(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】薬剤送出デバイス、薬剤リザーバユニット及びセット
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20241106BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
A61M5/315 500
A61M5/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526571
(86)(22)【出願日】2022-11-01
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 EP2022080416
(87)【国際公開番号】W WO2023078860
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・アルト
(72)【発明者】
【氏名】ティム・グラッサー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ヘルマー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ミュッケ
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ノーバー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シャバッハ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ヴィット
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
4C066EE06
4C066HH03
4C066HH13
4C066NN04
4C066QQ22
4C066QQ48
4C066QQ53
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ92
(57)【要約】
薬剤送出デバイス、薬剤リザーバユニット及びセット。少なくとも1つの実施形態では、薬剤送出デバイス(100)は、電気要素(41)を有する機構ユニット(MU)と、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成(5、41A、41B)とを含む。機構ユニットは、薬剤を分注するための分注プロセスを可能にするように構成される。更に、機構ユニットは、機構ユニットと結合されると、電気要素と相互作用し、且つそれにより電気要素の電気的特性を特徴的な方法で変化させる、選択された薬剤リザーバユニット(RU)と動作可能に結合されるように構成される。機構ユニットは、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が防止されるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機構ユニット(MU)であって、
- 電気要素(41)と、
- 前記機構ユニット(MU)の動作状態を変化させるための構成(5、41A、41B)と
を有する機構ユニット(MU)を含む薬剤送出デバイス(100)であって、前記機構ユニット(MU)は、
- 薬剤を分注するための分注プロセスを可能にし、
- 前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記電気要素(41)と相互作用し、且つそれにより前記電気要素(41)の電気的特性を特徴的な方法で変化させる、選択された薬剤リザーバユニット(RU)と動作可能に結合されるように構成され、
- それにより、前記機構ユニット(MU)の前記動作状態を変化させるための前記構成(5、41A、41B)の動作は、前記電気要素(41)の前記電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、防止される、薬剤送出デバイス(100)。
【請求項2】
- 前記動作状態の前記変化は、前記機構ユニット(MU)における機械的変化に関連付けられ、
- 前記動作状態の前記変化は、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注が防止される状態と、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注が可能にされる状態との間の変化である、請求項1に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項3】
- 前記電気要素(41)は、導体経路(41)を含み、
- 前記導体経路(41)は、薬剤リザーバユニット(RU)の少なくとも1つの接触要素(4)に接触するための少なくとも1つの接点(40)を含み、それにより、
- 正しい位置に接触要素(4)を有する選択された薬剤リザーバユニット(RU)が前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記少なくとも1つの接点(40)は、前記接触要素(4)に電気的に接触し、これにより、前記導体経路(41)の前記電気的特性を特徴的な方法で変化させる、請求項1又は2に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項4】
- 前記構成(5、41A、41B)は、電気機械式アクチュエータ(5)を含み、
- 前記動作状態を変化させるための前記構成(5、41A、41B)の動作は、前記アクチュエータ(5)の動作を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項5】
- 選択された薬剤リザーバユニット(RU)が前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記導体経路(41)は、閉じられ、
- 前記閉じられた導体経路(41)は、前記機構ユニット(MU)のアクチュエータ(5)を前記機構ユニット(MU)の制御ユニット(43A)と電気的に接続し、且つ/若しくは前記制御ユニット(43A)を前記機構ユニット(MU)のエネルギー源(43B)と電気的に接続し、且つ/若しくは前記アクチュエータ(5)を前記エネルギー源(43B)と電気的に接続し、及び/又は前記閉じられた導体経路(41)は、前記制御ユニット(43A)の出力インターフェースを前記制御ユニット(43A)の入力インターフェースと電気的に接続する、請求項3又は請求項3に従属する請求項4に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項6】
- 前記導体経路(41)は、互いに対して移動可能に配置され、且つスライド接点(42)によって電気的に接続される少なくとも2つのセクション(41A、41B)を含み、
- 前記2つのセクション(41A、41B)は、互いに対して回転可能及び/又は軸方向に移動可能に配置される、請求項3又は請求項3に従属する請求項4若しくは5のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項7】
- 前記機構ユニット(MU)の動作中、前記導体経路(41)の第1のセクション(41A)は、前記導体経路(41)の第2のセクション(41B)に対してらせん経路上を移動し、
- 前記第1のセクション(41A)は、前記スライド接点(42)を介して前記第2のセクション(41B)に電気的に接続されるらせん導体トラックを含み、
- 前記らせん導体トラックは、前記機構ユニット(MU)の動作中、前記導体経路(41)の前記2つのセクション(41A、41B)が電気的に接続された状態に留まるように、前記らせん経路と同じピッチを有する、請求項6に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項8】
- 前記機構ユニット(MU)は、分注される薬剤用量を設定することを可能にするように構成され、
- 薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注中、前記導体経路(41)の前記2つのセクション(41A、41B)は、互いに対して移動する、請求項7に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項9】
- 前記機構ユニット(MU)は、異なる種類の選択された薬剤リザーバユニット(RU)と結合されるように構成され、各種類の選択された薬剤リザーバユニット(RU)は、
- 前記機構ユニット(MU)の少なくとも1つの電気要素(41)を割り当てられ、
- 前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記少なくとも1つの割り当てられた電気要素(41)の電気的特性を特徴的な方法で変化させ、
- 前記機構ユニット(MU)は、選択された薬剤リザーバユニットの種類に割り当てられた少なくとも1つの電気要素(41)の前記電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、前記機構ユニット(MU)の前記動作状態を変化させるための前記構成(5、41A、41B)の動作が防止されるように構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項10】
- 前記機構ユニット(MU)は、導体経路(41)をそれぞれ有するいくつかの電気要素(41)を含み、及び前記導体経路(41)の各々は、少なくとも1つの種類の選択された薬剤リザーバユニット(RU)に割り当てられ、
- 正しい位置に接触要素(4)を有する選択された薬剤リザーバユニット(RU)が前記機構ユニット(MU)と結合される場合、前記割り当てられた導体経路(41)の電気的特性は、特徴的な方法で変化される、請求項9に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項11】
- 前記機構ユニット(MU)は、薬剤リザーバユニット(RU)のガイド構造(47)と相互作用するための案内構造(46)を含み、それにより、前記薬剤リザーバユニット(RU)を前記機構ユニット(MU)と結合するとき、前記電気要素(41)に対する前記薬剤リザーバユニット(RU)の位置は、前記案内構造(46)と前記ガイド構造(47)との間の前記相互作用によって固定される、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項12】
- 前記機構ユニット(MU)は、外部デバイスと通信するための通信モジュールを更に含み、
- 前記機構ユニット(MU)は、前記外部デバイスからのイネーブル信号が前記通信モジュールを介して受信されない限り、前記機構ユニット(MU)の前記動作状態を変化させるための前記構成の動作が防止されるように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項13】
薬剤送出デバイスのための薬剤リザーバユニット(RU)であって、
- 薬剤が充填された薬剤リザーバ(16)及び/又は薬剤リザーバホルダ(15)、
- 結合要素(4)であって、前記薬剤リザーバユニット(RU)が、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)の前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記結合要素(4)が前記電気要素(41)の電気的特性を特徴的な方法で変化させるように配置される結合要素(4)
を含む薬剤リザーバユニット(RU)。
【請求項14】
- 前記機構ユニット(MU)と結合される、請求項13に記載の薬剤リザーバユニット(RU)
を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載の薬剤送出デバイス(100)と、請求項13に記載の薬剤リザーバユニット(RU)とを含むセット。
【請求項16】
機構ユニット(MU)であって、
- 電気要素(41)と、
- 前記機構ユニット(MU)の動作状態を変化させるための構成(5、41A、41B)と
を有する機構ユニット(MU)を含む薬剤送出デバイス(100)であって、前記機構ユニット(MU)は、
- 薬剤を分注するための分注プロセスを可能にし、
- 選択された薬剤リザーバユニット(RU)であって、前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記選択された薬剤リザーバユニット(RU)に応じて、前記電気要素(41)と相互作用し、且つそれにより前記電気要素(41)の電気的特性を特徴的な方法で変化させる、選択された薬剤リザーバユニット(RU)と動作可能に結合されるように構成され、
- それにより、前記機構ユニット(MU)の前記動作状態を変化させるための前記構成(5、41A、41B)の動作は、前記電気要素(41)の前記電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、防止され、
前記電気要素は、導体経路、センサ及び電気機械式スイッチの1つ以上を含むか又はそれらからなり得る、薬剤送出デバイス(100)。
【請求項17】
- 前記電気要素(41)は、導体経路(41)を含み、
- 前記導体経路(41)は、薬剤リザーバユニット(RU)の少なくとも1つの接触要素(4)に接触するための少なくとも1つの接点(40)を含み、それにより、
- 正しい位置に接触要素(4)を有する選択された薬剤リザーバユニット(RU)が前記機構ユニット(MU)と結合されると、前記少なくとも1つの接点(40)は、前記接触要素(4)に電気的に接触し、これにより、前記導体経路(41)の前記電気的特性を特徴的な方法で変化させる、請求項16に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【請求項18】
- 前記機構ユニット(MU)は、薬剤リザーバユニット(RU)のガイド構造(47)と相互作用するための案内構造(46)を含み、それにより、前記薬剤リザーバユニット(RU)を前記機構ユニット(MU)と結合するとき、前記電気要素(41)に対する前記薬剤リザーバユニット(RU)の位置は、前記案内構造(46)と前記ガイド構造(47)との間の前記相互作用によって固定される、請求項16又は17に記載の薬剤送出デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬剤送出デバイスが提供される。更に、薬剤送出デバイスのための薬剤リザーバユニット並びに薬剤送出デバイス及び薬剤リザーバユニットを含むセットが提供される。
【背景技術】
【0002】
注入の投与は、精神的及び身体的の両方でユーザ及び医療従事者に対していくつかのリスク及び課題を呈するプロセスである。薬剤送出デバイスは、患者にとって自己注入をより容易にすることを目的とし得る。薬剤送出デバイスの安全な動作が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
達成されるべき1つの目的は、改善された薬剤送出デバイス、好ましくはユーザにとって動作及び取り扱いをより安全にする薬剤送出デバイスを提供することである。達成されるべき更なる目的は、そのような薬剤送出デバイスのための薬剤リザーバユニット並びにそのような薬剤送出デバイス及びそのような薬剤リザーバユニットを含むセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的は、とりわけ、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態及び更なる発展形態は、従属請求項の主題であり、以下の説明及び図からも抽出され得る。
【0005】
まず、薬剤送出デバイスが指定される。
【0006】
薬剤送出デバイスは、注入デバイスであり得る。薬剤送出デバイスは、自動注入器、及び/又は可変用量デバイス若しくは固定用量デバイス、及び/又はペン式デバイス、例えばダイヤル式拡張ペンであり得る。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬剤送出デバイスは、機構ユニットを含む。機構ユニットは、薬剤用量を分注するための分注機構及び/又は薬剤用量を設定するための設定機構を含み得る。
【0008】
分注機構及び/又は設定機構は、用量分注又は用量設定中に互いに相互作用する複数の要素を含み得る。例えば、機構ユニットの2つ以上の要素間の結合は、用量設定から用量分注に切り替わるとき又はその逆のときに変化される。例えば、2つ以上の要素は、用量設定中、互いに回転可能に固定されるようにスプライン結合され、用量分注中、これらの要素が互いに対して回転するようにスプライン結合が解除される。
