IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特表2024-542597エポキシ樹脂の硬化剤として使用される新規な脂肪族ポリアミン
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂の硬化剤として使用される新規な脂肪族ポリアミン
(51)【国際特許分類】
   C07C 211/14 20060101AFI20241108BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20241108BHJP
   C08K 7/02 20060101ALI20241108BHJP
   C08G 59/50 20060101ALI20241108BHJP
   C08J 5/10 20060101ALI20241108BHJP
   C07C 209/68 20060101ALI20241108BHJP
   C07C 209/48 20060101ALI20241108BHJP
【FI】
C07C211/14 CSP
C08L63/00 C
C08K7/02
C08G59/50
C08J5/10 CFC
C07C209/68
C07C209/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531460
(86)(22)【出願日】2022-11-21
(85)【翻訳文提出日】2024-07-17
(86)【国際出願番号】 EP2022082557
(87)【国際公開番号】W WO2023094302
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】21211116.5
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケーネマン,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】メルダー,ヨハン-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】グーヴェルヌール,ハンネス フェルディナント
(72)【発明者】
【氏名】キエラット,ラドスロー
【テーマコード(参考)】
4F072
4H006
4J002
4J036
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AD23
4F072AE01
4F072AF13
4F072AF28
4F072AG03
4F072AH04
4F072AK02
4F072AK11
4F072AK14
4F072AK15
4F072AK17
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB48
4H006AC52
4J002CD00W
4J002CD05W
4J002CL00X
4J002DA016
4J002DL006
4J002FA046
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD01X
4J002FD090
4J002FD130
4J002FD140
4J002FD160
4J002FD330
4J002GF00
4J002GJ01
4J002GT00
4J036AD08
4J036DC03
4J036DC04
4J036DC06
4J036FA06
4J036FB13
4J036HA12
4J036JA05
4J036JA06
4J036JA07
4J036JA08
4J036JA11
(57)【要約】
本発明は、エポキシ樹脂の硬化に使用するためのメチル置換基を有する新規な脂肪族ポリアミン、及びこのような脂肪族ポリアミンの調製に関する。本発明は更に、エポキシ樹脂と、このような脂肪族ポリアミンとを含む、対応するエポキシ樹脂組成物、このような組成物を硬化するプロセス、及び得られる硬化したエポキシ樹脂に関する。これらの硬化剤は、適度な高温での比較的急速な硬化と、室温での比較的長いポットライフとを兼ね備えている。同時に、これらの硬化剤により、良好な機械的特性と高いガラス転移温度を備えた硬化したエポキシ樹脂が可能になる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、
N(-Q-NH)-A-NH-Q-NH(I)
(式中、nは、0又は1であり、
Aは、-CH-CH(CH)-CH-又は-CH-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH-CH-であり、
各Qは、独立して-CH(CH)-CH-又は-CH-CH(CH)-である)
の脂肪族ポリアミン。
【請求項2】
n及びQは、前記脂肪族ポリアミンが式II、
N-CH(CH)-CH-NH-A-NH-CH-CH(CH)-NH(II)
を有するように選択される、請求項1に記載の脂肪族ポリアミン。
【請求項3】
Aは、-CH-CH(CH)-CH-である、請求項2に記載の脂肪族ポリアミン。
【請求項4】
Aは、-CH-CHCH(CH)-又は-CH(CH)-CH-CH-である、請求項2に記載の脂肪族ポリアミン。
【請求項5】
nは0であり、Aは-CH-CH(CH)-CH-である、請求項1に記載の脂肪族ポリアミン。
【請求項6】
少なくとも1つのエポキシ樹脂と硬化剤成分とを含むエポキシ樹脂組成物であって、前記硬化剤成分は、請求項1~5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの脂肪族ポリアミンを含むことを特徴とする、エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
強化繊維を更に含む、請求項6に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
エポキシ樹脂の硬化のための、請求項1~5のいずれか一項に記載の脂肪族ポリアミンの使用。
【請求項9】
請求項6又は7に記載のエポキシ樹脂組成物を供給し、次いで硬化することを含む、硬化した材料を生成する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法により得られることができる硬化した材料。
【請求項11】
第1の工程で、メタクロレインとプロパン-1,2-ジアミンとを反応させて式IV
【化1】
の環状化合物を形成し、
第2の工程で、式IVの前記環状化合物を、水素及び水素化触媒の存在下で更なるプロパン-1,2-ジアミンと反応させて、請求項3に記載の脂肪族ポリアミンを形成することを特徴とする、請求項3に記載の脂肪族ポリアミンを生成する方法。
【請求項12】
第1の工程で、メチルビニルケトンとプロパン-1,2-ジアミンとを反応させて式V
【化2】
の環状化合物を形成し、
第2の工程で、式Vの前記環状化合物を、水素及び水素化触媒の存在下で更なるプロパン-1,2-ジアミンと反応させて、請求項4に記載の脂肪族ポリアミンを形成することを特徴とする、請求項4に記載の脂肪族ポリアミンを生成する方法。
【請求項13】
第1の工程で、メタクリロニトリルとプロパン-1,2-ジアミンとを反応させて式VI
【化3】
(式中、Q=-CH(CH)-CH-又は-CH-CH(CH)-)のニトリルを形成し、
