(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染検出
(51)【国際特許分類】
G01N 25/18 20060101AFI20241108BHJP
F25B 9/00 20060101ALI20241108BHJP
G01N 27/18 20060101ALI20241108BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
G01N25/18 A
F25B9/00 Z
G01N27/18
G01N27/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524654
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 IB2022060369
(87)【国際公開番号】W WO2023073624
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】モーラン ピーター エフ
(72)【発明者】
【氏名】ザカルスキー スティーヴン エドワード
【テーマコード(参考)】
2G040
2G060
【Fターム(参考)】
2G040AA02
2G040AB09
2G040BA01
2G040BA23
2G040CA01
2G040DA02
2G040DA12
2G040EA02
2G040EB02
2G040EC07
2G040GA05
2G040HA05
2G040HA16
2G060AA01
2G060AB01
2G060AE07
2G060AF07
2G060BA05
2G060BB02
2G060KA01
(57)【要約】
極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出するためのセンサ、方法及び冷凍システムが開示される。センサは、極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するための入口(10)と、入口と流体連通する熱伝導率検出器(5)とを備える。熱伝導率検出器(5)は、センサが接続されている場合に、極低温冷凍システムから受け取った極低温冷媒の検出された熱伝導率を示す信号を生成するように構成されている。また、センサは、熱伝導率信号を極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成された回路と、極低温冷媒の汚染の指標を出力するように構成された出力部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出するためのセンサであって、
前記極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するための入口と、
前記入口と流体連通する熱伝導率検出器であって、前記センサが接続されている場合に、前記極低温冷凍システムから受け取った前記極低温冷媒の検出された熱伝導率を示す信号を生成するように構成されている、熱伝導率検出器と、
前記熱伝導率の信号を前記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成された回路と、
前記極低温冷媒の汚染の前記指標を出力するように構成された出力部と、
を備える、センサ。
【請求項2】
前記センサは、制御回路をさらに含み、前記制御回路は、前記冷凍システムの現在の状態を示す少なくとも1つの信号を受け取るための入力部を備え、前記制御回路は、前記少なくとも1つの受け取った信号に基づいて、前記熱伝導率検出器の動作を制御するように構成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記センサは、前記センサへの及び前記センサからの前記極低温冷媒の流れを制御するように配置された少なくとも1つの弁をさらに備える、請求項1又は2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記制御回路は、前記少なくとも1つの弁の動作を制御するように構成されている、請求項2及び3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記受け取った信号が、前記極低温冷凍システムが再生段階にあることを示すという決定に応答して、前記制御回路は、前記熱伝導率検出器を起動して熱伝導率検出を行わせるように構成されている、請求項2から4のいずれかに記載のセンサ。
【請求項6】
前記制御回路は、前記極低温冷凍システムが200K未満、好ましくは100K未満であり、前記汚染物質が前記極低温冷凍システム内で凍結しているという決定に応答して、前記熱伝導率検出器を起動して、ベースライン熱伝導率検出としての前記熱伝導率検出を行わせるように構成されている、請求項2から5のいずれかに記載のセンサ。
【請求項7】
前記制御回路は、前記冷凍システムが220Kを超える、好ましくは270Kを超えるという決定に応答して、前記熱伝導率検出器を制御して、前記熱伝導率検出器を起動して、汚染熱伝導率検出としての前記熱伝導率検出を行わせるように構成されている、請求項2から6のいずれかに記載のセンサ。
【請求項8】
前記回路は、前記ベースライン熱伝導率検出及び前記汚染熱伝導率検出の両方に依存して、前記熱伝導率信号を前記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成されている、請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記熱伝導率検出器は、フィラメント熱伝導率検出器を含む、請求項1から8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項10】
さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器を備え、
前記さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器は、前記冷凍システムから分離されかつ所定の純度の冷媒を含み、前記回路は、前記さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器と前記フィラメント熱伝導率検出器の前記熱伝導率検出の比較に基づいて、前記熱伝導率信号を前記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成されている、請求項1から5のいずれかに従属する場合の請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
前記熱伝導率検出器は、微小電気機械システム(MEMS)装置を含む、請求項1から8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項12】
前記回路は、前記冷媒の温度及び圧力のうちの少なくとも一方を示す信号を受け取り、前記温度及び圧力のうちの少なくとも一方に基づいて、前記熱伝導率信号を汚染の前記指標に変換するように構成されている、請求項1から8のいずれかに記載のセンサ。
【請求項13】
極低温冷媒と、前記極低温冷媒の汚染を決定するための請求項1から12のいずれかに記載のセンサとを備える、極低温冷凍システム。
【請求項14】
前記極低温冷媒を圧縮するための少なくとも1つの圧縮機と、少なくとも1つのポンプと、前記極低温冷凍システムの動作を制御するための制御装置とをさらに備え、前記制御装置は、前記極低温冷媒の前記汚染の検出を開始するための信号を前記センサに送る前に、前記圧縮機及び前記少なくとも1つのポンプの動作を所定時間もたらすことによって混合サイクルを制御するように構成されている、請求項13に記載の極低温冷凍システム。
【請求項15】
極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出する方法であって、
熱伝導率検出器を含むセンサを、極低温冷媒が前記熱伝導率検出器に流入するように、前記極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するステップと、
前記熱伝導率検出器を用いて前記極低温冷媒の熱伝導率を測定するステップと、
前記測定された熱伝導率を、前記極低温冷媒の汚染量の指標に変換するステップと、
前記極低温冷媒の汚染の前記指標を出力するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
極低温冷却システムは、ヘリウムなどの冷媒を使用する。冷媒の純度は、不純物がシステムの低温で凍結し、損傷又は性能低下を引き起こす可能性があるため重要である。従来のシステムは、冷媒の汚染レベルが許容レベル以下であることを保証するために、定期的に冷媒を監視している。これは、サンプルを採取し、RGA(残留ガス分析器)を使用してサンプル内の汚染物質を測定することによって行うことができる。RGAは複雑な装置であり、一般に遠隔地に設置され、操作にはかなりの専門知識を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
システムの通常運転を過度に妨げない方法で、定期的かつ安価に分析を実施できる分析技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様は、極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出するためのセンサを提供し、上記センサは、上記極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するための入口と;上記入口と流体連通する熱伝導率検出器であって、上記センサが接続されている場合に、上記極低温冷凍システムから受け取った上記極低温冷媒の検出された熱伝導率を示す信号を生成するように構成されている、熱伝導率検出器と;上記熱伝導率の信号を上記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成された回路と;上記極低温冷媒の汚染の上記指標を出力するように構成された出力部と;を備える。
【0005】
本発明の発明者らは、極低温システムで使用されるヘリウムなどの冷媒は、多くの場合、システム内の冷媒の中に漏出する可能性のある他の不純物の導電率とは全く異なる高い導電率を有することを認識している。また、極低温冷媒内の不純物又は汚染の存在を現場で特定できるようになれば、冷媒をより定期的に検査して、何らかの汚染を早期に検出できるようになることも認識している。従って、実施形態は、極低温冷凍システム内の冷媒の導電率を検出するための熱伝導率検出器を有するセンサを提供する。これにより、検査を定期的に実施し、結果を即座に得ることができる。このようにして、比較的低コストで取り扱いが簡単なセンサを使用した汚染の早期検出がもたらされる。このようなセンサは、従来のRGA分析装置ほど正確に汚染の性質を特定できない場合があるが、冷媒汚染の有無を検出できるため、極低温システムを保護することができ、より正確な分析が有用であると決定された場合には、これを行うことができる。このようにして、使用される場合、冷媒のより面倒な遠隔測定は、結果が必要とされる状況に正確に的を絞ることができ、結果は、従来の場合よりもはるかに少ない頻度で必要となる。
