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▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧 ▶ トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】モリブデンをエッチングする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532154
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022052015
(87)【国際公開番号】W WO2023107492
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】63/287,371
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】パソス,ロベルト ロンゴ
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA02
5F004AA04
5F004AA05
5F004BA04
5F004BB12
5F004BB13
5F004BD04
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA04
5F004DA05
5F004DA11
5F004DA15
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA24
5F004DA25
5F004DA26
5F004DB03
5F004DB08
5F004EA03
5F004EA06
5F004EA07
5F004EA13
5F004EA28
5F004EA37
(57)【要約】
基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、凹状フィーチャの側壁にエッチング保護層を形成するプラズマ励起成膜ガスに基板を曝露することと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含み、これらの曝露するステップは、交互に複数回行われる、基板処理方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理の方法であって、
凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供するステップと、
前記基板をプラズマ励起成膜ガスに曝露するステップであって、前記プラズマ励起成膜ガスは、前記凹状フィーチャの側壁にエッチング保護層を形成する、ステップと、
前記基板をプラズマ励起エッチングガスに曝露するステップであって、前記プラズマ励起エッチングガスは、前記エッチマスクに従って前記金属モリブデン層をエッチングする、ステップと、
を有し、
前記曝露する両ステップは、複数回交互に行われる、方法。
【請求項2】
前記プラズマ励起成膜ガスは、フルオロカーボン(C)またはハイドロフルオロカーボン(C)を含み、
フッ素原子に対する炭素原子の比は、1/4よりも大きく1以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラズマ励起成膜ガスは、硫黄含有ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記硫黄含有ガスは、SOまたはCOSガスを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマ励起エッチングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン含有ガスは、F、CF、NF、SF、Cl、CClまたはBClガスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プラズマ励起エッチングガスは、さらに、酸素含有ガスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマ励起エッチングガスは、さらに、アルゴンガスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
基板処理の方法であって、
凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供するステップと、
前記凹状フィーチャ内にエッチング保護層を成膜するステップであって、前記エッチング保護層は、酸化物層を含む、ステップと、
ブレイクスルーエッチングステップを実施するステップであって、前記ブレイクスルーエッチングステップでは、前記凹状フィーチャの底部で前記エッチング保護層を貫通してエッチングが行われる、ステップと、
前記基板をプラズマ励起エッチングガスに曝露するステップであって、前記プラズマ励起エッチングガスは、前記エッチマスクに従って前記金属モリブデン層をエッチングする、ステップと、
を有する、方法。
【請求項10】
前記エッチング保護層を成膜するステップは、前記基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に曝露して、酸化ケイ素層を形成するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記エッチング保護層を成膜するステップは、前記基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に交互に曝露して、酸化シリコン層を形成するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記プラズマ励起エッチングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ハロゲン含有ガスは、F、CF、NF、SF、Cl、CClまたはBClガスを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基板処理の方法であって、
凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供するステップと、
前記エッチマスクの側壁にエッチング保護層を成膜するステップであって、前記エッチング保護層は、酸化物層を含む、ステップと、
前記基板をプラズマ励起エッチングガスに曝露するステップであって、前記プラズマ励起エッチングガスは、前記エッチマスクに従って前記金属モリブデン層をエッチングする、ステップと、
を有し、
前記成膜するステップおよび前記曝露するステップは、複数回交互に実施される、方法。
