(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】半導体プロセスチャンバへの初期ウエハ効果をなくす方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024529695
(86)(22)【出願日】2022-10-21
(85)【翻訳文提出日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 US2022047476
(87)【国際公開番号】W WO2023096717
(87)【国際公開日】2023-06-01
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒルケン, マーティン
(72)【発明者】
【氏名】グエン, フイ キュー.
(72)【発明者】
【氏名】シャー, カルティーク
(57)【要約】
本明細書に開示される実施形態は、初期ウエハ効果を緩和するためにチャンバ性能を監視する方法を含む。一実施形態において、最適なチャンバ条件を決定する方法は、チャンバがアイドル状態になった後で、幾つかの基板のためにレシピを実行する間にパラメータを監視することを含む。一実施形態において、本方法は、パラメータの再現性がいつ安定性仕様を満たすかを判定することをさらに含む。一実施形態において、本方法はパラメータを記録することに進みうる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最適なチャンバ条件を決定する方法であって、
チャンバがアイドル状態になった後で、幾つかの基板のためにレシピを実行する間にパラメータを監視することと、
前記パラメータの再現性がいつ安定性仕様を満たすかを判定することと、
前記パラメータを記録することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記幾つかの基板が最大25個の基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記幾つかの基板が最大5個の基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータが、基板交換操作の開始時又は基板交換操作の開始近くに測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記安定性仕様が約0.1%と約25%との間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記安定性仕様が約3%である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記パラメータが仮想センサを用いて測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
チャンバを暖機する方法であって、
暖機ルーチンのエンドポイントを示す格納されたセンサデータを取得することと、
センサデータが前記格納されたセンサデータの値を下回るときには、前記暖機ルーチンを開始することと、
前記センサデータが前記格納されたセンサデータの前記値以上であるときには、前記暖機ルーチンを停止することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記暖機ルーチンが、1つ以上のランプをつけることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記暖機ルーチンがプラズマ源を起動することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記センサデータが、2つ以上の物理的センサの読取値に基づく計算された値である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記暖機ルーチンが停止された後に、基板が前記チャンバ内にロードされる、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記格納されたセンサデータの前記値が、基板ローディングイベント時のセンサの値と実質的に等しい、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記センサデータが仮想の温度測定値である、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記方法は、前記チャンバがアイドリング状態になった後に実行される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記アイドリング状態が、ダミー基板を循環させることを含まない、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
チャンバを暖機する方法であって、
暖機ルーチンのエンドポイントを示す格納された仮想センサデータを取得することであって、前記格納された仮想センサデータが、2つ以上の物理的センサの読取値に基づく計算された値である、格納された仮想センサデータを取得することと、
