IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー・ケム・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特表-分解炉燃料の製造方法 図1
  • 特表-分解炉燃料の製造方法 図2
  • 特表-分解炉燃料の製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】分解炉燃料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 3/00 20060101AFI20241108BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C10L3/00 K
C01B3/56 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024508546
(86)(22)【出願日】2023-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 KR2023006796
(87)【国際公開番号】W WO2024080472
(87)【国際公開日】2024-04-18
(31)【優先権主張番号】10-2022-0131809
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、イン セオプ
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン ベオム
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ヒュン ソー
【テーマコード(参考)】
4G140
【Fターム(参考)】
4G140FA02
4G140FB05
4G140FC03
4G140FE01
(57)【要約】
本発明は、液相分解炉から由来する第1メタンオフガスストリームおよび気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームを準備するステップと、前記第1メタンオフガスストリームの一部をメタンオフガス移出ストリームとして分岐し、残りから第1燃料ガスストリームを得るステップと、前記第2メタンオフガスストリームから第2燃料ガスストリームを得るステップと、前記第1および第2燃料ガスストリームを混合して混合燃料ガスストリームを準備するステップと、前記混合燃料ガスストリームに水素ガスストリームを混合するステップとを含む分解炉燃料の製造方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相分解炉から由来する第1メタンオフガスストリームおよび気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームを準備するステップと、
前記第1メタンオフガスストリームの一部をメタンオフガス移出ストリームとして分岐し、残りから第1燃料ガスストリームを得るステップと、
前記第2メタンオフガスストリームから第2燃料ガスストリームを得るステップと、
前記第1燃料ガスストリームおよび前記第2燃料ガスストリームを混合して混合燃料ガスストリームを準備するステップと、
前記混合燃料ガスストリームに水素ガスストリームを混合するステップとを含む、分解炉燃料の製造方法。
【請求項2】
前記液相分解炉の供給原料は、ナフサを含み、
前記気相分解炉の供給原料は、炭素数2~4の炭化水素化合物を含む、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項3】
前記気相分解炉の供給原料である前記炭素数2~4の炭化水素化合物は、再循環C2炭化水素化合物、再循環C3炭化水素化合物、プロパン、およびブタンからなる群から選択される1種以上を含む、請求項2に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項4】
前記第1メタンオフガスストリーム内の水素の含量は、10体積%~20体積%であり、
前記第2メタンオフガスストリーム内の水素の含量は、67体積%~77体積%である、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項5】
前記第2燃料ガスストリームは、前記第2メタンオフガスストリームに再循環水素ガスストリームが混合されたものであり、
前記再循環水素ガスストリーム内の水素の含量は、前記第2メタンオフガスストリーム内の水素の含量より高い、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項6】
前記再循環水素ガスストリームは、圧力スイング吸着工程によるリジェクトガスである、請求項5に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項7】
前記圧力スイング吸着工程によるリジェクトガスの流量は、前記第2メタンオフガスストリームの流量に対して5重量%~15重量%である、請求項6に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項8】
