(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】医薬品ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20241108BHJP
A61J 7/02 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
A61J7/00 C
A61J7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527339
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2022081235
(87)【国際公開番号】W WO2023083851
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・アリエ
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・ジル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク・グージュ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-イブス・ランネ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047GG24
4C047NN07
(57)【要約】
医薬品容器に取り付けるためのディスペンサ(1)であって、使用時に容器から医薬品の投与量(2)を搬送するように構成されており、投与量送出チャンバ(4)、周壁(5)、及び周壁(5)内の投与量分注出口(6)を有する外側部分(3)と、外側部分(3)内に回転可能に配置された内側部分(7)であって、投与開口(8)、周壁(9)、及び周壁(9)内の投与量分注出口(10)を有する、内側部分(7)と、を備える、ディスペンサ(1)。外側部分(3)は、投与開口(8)が投与量分注チャンバ(4)と連通して、投与量(2)が投与開口(8)を通過して投与量分注チャンバ(4)内に入ることを可能にする投与位置との間で、内側部分(7)に対して回転可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品容器に取り付けるためのディスペンサ(1)であって、使用時に前記容器から医薬品の投与量(2)を搬送するように構成されており、
投与量送出チャンバ(4)、周壁(5)、及び前記周壁(5)内の投与量分注出口(6)を有する外側部分(3)と、
前記外側部分(3)内に回転可能に配置された内側部分(7)であって、投与開口(8)、周壁(9)、及び前記周壁(9)内の投与量分注出口(10)を有する、内側部分(7)と、
を備え、
前記外側部分(3)が、前記投与開口(8)が前記投与量分注チャンバ(4)と連通して、投与量(2)が前記投与開口(8)を通過して前記投与量分注チャンバ(4)内に入ることを可能にする投与位置と、前記投与量分注チャンバ(4)、前記内側部分(7)の前記周壁(9)内の前記出口(10)、及び前記外側部分(3)の前記周壁(5)内の前記出口(6)が整列して、ユーザへの前記投与量(2)の送出のために前記ディスペンサ(1)からの投与量分注経路(DP)を画定する分注位置と、の間で、前記内側部分(7)に対して回転可能である、ディスペンサ(1)。
【請求項2】
前記内側部分及び外側部分(7、3)が、共通の長手方向軸(A-A)を中心に同心状に配置されており、前記長手方向軸(A-A)が、前記外側部分(3)が前記内側部分(7)に対して回転されるときに、前記外側部分(3)の回転軸となる、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記内側部分(7)の前記周壁(9)が、前記投与量分注チャンバ(4)と前記外側部分(3)の前記周壁(5)との間に配置されており、前記内側部分(7)及び外側部分(3)が前記投与量分注位置に配置されると、前記内側部分(7)の前記周壁(9)が、前記外側部分(3)の前記周壁(5)内の前記出口(6)を閉鎖する、請求項1又は2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記内側部分及び外側部分(7、3)が前記投与量分注位置に配置されると、前記投与開口(8)が、前記外側部分(3)によって閉鎖される、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