(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-13
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 64/06 20060101AFI20241106BHJP
【FI】
C08G64/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530009
(86)(22)【出願日】2023-08-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 KR2023012404
(87)【国際公開番号】W WO2024043663
(87)【国際公開日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】10-2022-0107093
(32)【優先日】2022-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0155556
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0155560
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0155561
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0155562
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】イル・ファン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】キョンムン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェスン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンウ・ベク
(72)【発明者】
【氏名】スンミン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】スンムク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ・ジン・イム
【テーマコード(参考)】
4J029
【Fターム(参考)】
4J029AA09
4J029AB01
4J029AB04
4J029AB07
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD10
4J029AE04
4J029BB13A
4J029BC09
4J029BF03
4J029BF12
4J029BF20
4J029HA01
4J029HC05A
4J029KB02
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE03
4J029KE06
4J029KE08
(57)【要約】
本明細書は、高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sであるポリカーボネート樹脂に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sであるポリカーボネート樹脂。
【請求項2】
下記化学式1の第1単位;下記化学式2の第2単位;および下記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂:
【化1】
前記化学式1において、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、2個の前記R101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、2個の前記R102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
pは1~6の整数であり、
前記m、n、およびpがそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化2】
前記化学式2において、
X5~X8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
m’およびn’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’は1~6の整数であり、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r13、r14、m’、n’、およびp’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化3】
前記化学式3において、
X9~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
m’’およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’’は1~6の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
前記r15、r16、m’’、n’’、およびp’’がそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項3】
前記ポリカーボネート樹脂は、下記化学式1の第1単位;下記化学式2の第2単位;および下記化学式3の第3単位を含む、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂:
【化4】
前記化学式1において、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、2個の前記R101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、2個の前記R102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
pは1~6の整数であり、
前記m、n、およびpがそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化5】
前記化学式2において、
X5~X8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
m’およびn’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’は1~6の整数であり、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r13、r14、m’、n’、およびp’がそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化6】
前記化学式3において、
X9~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
m’’およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’’は1~6の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
前記r15、r16、m’’、n’’、およびp’’がそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【請求項4】
高剪断粘度が250℃で30Pa・s~260Pa・sである、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂。
【請求項5】
屈折率が587nmで1.6~1.8である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂。
【請求項6】
溶融指数(MI)が150以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂。
【請求項7】
前記化学式2は、下記化学式2-1および2-2のいずれか一つ以上である、請求項2または3に記載のポリカーボネート樹脂:
【化7】
前記化学式2-1および2-2において、
*、X5~X8、Z3、Z4、R13、r13、R14、r14、n’、m’、およびp’の定義は、前記化学式2における定義と同様であり、
R23~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r23~r26はそれぞれ1~3の整数であり、
r27およびr28はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r23~r28がそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【請求項8】
2以上の前記化学式2の第2単位を含む、請求項2または3に記載のポリカーボネート樹脂。
【請求項9】
下記化学式1aの化合物;
下記化学式2aの化合物;
下記化学式3aの化合物;および
ポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sである、ポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化8】
前記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、2個の前記R101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、2個の前記R102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
前記mおよびnがそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
【化9】
前記化学式2aおよび3aにおいて、
X5~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Z3~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R13~R16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
m’、m’’、n’、およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
前記r13~r16、m’、m’’、n’、およびn’’がそれぞれ2以上である場合、2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【請求項10】
前記化学式1aの化合物、前記化学式2aの化合物、および前記化学式3aの化合物が0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%で含まれる、請求項9に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記ポリカーボネート前駆体は、下記化学式Aの化合物である、請求項9に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法:
【化10】
前記化学式Aにおいて、
Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
a1およびa2はそれぞれ0または1である。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項13】
請求項12に記載のポリカーボネート樹脂組成物を含む成形品。
【請求項14】
前記成形品は、光学レンズである、請求項13に記載の成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年8月25日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0107093号、および2022年11月18日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0155556号、第10-2022-0155560号、第10-2022-0155561号、および第10-2022-0155562号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に含まれる。
【0002】
本明細書は、ポリカーボネート樹脂およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
各種レンズ、プリズム、光ディスク基板、光ファイバーなどのプラスチック光学製品および光学フィルムに用いられる光学材料として、光学ガラスもしくは光学樹脂が用いられている。光学ガラスは、耐熱性、透明性、寸法安定性、耐薬品性などに優れるが、材料コストが高く、成形加工性が悪く、生産性が低いという問題がある。
【0004】
一方、光学樹脂を含む光学材料は、射出成形により大量生産が可能である。光学樹脂として、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル-カーボネート樹脂などが用いられている。
【0005】