前記メタンオフガス移出ストリーム内の水素の含量は、15体積%~25体積%である、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項9】
前記分解炉燃料内の水素の含量は、50体積%~90体積%である、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項10】
前記気相分解炉は、第1および第2気相分解炉を含み、
前記第2メタンオフガスストリームは、前記第1および第2気相分解炉の排出ストリームの混合ストリームから由来する、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項11】
前記第1メタンオフガスストリームおよび前記第2メタンオフガスストリームは、
供給原料を液相分解炉または気相分解炉に供給して熱分解するステップと、
熱分解生成物である水素、C1、C2およびC3以上の炭化水素化合物を含む熱分解ガスを冷却塔で冷却するステップと、
冷却した熱分解ガスを圧縮機で圧縮するステップと、
前記圧縮機から排出された熱分解圧縮ストリームを精製するステップとを含む工程により準備する、請求項1に記載の分解炉燃料の製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の分解炉燃料の製造方法により製造された分解炉燃料を液相分解炉および気相分解炉のうち1以上の分解炉の燃料として使用するナフサの分解工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年10月13日付けの韓国特許出願第10-2022-0131809号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、ナフサ分解設備で使用するための分解炉燃料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ナフサ(Naphtha)は、原油を蒸留して取得する留分であり、熱分解により石油化学の基礎原料であるエチレン、プロピレン、ベンゼンなどを生成するための材料として用いられる。ナフサの熱分解による生成物の製造は、通常、ナフサなどの炭化水素系化合物を分解炉(cracking furnace)で加熱して熱分解(thermal cracking)し、熱分解生成物を冷却、圧縮および精製して実施する。
【0004】
従来のナフサなどの炭化水素の熱分解工程は、熱分解に必要な燃料(fuel)の燃焼によって相当な量の二酸化炭素が発生する問題を伴う。すなわち、分解炉の燃料としてナフサクラッキング工程で生産されるメタンオフガス(MOG、methane off-gas)が主に使用されており、メタンオフガスは、メタンを主成分として含むことから、メタンオフガスが分解炉の燃料として使用される場合、二酸化炭素が多量に排出される問題が発生する。熱分解工程で発生する二酸化炭素の排出量は、ナフサと関連する一連のナフサ工程で発生する二酸化炭素の排出量の90%以上を占めるため、最近論議されている環境規制の問題に応えるべく、ナフサ工程で発生する二酸化炭素の排出量を低減する必要がある。その一環として、水素は、燃焼時に二酸化炭素を排出させないため、分解炉燃料内の水素の含量を増加させるための試み、すなわち、分解炉燃料としてメタンオフガスの一部を水素に代えようとする試みがなされている。
【0005】
しかし、燃料内の水素の含量をある水準以上に高めるためには、ナフサ分解炉設備の外部で、例えば、高純度の水素ガスを外部で購入して適用しなければならず、この場合、水素の購入による全工程の経済性が低下し得る。したがって、外部からさらに導入される高純度の水素の量を最小化し、且つ分解炉燃料に水素を最大限に含ませることができる方法が必要な状況である。
【0006】
さらに、メタンオフガスも、水素を含んでいながら燃料として価値があるだけに、水素によって代替されるメタンオフガスを経済的に活用することができる方法もともに開発されなければならない状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、熱分解を伴う石油化学工程に必要な分解炉の燃料を製造するにあたり、燃料内の水素の含量を高く維持することで、燃焼時に、二酸化炭素の発生を減少させることができる分解炉燃料の製造方法を提供することを目的とする。さらに、工程内の副生成物として発生する水素を効率的に活用することで、外部からさらに導入されなければならない水素の量を下げて経済性を図ることができる分解炉燃料の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、分解炉燃料として、水素によって代替されるメタンオフガス(MOG)は、販売されるか、下流(downstream)工程に移送して活用することが一般的であるが、このように外部に移送されるメタンオフガス内に含まれた水素による水素の損失を最小にすることができる分解炉燃料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、液相分解炉から由来する第1メタンオフガスストリームおよび気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームを準備するステップと、前記第1メタンオフガスストリームの一部をメタンオフガス移出ストリームとして分岐し、残りから第1燃料ガスストリームを得るステップと、前記第2メタンオフガスストリームから第2燃料ガスストリームを得るステップと、前記第1および第2燃料ガスストリームを混合して混合燃料ガスストリームを準備するステップと、前記混合燃料ガスストリームに水素ガスストリームを混合するステップとを含む分解炉燃料の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による分解炉燃料の製造方法を用いる場合、分解炉に供給される燃料の水素の含量を高めることで、分解炉から排出される二酸化炭素の量を減少させることができる。