仮想センサデータが前記格納された仮想センサデータの値を下回るときには、前記暖機ルーチンを開始することであって、前記暖機ルーチンが1つ以上のランプをつけることを含む、前記暖機ルーチンを開始することと、
前記仮想センサデータが前記格納された仮想センサデータの前記値以上であるときには、前記暖機ルーチンを停止することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記方法は、前記チャンバがアイドリング状態になった後に実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記アイドリング状態が、ダミー基板を循環させることを含まない、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記格納された仮想センサデータが、基板ローディングイベント時の仮想センサの値と実質的に等しい、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年11月23日に出願された米国特許出願第17/534,116号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書で援用される。
【技術分野】
【0002】
実施形態は、半導体製造の分野に関し、特に、半導体処理チャンバ内で初期ウエハ効果を緩和するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体製造環境内のプロセスチャンバは、当該チャンバ内で処理される基板(例えば、ウエハ)上で正確な結果をもたらすために、慎重に較正される。アイドリング状態になっているプロセスチャンバは、自身の最適な稼働条件から外れることになる。アイドリング状態の直後に処理された基板では、膜特性又は他の処理特性にしばしば差異が見られる。望ましい結果からのこのようなドリフトは、初期ウエハ効果(FWE:first wafer effect)としばしば称される。
【0004】
FWEを最小に抑えるために、チャンバは周期的なコンディショニングレシピを実行することが可能である。このようなレシピでは、ダミー基板をチャンバ内で循環させる。このようなプロセスはFWEを軽減しうるが、このような処理にはコストが掛る。例えば、チャンバへの電力供給のコスト、消耗材料(例えばガス)のコスト、及びダミー基板のコストに因る稼働コストの増加が見られる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、初期ウエハ効果を緩和するためにチャンバ性能を監視する方法を含む。一実施形態において、最適なチャンバ条件を決定する方法は、チャンバがアイドル状態になった後で、幾つかの基板のためにレシピを実行する間にパラメータを監視することを含む。一実施形態において、本方法は、パラメータの再現性がいつ安定性仕様を満たすかを判定することをさらに含む。一実施形態において、本方法はパラメータを記録することに進みうる。
【0006】
本方法は、幾つかの実施形態において、チャンバを暖機する方法も含みうる。一実施形態において、本方法は、暖機ルーチンのエンドポイントを示す格納されたセンサデータを取得することを含む。一実施形態において、本方法は次いで、センサデータが格納されたセンサデータの値を下回るときには、暖機ルーチンを開始することを含みうる。一実施形態において、本方法は、センサデータが格納されたセンサデータの値以上であるときには、暖機ルーチンを停止することをさらに含みうる。
【0007】
一実施形態において、チャンバを暖機する方法は、暖機ルーチンのエンドポイントを示す格納された仮想センサデータを取得することを含みうる。一実施形態において、格納された仮想センサデータが、2つ以上の物理的センサの読取値に基づく計算された値である。一実施形態において、本方法は、仮想センサデータが、格納された仮想センサデータの値を下回るときには、暖機ルーチンを開始することをさらに含みうる。一実施形態において、暖機ルーチンが1つ以上のランプをつけることを含む。一実施形態において、本方法は、仮想センサデータが格納された仮想センサデータの値以上であるときには、暖機ルーチンを停止することをさらに含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る、チャンバのアイドリングイベント後の、複数の基板を処理するためのプロセスレシピの間のセンサの記録された値のグラフである。
【
図2A】一実施形態に係る、チャンバのアイドリングイベント後の複数の基板の表面に亘るラインスキャンである。
【
図2B】一実施形態に係る、チャンバのアイドリングイベント及び暖機ルーチンの後の複数の基板の表面に亘るラインスキャンである。
【
図3A】一実施形態に係る、チャンバのアイドリングイベント後の暖機ルーチンが行われない複数の基板の処理の経過に対する、仮想センサの読取値のグラフである。
【
図3B】一実施形態に係る、チャンバのアイドリングイベント後の暖機ルーチンが行われた複数の基板の処理の経過に対する、仮想センサの読取値のグラフである。
