(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスと通信するための電子デバイスで実行可能な方法、電子デバイス、及び薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
G16H 20/17 20180101AFI20241106BHJP
A61M 5/172 20060101ALI20241106BHJP
G16H 40/40 20180101ALI20241106BHJP
G16H 40/60 20180101ALI20241106BHJP
H04W 12/08 20210101ALI20241106BHJP
【FI】
G16H20/17
A61M5/172
G16H40/40
G16H40/60
H04W12/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526570
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022080415
(87)【国際公開番号】W WO2023078859
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・アルト
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
【テーマコード(参考)】
4C066
5K067
5L099
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066QQ84
4C066QQ92
5K067AA33
5K067DD51
5K067EE02
5K067EE25
5L099AA25
(57)【要約】
少なくとも1つの実施形態では、薬物送達デバイス(100)と通信するために電子デバイス(200)で実行可能な方法は、第1の情報及び第2の情報に基づいて、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定することを含み、第1の情報は患者への薬物の処方を示すものであり、第2の情報は薬物送達デバイスが分配すると予測される薬物を示すものである。方法は、ユーザが薬物送達デバイスを使用する権限を有する場合に出力信号を生成するステップを更に含み、出力信号は、薬物送達デバイスの作動状態を変えることを可能にするために、薬物送達デバイスに通信されると予測される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイス(100)と通信するために電子デバイス(200)により実行可能な方法であって、
第1の情報及び第2の情報に基づいて、前記電子デバイス(200)のユーザが前記薬物送達デバイス(100)を操作する権限を有するかどうかを判定することであって、
前記第1の情報は、患者への薬物の処方を示すものであり、
前記第2の情報は、前記薬物送達デバイス(100)が分配すると予測される前記薬物を示すものである、ことと、
前記ユーザが前記薬物送達デバイス(100)を使用する権限を有する場合、前記薬物送達デバイス(100)の作動状態を変えることを可能にするために、前記薬物送達デバイス(100)に通信されることが予測される出力信号を生成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の情報が、外部デバイス(300)から前記電子デバイス(200)に伝送された第1の信号から抽出され、
前記第2の情報が、前記薬物送達デバイス(100)から前記電子デバイス(200)に伝送された第2の信号から抽出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の信号及び/又は前記第2の信号が無線伝送された信号である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の信号が近距離無線通信信号である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の信号が長距離通信信号である、及び/又はクラウドサービス(400)を介して伝送される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の信号及び/又は前記第2の信号が、前記出力信号を生成する前に認証される、及び/又は、
前記第1の信号及び/又は前記第2の信号が、暗号により安全が確保されている、
前記第1の情報及び/又は前記第2の情報を抽出することが、前記第1の信号及び/又は前記第2の信号を解読することを含む、
請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記薬物送達デバイス(100)に誘導を介してエネルギーを伝達するための電力信号を生成すること
を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記作動状態の前記変化が、前記薬物送達デバイス(100)の機構ユニット(MU)における機械的変化に関連付けられ、
前記作動状態の前記変化が、薬物用量の設定及び/又は薬物用量の分配が防止される状態と、薬物用量の設定及び/又は薬物用量の分配が可能な状態との間の変化である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記薬物送達デバイス(100)が注入デバイスである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成された電子デバイス(200)。
【請求項11】
無線信号を受信し無線出力信号を送信するように構成された1つ以上の通信構成要素(202、203)を備える、請求項10に記載の電子デバイス(200)。
【請求項12】
少なくとも1つの近距離無線通信構成要素(202)と、
少なくとも1つの長距離通信構成要素(203)と、
誘導充電構成要素(204)と
を備える、請求項10又は11に記載の電子デバイス(200)。
【請求項13】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が、前記プログラムが電子デバイス(200)によって実行されたときに、前記電子デバイス(200)に請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項14】
命令を含むコンピュータ可読データ媒体であって、前記命令が、前記プログラムが電子デバイス(200)により実行されると、前記電子デバイス(200)に請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実施させる、コンピュータ可読データ媒体。
【請求項15】
薬物送達デバイス(100)であって、
薬物リザーバユニット(RU)に作動可能に結合するように構成された機構ユニット(MU)を備え、
前記機構ユニット(MU)が、薬物を分配するための分配プロセスを可能にするように構成され、
前記機構ユニット(MU)が、前記機構ユニット(MU)の作動状態を変えるための構成(5、43A、43B)を備え、
前記機構ユニット(MU)が、電子デバイス(200)から前記薬物送達デバイス(100)に伝送される出力信号を受信するための通信構成要素(101)を備え、
前記機構ユニット(MU)が、前記電子デバイス(200)からの出力信号が前記通信構成要素(101)を介して受信されない限り、前記機構ユニット(MU)の前記作動状態を変えるための前記構成(5、43A、43B)の作動が防止されるように構成される
ことを含む、薬物送達デバイス(100)。
【請求項16】
前記薬物送達デバイス(100)が、自己投与のためのデバイスであり、
前記構成(5、41A、41B)が、電気機械式アクチュエータ(5)を備え、
前記作動状態を変えるための前記構成(5、41A、41B)の作動が前記アクチュエータ(5)の作動を含む、
請求項15に記載の薬物送達デバイス(100)。
【請求項17】
前記電子デバイス(200)が請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、請求項15又は16に記載の薬物送達デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬物送達デバイスと通信するための電子デバイスで実行可能な方法が提供される。更に、電子デバイス、コンピュータプログラム、コンピュータ可読データ媒体、及び薬物送達デバイスが提供される。
【背景技術】
【0002】
注入の投与は、精神的及び身体的の両方でユーザ及び医療従事者にいくつかのリスク及び課題を呈するプロセスである。薬物送達デバイスは、患者にとって自己注入をより容易にすることを目的とし得る。薬物送達デバイスの安全な作動が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
達成されるべき目的のひとつは、薬物送達デバイスと通信するための、電子デバイスで実行可能な改善された方法、特に、薬物送達デバイスを操作しようとしているユーザのために安全性を増加させる方法を提供することである。達成されるべき更なる目的は、方法を実行できる薬物送達デバイス、方法を実行するためのコンピュータプログラム及びコンピュータ可読データ媒体、並びに改善された薬物送達デバイス、特に電子デバイスと通信するように構成された薬物送達デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的は、とりわけ、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態及び更なる発展形態が、従属請求項の主題であり、更に以下の説明及び図面から抽出できる。
【0005】
最初に、方法について明記する。
【0006】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、電子デバイスで実行可能である又は実行される。方法は、例えば、薬物送達デバイスと通信するために、特に、薬物送達デバイスの作動を可能にするために実行される。電子デバイスは、少なくとも1つのプロセッサを備えてもよい。電子デバイスは、コンピュータ又はタブレット型PC又はスマートフォン又はスマートウォッチであってもよい。特に、方法はコンピュータで実施される方法である。
【0007】
薬物送達デバイス及び電子デバイスは、別個のデバイスである。例えば、薬物送達デバイス及び電子デバイスは、互いに無線通信するように構成される。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定するステップを含む。
【0009】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定することは、第1の情報及び第2の情報に基づいて行われる。第1の情報及び第2の情報は、具体的には、電子デバイスで処理可能なデジタル化された情報である。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の情報は、患者への薬物の処方を示すものである。処方は医師により発行されてもよく、この処方に関する第1の情報は電子デバイスに伝送されたものであってもよい。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の情報は、薬物送達デバイスが分配すると予測される薬物を示すものである。具体的には、薬物送達デバイスは、薬物用量を分配するために分配プロセスを実行するように構成される。薬物送達デバイスは、薬物を含有する薬剤容器を備えてもよい、又はそれを収容するように構成されてもよい。
【0012】
電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定するため、第1の情報及び第2の情報は、互いに比較されてもよく、及び/又はユーザの身元識別情報と比較されてもよい。例えば、患者に処方される薬物が、薬物送達デバイスが分配すると予測される薬物と同じであるかどうかが判定されてもよい。更には、電子デバイスのユーザが、薬物を処方された患者であるかどうかが判定されてもよい。両方の条件(処方された薬物が薬物送達デバイスの薬物であり、且つ電子デバイスのユーザが患者である)が満たされる場合、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有すると判定されてもよい。2つの条件のうちの少なくとも1つが満たされない場合、ユーザは薬物送達デバイスを操作する権限を有しないと判定されてもよい。