これにより、石油化学工程およびこれにより製造される製品のエコフレンドリーを図ることができる。
【0011】
一方、ナフサクラッキング工程の下流工程に使用されるかまたは自ら独立した商品性を有するメタンオフガスによって流出(leak)され得る水素の損失を最小化し、さらには、ナフサクラッキング工程自体の効率性を高めて工程内で副生成物として発生または生産される水素を最大限に活用することで、外部からさらに導入される水素の量を最小化することができ、これにより、分解炉燃料の製造時にコストダウンを図ることができる分解炉燃料の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による分解炉燃料の製造方法の工程フローチャートである。
図2】本発明の実施例と対比される比較例による分解炉燃料の製造方法の工程フローチャートである。
図3】本発明の実施例と対比される比較例による分解炉燃料の製造方法の工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0014】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程内の流体(fluid)の流れを意味し得、また、配管内で流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内で流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)または液体(liquid)を意味し得る。
【0015】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、図1を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施形態による分解炉燃料の製造方法は、液相分解炉から由来する第1メタンオフガスストリームMOGおよび気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームMOGを準備するステップを含むことができる。
【0017】
前記液相分解炉(liquid cracking furnace)は、液相の供給原料が供給されて熱分解される分解炉であり、前記気相分解炉(gas cracking furnace)は、気相の供給原料が供給され熱分解される分解炉であることができる。一方、前記液相分解炉および気相分解炉で行われる熱分解工程は、供給原料から熱分解生成物を取得するための工程であり、供給原料の相(phase)によって液相分解炉と気相分解炉に区分して行われることができる。
【0018】
すなわち、本発明の一実施形態による熱分解工程は、エチレンなどの生成物の生産量を増加させるために、供給原料としてナフサを用いる液相成分(liquid phase material)の分解工程以外に、供給原料としてエタンおよびプロパンなどのような炭素数2~4の炭化水素化合物を用いた気相成分(gas phase material)の分解工程を区分して行うことができる。
【0019】
具体的には、前記液相分解炉に供給される供給原料は、液相の形態で供給される炭化水素化合物の混合物を含むことができる。具体的な例として、ナフサを含む供給原料であることができ、より具体的な例として、ナフサであることができる。前記ナフサは、原油の蒸留装置から取得されたガソリン(gasoline)の留分から由来することができる。
【0020】
前記液相分解炉の熱分解温度は、500℃~1,000℃、750℃~875℃、または800℃~850℃であることができ、この範囲内で、液相分解炉に供給された供給原料の熱分解収率に優れる効果がある。
【0021】
また、前記気相分解炉は、気相で供給される供給原料を熱分解するための分解炉であることができる。前記気相分解炉の供給原料は、炭素数2~4の炭化水素化合物を含む気相の原料であることができる。ここで、前記炭素数2~4の炭化水素化合物は、後続工程で分離されて循環される再循環C2、再循環C3炭化水素化合物、プロパン、およびブタンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0022】
一方、前記気相分解炉は、1種の気相分解炉が使用されることができ、本発明の一実施形態によると、気相で供給される気相原料によって2種以上の気相分解炉が使用されることができる。すなわち、前記気相分解炉は、供給原料によって、再循環C2およびC3炭化水素化合物を熱分解するための第1気相分解炉と、前記再循環C2およびC3炭化水素化合物とは別にさらに供給されるプロパンおよびブタンのうち1以上を熱分解するための第2気相分解炉とを含むことができる。前記第1および第2気相分解炉は、互いに並列に連結されることができる。