第2の工程で、式VIの前記ニトリルを水素及び水素化触媒の存在下で水素化して、請求項5に記載の脂肪族ポリアミンを生成することを特徴とする、請求項5に記載の脂肪族ポリアミンを生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂の硬化に使用するためのメチル置換基を有する新規な脂肪族ポリアミン、及びこのような脂肪族ポリアミンの調製に関する。これらの脂肪族ポリアミンは、一般化学式HN(-Q-NH)-A-NH-Q-NHで表され、式中、nは、0又は1であり、Aは、-CH-CH(CH)-CH-又は-CH-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH-CH-であり、各Qは、独立して-CH(CH)-CH-又は-CH-CH(CH)-である。本発明は更に、エポキシ樹脂と、このような脂肪族ポリアミンとを含む対応するエポキシ樹脂組成物、このような組成物を硬化するプロセス、及び得られる硬化したエポキシ樹脂に関する。このようなエポキシ樹脂組成物は、適度な高温での比較的急速な硬化と、室温での比較的長いポットライフとを兼ね備えている。同時に、このようなエポキシ樹脂組成物により、良好な機械的特性と高いガラス転移温度を有する硬化したエポキシ樹脂が可能になる。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂は周知であり、その強靱性、柔軟性、接着性及び耐薬品性により、接着剤としての、表面コーティング用の材料として、並びに、成形及び積層用の材料として、更に繊維強化複合材料の製造をするための材料として使用されている。
【0003】
エポキシ樹脂の典型的な硬化剤は、重付加反応(鎖延長)を引き起こすポリアミンである。高い反応性を有するポリアミンは、一般的に、所望の硬化の直前にのみエポキシ樹脂に添加される。従って、このような系は、いわゆる2成分(2K)系である。
【0004】
原則として、アミン系硬化剤(アミノ硬化剤)は、それらの化学構造により脂肪族、脂環式、又は芳香族の種類に分類される。加えて、アミノ基の置換度によって分類することができ、これは1級、2級、或いは3級であり得る。しかしながら、3級アミンの場合、エポキシ樹脂の硬化の触媒機構が想定されるのに対し、2級アミンの及び1級アミンのポリマーネットワーク形成の基礎は、化学量論的硬化反応である。
【0005】
一般的に、脂肪族アミンはエポキシ硬化において1級アミノ硬化剤の中で最も高い反応性を示すことが示されている。典型的には、脂環式アミンでは反応がやや遅くなることが示されるが、芳香族アミン(アミノ基が芳香環の炭素原子に直接結合しているアミン)の反応性は圧倒的に最も低い。
【0006】
これらの公知の反応性の違いは、必要に応じて処理時間と硬化速度を調整できるように、エポキシ樹脂の硬化に利用されている。繊維強化複合材料(複合材料)の製造などの多くの用途では、例えば、強化繊維の十分な埋め込み及び含浸を可能にするために、エポキシ樹脂とアミノ硬化剤の新たに調製された混合物(エポキシ樹脂組成物)が長い処理時間(ポットライフ:組成物が処理されることができるまでの期間)を有することが望ましい。引抜成形法による、或いは真空補助樹脂トランスファー成形(VARTM)又は樹脂トランスファー成形(RTM)などの注入法又は射出法による複合材料の製造では、マトリックス成分が強化繊維を効率よく湿潤するために、及び特に大型の部品の製造においては、マトリックス成分が強化繊維の周囲に均一に分散されるために、十分に長い処理時間が必要である。同じ理由で、エポキシ樹脂組成物の混合粘度が低いことも望ましい。同時に、エポキシ樹脂組成物は、短い製造サイクル、及びこれによる高い生産性を可能にするために、高温で許容可能な時間内に硬化しなければならない。
【0007】
脂環式アミン、例えば、イソホロンジアミン(IPDA)は、比較的長い処理時間を可能にし、適切な処方があれば、同時にまた、高い硬化速度と低い混合粘度を可能にする(Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2012,Vol.13,Epoxy Resins,H.Pham&MMarks,chpt.15.1.1.2,Tab.14(online:15.10.2005,DOI:10.1002/14356007.a09_547.pub2))。更に、IPDAなどの脂環式アミンで硬化されたエポキシ樹脂は、一般的にガラス転移温度が高いことが特徴である。従って、脂環式アミンは、特に複合材料の製造にも使用される。複合材料の製造に同様に使用される芳香族アミン及び無水物には、長い硬化時間及び高い硬化温度が必要であるという欠点がある。更に、無水物を用いて硬化すると、一般的に比較的脆い樹脂が得られる。欧州特許出願公開第2307358A号明細書には、IPDA及びD230ポリエーテルアミンで硬化するエポキシ樹脂にテトラメチルグアニジンを添加すると、同時にポットライフを長くし硬化速度を高めることができると記載されている。しかしながら、そこに記載されている系は、ガラス転移温度が比較的低い。
【0008】
近年、国際公開第2020/212258A号パンフレットは、ジエチレントリアミン(DETA)などの従来の脂肪族アミノ硬化剤に典型的な速い硬化速度と、イソホロンジアミン(IPDA)などの従来の脂環式アミノ硬化剤に典型的な長いポットライフ及び高いガラス転移温度(T)を兼ね備えたアミノ硬化剤をもたらした。このようなアミノ硬化剤は、例えば、引抜成形、フィラメントワインディング、プリプレグ、樹脂トランスファー成形(RTM)、真空補助樹脂トランスファー成形(VARTM)、バルクモールド圧縮(BMC)又はシートモールド圧縮(SMC)など、繊維系の複合材料の調製に特に適している。
【0009】
従って、このような背景に対して、特に複合材料の製造においては、例えば、引抜成形、フィラメントワインディング、繊維含浸、RTM、VARTM、BMC、又はSMCにより、国際公開第2020/212258A号パンフレットに記載されている硬化剤と同様に、比較的長いポットライフと、室温(23℃)での低い混合粘度を兼ね備え、且つ高いガラス転移温度と良好な機械的特性(特に低い脆性など)を有する硬化したエポキシ樹脂が得られるが、同時に、中程度の硬化温度、例えば、50~120℃、特に60~100℃で比較的高い硬化速度が可能になる更なるアミノ硬化剤が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、具体的には複合材料の製造において、特に風力回転翼のような大型の複合材料において、室温で比較的長いポットライフと低い混合粘度を同時に備える、50~120℃、特に60~100℃の中程度の硬化温度で、改善された硬化速度を有する新規なアミノ硬化剤及び対応するエポキシ樹脂組成物を提供することである。この組成物は、好ましくは、エポキシ樹脂及び脂環式アミノ硬化剤IPDAからなる組成物と同様に、硬化した樹脂の高いガラス転移温度及び良好な機械的特性(特に低い脆性)を可能にする必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に関連して、アミノ硬化剤としてメチル置換アルキレンアミンに基づく新規なエポキシ樹脂組成物が特定されており、これは、脂環式アミノ硬化剤IPDAに基づくエポキシ樹脂組成物と同等の室温でのポットライフ及び粘度を兼ね備え、これにより、同様のガラス転移温度及び同様の良好な機械的特性を有する硬化したエポキシ樹脂が得られるが、同時に、50~120℃、特に60~100℃の中程度の硬化温度で特に急速に硬化するため、複合材料、特に大型の複合材料の製造に特によく適している。本発明のアミノ硬化剤は、予想外にも、脂肪族アミンに典型的な急速な硬化と、脂環式アミンに典型的な比較的長いポットライフ及び比較的高いガラス転移温度とを兼ね備える。