【0013】
ユーザが実際に患者であるかどうかを判定するため、ユーザの身元識別情報が使用されて、第1の情報内に格納された患者に関する情報と比較されてもよい。この目的のため、ユーザは、電子デバイスの所有者であると想定されてもよい。例えば、電子デバイスの所有者の身元識別情報は電子デバイスに電子的に格納されてもよく、この身元識別情報が患者の身元識別情報と比較されてもよい。代わりに、その処方が、この特定の電子デバイスについて実際に予測されたかどうかが判定されてもよく、予測された場合は、ユーザ/所有者が患者であると判定されてもよい。
【0014】
任意選択のステップとして、電子デバイスのユーザの身元識別情報は、ユーザが権限を有するかどうかを判定する前に判定される。これは、例えば、指紋、顔面スキャン、又はパスワード入力に基づいて行われてもよい。したがって、電子デバイスは、顔面スキャン、指紋、又はパスワードの識別を使用して、ユーザの身元識別情報を決定するように構成されてもよい。
【0015】
電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定することは、ユーザが自分自身に過剰投与又は間違った用量を施すことを回避するために、追加的に投与計画に基づいてもよい。例えば、第1の情報が投与計画を示すものであり、又は電子デバイスに格納される第3の情報が投与計画を示すものであってもよい。
【0016】
例として、処方は特定の時間ウィンドウにおいてのみ有効であり、この時間ウィンドウにおいてのみ、特定の薬物送達デバイスに対して出力信号が生成され得る。加えて又は代わりに、異なる薬物送達デバイスに対する出力信号の生成は、投与計画により制約される。例えば、2つの連続する出力信号は、2つの信号間に所定の時間間隙を有してのみ生成され得る。時間間隙は数時間であってもよい。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、方法は、ユーザが薬物送達デバイスを使用する権限を有する場合に、すなわち、ユーザが薬物送達デバイスを使用する権限を有すると判定された場合に、出力信号が生成されるステップを含む。ユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有しないと判定された場合、出力信号は、例えば、生成されない。
【0018】
少なくとも1つの実施形態によれば、出力信号は、薬物送達デバイスの作動状態を変えることを可能にするために、薬物送達デバイスに通信又は伝達されると予測される。出力信号は、例えば、電子デバイスの通信構成要素を用いて電子デバイスから送信される。具体的には、出力信号は、ユーザが薬物送達デバイスを使用する権限を有することを示す情報を含む。薬物送達デバイスは、出力信号を受信し、この情報を抽出及び/又は処理及び/又は理解し、次いで、それに応じて作動状態を変えることを可能にするように構成されてもよい。
【0019】
作動状態の変化は、具体的には、薬物用量を分配するための分配プロセス及び/又は薬物用量を設定するための設定プロセスが防止される状態から、分配プロセス及び/又は設定プロセスが可能な状態への変化であってもよい。したがって、ユーザは、作動状態が変化した後にのみ、所望の用量設定及び/又は用量分配を実行することができる。したがって、電子デバイスと薬物送達デバイスとの間の相互作用は、薬剤の即時の分配にはつながらない場合がある。電子デバイスと薬物送達デバイスとの間の相互作用及び/又は信号交換は、ユーザによって分配ボタン又は設定要素が作動される前に生じる場合がある。
【0020】
少なくとも1つの実施形態では、薬物送達デバイスと通信するための、電子デバイスで実行可能な方法は、第1の情報及び第2の情報に基づいて、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定することを含み、第1の情報は、患者への薬物の処方を示すものであり、第2の情報は、薬物送達デバイスが分配すると予測される薬物を示すものである。ユーザが、薬物送達デバイスを使用する権限を有する場合、薬物送達デバイスの作動状態を変えることを可能にするために、薬物送達デバイスに通信されると予測される出力信号が生成される。
【0021】
処方薬の安全性は、紙ベースの処方、及び薬物が処方された人に薬物を対人で手渡すことにしばしば依存している。動けない患者にとって、遠隔医療使用事例及び/又はパンデミックの状況では、これは、ますます重荷となり、多くの時間を有し、追加の危険を引き起こす。薬物が郵便配達により配布される場合、例えば家庭の子供に対する安全を確実にするため、正しい受取人への配達を確実にするための追加の努力がなされなければならない。これら全ての後に、薬物混同の危険性が未解決のまま残っている(例えば、薬剤師による混同、物流での間違い)。本発明は、とりわけ、例えば、使い捨て針ベースの注入システム(NIS)ペン、オートインジェクタ、又は更には吸入器にて配布される注入可能薬物に対して、この課題への解決策を提案する。電子デバイスを使用して、第1の情報及び第2の情報に基づいてユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定し、有する場合にのみ、薬物送達デバイスの作動状態の変化を可能にするための出力信号を生成することにより、上述した課題はとりわけ解決できる。
【0022】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の情報は、外部デバイスから電子デバイスに伝送される第1の信号から抽出されてもよい。外部デバイスは、コンピュータ又はスマートフォンのような、更なる電子デバイス又は第2の電子デバイスであってもよい。具体的には、外部デバイスは、本方法を実行するための電子デバイスとは異なり、薬物送達デバイスとも異なる。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の情報は、薬物送達デバイスから電子デバイスに伝送された第2の信号から抽出されてもよい。
【0024】
本方法は、第1及び/又は第2の信号を受信することを含んでもよい。第1の信号及び/又は第2の信号を受信するため、電子デバイスは、1つ以上の通信構成要素又は通信インターフェースをそれぞれ備えてもよい。
【0025】
本方法は、第1の信号を要求するために、例えばクラウドサービスを介して、外部デバイスに伝送されると予測される第1の要求信号を生成及び/又は送信するステップを含んでもよい。したがって、電子デバイスは、第1の要求信号を生成及び/又は送信するように構成されてもよい。第1の要求信号に応答して、第1の信号が電子デバイスに伝送されてもよい。例として、第1の要求信号を生成及び送信するため、薬物送達デバイス上の又は薬物送達デバイスのパッケージ上の、QRコードのようなコードが、例えば電子デバイスを用いてスキャンされる。コードは、薬物送達デバイスの薬物を示すもの、又は薬物送達デバイスが分配することが予測される薬物を示すものであってもよい。スキャンされたコードに応答して、コードから抽出された薬物の処方を要求するために、第1の要求信号が生成及び送信されてもよい。第1の要求信号を生成及び/又は送信するステップは、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定するステップの前に特に実行される。
【0026】
本方法は、第2の信号を要求するために、薬物送達デバイスに伝送される第2の要求信号を生成及び/又は送信するステップを含んでもよい。したがって、電子デバイスは、第2の要求信号を生成及び/又は送信するように構成されてもよい。要求信号に応答して、第2の信号が生成されてもよい。例えば、薬物送達デバイスは、第2の要求信号に応答して、第2の信号を生成し、それを電子デバイスに送信するか、又は、薬物送達デバイスは、第2の要求信号が第2の信号に変換され、次いで電子デバイスによって受信されるように、第2の要求信号に影響を及ぼす。第2の要求信号を生成及び/又は送信するステップは、電子デバイスのユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定するステップの前に特に実行される。
【0027】
電子デバイスの通信構成要素/インターフェースはまた、要求信号を生成及び/又は送信するように構成されてもよい。
【0028】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の信号及び/又は第2の信号は無線伝送された信号である。したがって、電子デバイスの通信構成要素又は通信インターフェースは、それぞれ、無線通信構成要素又は無線通信インターフェースであってもよい。
【0029】
少なくとも1つの実施形態によれば、第2の信号はRFID信号である。薬物送達デバイスは、RFIDタグ、例えば受動RFIDタグ又は能動RFIDタグ、を備えてもよい。電子デバイスは、RFID読取りデバイス、例えば能動読取りデバイス又は受動読取りデバイス、を備えてもよい。例えば、第2の信号は、近距離無線通信(NFC)信号である。その場合、電子デバイスの通信構成要素はNFC構成要素であり得る。
【0030】
代わりに、第2の信号はブルートゥース信号であってもよい。したがって、電子デバイス及び薬物送達デバイスは各々がブルートゥース通信構成要素を備えてもよい。
【0031】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の信号は、長距離通信信号、具体的には移動通信信号である。加えて又は代わりに、第1の信号はクラウドサービスにより伝送される。第1の信号は、Wi-Fi、LTE、3G、4G、5G、又は任意の他のモバイル通信規格を介して伝送されてもよい。
【0032】
例えば、医師又は医療専門家(HCP)が患者に薬物の処方を発行し、この処方は、医師又はHCPのデバイスからクラウドサービスに無線でデジタル形式で伝送され、次いで、処方に関する情報が格納された第1の信号が電子デバイスに伝送される。
【0033】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1及び/又は第2の信号は、例えば、公開鍵システムを介して、又は秘密鍵及び公開鍵を用いる非対称暗号システムを介して、暗号により安全が確保される。したがって、第1及び/又は第2の信号は、不正開封防止であってもよい。
【0034】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1及び/又は第2の情報を抽出することは得ることは、第1及び/又は第2の信号を解読することを含む。したがって、電子デバイスは、第1及び/又は第2の信号を解読するように構成されてもよい。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1及び/又は第2の信号は、特に第1及び/又は第2の信号の起点をチェックするために認証されてもよい。これは、出力信号を生成する前に行われてもよい。例えば、第1及び/又は第2の信号の起点が信頼される又は正しい場合にだけ出力信号が生成される。したがって、電子デバイスは、第1及び/又は第2の信号を認証するように構成されてもよい。
【0036】
少なくとも1つの実施形態によれば、本方法は、例えば誘導を介して、薬物送達デバイスにエネルギーを伝達するために、電力信号を生成することを含む。例えば、電力信号は、薬物送達デバイスに電気エネルギーを供給するために、薬物送達デバイスに無線伝送されるように構成される。したがって、電子デバイスは、ロック機構のためのエネルギー源として及び/又は薬物送達デバイスのアクチュエータ要素として機能でき、エネルギー伝送は誘導を介してもよい。
【0037】
例えば、RFID構成要素又は近距離通信構成要素は、電子デバイスから薬物送達デバイスにエネルギーを伝達するために使用される。この目的のため、薬物送達デバイスはプリチャージコンデンサを備えてもよい。第2の信号は、電力信号を含んでもよい。
【0038】
加えて又は代わりに、電子デバイスから薬物送達デバイスにエネルギーを伝達するため、充電システム、例えば、QIシステムのようなスマートフォン逆充電システムが使用される。
【0039】