記外側部分(3)が、前記投与量分注チャンバ(4)から前記内側部分(7)の前記周壁(9)まで前記投与量(2)を搬送するためのチャネルを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記内側部分(7)が、前記内側部分(7)の内部を上側領域(12)と下側領域(13)とに分割するために、前記長手方向軸(A-A)に対して垂直に延びる分割壁(11)を備え、前記投与開口(8)が、前記分割壁(11)に設けられている、請求項2~5のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記外側部分(3)が、前記長手方向軸(A-A)に対して垂直に延び、且つ前記外側部分(3)の内部(15)を前記周壁(5)で境界付ける、下壁(14)を備え、前記外側部分(3)が、前記下壁(14)から前記外側部分(3)の前記内部(15)内に立ち上がる円筒状突出部(16)を更に備え、前記投与量受容チャンバ(4)が、前記円筒状突出部(16)の上面(17)の凹部として形成されている、請求項2~6のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記円筒状突出部(16)の外面(18)が、前記外側部分(3)の前記周壁(5)の内面(19)から間隔をあけて配置されてチャネル(20)を形成し、前記内側部分(7)の前記周壁(9)が、前記チャネル(20)内に受容されている、請求項7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
前記外側部分(3)の前記円筒状突出部(16)の前記上面(17)が、前記内側部分(7)の前記分割壁(11)の下面(21)に当接し、及び/又は、前記内側部分(7)の前記周壁(9)の内面(22)が、前記外側部分(3)の前記円筒状突出部(16)の前記外面(18)に当接し、及び/又は、前記内側部分(7)の前記周壁(9)の外面(23)が、前記外側部分(3)の前記周壁(5)の前記内面(19)に当接し、及び/又は、前記内側部分(7)及び前記外側部分(3)が、当接している表面において気密シールを形成している、請求項8に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記投与量分注経路(DP)が、分注平面(DP’)内にあり、前記分注平面(DP’)が、前記外側部分(3)の前記回転軸(A-A)に対して実質的に垂直である、請求項2~9のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項11】
前記ディスペンサ(1)が前記医薬品容器に取り付けられると、前記外側部分(3)が前記内側部分(7)及び前記医薬品容器に対して回転可能であるように、前記内側部分(7)が、前記医薬品容器に固定的に取り付けられるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項12】
前記内側部分(7)が、前記医薬品容器にねじ式又はバヨネット式で取り付けられるように構成されている、請求項11に記載のディスペンサ。
【請求項13】
前記ディスペンサ(1)が、タブレット又はカプセル(2)と共に使用するように構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項14】
前記内側部分(7)が、前記分割壁(11)に従属し、医薬品容器のシールを穿孔するように構成されたエッジ(24)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載のディスペンサ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のディスペンサを、医薬品を収容している医薬品ボトルと共に使用する方法であって、
前記ディスペンサの前記内側部分を前記ボトルのネック部分に固定することによって、前記ディスペンサを前記ボトルに取り付けることと、
前記ディスペンサの前記内側部分及び外側部分を前記投与位置にセットすることと、
前記医薬品が前記ディスペンサの上方の前記ボトルの前記ネック部分に集まり、医薬品の単一の投与量が前記投与開口内に配置されるように、前記ボトルを反転させることと、
前記内側部分に対して前記外側部分を前記分注位置に回転させ、前記投与量を前記開口を通過して前記分注チャンバ内に入らせることと、