【請求項15】
前記基板を前記プラズマ励起エッチングガスに曝露するステップは、さらに、前記基板にバイアス信号を印加するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチング保護層を成膜するステップは、前記基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に曝露して、酸化ケイ素層を形成するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記エッチング保護層を成膜するステップは、前記基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に交互に曝露して、酸化ケイ素層を形成するステップを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記プラズマ励起エッチングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
さらに、ブレイクスルーエッチングステップを実施するステップを有し、前記ブレイクスルーエッチングステップでは、前記凹状フィーチャの底部で前記エッチング保護層を貫通してエッチングが行われる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記成膜するステップおよび前記曝露するステップは、いずれも処理チャンバ内で実施され、
当該方法は、さらに、前記成膜するステップの後であって前記曝露するステップの前に、チャンバプレコートステップを実施するステップを有し、
前記チャンバプレコートステップでは、前記処理チャンバの壁にコーティングが成膜される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年12月8日に出願された米国仮特許出願第63/287,371号明細書の利益を主張するものであり、この出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、半導体デバイスを製作する方法に関し、特定の実施形態では、モリブデンをドライエッチングする方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体集積回路(IC)は、様々な材料の層を順次堆積させ、パターニングして、基板の上にモノシリック構造を形成することによって構築される電子部品のネットワークである。新しい技術ノードごとに部品密度がほぼ2倍になり、ICの単価が下がる。パターニングの進歩によって可能になったように、数百個のトランジスタを1μmの面積に詰め込んで、ハーフピッチが15nm未満の金属線によって信号および電源に接続することができる。このような細線の抵抗は、主にエッジ付近の伝導に依存する。金属拡散バリアとして使用されるライナーおよび金属エッジに沿ったランダム電子散乱により、幅が減少するとともに抵抗が急激に上昇する狭幅効果(NWE)が生じる。そのため、5nm未満のノードの場合、金属モリブデンは、酸化シリコン中の拡散率が低く(拡散バリアの必要性をなくす)、バルク平均自由行程が低く(エッジ散乱がより少ない)、融点が高く、熱膨張係数が低いため、最高密度配線レベルのワイヤとして興味深い金属である。モリブデンは、有望な特性を有する一方、モリブデンを大量のIC製造に組み込むには、エッチプロファイル、エッチ速度並びにマスキング材料および下地層に対するエッチ選択性を良好に制御するドライエッチング方法が必要である。そのため、金属モリブデンのドライエッチングのプロセスにおけるさらなる革新が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、凹状フィーチャの側壁にエッチング保護層を形成するプラズマ励起成膜ガスに基板を曝露することと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含み、これらの曝露するステップは、交互に複数回行われる、基板処理方法。
【0005】
基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、凹状フィーチャ内にエッチング保護層を堆積させることであって、エッチング保護層は、酸化物層を含む、堆積させることと、凹状フィーチャの底部でエッチング保護層を貫通してエッチングするブレイクスルーエッチングステップを行うことと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含む基板処理方法。
【0006】
基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、エッチマスクの側壁にエッチング保護層を堆積させることであって、エッチング保護層は、酸化物層を含む、堆積させることと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含み、堆積および曝露は、交互に複数回行われる、基板処理方法。
【0007】
本発明およびその利点のより詳細な理解のために、ここで、添付図面と併せて行われる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】ある実施形態による、モリブデン層をパターニングするためのプロセスフローを要約するフローチャートを例示する。
図1B図1Aに例示するフローチャートに要約されたプロセスフローの様々な中間ステップにおける半導体デバイスの断面図を例示する。
図1C図1Aに例示するフローチャートに要約されたプロセスフローの様々な中間ステップにおける半導体デバイスの断面図を例示する。
図1D図1Aに例示するフローチャートに要約されたプロセスフローの様々な中間ステップにおける半導体デバイスの断面図を例示する。
図2A】不十分なプロセスウィンドウを有する異方性ドライエッチプロセスを使用して金属モリブデン層をパターニングした結果生じる望ましくないエッチング特性および欠陥を示す、半導体デバイスの断面図を例示する。
図2B】不十分なプロセスウィンドウを有する異方性ドライエッチプロセスを使用して金属モリブデン層をパターニングした結果生じる望ましくないエッチング特性および欠陥を示す、半導体デバイスの断面図を例示する。
図3A】ある実施形態による、金属モリブデン層をパターニングするためのガスパルス循環エッチ技術を要約するフローチャートを例示する。
図3B図3Aに例示するフローチャートに要約されたガスパルス循環エッチ技術を使用して金属モリブデン層をパターニングする様々な中間段階における半導体デバイスの様々な断面図を例示する。
図3C図3Aに例示するフローチャートに要約されたガスパルス循環エッチ技術を使用して金属モリブデン層をパターニングする様々な中間段階における半導体デバイスの様々な断面図を例示する。
