(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】EUVリソグラフィ用のEUV活性膜
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241106BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20241106BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241106BHJP
【FI】
G03F7/004 531
H01L21/30 564
G03F7/20 521
G03F7/20 503
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526777
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022049146
(87)【国際公開番号】W WO2023086299
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ロバート
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
5F146
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H197GA01
2H225AN56P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC01
2H225CC11
2H225EA16P
5F146JA20
5F146LB01
(57)【要約】
基板を加工する方法であって、基板の上に、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含む極紫外線(EUV)活性フォトレジスト膜を形成するステップと、EUVリソグラフィによってEUV活性フォトレジスト膜をパターニングするステップとを含む方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を加工する方法であって、
前記基板の上に、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含む極紫外線(EUV)活性フォトレジスト膜を形成するステップと、
EUVリソグラフィによって前記EUV活性フォトレジスト膜をパターニングするステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記アルコキシ基の1つ又は複数が、酸素に対してβ位に水素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属酸化物が酸化スズである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルコキシ基が、エトキシド、イソプロポキシド、tert-ブトキシド、シクロヘキシルアルコキシド、シクロヘキセンアルコキシド、又はシクロヘキサジエンアルコキシドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルコキシ基の1つ又は複数を末端に有する金属化合物を金属前駆体から生成するステップをさらに含み、前記金属化合物が、前記ネットワークを形成するための中間体であり、前記金属化合物を前記金属前駆体から生成するステップが、
前記金属前駆体を含む蒸気に前記基板を曝露すること、及び
前記金属前駆体をアルコールに曝露すること
を含み、
前記EUV活性フォトレジスト膜を形成するステップが、
前記金属化合物を酸化剤に曝露して、前記金属化合物の配位子の1つ又は複数を置換することによって金属-酸素-金属結合を形成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記EUV活性フォトレジスト膜を形成するステップが、
金属アルコキシドを含む蒸気に前記基板を曝露することによって、金属アルコキシドを含む層を前記基板の上に堆積すること、及び
金属アルコキシドを含む前記層を酸化剤に曝露して、前記金属アルコキシドの1つ又は複数の配位子を置換することによって金属-酸素-金属結合を形成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化剤が、酸素、オゾン、水、空気、又は過酸化水素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記蒸気と前記酸化剤とが、前記基板を保持する処理チャンバ内に同時に導入される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記形成するステップが、
プラズマ加工チャンバ内で、金属アルコキシドを含む蒸気に前記基板を曝露することによって、金属アルコキシドを含む層を前記基板の上に堆積すること、及び
金属アルコキシドを含む前記層を、前記プラズマ加工チャンバ内で生成された酸素ラジカルに曝露することによって酸化して、金属酸化物の前記ネットワークを形成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記EUV活性フォトレジスト膜をパターニングするステップが、
露光されたEUV活性フォトレジスト膜中の前記アルコキシ基の1つ又は複数をヒドロキシ基に変換すること、及び
前記ヒドロキシ基を変換して、金属酸化物の前記ネットワーク中に追加の金属-酸素-金属結合を形成すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
プラズマ加工チャンバ内で基板を加工する方法であって、
前記プラズマ加工チャンバ内の前記基板を、EUV金属前駆体を含む第1の蒸気に曝露するステップと、
酸素に対してβ位に水素を有するアルコールを含む第2の蒸気に前記プラズマ加工チャンバ内の前記基板を曝露するステップと、
前記プラズマ加工チャンバ内の前記基板を、酸化剤を含む第3の蒸気に曝露することによって、EUV金属アルコキシドを含むフォトレジスト膜を前記基板の上に形成するステップと、
EUVリソグラフィによって前記フォトレジスト膜をパターニングするステップと
を含む方法。
【請求項12】
EUV金属がスズであり、前記基板を前記第1の蒸気に曝露する前記ステップが、スズ前駆体を前記基板に化学的に吸着することを含み、前記基板を前記第2の蒸気に曝露する前記ステップが、前記アルコールを、前記吸着されたスズ前駆体と反応させて、スズアルコキシ基を生成することを含み、前記基板を前記第3の蒸気に曝露する前記ステップが、前記吸着されたスズ前駆体を酸化して、スズ-酸素-スズ結合を含むスズ酸化物ネットワークを形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の蒸気への前記基板の前記曝露と、前記第2の蒸気への前記基板の前記曝露とを複数回交互に行うステップと、
