(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】再生可能炭素の含有量が高いマンニッヒ塩基
(51)【国際特許分類】
C07D 307/52 20060101AFI20241112BHJP
C08G 59/64 20060101ALI20241112BHJP
C08G 59/56 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C07D307/52 CSP
C08G59/64
C08G59/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525114
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022079886
(87)【国際公開番号】W WO2023072992
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506416400
【氏名又は名称】シーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】エディス カセミ
(72)【発明者】
【氏名】ウルスラ シュタデルマン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス クラマー
(72)【発明者】
【氏名】ウルス ブルクハルト
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AA01
4J036DC03
4J036DC04
4J036DC13
4J036DC17
4J036JA01
4J036JA05
4J036JA06
4J036JA07
4J036JA11
(57)【要約】
本発明は、式(I)のマンニッヒ塩基及びエポキシ樹脂のための硬化剤の成分としてのその使用に関する。式(I)のマンニッヒ塩基は、高い再生可能炭素指数を有する。これにより、驚くほど優れた加工性を有し、周囲温度で迅速に且つ妨げられることなく硬化し、及び高い最終硬度で快適な表面を形成する、高品質且つ持続可能なエポキシ樹脂製品の製造が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
(式中、
Xは、H又は15個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、
Yは、それぞれの場合に独立して、式(II)の基、又はH、又はジメチルアミノメチル、又はメトキシであり、前記Y基の少なくとも1つは、式(II)の基であり、
R
1は、H、又は1~6個の炭素原子を有するアルキル基、又はフェニル基であり、かつ
Aは、2~10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、前記A基が結合されている2つの窒素原子は、少なくとも2つの炭素原子によって互いに隔てられている)
のマンニッヒ塩基。
【請求項2】
R
1は、Hであることを特徴とする、請求項1に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項3】
Aは、2~6個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基、特に1,2-エチレンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項4】
Xは、15個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、Xに対してパラ位のY基は、前記式(II)の基であり、他のY基は、Hであり、それにより、前記マンニッヒ塩基が、式(Ia)
【化2】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項5】
Xは、Hであり、フェノール基に対してオルト位の1つのY基は、メトキシであり、他の2つのY基は、それぞれ前記式(II)の基であり、それにより、前記マンニッヒ塩基が、式(Ib)
【化3】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項6】
Xは、Hであり、3つ全てのY基は、前記式(II)の基であり、それにより、前記マンニッヒ塩基が、式(Ic)
【化4】
を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項7】
Xは、Hであり、1つ又は2つのY基は、R
1=Hである前記式(II)の基であり、及び他のY基は、それぞれジメチルアミノメチルであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のマンニッヒ塩基であって、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールと、式(IV)
【化5】
の少なくとも1種のアミンとの、ジメチルアミンの遊離及び除去による、アミノ交換反応からの反応生成物であり、式(Ic)中のR
1は、Hであることを特徴とする、マンニッヒ塩基。
【請求項9】
2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールと、前記式(IV)の少なくとも1種のアミンとのアミノ交換反応において、ポリエーテルジアミン、特に、200~500g/モルの範囲の平均分子量M
nを有するポリオキシプロピレンジアミンが、追加的に用いられることを特徴とする、請求項8に記載のマンニッヒ塩基。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含有する、エポキシ樹脂のための硬化剤。
【請求項11】
前記式(I)に従わないさらなるアミン、促進剤及びシンナーから選択される少なくとも1種のさらなる成分、特に前記式(I)に従わない少なくとも1種のさらなるアミンを含むことを特徴とする、請求項10に記載の硬化剤。
【請求項12】
請求項11に記載の硬化剤であって、含有される、前記式(I)に従わないさらなるアミンが、式(IV):
【化6】
(式中、Aは、2~10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、前記A基が結合されている2つの窒素原子は、少なくとも2つの炭素原子によって互いに隔てられている)
の少なくとも1種のアミンであることを特徴とする、硬化剤。
【請求項13】