【0009】
例えば、分注機構は、薬剤用量を分注するために薬剤リザーバに作用するように構成されたプランジャロッドを含む。機構ユニットは、用量分注中、プランジャロッドが遠位方向において軸方向に移動するように構成され得る。プランジャロッドは、例えば、駆動要素のような機構ユニットの更なる要素とのねじ式係合により、用量分注中に回転することもできる。例えば、薬剤用量を設定する間、プランジャロッドは、移動しない。
【0010】
分注機構は、薬剤用量を分注するためのエネルギーを提供するためにエネルギー部材も含み得る。エネルギー部材は、プランジャロッドを遠位方向に移動させるためのエネルギーを提供することができる。例えば、エネルギー部材は、圧縮ばね若しくはねじりばねのような駆動ばね又はガスカートリッジ若しくは電気モータである。代わりに、プランジャロッドを移動させるための追加のエネルギー部材は、使用されない。プランジャロッドを移動させて薬剤を分注するために必要な力は、次いで、ユーザによって提供されなければならない場合がある。
【0011】
分注機構は、駆動要素、例えば駆動スリーブを含み得る。駆動スリーブは、プランジャロッドを円周方向に取り囲み得る。駆動要素は、プランジャロッドとねじ式係合され得る。薬剤用量を分注している間、駆動要素は、例えば、回転せずに遠位方向に移動することができ、それによりプランジャロッドを回転させ、遠位方向にも移動させる。
【0012】
設定機構は、設定要素、例えばダイヤルスリーブ及び/又は番号スリーブを含み得る。用量設定中、駆動要素は、設定要素にスプライン結合され得る。例えば、用量設定中、駆動要素及び設定要素は、近位方向に例えばらせん経路上を一緒に移動するが、互いに対して移動しない場合がある。用量分注中、駆動要素と設定要素との間のスプライン結合は、解除され得る。例えば、用量分注中、設定要素は、遠位方向にらせん経路上を戻って移動するが、駆動要素は、回転せずに遠位方向に軸方向に移動するのみである。スプライン結合を実現し、且つ駆動要素と設定要素との間のスプライン結合を解除するために、機構ユニットは、クラッチ、及び/又はクリッカ配置、及び/又はクラッチばねを含み得る。
【0013】
機構ユニットは、薬剤用量を分注するために、ユーザによって動作されるように、例えばユーザによってタッチされるように構成されたユーザインターフェース部材を含み得る。例えば、ユーザインターフェース部材は、ボタン又はノブである。例えば、薬剤用量を分注するために、ユーザインターフェース部材は、ユーザによって遠位方向に押圧されなければならない。このユーザインターフェース部材は、用量分注部材とも呼ばれ得る。
【0014】
機構ユニットは、薬剤用量を設定するために、ユーザによって動作されるように、例えばユーザによってタッチされるように構成されたユーザインターフェース部材も含み得る。例えば、薬剤用量を設定するために、ユーザは、ユーザインターフェース部材を近位方向に回転及び/又は移動させる必要がある。このユーザインターフェース部材は、用量設定部材とも呼ばれ得る。
【0015】
薬剤用量を設定するためのユーザインターフェース部材は、同時に、薬剤用量を分注するためのユーザインターフェース部材であり得る。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、電気要素を含む。電気要素は、特に、意図された動作中に電流又は電気信号が流れる要素である。電気要素は、導体経路、センサ、電気機械式スイッチの1つ以上を含むか又はそれらからなり得る。
【0017】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、機構ユニットの動作状態を変化させるための、特に第1の動作状態から第2の動作状態又はその逆に変化させるための構成を含む。第2の動作状態は、特に、第1の動作状態では無効にされるか又は実行されない、機構ユニットの少なくとも1つの機能が有効にされるか又は実行される状態である。
【0018】
動作状態を変化させるための構成は、互いに相互作用する1つ以上の構成要素を含み得る。例えば、構成は、機械的及び/又は電気的構成要素を含む。一例として、構成は、電気機械式アクチュエータ、制御ユニット、ディスプレイ、エネルギー源の1つ以上を含む。制御ユニットは、プロセッサ、例えばICチップを含み得る。制御ユニットは、マイクロコントローラであり得る。エネルギー源は、バッテリであり得る。構成は、電気要素と恒久的に電気的に接続され得る。
【0019】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、薬剤用量、例えば設定された薬剤用量を分注するための分注プロセスを可能にするように構成される。特に、機構ユニットは、分注プロセス中、薬剤リザーバ、特に薬剤リザーバユニットの薬剤リザーバに作用するように構成され得る。
【0020】
薬剤リザーバは、薬剤を分注するための遠位端を有し得る。遠位端は、針を含む端部であり得るか、又は針と接続される端部であり得る。薬剤リザーバは、近位方向において薬剤リザーバを封止するストッパを含み得る。機構ユニットが薬剤リザーバに作用すると、機構ユニットは、薬剤用量を分注するためにストッパを遠位方向に押圧することができる。例えば、それにより、機構ユニットのプランジャロッドがストッパに当接し、ストッパを遠位方向に押圧する。分注プロセスを実行することは、ユーザに用量分注部材を動作させることを要求する場合がある。
【0021】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、選択された薬剤リザーバユニットと動作可能に結合されるように構成され得る。選択された薬剤リザーバユニットは、薬剤リザーバ及び/又は薬剤リザーバを保持するための薬剤リザーバホルダを含み得るか又はそれらであり得る。薬剤リザーバホルダは、薬剤リザーバが薬剤リザーバホルダに対して移動可能でないように、薬剤リザーバを保持するように構成され得る。選択された薬剤リザーバユニットは、特に、機構ユニットのために特に意図、又は予見、又は選択された薬剤リザーバユニットである。例えば、選択された薬剤リザーバユニットは、正しい位置又は予め定義された位置に電気接触要素を有する薬剤リザーバユニットである。
【0022】
「動作可能に結合される」とは、特に、機構ユニットと薬剤リザーバユニットとがそれぞれ機械的に結合又は接続されること、特に解除可能に結合又は接続されることを意味する。この目的のために、機構ユニットは、機構ユニットと薬剤リザーバユニットとを接続する接続インターフェースを形成するためのインターフェース特徴部を含み得る。インターフェース特徴部は、接続インターフェースを形成するために薬剤リザーバユニットのねじに係合するように構成されたねじを含み得る。代わりに、インターフェース特徴部は、薬剤リザーバユニットとのスナップ接続を確立するように構成され得る。結合されると、薬剤リザーバユニットは、ハウジング要素に対して固定され得、それにより、例えば、薬剤リザーバユニットは、ハウジング要素に対して軸方向に移動可能ではない。追加的に又は代替的に、「動作可能に結合される」とは、機構ユニットと薬剤リザーバユニットとが情報、例えば電気信号又は電流を交換するように結合されることを意味し得る。
【0023】
少なくとも1つの実施形態によれば、選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されると、選択された薬剤リザーバユニットは、電気要素と相互作用する。それにより、選択された薬剤リザーバユニットは、特に電気要素の電気的特性を特徴的な方法で変化させる。選択された薬剤リザーバユニットは、機械的、及び/又は電気的、及び/又は信号的に電気要素と相互作用することができる。電気的特性の変化は、電気要素の電気抵抗、及び/又はキャパシティ、及び/又はインダクタンスの変化であり得る。
【0024】
特徴的な方法での変化とは、特に選択された薬剤リザーバユニットに対して特徴的な変化であることを意味する。例えば、機構ユニットは、選択されていないか又は意図されていない薬剤リザーバユニットと動作可能に結合されるようにも構成され得る。この選択されていない薬剤リザーバユニットは、電気要素と相互作用し、電気要素の電気的特性も変化させる場合がある。しかしながら、この電気的特性の変化は、選択された薬剤リザーバユニットによって誘発される変化と異なる。このようにして、機構ユニットは、選択された薬剤リザーバユニットと選択されていない薬剤リザーバユニットとを区別することができ、且つ/又は選択された薬剤リザーバユニットに結合されたときと選択されていない薬剤リザーバユニットに結合されたときとで異なる反応をするように構成され得る。
【0025】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が防止されるように構成される。例えば、機構ユニットは、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されたとき、動作状態を変化させるための構成の動作を可能にするように、特に動作状態を変化させるための構成の動作のみを可能にするように構成される。動作状態を変化させる構成の動作は、電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されたときに自動的に起こり得る。代わりに、構成の動作の有効化は、外部デバイスからイネーブル信号を受信するような、更なる有効化プロセスの実行を追加的に必要とする場合がある。特に、少なくとも1つの特徴的な方法における電気要素の電気的特性の変化は、構成の動作の前提条件であり得る。
【0026】
機構ユニットは、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されているかどうかを決定し、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されていると決定されない限り又はそのように決定された場合にのみ、それぞれ構成の動作を防止及び/又は有効化するように構成され得る。
【0027】
機構ユニットは、各々が電気要素の電気的特性を異なる特徴的な方法で変化させ得る、異なる種類の選択された/意図された薬剤リザーバユニットに結合されるように構成され得る。従って、電気要素の電気的特性の1つ以上の特徴的な変化が存在し得る。機構ユニットは、次いで、電気要素の電気的特性が特徴的な方法のいずれか1つで変化されない限り、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が防止されるように構成され得る。
【0028】
少なくとも1つの実施形態では、薬剤送出デバイスは、電気要素を有する機構ユニットと、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成とを含む。機構ユニットは、薬剤を分注するための分注プロセスを可能にするように構成される。更に、機構ユニットは、機構ユニットと結合されると、電気要素と相互作用し、且つそれにより電気要素の電気的特性を特徴的な方法で変化させる、選択された薬剤リザーバユニットと動作可能に結合されるように構成される。機構ユニットは、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が防止されるように構成される。
【0029】
本明細書で指定される薬剤送出デバイスでは、とりわけ、薬剤送出デバイスのユーザに対する安全性を高めることが可能である。一例として、ユーザに対して意図された、例えば処方された薬剤を有する薬剤リザーバユニットが機構ユニットに結合される場合にのみ、ユーザは、薬剤送出デバイスを使用することができる。
【0030】
本明細書で指定される薬剤送出デバイスは、細長いものであり得、且つ/又は長手方向軸、例えば主延長軸を含み得る。追加的に又は代替的に、薬剤送出デバイスは、長手方向軸に対して回転対称性を有し得る。長手方向軸に平行な方向を本明細書では軸方向と呼ぶ。例として、薬剤送出デバイスは、円筒形であり得る。
【0031】
更に、薬剤送出デバイスは、人体の皮膚領域に面するように又は人体の皮膚領域に押圧されるように設けられ得る端部、例えば長手方向端部を含み得る。本明細書では、この端部を遠位端と呼ぶ。薬剤又は薬品は、遠位端を介して供給され得る。本明細書では、反対側の端部を近位端と呼ぶ。使用中、近位端は、皮膚領域から離れている。本明細書では、近位端から遠位端に向かう軸方向を遠位方向と呼ぶ。本明細書では、遠位端から近位端に向かう軸方向を近位方向と呼ぶ。本明細書では、薬剤送出デバイスの部材又は要素又は特徴の遠位端は、最も遠位側に位置する部材/要素/特徴の端部であると理解される。
【0032】
従って、本明細書では、部材又は要素又は特徴の近位端は、最も近位側に位置する要素/部材/特徴の端部であると理解される。
【0033】
換言すれば、本明細書では、「遠位側」は、薬剤送出デバイス若しくはその構成要素の分注端の方を向く若しくは指すように配置されているか又は配置されることになり、且つ/又は近位端から離れる方を指し、近位端から離れる方を向くように配置されることになるか若しくは近位端から離れる方を向く方向、端部又は表面を指定するために使用される。他方で、本明細書では、「近位側」は、薬剤送出デバイス又はその構成要素の分注端及び/又は遠位端から離れる方を向く又は指すように配置されているか又は配置されることになる方向、端部又は表面を指定するために使用される。遠位端は、分注端に最も近く及び/又は近位端から最も遠い端部であり得、近位端は、分注端から最も遠い端部であり得る。近位面は、遠位端から離れる方向及び/又は近位端に向かう方向に面することができ、遠位面は、遠位端に向かう方向及び/又は近位端から離れる方向に面することができる。分注端は、例えば、針ユニットが本デバイスに取り付けられているか又は取り付けられる針端であり得る。
【0034】
長手方向軸に垂直であり、且つ/又は長手方向軸と交差する方向を本明細書では半径方向と呼ぶ。半径方向内向きは、長手方向軸の方を向く半径方向である。半径方向外向きは、長手方向軸から離れる方向を向く半径方向である。本明細書では、「角度方向」、「方位方向」又は「回転方向」という用語は、同義語として使用される。そのような方向は、長手方向軸に垂直で半径方向に垂直な方向である。
【0035】
少なくとも1つの実施形態によれば、動作状態の変化は、機構ユニットにおける機械的変化に関連付けられる。例えば、構成が動作状態を変化させると、機構ユニットの要素、例えば構成の要素、例えばアクチュエータのアクチュエータ要素が移動される。
【0036】
機械的な変化に対して追加的に又は代替的に、動作状態の変化は、機構ユニットの電気的な状態における変化であり得る。例えば、構成が動作状態を変化させると、機構ユニットの内部で電気信号が送信され得る。例えば、動作状態を変化させる際、LED又はディスプレイのような発光要素は、変化した方法で動作され得る。
【0037】
少なくとも1つの実施形態によれば、動作状態の変化は、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注が防止される状態(ロック状態)と、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注が可能にされる状態(ロック解除状態)との間の変化である。例えば、電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、用量の設定及び/又は用量の分注が防止される。
【0038】
少なくとも1つの実施形態によれば、電気要素は、導体経路を含む。導体経路は、金属で構成され得る。例えば、第1の導体経路は、選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されない限り、遮断され、すなわち閉じられない。
【0039】
少なくとも1つの実施形態によれば、導体経路は、薬剤リザーバユニットの少なくとも1つの接触要素と接触するための少なくとも1つの接点を含む。接点は、少なくとも機構ユニットが薬剤リザーバユニットに結合されない限り、接点に自由にアクセスできるように配置され得る。接点は、機構ユニットの導電性領域であり得る。接点は、機構ユニットの遠位端に配置され得、且つ/又は遠位方向に面し得る。
【0040】