前記第1の蒸気への前記基板の前記曝露と前記第2の蒸気への前記基板の前記曝露との合間に、パージ又は脱気ステップを行って、前記第1の蒸気、前記第2の蒸気、又はそれら両方の残留部分を除去するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の蒸気への前記基板の前記曝露と、前記第2の蒸気への前記基板の前記曝露とを複数回交互に行うステップをさらに含み、前記第1の蒸気への前記基板の前記曝露と、前記第2の蒸気への前記基板の前記曝露とが時間的に重複される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
極紫外線(EUV)リソグラフィの方法であって、
EUV活性フォトレジスト層を基板の上に形成するステップであって、前記EUV活性フォトレジスト層が、アルコキシ基を末端に有する酸化スズのネットワークを含む、ステップと、
パターンを含む光学マスクを通過したEUV照射に前記基板を曝露して、前記EUV活性フォトレジスト層の露光領域を形成するステップであって、前記露光領域内の1つ又は複数のアルコキシ基がβ水素除去を受けて、アルケンを除去することによって水酸化スズを生成する、ステップと、
前記EUV活性フォトレジスト層を現像するステップと
を含む方法。
【請求項16】
前記基板を前記EUV照射に曝露した後、露光後ベークを行って、前記水酸化スズのヒドロキシ基を縮合させることによってスズ-酸素-スズ結合を形成するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記EUV活性フォトレジスト層を現像するステップが、前記EUV活性フォトレジスト層の未露光領域を除去する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記EUV活性フォトレジスト層を現像するステップが、ウェットプロセスによって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記EUV活性フォトレジスト層を現像するステップが、プラズマプロセス、熱プロセス、又はそれら両方を使用するドライプロセスによって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
領域選択的な堆積プロセスを行って、前記EUV活性フォトレジスト層の前記露光領域の上に選択的に材料層を形成するステップを、前記EUV活性フォトレジスト層を現像する前にさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月9日に出願された米国特許出願第17/522,563号の利益及びそれに対する優先権を主張するものであり、その内容全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、一般に極紫外線(EUV)リソグラフィに関し、特定の実施形態では、EUV活性膜及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、集積回路(IC)等の半導体装置は、半導体基板上に誘電体、導電体、及び半導体材料の層を連続的に堆積させ、パターニングして、電子コンポーネント及び相互接続素子(例えば、トランジスタ、レジスタ、コンデンサ、金属線、コンタクト、ビア)をモノリシック構造に集積させたネットワークを形成することにより製作される。連続的な各技術ノードにおいて、最小フィーチャサイズを縮小させて、部品充填密度をほぼ2倍にすることにより、コストを削減している。
【0004】
一般的なパターニング方法は、フォトリソグラフィプロセスを使用して、ターゲット層の上のフォトレジストのコーティングを化学線のパターンに曝露し、次いで、レリーフパターンをターゲット層又はターゲット層の上に形成された下層ハードマスク層に転写することである。この技法を用いる場合、最小フィーチャサイズは、光学システムの解像度によって制限される。したがって、7nm及び5nmテクノロジーノードに関するフィーチャサイズのスケーリングには、13.5nmの極紫外線(EUV)リソグラフィが必要となり得る。サブ10nmノード領域でパターニングするためのコスト及び品質要件を満たすために、EUVフォトリソグラフィ技術に関する革新が必要とされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、基板を加工する方法であって、基板の上に、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含む極紫外線(EUV)活性フォトレジスト膜を形成するステップと、EUVリソグラフィによってEUV活性フォトレジスト膜をパターニングするステップとを含む方法。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、プラズマ加工チャンバ内で基板を加工する方法であって、プラズマ加工チャンバ内の基板を、EUV金属前駆体を含む第1の蒸気に曝露するステップと、プラズマ加工チャンバ内の基板を、酸素に対してβ位に水素を有するアルコールを含む第2の蒸気に曝露するステップと、プラズマ加工チャンバ内の基板を、酸化剤を含む第3の蒸気に曝露することによって、EUV金属アルコキシドを含むフォトレジスト膜を基板の上に形成するステップと、EUVリソグラフィによってフォトレジスト膜をパターニングするステップとを含む方法。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、極紫外線(EUV)リソグラフィの方法であって、EUV活性フォトレジスト層を基板の上に形成するステップであって、EUV活性フォトレジスト層が、アルコキシ基を末端に有する酸化スズのネットワークを含む、ステップと、パターンを含む光学マスクを通過したEUV照射に基板を曝露して、EUV活性フォトレジスト層の露光領域を形成するステップであって、露光領域内の1つ又は複数のアルコキシ基がβ水素除去を受けて、アルケンを除去することによって水酸化スズを生成するステップと、EUV活性フォトレジスト層を現像するステップとを含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで、以下の記載を添付図面と併せて参照する。
【0009】
【
図1】様々な実施形態による、スズアルコキシドを形成するためのスズ前駆体とアルコールとの反応を示す図である。
【
図2A】一実施形態によるスズアルコキシドの2ステップ生成中の基板の断面図であり、スズ前駆体の堆積時の基板を示す図である。
【
図2B】一実施形態によるスズアルコキシドの2ステップ生成中の基板の断面図であり、スズアルコキシドを生成するために、堆積されたスズ前駆体をアルコールと反応させる後続のステップでの基板を示す図である。
【
図2C】代替実施形態によるスズアルコキシドの1ステップ生成中の基板の断面図である。
【