前記ボトルを傾けて、前記投与量送出経路に沿って、前記投与量を前記分注チャンバから落下させることと、
を含む、方法。
【請求項16】
前記ディスペンサを前記ボトルに取り付けることが、前記ディスペンサと前記ボトルとの間に気密シールを形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
医薬品容器に取り付けるためのディスペンサであって、使用時に前記容器から医薬品の投与量を搬送するように構成されており、
投与量分注チャネルを画定するハウジングと、
前記チャネル内に配置され、前記チャネルの入口部分と出口部分との間に気密シールを形成するように構成された回転ディスペンサと、を備え、
前記回転ディスペンサが、医薬品の投与量を保持するための区画を設けられており、前記回転ディスペンサが、前記チャネルの前記入口部分と出口部分との間で前記区画を搬送するために回転するように構成されている、ディスペンサ。
【請求項18】
請求項17に記載のディスペンサを、医薬品を収容している医薬品ボトルと共に使用する方法であって、
前記ディスペンサの前記入口部分を前記ボトルのネック部分上に固定することによって、前記ディスペンサを前記ボトルに取り付けることと、
前記回転ディスペンサを投与位置にセットすることと、
前記医薬品が前記ディスペンサの上方の前記ボトルの前記ネック部分に集まり、単一の投与量が前記回転ディスペンサの前記区画内に配置されるように、前記ボトルを反転させることと、
前記回転ディスペンサを前記分注位置に回転させ、ユーザによる収集のために前記投与量を前記区画から落下させることと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記ディスペンサを前記ボトルに取り付けることが、前記ディスペンサと前記ボトルとの間に気密シールを形成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載のディスペンサを備える、医薬品を収容している医薬品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品容器に取り付けるためのディスペンサに関し、ディスペンサは、使用時に容器から医薬品の投与量を搬送するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
医薬品容器は、多くの場合、その内容物を保存するためにシールされている。場合によっては、医薬品容器は、不活性ガスなどの改質された雰囲気を含み得る。これは、医薬品がタブレット、ピル、又はカプセルのボトルなどの、粉末又は固体の形態であり、医薬品が酸化又は湿度に対して敏感である場合にあてはまり得る。開閉の繰り返しによって雰囲気が大きく希釈されることなく、改質された雰囲気を有するボトルから医薬品を送出できることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の実施形態によれば、医薬品容器に取り付けるためのディスペンサが提供され、ディスペンサは、使用時に容器から医薬品の投与量を搬送するように構成されており、ディスペンサは、
投与量送出チャンバ、周壁、及び周壁内の投与量分注出口を有する外側部分と、
外側部分内に回転可能に配置された内側部分であって、投与開口、周壁、及び周壁内の投与量分注出口を有する、内側部分と、を備え、
外側部分は、投与開口が投与量分注チャンバと連通して、投与量が投与開口を通過して投与量分注チャンバ内に入ることを可能にする投与位置と、投与量分注チャンバ、内側部分の周壁内の出口、及び外側部分の周壁内の出口が整列して、ユーザへの投与量の送出のためにディスペンサからの投与量分注経路を画定する分注位置と、の間で、内側部分に対して回転可能である。
【0004】
したがって、本発明は、ディスペンサが取り付けられている容器の内外での気体の交換を阻止するエアロック機能を有する、シンプルに構造化されたディスペンサを提供する。
【0005】
内側部分及び外側部分は、共通の長手方向軸を中心に同心状に配置されてもよく、長手方向軸は、外側部分が内側部分に対して回転されるときに、外側部分の回転軸となる。
【0006】
内側部分の周壁は、投与量分注チャンバと外側部分の周壁との間に配置されてもよく、内側部分及び外側部分が投与量分注位置に配置されると、内側部分の周壁は、外側部分の周壁内の出口を閉鎖する。
【0007】
したがって、内側部分に対する外側部分のどの位置においても、気体の交換のためにディスペンサを通過する直接の経路は存在しない。