【0012】
従って、本発明は、式I、
N(-Q-NH)-A-NH-Q-NH(I)
(式中、nは、0又は1であり、
Aは、-CH-CH(CH)-CH-又は-CH-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH-CH-であり、
各Qは、独立して、-CH(CH)-CH-又は-CH-CH(CH)-である)
の化合物である脂肪族ポリアミンの提供に関する。
【0013】
本発明に関連して、ポリアミンという用語は、少なくとも2つの1級又は2級のアミン官能基を有する化合物を指す。
【0014】
好ましい実施形態では、本発明は、式I(式中、nは、1であり、第1のQは、-CH(CH)-CH-であり、第2のQは、-CH-CH(CH)-である)の脂肪族ポリアミンの提供に関する。この脂肪族ポリアミンは、式II、
N-CH(CH)-CH-NH-A-NH-CH-CH(CH)-NH(II)
の化合物である。
【0015】
A=-CH-CH(CH)-CH-の場合、これにより、式IIa、
N-CH(CH)-CH-NH-CH-CH(CH)-CH-NH-CH-CH(CH)-NH(IIa)
の脂肪族ポリアミンが得られ、A=-CH-CH-CH(CH)-又は-CH(CH)-CH-CH-の場合、これにより、式IIb、
N-CH(CH)-CH-NH-CH-CH-CH(CH)-NH-CH-CH(CH)-NH(IIb)の脂肪族ポリアミンが得られる。
【0016】
別の好ましい実施形態では、本発明は、式I(式中、nは、0であり、Aは、-CH-CH(CH)-CH-である)の脂肪族ポリアミンの提供に関する。この脂肪族ポリアミンは、式III、
N-CH-CH(CH)-CH-NH-Q-NH(III)
の化合物である。
【0017】
Q=-CH(CH)-CH-の場合、これにより、式IIIa、
N-CH-CH(CH)-CH-NH-CH(CH)-CH-NH(IIIa)
の脂肪族ポリアミンが得られ、
Q=-CH-CH(CH)-の場合、これにより、式IIIb、
N-CH-CH(CH)-CH-NH-CH-CH(CH)-NH(IIIb)
の脂肪族ポリアミンが得られる。
【0018】
本発明はまた、式Iの2つ以上の異なる脂肪族ポリアミンの任意の混合物、特に式IIa及び式IIbの脂肪族ポリアミンの混合物、並びに式IIIa及び式IIIbの脂肪族ポリアミンの混合物の提供に関する。
【0019】
本発明の脂肪族ポリアミンの実験的アミン硬化剤当量(AHEW実験的)は、式IIの脂肪族ポリアミンの場合、好ましくは33~40g/当量、より好ましくは33~35g/当量の範囲であり、式IIIの脂肪族ポリアミンの場合、好ましくは29~35g/当量、より好ましくは29~31g/当量の範囲である。
【0020】
本発明はまた、少なくとも1つのエポキシ樹脂と、硬化剤成分とを含むエポキシ樹脂組成物に関し、硬化剤成分は、式Iの少なくとも1つの脂肪族ポリアミン、特に式IIの少なくとも1つの脂肪族ポリアミン、即ち式IIa又は式IIbの脂肪族ポリアミン又はそれらの混合物、或いは式IIIの少なくとも1つの脂肪族ポリアミン、即ち式IIIa又は式IIIbの脂肪族ポリアミン又はそれらの混合物を含むことが特徴である。
【0021】
本発明によるエポキシ樹脂は、典型的には2~10、好ましくは2~6、更により好ましくは2~4、特に2つのエポキシ基を有する。エポキシ基は、特に、アルコール基とエピクロロヒドリンとの反応で形成されるグリシジルエーテル基である。エポキシ樹脂は、一般的に1000g/モル未満の平均分子量(M)を有する低分子量化合物、又はより高い分子量の化合物(ポリマー)であり得る。このようなポリマーエポキシ樹脂は、好ましくは2~25の単位、より好ましくは2~10の単位のオリゴマー化度を有する。前記樹脂は、脂肪族化合物又は脂環式化合物又は芳香族基を有する化合物であり得る。特に、エポキシ樹脂は、芳香族又は脂肪族の6員環を2つ有する化合物又はそのオリゴマーである。工業的に重要なエポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと少なくとも2つの反応性水素原子を有する化合物との、特にポリオールとの反応によって得られることができるものである。特に重要なのは、エピクロロヒドリンと、少なくとも2つ、好ましくは2つのヒドロキシ基及び2つの芳香族又は脂肪族の6員環を含む化合物との反応によって得られることができるエポキシ樹脂である。このような化合物としては、特に、ビスフェノールA及びビスフェノールF、更には水素化ビスフェノールA及びビスフェノールFが挙げられ、対応するエポキシ樹脂は、ビスフェノールA又はビスフェノールF、又は水素化ビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルである。本発明による使用されるエポキシ樹脂は、典型的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)である。本発明による適切なエポキシ樹脂には、テトラグリシジルメチレンジアニリン(TGMDA)及びトリグリシジルアミノフェノール又はそれらの混合物も含まれる。また、エピクロロヒドリンと、他のフェノール、例えば、クレゾール又はフェノール-ホルムアルデヒド付加物、特にノボラックなどのフェノール-アルデヒド樹脂との反応生成物が適している。エピクロルヒドリンから誘導されないエポキシ樹脂も適している。有用な樹脂の例としては、グリシジル(メタ)アクリレートとの反応によるエポキシ基を含むエポキシ樹脂が挙げられる。本発明によれば、室温(23℃)で液体であるエポキシ樹脂又はその混合物を使用することが好ましい。エポキシ当量(EEW)は、エポキシ基1モルあたりのエポキシ樹脂の平均質量をg単位で示す。
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、好ましくは少なくとも50重量%程度のエポキシ樹脂からなる。
【0023】
特定の実施形態では、本発明のエポキシ樹脂組成物は、反応性希釈剤を更に含み得る。本発明に関連して、反応性希釈剤は、エポキシ樹脂組成物の混合粘度(初期粘度も)を低下させ、エポキシ樹脂組成物の硬化の過程で、エポキシ樹脂と硬化剤の発達中のネットワークと化学結合を形成する化合物である。本発明に関連して、好ましい反応性希釈剤は、1つ以上のエポキシ基を含む低分子量の有機化合物、好ましくは脂肪族化合物である。
【0024】
