(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】トポグラフィ情報を提供するための高解像度低エネルギー電子顕微鏡およびマスク検査方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20241106BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20241106BHJP
H01J 37/22 20060101ALI20241106BHJP
H01J 37/305 20060101ALI20241106BHJP
H01J 37/30 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/244
H01J37/22 502H
H01J37/305 A
H01J37/30 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525166
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022079753
(87)【国際公開番号】W WO2023072919
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021212203.5
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】シュネル ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】アウス ニコル
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101AA31
5C101EE08
5C101EE22
5C101EE26
5C101EE33
5C101EE34
5C101EE51
5C101FF02
5C101GG05
5C101GG37
5C101HH21
5C101HH23
5C101HH25
5C101JJ04
5C101JJ06
5C101KK06
(57)【要約】
トポグラフィコントラストから材料コントラストを選択的に分離するための補正付き走査電子顕微鏡(CSEM)およびCSEMを動作させる方法が提示される。顕微鏡および方法は、低エネルギー1次電子から生成される後方散乱電子によって高い結像解像度を可能にする。CSEMおよび方法は、低いnm範囲またはさらに低い範囲の解像度要件を有するマスク修正および回路編集プロセスに適用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクまたはウェハの検査、修正、または編集のための装置(1000)であって、
- 補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を低入射エネルギーLEでサンプル(7)の表面(25)に使用中に収束させ、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するための1次ビーム収束ユニット(1100)と、
- 後方散乱電子ビーム(9)を検出するための少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記ビーム形成ユニット(1400)から前記1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、前記後方散乱電子ビーム(9)を前記1次ビーム収束ユニット(1100)から前記検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)と、
- 前記検出ユニット(1600)に接続され、前記サンプル(7)の前記表面(25)のセグメントの検査タスクを実施するように構成される制御ユニット(800)とを備え、
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも第1の検出信号I1を生成するために前記少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を用いて前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの少なくとも第1の被選択セグメントを選択的に検出するように構成される、装置(1000)。
【請求項2】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)、前記ビーム分割ユニット(1500)、および前記検出ユニット(1600)は、前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつ前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に対して反対方向に伝搬する、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む前記後方散乱電子ビーム(9)を、使用中に収集し結像する(image)ように構成される、請求項1に記載の装置(1000)。
【請求項3】
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも第2の検出信号I2を生成するために、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントを選択的に検出するようにさらに構成され、前記角度スペクトルの前記第2の被選択セグメントは、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記第1の被選択セグメントと異なる、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項4】
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも調整要素を備え、前記制御ユニット(800)は、前記少なくとも第1および/または第2の信号I1および/またはI2を選択的に検出するために前記調整要素を制御するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項5】
前記調整要素は、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向させるために構成される偏向ユニット(1603)、前記後方散乱電子ビーム(9)を収束させるために構成される収束レンズ(1605)、調整可能エネルギーフィルタ(1607)、または調整可能分散ユニット(1611)の少なくとも1つを備える、請求項4に記載の装置(1000)。
【請求項6】
前記制御ユニット(800)は、前記角度スペクトルの単一オフアクシスセグメントを選択し、前記角度スペクトルの前記単一オフアクシスセグメントを用いて前記検査タスクを実施するように構成される、請求項3~5のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項7】
前記制御ユニット(800)は、順次、前記第1の信号I1を収集するために第1の結像モードで前記検出ユニット(1600)を調整し、前記サンプル(7)の前記表面(25)にわたる後続の第2の像走査において前記第2の信号I2を収集するために第2の結像モードで前記検出ユニット(1600)を調整するように構成される、請求項3~5のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項8】
前記検出ユニット(1600)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)にわたる単一像走査において、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントに対応する前記第2の信号I2を、使用中に生成するために、第2の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える、請求項3に記載の装置(1000)。
【請求項9】
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも調整要素をさらに備え、前記制御ユニット(800)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1および第2の被選択セグメントを選択的に検出するために前記調整要素を制御するように構成される、請求項8に記載の装置(1000)。
【請求項10】
前記制御ユニット(800)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)上の構造に関する所定の情報に基づいて前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1および/または第2の被選択セグメントを選択する、請求項1~7または9のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項11】
前記ビーム形成ユニット(1400)および前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い前記1次電子の低運動エネルギーを用いて、前記補正済み1次電子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に収束させるように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項12】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するために構成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項13】
前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1の被選択セグメントは、前記表面(25)の前記セグメントの前記トポグラフィに対する減少した感度を有する第1の検出信号I1を生成するために選択される、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項14】
前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記第2の被選択セグメントは、前記表面(25)の前記セグメントの前記トポグラフィに対する増加した感度を有する第2の検出信号I2を生成するために選択される、請求項13に記載の装置(1000)。
【請求項15】
複数のプロセスガスをサンプル(7)の表面(25)に提供するための複数のガスノズル(152)をさらに備え、前記制御ユニット(800)は、電子ビーム支援堆積または電子ビーム支援エッチング動作の少なくとも一方を使用中に実施するように構成される、請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項16】
前記制御ユニット(800)は、前記少なくとも第1の検出信号I1および/または第2の検出信号I2に基づいて電子ビーム支援修正または編集プロセスを始動または終了するようにさらに構成される、請求項1~15のいずれか1項に記載の装置(1000)。
【請求項17】
マスクまたはウェハの検査、修正、または編集のための方法であって、
a)低エネルギー電子顕微鏡(1)の像平面(101)においてマスクまたはウェハ(7)の検査部位を位置合わせするステップと、
b)前記検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、少なくとも第1の結像モードおよび第2の結像モードを選択するステップと、
c)第1の像信号を取得するために、前記第1の結像モードで低入射エネルギーの1次電子ビーム(3)を用いて第1の像走査を実施するステップと、
d)第2の像信号を取得するために、前記第2の結像モードで低入射エネルギーの前記1次電子ビーム(3)を用いて第2の像走査を実施するステップと、
e)前記検査部位において、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントのトポグラフィ情報および材料組成を導出するために、前記第1および第2の像信号を分析するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
ステップc)は、
- 検出ユニット(1600)の調整要素を駆動するために第1の信号を生成すること、
- 前記第1の結像モードにおいて、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第1の被選択セグメントを検出するために、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向および/または収束させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップd)は、
- 検出ユニット(1600)の調整要素を駆動するために第2の信号を生成すること、
- 前記第2の結像モードにおいて、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントを検出するために、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向および/または収束させることをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
最小強度(927)、最大強度(929)、シャドウ領域の幅または拡張部dx、最小強度位置Mx、および/または層エッジにおける像信号の傾斜(935);または、上記値の少なくとも1つの値の前記第1の像信号と前記第2の像信号との差の少なくとも1つを決定することをさらに含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定することをさらに含む、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または微小欠陥の少なくとも1つに対応する訓練または参照データのセットを用いた機械学習アルゴリズムの適用をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記マスクまたはウェハ(7)の前記検査部位に関する所定の情報を受信するステップをさらに含み、少なくとも第1の結像モードおよび第2の結像モードを選択することは、前記所定の情報に基づいて実施される、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、前記少なくとも第1および第2の結像モードを決定し記憶するステップをさらに含む、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも第1および第2の結像モードを決定するステップは、
- 低入射エネルギーの1次電子ビーム(9)を用いて少なくとも2つの像走査のシーケンスを実施するステップであって、前記少なくとも2つの像走査はそれぞれ、前記検査部位において前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの異なる被選択セグメントを有する、実施するステップと、
- 像走査の前記シーケンスから少なくとも第1および第2の結像モードを決定するステップと、
- 後続の同様の検査部位について少なくとも第1および第2の結像モードを記憶するステップとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、前記少なくとも第1および第2の結像モードを前記決定することは、複数の訓練または参照像信号を使用する機械学習アルゴリズムに従って実施される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
電子ビーム支援修正または編集プロセスを始動または終了するステップをさらに含む、請求項17~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
低入射エネルギーLEで補正済み1次電子ビームを用いてサンプル(7)の表面(2)を調査するための低エネルギー電子顕微鏡(1)であって、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に使用中に収束させ、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するための1次ビーム収束ユニット(1100)と、
- 前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの少なくとも第1のセグメントを検出し、少なくとも第1の検出信号I1を生成するための、少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記ビーム形成ユニット(1400)から前記1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、前記後方散乱電子ビーム(9)であって、前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつ前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に対して反対方向に伝搬する、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む、前記後方散乱電子ビーム(9)を前記1次ビーム収束ユニット(1100)から前記検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)と、
- 前記検出ユニット(1600)に接続された制御ユニット(800)とを備え、
前記検出ユニット(1600)は、調整要素をさらに備え、
前記制御ユニット(800)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1の被選択セグメントを第1の結像モードで選択するために前記調整要素を制御するように構成される、低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項29】
前記調整要素は、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向させるために構成される偏向ユニット(1603)、前記後方散乱電子ビーム(9)を収束させるために構成される収束レンズ(1605)、調整可能エネルギーフィルタ(1607)、または調整可能分散ユニット(1611)の少なくとも1つを備える、請求項28に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項30】
前記制御ユニット(800)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される後方散乱電子(9)に対応する前記角度スペクトルのオフアクシスセグメントを選択するために、前記調整要素を制御するように構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項31】