【0006】
いくつかの実施形態では、センサは、極低温冷媒流路に接続するためのポートを1つだけ有し、この1つのポートは、流れがセンサに入ることを可能にするための入口として機能し、また、検出が行われている場合の出口としても機能し、この時点で、冷媒はセンサから排出することができる。しかしながら、他の実施形態では、入口と出口の両方があり、熱伝導率検出器が両者の間に配置され、流れはセンサを通過することができ、センサ内の冷媒は継続的に補充され、冷凍システム内の冷媒を代表するようになっている。
【0007】
冷媒は、極低温、一般に100k未満の温度で動作するように構成されていれば様々な形態とすることができるが、いくつかの実施形態では、冷媒はヘリウムである。ヘリウムは、極低温システムの冷媒として使用されることが多く、実施形態では、ヘリウムは、他のガスと比較して、詳細には、汚染された冷媒に見出される可能性が高いガス不純物と比較して、ガス状態での非常に高い導電率を有するため、ヘリウム中の汚染物質を検出するのに特に効果的である。結果として、ヘリウム流内の何らかの汚染は、熱伝導率の大きな変化を引き起こし、従って、かなりの正確度で検出することができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記センサは、制御回路をさらに備え、上記制御回路は、上記冷凍システムの現在の状態を示す少なくとも1つの信号を受け取るための入力部を備え、上記制御回路は、上記少なくとも1つの受け取った信号に基づいて、上記熱伝導率検出器の動作を制御するように構成されている。
【0009】
センサは、極低温冷媒の熱伝導率、従って汚染を現場で測定できるように、冷凍システムに取り付けられるように構成されている。センサは、冷凍システムの現在の運転状態又は状況を示す信号を受け取る制御回路によって制御することができ、これらの信号は、センサを制御して熱伝導率検出を行うために使用される。これに関して、信号は、再生状態に入っているか否かなどの現在の運転状態を示すものとすることができる、及び/又は、温度、圧力、流量などの冷凍システム内の極低温冷媒の特性を示すものとすることができ、これらは、冷凍システムの現在の運転状態の間接的な指標であり、熱伝導率測定に影響を及ぼす。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記センサは、上記センサへの及び上記センサからの上記極低温冷媒の流れを制御するように配置された少なくとも1つの弁をさらに備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、センサは、極低温冷媒の流れ内の冷凍システム内に取り付けることができ、センサに関連する弁が存在しない場合がある。しかしながら、他の実施形態では、センサの入口及び/又は出口に関連する1又は2以上の弁が存在する場合があり、弁は、センサへの流れ及びセンサからの流れを制御するように構成されている。弁は、例えば、センサがバイパスライン内にある場合に使用することができ、極低温冷媒は、測定が行われる場合に、その通常の流路から分流して、バイパスライン、従ってセンサを通って流れるようになっている。測定が行われない場合、弁は閉じることができ、冷媒はバイパスラインを通過することができる。この点で、滞留流れ内で熱検知測定を行うことが好ましい場合があり、従って、弁で流れを制御できることが有利な場合があり、測定が行われる場合、システムを示す冷媒は、捕捉されるが滞留するようになっている。
【0012】
追加的に及び/又は代替的に、制御回路は、冷凍システムの動作に応答して、特に、極低温冷媒の流れが停止されたときに、測定を制御することができる。
【0013】
他の実施形態では、センサは、流れる冷媒内にあることができ、熱伝導率測定値を汚染指標に変換するように構成された回路は、変換が熱伝導率測定値に対する乱流などの流れの影響を考慮することができるように、流量を示す信号を受け取ることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記制御回路は、上記少なくとも1つの弁の動作を制御するように構成されている。
【0015】
センサに関連する弁が存在する場合、熱伝導率検出器の制御回路の動作は、1又は2以上の弁の動作を制御することもできる。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記受け取った信号が、上記極低温冷凍システムが再生段階にあることを示すという決定に応答して、上記制御回路は、上記熱伝導率検出器を起動して熱伝導率検出を行わせるように構成されている。
【0017】
上述したように、極低温冷凍システムにおける汚染に関する問題は、汚染物質が極低温で凍結することであり、これは損傷を引き起こす場合、及び/又は流れを制限する場合がある。従って、汚染を検査する場合、汚染物質が凍結せず、センサ内の冷媒内に存在することになる極低温を超える温度で行うことがより正確で効果的である。極低温冷凍システムが例えば極低温真空ポンプとして使用される場合、定期的に再生段階を有することになり、ここでは、クライオポンプの極低温冷却機が極低温温度以上になり、捕捉された分子を放出する。このようなシステムでは、このような期間中に汚染検出測定を行うのが有利な場合がある。従って、いくつかの実施形態では、制御回路は、システムが再生段階にあり、ほぼある温度に達したと決定した時点で、センサを起動して熱伝導率測定を行うように構成されている。