【0023】
前記第1気相分解炉に供給される再循環C2炭化水素化合物および再循環C3炭化水素化合物は、後続する精製工程で精製の後、再循環されるC2炭化水素化合物およびC3炭化水素化合物であることができる。具体的には、前記再循環C2炭化水素化合物は、後述する精製ステップ(S4)で精製の後、再循環されるエタン(ethane)であることができ、前記再循環C3炭化水素化合物は、後述する精製ステップ(S4)で精製の後、再循環されるプロパン(propane)であることができる。
【0024】
前記第2気相分解炉に供給される供給原料は、前記再循環C2炭化水素化合物および前記C3炭化水素化合物とは別に供給される炭素数2~4の炭化水素化合物であり、プロパン(propane)およびブタン(butane)からなる群から選択される1種以上を含むことができ、より具体的には、液化石油ガス(LPG)から由来することができる。一方、前記液化石油ガスは、気化して第2気相分解炉に供給されることができる。前記第2気相分解炉に供給される原料のコストは、比較的安くて外部からの供給が容易であり、生産コストを削減し、且つ熱分解生成物の生産量を増加させる効果がある。
【0025】
前記気相分解炉の熱分解温度は、500℃~1,000℃、750℃~900℃、または825℃~875℃であることができ、この範囲内で、気相分解炉に供給された供給原料の熱分解収率に優れる効果がある。
【0026】
本発明の一実施形態による第1および第2メタンオフガスストリームMOG、MOGは、それぞれ前記液相分解炉および前記気相分解炉から由来することができる。
【0027】
具体的には、前記第1および第2メタンオフガスストリームMOG、MOGは、上述の供給原料をそれぞれの熱分解炉に供給して熱分解するステップ(S1)と、熱分解されて、水素、C1、C2およびC3以上の炭化水素化合物を含む熱分解ガスを冷却塔で冷却するステップ(S2)と、冷却した熱分解ガスを2個またはその以上の圧縮機で圧縮するステップ(S3)と、熱分解圧縮ストリームを精製するステップ(S4)とを含む工程によって準備することができる。
【0028】
すなわち、液相分解炉から由来する第1メタンオフガスストリームMOGは、液相供給原料が液相分解炉に供給され、その後、前記S1~S4のステップを経て製造されたストリームであることができ、気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームMOGは、気相供給原料が気相分解炉に供給され、その後、前記S1~S4のステップを経て製造されたストリームであることができる。また、前記第1および第2メタンオフガスストリームMOG、MOGを製造するためのS1~S4のステップは、それぞれ別のラインを介して行われることができる。
【0029】
一方、本発明の一実施形態によると、前記熱分解圧縮ストリームを精製するステップ(S4)によって第1および第2メタンオフガスストリームMOG、MOGを得るステップは、脱メタン塔(demethanizer)と冷却循環区域(cold box、CB)を含む装置によって行われることができる。
【0030】
具体的には、前記熱分解圧縮ストリームは、脱メタン塔(demethanizer)に供給されることができ、選択的には、前記熱分解圧縮ストリームが気液分離装置を経る場合には、前記気液分離装置の下部排出ストリームが脱メタン塔に供給されることができる。前記脱メタン塔は、水素、C1炭化水素化合物およびC2炭化水素化合物を含む熱分解圧縮ストリームを蒸留して、水素およびC1炭化水素化合物を含む上部排出ストリームとC2炭化水素化合物を含む下部排出ストリームを分離するための装置である。
【0031】
次いで、水素およびC1炭化水素化合物を含む脱メタン塔の上部排出ストリーム、または選択的には、前記気液分離装置が運転される場合には、気液分離装置の上部排出ストリームと脱メタン塔の上部排出ストリームは冷却循環区域に供給されて循環されることができる。これにより、水素リッチ(rich)ストリームとメタンリッチ(rich)ストリームが分離および生産されることができる。
【0032】
ここで、前記第1および第2メタンオフガスストリームMOG、MOGは、それぞれのラインで行われる脱メタン塔および冷却循環区域による分離および精製工程の結果として生産されるメタンリッチストリームであることができる。
【0033】
一方、本発明の一実施形態によると、前記第1メタンオフガスストリームMOG内の水素の含量は10体積%~25体積%であり、メタンの含量は75体積%~90体積%であることができる。また、残量の成分として、例えば、一酸化炭素0.1体積%以下、エチレン0.3体積%以下、およびエタン0.002体積%以下を含むことができる。
【0034】
前記第2メタンオフガスストリームMOG内の水素の含量は67体積%~77体積%であり、メタンの含量は23体積%~33体積%であることができる。また、残量の成分として、一酸化炭素0.05体積%以下およびエチレン0.1体積%以下を含むことができる。
【0035】