例えば、導体経路は、接触要素に電気的に接触するための2つの接点を含む。導体経路は、2つの接点間で遮断され得る。2つの接点は、回転方向において互いに離間され得る。2つの接点は、軸方向及び/又は半径方向においてオーバーラップし得るか又は整列され得る。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、正しい位置に接触要素を有する選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されると、少なくとも1つの接点が接触要素に電気的に接触し、これにより、導体経路の電気的特性を特徴的な方法で変化させる。特に、導体経路の電気抵抗は、このように、特徴的な方法で変化され得る。
【0042】
例として、正しい位置に接触要素を有しない選択されていない薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合される場合、導体経路の電気的特性は、特徴的な方法で変化されないか又は全く変化されない。
【0043】
例えば、選択された薬剤リザーバユニットは、少なくとも1つのアクセスポイント、例えば2つのアクセスポイントを有する接触要素を含む。アクセスポイントは、接触要素の導電性領域であり得る。アクセスポイントは、接触要素の端部を構成し得る。アクセスポイントは、接触要素を介して電気的に接続され得る。アクセスポイントは、薬剤リザーバユニットの近位端に配置され得、且つ/又は近位方向に面し得る。選択された薬剤リザーバユニットは、薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されているとき、少なくとも1つの接点に面して接触する少なくとも1つのアクセスポイントを有する接触要素を含み得る。例えば、全てのアクセスポイントは、次いで、機構ユニットの異なる接点に面し、電気的に接触する。例えば、選択された薬剤リザーバユニットのアクセスポイントは、薬剤リザーバユニットと機構ユニットが結合されると、接点とオーバーラップするか又は回転方向に整列される。
【0044】
少なくとも1つの実施形態によれば、電気要素には、センサ、例えば誘導センサ又は容量センサを含む。結合要素、例えば正しい位置にある結合要素を有する選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットに結合されると、これにより、センサのインダクタンス又はキャパシティが特徴的な方法で変化する場合がある。結合要素は、導電性要素、例えば金属要素であり得る。
【0045】
少なくとも1つの実施形態によれば、構成は、電気機械式アクチュエータを含む。アクチュエータは、電気モータ及び/又は電磁石を含み得る。
【0046】
少なくとも1つの実施形態によれば、動作状態を変化させるための構成の動作は、アクチュエータの動作を含む。アクチュエータは、動作されると、アクチュエータのアクチュエータ要素を第1の位置と第2の位置との間で移動させるように構成され得る。
【0047】
電気機械式アクチュエータは、本明細書では、電気信号をアクチュエータ要素の移動に変換するアクチュエータであると理解される。例えば、動作されると、アクチュエータは、アクチュエータ要素を第1の位置から第2の位置に及び/又はその逆に移動させることができる。第1の位置と第2の位置との間の移動は、軸方向及び/又は回転方向及び/又は半径方向の移動であり得る。
【0048】
機構ユニットは、アクチュエータを動作させるための制御ユニットを含み得る。例えば、アクチュエータを動作させるために、制御ユニットは、電気信号を送信する。
【0049】
例えば、アクチュエータを動作させるために、アクチュエータは、電気信号又は電流を供給されなければならない。電気信号/電流が供給されることなく、アクチュエータ要素は、第1の位置に留まることができる。アクチュエータ要素が第2の位置にあり、且つアクチュエータがもはや動作しないか又は電気信号/電流が供給されなくなると、アクチュエータ要素は、第1の位置に自動的に戻る。この目的のために、第2の位置にあるアクチュエータ要素は、第1の位置に向かって予めバイアスされ得る。換言すれば、アクチュエータ要素は、デフォルトで第1の位置にあり、アクチュエータが動作されたときにのみ第1の位置から離れることができる。
【0050】
代わりに、電気信号/電流が供給されることなく、アクチュエータ要素が第2の位置にあり得、且つアクチュエータ要素が第1の位置にあるとき、アクチュエータに電気信号/電流が供給されなくなると、アクチュエータ要素は、第2の位置に自動的に戻ることができる。
【0051】
例えば、機構ユニットは、アクチュエータ要素が第1の位置にあるとき、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注を防止するように構成される。機構ユニットは、アクチュエータ要素が第2の位置にあるとき、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注を可能にするように構成され得る。
【0052】
一例として、機構ユニットは、第1の可動要素と、ハウジング要素などの第2の要素とを含む。用量設定及び/又は用量分注は、第1の方向及び/又は第2の方向における第2の要素に対する第1の可動要素の移動に関連付けられ得る。機構ユニットは、用量設定及び/又は用量分注を防止するために、アクチュエータ要素が第1の位置にあるとき、第1の方向及び/又は第2の方向への第1の可動要素の移動を阻止し、用量設定及び/又は用量分注の前提条件として、アクチュエータ要素が第2の位置にあるとき、第1の方向及び/又は第2の方向への第1の可動要素の移動を許容するように構成され得る。例えば、第1の可動要素は、駆動要素、設定要素、プランジャロッド、用量設定部材、用量分注部材の1つである。
【0053】
本明細書では、特に断りのない限り、部材又は要素又は特徴部の移動は、第2の要素及び/又はハウジング要素に対する移動を特に意味する。
【0054】
少なくとも1つの実施形態によれば、選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されると、導体経路が閉じられる。導体経路を閉じることは、導体経路の電気的特性を特徴的な方法で変化させることである。薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されない場合又は選択されていない薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合される場合、導体経路は、閉じられなくてもよい。第1の導体経路は、特に選択された薬剤リザーバユニットの接触要素によって閉じられ得る。
【0055】
少なくとも1つの実施形態によれば、閉じられた導体経路は、機構ユニットの構成要素、特に構成の構成要素を電気的に接続する。例えば、導体経路が閉じられたときにのみ構成が動作可能であるか又は構成の動作が可能になる。
【0056】
少なくとも1つの実施形態によれば、閉じられた導体経路は、機構ユニットのアクチュエータを機構ユニットの制御ユニットと電気的に接続する。追加的に又は代替的に、閉じられた導体経路は、制御ユニットを機構ユニットのエネルギー源と電気的に接続し、且つ/又はアクチュエータをエネルギー源と電気的に接続し、且つ/又は制御ユニットの出力インターフェースを制御ユニットの入力インターフェースと電気的に接続することができる。例えば、導体経路が閉じられていない場合、前述の構成要素は、電気的に接続されていない場合がある。
【0057】
例として、機構ユニットと選択された薬剤リザーバユニットとの結合により導体経路が閉じられている場合、制御ユニットは、閉じられた導体経路に沿って出力インターフェースを介して試験信号を送信することができる。制御ユニットは、入力インターフェースを介して試験信号を受信するように構成され得る。制御ユニットは、受信した試験信号に基づいて又はそれに応じて、構成、例えばアクチュエータを動作させるように構成され得る。例えば、制御ユニットが試験信号を受信したときにのみ、構成が動作される。
【0058】
別の可能性として、導体経路が閉じられているときにのみ、制御ユニットがエネルギー源に電気的に接続され、そのときにのみエネルギーが供給される。更に別の可能性として、導体経路が閉じられているとき、エネルギー源がアクチュエータに電気的に接続され、その後、アクチュエータは、制御ユニットの追加の動作信号なしで自動的に動作される。
【0059】
少なくとも1つの実施形態によれば、導体経路は、互いに対して移動可能に配置された少なくとも2つのセクションを含む。2つのセクションは、スライド接点によって電気的に接続され得る。
【0060】
少なくとも1つの実施形態によれば、2つのセクションは、互いに対して回転可能及び/又は軸方向に移動可能に配置される。
【0061】
2つのセクションは、機構ユニットの異なる要素に割り当てられ得、例えば機構ユニットの異なる要素上に配置される。異なる要素は、互いに対して移動可能に配置され得る。例えば、異なる要素は、機構ユニットの動作中に互いに対して移動し、それにより、導体経路の2つのセクションも互いに対して移動する。要素が互いに対して移動する間の機構ユニットの動作は、用量設定及び/又は用量分注イベントであり得る。例えば、この動作中、2つのセクションは、互いに対して軸方向及び/又は回転方向に移動する。一例として、第1の導体経路の1つのセクションは、第1の可動要素に割り当てられる。
【0062】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットの動作中、導体経路の第1のセクションは、導体経路の第2のセクションに対してらせん経路上を移動する。
【0063】
少なくとも1つの実施形態によれば、第1のセクションは、らせん導体トラックを含む。らせん導体トラックは、スライド接点を介して第2のセクションに電気的に接続され得る。
【0064】
少なくとも1つの実施形態によれば、らせん導体トラックは、機構ユニットの動作中、導体経路の2つのセクションが電気的に接続された状態に留まるように、らせん経路と同じピッチを有する。
【0065】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、分注される薬剤用量を設定することを可能にするように構成される。例えば、薬剤送出デバイスは、可変用量デバイスであり、異なる薬剤用量がそれぞれユーザによって設定又はダイヤル操作され得る。薬剤用量を設定することは、ユーザにインターフェース部材を動作させることを要求する場合がある。
【0066】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬剤用量の設定及び/又は薬剤用量の分注中、導体経路の2つのセクションは、互いに対して移動する。
【0067】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、異なる種類の選択された薬剤リザーバユニットと結合されるように構成される。選択された薬剤リザーバユニットの各種類には、異なる薬剤が割り当てられ得る。選択された薬剤リザーバユニットについて本明細書で開示される全ての特徴は、選択された薬剤リザーバユニットの各種類についても開示される。
【0068】
少なくとも1つの実施形態によれば、選択された薬剤リザーバユニットの各種類には、機構ユニットの少なくとも1つの電気的要素が割り当てられる。機構ユニットは、各々が選択された薬剤リザーバユニットの異なる種類に割り当てられた複数の電気要素を含み得る。電気要素について開示されている全ての特徴は、他の電気要素についても開示される。
【0069】
例えば、選択された薬剤リザーバユニットの各種類には、1対1ベースで少なくとも1つの電気要素が割り当てられる。代わりに、選択された薬剤リザーバユニットの異なる種類には、少なくとも1つの共通の電気要素が割り当てられ得る。異なる種類の薬剤リザーバユニットに割り当てられた異なる電気要素は、共通の部分、例えば共通の導体経路セクション及び/又は共通の接点を共有し得る。
【0070】
少なくとも1つの実施形態によれば、選択された薬剤リザーバの各種類は、機構ユニットと結合されると、少なくとも1つの割り当てられた電気要素の電気的特性を特徴的な方法で変化させる。
【0071】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、選択された薬剤リザーバユニットの種類に割り当てられた少なくとも1つの電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化されない限り、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が防止されるように構成される。少なくとも1つの電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化された場合、構成の動作が可能になり得る。
【0072】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、導体経路をそれぞれ有するいくつかの電気要素を含む。導体経路の各々は、少なくとも1つの種類の選択された薬剤リザーバユニットに割り当てられ得る。選択された薬剤リザーバユニットの各種類には、1対1ベースで少なくとも1つの導体経路が割り当てられ得る。異なる導体経路は、共通の導体トラックセクションを有し得る。
【0073】
異なる導体経路は、中断され得、導体経路が中断される2つの接点をそれぞれ含み得る。異なる導体経路は、一方の接点(第2の接点)及び関連する導体経路セクションを共有し得る。異なる導体経路は、他方の接点(第1の接点)と関連する導体経路セクションとで異なり得る。例えば、異なる導体経路の第1の接点は、回転方向において互いにオフセット/離間されて配置される。異なる導体経路の第1の接点は、軸方向及び/又は径方向にオーバーラップし得るか又は整列され得る。
【0074】
従って、異なる種類の選択された薬剤リザーバユニットは、例えば、その接触要素の位置、特にそれぞれのアクセスポイントの位置、例えば回転方向におけるオフセットによって互いに異なり得る。
【0075】
少なくとも1つの実施形態によれば、正しい位置に接触要素を有する選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されると、割り当てられた導体経路の電気的特性は、特徴的な方法で変化される。例えば、割り当てられた導体経路が閉じられる。
【0076】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、薬剤リザーバユニットのガイド構造と相互作用するための案内構造を含み、それにより、薬剤リザーバユニットを機構ユニットに結合する際、機構ユニットに対する薬剤リザーバユニットの位置、特に電気要素に対する位置は、案内構造とガイド構造との間の相互作用によって固定される。例えば、リザーバユニットが機構ユニットと結合されると、ガイド構造と案内構造との間の相互作用により、リザーバユニットと電気要素との間の相対回転が防止される。
【0077】
案内構造は、ガイド構造と係合するように構成され得る。例えば、案内構造は、溝を含み、ガイド構造は、リブを含むか又はその逆である。溝とリブとは、軸方向に配向され得る。
【0078】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、外部デバイスと通信するための通信モジュールを更に含む。外部デバイスは、プロセッサを含み得る。例えば、外部デバイスは、コンピュータ又はスマートフォン又はスマートウォッチである。
【0079】
通信モジュールは、制御ユニットと電気的に結合され得る。通信モジュールは、外部デバイスとの無線通信、例えばBluetooth通信のために構成され得る。
【0080】
少なくとも1つの実施形態によれば、機構ユニットは、外部デバイスからのイネーブル信号が通信モジュールを介して受信されない限り、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が防止されるように構成される。通信モジュールは、次いで、制御ユニットにイネーブル信号を送信し、制御ユニットは、イネーブル信号に応じて、構成を動作させるために、例えばアクチュエータを動作させるために動作信号を送信することができる。
【0081】
例えば、少なくとも1つの電気要素の電気的特性が少なくとも1つの特徴的な方法で変化され、且つイネーブル信号が受信された場合にのみ、動作状態を変化させるための構成の動作が可能になるか、又はその場合にのみ、動作状態を変化させるために構成が動作される。
【0082】