【0018】
再生段階中に熱伝導率測定を行うさらなる利点は、再生段階の多くの間、圧縮機及びクライオポンプが作動せず、流れが滞留することである。これは、測定が乱流などの流れの影響を補正する必要がなく、より正確な測定又は少なくともより単純な測定を行うことができることを意味する。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記制御回路は、上記極低温冷凍システムが200K未満、好ましくは100K未満であり、上記汚染物質が上記極低温冷凍システム内で凍結しているという決定に応答して、上記熱伝導率検出器を起動して、ベースライン熱伝導率検出として上記熱伝導率検出を行わせるように構成されている。
【0020】
上述したように、冷凍システムが極低温にある場合、汚染物質を捕捉することができる。詳細には、極低温冷凍システムが200K未満、好ましくは100K未満である場合、多くの汚染物質はシステムの最も低温の部分内で凍結することになり、最も低温の部分から離れた極低温冷媒の熱伝導率を検出することは、実質的に純粋な冷媒のベースライン指標を提供することになる。従って、このような熱伝導率の検出を定期的に行うことは有利な場合がある。これらは、同じ位置の同じセンサによって測定された、汚染物質の有無による極低温冷媒の熱伝導率の差を正確に比較し、これらの測定値を汚染物質の量に変換するのを可能にするために有用である。冷凍システムが定期的に再生段階を実行する場合、このベースライン検出は、極低温冷媒が滞留し、流れがなく、冷凍システムの最も低温の部分が依然として極低温温度にある再生段階の開始時又はその付近で行うことができる。このベースライン測定は、各再生サイクルに対して行うこと、又は、サブセットに対して行うことができ、所定の時間又は再生サイクル数の後、ベースライン測定は、繰り返され、比較として使用される熱伝導率測定値が更新されるようになっている。
【0021】
いくつかの実施形態では、上記制御回路は、上記冷凍システムが220Kを超える、好ましくは270Kを超えるという決定することに応答して、上記熱伝導率検出器を制御して、上記熱伝導率検出器を起動して、汚染熱伝導率検出として上記熱伝導率検出を行わせるように構成されている。
【0022】
汚染物質が極低温冷媒内に存在する場合、汚染物質の正確な測定を行うためには、冷凍システムが極低温温度を超える、例えば220Kを超える、好ましくは270Kを超えると決定される場合に測定を行うことが有利である。冷凍システムが再生段階を含む場合、この高温は、再生段階への何らかの途中に発生する場合があり、システムは、熱伝導率検出を行う前に混合サイクルを実行する場合がある。混合サイクルは、冷凍システムの圧縮機及びポンプが、システムの周囲で冷媒を混合するために、非常に短い時間動作することを含むことができ、システムの冷却部内に保持されていた汚染物質は、冷媒内に分散されるようになっている。混合サイクルは、このサイクル中は冷却が望まれないため、長時間行われない。これは、30秒を上回り、一般的には5分未満である。
【0023】
いくつかの実施形態では、上記回路は、上記ベースライン熱伝導率検出及び上記汚染熱伝導率検出の両方に依存して、上記熱伝導率信号を上記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成されている。
【0024】
決定された熱伝導率を汚染の指標に変換する回路は、ベースライン熱伝導率検出がある場合には、ベースライン熱伝導率検出を考慮することができ、2つの信号間の差が汚染の正確な指標を与えることができるようになっている。
【0025】
熱伝導率検出器は多くの形態をとることができ、いくつかの実施形態では、熱伝導率検出器はフィラメント熱伝導率検出器を含む。
【0026】
フィラメント熱伝導率検出器は、比較的安価で操作が容易である。いくつかの実施形態では、2つのフィラメント熱伝導率検出器、すなわちフィラメント熱伝導率検出器及びさらなる基準フィラメント熱伝導率検出器が存在することができ、上記のさらなる基準フィラメント熱伝導率検出器は、上記冷凍システムから分離されかつ所定の純度の冷媒を含み、上記回路は、上記さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器と上記フィラメント熱伝導率検出器の上記熱伝導率検出の比較に基づいて、上記熱伝導率信号を上記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成されている。
【0027】
汚染の正確な検出を可能にするために、フィラメント熱伝導率検出器は、純粋な又は実質的に純粋な冷媒の伝導率を検出する基準熱伝導率検出器を必要とする場合があり、それと実際の冷媒の熱伝導率との間の熱伝導率の差は、汚染の指標として使用される。
【0028】
他の実施形態では、上記熱伝導率検出器は、微小電気機械システム(MEMS)装置を含む。
【0029】
MEMS装置は、より正確であり、乱流及びセンサの向きに依存しないため、フィラメント検出器よりも好ましい場合がある。また、MEMS装置は、基準装置として機能する第2の装置を必要としないが、それ自体が異なる時間にベースライン測定を行い、精度を向上させるためにこの比較を使用することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記回路は、上記冷媒の温度及び圧力のうちの少なくとも一方を示す信号を受け取り、上記温度及び圧力のうちの少なくとも一方に基づいて、上記熱伝導率信号を上記汚染の指標に変換するように構成されている。