薬物送達デバイスが、薬物送達デバイスに電気エネルギーを供給するためのそれ自身の電源、例えば電池を備えることも可能でもある。電池のエネルギーは、薬物送達デバイスを作動させるために、単独で使用すること、又は伝送されたエネルギーと組み合わせて使用することができる。
【0040】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスの作動状態の変化は、薬物送達デバイスの機構ユニットにおける機械的変化に関連付けられる。例えば、作動状態の変化は、機構ユニットの要素の移動に関連付けられる。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、作動状態の変化は、薬物用量の設定及び/又は薬物用量の分配が防止される状態と、薬物用量の設定及び/又は薬物用量の分配が可能な状態との間の変化である。
【0042】
少なくとも1つの実施形態によれば、出力信号は、外部デバイス又はクラウドサービスとの通信接続なしで生成される。例えば、出力信号は、電子デバイスがオフラインであるとき、例えばインターネットにワイヤレスに接続していないときに生成される。例として、第1の信号が受信されてもよく、次いで外部デバイス又はクラウドサービスへの接続が遮断されてもよく、次いで第2の信号が受信され、及び/又は出力信号が生成される。
【0043】
例えば、第1の情報の処方は、数時間又は数日のような、所定時間にわたって有効である。この処方に基づいて生成可能な出力信号が所定時間内に生成されない場合、処方は無効になり、この処方に基づいて出力信号を生成することはもはやできない。その時、新規の第1の信号が必要とされてもよい。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1の情報は、ユーザへの薬物の複数の処方を示すものである。各処方は、1つの薬物送達デバイスに一意的に割り当てられてもよい。第1の情報は、薬物送達デバイスのマルチパックに割り当てられてもよい。例えば、それぞれの第1の信号を受信するため、電子デバイスのユーザは最初にマルチパック上のQRコードのようなコードをスキャンする必要があり、次いで、第1の要求信号が外部デバイス及び/又はクラウドサービスに送信され、第1の要求信号に応答して、複数の受領書に関する情報を含む第1の信号が生成され、電子デバイスに送信される。次いで、出力信号を生成するための第1の信号の第1の情報がオフラインで使用されてもよい。
【0045】
各処方は、ある時間ウィンドウに割り当てられてもよい。例えば、1つの処方に割り当てられた出力信号は、この時間ウィンドウ内でのみ生成できる。これは、特に異なる処方に割り当てられた時間ウィンドウが重なり合わないか、又は完全に重なり合うことがない場合、過剰投与を回避できる。
【0046】
本明細書で説明される方法は、とりわけ、以下の利点を有する:
- 薬物混同の防止:ユーザは正しいタイプの薬物送達デバイスだけを解錠できる。
- 安全な配布:患者への個人的な送達はもはや必要ない。その患者だけが薬物を使用できるからである。薬物は市場に応じて薬局外でさえも一般に利用可能にできる。
- 安全な郵便配達:個人配達は必要ない。小包は子供にさえ安全に配達され得る。子供は薬物送達デバイスを使用することができないからである。
- 遠隔医療のサポート:処方は、ライブビデオセッション内でクラウドサービスを介して遠隔でHCPにより展開できる。個人的接触又は紙ベースの処方は必要ない。
- 広範な互換性:概念は、NFCのような技術を使用してもよく、一般のスマートフォンに対する互換性を有することになる。
- 救急医療:患者は、(危険な)非常用の注入器/吸入器(例えばエピペン)を携行することができるが、患者は患者の健康センターに電話し、健康センターが状況を評価して(伝送された処方により)それを使用する特別な許可を与える必要がある。
- 再使用保護:伝送された処方は、暗号手段によって使用されると無効化され、複製又は再使用できない場合がある。
【0047】
次に、電子デバイスについて明記する。電子デバイスは、本明細書で説明される方法を実行するように構成される。したがって、本方法に関連して説明される全ての特徴が、電子デバイスに対しても開示され、その逆も同様である。
【0048】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子デバイスは少なくとも1つのプロセッサを備える。少なくとも1つのプロセッサは、特に、第1及び/又は第2の信号から第1及び/又は第2の情報を抽出し、及び/又は第1及び/又は第2の信号を解読し、及び/又はユーザが薬物送達デバイスを操作する権限を有するかどうかを判定し、及び/又は出力信号を生成するように構成されてもよい。電子デバイスは、携帯型デバイス及び/又はウェアラブルデバイスであってもよい。具体的には、電子デバイスは、タブレット型PC、スマートフォン、又はスマートウォッチであってもよい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子デバイスは、信号を受信するように及び/又は出力信号を送信するように構成された1つ以上の通信構成要素を備える。例えば、通信構成要素は、無線信号を受信するように及び/又は無線出力信号を送信するように構成されている。したがって、通信構成要素は、無線通信構成要素であってもよい。
【0050】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子デバイスは、RFID構成要素、具体的にはNFC構成要素を備える。通信構成要素は、RFIDタグ又はNFCタグを読み取るための読取りデバイスであってもよい。
【0051】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子デバイスは、少なくとも1つの長距離通信構成要素、具体的には移動通信構成要素を備える。例えば、電子デバイスは、Wi-Fi通信構成要素、LTE通信構成要素、3G通信構成要素、4G通信構成要素、及び/又は5G通信構成要素を備える。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によれば、電子デバイスは、誘導充電構成要素、例えばコイルを備える。
【0053】
次に、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読データ媒体について明記する。コンピュータプログラム及びコンピュータ可読データ媒体は命令を含み、この命令は、電子デバイスにより実行されると、電子デバイスに本明細書に記載される方法を実施させる。コンピュータプログラムは、APPであってもよい。
【0054】
次に、薬物送達デバイスについて明記する。薬物送達デバイスは、具体的には、方法を実行するときに電子デバイスが通信する薬物送達デバイスであってもよい。したがって、方法に関連して開示された全ての特徴が、薬物送達デバイスについても開示され、逆も同様である。
【0055】
本明細書で明記される薬物送達デバイスは、注入デバイス、例えば針ベースの注入デバイス、又は吸入器であり得る。薬物送達デバイスは、自動注入器、及び/又は可変用量デバイス若しくは固定用量デバイス、及び/又はペン型デバイス、例えばダイヤル伸長ペンであり得る。薬物送達デバイスは、使い捨てデバイスであってもよい。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは機構ユニットを備える。
【0057】
機構ユニットは、薬物用量を分配するための分配機構及び/又は薬物用量を設定するための設定機構を備えてもよい。
【0058】
分配機構及び/又は設定機構は、用量分配又は用量設定中に互いに相互作用するいくつかの要素を備えてもよい。例えば、用量設定から用量分配への切り換え時又はその逆の切り換え時、機構ユニットの2つ以上の要素間の結合が変えられる。例えば、2つ以上の要素は、用量設定中に互いに回転方向に固定されるようにスプライン結合され、このスプライン結合は、これら要素が用量分配中に互いに対して回転するように、用量分配中に解放される。
【0059】
例えば、分配機構は、薬物用量を分配するために薬物リザーバに作用するように構成されたプランジャロッドを備える。機構ユニットは、用量分配中にプランジャロッドが遠位方向へと軸線方向に移動するように構成されてもよい。プランジャロッドは、例えば、駆動要素のような、機構ユニットの更なる要素との螺合に起因して、用量分配中に回転することもできる。例えば、薬物用量の設定中、プランジャロッドは移動しない。
【0060】
分配機構はまた、薬物用量を分配するためのエネルギーを供給するためのエネルギー部材を備えてもよい。エネルギー部材は、プランジャロッドを遠位方向に移動させるためのエネルギーを供給することができる。例えば、エネルギー部材は、圧縮ばね若しくはねじりばねのような駆動ばね、又はガスカートリッジ、又は電気モータである。代わりに、プランジャロッドを動かすための追加エネルギー部材が使用されない。その場合、プランジャロッドを動かし、薬物用量を分配するために必要な力は、ユーザによって加えられなければならない場合がある。
【0061】
分配機構は、駆動要素、例えば駆動スリーブを備えてもよい。駆動スリーブは、プランジャロッドを円周方向に取り囲んでもよい。駆動要素は、プランジャロッドに螺合されてもよい。薬物用量の分配中、駆動要素は、例えば回転なしに、遠位方向に移動してもよく、それによりプランジャロッドが回転するように、更には遠位方向に移動するように強いることができる。
【0062】
設定機構は、設定要素、例えばダイヤルスリーブ及び/又は番号スリーブを備えてもよい。用量設定中、駆動要素は設定要素にスプライン接続されてもよい。例えば、用量設定中、駆動要素及び設定要素は、例えば螺旋経路上を近位方向に一緒に移動するが、互いに対して移動できない場合がある。用量分配中、駆動要素と設定要素との間のスプライン結合は解除されてもよい。例えば、用量分配中、設定要素は、再び螺旋経路上を遠位方向に移動するが、駆動要素は、回転なしで遠位方向へと軸線方向に移動するだけである。スプライン結合を実現するため、及び駆動要素と設定要素との間のスプライン結合を解除するため、機構ユニットは、クラッチ及び/又はクリッカ構成及び/又はクラッチばねを備えてもよい。
【0063】
機構ユニットは、薬物用量を分配するため、ユーザにより作動されるように、例えばユーザが触るように構成されたユーザインターフェース部材を備えてもよい。例えば、ユーザインターフェース部材は、ボタン又はノブである。例えば、薬物用量を分配するため、ユーザインターフェース部材は、ユーザによって遠位方向に押し付けられなければならない。このユーザインターフェース部材は、用量分配部材とも称され得る。
【0064】
機構ユニットはまた、薬物用量を設定するため、ユーザにより作動されるように、例えばユーザが触るように構成されたユーザインターフェース部材を備えてもよい。例えば、薬物用量を設定するため、ユーザはユーザインターフェース部材を、回転及び/又は近位方向に移動させなければならない。このユーザインターフェース部材は、用量設定部材とも称され得る。
【0065】
薬物用量を設定するためのユーザインターフェース部材は、同時に、薬物用量を分配するためのユーザインターフェース部材であり得る。
【0066】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットはハウジング要素を備える。ハウジング要素は、スリーブであってもよい。例えば、ハウジング要素は、機構ユニットの他の要素を又は全ての要素を円周方向に取り囲む。ハウジング要素は、ユーザが触ることができる、薬物送達デバイスの外面を形成する外面を備えてもよい。
【0067】
本明細書では、別段の記載がない場合、薬物送達デバイスの部材又は要素又は特徴の移動は、特にハウジング要素に対する移動を意味する。
【0068】
本明細書で明記される薬物送達デバイスは、細長い形状であってもよく、及び/又は長手方向軸線、例えば主伸長軸線を備える場合がある。加えて又は代わりに、薬物送達デバイスは、長手方向軸線に対して回転対称性を有し得る。長手方向軸線に平行な方向を本明細書では軸線方向と呼ぶ。例として、薬物送達デバイスは円筒形であってもよい。
【0069】