図3D図3Aに例示するフローチャートに要約されたガスパルス循環エッチ技術を使用して金属モリブデン層をパターニングする様々な中間段階における半導体デバイスの様々な断面図を例示する。
図3E図3Aに例示するフローチャートに要約されたガスパルス循環エッチ技術を使用して金属モリブデン層をパターニングする様々な中間段階における半導体デバイスの様々な断面図を例示する。
図3F図3Aに例示するフローチャートに要約されたガスパルス循環エッチ技術を使用して金属モリブデン層をパターニングする様々な中間段階における半導体デバイスの様々な断面図を例示する。
図4】ある実施形態による、金属モリブデン層をパターニングするためのALDベースの循環エッチ技術を要約するフローチャートを例示する。
図5】ある実施形態による、循環エッチ技術の単一サイクルのフローチャートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
金属モリブデンのサブトラクティブエッチングのためのドライエッチング方法の実施形態について本開示で説明する。本開示では、金属モリブデンとは、少量の不純物およびドーパントを含むモリブデンを含む元素モリブデンおよびその合金を指す。金属のサブトラクティブエッチングでは、パターン化されたエッチマスクが金属層の上に形成され、このパターンは、金属を貫通して延びる凹状フィーチャを直接エッチングして金属線のパターンを形成することにより、金属層に転写される。通常、反応性イオンエッチング(RIE)などのドライエッチプロセスが使用される。エッチマスクを形成する前に、金属層は、層間誘電体(ILD)層の平坦面の上に均一に形成される。サブトラクティブエッチングによって金属をパターニングした後、別のILD層を形成して、凹状フィーチャを充填し、絶縁のために金属線を覆うことができる。従来の銅配線では、パターン化されたエッチマスクを使用して金属線のためのトレンチをILD層にエッチングし、金属で過充填する、より複雑なダマシンプロセスフローが使用される。トレンチ間の誘電体表面の上に堆積されたすべての金属を含む過充填材料は、例えば、化学機械平坦化(CMP)を使用して除去されて、ILDに嵌め込まれた金属線が形成される。当業者に知られているように、平面の上に金属を堆積させることは、10nm~20nm幅のトレンチをボイドフリー金属で充填することよりも単純である。さらに、CMPステップは、高価であるため、製作コストが高くなる。
【0010】
サブトラクティブエッチングによる金属のパターニングは、より単純でそれほど高価でないため、エッチプロセスが適切な製造基準を満たす限り、ダマシンエッチングよりも好ましい。例えば、エッチプロセスは、安定した製造を実現するために、エッチ速度、エッチ選択性、側壁プロファイル、ラインエッジラフネス(LER)および(例えば、ブリッジング欠陥およびラインブレーク欠陥の)欠陥密度の仕様を良好な制御で満たさなければならない。エッチ速度およびエッチ選択性の制御の改善に加えて、いくつかの利点、例えばアンダカットを低減するための横方向のエッチングの抑制、低いLERおよびより垂直なエッジプロファイルを提供する、モリブデンを含む金属層をパターニングするためのドライエッチプロセスについて本開示で説明する。
【0011】
ILD層は、通常、酸化シリコンベースの誘電体である。銅は、酸化シリコン中に容易に拡散する汚染物質であるため、トレンチを銅で充填する前に、トレンチの内側を覆う連続的な拡散バリアが必要である。一般に、銅がILD中に漏出し、配線構造の経時絶縁破壊(TDDB)寿命を劣化させる可能性のあるエッジおよびコーナーの孔または切れ目がないことを保証するために、十分に厚い(例えば、1.5nm~3nm)ライナーが形成される。ライナーは、主に2つの点で金属線の抵抗を増加させ得る。抵抗率の低いコア金属は、より抵抗率の高い金属または絶縁体を含むライナー材料によって置換され得る。加えて、コア金属およびライナーの界面における拡散電子散乱率が高くなると、線路抵抗がさらに増加し得る。エッジに沿った拡散散乱は、電子のバルク平均自由行程(λ)が線路の断面寸法よりも長い金属でより支配的である。エッジ効果である、幾何学的効果(断面積の低減)および散乱効果(界面におけるより高い散乱率)により、Wの減少に伴う金属線抵抗は、1/Wよりも急速に上昇する。ここで、Wは、ライナーを含む線幅を指す。例えば、ダマシンプロセスでは、Wは、トレンチ幅になる。これは、実効抵抗率ρ(W)がWの減少とともに増加することを意味し、本開示で狭幅効果(NWE)と呼ぶ望ましくない現象である。実効抵抗率ρ(W)は、L/(Wt)に正規化された線路抵抗であり、ここで、Lは、線の長さであり、tは、金属の厚さである。NWEに起因するρ(W)の増加の望ましくない結果は、より大きい抵抗降下(回路スピードの低下)およびより高温でのエレクトロマイグレーション(EM)の加速につながるより多くのジュール加熱を含む。銅は、拡散バリアライナーを必要とするため、強いNWEを呈する。例えば、ρ(W)は、Wが10nmに低減されるとき、そのバルク抵抗率(ρ=16.8Ω-nm)よりも一桁上昇し得る。
【0012】
銅線の強いNWEは、銅配線をスケーリングする際の懸念事項であり、少なくとも最も高密度に充填された金属線が配置される下層金属レベルにおいて、銅を適当な金属に置き換えることに関する研究を促進してきた懸念事項である。背景の段落で述べたように、モリブデンは、酸化シリコン中の拡散率が低いため、拡散バリアを必要としない。さらに、λ=11.2nmと短いため、モリブデン線のエッジに沿った拡散散乱は、λ=39.9nmの銅線のエッジに沿った拡散散乱ほど支配的ではない。幾何学的効果(断面積の低減)は、Wがライナー厚さのほぼ10倍を下回るときに顕著になり、散乱効果(界面におけるより高い散乱率)は、Wがλ未満に低減されるときにρ(W)に深刻な影響を与える。実際に、異なる金属を比較するとき、NWEの散乱効果成分の大きさの指標としてρ×λを使用することが多い。測定基準ρ×λは、銅の場合、670Ω-nmである。比較すると、モリブデンの場合、より高いρ=53.4Ω-nmにもかかわらず、ρ×λは、600Ω-nmである。したがって、銅と比べてモリブデンではNWEがそれほど深刻ではない。この特性並びにρが適度に低いこと、熱膨張係数が低いこと(5×10-6/℃)、融点が高いこと(良好なEM信頼性の指標)および酸化シリコンとの界面が安定していることなどの他の魅力的な特性のため、金属モリブデンが銅の代替として検討されている。
【0013】
