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特表2024-542843毛髪特性を判断するための装置及びヘアブラシ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-15
(54)【発明の名称】毛髪特性を判断するための装置及びヘアブラシ
(51)【国際特許分類】
   A46B 15/00 20060101AFI20241108BHJP
【FI】
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024534182
(86)(22)【出願日】2022-12-06
(85)【翻訳文提出日】2024-07-02
(86)【国際出願番号】 EP2022084663
(87)【国際公開番号】W WO2023104831
(87)【国際公開日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/136335
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドーガン,ズーベイデ
(72)【発明者】
【氏名】シア,ジュン タオ
(72)【発明者】
【氏名】ファルコフスキー,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーヒェ,サッシャ
(72)【発明者】
【氏名】コールマン,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュンミン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウェイ シャン
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA11
3B202GA00
3B202GA07
(57)【要約】
本発明は、対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするための装置(120)に関し、装置は、複数のブラシ毛(111)を含むヘアブラシ(110)に組み込まれた1つ以上の振動センサー(112)によって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供するための振動測定値提供ユニット(121)を含む。振動測定は、ヘアブラシを使用して毛髪をブラッシングしている最中、振動センサーによって実施され、ブラッシング中のヘアブラシのブラシ毛の振動を示す。その後、毛髪特性決定ユニット(122)が、振動信号に基づいて、毛髪特性を決定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするための装置(120)であって:
複数のブラシ毛(111)を含むヘアブラシ(110)に組み込まれた1つ以上の振動センサー(112)によって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供するための振動測定値提供ユニット(121)であって、前記振動測定は、前記ヘアブラシ(110)を使用して前記毛髪をブラッシングしている最中に前記振動センサー(112)によって実施され、且つ前記ブラッシング中の前記ヘアブラシ(110)の前記ブラシ毛(111)の振動を示す、振動測定値提供ユニット(121)と、
前記振動信号に基づいて、毛髪特性を決定するための毛髪特性決定ユニット(122)と
を含む、装置(120)。
【請求項2】
前記決定された毛髪特性は毛髪の質を指す、請求項1に記載の装置(120)。
【請求項3】
前記毛髪特性決定ユニット(122)は、前記振動信号によって提供された前記ブラシ毛(111)の測定された加速度値に基づいて、前記毛髪特性を決定するように適合される、請求項1又は2に記載の装置(120)。
【請求項4】
前記毛髪特性決定ユニット(122)は、ブラッシングストロークの前記ブラシ毛(111)の前記加速度値の平均値を決定し、さらにそのブラッシングストロークの前記ブラシ毛(111)の前記平均加速度値からのブラッシングストロークの前記ブラシ毛(111)の前記加速度値の偏差を示す偏差値を決定し、及び前記偏差値に基づいて、前記毛髪特性を決定するように適合される、請求項3に記載の装置(120)。
【請求項5】
前記毛髪特性決定ユニット(122)は、前記振動測定によって提供される前記ブラシ毛の加速度値に経時的に第2積分を用い、及び結果として生じる第2積分信号に基づいて、前記毛髪特性を決定するように適合される、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項6】
前記特性決定ユニット(122)は、最大及び/又は最小の前記第2積分信号に関する前記第2積分信号のスパン幅を決定し、並びに前記決定されたスパン幅に基づいて、前記毛髪特性を決定するように適合される、請求項5に記載の装置(120)。
【請求項7】
前記装置(120)は、さらに、前記ヘアブラシ(110)に組み込まれた速度センサー(117)によって生成された速度信号を提供するための速度信号提供ユニットを含み、前記速度信号は前記ブラッシング速度を示し、及び前記毛髪特性決定ユニット(122)は、さらに前記速度信号に基づいて、前記毛髪特性を決定するように適合される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項8】
前記装置(120)は、さらに、前記ヘアブラシ(110)に組み込まれた回転センサー(118)によって生成された回転信号を提供するための回転信号提供ユニットを含み、前記回転信号は、前記ブラッシング中の前記ヘアブラシ(110)の回転度を示し、及び前記毛髪特性決定ユニット(122)は、さらに前記回転信号に基づいて、前記毛髪特性を決定するように適合される、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置(120)。
【請求項9】
対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするためのヘアブラシ(110)であって:
複数のブラシ毛(111)と、
前記ヘアブラシ(110)に組み込まれた1つ以上の振動センサー(112)であって、前記ヘアブラシ(110)の前記ブラシ毛(111)の振動を示す振動信号を測定する1つ以上の振動センサー(112)と
を含む、ヘアブラシ(110)。
【請求項10】
前記振動センサー(112)は、シリコンベースの接着剤(113)を用いて前記ヘアブラシ(110)の1本以上のブラシ毛(111)に前記1つ以上の振動センサー(112)を接着することによって、前記ヘアブラシ(110)に組み込まれる、請求項9に記載のヘアブラシ(110)。
【請求項11】
前記ヘアブラシ(110)は、さらに、前記ヘアブラシ(110)の速度を示す速度信号を測定するように適合された速度センサー(117)、及び/又は前記ヘアブラシ(110)の回転度を示す回転信号を測定するように適合された回転センサー(118)を含む、請求項9又は10に記載のヘアブラシ(110)。
【請求項12】
対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするためのヘアブラシシステム(100)であって:
請求項9~11のいずれか1項に記載のヘアブラシ(110)と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置(120)と
を含む、システム(100)。
【請求項13】
前記ヘアブラシシステム(100)は、さらに、ユーザインターフェースを含み、前記装置(120)は前記ユーザインターフェースに通信式に結合されて、前記毛髪特性決定の結果をユーザに提供する、請求項12に記載のヘアブラシシステム(100)。
【請求項14】
対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするための方法(200)であって:
複数のブラシ毛(111)を含むヘアブラシ(110)に組み込まれた1つ以上の振動センサー(112)によって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供すること(210)であって、前記振動測定は、前記ヘアブラシ(110)を使用して前記毛髪をブラッシングしている最中に前記振動センサー(112)によって実施され、前記ブラッシング中の前記ヘアブラシ(110)の前記ブラシ毛(111)の振動を示すことと、
前記振動信号に基づいて、毛髪特性を決定すること(220)と
を含む、方法(200)。
【請求項15】