本発明の反応性希釈剤は、好ましくは、ブタン-1,4-ジオールジグリシジルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオールジグリシジルエーテル(HDDE)、ネオデカン酸グリシジル、バーサチック酸グリシジル(glycidyl versatate)、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、p-tert-ブチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、C8~C10-アルキルグリシジルエーテル、C12~C14-アルキルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o-クレジルグリシジルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMP)、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルパラアミノフェノール(TGPAP)、ジビニルベンジルジオキシド及びジシクロペンタジエンジエポキシドからなる群から選択される。それらは、より好ましくは、ブタン-1,4-ジオールジグリシジルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオールジグリシジルエーテル(HDDE)、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8~C10-アルキルグリシジルエーテル、C12~C14-アルキルグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、p-tert-ブチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o-クレシルグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMP)、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジビニルベンジルジオキシド及びジシクロペンタジエンジポキシドからなる群から選択される。それらは特に、ブタン-1,4-ジオールジグリシジルエーテル、C8~C10-アルキルモノグリシジルエーテル、C12~C14-アルキルモノグリシジルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオールジグリシジルエーテル(HDDE)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMP)、グリセロールトリグリシジルエーテル及びジシクロペンタジエンジポキシドからなる群から選択される。
【0025】
本発明の反応性希釈剤は、エポキシ樹脂の量に基づいて、好ましくは30重量%まで、より好ましくは25重量%まで、特に1重量%~20重量%の割合を占める。
【0026】
本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化剤成分は、更なる脂肪族、脂環式及び芳香族ポリアミン又は更なる1級モノアミンを含み得る。適切な追加の脂肪族、脂環式及又は芳香族ポリアミンの例としては、ジシカン、ジメチルジシカン(DMDC)、イソホロンジアミン(IPDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、メチレンジアニリン(例えば4,4’-メチレンジアニリン)、ポリエーテルアミン、例えば、D230ポリエーテルアミン、D400ポリエーテルアミン、D2000ポリエーテルアミン又はT403ポリエーテルアミンなど、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン(DODA)、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン(TTD)、Versamid 140などのポリアミノアミド、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、トルエン-2,4-ジアミン、トルエン-2,6-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンと2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンの混合物(MCDA)、1,2-ジアミノシクロヘキサン(DACH)、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン(DETDA)、1,2-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,4-ジアミノベンゼン、ジアミノジフェニルオキシド、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニル、1,12-ジアミノデカン、1,10-ジアミノデカン、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、プロパン-1,2-ジアミン、プロパン-1,3-ジアミン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4-エチル-4-メチルアミノ-1-オクチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メンテンジアミン、メタ-キシリレンジアミン(MXDA)、ベンゼン-1,3-ジメタンアミンとスチレンとの反応生成物(Gaskamine(登録商標)240)、N-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEPIP)、ネオペンタンジアミン、ノルボルナンジアミン、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)、オクタメチレンジアミン、4,8-ジアミノトリシクロ[5.2.1.0]デカン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、及びピペラジンが挙げられる。追加の脂肪族、脂環式及又は芳香族ポリアミンとして優先的に適しているのは、ジシカン、ジメチルジシカン(DMDC)、イソホロンジアミン(IPDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-BAC)、ビス(p-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)、ポリエーテルアミン、例えば、D230ポリエーテルアミン、D400ポリエーテルアミン、D2000ポリエーテルアミン又はT403ポリエーテルアミンなど、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン(DODA)、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン(TTD)、Versamid 140などのポリアミノアミド、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンと2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンの混合物(MCDA)、1,2-ジアミノシクロヘキサン(DACH)、2,4-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン、2,6-ジアミノ-3,5-ジエチルトルエン(DETDA)、1,5-ジアミノペンタン(カダベリン)、メタ-キシリレンジアミン(MXDA)、ベンゼン-1,3-ジメタンアミンとスチレンとの反応生成物(Gaskamine(登録商標)240)、N-(2-アミノエチル)ピペラジン(AEPIP)及びジメチルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)である。適切な追加の1級モノアミンの例としては、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)及びジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)が挙げられる。