IC設計における最も狭いピッチの配線レベルのため、ダマシン銅を、サブトラクティブエッチングを使用してパターン化されたバリアフリーの金属線に置き換えることは、技術スケーリングの性能、電力、面積およびコスト(PPAC)の目標を満たすために差し迫って必要とされ得るいくつかのアーキテクチャ変更の1つである。上記で解説したように、金属モリブデンは、この目的のために有望である。モリブデン配線をIC製作フローに組み込むには、基板の上に金属モリブデンを含む金属層を形成し、金属層の上にパターン化されたエッチマスクを形成し、金属層を貫通して延びる凹状フィーチャのパターンをエッチングすることにより、金属層にパターンを転写するプロセスが必要である。本開示では、金属モリブデン層を貫通して延びる凹状フィーチャのパターンをエッチングし、下地層の主面の一部を露出させる方法の実施形態について説明する。本方法は、循環処理を採用して、垂直方向に進行するエッチフロントの制御を側壁プロファイルの制御から分離し、プロセス最適化の改善を実現する。例えば、循環プロセスの各サイクルは、側壁保護のための不動態化固体副生成物を堆積させるために最適化されたプロセスパラメータおよびガスのセットを使用する第1の部分と、金属モリブデンを選択的に除去して凹状フィーチャを垂直方向に拡張するために最適化されたプロセスパラメータおよびガスの異なるセットを使用する第2の部分とを含み得る。循環エッチングプロセスの堆積ステップとエッチングステップとを時間的に分離することにより、より広いプロセスウィンドウを提供する最適化の改善が可能になり、製造中にアンダカットおよびフッティング欠陥を無視できる滑らかな垂直側壁を実現することができる。
【0014】
図1Aは、サブトラクティブエッチングを使用して金属モリブデン層をパターニングするためのプロセスフロー100を要約するフローチャートを例示する。プロセスフロー100は、金属モリブデンを含む金属線の層が、本開示で説明する実施形態を使用して組み込まれた半導体デバイス110の製作フローの一部であり得る。プロセスフロー100の基本的なプロセスステップについて、図1B図1Dに概略的に例示する半導体デバイス110の断面図を参照して説明する。
【0015】
図1Aのフローチャートのボックス102に指示されるように、プロセスフロー100は、下地層の上に形成された金属モリブデン層と、金属モリブデン層の上にパターン化されたエッチマスクとを有する基板を提供することを含む。ボックス104では、パターン化されたエッチマスクを通してサブトラクティブエッチプロセスを行って、金属モリブデンを含む金属線のパターンを形成する。サブトラクティブエッチプロセスは、循環エッチプロセスを含む。循環エッチプロセスの各サイクルは、金属モリブデン層の凹状フィーチャ内にエッチング保護層を堆積させることと、金属モリブデンを異方性エッチングすることとを含む。金属線が形成された後、ボックス106に指示されるように、エッチマスクの残存部分を除去することができる。
【0016】
図1Bは、図1Aのフローチャートのボックス104に指示されるように、下地層114の上に金属モリブデン層116が形成され、金属モリブデン層116の上にエッチマスク122がパターン化された後の半導体デバイス110の断面図を例示する。下地層114は、誘電体層、例えば低誘電率酸化シリコンを含むILD層またはILD層中の絶縁エッチ停止層を含み得る。金属モリブデン層116は、プラズマ強化化学蒸着(PECVD)などの適当な膜成長技術を使用して形成され得る。金属モリブデン層116を形成する前に、下地層114上に薄い接着層(図示せず)(例えば,TiNまたはTaN)を任意選択で堆積させ得る。接着を促進することに加えて、接着層は、膜成長中に金属モリブデン層116の形態を改善するのに役立ち得る。下地層114の下の様々な他の層は、集合的に基板層112として示されている。
【0017】
エッチマスク122は、凹状フィーチャの第1のパターンであり、各凹状フィーチャ124は、垂直側壁と、金属モリブデン層116の主面の一部を露出させる底部とを有する。図1Bの例示的実施形態では、エッチマスク122は、パターン化されたハードマスク層118と、パターン化されたフォトレジスト層120とを含む。パターン化されたハードマスク層118は、金属モリブデン層116の上にハードマスク材料を堆積させ、その後、パターン化されたフォトレジスト層120をエッチマスクとして使用して、ハードマスク材料をエッチングすることによって形成することができる。パターン化されたフォトレジスト層120は、極紫外線(EUV)リソグラフィなどの適当なリソグラフィ技術を使用して形成することができる。パターン化されたフォトレジスト層の最小ハーフピッチ(限界寸法)は、約5nm~約15nmであり得る。ハードマスク材料の例としては、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化チタンなど、または複数の層の組み合わせが挙げられる。他のいくつかの実施形態では、パターン化されたハードマスク層118は、エッチマスク122から省略され得る。
【0018】
図1Cでは、パターン化されたエッチマスク122を通してサブトラクティブエッチプロセスを行い、金属モリブデン層116を異方的に除去して、図1Bの凹状フィーチャ124をさらに拡張して凹状フィーチャの第2のパターンを形成し、各凹状フィーチャ126は、垂直側壁と、下地層114の主面の一部を露出させる底部とを有する。エッチ化学作用の選択性に応じて、図1Cに例示するように、エッチマスク122の特定の部分が侵食される。上記のように、本開示で説明するエッチプロセスの実施形態は、図1Cに概略的に例示する垂直側壁を実現するために循環処理を採用する。循環エッチプロセスの各サイクルでは、処理は、側壁不動態化ステップと、金属モリブデンを垂直に除去するエッチングステップとの間で切り替わる。金属モリブデンをエッチングするためのこの方法のいくつかの異なる実施形態について、以下でさらに詳細に説明する。金属厚さは、約50nm~約200nmであり、パターンの最小ハーフピッチは、約5nm~約15nmであるため、凹状フィーチャ126の縦横比は、プロセスを製造可能にするために側壁プロファイルを良好に制御しなければならない範囲にある。
【0019】
図1Dに例示するように、サブトラクティブエッチプロセスを完了した後、エッチマスク122の残留部分を除去することができる。一般に、カバー層128、例えば別のILD層は、パターン化された金属モリブデン層116の上に形成され、金属線を覆い、線間の空間を充填する。
【0020】
図2Aおよび図2Bは、図1Cを参照して説明したエッチステップ中に金属モリブデン層116の凹状フィーチャ126をエッチングするために使用される異方性ドライエッチプロセス(例えば、従来のRIEプロセス)の不十分なプロセスウィンドウの結果として生じる望ましくないエッチング特性および欠陥を示す。
【0021】