更に、薬物送達デバイスは、人体の皮膚領域に面するように又は人体の皮膚領域に押し付けられるように設けられ得る、端部、例えば長手方向端部を備え得る。本明細書では、この端部を遠位端と呼ぶ。薬物又は薬剤は、遠位端を介して供給され得る。本明細書では、反対側の端部を近位端と呼ぶ。使用中、近位端は、皮膚領域から離れている。本明細書では、近位端から遠位端に向かう軸線方向を遠位方向と呼ぶ。本明細書では、遠位端から近位端に向かう軸線方向を近位方向と呼ぶ。本明細書では、薬物送達デバイスの部材又は要素又は特徴の遠位端は、最も遠位側に位置する部材/要素/特徴の端部であると理解される。よって、本明細書では、部材又は要素又は特徴の近位端は、最も近位側に位置する要素/部材/特徴の端部であると理解される。
【0070】
換言すれば、本明細書では、「遠位側に」は、薬物送達デバイス若しくはその構成要素の分配端の方を向く若しくは指すように配置されており又は配置されることになり、及び/又は近位端から離れる方を指し、近位端から離れる方を向くように配置されることになり、若しくは近位端から離れる方を向く、方向、端部、又は表面を指定するために使用される。他方で、本明細書では、「近位側に」は、薬物送達デバイス又はその構成要素の分配端及び/又は遠位端から離れる方を向く又は指すように配置されている又は配置されることになる、方向、端部、又は表面を指定するために使用される。遠位端は、分配端に最も近く及び/又は近位端から最も遠い端部であってもよく、近位端は、分配端から最も遠い端部であってもよい。近位表面は、遠位端から離れる方を向き及び/又は近位端の方を向き得、遠位表面は、遠位端の方を向き及び/又は近位端から離れる方を向き得る。分配端は、例えば針ユニットがデバイスに取り付けられている又は取り付けられることになる針端部であり得る。
【0071】
本明細書では、長手方向軸線に垂直で且つ/又は長手方向軸線と交差する方向を半径方向と呼ぶ。内向き半径方向は、長手方向軸線の方を指す半径方向である。外向き半径方向は、長手方向軸線から離れる方を指す半径方向である。本明細書では、「角度方向」、「方位方向」、又は「回転方向」という用語は、同義語として使用される。そのような方向は、長手方向軸線に垂直で且つ半径方向に垂直な方向である。
【0072】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、薬物リザーバユニットに作動可能に結合されるように構成される。
【0073】
薬物リザーバユニットは、薬物リザーバ、及び/又は薬物リザーバを保持するための薬物リザーバホルダを備えてもよい、又はそれらであってもよい。薬物リザーバホルダは、薬物リザーバが薬物リザーバホルダに対して移動できないように、薬物リザーバを保持するように構成されてもよい。薬物リザーバは、注射針に接続可能なカートリッジであってもよい、又は注射針を備えるシリンジであってもよい。薬物リザーバは、薬、例えば複数用量の薬物、を含んでもよい。
【0074】
薬物リザーバは、薬物を分配するための遠位端を有してもよい。遠位端は、針を備える端部、又は針に接続されることになる端部であってもよい。薬物リザーバは、薬物リザーバを近位方向に封止するストッパを備えてもよい。
【0075】
「作動可能に結合」は特に、機構ユニット及び薬物リザーバユニットが、それぞれ、機械的に結合又は接続される、特に着脱可能に結合又は接続されることを意味する。この目的のため、機構ユニットは、機構ユニットを薬物リザーバユニットに接続する接続インターフェースを形成するためのインターフェース機能を備えてもよい。インターフェース機能は、接続インターフェースを形成するための薬物リザーバユニットのねじ山に係合するように構成されたねじ山を備えてもよい。代わりに、インターフェース機能は、薬物リザーバユニットとのスナップ接続を確立するように構成されてもよい。結合される場合、例えば、薬物リザーバユニットがハウジング要素に対して軸線方向に移動できないように、薬物リザーバユニットはハウジング要素に対して固定されてもよい。加えて又は代わりに、「作動可能に結合」は、機構ユニット及び薬物リザーバユニットが、情報、例えば電気信号又は電流を交換するために結合されることを意味し得る。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によると、機構ユニットは、薬物用量、例えば設定された薬物用量、を分配するための分配プロセスを可能にするように構成される。具体的には、機構ユニットは、分配プロセス中に、薬物リザーバに、特に薬物リザーバユニットの薬物リザーバに作用するように構成されてもよい。機構ユニットが薬物リザーバに作用する場合、機構ユニットは、薬物用量を分配するためにストッパを遠位方向に押し込んでもよい。それにより、例えば、機構ユニットのプランジャロッドはストッパに当接して、ストッパを遠位方向に押し込む。分配プロセスを実行するには、ユーザが用量分配部材を操作する必要があり得る。
【0077】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、機構ユニットの作動状態を変えるための構成、具体的には第1の作動状態から第2の作動状態に、又はその逆に変えるための構成を備える。第2の作動状態は、具体的には、第1の作動状態において無効化された又は実行されなかった機構ユニットの少なくとも1つの機能が可能にされた又は実行される状態である。
【0078】
作動状態を変えるための構成は、互いに相互作用する1つ以上の構成要素を備えてもよい。例えば、構成は、機械構成要素及び/又は電気構成要素を備える。例として、構成は、電気機械式アクチュエータ、制御ユニット、ディスプレイ、エネルギー源のうちの1つ以上を備える。制御ユニットは、プロセッサ、例えばICチップを備えてもよい。制御ユニットは、マイクロコントローラであってもよい。エネルギー源は、電池であってもよい。
【0079】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、電子デバイスから薬物送達デバイスに伝送された出力信号を受信するための通信構成要素を備える。通信構成要素は、無線通信構成要素であってもよい。通信構成要素は、ブルートゥース構成要素、又はRFID構成要素、又はNFC構成要素であってもよい。通信構成要素は、RFIDタグ又はNFCタグを備えてもよい。
【0080】
少なくとも1つの実施形態によれば、通信構成要素は、電子デバイスとの通信接続又はチェーン、例えば暗号化された及び/又はセキュアな通信接続又はチェーンを確立するように構成される。薬物送達デバイスの通信構成要素は、薬物送達デバイスに関する情報、特に薬物送達デバイスが含むか又は投与するように構成される薬物に関する情報を含む第2の信号を、電子デバイスに送信するように構成されてもよい。薬物送達デバイスは、例えば受信された要求信号に応答して、それ自身の身元を明かすように構成されてもよい。
【0081】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、電子デバイスからの出力信号が通信構成要素を介して受信されない限り、機構ユニットの作動状態を変えるための構成の作動が防止されるように構成される。
【0082】
例えば、機構ユニットは、作動状態を変えるための構成の作動を可能にするように、特に出力信号が受信されたときにのみ可能にするように構成される。作動状態を変える構成の作動は、出力信号が受信されたときに自動的に起こってもよい。代わりに、構成の作動は、薬物送達デバイスのユーザによる手動作動のような、実行される更なるプロセスを追加で要求してもよい。特に、出力信号を受信することが、構成の作動のための前提条件であり得る。
【0083】
機構ユニットは、出力信号が受信されたかどうかを判定し、出力信号が受信されたと判定されない限り、又は出力信号が受信されたと判定されたときにのみ、それぞれ、構成の作動を防止する、及び/又は可能にするように構成されてもよい。例えば、出力信号が受信されない場合、作動状態を変えることが防止される。
【0084】
機構ユニットはまた、特に出力信号の起点をチェックするため、出力信号を認証及び/又は解読するように構成されてもよい。これは、構成の作動を可能にする前に行われてもよい。例えば、出力信号の起点が信頼されるか又は正しい場合にのみ、機構ユニットは構成を可能にする。
【0085】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは、自己投与のためのデバイスである。具体的には、薬物送達デバイスの使用は、専門的なサポートなしで患者によって行われ得る。
【0086】
少なくとも1つの実施形態によれば、構成は電気機械式アクチュエータを備える。電気機械式アクチュエータは、電気モータ及び/又は電磁石を備えてもよい。
【0087】
少なくとも1つの実施形態によれば、作動状態を変えるための構成の作動は、アクチュエータの作動を含む。アクチュエータは、作動されたときに、アクチュエータのアクチュエータ要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成されてもよい。
【0088】
電気機械式アクチュエータは、電気信号をアクチュエータ要素の移動に変換するアクチュエータであると本明細書では理解される。例えば、アクチュエータは、作動されたときに、アクチュエータ要素を第1の位置から第2の位置に及び/又はその逆に移動させてもよい。第1の位置と第2の位置との間の移動は、軸線方向及び/又は回転方向及び/又は半径方向への移動であってもよい。
【0089】
機構ユニット、具体的にはその構成は、アクチュエータを作動させるための制御ユニットを備えてもよい。例えば、アクチュエータを作動させるため、制御ユニットは電気信号を送信する。制御ユニットは、出力信号が受信されたときにのみアクチュエータを作動させるように構成されてもよい。出力信号が受信されないときは、アクチュエータは作動されない場合がある又は作動可能でなくてもよい。
【0090】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬物送達デバイスは、薬物を含み機構ユニットに結合された、薬物リザーバユニットを備える。
【0091】
更には、セットについて明記する。セットは、本明細書に明記される電子構成要素、及び本明細書に明記される薬物送達デバイスを備えてもよい。
【0092】
以下では、方法、電子デバイス、及び薬物送達デバイスについて、例示的実施形態に基づいて、図面を参照してより詳細に説明する。個々の図面では、同じ参照符号が、類似の要素、同様に機能する要素、又は同じ要素を示す。しかしながら、関わるサイズ比は、必ずしも一定ではなく、個々の要素は、むしろ、よりよい理解のためにサイズが誇張された状態で示される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【
図1】方法の例示的実施形態、電子デバイスの例示的実施形態、及び薬物送達デバイスの第1の例示的実施形態の概略図を示す。
【
図2】薬物送達デバイスの第2の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図3】薬物送達デバイスの第2の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図4】薬物送達デバイスの第2の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図5】薬物送達デバイスの第2の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図6】薬物送達デバイスの第2の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図7】薬物送達デバイスの第3の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図8】薬物送達デバイスの第3の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図9】薬物送達デバイスの第3の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図10】薬物送達デバイスの第3の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図11】薬物送達デバイスの第3の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図12】薬物送達デバイスの第3の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図13】薬物送達デバイスの第4の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【
