル回路300は、サブ回路C1、C2、C3、C4、…CNを含む。サブ回路C1~CNはそれぞれ、複数のサブピクセル118を含む。サブ回路C1~CNは、基板102上のサブピクセル回路300を通る複数の金属層104に対応する。各サブ回路C1~CNは、1つまたは複数のコンタクトオーバーハング122を含む。サブピクセル回路300は、金属格子112をさらに含む。金属格子112は、複数の補助カソードラインR1、R2、R3、R4、…RMを含む。金属格子112の補助カソードラインR1~RMは、サブ回路C1~CNに対して垂直である。金属格子112の補助カソードラインR1~RMは、アノード画定層(ADL)108の下方に配置されている。複数の金属層104は、金属格子112に対して垂直である。コンタクトオーバーハング122のそれぞれが、金属格子112のそれぞれの補助カソードラインR1~RMに接触している。サブ回路C1~CNの数および補助カソードラインR1~RMの数を増加させることにより、サブピクセル回路300上により多くのサブピクセル118を提供する。
【0031】
サブピクセル回路300により、サブ回路C
1~C
Nのそれぞれを個々に起動することができる。特定のサブ回路C
1~C
Nを起動するために、電流が金属格子112を通って供給される。起動される対応するサブ回路C
1~C
Nのコンタクトオーバーハング122を有する補助カソードラインR
1~R
Mの金属格子112に、電圧および/または電流が供給される。電流は、金属格子112を通って供給され、コンタクトオーバーハング122へ流れる。金属格子112は、共通の接地に接続されている。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一部の実施形態において、負電圧を金属格子112に印加することができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、各金属格子112は、基板102上の薄膜トランジスタ(図示せず)に電気的に接続され、この薄膜トランジスタは、電流および/または電圧を各金属格子112に供給する。コンタクトオーバーハング122は、起動されるサブ回路C
1~C
Nのカソード124(
図1A~
図1Eに示す)に接触する。
【0032】
サブ回路C
1の複数のサブピクセル118を起動するための電流の流れの例が、線301で示されている。
図3に示すように、電流は、補助カソードラインR
1の金属格子112を通って流れる。電流は、サブ回路C
1のコンタクトオーバーハング122へ流れる。コンタクトオーバーハング122は、サブ回路C
1に沿って配置されたカソード124に接触する。したがって、電流および/または電圧は、サブ回路C
1全体にわたってカソード124を通って流れるように動作可能である。電流は、カソード124からOLED材料120へ流れ、サブ回路C
1の金属層104内へ流れる。列I1の金属層104に電流が供給され、サブ回路C
1のサブピクセル118を起動することができる。
【0033】
サブ回路C1~CNのサブピクセル118は、光を発するように動作可能である。サブピクセル回路300は、各サブ回路C1~CNを個々に独立して起動するように動作可能である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、サブ回路C1~CNのそれぞれのサブピクセル118は、単色である。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる別の実施形態において、サブ回路C1~CNのサブピクセル118のそれぞれは、異なる色の光を発するように動作可能である。例えば、第1のサブ回路C1のサブピクセル118は、赤い光を発し、第2のサブ回路C2のサブピクセル118は、緑の光を発し、第3のサブ回路C3のサブピクセル118は、青い光を発し、第4のサブ回路C4のサブピクセル118は、白い光を発する。
【0034】
コンタクトオーバーハング122を、所望に応じて、サブピクセル回路300に配置することができる。サブ回路C1~CNのそれぞれは、少なくとも1つのコンタクトオーバーハング122を含む。例えば、サブ回路C1~CNのそれぞれは、2つ以上のコンタクトオーバーハング122を含むことができる。コンタクトオーバーハング122は、約50mm~約7インチの距離が隣接するコンタクトオーバーハング122間にあるように位置決めされている。
【0035】
図4は、
図5A~
図5Eおよび
図6A、
図6Bに示すサブピクセル回路100を形成する方法400のフロー図である。方法400は、
図1Aおよび
図1Bに示すサブピクセル回路100に対応する。
図5A~
図5Eは、方法400中のサブピクセル回路100の概略上面図である。
図6Aおよび
図6Bは、方法400中のサブピクセル回路100の概略断面図である。説明を容易にするために、第1の構成のコンタクトオーバーハング122を有するサブピクセル回路100を参照して、方法400を説明する。しかしながら、方法400は、任意の構成のコンタクトオーバーハング122を有する任意のサブピクセル回路(例えば、サブピクセル回路300)を形成するように実行されてよい。
【0036】
動作401で、
図5Aに示すように、複数の金属層104が基板102上に配置される。複数の金属層104を、基板102上にパターニングすることができる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることのできる一実施形態において、金属層104は、基板102上に予めパターニングされる。例えば、基板102は、予めパターニングされたインジウムスズ酸化物(ITO)ガラス基板である。