【0031】
熱伝導率検出器によって測定される熱伝導率は、冷媒の温度及び圧力に依存し、従って、いくつかの実施形態では、回路は、これらの値を示す信号を受け取ることができ、汚染の決定にそれらを使用することができる。いくつかの実施形態では、センサ自体は、温度センサ及び/又は圧力センサのうちの少なくとも一方を含むことができる、又は冷媒の温度及び圧力を示す信号を冷凍システムから受け取るための入力を有することができる。この点で、センサ自体は、熱伝導率に大きな影響を及ぼし、熱伝導率が測定される場所にできるだけ近い温度を測定することが望ましい場合があるため、温度センサを含むことがと有利な場合がある。
【0032】
さらなる態様は、一態様に従って、極低温冷媒と、上記極低温冷媒の汚染を決定するためのセンサとを含む、極低温冷凍システムを提供する。
【0033】
いくつかの実施形態では、上記極低温冷凍システムは、上記極低温冷媒を圧縮するための少なくとも1つの圧縮機と、少なくとも1つのポンプと、上記極低温冷凍システムの動作を制御するための制御装置とをさらに備え、上記制御装置は、上記極低温冷媒の上記汚染の検出を開始するための信号を上記センサに送る前に、上記圧縮機及び上記少なくとも1つのポンプの動作を所定時間もたらすことによって混合サイクルを制御するように構成されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記少なくとも1つのポンプは、極低温ポンプを含む。
【0035】
上述のように、熱伝導率を検出することによって極低温冷媒の汚染を決定する場合、冷媒内に汚染物質を分散させるために混合サイクルを実行することが望ましい場合がある。これは、システムが暖機中でありかつ滞留している場合、ほぼ再生段階である場合に特に有利である。従って、いくつかの実施形態では、熱伝導率測定を開始する信号をセンサに送る前に、混合サイクルを制御するように構成された冷凍システムに関連する制御回路が存在することができる。
【0036】
さらなる態様は、極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出する方法を提供し、本方法は、
熱伝導率検出器を含むセンサを、極低温冷媒が上記熱伝導率検出器に流入するように、上記極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するステップと、
上記熱伝導率検出器を用いて上記極低温冷媒の熱伝導率を測定するステップと、
上記測定された熱伝導率を、上記極低温冷媒の汚染量の指標に変換するステップと、
上記極低温冷媒の汚染の上記指標を出力するステップと、
を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、上記冷凍システムは、極低温ポンプシステムを備える。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記冷凍システムが再生段階に入ることを決定する初期ステップを含み、上記熱伝導率を測定するステップは、上記再生段階中に実行される。
【0039】
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記極低温冷凍システムが極低温温度、好ましくは100K未満にあると決定するステップと、ベースライン熱伝導率測定ステップを実行するステップとを備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、上記方法は、上記熱伝導率を測定するステップを実行する前に、上記冷凍システムが極低温温度を超える、好ましくは200Kを超えると決定するステップを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、上記測定された熱伝導率を上記極低温冷媒の汚染量の指標に変換するステップは、上記測定された熱伝導率を上記測定されたベースライン熱伝導率と比較することを含む。
【0042】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせること、又は、請求項に明示的に規定されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0043】
装置の特徴が、ある機能を提供するために動作可能であると説明される場合、これは、その機能を提供する、又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
【0044】
本発明の実施形態は、以下に、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図4】一実施形態によるセンサの可能性のある位置を表す冷凍システムを示す。
【
図5】バイパスラインにおける一実施形態によるセンサを表す冷凍システムを示す図である。
【
図6】100pmmのCO
2で汚染されたヘリウムと対照的な純粋なヘリウムの熱伝導率測定値の差を示す。
【
図7】一実施形態による方法のステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
実施形態を詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。
【0047】