前記制御ユニット(800)は、前記第1の被選択セグメントと異なる前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントを第2の結像モードで選択するために、前記調整要素を制御するようにさらに構成される、請求項28~30のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項32】
前記制御ユニット(800)は、順次、前記第1の結像モードで前記サンプル(7)の前記表面(25)のセグメントの第1の像走査を実施し、前記第2の結像モードで前記表面(25)の同じセグメントの第2の像走査を実施するようにさらに構成される、請求項31に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項33】
前記検出ユニット(1600)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントに対応する第2の信号I2を、使用中に生成するために、第2の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える、請求項28~32のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項34】
前記ビーム形成ユニット(1400)および前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記補正済み1次電子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に収束させ、前記1次電子ビーム(3)を、前記サンプル表面(25)に達する前に、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い運動エネルギーに減速させるように構成される、請求項28~33のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項35】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは最大で1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するように構成される、請求項28~34のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項36】
前記制御ユニット(800)は、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面(25)の前記セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、前記少なくとも第1および第2の結像モードを決定するようにさらに構成される、請求項28~35のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項37】
前記制御ユニット(800)は、層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定するようにさらに構成される、請求項28~36のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項38】
静電ミラー補正器(1415)をさらに備える、請求項28~37のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項39】
低入射エネルギーLEで補正済み1次電子ビームを用いてサンプル(7)の表面(2)を調査するための低エネルギー電子顕微鏡(1)であって、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に使用中に収束させ、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するための1次ビーム収束ユニット(1100)と、
- 前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第1のセグメントを検出し、第1の検出信号I1を生成するための、第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記ビーム形成ユニット(1400)から前記1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、前記後方散乱電子ビーム(9)であって、前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつ前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に対して反対方向に伝搬する、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む、前記後方散乱電子ビーム(9)を前記1次ビーム収束ユニット(1100)から前記検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)とを備え、
前記検出ユニット(1600)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの少なくとも第2のセグメントを検出し、前記第1の信号I1と異なる第2の検出信号I2を生成するための少なくとも第2の閉じ込め式検出器セグメント(1801)をさらに備える、低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項40】
前記検出ユニット(1600)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第3の被選択セグメントに対応する第3の信号I3を、使用中に生成するために、第3の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える、請求項39に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項41】
前記ビーム形成ユニット(1400)および前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記補正済み1次電子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に収束させ、前記1次電子ビーム(3)を、前記サンプル表面(25)に達する前に、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い運動エネルギーに減速させるように構成される、請求項39または40に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項42】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するように構成される、請求項39~41のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項43】
前記制御ユニット(800)は、層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で、前記少なくとも第1および第2の検出信号I1およびI2から決定するようにさらに構成される、請求項39~42のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項44】
静電ミラー補正器(1415)をさらに備える、請求項39~43のいずれか1項に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低エネルギー高解像度結像において材料コントラストからトポグラフィ情報を分離するための手段を有する走査電子顕微鏡を提供する。本発明は、半導体作製プロセスの検査またはモニタリングのために、例えば、半導体ウェハ検査のためにならびにマスク検査およびマスク修正などの高精度計測アプリケーションのために特に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
半導体検査、マスク検査、およびマスク修正についての要件は、益々要求が厳しくなっている。5nmより小さい、3nmより小さい、そしてさらに1nmより小さい実際のおよび将来の臨界寸法(CD:critical dimension)によって、同様に、半導体フィーチャのプレースメントは、益々要求が厳しくなっている。パターンプレースメントは、CDの何分の1、例えば、CDの1/3以下によって、通常、指定されるオーバーレイ要件と、通常、相関される。
【0003】
半導体マスクは、通常、マスク材料の上部の吸収構造によって形成されるトポグラフィを有する。吸収構造は、通常、不透明フィルム、例えば、数十nmの厚さまでのクロムフィルムのリソグラフィ処理によって形成される。他の材料または構造は、例えば、位相シフトマスクのために、同様に使用され得る。EUVマスクの場合、同様に、他の吸収体が、例えば、薄タンタルフィルムまたは窒化シリコンとしてしようされ得る。解像度およびパターンまたはエッジプレースメントについての高い要件の場合、トポグラフィ効果は、マスク検査および修正アプリケーションにおいて益々制限的になる。
【0004】
リソグラフィマスクのコンピュータにより設計したパターンは、通常、ウェハ上で生産されるフィーチャサイズまたはCDに匹敵するフィーチャサイズを有する。したがって、特にEUVマスクの場合、例えば、OPC(:optical proximity correction、光近接効果補正)のためのアシストフィーチャなどのパターンのフィーチャサイズは、より小さく、例えば、10nmより小さく、5nmより小さく、またはさらに3nmより小さくなる。光リソグラフィによる光学像形成によるパターンプレースメントの精度は、理論的に無制限であるが、実際には、例えば、リソグラフィマスク上のフィーチャのエッジプレースメントの正確度によって制限される。したがって、マスクパターンのエッジのプレースメントは、例えば、3nmより小さい、またはさらに1nmより小さい、例えば、さらに約0.1nmのリソグラフィプロセスのオーバーレイ要件内で非常にうまく制御されなければならない。
【0005】
半導体製造中に、解像度および正確度についての要件は、同じオーダーで増加する。通常、ウェハは、例えば、構造化層堆積、酸化、ドーピング、またはエッチングによって生成される任意のトポグラフィ効果を回避するために、作製ステップ中に頻繁に平坦化される。しかしながら、一部の作製ステップは、ウェハ上に生産されたほぼ平坦なフィーチャのトポグラフィについての増加した正確度での検査を必要とする。
【0006】
ウェハ作製中のフィーチャおよびマスク構造のトポグラフィの効果は、従来の結像技法の正確度を制限する。現在使用されている結像技法は、走査電子顕微鏡による後方散乱または2次電子収集である。サンプル、例えば、ウェハの表面またはマスク表面は、狭く収束された1次電子ビームによってラスター走査される。2次および後方散乱電子が収集され、強度が評価される。幾つかの手段は、収集された電子の特定のエネルギーレジームまたは角度スペクトルを選択するために使用される場合がある。しかしながら、要件の増加によって、現在使用されている結像技法の解像度および正確度は、もはや十分でない。数十nmの浅いマスク層でさえも、後方散乱電子についてシャドウイング効果(shadowing effect)を示し始める。フィーチャのエッジのフォームおよび傾斜角度は、必要とされる結像正確度のオーダーである後方散乱電子信号に影響を及ぼす。
【0007】
従来の走査電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)において、像強度は、通常、異なる位置にある固定インレンズ検出器によって記録される。そのような従来のSEMの例は、米国特許第7,910,887号または米国特許第10,720,304号に記載される。インレンズ検出器は、時として、後方散乱電子のエネルギー選択的収集用のESB検出器と呼ばれる。各検出器は、異なる出射角度またはエネルギーの電子を記録する。より高い角度下で放出される弾性的に後方散乱した電子は、通常、より多くのトポグラフィ情報を含み、一方、顕微鏡の光軸の近くで放出された電子は、主に材料情報を含む。米国特許第10,720,304号に記載されるシステムにおいて、1次電子は、検出器の中心アパーチャにおいてインレンズ検出器を通過する。このアパーチャの内部で、2次または後方散乱電子は検出されることができない。したがって、低い散乱角度における後方散乱電子の情報は喪失される。情報の喪失は、低エネルギー電子について益々制限的になる。1次電子のより低い運動エネルギーにおいて、一般に、散乱角度は、実質的に減少し、より多くのオフアクシス電子が収集され、一方、低いおよび中程度の角度で放出された電子は喪失される。欧州特許第2,463,889号は、後方散乱電子の位相空間を制限するためのインレンズ検出器とESB検出器との間の可動ダイヤフラムアパーチャを記載する。そのような解決策は、上記で説明した仕様要件にとって十分でなく、後方散乱電子の運動量分布のオフアクシス部分にアクセスすることを可能にしない。さらに、アパーチャは、高い電位(例えば、ライナーチューブ電位)に対してフロートである必要があるため、可動アパーチャは実施するのが難しい。さらに、機械的移動は、高速像取得のための動作モードの高速変更を可能にしない。
【0008】
高解像度要件の場合、例えば、電子ビーム支援修正動作中に、数100eVより低い、例えば、500eVより低い、300eVより低い、またはさらにそれより低い電子の運動エネルギーを有する低エネルギー電子顕微鏡が必要とされる。したがって、検出器に対してビーム分離器によって後方散乱電子を結像する(image)ための結像システムを利用して、補正付き低エネルギー顕微鏡を適用することが提案された。そのようなシステムは、例えば、米国特許第6,855,939号、米国特許第8,592,776号、および独国特許出願公開第10 2019 214 936号に開示される。しかしながら、これらのシステムは、例えば、低エネルギー2次電子を後方散乱電子から分離するように構成されるが、後方散乱電子からのトポグラフィ情報は考慮されない。しかしながら、収集された後方散乱電子の減少した角度拡散を有するより低い運動エネルギーの場合、後方散乱電子の益々多くの割合が、従来技術の補正付き低エネルギー顕微鏡の測定正確度を低下させるトポグラフィ情報を含む。さらに、材料コントラスト情報は喪失され、材料コントラストを必要とするプロセス制御アプリケーションは、十分な正確度でもはや実施されることができない。
【0009】
したがって、後方散乱電子からの材料情報から、絡み合った(entangled)トポグラフィ情報を抽出または分離することが可能である、半導体ウェハまたはマスク用の高解像度検査システムを提供することが本発明のタスクである。半導体またはマスクの構造物層フィーチャのトポグラフィまたはエッジ効果を考慮して、より高い正確度およびより高い精度での高解像度マスクまたは半導体検査方法を提供することが本発明のさらなるタスクである。半導体マスクについての現在のおよび将来の要件に適合するマスク修正動作をモニターするための精密モニタリングシステムを提供することが本発明のさらなるタスクである。トポグラフィ効果の存在下での高速かつ信頼性のある半導体またはマスク検査もための方法、および、トポグラフィ効果の存在下での高速かつ信頼性のある半導体またはマスク検査のために構成され得るシステムを提供することが本発明のさらなるタスクである。
【発明の概要】
【0010】
タスクを解決する本発明は、独立請求項によって説明される。実施形態のさらなる例は、従属請求項において説明される。
【0011】
本発明は、低入射エネルギーLEを有する1次電子ビームを用いてサンプル(7)の表面(25)を調査するための低エネルギー電子結像のアプリケーションを可能にする。一実施形態よる低エネルギー電子顕微鏡(1)は、補正済み1次電子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)を備える。1次電子ビーム(3)は、ビーム形成ユニット(1400)の補正手段によって事前補正され、1次ビーム収束ユニット(1100)によって、サンプル(7)の表面(25)上に収束される。ビーム形成ユニット(1400)および1次ビーム収束ユニット(1100)は、補正済み1次電子ビーム(3)をサンプル(7)の表面(25)上に収束させ、1次電子ビーム(3)を、サンプル表面(25)に達する前に減速させるように構成される。それにより、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い運動エネルギーを有する低入射エネルギーの1次電子は、3nmより低い、好ましくは2nmより低い、またはさらにそれより低い高結像解像度で達成される。
【0012】
1次ビーム収束ユニット(1100)は、サンプル(7)の表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するためにさらに構成される。収集された後方散乱電子の大きな角度は、通常、サンプル(7)の表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超え、そして、好ましくは最大で1.3ラジアンまでである。低エネルギー電子顕微鏡(1)は、少なくとも後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第1のセグメントを検出し、少なくとも第1の検出信号I1を生成するための、少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)をさらに備える。低エネルギー電子顕微鏡(1)は、補正済み1次荷電粒子ビーム(3)をビーム形成ユニット(1400)から1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、後方散乱電子ビーム(9)を1次ビーム収束ユニット(1100)から検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)をさらに備える。後方散乱電子ビーム(9)は、それにより、補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつそれに対して反対方向に伝搬する、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む。検出ユニット(1600)は、調整要素をさらに備え、制御ユニット(800)に接続される。制御ユニット(800)は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第1の被選択セグメントを第1の結像モードで選択するために調整要素を制御するように構成される。調整要素は、後方散乱電子ビーム(9)を偏向させるために構成される偏向ユニット(1603)、後方散乱電子ビーム(9)を収束させるために構成される収束レンズ(1605)、運動エネルギーに従って後方散乱電子ビーム(9)を分配するために、調整可能分散ユニット(1611)の運動エネルギー閾値より低い後方散乱電子を阻止する調整可能エネルギーフィルタ(1607)の少なくとも1つを備える。一例において、制御ユニット(800)は、サンプル(7)の表面(25)から大きい角度で散乱される後方散乱電子(9)に対応する角度スペクトルのオフアクシスセグメントを選択するために、偏向ユニット(1603)を制御するように構成される。一例において、制御ユニット(800)は、サンプル(7)の表面(25)からより大きい角度で散乱される後方散乱電子(9)に対応する角度スペクトルのより大きいセグメントを選択するために、収束レンズ(1605)を制御するように構成される。一例において、制御ユニット(800)は、サンプル(7)の表面(25)から狭い角度で散乱される後方散乱電子(9)に対応する角度スペクトルのより小さいセグメントを選択するために、収束レンズ(1605)を制御するように構成される。それにより、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの差セグメントが選択され得る。一例において、制御ユニット(800)は、第1の被選択セグメントと異なる後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第2の被選択セグメントを第2の結像モードで選択するために、調整要素を制御するようにさらに構成される。制御ユニット(800)は、順次、第1の結像モードでサンプル(7)の表面(25)のセグメントの第1の像走査を実施し、第2の結像モードで表面(25)の同じセグメントの第2の像走査を実施するようにさらに構成され得る。