ただし、前記光学樹脂は、流動性が不十分であり、加工性に劣るという欠点がある。したがって、前述した精度が求められる物品の射出成形に適用することが困難な場合がある。前記樹脂を射出成形に適用するためには、成形温度、金型温度などを高くする必要があるが、成形サイクルが長くなり、成形コストが高くなるか、または成形中に樹脂の劣化、色の劣化などが発生することになる。
【0006】
これを解決するために、光学材料の成形時、樹脂の流動性を改良する方法として、粘度を低くするか、または重量平均分子量を低くし、低分子量オリゴマーを加え、分子量分布を広くするなどの方法が挙げられるが、耐熱性、耐衝撃性のような樹脂が本来有する優れた物性が低下する傾向がある。
【0007】
したがって、樹脂の利点を維持させながらも加工性を高める試みが続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書の一実施態様は、ポリカーボネート樹脂およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本明細書の一実施態様は、前述したポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物、および前記ポリカーボネート樹脂組成物から製造された成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書の一実施態様は、高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sであるポリカーボネート樹脂を提供する。
【0011】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1の第1単位;下記化学式2の第2単位;および下記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂を提供する。
【化1】
前記化学式1において、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、前記2個のR101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、前記2個のR102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
pは1~6の整数であり、
前記m、n、およびpがそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化2】
前記化学式2において、
X5~X8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
m’およびn’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’は1~6の整数であり、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r13、r14、m’、n’、およびp’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化3】
前記化学式3において、
X9~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
m’’およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’’は1~6の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
前記r15、r16、m’’、n’’、およびp’’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【0012】
また、本明細書の一実施態様は、下記化学式1aの化合物;下記化学式2aの化合物;下記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む前記ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sである、ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【化4】
前記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、前記2個のR101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、前記2個のR102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
前記mおよびnがそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
【化5】
前記化学式2aおよび3aにおいて、
X5~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Z3~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R13~R16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
m’、m’’、n’、およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
前記r13~r16、m’、m’’、n’、およびn’’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【0013】
本明細書のまた一つの実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネート樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0014】
本明細書のまた一つの実施態様は、前述した実施態様によるポリカーボネート樹脂組成物を含む成形品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本明細書の一実施態様によるポリカーボネート樹脂は、前述した高剪断粘度を満たし、樹脂よりも低いため、分子弛緩時間が短く、射出金型内で冷却時間が速く、加工性に優れる。
【0016】
本明細書の一実施態様によるポリカーボネート樹脂を用いることで、厚さの薄い優れた光学レンズ、光学フィルム、光学薄膜、光学樹脂、光ファイバー、またはLED encapを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0018】
本明細書の一実施態様によるポリカーボネート樹脂は、高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sであるため、加工負荷が少ない。したがって、射出成形時にウェルドライン(weld line)、クラック(crack)、反り(warpage)、複屈折などの現象が低減されることになる。
【0019】
本明細書の一実施態様による高剪断粘度は、hybrid rheometer(discovery(HR-2))を用いて、常圧、室温~320℃、0.1Hz~100Hzで測定される。
【0020】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃で10Pa・s~260Pa・sである。好ましくは30Pa・s~260Pa・sであり、より好ましくは50Pa・s~260Pa・sであり、さらに好ましくは81.9Pa・s~258Pa・sである。
【0021】
本明細書において、前記室温(room temperature)は、当業界で定義するものと同様であり、一般的に実験室、研究室などの温度を意味し、特に温度を指定または調節せずに実験を行った場合、または試料と物質を室内に放置した場合の温度を指し、当業界では15℃~25℃を意味する。
【0022】
本明細書において、前記常圧は、当業界で定義するものと同様であり、一般的に通常の大気圧のような1気圧程度の圧力を意味する。
【0023】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0024】
本発明において、特に定義しない限り、本発明で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同一の意味を有する。本発明で説明されるものと類似または等価の方法および材料が本発明の実施形態の実施または試験で用いられてもよいが、適した方法および材料については後述する。本発明で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体的に本発明に参考として含まれ、相反する場合、特定の語句(passage)が言及されなければ、定義をはじめとする本発明が優先するものである。なお、材料、方法、および実施例は、単に例示的なものであり、限定的なものではない。
【0025】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、10Hzまたは63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0026】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、10Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0027】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0028】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzおよび250℃、63Hzのいずれか一つ以上で10Pa・s~260Pa・sである。
【0029】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzおよび/または250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0030】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzおよび250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0031】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzまたは250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0032】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0033】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。
【0034】
本明細書において、前記ポリカーボネート樹脂が前述した振動数で前述した高剪断粘度を有する場合、熱可塑性高分子の押出/射出を用いた加工時、流動性に優れ、加工が容易であるという利点がある。
【0035】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzおよび250℃、63Hzのいずれか一つ以上で10Pa・s~260Pa・sである。好ましくは30Pa・s~260Pa・sであり、より好ましくは50Pa・s~260Pa・sであり、さらに好ましくは81.9Pa・s~258Pa・sである。
【0036】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzおよび/または250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。好ましくは30Pa・s~260Pa・sであり、より好ましくは50Pa・s~260Pa・sであり、さらに好ましくは81.9Pa・s~258Pa・sである。
【0037】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzおよび250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。好ましくは30Pa・s~260Pa・sであり、より好ましくは50Pa・s~260Pa・sであり、さらに好ましくは81.9Pa・s~258Pa・sである。
【0038】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度は、250℃、10Hzまたは250℃、63Hzで10Pa・s~260Pa・sである。好ましくは30Pa・s~260Pa・sであり、より好ましくは50Pa・s~260Pa・sであり、さらに好ましくは81.9Pa・s~258Pa・sである。
【0039】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、溶融指数(MI)が150以下である。具体的には5~150である。より具体的には20~70、または25~68である。前記MIは、当業界で用いられる方法で測定することができ、具体的に、Goettfert社のMelt indexer(Mi2.2)を用いて測定を行う。サンプルを120℃のオーブンで5時間以上乾燥させ、測定温度260℃で乾燥されたサンプルを機器に入れて5分間溶融させた後、2.16kgの重量で圧力を加えるときに5秒間ノズルを通過するサンプルの重量を測定し、それをg/10minに換算してMelt Index(MI溶融指数)を計算する。