毛髪特性にアクセスするためのコンピュータプログラム製品であって、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置に、請求項14に記載の方法を実行させるようにするためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者の毛髪にブラシをかけることによって毛髪特性を判断するための、装置、ヘアブラシ、装置とヘアブラシとを含むヘアブラシシステム、方法及びコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、追加的な機能性、特に、評価機能性を備えるケア製品を使用する傾向が高まっている。そのような追加的な機能性、すなわち、元の意図した機能性をしのぐ機能性を備えるデバイスは、「スマート」デバイスと呼ばれることが多い。これらのスマートデバイスの一部は、既に、個人の毛髪及び/又は頭皮の状態及び/又は改善を追跡することが可能である。しかしながら、既存のデバイスは、信頼性が高くなかったり又は効率的でなかったりすることが多い。さらに、家庭で使用できるデバイスはまた、それらが最終消費者によって直接簡単に使用できるようにするために、見てすぐ分かる必要がある。
【0003】
毛髪分析のために現在入手可能なデバイスは、多くの場合、美容師による使用のために明確に設計されている。家庭で使用するための他の入手可能なデバイスは、毛髪分析のために撮像技術を使用し、これは、応用が困難なことが多く、正しく応用されない場合、信頼性を欠く結果に至るだけでなく、かなり費用のかかる技術である。
【0004】
国際公開第2021/237236A1号パンフレットには、整髪事象中にヒトの毛髪との相互作用を測定するための、実行可能命令を記憶するプロセッサ可読記憶媒体と、プロセッサ可読記憶媒体と通信するプロセッサとを含む、整髪デバイス、システム及び方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、家庭、美容院、又は試験機関で使用可能なデバイスが、ユーザに提供されることができ、それにより、信頼性高く正確な毛髪の評価を可能にし、さらにユーザによって簡単に直接応用できれば、好都合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、信頼性高く正確な毛髪の評価を可能にし、ユーザによって毎日の日課において簡単に利用され得る、装置、ヘアブラシ、装置とヘアブラシとを含むシステム、方法及びコンピュータプログラム製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするための装置が提示され、ここで、装置は、a)複数のブラシ毛を含むヘアブラシに組み込まれた1つ以上の振動センサーによって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供するための振動測定値提供ユニットであって、振動測定が、ヘアブラシを使用して毛髪をブラッシングしている最中、振動センサーによって実施され、ブラッシング中のヘアブラシのブラシ毛の振動を示す、振動測定値提供ユニットと、b)振動信号に基づいて、毛髪特性を決定するための毛髪特性決定ユニットとを含む。
【0008】
本発明人らは、毛髪ダメージ、毛髪の太さ、又は髪質のような異なる毛髪特性が、毛髪をブラッシングしている最中のブラシ毛の異なる振動につながることを見出した。それゆえ、ブラッシング中のヘアブラシのブラシ毛の振動を示すヘアブラシに組み込まれた1つ以上の振動センサーによって実施される振動測定を利用することによって、毛髪特性は、振動信号に基づいて、非常に信頼性高く正確に決定され得る。さらに、通常の毎日の日課である通常の毛髪にブラシをかける最中に測定は実施されるため、ユーザにとって、これらの測定値を提供すること、それゆえ装置を利用することは非常に簡単である。それゆえ、装置、及びまた装置と測定値を提供し得る個々のヘアブラシとを含むシステムは、毛髪の状態の信頼性高く正確な決定を可能にし、さらにユーザの毎日の日課において簡単に利用できる。
【0009】
一般的に、装置は、任意の種類のコンピュータデバイスに提供される任意のハードウェア及び/又はソフトウェアの形で実現され得る。さらに、装置のユニットによってもたらされる機能はまた、2つ以上の汎用コンピュータデバイスに分散され得、例えば、ネットワークによって又はクラウドコンピューティングにおいて実行され得る。好ましくは、装置によってもたらされる機能は、スマートフォン、タブレットなどのようなコンピュータユーザデバイスのソフトウェア及び/又はハードウェアの一部として実現される。しかしながら、装置はまた、例えば、振動測定値を提供するヘアブラシの一部である専用のスタンドアロンデバイスとして実現され得、そのため、例えば、ヘアブラシのハンドル内に提供され得、毛髪特性決定の結果をユーザに出力するための出力デバイスに通信式に結合されるように適合され得る。そのため、そのような出力デバイスはまた、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどのようなユーザコンピュータデバイスを指すだけでなく、例えば、小型ディスプレイデバイスの形で、ヘアブラシの一部として提供され得る。
【0010】
一般的に、対象者は、毛髪を含む生物又は無生物を指し得る。生物の場合、対象者は人間を指すが、対象者はまた、犬や猫のような動物を指し得ることが好ましい。無生物の場合、対象者は髪の毛、かつら又は任意の他の形の毛髪代替品を指す。
【0011】
振動測定値提供ユニットは、振動信号を提供するように適合される。一般的に、振動測定値提供ユニットは、振動信号が既に記憶されている記憶ユニット指し得るか又はそれに通信式に結合され得る。しかしながら、振動測定値提供ユニットはまた、振動信号を提供する1つ以上の振動センサーと直接通信し得、そのため、振動信号を直接提供し得る。さらに、振動測定値提供ユニットはまた、例えば、振動信号が記憶される長期又は短期記憶装置から、又は直接1つ以上の振動センサーから、振動信号を受信するための受信ユニットとみなされ得る。
【0012】
振動信号は、1つ以上の振動センサーによって実施された振動測定の結果を示す。振動測定を実施する振動センサーは、複数のブラシ毛を含むヘアブラシに組み込まれ、毛髪をブラッシングしている最中、ヘアブラシの個々のブラシ毛の振動を測定するように適合される。それゆえ、毛髪をブラッシングしている最中振動センサーによって実施される振動測定は、ブラッシング中のヘアブラシのブラシ毛の振動を示す。一般的に、振動センサーは、ブラシ毛の振動として、ブラシ毛の個々の加速度を測定する加速度センサーを指し得る。例えば、振動は、異なる方向における繰り返しの加速度につながり、振動信号として振動センサーによって測定された加速度値は、ブラシ毛の振動を示す。それゆえ、好ましい実施形態において、振動信号は、測定された加速度値の時系列を指す。しかしながら、振動センサーはまた、ブラシ毛の振動の他の量、例えば、ブラシ毛の速度若しくは速度変化又はブラシ毛の位置若しくは位置変化を測定し得る。いくつかの実施形態において、速度又は位置測定はまた、例えば、速度又は位置信号から加速度値を導くことによって、ブラシ毛の加速度値を決定するのに利用され得る。それゆえ、下記で、好ましい実施形態において、加速度値が利用されるが、振動信号はまた、速度又は位置信号を指し得、そこから加速度値が導かれ得る。
【0013】
毛髪特性決定ユニットは、振動信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。毛髪特性は、毛髪の任意の特性、例えば、毛髪がくせ毛であるか又は直毛であるかどうか、毛髪の太さのような髪質、毛髪が人工的に着色、脱色又はスタイリングされたかどうか、毛髪が加熱又はUV光のような物理的処理を受けたかなどを指し得る。好ましくは、決定された毛髪特性は毛髪の質を指す。これに関連して、毛髪の質は、毛髪のダメージを示すと定義され得る。例えば、毛髪は、個々の毛髪の処理又は毛髪への環境の影響によって、ダメージを受け得、ここで、そのような毛髪ダメージの質の要因が定義され得る。例えば、毛髪ダメージの量、それゆえ毛髪の質は、2つ以上のカテゴリーに分類され得、それに対し、毛髪の個々の特性の異なる閾値が設定され得る。そのようなカテゴリーは、公知の質の毛髪に対する個々の実験的な測定値によって決定され得る。
【0014】