図2D】別の実施形態による、予め生成されたスズアルコキシドの堆積中の基板の断面図である。
【
図3】様々な実施形態による、極紫外線(EUV)活性フォトレジストを形成するためのスズアルコキシドの酸化を示す図である。
【
図4A】一実施形態によるスズアルコキシドの酸化ステップ中の基板の断面図であり、酸化剤の堆積時の基板を示す図である。
【
図4B】一実施形態によるスズアルコキシドの酸化ステップ中の基板の断面図であり、EUV活性フォトレジスト層の形成の完了時の基板を示す図である。
【
図4C】代替実施形態によるEUV活性フォトレジスト層の1ステップ形成中の基板の断面図である。
【
図5A】様々な実施形態による、アルコキシ基を含むEUV活性フォトレジストの例示的な化学構造を示す図であり、エトキシドを示す図である。
【
図5B】様々な実施形態による、アルコキシ基を含むEUV活性フォトレジストの例示的な化学構造を示す図であり、tert-ブトキシドを示す図である。
【
図5C】様々な実施形態による、アルコキシ基を含むEUV活性フォトレジストの例示的な化学構造を示す図であり、シクロヘキシルアルコキシドを示す図である。
【
図6A】様々な実施形態による、EUV活性フォトレジスト層を形成する方法のプロセスフローチャートを示す図であり、いくつかの実施形態のプロセスフローを示す図である。
【
図6B】様々な実施形態による、EUV活性フォトレジスト層を形成する方法のプロセスフローチャートを示す図であり、代替実施形態のプロセスフローを示す図である。
【
図7】様々な実施形態による、EUV活性フォトレジストのアルコキシ基がβ水素除去によってヒドロキシ基に変換される、EUVリソグラフィプロセスにおけるEUV照射ステップ中に生じ得る反応を示す図である。
【
図8A】様々な実施形態によるEUVリソグラフィプロセスにおけるEUV照射ステップでの基板の断面図であり、EUV照射の開始時の基板を示す図である。
【
図8B】様々な実施形態によるEUVリソグラフィプロセスにおけるEUV照射ステップでの基板の断面図であり、EUV照射後の基板を示す図である。
【
図9】反応後のEUV活性フォトレジストのヒドロキシ基が縮合されて水分子を解放する、任意選択の露光後ベーク(PEB)中に生じ得る反応を示す図である。
【
図10】EUV照射ステップ及びPEB後の基板の断面図である。
【
図11A】様々な代替実施形態による、現像ステップ後の基板の断面図であり、PEBなしの実施形態による基板を示す図である。
【
図11B】様々な代替実施形態による、現像ステップ後の基板の断面図であり、PEBありの代替実施形態による基板を示す図である。
【
図12A】代替実施形態による、EUVリソグラフィプロセスの様々な中間段階での基板の断面図であり、EUV照射ステップ、及び材料層を形成するための堆積ステップ後の基板を示す図である。
【
図12B】代替実施形態による、EUVリソグラフィプロセスの様々な中間段階での基板の断面図であり、現像ステップ後の基板を示す図である。
【
図12C】さらに他の実施形態による、EUVリソグラフィプロセスの様々な中間段階での基板の断面図であり、EUV照射ステップ、及び材料層を形成するための堆積ステップ後の基板を示す図である。
【
図12D】さらに他の実施形態による、EUVリソグラフィプロセスの様々な中間段階での基板の断面図であり、現像ステップ後の基板を示す図である。
【
図13】様々な実施形態によるEUVリソグラフィプロセスの方法のプロセスフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本出願は、フォトリソグラフィプロセスの方法に関し、より詳細には、EUVフォトリソグラフィプロセス用の金属アルコキシド部を含む極紫外線(EUV)活性フォトレジストを形成する方法に関する。例えば13.5nmのUV波長を使用するEUVリソグラフィ技法は、その高い光学解像度により、サブ10nmフィーチャのパターニングに大きな利点をもたらすことができる。しかし、EUVリソグラフィに関する主な工学的課題の1つは、従来のフォトリソグラフィシステム用に開発されたフォトレジストが十分には効果的でない場合があることである。例えば、193nmリソグラフィで一般的に使用される化学増幅型レジスト(CAR)又は同様のポリマーレジストは、13.5nmでの吸収係数が低い傾向があり、したがって感度が低いことがある。さらに、CAR中での光活性種の拡散により、ぼやけ、及びラインエッジ粗さの増加が生じることがある。したがって、より良い性能を備えたEUVリソグラフィ用の新規クラスのフォトレジストの開発が望まれ得る。本出願の実施形態は、金属アルコキシド、特にアルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含むEUV活性フォトレジスト層を形成する方法を開示する。様々な実施形態における金属アルコキシドのアルコキシド基は、EUV露光に応答し、材料特性の変化を誘発する。様々な実施形態におけるEUV活性フォトレジストは、金属アルコキシド基のこのEUV活性特性に基づいて設計することができる。
【0011】
本開示に記載される方法は、有利には、高いEUV吸収率を有し、それにより従来の化学増幅型レジスト(CAR)と比較してより良好なレジスト感度を有する、金属アルコキシド含有極紫外線(EUV)活性フォトレジストを可能にし得る。EUV吸収率が高いほど、許容できる性能に必要なフォトレジストの厚さを減少させることが可能となり得る。本開示に記載される金属アルコキシド含有EUV活性フォトレジストは、有利には、従来のCARよりも優れたエッチング耐性を示すこともできる。さらに、本明細書における方法は、金属アルコキシド含有EUV活性フォトレジストの均一な化学組成を実現可能にすることができ、これは、ぼやけ又はラインエッジ粗さの問題を軽減するのに有益となり得る。さらに、本開示の様々な実施形態によるEUV活性フォトレジストは、基板上に形成され、ドライ又はウェットプロセスによって現像され得る。CARの塗布及び現像に使用される従来の技法はウェットプロセスに基づいているが、EUV活性フォトレジストの形成及び現像のためのドライプロセスは、例えば臨界寸法が数ナノメートル又はサブナノメートルであるフィーチャを形成するために、ウェットプロセスよりも良い、ナノスケールでのプロセス制御を可能にし得る。堆積のための従来のスピンオンプロセス、及び現像液を使用するウェットプロセスも、本開示の方法に利用可能である。
【0012】
本開示に記載される方法によって形成されるEUV活性フォトレジストは、アルコキシ基(すなわち、金属-酸素-金属結合及び金属-酸素-炭素結合)を末端に有する金属酸化物のネットワークに基づき、これは、有利には、例えば金属-炭素結合を有する有機金属化合物と比較して毒性が低く、環境への影響が少ない。
【0013】
本開示の様々な実施形態は、以下の3つの加工段階から構成され得る。(i)金属アルコキシド分子の生成、(ii)基板上のEUV活性フォトレジスト層の形成、及び(iii)EUV活性フォトレジスト層を使用するEUVリソグラフィプロセス。以下では、まず