【0013】
一例において、検出ユニット(1600)は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第2の被選択セグメントに対応する第2の信号I2を、使用中に生成するために、第2の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備えることができる。
【0014】
制御ユニット(800)は、層エッジのエッジ位置、フィーチャ寸法、エッジ粗さ、エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定するようにさらに構成される。高解像度は、低入射エネルギーの1次電子および低エネルギー電子顕微鏡(1)の補正手段を利用することによって達成される。エッジ位置、エッジ傾斜、および微小欠陥の明確な決定は、マスクまたはウェハ(7)の表面(25)のセグメントの材料コントラストからのトポグラフィ効果の分離によって達成される。分離は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの異なるセグメントの検出を含む、少なくとも第1および第2の結像モードでの検出ユニット(1600)の動作の制御によって達成される。補正手段として、低エネルギー電子顕微鏡(1)は、例えば、静電ミラー補正器(1415)を備える。
【0015】
一例において、制御ユニット(800)は、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、マスクまたはウェハ(7)の表面(25)のセグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、少なくとも第1および第2の結像モードを決定するように構成される。
【0016】
さらなる実施形態において、低エネルギー電子顕微鏡(1)は、ビーム形成ユニット(1400)と、1次ビーム収束ユニット(1100)と、第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、ビーム分割ユニット(1500)とを備える。検出ユニット(1600)は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの少なくとも第2のセグメントを検出し、第1の信号I1と異なる少なくとも第2の検出信号I2を生成するための少なくとも第2の閉じ込め式検出器セグメント(1801)をさらに備える。ビーム形成ユニット(1400)は、補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成される。ビーム形成ユニット(1400)および1次ビーム収束ユニット(1100)は、補正済み1次電子ビーム(3)をサンプル(7)の表面(25)上に収束させ、1次電子ビーム(3)を、サンプル表面(25)に達する前に、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い運動エネルギーに減速させるように構成される。1次ビーム収束ユニット(1100)は、サンプル(7)の表面(25)の垂線に対して0.7ラジアンを超える、好ましくは最大で1.3ラジアンまでの大きい角度で散乱する電子を含む後方散乱電子を使用中に収集するためにさらに構成される。
【0017】
ビーム分割ユニット(1500)は、補正済み1次荷電粒子ビーム(3)をビーム形成ユニット(1400)から1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、後方散乱電子ビーム(9)を1次ビーム収束ユニット(1100)から検出ユニット(1600)に誘導するために構成される。後方散乱電子ビーム(9)は、補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつそれに対して反対方向に伝搬する、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む。
【0018】
第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第1のセグメントを検出し、第1の検出信号I1を生成するために構成される。一例において、検出ユニット(1600)は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第3のまたはさらなる被選択セグメントに対応する第3のまたはさらなる検出信号I3を、使用中に生成するために、第3のまたはさらなる閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える。そのため、複数の少なくとも2つの検出器セグメントは、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの異なるセグメントに対応する複数の異なる検出信号を選択するように構成される。低エネルギー電子顕微鏡(1)の制御ユニット(800)は、層エッジのエッジ位置、フィーチャ寸法、エッジ粗さ、エッジ傾斜、または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で、少なくとも第1および第2の検出信号I1およびI2から決定するようにさらに構成される。高解像度は、低入射エネルギーの1次電子および低エネルギー電子顕微鏡(1)の補正手段を利用することによって達成される。エッジ位置、エッジ傾斜、および微小欠陥の明確な決定は、マスクまたはウェハ(7)の表面(25)のセグメントの材料コントラストからのトポグラフィ効果の分離によって達成される。分離は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの異なるセグメントに対応する少なくとも第1および第2の検出信号I1およびI2によって達成される。補正手段として、低エネルギー電子顕微鏡(1)は、例えば、静電ミラー補正器(1415)を備える。
【0019】
本発明のさらなる実施形態によれば、マスクまたはウェハの検査、修正、または編集のための装置(1000)が与えられる。装置は、上記の実施形態で説明した低エネルギー電子顕微鏡(1)を備える。低エネルギーモードにおいて、低エネルギー電子顕微鏡(1)は、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い1次電子の低運動エネルギーを用いて、補正済み1次電子ビーム(3)をマスクまたはウェハ(7)の表面(25)上に使用中に収束させるように構成される。低エネルギー電子顕微鏡(1)は、サンプル(7)の表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは最大で1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するためにさらに構成される。低エネルギー電子顕微鏡(1)のビーム分割ユニット(1500)は、後方散乱電子ビーム(9)から補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を、使用中に分割するために構成される。低エネルギー電子顕微鏡(1)は、補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつそれに対して反対方向に伝搬する、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む後方散乱電子ビーム(9)を、使用中に収集し結像するように構成される。
【0020】
低エネルギー電子顕微鏡(1)の検出ユニット(1600)は、少なくとも調整要素を備える。検出ユニット(1600)に接続された装置(1000)の制御ユニット(800)は、サンプル(7)、例えばマスクまたはウェハの表面(25)のセグメントの検査タスクを実施するように構成される。少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)は、少なくとも第1の検出信号I1を生成するために少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を用いて後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの少なくとも第1の被選択セグメントを選択的に検出するように構成される。検出ユニット(1600)は、少なくとも第2の検出信号I2を生成するために、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第2の被選択セグメントを選択的に検出するようにさらに構成され、角度スペクトルの第2の被選択セグメントは、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第1の被選択セグメントと異なる。制御ユニット(800)は、少なくとも第1および/または第2の信号I1および/またはI2を選択的に検出するために調整要素を制御するように構成される。調整要素は、偏向ユニット(1603)、収束レンズ(1605)、調整可能エネルギーフィルタ(1607)、または調整可能分散ユニット(1611)の少なくとも1つを備える。一例において、制御ユニット(800)は、角度スペクトルの単一オフアクシスセグメントを選択し、角度スペクトルの単一オフアクシスセグメントを用いて検査タスクを実施するように構成される。
【0021】
一例において、制御ユニット(800)は、サンプル(7)の表面(25)上の構造に関する所定の情報に基づいて後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの少なくとも第1および/または第2の被選択セグメントを選択する。構造は、マスク上の吸収層またはウェハ内の導体線とすることができ、エッジまたは寸法を備えることができる。
【0022】
一例において、制御ユニット(800)は、順次、少なくとも第1の信号I1を収集するために第1の結像モードで検出ユニット(1600)を調整し、サンプル(7)の表面(25)にわたる後続の第2の像走査において少なくともさらなる信号を収集するために第2の結像モードで検出ユニット(1600)を調整するように構成される。
【0023】
一例において、検出ユニット(1600)は、サンプル(7)の表面(25)にわたる単一像走査において、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第2のまたはさらなる被選択セグメントに対応する少なくとも第2のまたはさらなる検出信号I2を、使用中に生成するために、少なくとも第2の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える。検出ユニット(1600)は、調整要素をさらに備えることができ、制御ユニット(800)は、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの少なくとも第1および第2の被選択セグメントを選択的に検出するために調整要素を制御するように構成される。少なくとも2つの検出器セグメントを備える検出ユニット(1600)を有する装置(1000)は、サンプル(7)の表面(25)にわたる第1の単一像走査において第1および第2の検出信号を検出し、同じ検査部位におけるサンプル(7)の表面(25)にわたる第2の単一像走査において後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第3およびさらなる被選択セグメントに対応する第3およびさらなる像信号を検出するようにさらに構成され得る。
【0024】
一例において、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第1の被選択セグメントは、表面(25)のセグメントのトポグラフィに対して減少した感度を有する第1の検出信号I1を生成するために選択され、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第2の被選択セグメントは、表面(25)のセグメントのトポグラフィに対して増加した感度を有する第2の検出信号I2を生成するために選択される。それにより、トポグラフィ情報は、材料コントラストから分離され得り、例えば、層エッジの位置または層エッジの傾斜は、高精度で決定され得る。実施形態による装置は、複数のプロセスガスをサンプル(7)の表面(25)に提供するために複数のガスノズル(152)をさらに備える。制御ユニット(800)は、電子ビーム支援堆積または電子ビーム支援エッチング動作の少なくとも一方を使用中に実施するように構成される。制御ユニット(800)は、少なくとも第1の検出信号I1および/または第2の検出信号I2に基づいて電子ビーム支援修正または編集プロセスを始動または終了するようにさらに構成される。
【0025】
本発明のさらなる実施形態によれば、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい高解像度を有するマスクまたはウェハの検査、修正、または回路編集の方法が提示される。方法は、低エネルギー電子顕微鏡(1)の像平面(101)においてマスクまたはウェハ(7)の検査部位を位置合わせすることを含む。方法は、検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、マスクまたはウェハ(7)の表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、少なくとも第1の結像モードおよび第2の結像モードの選択をさらに含む。方法は、第1の像信号を取得するための、第1の結像モードでの低入射エネルギーの1次電子ビーム(3)を用いる第1の像走査、および、第2の像信号を取得するための、第2の結像モードでの低入射エネルギーの1次電子ビーム(3)を用いる第2の像走査をさらに含む。方法によれば、第1および第2の像信号が分析され、検査部位におけるマスクまたはウェハ(7)の表面セグメントのトポグラフィ情報および材料組成が導出される。一例において、像走査中、第1の信号は、後方散乱電子ビーム(9)の偏向および/または収束のため検出ユニット(1600)の調整要素を駆動するために生成される。それにより、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第1の被選択セグメントは、第1の結像モードで検出される。一例において、第2の信号は、後方散乱電子ビーム(9)の偏向および/または収束のため検出ユニット(1600)の調整要素を駆動するために生成される。それにより、後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの第2の被選択セグメントは、第2の結像モードで検出される。方法は、最小強度(927)、最大強度(929)、シャドウ領域の幅または拡張部dx、最小強度位置Mx、および/または層エッジにおける像信号の傾斜(935);または、上記値の少なくとも1つの値の第1の検出信号と第2の検出信号との差の少なくとも1つを決定することをさらに含む。それにより、層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つは、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定され得る。決定は、例えば、所定の検出信号との比較によって、または、検出結果のモデルベースシミュレーションによって達成され得る。一例によれば、方法は、層エッジのエッジ位置、フィーチャ寸法、エッジ粗さ、エッジ傾斜、または微小欠陥の少なくとも1つの複数の検出信号に対応する訓練または参照データのセットを用いた機械学習アルゴリズムの適用をさらに含む。異なる検査部位における適用中に、方法は、マスクまたはウェハ(7)の検査部位に関する所定の情報をさらに受信することができ、少なくとも第1の結像モードおよび第2の結像モードの選択は、所定の情報に基づいて実施され得る。所定の情報は、層エッジの配向、フィーチャ配向、材料組成、高さ情報、あるいは、他のトポグラフィ情報または材料組成に関する情報を含むことができる。
【0026】
一例において、方法は、検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、マスクまたはウェハ(7)の表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、少なくとも第1および第2の結像モードを決定し記憶するステップを含む。理想的な結像モードの決定中に、低入射エネルギーの1次電子ビーム(3)を用いた少なくとも2つの像走査のシーケンスが実施され、少なくとも2つの像走査はそれぞれ、検査部位において後方散乱電子ビーム(9)の角度スペクトルの異なる被選択セグメントを有する。シーケンスの検出信号から、少なくとも第1および第2の結像モードが導出される。例えば、層エッジの配向および層エッジの高さが導出され、偏向ユニットの偏向角度が、層エッジの配向および高さによって決定される。第1および第2の結像モードは、マスクまたはウェハの後続の同様の検査部位における検査タスクのためにメモリに記憶される。
【0027】
さらなる例によれば、検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、マスクまたはウェハ(7)の表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、少なくとも第1および第2の結像モードは、複数の訓練または参照像信号を使用する機械学習アルゴリズムよって達成される。参照または訓練像信号は、較正された参照マスクからまたはモデルベースシミュレーションから取得され得る。それにより、エッジ位置、フィーチャ寸法、微小欠陥、エッジ傾斜、またはエッジ粗さを高正確度で決定するために高い有意性を有する像モードを特定することが可能である。
【0028】
2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい高解像度で、層エッジ、フィーチャサイズ、または微小欠陥のトポグラフィおよび材料組成を精密に決定した後に、電子ビーム支援修正または編集プロセスが、トリガー、始動、または終了され得る。