一実施形態において、毛髪特性決定ユニットは、測定された振動信号によって提供されるブラシ毛の加速度値に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。特に、振動センサーによって提供される加速度値の時系列の1つ以上が、毛髪特性決定ユニットによって利用され得る。一般的に、どのブラシ毛の加速度値が利用されるかは、どの毛髪特性が測定されるか次第とし得る。例えば、髪質が測定される場合、毛髪の質、すなわち毛髪ダメージが測定されるとき以外の加速度が利用され得る。例えば、毛髪特性は、特定のパターンの振幅の振動信号につながり得、この場合、ブラシ毛の測定された加速度値のように、最大及び最小の振幅の振動信号における加速度値が利用され得る。他の場合には、すなわち他の特性に対して、毛髪特性を決定するために平均値、絶対最大値などが利用され得、これらの他の場合、他の測定された加速度値が利用され得る。さらに、特定のパターン又は他の信号特性を決定する前に、振動信号も準備され得る。例えば、振動信号からノイズ又は予め決められた周波数範囲を除去するためにフィルターが利用され得る。特に、毛髪特性決定の結果は、信号準備中に極端なデータ点、すなわち予め決められた最大及び最小閾値外にあるデータ点を除去することによって、改善され得る。どの加速度値が利用され得るかは、個々の公知の特性を備える毛髪のブラシ毛の振動の一連の測定を実施することによって、簡単に決定され得る。
【0015】
好ましい実施形態において、毛髪特性決定ユニットは、ブラッシングストロークのブラシ毛の加速度値の平均値を決定し、さらにそのブラッシングストロークのブラシ毛の平均加速度値からのブラッシングストロークのブラシ毛の加速度値の偏差を示す偏差値を決定し、及び偏差値に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。特に、1回のブラッシングストロークのブラシ毛の加速度値の平均値を決定するために、1回のブラッシングストロークの振動信号に属する全ての加速度値が利用され得る。好ましくは、平均値は、1回のブラッシングストロークに対して決定されるが、いくつかの実施形態において、また、2回以上のブラッシングストロークを平均することによって平均値を決定することが好都合とし得る。例えば、測定された振動信号が、何らかの理由で、特に変動する場合、2回以上のブラッシングストロークを平均することによって、より高い精度を可能にし得る。そのように決定された平均値に基づいて、偏差値は決定され得る。特に、平均加速度値からのブラッシングストロークのブラシ毛の加速度値の偏差が決定され得る。例えば、平均加速度値からの、振動信号によって提供される全加速度値の偏差が、決定され得る。しかしながら、振動信号によって提供される加速度値のサブセットも、偏差を決定するために利用され得る。サブセットは、例えば、任意のサブセット、例えば、3つおきの加速度値、又は選択したサブセット、例えば、ブラシ毛の個々の振動振幅の最大及び最小における加速度値を指し得る。その後、そのように決定された偏差は、偏差値を決定するために利用され得る。例えば、決定された偏差は平均され得、平均値は偏差値であると決定され得る。しかしながら、また、偏差値として最大偏差が利用され得る。特に、本発明人らは、そのような偏差値は、特に毛髪の質を示すため、好ましくは毛髪の質を決定するために利用され得ることを見出した。
【0016】
別の好ましい実施形態において、毛髪特性決定ユニットは、振動測定によって提供されるブラシ毛の加速度値に、経時的に第2積分を用い、結果として生じる第2積分信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。経時的な第2積分は、例えば、経時的に振動信号を積分し、その後、再度、経時的なこの積分の結果を積分することによって、加速度値を積分することを指す。結果として生じる第2積分信号はまた、ブラッシング中のブラシ毛の変位を示す変位信号を指すとみなされ得る。本発明人らによって、毛髪特性に基づいて、ブラッシングストローク中のブラシ毛の変位は異なることが見出されている。特に、毛髪の質を決定するために、個々の第2積分信号は好適である。好ましくは、特性決定ユニットは、最大及び/又は最小の第2積分信号に関して、第2積分信号のスパン幅を決定し、及び決定されたスパン幅に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。これに関連して、スパン幅は、最大/最小の最高/最低値と直前又は直後の最小/最大値の最低/最高値との差であると決定される。しかしながら、毛髪特性決定ユニットはまた、振動信号の代替的な又は追加的な特性を利用するように適合され得る。例えば、振動信号の振幅の数又は幅が、個々の毛髪特性を示し得る。
【0017】
ある実施形態において、装置は、さらに、ヘアブラシに組み込まれた速度センサーによって生成された速度信号を提供するための速度信号提供ユニットを含み、ここで、速度信号はブラッシング速度を示し、及び毛髪特性決定ユニットは、さらに速度信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。振動信号に加えて速度信号を提供することによって、さらなる情報を提供できるようにする。特に、振動センサーによって測定された振動信号は、毛髪がブラシをかけられる速度次第とし得る。従って、毛髪特性の決定中に速度信号が利用され得る。例えば、毛髪特性を決定するために、2回以上のブラッシングストロークの振動信号が、例えば、異なるブラッシングストロークの個々の値を平均することによって、利用される場合、個々の振動信号に重み付けするために速度信号が利用され得るか、又は予め決められた速度範囲内にある速度を含むブラッシングストロークからの振動信号のみを利用する。さらに、いくつかの毛髪特性に関し、振動信号の特性は、ブラッシング速度次第とし得る。それゆえ、また、個々の毛髪特性を決定するために、例えば、振動信号特性及び速度に依存して個々の毛髪特性を決定することによって、特に振動信号特性が速度次第である場合、速度信号が直接利用され得る。さらに、毛髪特性決定ユニットは、さらに、毛髪特性の測定又は決定を制御するための制御信号として速度信号を利用するように適合され得る。例えば、ヘアブラシを用いて実施されたジェスチャーを速度信号から導き出すために、ジェスチャー認識アルゴリズムが使用され得る。そのため、震えるジェスチャーのようなそのようなジェスチャーが、毛髪特性決定の個々の制御に関連付けられ得、例えば、測定を開始又は停止などし得る。
【0018】
ある実施形態において、装置は、さらに、ヘアブラシに組み込まれた回転センサーによって生成された回転信号を提供するための回転信号提供ユニットを含み、ここで、回転信号は、ブラッシング中のヘアブラシの回転度を示し、毛髪特性決定ユニットは、さらに回転信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。一般的に、振動信号はまた、ブラッシング中のヘアブラシの回転度次第とし得、例えば、ブラシ毛とブラシをかけられた毛髪との間の角度は、ブラシ毛の振動に影響を及ぼし得る。そのような依存関係が、毛髪特性の決定の最中、回転信号に基づいて、考慮され得る。さらに、また、速度信号に関して上述したような方法で、毛髪に対するヘアブラシの回転度が利用され得る。例えば、2回以上のブラッシングストロークが、毛髪特性を決定するために利用される場合、ブラッシングストローク中のヘアブラシの回転度が、異なるブラッシングストロークの振動信号の平均プロセス中に考慮され得る。例えば、毛髪特性を決定するために、毛髪特性決定ユニットは、予め決められた回転度範囲内にあること又は異なる回転度のブラッシングストロークからの振動信号に重み付けが用いられ得ることを回転信号が示すブラッシングストロークのみを利用するように適合され得る。さらに、個々の毛髪特性を決定するために、例えば、振動信号特性及び回転度に依存して個々の毛髪特性を決定することによって、特に振動信号特性が回転度次第である場合、回転度が直接利用され得る。
【0019】
ある実施形態において、装置は、さらに、ヘアブラシに組み込まれた音響センサーによって生成された音響信号を提供するための音響信号提供ユニットを含み、ここで、音響信号は、毛髪をブラッシングしている間に生成される音を示し、毛髪特性決定ユニットは、さらに音響信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。音響センサーは、例えば、マイクロホン又は他の音検出センサーとし得る。特に、毛髪特性決定ユニットは、ユーザの毛髪特性を示すスペクトル音変化を評価するように適合され得る。例えば、音信号の追加的な使用は、例えば、毛髪処理製品を用いた毛髪の処理ゆえの毛髪の質の変化をさらに正確に決定することを可能にする。
【0020】