【0040】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1の第1単位;前記化学式2の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂を提供する。
【0041】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、下記化学式1の第1単位;下記化学式2の第2単位;および下記化学式3の第3単位を含む。
【化6】
前記化学式1において、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、前記2個のR101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、前記2個のR102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
pは1~6の整数であり、
前記m、n、およびpがそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化7】
前記化学式2において、
X5~X8は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
m’およびn’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’は1~6の整数であり、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r13、r14、m’、n’、およびp’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味し、
【化8】
前記化学式3において、
X9~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
m’’およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
p’’は1~6の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
前記r15、r16、m’’、n’’、およびp’’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
*は、樹脂の主鎖に連結される部位を意味する。
【0042】
前記ポリカーボネート樹脂が化学式1の第1単位を含む場合、フルオレン(fluorene)のような大きい置換体に比べて相対的に小さいイソプロピリデン(isopropylidene)基を含むため、ポリカーボネート樹脂の加工性に優れ、加工不良の確率が減少する。
【0043】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、2以上の前記化学式2の第2単位を含む。
【0044】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式2の第2単位を2以上含む。
【0045】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1の第1単位;2以上の前記化学式2の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂を提供する。
【0046】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂において、前記化学式2および化学式3は、前記化学式1の第1単位のガラス転移温度(Tg)を補完するか、または前記化学式1の第1単位の鎖挙動を柔軟にすることができ、成形品の射出加工に有利な技術的効果を有する。
【0047】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は3,000g/mol~500,000g/molであり、好ましくは5,000g/mol~300,000g/mol、7,000g/mol~250,000g/mol、8,000g/mol~200,000g/molである。より好ましくは9,000g/mol~150,000g/mol、10,000g/mol~100,000g/mol、12,000g/mol~80,000g/mol、13,000g/mol~60,000g/molである。
【0048】
本発明の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂の数平均分子量は2,000g/mol~300,000g/molであり、3,000g/mol~200,000g/mol、4,000g/mol~150,000g/mol、4,500g/mol~100,000g/mol、好ましくは5,000g/mol~80,000g/molである。
【0049】
前記ポリカーボネート樹脂が前述した重量平均分子量および数平均分子量の範囲を満たす場合、前記ポリカーボネート樹脂は、最適な流動性および加工性を有することができる。
【0050】
本明細書において、ポリカーボネート樹脂およびその製造に用いられるオリゴマーの重量平均分子量(Mw)は、Agilent 1200 seriesを用いて、ポリスチレン標準(PS standard)を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatograph;GPC)で測定することができる。具体的には、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mm長さのカラムを用いて、Agilent 1200 series機器を用いて測定することができ、この際、測定温度は40℃であり、使用溶媒はテトラヒドロフラン(THF)であり、流速は1mL/minである。ポリカーボネート樹脂またはオリゴマーのサンプルは、それぞれ10mg/10mLの濃度に調製した後、10μLの量で供給し、ポリスチレン標準を用いて形成された検量線を用いて重量平均分子量(Mw)値を誘導する。この際、ポリスチレン標準品の分子量(g/mol)が2,000/10,000/30,000/70,000/200,000/700,000/2,000,000/4,000,000/10,000,000の9種を用いる。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂の屈折率は587nmで1.6~1.8である。前記屈折率は、好ましくは1.6~1.75、より好ましくは1.6~1.72であってもよい。前記樹脂が前述した屈折率を満たす場合、それを光学レンズのような成形品に適用するとき、薄くて軽い光学レンズの製造が可能である。
【0052】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂の波長486、587、および656nmで測定および計算されたアッベ数は5~45であってもよい。好ましくは10~25であってもよい。
【0053】
前記ポリカーボネート樹脂が前述したアッベ数範囲を満たす場合、前記樹脂を光学レンズのような成形品に適用するとき、分散が少なく、鮮明度が高くなるという効果がある。
【0054】
前記アッベ数は、具体的に、20℃で、D(587nm)、F(486nm)、C(656nm)波長における屈折率(nD、nF、nC)をそれぞれ測定し、以下の計算式によりアッベ数を得ることができる。
アッベ数=(nD-1)/(nF-nC)
【0055】
前述した屈折率およびアッベ数の測定は、前記樹脂を溶媒に溶解して製造した溶液をシリコンウェハにスピンコーティング(spin-coating)で塗布して製造された膜から行われることができ、塗布された膜を20℃でエリプソメータ(ellipsometer)を用いて光の波長に応じた結果値を得て測定することができる。前記スピンコーティングによる塗布は150rpm~300rpmの回転速度で行われてもよく、前記塗布された膜の厚さは5μm~20μmであってもよい。前記シリコンウェハは、特に限定されず、本明細書による樹脂組成物の屈折率およびアッベ数を測定できるものであれば適宜採用することができる。前記溶媒は、ジメチルアセトアミドまたは1,2-ジクロロベンゼンであってもよく、前記溶液は、溶液の総重量を基準として前記樹脂試料を10重量%に溶解して製造することができる。
【0056】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は90℃~200℃であってもよい。好ましくは100℃~190℃、120℃~170℃、130℃~160℃であってもよい。
【0057】
前記ポリカーボネート樹脂が前述したガラス転移温度範囲を満たす場合、耐熱性および射出性に優れ、前述した範囲とは異なるガラス転移温度を有する樹脂と混合してポリカーボネート樹脂組成物を製造するとき、ガラス転移温度の調節が容易であり、本明細書が目的とする物性を満たすことができる。
【0058】
前記ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができる。具体的に、前記ガラス転移温度は、5.5mg~8.5mgの前記ポリカーボネート樹脂試料を窒素雰囲気下で270℃まで加熱後に冷却した後、2回目の加熱時に10℃/minの昇温速度で加熱しつつスキャンして得られたグラフから測定することができる。
【0059】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2は、下記化学式2-1または2-2である。
【0060】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2は、下記化学式2-1および2-2のいずれか一つ以上である。
【化9】
前記化学式2-1および2-2において、
*、X5~X8、Z3、Z4、R13、r13、R14、r14、n’、m’、およびp’の定義は、前記化学式2における定義と同様であり、
R23~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r23~r26はそれぞれ1~3の整数であり、
r27およびr28はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r23~r28がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【0061】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、2以上の前記化学式2の第2単位を含む。
【0062】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2単位は、前記化学式2-1または2-2を含む。
【0063】
本明細書の一実施態様によれば、前記第2単位は、前記化学式2-1および2-2を含む。
【0064】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1の第1単位;前記化学式2-1の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含む。
【0065】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1の第1単位;前記化学式2-2の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含む。
【0066】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1の第1単位;前記化学式2-1および前記化学式2-2の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含む。
【0067】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1の第1単位;前記化学式2-1の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂を提供する。
【0068】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1の第1単位;前記化学式2-2の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂を提供する。
【0069】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1の第1単位;前記化学式2-1および前記化学式2-2の第2単位;および前記化学式3の第3単位を含むポリカーボネート樹脂を提供する。
【0070】
本明細書において、置換基の例示は以下に説明するが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書において、
【化10】
は、連結される部位を意味する。
【0072】
前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合した水素原子が他の置換基に置き換わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0073】