図1及び2A~2Dを参照して段階(i)を述べ、次に
図3及び4A~4Bを参照して段階(ii)を述べる。EUV活性フォトレジストの化学構造の例を
図5A~5Cに示す。様々な実施形態による段階(i)及び(ii)に関するプロセスフロー図を
図6A及び6Bに示す。段階(iii)、すなわちEUVリソグラフィプロセスは、EUV照射ステップ、任意選択の露光後ベーク(PEB)、及び現像ステップを含むことがある。これらについては、それぞれ、
図7及び8A~8B、
図9及び10、並びに
図11A及び11Bを参照して述べる。さらに、材料層を形成するための露光後堆積ステップを伴う特定の実施形態を
図12A~12Dで述べる。EUVリソグラフィプロセスに関する例示的なプロセスフロー図は、
図13を参照して述べる。全ての図面が、例示目的でのみ描かれており、原寸に比例していない。
【0014】
図1は、様々な実施形態による、金属アルコキシド12を生成するための金属前駆体10とアルコール11との反応を示す。
【0015】
EUV活性フォトレジストを形成するために、EUV金属を含む金属前駆体を使用することができる。本開示において、EUV金属とは、高いEUV吸収係数を有する金属を表すことがある。様々な実施形態において、EUV金属は、スズ(Sn)を含むことがあり、他の実施形態では、ジルコニウム(Zr)、インジウム(In)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、又はハフニウム(Hf)を含むことがある。以下では、EUV活性フォトレジスト用の例示的な金属成分としてスズを使用して、図を含めた様々な実施形態を述べるが、いくつかの実施形態では、他の金属もEUV活性フォトレジスト中に存在し得る。
【0016】
図1で、金属前駆体10は、一例では、配位子(L
1~L
4)を含む有機スズ化合物でよい。様々な実施形態において、これらの配位子は、アミン、カルボキシレート、又はハロゲンを含み得る。いくつかの実施形態では、いくつかの配位子が、アルコキシ基を含んでもよい。アルコール11が金属前駆体10と反応し、配位子のうちの1つ又は複数を置換して、金属、すなわちこの場合にはスズに結合された1つ又は複数のアルコキシ基を生成する。こうして、金属アルコキシド12、すなわちこの場合にはスズアルコキシドを生成する。本開示において、金属アルコキシド12は、1つ又は複数のアルコキシ基を末端に有する金属原子を含む金属化合物を表すことがある。金属アルコキシド12は、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含むEUV活性フォトレジストを形成するための中間体として使用することができる。例えば、
図1では、2つの配位子(すなわちL1及びL3)が、2つのアルコキシ基と交換される。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、金属アルコキシド12の官能基の一部は、例えば水分と反応して除去されることがある。様々な実施形態において、金属原子当たり1つ又は2つのアルコキシ基を保持して、EUV活性フォトレジストを形成することができる。配位子交換の程度は、プロセスの種類及び条件に応じて決まることがある。金属アルコキシド12を生成するためのこの配位子交換反応は、ドライ又はウェットプロセスによって行うことができる。例えば、配位子交換反応は、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)を含む蒸着、及びプラズマCVD(PECVD)等の他のプラズマプロセス、並びに他のプロセス等の堆積技法を使用することによって、基板上で行うことができる。他の実施形態では、スピンオンプロセス等のウェットプロセスを使用することもできる。
【0017】
様々な実施形態において、金属アルコキシド12は、エトキシド、イソプロポキシド、tert-ブトキシド、シクロヘキシルアルコキシド、シクロヘキセンアルコキシド、又はシクロヘキサジエンアルコキシドを含むことがある。金属アルコキシド12は、アルコキシ基の酸素原子に対してβ位にある水素(すなわち、β水素)を含む。β水素は、EUVリソグラフィにおいて重要な光反応性種であり得る。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、これは、光誘起されたβ水素除去反応が生じるためにβ水素が必要であることが理由であり得る。β水素除去反応は、様々な実施形態によるフォトレジストのEUV活性特性の基礎となり得る。
【0018】
アルコール11は、所望の金属アルコキシドの種類に従って選択することができる。例えば、アルコール11は、エタノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、又はシクロヘキサノールを含むことがある。様々な実施形態において、酸素原子に対してβ位にある水素を有する任意のアルコールを使用することができる。特定の実施形態では、嵩高構造の反応基を選択することによって、有利には、互いに対する立体障害がもたらされ、EUVリソグラフィプロセスの前の過剰な縮合が防止され得る。さらに、酸素に対してβ位にあるアルコール11中の水素原子の数が多いほど、β水素の除去の確率が向上し、それによってEUV感度が向上することがある。さらに、いくつかの実施形態では、2種類以上のアルコキシドを使用してEUV活性フォトレジストを形成することができる。2種類以上のアルコキシドを使用することによって、有利には、得られるEUV活性フォトレジストの物理的及び化学的特性(例えば、嵩高性、炭素対酸素比、及び/又は疎水性/親水性)全体を微調整することが可能となり得る。一実施形態では、EUV活性フォトレジストの物理的及び化学的特性を調整するために、水分(気相中の水分子)への露出も行われることがある。
【0019】
図2A及び2Bは、一実施形態による金属アルコキシド12の2ステップ生成中の基板100の断面図を示す。
【0020】
図2Aで、様々な実施形態において、基板100は半導体基板を含む。1つ又は複数の実施形態では、基板100は、シリコンウェハー又はシリコンオン絶縁体(SOI)ウェハーであり得る。特定の実施形態では、基板100は、シリコンゲルマニウムウェハー、シリコンカーバイドウェハー、ヒ化ガリウムウェハー、窒化ガリウムウェハー、又は他の化合物半導体を含んでもよい。他の実施形態では、基板100は、シリコンオンシリコンの層又はSOI基板と同様に、シリコンゲルマニウムオンシリコン、窒化ガリウムオンシリコン、シリコンカーボンオンシリコンなどの異種層を含む。基板100は、
図2Aに示されるように、基板100の上に中間層110を含むこともある。特定の実施形態では、中間層110は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、酸炭化ケイ素(SiOC)、又は他の材料を含んでもよい。中間層110は、EUVリソグラフィプロセス後のエッチングプロセスによってパターニングされる層であり得る。