図14】薬物送達デバイスの第4の例示的実施形態を異なる図面で示す。
【発明を実施するための形態】
【0094】
図1は、方法の例示的実施形態の概略図を示す。方法は、電子デバイス200を用いて実行される。電子デバイス200は、例えばスマートフォンである。電子デバイス200は、プロセッサ201、通信構成要素202、203、及び誘導充電構成要素204を備える。
【0095】
方法は、電子デバイス200のユーザが薬物送達デバイス100を操作する権限を有するがどうかを第1の情報及び第2の情報に基づいて判定するステップを含む。方法は、ユーザが薬物送達デバイス100を使用する権限を有する場合に出力信号が生成されるステップを更に含む。出力信号は、薬物送達デバイス100の作動状態を変えることを可能にするために、薬物送達デバイス100に通信されると予測される。これら2つのステップは、プロセッサ201により実行されてもよい。
【0096】
第1の情報及び第2の情報は、例えばプロセッサ201を使用して、第1の信号及び第2の信号から抽出されてもよい。第1の情報は、患者への薬物の処方を示すものであり、第2の情報は、薬物送達デバイス100が分配すると予測される薬物を示すものである。第1の信号及び第2の信号を受信するため、通信構成要素202及び203が使用されてもよい。
【0097】
電子デバイス200のユーザが薬物送達デバイス100を操作する権限を有するかどうかを判定することは、電子デバイス200のユーザの身元識別情報を、処方対象の患者の身元識別情報と比較し、加えて、薬物送達デバイス100が分配することが予測される薬物を、処方の薬物と比較することにより行われてもよい。ユーザと患者とが同一であり、且つ処方の薬物と薬物送達デバイス100の薬物とが同一である場合、そのユーザは、実際に薬物送達デバイス100を操作する権限を有すると判定される。その身元識別情報を電子デバイス200に提供するため、ユーザは、最初にパスワードを入力する、及び/又は指紋を提供する、及び/又は顔面をスキャンする必要があり得る。
【0098】
通信構成要素203は、第1の信号を受信するように構成されたWi-Fi通信構成要素、LTE通信構成要素、3G通信構成要素、4G通信構成要素、又は5G通信構成要素のような、長距離通信構成要素であってもよい。第1の信号は、クラウドサービス400を介して外部デバイス300から電子デバイス200に無線伝送されてもよい。外部デバイス300は、患者に薬物を処方する医師又は医療専門家に割り当てられてもよい。次いで、この処方又はこの処方に関する情報は、それぞれ、第1の信号中に格納される。第1の信号は暗号化された信号であってもよく、信号の解読が電子デバイス200のプロセッサ201によって行われもよい。
【0099】
方法はまた、処方を要求するために、第1の要求信号を生成し送信することを含んでもよい。この第1の要求信号は、通信構成要素203によって生成及び/又は送信されてもよい。次いで、要求信号は、クラウドサービス400を介して外部デバイス300に転送されてもよい。
【0100】
通信構成要素202は、薬物送達デバイス100と通信するように構成されてもよい。例えば、通信構成要素202は、近距離無線通信(NFC)構成要素のようなRFID通信構成要素を備える。通信構成要素202は、第2の要求信号を送信し第2の信号を受信するように構成されてもよい。第2の要求信号及び第2の信号は無線伝送された信号であってもよい。第2の信号を受信するため、外部デバイス200のユーザは、外部デバイス200を薬物送達デバイス100の近くに持って来てもよく、次いで、外部デバイスは、第2の要求信号を薬物送達デバイス100に送信してもよく、それに応じて、薬物送達デバイス100、特に薬物送達デバイス100の薬物、又は薬物送達デバイス100が分配すると予測される薬物に関する情報が格納されている第2の信号を受信してもよい。
【0101】
ユーザが薬物送達デバイス100を操作する権限を有すると判定される場合、通信構成要素202は、生成された出力信号を送信するように更に構成されてもよい。
【0102】
誘導充電構成要素204は、特に誘導を介して、薬物送達デバイス100に電気エネルギーを供給するように構成されてもよい。
【0103】
薬物送達デバイス100は、注入デバイス、例えば、自動注入器及び/又は可変用量デバイスであり得る。薬物送達デバイス100は、通信構成要素101を備える。通信構成要素101は、NFC構成要素のようなRFID通信構成要素を備える場合がある。通信構成要素101は、RFIDタグを備える場合がある。通信構成要素101は、特に、電子デバイス200の出力信号を受信するように、及び/又は電子デバイス200の第2の要求信号に影響を及ぼすように、及び/又は電子デバイス200に第2の信号を送信するように構成される。
【0104】
薬物送達デバイス100は、出力信号を受信したときに、その作動状態の変化を可能にするように構成される。この目的のため、薬物送達デバイス100は、この場合、電気機械式アクチュエータ5、制御ユニット43A、及び電池43Bを備える構成を備える。アクチュエータ5は、アクチュエータ5が作動されたときに移動するアクチュエータ要素50を備える。外部デバイス200から薬物送達デバイス100に伝送された電気エネルギーが制御ユニット43A及び/又は電気機械式アクチュエータ5を作動させるのに十分である場合、電池43Bは省略されてもよい。薬物送達デバイス100は、外部デバイス200から伝送されたエネルギーを貯蔵するためのプリチャージコンデンサ43Cを備える。
【0105】
制御ユニット43Aは、薬物送達デバイス100の作動状態を変えるために、アクチュエータ5を作動させるように構成される。例えば、薬物送達デバイス100の作動状態の変化は、薬物用量を分配するための分配プロセス及び/又は薬物用量を設定するための設定プロセスが防止されている状態から、そのようなプロセス(単数又は複数)が可能な状態への変化である。通信構成要素101は、受信した出力信号を制御ユニット43Aに転送するように構成されてもよい。制御ユニット43Aは、例えば、転送された出力信号を受信したときに、薬物送達デバイス100の作動状態を変えるためにアクチュエータ5を作動させるように構成される。さもなければ、アクチュエータ5は作動していないか又は作動可能ではない。特にアクチュエータ5の構成の構造に関する詳細については以下で更に説明される。
【0106】
図2は、薬物送達デバイス100の第2の例示的実施形態を断面図で示す。薬物送達デバイス100は可変用量デバイスであり、分配される薬物の異なる用量がユーザによって設定又はダイヤル調整され得る。薬物送達デバイス100は、ダイヤル伸長ペンである。
【0107】
図2はまた、薬物送達デバイス100の部材又は要素又は特徴の位置を指定するために本明細書で使用される座標系も示す。遠位方向D及び近位方向Pは、長手方向軸線Aに平行に延びている。長手方向軸線Aは、デバイス100の主伸長軸線である。半径方向Rは、長手方向軸線Aに対して垂直であると共に長手方向軸線Aと交差する方向である。角度方向又は回転方向とも称する方位角方向Cは、半径方向R及び長手方向軸線Aに対して垂直な方向である。以下の図では、図の明確さを高めるため、異なる方向及び軸線を示していない。
【0108】
薬物送達デバイス100は、設定機構及び分配機構を有する機構ユニットMUを備える。設定機構は薬物用量を設定するように構成され、分配機構は薬物用量を分配するように構成される。機構の機能的な原理を以下で更に説明する。
【0109】
機構ユニットMUは、内側本体10と、以下では外側本体11とも称するハウジング要素11とを備える。内側本体10及び外側本体11は互いに固定的に接続されている。すなわち、それらは互いに対して回転すること又は軸線方向に移動することができない。外側本体11は、ユーザが接触又は把持できる、薬物送達デバイス100の外面を形成する。
【0110】
薬物送達デバイス100は、キャップ14、及びノブ13の形態のユーザインターフェース部材13を備える。ノブ13は、薬物用量をセットするためにユーザにより作動されるように構成された用量設定部材である。同時に、ノブ13は、薬物用量を分配するために、ユーザにより作動されるように構成された用量分配部材である。
【0111】
リザーバ16及びリザーバホルダ15を備える薬物リザーバユニットRUがキャップ14内に収容されている。リザーバ16内に薬物が充填されている。リザーバ16は、ストッパ17によって近位方向Pに封止されている。
【0112】
薬物リザーバユニットRUは、機構ユニットMUに作動可能に結合又は接続されている。機構ユニットMUは、薬物リザーバ16に作用することより、薬物用量を分配するための分配プロセスを可能にするように構成される。ストッパ17は、薬物用量を分配するため、機構ユニットMUのプランジャロッド29によって遠位方向Dに押し付けられる。機構ユニットMUとリザーバユニットRUとの間の結合は、内側本体10が、スナップ結合又はねじ式接続であり得る接続インターフェースを介して、リザーバホルダ15に結合されることにより実現される。この結合は、可逆的であることが好ましい。例えば、薬物リザーバユニットRUは、この結合によって内側本体10に軸線方向及び回転方向に固定される。
【0113】
機構ユニットMUは、互いに固定的に結合された番号スリーブ26及びダイヤルスリーブ27を更に備える(例えば、それらは互いに対して回転又は軸線方向移動することができない)。ダイヤルスリーブ27は、内側本体10の外ねじに係合する内ねじを備えてもよい。番号スリーブ26の外面上に数字が示され得る。ユーザは、機構ユニットMUのウィンドウ12を通して番号を見ることができる。ウィンドウ12はレンズを備えてもよい。ウィンドウ12は、外側本体11に形成されている。ウィンドウ12に見える番号は、設定された/ダイヤル式でセットされた用量をユーザに示す。以下で更に説明されるように、ダイヤルスリーブ27と内側本体10との間のねじ式結合に起因して、ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26は、薬物用量の設定中及び薬物用量の分配中に本体10、11に対して近位方向に螺旋経路上を移動する。
【0114】
機構ユニットMUは駆動スリーブも備える。駆動スリーブは、遠位駆動スリーブ20、近位駆動スリーブ21、及び遠位駆動スリーブ20を近位駆動スリーブ21に結合する駆動スリーブカプラ22を備える。薬物用量を設定し薬物用量を分配するため、遠位駆動スリーブ20及び近位駆動スリーブ21は、駆動スリーブカプラ22を介して互いに固定的に結合され、その結果、これら要素は互いに対して回転することも軸線方向に移動することもできない。遠位駆動スリーブ20は、プランジャロッド29の外ねじに係合する内ねじを備えてもよい。遠位駆動スリーブ20の外ねじが、最終用量ナット30の内ねじに係合してもよく、その機能は以下で更に説明される。
【0115】
更には、機構ユニットMUは、ノブ13に固定的に結合されたクラッチ28を備え、その結果、薬物用量の設定中及び薬物用量の分配中にクラッチ28及びノブ13は互いに対して回転しない又は軸線方向に移動しない。クラッチ28は、スプライン係合を介して近位駆動スリーブ20に結合される。このスプライン係合は、近位駆動スリーブ21に対するクラッチ28の特定の軸線方向移動を許容できるが、これら2つの要素間での相対的回転を許容しない。
【0116】
クラッチ28と駆動スリーブカプラ22との間に、機構ユニットMUの遠位クリッカ23、近位クリッカ24、及びクラッチばね25が配置される。クラッチばね25は、駆動スリーブカプラ22及び遠位クリッカ23に結合している。遠位クリッカ23は、近位方向Pに近位クリッカ24に当接するように構成される。近位クリッカ24は、近位方向Pにクラッチ28に当接するように構成される。したがって、クラッチばね25は、近位方向Pに、遠位クリッカ23、近位クリッカ24、及びクラッチ28を、駆動スリーブカプラ22に対して付勢するように構成される(より詳細な図について
図15及び
図17も参照)。
【0117】
遠位クリッカ23を近位駆動スリーブ21に恒久的にスプライン接続して、これら2つの要素間の相対的回転が防止されるようにしてもよい。しかしながら、遠位クリッカ23と近位駆動スリーブ21との間で、ある程度の軸線方向移動が許容されてもよい。近位クリッカ24を内側本体10に恒久的にスプライン接続して、これら2つの要素間の相対的回転が防止されるようにしてもよいが、ある程度の相対的軸線方向移動が許容されてもよい。