例えば、外部デバイスは、最初に、特に薬剤リザーバユニットの薬剤を識別するために、機構ユニットと結合された薬剤リザーバユニットを識別するように使用され得る。この目的のために、薬剤リザーバユニットは、薬剤リザーバユニット又は薬剤リザーバユニットの種類に対して特徴的である、QRコードのようなコードを含み得る。QRコードは、薬剤リザーバユニットを識別するために、外部デバイスで読み取られ得る。次いで、外部デバイスは、薬剤リザーバユニットが、外部デバイスのユーザにとって正しい薬剤リザーバユニットであるかどうか、例えば処方された薬剤を含むかどうかを決定するように構成され得る。そうである場合にのみ、イネーブル信号が外部デバイスによって送信され得る。
【0083】
このようにして、異なる種類の選択された薬剤リザーバユニットに対して予見される1つの機構ユニットを提供することが可能である。しかしながら、選択された薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合され、且つこの選択された薬剤リザーバユニットが本当にユーザに対するものである場合にのみ、機構ユニットの動作状態を変化させるための構成の動作が可能になる。これにより、ユーザに対する安全性を更に高めることができる。
【0084】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬剤送出デバイスは、機構ユニットと結合された薬剤リザーバユニットを含む。薬剤リザーバユニットは、薬剤が充填された薬剤リザーバ及び/又は薬剤リザーバホルダを含み得る。薬剤リザーバユニットは、選択された薬剤リザーバユニットであり得る。
【0085】
次に、指定された薬剤送出デバイスのための薬剤リザーバユニットについて説明する。薬剤リザーバユニットは、特に、本明細書で指定されるような選択された薬剤リザーバユニットであり得る。従って、選択された薬剤リザーバユニットについて開示される全ての特徴は、以下で説明される薬剤リザーバユニットに対しても指定され、その逆も同様である。
【0086】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬剤リザーバユニットは、薬剤が充填された薬剤リザーバを含む。追加的に又は代替的に、薬剤リザーバユニットは、薬剤リザーバを保持するための薬剤リザーバホルダを含み得る。薬剤リザーバホルダは、薬剤リザーバが薬剤リザーバホルダに対して移動可能でないように、薬剤リザーバを保持するように構成され得る。
【0087】
少なくとも1つの実施形態によれば、薬剤リザーバユニットは、結合要素、例えば接触要素を含み、この結合要素は、薬剤リザーバユニットが本明細書に記載の薬剤送出デバイスの機構ユニットと結合されると、電気要素の電気的特性を特徴的な方法で変化させるように配置される。
【0088】
例えば、接触要素の形態の結合要素は、2つのアクセスポイントを含む。2つのアクセスポイントは、薬剤リザーバユニットの近位端に配置され得、且つ/又は近位方向に面し得る。2つのアクセスポイントは、接触要素を介して互いに電気的に接続され得る。薬剤リザーバユニットが機構ユニットと結合されない限り、アクセスポイントは、自由にアクセス可能であり得る。アクセスポイントは、機構ユニットの導体経路を閉じるために、機構ユニットの接点に電気的に接続されるように構成され得る。
【0089】
例えば、アクセスポイントは、回転方向に互いに離間されて配置される。アクセスポイントは、半径方向及び/又は軸方向においてオーバーラップし得るか又は整列され得る。
【0090】
次に、セットが指定される。セットは、本明細書で指定される薬剤送出デバイス及び本明細書で指定される薬剤リザーバユニットを含む。薬剤リザーバユニット及び機構は、互いに結合されても又はされなくてもよい。
【0091】
以下では、本明細書に記載された薬剤送出デバイス、薬剤リザーバユニット及びセットについて、例示的な実施形態に基づいて図面を参照してより詳細に説明する。同じ参照符号は、個々の図における類似の、類似の作用又は同じ要素を示す。しかしながら、含まれるサイズ比は、必ずしも原寸に比例したものではなく、個々の要素は、よりよい理解のために誇張したサイズで示されることがある。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図1】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図2】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図3】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図4】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図5】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図6】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図7】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図8】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図9】薬剤送出デバイスの第1の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図10】薬剤送出デバイスの第2の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図11】薬剤送出デバイスの第2の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図12】薬剤送出デバイスの第2の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図13】薬剤送出デバイスの第2の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図14】薬剤送出デバイスの第3の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図15】薬剤送出デバイスの第3の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図16】薬剤送出デバイスの第3の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図17】薬剤送出デバイスの第3の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図18】薬剤送出デバイスの第4の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図19】薬剤送出デバイスの第4の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図20】薬剤送出デバイスの第4の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図21】薬剤送出デバイスの第4の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図22】薬剤送出デバイスの第5の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図23】薬剤送出デバイスの第5の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図24】薬剤送出デバイスの第5の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図25】薬剤送出デバイスの第5の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図26】薬剤送出デバイスの第6の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図27】薬剤送出デバイスの第6の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図28】薬剤送出デバイスの第6の例示的な実施形態を異なる図で示す。
【
図29】薬剤送出デバイスの例示的な実施形態を断面図で示す。
【
図30】薬剤リザーバユニットの例示的な実施形態をそれぞれ断面図で示す。
【
図31】異なる状態での薬剤送出デバイスの第2の例示的な実施形態の断面を示す。
【
図32】異なる状態での薬剤送出デバイスの第2の例示的な実施形態の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1は、薬剤送出デバイス100の第1の例示的な実施形態を断面図で示す。薬剤送出デバイス100は、可変用量デバイスであり、分注される薬剤の異なる用量がユーザによってそれぞれ設定又はダイヤル操作され得る。薬剤送出デバイスは、ダイヤル式拡張ペンである。
【0094】
図1は、部材又は要素又は特徴部の位置を指定するために本明細書で使用される座標系も示す。遠位方向D及び近位方向Pは、長手方向軸Aに対して平行に延びる。長手方向軸Aは、デバイス100の主延長軸である。半径方向Rは、長手方向軸Aに対して垂直であると共に長手方向軸Aと交差する方向である。角度方向又は回転方向とも呼ばれる方位角方向Cは、半径方向R及び長手方向軸Aに対して垂直な方向である。図の明確さを高めるため、異なる方向及び軸は、以下の図には示されていない。
【0095】
薬剤送出デバイス100は、設定機構及び分注機構を有する機構ユニットMUを含む。設定機構は、薬剤用量を設定するように構成され、分注機構は、薬剤用量を分注するように構成される。以下では、機構の機能的原理を更に説明する。
【0096】
機構ユニットMUは、内側本体10と、以下では外側本体11とも呼ばれるハウジング要素11とを含む。内側本体10及び外側本体11は、互いに固定的に結合され、すなわち互いに対して回転したり軸方向に移動したりすることができない。外側本体11は、ユーザによってタッチ又は把持され得る、薬剤送出デバイス100の外面を形成する。
【0097】
薬剤送出デバイス100は、キャップ14と、ノブ13の形態のユーザインターフェース部材13とを更に含む。ノブ13は、薬剤用量を設定するために、ユーザによって動作されるように構成された用量設定部材である。同時に、ノブ13は、薬剤用量を分注するために、ユーザによって動作されるように構成された用量分注部材である。
【0098】
リザーバ16とリザーバホルダ15とを含む薬剤リザーバユニットRUは、キャップ14内に受容される。薬剤は、リザーバ16内に充填される。リザーバ16は、ストッパ17によって近位方向Pに封止される。
【0099】
薬剤リザーバユニットRUは、それぞれ機構ユニットMUに動作可能に結合又は接続される。機構ユニットMUは、薬剤リザーバ16に作用することにより、薬剤用量を分注するための分注プロセスを可能にするように構成される。薬剤用量を分注するために、ストッパ17は、機構ユニットMUのプランジャロッド29によって遠位方向Dに押圧される。機構ユニットMUとリザーバユニットRUとの間の結合は、スナップ接続又はねじ式接続であり得る接続インターフェースを介して、リザーバホルダ15に内側本体10が結合されることによって実現される。結合は、好ましくは可逆的である。例えば、薬剤リザーバユニットRUは、結合によって内側本体10に軸方向及び回転可能に固定される。
【0100】
機構ユニットMUは、互いに固定的に結合された(例えば、互いに対して回転したり軸方向に移動したりすることができない)番号スリーブ26及びダイヤルスリーブ27を更に含む。ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26は、1つの単体構成要素によって実装され得る。従って、本明細書での番号スリーブに対する言及は、ダイヤルスリーブに対する言及とみなされるべきであり、その逆も同様である。番号スリーブ26は、内側本体10の外側ねじと係合される内側ねじを含み得る。番号スリーブ26の外面上には、例えば現在設定されている用量のサイズを示すのに適した番号が表示され得る。ユーザは、機構ユニットMUの窓12を通して番号を見ることができる。窓12は、レンズで構成され得る。窓12は、外側本体11に形成される。窓12内に見える番号は、設定/ダイヤル操作された用量をユーザに示す。番号スリーブ26と内側本体10との間のねじ式結合により、ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26は、以下で更に説明するように、薬剤用量設定及び薬剤用量分注中、本体10、11に対して近位方向においてらせん経路上を移動される。
【0101】
機構ユニットMUは、駆動スリーブも含む。駆動スリーブは、遠位駆動スリーブ20、近位駆動スリーブ21及び遠位駆動スリーブ20を近位駆動スリーブ21に結合する駆動スリーブカプラ22を含む。薬剤用量設定及び薬剤用量分注のために、遠位駆動スリーブ20及び近位駆動スリーブ21は、駆動スリーブカプラ22を介して互いに固定的に結合され、それにより、用量の設定及び分注中、これらの要素は、互いに対して回転することも軸方向に移動することもできない。遠位駆動スリーブ20は、プランジャロッド29の外側ねじと係合される内側ねじを含み得る。遠位駆動スリーブ20の外側ねじは、最終用量ナット30の内側ねじに係合され得、その機能を以下で更に説明する。遠位駆動スリーブ及び近位駆動スリーブは、例えば、プランジャロッドを初期位置に移動し戻して、機構ユニットMUを新たなリザーバのために再使用するときのリセット操作のために結合解除され得る。例えば、遠位及び近位駆動スリーブの歯を係合から外して移動させることによるリセットのための結合解除により、遠位駆動スリーブが近位駆動スリーブに対して回転することができ、それによりプランジャロッドのその初期位置への移動を可能にすることを達成することができる。従って、薬剤送出デバイスは、再使用可能なデバイスとすることができる。
【0102】
更に、機構ユニットMUは、ノブ13に固定的に結合されたクラッチ28を含み、それにより、薬剤用量設定及び薬剤用量分注中、クラッチ28及びノブ13は、互いに対して回転したり軸方向に移動したりしない。この目的のために、クラッチカプラ31が提供され得る。クラッチカプラ31は、ノブ13とクラッチ28とを互いに好都合に回転的及び/又は軸方向にロックする。クラッチ28及びノブ13は、一体的にも形成され得る。描かれているクラッチカプラ31と異なるクラッチとノブとの間の結合も可能である。クラッチカプラ31は、異なる外径の部分を有する。第1の部分において、クラッチカプラは、クラッチ28に接続又は係合され得る。例えば、クラッチカプラ31の内面は、クラッチ28の外面に沿って延び得る。クラッチ28又はその一部分は、クラッチカプラの第1の部分内に受容され得る。第2の部分は、第1の部分の中央領域において第1の部分から突出し得、且つ/又は近位側、例えばノブの近位端に向かって延び得、第1の部分の外径よりも小さい外径を有する。第2の部分は、ロッドのような構成を有し得る。第2の部分において、クラッチカプラは、ノブ13内及び/又はダイヤルスリーブ27上に提供された要素の開口部を通して延び得る。この要素は、導体キャリア又は回路基板(
図1に図示されておらず、更に後述する要素43Cを参照されたい)であり得るか、又は導体キャリア若しくは回路基板を含み得る。クラッチ28は、スプライン係合を介して近位駆動スリーブ21に結合される。このスプライン係合は、近位駆動スリーブ21に対するクラッチ28の特定の軸方向移動を許容し得るが、これらの2つの要素間の相対回転を許容しない。
【0103】
機構ユニットMUの遠位クリッカ23、近位クリッカ24及びクラッチばね25は、クラッチ28と駆動スリーブカプラ22との間に配置される。クラッチばね25は、駆動スリーブカプラ22及び遠位クリッカ23に結合される。遠位クリッカ23は、近位方向Pにおいて近位クリッカ24に係合するように構成される。遠位クリッカ及び近位クリッカは、歯式インターフェースを介して、例えば、(クリッカ23、24の内側半径又は円周に提供され得る)円周方向に配置された歯の係合可能な組を介して結合されるように構成され得る。歯式インターフェースは、クリッカ23、24がクラッチばね25を介して係合するようにバイアスされた状態で、同時の軸方向変位下で、クリッカの一方の、クリッカの他方に対する回転を可能にすることができる(それにより回転する歯によるクリックノイズを提供する)。近位クリッカ24は、近位方向Pにおいてクラッチ28に対して当接するように構成される。従って、クラッチばね25は、遠位クリッカ23、近位クリッカ24及びクラッチ28を、近位方向Pにおいて駆動スリーブカプラ22に対してバイアスするように構成される。本明細書に記載されるデバイスの機構は、国際公開第2015/028441A1号パンフレットに開示されたデバイスのように動作し、その開示全体は、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。ダイヤルスリーブ及び番号スリーブ並びに機構の残りの部分は、本出願の図面ではわずかに異なって図示されているが、それにもかかわらず、国際公開第2015/028441A1号パンフレットに描写及び/又は記載されているように実施され得る。