【0008】
内側部分及び外側部分が投与量分注位置に配置されると、投与開口は、外側部分によって閉鎖され得る。
【0009】
外側部分は、投与量分注チャンバから内側部分の周壁まで投与量を搬送するためのチャネルを更に備え得る。
【0010】
投与量分注経路は、直線的で邪魔にならず、投与量がボトルの最小限の操作で分注されることを可能にする。
【0011】
内側部分は、内側部分の内部を上側領域と下側領域とに分割するために、長手方向軸に対して垂直に延びる分割壁を備えてもよく、投与開口は、分割壁に設けられる。
【0012】
外側部分は、長手方向軸に対して垂直に延び、且つ外側部分の内部を周壁で境界付ける下壁を備えてもよく、
外側部分は、下壁から外側部分の内部内に立ち上がる円筒状突出部を更に備え、
投与量受容チャンバは、円筒状突出部の上面の凹部として形成される。
【0013】
円筒状突出部の外面は、外側部分の周壁の内面から間隔をあけて配置されてチャネルを形成してもよく、内側部分の周壁は、かかるチャネル内に受容されている。
【0014】
外側部分の円筒状突出部の上面は、内側部分の分割壁の下面に当接してもよい。
【0015】
内側部分の周壁の内面は、外側部分の円筒状突出部の外面に当接してもよい。
【0016】
内側部分の周壁の外面は、外側部分の周壁の内面に当接してもよい。
【0017】
したがって、内側部分は、外側部分内にぴったり適合される。
【0018】
内側部分及び外側部分は、当接面において気密シールを形成することができる。
【0019】
投与量分注経路は、分注平面内にあってもよく、分注平面は、外側部分の回転軸に対して実質的に垂直である。
【0020】
内側部分は、医薬品容器に固定的に取り付けられるように構成され、その結果、ディスペンサが医薬品容器に取り付けられると、外側部分が内側部分及び医薬品容器に対して回転可能になるように構成され得る。
【0021】
内側部分は、医薬品容器にねじ式又はバヨネット式で取り付けられるように構成され得る。
【0022】
ディスペンサは、タブレット又はカプセルでの使用のために構成され得る。
【0023】
内側部分は、分割壁から延びて、医薬品容器のシールを穿孔するように構成されたエッジを備えてもよい。
【0024】
本発明の実施形態によれば、請求項1~14のいずれか一項に記載のディスペンサを、医薬品を収容している医薬品ボトルと共に使用する方法もまた提供され、方法は、
ディスペンサの内側部分をボトルのネック部分に固定することによって、ディスペンサをボトルに取り付けることと、
ディスペンサの内側部分及び外側部分を投与位置にセットすることと、
医薬品がディスペンサの上方のボトルのネック部分に集まり、医薬品の単一の投与量が投与開口内に配置されるように、ボトルを反転させることと、
内側部分に対して外側部分を分注位置に回転させ、投与量を開口を通過して分注チャンバ内に入らせることと、
ボトルを傾けて、投与量送出経路に沿って、投与量を分注チャンバから落下させることと、を含む。
【0025】
ディスペンサは、内側部分から延びて、医薬品ボトルのシールを穿孔するように構成されたエッジを備えてもよく、ディスペンサをボトルに取り付けることは、ディスペンサがボトルに取り付けられる際にシールを穿孔することを含み得る。
【0026】
ディスペンサをボトルに取り付けることは、ディスペンサとボトルとの間に気密シールを形成することを含み得る。
【0027】
ディスペンサは、ディスペンサの内側部分のボトルのネック部分の、対応するねじ部分とのねじ係合によって、ボトルに取り付けられ得る。
【0028】
本発明の実施形態によれば、医薬品容器に取り付けるためのディスペンサが提供され、ディスペンサは、使用時に容器から医薬品の投与量を搬送するように構成されており、ディスペンサは、
投与量分注チャネルを画定するハウジングと、
チャネル内に配置され、チャネルの入口部分と出口部分との間に気密シールを形成するように構成された回転ディスペンサと、を備え、
回転ディスペンサは、医薬品の投与量を保持するための区画を設けられ、回転ディスペンサは、チャネルの入口部分と出口部分との間で区画を搬送するために回転するように構成されている。
【0029】
本発明の実施形態によれば、請求項17に記載のディスペンサを、医薬品を収容している医薬品ボトルと共に使用する方法もまた提供され、方法は、
ディスペンサの入口部分をボトルのネック部分上に固定することによって、ディスペンサをボトルに取り付けることと、