【0029】
本開示の実施形態の他の利点は、添付図面と併せて以下の説明から明らかになるであろう。本発明は、実施形態および例に限定されるのではなく、その変形、組合せ、または修正を含む。本発明の他の実施形態は、本明細書で開示する本発明の仕様および実施の検討から当業者に明らかになるであろう。例えば、本出願において規定される装置および方法の使用は、荷電粒子としての電子ビームの使用に限定されない。むしろ、任意の粒子ビームが使用され得り、その粒子ビームは、粒子ビームがそこでサンプルの表面に衝当し、そこで対応するガスが提供される、位置において、前駆体ガスの局所的化学反応を誘起することが可能である。代替の粒子ビームの例は、イオンビーム、金属ビーム、分子ビーム、および/または光子ビームである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるマスク修正のための装置を示す図である。
【
図2】
図1の装置内での後方散乱電子の収集を示す図である。
【
図3】異なる入射エネルギーの1次電子についての後方散乱電子の角度分布に対する界浸場(immersion field)Fの効果を示す図である。
【
図4】後方散乱電子の角度分布に対する異なる界浸場F1およびF2の効果を示す図である。
【
図5】大きい界浸場Fにおける後方散乱電子についてのトポグラフィ効果を示す図である。
【
図6】吸収層のエッジの例におけるシャドウイング効果を示す図である。
【
図7】本発明による補正付き電子顕微鏡CSEMの例を示す図である。
【
図8】遮蔽グリッドを備える1次ビーム収束ユニットの例を示す図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態による方法を示す図である。
【
図10】本発明による結像モードの例を示す図である。
【
図11】本発明による異なる結像モードの3つのさらなる例を示す図である。
【
図12】
図11の異なる結像モードの3つの例による後方散乱電子分布の角度スペクトルの被選択セグメントを示す図である。
【
図13】
図11の異なる結像モードの3つのさらなる例による、層エッジにわたる像走査によって取得された、検出された後方散乱電子強度分布を示す図である。
【
図14】後方散乱電子検出器の複数の検出器セグメントを有する検出ユニットを示す図である。
【
図15】分散ユニットの作用を含む本発明の第3の実施形態を示す図である。
【
図16】第1の実施形態による装置および第2または第3の実施形態による方法を利用する本発明の第4の実施形態による高精度マスク修正動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、その例が添付図面に示される例示的な実施形態に対して、参照が詳細に行われる。説明全体を通して、異なる図面の同じ数字は、別段に示されない限り、同じかまたは同様の要素を示す。
【0032】
図1は、本発明の第1の実施形態の例を示す。
図1は、マスク修正用の装置1000の断面を示し、その装置は、マスクの吸収構造の局所的欠陥を修正するために使用され得り、同時に、修正プロセス中にマスクの基板の損傷を防止することができる。マスク修正の装置および方法のより詳細は、米国特許出願公開第2014/255,831号に記載され、その出願公開は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1の例示的な装置1000は、補正付き走査電子顕微鏡1を備える。補正付き走査電子顕微鏡1は、1次電子ビーム3の生成用の電子源ユニット1018を備える。ビーム結像、ビーム補正、およびビーム偏向要素1020および1025は、1次電子ビーム3を方向付け、補正付き電子顕微鏡またはCSEM1の像平面(示さず)内に1次電子ビーム3の焦点を形成する。第1の実施形態によるCSEM1のより詳細は、以下の
図7で説明される。
【0033】
マスク7は、サンプルステージ500上に配置される。サンプルステージ500は、アクチュエータを備え、制御ユニットに接続され、制御ユニットによって、マスク7は、マスク7の第1の表面25が補正付き電子顕微鏡1の像平面に配置されるように設置され得る。サンプルステージ500は、マスク7の温度を制御するために1つまたは幾つかの制御要素をさらに含むことができる。
【0034】
例示的な装置1000は、粒子ビームとして1次電子ビーム3を使用する。電子ビーム3は、マスク7の表面25上の、10ナノメートルより小さい、例えば、5nmより小さいまたはさらに3nmより小さい直径を有する小スポット上に収束され得る。マスク7の表面25に衝当する電子のエネルギーは、或るエネルギー範囲にわたって(数eVから10keVまで)変動し得る。マスク7の表面25に衝当するとき、電子は、その小さい電子質量のせいで、マスク表面25の有意の損傷を引き起こさない。
【0035】
電子ビーム3は、マスク7の表面25の像を記録するため表面25にわたって走査するために使用される。検出ユニット1600は、1次電子ビーム3とマスク7の表面25の材料との相互作用によって生成される後方散乱および/または2次電子についての信号を提供する。信号は、材料の組成およびトポロジーに比例する。通常、マスクは酸化ケイ素から作製され、その際、吸収層はクロムまたは窒化ケイ素によって形成される。EUVマスクは、通常、モリブデンおよびシリコンで形成された多層(MoSi多層)によって形成され、その際、上部層はルテニウムによって形成される。吸収体は、例えば、窒化ケイ素またはタンタル窒化ホウ素によって形成され得る。マスク7の表面25にわたって1次電子ビームを走査することによって、マスク表面25の像が取得され得り、マスク7の吸収体構造の欠陥が決定され得る。代替的に、マスク7の吸収体構造要素の欠陥は、ウェハを露光することによって、および/または、例えばAIMS(登録商標)によって決定されたマスク7の1つまたは幾つかの光学像を記録することによって決定され得る。
【0036】
制御ユニット800は、装置1000を制御し、1次電子ビーム3の走査動作によって取得されるマスク7の表面25の像を取得し記憶するために構成される像形成ユニット(示さず)を備える。像形成ユニットは、検出ユニット1600のデータ信号からマスク7の表面25の像を決定し修正することを可能にする、ハードウェアおよび/またはソフトウェアで実現されるアルゴリズムを実行するように構成され得り、計算されたまたは修正された像を記憶することができる。制御ユニット800は、1次ビーム形成を制御するように構成される1次ビーム形成ユニット用の制御ユニットならびにビーム形成およびビーム結像要素1020および1025を備える。さらに、制御ユニット800は、サンプルステージ500の移動を制御するように構成されるステージ制御ユニット(示さず)を備える。
【0037】
マスク修正用の装置1000は、マスク表面25を操作または処理するための複数のコンポーネント、例えば、レーザービーム1082を提供するレーザーシステム1080、イオンビームガン1035、およびプロセスガスを提供するための複数のガスノズル152.1~152.6をさらに備える。1次電子ビーム3は、エッチングまたは堆積反応を初期化するために使用される。電子の加速電圧は0.01keV~10keVの範囲内である。1次電子ビームの電流は、或る間隔で1pAと1nAとの間で変動する。レーザーシステム1080は、レーザービーム1082によって、さらなるおよび/または代替のエネルギー移動機構を提供する。例えば、エネルギー移動機構は、例えばマスク7の吸収体構造要素の局所的修正プロセスを効率的にサポートするために、前駆体ガスを選択的に活性化することができる、または、前駆体ガスの分解によって生成されるコンポーネントまたはフラグメントを選択的に活性化することができる。例示的な装置1000は、マスク7の表面25に配置された吸収体構造の1つまたは幾つかの欠陥を処理するために異なるプロセスまたは前駆体ガス用の複数の貯蔵コンテナ150.1~150.6を備える。第1の貯蔵コンテナ150.1は、例えば、吸収体要素の欠陥の周りに保護層を生成するために電子ビーム3と組み合わせて使用される第1の前駆体ガスまたは堆積ガスを貯蔵する。第2の貯蔵コンテナ150.2は、保護層がそれによってマスク7の表面25から除去され得る塩素含有エッチングガスを含む。第3の貯蔵コンテナ150.3は、クロムまたはタンタルなどの過剰な吸収材料を局所的に除去するために使用される、エッチングガス、例えば二フッ化キセノン(XeF2)を貯蔵する。第4の貯蔵コンテナ150.4は、マスク7の表面25に、抜けている吸収材料を局所的に堆積するための前駆体ガスを貯蔵する。第5の貯蔵コンテナ150.5および第6の貯蔵コンテナ150.6は、必要に応じて第3の貯蔵コンテナ150.3に貯蔵されたエッチングガスに混合され得る2つのさらなる異なるガスを含む。さらに、装置1000は、マスク欠陥の修正のための選択的エッチングまたは堆積のために、必要に応じて、さらなる貯蔵コンテナおよびガス供給部をインストールすることを可能にすることができる。各貯蔵コンテナ150.1~150.6は、制御弁154.1~154.6を介してガスノズル152.1~152.6の1つのガスノズルに接続される。制御弁155.1~154.6は、マスク修正動作中の自動化ガス供給のために制御ユニット800に接続される。それにより、時間単位当たりに提供されるガス流の量、または、電子ビーム3がマスク7の基板1010上に衝当する場所におけるガス流量が制御される。マスク7上での電子ビーム3の衝当地点とガス供給部のノズル152.1~152.3との間の距離は、数ミリメートルの範囲内にある。しかしながら、
図1の装置1000は、ガス供給部の配置であって、1次電子ビーム3の衝当地点に対するガス供給部の距離が1ミリメートルより小さい、ガス供給部の配置も可能にする。
【0038】
マスク修正用の装置1000は、真空チャンバ999の内部の必要とされる真空を生成し維持するように構成されるポンピングシステムをさらに有する。処理プロシージャを開始するのに先立って、真空チャンバ999内の圧力は、通常、10-5Pa~2・10-4Paの範囲内にある。反応部位において、局所的圧力は、通常、最大で約10Paの範囲まで増加することができる。吸引デバイス1085は、真空ポンプ1087と組み合わせて、前駆体ガス、または、局所的化学反応のために必要とされない前駆体ガスの部分の分解によって生成されるフラグメントが、装置1000の真空チャンバ1090から、生成場所において本質的に抽出されることを可能にする。吸引デバイス1085または真空ポンプ1087は、それらの動作を制御するために制御ユニット800に接続され得る。真空チャンバ1090の汚染は回避される。なぜなら、必要とされないガス成分が、分配され堆積される前に、電子ビーム3および/またはレーザービーム1082の入射位置で真空チャンバ1090から局所的に抽出されるからである。
【0039】
マスク7の表面25に入射する1次電子ビーム3は、基板表面25を充電することができる。電荷蓄積は、正または負とすることができる。電子ビーム3によって電荷蓄積の効果を低減するために、例えば、イオンガン1035などの荷電粒子ビームガンが、低エネルギーを有するイオンで表面25を照射するために使用され得る。例えば、数百ボルトの運動エネルギーを有するアルゴンイオンビームが、表面25を中和するために使用され得る。制御ユニットは、イオンビーム源1035を制御するように同様に構成され得る。正電荷分布は、電子ビーム3の代わりに収束イオンビームが使用される場合に表面25に蓄積することができる。この場合、電子ビームは、正電荷を低減するため表面25を照射するために使用され得る。
【0040】
2つ以上の粒子ビームを並列に使用することも可能である。レーザーシステム1080は、装置1000に組み込まれ、レーザービーム1082を生成する。そのため、装置1000は、光子ビーム1082と組み合わせて電子ビーム3をマスク7に同時に適用することが可能である。両方のビーム3および1082は、連続してまたはパルスの形態で提供され得る。さらに、2つのビーム3および1082のパルスは、同時に部分的にオーバーラップすることができる、または、反応部位で中間反応することができる。反応部位は、電子ビーム3が、前駆体ガスの局所的化学反応を単独でまたはレーザービーム1082と組み合わせて誘起する位置である。
【0041】
マスク修正用の装置1000は、マスク修正に限定されるのではなく、ウェハ検査および作製されたウェハの回路編集などの他のアプリケーションのために同様に適用され得る。半導体ウェハ検査、回路編集、マスク検査、およびマスク修正アプリケーションの場合、後方散乱電子は、プロセス制御のために使用される。後方散乱電子は、1次電子ビームとサンプル表面との交差エリアで生成され、その際、後方散乱係数は、表面におけるまたは表面の近くの材料に依存する。通常、電子の後方散乱は、弾性散乱、非弾性散乱、および複数散乱プロセスを含む、サンプルの表面または材料との数回の相互作用によって記述される。簡略化された後方散乱角度分布は、
図2に示される。補正付き電子顕微鏡1の1次電子ビーム3は、補正付き走査電子顕微鏡1(
図2に示さず)の光軸105に沿って正のz方向に伝搬し、サンプル7、例えばウェハまたはマスクの表面25の近くの相互作用体積5に収束される。後方散乱角度分布15は、入射電子ビーム3に対向する、後方向12への支配的な散乱効率を有する、拡散散乱プロセスによってほぼ簡略化される。後方散乱電子の全ての角度は、サンプル7の表面25に垂直に、通常、位置合わせされる電子顕微鏡1の光軸105に対して示される。例証のために、原子または分子格子における電子回折の効果は、これにより無視される。通常、1次電子ビーム3は、補正付き走査電子顕微鏡1の内部で例えば8keVから30keVの電圧にあり、サンプル7と電極33との間の静電電位によって減速される。電極33は、サンプル7と顕微鏡1との間に配置され得る、または、補正付き荷電粒子顕微鏡1の磁気対物レンズ(
図2に示さず)の内部に配置され得る。電極33は、例えば、補正付き電子顕微鏡1の対物レンズ内に達するライナーチューブによって形成され得る。さらなる電極は、サンプル表面25の上方の静電界浸場にさらに影響を及ぼすために電極33とサンプル7との間に設けられ得る。さらなる電極を備える配置の例は、米国特許第7,910,887号に示され、その特許は参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
したがって、第1の電圧U1は、電極33に提供され、サンプル7は、サンプル表面25と電極33との間に均一減速場Fを生成するために第2の電圧U2に設定される。一例において、サンプルは、グラウンドレベルに設定され、その際、第2の電圧U2=0Vである。そのため、電位差DU=|U1-U2|によって、1次ビーム用の減速場Fとして作用する界浸電場Fが形成され、それにより、1次電子は、50eVと2kVとの間のより低い運動エネルギーまたは入射エネルギーLEにおいてサンプル表面25に達するが、LE=0eVまで下がるさらにより低い運動エネルギーが可能である。通常、1次電子のLEを制御する2つの異なる方法が存在する。第1の例において、LEは、電極33とサンプル7との間の電位差を変更することによって制御される。別の例において、電極33とサンプル7との間の電位差DUは、一定に維持されるが、電極33の上流の1次電子ビームの運動エネルギーは、例えば、電子源1018のより大きい抽出電位によって変更される。
【0043】
界浸場は、後方散乱電子についてのブースティング場Fとしても作用する。界浸電場Fは、後方散乱電子の角度分布に対する収束効果を有する。それにより、この例において、有効収集角度19は、顕微鏡の取り込み角度17に対して増加し、それにより、最大で矢印14および中間角度19までの方向に基板を出る後方散乱電子も、依然として収集される。後方散乱電子軌道の幾つかの例は、例えば、小さい角度下の後方散乱電子軌道9.1、取り込み角度19下の後方散乱電子軌道9.2、および電子顕微鏡の有効収集角度19を超えるより大きい開始角度16を有する後方散乱電子軌道9.3として示される。収集角度19は、そのため、電位差DUに依存する。電位差DUが大きくなればなるほど、サンプルの表面25における1次電子の運動エネルギーまたは入射エネルギーLEが低くなり、収集角度が大きくなる。通常、約400eVのLEにおいて、収集角度19は、約0.4ラジアン(半角)またはNA=0.4である(NAは、収集角度の正弦である)。LE=200eVにおいて、収集角度19は約0.7ラジアンまたは約40°またはNA=0.64である。LE=100eVにおいて、収集角度19は1.3ラジアンまたはNA=0.96まで増加する。そのような低いエネルギーにおいて、収集角度は、90°で散乱する電子をほぼ含む。
図2の図について示される角度は、約200eVのLEに対応する。
【0044】
図3aおよび
図3bは、約400eVの中程度の入射エネルギーLEにおける弾性後方散乱電子の運動量分布27の代表的な例証において
図2に示す収束効果を示す。ドウエル地点5において、同じエネルギーの衝当する1次電子を有するが、異なる方向または散乱角度を有する複数の後方散乱電子が生成される。後方散乱電子は、光軸に平行なまたはサンプル7の表面25に垂直な後方散乱電子12、および、光軸に対して中程度の角度のおよび大きい角度の後方散乱電子14および16を含む。
図3bは、後方散乱電子に対するブーストまたは界浸場Fの効果を示す。後方散乱電子運動量は、ブースト場Fの方向に増加し、一部の後方散乱電子は、補正付き電子顕微鏡1の収集角度17によって収集される。
図3cは、約200eVの低入射エネルギーLEにおける弾性後方散乱電子の運動量分布27を示す。再び、ドウエル地点5において、複数の後方散乱電子は、異なる方向または散乱角度を有する、同じここではより低いエネルギーの衝当する1次電子によって生成される。
図3dは、より低いエネルギーの後方散乱電子に対するブースト場Fの効果を示す。この例において、より低い入射エネルギーの1次電子は、電子源1018のより低い抽出または加速電圧によって達成される。後方散乱電子運動量は、ブースト場Fの方向にさらに一層増加し、より多くの後方散乱電子が、補正付き電子顕微鏡1の収集角度17によって収集され、この例において、中程度の角度の14の後方散乱電子さえも、収集角度17の内部にあり、したがって、補正付き電子顕微鏡1によって収集される。
【0045】
図4aは、異なる界浸場F1およびF2による収束効果を示す。
図2のように、有効後方散乱角度強度分布15.1は、第1の界浸またはブースト場F1による加速の結果として示される。第1の界浸場F1は、第1の電位差DU1に対応する。第1のブースティング場F1は、z方向に作用し、そのため、
図2の簡略化された後方散乱角度分布をz方向に実質上伸長し、楕円形状の有効後方散乱角度強度分布15.1を形成する。
図2の場合と同様に、補正付き電子顕微鏡1の取り込み角度17(示さず)は、破線で示され、中程度の角度14.1下の後方散乱電子に対応する。取り込み角度17は、角度14下の後方散乱電子がそれによって収集される
図2の収集角度19に対応する。より大きい角度16.1下の後方散乱電子は、取り込み角度17を超え、したがって、収集されない。
【0046】
より大きい第2の電位差DU2を有する補正付き電子顕微鏡1のさらに一層減少した1次電子入射エネルギーの場合、後方散乱電子の有効面内モーメントはさらに小さくなる。反射電子は、この場合、さらに大きいブースト電位DU2によって加速されるため、これは、反射電子位相空間の有効伸長または有効後方散乱角度分布をもたらす。