一般に、基板は、処理チャンバ内でプラズマに曝露され、ハロゲン(例えば、塩素またはフッ素)ベースの化学物質がモリブデンをエッチングするために利用される。プラズマによって励起されたハロゲンラジカルがモリブデンと反応して、チャンバから排出され得る揮発性副生成物を形成する。従来のRIEプロセスでは、基板にバイアス信号(例えば、DCバイアスまたは無線周波(RF)バイアス)を印加し、ハロゲンに加えて炭素、水素および酸素などの元素を含有するプラズマ励起ガス状混合物を使用して、固体副生成物(例えば、酸化物およびポリマー)を形成する化学反応を起こすことによって異方性が実現される。固体副生成物は、凹状フィーチャの側壁を保護するために垂直面に選択的に堆積され、これは、側壁不動態化と呼ばれる技術である。不動態化層は、プラズマによって励起され、バイアス信号によって垂直に向けられた高エネルギーイオン(例えば、アルゴンイオン)を用いて凹状フィーチャの床部から固体副生成物をスパッタリングで除去することにより、側壁に選択的に形成される。加えて、表面にイオンを衝突させることがモリブデン原子間の結合を切断し、したがってハロゲンラジカルとの結合を促進することにより、そこでの反応速度を高める。したがって、垂直方向のエッチ速度が底面におけるイオン衝撃によって高まる一方、横方向のエッチ速度は側壁不動態化によって遅延する。
【0022】
安定した製造のために十分に広いプロセスウィンドウを提供するために、不動態化速度と除去速度との間で微妙なバランスを取らなければならない。横方向の寸法を積極的にスケーリングすると、凹状フィーチャ126の上部開口部が小さくなり、凹状フィーチャ126の縦横比が高くなる。したがって、従来のRIE法では、十分に広いプロセスウィンドウを開くことが一層困難になる。図2Aは、リーンハロゲン化学物質を使用したときに金属モリブデン層に形成されるアンダカットまたは横方向のエッチの例を例示する。リーンハロゲン化学物質とは、相対的なハロゲン含有量が増加するため、除去が多くなり、不動態化が少なくなるガス状混合物を指す。図2Aに概略的に例示するように、側壁不動態化が不十分であるため、横方向のエッチングが過剰となっている。横方向のエッチングと狭い線幅tの組み合わせは、ラインブレーク欠陥を起こすことさえある。図2Bは、側壁に固体副生成物の保護層を堆積させることによって側壁不動態化を促進するようにエッチ化学物質を調節したとき、テーパ状の側壁プロファイルおよび底部フッティング欠陥が形成される異なる例を例示する。図2Bに例示する例では、フッティングは、ブリッジング欠陥を引き起こすほど深刻である。
【0023】
さらに、劣悪な側壁プロファイル制御が不十分であると、側壁に沿った表面の粗さが増加することに留意されたい。これは、リソグラフィプロセスによって導入されたパターン化されたエッチマスク122の線のLERを越えて、エッチングされたパターンの金属線のLERを悪化させる。線路抵抗は、線幅(W)に依存するため、LERが増加すると、抵抗率ρが固定であっても、短い金属線の抵抗の分散および平均値が増加する。NME、すなわちρ=ρ(W)では、線抵抗に対するLERの効果が悪化する。加えて、LERの高周波成分(すなわち約1nm以下のワイヤ長にわたる粗さ)は、反射角が入射角と等しい鏡面エッジ散乱とは対照的に、入射角と関係なくランダムな角度で電子を反射することにより、拡散エッジ散乱を増加させる。鏡面散乱は、電流の流れの方向に電子の運動量を保存するのに対して、拡散散乱は、運動量をランダム化し、それは、ρ(W)を増加させ、それにより不必要にNWEが増加する。以下に説明する本発明の実施形態は、側壁不動態化および材料除去を調節する際により大きい柔軟性を提供し、そのため、側壁プロファイルおよび側壁プロファイル制御が改善される。
【0024】
ガスパルス循環エッチ技術300を使用してプロセスフロー100を実施する一実施形態について、図3A図3Fを参照して説明する。図3Aは、ガスパルス循環エッチ技術300を要約するフローチャートを例示し、図3B図3Fは、ガスパルス循環エッチ技術300を使用して金属モリブデン層をパターニングする様々な中間段階における半導体デバイス320の様々な断面図を例示する。
【0025】
図3Aに例示するフローチャートのボックス302に指示され、図3Bの半導体デバイス320の断面図に示されるように、ガスパルス循環エッチ技術300は、図1Bを参照して上述した基板と同様の入来基板を受け入れる。基板は、下地層324を含み、下地層324の上に金属モリブデン層326が形成される。パターン化されたエッチマスク322が金属モリブデン層326の上に形成される。このパターンは、各凹状フィーチャの床部として金属モリブデン層326の露出面を有する凹状フィーチャ334を含む。一実施形態では、パターン化されたエッチマスク322は、パターン化されたフォトレジスト層330と、ハードマスク層328、例えばオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)ハードマスク層328とを含む。ハードマスク層328は、フォトレジスト層330をマスキング層として使用してパターン化される。他のいくつかの実施形態では、パターン化されたフォトレジスト層330は、ハードマスク層328をパターニングするプロセス中に除去されたため、入来基板上に存在しない場合がある。
【0026】
いくつかの実施形態では、ガスパルス循環エッチ技術300は、図3Cに例示する半導体デバイス320の断面図に見られるように、金属モリブデン層326の一部を異方性エッチングして凹状フィーチャ334を拡張し、拡張凹状フィーチャ336を形成する初期エッチングステップ(図3Aのボックス304)を含む。初期エッチステップ(ボックス304)が拡張凹状フィーチャ336の形成を完了した後、ガスパルス循環エッチ技術300におけるガスパルスサイクルを行うことができる。
【0027】
図3Aのフローチャートに例示するように、各ガスパルスサイクル312は、2つの部分を含む。第1の部分は、堆積ステップ(ボックス306および図3D)であり、第2の部分は、エッチステップ(ボックス310および図3F)である。ある実施形態では、ガスパルス循環エッチ技術300は、ボックス306の堆積ステップとボックス310のエッチステップとの間に挿入される任意選択のブレイクスルーエッチステップ(ボックス308および図3E)を有し、拡張凹状フィーチャ336の床部の上に堆積された材料の垂直下方にモリブデン表面を露出させることができる。
【0028】