【0021】
様々な実施形態において、金属前駆体10を堆積する前に、基板100は、堆積ステップを改良するために、前処理ステップによって任意選択で加工されることがある。いくつかの実施形態では、中間層110の表面末端基の組成を化学的又は物理的に修飾するために、プラズマプロセス又は熱プロセスが行われることもある。例えば、任意選択の前処置は、水素含有還元剤を使用したプラズマ処置であってもよい。一実施形態では、分子の水素(H2)を使用したプラズマ処置を実施してもよい。
【0022】
引き続き
図2Aを参照すると、金属前駆体10は、ドライ又はウェットプロセスによって中間層110の上の層として堆積することができる。特定の実施形態では、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、金属前駆体10の一部は、中間層110の表面に化学的に結合することができる。例えば、金属前駆体10の配位子(L
1~L
4)のうちの1つは、中間層110の表面ヒドロキシ基と反応することがある。
【0023】
図2Bでは、後続のステップにおいて、アルコール11が蒸気又は溶液から基板100に供給され、
図1にも示されているように、吸収された金属前駆体10と反応して金属アルコキシド12を生成する。この実施形態による方法は、原子層堆積(ALD)に適用されるときに特に有利であり得て、金属アルコキシド12を層ごとに高い均一性で成長させることを可能にする。
【0024】
さらに、特定の実施形態では、正確な膜厚制御及び膜均一性のために層ごとの成長を可能にするために、金属前駆体10とアルコール11への曝露を交互に行うことによって、上記の2つのステップ(すなわち、金属前駆体10の堆積及びアルコール11との反応)を連続的に繰り返すことができる。一実施形態では、それら2つの曝露は時間的に一部重複してもよいが、他の実施形態では重複しないことがあり、曝露ステップの合間にパージ又は脱ガスステップが挿入されることがある。パージ又は脱ガスステップは、表面での化学反応が制限されることを保証するのに有益であり得て、一方、曝露の重複は、より速い膜の成長の助けとなり得る。
【0025】
特定の実施形態では、金属アルコキシド12の層の厚さは、約15nm~約40nmの間でよい。一般に、金属アルコキシド含有EUVフォトレジスト膜は、有利には、より高いエッチング耐性及びより高い感度により、従来のCARよりも薄くすることができる。
【0026】
図2Cは、代替実施形態による金属アルコキシド12の1ステップ生成中の基板100の断面図を示す。
【0027】
図2Cのこの代替実施形態では、金属前駆体10とアルコール11とを、単一ステップで蒸気又は溶液から基板100に同時に供給することができ、金属アルコキシド12を生成して、中間層110の上に堆積することができる。そのような実施形態は、例えば化学蒸着(CVD)又はプラズマCVD(PECVD)に適用されるときに有利であり得て、単一ステップで金属アルコキシド12の層の連続成長を可能にする。
【0028】
図2Dは、別の実施形態による、予め生成された金属アルコキシド12の堆積中の基板100の断面図を示す。
【0029】
金属アルコキシド12は、別個のプロセスで既に調製されていることがあり又は入手可能であり得て、この実施形態で使用することができ、ここで金属アルコキシド12は、蒸気又は溶液から基板に直接供給されて、
図2Dに示されるように中間層110の上に層を形成することができる。
【0030】
図2A~2Dは、堆積を2ステップ又は1ステッププロセスのみとして示しているが、様々な実施形態において、金属アルコキシド12の層の生成は、層の所望の厚さを実現するために、上記のプロセスのいずれかを繰り返すことによって行われることもある。
【0031】
図3は、様々な実施形態による、極紫外線(EUV)活性フォトレジスト14を形成するための金属アルコキシド12の酸化を示す。
【0032】
図4A~4Bは、一実施形態による、
図3で述べた酸化ステップ中の基板100の断面図を示す。
【0033】
金属アルコキシド12の酸化により、金属アルコキシド12の配位子の1つ又は複数を置換することによって金属-酸素-金属結合が形成され、アルコキシ基を末端に持つ酸化スズの縮合ネットワークが形成される。
図3では、酸化により、金属アルコキシド12の配位子L
2及びL
4が副生成物として除去される。この結果得られる、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物の縮合ネットワークは、以下にさらに述べるように、EUV活性フォトレジスト14として機能することがある。従来知られているスズベースのフォトレジストとは異なり、EUV活性フォトレジスト14は、金属-炭素結合を含まない。有利には、スズアルコキシド等の金属アルコキシドは、一般に毒性がより低く、製造中の環境への問題に関する懸念がより少ない。
【0034】
様々な実施形態において、酸化のために酸化剤13を使用することができる。特定の実施形態では、酸化剤13は、二酸素(O
2)、オゾン(O
3)、水、空気、又は過酸化水素(H
2O
2)を含むことがある。
図3では各金属原子について2つのアルコキシ基が示されているが、金属アルコキシド12の構造及び酸化度に応じて、金属原子を1つ、2つ、又は3つのアルコキシ基に結合することができる。
【0035】
特定の実施形態では、酸化のためにプラズマ加工チャンバ内でのプラズマプロセスを採用することができる。一実施形態では、酸化は、金属酸化物のネットワークを形成するために生成された酸素ラジカルに金属アルコキシド12を曝露することによって行うことができる。
【0036】
図4Aで、酸化剤13は、蒸気又は溶液から供給されて、金属アルコキシド12の酸化を誘発することができる。その結果、
図4Bに示されるように、金属アルコキシド12の酸化により、EUV活性フォトレジスト14の層が中間層110の上に形成される。
【0037】
図4Cは、代替実施形態によるEUV活性フォトレジスト層の1ステップ形成中の基板の断面図を示す。
【0038】
図4Cに示されるように、酸化ステップは、(金属前駆体10及びアルコール11の供給による)金属アルコキシド12の生成のステップと組み合わせることができ、加工チャンバ内で単一ステップで行うことができ、ここで、EUV活性フォトレジスト層14は、中間層110の上に直接形成され得る。この単一ステップは、ウェット又はドライプロセスによって行うことができる。
【0039】
様々な実施形態において、EUV活性フォトレジスト層14を基板100の上に形成した後、ウェットプロセスから任意の過剰な溶媒を、ドライプロセスから残留揮発性副生成物を、又はそれら両方を除去するために、任意選択の塗布後ベークが実行され得る。その結果、パターニング用のEUVリソグラフィプロセスのために基板100の準備を整えることができる。