本明細書において、「置換もしくは非置換」という用語は、重水素;ハロゲン基;ヒドロキシ基;シアノ基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アルケニル基;アリールオキシ基;アリールチオ基;アルキルチオ基;シリル基;アリール基;およびヘテロアリール基からなる群より選択される1以上の置換基で置換されるか、前記例示された置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されるか、またはいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0074】
本明細書において、2以上の置換基が連結されるとは、いずれか一つの置換基の水素が他の置換基と連結されることをいう。例えば、2個の置換基が連結されるとは、フェニル基とナフチル基が連結され、
【化11】
の置換基になることができる。また、3個の置換基が連結されるとは、(置換基1)-(置換基2)-(置換基3)が連続して連結されることだけでなく、(置換基1)に(置換基2)および(置換基3)が連結されることも含む。例えば、フェニル基、ナフチル基、およびイソプロピル基が連結され、
【化12】
の置換基になることができる。4以上の置換基が連結されることにも前述した定義が同様に適用される。
【0075】
本明細書において、ハロゲン基の例としては、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。
【0076】
本明細書において、アルキル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。具体例としては、メチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書において、シクロアルキル基は、特に限定されないが、炭素数3~30であることが好ましく、具体的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖、または環状であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~30であることが好ましい。具体的に、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本明細書において、アルケニル基は、直鎖もしくは分岐鎖であってもよく、炭素数は特に限定されないが、2~30であることが好ましい。具体例としては、ビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書において、アリール基は、特に限定されないが、炭素数6~50であることが好ましく、前記アリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。
【0081】
前記アリール基が単環式アリール基である場合、炭素数は特に限定されないが、炭素数6~30であることが好ましい。具体的に、単環式アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
前記アリール基が多環式アリール基である場合、炭素数は特に限定されないが。炭素数10~50であることが好ましい。具体的に、多環式アリール基としては、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、フェナレン基、ペリレン基、クリセン基、フルオレン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書において、前記フルオレン基は置換されていてもよく、隣接した基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0084】
前記フルオレン基の例としては、
【化13】
などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本明細書において、「隣接した」基とは、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置した置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位に置換された2個の置換基、および脂肪族環において同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接した」基と解釈することができる。
【0086】
本明細書において、ヘテロアリール基は、炭素ではない原子、ヘテロ原子を1以上含むものであり、具体的に、前記ヘテロ原子は、O、N、Se、およびSなどからなる群より選択される原子を1以上含んでもよい。炭素数は特に限定されないが、炭素数2~30であることが好ましく、前記ヘテロアリール基は、単環式もしくは多環式であってもよい。ヘテロアリール基の例としては、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピリミジン基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジン基、ピリダジン基、ピラジン基、キノリン基、キナゾリン基、キノキサリン基、フタラジン基、ピリドピリミジン基、ピリドピラジン基、ピラジノピラジン基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンズオキサゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、フェナントリジン基(phenanthridine)、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾール基、チアジアゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾシロール基、フェノキサチイン基(phenoxathiine)、フェノキサジン基(phenoxazine)、フェノチアジン基(phenothiazine)、ジヒドロインデノカルバゾール基、スピロフルオレンキサンテン基、スピロフルオレンチオキサンテン基、テトラヒドロナフトチオフェン基、テトラヒドロナフトフラン基、テトラヒドロベンゾチオフェン基、およびテトラヒドロベンゾフラン基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書において、シリル基は、アルキルシリル基、アリールシリル基、アルキルアリールシリル基、ヘテロアリールシリル基などであってもよい。前記アルキルシリル基中のアルキル基は、前述したアルキル基の例示が適用されてもよく、前記アリールシリル基中のアリール基は、前述したアリール基の例示が適用されてもよく、前記アルキルアリールシリル基中のアルキル基およびアリール基は、前記アルキル基およびアリール基の例示が適用されてもよく、前記ヘテロアリールシリル基中のヘテロアリール基は、前記ヘテロアリール基の例示が適用されてもよい。
【0088】
本明細書において、アリールオキシ基は、-ORoで表されてもよく、前記Roは、前述したアリール基に関する説明が適用される。
【0089】
本明細書において、アリールチオ基は、-SRs1で表されてもよく、前記Rs1は、前述したアリール基に関する説明が適用される。
【0090】
本明細書において、アルキルチオ基は、-SRs2で表されてもよく、前記Rs2は、前述したアルキル基に関する説明が適用される。
【0091】
本明細書において、アルキレン基は、アルキル基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。これらがそれぞれ2価の基であることを除いては、前述したアルキル基の説明が適用されてもよい。
【0092】
本明細書において、シクロアルキレン基は、シクロアルキル基に結合位置が二つ存在するもの、すなわち、2価の基を意味する。これらがそれぞれ2価の基であることを除いては、前述したシクロアルキル基の説明が適用されてもよい。
【0093】
本明細書の一実施態様は、下記化学式1aの化合物;下記化学式2aの化合物;下記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む前記ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sである、ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【化14】
前記化学式1aにおいて、
X1~X4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;置換もしくは非置換の芳香族炭化水素環と脂肪族炭化水素環の縮合環基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r101は1または2であり、前記r101が2である場合、前記2個のR101は互いに同一または異なり、
r102は1または2であり、前記r102が2である場合、前記2個のR102は互いに同一または異なり、
mおよびnはそれぞれ0~6の整数であり、
前記mおよびnがそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なり、
【化15】
前記化学式2aおよび3aにおいて、
X5~X12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、OまたはSであり、
L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアリーレン基;または置換もしくは非置換のヘテロアリーレン基であり、
Z3~Z6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換もしくは非置換のアルキレン基;または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基であり、
R13~R16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して置換もしくは非置換の炭化水素環を形成し、
r13およびr14はそれぞれ1~4の整数であり、
r15およびr16はそれぞれ1~6の整数であり、
m’、m’’、n’、およびn’’はそれぞれ0~6の整数であり、
前記r13~r16、m’、m’’、n’、およびn’’がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【0094】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2aは、下記化学式2a-1または2a-2である。
【0095】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2aは、下記化学式2a-1および2a-2のいずれか一つ以上である。
【化16】
前記化学式2a-1および2a-2において、
X5~X8、Z3、Z4、R13、r13、R14、r14、n’、およびm’の定義は、前記化学式2における定義と同様であり、
R23~R28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;置換もしくは非置換のアリール基;または置換もしくは非置換のヘテロアリール基であり、
r23~r26はそれぞれ1~3の整数であり、
r27およびr28はそれぞれ1~4の整数であり、
前記r23~r28がそれぞれ2以上である場合、前記2以上の各括弧内の構造は互いに同一または異なる。
【0096】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-1の化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む前記ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sである、ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0097】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-2の化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む前記ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sである、ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0098】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-1の化合物;前記化学式2a-2の化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む前記ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sである、ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0099】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2aの化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0100】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-1の化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0101】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-2の化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0102】