ガスパルス循環エッチ技術300の堆積ステップ(図3A-ボックス306および図3D)中、基板は、プラズマ励起成膜ガスに曝露される。図3Dの半導体デバイス320の断面図に例示するように、プラズマ励起成膜ガスへの曝露により、凹状フィーチャ336の側壁および床部に沿ってエッチング保護層340が形成される。ガスパルス循環エッチ技術300のボックス306の堆積ステップに使用されるプラズマプロセスパラメータおよびガスのセットは、側壁保護のための不動態化固体副生成物を堆積させるために最適化することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、成膜ガスは、炭素原子とフッ素原子との比が1/4より大きく且つ1以下であるフルオロカーボン(C)またはハイドロフルオロカーボン(C)を含む。成膜ガスであり得るフルオロカーボンの非限定的な例としては、C、C、CおよびCが挙げられる。成膜ガスであり得るハイドロフルオロカーボンの非限定的な例としては、CHF、CHおよびCHFが挙げられる。成膜ガスに含まれ得る追加のガスは、H、Oおよび希釈不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウムまたは窒素)である。プラズマプロセスパラメータは、約30mTorr~約300mTorrのチャンバ圧力、約25MHz~約60MHzの周波数で約50W~約800WのRFソース電力および約0.1kHz~約100kHzの周波数で約0W(RFバイアスなし)~約100WのパルスRFバイアス電力を含む。基板温度は、約0℃~約60℃に制御される。これらの実施形態では、形成されたエッチング保護層340(図3Dに示す)は、C原子およびH原子を含む有機膜、例えばCHFプラズマ解離から生成される化学種の堆積から生じる有機膜である。
【0030】
他のある実施形態では、成膜ガスは、硫黄含有ガス、例えば二酸化硫黄(SO)、硫化カルボニル(COS)などを含む。様々な実施形態では、成膜ガスは、SOまたはCOS、すなわちSO若しくはCOSのいずれかのみまたはSOとCOSの両方を含む。成膜ガスに含まれ得る追加のガスは、H、Oおよび希釈不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウムまたは窒素)である。プラズマプロセスパラメータは、約30mTorr~約300mTorrのチャンバ圧力、約25MHz~約60MHzの周波数で約50W~約800WのRFソース電力および約0.1kHz~約100kHzの周波数で約0W(RFバイアスなし)~約100WのパルスRFバイアス電力を含む。基板温度は、約0℃~約60℃に制御される。この実施形態では、形成されたエッチング保護層340(図3Dに示す)は、SO/OまたはSO/Hプラズマ解離から生成される化学種の堆積から生じる、スルホン酸基および硫酸塩など、硫化物または高度に酸化された硫黄を含む基であり得る。
【0031】
様々な実施形態では、エッチング保護層340の堆積厚さは、材料の約1単層の厚さと約数単層の厚さとの間であり得る。換言すれば、厚さ範囲は、約0.3nm~約2nmであり得る。
【0032】
エッチステップ(図3A-ボックス310および図3F)中、基板は、プラズマ励起エッチングガスに曝露される。一般に、金属モリブデンを選択的に除去して凹状フィーチャを垂直方向に拡張するために、リーンハロゲン化学物質、塩素ベースまたはフッ素ベースの化学物質のいずれかが使用される。例えば、図3Fに例示するように、凹状フィーチャ336をさらに拡張して凹状フィーチャ342を形成する。エッチングガスであり得るフッ素を含むガスの非限定的な例としては、F、CF、NFおよびSFが挙げられる。エッチングガスであり得る塩素を含むガスの非限定的な例としては、Cl、CClおよびBClが挙げられる。いくつかの実施形態では、ガス状混合物は、酸素も含み得る。いくつかの実施形態では、ガス状混合物は、アルゴンなどの不活性ガスをさらに含み得る。金属モリブデンは、異方的に除去され、除去は、水平面の上から優先的に起こる。異方性は、基板に垂直バイアス信号を印加し、垂直側壁に不動態化エッチング保護層を堆積させることによって実現される。上記で解説したように、バイアスは、イオン(例えば、アルゴンイオン)を垂直方向に加速し、モリブデン原子と衝突する。この衝突により、凹状フィーチャ、例えば凹状フィーチャ342の底面におけるエッチ速度が高まる。RFバイアス信号は、DC、またはRF、またはパルスRF信号であり得る。いくつかの実施形態では、約0.1kHz~約100kHzの周波数で約300W~約1200WのパルスRFバイアス電力が使用され得る。他のプラズマプロセスパラメータは、約5mTorr~約100mTorrのチャンバ圧力および約25MHz~約60MHzの周波数で約100W~約800WのRFソース電力を含む。基板温度は、約0℃~約60℃に制御される。
【0033】
初期エッチステップ(ボックス304および図3C)は、ガスパルスサイクル312中に使用されるエッチステップ(ボックス310)のプロセスと同様のプロセスを使用して実行され得る。初期エッチステップは、例えば、Clなどの炭素を含まないプラズマ励起エッチングガスを使用する非堆積ステップである。
【0034】
図3Dの断面図に例示するように、拡張凹状フィーチャ336の床部は、エッチング保護層340を形成するために堆積された固体副生成物によって覆われる。図3A図3Fを参照して説明したガスパルス循環エッチ技術300の例示的実施形態では、任意選択のブレイクスルーエッチステップ(ボックス308および図3E)は、ボックス306の堆積ステップとボックス310のエッチステップとの間に挿入されて(図3Aのフローチャートを参照されたい)、凹状フィーチャ336の垂直下方にモリブデン表面を露出させる。
【0035】
図3Eでは、任意選択のブレイクスルーエッチステップ(ボックス308)が行われて、金属モリブデン層326の表面の一部が再び環境に曝露される。この例示的実施形態では、ボックス308のブレイクスルーエッチは、例えば、高エネルギーアルゴンイオンを使用するスパッタエッチプロセスである。一般に、イオンは、プラズマシース内の垂直電界によって加速され、それは、パルスRFバイアス信号などのバイアス信号を印加することによって増強され得る。ある実施形態では、約0.1kHz~約100kHzの周波数で約50W~約1200WのパルスRFバイアス電力が基板に印加され得る。
【0036】
例示的実施形態は、任意選択のブレイクスルーエッチステップ(ボックス308)を使用して、凹状フィーチャ336の底部で水平面の上に形成されたエッチング保護層340の部分を除去するが、他のある実施形態では、各ガスパルスサイクル312のボックス310のエッチステップのプラズマパラメータは、エッチング保護層340を突破するように調節され得る。例えば、水平面からエッチング保護層340を除去するのに役立つように、RFバイアス電力とともに酸素含有量を増加させ得る。エッチング保護層340内の有機ポリマーの一部は、酸素ラジカルによって酸化され得ることに留意されたい。したがって、酸素が側壁に沿った表面の一部からエッチング保護層340をアッシングし、その結果、側壁プロファイルの制御が失われるのを防ぐように注意しなければならない。凹状フィーチャ336の底部を覆うエッチング保護層340が除去されると、ボックス310のエッチステップは、凹状フィーチャ336をさらに下方に拡張して図3Fの凹状フィーチャ342を形成するように続行することができる。