【0104】
遠位クリッカ23は、これら2つの要素間の相対回転が防止されるように、近位駆動スリーブ21に恒久的にスプライン結合され得る。しかしながら、遠位クリッカ23と近位駆動スリーブ21との間の特定の軸方向移動は、許容され得る。近位クリッカ24は、これら2つの要素間の相対回転が防止されるように、内側本体10に永久的にスプライン結合され得るが、特定の相対軸方向移動が許容され得る。
【0105】
クラッチ28の遠位面及び近位クリッカ24の近位面は、これら2つの面が互いに係合し得るように、両方とも歯式であり得る。更に、近位クリッカ24の遠位面及び遠位クリッカ23の近位面は、これら2つの歯式面が互いに係合できるように両方とも歯式であり得る。クラッチ28の近位面は、歯式、例えば犬歯式であり得、歯式の、例えば犬歯式のダイヤルスリーブ27の遠位面に係合するように配置され得る。
【0106】
図1は、用量が設定されていないとき(0単位/0単位位置)の薬剤送出デバイス100を示す。用量の設定は、1の離散単位、例えば0~80単位で許容され得る。所望の薬剤用量を設定するために、ユーザは、ノブ13を回転させなければならない。これは、ノブ13を遠位方向Dに押圧することなく行われる。ノブ13を遠位方向Dに押圧しない限り、クラッチばね25がクラッチ28を近位方向Pにバイアスするか、又はクラッチ28がそれ自体で遠位方向Dに移動するのを少なくとも防止するかのいずれかにより、クラッチ28とダイヤルスリーブ27との間の犬歯式係合が確立される。クラッチ28とダイヤルスリーブ27との間の犬歯式係合により、結果として、ノブ13が回転されるとダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26も回転されるように、2つの要素が互いに回転的にロックされる。番号スリーブ26は内側本体10とねじ式係合されているため、ノブ13を回転させることにより、結果として、ノブ13、クラッチ28、ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26が本体10、11に対して近位方向Pにらせん経路を移動する。それにより、窓12を通して見える番号スリーブ26の番号は、例えば、設定された用量が増加するにつれて増加する。
【0107】
近位駆動スリーブ21は、クラッチ28にスプライン結合されるため、近位駆動スリーブ21並びにそれと共に遠位駆動スリーブ20及び駆動スリーブカプラ22も内側本体10に対して近位方向Pにらせん経路上を移動する。
【0108】
プランジャロッド29は、互いにオーバーラップする、対向する手の2つの外側ねじを含む。プランジャロッド29は、遠位駆動スリーブ20の内側ねじとねじ式係合される。ねじは、近位方向Pにおける遠位駆動スリーブ20のらせん移動中、プランジャロッド29が回転せず、軸方向にも移動しないように選択される。
【0109】
最終用量ナット30は、内側本体10にスプライン結合され得、従って内側本体10に対して回転することができない。最終用量ナット30の遠位駆動スリーブ20とのねじ式係合により、最終用量ナット30は、薬剤用量を設定する間に近位方向Pに移動するように強制される。最大用量が設定されると(例えば80単位(1つの薬剤設定プロセスのみで設定されたか、複数の薬剤設定プロセスで設定されたかに関係なく))、最終用量ナット30は、遠位駆動スリーブ20と回転ロックインターフェースを確立し、それにより、最終用量ナット30が遠位駆動スリーブ20に対してもはや回転することができない。この結果、遠位駆動スリーブ20は、もはや回転することができず、それ以上の薬剤用量を設定することができない。薬剤送出デバイス100は、その後、その初期状態にリセットされなければならない。
【0110】
薬剤用量を設定する間、互いに面する遠位クリッカ23と近位クリッカ24との歯式面は互いにラチェットし、それにより薬剤用量が設定されたことをユーザに示すクリック音を生成する。この目的のために、2つの面の歯は、好ましくは、浅い三角形として形成され、それにより、クリッカ23及び24間の相対回転が可能であり、これによりクラッチばね25のわずかな圧縮と伸長が繰り返される。
【0111】
所望の用量が設定された後、ユーザは、ここで、設定された薬剤用量を分注するためにノブ13を遠位方向Dに押圧することができる。それにより、ノブ13に対する遠位方向の力は、ノブ13からクラッチ28を介して近位クリッカ24に伝達され、そこから遠位クリッカ23に伝達され、これがクラッチばね25を圧縮する。2つのクリッカ23及び24は、ここで、互いに押圧され、それらの歯面が係合される。ノブ13が遠位方向に押圧されると、近位クリッカ24は、遠位クリッカ23が既に恒久的にスプライン結合されている近位駆動スリーブ21と好都合にスプライン結合される。従って、ノブ13が押圧されると、近位駆動スリーブ21は、両方のクリッカにスプライン結合され得る。次いで、2つのクリッカ23,24間の相対回転が防止される。近位クリッカ24は内側本体10にスプライン結合され、且つ遠位クリッカ23は近位駆動スリーブ21にスプライン結合されているため、近位駆動スリーブ21は、内側本体10に対してもはや回転できない。しかしながら、近位駆動スリーブ21は、クラッチ28にもスプライン結合されるため、クラッチ28及びノブ13も内側本体10に対してもはや回転できない。
【0112】
ノブ13に加えられる遠位方向に向けられた力により、結果として、クラッチ28がノブ13と共にダイヤルスリーブ27に対して遠位方向Dにわずかに移動し、それにより、既に述べたようにクラッチばね25が圧縮される。それにより、ダイヤルスリーブ27とクラッチ28との間の犬歯式係合が解除され、それにより、ダイヤルスリーブ27は、もはやクラッチ28に対してもはや回転的にロックされない。従って、ノブ13が遠位方向Dに押圧されると、ダイヤルスリーブ27は、番号スリーブ26と共に内側本体10に対して依然として回転することができる。ここでノブ13が遠位方向Dに移動されると、ダイヤルスリーブ27に対するストッパにより、ダイヤルスリーブ27も遠位方向Dに強制的に移動される。番号スリーブ26の内側本体10とのねじ式係合により、ダイヤルスリーブ27は、番号スリーブ26と共に遠位方向Dにらせん経路を移動する。それにより窓12内に見える番号スリーブ26の番号が減少する。
【0113】
同時に、クラッチ28、クリッカ23、24及び駆動スリーブ20、21、22は、遠位方向Dに(回転せずに)強制的に移動される。プランジャロッド29と遠位駆動スリーブ20との間のねじ式係合は、プランジャロッド29を強制的に回転させる。プランジャロッド29と内側本体10の内側ねじとの間の更なるねじ式係合は、次いで、設定された薬剤用量を分注するために、カートリッジ16内部のストッパ17を遠位方向Dに押圧するようにプランジャロッド29も遠位方向に移動するように強制することができる。分注中に遠位駆動スリーブ20は回転しないため、最終用量ナット30は、遠位駆動スリーブ20に対するその位置を変えることなく、遠位駆動スリーブ20と共に遠位方向Dに移動する。
【0114】
設定された薬剤用量を分注した後、ノブ13がその初期位置に完全に戻されたとき、ノブ13を近位方向Pにらせん経路上で再び回転させることにより、新たな薬剤用量を設定することができる。この間、プランジャロッド29は、その位置を変化させない。用量を分注する際にのみ、プランジャロッド29は、遠位方向Dに移動される。
【0115】
図1に関して説明したように、ノブ13の形態の1つのユーザインターフェース部材が、薬剤用量を設定し、且つ薬剤用量を分注するために使用される。しかしながら、薬剤用量の設定及び分注のために、別個のユーザインターフェース部材を使用することも可能である。
【0116】
図2及び
図3は、
図1の薬剤送出デバイス100を示すが、
図1と異なる図であり、より詳細である。
図3は、いくつかの詳細をよりよく説明するために、薬剤送出デバイス100の近位部分のみを示す。見られるように、ダイヤルスリーブ27は、導体経路41、44を含む。導体経路41、44は、それぞれダイヤルスリーブ27の外面に配置された巻回又はらせん導体トラックを含む。らせん導体トラックのピッチは、好ましくは、薬剤用量の設定及び分注中にダイヤルスリーブ27が移動するらせん経路のピッチと同じである。
【0117】
ダイヤルスリーブ27の近位面上には、制御ユニット43A及びバッテリ43Bを含む制御システムが配置される。制御ユニット43A及びバッテリ43Bは、ダイヤルスリーブ27の近位面上に取り付けられたPCB43C(又は導体キャリア)上に配置され得る。制御ユニット43Aは、プロセッサ及び/又はICチップを含み得る。制御ユニット43A及び/又はバッテリ43Bは、導体経路41、44に電気的に接続され得る。要素43A~43Cは、ダイヤルスリーブ27に取り付けられ得る。従って、それらは、用量送出動作中、ノブ13に対して回転することができる。
【0118】
図3に最もよく見られるように、導体経路41は、実際には2つのセクション41A、41Bを含む。これら2つのセクション41A、41Bは、薬剤送出デバイス100の異なる要素に割り当てられる。第1のセクション41Aは、ダイヤルスリーブ27に割り当てられ、ダイヤルスリーブ27の移動に常に追従するようにダイヤルスリーブ27に固定される。第2のセクション41Bは、本体10、11に割り当てられ、本体10、11に固定される。従って、2つのセクション41A、41Bは、薬剤用量設定及び薬剤用量分注中に互いに対して移動する。
【0119】
用量設定及び用量分注中、第1のセクション41Aと第2のセクション41Bとの間の電気的な接続を常に維持するために、2つのセクション41A、41B間にスライド接点42が実現される。このスライド接点42は、
図4及び
図5に最もよく示されている。
図4は、
図3の平面AA上の断面図であり、
図5は、
図4の丸で囲んだ領域を示す詳細図である。
【0120】
ダイヤルスリーブ27に割り当てられて、用量設定及び用量分注中にダイヤルスリーブ27が本体10、11に対して移動するらせん経路と同じピッチを有する第1のセクション41Aのらせん導体トラックは、スライド接点42との組み合わせにより、2つのセクション41A、41Bが用量設定及び用量分注中に常に電気的に接続された状態の維持を確実にする。
【0121】
図2及び
図3に更に見られるように、導体経路41の第2のセクション41Bは、薬剤リザーバユニットRUの接触要素4に電気的に接続するように構成された接点40を含む。接点40は、導電性領域であり、例えば、遠位方向Dに面している。正しい位置に接触要素4を有する、特に正しい位置に接触要素4のアクセスポイントを有する、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに結合されると、接点40は、接触要素4に電気的に接続される。これは、導体経路41の電気的特性、すなわち電気抵抗に影響を及ぼす。この場合、導体経路41は次いで、接触要素4によって閉じられる。接触要素4及び接点40に関する更なる詳細は、
図29及び
図30に関連して説明する。
【0122】
閉じられた導体経路41は、例えば、制御ユニット43Aをバッテリ43Bに電気的に接続することができる。代わりに、制御ユニット43Aは、導体経路41を通して出力インターフェースを介して電気試験信号を送信し、選択された薬剤リザーバユニットRUの接触要素4の助けを借りて導体経路41が閉じられたときにのみ、その試験信号がその入力インターフェースを介して制御ユニット43Aに戻されるように構成され得る。このようにして、正しい位置に接触要素4を有する、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに結合されていることが、機構ユニットMUによって決定され得る。このことは次いで、機構ユニットMUの動作状態の変更を可能にするために使用され、以下で更に説明する。
【0123】
図2、更に詳細には
図6~
図9に見られるように、機構ユニットMUは、アクチュエータ要素50を有する電気機械式アクチュエータ5も含む。アクチュエータ要素50は、フレキシブルアーム50の形態の変位可能又は移動可能な要素50である。一方の長手方向端部において、フレキシブルアーム50は、内側本体10に固定され、アーム50の他方の長手方向端部は、半径方向Rに変位され得る自由端部である。アーム50は、軸方向に配向される。
【0124】
その自由長手方向端部において、アーム50は、電磁石52を含む(
図6の丸で囲んだ領域をより詳細に図示した
図7の詳細図を参照されたい)。電磁石52は、アクチュエータ5が動作されると、その磁化を変化させるように構成される。電磁石52は、外側本体11内の磁石51と相互作用するように構成される。磁石51は、軸方向及び/又は回転方向に電磁石52とオーバーラップしている。電磁石52を流れる電流を変化させることにより、その磁化が変化され、第1の位置と第2の位置との間でアーム50を移動させることができる。
図6及び
図7は、アーム50が第2の位置(ロック解除された、機構ユニットMUの第1の状態)にある場合を示す。
図8及び
図9は、アーム50が第1の位置(ロックされた、機構ユニットMUの第2の状態)にある場合を示す。
【0125】
番号スリーブ26は、機構ユニットMUで設定され得る、可能な用量単位の量、設定位置及びピッチ(例えば24単位)に対応する複数の凹部54又は溝54を含むことが
図6~
図9に示されている。アーム50は、半径方向内向きに向けられた突出部53を含む。突出部53は、番号スリーブ26とアーム50との間のらせん移動を阻止するために凹部54に係合するように構成される。アーム50は、内側本体10に対して回転可能に且つ軸方向に固定されているため、この係合により、内側本体10に対する番号スリーブ26のらせん移動を防止する。
【0126】
図1に関して説明したように、薬剤用量の設定及び分注は、番号スリーブ26のらせん移動と関連付けられる。従って、アーム50が第1の位置にある状態では(
図8及び
図9を参照されたい)、アーム50と番号スリーブ26との間の阻止インターフェースは、薬剤用量の設定及び分注を防止する。機構ユニットMUの動作状態は、ロック状態にある。アーム50が第2の位置にあるとき(
図6及び
図7)、阻止インターフェースが解除され、薬剤用量の設定及び分注が可能になり、機構ユニットMUの動作状態がロック解除状態になる。
【0127】
図6及び
図8は、アクチュエータ5がどのように動作され得るかを更に示す。導体経路44は、制御ユニット43Aから電磁石52に導かれる。導体経路44を通して電流を送るか又は導体経路44内の電流を変化させることにより、電磁石52の磁化を、磁石51を反発する状態から磁石51を引き付ける状態に又はその逆に変化させることができる。導体経路44の電流の制御は、制御ユニット43Aによって行われ得る。例えば、制御ユニット43Aは、上記で説明したように、正しい位置に接触要素4を有する選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUと結合されると、導体経路44内の電流を変化させることによってのみアクチュエータ5を動作し、それにより機構ユニットMUの動作状態を(ロック状態からロック解除状態に又はその逆に)変化させるように構成される。
【0128】
アクチュエータ5を動作させるために制御ユニット43Aを使用する代わりに、電流が電磁石52に伝達されてその磁化が変化させるように導体経路41が閉じられた場合、アクチュエータ5が自動的に動作され、例えば電流が供給されることも可能である。
【0129】
一例として、
図8及び
図9では、電磁石52と磁石51が磁気的に相互作用しないように、電磁石52は、磁化されない。フレキシブルアーム50は、弛緩状態であり得る第1の位置にある。アクチュエータ5を動作させると、電磁石52に電流が供給され、次いで磁石51によって引き付けられる。フレキシブルアーム50は、半径方向外向きに移動して、第2の位置になる(
図6及び