実施形態は、クライオポンプシステムなどの極低温冷凍システムにおけるガス汚染の存在を決定するために、熱伝導率測定を使用して冷媒、特にヘリウム流純度を監視するための方法及び手段を提供する。この開発は、ガス熱伝導率測定を使用してシステムに悪影響を及ぼす前に汚染物質の存在を決定するため、場合によってはヘリウム流純度の冷媒を監視する現場法(in situ method)を使用し、それによって、現場外でのRGA分析の必要性を軽減する。
【0048】
GM(ギフォード・マクマホン)サイクル又はスターリングサイクルのような様々な熱力学サイクルは、極低温を発生させるために使用され、作動流体又は冷媒としてヘリウムを使用する。この技術の応用例としては、高真空を発生させるために使用されるクライオポンプがあり、他の応用例としては、MRIスキャナー又は高温超伝導体冷却が挙げられる。これらのシステムの適切な動作のためには、システム内部のヘリウムを明確に定義された純度レベルに維持することが重要である。ヘリウムの純度が低下すると、システムの性能が低下し、最終的には故障につながり、サービス及びメンテナンスの必要性が生じる。実施形態は、極低温冷凍システムの冷凍システム内部の冷媒、例えばヘリウムの純度を(運転中に)測定する方法を提供し、不純物をポンプ故障の原因となるレベルに達する前に検出できるようになっている。
【0049】
検出システムは、ガスクロマトグラフィーで使用される熱伝導度検出器(TCD)を使用する。TCDは、ガス流路/体積内に置かれる電気抵抗器を含む。ガスが抵抗器を横切って流れることに起因して熱が抵抗器から持ち去られるので、抵抗器の温度が変化する(抵抗率が変化する)。異なるガスは異なる熱伝導率をもつので、ガスは、抵抗器の熱損失率(抵抗率の変化)に基づいて検出することができる。
【0050】
実施形態では、冷媒の純度を決定するためにTCDを使用する2つの方法を大まかに説明する。一方の方法の適用可能性が他の方法より優れているかは、限定されるものではないが、システムのタイプ、レイアウト、必要とされる検出感度などの多くの要因に基づいている。ヘリウム又は冷媒環境という用語は、何らかの圧力及び流量のヘリウム又は冷媒ガスの滞留体積又は流れを意味する。
【0051】
2つのセンサシステムの使用-フィラメントTCD
この方法は、2つのTCDセンサを使用し、一方のセンサを高純度冷媒環境に置き、他方のセンサを潜在的に汚染された冷媒環境に置く。この例では冷媒はヘリウムであり、純粋なヘリウム環境と純粋でないヘリウム環境の導電率が異なるため、TCDセンサの抵抗率は大きく異なる。ホイートストンブリッジ電気回路は、2つのセンサの抵抗を出力電圧に変換するために使用され、出力電圧は、システムで読み取ることができ、2つの流れが互いにどの程度異なるかを示す。純粋なヘリウムシステムとテストされるシステムの電圧の差が大きいことは、システムの汚染が進んでいることを示す。
【0052】
水素を除く全てのガスの熱伝導率は、ヘリウムよりも低い。このため、ヘリウムは、ガスの熱伝導率を比較するための基準ガスとして頻繁に使用され、これは、極低温システムで使用される一般的な冷媒でもある。純ヘリウムの標準又は基準環境は200 PSIGであり、この環境で観測される基準電圧は5.2mVである。この電圧は設定時間にわたって収集され、ゼロ点校正で使用される。その後、基準電圧は、対象とする不純物ガスが検知用TCDを通過する際に得られた電圧から引かれる。これにより、ユーザは、純ヘリウムと比較して、ヘリウム流の汚染による電圧の変化を計算することができる。
図6には、これらの電圧の違いを示す例が示されている。
【0053】
1つのセンサシステムの使用-MEMS型TCD
MEMS(微小電気機械システム)TCDを使用すると、1つのセンサで正確な汚染濃度予測を行うことができる。MEMSはフィラメント対応物に比べ、信号対ノイズN比が非常に高い。これにより、単一のMEMSセンサ組立体で、100ppm未満のガス純度の変化を検知することができる。
【0054】
MEMS解決法は、単一のセンサを純ガス冷媒でゼロにすることができので、フィラメントベースの設計よりも洗練されている。一定の圧力及び温度におけるゼロ点からの何らかの変化は、ガスの純度の変化に起因する可能性がある。極低温ヘリウムループの純度を監視するためにTCDを使用すれば、システムに悪影響を与える前に汚染を検出することができる。この監視は、現場で暖かいシステム上で行うことができる。TCDは、冷媒ループに直接組み込むことができる。
【0055】
図1は、一実施形態によるフィラメント型熱伝導度検出器(TCD)5の断面を示す。TCD5は、例えばクライオポンプの冷凍システムに接続するための入口接続部10及び出口接続部20を備える。システムに接続されると、冷媒は、入口10から出口20までTCD5を通過する。TCDは、加熱されるフィラメント30を備え、その抵抗は温度に依存し、これは結果として冷媒の熱伝導率に依存する。フィラメント30に電流を流し、抵抗値の変化の検出を可能にする電線を受け入れるための通路25がある。回路(図示せず)は、フィラメントの抵抗を決定し、いくつかの実施形態では、これを純粋冷媒中の対応するフィラメントの抵抗と比較し、その値の差から冷媒の汚染の尺度を案出して出力する。
【0056】
図2は、
図1の入口接続部10及び出口接続部20TCD5を備えるTCD5を示す(断面図ではない)。
【0057】
図3は、入口接続部10及び出口接続部20を備え、さらに統合された温度センサ40及び圧力変換器50を備えるMEMS型TCD5を概略的に示す。冷媒ガスの熱伝導率は、温度及び圧力によって変化することになるので、一部のTCDには、これらのセンサが組み込まれており、検出された熱伝導率の測定値を汚染量に変換する際に、これらのセンサからの値が使用される。