図4bは、本発明の高解像度結像について必要とされる、さらに低い1次電子エネルギーについての有効後方散乱角度分布の例を示す。さらに低い1次電子エネルギーの場合、さらに大きい電位差DU2が適用され、相互作用エリア5においてさらに低い運動エネルギーの1次電子をもたらす。後方散乱電子は、より大きい電位差DU2によって生成される、より大きい第2のブースティング場F2によってz軸の方向に加速され、さらに大きい収束効果を経験する。したがって、有効後方散乱角度分布15.2の幅は、z方向に沿う長軸とx方向の短軸との比によって与えられるより大きい楕円度を有する一層の楕円形状を有する。その結果、角度14下の後方散乱電子は、後方散乱電子方向14.2によって示すように、十分に有効収集角度17内にある。この例において、大きい角度16下で散乱された後方散乱電子さえも、矢印16.2で示すように収集される。そのため、表面25にほぼ平行な角度で後方散乱される電子さえも収集される。同様の結果は、同じブースト場F=F1=F2、および、例えば電子源1018におけるより低い抽出電位を用いた1次電子の入射エネルギーの減少の場合に取得される。
【0047】
低エネルギー電子についてのより大きい有効収集角度19(
図2参照)は、一方で、低エネルギー電子を用いた高解像度結像の場合でさえも、より多くの後方散乱電子が収集され、より大きい信号対雑音比が取得されるという有利な効果を有する。しかしながら、大きい有効収集角度19は、ウェハまたはマスクなどの通常の半導体サンプルのトポグラフィ効果の影響を増加させる。
図5は、検査中の半導体マスクの層エッジの効果を示す。
図5aは、約300eV~400eVの1次電子の中程度運動エネルギーLE1による中間電位差DU1を有する状態を示す。1次電子ビームは、走査方向41に沿って表面25にわたって走査される。相互作用位置またはドウエル地点5.1において、後方散乱電子が生成される。有効収集角度19.1内の全ての後方散乱電子は、取集され、像信号に寄与する。基板または下層51の表面セグメント25.1の近くに、吸収層53の層エッジ57が設置される。吸収層53は、約15nm~100nm、例えば、70nmの第1の厚さDZを有し、例えば、窒化ケイ素によって形成される。吸収層53は、第1の層51の表面セグメント25.1との78°と90°との間の傾斜角度55を有するエッジ57を形成する。同じ状況が、相互作用体積5に達するときにより低い運動エネルギーLE2<LE1の1次電子を有する
図5bに示される。補正付き電子顕微鏡の通常の入射エネルギーは、500eVより小さい、例えば、100eVと200eVとの間の範囲内またはさらに100eVより小さい。150eVより小さいレジームにおいて、マスク修正または回路編集アプリケーションについて必要とされる、約1nmまたはさらに1nmより小さい解像度が可能である。この例において、有効収集角度19.2は、
図2~4で説明したように増加し、それにより、例えば矢印16で示す非常に大きい角度下の後方散乱電子も収集される。これらの後方散乱電子の一部は、後方散乱電子が再び吸収または散乱される層53によって覆い隠される。この幾何学的効果は、後方散乱電子の減少をもたらし、一方、信号は、ドウエル地点5とエッジ57との間のより小さい距離によってより小さくなる。例証のために、幾何学的シャドウイング角度21が示され、その角度まで、後方散乱電子は、電子顕微鏡および検出器ユニットに達することができる。これらの低エネルギー後方散乱電子の場合、後方散乱電子信号は、ドウエル地点5とエッジ57との間の距離DZ、層厚さDZ、および傾斜角度55に依存する(
図5a参照)。現在、半導体マスク内の吸収層の層厚さDZは、約60nm~70nmであるが、50nmより小さい値へのさらなる低減が可能である。後方散乱電子信号は、層エッジ57における後方散乱電子の散乱によって、および、後方散乱電子によって層53または基板51に蓄積され得る任意の充電効果によって同様に影響を及ぼされ得る。
図6は、後方散乱電子信号における層エッジの結果を示す。層エッジ57の近くに、エッジ57の方向に大きい極角の下で放出された電子は、シャドウイングまたはトポグラフィ効果によって喪失され、検出器に達しない。中間LEの場合、少数の後方散乱電子のみが、より小さい有効収集アパーチャ19.1によって収集され、より大きい相対雑音レベルおよびより低い信号対雑音比(SNR)を有するより低い後方散乱電子信号61をもたらす。400eVより小さい低LEにおいて、有効収集アパーチャ19.2は、大幅に増加し、より多くの数の後方散乱電子が収集され、より高いSNRを有するより大きい後方散乱電子信号63をもたらす。より大きい収集角度19.2によって、シャドウイングの影響も増加し、層エッジに対するより大きい距離、例えば、最大で50nmまでのまたはさらにそれより大きい距離においてさえも後方散乱電子収量のより大きい低減をもたらす。両方の信号61および63は、試験サンプルの2つの材料(二酸化ケイ素対窒化ケイ素)に関する後方散乱電子収量の差を示すが、特に、低LE信号63は、層エッジ57からのシャドウイングまたはトポグラフィ効果からの信号の強い擾乱と密接に関係する(entangled)。従来の結像技法を用いる従来の顕微鏡において、増加したトポグラフィ信号67は、約50nmの拡張部に達することができ、それにより、例えば、50nmより小さい距離を有するマスク構造は、マスク修正動作の必要とされる精度でもはや検出されることができない。
【0048】
本発明によれば、低LE結像における増加したトポグラフィ信号67は、nm正確度以内のエッジ位置およびエッジ傾斜、例えば傾斜角度55を含む、エッジに関する情報を抽出するために利用される。EUVマスクについての減衰位相シフトマスクの傾斜角度は、例えば、81°と86°との間とすることができる。本発明のさらなる態様によれば、マスク修正のプロセス制御は、トポグラフィ効果を考慮することによって改善される。
【0049】
図7は、本発明の第1の態様による補正付き電子顕微鏡(CSEM:corrected scanning electron microscope)1のさらなる詳細を示す。CSEM1は、上記で説明したマスク修正および回路編集アプリケーションについて必要とされる高解像度および高正確度を有する低エネルギー後方散乱電子結像に適する。補正付き電子顕微鏡1は、補正付きビーム形成ユニット1400、ビーム分割器ユニット1500、1次ビーム収束ユニット1100、および検出ユニット1600を備える。
【0050】
補正付きビーム形成ユニット1400は、1次電子のビーム3を生成するための電子ビーム発生器1301を備える。1次電子ビーム3は、第1の光軸OA1に対応するビーム経路に沿って誘導される。1次電子ビーム3をコリメートし、集光し、結像するために、第1の静電レンズ1403、第2の静電レンズ1405、および第3の静電レンズ1409が使用される。レンズ1403および1405から構成されるコンデンサー光学ユニットは、電子源1301から収集される電子ビーム流の調整のためにさらなるコンデンサーレンズを備えることもできる。調整および制御のために、第1の静電または磁気ビーム偏向ユニット1407は、1次ビーム経路内に配置される。第1の偏向ユニット1407は、4極または8極ユニットとして確立され得り、1次電子ビーム3.0の横方向調整、ビーム方向調整、および/または非点収差形状の調整のために構成され得る。第1の偏向ユニット1407は、第1の多極ユニットおよび第2の後続の多極ユニットを備えることができる。第1の多極ユニットおよび第2の多極ユニットによって、1次電子ビーム3は、第3の静電レンズ1409の軸および第2のビーム偏向ユニット1411の入口窓に対して調整され得る。第2の偏向ユニット1411によって、1次電子ビームは、第1の光軸OA1に対して30°と120°との間の角度にある第2の光軸OA2の方向に偏向される。第2のビーム偏向ユニット1411のより詳細は、米国特許第6,855,939号に記載され、その特許は、参照により組み込まれる。
【0051】
1次電子ビーム3.0は、その後、第2の光軸OA2に沿って第3の偏向ユニット1413を介して静電ミラー1415に誘導される。静電ミラー1415において、1次電子ビーム3は、反射され、色収差、球面収差、および像面湾曲が、少なくとも部分的に補正され、補正済み1次電子ビーム3.1が形成される。静電ミラー1415へのおよび静電ミラー1415からのその経路上で、1次電子3は、少なくとも1つの静電レンズ(示さず)をさらに通過することができる。補正済み1次電子ビーム3.1は、第2の光軸OA2に沿って伝搬し、ビーム偏向デバイス1411に再び入る。第1のビーム偏向デバイス1411の磁気セクターにおいて、反射された1次ビーム3.1は、入射1次ビーム3.0から分離され、ビーム分割器ユニット1500に誘導される。ビーム分割器ユニット1500は、補正済み1次電子ビーム3.1を第3の光軸105に偏向させるために少なくとも1つの磁気セクターを備える。ビーム分割器ユニット1500は、さらなる磁気セクターまたは静電要素を備えることができる。ビーム分割器ユニット1500からの補正済み粒子ビーム3.1の電子は、第3の光軸105に沿って伝搬し、1次ビーム収束ユニット1100に入る。1次ビーム収束ユニット1100は、補正済み1次ビーム3.1を、検査されることを意図されるサンプル7の表面25に収束させる。1次ビーム収束ユニット1100内で、補正済み電子ビーム3.1は、走査偏向器1110によって偏向され、対物レンズ1102によって収束されて、小さい直径を有し、サンプル7の表面25上での高結像解像度のための補正済み電子焦点を形成する。対物レンズ1102は、磁気レンズと静電レンズの組合せとして実施され得る。静電ミラー1415による対物レンズ1102の色収差および球面収差の補正は、1次電子のより低い加速電圧、したがって、1次電子のより低い入射エネルギーを可能にする。高解像度のために必要とされる低入射エネルギーLEを達成するために、電子ビーム3.1の1次電子は、界浸場Fによって減速される(
図2参照)。サンプルステージ500の上方に、電極33が、界浸場Fを生成するために配置される。例において、1次ビーム収束ユニット1100は、固定電位のビーム誘導またはライナーチューブ35をさらに備え、1次電子3の自由ドリフト空間を形成する。ビーム誘導チューブの下端またはビーム出射端は電極33を形成する。ビーム誘導チューブ35を出た後、補正済み電子ビーム3.1の電子は、界浸場によって減速されてサンプル7の電位に至る。ウェハまたはマスクなどのサンプル7は、サンプルホルダー(示さず)によって可動サンプルステージ500上に配置される。サンプルホルダーによって、電位U2は、例えば、ステージ制御ユニット850によってサンプル7に提供される。電位U2は、U2=0によるグラウンド電位またはより高い電位とすることができ。サンプルステージ500は、例えば、補正付き電子顕微鏡1の像平面101に関して6自由度でサンプル表面25を位置決めするために6つのアクチュエータを備えることができる。
【0052】
界浸場Fは、サンプル7の表面25上での充電効果に敏感である。実施形態の一例において、シールド電極は、1次ビーム収束ユニット1100に取り付けられる。シールド電極によって、サンプル表面25の充電効果による静電場はシールドされ、界浸Fは影響されない。
図8は、一例におけるシールド電極31の配置を示す。シールド電極31は、導電性材料から形成されたグリッドによって形成され、第2の電圧U2に接続される。電極材料は、例えば、銅、銀、あるいは、銅、銀、ニッケルシルバー、または金によって被覆されたグリッドとすることができる。グリッド電極は、約10μm厚であり、直径が約30μmの少なくとも開口またはアパーチャを有する。
【0053】
一例において、グリッド電極31に印可される第2の電圧U2は、0Vのグラウンドレベルに等しいとすることができるが、他の電圧も可能である。ビームライナーチューブ35の下端は、第1の電圧U1が印可される対向電極33を形成する。第1の電圧U1は、1kVと10kVとの間とすることができる。補正済み1次電子ビーム3.1は、例えばEHT=U1+dUのわずかに高い運動エネルギーを持ってビームライナーチューブ35に入り、ライナーチューブ35を通してドリフトする。電極33とグリッド電極31との間の界浸場における減速後、1次電子3.1は、dUの運動エネルギーを有する。エネルギー差dUは、500eVと50eVとの間またはさらにそれより小さいとすることができる。1次電子ビーム3.1は、少なくとも1つのアパーチャにおいてグリッド電極31を通過する。グリッド電極31は、サンプル表面に対して、20μmより小さい、好ましくは15μmより小さい短い距離だけ離間する。グリッド電極31と対向電極33との間の界浸場によって減速される電子は、いわゆるアキシャルギャップレンズとして形成される対物レンズ1102によってサンプル表面25に収束される。対物レンズ1102は、少なくとも第1のコイル1104およびヨーク1106を有する磁気レンズとして形成される。ヨーク1106の上極シュー1115および下極シュー1113は、アキシャルギャップ1108を形成し、それにより、磁気界浸場が最小にされる。しかしながら、例えばラジアルギャップを有する他の対物レンズも可能である。1次電子焦点5は、レンズの表面に形成され、走査偏向器1110.1および1110.2によってラスター走査される。サンプル7は、この例において、第3の電位または第3の電圧U3に接続され、U3は、第2の電圧U2と比較して等しいかまたはそれより小さいとすることができる(U3≦U2)。それにより、dUより小さい低入射エネルギーが達成される。一例において、第2および第3の電圧U2およびU3は、共に等しく設定され、グリッド電極31およびサンプル7は共に、グラウンドレベルに接続される。1次電子の入射エネルギーLEは、その後、ライナーチューブ電位U1に対する1次電子3.1の加速電圧の運動エネルギーの差dUに等しい。第3の例において、第3の電圧または電位U3は、U2より大きい。それにより、収集角度19は厳密に調整され得る。この例において、第3の電圧または電位U3は、好ましくはU1とU2との間であり、U1>U3>U2である。
【0054】
この例の走査偏向器1110は、磁気偏向器であり、最初に、サンプルの表面25にわたって1次ビームレット3.1を偏向させ、次に、表面25に垂直に配置されるべきである、1次ビーム収束ユニット1100の光軸105に対して1次ビームレット3.1の角度を調整するのに役立つ。
図8の1次ビーム収束ユニット1100は、グリッド電極とライナーチューブ35との間に配置された第1の静電多極補正器1123をさらに備える。それにより、界浸場は、影響を受けることができ、ビーム収差は、走査偏向器1110.1および1110.2による走査動作中に最小にされ得る。第1の静電多極補正器1123は、例えば、修正動作中の第1の静電多極補正器1123の静電気極を用いる高速走査モードにおいて、サンプル7の表面25にわたって1次電子ビーム3を走査するためにさらに使用され得る。第1の静電多極補正器1123は、例えば、1次ビームレットの非点収差またはトレフォイル収差を補正するように構成される、8極補正器または12個の極を有する補正器とすることができる。第2の磁気多極補正器1121は、対物レンズ1102の内部にかつライナーチューブ35の周りに配置され得る。1次ビーム収束ユニット1100のそのような配置によって、非常に高い解像度を有する非常に低い入射エネルギーが可能である。その配置によって、大きい角度スペクトルの後方散乱電子の収集が可能であり、上記で論じた仕様要件を有するマスク検査または修正アプリケーションが可能である。
【0055】
第1の実施形態による補正付き電子顕微鏡1の説明が、ここで、
図7の図において継続される。補正済み電子ビーム3.1は、相互作用体積5またはドウエル地点5に入るようにサンプル7に収束され、サンプル7と相互作用し、2次および後方散乱電子9が、
図2および3において上記で説明したように生成される。2次電子および後方散乱電子は、上記で説明したように、磁浸場によって再び加速される。後方散乱電子は、ドウエル地点5の中間像を形成するために対物レンズ1102によって結像される。中間像位置(示さず)において、アパーチャ1850は、2次電子を検出するためにインレンズ検出器と共に位置決めされ得る。後方散乱電子9は、インレンズ検出器内のアパーチャ1850を通過し、ビーム分割器ユニット1500に入る。ビーム分割器ユニット1500内で、後方散乱電子は、補正済み1次電子ビーム3.1と反対方向に伝搬し、したがって異なるビーム経路に沿って偏向される。後方散乱電子ビーム9は、その後、検出ユニット1600に入る。検出ユニット1600は、第4の偏向ユニットまたは分散ユニット1611、後方散乱電子ビーム9を変位させるための第5の偏向ユニット1603、像形成レンズ1605、および電子エネルギーフィルタとして働くグリッド電極1607を備える。検出ユニット1600は、少なくとも第1の検出器セグメント1801および好ましくは少なくとも第2の後方散乱電子検出器セグメント1802を有する電子検出器をさらに備える。検出ユニット1600は、レンズ1605の下流に第6の偏向ユニット(示さず)を備えることができ、第6の偏向ユニットによって、変位した後方散乱電子ビーム9の角度が制御され得る。
【0056】
第4の偏向ユニットまたは分散ユニット1611を通過した後、後方散乱電子ビームは、その重心が第4の光軸OA4に沿った状態で移動する。第4の偏向ユニットまたは分散ユニット1611は、運動エネルギーに従って、後方散乱電子の偏向角度を制御することができるウィーン偏向器として動作することができる。後方散乱電子の運動エネルギーは、非弾性散乱プロセスによっておよび界浸場Fの収束パワーによって、1次電子の運動エネルギーから偏移する可能性がある。界浸場F分散は、任意の後方散乱電子を光軸105の同じ方向に加速し、そのため、高い散乱角度の後方散乱電子の運動エネルギーを増加させることができる。第4の偏向ユニットまたは分散ユニット1611によって、所定の量の分散補正または分散補償が達成され得り、それらの運動エネルギーに対する後方散乱電子の効率的なフィルタリングが可能になる。第5の偏向ユニット1603は、後方散乱電子ビーム9を偏向させるために第1の多極ユニットおよび第2の後続の多極ユニットを備えることができる。それにより、特定のエネルギースペクトルまたは特定の角度スペクトルの後方散乱電子が、後方散乱電子検出器1800の方向に偏向され得る。後方散乱電子検出器1800は、この例において、第1の電子検出器セグメント1801.1および第2の電子検出器セグメント1801.2を備える。電子レンズ1605は、磁気レンズまたは静電レンズとすることができる。レンズ1605によって、後方散乱電子ビーム9は、後方散乱電子ビーム9の角度およびエネルギースペクトルのさらに詳細な選択のために、検出器要素にデフォーカスまたは収束され得る。エネルギーフィルタ1607は、例えば、低エネルギー後方散乱電子を阻止するために特定の反発電位のワイヤメッシュとすることができる。そのようなエネルギーフィルタは、閾値エネルギーより小さい後方散乱電子を阻止するハイパスエネルギーフィルタとして役立つ。それにより、さらに一層特定のエネルギーフィルタリングが達成され得る。検出ユニット1600は、後方散乱電子ビーム9の残留走査誤差を補償するための抗走査偏向ユニットなどのさらなる要素を備えることができる。後方散乱電子ビーム9は、補正済み1次ビームとして同じ走査偏向器1110を通過するが、後方散乱電子の異なるビーム経路であって、補正済み1次電子ビーム3.1と比較してわずかに異なるエネルギーまたは角度で走査偏向器1110を横断する、異なるビーム経路によって、1次ビームレットと比較して、走査偏向器1110の走査動作のわずかな残留走査誤差を受ける場合がある。