【0027】
特定の実施形態では、本発明の脂肪族ポリアミンは、エポキシ樹脂組成物中の硬化剤の総量に基づいて、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%を占める。好ましい実施形態では、エポキシ樹脂組成物は、無水物硬化剤を含まない。特定の実施形態では、エポキシ樹脂組成物は、本発明の脂肪族ポリアミン以外に、更なる硬化剤を含まない。
【0028】
本発明に関連して、硬化剤とは、アミノ硬化剤又は無水物硬化剤を意味すると理解される。本発明に関連して、アミノ硬化剤とは、≧2のNH官能性を有するアミンを意味すると理解される(従って、例えば、1級モノアミンは、2のNH官能性を有し、1級ジアミンは、4のNH官能性を有し、3つの2級アミノ基を有するアミンは、3のNH官能性を有する)。本発明に関連して、無水物硬化剤は、分子内カルボン酸無水物、例えば、4-メチルテトラヒドロフタル酸無水物を意味すると理解される。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ化合物(エポキシ基を有する任意の反応性希釈剤を含むエポキシ樹脂)及びアミノ硬化剤を、エポキシ基及びNH官能性に基づいて、ほぼ化学量論的比で使用することが好ましい。エポキシ基とNH官能性の特に好適な比は、例えば、1:0.8~1:1.2である。或いは、本発明の特定の実施形態では、エポキシ化合物(エポキシ基を有する任意の反応性希釈剤を含むエポキシ樹脂)及びアミノ硬化剤は、好ましくは、エポキシ化合物のEEWとアミノ硬化剤のAHEW実験的とに基づいて、本発明のエポキシ樹脂組成物においてほぼ当量比、好ましくは1:0.8~1:1.2の範囲の比で使用される。
【0030】
特定の実施形態では、本発明のエポキシ樹脂組成物は、強化繊維を更に含み得る。これには、エポキシ樹脂組成物を含浸させた強化繊維が含まれる。
【0031】
本発明の強化繊維は、好ましくはガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維又は玄武岩繊維、又はそれらの混合物である。特に好ましいのは、ガラス繊維及び炭素繊維、特にガラス繊維である。使用されるガラス繊維は、典型的には、Eガラスの繊維であるが、Rガラス、Sガラス、及びTガラスの繊維も使用される。ガラスの種類の選択は、複合材料の機械的特性に影響を与えることができる。本発明によれば、強化繊維は、単繊維の形態で使用されるが、好ましくは、繊維フィラメント、繊維ロービング、繊維マット又はそれらの組み合わせの形態で使用される。強化繊維を繊維ロービングの形態で使用することが特に好ましい。強化繊維は、例えば、数mm~cmの長さを有する短繊維セクション、又は数cm~数mの長さを有する中程度の長さの繊維セクション、又は数メートル以上の範囲の長さを有する長繊維セクションの形態を取り得る。本発明によれば、強化繊維は、特に引抜成形又はフィラメントワインディングにおける使用のために、連続繊維フィラメント、連続繊維ロービング又は連続繊維マットの形態で使用されることが好ましい。本発明に関連して、連続繊維フィラメント、連続繊維ロービング又は連続繊維マットは、少なくとも10m、好ましくは少なくとも100m、特に少なくとも200mの長さを有する。
【0032】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、更なる添加剤、例えば、不活性希釈剤、硬化促進剤、顔料、着色剤、充填剤、離型剤、強化剤、流動剤、消泡剤、難燃剤又は増粘剤を含み得る。このような添加剤は、典型的には機能的な量(functional amount)で添加され、例えば、顔料は、典型的には、組成物に所望の色をもたらす量で添加される。本発明の組成物は、典型的には、エポキシ樹脂組成物に基づく全添加剤の全体に対して0重量%~50重量%、好ましくは0重量%~20重量%、例えば2重量%~20重量%を含む。本発明に関連して、添加剤は、エポキシ化合物でも硬化剤(アミノ硬化剤及び/又は無水物硬化剤)でも強化繊維でもないエポキシ樹脂組成物への全ての添加物を意味すると理解される。
【0033】
本発明は更に、エポキシ樹脂の硬化のための本発明の脂肪族ポリアミンの使用を提供する。
【0034】
本発明は更に、本発明のエポキシ樹脂組成物から硬化した材料を生成する方法を提供する。このような方法では、本発明のエポキシ樹脂組成物が提供され、次いで硬化される。この目的のために、エポキシ樹脂組成物の成分は、互いに接触され、次いで使用に実用的な温度で硬化される。通常、硬化した複合材料の場合、最初に、エポキシ樹脂組成物のエポキシ化合物、硬化剤、及び添加剤(存在する場合)が互いに接触され混合され、続いて強化繊維と接触(含浸又は埋め込み)され、次いで使用に実用的な温度で硬化される。硬化は、好ましくは少なくとも50℃、より好ましくは少なくとも60℃の温度で行われる。硬化は、120℃未満の温度、特に100℃未満の温度、特に50~120℃の温度範囲内、最も好ましくは60~120℃の温度範囲内で行うことができる。硬化は、好ましくは標準圧力下で行うことができる。硬化した複合材料の生成プロセスには、予め含浸させた繊維又は繊維織物の硬化(例えば、プリプレグ硬化、フィラメントワインディング法又は引抜成形法)、並びに真空補助樹脂トランスファー成形(VARTM)、樹脂トランスファー成形(RTM)などの注入法又は射出法、並びに又BMC(バルクモールド圧縮)及びSMC(シートモールド圧縮)などの湿式圧縮法による複合材料成形品の生成が含まれる。
【0035】
本発明は更に、本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化することによって得られることができる又は得られる硬化した材料、例えば、強化繊維を含む本発明のエポキシ樹脂組成物を硬化することにより得られることができる又は得られる硬化した複合材料を提供する。より具体的には、本発明は、それぞれ、硬化した材料又は硬化した複合材料を生成するための本発明の方法によって得られることができる又は得られる硬化した材料又は硬化した複合材料を提供する。本発明に従って硬化された硬化した材料、例えば、硬化した複合材料は、比較的高いガラス転移温度Tを有する。
【0036】