【0058】
図4は、実施形態による冷凍システム及びTCD5のための可能性のある存在部位を概略的に示す。冷凍システムは、圧縮機60及び複数の冷凍ユニット72を備える。このシステムでは、不純物の監視のために実施形態によるセンサを使用することができる。これらのTCDセンサ5は、冷媒ライン自体の中に配置することができ、TCDのための4つの例示的な位置が示されている。すなわち、圧縮機冷媒供給ライン5A、圧縮機冷媒戻りライン5B、冷凍機ユニット供給ライン5C、又は冷凍機ユニット戻りライン5Dである。
【0059】
TCDの動作は、制御回路(図示せず)によって起動され、適切な時間に測定を行うことができる。熱伝導率の測定値は、冷媒の汚染を示す指標に変換することができ、この指標は、汚染物質が臨界レベルを超えて上昇するのを防ぐためのサービスの決定に使用することができる。いくつかの実施形態では、TCDはフィラメント型TCDであり、純粋冷媒を含む基準フィラメントTCDと共に動作し、基準TCDと他のTCDとの熱抵抗の差は、汚染物質のレベルを決定するために使用される。
【0060】
他の実施形態では、TCDはMEMS型TCDとすることができ、基準ベースライン測定は、汚染物質がシステムの最も冷たい部分に捕捉され、従って冷媒が純粋である極低温で測定値を取得することで行われ、これらの測定値は、汚染物質が冷媒中に存在する、場合によっては混合サイクルの後に、より暖かい温度で取得した測定値と比較することができる。ベースラインと暖かい温度での測定値の熱伝導率の差は、汚染レベルを決定するために使用される。これらの2つの測定は、冷媒が流れていない期間中に行うことができ、ベースライン測定は、温度が低い当該期間の開始時に行われ、他の測定は、システムが暖まった場合に行われる。
【0061】
いくつかの実施形態では、TCD自体に関連するか又は冷凍システム内の別個の構成要素としての、圧力、温度、場合によっては流量センサからの測定値は、熱伝導率測定値を汚染指標に変換する際に使用することができる。
【0062】
図5は、
図4の冷凍ユニットがクライオポンプ70に置き換えられた代替システムを示す。この実施形態では、TCD5はバイパスライン内にある。バイパスライン内の流れは弁75及び76によって制御され、弁75及び76は制御回路80によって制御される。また、制御回路80は、TCD5の動作を制御し、図示しない他のセンサからの圧力及び温度の測定値と一緒にTCD5から導電率を示す信号を受け取る。また、制御回路80は、冷凍システムの動作を制御する冷凍システム制御装置90から信号を受け取り、これに信号を送る。従って、いくつかの実施形態では、制御回路80は、再生サイクルがまさに開始されようとしていることを示す信号を冷凍システム制御装置90から受け取り、これに応答して、バイパスラインの弁75を開き、弁76を閉じるように制御することができる。その後、冷媒がTCD5に流入し、再生サイクルの開始時の圧力及び温度測定値と共にベースライン熱伝導率測定値を取得することができる。その後、制御回路80は、弁76を開き、弁75を閉じるように制御し、所定時間後又は冷媒が所定温度に達した場合に、冷凍制御装置90に混合サイクルを要求することができる。冷凍制御装置90は、圧縮機60及びクライオポンプ70を1分程度オンにし、その後オフにすることによって、混合サイクルを開始することができる。その後、制御回路80は、バイパスラインの弁75を開き、弁76を閉じるように制御することができる。その後、暖かい混合冷媒がTCD5に流入し、圧力及び温度の測定値と共に熱伝導率の測定値を取得することができる。再生サイクルの間、圧縮機及びポンプは一般的に作動せず、冷媒は滞留しており、これは、流れの影響を除去することで測定精度を高めることができることに留意されたい。その後、制御回路80内の処理回路82は、それぞれの熱伝導率測定値と温度及び圧力測定値から冷媒の汚染量を決定することができる。
【0063】
図6は、純粋冷媒と100ppmのCO
2で汚染された冷媒について、異なるサンプルポイントでのセンサで測定された補正電圧の差を示す。これらの測定は異なる時間に行われ、システムは測定の間に洗浄される。
【0064】
図7は、実施形態による方法のステップを示すフロー図である。最初にステップS10で、TCDは極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続される。これは、いくつかの弁を開くことを含む場合があり、又はTCDをシステムに取り付ける最初のステップを含む場合がある。接続されると、ステップS20で極低温冷媒が熱伝導率検出器に流入し、ステップS30で極低温冷媒の熱伝導率が測定される。ステップS40で、測定された熱伝導率は、極低温冷媒の汚染量の指標に変換される。これは、汚染されていない冷媒の熱伝導率測定値との比較、及び/又は、熱伝導率測定時に測定された冷媒の温度、圧力、及び潜在的に流量の調整を含む場合がある。ステップS50で、計算された汚染の指標は、ディスプレイ(図示せず)によって直接ユーザに出力される、及び/又は冷凍システムの制御回路への信号として出力される。
【0065】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は、正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更例及び修正例が結果として得られることを理解されたい。
【符号の説明】
【0066】