【0057】
しかしながら、補正付き電子顕微鏡1が、90度の偏向角度に限定されないことが認識されるべきである。むしろ、任意の適切な偏向角度、例えば、30度と90度との間またはさらに110度が、ビーム偏向ユニット1411、1500、および1611によって選択され得るため、第1の光軸OA1は第3の光軸105に平行である必要はなく、第2の光軸OA2は第4の光軸OA4に平行である必要はない。CSEM1のこの例は、例えば、色および/または球面収差を補正するためのミラー補正器を備える。しかしながら、補正付き電子顕微鏡1は、ミラー補正器を有するSEMに限定されない。むしろ、粒子ビームデバイスの他のタイプの補正ユニット、例えば、一連の8極補正器および/またはウィーンフィルタも可能である。エネルギーフィルタ1607は、反発場に限定されるのではなく、ウィーンフィルタまたは他のエネルギーフィルタも備えることができる。
【0058】
補正付きビーム形成ユニット1400は、制御ユニット800のコンポーネントであるビーム形成制御ユニット840に接続される。制御ユニット800のさらなるコンポーネントは、ステージ500の位置合わせおよび移動がそれによって制御され、サンプル電位2がそれによって提供され制御され得るステージコントローラ850である。制御ユニット800は、走査および収束制御ユニット810によって1次電子ビーム収束ユニット1100にさらに接続される。制御ユニット800のさらなるコンポーネントは、分散ユニット1611、第5の偏向ユニット1603、収束レンズ1603、およびエネルギーフィルタ1607の動作がそれによって制御される検出制御ユニット860である。像取得ユニット880は、後方散乱電子信号を取得し、その信号をデジタル像データに変換するための後方散乱電子検出器1800に接続される。
【0059】
検出制御ユニット860は、第1の動作モードでおよび少なくとも第2の動作モードで分散ユニット1611、第5の偏向ユニット1603、収束レンズ1603、およびエネルギーフィルタ1607を制御するように構成される。第1の動作モードにおいて、第1のエネルギースペクトルを有する後方散乱電子の所定の第1の角度スペクトルセグメントが収集され、第2の動作モードにおいて、第2のエネルギースペクトルを有する後方散乱電子の所定の第2の角度スペクトルセグメントが収集され、少なくとも、第1および第2の角度スペクトルまたは第1および第2のエネルギースペクトルまたは両方は異なる。制御ユニット800は、検出ユニット1600の少なくとも2つの動作モードの間で選択的に切り換わるようにさらに構成される。それにより、トポグラフィ情報は、後方散乱電子の角度分布またはエネルギー分布から抽出され得る。一例において、制御ユニット800は、少なくとも2つの動作モードによって取得される像データを分析し、その分析からトポグラフィ情報を抽出するように構成される。一例において、制御ユニット800は、第1および第2の検出器セグメント1801.1および1801.2によって別々に取得される像データを分析し、その分析からトポグラフィ情報を抽出するように構成される。一例において、検出器1800は、後方散乱電子ビーム9の角度およびエネルギースペクトルのより詳細な分析のためにより多くの検出器セグメント、例えば、4つの検出器セグメント、7つまたは9つの検出器セグメント、またはさらに多くの検出器セグメントを備える。補正付き電子顕微鏡1および本発明の第1の実施形態によるマスク修正用の装置1000の動作のより詳細は、本発明の第2の実施形態において説明される。
【0060】
第1の実施形態によるマスク装置によって、後方散乱角度スペクトルに対するフルアクセスが可能である。検出システム1600によって、運動量分布に関する情報を取得することが可能である。運動量分布および角度スペクトルは、同様のエネルギーの後方散乱電子について同様である。したがって、角度またはエネルギー分布の異なる部分は、補正付き低エネルギー電子顕微鏡1を用いた高解像度結像のための動的像取得のために使用され得る。これは、トポグラフィ情報から材料コントラストの絡み合いを解放し(disentangle)、マスク検査またはマスク修正アプリケーションの解像度および正確度を高めることを可能にする。本発明の第2の実施形態によれば、マスク修正のためのマスク検査方法が提供される。第2の実施形態による方法は
図9に示される。
【0061】
ステップS1にて、マスクまたはウェハの検査部位は、ステージ500を用いて位置合わせされる。一連の検査部位、例えば、マスク修正プロセス用の位置は、例えば、マスクの光学像生成によって、または、印刷済みウェハの分析から決定される。本発明による装置において、マスクまたはウェハの座標系は、その後、登録され、マスクは、像平面101内で位置合わせされ、第1の検査部位は、装置1000の光軸105に位置合わせされる(参考のために
図1および6参照)。登録および位置合わせのための幾つかの知られている方法が適用され得る。
【0062】
ステップS2にて、検査部位の高解像度結像のための少なくとも2つの結像モードが選択される。少なくとも2つの検査モードは、トポグラフィ効果の検出および抽出のために、および、材料コントラスト効果からのトポグラフィ効果の分離のために選択される。各検査モードについて、分散要素1611、偏向ユニット1603、レンズ1605、およびエネルギーフィルタ1607の少なくとも1つについてのパラメータを含む、検出ユニット1600の少なくとも1つの調整要素のパラメータのセットが選択される。高解像度結像のための結像モードのそれぞれは、LE<500eV、例えば、400eVより小さいまたはさらに200eVより小さい、例えば150eVのLEを有する低運動エネルギー電子によって動作する。高解像度結像のための各結像モードは、同じLEでまたは異なるLE、例えば、第1のLE1=200eVおよび第2のLE2=150eVで動作することができる。
【0063】
ステップS3にて、検査部位の第1の像は、デフォルト結像モードで取得される。デフォルト結像モードは、ステップS2の選択または任意の他の結像モードによる高解像度結像のための第1の結像モードとすることができる。
【0064】
ステップS4にて、像は、ステップS3から取得され、後続の結像モードによる後続の像が必要とされるか否かが判定される。判定は、以下のコンポーネントの少なくとも1つを含むことができる:
4a)像が、検査部位の予想フィーチャを含むか否か、および、測定される予想フィーチャが予想配向を有するか否かが判定される。検査部位の位置合わせに誤差が存在する場合、方法は、ステップS1で再び始まる。
4b)少なくとも2つの異なる結像モードのリストによる第1および少なくとも第2の像が取得されたか否か、または、一部の検査モードによる像が抜けているか否かが判定される。検査モードによるさらなる像が抜けている場合、方法は、ステップS5を継続する。ステップS2の選択による少なくとも2つの結像モードによる全ての像が取得される場合、方法はステップS6を継続する。
【0065】
ステップS5にて、ステップS2による少なくとも2つの結像モードのリストの次の検査モードが選択され、補正付き電子顕微鏡1のパラメータが相応して調整される。CSEM1の結像モードは変更され、低エネルギー電子によるCSEM1の第2の高解像度結像モードがインストールされる。第1の高解像度結像モードから第2のまたはさらなる高解像度結像モードへの結像モードの変更は、分散要素1611、偏向ユニット1603、レンズ1605、およびエネルギーフィルタ1607の少なくとも1つについてのパラメータを含む、検出ユニット1600についてのパラメータの変更を含む。高解像度結像のための結像モードのそれぞれは、LE<500eV、例えば、400eVより小さいまたはさらに200eVより小さい、例えば150eVのLEを有する低運動エネルギー電子によって動作する。高解像度結像のための各結像モードは、同じLEでまたは異なるLE、例えば、第1のLE1=200eVおよび第2のLE2=150eVで動作することができる。
【0066】
ステップS3による像取得は、反復され、後続の像が取得される。ステップS3~S5は、少なくとも2つの結像モードによる全ての像が取得され、像のセットが取得されるまで反復される。ステップS2の選択による像のセットの全ての像が取得されると、方法は、ステップS6を継続する。
【0067】
ステップS6にて、像のセットは分析され、以下の測定結果の少なくとも1つが抽出される:
a)トポグラフィ情報は、材料コントラストから抽出または分離される。
b)層エッジのエッジ位置は、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定される。
c)フィーチャ寸法は、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定される。
d)エッジ傾斜が決定される。
e)エッジ粗さが決定される。
f)微小欠陥、例えば、汚染粒子が決定される。
【0068】
ステップS7にて、抽出された測定結果が分析され、修正プロセスまたは編集プロセスが、決定され始動される、または、終了される。
【0069】
ステップS8にて、
a)ステップS1~S7による検査および修正プロセスが、同じ検査部位で反復されなければならないか否か、または、
b)方法が次の検査部位で継続され得るか否か、または、
c)マスクまたはウェハの検査の終了に達し、方法が、新しいマスクまたはウェハに関して再び開始され得るか否か
が判定される。
【0070】
次に、ステップS2による結像モードの選択がより詳細に説明される。本発明による検査の例は、
図10に示される。
図10aは、
図5bに示す状況と同様であり、その際、例えば約70°の収集角度19.2は約125eVの1次電子エネルギーEHTに対応する。検査位置またはドウエル地点5は、基板51上の層53のエッジ57に対して距離DXにある。層53の厚さは、例えば70nmである。
図5bのトポグラフィ効果の簡略化した図の場合と同様に、エッジは、シャドウ角度21によって制限されるシャドウイング領域を形成する。
図10bは、補正付き電子顕微鏡1の従来の結像動作と同様である第1の結像モードの検出ユニット1600を示す。分散要素1611は、標準的な分散補正に設定される。分散ユニット1611後に、後方散乱電子ビーム9は、境界線919によって示す発散を有する。発散は、第4の光軸OA4に対して対称に配置された後方散乱電子ビーム9の角度スペクトルまたは運動量分布に対応する。検出ユニット1600の偏向システム1603はオフ状態にある。レンズ1605もオフステージにある。この例において、検出ユニット1600は、アパーチャストップ1613をさらに備える。電子検出器1800の第1の検出器要素1801は、アパーチャストップ1613の下流に配置され、アパーチャストップ1613は、角度931によって示すように、後方散乱電子ビームの座標(px、py)によって、収集される角度スペクトルまたは運動量を制限する。図の下側において、後方散乱電子の収集される角度スペクトルは、層エッジ57のシャドウ角度921によってさらに制限される。この図において、正の運動量方向pxは、z軸に平行である。
図10cは、座標pxおよびpyによって角度または運動量空間における収集される後方散乱電子分布925を示す。図は、補正付き電子顕微鏡1の最大収集角度919を示し、シャドウ角度線921および収集アパーチャ931はアパーチャストップ1613に対応する。収集される後方散乱電子信号は、円931にわたる積分に対応する。
【0071】
図11は、本発明による結像モードの3つの例を示す。例証のために、アパーチャ1613による取り込み角度制限921が図に含まれる。
図11aは、第1の結像モードを示し、検出ユニット1600は、偏向器1603による後方散乱電子ビーム9の負のpx方向への第1の偏向603を達成するために制御される。それにより、層エッジのトポグラフィ効果は最大まで増加する。
図11bは、第2の結像モードを示し、検出ユニット1600は、収束レンズ1605の収束作用605の効果を達成するために制御される。この例において、レンズ1605の収束パワーは、後方散乱電子スペクトルの最大収集角度919がアパーチャストップ1613のアパーチャ角度に対応するように調整される。それにより、後方散乱電子ビーム9からの後方散乱電子の収集効率は、最大まで増加する。
【0072】
図11cは、第3の結像モードを示し、検出ユニット1600は、正のpx方向への偏向器1603による第2の偏向607を達成するために制御される。それにより、層エッジ57のトポグラフィ効果は最小まで減少する。対応する
図12a~12cは、
図10aによる層エッジ57の例における3つの結像モードの検出される角度分布925.1~925.3に対する効果を示す。シャドウ線921は、収集される後方散乱電子分布919に対して不変である。
図12aに示すように、負のpx方向への第1の偏向603によって、正のx方向に散乱される後方散乱電子のより多くの電子が、収集され検出され、その結果、後方散乱電子の大部分が、層エッジ57のシャドウイング効果によって喪失される。
図12bは、収集角度919によって制限される完全後方散乱電子スペクトルが検出される場合を示す。ここで、信号は最大に達する。
図12cは、正のpx方向への第2の偏向605の効果を示し、シャドウイング効果のトポグラフィ効果の影響は最小まで減少する。
図13は、3つの結像モードによる、x方向への層エッジ57にわたる線走査の3つの強度信号を比較する。第1の強度信号925.1は第1の結像モードに対応し、第2の強度信号925.2は第2の結像モードに対応し、そして、第3の強度信号925.3は第3の結像モードに対応する。収集される後方散乱電子信号強度は、第2の結像モード929.2によって最大強度929.2に達する。しかしながら、第2の結像モードにおいて、大きいトポグラフィ効果が、基板51の後方散乱電子強度と層53の後方散乱電子強度との間の材料コントラストにわたって重ねられる。トポグラフィ効果は、第1の結像モードにおいてさらに高められ、シャドウ領域において、後方散乱強度はほぼ完全に消失し、最小の後方散乱電子強度927.1は、ほぼゼロ強度に達する。最小後方散乱電子強度は、側壁角度55(
図5参照)に依存し、側壁角度55を決定する尺度として使用され得る。第3の結像モードにおいて、シャドウイングによるトポグラフィ効果は、最小まで減少し、検出される後方散乱電子強度925.3は、層エッジの傾斜角度に対応するまたは側壁の見かけの幅に対応する信号によって重ねられ得る。第3の結像モードの最小強度927.3は、著しく大きく、90°からの傾斜角度の大きい偏移について完全に消失することができる。最小位置Mx3は、例えばx=0における第2の強度925.2の最小位置に対してわずかにシフトされ得る。最小位置Mx3は、側壁角度にも依存する。シャドウ領域dx1、dx2、およびdx3の拡張部は、3つの結像モードについて著しく異なる。
【0073】
ステップ2による結像モードの選択は、例えば、層エッジまたは層ステップの配向からの、層エッジの予想傾斜角度からの先験的情報に従って実施され得る。先験的情報は、CAD情報からまたはマスクまたはウェハの以前の測定値から抽出され得る。これらの場合、結像モードの自動化選択は、例えばCAD情報に基づいて取得され得る。他のシナリオにおいて、第1の像が取得され分析され得る。それにより、層配向およびトポグラフィ効果が決定される。分析の結果に従って、さらなる結像モードのセットが、自動的に導出され得る。第3のオプションとして、結像モードのセットは、ユーザ入力のために構成されるユーザインターフェースによって選択され得る。第4のオプションにおいて、選択は、デフォルトモードで実施され、例えば、pxおよびpy方向のそれぞれにおいて偏向ユニット1603の2つの偏向作用を有する少なくとも4つの結像モードが実施される。任意に、レンズ1605の収束作用またはさらなる作用を有する第5の結像モードは、デフォルト結像モードのセットに含まれる。
【0074】
ステップ6により、J個の結像モードのセットによるJ個の強度のセットI(j)が評価され、層エッジ57の位置および層エッジ57の傾斜角度55が決定される。第1の例において、決定は、J個の記録済み強度のセットの異なる値から、例えば、シャドウイング領域の幅dx(j)、最小強度値min(j)(
図13の参照数字927.1~927.3)、および最小強度位置Mx(j)から分析的に(analytically)取得される。強度の傾斜角度、例えば、予想層エッジ57の位置における第3の結像モードによる強度の接線935.3に対応する傾斜dl(3)を評価することも可能である。さらなる値は、最大強度値max(j)(
図13の参照数字929.1~929.3に対応する)、および、各結像モードについての強度(
図13の参照数字925.1~925.3)の(トポグラフィ効果(left to)に委ねられた、
図13の参照数字933.1~933.3参照)基板の強度値とすることができる。値は、参照測定から取得される層エッジの通常の値またはシミュレーション結果と比較され得る。第2の例において、dx(j)、Mx(j)、傾斜dI(j)、最大値Max(j)、および最小値Min(j)についての測定値およびさらなるパラメータは、例えば、モデルパラメータとしてエッジ位置および傾斜角度を有する幾何学的モデルによるモデルベースシミュレーションにおいて使用され得る。第3の例において、J個の強度のセットI(j)は、機械学習アルゴリズムによって分析され得り、機械学習アルゴリズムは、層エッジの複数の訓練用像から取得される参照強度の幾つかのセットによって訓練される。訓練用強度は、較正済み参照オブジェクトの測定によって、または、知られている構造パラメータを有するモデルの、シミュレーション、例えば、モンテカルロシミュレーションによって取得され得る。検証済み構造パラメータを有する各測定結果は、訓練用データに連続して付加され得り、機械学習アルゴリズムは、オンザフライで修正され改善され得る。
【0075】
上記で説明した方法において、異なる結像モードによる像強度は、像走査のシーケンスによって順次取得される。しかしながら、像走査中に各ドウエル地点5において異なる結像モードが順次実施される1つの像走査内で異なる像強度を取得することも可能である。そのような例において、検出ユニット1600、例えば、偏向器1603またはレンズ1605のアクチュエータは、好ましくは、高速静電要素である。本発明による別の例は、異なる結像モードが、幾つかの検出器セグメント1801を備える電子検出器1800を利用することによって、1つの像走査において並列に取得され得る
図14で説明される。
図14aに示すように、本発明の別の例による検出ユニット1600は、N個の検出器セグメント1801.1~1801.Nを有する検出器1800を備える。検出器セグメント1801の配置の幾つかの例が、
図14bおよび14cに示される、例えば、
図14bの象限検出器配置または