図7)。この第2の位置では、フレキシブルアーム50は、その第1の位置に向かって予めバイアスされている。電磁石52の電流を遮断することによってアクチュエータ5の動作が中断されると、フレキシブルアームは自動的にその第1の位置に戻る。
【0130】
図6~
図9に更に見られるように、制御ユニット43Aから電磁石52までの導体経路44は、薬剤の設定及び分注中に互いに対して移動する2つのセクション44A、44Bを含む。第1のセクション44Aは、内側本体10に割り当てられ、内側本体10に固定される。第2のセクション44Bは、ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26に割り当てられ、薬剤用量の設定及び分注の際にらせん経路上を移動する。導体経路44の2つのセクション44A、44B間の電気的接触を常に有するために、スライド接点45は、2つのセクション44A、44Bを接続する。導体経路44の第1のセクション44Aは、内側本体11に配置されたらせん導体トラックを含み、このらせん導体トラックは、薬剤用量の設定及び分注中にダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26が移動するらせん経路と同じピッチを有する。
【0131】
導体経路41及び導体経路44に対して、同じ導体経路、例えば、同じらせん導体経路を少なくとも部分的に使用することが有利であり得る。この場合、制御ユニット43Aは、アクチュエータ5を動作させるための電流と、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに結合されているかどうかを確認するための電流とを区別するように構成され得る。この区別は、異なる電流の異なる周波数に基づき得る。しかしながら、導体経路41及び44の一方のみを使用するシステムも本開示の範囲内であることに留意されたい。
【0132】
アクチュエータ5の動作は、選択された薬剤リザーバユニットRUを結合させることに加えて又はその代わりに、機構ユニットMUが、スマートフォン又はスマートウォッチのような外部デバイスからイネーブル信号を受信することを必要とする場合がある。この目的のために、機構ユニットMUは、例えば、PCB上に配置される通信モジュールを含み得る。通信モジュールは、Bluetoothモジュールのような無線通信モジュールであり得る。通信モジュールが外部デバイスからイネーブル信号を受信した場合、制御ユニット43Aは、アクチュエータ5を動作させることができるか又はアクチュエータ5の動作を可能にすることができる。例えば、外部デバイスは、まず、例えば薬剤リザーバユニットRU上のQRコードのようなコードを読み取るために使用され得る。次いで、外部デバイスは、読み取られたコードに基づいて、薬剤リザーバユニットRUが本当にユーザに対するものであるかどうかを評価し、次に、アクチュエータ5を動作させるためにイネーブル信号を送信することができる。
【0133】
ダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26が互いに軸方向及び回転方向に都合よく固定されるか又は1つの単体構成要素によって実装され得ることを考慮すると、導体経路41、44又はそのセクションも番号スリーブ26によって含まれ得ることに留意されたい。
【0134】
図10~
図13は、薬剤送出デバイス100の第2の例示的な実施形態を示す。
図11及び
図13は、それぞれ
図10及び
図12の平面AA及びBB上の断面図を示す。この第2の例示的な実施形態の機能性、特に設定及び分注機構に関する機能性は、第1の例示的な実施形態と本質的に同じであり得る。しかしながら、用量設定及び/又は用量分注を阻止するためのアクチュエータ5は、第1の例示的な実施形態のものと異なる。
【0135】
薬剤送出デバイス100の第2の例示的な実施形態では、制御ユニット43A、バッテリ43B及びまたPCBも、薬剤用量の設定及び分注中、ノブ13と共に移動するようにノブ13に結合及び固定される。アクチュエータ5は、楕円ディスク50の形態のアクチュエータ要素50を含む。この楕円ディスク50は、アクチュエータ5の電気モータの助けを借りて回転され得る。電気モータは、制御ユニット43Aに電気的に結合され、それにより、制御ユニット43Aは、楕円ディスク50を回転させるために電気モータを動作させることができる。
【0136】
図10及び
図11は、第1の位置にある楕円ディスク50を示す。この第1の位置では、楕円ディスク50は、それぞれのロック位置にクランプの形態の中間要素55を保持する。クランプ55は、軸方向及び回転方向においてノブ13に固定されているが、半径方向においてノブ13に対して移動可能であるように、ノブ13に結合されている。例えば、クランプ55は、ノブ13において回動可能に懸架される。これは、クランプ55がノブ13に対して回動され得るように、クランプ55を、ジョイント接続部を介してノブ13に接続することによって達成される。
【0137】
楕円ディスク50が第1の位置にあるとき、楕円ディスク50の長手方向両端は、ロック位置にクランプ55を保持する半径方向外向きにクランプ55に当接する。このロック位置では、クランプ55の遠位端は、外側本体11の凹部56内に係合する。これにより、外側本体11に対するノブ13の軸方向移動を防止する阻止インターフェースを形成する。
図1に関連して説明したように、薬剤用量の設定及び分注には、外側本体11に対するノブ13の軸方向移動が必要である。従って、ロック位置に保持されたクランプ55と外側本体11との間に形成された阻止インターフェースは、薬剤用量の設定及び分注を防止する。
【0138】
図12及び
図13では、アクチュエータ5は、楕円ディスク50が第1の位置から、楕円ディスク50がクランプ55をそれぞれのロック位置にもはや保持しない第2の位置に回転させるように動作されている。それにより、機構ユニットMUは、その動作状態をロック状態からロック解除状態に変化させた。これにより、クランプ55がそれらのロック位置から解除位置に移動することが可能になる。クランプ55の移動は、クランプ55が解除位置に向かって予めバイアスされている場合には自動的に起こり得る。クランプ55がロック位置にもはや保持されていない状態で、クランプ55の遠位端と凹部56との間の係合は、阻止インターフェースが解除され、且つそれに応じて、用量設定又は用量分注のための近位方向P及び/又は遠位方向Dへのノブ13の移動がそれぞれ可能になるように、解除され得る。
【0139】
第1の例示的な実施形態に関して、アクチュエータ5の動作は、例えば、正しい位置に接触要素4を有する、選択された薬剤リザーバユニットRUが、導体経路41が閉じられるように機構ユニットMUに結合される場合及び/又は外部デバイスのイネーブル信号が機構ユニットMUによって受信される場合にのみ可能にされ得る。
【0140】
図14~
図17は、薬剤送出デバイス100の第3の例示的な実施形態を示す。ここでもまた、機能性、特に設定及び分注機構に関する機能性は、前に説明した例示的な実施形態と本質的に同じであり得る。しかしながら、用量設定を阻止及び解除するためのアクチュエータ5は異なる。
【0141】
図14は、薬剤送出デバイス100の近位セクションを示し、
図15は、
図14の円形領域をより詳細に示す。この場合のアクチュエータ5は、スピンドルナットの形態のアクチュエータ要素50を含む。アクチュエータ5は、クラッチ28に結合される。アクチュエータ5は、アクチュエータ5の電気モータによって回転可能であるスピンドル57を更に含む。スピンドル57及びスピンドルナット50は、ねじ式係合され、それにより、スピンドル57の回転によってスピンドルナット50がスピンドル57の回転方向に応じて遠位方向D又は近位方向Pへの軸方向の移動をもたらす。
【0142】
図14及び
図15に見られるように、アクチュエータ5は、複数のセクション、図示の実施形態では3つのセクション44A、44B、44Cを含む導体トラック44を介して制御ユニット43Aに電気的に接続される。これらのセクション44A、44B、44Cは、機構ユニットMUの異なる要素に割り当てられる。この場合、第1のセクション44Aは、クラッチ28に割り当てられ、第3のセクション44Cは、制御ユニット43A、PCB43C及び/又はバッテリ43Bに割り当てられる。セクション44Cは、好都合にノブ13内を延びる。セクション44Bは、駆動スリーブ、例えば近位駆動スリーブ21に割り当てられ得る。セクションは、例えば、導体トラック44のセクション間の導電接続を維持しながら接続されたコンポーネントの軸方向及び/又は回転方向の移動を許容するスライド接点によって又は非スライド接点により、接点45によって互いに電気的に接続され得る。セクション44Cは、相対回転を許容し、好ましくは例えばその導体要素又は別個のばね要素の弾性のために、限定された相対軸方向移動、例えばダイヤルスリーブ27を用量送出のためのクラッチ28から回転的に切り離すのに十分な相対軸方向移動を許容するスライド接点45を介してセクション44Bに接続され得る。セクション44Bは、スライド接点45に対するギャップをブリッジする1つ以上のワイヤを含むか又はそれに接続され得る。回転スライド接点45は、クラッチカプラ31の近位面と、制御ユニット又はバッテリ又はPCB又は導体キャリア43Cの遠位面との間に配置され得る。セクション44A及びセクション44Bは、別の接点45、例えばスライド接点(軸方向スライド接点など)又は非スライド接点によって好都合に接続される。接点及びセクションを介して、電流が、アクチュエータ5に伝達され得る。制御ユニット43A、バッテリ43B、PCB43Cは、ノブ13内に配置される。制御ユニット及びバッテリは、本実施形態では、例えば導体キャリア又はPCB43Cをダイヤルスリーブ27に固定することにより、ダイヤルスリーブ27に固定され得る。すなわち、ノブ13は、この実施形態では、バッテリ及び/又は制御ユニットに対して軸方向及び/又は回転方向に移動可能であり、制御ユニット及び/又はバッテリは(PCBと共に)、ノブに対して相対的に回転可能である。ノブ13とダイヤルスリーブ27又はPCB、制御ユニット及び/又はバッテリとの間の相対軸方向移動は、更に上述したように、クラッチを駆動スリーブから回転的に切り離すために使用され得る。相対回転移動は、用量送出動作中に生じ得る。クラッチ28とノブ13との間の結合を提供するために、クラッチカプラは、PCB又は導体キャリア43Cの開口部を通して延びる。導体トラック44のセクション44Bと、駆動スリーブ、例えば近位駆動スリーブ21から近位にオフセットして配置され得る(スライド)接点45との間の導電接続は、クラッチカプラ31の開口部を介して、例えば開口部を通して延びるワイヤによって影響を受け得る。
【0143】
図14及び
図15では、スピンドルナット50は、中間要素24、すなわち近位クリッカ24を遠位方向Dにロック位置まで押圧する第1の位置にある。近位クリッカ24は、それにより、遠位クリッカ23も遠位方向Dに押圧し、これは、全てクラッチばね25の力に抗して起こり、それによりクラッチばね25を圧縮する。この結果、クラッチばね25は遠位クリッカ24を近位方向Pに押圧し、このようにして、遠位クリッカ24及び近位クリッカ25は、互いに押圧される。互いに面するクリッカ23,24の面は歯式であるため、互いに押圧された2つのクリッカ23,24は、互いに回転することができない。更に、近位クリッカ24は、内側本体10にスプライン結合されるため、遠位クリッカ23は、駆動スリーブ21にスプライン結合され、及び駆動スリーブ21は、用量設定中に回転されなければならないため、スピンドルナット50がこの第1の位置にある状態で用量設定が防止される。
【0144】
スピンドルナット50が第1の位置にあるとき及び/又はノブ13が遠位方向Dに押圧されたときに起こるような、近位駆動スリーブ21に対する近位クリッカ24の遠位方向への移動も近位クリッカ24を近位駆動スリーブ21にスプライン結合することができ、これが内側本体10に対する近位駆動スリーブ21の回転を更に防止することがこの時点で強調されるべきである。これは、本明細書に記載される全ての例示的な実施形態において当てはまり得る。
【0145】
図16及び
図17は、スピンドルナット50が近位方向Pに移動されるようにアクチュエータ5が動作された後の第2の位置にあるスピンドルナット50を示す。クラッチばね25は、伸長され、従って、クリッカ23及び24は、互いに対してもはや押圧されず、及び/又は近位クリッカ24は、近位駆動スリーブ21にもはやスプライン結合されない。結果的に、近位駆動スリーブ21の回転及びそれに伴う用量設定は、アクチュエータ5によってもはや防止されない。
【0146】
アクチュエータ5の動作は、制御ユニット43Aによって再び制御され得る。これは、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに結合されているかどうかに依存して且つ/又は外部デバイスのイネーブル信号が受信されているかどうかに依存して再び行われ得る。
【0147】
図18~
図21は、薬剤送出デバイス100の第4の例示的な実施形態を示す。ここでも、機能性、特に設定及び分注機構に関する機能性は、前の例示的な実施形態と本質的に同じであり得る。しかしながら、用量設定を阻止及び解除するためのアクチュエータ5は異なる。
【0148】
機構ユニットMUは、遠位駆動スリーブ20を部分的に取り囲む阻止スリーブ58の形態の中間要素58を含む。阻止スリーブ58は、半径方向外向きに突出するウェッジ58.1を各々有する2つの細長いアームを含む(
図19a及び
図21aを参照されたい)。遠位駆動スリーブ20は、ランプ20.1を含む。アクチュエータ5は、アクチュエータアームの形態のアクチュエータ要素50を含む。アクチュエータアーム50は、アクチュエータ5の電気モータの助けを借りて移動され得る。アクチュエータ5は、駆動スリーブカプラ22に結合され、アクチュエータアーム50は、阻止スリーブ58に係合される。阻止スリーブばね59は、阻止スリーブを遠位方向Dにバイアスする。
【0149】
図19aは、
図18の断面平面AA上の図を示す。最終用量ナット30は、その内面上に複数の凹部を含む。例えば、凹部の数は、1つの用量設定回転における用量ステップ数に等しいか又はその整数分の1である。
図19bは、
図19aの断面平面DD上の図を示す。
【0150】
図18及び
図19は、アクチュエータアーム50が第1の位置にある状態の薬剤送出デバイス100を示す。アクチュエータアーム50は、アクチュエータ5への短時間の通電後もこの第1の位置に留まることができる。第1の位置にあるアクチュエータアーム50は、阻止スリーブ58が遠位駆動スリーブ20のランプ20.1上に引っ張られるロック位置に阻止スリーブ58を引っ張り且つ/又は保持していた。それにより、阻止スリーブ58のアームは、ランプ20.1によって半径方向外向きに移動するように強制され、それにより、ウェッジ58.1が最終用量ナット30の凹部に係合する。それにより、最終用量ナット30と阻止スリーブ58との間の相対回転を阻止する阻止インターフェースが確立される。阻止スリーブ58は、遠位駆動スリーブ20に回転可能にロックされる。最終用量ナット30は、内側本体10に対して回転できないため、アクチュエータアーム50が第1の位置にあり、且つ阻止スリーブ58がロック位置にある状態で、遠位駆動スリーブ20の回転が防止される。従って、薬剤用量の設定が防止される。
図18に更に見られるように、阻止スリーブ58がロック位置にある状態で、阻止スリーブばね59が圧縮される。
【0151】
図20及び
図21は、アクチュエータアーム50が阻止スリーブ58をそのロック位置にもはや保持しない第2の位置にある、薬剤送出デバイス100を示す。
図21aは、
図20の断面BB上の図である。
図21bは、
図21aの断面面CC上の図である。
【0152】
阻止スリーブばね59は、阻止スリーブ58を遠位方向Dに押圧しており、それにより、阻止スリーブ58のアームは、ランプ20.1上にもはや保持されず、半径方向内向きに弛緩して解除位置になることができる。阻止スリーブ58のアームの解除位置では、阻止スリーブ58のウェッジ58.1は、最終用量ナット30の凹部にもはや係合せず、それにより、阻止インターフェースが解除され、最終用量ナット30に対する駆動スリーブ20の回転が許容される。このようにして、用量設定が可能になる。
【0153】
図18及び