【
図4】一実施形態に係る、最適なチャンバ条件に対応するパラメータを記録するためのプロセスのフロー図である。
【
図5】一実施形態に係る、チャンバのアイドリングイベント後にチャンバを暖機するためのプロセスのフロー図である。
【
図6】チャンバのアイドリングイベント後にチャンバを暖機し、基板のロットの処理を開始するためのプロセスのフロー図である。
【
図7】一実施形態に係る、処理ツールと併用されうる例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載されるシステムは、半導体処理チャンバ内の初期ウエハ効果を緩和するプロセスを含む。以下の説明においては、実施形態の網羅的な理解を提供するために数多くの具体的な詳細事項が記載される。当業者には、これらの具体的な詳細がなくとも実施形態が実施されうることが明らかであろう。他の例では、実施形態が不必要に不明瞭とならないように、周知の観点については詳細に説明していない。さらに、添付の図面で示された様々な実施形態は、例示的な表現であり、必ずしも縮尺どおりに描かれていないと理解されたい。
【0010】
上述したように、周期的なコンディショニングレシピが、現在では初期ウエハ効果(FWE)を緩和するために使用されている。しかしながら、このようなプロセスによって、結果的にチャンバの稼働コストが増加する。これに対応して、本明細書に開示される実施形態は、チャンバのアイドリングイベント後に生じるFWEを緩和するために設計されたチャンバ暖機ルーチンを含む。従って、周期的なコンディショニングレシピを実行する必要なく、チャンバがアイドリング状態に保たれうる。即ち、チャンバを最適な稼働状態に保つためにダミーウエハを処理する必要がなくなりうる。
【0011】
一実施形態において、チャンバ暖機ルーチンによって、チャンバは、最初の基板がチャンバ内にロードされる前に、最適な稼働状態に戻される。最適な稼働条件は、処理動作の以前の反復において特定されうる。例えば、システムは、基板のロットの最初にある幾つかの基板を監視することができる。後続の基板のセンサデータが、安定性仕様の範囲内(例えば、差が0.1%と25%との間)にあるときには、センサデータが将来の使用のために格納される。センサデータは、1つ又は複数のセンサから取得することができる。特定の実施形態において、所与の時間のセンサデータが将来の使用のために格納される。例えば、基板がチャンバに挿入された時間又はチャンバから引き出された時間のチャンバ条件を再現することは、チャンバがいつ適切に暖機されるかを判定するための良い指標値(metric)であることが示されている。
【0012】
一実施形態において、格納されたセンサデータは、暖機ルーチンによってチャンバがいつ最適な稼働状態に戻ったかを判定するための指標値として使用されうる。一実施形態において、センサデータが温度値でありうる。幾つかの実施形態において、センサデータが、チャンバの状態を直接的に検出する物理的センサでありうる。他の実施形態において、センサデータが、仮想センサから供給されうる。仮想センサは、1つ以上の物理的センサ(例えば、流量センサ、圧力センサ、バタフライバルブの制御角度など)からのソースデータを使用して計算された値を提供する。即ち、仮想センサは、直接的に測定することが困難又は不可能なチャンバ状態のセンサデータを提供することができる。
【0013】
ここで
図1を参照すると、一実施形態に係る、複数の基板の処理についてのセンサデータのグラフが示されている。特定の実施形態において、
図1のデータを提供するために使用されるセンサは、最初の5個の基板の間のバタフライバルブの角度フィードバックの変化である。他の実施形態において、
図1のデータを提供するために使用されるセンサは、仮想センサ(例えば、仮想角度フィードバックセンサ)である。センサ種の一例として角度フィードバックセンサが提供されているが、他の種類のセンサ(例えば、圧力センサ、ガス流量センサ、温度センサなど)、又は異なるセンサの組み合わせが、本明細書に開示される実施形態において使用されうると理解されたい。
【0014】
一実施形態において、
図1のグラフ内の各線は、処理された異なる基板のセンサ値を表している。一実施形態において、処理された基板は、チャンバアイドリングイベント後の最初の基板でありうる。従って、FWEが
図1に示されている。
図1のグラフに示すように、最初の基板は、後続の基板よりも低い値を有する。特に、基板は全て、互いにばらつきを示している。しかしながら、より多くの基板が処理されるにつれて、基板間のばらつきが小さくなっている。例えば、第1の基板W1と第2の基板W2の間の差は、第5の基板W5と第10の基板W10の間の差よりも大きい。
【0015】
図1のセンサの出力値の差によって、結果的に基板の結果が不均一になる。例えば、膜特性(例えば、厚さ、組成、均一性など)が、処理された基板の間で異なりうる。このばらつきにより、結果的に、所望の仕様に適合しない基板が発生しうる。従って、基板が廃棄されることがあり、又は、基板のばらつきによって、デバイスの性能や歩留まりの問題がプロセスフローの後半で引き起こされることがある。