ある実施形態において、装置は、さらに、ヘアブラシに組み込まれた画像センサーによって生成された画像信号を提供するための画像信号提供ユニットを含み、ここで、画像信号は、毛髪をブラッシングしている間のユーザの毛髪及び/又は頭皮の画像を提供し、毛髪特性決定ユニットは、さらに画像信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。画像センサーは、例えば、カメラ又は任意の他の光検出センサーとし得る。好ましくは、画像センサーは、波長160nmのUV光から波長20μmの赤外光に及ぶ光を検出するように構成される。特に、毛髪特性決定ユニットは、ユーザの毛髪特性及び/又は頭皮特性を決定するために、追加的な振動信号又は振動信号と組み合わせて、画像信号を利用するように適合され得る。
【0021】
ある実施形態において、装置は、さらに、ヘアブラシに組み込まれた力センサーによって生成された力信号を提供する力信号提供ユニットを含み、ここで、力信号は、ブラッシングの最中のヘアブラシ及び/又はヘアブラシの1本以上のブラシ毛の間に作用する力を示し、毛髪特性決定ユニットは、さらに力信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。力センサーは、例えば、加速度センサー、圧力センサー、又は毛髪とブラシ及び/又は1本以上のブラシ毛との間に作用する力を導き出すために利用され得る任意の他のセンサーとし得る。特に、毛髪特性決定ユニットは、ユーザの毛髪特性、例えば、毛髪の処理に起因する空気特性の変化を決定するために、追加的な振動信号又は振動信号と組み合わせて力信号を利用するように適合され得る。
【0022】
ある実施形態において、装置は、さらに、ヘアブラシに組み込まれた湿度センサーによって生成された湿度信号を提供する湿度信号提供ユニットを含み、ここで、湿度信号は、ブラッシングの最中のユーザの毛髪及び/又は頭皮及び/又は外気の湿度を示し、毛髪特性決定ユニットは、さらに湿度信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。湿度センサーは、センサーの環境中の水分を決定できる任意のセンサーとして実現され得る。特に、毛髪特性決定ユニットは、ユーザの毛髪特性を決定するために、追加的な振動信号又は振動信号と組み合わせて湿度信号を用いるように適合され得る。外部湿度は毛髪特性に影響を及ぼし得るため、ユーザを取り囲む空気の外部湿度を測定することは、毛髪の質を判断するときに、湿度の影響を考慮できるようにする。さらに、ユーザの毛髪や頭皮の水分も、毛髪特性に影響を与え得る、例えば、湿った毛髪は、乾いた毛髪とは非常に異なるコーミング特性を有する。それゆえ、また、この影響が考慮され得る。場合によっては、装置は、さらに、毛髪及び/又は頭皮の測定湿度に基づいて、毛髪が湿っているか又は乾いているせいで判断が不可能であることをユーザに通知するように適合され得る。
【0023】
一般的に、上述の全ての追加的な信号、すなわち速度信号、回転信号、湿度信号、力信号、画像信号及び音響信号はまた、ユーザの毛髪特性を決定するために、振動信号との任意の組み合わせで利用され得る。特に、追加的な全てのセンサーが提供され得、毛髪特性決定ユニットは、どの場合にどの信号の組み合わせが毛髪特性を決定するために利用されるべきかを示す、予め決められた規則を利用するように適合され得る。例えば、湿度信号が湿った毛髪を示す場合、規則は、湿った毛髪の毛髪特性を決定するために、正確な結果を得るために振動信号と音響信号の組み合わせが利用され得ることを決定し得るが、乾いている毛髪のために、さらに、力信号も考慮され得る。本発明のさらなる態様において、対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするためのヘアブラシが提示され、ここで、ヘアブラシは、a)複数のブラシ毛と、b)ヘアブラシに組み込まれた1つ以上の振動センサーであって、ヘアブラシのブラシ毛の振動を示す振動信号を測定する1つ以上の振動センサーとを含む。
【0024】
一般的に、ヘアブラシは、対象者の毛髪にブラシをかけるための、複数のブラシ毛を含むヘアブラシの任意の公知の構成を指し得る。例えば、ブラシ毛は、金属又は合成材料で作製され得る。また、ブラシ毛の基部として、木材のような天然材料が使用され得る。さらに、ブラシは、異なる形及び機能を有し得る。振動センサーは、任意の公知の方法によってヘアブラシに組み込まれ得る。特に、振動センサーは、ヘアブラシのブラシ毛の振動を示す振動信号を測定できるように、組み込まれる。それゆえ、振動センサーは、ヘアブラシのブラシ毛と直接又は間接的に接触するように、組み込まれる。直接的な接触は、例えば、振動センサーが、例えば、測定面においてブラシ毛と直接接触するようにヘアブラシに組み込まれる場合、もたらされ得る。これに関連して、間接的に接触は、振動センサーとブラシ毛との間にさらなる材料が提供される接触を指し、ここで、追加的な材料は、ブラシ毛の振動を振動センサーへ伝えることができる。一般的に、振動センサーは、1本のブラシ毛の振動を主に測定するように、組み込まれ得る。しかしながら、振動センサーはまた、複数のブラシ毛、例えば、ブラシの全ブラシ毛の予め決められたサブセットの振動を測定するように、組み込まれ得る。好ましくは、少なくとも2つの振動センサーが、ヘアブラシに提供されて組み込まれるが、また、1つの振動センサーのみが、ヘアブラシのブラシ毛の振動信号を測定しながら、好適な測定精度を可能にする。好ましい実施形態において、1つの振動センサーは、振動センサーをブラシ毛支持構造、例えば、膜の中心に配置することによって、ヘアブラシに組み込まれて、ブラシ毛支持構造の中心に又はその周りに配置された1本以上のブラシ毛の振動を測定するようにする。
【0025】
好ましくは、振動センサーは、シリコンベースの接着剤を用いて1つ以上の振動センサーをヘアブラシの1本以上のブラシ毛に接着することによって、ヘアブラシに組み込まれる。シリコンベースの接着剤を用いて振動センサーをヘアブラシのブラシ毛に接着することには、シリコンベースの接着剤がブラシ毛の振動を振動センサーへ良好に伝えることができるという、利点がある。さらに、シリコン接着剤はまた、ブラシ毛の支持構造、例えば、膜に対して1つ以上の振動センサーを一定距離に配置することができるレベリング剤として機能し得る。しかしながら、また、好ましくはエチレン酢酸ビニルベース上に熱可塑性グルーが利用され得、同様の利点をもたらす。さらに、上記の好ましい接着剤には、良好な寿命、水や水分及びUV光に対する抵抗性をもたらし、さらに、脆すぎないため、それらが、特に、ヘアブラシが予期した環境において使用されるのに好適であるという、利点がある。
【0026】
振動センサーは、振動を測定することができる任意の種類のセンサーを指し得る。好ましくは、振動センサーは、ブラシ毛の加速度値の形のブラシ毛の振動を測定する加速度センサーを指す。例えば、加速度センサーは、圧電セラミック又は水晶振動センサーを指し得る。しかしながら、振動センサーは速度又は位置センサーを指し得、ここで、速度センサーは、この場合、ブラシ毛の変化する速度を測定することによって、振動を測定するように適合され得、位置センサーは、ブラシ毛が振動している最中の、ブラシ毛の変化する位置を測定することによって、振動を測定するように適合される。
【0027】
好ましい実施形態において、ヘアブラシは、さらに、ヘアブラシの速度を示す速度信号を測定するように適合された速度センサー、及び/又はヘアブラシの回転度を示す回転信号を測定するように適合された回転センサーを含む。1つ以上の速度センサー及び/又は1つ以上の回転センサーをヘアブラシに組み込むことによって、ヘアブラシを使用して毛髪特性を決定するときが考慮され得るヘアブラシの動きに関するさらなるデータを提供できるようにする。毛髪特性を決定するときに、どのように追加的な速度信号及び回転信号が利用され得るかのいくつかの原理が、既に上記で与えられている。一般的に、速度及び/又は回転センサーは、複数の方法でヘアブラシに組み込まれ得、例えば、それらは、ヘアブラシのハンドルに組み込まれ得るか、又はブラシ毛を含まないヘアブラシの後面に取り付けられ得る。速度センサー及び/又は回転センサーは、好ましくは、ヘアブラシに良好に接触して、全体的にヘアブラシの動きを辿るため、ヘアブラシの速度及びヘアブラシの回転度を測定するように、提供される。それに加えて又はその代わりに、さらなるセンサー、特に、ブラッシングの最中に生成された音を測定するように適合された音響センサー、ブラッシングの最中、ユーザの毛髪及び/又は頭皮を撮像するように適合された画像センサー、毛髪とブラシ及び/又はブラシの1本以上のブラシ毛との間の力を測定するように適合された力センサー、及び/又はブラッシングの最中の毛髪、頭皮及び/又は外気の水分を測定するように適合された湿度センサーが、ブラシに組み込まれ得る。また、これらのセンサーは、センサーが個々の測定を行うことができる任意の技術的に理にかなった方法でブラシに組み込まれ得る。例えば、画像センサーは、ブラッシング中に撮像されるように、ブラシのハンドル、側面又は前部に組み込まれ得る。