本発明の方法によって、特に本発明の引抜成形法及び本発明のフィラメントワインディング法によって、鉄筋(rebar)を製造することが可能である。このような鉄筋は、特に耐候性であるが、スチールからなる従来の鉄筋は腐食しやすい。従って、コンクリート構造物にこのような鉄筋を使用すると、特に長寿命の構造物の構築が可能になる。このような鉄筋は、任意の長さと厚さで製造でき、鉄筋は、好ましくは0.5~50m、特に1~20mの範囲の長さと、0.5~5cm、特に1~3cmの厚さを有する。このような鉄筋の断面は、任意の形状を有することができ、それは好ましくは、本質的に長方形又は円形である。このような鉄筋は、コンクリート内での固定を改善するために、例えば、鉄筋の周囲に螺旋を形成する1つ以上の溝又は隆起などの表面プロファイルを有することが好ましい。このような表面プロファイルは、例えば続いて、既に硬化した鉄筋に機械加工することができる、又は硬化前に対応する含浸した強化繊維材料で包むことによって適用することができる。また、このような鉄筋は、強化繊維を風化作用、並びに化学的及び熱的影響から更に保護するために、又はコンクリートとの相互作用を改善するために、例えば、更なるエポキシ樹脂組成物の追加の表面コーティングを有し得る。
【0037】
本発明は更に、第1の工程で、メタクロレインとプロパン-1,2-ジアミンを以下の反応スキーム
【化1】
に従って反応させて、式IV
【化2】
の環状中間化合物を形成することを特徴とする、式IIaの脂肪族ポリアミンを生成する方法を提供する。
【0038】
第2の工程で、式IVのこの環状中間化合物を、以下の反応スキーム
【化3】
に従って水素及び水素化触媒の存在下で更なるプロパン-1,2-ジアミンと反応させて、式IIaの脂肪族ポリアミンを形成する。
【0039】
第1の工程では、通常、プロパン-1,2-ジアミンは、メタクロレインに対してモル過剰で、通常、1.5~10倍の範囲、好ましくは3~8倍の範囲で使用される。第1の工程の好ましい反応温度は、10~70℃の範囲であり、より好ましくは20~50℃の範囲である。第1の工程の反応混合物は、精製工程を行わずに第2の工程に使用することができる。第2の工程では、通常、プロパン-1,2-ジアミンは、式IVの環状中間化合物に対してモル過剰で、通常、1.5~9倍の範囲、好ましくは3~7倍の範囲で使用される。第2の工程では、適切な量の水素化触媒、好ましくは不均一系水素化触媒が、反応混合物に添加される。適切な水素化触媒は、Co、Ni、Pt、Ru、Rh、Pd、及びそれらの混合物に基づく。触媒活性金属は、元素の形態(例えば、ラネーコバルト又はラネーニッケルなど)、又はその酸化された形態(酸化物、塩化物、硝酸塩、例えば、PtO(アダムス触媒)など)で使用でき、Al、ZrO、TiO、SiO、活性炭及びそれらの混合物(例えば、Ru/C又はCo/Alなど)から選択される固体担持体において担持されることができる。固定床触媒と懸濁触媒の両方を使用できる。特に好ましいのは、活性炭の担持体上の触媒活性金属としてPdを有する水素化触媒(「Pd/C」)の使用である。水素化のための水素は、通常、10~200バールの範囲、好ましくは20~100バールの範囲の圧力で適用される。第1の工程の好ましい反応温度は、50~100℃の範囲であり、より好ましくは60~90℃の範囲である。得られる式IIaの脂肪族ポリアミンは、好ましくは触媒を濾去し、残りの過剰のプロパン-1,2-ジアミンを蒸発させた後、分別蒸留によって精製することができる。
【0040】
本発明は更に、第1の工程で、メチルビニルケトンとプロパン-1,2-ジアミンを以下の反応スキーム
【化4】
に従って反応させて、式V
【化5】
の環状中間化合物を形成することを特徴とする、式IIbの脂肪族ポリアミンを生成する方法を提供する。
【0041】
第2の工程で、式Vのこの環状中間化合物を、以下の反応スキーム
【化6】
に従って水素及び水素化触媒の存在下で更なるプロパン-1,2-ジアミンと反応させて、式IIbの脂肪族ポリアミンを形成する。
【0042】
第1の工程では、通常、プロパン-1,2-ジアミンは、メチルビニルケトンに対してモル過剰で、通常、1.5~10倍の範囲、好ましくは3~8倍の範囲で使用される。第1の工程の好ましい反応温度は、10~70℃の範囲であり、より好ましくは20~50℃の範囲である。第1の工程の反応混合物は、精製工程を行わずに第2の工程に使用することができる。第2の工程では、通常、プロパン-1,2-ジアミンは、式Vの環状中間化合物に対してモル過剰で、通常、1.5~9倍の範囲、好ましくは3~7倍の範囲で使用される。第2の工程では、適切な量の水素化触媒、好ましくは、不均一系水素化触媒が反応混合物に添加される。適切な水素化触媒は、Co、Ni、Pt、Ru、Rh、Pd、及びそれらの混合物に基づく。触媒活性金属は、元素の形態(例えば、ラネーコバルト又はラネーニッケルなど)、又はその酸化された形態(酸化物、塩化物、硝酸塩、例えば、PtO(アダムス触媒)など)で使用でき、Al、ZrO、TiO、SiO、活性炭及びそれらの混合物(例えば、Ru/C又はCo/Alなど)から選択される固体担持体において担持されることができる。固定床触媒と懸濁触媒の両方を使用できる。特に好ましいのは、活性炭の担持体上の触媒活性金属としてPdを有する水素化触媒(「Pd/C」)の使用である。水素化のための水素は、通常、10~200バールの範囲、好ましくは20~100バールの範囲の圧力で適用される。第1の工程の好ましい反応温度は、50~100℃の範囲であり、より好ましくは60~90℃の範囲である。得られる式IIbの脂肪族ポリアミンは、好ましくは触媒を濾去し残りの過剰のプロパン-1,2-ジアミンを蒸発させた後、分別蒸留によって精製することができる。
【0043】
本発明は更に、第1の工程で、メタクリロニトリルとプロパン-1,2-ジアミンを以下の反応スキーム
【化7】
に従って反応させて、式VI
【化8】
(式中、Q=-CH(CH)-CH-又は-CH-CH(CH)-)の中間ニトリル化合物を形成することを特徴とする、式IIIa及びIIIbの脂肪族ポリアミンを生成する方法を提供する。
【0044】
第2の工程で、式VIのこれらの中間ニトリル化合物を、以下の反応スキーム
【化9】
に従って水素及び水素化触媒の存在下で水素化して、式IIIa及びIIIbの脂肪族ポリアミンを形成する。第1の工程では、プロパン-1,2-ジアミンは、通常、メタクリロニトリルに対してモル過剰で、好ましくは1.5~8倍の範囲、より好ましくは2~5倍の範囲で使用される。第1の工程の反応は、通常、5~200バールの範囲、好ましくは10~50バールの範囲の圧力下で、所定の条件で不活性であるガス、例えば、N、Ar又はH、又はそれらの混合物を使用して行われる。第1の工程の好ましい反応温度は、120~220℃の範囲であり、より好ましくは150~200℃の範囲である。第2の工程を開始する前に、残りの過剰のプロパン-1,2-ジアミン及び他の低沸点化合物を、好ましくは減圧下で、蒸留によって式VIの中間ニトリル化合物から除去することが好ましい。第2の工程では、適切な量の水素化触媒、好ましくは不均一系水素化触媒が、反応混合物に添加される。適切な水素化触媒は、Co、Ni、Pt、Ru、Rh、Pd、及びそれらの混合物に基づく。触媒活性金属は、元素の形態(例えば、ラネーコバルト又はラネーニッケルなど)、又はその酸化された形態(酸化物、塩化物、硝酸塩、例えば、PtO(アダムス触媒)など)で使用でき、Al、ZrO、TiO、SiO、活性炭及びそれらの混合物(例えば、Ru/C又はCo/Alなど)から選択される固体担持体において担持されることができる。固定床触媒と懸濁触媒の両方を使用できる。水素化のための水素は、通常、50~300バールの範囲、好ましくは100~200バールの範囲の圧力で適用される。第2の工程の好ましい反応温度は、60~150℃の範囲であり、より好ましくは80~120℃の範囲である。好ましくは、第2の工程は、アンモニアの存在下、好ましくは式VIの中間ニトリル化合物に対してモル過剰で、通常2~20倍の範囲、好ましくは2~15倍の範囲で行われる。得られる式IIIa及びIIIbの脂肪族ポリアミンは、好ましくは触媒を濾去した後、分別蒸留によって精製することができる。