【0016】
FWEによって生じた膜の不均一性の一例が
図2Aに示されている。
図2Aは、基板の表面に亘るラインスキャン(例えば、49ポイントのラインスキャン)である。図示されるように、第1の基板1(暖機なし)は、第2の基板2及び第3の基板3よりも値が著しく低い。場合によっては、第1の基板1と、第2の基板2及び第2の基板3と、の間の差が許容公差を超えうる。従って、第1の基板1は、廃棄又は再加工することが必要となりうる。
【0017】
これに対応して、本明細書に開示される実施形態は、
図2Aに示すFWEを緩和する暖機ルーチンを含む。例えば、
図2Bは、暖機ルーチンが使用されたときの基板1~3の表面に亘るラインスキャンを示している。図示されるように、第1の基板1と、第2の基板2と、第3の基板3とはそれぞれ、実質的に同様の結果を有する。即ち、基板1~3のばらつきが小さい。従って、以前に記載したFWEが回避されている。
【0018】
ここで
図3Aを参照すると、一実施形態に係る、複数の基板の処理の経過に対する、仮想センサの読取値のグラフが示されている。仮想センサデータのグラフに重ねて、基板がいつチャンバに挿入され及び/又はいつチャンバから引き抜かれたかについての表示がある。即ち、ピーク310は、チャンバへの基板の挿入及び/又はチャンバからの基板の引き抜きに対応している。最初の基板挿入が、アイドリング期間311の後に実行されている。例えば、アイドリング期間は任意の期間でありうる。幾つかの実施形態において、アイドリング期間は、1分以上、1時間以上、又は1日以上でありうる。従って、仮想センサの最初のピーク312は、後続のピークとは異なりうる。例えば、最初のピーク312は後続のピークよりも低い。従って、最初の基板は、FWEに悩まされている可能性がある。
【0019】
ここで
図3Bを参照すると、一実施形態に係る、複数の基板の処理の経過に対する、仮想センサの読取値のグラフが示されている。
図3Bのグラフは、最初の基板交換310の前に暖機ルーチン314が実行されている点で、
図3Aのグラフとは異なっている。図示されるように、仮想センサの出力値が、最初の基板交換310の前に上がっている。暖機ルーチン314によって、結果的に、仮想センサデータの後続のピーク312が実質的に均一になっている。従って、実質的にFWEが存在しない。
【0020】
一実施形態において、暖機ルーチンは、後続の基板交換のインスタンスでのチャンバの状態と実質的に同様の状態を提供するよう、調整されうる。例えば、仮想センサの値は、基板交換の各インスタンスにおいて実質的に類似している。場合によっては、基板交換は、仮想センサの読取値の各ピーク312の最後尾で発生する。このように、暖機ルーチン314によって、仮想センサの出力値が上げられ、かつ、次のピークを形成するために増加する前の、仮想センサの出力値の短時間の低下が可能となる。このような実施形態によって、アイドリングイベント311後の最初の基板を、あたかも最初の基板の前に1つ以上の基板が処理されているかのように処理することが可能となる。これに対応して、FWEは回避されている。
【0021】
次に
図4を参照すると、一実施形態に係る、アイドリングイベント後の最適なチャンバ状態を学習するためのプロセス480のフロー図が示されている。一実施形態において、プロセス480は、チャンバがアイドリング状態になった後に開始されうる。例えば、アイドリングイベントは、チャンバが基板を処理していない期間(例えば、数秒、数分、数時間、数日)でありうる。幾つかの実施形態において、アイドリングイベント中に、コンディショニングレシピによってチャンバを循環する基板(例えば、ダミー基板)が存在しないことがある。従って、チャンバの稼働コストが削減される。
【0022】
一実施形態において、プロセス480は、基板のロットの始まりにある幾つかの基板のためにレシピを実行する間パラメータを監視することを含む工程481により開始されうる。一実施形態において、レシピが、チャンバの暖機なしで開始されうる。即ち、基板のうちの1つ以上がFWEを示しうることが予期される。一実施形態において、幾つかの基板は、3個以上の基板でありうる。幾つかの実施形態において、幾つかの基板は最大25個の基板でありうる。特定の実施形態において、幾つかの基板は5個の基板でありうる。
【0023】
一実施形態において、監視されているパラメータが、レシピ実行中のチャンバの任意の状態でありうる。例えば、パラメータは、圧力、温度、又は1つ以上のガスの流量などでありうる。幾つかの実施形態において、複数のパラメータが工程481の間に監視されうる。一実施形態において、パラメータが物理的センサによって検出されうる。他の実施形態において、パラメータが仮想センサによって測定されうる。
【0024】
一実施形態において、プロセス480が工程482に進むことができ、工程482は、パラメータの再現性がいつ安定性仕様を満たすかを判定することを含む。パラメータの再現性とは、監視されるパラメータが、レシピ中の所与の点にどの程度不変である(consistent)かを意味しうる。例えば、基板交換操作時又は基板交換操作のころの再現性が高いと、より一貫した(consistent)基板結果(例えば、均一な膜特性)につながることが示されている。従って、パラメータの再現性を判定するために使用されるレシピ中の点は、基板交換操作時又は基板交換操作のころに存在しうる。