図14cの4個の三角形検出器セグメントの配置。しかしながら、検出器セグメントの数は、3つまたは4つに限定されるのではなく、4つより大きいとすることができる、例えば、7個の六角形検出器セグメントまたは9個の象限検出器セグメント。各検出器セグメントは、例えば、シンチレータおよびアバランシェダイオードを備えることができるが、他の検出器も可能である。各検出器セグメント1801.jによって、後方散乱電子の角度スペクトルの異なるセグメントが、上記で説明した第1および第3の結像モードによる強度と同様に、1つの層走査内で検出される。中程度の数K、例えば、K≦9の検出器セグメントによって、トポグラフィ信号は、K個の強度信号から十分な信号対雑音比を持って抽出され得る。信号対雑音比は、例えば、層エッジ57の配向に対応するトポグラフィ信号の配向に応じて、K個の強度信号の一部の加算または平均によってさらに改善され得る。
図14の例で説明した幾つかの検出器セグメントを有する異なる結像モードによる像取得方法は、偏向ユニット1603、収束レンズ1605、またはエネルギーフィルタ1607の作用と同様に組み合わされ得る。エネルギーフィルタ1607は、
図8b、9、および12aにおいて省略されているが、それでも、検出ユニット1600の任意の例において存在することができる。さらなる偏向または収束作用あるいは異なるモードのエネルギーフィルタリングによって、トポグラフィ情報のより詳細が生成され抽出され得る。
【0076】
補正付き電子顕微鏡CSEMの検出ユニット1600の少なくとも2つの結像モードを用いた像取得による、後方散乱電子ビーム9の角度スペクトルの少なくとも2つのセグメントの検出方法によって、トポグラフィ情報は、材料コントラストから分離され得り、層エッジまたは層傾斜の決定は、例えば、1nmより小さいまたはさらに0.5nmより小さい高解像度で抽出され得る。角度スペクトルの少なくとも2つのセグメントは、第1の例において、後方散乱電子ビーム偏向器1603または後方散乱電子ビーム収束レンズ1605と組み合わせて、制限された取り込み角度の検出器セグメントによって取得され得る。第2の例において、角度スペクトルの少なくとも2つのセグメントは、少なくとも第1および第2の検出器セグメントによって取得され得る。角度スペクトルの少なくとも2つのセグメントの選択は、さらなるエネルギーカットオフフィルタ1607によって高められ得る。本発明の第3の実施形態において、材料コントラストからのトポグラフィ情報の分離および層エッジまたは層傾斜の決定は、検出ユニット1600の分散要素1611によってさらに改善される。
図15において、分散ユニット1611の効果および本発明の第3の実施形態によるトポグラフィ情報の抽出方法が説明される。
図7に示す同様の要素は、同じ参照数字によって示される。マスクまたはウェハ7の表面25上のドウエル地点5から、後方散乱電子が、生成され、サンプル7と電極33との間で生成される界浸場によって加速される。後方散乱電子ビーム9は、対物レンズ1102によって収集され、第1の中間クロスオーバー1853が形成される。第1のクロスオーバー1853においてまたはその近くに、アパーチャ1850が位置することができる。後方散乱電子ビーム9は、ビーム分割器1500を通過し、分散ユニット1611の入口で第2のクロスオーバー1855を形成する。クロスオーバー1853および1855は共に、全ての後方散乱電子軌道について単一地点であることができるのではなく、むしろ、アパーチャストップ1850の内部のより大きい体積にわたってまたは分散ユニット1611に近接して分布する。後方散乱電子ビーム9は、電子軌道919.1および919.2がそれによって示される2つの最大収集角度によって制限される。分散ユニット1611のパラメータによって、後方散乱電子ビーム9のエネルギー分離が達成され得る。後方散乱電子ビーム9のエネルギー分離の結果は
図15bに示される。検出平面1803内の後方散乱電子ビーム9は、pxおよびpy方向の角度スペクトルならびにpx方向に平行なエネルギースペクトルに従って分布し、より大きい運動量およびより大きい伝搬角度の後方散乱電子は、通常、より大きいエネルギーを有する。したがって、
図15bのより大きい円に対応するより大きい角度のこれらの後方散乱電子は、分散ユニット1611によって正の運動エネルギーEの方向により大きく偏向される。
図15bは、後方散乱電子エネルギーによる偏向の一例を示す。特定の運動エネルギーの異なる偏向の他のシナリオも可能である。
【0077】
第2の実施形態で説明した像取得方法は、第3の実施形態と組み合わせて、同様に適用され得る。混合された角度およびエネルギースペクトルの少なくとも2つのセグメントは、例えば、少なくとも2つの検出器セグメント1801.1および1801.2、あるいは、偏向器1603の偏向作用またはレンズ1605の収束作用を伴う結像モードの任意の結像モードによって取得される。混合された角度およびエネルギースペクトルの少なくとも2つのセグメントの選択は、さらなるエネルギーカットオフフィルタ1607によって高められ得る。所定の量のエネルギー分散と角度スペクトル分布との組合せは、トポグラフィ効果に対する最大の有意性を有する後方散乱電子の専用の選択も可能にする。混合されたエネルギーおよび角度のスペクトルの少なくとも2つのセグメントの選択は、例えば最適化によって、例えば、標準的な最小2乗最適化によってまたは機械学習アルゴリズムによって取得され得る。例えば、モデルオブジェクトにおけるモンテカルロシミュレーションによって、関心のモデルパラメータに対する最大の有意性を有する混合されたエネルギーおよび角度のスペクトルの少なくとも2つのセグメントが決定され得る。混合されたエネルギーおよび角度のスペクトルの少なくとも2つのセグメントに対応する結像モードによる強度は、マスクまたはウェハ検査、マスク修正、または回路編集アプリケーションのための精密な測定において後で適用され得る、機械学習アルゴリズムについての訓練用データセットとして使用され得る。
【0078】
図16は、本発明の第4の実施形態を示す。
図16は、第2または第3の実施形態の方法の任意の方法による、本発明の第1の実施形態の装置を用いて達成可能な高精度でのマスク修正動作を示す。
図16aに示す第1のステップにおいて、基板層51上の吸収線53内のマスク欠陥71.1が高精度で決定される。上記で説明した装置および方法によって、少なくとも欠陥71.1の傾斜角度73.1を含む、欠陥71.1の拡張部の精密決定が確定される。少なくとも2つの結像モードによる後方散乱電子像の少なくとも2つの強度から、および、補正付き電子顕微鏡1の低エネルギー結像によって、位置、エッジ位置のターゲット範囲75に対する偏差、および欠陥の拡張部は、1nmより小さい、好ましくはさらに0.5nmより小さい正確度で決定され得る。修正動作において堆積される材料の抜けている体積は、高い正確度で決定され得る。修正ステップにて、例えば、装置1000によって提供される前駆体ガスによる材料の低エネルギー電子ビーム支援堆積を利用して、欠陥71.1は、例えば、クロムで充填され、修正済み欠陥77を形成する。修正動作の性能は、その後、第2または第3の実施形態の方法の任意の方法による、本発明の第1の実施形態の装置によって検証される。線53の結果得られるエッジ位置および線エッジの傾斜角度73.2は、高い正確度で取得され得る。それにより、0.5nmより小さいまたはさらにそれより小さいエッジ位置を有するEUVマスクについての厳しい要件を含む、マスクについての仕様要件内で、修正動作が非常にうまく実施されることが維持される。修正および検証のステップも、反復的に実施され得る。もちろん、第4の実施形態は、マスク層内の抜けている材料に限定されるのではなく、マスク層内の過剰の材料の除去に対して同様に適用され得る。さらに、第4の実施形態は、マスク修正に限定されるのではなく、処理済みウェハにおける回路編集動作にも適用される。両方の例において、層材料は、電子ビーム誘起エッチングによって除去されるまたは電子ビーム誘起堆積によって堆積され、高精度での処理のエンドポインティング(end-pointing)が必要とされる。
【0079】
本発明は、一般に、入射1次電子ビームと出射後方散乱電子ビームを分離するビーム分割ユニットを有する走査電子顕微鏡に適用可能である。理想的には、ビーム分割ユニットは、後方散乱電子ビームの角度スペクトル分布を保存する補正付き結像システムである。第1の例において、検出ユニットの調整システムは、少なくとも第1の有限検出器アパーチャと組み合わせて、可動部品なしで、検出器取り込み角度を動的に調整することを可能にする。調整システムは、後方散乱電子分布がそれによって偏向されフィルタリングされる、偏向ユニット、調整可能レンズ、エネルギーフィルタ、または分散ユニットの少なくとも1つを備える。調整システムは、異なる結像モードで、例えば、第1のモードであって、アパーチャの均一照射を有し、それにより、トポグラフィ効果を抑制する、第1のモードで、または、少なくとも第2のモードであって、層のエッジを分析するために後方散乱電子角度分布の異なる部分を使用する、少なくとも第2のモードで、高解像度低エネルギー電子顕微鏡の動作を可能にする。さらなる調整可能レンズによって、さらなる結像モードで、取り込み角度は、最適材料コントラストを達成するために調整され得る。検出器取り込み角度を調整することによって、例えば、層エッジによって生成されるシャドウ幅を調整し低減することが可能である。第2の例において、セグメント化または2D検出器は、後方散乱電子の異なる範囲のエネルギーまたは運動量スペクトルの少なくとも第2の後方散乱電子信号を収集するために使用される、少なくとも第2の有限検出器アパーチャを有する少なくとも第2の検出器を備える。本発明によれば、異なる結像モードによる2つ以上の像は、調整ユニットを使用することによって順次、または、第1のおよび少なくとも第2の検出器要素を使用することによって並列に取得される。サンプルの表面にほぼ平行に散乱する後方散乱電子の運動量分布に対する選択的アクセスによって、表面の構造、例えば層エッジの側壁に関するより多くの情報が取得され得る。
【0080】
本発明は、サンプルの表面のトポグラフィおよび材料コントラストを並列に記録し分析するために、より大きい取り込み角度で働き、後方散乱電子の角度スペクトルおよび/またはエネルギースペクトルの少なくとも1つの適切なセグメントを選択することを可能にする。400eVより小さい、特に200eVより小さい、またはさらに50eVより小さい低入射1次エネルギーを利用する、したがって、数nmより小さい、例えば、2nmより小さいまたはさらにそれより小さい高い精度および正確度を可能する補正付き電子顕微鏡の低エネルギー電子ビームを用いた単一走査から、トポグラフィ情報を抽出し、例えば、高さマップ、層の傾斜角度、またはエッジ位置を導出することがさらに可能である。後方散乱電子の角度スペクトルおよび/またはエネルギースペクトルの適切なセグメントによって、材料コントラストは、適切なモデルを使用して、トポグラフィまたはシャドウイング効果から分離され得る。モデルは、分析的または現象的である可能性がある。サンプルの高さおよび材料マップが、その後、計算され得る。モデルは、例えば、モンテカルロシミュレーションによって生成され、実験結果と比較され得る。後方散乱電子の角度スペクトルおよび/またはエネルギースペクトルの適切なセグメントの選択は、例えば層エッジおよび材料組成に関する先験的情報に基づくことができる。異なる取り込み角度に対応する異なる結像モードによって2つ以上の像を撮影することによって、材料コントラストは、さらに高い精度で、あるいは、さらにより少ない先験的情報によってまたは先験的情報なしで、トポグラフィまたはシャドウイング効果から分離され得る。
【0081】
したがって、本発明は、後方散乱電子の角度スペクトルおよび/またはエネルギースペクトルを選択することが可能な低エネルギー電子顕微鏡を提供する。マスク材料および一般的な構造の先験的知識によって、層エッジの傾斜および位置は、高精度で測定され得り、マスク修正プロセスまたは回路編集プロセスのエンドポインティングは、数nmより小さい、例えば2nmより小さいまたはさらにそれより小さい高精度で可能にされる。
【符号の説明】
【0082】
1 補正付き電子顕微鏡
3 1次電子ビーム
5 相互作用エリア
7 サンプル;ウェハまたはマスク
9 後方散乱電子
12 光軸に平行な後方散乱電子
14 中間角度の後方散乱電子
15 後方散乱角度分布
16 大きい角度の後方散乱電子
17 取り込み角度
19 有効収集角度
21 シャドウイング角度
25 サンプルの表面
27 弾性後方散乱電子の運動量分布
31 グリッド電極
33 電極
35 ライナーチューブ
41 走査方向
51 基板または下層
53 吸収層
55 傾斜角度
57 エッジ
61 中間EHT信号
63 低EHT信号
67 増加したトポグラフィ信号
71 欠陥
73 欠陥の傾斜角度
75 エッジ位置のターゲット範囲
77 修正済み欠陥
150 ガス貯蔵コンテナ
152 ガスノズル
154 制御弁
500 ステージ
603 偏向作用
605 収束作用
607 偏向作用
800 制御システム
810 走査および収束制御ユニット
840 1次ビーム形成ユニットのための制御ユニット
850 ステージコントローラ
860 検出制御ユニット
880 像取得ユニット
919 後方散乱電子の収集アパーチャ
921 シャドウ角度21に対応する後方散乱電子
925 第1の結像モードにおける検出される有効後方散乱電子
927 最小の後方散乱電子強度
929 最大の後方散乱電子強度
931 第1の検出器要素の収集角度
933 基板の強度値
935 層エッジにおける強度曲線の傾斜
1000 マスク修正用の装置
1020 偏向要素
1025 結像要素
1035 イオンガン
1080 レーザー
1082 レーザービーム
1085 吸引デバイス
1087 真空ポンプ
1090 真空チャンバ
1100 1次ビーム収束ユニット
1102 対物レンズ
1104 コイル
1106 ヨーク
1108 アキシャルギャップ
1110 走査偏向器
1113 下極ピース
1115 上極ピース
1121 第1の多極補正器
1123 第2の多極補正器
1301 粒子ビーム発生器
1400 補正付きビーム形成ユニット
1403 第1のコンデンサーレンズ
1405 第2のコンデンサーレンズ
1407 第1の偏向ユニット
1409 第3のコンデンサーレンズ
1411 第2の偏向ユニット
1413 第3の偏向ユニット
1415 静電ミラー
1500 ビーム分割器ユニット
1600 検出ユニット
1603 第5の偏向ユニット
1605 レンズ
1607 エネルギーフィルタ
1611 分散ユニット
1613 アパーチャストップ
1800 電子検出器
1801 検出器セグメント
1803 検出平面
1850 アパーチャ
1853 第1のクロスオーバー
1855 第2のクロスオーバー
【手続補正書】
【提出日】2024-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクまたはウェハの検査、修正、または編集のための装置(1000)であって、
- 補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を低入射エネルギーLEでサンプル(7)の表面(25)に使用中に収束させ、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するための1次ビーム収束ユニット(1100)と、
- 後方散乱電子ビーム(9)を検出するための少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記ビーム形成ユニット(1400)から前記1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、前記後方散乱電子ビーム(9)を前記1次ビーム収束ユニット(1100)から前記検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)と、
- 前記検出ユニット(1600)に接続され、前記サンプル(7)の前記表面(25)のセグメントの検査タスクを実施するように構成される制御ユニット(800)とを備え、
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも第1の検出信号I1を生成するために前記少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を用いて前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの少なくとも第1の被選択セグメントを選択的に検出するように構成される、装置(1000)。
【請求項2】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)、前記ビーム分割ユニット(1500)、および前記検出ユニット(1600)は、前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつ前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に対して反対方向に伝搬する、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む前記後方散乱電子ビーム(9)を、使用中に収集し結像する(image)ように構成される、請求項1に記載の装置(1000)。
【請求項3】
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも第2の検出信号I2を生成するために、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントを選択的に検出するようにさらに構成され、前記角度スペクトルの前記第2の被選択セグメントは、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記第1の被選択セグメントと異なる、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項4】
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも調整要素を備え、前記制御ユニット(800)は、前記少なくとも第1および/または第2の信号I1および/またはI2を選択的に検出するために前記調整要素を制御するように構成される、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項5】
前記調整要素は、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向させるために構成される偏向ユニット(1603)、前記後方散乱電子ビーム(9)を収束させるために構成される収束レンズ(1605)、調整可能エネルギーフィルタ(1607)、または調整可能分散ユニット(1611)の少なくとも1つを備える、請求項4に記載の装置(1000)。
【請求項6】
前記制御ユニット(800)は、前記角度スペクトルの単一オフアクシスセグメントを選択し、前記角度スペクトルの前記単一オフアクシスセグメントを用いて前記検査タスクを実施するように構成される、請求項3に記載の装置(1000)。
【請求項7】
前記制御ユニット(800)は、順次、前記第1の信号I1を収集するために第1の結像モードで前記検出ユニット(1600)を調整し、前記サンプル(7)の前記表面(25)にわたる後続の第2の像走査において前記第2の信号I2を収集するために第2の結像モードで前記検出ユニット(1600)を調整するように構成される、請求項3に記載の装置(1000)。
【請求項8】