【0037】
ガスパルス循環エッチ技術300の上記の説明では、各ガスパルスサイクル312の様々なステップ、すなわちボックス306の堆積ステップおよびボックス310のエッチステップは、時間的に区別可能である。2つのステップを時間的に分離することは、プロセスの不動態化部分および材料除去部分のプロセスパラメータを独立して最適化する利点を提供するだけでなく、エッチングされた金属モリブデン層の新しく形成された側壁部分を不動態化する新しいエッチング保護層を有し、それにより各サイクル中に改善された垂直エッチプロファイルを提供する利点も提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ガスパルスサイクル312の数は、プロセスレシピにおける所定の固定数であり得る。他のいくつかの実施形態では、処理は、下地層324が露出されたことを指示するエンドポイント信号が受信された後、プロセスコントローラによって終了され得る。いくつかの実施形態では、ガスパルス循環エッチ技術300が実行された後にオーバーエッチステップが行われ得る。
【0039】
プロセスフロー100を実施する別の実施形態では、堆積-エッチ循環エッチ技術が原子層堆積(ALD)プロセスを使用してエッチング保護層を形成する。ALDベースの循環エッチ技術400は、図4に例示するフローチャートに要約されている。ALDベースの循環エッチ技術400は、ガスパルス循環エッチ技術300と同様であるが、エッチング保護層を形成する方法が異なる。加えて、任意選択のブレイクスルーエッチステップは、ALDベースの循環エッチ技術400において任意選択ではない。これらの変更は、図4のフローチャートに太字で指示されている。
【0040】
エッチング保護層は、ALDベースの循環エッチ技術400の各堆積-エッチサイクル412の堆積ステップ(ボックス406)においてALD技術を使用して形成される。エッチング保護層は、ハロゲンラジカル(例えば、塩素ラジカルおよびフッ素ラジカル)を含有するプラズマに対して高いエッチ耐性を有する酸化物を含む薄い酸化物層である。一例では、酸化物層は、酸化シリコン(SiO)を含む。当業者に知られているように、ALD技術では、堆積反応が2つの自己制限的半反応として行われる。一例では、酸化シリコン層は、プラズマ励起の有無にかかわらず、基板をシリコン前駆体(例えば、SiClまたはSiF)に曝露し、続いて酸化剤(例えば、プラズマ励起酸素ガス)に曝露することによって堆積させることができる。
【0041】
エッチング保護層は、金属モリブデン層の水平面を含む、基板の露出面全体にわたってコンフォーマルに形成することができる。したがって、ブレイクスルーエッチステップ(ボックス408)は、任意選択のステップとすることができない。ALDベースの循環エッチ技術400の他のステップは、図3A図3Fを参照してガスパルス循環エッチ技術300に関連して上述した。
【0042】
上述した循環エッチ技術における堆積ステップおよびエッチステップは、別個の処理チャンバで行うこともできるが、そのようなプロセスは、時間がかかり、高価である。本開示の実施形態では、循環エッチ技術、すなわちガスパルス循環エッチ技術300およびALDベースの循環エッチ技術400は、プロセスフローに組み込まれた適切なチャンバ調整ステップを用いて単一の処理チャンバで行うことができる。
【0043】
図5は、(ガスパルス循環エッチ技術300の)ガスパルスサイクル312および(ALDベースの循環エッチ技術400の)堆積-エッチサイクル412などの循環エッチプロセスの1サイクル500のフローチャートを例示する。各サイクル500は、時間的に分離された堆積ステップ502およびエッチステップ508を有する。処理の変動を低減するために、堆積ステップ502およびエッチステップ508は、プロセスコントローラによって決定される電力安定化期間およびガス流安定化期間を含む。図5のフローチャートに例示するように、プロセスに誘発される変動をさらに低減するために、他のいくつかの措置を講じることができる。各堆積ステップ502を行った後にガスパージステップ504を行って、汚染物質およびガス状反応副生成物を完全に除去することができる。同じく、各エッチステップ508を行った後に別のガスパージステップ510を行うことができる。いくつかの実施形態では、エッチステップ508が行われるたびに処理チャンバの初期状態が同一であることを保証するために、エッチステップ508前にチャンバプレコートステップ506を行うことができる。チャンバプレコートステップは、処理チャンバの壁にコーティングを堆積させる。コーティングは、プラズマプロセスを使用して堆積されたシリコン、酸化物(例えば、酸化シリコン)または炭素を含み得る。チャンバプレコートステップ506は、チャック上への堆積を回避するためにチャック(基板ホルダ)を覆うウェーハを用いて行われる。例えば、チャンバプレコートステップ506前にチャック上にブランクウェーハを配置し得る。これらの追加の予防措置は、金属モリブデンを大量のIC製造に組み込むために必要な厳しいプロセス制御仕様を満たすのに役立つ。
【0044】
上記のように、不動態化部分を材料除去部分から分離することにより、金属モリブデンをパターニングするための循環エッチプロセスの説明した実施形態を使用することにより、いくつかの利点を得ることができる。その利点には、アンダカットの低減、低いLER、垂直なエッジプロファイル並びにエッチ速度およびエッチ選択性の良好な制御が含まれる。それでもなお、本開示で説明する方法は、堆積とエッチングとの間の部分的な時間的重複を可能にすることが理解される(ガスパルスサイクル312がボックス308の任意選択のブレイクスルーエッチステップを含む実施形態では、エッチングは、ボックス308のブレイクスルーエッチステップを指す)。
【0045】
ここで、本発明の例示的実施形態を要約する。他の実施形態も、本明細書の全体および本明細書で出願される特許請求の範囲から理解され得る。
【0046】
例1.基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、凹状フィーチャの側壁にエッチング保護層を形成するプラズマ励起成膜ガスに基板を曝露することと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含み、これらの曝露するステップは、交互に複数回行われる、基板処理方法。