【0045】
規格DIN 16 945(1989)によるゲル化時間は、反応混合物への硬化剤の添加と反応性樹脂組成物の液体状態からゲル状態への転移との間の時間を示す。温度は、重要な役割を果たすため、ゲル化時間は、それぞれの場合において所定の温度で決定される。動的機械的方法、特に回転粘度測定では、少量の試料でも準等温的に分析し、その粘度/剛性プロファイル全体を捉えることができる。規格ASTM D 4473-08(2016)に従い、減衰tanδの値が1になる貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の間の交点が、ゲル化点であり、硬化剤を反応混合物に添加してからゲル化点に達するまでの時間が、ゲル化時間である。このように、高温(例えば、90℃又は110℃)で決定されたゲル化時間は、このような高温での硬化速度の尺度とみなすことができ、一方、室温(23℃)でこのように決定されたゲル化時間は、このような周囲温度での取り扱い時間の尺度とみなすことができる。
【0046】
規格DIN EN ISO 8987(2005)に従い、同様に硬化速度の尺度として機能するB時間を決定するために、新たに生成された反応性樹脂組成物の試料(例えば、0.5g)がホットプレート(例えば凹部のないプレート、例えば145℃)に塗布され、糸が形成されるまでの時間(ゲル化点)又は急激な固化(硬化)までの時間が決定される。
【0047】
ガラス転移温度(T)は、例えば、規格ASTM D 3418-15(2015)に従い、示差熱量計(DSC)を使用して決定することができる。これには、アルミニウムのるつぼ内で非常に少量の試料(例えば、約10mg)を加熱し(例えば20℃/分)、対照のるつぼへの熱流を測定することが含まれる。このサイクルが3回繰り返される。ガラス転移は、2回目の測定から、又は2回目と3回目の測定の平均として決定される。熱流曲線のT工程の評価は、半値幅又は中点温度法に従い、変曲点を介して決定されることができる。
【0048】
アミン水素当量(AHEW)は、B.Burton et al(Huntsman,“Epoxy Formulations using Jeffamine Polyetheramines”,Apr.27,2005,p.8-11)によって記載されているように、理論的又は実験的に決定されることができる。理論的に計算されるAHEWは、アミンの分子量を利用可能なアミン水素の数で割った商として定義される(例えば、1級アミノ基ごとに2、及び2級アミノ基ごとに1)。例えば、分子量が170.3g/モルで2つの1級アミノ基、即ち4つの利用可能なアミン水素を有するIPDAの場合、理論的に計算されるAHEWは、170.3/4g/当量=42.6g/当量である。実験的なAHEWの決定は、等量のエポキシ樹脂とアミノ硬化剤により、最大熱変形耐性(熱変形温度(HDT))又は最大ガス転移温度(T)を特徴とする硬化したエポキシ樹脂が得られるという仮定に基づいている。従って、実験的なAHEWを確認するには、固定量のエポキシ樹脂と様々な量のアミノ硬化剤の混合物をできるだけ完全に硬化させ、それぞれのそのHDT又はTを決定し、このようにして確認された特性を出発材料の比に対してプロットする。実験的なAHEW(AHEW実験的)は、次の式で定義される:
AHEW実験的=(AH最大*EEWエポキシ)/ER、
式中、AH最大=最大DT又はTでのアミノ硬化剤の量(グラム単位)
EEWエポキシ=試験に使用したエポキシ樹脂のEEW値
ER=試験に使用したエポキシ樹脂の量(グラム単位)
【0049】
本発明に関連して、AHEW実験的は、最大T(規格ASTM D3418-15(2015)に従いDSCにより測定)の決定に基づく実験的なアミン水素当量を意味する。実験的なAHEW実験的は、理論的に計算されたAHEWが取得できない場合、例えば、ポリマーアミンの混合物の場合に特に重要である。
【0050】
硬化性組成物、例えば、本発明の繊維-マトリックス組成物のマトリックス成分の初期粘度(「混合粘度」)は、成分を混合した直後に、規格DIN ISO 3219(1993)に従い測定することができる。混合粘度は、コーン-プレート配置(例えば、コーンとプレートの直径:50mm、コーンの角度:1°、ギャップ幅:0.1mm)の剪断応力が制御されたレオメーター(例えば、Anton PaarのMCR301)を使用して測定する。測定温度は、硬化性組成物の粘度及び硬化速度に大きな影響を与えるため、これらの測定において重要な要素である。従って、比較するには、混合粘度を、特定の温度、例えば室温(23℃)で決定する必要がある。
【0051】
硬化したエポキシ樹脂からなる試験片の耐衝撃性は、規格DIN EN ISO 179-1(2010)に従い、室温でシャルピーノッチ付きバー衝撃試験により決定されることができる。高い耐衝撃性は低い脆性に対応する。
【実施例
【0052】
実施例1a
式IIaの脂肪族ポリアミンの合成
第1の工程で、過剰のプロパン-1,2-ジアミン491.4g(6.56モル)をメタクロレイン100.0g(1.31モル)に室温で90分以内に添加した。氷浴を使用して温度を25~30℃の範囲で一定に保った。混合物を1時間撹拌した。この反応工程により、式IVの環状中間化合物が形成された。7員環に基づくこの中間化合物の形成は、GC-MS分析によって確認された。
【0053】
第2の工程で、依然として過剰のプロパン-1,2-ジアミンを含む、第1の工程の反応混合物をオートクレーブに移した。20gのPd/C水素化触媒(活性炭における5%のPd、Sigma Aldrich)を添加した。続いて、10バールの水素を加え、次いでオートクレーブを15分以内で80℃に加熱し、最後に50バールの水素を加えた。この混合物を80℃の温度で24時間撹拌し、式IIaの脂肪族ポリアミンが形成された。
【0054】
触媒を濾去し、過剰のプロパン-1,2-ジアミンをロータリーエバポレーター(rotavap)にて90℃の温度で蒸発させ、残留物を蒸留に付した。
【0055】
上記の反応を繰り返し、両方の試料を合わせて蒸留した。5:2と5:1の間の還流比を使用して、1.7から2.1ミリバールの範囲の減圧下で蒸留を実施した。沸点117~119℃(2.1ミリバールで)を有する無色の液体の形態で、式IIaの脂肪族ポリアミン244.5g(1.21モル、収率46%、純度>99%GC)が得られた。最終生成物のNMR分析により、立体異性体混合物が明らかになった。
【0056】
実施例1b
式IIbの脂肪族ポリアミンの合成
第1の工程で、過剰のプロパン-1,2-ジアミン467.3g(6.24モル)を、室温で53分以内にメチルビニルケトン100.0g(1.25モル)に添加した。氷浴を使用して、温度を21~30℃の範囲で一定に保った。混合物を1時間撹拌した。この反応工程により、式Vの環状中間化合物が形成された。7員環に基づくこの中間化合物の形成は、GC-MS分析によって確認された。この反応工程を2回実施した。
【0057】