【0040】
図5A~5Cは、様々な実施形態に従って上述の方法によって生成することができるスズアルコキシドを含むEUV活性フォトレジスト14の3つの例示的な化学構造を示す。
【0041】
アルコキシ基のサイズは、様々な実施形態において異なることがある。
図5Aでは、EUV活性フォトレジスト14は、小さいサイズのアルコキシ基の一例としてエトキシド(-OC
2H
5)基に基づいている。比較的小さいサイズのアルコキシ基の使用は、EUV活性フォトレジスト14の親水性を向上させるのに有用であり得る。他方、中くらい又は大きいアルコキシ基の使用は、EUV活性フォトレジスト14の疎水性を向上させると共に、立体障害を提供して、EUVリソグラフィプロセス前の過剰な縮合を防止する。
図5Bでは、EUV活性フォトレジスト14は、中くらいのサイズのアルコキシ基の一例としてtert-ブトキシド(-OC
4H
9)基に基づいている。
図5Cでは、EUV活性フォトレジスト14は、大きいサイズのアルコキシ基の一例としてシクロヘキシルアルコキシド(-OC
6H
11)基に基づいている。
【0042】
図6A及び6Bは、様々な実施形態によるEUV活性フォトレジスト層の形成の方法のプロセスフローチャートを示す。プロセスフローは、上述した図(例えば、
図2A~2D及び4A~4B)を用いて説明することができ、ゆえに、詳細については再度説明しない。
【0043】
図6Aで、プロセスフロー60は、金属前駆体を含む蒸気に基板100を曝露し(ブロック600A、例えば
図2A)、次いで、基板100をアルコールに曝露して金属アルコキシドを生成する(ブロック605、例えば
図2B)ことから始まることがある。代替として、溶媒に溶解された金属前駆体を含む溶液がスピンオンプロセスによって塗布される(ブロック600C、例えば
図2A)ことがあり、次いで、基板100がアルコールに曝露されて金属アルコキシドを生成する(ブロック605、例えば
図2B)。スピンオンプロセスは、プロセスで使用された溶媒を除去するために基板100を加熱することを含んでもよい。いずれの実施形態においても、金属アルコキシドを生成した後、基板100を酸化剤に曝露して金属-酸素-金属結合を形成することができる(ブロック610、例えば
図4A)。このステップが完了すると、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含むEUV活性フォトレジストが基板100の上に形成され、EUVリソグラフィプロセスを行うことができる(ブロック620)。さらに、金属アルコキシドが既に入手可能である他の実施形態(例えば
図2D)では、プロセスフロー60は、基板を金属アルコキシドを含む蒸気に曝露し(ブロック600B)、又は金属アルコキシドを含む溶液を塗布し(ブロック600D)、続いて酸化(ブロック610)及びEUVリソグラフィプロセス(ブロック620)を行って、EUV活性フォトレジストをパターニングすることから始まることがある。
【0044】
図6Bでは、プロセスフロー62は、例えば原子層堆積(ALD)に基づく周期的ドライプロセスを含むことがある。まず、EUV金属前駆体10を含む第1の蒸気に基板100を曝露することができる(ブロック630、例えば
図2A)。次に、アルコール11を含む第2の蒸気に基板100を曝露して(ブロック640、例えば
図2B)、金属アルコキシド12の層を形成することができる。2つの曝露を交互に行うことによってこれらの2つのステップを繰り返して、金属アルコキシド12の層を形成することができる。一実施形態では、2つの曝露を時間的に重複して交互に行うことができるが、他の実施形態では、それらをパージステップで分離することができる。次いで、酸化剤13を含む第3の蒸気に基板100を曝露して(ブロック650、例えば
図4A)、金属-酸素-金属結合を形成することができる。EUV活性フォトレジスト14に関する目標厚さを得るために、これらの3つのステップ(ブロック630、640、及び650)を繰り返すこともできる。EUV活性フォトレジスト14の形成の完了後、EUVリソグラフィプロセスを行って(ブロック620)、EUV活性フォトレジスト14をパターニングすることができる。
【0045】
以下では、EUV活性フォトレジストをパターニングするための極紫外線(EUV)リソグラフィプロセスを様々な実施形態に従って述べる。
【0046】
図7は、様々な実施形態による、EUVリソグラフィプロセスでのEUV照射ステップ中に生じ得る反応を示す。
【0047】
図7では、EUV照射がβ水素除去を誘起し、EUV活性フォトレジスト14のアルコキシ基が、反応後のフォトレジスト16でのヒドロキシ基に変換され、副生成物としてアルケンが生成され得る。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、この段階で、生成されたヒドロキシ基の一部が、脱水によりさらに縮合されて架橋し、追加の金属-酸素-金属結合を形成することがある。反応後のフォトレジスト16へのEUV活性フォトレジスト14の構造変化により、溶解度等の材料特性が影響を受けることがあり、フォトレジストとしてのポジ/ネガの型を決めることがある。
【0048】
図8A及び8Bは、様々な実施形態による、EUVリソグラフィプロセスにおけるEUV照射ステップでの基板100の断面図を示す。
【0049】
図8Aで、EUV活性フォトレジスト14の層が、基板100上の中間層110の上に形成される。EUVリソグラフィプロセスは、フォトマスク125を介して基板100をEUV照射115(例えば、13.5nmの波長)に曝露することによって行われることがある。したがって、
図7に示される光誘起反応は、EUV照射115に曝露されたEUV活性フォトレジスト14の領域でのみ生じる。
【0050】
図8Bに、EUV照射ステップ後の基板100が示されている。EUV照射115に曝露されたEUV活性フォトレジスト14の領域は、反応後のフォトレジスト16に変換される。EUV照射115に曝露されなかったEUV活性フォトレジスト14の領域は、未反応のままである。
【0051】
図9は、任意選択の露光後ベーク(PEB)中に、反応後のフォトレジスト16内で生じる得る反応を示す。
【0052】
図10は、
図9に示されるEUV照射ステップ及びPEB後の基板100の断面図を示す。
【0053】
様々な実施形態において、反応後のフォトレジスト16の材料特性を未反応のEUV活性フォトレジストの材料特性からさらに区別するために、任意選択でPEBを行うことができる。特定の実施形態では、PEBは、真空又はガス流動下で、70℃~250℃の温度、例えば一実施形態では180℃~225℃の温度で加工チャンバ内の基板100を加熱することによって実行され得る。
【0054】
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、PEBを行うと、