【0047】
例2.プラズマ励起成膜ガスは、フルオロカーボン(C)またはハイドロフルオロカーボン(C)を含み、炭素原子とフッ素原子との比は、1/4より大きく且つ1以下である、例1に記載の方法。
【0048】
例3.プラズマ励起成膜ガスは、硫黄含有ガスを含む、例1または2のいずれか1つに記載の方法。
【0049】
例4.硫黄含有ガスは、SOまたはCOSガスを含む、例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0050】
例5.プラズマ励起エッチングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0051】
例6.ハロゲン含有ガスは、F、CF、NF、SF、Cl、CClまたはBClガスを含む、例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
例7.プラズマ励起エッチングガスは、酸素含有ガスをさらに含む、例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
例8.プラズマ励起エッチングガスは、アルゴンガスをさらに含む、例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0054】
例9.凹状フィーチャの底部でエッチング保護層を貫通してエッチングするブレイクスルーエッチングステップを行うことをさらに含む、例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0055】
例10.基板をプラズマ励起エッチングガスに曝露することは、基板にバイアス信号を印加することをさらに含む、例1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0056】
例11.基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、凹状フィーチャ内にエッチング保護層を堆積させることであって、エッチング保護層は、酸化物層を含む、堆積させることと、凹状フィーチャの底部でエッチング保護層を貫通してエッチングするブレイクスルーエッチングステップを行うことと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含む基板処理方法。
【0057】
例12.エッチング保護層を堆積させることは、基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に曝露して、酸化シリコン層を形成することを含む、例11に記載の方法。
【0058】
例13.エッチング保護層を堆積させることは、基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に交互に曝露して、酸化シリコン層を形成することを含む、例11または12のいずれか1つに記載の方法。
【0059】
例14.プラズマ励起エッチングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、例11~13のいずれか1つに記載の方法。
【0060】
例15.ハロゲン含有ガスは、F、CF、NF、SF、Cl、CClまたはBClガスを含む、例11~14のいずれか1つに記載の方法。
【0061】
例16.プラズマ励起エッチングガスは、酸素含有ガスをさらに含む、例11~15のいずれか1つに記載の方法。
【0062】
例17.基板処理方法であって、凹状フィーチャにおいて金属モリブデン層の上にエッチマスクを含む基板を提供することと、エッチマスクの側壁にエッチング保護層を堆積させることであって、エッチング保護層は、酸化物層を含む、堆積させることと、エッチマスクに従って金属モリブデン層をエッチングするプラズマ励起エッチングガスに基板を曝露することとを含み、堆積および曝露は、交互に複数回行われる、基板処理方法。
【0063】
例18.基板をプラズマ励起エッチングガスに曝露することは、基板にバイアス信号を印加することをさらに含む、例17に記載の方法。
【0064】
例19.エッチング保護層を堆積させることは、基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に曝露して、酸化シリコン層を形成することを含む、例17または18のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
例20.エッチング保護層を堆積させることは、基板をシリコン含有前駆体および酸化剤に交互に曝露して、酸化シリコン層を形成することを含む、例17~19のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
例21.プラズマ励起エッチングガスは、ハロゲン含有ガスを含む、例17~20のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
例22.ハロゲン含有ガスは、F、CF、NF、SF、Cl、CClまたはBClガスを含む、例17~21のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
例23.プラズマ励起エッチングガスは、酸素含有ガスをさらに含む、例17~22のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
例24.凹状フィーチャの底部でエッチング保護層を貫通してエッチングするブレイクスルーエッチングステップを行うことをさらに含む、例17~23のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
例25.堆積および曝露は、両方とも処理チャンバ内で行われ、方法は、堆積後且つ曝露前に、チャンバプレコートステップを行うことをさらに含み、チャンバプレコートステップは、処理チャンバの壁にコーティングを堆積させる、例17~24のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
本発明について、例示的な実施形態を参照して説明したが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図しない。例示的な実施形態の様々な修正形態および組み合わせ並びに本発明の他の実施形態は、本明細書を参照することで当業者に明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態または実施形態を包含することを意図する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
【国際調査報告】