図20は、それぞれアクチュエータ5と制御ユニット43A又はバッテリ43Bとの間の電気的な接続も示す。アクチュエータ5を制御ユニット43A及び/又はバッテリ43Bと接続する導体経路44は、薬剤送出デバイス100の異なる要素に割り当てられている3つのセクション44A、44B、44Cを含む。制御ユニット43A、バッテリ43B及びセクション44Bは、ノブ13に配置され、且つ/又は導体キャリア43C若しくはPCBに接続される。セクション44Aは、近位駆動スリーブ21に固定される。セクション44Cは、駆動スリーブカプラ22に固定される。セクション44Aと44B及び44Aと44Cとの間の電気的な接続は、
図14~
図17に関連して上記で更に説明したように、接点45、例えばスライド接点又は非スライド接点によって用量ダイヤル及び/又は用量分注中に維持される。制御ユニット及びバッテリは、例えばキャリア/PCB43Cを介して、
図14~
図17のコンテキストで上述したように、この実施形態ではダイヤルスリーブ27に固定され得る。
【0154】
アクチュエータ5の動作は、制御ユニット43Aによって再び制御され得る。これは、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUと結合されているかどうかに依存して且つ/又は外部デバイスのイネーブル信号が受信されているかどうかに依存して再び行われ得る。
【0155】
図22~
図25は、薬剤送出デバイス100の第5の例示的な実施形態を示す。機能性、特に設定及び分注機構に関する機能性は、前の例示的な実施形態と本質的に同じであり得る。しかしながら、アクチュエータ5は異なる。
【0156】
第5の例示的実施形態では、アクチュエータ5は、第1の例示的実施形態のアクチュエータ5と同様である。ここでもまた、アクチュエータ5は、1つの長手方向端部が外側本体11に固定され、且つ1つの自由長手方向端部を有するフレキシブルアームの形態のアクチュエータ要素50を含む。磁石51は、アーム50の長手方向自由端部に配置されている。電磁石52は、外側本体11に結合され、アーム50の磁石51と相互作用するように構成される。
【0157】
第1の例示的な実施形態のアクチュエータ5との1つの相違点は、第5の例示的な実施形態によるアーム50が軸方向の代わりに円周方向に配向されることである。例えば、アーム50は、少なくとも90°又は少なくとも150°にわたって延びる。更なる相違点は、電磁石52がアーム50に配置されず、外側本体11に固定されることである。しかしながら、電磁石52がアーム50に結合され、且つ磁石51が外側本体11に割り当てられた配置も考えられる。
【0158】
図22及び
図23は、アーム50が第1の位置にある状態の薬剤送出デバイス100を示す。
図23は、
図22の断面平面BB上の図である。第1の位置では、アーム50の半径方向内向きの突出部53は、番号スリーブ26の凹部54に係合する。番号スリーブ26の凹部54は、機構ユニットMUで設定され得る、可能な用量単位の量及びピッチに対応する。アーム50は、その弛緩状態にあり得、且つ/又は磁石51、52間の反発相互作用により第1の位置に保持され得る。アーム50が番号スリーブ26と係合する第1の位置にある状態では、番号スリーブ26と外側本体11との間の相対回転が阻止され、それにより、用量設定及び/又は用量分注が防止される。
【0159】
図24及び
図25は、
図22及び
図23と同じ図では
図22及び
図23の薬剤送出デバイス100を示すが、ここではアーム50が第2の位置にある。アーム50は、電磁石52の磁化が変化されるようにアクチュエータ5を動作させる際、この第2の位置に移動することができる。例えば、電磁石52の磁化は、ここでは2つの磁石51、52が互いに引き付けるように変化され、それにより、アーム50は、磁石51、52間の引き付け力によって半径方向外向きに移動される。それにより、突出部53と凹部54との間の係合が解除され、番号スリーブ26は、外側本体11に対する回転をもはや防止されない。従って、用量設定及び/又は用量分注が可能になる。
【0160】
図22及び
図24は、制御ユニット43A及び/又はバッテリ43Bから電磁石52への導体経路44の設計も示す。第1の例示的な実施形態と同様に、制御ユニット43A、バッテリ43B及びPCBは、ダイヤルスリーブ27に固定される。導体経路44は、用量設定及び用量分注中に互いに対して移動可能であり、且つスライド接点45を介して電気的に接続される2つのセクション44A及び44Bを含む。導体経路44の第1のセクション44Aは、用量設定及び/又は用量分注中にダイヤルスリーブ27及び番号スリーブ26が移動するらせん経路と同じピッチを有するらせん導体トラックを含む。
【0161】
アクチュエータ5の動作は、制御ユニット43Aによって再び制御され得る。これは、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUと結合されているかどうかに依存して、且つ/又は外部デバイスのイネーブル信号が受信されているかどうかに依存して再び行われ得る。
【0162】
図26~
図28は、薬剤送出デバイス100の第6の例示的な実施形態を示す。ここでも、この例示的な実施形態は、特に設定及び分注機構に関して、前の例示的な実施形態と本質的に同じ機能性を有し得るが、アクチュエータ5の設計において前の例示的な実施形態から逸脱する。
【0163】
第6の例示的な実施形態では、制御ユニット43A及び/又はバッテリ43Bは、ノブ13と一緒に移動するようにノブ13に結合される。アクチュエータ5は、ノブ13の一部でもある。アクチュエータ5のアクチュエータ要素50は、例えば、アクチュエータ5によって半径方向に移動され得るピンである。
【0164】
図26では、ピン50は、ダイヤルスリーブ27の凹部54、特にリング溝54に係合する第1の位置にある(
図28も参照されたい)。この係合により、ノブ13とダイヤルスリーブ27との間の相対軸方向移動が防止される。結果的に、クラッチ28とダイヤルスリーブ27との間のスプラインインターフェースが解除され得ないため、用量分注が防止される。
【0165】
図27は、ピン50が凹部54にもはや係合しない第2の位置にある状態の、ピン50を有する薬剤送出デバイス100を示す。ノブ13とダイヤルスリーブ27との間の相対軸方向移動及び回転移動が許容され、従って用量分注が可能になる。
【0166】
図28では、ノブ13が遠位方向に押圧された状態の構成が示されている。ノブ13は、ダイヤルスリーブ27に対して遠位方向Dにわずかに移動しており、これがクラッチ28とダイヤルスリーブ27との間のスプラインインターフェースを解除するため、薬剤分注に必要である。
【0167】
ここでもまた、アクチュエータ5の動作は、制御ユニット43Aによって制御され得る。これは、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUと結合されているかどうかに依存して且つ/又は外部デバイスのイネーブル信号が受信されているかどうかに依存して再び行われ得る。
【0168】
第1~第6の例示的な実施形態に関連して説明したアクチュエータ5の一部又は全ても組み合わされ得る。
【0169】
図29は、それぞれ薬剤送出デバイス100又は機構ユニットMUの例示的な実施形態を示す。示されているのは、長手方向軸に対して垂直に走る平面上の断面図である。
図29は、第1~第6の例示的の実施形態のいずれか1つを示し得る。
【0170】
機構ユニットMUは、3つの異なる種類の選択された薬剤リザーバユニットRUと結合されるように構成され、選択された薬剤リザーバユニットRUがそれに結合されない限り、アクチュエータ5の動作を防止し、且つ/又は3つの選択された薬剤リザーバユニットRUのいずれか1つがそれに結合された場合にアクチュエータ5の動作を可能にする。この目的のために、機構ユニットは、各々が第1の接点40.1及び第2の接点40.2を有する、3つの異なる導体経路41を含む。第2の接点40.2(
図29の下側のもの)及び関連する導体経路セクションは、3つの全ての導体経路41に対して同じである。異なる導体経路41の第1の接点40.1(
図29の上側のもの)及び関連する導体経路セクションは異なる。特に、異なる導体経路41の第1の接点40.1は、回転方向において互いに対してオフセットされているが、半径方向及び軸方向においてオーバーラップしている。
【0171】
接触要素4を有する、特にアクセスポイント4.1、4.2を有する、選択された薬剤リザーバユニットRUが正しい位置(
図30を参照されたい)で機構ユニットMUと結合された場合、3つの導体経路41の1つが閉じられ、これは、例えば、第1の例示的な実施形態に関連して説明したように、機構ユニットMUの制御ユニット43Aによって認識され得る。次いで、制御ユニット43Aは、機構ユニットMUの動作状態を、例えば、用量設定及び/又は用量分注が防止されるロック状態から、用量設定及び/又は用量分注が可能にされるロック解除状態に変化させるために、機構ユニットMUのアクチュエータ5を動作させることができる。
【0172】
接触要素4が正しい位置にない薬剤リザーバユニットが機構ユニットMUと結合された場合、動作状態の変化は防止され得ない。
【0173】
異なる種類の選択された薬剤リザーバユニットRUのための複数の導体経路41及び関連する接点40を含む機構ユニットMUの構造は、前に説明した例示的な実施形態の全てにおいて実現され得ることが強調されるべきである。
【0174】
図30は、
図29の機構ユニットMUのための3つの異なる種類の選択された薬剤リザーバユニットRUの例示的な実施形態の断面図を示す。3つの選択された薬剤リザーバユニットRUの各々は、異なる位置に接触要素4を有し、特に異なる位置に接触要素4のアクセスポイント4.1、4.2を有する。各接触要素4の第2のアクセスポイント4.2は、常に同じ位置にあるが、接触要素4の第1のアクセスポイント4.1は、異なる位置、特に異なる角度位置にある。薬剤リザーバユニットRUのアクセスポイント4.1、4.2は、接触要素4を介して電気的に接続され得る。
【0175】
選択された薬剤リザーバユニットRUのアクセスポイント4.1、4.2の位置は、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに結合されると、この導体経路41が薬剤リザーバユニットRUの接触要素4を介して閉じられるように、1つの導体経路41の接点40.1、40.2の位置と一致する。
【0176】
選択された薬剤リザーバユニットRUを機構ユニットMUと結合する際、薬剤リザーバユニットRUの配向、特に回転方向が正しいことを確実にするために、機構ユニットMUは、薬剤リザーバユニットRUのガイドリブの形態のガイド構造47と係合するように構成されたガイド溝の形態の案内構造46(
図29を参照されたい)を含む。これにより、選択された薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに結合されると、アクセスポイント4.1、4.2が関連する接点40.1、40.2に常に接触することを確実にする。
【0177】
図31及び
図32は、それぞれ
図12及び
図10の丸で囲んだ領域をより詳細に示す。これらの図は、薬剤用量が設定されているが、完全に分注されていないとき、薬剤リザーバユニットRUを機構ユニットMUから切り離したり分離したりすることを防止するように構成されたロック機構6の機能的原理を示す。
【0178】
内側本体10は、例えば、内側ねじ70の形態のインターフェース特徴部70を含む。薬剤リザーバユニットRU、この場合、薬剤リザーバユニットRUのリザーバホルダ15は、例えば、外側ねじの形態のインターフェース特徴部71を含む。この2つのねじ70、71が係合され得、それによりねじインターフェースの形態の接続インターフェース7を確立し、これを介して薬剤リザーバユニットRUが機構ユニットMUに解除可能に接続される。接続及び接続インターフェース7を解除するために、薬剤リザーバユニットRUを本体10、11に対して近位方向P又は遠位方向Dに回転及び/又は移動させる必要がある場合がある。
【0179】
しかしながら、
図31では、接続インターフェース7の解除は、ロック機構6がロック状態にあることによって防止される。ロック機構6は、リザーバホルダ15と係合するロック位置にある結合要素60を含む。結合要素60は、リザーバホルダ15の結合特徴部、すなわち凹部又は溝に係合する、その遠位端において突出部の形態の結合特徴部を含む。この係合により、薬剤リザーバユニットRUが本体10、11に対して軸方向に、任意選択的に回転方向にも移動され得ることが防止し、それにより接続インターフェース7の開放が防止される。
【0180】
結合要素60は、内側本体10とのジョイント接続部61を介して、機構ユニットMUにおいて回動可能に懸架される。このジョイント接続部61により、結合要素60は、
図31のロック位置から
図32に示される解除位置に回動され得る。
【0181】
結合要素60は、細長い要素であり、基本的に軸方向に走る主セクション及び主セクションに対して垂直に、且つ結合要素60が回転可能である回転軸に対して走る更なるセクション62を有する。結合要素60は、ロック機構6の一部を構成し、且つ用量設定及び用量分注中に軸方向に移動する番号スリーブ26が、第1の位置(
図32を参照されたい)に到達したとき、結合要素60上にトルクを作用させるために、ジョイント接続部61から半径方向にオフセットされた結合要素60にヒットすることができるように配置される。このトルクにより、結合要素60は、ロック位置から
図32のリリース位置に移動される。これは、レバレッジ効果を介して純粋に機械的に起こる。
【0182】
図32に見られるように、番号スリーブ26が第1の位置にあり、且つそれに応じて結合要素60が解除位置にあるとき、結合要素60は薬剤リザーバユニットRUともはや係合されず、接続インターフェース7の解除が可能になる。ロック機構6のこの状態は、解除状態と呼ばれる。ユーザはここで、例えば薬剤リザーバユニットRUを交換するために、薬剤リザーバユニットRUを機構ユニットMUから分離することができる。例えば、用量設定中、番号スリーブ26が近位方向Pに移動されると、結合要素60は、自動的にそのロック位置に戻り、接続インターフェース7の解除が再び防止される。
【0183】
図31及び
図32に関連して説明したロック機構6は、薬剤用量が設定されたときにユーザが薬剤リザーバユニットRUを変化させることを防止するために特に有用である。言及したように、薬剤用量の設定は、近位方向Pにおける番号スリーブ26の移動と関連付けられる。このロック機構6は、本明細書で説明する薬剤送出デバイスの例示的な実施形態のいずれにおいても使用され得る。
【0184】
本開示で提案される概念、例えば用量の設定及び/又は分注を阻止するための概念又は残りの概念は、例えば、
図1及び関連する実施形態に関連して最も詳細に上述したデバイスアーキテクチャに適用されるだけでなく、他の薬剤送出デバイスにも適用され得る。特に、現在提案されている概念の1つ以上は、例えば、その[00237]に記載されている機能を実施するために、国際公開第2021/059202A1パンフレットに開示されているデバイス又は請求項1を参照する欧州特許第3 049 132 B1号明細書に開示されているデバイスに適用され得る。
【0185】
「薬剤」又は「薬品」という用語は、本明細書では同義語として使用され、1つ以上の医薬品有効成分又は薬学的に許容されるその塩若しくは溶媒和物と、場合により、薬学的に許容される担体とを含む医薬製剤を示す。医薬品有効成分(「API」)とは、最も広範な意味では、ヒト又は動物に生物学的影響を及ぼす化学構造である。薬理学では、薬剤又は薬品は、疾患の処置、治療、予防若しくは診断に使用されるか、又はそれとは別に身体的若しくは精神的健康を向上させるために使用される。薬剤又は薬品は、限られた継続期間にわたって又は慢性疾患では定期的に使用され得る。
【0186】
以下に説明するように、薬剤又は薬品は、1つ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPI又はその組合せを含むことができる。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド及びタンパク質(例えば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント及び酵素)、炭水化物及び多糖並びに核酸、二本鎖又は一本鎖DNA(ネイキッド及びcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNA及びRNAなどのアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子及びオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド又はリポソームなどの分子送出システムに取り込まれ得る。1つ以上の薬剤の混合物も企図される。