前記気相分解炉排出ストリームから由来する第2メタンオフガスMOGに含まれた水素の含量は、液相分解炉排出ストリームから由来する第1メタンオフガスストリームMOGに含まれた水素の含量より高い。これは、液相分解炉の原料であるナフサが熱分解される場合に比べて、気相分解炉の原料であるエタンおよびプロパンが熱分解される場合に、分解炉排出ストリーム自体内に水素の含量が高く、気相分解炉排出ストリームからメタンオフガスを得る精製工程が比較的単純であり、気相分解炉排出ストリーム内の水素がほとんどメタンオフガスストリームMOGに含まれ得るためである。また、分解炉排出ストリームに伴われる精製工程の場合、脱メタン塔の上部へのC2炭化水素化合物の流出を最小化するために、脱メタン塔の上部排出ストリームに対する極低温のエチレン冷媒を用いた凝縮工程が伴われるが、液相分解炉と関連する凝縮工程時の凝縮温度が気相分解炉と関連する凝縮工程時の凝縮温度より低いため、第1メタンオフガスストリームMOGに含まれた水素の含量が第2メタンオフガスMOGに含まれた水素の含量より低くなる。
【0036】
通常、分解炉から由来するメタンオフガスは、メタンを多量含有していることから、炉(Furnace)の燃料として活用されることができる。すなわち、メタンオフガスは、それ自体で経済性を有することから、再循環されてナフサ工程内に設置された炉(furnace)、例えば、分解炉(cracking furnace)の燃料として使用されるか、ナフサ工程の系(system)の外部に排出されて販売されることができる。しかし、メタンオフガスを再循環させて分解炉の燃料として活用する場合、メタンオフガスに含まれた炭化水素化合物の燃焼によって発生および排出される二酸化炭素によって環境汚染がもたらされるか、環境規制による制約を受け得る。また、上述のように、メタンオフガスには、一定量の水素が含まれているが、メタンオフガスを系外に排出して販売する場合には、販売されるメタンオフガスに含まれた水素まで系外に移出(export)されることで、水素の流出(leak)が引き起こされ得る。水素は、燃焼によって二酸化炭素を発生させず、燃焼価が比較的高いため、経済的および環境的の面で活用価値が高い。したがって、経済性の観点で、メタンオフガスに含まれた水素の流出を最小にし、且つ外部から導入(import)される水素の供給を最小にするための工程効率性の改善が必要であり、さらには、分解炉燃料内の水素の含量を増大させることが環境的問題の観点で必要である。
【0037】
このような見地で、本発明の一実施形態による分解炉燃料の製造方法は、前記のように準備した第1および第2メタンオフガスストリームに対して、前記第1メタンオフガスストリームの一部をメタンオフガス移出(export)ストリームとして分岐し、残りから第1燃料ガスストリームF1を得るステップを含むことができる。
【0038】
上述のように、気相分解炉から由来した前記第2メタンオフガスストリームMOGは、液相分解炉から由来した前記第1メタンオフガスストリームMOGに比べて水素の含量は高いのに対し、前記第1メタンオフガスストリームMOGの流量は、前記第2メタンオフガスストリームMOGの流量に比べて大きい。具体的には、前記第1メタンオフガスストリームMOGの質量流量は、前記第2メタンオフガスストリームMOGの質量流量に対して3倍~10倍であることができる。これは、液相分解炉および気相分解炉に導入される原料の導入量により制御することができ、通常、主な原料であるナフサの活用および工程運用の経済的な観点で、前記のような質量流量比で運転することが好ましい。
【0039】
したがって、第2メタンオフガスストリームMOGに比べて水素の含量は低く、一方、流量は大きい第1メタンオフガスストリームMOGの一部を分岐してメタンオフガスを移出(export)させることが、生産されるメタンオフガスの流量の大きな変化なく水素の流出を最小化することができるという観点で好ましい。前記メタンオフガス移出ストリームの流量は、外部から導入される水素ガスストリームFの流量が増加するほど増加することができる。一方、メタンオフガス移出ストリームMOGex内の水素の含量は、15体積%~25体積%であることができる。
【0040】
第1メタンオフガスストリームMOGは、ドラムD1に供給されて液相炭化水素が除去された後、ドラムD1から排出されることができる。前記ドラムD1から排出された第1メタンオフガスストリームMOGは、その一部がメタンオフガス移出ストリームMOGexとして分岐されて移出され、残りから第1燃料ガスストリームF1が得られることができる。前記第1燃料ガスストリームF1と前記第2燃料ガスストリームF2は、ヘッダーで混合されることができる。すなわち、メタンオフガス移出ストリームMOGexは、前記第1燃料ガスストリームF1が第2燃料ガスストリームF2と混合される前に、第1メタンオフガスストリームMOGから分岐されて移出されるストリームを意味し得る。
【0041】