【0118】
クラッチ28の遠位面及び近位クリッカ24の近位面の両方は、これら2つの面が互いの中に入って係合できるように、歯状であってもよい。更には、近位クリッカ24の遠位面及び遠位クリッカ23の近位面の両方は、これら2つの歯状面が互いの中に入って係合できるように、歯状であってもよい。クラッチの近位面28は歯状、例えば犬歯状であってもよく、ダイヤルスリーブ27の、歯状の、例えば犬歯状の遠位面に係合するように構成されてもよい。
【0119】
図2は、用量がセットされていない場合(0ユニット/0ユニット位置)の薬物送達デバイス100を示す。用量設定は、1の離散的ユニットで、例えば0ユニットから80ユニットまで可能であり得る。ユーザは、所望の薬物用量を設定するため、ノブ13を回転させなければならない。これは、ノブ13を遠位方向Dに押し付けることなく行われる。ノブ13を遠位方向Dに押し付けない限り、クラッチ28を近位方向Pに付勢するか又は少なくともクラッチ28がそれ自体で遠位方向Dに移動することを防止するか、のいずれかであるクラッチばね25に起因して、クラッチ23と駆動スリーブ27との間の犬歯状係合が確立される。クラッチ28とダイヤルスリーブ27との間の犬歯状係合の結果として、2つの要素は互いに回転係止され、その結果、ノブ13を回転させると、ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26も回転する。ダイヤルスリーブ27が内側本体10に対して螺合されているので、ノブ13を回転させると、結果として、ノブ13、クラッチ28、ダイヤルスリーブ27、及び番号スリーブ26が、本体10、11に対して近位方向Pに螺旋経路上を移動する。それにより、ウィンドウ12を通して見える、番号スリーブ26の番号は増加する。
【0120】
近位駆動スリーブ21がクラッチ28にスプライン接続されているので、近位駆動スリーブ21も、そしてそれにより遠位駆動スリーブ20及び駆動スリーブカプラ22も、内側本体10に対して近位方向Pに螺旋経路上を移動する。
【0121】
プランジャロッド29は、互いに重なり合う対向するハンドを有する2つの外ねじを備える。プランジャロッド29は、遠位駆動スリーブ20の内ねじに螺合されている。スレッドは、近位方向Pへの遠位駆動スリーブ20の螺旋状移動中に、プランジャロッド29が回転しないように且つ軸線方向への移動もないように選択される。
【0122】
最終用量ナット30は、内側本体10にスプライン接続されてもよく、したがって内側本体10に対して回転することができない。最終用量ナット30が遠位駆動スリーブ20に螺合していることに起因して、薬物用量の設定中に最終用量ナット30は近位方向Pに移動することを強いられる。最大用量が設定されると(それが1つの薬物設定プロセスに設定されているか、複数の薬物設定プロセスに設定されているかどうかには無関係に、例えば80のユニット)、最終用量ナット30は遠位駆動スリーブ20に対して回転ロックインターフェースを確立し、その結果、最終用量ナット30は遠位駆動スリーブ20に対してもはや回転することができない。この結果として、遠位駆動スリーブ20はもはや回転することができず、更なる薬物用量を設定することはできない。次いで、薬物送達デバイス100は、その初期状態にリセットされる。
【0123】
薬物用量を設定している間、遠位クリッカ23及び近位クリッカ24の互いに向き合う歯状面は互いの上を一定方向にだけ動き、それにより薬物用量が設定されたことをユーザに示すクリック音が生成される。この目的のため、2つの面の歯は浅い三角形として形成されることが好ましく、その結果、クリッカ23と24との間の相対的回転が可能となり、クラッチばね25の僅かな圧縮及び非圧縮の反復につながる。
【0124】
所望の用量が設定された後、ユーザはこの時、設定された薬物用量を分配するために、ノブ13を遠位方向Dに押し付けることができる。これにより、ノブ13に加えられた遠位方向に向いた力は、クラッチ28介してノブ13から近位クリッカ24に、そして遠位クリッカ23に伝達され、この力がクラッチばね25を圧縮する。この時、2つのクリッカ23及び24は互いに押し付け合い、それらの歯状の面が係合する。この時、2つのクリッカ23、24間の相対的回転が防止される。近位クリッカ24が内側本体10にスプライン接続され、遠位クリッカ23が近位駆動スリーブ21にスプライン接続されているので、近位駆動スリーブ21は内側本体10に対して回転することはもはやできない。しかしながら、近位駆動スリーブ21もクラッチ28にスプライン接続されているので、クラッチ28及びノブ13も内側本体10に対して回転することはもはやできない。
【0125】
既に述べたように、遠位方向に向いた力をノブ13に加えると、結果として、クラッチ28がノブ13と共にダイヤルスリーブ27に対して遠位方向Dに僅かに移動して、クラッチばね25が圧縮される。これにより、ダイヤルスリーブ27とクラッチ28との間の犬歯状係合は解除され、その結果、ダイヤルスリーブ27はクラッチ28に回転係止されることがもはやない。したがって、ノブ13が遠位方向Dに押し付けられた場合、ダイヤルスリーブ27は番号スリーブ26と共に内側本体10に対して依然として回転できる。この時、ノブ13が遠位方向Dに移動すると、ダイヤルスリーブ27に接して停止して、ダイヤルスリーブ27も遠位方向Dに移動する。ダイヤルスリーブ27が内側本体10と螺合することに起因して、ダイヤルスリーブ27は番号スリーブ26と共に遠位方向Dに螺旋経路上を移動する。それにより、ウィンドウ12内に見える番号スリーブ26の番号は減少する。
【0126】
同時に、クラッチ28、クリッカ23、24、及び駆動スリーブ20、21、22は、遠位方向Dへの(回転なしの)移動を強制される。プランジャロッド29と遠位駆動スリーブ20との間の螺合により、プランジャロッド29の回転が強制される。次いで、設定された薬物用量を分配するためにストッパ17を遠位方向Dにカートリッジ16の中に押し込むために、プランジャロッド29と内側本体10の内ねじとの間の更なる螺合が、プランジャロッド29の遠位方向への移動を強制し得る。遠位駆動スリーブ20は分配中に回転しないので、最終用量ナット30は、遠位駆動スリーブ20に対するその位置を変えることなく、遠位駆動スリーブ20と共に遠位方向Dに移動する。
【0127】
設定された薬物用量を分配した後であって、且つノブ13がその初期位置に完全に戻ったときに、ノブ13を再び螺旋経路上で回転させて近位方向Pにすることにより、新規の薬物用量が設定され得る。この間、プランジャロッド29はその位置を変えない。プランジャロッド29は、用量を分配する場合にだけ遠位方向Dに移動する。
【0128】
図2に関して説明したように、薬物用量を設定するため並びに薬物用量を分配するため、ノブ13の形態の1つのユーザインターフェース部材が使用される。しかしながら、薬物用量を設定するため及び分配するため、別々のユーザインターフェース部材を使用することも可能である。
【0129】
図3~
図6は、
図2の薬物送達デバイス100を示すが、
図2とは異なる視点で且つより詳細に示す。
図3及び
図5は、一部の詳細をより良好に示すために、薬物送達デバイス100の近位部分だけを示す。
図4及び
図6は、
図3及び
図5の円で囲んだ領域を示す。
【0130】
図3及び
図5から分かるように、ダイヤルスリーブ27は導体経路44を備える。導体経路44は、巻線形又は螺旋形の導体トラックをそれぞれ備え、これは、例えば、ダイヤルスリーブ27の外面上に配置される。螺旋形の導体トラックのピッチは、好ましくは、薬物用量の設定及び分配中にダイヤルスリーブ27が移動する螺旋経路のピッチと同じである。
【0131】
ダイヤルスリーブ27の近位面上に、制御ユニット43A、電池43B、及び通信構成要素101を備える制御システムが配置される。制御ユニット43A、電池43B、及び通信構成要素101は、ダイヤルスリーブ27の近位面上に取り付けされたPCB上に配置されてもよい。制御ユニット43Aは、プロセッサ及び/又はICチップを備えてもよい。制御ユニット43A及び/又は電池43Bは、導体経路44に電気的に接続されてもよい。通信構成要素101は、
図1に関連して説明したものであってもよい。通信構成要素は、制御ユニット43Aに電気的に接続されてもよい。
【0132】
図3及び
図5から分かるように、導体経路44は、実際は2つの部分44A及び44Bを備える。これら2つの部分44A、44Bは、薬物送達デバイス100の異なる要素に割り当てられる。第1の部分44Aは、本体10、11に割り当てられ、本体10、11に固定されている。第2の部分44Bは、ダイヤルスリーブ27に割り当てられ、ダイヤルスリーブ27に固定されて、ダイヤルスリーブ27の移動に常に追随する。したがって、2つの部分44A、44Bは、薬物用量の設定中及び薬物用量の分配中に互いに対して移動する。
【0133】
用量設定中及び用量分配中に、第1の部分44Aと第2の部分44Bとの間の電気接続を常に維持するため、第1の部分44Aは螺旋形の導電経路を備え、2つの部分44A、44Bの間に滑り接触45が実現される。ダイヤルスリーブ27に割り当てられ、用量設定中及び用量分配中にダイヤルスリーブ27が本体10、11に対して移動する螺旋経路と同じピッチを有する、第1の部分44Aの螺旋形の導体トラックを、滑り接触45と組み合わせることで、用量設定中及び用量分配中に2つの部分44A、44Bが常に電気的に接続されることが確実になる。
【0134】
図3及び
図5から分かり、
図4及び
図6から更なる詳細が分かるように、機構ユニットMUは、アクチュエータ要素50を有する電気機械式アクチュエータ5も備える。アクチュエータ要素50は、可撓性アーム50の形態の変位可能な又は移動可能な要素50である。一方の長手方向端部では、可撓性アーム50は、内側本体10に固定されており、アーム50の他方の長手方向端部は、半径方向Rに変位できる自由端である。アーム50は軸線方向に向いている。
【0135】
その自由な長手方向端部では、アーム50は電磁石52を備える(
図6の丸で囲んだ領域をより詳細に示す
図7の詳細図を参照)。電磁石52は、アクチュエータ5が作動されたときに、その磁化の強さを変えるように構成される。電磁石52はまた、外側本体11の磁石51と相互作用するように構成される。磁石51は、電磁石52に対して、軸線方向及び/又は回転方向に重なり合っている。電磁石52を流れる電流を変えることにより、その磁化の強さが変化し、アーム50を第1の位置と第2の位置との間で移動できる。
【0136】
図3及び
図4は、アーム50が第2の位置(機構ユニットMUのロックされていない第1の状態)にある場合を示す。
図5及び
図6は、アーム50が第1の位置(機構ユニットMUのロックされた第2の状態)にある場合を示す。
【0137】
図3~
図6では、番号スリーブ26が複数の凹部54又は溝54を備えることが示され、これは、機構ユニットMUで設定できる、想定される用量ユニットの量、設定値、及びピッチに対応する(例えば24ユニット)。アーム50は、半径方向内向きに向いた突起53を備える。突起53は、番号スリーブ26とアーム50との間の螺旋移動を阻止するために、凹部54内に係合するように構成される。アーム50は内側本体10に回転方向及び軸線方向に固定されているので、この係合は内側本体10に対する番号スリーブ26の螺旋移動を防止することになる。
【0138】
図2に関して説明したように、薬物用量の設定及び分配は番号スリーブ26の螺旋移動に関連付けられる。したがって、アーム50が第1の位置にある場合(
図5及び
図6を参照)、アーム50と番号スリーブ26との間の阻止インターフェースが薬物用量の設定及び分配を防止する。機構ユニットMUの作動状態はロック状態である。アーム50が第2の位置にある場合(
図3及び
図4)、阻止インターフェースが解除され、薬物用量の設定及び分配が可能になり、機構ユニットMUの作動状態はアンロック状態である。
【0139】
図3及び
図5は、アクチュエータ5がどのように作動され得るかを更に示す。導体経路44は、制御ユニット43Aから電磁石52まで導かれる。導体経路44に電流を流すことにより、又は導体経路44における電流を変えることにより、電磁石52の磁化の強さを、磁石51を反発する状態から磁石51を引き付ける状態に変えること、又はこの反対に変えることができる。導体経路44における電流を制御することは、制御ユニット43Aによって行われてもよい。