回転ディスペンサを投与位置にセットすることと、
医薬品がディスペンサの上方のボトルのネック部分に集まり、単一の投与量が回転ディスペンサの区画内に配置されるように、ボトルを反転させることと、
回転ディスペンサを分注位置に回転させ、ユーザによる収集のために投与量を区画から落下させることと、を含む。
【0030】
ディスペンサは、医薬品ボトルのシールを穿孔するように構成されてもよく、ディスペンサをボトルに取り付けることは、ディスペンサがボトルに取り付けられる際にシールを穿孔することを含み得る。
【0031】
ディスペンサをボトルに取り付けることは、ディスペンサとボトルとの間に気密シールを形成することを含み得る。
【0032】
本発明の実施形態によれば、上記のいずれかの記載によるディスペンサを備える、医薬品を収容している医薬品容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】医薬品容器に取り付けるためのディスペンサを示す図である。
【
図5】投与位置にあるディスペンサを示す図である。
【
図6】分注位置にあるディスペンサを示す図である。
【
図7】分注位置にあるディスペンサを示す図である。
【
図8】医薬品容器に取り付けられたディスペンサを示す図である。
【
図9】医薬品容器に取り付けるための別のディスペンサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態による、医薬品容器25に取り付けるためのディスペンサ1を示している。ディスペンサ1は、内側部分7と外側部分3とを備える。内側部分7は、
図8に示されるように、医薬品容器25に固定的に取り付けられるように構成されている。外側部分3は、容器25から医薬品の投与量2を分注するために、内側部分7に対して回転するように構成されている。
【0035】
内側部分7及び外側部分3の詳細と機能を、
図2~
図4を参照して説明する。内側部分及び外側部分7、3は、一般的に円筒状であり、各々、周壁9、5を備える。内側部分及び外側部分7、3は、共通の長手方向軸A-Aを中心に同心状に配置され、内側部分7は、外側部分3内に部分的に受容される。内側部分7に対して回転されると、外側部分3は、共通の軸A-Aの周りを回転する。内側部分及び外側部分7、3は、外側部分3の周壁5の内面19が、外側部分3が回転される際に内側部分7の周壁9の外面23を横切ってスライドするように、ぴったり適合するように配置されている。
【0036】
内側部分7は、分割壁11を備える。分割壁11は、周壁9内に、長手方向軸A-Aに対して垂直に延びている。分割壁11は、内側部分7の内部を上部及び下部12、13に分離する。
【0037】
内側部分7が医薬品容器25に固定的に取り付けられると、上部内部12は、容器25の内部の延長部を形成する。投与開口8は、内側部分7の上部内部12を外側部分3の分注チャンバ4と選択的に連通させるために、分割壁11内に設けられる。
【0038】
外側部分3は、外側部分3がカップ状になるように、周壁5の一端を横切って延びる下壁14を備える。
【0039】
円筒状突出部16は、下壁14から外側部分3の内部15内に立ち上がっている。円筒状突出部16の外面18は、外側部分3の周壁5の内面19から間隔をあけて配置され、2つの表面18、19の間にチャネル20を形成する。内側部分7の周壁9は、チャネル20内に位置している。円筒状突出部16は、内側部分7の下部内側部分13内に延びている。円筒状突出部16の上面17は、内側部分7の分割壁11の下面21に当接し、その結果、外側部分3が内側部分7に対して回転されると、円筒状突出部16の上面17が、分割壁11の下面21を横切ってスライドする。
【0040】
分注チャンバ4は、円筒状突出部16の上面17にレセプタクルとして形成される。外側部分3が投与位置にあるとき、分割壁11内の投与開口8は、投与量分注チャンバ4と整列されて、投与量2が投与開口8を通過して投与量分注チャンバ4内に入ることを可能にする。外側部分3は、投与量分注チャンバ4から円筒状突出部16の外面18内の開口部27に通じるチャネル26を更に備える。
【0041】
内側部分7の周壁9及び外側部分3の周壁5は、各々、投与量分注出口10、6を備える。投与量分注出口10、6は、投与量2が周壁9、5を通過することを可能にするための開口である。外側部分3の周壁5内の投与量分注出口10、6は、チャネル26の開口部27の直接反対側に配置される。