【0028】
ある実施形態においてブラシは、さらに、3軸ジャイロスコープを含み得、ここで、ブラシは、ジャイロスコープの信号を用いて制御可能であるように構成され得る。例えば、ジャイロスコープ信号は、ブラシを保持している間に取られるユーザのジェスチャーを示し得、ブラシは、これらの信号に基づいて、ブラシを制御するように構成されたコントローラを含み得る。
【0029】
ある実施形態において、ヘアブラシは、ユーザとインターフェースを取るためのユーザインターフェースを含み得る。ユーザインターフェースは、ユーザに情報を提供することができる任意の方法で実現され得る。例えば、ユーザインターフェースは、例えば振動を利用して触覚フィードバック、例えば音を使用して音声フィードバック、又は例えば点滅及び/又は色付きLEDを利用して視覚フィードバックを提供するように構成され得る。インターフェースを介してユーザに提供される情報は、ブラシを使用するときのユーザに関連する任意の情報を指し得る。例えば、情報は、ユーザが急ぎすぎる場合を示す、測定の開始又は停止を示す、又は首尾よい測定を示すような情報を制御し得る。情報はまた、例えば、決定された毛髪の質に対する測定の結果を指し得る。
【0030】
本発明のさらなる態様において、対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするためのヘアブラシシステムが提示され、ここで、システムは、a)上述のようなヘアブラシと、b)上述のような装置とを含む。
【0031】
ある実施形態において、ヘアブラシシステムは、さらに、ユーザインターフェースを含み、ここで、装置はユーザインターフェースに通信式に結合されて、ユーザに毛髪特性決定の結果を提供する。ユーザインターフェースは、複数の異なる方法で提供され得る。例えば、ユーザインターフェースは、ユーザのコンピュータデバイス、例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータなど上にソフトウェアアプリケーションの一部として提供され得る。この場合、装置は、個々のコンピュータデバイスに通信式に結合されるように適合される。さらに、装置は、それ自体が、ユーザの個々のコンピュータデバイスの一部とし得る。しかしながら、ユーザインターフェースはまた、ヘアブラシの一部として実現され得る。例えば、小型ディスプレイがヘアブラシのハンドルに組み込まれ得、それにより、毛髪特性をユーザに示すことができる。この場合、装置はヘアブラシに通信式に結合されて、毛髪分析の結果がヘアブラシ上のユーザインターフェースに提供され得るようにする。しかしながら、装置自体もヘアブラシの一部とし得、例えば、コンピュータデバイスをヘアブラシのハンドルに提供することによって、例えば、専用のハードウェア及び/又はソフトウェアとしてヘアブラシに組み込まれ得る。さらに、ユーザインターフェースはまた、ローディング又はそうでなければブラシとの相互作用、例えば、ブラシの保持に用いられるローディング及び/又は汎用ベースステーションに組み込まれ得る。一般的に、ユーザインターフェースは、必ずしも、ユーザに視覚信号を提供する視覚ユーザインターフェースを指す必要はない。特に、ユーザインターフェースはまた、スピーチ信号、ビープ音、メロディー、又は他の信号のような音声信号をユーザに提供するユーザインターフェースを指し得る。さらに、ユーザインターフェースはまた、例えば、ユーザに異なる色の灯を提供できるLED光のような灯のみを含む非常に単純なユーザインターフェースとし得、ここで、ユーザインターフェースによって提供される灯の色は、決定された毛髪特性次第である。例えば、毛髪の質が決定される場合、そのような灯は、毛髪の質が正常標準内である場合、緑色の灯を提供でき、毛髪の質が通常健康的であるとみなされる毛髪から逸脱する場合、黄色の灯、及び毛髪が、正常標準によればひどくダメージを受けているとみなされる場合、赤色の灯を提供する。
【0032】
本発明のさらなる態様において、対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするための方法が提示され、ここで、方法は、a)複数のブラシ毛を含むヘアブラシに組み込まれた1つ以上の振動センサーによって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供することであって、振動測定は、ヘアブラシを使用して毛髪をブラッシングしている最中、振動センサーによって実施され、ブラッシング中のヘアブラシのブラシ毛の振動を示すことと、b)振動信号に基づいて、毛髪特性を決定することとを含む。
【0033】
本発明のさらなる態様において、毛髪特性にアクセスするためのコンピュータプログラム製品が提示され、ここで、コンピュータプログラム製品は、上述のような装置に上述のような方法を実行させるためのプログラムコード手段を含む。
【0034】
上述の装置、上述のヘアブラシ、上述のシステム、上述の方法及び上述のコンピュータプログラム製品は、特に従属請求項に定義されるような類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0035】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上述の実施形態と各々の独立請求項との任意の組み合わせとし得ることを理解されたい。
【0036】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記述する実施形態から明らかになり、且つそれらを参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】対象者の毛髪にブラシをかけることによって毛髪特性を判断するためのシステムを概略的に例示的に示す。
図2】対象者の毛髪にブラシをかけることによって毛髪特性を判断するための方法のフローチャートを概略的に例示的に示す。
図3A-3B】毛髪特性を判断するためのシステムを利用する、毛髪特性を決定する実験結果を示す。
図4A-4B】毛髪特性を判断するためのシステムを利用する、毛髪特性を決定する実験結果を示す。
図4C】毛髪特性を判断するためのシステムを利用する、毛髪特性を決定する実験結果を示す。
図5A-5B】毛髪特性を判断するためのシステムを利用する、毛髪特性を決定する実験結果を示す。
図5C】毛髪特性を判断するためのシステムを利用する、毛髪特性を決定する実験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、対象者の毛髪にブラシをかけることによって毛髪特性を判断するためのシステム100の一実施形態を概略的に例示的に示す。システム100は、対象者の毛髪にブラシをかけるヘアブラシ110と、ブラシをかけられている髪の毛髪特性を判断するための装置120とを含む。好ましい実施形態において、装置120は、スマートフォンのようなコンピュータユーザデバイス130と通信でコンタクトを取るか又はそれにハードウェア及び/又はソフトウェアの一部として組み込まれる。しかしながら、他の実施形態において、装置120はまた、毛髪の質を決定するために特別に使用可能なスタンドアロンデバイスとし得る。さらに、装置120はまた、ヘアブラシ110に、例えば、ヘアブラシ110のハンドルに組み込まれ得る。
【0039】
ヘアブラシ110は、一般的に公知のヘアブラシを指し、標準的なヘアブラシ本体115と、複数のブラシ毛111とを含む。ブラシ毛111は、ヘアブラシ110の可撓性部分116に取り付けられ得るか、又はヘアブラシ110に直接取り付けられ得る。また、ブラシ毛111は、任意の公知の方法によってヘアブラシ110の主本体に取り付けられる標準的な金属又は合成ブラシ毛を指し得る。例えば、図1に示す実施形態において、ブラシ毛111は、ここでは可撓性部分116、例えば可撓性膜として実現されるブラシ毛支持構造を介して、ヘアブラシ110の主本体115に取り付けられる。さらに、ヘアブラシ110は、ヘアブラシ110に組み込まれる1つ以上の振動センサー112を含む。図1に示す例において、2つの振動センサー112がヘアブラシ110に組み込まれている。しかしながら、1つのセンサーのみがヘアブラシ110に組み込まれることも、又は3つ以上のセンサーがヘアブラシ110に組み込まれることもできる。振動センサー112は、振動センサーをヘアブラシ110のブラシ毛111に接着することによって、ヘアブラシ110に組み込まれる。好ましくは、ブラシ毛111に振動センサー112を接着するための接着剤113、特にシリコーンベースの接着剤が用いられる。しかしながら、また、振動センサーを1本以上のブラシ毛111に接着するか又は取り付けるための他の方法が用いられ得て、振動センサー112がブラシ毛111の振動を測定できるようにする。図1に示す例において、用いられる接着剤113は、振動センサー112が2本以上のブラシ毛111、特に、接着剤113によって振動センサー112に接続される全ブラシ毛の振動を測定できるようにする。2本以上のブラシ毛111の振動を測定できるように振動センサー112を配置することによって、一般的により正確な振動信号を測定できるようにし、且つ振動測定値信号の例外的な外れ値及び他の異常を減らすことができる。しかしながら、同様に下記に示すように、また、各振動センサー112が1本のブラシ毛111の振動のみを測定できるように1つ以上の振動センサー112を組み込むことによって、毛髪特性を決定するのに好適な精度を可能にする。一般的に、振動センサー112は、ブラシ毛111の振動を測定できる、すなわち対象者の毛髪でのブラッシングストローク中のブラシ毛111の前後の動きを示す測定信号を提供できる任意の種類のセンサーを指し得る。しかしながら、好ましくは、振動センサー112は、ブラシ毛111の振動運動の加速度を測定する加速度センサーを指す。他の実施形態において、振動センサー112はまた、毛髪をブラッシングしている最中のブラシ毛111の速度を測定する速度センサー、又はブラシ毛111の位置若しくは位置の変化を測定する位置センサーとし得る。