本明細書の一実施態様は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-1の化合物;前記化学式2a-2の化合物;前記化学式3aの化合物;およびポリカーボネート前駆体を含むポリカーボネート樹脂製造用組成物を重合するステップを含む、前記ポリカーボネート樹脂の製造方法を提供する。
【0103】
本明細書の一実施態様によれば、前記X1はOである。
【0104】
本明細書の一実施態様によれば、前記X2はOである。
【0105】
本明細書の一実施態様によれば、前記X3はOである。
【0106】
本明細書の一実施態様によれば、前記X4はOである。
【0107】
本明細書の一実施態様によれば、前記X5はOである。
【0108】
本明細書の一実施態様によれば、前記X6はOである。
【0109】
本明細書の一実施態様によれば、前記X7はOである。
【0110】
本明細書の一実施態様によれば、前記X8はOである。
【0111】
本明細書の一実施態様によれば、前記X9はOである。
【0112】
本明細書の一実施態様によれば、前記X10はOである。
【0113】
本明細書の一実施態様によれば、前記X11はOである。
【0114】
本明細書の一実施態様によれば、前記X12はOである。
【0115】
本明細書の一実施態様によれば、前記X1はSである。
【0116】
本明細書の一実施態様によれば、前記X2はSである。
【0117】
本明細書の一実施態様によれば、前記X3はSである。
【0118】
本明細書の一実施態様によれば、前記X4はSである。
【0119】
本明細書の一実施態様によれば、前記X5はSである。
【0120】
本明細書の一実施態様によれば、前記X6はSである。
【0121】
本明細書の一実施態様によれば、前記X7はSである。
【0122】
本明細書の一実施態様によれば、前記X8はSである。
【0123】
本明細書の一実施態様によれば、前記X9はSである。
【0124】
本明細書の一実施態様によれば、前記X10はSである。
【0125】
本明細書の一実施態様によれば、前記X11はSである。
【0126】
本明細書の一実施態様によれば、前記X12はSである。
【0127】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0128】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0129】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z1およびZ2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0130】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z1およびZ2は、エチレン基である。
【0131】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0132】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0133】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z3およびZ4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0134】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z3およびZ4は、エチレン基である。
【0135】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0136】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0137】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z5およびZ6は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~10の直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基である。
【0138】
本明細書の一実施態様によれば、前記Z5およびZ6は、エチレン基である。
【0139】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリーレン基である。
【0140】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリーレン基である。
【0141】
本明細書の一実施態様によれば、前記L1およびL2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、またはナフチル基で置換もしくは非置換のフェニレン基;または2価のナフチル基である。
【0142】
本明細書の一実施態様によれば、前記R23~R26は、水素である。
【0143】
本明細書の一実施態様によれば、前記R27およびR28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~30のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0144】
本明細書の一実施態様によれば、前記R27およびR28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基である。
【0145】
本明細書の一実施態様によれば、前記R27およびR28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~30のアルキル基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0146】
本明細書の一実施態様によれば、前記R27およびR28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;炭素数1~20のアルキル基;または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基である。
【0147】
本明細書の一実施態様によれば、前記R27およびR28は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;メチル基;フェニル基;またはナフチル基である。
【0148】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;シアノ基、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数2~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基、または炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロ環基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環と炭素数3~30の単環もしくは多環の脂肪族炭化水素環の縮合環基;または炭素数6~30の多環のヘテロアリール基である。
【0149】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;シアノ基、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数2~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルケニル基、または炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロ環基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基;炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環と炭素数3~20の単環もしくは多環の脂肪族炭化水素環の縮合環基;または炭素数6~20の多環のヘテロアリール基である。
【0150】
本明細書の一実施態様によれば、前記R1~R4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;シアノ基またはメチル基で置換もしくは非置換のフェニル基;シアノ基で置換もしくは非置換のナフチル基;ジヒドロインデン基;またはキノリン基である。
【0151】
本明細書の一実施態様によれば、前記R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;炭素数6~30の単環もしくは多環のシクロアルキル基;炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数2~30の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、互いに結合して炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環の脂肪族炭化水素環を形成する。
【0152】
本明細書の一実施態様によれば、前記R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;炭素数6~20の単環もしくは多環のシクロアルキル基;炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基;または炭素数2~20の単環もしくは多環のヘテロアリール基であるか、互いに結合して炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基で置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環の脂肪族炭化水素環を形成する。
【0153】
本明細書の一実施態様によれば、前記R11およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;またはフェニル基であるか、互いに結合してメチル基で置換もしくは非置換のシクロヘキサン;またはシクロドデカンを形成する。
【0154】
本明細書の一実施態様によれば、前記R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または炭素数6~30のアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して炭素数6~30の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0155】
本明細書の一実施態様によれば、前記R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または炭素数6~20のアリール基であるか、隣接した基と互いに結合して炭素数6~20の単環もしくは多環の芳香族炭化水素環を形成する。
【0156】
本明細書の一実施態様によれば、前記R13およびR14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;またはナフチル基であるか、隣接した基と互いに結合してベンゼンを形成する。
【0157】
本明細書の一実施態様によれば、前記R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または炭素数6~30のアリール基である。
【0158】
本明細書の一実施態様によれば、前記R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;または炭素数6~20のアリール基である。
【0159】
本明細書の一実施態様によれば、前記R15およびR16は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;またはナフチル基である。
【0160】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1aは、下記化合物のいずれか一つである。
【化17】
【化18】
【化19】
【0161】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2aは、下記化合物のいずれか一つである。
【化20】
【化21】
【化22】
【0162】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2a-1は、下記化合物のいずれか一つである。
【化23】
【0163】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式2a-2は、下記化合物のいずれか一つである。
【化24】
【化25】
【0164】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式3aは、下記化合物のいずれか一つである。