【0140】
例えば、電子デバイス200からの出力信号が通信構成要素101を介して受信され、制御ユニット43Aに転送されたときに、制御ユニット43Aは、導体経路44における電流を変え、それにより機構ユニットMUの作動状態を変えることにより(ロック状態から非ロック状態に、又はその逆に)、単に作動を可能にするように又は単にアクチュエータ5を作動させるように構成されてもよい。出力信号が受信されない場合、アクチュエータ5の作動は防止される。
【0141】
一例として、
図5及び
図6では、電磁石52及び磁石51が磁気的に相互作用しないように、電磁石52は磁化されていない。可撓性アーム50は、その弛緩状態であり得る第1の位置にある。アクチュエータ5を作動させる場合、電磁石52に電流が供給され、その時、磁石51によって引き付けられる。可撓性アーム50は、半径外向き方向に移動して第2の位置になる(
図3及び
図4)。この第2の位置では、可撓性アーム50は、その第1の位置に向かって予め付勢されている。電磁石52のための電流を除去することによりアクチュエータ5の作動が中断されると、可撓性アームはその第1の位置に自動的に戻る。
【0142】
図7~
図12は、薬物送達デバイス100の第3の例示的実施形態を示す。機能、特に、設定及び分配機構、並びに通信構成要素101に関する機能は、前述した例示的実施形態に関するものと基本的に同じであり得る。しかしながら、用量設定を阻止及び解放するためのアクチュエータ5は異なる。
【0143】
機構ユニットMUは、遠位駆動スリーブ20を部分的に取り囲む、阻止スリーブ58の形の中間要素58を備える。阻止スリーブ58は、半径外向き方向に突出するウェッジ58.1をそれぞれが有する、2本の細長いアームを備える(
図8及び
図11を参照)。遠位駆動スリーブ20は、ランプ20.1を備える。アクチュエータ5は、アクチュエータアームの形のアクチュエータ要素50を備える。アクチュエータアーム50は、アクチュエータ5の電気モータを用いて移動できる。アクチュエータ5は駆動スリーブカプラ22に結合し、アクチュエータアーム50は阻止スリーブ58に係合する。阻止スリーブばね59が、阻止スリーブ58を遠位方向Dに付勢する。
【0144】
図8は、
図7の断面AAで見た図を示す。最終用量ナット30は、その内面上にいくつかの凹部を備える。例えば、凹部の数は、用量設定の一回転における用量ステップの数に等しい又はそれの全部である。
図9は、
図8の断面DDで見た図を示す。
【0145】
図7~
図9は、アクチュエータアーム50が第1の位置にある、薬物送達デバイス100を示す。アクチュエータアーム50は、アクチュエータ5の短い付勢後に、この第1の位置に留まっていてもよい。第1の位置にあるアクチュエータアーム50は、阻止スリーブ58が遠位駆動スリーブ20のランプ20.1を越えて引っ張られているロック位置に、阻止スリーブ58を引っ張っている及び/又は保持している。それにより、ウェッジ58.1が最終用量ナット30の凹部内に係合するように、阻止スリーブ58のアームは半径外向き方向に移動するようにランプ20.1によって強いられている。それにより、最終用量ナット30と阻止スリーブ58との間の相対的回転を阻止する阻止インターフェースが確立される。阻止スリーブ58は、遠位駆動スリーブ20に回転係止される。最終用量ナット30は内側本体10に対して回転することができないので、遠位駆動スリーブ20の回転は、第1の位置にあるアクチュエータアーム50及びロック位置にある阻止スリーブ58により防止される。したがって、薬物用量の設定が防止される。
図7で更に分かるように、阻止スリーブ58がロック位置にあるので、阻止スリーブばね59は圧縮されている。
【0146】
図10及び
図12は、アクチュエータアーム50が第2の位置にある薬物送達デバイス100を示し、アクチュエータアームは、もはや、阻止スリーブ58をそのロック位置に保持していない。
図11は、
図20の断面BBで見た図を示す。
図12は、
図21aの断面CCで見た図を示す。
【0147】
阻止スリーブばね59が阻止スリーブ58を遠位方向Dに押し込んでおり、その結果、阻止スリーブ58のアームは、もはや、ランプ20.1を越えて保持されておらず、半径内向き方向の解放位置にて弛緩することができる。阻止スリーブ58のアームの解放位置では、阻止スリーブ58のウェッジ58.1は、もはや、最終用量ナット30の凹部内で係合しておらず、その結果、阻止インターフェースは解除され、最終用量ナット30に対する駆動スリーブ20の回転が許容される。このように、用量設定が可能になる。
【0148】
図7及び
図10はまた、アクチュエータ5と制御ユニット43A又は電池43Bとの間の電気接続をそれぞれ示す。アクチュエータ5を制御ユニット43A及び/又は電池43Bに接続する導体経路44は、薬物送達デバイス100の異なる要素に割り当てられた3つの部分44A、44B、44Cを備える。制御ユニット43A、電池43B、及び部分44Bは、ノブ13に固定されている。部分44Aは、近位駆動スリーブ21に固定されている。部分44Cは、駆動スリーブカプラ22に固定されている。部分44Aと44Bとの間、及び44Aと44Cとの間の電気接続は、用量調整及び用量分配中に接触部45により維持される。
【0149】
アクチュエータ5の作動は、制御ユニット43Aによって再び制御されてもよい。これは、電子デバイス200の出力信号が通信構成要素101を介して受信されたかどうかに依存して再び行われてもよい。
【0150】
図13及び
図14は、薬物送達デバイス100の第4の例示的実施形態を示す。ここでも、この例示的実施形態は、特に、設定及び分配機構、並びに通信構成要素101に関して、前述の例示的実施形態と基本的に同じ機能を有してもよいが、アクチュエータ5の設計においては前述の例示的実施形態から逸脱している。
【0151】
第4の例示的実施形態では、制御ユニット43A、電池43B、及び通信構成要素101は、ノブ13と共に移動するようにノブ13に結合されている。アクチュエータ5は、ダイヤルスリーブ27に結合されている。アクチュエータ5のアクチュエータ要素50は、例えば、アクチュエータ5によって半径方向に移動できるピンである。
【0152】
図13及び
図14(
図14は、
図13の丸で囲んだ領域を示す)では、アクチュエータ要素50は、外側本体11に係合する第1の位置にある。この係合に起因して、ダイヤルスリーブ27と外側本体11との間の相対的な軸線方向及び回転方向の移動が防止される。その結果、用量設定及び用量分配が防止される。アクチュエータ5が制御ユニット43Aにより作動される場合、アクチュエータ要素50は、外側本体11にもはや係合しない第2の位置に移動することができ、その結果、用量設定及び用量分配が可能になる。
【0153】
ここでも、アクチュエータ5の作動は、電子デバイス200の出力信号が通信構成要素101を介して受信されたかどうかに依存して、制御ユニット43Aによって制御されてもよい。
【0154】
前述した例示的実施形態に関連して記載されるアクチュエータ5の一部又は全てを組み合わせることもできる。
【0155】
「薬物」又は「薬剤」という用語は、本明細書では同義語として使用され、1つ以上の医薬品有効成分又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と、任意選択で薬学的に許容される担体とを含む、医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な意味では、ヒト又は動物に生物学的影響を及ぼす化学構造である。薬理学では、薬物又は薬剤が、疾患の処置、治療、予防、又は診断に使用され、又はそれとは別に、身体的又は精神的健康を向上させるために使用される。薬物又は薬剤は、限られた継続期間にわたって、又は慢性疾患では定期的に使用され得る。
【0156】
以下に説明するように、薬物又は薬剤は、1つ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPI又はその組合せを含むことができる。APIの例としては、分子量が500Da以下である低分子;ポリペプチド、ペプチド、及びタンパク質(例えばホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、及び酵素);炭水化物及び多糖類;並びに核酸、二本鎖又は一本鎖DNA(ネイキッド及びcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNA及びRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、及びオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、又はリポソームなどの分子送達システムに取り込まれ得る。1つ以上の薬物の混合物も企図される。
【0157】
薬物又は薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合された一次パッケージ又は「薬物容器」内に収容され得る。薬物容器は、例えば、1種以上の薬物の貯蔵(例えば、短期又は長期貯蔵)に適したチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、又は他の固体若しくは可撓性容器であり得る。例えば、場合によっては、チャンバは、薬物を少なくとも1日間(例えば、1日~少なくとも30日間)貯蔵するように設計され得る。場合によっては、チャンバは、薬物を約1ヶ月~約2年間貯蔵するように設計され得る。貯蔵は、室温(例えば、約20℃)又は冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行われ得る。場合によっては、薬物容器は、投与される薬学的製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、又は2つの異なる薬物)を各チャンバに1種ずつ個別に貯蔵するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、又はそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内への投薬前及び/又は投薬中に2種以上の成分間の混合を可能にするように構成され得る。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)且つ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合を可能にするように構成され得る。代わりに又は加えて、2つのチャンバは、ヒト又は動物の体内への成分の投薬時に混合を可能にするように構成され得る。
【0158】
本明細書に記載する薬物送達デバイスに含まれる薬物又は薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療及び/又は予防のために使用することができる。障害の例としては、例えば、糖尿病又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症が挙げられる。障害の更なる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は関節リウマチである。API及び薬物の例は、Rote Liste 2014などのハンドブック、例えば、これらに限定されないが、メイングループ12(抗糖尿病薬)又は86(腫瘍薬)、及びMerck Index 第15版に記載されているものがある。
【0159】