【0040】
好ましいが任意選択的な実施形態において、ヘアブラシ110は、さらに、速度センサー117及び/又は回転センサー118を含み得る。速度センサー117は、好ましくは、ヘアブラシ110に組み込まれて、ブラッシング中のヘアブラシの全体的な速度を測定できるようにする。回転センサー118は、好ましくは、ヘアブラシ110に組み込まれて、ヘアブラシの全体的な回転、特に回転度を測定できるようにする。一般的に、上述の全てのセンサー、すなわち振動センサー112、速度センサー117及び回転センサー118は、個々の測定量の絶対値又は相対値のいずれか、それゆえ個々の測定量の変化を測定するように、適合され得る。また、それに加えて又はその代わりに、音響センサー、画像センサー、湿度センサー、及び/又は力センサーのようなさらなるセンサーが、ヘアブラシ110に組み込まれ得る。
【0041】
さらに、上述のセンサーは、一般的に、無線通信信号114及び123によって示すように、装置120に通信式に結合される。一般的に、センサー112、117、118と装置120との間の通信式な結合の実現は、装置120の個々の実現次第とし得る。例えば、装置120がヘアブラシ110のハンドルに組み込まれる場合、通信式な結合は、個々の信号ケーブルによってもたらされ得る。しかしながら、装置120がスタンドアロンデバイスとして実現されるか、又はユーザのコンピュータデバイスの一部である場合、通信式な結合は、任意の公知の無線通信規格を用いる無線通信信号の形で実現され得る。特に、この場合、専用の通信ユニット(図1には示さず)がヘアブラシ110の一部として提供され得、そこに、例えば、通信信号線を用いて、センサーが通信式に結合され、ここで、そのため、通信ユニットは、個々の公知の無線通信技術を介してセンサーの測定信号を装置120へ転送するように適合される。
【0042】
装置120は、振動測定値提供ユニット121及び毛髪特性決定ユニット122を含む。振動測定値提供ユニット121は、1つ以上の振動センサー112によって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供するように適合される。例えば、振動測定値提供ユニット121は、振動センサー112によって測定された振動信号を直接受信して受信振動信号を提供する受信ユニットとして適合され得る。しかしながら、振動センサー112によって測定された振動信号はまた、記憶ユニット、例えば、クラウドストレージに提供され得、この場合、振動測定値提供ユニット121は、それぞれの記憶ユニットにアクセスし且つ記憶された振動信号を毛髪特性決定ユニット122に提供するように適合される。一般的に、振動信号は、対象者の毛髪をブラッシングしている最中のヘアブラシ110のブラシ毛111の振動を示す。
【0043】
そのため、毛髪特性決定ユニット122は、個々の振動信号に基づいて、毛髪特性を決定するように適合される。本発明人らによって、特に、ヘアブラシ110のブラシ毛111の振動信号が、複数の毛髪特性、例えば、髪質、過去にどのように毛髪が処理されたか、特に、毛髪の質、すなわち毛髪がダメージを受けているかどうか及びどのようなダメージを受けているかを決定するのに好適であることが見出されている。特に、毛髪特性決定ユニット122は、個々の毛髪特性に関連付けられる振動信号の特性を利用するように適合され得る。例えば、下記に示すように、平均信号値からの標準偏差のような信号の特性、又は振動信号の第2積分のスパン幅は、毛髪特性、特に毛髪の質及び毛髪の繊細さ(subtleness)と直接関連付けられ得る。
【0044】
さらに、好ましい実施形態において、毛髪特性決定ユニット122はまた、毛髪特性を決定するために、速度センサー117によってもたらされた速度測定の結果、及び回転センサー118によってもたらされた回転測定の結果を用い得る。特に、これらの追加的な信号は、毛髪特性の決定の精度をさらに高めるために用いられ得る。例えば、速度センサー117によってもたらされた速度信号に基づいて、毛髪ストロークの始まりと終わりは簡単に決定され得、異なる毛髪ストロークの速度が比較され得る。これは、例えば、予め決められた類似範囲内でヘアブラシ110の速度によって実施されるブラッシングストロークからくる振動信号のみを利用できるようにする。従って、ヘアブラシのブラシ毛のそれぞれの大きく偏差する振動につながる、大きく偏差する速度によって実施されるブラッシングストロークを比較することが回避され得る。さらに、また、ヘアブラシとブラッシングが行われる毛髪との間の角度は、ブラシ毛の個々の振動に影響を及ぼし得る。それゆえ、毛髪特性決定の最中に回転センサー118によってもたらされる回転度を考慮することはまた、毛髪特性の決定に最適であることが示されているヘアブラシ110の予め決められた回転度内のブラッシングストロークの振動信号のみを利用することができるようにする。また、他の潜在的な追加的なセンサーの信号は、毛髪特性の測定を改善するために、毛髪特性決定ユニット122によって、例えば、空気特性を決定するためにどのように及びいつ個々の信号を組み合わせるかに関して予め決められた規則を利用することによって、利用され得る。
【0045】
そのため、毛髪特性決定の個々の結果、すなわち個々の毛髪の質のような個々の毛髪特性は、ユーザデバイス130に提供され得、例えば、ディスプレイ131上に表示され得る。好ましい実施形態において、結果は、毛髪の質のスコアを指し、例えば、ユーザデバイス130上の個々のアプリを利用することによって、ユーザデバイス130のディスプレイ131上に提示される。しかしながら、結果はまた、例えば、ヘアブラシ110の一部として設けられる灯や小さいディスプレイによって、又はユーザデバイス130に設けられ得る若しくは同様にヘアブラシ110に設けられ得るスピーカーへのビープ音や声のような音声信号によって、他の形でユーザに提供され得る。さらに、ユーザへの結果のような情報はまた、ヘアブラシのローディング及び/又はベースステーションを介してユーザに提供され得る。
【0046】
図2は、対象者の毛髪にブラシをかける毛髪特性を判断するための方法のフローチャートを概略的に例示的に示す。方法200は、複数のブラシ毛を含むヘアブラシに組み込まれた1つ以上の振動センサーによって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供する第1のステップ210を含む。特に、図1に示すようなヘアブラシは、上述の原理に従って振動信号を提供するために利用され得る。さらに、方法200は、提供された振動信号に基づいて、毛髪特性を決定するステップ220を含む。毛髪特性は、上述の及び下記で詳述する個々の原理に従って決定され得る。
【0047】
下記では、図3a~5cを参照して、本発明の好ましい実施形態に関して毛髪特性決定の結果を詳細に説明する。以下の例に関し、商品化されたヘアブラシの底部側の真下に、シリコーン接着剤によって振動センサーが組み込まれている。
【0048】
第1の例において、上述したように、ヘアブラシを利用することは、すなわち個々の標準評価の健康的な毛髪及びダメージした毛髪に従う公知の質の良い及び悪い毛髪を、上述したようにヘアブラシで梳かすことである。図3Aは、良い及び悪い毛髪に関する振動信号が明らかに区別され得ることを示す。図3Aは、信号の平均値は同等であるが、平均からの信号値の偏差によって、2つの異なる毛髪の質の識別が可能であることを示す。
【0049】