【化26】
【0165】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1aの化合物、前記化学式2aの化合物、および化学式3aの化合物を含み、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a、および前記化学式3aは、0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%で含まれる。具体的には0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%、1モル%~98モル%:1モル%~98モル%:1モル%~98モル%、または5モル%~90モル%:5モル%~90モル%:5モル%~90モル%である。
【0166】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1aの化合物、2以上の前記化学式2aの化合物、および化学式3aの化合物を含み、前記化学式1aの化合物、2以上の前記化学式2a、および前記化学式3aは、0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%で含まれる。具体的には0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%、1モル%~98モル%:1モル%~98モル%:1モル%~98モル%、または5モル%~90モル%:5モル%~90モル%:5モル%~90モル%である。
【0167】
前記化学式1a、2a、および3aが前述した含量で含まれる場合、前記ポリカーボネート樹脂の加工性に優れ、ガラス転移温度(Tg)および屈折率を調節することができ、前記ポリカーボネート樹脂の鎖挙動を柔軟にすることができるため、成形品の射出加工に有利な技術的効果を有する。
【0168】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、および化学式3aの化合物を含み、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1、および前記化学式3aは、0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%で含まれる。具体的には0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%、1モル%~98モル%:1モル%~98モル%:1モル%~98モル%、または5モル%~90モル%:5モル%~90モル%:5モル%~90モル%である。
【0169】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-2の化合物、および化学式3aの化合物を含み、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-2、および前記化学式3aは、0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%:0.01モル%~99.98モル%で含まれる。具体的には0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%:0.1モル%~99.8モル%、1モル%~98モル%:1モル%~98モル%:1モル%~98モル%、または5モル%~90モル%:5モル%~90モル%:5モル%~90モル%である。
【0170】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、化学式2a-1の化合物、および化学式3aの化合物を含み、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、化学式2a-1の化合物、および前記化学式3aは、0.01モル%~99.97モル%:0.01モル%~99.97モル%:0.01モル%~99.97モル%:0.01モル%~99.97モル%で含まれる。具体的には0.1モル%~99.7モル%:0.1モル%~99.7モル%:0.1モル%~99.7モル%:0.1モル%~99.7モル%、1モル%~97モル%:1モル%~97モル%:1モル%~97モル%:1モル%~97モル%、または5モル%~85モル%:5モル%~85モル%:5モル%~85モル%:5モル%~85モル%である。
【0171】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物中の前記化学式1aの化合物、前記化学式2aの化合物、および前記化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で含まれ、好ましくは100モル部で含まれる。
【0172】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物中の前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、および前記化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で含まれ、好ましくは100モル部で含まれる。
【0173】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物中の前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-2の化合物、および前記化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で含まれ、好ましくは100モル部で含まれる。
【0174】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物中の前記化学式1aの化合物、2以上の前記化学式2aの化合物、および前記化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で含まれ、好ましくは100モル部で含まれる。
【0175】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物中の前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、前記化学式2a-2の化合物、および前記化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で含まれ、好ましくは100モル部で含まれる。
【0176】
前記ポリカーボネート前駆体が前述したモル部で含まれる場合、透明性、耐熱性、屈折率、複屈折の面で優れ、強度に優れ、加工性の良いポリカーボネート樹脂を製造することができる。
【0177】
前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0178】
前記溶媒は、例えば、ジフェニルエーテル、ジメチルアセトアミド、またはメタノールであってもよいが、これらに限定されず、当該技術分野に適用されるものが適宜採用されてもよい。
【0179】
前記溶媒は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対して5重量部~60重量部で含まれてもよい。
【0180】
前記溶媒は、前記樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは5重量部~50重量部、7重量部~45重量部、または8重量部~40重量部で含まれてもよい。
【0181】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して50~150重量部で含まれる。
【0182】
前記ポリカーボネート前駆体が前述した重量部で含まれる場合、透明性、耐熱性、屈折率、複屈折の面で優れ、強度に優れ、加工性の良いポリカーボネート樹脂を製造することができる。
【0183】
本明細書の一実施態様において、前記化学式1aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して1重量部~100重量部、1重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0184】
前記化学式1aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、1~20重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0185】
本明細書の一実施態様において、前記化学式2aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して0重量部~99重量部、1重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0186】
前記化学式2aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、1~20重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0187】
前記2以上の化学式2aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、1~20重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0188】
前記化学式2a-1の化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、1~20重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0189】
前記化学式2a-2の化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、1~20重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0190】
本明細書の一実施態様において、前記化学式3aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して0重量部~99重量部、1重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0191】
前記化学式3aの化合物は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物100重量部に対して、好ましくは1~60重量部、1~50重量部、1~40重量部、1~30重量部、1~20重量部、または1~10重量部で含まれてもよい。
【0192】
本明細書の一実施態様によれば、前記ポリカーボネート前駆体は、下記化学式Aの化合物である。
【化27】
前記化学式Aにおいて、
Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン基;ヒドロキシ基;置換もしくは非置換のアルキル基;置換もしくは非置換のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換のアリール基であり、
a1およびa2はそれぞれ0または1である。
【0193】
本明細書の一実施態様によれば、前記Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0194】
本明細書の一実施態様によれば、前記Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン基;置換もしくは非置換の炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のシクロアルキル基;または置換もしくは非置換の炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基である。
【0195】
本明細書の一実施態様によれば、前記Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン基;炭素数1~30の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;炭素数6~30の単環もしくは多環のシクロアルキル基;または炭素数6~30の単環もしくは多環のアリール基である。
【0196】
本明細書の一実施態様によれば、前記Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、ハロゲン基;炭素数1~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基;炭素数6~20の単環もしくは多環のシクロアルキル基;または炭素数6~20の単環もしくは多環のアリール基である。
【0197】
本明細書の一実施態様によれば、前記Rb1およびRb2は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、-Cl;メチル基;エチル基;n-プロピル基;n-ブチル基;イソプロピル基;イソブチル基;またはフェニル基である。
【0198】
本明細書の一実施態様によれば、前記化学式Aは、下記化合物から選択されるいずれか一つである。
【化28】
【0199】