【0025】
一実施形態において、安定性仕様とは、レシピの後続の反復間のパーセンテージ差を意味する。幾つかの実施形態において、安定性仕様が約0.1%と厳しい場合がある。他の実施形態において、安定性仕様が最大約25%でありうる。特定の実施形態において、安定性仕様が約3%でありうる。即ち、レシピ中の特定の時間(例えば、基板交換の間又は基板交換のころ)には、センサ(又は仮想センサ)の出力値が安定性仕様の範囲内にありうる。
【0026】
一実施形態において、プロセス480は工程483に進むことができ、工程483は、パラメータを記録することを含む。即ち、パラメータが安定性仕様を満たすときには、センサの出力が記録される。記録されたパラメータは、チャンバがいつ十分に暖機されるかを判定するための基準として使用することができる。例えば、熱プロセスの場合には、アイドリング中のチャンバが、基板処理を開始する前に、記録されたパラメータと一致する温度まで加熱されうる。このようにして、FWEが制限され又は完全に回避されうる。
【0027】
ここで
図5を参照すると、一実施形態に係る、アイドリングイベント後にチャンバを暖機するためのプロセス590のフロー図が示されている。一実施形態において、アイドリングイベントは、製造基板を処理するために直近で使用されていないチャンバを指しうる。一実施形態において、アイドリングイベントは、数秒、数分、数時間、数日、又はそれより長い期間を有しうる。アイドリングイベントの間、コンディショニングレシピ中に非製造用基板(例えばダミー基板)を循環させる必要性がないこともある。
【0028】
一実施形態において、プロセス590は、暖機ルーチンのエンドポイントを示す格納されたセンサデータを取得することを含む工程591により開始されうる。一実施形態において、格納されたセンサデータは、1つ以上の物理的センサ及び/又は1つ以上の仮想センサからのものでありうる。特定の実施形態において、格納されたセンサデータは、先により詳細に記載したプロセス480と同様のプロセスを使用して生成されうる。即ち、格納されたデータは、FWEを軽減し又はなくすためにチャンバが適切に暖機されていることを示すデータでありうる。場合によっては、格納されたデータは、学習された値又は設定値と称されうる。暖機ルーチンのエンドポイントはレシピ固有でありうると理解されたい。即ち、エンドポイントは、様々なプロセスレシピについて異なりうる。幾つかの実施形態において、エンドポイントが、プロセス時間、プロセス温度、又は任意の他のプロセスパラメータでありうる。
【0029】
実施形態において、プロセス590は工程592に進むことができ、工程592は、センサデータが、格納されたセンサデータの値を下回るときには暖機ルーチンを開始することを含む。例えば、幾つかの実施形態において、上記値が温度でありうる。測定された温度(又は、仮想センサを使用して計算された温度)が、格納されたセンサデータの値を下回るときには、チャンバは、格納されたセンサデータの値まで温度を上げるために1つ以上のプロセスを開始することができる。例えば、熱処理のためのチャンバ内では、温度を上げるために1つ以上のランプをつけることができる。他の実施形態において、チャンバを学習された設定値と一致する状態にするために、様々な処理工程、例えば、プラズマ源の作動、サセプタの回転、ピンの昇降、チャンバ内へのガスの流れの変更、圧力の変更、及び任意の他のチャンバ制御を実行することができる。
【0030】
一実施形態において、プロセス590は工程592に進むことができ、工程592は、センサデータが学習された値以上であるときには暖機ルーチンを停止することを含む。1つ以上のセンサが学習された値に達すると、暖機工程は完了したと見做される。即ち、チャンバは、所定のレシピを連続的に実行するチャンバの状態と実質的に一致する状態にある。従って、最初の基板が処理されたときに、その結果がFWEを示さず又は少なくとも、FWEの大きさ及び/又は期間が低減されることが予期される。
【0031】
このようなプロセス(例えば、プロセス480又はプロセス590)は、半導体製造環境に典型的な任意の種類の処理チャンバ内で実行できると理解されたい。特定の実施形態において、FWEをなくすことが、ラジカル酸化プロセスを実行するチャンバといったサーマルチャンバで実現される。このような実施形態では、基板交換の時間又は基板交換の時間のころの温度が、FWEの有無に強く相関することが示されている。従って、後続の基板交換の温度と一致するよう温度を上げることで、最初の基板が最小のFWEで処理される。
【0032】
本明細書では、熱処理を含む実施形態が詳細に記載されたが、実施形態はこのような処理ツールに限定されないと理解されたい。例えば、プラズマプロセスを利用するチャンバも、本明細書に記載される1つ以上の実施形態を利用することができる。さらに、温度が、センサ(又は仮想センサ)出力値のうちの1つとして明示的に記載されているが、様々なセンサタイプ又は様々なセンサタイプの組み合わせが、アイドル状態にあったチャンバ内で様々な種類の半導体処理レシピのFWEを緩和し又はなくすために使用されうると理解されたい。