図5に示されるように、外側部分3が投与位置にあるとき、内側部分及び外側部分7、3の出口10、6は整列せず、内側部分7の周壁9は、チャネル開口部27と外側部分3の分注出口6との間の連通を遮断する。
【0042】
使用時、外側部分3は、分注位置と分注位置との間で内側部分7に対して回転される。分注位置が、
図6に示されている。分注位置では、内側部分及び外側部分7、3の投与量分注出口10、6は整列され、その結果、ユーザへの送出のために、投与量2が投与量分注チャンバ4からチャネル26に沿って、内側部分及び外側部分7、3の分注出口10、6を通って通過することができる。
図5及び
図6では、外側部分7は、投与位置と分注位置との間の違いをより良く説明するために、透明な形態で示されていることを理解されたい。
【0043】
分注位置にあるとき、内側部分7の分割壁11の開口8は、投与量分注チャンバ4と整合せず、代わりに外側部分3の円筒状突出部16の上面17によって遮断される。また、投与位置にあるとき、内側部分及び外側部分7、3の出口10、6は整列せず、内側部分7の周壁9は、チャネル開口部27と外側部分3の分注出口6との間の連通を遮断する。したがって、内側部分7に対する外側部分3のどの位置においても、気体の交換のためにディスペンサ1を通過する直接の経路は存在しない。内側部分7が外側部分3内にぴったり適合されているため、内側部分7及び外側部分3は、当接面19、23、17、21において気密シールを形成する。特に、内側部分及び外側部分7、3が分注位置にあるとき、気体は、円筒状突出部16の上面17によって分割壁11内の分注開口8を通過することを阻止され、内側部分及び外側部分7、3が投与位置にあるとき、気体は、内側部分7の周壁9によって外側部分3の出口6を通過することを阻止される。したがって、ディスペンサ1が医薬品容器25に取り付けられると、ディスペンサ1は、医薬品容器25内への大気の侵入、又は医薬品容器25からの改質された雰囲気の流出を阻止する。そのような気体の交換を阻止することによって、投与量2が分注されるたびに、医薬品容器25内部の雰囲気の希釈が大幅に低減又は排除される。加えて、必要に応じて、円筒状突出部16の外面18を周壁9の内面22に当接させて、内側部分及び外側部分7、3の気密シールを更に向上させることができる。
図3及び
図4に示される実施形態では、内側部分及び外側部分7、3には、ガスケットシール34、35、36が設けられている。第1及び第2のガスケットシール34、35は、円筒状突出部16の上面17内に設けられ、上面17を分割壁11の下面21に対してシールする。第1のガスケットシール34は、投与開口8のエッジの周りに設けられる一方で、第2のガスケットシール35は、円筒状突出部16の上面17のエッジからオフセットされて設けられる。第3のガスケットシール36は、内側部分7の周壁9の外面23内に設けられて、外面23を外側部分3の周壁5の内面19に対してシールする。第3のガスケットシール36は、投与量分注出口10の周りに設けられる。ガスケットシール34、35、36のいずれか又は全ては任意選択であり、比較的厳しい製造公差が適用される場合は、ガスケットシールを必要とすることなく、気密シールが、当接している表面19、23、18、22、17、21のいずれかによって形成され得ることを理解されたい。有利には、ガスケットシール34、35、36は、比較的大きな製造公差を許容しても、内側部分及び外側部分7、3の当接している表面19、23、17、21の間の気密シールの形成を確実にする。したがって、ガスケットシール34、35、36は、ディスペンサ1の製造コストを低減することができる。
【0044】
ディスペンサは、内側部分7上に配置されたシールブレーカ28を更に備える。シールブレーカ28は、ディスペンサ1が容器25に取り付けられると、医薬品容器 25のシールを破るように構成されている。医薬品容器は、通常、ネック部分を有するボトル25と、ネック部分の開口部を横切ってシールされた紙、ポリマー、又はアルミニウム箔膜とを備える。従来のディスペンサでは、シールが破られてディスペンサが取り付けられる。しかしながら、これでは、医薬品容器内の雰囲気が気体交換によって希釈される結果となる。本発明のディスペンサ1は、ボトル25に取り付けられる際にシールを破るように構成されており、ボトル25内からの気体の漏れ又はボトル25内への空気の侵入を、最小化し又は排除することができる。ディスペンサ1の内側部分7は、上側部分12の周壁9の内面30上に雌ねじ29を更に備える。雌ねじ29は、ボトル25のネック部分の外面上に設けられた対応する雄ねじと係合するように構成されている。したがって、内側部分7は、雄ねじと雌ねじとの係合によってボトル25のネック部分上にねじ込まれて、そこに固定的に取り付けられ得る。シールブレーカ28は、エッジ24を備える。エッジ24は、ディスペンサ1とボトル25とが一緒にねじ込まれる際に、ボトル25の膜を穿孔する。ボトル25に対するディスペンサの回転により、エッジ24は、膜内に円形の開口部を切り欠く。