図3Bに示すさらなる例において、ヘアブラシのブラシ毛の密度が高められ、同じ接着剤が使用されてヘアブラシの複数のブラシ毛を振動センサーに接続する。既に上述したが、識別が簡単に可能であったため、図3Aは、複数のブラシ毛を振動センサーに接続することによって、良い毛髪の質と悪い毛髪の質の潜在的な識別が300%まで増加され得ることを示す。それゆえ、毛髪の質決定の精度は著しく高められ得る。
【0050】
さらなる例において、異なるダメージの白色人種の髪の毛は、上述のようなヘアブラシを利用して評価される。実験的な設定において、ヘアブラシは、材料試験機内で水平方向に固定され、公知のダメージ状態の髪の毛は、ヘアブラシの上部及び底部側にある保持クランプを使用してブラシのブラシ毛によって引っ張られる。変位速度、すなわちブラッシング速度は、5cm/sに調整される。この場合、振動センサーは加速度センサーを指し、振動センサーの加速度信号が時間と共に記録される。この場合、装置は、信号に第2積分を用いるように適合される。図4Aはダメージのない毛髪の、及び図4Bはダメージのある毛髪、この場合特に脱色した毛髪の、振動信号の第2積分の結果を示す。加速度信号の第2積分は、変位値(図4A及び図4Bの右側に示す)を示し、これは、その後、毛髪の質又は他の特性を決定するためにさらに評価され得る。例えば、図4Bに示すように、第2積分信号の最大値及び最小値のスパン幅が決定され得る。図4A及び図4Bから導かれ得るように、中程度脱色した毛髪からの第2積分信号は、未処理の、すなわち天然のままの、毛髪からの第2積分信号とは異なっている。図4Cは、第2積分後に評価された、5本の天然のままの髪の毛と、5本の中程度脱色した髪の毛のスパン幅の平均値の著しい違いを示す。
【0051】
マネキンの頭が、ドラッグストアで購入した3種の異なるシャンプーで洗髪された。事前に、シャンプーは、白色人種の髪の毛を使用して、残留物の乾いた状態でくしで梳かす作業(residual dry combing work)によって測定することにより、それぞれのしなやかさを、評価されている。図6は、シャンプーを識別するためにこれら2つのパラメータの図を示す。これらのパラメータの値が低いほど、乾いた状態でくしで梳かすことが簡単になり、髪の毛の滑らかさ及び柔らかさが良好になる。
【0052】
さらなる例において、3体のマネキンの頭が、異なるシャンプーA、B、Cで2回洗髪されて、一晩乾かされる。その後、異なるシャンプーに関連付けられる各マネキンの頭は、上述のようなヘアブラシで髪を梳かされる。この実験において、ヘアブラシは、3回の髪を梳くストロークで10回繰り返して手動で使用される。さらに、各マネキンに対し、また、毛髪のしなやかさが測定される。例えば、マネキンの乾いた髪の毛は、変位形態、例えば交互に離間されたいくつかのリングで引っ張られ、変位によって髪の毛を引っ張るのに必要な力が測定される。そのため、測定された力は髪の毛のしなやかさを示し、特に、引っ張り力が低いほど、よりしなやかである。図5Bは、加速度信号の第2積分後の、3種の異なるシャンプーに関して測定されたしなやかさに対して上述のように計算された平均スパン幅値を示す。図5Aは、同じ実験設定に関して、3種のシャンプーに関する残留物の乾いた状態でくしで梳かす作業の値に対して、加速度信号の第2積分後の計算された平均スパン幅値を示す。乾いた状態でくしで梳かす作業の値を測定するために、個々のマネキンの頭の髪の毛は、対向するように配置された、予め規定された形態のくしで梳かされ得、そのため、コーム配置構成によって髪の毛を引っ張るために必要な力が測定され得る。その後、その力から、乾いた状態でくしで梳かす作業が導かれ得る。さらに、図5Cは、全3種のシャンプーに関して、しなやかさと残留物の乾いた状態でくしで梳かす作業の値との関係を示す。図5A図5B及び図5Cは、振動信号の特性を示し、ここで、第2積分振動信号のスパン幅は、異なる特性を備える毛髪間の正確な識別、ここでは、異なるしなやかさ又は乾いた状態でくしで梳かす作業の値を可能にする。さらに、異なる毛髪特性は異なるシャンプーに起因するため、毛髪特性を決定するための振動信号の利用は、ユーザの毛髪へのヘアケア製品の影響も決定できる。
【0053】
上述の例は全て、上述のようにヘアブラシを用いて決定されるブラシ毛の振動信号が、毛髪特性、特に、毛髪の質の正確な決定を可能にすることを示す。さらに、ヘアブラシに個々に組み込まれた振動センサーによってもたらされる振動信号は、異なるダメージの毛髪と異なる毛髪の処理とを識別するのに好適であり、これにより、それを、個々のユーザに対するそれぞれのヘアケア製品の選択を助けるために、美容師及び消費者にとってデバイスを使用する簡単な方法にする。
【0054】
本発明は、ブラッシングしている最中に、異なる毛髪特性、特に、毛髪の質を分析するために振動センサーを用いた「スマート」ヘアブラシを指す。一般的に、最終消費者自身によるヘアケア製品の家庭使用での評価が増える傾向がある。評価は、個人の毛髪及び頭皮の状態及び/又は改善を追跡することができる「スマート」デバイス、すなわち主にワイヤレススタンドアロンデバイスを提供することによって、可能になる。しかしながら、頭皮の評価が多く毛髪の評価が少ないデバイスが市場で入手可能である。さらに、最終消費者によって直接簡単に使用され得る、信頼性高く効率的なデバイスを得る必要もある。個々のデバイスの技術は一目瞭然であるべきであり、応用の結果は、デバイス上又は接続された携帯電話上のいずれかで直接見ることができる必要がある。現在、毛髪分析用にいくつかのデバイスがあるが、それらは、美容師、すなわち専門家によってのみ使用されるように設計されている。文献又は他の媒体で説明されている毛髪の評価用の他のデバイスは、購入できないか、又は撮像技術を使用するにすぎず、これは、消費者には理解しにくく不適当であることが多い。これらのデバイスは、特に費用がかかるため、デバイスによって提供される情報は不正確であることが多く、おそらく、消費者は、この種の情報にお金を使う準備はしていない。
【0055】
これに関連して、本発明人らによって、毛髪特性は、ヘアブラシのブラシ毛の振動信号から正確に簡単に導かれ得ることが見出された。それゆえ、振動センサーを使用する毛髪の質分析用のヘアブラシは、毛髪特性分析に好都合にも利用され得る。例えば、振動信号増幅回路が組み込まれた圧電セラミック材料ベースのセンサーによって10Hz~15kHzの振動を検出するように適合される振動センサーが用いられ得る。そのようなヘアブラシは、個々の装置と一緒に、上記の例で説明したように、追加的な毛髪の専門知識の必要なく、日常の毛髪の処理の最中に簡単に使用され得る。
【0056】
さらに、一般的に、スマート毛髪分析には、赤外線光、紫外線光、可視光のそれぞれの画像化、力や音の測定を利用するなど、多くの手法があるが、これら全ての技術にはいくつかの欠点があることに留意されたい。特に、異なる光源からの吸収曲線の評価は、毛髪の製品残留物によって、損なわれ得る。力及び音の測定は、個々の消費者の応用及びヘアスタイルに強く左右される。それとは対照的に、本発明人らは、振動センサーを利用することは非常にロバストな技術であり、これにより毛髪繊維の健康状態を直接測定し得ることを見出した。健康な毛髪は非常に滑らかで柔軟性がある。脱色、UV照射、又は熱や化学薬品による縮毛矯正、又はさらに洗髪のような異なる毛髪の処理に起因するダメージは、毛髪繊維をより脆くする。それにより、毛髪タンパク質は酸化され、毛髪の脂質が失われて、毛髪の自然な見た目が損なわれる。それゆえ、本明細書で説明したような振動信号分析は、ユーザがこれらのダメージを回避できるようにし、且つどの程度そのようなダメージが修復され得るかをそれぞれ示すように、利用され得る。振動センサー技術は、独特のものであり、標準的なヘアブラシに組み込まれ得る。
【0057】
本開示の実施形態に対する他の変形例が、特許請求する発明の実施において、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、当業者により理解され且つ達成され得る。
【0058】
本明細書で開示する目的及び方法のために、プロセス及び方法で実施される操作は、異なる順序で実施されてもよい。さらに、概説した操作は、例として提供されたにすぎず、操作のいくつかは、本開示の実施形態の本質を損なうことなく、任意選択的としても、より少数のステップ及び操作に組み合わせられても、さらなる操作が補足されても、又は追加的な操作に拡張されてもよい。
【0059】
特許請求の範囲では、単語「含む」は、他の要素又はステップを排除せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除しない。
【0060】
単一のユニット又はデバイスは、特許請求の範囲に記載された複数の項目の機能性を果たし得る。特定の手段が互いに異なる従属請求項で言及されているという事実のみで、これらの手段の組み合わせが好都合に使用できないことを示すものではない。