図9に示されるように、反応後のフォトレジスト16のヒドロキシ基が縮合されて、水分子を解放する。この反応は、金属酸化物のネットワーク内の架橋を増加させ、すなわち追加の金属-酸素-金属結合を形成する。その結果、ベーク後のフォトレジスト18(
図9及び10)が、ヒドロキシ基を末端に有する金属酸化物のさらに縮合されたネットワークとなる。ベーク後のフォトレジスト18は、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物の初期ネットワーク(例えば、
図10でのEUV活性フォトレジスト14の未反応領域)とも、反応後のフォトレジスト(例えば、
図8Bでの反応後のフォトレジスト16)とも異なる材料特性を有することがある。例えば、様々な実施形態において、ベーク後のフォトレジスト18は、EUV活性フォトレジスト14の溶解度よりも実質的に低い溶解度を有することがある。様々な実施形態において、ベーク後のフォトレジスト18の溶解度は、EUV活性フォトレジスト14の溶解度の約5分の1~約1.5分の1、又は別の実施形態では10分の1~2分の1であり得る。さらに、一実施形態では、揮発性も例えば約2分の1に低下されることがある。その結果、ベーク後のフォトレジスト18は、EUV活性フォトレジスト14と比較して、ドライエッチング(例えば、反応性イオンエッチング又は原子層エッチング)等のドライ現像プロセスに対して耐性があり得る。例えば、ベーク後のフォトレジスト18に関して、スパッタ閾値がより高くなることがある。
【0055】
図11A及び11Bは、様々な実施形態による、現像ステップ後の基板100の断面図を示す。
【0056】
EUV露光及び任意選択の露光後ベーク(PEB)の完了後、現像ステップを行って、パターニングのためにEUV活性フォトレジスト14の一部分を除去することができる。現像ステップは、ウェットプロセスでもドライプロセスでもよい。従来は、フォトレジストは、現像液で基板を処置して、フォトレジストの反応した領域(ポジ型レジストの場合)又は未反応の領域(ネガ型レジストの場合)を分解することによって除去され得る。同様のウェットプロセスを様々な実施形態に適用することができる。代替として、他の実施形態ではドライプロセスが使用されてもよい。ドライプロセスは、例えば、選択的プラズマエッチングプロセス又は熱プロセスを含んでもよく、有利には現像溶液の使用をなくす。特定の実施形態において、ドライプロセスは、反応性イオンエッチング(RIE)プロセス又は原子層エッチング(ALE)を用いて実行されてもよい。
【0057】
図11A及び11Bでは、EUV活性フォトレジストの未反応領域が除去されており、これはネガ型フォトレジストの場合を示す。反応後のフォトレジスト16(
図11A)又はベーク後のフォトレジスト18(
図11B)は、中間層110の上のフィーチャとして残されることがある。このフィーチャは、パターンを中間層110に転写するためのエッチングマスクとしてさらに使用することができる。他の実施形態では、EUV活性フォトレジストはポジ型レジストでもよく、反応後の領域(反応後のフォトレジスト16又はベーク後のフォトレジスト18)が現像ステップによって選択的に除去され得る。ポジ型フォトレジストに関する特定の実施形態では、フォトレジストのポジ/ネガを逆転させるために、化学修飾ステップを行って、反応後のフォトレジスト16又はベーク後のフォトレジスト18の化学構造を変えることができる。一実施形態では、そのようなポジ型フォトレジストは、EUV露光中に鎖切断を受ける、架橋された金属アルコキシド含有膜を含むことがある。
【0058】
図12A及び12Cは、様々な実施形態による、EUVリソグラフィプロセスの露光後堆積ステップでの基板100の断面図を示す。
【0059】
図12B及び12Dは、それぞれ
図12A及び12Cに対応する、様々な実施形態による露光後堆積ステップ後の現像ステップ後の基板100の断面図を示す。
【0060】
いくつかの実施形態では、EUV露光後、且つ現像ステップ前に、任意選択で、領域選択的な露光後堆積ステップを挿入して、EUVフォトレジストの反応後の領域の上に選択的に材料層120を形成することができる。材料層120は、反応後のフォトレジスト16(
図12A)又はベーク後のフォトレジスト18(
図12C)の上に形成されることがある。例えば、この材料層は、中間層110にフィーチャを形成するための現像ステップ及び/又はプラズマエッチングプロセス等の後続プロセスでの選択性を向上させるためのハードマスクとして使用することができる。特定の実施形態では、露光後堆積ステップは、原子層堆積(ALD)に基づくことがある。ヒドロキシ基等、EUVフォトレジストの反応後の領域の表面官能基を使用して、露光後堆積ステップで使用される蒸気からの反応物を化学的に吸着することができる。露光後堆積ステップのために他の堆積技法を使用することもできる。例えば、そのような技法は、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、さらにはプラズマCVD(PECVD)等の他のプラズマプロセスを含むことがある。代替として、露光後堆積ステップにウェットプロセスを使用することもできる。露光後堆積ステップの後に現像ステップを行うこともできる(
図12B及び12D)。
【0061】
図13は、様々な実施形態によるEUVリソグラフィプロセスの方法のプロセスフローチャートを示す。プロセスフローは、上述した図(例えば、
図8A~8B、10、11A~11B、及び12A~12D)を用いて説明することができ、ゆえに、詳細については再度説明しない。
【0062】
図13で、プロセスフロー1300は、スズアルコキシドを含むEUV活性フォトレジストを基板に形成し(ブロック1310)、続いて、パターニングされたEUV照射に基板を曝露する(ブロック1320)ことから始まることがある。次に、特定の実施形態では、現像ステップが直ちに行われることがある(ブロック1330)。代替として、EUV露光(ブロック1320)後、且つ現像ステップ(ブロック1330)前に、露光後ベーク(PEB)が行われることがある(ブロック1322)。さらに他の実施形態では、EUV露光(ブロック1320)の後、材料層を形成するための露光後堆積ステップ(ブロック1324)と、それに続く現像ステップ(ブロック1330)とが行われることがある。さらに別の実施形態では、EUV露光(ブロック1320)後、PEB及び露光後堆積ステップ(ブロック1322及び1324)と、それに続く現像ステップ(ブロック1330)とが行われることがある。これら2つの任意選択のステップの順序は入れ替えられてもよく、露光後堆積ステップ(ブロック1324)がPEB(ブロック1322)の前に行われてもよい。
【0063】
ここで、本発明の例示的な実施形態を要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本願の特許請求の範囲から理解され得る。
【0064】