本発明の一実施形態によると、前記第2メタンオフガスストリームMOGは、前記第1メタンオフガスストリームMOGに比べて水素の含量が高いため、前記第2メタンオフガスストリームMOGは、それ自体で第1燃料ガスストリームF1と混合されて混合燃料ガスストリームFmixedを形成する第2燃料ガスストリームF2であることができる。これにより、本発明は、分解炉燃料の燃焼時に発生可能な二酸化炭素の低減のために、分解炉燃料に外部から導入される水素Fを含ませる場合、メタンオフガス移出ストリームMOGexが分岐される地点をメタンの含量が相対的に高いストリームに限定することで、外部への水素流出を最小化し、これにより、経済性を極大化することが可能である。
【0042】
一方、本発明の他の実施形態によると、前記第2メタンオフガスストリームMOGに再循環水素ガスストリームを混合して第2燃料ガスストリームF2を形成することができる。ここで、前記再循環水素ガスストリームとは、系内の後続工程で分離されて循環され、水素を豊富に含むストリームであり、前記再循環水素ガスストリーム内の水素の含量は、前記第2メタンオフガスストリーム内の水素の含量より高くすることができる。これにより、外部から導入される水素ガスストリームFの流量を低減することができるが、分解炉燃料内の水素の含量をさらに高めることができる。
【0043】
より具体的には、前記再循環水素ガスストリームは、圧力スイング吸着工程によるリジェクトガスであることができる。すなわち、前記第2メタンオフガスストリームMOGは、圧力スイング吸着工程PSAによるリジェクト(reject)ガスFPSAと混合されて第2燃料ガスストリームF2を形成することができる。
【0044】
前記圧力スイング吸着工程は、ナフサの熱分解工程に伴われて高純度の水素ストリームを得るために行われる工程であり、圧力スイング吸着工程PSAのリジェクトガスFPSAは、前記圧力スイング吸着工程PSAによって取得される高純度の水素ストリーム以外の水素の含量が低い低純度の水素ストリームを意味し得る。
【0045】
前記圧力スイング吸着工程に導入される流入物または前記圧力スイング吸着工程の上流(upstream)工程または下流(downstream)工程が特に限定されるものではないが、一例としては、前記冷却循環区域から排出されるストリームとして水素リッチ(rich)ストリームが圧力スイング吸着工程に導入されることができ、圧力スイング吸着工程によって高純度の水素ストリームが生産されることができ、残りのストリームが圧力スイング吸着工程PSAリジェクトガスFPSAとして排出されることができる。
【0046】
前記リジェクトガスFPSAは、圧力スイング吸着工程PSAにより排出されるガスであり、前記リジェクトガス内の水素の含量は60体積%~80体積%であることができ、具体的には70体積%~80体積%であることができる。一方、前記リジェクトガス内のメタンの含量は20体積%~40体積%、または20体積%~30体積%であることができる。
【0047】
すなわち、圧力スイング吸着工程PSAのリジェクトガスは、前記第1および第2メタンオフガスストリームに含まれた水素の含量より高いことから、前記圧力スイング吸着工程のリジェクトガスを分解炉の燃料として活用する場合、燃焼時に排出される二酸化炭素の量を低減することができる。それだけでなく、圧力スイング吸着工程PSAによる高純度の水素ガスではなく、リジェクトガスを活用するという点で、工程の全体的な経済性を向上させることができる。
【0048】
上述のように、前記圧力スイング吸着工程PSAのリジェクトガスは、第2メタンオフガスストリームMOGと混合されることができる。上述のように、第1メタンオフガスストリームMOGは、相対的に水素の含量が低く、したがって、第1メタンオフガスストリームMOGの一部が移出ストリームとして分岐されてメタンオフガスの生産に使用されるため、水素の含量が高い分解炉燃料の製造のためには、前記リジェクトガスが第2メタンオフガスストリームMOGと混合することが、水素の流出防止の観点で好ましい。このような見地で、前記圧力スイング工程によるリジェクトガスの流量は、前記第2メタンオフガスストリームの流量に対して5重量%~15重量%であることができる。
【0049】
一方、前記圧力スイング吸着工程PSAのリジェクトガスと混合された第2メタンオフガスストリームMOGは、ドラムD2に供給されて、ストリーム内の液相炭化水素が除去された後、前記ドラムD2から排出されることで、第2燃料ガスストリームF2を形成することができる。
【0050】
本発明の一実施形態による分解炉燃料の製造方法によると、前記第1および第2燃料ガスストリームF1、F2を混合して混合燃料ガスストリームFmixedを準備するステップと、前記混合燃料ガスストリームFmixedに水素ガスストリームFを混合するステップとを含むことができる。
【0051】
すなわち、上述の工程で製造された第1および第2燃料ガスストリームF1、F2を分解炉燃料として供給するのに適するように混合して混合燃料ガスストリームFmixedを形成し、前記混合燃料ガスストリームFmixed内の水素の含量を所望の水準に維持するために、さらに水素ガスストリームFを前記混合燃料ガスストリームFmixedに混合する方式で分解炉燃料を製造することができる。
【0052】
まず、前記分解炉燃料内の水素の含量は、50体積%~90体積%に制御されることが好ましい。前記分解炉燃料内の水素の含量が50体積%未満である場合には、燃焼時に発生する二酸化炭素の排出量が増加するため、環境的な観点で好ましくない。また、分解炉燃料内の水素の含量が90体積%を超える場合には、燃料に追加されなければならない水素ガスストリームFの量が増加することで経済性が低下し、このような燃料が分解炉のバーナー(burner)で燃焼される場合、逆火(back fire)による安全性に問題が発生し得、燃焼による窒素酸化物(NO)が過量に発生し、かえって環境的な観点でも好ましくない。