第2の工程で、依然として過剰のプロパン-1,2-ジアミンを含む、第1の工程の上記反応混合物56.7gを150mlのオートクレーブに移した。2gのPd/C水素化触媒(活性炭における5%のPd、Sigma Aldrich)を添加した。続いて、10バールの水素を加え、次いでオートクレーブを15分以内で80℃に加熱し、最後に50バールの水素を加えた。この混合物を80℃の温度で12時間撹拌し、式IIbの脂肪族ポリアミンが形成された。
【0058】
触媒を濾去し、過剰のプロパン-1,2-ジアミンをロータリーエバポレーターにて60℃の温度で蒸発させ、残留物を蒸留に付した。
【0059】
上記の第2の工程を合計20回行い、全ての試料を合わせて蒸留した。
【0060】
5:2と5:1の間の還流比を使用して、蒸留を1.8ミリバールの減圧で実施した。沸点108.6℃(1.8ミリバール)を有する黄色液体の形態の式IIbの脂肪族ポリアミン33g(純度>98%GC)が得られた。最終生成物のNMR分析により、立体異性体混合物が明らかになった。
【0061】
実施例1c
式IIIa及びIIIbの脂肪族ポリアミン混合物の合成
オートクレーブにメタクリロニトリル(30g、0.45モル)とプロパン-1,2-ジアミン(100g、1.35モル)の混合物を充填した。オートクレーブを密閉し、Hで20バールまで加圧し、3時間以内に170℃まで加熱した。混合物を170℃で一晩撹拌し、周囲温度まで冷却し減圧した。粗製混合物には、約50%のプロパン-1,2-ジアミン、約35%の3-((2-アミノプロピル)アミノ)-2-メチルプロパンニトリルと3-((1-アミノプロパン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパンニトリルの混合物、及びGCによる約5%の他の化合物(GC面積%の値)が含まれた。
【0062】
5つの同一バッチの粗製反応混合物をプールし、プロパン-1,2-ジアミンを他の軽沸点物とともに減圧下で蒸留して除去した。蒸留サンプ(sump)(p=20ミリバール、Tサンプ、最大=85℃)には、約2%のプロパン-1,2-ジアミン、約89%の3-((2-アミノプロピル)アミノ)-2-メチルプロパンニトリルと3-((1-アミノプロパン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパンニトリルの混合物、及びGCによる約9%の他の化合物(GC面積%の値)が含まれた。混合物をそのまま次の水素化反応に使用した。
【0063】
オートクレーブに、前の反応工程の粗製サンプ生成物(50g)及び5gのラネーコバルト(THFで洗浄して水を除去した)を充填した。オートクレーブを密閉し、Hで10バールまで加圧し、NH(40g、2.4モル)を添加した。反応混合物を100℃に加熱し、Hで170バールに加圧した。8時間の反応時間の後、混合物を周囲温度まで冷却し減圧し、ラネーコバルトを濾過により除去した。粗製混合物には、約2%のプロピレン-1,2-ジアミン、約90%のN-(3-アミノ-2-メチルプロピル)プロパン-1,2-ジアミン(式IIIbの化合物)とN-(3-アミノ-2-メチルプロピル)プロパン-1,2-ジアミン(式IIIaの化合物)の混合物、及び8%のGCによる他の化合物(GC面積%の値、残留THFは含まれず)が含まれた。
【0064】
4つの同一バッチの粗製反応混合物をプールし、2ミリバールで蒸留により精製した。3-((2-アミノプロピル)アミノ)-2-メチルプロパンニトリルと3-((1-アミノプロパン-2-イル)アミノ)-2-メチルプロパンニトリルの混合物(113g)を、T先端(head)=58~62℃で得た。得られた化合物の同一性は、GC-MSにより分子量145gで確認された。
【0065】
実施例2:脂肪族ポリアミンによるエポキシ樹脂の硬化
表1に記載の量に従って、実施例1a、1b又は1cからの脂肪族ポリアミン、及びエポキシ樹脂(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、Epilox A19-03、Leuna、EEW:185g/モル)を攪拌機システムにて混合した(2000rpmで1分間)。DSC測定(示差走査熱量測定)及びレオロジー分析は、混合直後に行った。比較として、IPDA(Baxxodur(登録商標)EC201、BASF)、ジエチレントリアミン(DETA、BASF)、ジメチルジエチレントリアミン(DMDETA、国際公開第2020/212258A号パンフレットの実施例1aに従って調製)、及びテトラメチルトリエチルテトラミン(TMTETA、国際公開第2020/212258A号パンフレットの実施例1aによるDMDETAの調製で、また、分別蒸留によって反応混合物から単離される、より少量の対応するTMTETAが形成される)を含む対応する組成物も同様に試験した。
【0066】
開始温度(T)、発熱エンタルピー(ΔH)、及びガラス転移温度(T)を決定するためのこれらの混合物の硬化反応のDSC分析は、次の温度プロファイルを使用して、ASTM D 3418-15(2015)に従い実施された:0℃→20K/分200℃→10分200℃。Tは2回目の実行で決定された。結果を表1に示す。
【0067】
様々なアミノ硬化剤とエポキシ樹脂の反応性プロファイル(ポットライフ及びゲル化時間)を調べるためのレオロジー測定は、プレートの直径が15mm、ギャップが0.25mmである、剪断応力が制御されたプレート-プレートレオメーター(MCR 301、Anton Paar)にて様々な温度で実施された。ゲル化時間は、規格ASTM D 4473-08(2016)によるゲル化時間を与える、損失弾性率(G’’)と貯蔵弾性率(G’)の交点により、23℃、70℃、90℃又は110℃で上記のレオメーターの振動(oscillation)で決定された。23℃でのゲル化時間は、室温での取り扱い時間の尺度として機能し、70℃、90℃又は110℃でのゲル化時間は、高温での硬化速度の尺度として機能する。混合粘度(η)は、コーンプレート配置(例えば:コーンとプレートの直径:50mm、コーン角度:1°、ギャップ幅:0.1mm)の剪断応力が制御されたレオメーター(例えば、Anton PaarのMCR 301)を使用して、成分を混合した直後に、規格DIN ISO 3219(1993)に従い室温(23℃)で測定された。 同様に硬化速度の尺度として機能するB時間を決定するために、新たに生成した反応性樹脂組成物の試料(約0.5g)を、145℃で凹部のないプレートに塗布し、規格DIN EN ISO 8987(2005)に従い、繊維の形成にかかる時間(ゲル化点)と急激な固化(硬化)が決定されるまでの時間が測定された。レオロジー測定の結果を表1にまとめる。
【0068】
エポキシ樹脂とアミノ硬化剤の系を混合した直後に、混合物を1ミリバールで脱気し、次いで硬化させた(60℃で8時間、次いで100℃で4時間、次いで160℃で2時間)。硬化後、硬化した樹脂の機械的特性(引張弾性率(E-t)、引張強度(σ-M)、引張伸び(ε-M)、曲げ弾性率(E-f)、曲げ強度(σ-fM))及び曲げ伸び(ε-fM))が、規格ISO 527-2:1993及び規格ISO 178:2006に従い室温で決定された。結果を同じく表1に示す。耐衝撃性は、規格DIN EN ISO 179-1(2010)に従い、室温でシャルピーノッチ付きバー衝撃試験により決定された。高い耐衝撃性は低い脆性に対応する。
【0069】
【表1】
【国際調査報告】