実施例1.基板を加工する方法であって、基板の上に、アルコキシ基を末端に有する金属酸化物のネットワークを含む極紫外線(EUV)活性フォトレジスト膜を形成するステップと、EUVリソグラフィによってEUV活性フォトレジスト膜をパターニングするステップとを含む方法。
【0065】
実施例2.アルコキシ基の1つ又は複数が、酸素に対してβ位に水素を含む、実施例1に記載の方法。
【0066】
実施例3.金属酸化物が酸化スズである、実施例1又は2に記載の方法。
【0067】
実施例4.アルコキシ基が、エトキシド、イソプロポキシド、tert-ブトキシド、シクロヘキシルアルコキシド、シクロヘキセンアルコキシド、又はシクロヘキサジエンアルコキシドを含む、実施例1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0068】
実施例5.アルコキシ基の1つ又は複数を末端に有する金属化合物を金属前駆体から生成するステップをさらに含み、金属化合物が、ネットワークを形成するための中間体であり、金属化合物を金属前駆体から生成するステップが、金属前駆体を含む蒸気に基板を曝露すること、及び金属前駆体をアルコールに曝露することを含み、EUV活性フォトレジスト膜を形成するステップが、金属化合物を酸化剤に曝露して、金属化合物の配位子の1つ又は複数を置換することによって金属-酸素-金属結合を形成することを含む、実施例1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0069】
実施例6.EUV活性フォトレジスト膜を形成するステップが、金属アルコキシドを含む蒸気に基板を曝露することによって、金属アルコキシドを含む層を基板の上に堆積すること、及び金属アルコキシドを含む層を酸化剤に曝露して、金属アルコキシドの1つ又は複数の配位子を置換することによって金属-酸素-金属結合を形成することを含む、実施例1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0070】
実施例7.酸化剤が、酸素、オゾン、水、空気、又は過酸化水素を含む、実施例1~6のいずれか一つに記載の方法。
【0071】
実施例8.蒸気と酸化剤とが、基板を保持する加工チャンバ内に同時に導入される、実施例1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0072】
実施例9.形成するステップが、プラズマ加工チャンバ内で、金属アルコキシドを含む蒸気に基板を曝露することによって、金属アルコキシドを含む層を基板の上に堆積すること、及び金属アルコキシドを含む層を、プラズマ加工チャンバ内で生成された酸素ラジカルに曝露することによって酸化して、金属酸化物のネットワークを形成することを含む実施例1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0073】
実施例10.EUV活性フォトレジスト膜をパターニングするステップが、露光されたEUV活性フォトレジスト膜中のアルコキシ基の1つ又は複数をヒドロキシ基に変換すること、及びヒドロキシ基を変換して、金属酸化物のネットワーク中に追加の金属-酸素-金属結合を形成することを含む、実施例1~9のいずれか一つに記載の方法。
【0074】
実施例11.プラズマ加工チャンバ内で基板を加工する方法であって、プラズマ加工チャンバ内の基板を、EUV金属前駆体を含む第1の蒸気に曝露するステップと、酸素に対してβ位に水素を有するアルコールを含む第2の蒸気にプラズマ加工チャンバ内の基板を曝露するステップと、プラズマ加工チャンバ内の基板を、酸化剤を含む第3の蒸気に曝露することによって、EUV金属アルコキシドを含むフォトレジスト膜を基板の上に形成するステップと、EUVリソグラフィによってフォトレジスト膜をパターニングするステップとを含む方法。
【0075】
実施例12.EUV金属がスズであり、基板を第1の蒸気に曝露するステップが、スズ前駆体を基板に化学的に吸着することを含み、基板を第2の蒸気に曝露するステップが、アルコールを、吸着されたスズ前駆体と反応させて、スズアルコキシ基を生成することを含み、基板を第3の蒸気に曝露するステップが、吸着されたスズ前駆体を酸化して、スズ-酸素-スズ結合を含むスズ酸化物ネットワークを形成することを含む、実施例11に記載の方法。
【0076】
実施例13.第1の蒸気への基板の曝露と、第2の蒸気への基板の曝露とを複数回交互に行うステップと、第1の蒸気への基板の曝露と第2の蒸気への基板の曝露との合間に、パージ又は脱気ステップを行って、第1の蒸気、第2の蒸気、又はそれら両方の残留部分を除去するステップとをさらに含む、実施例11又は12に記載の方法。
【0077】
実施例14.第1の蒸気への基板の曝露と、第2の蒸気への基板の曝露とを複数回交互に行うステップをさらに含み、第1の蒸気への基板の曝露と、第2の蒸気への基板の曝露とが時間的に重複される、実施例11~13のいずれか一つに記載の方法。
【0078】
実施例15.極紫外線(EUV)リソグラフィの方法であって、EUV活性フォトレジスト層を基板の上に形成するステップであって、EUV活性フォトレジスト層が、アルコキシ基を末端に有する酸化スズのネットワークを含む、ステップと、パターンを含む光学マスクを通過したEUV照射に基板を曝露して、EUV活性フォトレジスト層の露光領域を形成するステップであって、露光領域内の1つ又は複数のアルコキシ基がβ水素除去を受けて、アルケンを除去することによって水酸化スズを生成するステップと、EUV活性フォトレジスト層を現像するステップとを含む方法。
【0079】
実施例16.基板をEUV照射に曝露した後、露光後ベークを行って、水酸化スズのヒドロキシ基を縮合させることによってスズ-酸素-スズ結合を形成するステップをさらに含む、実施例15に記載の方法。
【0080】
実施例17.EUV活性フォトレジスト層を現像するステップが、EUV活性フォトレジスト層の未露光領域を除去する、実施例15又は16に記載の方法。
【0081】
実施例18.EUV活性フォトレジスト層を現像するステップが、ウェットプロセスによって行われる、実施例15~17のいずれか一つに記載の方法。
【0082】
実施例19.EUV活性フォトレジスト層を現像するステップが、プラズマプロセス、熱プロセス、又はそれら両方を使用するドライプロセスによって行われる、実施例15~18のいずれか一つに記載の方法。
【0083】
実施例20.領域選択的な堆積プロセスを行って、EUV活性フォトレジスト層の露光領域の上に選択的に材料層を形成するステップを、EUV活性フォトレジスト層を現像する前にさらに含む、実施例15~19のいずれか一つに記載の方法。
【0084】
本発明について、複数の例示的な実施形態を参照して記述してきたが、限定的な意味で解釈されることを意図されない。例示的な実施形態の様々な変更形態及び組み合わせ並びに本発明の他の実施形態は、上の記述を参照して当業者に明らかになるであろう。したがって、添付の請求項は、そのような変更形態又は実施形態を包含することを意図する。
【国際調査報告】