1型若しくは2型真正糖尿病又は1型若しくは2型真正糖尿病の合併症の治療及び/又は予防のためのAPIの例としては、インスリン、例えばヒトインスリン、又はインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体若しくはGLP-1受容体作動薬、又はその類似体若しくは誘導体、ジペブチジルペプチターゼ-4(DPP4)阻害薬、又は薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和化合物、又はそれらのあらゆる混合物が挙げられる。本明細書で使用される場合、「類似体」及び「誘導体」という用語は、形式的に天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンのそれから、天然に存在するペプチド内にある少なくとも1つのアミノ酸残基を削除及び/若しくは置換することによって、並びに/又は少なくとも1つのアミノ酸残基を追加することによって導出できる分子構造を有するポリペプチドを指す。追加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード化可能なアミノ酸残基、又はその他の天然に存在する残基か、又は純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであり得る。インスリン類似体は、「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、1つ以上の有機置換基(例えば、脂肪酸)がアミノ酸のうちの1つ以上に結合している、天然のペプチドの構造、例えばヒトインスリンの構造から形式上得ることができる分子構造を有するポリペプチドを指す。任意選択で、天然のペプチド中に見出される1つ以上のアミノ酸は、欠失及び/又はコード化不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換されてもよく、又はコード化不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が天然のペプチドに付加されていてもよい。
【0160】
インスリン類似体の例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルジン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリシン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaで置換され、位置B29においてLysがProで置換され得るヒトインスリン、;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0161】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン及びB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0162】
GLP-1、GLP-1類似体及びGLP-1受容体作動薬の例は、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド)、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(SAR425899)エキセナチド-XTEN及びグルカゴン-Xtenである。
【0163】
オリゴヌクレオチドの例は、例えば:家族性高コレステロール血症の治療用のコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))又はアルポート症候群の治療用のRG012である。
【0164】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0165】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン及びゴセレリン等の脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節性活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストが挙げられる。
【0166】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン若しくはそれらの誘導体又は上記多糖類の硫酸化形態、例えばポリ硫酸化形態及び/又は薬学的に許容されるそれらの塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例には、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例は、Hylan G-F 20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0167】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子又はその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)及びF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化若しくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えばマウス)抗体、又は一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクタ機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体への結合能が低減されているか又は結合能がない。例えば、抗体は、Fcレセプタへの結合を支援しない、例えば、Fcレセプタ結合領域の突然変異若しくは欠失を有するアイソタイプ若しくはサブタイプ、抗体フラグメント又は突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)及び/又はクロスオーバー結合領域配向(CODV)を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質に基づく抗原結合分子も含む。
【0168】
「フラグメント」又は「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖及び/又は軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、そうした切断フラグメントに限定されない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的又は多重特異的な抗体フラグメント、例えば二重特異的、三重特異的、四重特異的及び多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価又は多価抗体フラグメント、例えば2価、3価、4価及び多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディ又はビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体及びVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は、本技術分野において既知である。
【0169】
「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列ではなく、且つ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、本技術分野で既知であるように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、又はCDR内の1つ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0170】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)及び抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0171】
本明細書に記載するいずれのAPIの薬学的に許容される塩も、薬物送達デバイス内の薬物又は薬剤での使用が企図される。薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩である。
【0172】
本発明の完全な範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、配合物、装置、方法、システム、及び実施形態の様々な構成要素の修正(追加及び/又は削除)が行われてもよく、本発明が、そのような修正形態及びそのあらゆる均等物を包含することが、当業者には理解されるであろう。
【0173】
例示的な薬物送達デバイスには、ISO 11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されているような針ベースの注入システムが含まれ得る。ISO 11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注入システムは、複数回用量容器システム及び単回用量(部分的又は完全な排出を伴う)容器システムに大別され得る。容器は、交換可能な容器であってもよく、又は一体化された交換不可能な容器であってもよい。
【0174】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されているように、複数回用量容器システムは、交換可能な容器を備える針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムでは、各容器は、複数の用量を保持し、そのサイズは固定であっても可変であってもよい(ユーザによって事前設定される)。別の複数回用量容器システムには、交換不可能な容器が一体化された針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムでは、各容器は、複数の用量を保持し、そのサイズは固定であっても可変であってもよい(ユーザによって事前設定される)。
【0175】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されているように、単回用量容器システムは、交換可能な容器を備える針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送達可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一の用量を保持し、これにより、送達可能な容量の一部が排出される(部分排出)。ISO 11608-1:2014(E)にもまた記載されているように、単回用量容器システムは、交換不可能な容器が統合された針ベースの注入デバイスを含んでもよい。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送達可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一の用量を保持し、これにより、送達可能な容量の一部が排出される(部分排出)。
【0176】
本明細書に記載する本発明は、例示的実施形態に関連する説明によって限定されるものではない。むしろ、本発明は、任意の新しい特徴及び特に特許請求の範囲内の特徴の任意の組合せを含む特徴の任意の組合せを、上記の特徴又は上記の組合せ自体が特許請求の範囲又は例示的実施形態に明確に記載されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0177】
5 アクチュエータ
10 内側本体
11 外側本体
12 ウィンドウ
13 ノブ
14 キャップ
15 カートリッジホルダ
16 カートリッジ容器
17 ストッパ
20 遠位駆動スリーブ
20.1 ランプ
21 近位駆動スリーブ
22 駆動スリーブカプラ
23 遠位クリッカ
24 近位クリッカ
25 クラッチばね
26 番号スリーブ
27 ダイヤルスリーブ
28 クラッチ
29 プランジャロッド
30 最終用量ナット
43A 制御ユニット
43B 電池
43C コンデンサ
44A 導体経路44の第1の部分
44B 導体経路44の第2の部分
44C 導体経路44の第3の部分
45 滑り接触
50 アクチュエータ要素
51 磁石
52 磁石
53 突出部
54 凹部
58 阻止スリーブ
58.1 ウェッジ
59 阻止スリーブばね
100 薬物送達デバイス
101 通信構成要素
200 電子デバイス
201 プロセッサ
202 通信構成要素
203 通信構成要素
204 充電構成要素
300 外部デバイス
400 クラウドサービス
MU 機構ユニット
RU 薬物リザーバユニット
D 遠位方向
P 近位方向
L 長手方向軸線
R 半径方向
C 方位方向/回転方向/角度方向
【国際調査報告】