5、5A-D TCD
10 入口接続部
20 出口接続部
25 ケーブル導管
30 フィラメント
40 温度センサ
50 圧力センサ
60 圧縮機
70 ポンプ
72 冷凍機ユニット
75 バイパスライン弁
76 弁
80 制御回路
82 処理回路
90 冷凍システム制御装置
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出するためのセンサであって、
前記極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するための入口と、
前記入口と流体連通する熱伝導率検出器であって、前記センサが接続されている場合に、前記極低温冷凍システムから受け取った前記極低温冷媒の検出された熱伝導率を示す信号を生成するように構成されている、熱伝導率検出器と、
前記熱伝導率の信号を前記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成された回路と、
前記極低温冷媒の汚染の前記指標を出力するように構成された出力部と、
を備える、センサ。
【請求項2】
前記センサは、制御回路をさらに含み、前記制御回路は、前記冷凍システムの現在の状態を示す少なくとも1つの信号を受け取るための入力部を備え、前記制御回路は、前記少なくとも1つの受け取った信号に基づいて、前記熱伝導率検出器の動作を制御するように構成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記センサは、前記センサへの及び前記センサからの前記極低温冷媒の流れを制御するように配置された少なくとも1つの弁をさらに備える、請求項1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記制御回路は、前記少なくとも1つの弁の動作を制御するように構成されている、請求項2に記載のセンサ。
【請求項5】
前記受け取った信号が、前記極低温冷凍システムが再生段階にあることを示すという決定に応答して、前記制御回路は、前記熱伝導率検出器を起動して熱伝導率検出を行わせるように構成されている、請求項2に記載のセンサ。
【請求項6】
前記制御回路は、前記極低温冷凍システムが200K未満、好ましくは100K未満であり、前記汚染物質が前記極低温冷凍システム内で凍結しているという決定に応答して、前記熱伝導率検出器を起動して、ベースライン熱伝導率検出としての前記熱伝導率検出を行わせるように構成されている、請求項2に記載のセンサ。
【請求項7】
前記制御回路は、前記冷凍システムが220Kを超える、好ましくは270Kを超えるという決定に応答して、前記熱伝導率検出器を制御して、前記熱伝導率検出器を起動して、汚染熱伝導率検出としての前記熱伝導率検出を行わせるように構成されている、請求項2に記載のセンサ。
【請求項8】
前記回路は、前記ベースライン熱伝導率検出及び前記汚染熱伝導率検出の両方に依存して、前記熱伝導率信号を前記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成されている、請求項7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記熱伝導率検出器は、フィラメント熱伝導率検出器を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項10】
さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器を備え、
前記さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器は、前記冷凍システムから分離されかつ所定の純度の冷媒を含み、前記回路は、前記さらなる基準フィラメント熱伝導率検出器と前記フィラメント熱伝導率検出器の前記熱伝導率検出の比較に基づいて、前記熱伝導率信号を前記極低温冷媒の汚染の指標に変換するように構成されている、請求項1から5のいずれかに従属する場合の請求項9に記載のセンサ。
【請求項11】
前記熱伝導率検出器は、微小電気機械システム(MEMS)装置を含む、請求項に記載のセンサ。
【請求項12】
前記回路は、前記冷媒の温度及び圧力のうちの少なくとも一方を示す信号を受け取り、前記温度及び圧力のうちの少なくとも一方に基づいて、前記熱伝導率信号を汚染の前記指標に変換するように構成されている、請求項1に記載のセンサ。
【請求項13】
極低温冷媒と、前記極低温冷媒の汚染を決定するための請求項1に記載のセンサとを備える、極低温冷凍システム。
【請求項14】
前記極低温冷媒を圧縮するための少なくとも1つの圧縮機と、少なくとも1つのポンプと、前記極低温冷凍システムの動作を制御するための制御装置とをさらに備え、前記制御装置は、前記極低温冷媒の前記汚染の検出を開始するための信号を前記センサに送る前に、前記圧縮機及び前記少なくとも1つのポンプの動作を所定時間もたらすことによって混合サイクルを制御するように構成されている、請求項13に記載の極低温冷凍システム。
【請求項15】
極低温冷凍システムの極低温冷媒の汚染を検出する方法であって、
熱伝導率検出器を含むセンサを、極低温冷媒が前記熱伝導率検出器に流入するように、前記極低温冷凍システムの極低温冷媒流路に接続するステップと、
前記熱伝導率検出器を用いて前記極低温冷媒の熱伝導率を測定するステップと、
前記測定された熱伝導率を、前記極低温冷媒の汚染量の指標に変換するステップと、
前記極低温冷媒の汚染の前記指標を出力するステップと、
を含む方法。
【国際調査報告】