【0037】
動作402で、
図5Bに示すように、アノード画定層(ADL)108が、基板102および複数の金属層104上に配置される。ADL108は、さらにパターニングされて、複数の金属層104(すなわち、アノード)のアノード114を露出させる。アノード114のそれぞれが、
図1Eに示す複数のサブピクセル118などの、形成される個々のサブピクセル118に関連付けられる。ADL108を、フォトレジストコーティングのパターニングおよびその後のエッチングによって、パターニングすることができる。
【0038】
動作403で、
図5Cに示すように、金属格子112がADL108上に配置される。金属格子112は、複数の金属層104の露出部間に配置される。金属格子112は、複数の金属層104に対して垂直に配置される。金属格子112は、ADL108によって絶縁される。
【0039】
動作404で、
図5Dに示すように、PDL構造110が、金属格子112およびADL108上に配置される。PDL構造110は、さらにパターニングされて、PDL構造110に露出部168を形成する。露出部168は、その下の金属格子112を露出させる。PDL構造110は、金属格子112を防水する。
【0040】
動作405で、
図5Eに示すように、複数の無機オーバーハング構造148が形成される。複数の無機オーバーハング構造148は、PDL構造110上に形成される。複数の無機オーバーハング構造148は、複数の金属層104の露出部の両側に形成される。複数の無機オーバーハング構造148は、複数の金属層104に平行に形成される。複数の無機オーバーハング構造148は、第2のオーバーハング160を含む。隣接するPDL構造110と隣接する無機オーバーハング構造148とは、それぞれのサブピクセル118を画定する。
【0041】
動作406で、
図6Aに示すように、コンタクトオーバーハング122が露出部168に形成される。コンタクトオーバーハング122は、露出部168に形成され、その下に配置された金属格子112に接触する。コンタクトオーバーハング122は、隣接するサブピクセル118間に形成される。形成できるコンタクトオーバーハング122の数は、限定されない。形成されるサブピクセル回路が各サブ回路を個々に制御するため、各サブピクセルにはコンタクトオーバーハング122が不要である。コンタクトオーバーハング122を使用することにより、大型のディスプレイを形成することができる。コンタクトオーバーハング122は、第1のオーバーハング138を含む。
【0042】
動作407で、
図6Bに示すように、OLED材料120、カソード124、および封入層126が配置される。OLED材料120、カソード124、および封入層126は、蒸着によって堆積される。第1のオーバーハング138および第2のオーバーハング160のシャドーイングは、OLED材料120およびカソード124のそれぞれの蒸着を規定する。コンタクトオーバーハング122および無機オーバーハング構造148のシャドーイング効果は、蒸着中にOLED材料120およびカソード124が堆積される角度を規定する。例えば、第1のオーバーハング138によって規定される蒸着角度により、カソード124は、第1のオーバーハング138の下に延び、コンタクトオーバーハング122に接触する。第2のオーバーハング160によって規定される蒸発角度により、カソード124は、コンタクトオーバーハング122に接触しない。さらに、蒸着源は、OLED材料120とカソード124とを異なる堆積角度で堆積させて、OLED材料120とカソード124とが堆積される場所をさらに規定するように動作可能である。動作407を、追加のサブピクセル118ごとに繰り返すことができる。動作408で、
図1Bに示すように、中間層146およびグローバルパッシベーション層144が配置される。
【0043】
要約すると、本明細書に記載の実施形態は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのディスプレイで使用され得るサブピクセル回路およびサブピクセル回路を形成する方法に関する。サブピクセル回路は、複数のコンタクトオーバーハングを含む。複数のコンタクトオーバーハングは、形成されるサブピクセル回路の隣接するサブピクセル間に配置される。コンタクトオーバーハングは、PDL構造を通して配置された金属格子上に形成される。カソードが、コンタクトオーバーハングに接触するように蒸着によって堆積される。金属格子は、基板上に配置された複数の金属層に対して垂直である。サブピクセル回路の個々のサブ回路を起動するために、電流が金属格子に印加される。電流は、起動されるサブ回路のコンタクトオーバーハングおよびカソードへ流れる。電流は、OLED材料を通って複数の金属層のうちの1つへ流れ、サブピクセルのサブ回路のうちの1つを起動する。コンタクトオーバーハングにより、サブ回路のオーバーハング構造をより低い精度で形成することができる。コンタクトオーバーハングはまた、デバイス漏れの発生を低減させ、したがって、サブ回路の性能を向上させる。
【0044】
以上の記述は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態およびさらなる実施形態を考え出すことができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決まる。
【国際調査報告】