前記ポリカーボネート前駆体は、必要に応じて追加のコモノマーを連結する役割をするものであり、前記化学式Aで表される化合物の他に適用可能な他の具体例としては、ホスゲン、トリホスゲン、ジホスゲン、ブロモホスゲン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、またはビスハロホルメートなどが挙げられ、これらのいずれか一つまたは二つ以上の混合物を用いてもよい。
【0200】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1aの化合物;および前記化学式Aのポリカーボネート前駆体から重合されることが好ましい。
【0201】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1aの化合物、前記化学式2aの化合物、化学式3aの化合物、および前記化学式Aのポリカーボネート前駆体から重合されることがより好ましい。
【0202】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、化学式3aの化合物、および前記化学式Aのポリカーボネート前駆体から重合されることがより好ましい。
【0203】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-2の化合物、化学式3aの化合物、および前記化学式Aのポリカーボネート前駆体から重合されることがより好ましい。
【0204】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1aの化合物、2以上の前記化学式2aの化合物、化学式3aの化合物、および前記化学式Aのポリカーボネート前駆体から重合されることがより好ましい。
【0205】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、前記化学式2a-2の化合物、化学式3aの化合物、および前記化学式Aのポリカーボネート前駆体から重合されることがより好ましい。
【0206】
前記化学式1aの化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式1の単位に形成され、前記化学式2aの化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式2の単位に形成され、前記化学式3aの化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式3の単位に形成されることができる。
【0207】
前記化学式2a-1の化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式2-1の単位に形成され、前記化学式2a-2の化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式2-2の単位に形成されることができる。
【0208】
前記化学式1aの化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式1の単位に形成されることができる。
【0209】
前記化学式1aの化合物は、前記化学式1の単位を含むポリカーボネート樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~100モル部、または1モル部~99モル部で用いられてもよい。
【0210】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aの化合物の全単量体100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0211】
前記化学式2aの化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式2の単位に形成されることができる。
【0212】
前記化学式2aの化合物は、前記化学式2の単位を含むポリカーボネート樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~100モル部、または1モル部~99モル部で用いられてもよい。
【0213】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式2aの化合物の全単量体100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0214】
前記化学式2a-1の化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式2-1の単位に形成されることができる。
【0215】
前記化学式2a-1の化合物は、前記化学式2-1の単位を含むポリカーボネート樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~100モル部、または1モル部~99モル部で用いられてもよい。
【0216】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式2aの化合物の全単量体100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0217】
前記化学式2a-2の化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式2-2の単位に形成されることができる。
【0218】
前記化学式2a-2の化合物は、前記化学式2-2の単位を含むポリカーボネート樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~100モル部、または1モル部~99モル部で用いられてもよい。
【0219】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式2aの化合物の全単量体100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0220】
前記化学式3aの化合物と前記化学式Aのポリカーボネート前駆体を重合することで、前述した化学式3の単位に形成されることができる。
【0221】
前記化学式3aの化合物は、前記化学式3の単位を含むポリカーボネート樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~100モル部、または1モル部~99モル部で用いられてもよい。
【0222】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式3aの化合物の全単量体100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0223】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aの化合物、前記化学式2aの化合物、および前記化学式3aの化合物のうち一つ以上の総100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0224】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、および前記化学式3aの化合物のうち一つ以上の総100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0225】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-2の化合物、および前記化学式3aの化合物のうち一つ以上の総100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0226】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aの化合物、2以上の前記化学式2aの化合物、および化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0227】
前記化学式Aのポリカーボネート前駆体は、前記樹脂を構成する前記化学式1aの化合物、前記化学式2a-1の化合物、前記化学式2a-2の化合物、および化学式3aの化合物の総100モル部に対して50モル部~150モル部で用いられてもよい。
【0228】
本明細書による樹脂の重合は、当該技術分野で周知の方法が用いられてもよい。
【0229】
前記重合は、溶融重縮合法で行われることが好ましい。
【0230】
前記溶融重縮合法は、前記ポリカーボネート樹脂製造用組成物を用いて、必要に応じて触媒をさらに適用してもよく、加熱下で、さらに常圧または減圧下で、エステル交換反応により副生成物を除去しつつ溶融重縮合を行ってもよい。前記触媒は、当該技術分野で一般的に適用される物質が採用されてもよい。
【0231】
具体的に、前記溶融重縮合法は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2aの化合物;前記化学式3の化合物;および前記ポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融した後、副生する化合物を滞留させた状態で反応を行うことが好ましい。
【0232】
前記溶融重縮合法は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-1の化合物;前記化学式3の化合物;および前記ポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融した後、副生する化合物を滞留させた状態で反応を行うことが好ましい。
【0233】
また、前記溶融重縮合法は、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-2の化合物;前記化学式3の化合物;および前記ポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融した後、副生する化合物を滞留させた状態で反応を行うことが好ましい。
【0234】
より具体的に、前記溶融重縮合法は、前記化学式1aの化合物;2以上の前記化学式2aの化合物;前記化学式3の化合物;および前記ポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融した後、副生する化合物を滞留させた状態で反応を行うことが好ましい。
【0235】
さらに具体的に、前記化学式1aの化合物;前記化学式2a-1の化合物;前記化学式2a-2の化合物;前記化学式3の化合物;および前記ポリカーボネート前駆体を反応容器中で溶融した後、副生する化合物を滞留させた状態で反応を行うことが好ましい。
【0236】
前記副生する化合物を滞留させるために、反応装置を閉塞するか、または減圧または加圧するなどの圧力を制御してもよい。
【0237】
この工程の反応時間は20分以上600分以下であり、好ましくは40分以上450分以下であり、より好ましくは60分以上350分以下である。
【0238】
この際、副生する化合物を生成後に直ちに蒸留除去すると、最終的に得られる樹脂は、高分子量体の含有量が少ない。しかし、副生する化合物を反応容器中に一定時間滞留させると、最終的に得られる樹脂は、高分子量体の含有量の多いものが得られる。
【0239】
前記溶融重縮合法は、連続式で行ってもよく、バッチ式で行ってもよい。反応を行う際に用いられる反応装置は、soken型撹拌翼、錨型撹拌翼、マックスブレンド撹拌翼、ヘリカルリボン型撹拌翼などを装備した縦型であってもよく、パドル翼、格子翼、メガネ翼などを装備した横型であってもよく、スクリューを装備した押出機型であってもよい。また、重合物の粘度を考慮して、これらの反応装置を適宜組み合わせた反応装置を用いることが好ましく実施される。
【0240】
本明細書で用いられるポリカーボネート樹脂の製造方法においては、重合反応の終了後、熱安定性および加水分解安定性を維持するために、触媒を除去または失活させてもよい。当該技術分野で公知の酸性物質の添加による触媒の失活を行う方法を好ましく実施することができる。
【0241】
前記酸性物質としては、例えば、安息香酸ブチルなどのエステル類;p-トルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸類;p-トルエンスルホン酸ブチル、p-トルエンスルホン酸ヘキシルなどの芳香族スルホン酸エステル類;亜リン酸、リン酸、ホスホン酸などのリン酸類;亜リン酸トリフェニル、亜リン酸モノフェニル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジn-プロピル、亜リン酸ジn-ブチル、亜リン酸ジn-ヘキシル、亜リン酸ジオクチル、亜リン酸モノオクチルなどの亜リン酸エステル類;リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル、リン酸モノフェニル、リン酸ジブチル、リン酸ジオクチル、リン酸モノオクチルなどのリン酸エステル類;ジフェニルホスホン酸、ジオクチルホスホン酸、ジブチルホスホン酸などのホスホン酸類;フェニルホスホン酸ジエチルなどのホスホン酸エステル類;トリフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンなどのホスフィン類;ホウ酸、フェニルホウ酸などのホウ酸類;ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩などの芳香族スルホン酸塩類;ステアリン酸クロライド、塩化ベンゾイル、p-トルエンスルホン酸クロライドなどの有機ハロゲン化物;ジメチル硫酸などのアルキル硫酸;塩化ベンジルなどの有機ハロゲン化物などが好ましく用いられる。