【0033】
ここで
図6を参照すると、一実施形態に係る、暖機ルーチンを自動的に使用するためのプロセス670のフロー図が示されている。このような実施形態では、処理ツールのオペレータが、暖機機能をレシピ又はプロセスシーケンスの一部として有効にする。暖機機能が有効になった後で、ツールは、そのレシピの重要なセンサデータを自動的に収集する。安定したセンサデータ値が学習されたときには、その値は準備データベースに格納される。レシピが実行されるたびに、ユーザー定義の最大アイドル時間(例えば、1分以上、1時間以上など)後に、ソフトウェアによってプロセス670が実行される。
【0034】
一実施形態において、工程670は、学習されたデータを特定のチャンバタイプのために開発された暖機ルーチンにインポートすることを含む工程671により開始されうる。一実施形態において、学習されたデータは、先により詳細に記載したプロセス480と同様のプロセスを使用して取得することができる。
【0035】
一実施形態において、プロセス670は工程672に進むことができ、工程672は、特定のチャンバタイプのチャンバを含むツールに基板のロットが到達すると、暖機ルーチンを実行することを含む。例えば、前方開口型統一ポッド(FOUP:front opening unified pod)がツールに到達すると又はFOUPドアが開けられたときに、暖機ルーチンが開始されうる。しかしながら、幾つかの実施形態において、暖機ルーチンは、FOUPがツールに到達する前に開始されうると理解されたい。
【0036】
一実施形態において、プロセス670は工程673に進むことができ、工程673は、暖機ルーチン中に、基板のロットからの最初の基板をチャンバ交換位置に送ることを含む。最初の基板を交換位置に移動させることで、暖機条件に達した直後に基板を処理することが可能となる。従って、FWEが低減される。
【0037】
一実施形態において、プロセス670は工程674に進むことができ、工程674は、暖機ルーチンが完了し次第最初の基板をチャンバ内にロードすることを含む。一実施形態において、暖機ルーチンが完了した後に、最初の基板が直ぐにロードされる。即ち、暖機ルーチンの終了に続いて、最初の基板をチャンバ内にロードする指示がある。他の実施形態において、最初の基板が、暖機ルーチンの完了から数秒以内又は暖機ルーチンの完了から1分以内に、チャンバ内にロードされうる。最初の基板がチャンバ内にロードされた後で、最初の基板がレシピに従って処理されうる。
【0038】
ここで
図7を参照すると、処理ツールの例示的なコンピュータシステム700を示すブロック図が、一実施形態に従って示されている。一実施形態において、コンピュータシステム700が処理ツールに接続されており、処理ツール内での処理を制御する。コンピュータシステム700は、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて、他のマシンに接続され(例えばネットワーク化され)うる。コンピュータシステム700は、クライアント-サーバネットワーク環境においてはサーバ若しくはクライアントマシンとして、又は、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境においてはピアマシンとして動作しうる。コンピュータシステム700は、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB:set-top box)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、そのマシンによって行われる動作を規定する(連続した又は別様の)一連の命令を実行可能な任意のマシンでありうる。さらに、コンピュータシステム700として単一のマシンのみを示しているが、「マシン(machine)」という用語は、本明細書に記載の方法のうちの任意の1つ以上を実行するために、命令のセット(又は複数のセット)を個々に、又は連携的に実行するマシン(例えば、コンピュータ)の任意の集合体を含むとも解釈される。
【0039】
コンピュータシステム700は、命令が格納された非一過性のマシン可読媒体を有するコンピュータプログラム製品、又はソフトウェア722を含んでよく、これらの命令は、実施形態に係る処理を実施するコンピュータシステム700(又は、他の電子機器)をプログラムするために使用されうる。マシン可読な媒体は、マシン(例えばコンピュータ)によって読み出し可能な形態により情報を格納又は伝送するための任意のしくみを含む。例えば、マシン可読(例えばコンピュータ可読)な媒体は、マシン(例えばコンピュータ)可読な記憶媒体(例えば、読み出し専用メモリ(ROM:read only memory)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等)、マシン(例えばコンピュータ)可読な伝送媒体(電気的形態、光学的形態、音響的形態、又はその他の形態による伝播信号(例えば赤外線信号、デジタル信号等))等を含む。