【0061】
振動信号の提供、1つ又はいくつかのユニット又はデバイスによって実施される毛髪特性の決定などのような手順は、任意の他の数のユニット又はデバイスによって実施され得る。これらの手順は、コンピュータプログラムのプログラムコード手段及び/又は専用ハードウェアとして実装することができる。
【0062】
コンピュータプログラム製品は、光記憶媒体又は固体媒体等の好適な媒体に記憶/分散され、他のハードウェアと共に又はその一部として供給され得るが、他の形態、例えばインターネット又は他の有線/無線通信システムを介して分散され得る。
【0063】
本明細書で説明する任意のユニットは、古典的なコンピューティングシステムの一部である処理ユニットとし得る。処理ユニットは、汎用プロセッサを含み得、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は任意の他の専用回路も含み得る。任意のメモリは、物理的なシステムメモリとし得、揮発性、不揮発性又はこれらの2つのいくつかの組み合わせとし得る。「メモリ」という用語は、不揮発性大容量ストレージなどのコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。コンピューティングシステムが分散型である場合、処理能力及び/又は記憶能力も分散型とし得る。コンピューティングシステムは、「実行可能な構成要素」としての複数の構造を含み得る。「実行可能な構成要素」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア又はそれらの組み合わせとし得る構造であるとしてコンピューティングの分野でよく理解されている構造である。例えば、ソフトウェアで実装される場合、当業者であれば、実行可能な構成要素の構造は、コンピューティングシステム上で実行され得るソフトウェアオブジェクト、ルーチン、メソッドなどを含み得ることを理解するであろう。これは、コンピューティングシステムのヒープ内の実行可能な構成要素又はコンピュータ可読記憶媒体上の実行可能な構成要素の両方を含み得る。実行可能な構成要素の構造は、コンピュータ可読媒体に存在してもよく、コンピューティングシステムの1つ以上のプロセッサ、例えば、プロセッサスレッドによって解釈されるとき、コンピューティングシステムに機能を実行させるようにする。そのような構造は、例えば、実行可能な構成要素がバイナリである場合のように、プロセッサによって直接コンピュータ可読なものとし得るか、又はプロセッサによって直接解釈可能であるそのようなバイナリを生成するように、例えば単一段階若しくは複数段階のいずれかで解釈可能及び/又はコンパイル可能な構造とし得る。他の例では、構造は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の専用回路内など、ハードウェアに排他的又はほぼ排他的に実装されるハードコード又はハード有線論理ゲートとし得る。従って、「実行可能な構成要素」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア又はそれらの組み合わせのいずれで実装されるかにかかわらず、コンピューティングの技術分野における通常の当業者によってよく理解される構造のための用語である。本明細書における任意の実施形態は、コンピューティングシステムの1つ以上の処理ユニットによって実行される行為を参照して説明される。そのような行為がソフトウェアで実装される場合、1つ以上のプロセッサは、実行可能な構成要素を構成するコンピュータ実行可能命令を実行することに応じてコンピューティングシステムの動作を指示する。コンピューティングシステムは、コンピューティングシステムが他のコンピューティングシステムと例えばネットワークを介して通信することを可能にする通信チャネルも含み得る。「ネットワーク」は、コンピューティングシステム及び/又はモジュール及び/又は他の電子デバイス間の電子データの伝送を可能にする1つ以上のデータリンクとして定義される。情報がネットワーク又は別の通信接続、例えばハード有線、無線若しくはハード有線と無線との組み合わせのいずれかを介してコンピューティングシステムに転送又は提供される場合、コンピューティングシステムは、接続を伝送媒体として適切にみなす。伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を搬送するために使用することができ、汎用又は専用目的のコンピューティングシステム又はそれらの組み合わせによってアクセスされ得るネットワーク及び/又はデータリンクを含み得る。全てのコンピューティングシステムがユーザインターフェースを必要とするわけではないが、いくつかの実施形態において、コンピューティングシステムは、ユーザとインターフェースを取るために使用するためのユーザインターフェースシステムを含む。ユーザインターフェースは、例えば、ディスプレイを介したユーザへの入力又は出力機構として機能性する。
【0064】
当業者であれば、本発明の少なくとも一部は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、メッセージプロセッサ、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベース又はプログラマブル家電、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、携帯電話、PDA、ページャ、ルータ、スイッチ、データセンタ、眼鏡のようなウェアラブル装置などを含む、多くの種類のコンピューティングシステム構成を有するネットワークコンピューティング環境で実施され得ることを理解するであろう。本発明は、例えば、ネットワークを介してハード有線データリンク、無線データリンク又はハード有線データリンクと無線データリンクとの組み合わせのいずれかによってリンクされるローカル及びリモートのコンピューティングシステムの両方がタスクを実施する分散システム環境でも実施され得る。分散システム環境では、プログラムモジュールは、ローカルとリモートとの両方のメモリ記憶デバイスに配置され得る。
【0065】
当業者であれば、本発明の少なくとも一部は、クラウドコンピューティング環境でも実施され得ることを理解するであろう。クラウドコンピューティング環境は分散され得るが、これは、必須ではない。分散される場合、クラウドコンピューティング環境は、組織内で国際的に分散され得、及び/又は複数の組織にわたって保有された構成要素を有し得る。本明細書及び以下の特許請求の範囲では、「クラウドコンピューティング」は、構成可能なコンピューティングリソース、例えばネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション及びサービスの、共有プールへのオンデマンドネットワークアクセスを可能にするモデルとして定義される。「クラウドコンピューティング」の定義は、そのようなモデルが展開された場合に得られ得る他の多数の利点のいずれにも限定されない。図面のコンピューティングシステムは、説明したように、本明細書に開示された様々な実施形態を実装し得る様々な構成要素又は機能性ブロックを含む。様々な構成要素又は機能性ブロックは、ローカルコンピューティングシステム上に実装され得るか、又はクラウドに常駐する要素を含むか若しくはクラウドコンピューティングの側面を実装する分散コンピューティングシステム上で実装され得る。様々な構成要素又は機能性ブロックは、ソフトウェア、ハードウェア又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせとして実装され得る。図面に示されるコンピューティングシステムは、図面に示される構成要素よりも多い又は少ない構成要素を含み得、状況が許す限り、構成要素のいくつかを組み合わせ得る。
【0066】
特許請求の範囲のいずれの参照符号も、その範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0067】
本発明は、対象者の毛髪をブラッシングしている間に毛髪特性にアクセスするための装置を指し、装置は、複数のブラシ毛を含むヘアブラシに組み込まれた1つ以上の振動センサーによって実施された振動測定の結果を示す振動信号を提供するための振動測定値提供ユニットを含む。振動測定は、ヘアブラシを使用して毛髪をブラッシングしている最中に振動センサーによって実施され、ブラッシング中のヘアブラシのブラシ毛の振動を示す。そのため、毛髪特性決定ユニットは振動信号に基づいて、毛髪特性を決定する。
図1
図2
図3A-3B】
図4A-4B】
図4C
図5A-5B】
図5C
【国際調査報告】