【0053】
前記混合燃料ガスストリームFmixedに前記水素ガスストリームFをさらに追加することで、最終的な分解炉燃料内の水素の含量を50体積%~90体積%に制御することができる。
【0054】
一般的に導入(import)される水素ガスストリームFのkg当たりコストは、第1メタンオフガスストリームMOGから移出されるメタンオフガスストリームのkg当たりコストより高価であるため、分解炉燃料内の水素の含量を所望の水準に制御するにあたり、さらに導入される水素ガスストリームFの流量を最小化することが重要である。したがって、本発明によると、再循環水素ガスストリーム、例えば、圧力スイング吸着工程によるリジェクトガスを気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームに混合させ、メタンオフガス生産のためのメタンオフガス移出ストリームを第1メタンオフガスストリームから分岐させることで、所望の水素の含量を有する分解炉燃料を製造するためにさらに導入が必要な水素ガスストリームFの流量を最小化することが可能である。これにより、エコフレンドリーな分解炉燃料を経済的に製造することができる。
【0055】
一方、本発明の分解炉燃料の製造方法によって製造された燃料は、液相分解炉および気相分解炉のうち1以上の分解炉の燃料として使用されることができる。
【0056】
以下、実施例を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白なことであり、これらにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0057】
実施例および比較例
比較例1
図3に図示された工程フローチャートに対して、AspenTech社製のAspen Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。
【0058】
まず、ナフサを液相分解炉に供給して熱分解した後、熱分解生成物を順に冷却、圧縮、精製して、水素の含量が18体積%である第1メタンオフガスストリームMOGを準備した。ここで、前記第1メタンオフガスストリームMOGの流量は49.8ton/hrであった。一方、再循環C2、C3炭化水素化合物とプロパンを気相分解炉に供給して熱分解した後、熱分解生成物を順に冷却、圧縮、精製して、水素の含量が67体積%である第2メタンオフガスストリームMOGを準備した。ここで、前記第2メタンオフガスストリームMOGの流量は7.8ton/hrであった。
【0059】
このように準備した第1および第2メタンオフガスストリームを再循環水素ガスストリームと混合せず、それぞれ第1および第2燃料ガスストリームF1、F2にした。その後、これを混合して混合燃料ガスストリームFmixedにし、別の水素ガスストリームと混合せず、これを分解炉燃料にした。ここで、分解炉燃料内の水素の比率は29.7体積%であった。
【0060】
実施例1
図1に図示された工程フローチャートに対して、AspenTech社製のAspen Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。
【0061】
比較例1のようにして、第1メタンオフガスストリーム(流量:49.8ton/hr;水素の含量:18体積%)と第2メタンオフガスストリーム(流量:7.8ton/hr;水素の含量:67体積%)を準備した。
【0062】
一方、熱分解生成物を精製する過程で冷却循環区域から排出されるストリームに対して圧力スイング吸着工程PSAを行い、結果、リジェクト(reject)ガスFPSAを前記第2メタンオフガスストリームMOGと混合させた。前記レジェクガスFPSA内の水素の含量は77体積%であり、流量は0.6ton/hrであった。
【0063】
前記第1メタンオフガスストリームMOGとリジェクトガスと混合した第2メタンオフガスストリームMOGをそれぞれドラムD1、D2に供給し、前記ドラムD1、D2に供給される流量と同じ流量でそれぞれのストリームを排出した。
【0064】
前記ドラムD1から排出される第1メタンオフガスストリームMOGの一部をメタンオフガス移出ストリームMOGexとして分岐し、残りから第1燃料ガスストリームF1を得た。ここで、前記移出ストリームMOGex内の水素の含量は18体積%であり、流量は32.8ton/hrであり、第1燃料ガスストリームF1内の水素の含量は18体積%であり、流量は17.0ton/hrであった。一方、ドラムD2から排出されるリジェクトガスと混合された第2メタンオフガスストリームMOGを第2燃料ガスストリームF2にした(流量:8.4ton/hr)。
【0065】
次いで、前記第1および第2燃料ガスストリームF1、F2を混合して混合燃料ガスストリームFmixedを取得し、混合燃料ガスストリームFmixed内の水素の含量は43体積%であり、流量は25.4ton/hrであった。
【0066】