【0045】
エッジ24は、分割壁11から立ち上がる突出部31のエッジである。突出部31は、第1の表面32と第2の表面33とを備え、第1の表面32は、分割壁11に対して垂直に立ち上がっている一方で、第2の表面33は、分割壁11から斜めに立ち上がってエッジ24において第1の表面32と合流する。第1の表面32は、半円形の断面を備え、エッジに曲線を与える。第1の表面32は、ボトル25のネック部分のためのスペースを許容するために、周壁9から間隔をあけて配置される。有利には、第2の表面33は、使用時に、投与量2を投与開口8に案内するランプ33を形成する。
【0046】
図示の実施形態では、ディスペンサ1には雌ねじ29が設けられているが、例えばバヨネット継手などの、他の気密取り付け機構が採用され得ることを理解されたい。
【0047】
図示の実施形態では、医薬品の投与量2はタブレット2として示されているが、ディスペンサ1は、他の形態の固形投与量2、更には粉末医薬品を分注するために、同様に使用され得る。また、「医薬品」という用語は、より伝統的な医薬品だけでなく、栄養補助食品又はサプリメントもカバーすることが意図されていることを理解されたい。
【0048】
内側部分及び外側部分7、3が分注位置に配置されると、分注チャンバ4、チャネル26、及び出口10、6は、
図7に示されるように、投与量分注経路DPを画定するように整列する。投与量分注経路DPは、直線的で邪魔にならず、投与量2がボトル25の最小限の操作で分注されることを可能にする。好ましくは、投与量分注経路DPは、共通軸A-Aに対して実質的に垂直な平面DP’内にある。したがって、ボトル25をわずかに傾けることによって、投与量2が分注され得る。示された図において楕円形のタブレット2が分注される場合、タブレット2は、タブレット2の長手方向軸に対して平行な投与量分注経路DPに沿って分注される。
【0049】
一実施例では、ディスペンサ1は、タブレット2を収容している医薬品ボトル25と共に、以下のステップにしたがって使用される。
1.ディスペンサ1の内側部分7をボトル25の対応するねじ付きネック部分上にねじ込むことによって、ディスペンサ1をボトル25に取り付ける。
2.ディスペンサ1の内側部分及び外側部分7、3を、分注位置にセットする。
3.タブレット2がディスペンサ1の上方のボトル25のネック部分に集まり、単一のタブレット2が投与開口8に配置されるように、ボトル25を反転させる。
4.次いで、内側部分7に対して外側部分3を分注位置に回転させ、タブレット2を開口8を通過して分注チャンバ4内に入らせる。
5.ボトル25を傾けて、チャネル26に沿って、タブレット2を分注チャンバ4から落下させ、内側部分及び外側部分7、3の周壁内の出口10、6から出させて、ユーザにタブレット2を送出する。
【0050】
ステップ2~5は、ボトル25内のタブレット2の全てが分注されるまで繰り返され得る。タブレット2の全てがいったん分注されると、ディスペンサは、別のボトル25で再使用するために取り外され得る。
【0051】
ディスペンサ1には更に、分注されているタブレット2の数を示すカウンタが取り付けられ得る。例えば、外側部分3の周壁5内にデジタル表示を有する電子カウンタ(図示せず)が設けられ得る。投与位置と分注位置との間で外側部分3が内側部分7に対して回転されるたびに、カウンタは、そのカウントを1だけ増加させ、それに応じて数字を表示することができる。したがって、ユーザは、分注されたタブレット2の数を追跡し続けることを支援される。カウントを維持するために、電子カウンタには、電源(例えば、2032電池など)が設けられ、この電源は、外側部分3の下部壁14内に設置され得る。カウンタに電気的接続を提供するために、導電性ストリップを外側部分3の周壁5内にはめ込むことができる。電気接点は、外側部分3の周壁5の内面19に端子を有し得る。次いで、電気端子は、外側部分及び内側部分7、3が分注位置にあるとき、内側部分7の周壁9の外面内にはめ込まれた導電性ストリップによって接続され得る。この接続により、追加のタブレット2が分注されたことを記録する信号をカウンタに送信する回路が完成する。