前記検出ユニット(1600)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)にわたる単一像走査において、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントに対応する前記第2の信号I2を、使用中に生成するために、第2の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える、請求項3に記載の装置(1000)。
【請求項9】
前記検出ユニット(1600)は、少なくとも調整要素をさらに備え、前記制御ユニット(800)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1および第2の被選択セグメントを選択的に検出するために前記調整要素を制御するように構成される、請求項8に記載の装置(1000)。
【請求項10】
前記制御ユニット(800)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)上の構造に関する所定の情報に基づいて前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1および/または第2の被選択セグメントを選択する、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項11】
前記ビーム形成ユニット(1400)および前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い前記1次電子の低運動エネルギーを用いて、前記補正済み1次電子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に収束させるように構成される、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項12】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するために構成される、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項13】
前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1の被選択セグメントは、前記表面(25)の前記セグメントの前記トポグラフィに対する減少した感度を有する第1の検出信号I1を生成するために選択される、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項14】
前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記第2の被選択セグメントは、前記表面(25)の前記セグメントの前記トポグラフィに対する増加した感度を有する第2の検出信号I2を生成するために選択される、請求項13に記載の装置(1000)。
【請求項15】
複数のプロセスガスをサンプル(7)の表面(25)に提供するための複数のガスノズル(152)をさらに備え、前記制御ユニット(800)は、電子ビーム支援堆積または電子ビーム支援エッチング動作の少なくとも一方を使用中に実施するように構成される、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項16】
前記制御ユニット(800)は、前記少なくとも第1の検出信号I1および/または第2の検出信号I2に基づいて電子ビーム支援修正または編集プロセスを始動または終了するようにさらに構成される、請求項1または2に記載の装置(1000)。
【請求項17】
マスクまたはウェハの検査、修正、または編集のための方法であって、
a)低エネルギー電子顕微鏡(1)の像平面(101)においてマスクまたはウェハ(7)の検査部位を位置合わせするステップと、
b)前記検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、少なくとも第1の結像モードおよび第2の結像モードを選択するステップと、
c)第1の像信号を取得するために、前記第1の結像モードで低入射エネルギーの1次電子ビーム(3)を用いて第1の像走査を実施するステップと、
d)第2の像信号を取得するために、前記第2の結像モードで低入射エネルギーの前記1次電子ビーム(3)を用いて第2の像走査を実施するステップと、
e)前記検査部位において、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントのトポグラフィ情報および材料組成を導出するために、前記第1および第2の像信号を分析するステップと
を含む、方法。
【請求項18】
ステップc)は、
- 検出ユニット(1600)の調整要素を駆動するために第1の信号を生成すること、
- 前記第1の結像モードにおいて、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第1の被選択セグメントを検出するために、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向および/または収束させることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップd)は、
- 検出ユニット(1600)の調整要素を駆動するために第2の信号を生成すること、
- 前記第2の結像モードにおいて、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントを検出するために、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向および/または収束させることをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
最小強度(927)、最大強度(929)、シャドウ領域の幅または拡張部dx、最小強度位置Mx、および/または層エッジにおける像信号の傾斜(935);または、上記値の少なくとも1つの値の前記第1の像信号と前記第2の像信号との差の少なくとも1つを決定することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項21】
層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定することをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項22】
層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または微小欠陥の少なくとも1つに対応する訓練または参照データのセットを用いた機械学習アルゴリズムの適用をさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記マスクまたはウェハ(7)の前記検査部位に関する所定の情報を受信するステップをさらに含み、少なくとも第1の結像モードおよび第2の結像モードを選択することは、前記所定の情報に基づいて実施される、請求項17または18に記載の方法。
【請求項24】
前記検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、前記少なくとも第1および第2の結像モードを決定し記憶するステップをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも第1および第2の結像モードを決定するステップは、
- 低入射エネルギーの1次電子ビーム(9)を用いて少なくとも2つの像走査のシーケンスを実施するステップであって、前記少なくとも2つの像走査はそれぞれ、前記検査部位において前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの異なる被選択セグメントを有する、実施するステップと、
- 像走査の前記シーケンスから少なくとも第1および第2の結像モードを決定するステップと、
- 後続の同様の検査部位について少なくとも第1および第2の結像モードを記憶するステップとを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記検査部位において、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、前記少なくとも第1および第2の結像モードを前記決定することは、複数の訓練または参照像信号を使用する機械学習アルゴリズムに従って実施される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
電子ビーム支援修正または編集プロセスを始動または終了するステップをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項28】
低入射エネルギーLEで補正済み1次電子ビームを用いてサンプル(7)の表面(2)を調査するための低エネルギー電子顕微鏡(1)であって、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に使用中に収束させ、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するための1次ビーム収束ユニット(1100)と、
- 前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの少なくとも第1のセグメントを検出し、少なくとも第1の検出信号I1を生成するための、少なくとも第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記ビーム形成ユニット(1400)から前記1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、前記後方散乱電子ビーム(9)であって、前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつ前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に対して反対方向に伝搬する、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む、前記後方散乱電子ビーム(9)を前記1次ビーム収束ユニット(1100)から前記検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)と、
- 前記検出ユニット(1600)に接続された制御ユニット(800)とを備え、
前記検出ユニット(1600)は、調整要素をさらに備え、
前記制御ユニット(800)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの前記少なくとも第1の被選択セグメントを第1の結像モードで選択するために前記調整要素を制御するように構成される、低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項29】
前記調整要素は、前記後方散乱電子ビーム(9)を偏向させるために構成される偏向ユニット(1603)、前記後方散乱電子ビーム(9)を収束させるために構成される収束レンズ(1605)、調整可能エネルギーフィルタ(1607)、または調整可能分散ユニット(1611)の少なくとも1つを備える、請求項28に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項30】
前記制御ユニット(800)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される後方散乱電子(9)に対応する前記角度スペクトルのオフアクシスセグメントを選択するために、前記調整要素を制御するように構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項31】
前記制御ユニット(800)は、前記第1の被選択セグメントと異なる前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントを第2の結像モードで選択するために、前記調整要素を制御するようにさらに構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項32】
前記制御ユニット(800)は、順次、前記第1の結像モードで前記サンプル(7)の前記表面(25)のセグメントの第1の像走査を実施し、前記第2の結像モードで前記表面(25)の同じセグメントの第2の像走査を実施するようにさらに構成される、請求項31に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項33】
前記検出ユニット(1600)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第2の被選択セグメントに対応する第2の信号I2を、使用中に生成するために、第2の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項34】
前記ビーム形成ユニット(1400)および前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記補正済み1次電子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に収束させ、前記1次電子ビーム(3)を、前記サンプル表面(25)に達する前に、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い運動エネルギーに減速させるように構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項35】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは最大で1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するように構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項36】
前記制御ユニット(800)は、トポグラフィ効果の検出および抽出に適する、および、前記マスクまたはウェハ(7)の前記表面(25)の前記セグメントの材料コントラストからトポグラフィ効果を分離するのに適する、前記少なくとも第1および第2の結像モードを決定するようにさらに構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項37】
前記制御ユニット(800)は、層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で決定するようにさらに構成される、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項38】
静電ミラー補正器(1415)をさらに備える、請求項28または29に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項39】
低入射エネルギーLEで補正済み1次電子ビームを用いてサンプル(7)の表面(2)を調査するための低エネルギー電子顕微鏡(1)であって、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を使用中に生成するために構成されるビーム形成ユニット(1400)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に使用中に収束させ、前記サンプル(7)の前記表面(25)から大きい角度で散乱される電子を含む後方散乱電子ビーム(9)を使用中に収集するための1次ビーム収束ユニット(1100)と、
- 前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第1のセグメントを検出し、第1の検出信号I1を生成するための、第1の閉じ込め式検出器セグメント(1801)を有する検出ユニット(1600)と、
- 前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)を前記ビーム形成ユニット(1400)から前記1次ビーム収束ユニット(1100)に使用中に誘導し、前記後方散乱電子ビーム(9)であって、前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に平行にかつ前記補正済み1次荷電粒子ビーム(3)に対して反対方向に伝搬する、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルのアキシャルセグメントを含む、前記後方散乱電子ビーム(9)を前記1次ビーム収束ユニット(1100)から前記検出ユニット(1600)に誘導するためのビーム分割ユニット(1500)とを備え、
前記検出ユニット(1600)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの少なくとも第2のセグメントを検出し、前記第1の信号I1と異なる第2の検出信号I2を生成するための少なくとも第2の閉じ込め式検出器セグメント(1801)をさらに備える、低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項40】
前記検出ユニット(1600)は、前記後方散乱電子ビーム(9)の前記角度スペクトルの第3の被選択セグメントに対応する第3の信号I3を、使用中に生成するために、第3の閉じ込め式検出器セグメント(1802)を備える、請求項39に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項41】
前記ビーム形成ユニット(1400)および前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記補正済み1次電子ビーム(3)を前記サンプル(7)の前記表面(25)に収束させ、前記1次電子ビーム(3)を、前記サンプル表面(25)に達する前に、400eVより低い、好ましくは300eVより低い、さらにより好ましくは200eVより低い、またはさらにより好ましくは150eVより低い運動エネルギーに減速させるように構成される、請求項39または40に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項42】
前記1次ビーム収束ユニット(1100)は、前記サンプル(7)の前記表面(25)の垂線から0.7ラジアンを超える、好ましくは1.3ラジアンまでの大きい角度で後方散乱電子を収集するように構成される、請求項39または40に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項43】
前記制御ユニット(800)は、層エッジのエッジ位置;フィーチャ寸法;エッジ粗さ;エッジ傾斜;または、微小欠陥の少なくとも1つを、2nmより小さい、好ましくは1nmより小さい、さらにより好ましくは0.5nmより小さい正確度で、前記少なくとも第1および第2の検出信号I1およびI2から決定するようにさらに構成される、請求項39または40に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【請求項44】
静電ミラー補正器(1415)をさらに備える、請求項39または40に記載の低エネルギー電子顕微鏡(1)。
【国際調査報告】