混合燃料ガスストリームFmixed内の水素の含量を85体積%に調整するために、純度100%の水素ガスストリームFを14.2ton/hrで混合することで、最終的な分解炉燃料(水素の含量:85体積%、流量:39.6ton/hr)を製造した。
【0067】
比較例2
図2に図示された工程フローチャートに対して、AspenTech社製のAspen Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。
【0068】
実施例1と同じ過程で、同じ水素の含量および流量を有する第1および第2メタンオフガスストリームMOG、MOGおよびリジェクトガス(水素の含量:77体積%;流量:0.6ton/hr)を準備した。
【0069】
次に、リジェクトガスを第2メタンオフガスストリームMOGと混合させず、第1メタンオフガスストリームMOGと混合させ、メタンオフガス移出ストリームMOGexを第1メタンオフガスストリームMOGから分岐させず、第1および第2燃料ガスストリームF1、F2の混合燃料ガスストリームFmixedから分岐させた。ここで、メタンオフガス移出ストリームMOGexの水素の含量は31体積%であり、流量は33.7ton/hrであった。
【0070】
一方、比較例2による混合燃料ガスストリームFmixed内の水素の含量は31体積%であり、流量は24.5ton/hrであった。
【0071】
その他には実施例1と同様に実施し、混合燃料ガスストリームFmixed内の水素の含量を実施例1と同様、85体積%に調整するために、純度100%の水素ガスストリームFを15.1ton/hrで混合することで、最終的な分解炉燃料(水素の含量:85体積%、流量:39.6ton/hr)を製造した。
【0072】
実施例2~5
図1に図示された工程フローチャートに対して、AspenTech社製のAspen Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。
【0073】
実施例2~5は、分解炉燃料内の水素の含量を表1に記載のように調整するために、水素ガスストリームFの導入量および第1メタンオフガスストリームから分岐されて排出されるメタンオフガス移出ストリームMOGexの排出量を表1のように制御した以外は、実施例1と同じ工程の流れで分解炉燃料を製造した。
【0074】
比較例3~6
図2に図示された工程フローチャートに対して、AspenTech社製のAspen Plusシミューレータを用いて、工程をシミュレーションした。
【0075】
比較例3~6は、分解炉燃料内の水素の含量を表2に記載のように調整するために、水素ガスストリームFの導入量および第1メタンオフガスストリームから分岐されて排出されるメタンオフガス移出ストリームMOGexの排出量を表2のように制御した以外は、比較例2と同じ工程の流れで分解炉燃料を製造した。
【0076】
下記の表1および2において、二酸化炭素の削減は、比較例1に対して年間削減される量を意味する。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
実施例1~5および比較例2~6の結果により、分解炉燃料内の水素の含量が増加するほど、分解炉から排出される二酸化炭素削減の効果が増加した。
【0080】
また、再循環水素ガスストリーム、具体的には、圧力スイング吸着工程によるリジェクトガスを気相分解炉から由来する第2メタンオフガスストリームに混合させ、メタンオフガス(MOG)移出ストリームを液相分解炉から由来する第1メタンオフガスストリームから排出させる実施例1~5の場合、そうでない比較例に比べて、メタンオフガス移出ストリームとともに流出される水素の略半分以上の水準に減少していることを確認することができ、且つ外部からさらに導入されなければならない水素ガスストリームの流量が減少していることを確認することができる。すなわち、分解炉燃料内の同じ水素の含量を実現する場合であっても、本発明の実施例による場合に、外部から購入しなければならない水素の導入量の減少による収益性の改善を図ることができた。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
前記気相分解炉排出ストリームから由来する第2メタンオフガスストリームMOGに含まれた水素の含量は、液相分解炉排出ストリームから由来する第1メタンオフガスストリームMOGに含まれた水素の含量より高い。これは、液相分解炉の原料であるナフサが熱分解される場合に比べて、気相分解炉の原料であるエタンおよびプロパンが熱分解される場合に、分解炉排出ストリーム自体内に水素の含量が高く、気相分解炉排出ストリームからメタンオフガスを得る精製工程が比較的単純であり、気相分解炉排出ストリーム内の水素がほとんどメタンオフガスストリームMOGに含まれ得るためである。また、分解炉排出ストリームに伴われる精製工程の場合、脱メタン塔の上部へのC2炭化水素化合物の流出を最小化するために、脱メタン塔の上部排出ストリームに対する極低温のエチレン冷媒を用いた凝縮工程が伴われるが、液相分解炉と関連する凝縮工程時の凝縮温度が気相分解炉と関連する凝縮工程時の凝縮温度より低いため、第1メタンオフガスストリームMOGに含まれた水素の含量が第2メタンオフガスストリームMOGに含まれた水素の含量より低くなる。
【国際調査報告】