【0052】
図1~
図7を参照して説明したディスペンサ1は、より一般的には3D印刷として知られている付加層技法を使用して製造され得る。例えば、ディスペンサ1の内側部分及び外側部分7、3は、任意の適切な材料から3D印刷され、次いで、内側部分を外側部分7、3に押圧適合することによって組み立てられ得る。したがって、内側部分及び外側部分7、3は、モノリシック構造を有し得る。
【0053】
図9に示される別の実施形態では、医薬品容器25に取り付けるためのディスペンサ100が提供される。ディスペンサ100は、使用時に容器25から医薬品の投与量2を搬送するように構成されており、投与量分注チャネル102を画定するハウジング101を備える。投与量分注チャネル102は、入口部分103及び出口部分104を有し、それらは、入口部分103と出口部分104との間に気密シールを形成する回転ディスペンサ105によって分割されている。回転ディスペンサ105には、医薬品の投与量2を保持するための区画106が提供され、チャネル102の入口部分103と出口部分104の間で区画106を搬送するために回転するように構成されている。
【0054】
入口部分103は、ボトル25のネック部分上の対応する雄ねじ備える医薬品ボトル25に取り付けるための、入口部分103の内面108上の雌ねじ107を備える。このようにしてディスペンサ100がボトル25に取り付けられると、入口部分103は、ボトル25の延長部を形成し、この延長部は、出口チャネル102内で回転ディスペンサ105によって密封される。
【0055】
回転ディスペンサ105は、ハウジング101の外部に配置されたノブ109によって操作される。軸110は、ノブ109を回転ディスペンサ105に結合する。したがって、ノブ109の回転は、回転ディスペンサ105の回転を引き起こす。
【0056】
ディスペンサの長手方向軸は、分注チャネルに対して平行に画定されている。したがって、ディスペンサがボトル25に取り付けられると、ボトル25及びディスペンサは、共通の長手方向軸を共有する。回転ディスペンサ及びノブは、長手方向軸に対して垂直な軸を中心に回転するように構成されている。
【0057】
回転ディスペンサ105は、投与位置と分注位置の間で回転可能である。投与位置では、区画106は、医薬品の投与量2を受容するための分注チャネル102の入口部分103に面して配置されている一方で、分注位置では、区画106は、ユーザに投与量2を送出するための出口部分104に面して配置されている。
【0058】
回転ディスペンサ105は、球状であり得、滑らかで湾曲した外面を有し得る。リングシール111は、ハウジング101と回転ディスペンサ105の湾曲した外面との間に配置され得、それによって、投与位置と分注位置との間のその配向にかかわらず、出口102において回転ディスペンサ105をシールする。
【0059】
ディスペンサ100は、任意選択的にキャップ112を備える。キャップ112は、分注チャネル102の出口部分104の外部のねじ部分113に取り付け可能な、ねじ付きカップ形状のカバーである。したがって、医薬品の投与量2が分注されると、キャップ112内に落下する。キャップ112は、次いで、ディスペンサ100のユーザが医薬品を直接取り扱うことなく、取り外されて患者に渡され得る。
【0060】
一実施例では、ディスペンサ100は、タブレット2を収容している医薬品ボトル25と共に、以下のステップにしたがって使用される。
1.ディスペンサ100の内側部分をボトル25の対応するねじ付きネック部分上にねじ込むことによって、ディスペンサ100をボトル25に取り付ける。
2.回転ディスペンサ105を、投与位置にセットする。
3.タブレット2がディスペンサ100の上方のボトル25のネック部分に集まり、単一のタブレット2が回転ディスペンサ105の区画106に配置されるように、ボトル25を反転させる。
4.次いで、ノブ109を分注位置に回転させ、タブレット2を区画106からキャップ112内に落下させる。
5.その後、ディスペンサ100からキャップ112のねじを緩めて外し、タブレット2を取り出すことができる。
【0061】
ステップ2~5は、ボトル25内のタブレット2の全てが分注されるまで繰り返され得る。タブレット2の全てがいったん分注されると、ディスペンサ100は、別のボトル25で再使用するために取り外され得る。
【国際調査報告】