【0040】
一実施形態において、コンピュータシステム700は、バス730を介して互いに通信し合う、システムプロセッサ702、メインメモリ704(例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM:synchronous DRAM)又はランバスDRAM(RDRAM:Rambus DRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory))、スタティックメモリ706(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)など)、及び二次メモリ718(例えば、データ記憶装置)を含む。
【0041】
システムプロセッサ702は、マイクロシステムプロセッサ、中央処理装置といった1つ以上の汎用処理装置のことである。より詳細には、システムプロセッサは、複合命令セット演算(CISC:complex instruction set computing)マイクロシステムプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC:reduced instruction set computing)マイクロシステムプロセッサ、超長命令語(VLIW:very long instruction word)マイクロシステムプロセッサ、他の命令セットを実行するシステムプロセッサ、又は、命令セットの組み合わせを実行するシステムプロセッサでありうる。システムプロセッサ702は、特定用途向け集積回路(ASIC: application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタル信号システムプロセッサ(DSP:digital signal system processor)、ネットワークシステムプロセッサ等といった、1つ以上の特殊用途処理装置でもありうる。システムプロセッサ702は、本明細書に記載の工程を実行するための処理ロジック726を実行するよう構成される。
【0042】
コンピュータシステム700は、他の装置又はマシンと通信するためのシステムネットワークインタフェースデバイス708をさらに含みうる。コンピュータシステム700は、映像プレイユニット710(例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、発光ダイオードディスプレイ(LED:light emitting diode)、又は陰極線管(CRT:cathode ray tube))、英数字入力装置712(例えば、キーボード)、カーソル制御装置714(マウスなど)、及び信号生成装置716(例えば、スピーカ)も含みうる。
【0043】
二次メモリ718は、本明細書に記載の方法又は機能の任意の1つ以上を具現化する1つ以上の命令セット(例えば、ソフトウェア722)が格納されたマシンアクセス可能な記憶媒体732(又は、より具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)を含みうる。このソフトウェア722は、コンピュータシステム700によって実行されている間、完全に又は少なくとも部分的に、メインメモリ704及び/又はシステムプロセッサ702の中にも常駐していてよく、メインメモリ704及びシステムプロセッサ702は、マシン可読な記憶媒体も構成しうる。ソフトウェア722はさらに、システムネットワークインタフェースデバイス708を介してネットワーク720上で送信又は受信されうる。一実施形態において、ネットワークインタフェースデバイス708は、RF結合、光結合、音響結合、又は誘導結合を用いて動作しうる。
【0044】
例示的な一実施形態において、マシンアクセス可能な記憶媒体732を単一の媒体として示しているが、「マシン可読な記憶媒体(machine-readable storage medium)」という用語は、1つ以上の命令セットが格納された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、及び/又は、関連するキャッシュ及びサーバ)を含むものと解釈すべきである。「マシン可読な記憶媒体」という用語はまた、マシンによって実行される命令のセットを格納又はコード化することが可能であり、かつ、方法のうちの任意の1つ以上をマシンに実行させる任意の媒体を含むとも解釈すべきである。従って、「マシン可読な記憶媒体」という用語は、固体メモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むがこれらに限定されないと解釈すべきである。
【0045】
前述の明細書において、特定の例示的な実施形態について記載してきた。以下の特許請求の範囲を逸脱することなく、例示の実施形態に様々な変更を加えられることが明らかとなろう。これに対応して、本明細書及び図面は、限定を意味するのではなく、例示を意味すると見なすべきである。
【国際調査報告】