【0187】
薬剤又は薬品は、薬剤送出デバイスでの使用に適合された一次パッケージ又は「薬剤容器」内に収容され得る。薬剤容器は、例えば、1つ以上の薬剤の貯蔵(例えば、短期又は長期貯蔵)に適したチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ又は他の固体若しくは可撓性容器であり得る。例えば、ある場合には、チャンバは、薬剤を少なくとも1日(例えば、1日~少なくとも30日)貯蔵するように設計され得る。ある場合には、チャンバは、薬剤を約1ヶ月~約2年間貯蔵するように設計され得る。貯蔵は、室温(例えば、約20℃)又は冷蔵温度(例えば、約-4℃~約4℃)で行われ得る。いくつかの場合、薬剤容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤又は2つの異なる薬剤)を各チャンバに1つずつ個別に貯蔵するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか又はそれを含み得る。かかる場合、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体若しくは動物体への投薬前及び/又は投薬中に2つ以上の成分間の混合を可能にするように構成され得る。例えば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(例えば、2つのチャンバ間の導管を介して)且つ必要に応じて投薬前にユーザによる2つの成分の混合を可能にするように構成され得る。代替的に又は加えて、2つのチャンバは、人体又は動物体への成分の投薬時に混合を可能にするように構成され得る。
【0188】
本明細書に記載する薬剤送出デバイスに含まれる薬剤又は薬品は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療及び/又は予防のために使用することができる。障害の例としては、例えば、糖尿病又は糖尿病に伴う合併症例えば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害例えば深部静脈血栓塞栓症又は肺血栓塞栓症が挙げられる。障害の更なる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症及び/又は関節リウマチである。API及び薬剤の例は、Rote Liste 2014等のハンドブック、例えば、これらに限定されないが、メイングループ12(抗糖尿病薬)又は86(腫瘍薬)及びメルクインデックス第15版に記載されているものである。
【0189】
1型若しくは2型真正糖尿病又は1型若しくは2型真正糖尿病の合併症の治療及び/又は予防のためのAPIの例には、インスリン、例えばヒトインスリン又はインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体若しくはGLP-1受容体作動薬又はその類似体若しくは誘導体、ジペブチジルペプチターゼ-4(DPP4)阻害薬又は薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和化合物或いはそれらのあらゆる混合物が含まれる。本明細書で使用される限り、「類似体」及び「誘導体」という用語は、形式的に天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンのそれから、天然に存在するペプチド内にある少なくとも1つのアミノ酸残基を削除及び/若しくは置換し、且つ/又は少なくとも1つのアミノ酸残基を追加することによって導出できる分子構造を有するポリペプチドを指す。追加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード化可能なアミノ酸残基若しくは他の天然に存在する残基又は純粋な合成アミノ酸残基のいずれかであり得る。インスリン類似体は、「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、1つ又は複数の有機置換基(例えば、脂肪酸)がアミノ酸の1つ又は複数に結合している、天然のペプチドの構造、例えばヒトインスリンの構造から形式上得ることができる分子構造を有するポリペプチドを指す。任意選択的に、天然のペプチド中に見出される1つ又は複数のアミノ酸は、欠失及び/又はコード不可能なアミノ酸を含む他のアミノ酸によって置換され得るか、又はコード不可能なアミノ酸を含むアミノ酸が天然のペプチドに付加され得る。
【0190】
インスリン類似体の例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルジン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリシン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val又はAlaで置換され、位置B29においてLysがProで置換され得るヒトインスリン、;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28-B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0191】
インスリン誘導体の例は、例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン及びB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0192】
GLP-1、GLP-1類似体及びGLP-1受容体作動薬の例は、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺によって産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(Syncria(登録商標))、デュラグルチド(Trulicity(登録商標))、エキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド)、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(SAR425899)エキセナチド-XTEN及びグルカゴン-Xtenがある。
【0193】
オリゴヌクレオチドの例としては、例えば:家族性高コレステロール血症の治療用のコレステロール低下アンチセンス治療薬である、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))又はアルポート症候群の治療用のRG012がある。
【0194】
DPP4阻害剤の例としては、リナグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンがある。
【0195】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン及びゴセレリン等の脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節性活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストがある。
【0196】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、超低分子量ヘパリン若しくはそれらの誘導体又は上記多糖類の硫酸化形態、例えばポリ硫酸化形態及び/又は製薬上許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの製薬上許容される塩の例には、エノキサパリンナトリウムがある。ヒアルロン酸誘導体の例は、Hylan G-F 20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0197】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子又はその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)及びF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化若しくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(例えば、マウス)抗体又は一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有し、且つ補体を固定することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、Fc受容体への結合能が低減されているか又は結合能がない。例えば、抗体は、Fc受容体への結合を支援しないアイソタイプ若しくはサブタイプ、抗体フラグメント又は突然変異体であり得、例えば抗体は、突然変異又は欠失したFc受容体結合領域を有する。抗体という用語は、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)及び/又はクロスオーバー結合領域配向(CODV)を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質に基づく抗原結合分子も含む。
【0198】
「フラグメント」又は「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(例えば、抗体重鎖及び/又は軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、そうした切断フラグメントに限定されない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的又は多重特異的な抗体フラグメント、例えば二重特異的、三重特異的、四重特異的及び多重特異的抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価又は多価抗体フラグメント、例えば2価、3価、4価及び多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディ又はビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体及びVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は、本技術分野において既知である。
【0199】
「相補性決定領域」又は「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列ではなく、且つ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖及び軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、本技術分野で既知であるように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、又はCDR内の1つ若しくは複数のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0200】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(例えば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(例えば、サリルマブ)及び抗IL-4 mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0201】
本明細書に記載するいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬剤送出デバイスで薬剤又は薬品に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基性塩である。
【0202】
本発明の完全な範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、配合物、装置、方法、システム及び実施形態の様々な構成要素の修正(追加及び/又は削除)が行われ得、本発明は、そのような修正形態及びそのあらゆる均等物を包含することが当業者に理解されるであろう。
【0203】
例示的な薬剤送出デバイスには、ISO 11608-1:2014(E)のセクション5.2の表1に記載されているような針ベースの注入システムが含まれ得る。ISO 11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注入システムは、多回用量容器システム及び単回用量(部分的又は完全な排出を伴う)容器システムに大別され得る。容器は、交換可能な容器であり得るか又は統合された非交換可能な容器であり得る。
【0204】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されるように、多回用量容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムでは、各容器は、複数の用量を保持し、そのサイズは、固定であっても可変であり得る(ユーザによって事前設定される)。別の複数回用量容器システムには、交換不可能な容器が統合された針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムでは、各容器は、複数の用量を保持し、そのサイズは、固定又は可変であり得る(ユーザによって事前設定される)。
【0205】
ISO 11608-1:2014(E)に更に記載されるように、単回用量容器システムは、交換可能な容器を有する針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより送出可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一の用量を保持し、これにより送出可能な容量の一部が排出される(部分排出)。ISO 11608-1:2014(E)にも記載されるように、単回用量容器システムは、交換不可能な容器が統合された針ベースの注入デバイスを含み得る。そのようなシステムの一例では、各容器は、単回用量を保持し、これにより、送出可能な全容量が排出される(完全排出)。更なる例では、各容器は、単一の用量を保持し、これにより、送出可能な容量の一部が排出される(部分排出)。
【0206】
本明細書に記載する本発明は、例示的な実施形態に関連する説明によって限定されるものではない。むしろ、本発明は、前記特徴又は前記組合せ自体が特許請求の範囲又は例示的な実施形態に明示的に記載されていないとしても、任意の新規な特徴及び特徴の任意の組合せを含み、特に特許請求の範囲における特徴の任意の組合せを含む。
【符号の説明】
【0207】
4 接触要素
4.1 第1のアクセスポイント
4.2 第2のアクセスポイント
5 アクチュエータ
6 ロック機構
7 接続インターフェース
10 内側本体
11 外側本体
12 窓
13 用量ボタン
14 キャップ
15 カートリッジホルダ
16 カートリッジ容器
17 ストッパ
20 遠位駆動スリーブ
20.1 ランプ
21 近位駆動スリーブ
22 駆動スリーブカプラ
23 遠位クリッカ
24 近位クリッカ
25 クラッチばね
26 番号スリーブ
27 ダイヤルスリーブ
28 クラッチ
29 プランジャロッド
30 最終用量ナット
31 クラッチカプラ
40 接点
40.1 第1の接点
40.2 第2の接点
41 導体経路
41A 導体経路41の第1のセクション
41B 導体経路41の第2のセクション
42 スライド接点
43A 制御ユニット
43B バッテリ
43C 導体キャリア/PCB
44 導体経路
44A 導体経路44の第1のセクション
44B 導体経路44の第2のセクション
44C 導体経路44の第3のセクション
45 スライド接点
46 案内構造
47 ガイド構造
50 アクチュエータ要素
51 磁石
52 磁石
53 突出部
54 凹部
55 クランプ
56 凹部
57 スピンドル
58 阻止スリーブ
58.1 ウェッジ
59 阻止スリーブばね
60 結合要素
61 ジョイント接続部
62 結合要素60のセクション
70 インターフェース特徴部
71 インターフェース特徴部
100 薬剤送出デバイス
MU 機構ユニット
RU 薬剤リザーバユニット
D 遠位方向
P 近位方向
L 長手方向軸
R 半径方向
C 方位方向/回転方向/角度方向
【国際調査報告】