【0242】
前記酸性物質は、前記触媒100モル部に対して0.1モル部~5モル部、好ましくは0.1モル部~1モル部で用いられてもよい。
【0243】
前記酸性物質が0.1モル部未満である場合、失活効果が不十分になるので好ましくない。また、5モル部超過である場合、樹脂の耐熱性が低下し、成形品が着色しやすくなるので好ましくない。
【0244】
触媒の失活後、樹脂中の低沸点化合物を、0.1mmHg~1mmHgの圧力、200℃~350℃の温度で脱揮除去する工程をさらに行ってもよい。この工程には、パドル翼、格子翼、メガネ翼など、表面更新能に優れた撹拌翼を備えた横型装置、もしくは薄膜蒸発器が好ましく用いられる。
【0245】
本明細書の樹脂は、異物の含有量が最大限少ないことが好ましく、溶融原料の濾過、触媒液の濾過などが好ましく実施される。
【0246】
前記濾過に用いられるフィルタのメッシュは5μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下である。また、生成される樹脂のポリマーフィルタによる濾過が好ましく実施される。前記ポリマーフィルタのメッシュは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。また、樹脂ペレットを採取する工程は、低ダスト環境でなければならず、クラス6以下であることが好ましく、より好ましくはクラス5以下である。
【0247】
また、前記ポリカーボネート樹脂を含む成形品の成形方法としては、射出成形の他に、圧縮成形、注型、ロール加工、押出成形、延伸などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0248】
本明細書のまた一つの実施態様は、前述した実施態様による樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【0249】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂は、前記ポリカーボネート樹脂組成物100重量部を基準として1重量部~80重量部で含まれてもよい。
【0250】
本明細書の一実施態様において、前記ポリカーボネート樹脂組成物は、溶媒をさらに含んでもよい。前記溶媒は、例えば、ジメチルアセトアミドまたは1,2-ジクロロベンゼンであってもよい。
【0251】
前記溶媒は、前記ポリカーボネート樹脂組成物100重量部を基準として20重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0252】
前記ポリカーボネート樹脂組成物は、前記化学式1aの化合物;化学式2aの化合物;および化学式3aの化合物の他に、追加の単量体をさらに含んでもよい。前記追加の単量体は、特に限定されず、前記ポリカーボネート樹脂組成物の主な物性を変化させない範囲で、ポリカーボネート関連の当該技術分野で一般的に適用される単量体が適宜採用されてもよい。前記追加の単量体は、前記化学式1の単位、前記化学式2の単位、および前記化学式3の単位を含む樹脂を構成する全単量体100モル部に対して1モル部~50モル部で用いられてもよい。
【0253】
前記ポリカーボネート樹脂組成物は、前記ポリカーボネート樹脂の他に、必要に応じて、添加剤、例えば、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、無機添加剤、顔料、および染料からなる群より選択された1種以上をさらに含んでもよい。
【0254】
前記添加剤は、前記ポリカーボネート樹脂組成物100重量部を基準として1重量部~99重量部で含まれてもよい。
【0255】
前記酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、核剤、難燃剤、滑剤、衝撃補強剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、無機添加剤、顔料、または染料の種類は、特に限定されず、当該技術分野に適用されるものが適宜採用されてもよい。
【0256】
本明細書のまた一つの実施態様は、前述した実施態様による樹脂組成物を含む成形品を提供する。
【0257】
本明細書の一実施態様において、前記成形品は、前記ポリカーボネート樹脂組成物またはその硬化物から製造されてもよい。
【0258】
前記成形品の製造方法の一例として、前記ポリカーボネート樹脂と前記添加剤をミキサーでよく混合した後、押出機で押出成形してペレットに製造し、前記ペレットの乾燥後に射出成形機で射出するステップを含んでもよい。
【0259】
本明細書の一実施態様において、前記成形品は、光学レンズである。
【0260】
本明細書の一実施態様において、前記光学レンズの厚さは0.1μm~30mmである。
【0261】
本明細書の一実施態様による光学レンズは、屈折率が高いため、薄い厚さの光学レンズを実現することができる。
【0262】
前記光学レンズは、前記ポリカーボネート樹脂を用いて製造されるものであり、厚さが薄く、高屈折率および高透明性を有し、好ましくは、カメラ、モバイル、車両、自律走行センサレンズに適用することができる。
【0263】
本明細書の一実施態様において、前記成形品は、光ファイバーである。
【0264】
本明細書の一実施態様において、前記成形品は、光学フィルムまたは光学薄膜である。前記光学フィルムまたは光学薄膜は、前記ポリカーボネート樹脂を用いて製造されるものであり、厚さが薄く、集光効果および光拡散効果に優れ、好ましくは、液晶ディスプレイのバックライトモジュール、平面レンズ、メタレンズなどに適用することができる。
【0265】
本明細書の一実施態様において、前記光学フィルムまたは光学薄膜の厚さは0.1nm~10mmである。
【0266】
本明細書の一実施態様において、前記成形品は、光学樹脂である。前記光学樹脂は、前記ポリカーボネート樹脂を用いて製造されるものであり、厚さが薄く、高屈折率および低複屈折率を有し、光損失が低い。
【0267】
本明細書の一実施態様において、前記成形品は、LED encapである。
【実施例】
【0268】
以下、実施例により、本明細書をより詳細に例示する。
【化29】
【0269】
製造例1
モノマー1-1(1.141g(0.005mol))、モノマー2-1(26.582g(0.045mol)、モノマー3-1(18.708g(0.050mol))、およびジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.422g(0.100mol)を溶融して250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれ、フェノール(Phenol)が副生成物として発生し、それを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂として樹脂1を得た。
【0270】
製造例2
モノマー1-1(6.620g(0.029mol))、モノマー2-2(16.159g(0.030mol)、モノマー3-1(15.340g(0.041mol))、およびジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.422g(0.100mol)を溶融して250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれ、フェノール(Phenol)が副生成物として発生し、それを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂として樹脂2を得た。
【0271】
製造例3
モノマー1-1(22.829g(0.100mol))およびジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.422g(0.100mol)を溶融して250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれ、フェノール(Phenol)が副生成物として発生し、それを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂として比較例樹脂1を得た。
【0272】
製造例4
モノマー3-1(37.415g(0.100mol))およびジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.422g(0.100mol)を溶融して250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれ、フェノール(Phenol)が副生成物として発生し、それを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂として比較例樹脂2を得た。
【0273】
製造例5
モノマー2-2(53.864g(0.100mol))およびジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.422g(0.100mol)を溶融して250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれ、フェノール(Phenol)が副生成物として発生し、それを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂として比較例樹脂3を得た。
【0274】
製造例6
モノマー2-1(59.072g(0.100mol))およびジフェニルカーボネート(diphenylcarbonate)21.422g(0.100mol)を溶融して250℃で5時間反応した。反応が進行するにつれ、フェノール(Phenol)が副生成物として発生し、それを除去するために減圧度を最大1Torrまで調節した。反応終了後、反応器内に窒素を吹き込んで常圧雰囲気を作り、重合した高分子溶融樹脂として比較例樹脂4を得た。
【0275】
製造例7~9
前記製造例1において、モノマー1-1、2-1、2-2、および3-1をそれぞれ下記表1のモル比で用いたことを除いては同様に製造し、比較例樹脂5~7をそれぞれ製造した。
【0276】
実施例1、実施例2、および比較例1~7
【0277】
前記製造例1~9で重合した樹脂試料に対して高剪断粘度をそれぞれ測定した。高剪断粘度は、前記樹脂試料2g~5gをhybrid rheometer(discovery(HR-2))に投入し、250℃、10Hz~63Hzで測定し、溶融指数(MI)は、Goettfert社のMelt indexer(Mi2.2)を用いて測定を行う。サンプルを120℃のオーブンで5時間以上乾燥させ、測定温度260℃で乾燥されたサンプルを機器に入れて5分間溶融させた後、2.16kgの重量で圧力を加えるときに5秒間ノズルを通過するサンプルの重量を測定し、それをg/10minに換算してMelt Index(MI溶融指数)を計算し、その結果を下記表1に示す。
【0278】
【0279】
前記表1において、本明細書の一実施態様によるポリカーボネート樹脂である実施例1および実施例2の樹脂は、前記第1単位、前記第2単位、および前記第3単位を含み、前記ポリカーボネート樹脂の高剪断粘度が250℃で10Pa・s~260Pa・sであることを分かる。
【0280】
具体的に、前記実施例1および実施例2の樹脂は、高剪断粘度が250℃、10Hzおよび250℃、63Hzのいずれか一つ以上(250℃、10Hzおよび/または250℃、63Hz)で10Pa・s~260Pa・sである。
【0281】
これに対し、比較例1~4は、前記第1単位、前記第2単位、または前記第3単位のいずれか一つの単位のみを含むポリカーボネート樹脂であり、前記比較例5は、前記第1単位および前記第3単位のみを含むポリカーボネート樹脂であり、比較例6は、前記第1単位および前記第2単位のみを含むポリカーボネート樹脂であり、比較例7は、前記第2単位および第3単位のみを含むポリカーボネート樹脂である。
【0282】
具体的に、前記実施例1および実施例2は、本明細書の第1単位、第2単位、および第3単位をいずれも含むが、比較例1~4は、前記単位のいずれか一つの単位のみを含み、前記比較例5~7は、前記単位のうち、第1~第3単位のうち2種の単位のみを含む。したがって、前記比較例1~7は、高剪断粘度が250℃で10Pa・s未満であるか、または260Pa・sを超える。10Pa・s未満である場合、粘度が非常に低く、加工が難しく、260Pa・s超過である場合、加工負荷が大きくなり、射出成形時にウェルドライン、クラック、反り、複屈折などの現象が発生する。
【0283】
前記比較例2、比較例3、および比較例7は、前記実施例1および実施例2に比べて屈折率は高いが、高剪断粘度範囲が250℃で10Pa・s未満であるか、または260Pa・sを超え、加工が難しく、商用化が難しい。
【0284】
したがって、本明細書の一実施態様によるポリカーボネート樹脂は、高剪断粘度250℃で10Pa・s~260Pa・sを満たすため、加工負荷が少なく、射出成形時にウェルドライン(weld line)、クラック(crack)、反り(warpage)、複屈折などの現象が低減される。
【国際調査報告】