- 少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む樹脂成分と、
- 請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含む硬化剤成分と
を含むエポキシ樹脂組成物。
【請求項14】
前記硬化剤成分が、請求項10~12のいずれか一項に記載の硬化剤を含むことを特徴とする、請求項13に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項15】
請求項13又は14に記載のエポキシ樹脂組成物から、前記樹脂成分と前記硬化剤成分とが混合された後に得られる、硬化されたエポキシ樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い割合の再生可能炭素を有するマンニッヒ塩基及びエポキシ樹脂の硬化のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
工業及び建築分野におけるアミンの用途の1つは、エポキシ樹脂組成物における硬化剤としての使用である。用途に応じて、求められる特性としては、優れた加工性及び低い脆性を有し、且つブラッシングに関連する曇り、斑点又はクレーターのない均一な表面を有する高硬度の製品を得るための周囲温度での迅速且つ問題のない硬化などが挙げられる。
【0003】
近年、持続可能なエポキシ樹脂製品、特に高い含有量の再生可能資源由来の原料を有するエポキシ樹脂製品、すなわち高度にバイオベース化されたエポキシ樹脂製品の需要が高まっている。そのため、持続可能なアミン硬化剤が必要とされている。化学原料の持続可能性を示す一般的な指標は、再生可能資源由来の炭素含有量を示す再生可能炭素指数(RCI)である。これは、再生可能資源由来の炭素原子の数を原料中の炭素原子の総数で割ることによって得られる。
【0004】
マンニッヒ塩基は、フェノールと、アミン及びアルデヒド、特に例えばホルムアルデヒドとのアミン基含有縮合生成物である。これらは、エポキシ樹脂製品において唯一の硬化剤又は共硬化剤及び/若しくは促進剤として使用することができる。従来技術の特に持続可能なマンニッヒ塩基は、フェナルカミンとも呼ばれるマンニッヒ塩基であり、使用されるフェノール化合物は、RCIが1のカシューナッツ殻油から得られるアルケニルフェノール混合物であるカルダノールである。
【0005】
特定の含有量の再生可能資源由来の炭素を含むマンニッヒ塩基は、例えば、米国特許第6,262,148号明細書又は米国特許出願公開第2017/0240691号明細書から公知である。しかしながら、そのようにして得られたエポキシ樹脂製品の加工性は、粘度が高いため、依然として改善の必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、周囲温度が低い場合でも優れた加工性及び高い充填レベルを可能にするために、周囲温度でエポキシ樹脂を硬化させるのに適しており、且つエポキシ樹脂に対して高い希釈効果を発揮するマンニッヒ塩基を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、驚くべきことに、請求項1に記載の式(I)のマンニッヒ塩基によって達成される。本発明のマンニッヒ塩基は、1つ以上のフルフリルアミノ基を含み、簡単な方法において、特にフェノールと式(IV)のフルフリル化アミン及びアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの縮合(マンニッヒ反応)又は既存のマンニッヒ塩基、特にジメチルアミノメチル基を有するマンニッヒ塩基のアミノ交換反応によって調製可能である。式(I)のマンニッヒ塩基は、高い再生可能炭素指数(RCI)を有し、特に、フルフリル基は、バイオベースであり、フルフリル化アミンの親一級ジアミンの供給源に応じてその炭素原子もバイオベースになり得る。式(I)のマンニッヒ塩基の親フェノール化合物が、再生可能な原料に基づくカルダノール又はグアイアコールなどである場合、マンニッヒ塩基は、0.7~1の範囲の特に高いRCIを有することになる。
【0008】
式(I)のマンニッヒ塩基は、優れた加工性を有する驚くほど低粘度のエポキシ樹脂製品を可能にし、充填製品の場合に高い充填剤含有量が可能になり、追加のシンナー又は溶媒が必要であるとしても少量であり、そのため、非常に低いVOC含有量が達成可能になる。さらに、式(I)のマンニッヒ塩基は、驚くほど迅速で問題のない硬化を可能にし、特に8℃などの低い周囲温度でも、高い最終硬度及び高い光沢を有する高品質のエポキシ樹脂製品を与える。加えて、従来技術でよく使用されるマンニッヒ塩基である2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールは、少量で使用した場合でも強い不快なアミン臭を有するエポキシ樹脂製品を生じる一方、式(I)のマンニッヒ塩基は、非常に低臭気のエポキシ樹脂製品を可能にする。
【0009】
式(I)のマンニッヒ塩基は、エポキシ樹脂製品、特にコーティング又は成形体のための硬化剤及び/又は促進剤として特に適している。特に、式(I)のマンニッヒ塩基は、室温で迅速且つ確実に硬化し、ブラッシングによる斑点、曇り又はクレーターのない魅力的で光沢のある表面を有する低臭気のコーティングを可能にする。
【0010】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。本発明の特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、式(I)
【化1】
(式中、
Xは、H又は15個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、
Yは、それぞれの場合に独立して、式(II)の基、又はH、又はジメチルアミノメチル、又はメトキシであり、Y基の少なくとも1つは、式(II)の基であり、
R
1は、H、又は1~6個の炭素原子を有するアルキル基、又はフェニル基であり、及び
Aは、2~10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、A基が結合されている2つの窒素原子は、少なくとも2つの炭素原子によって互いに隔てられている)
のマンニッヒ塩基を提供する。
【0012】
本明細書における式中の破線は、それぞれの場合、置換基と、関連する分子基との間の結合を表す。
【0013】
「RCI」は、物質又は物質の混合物の「再生可能炭素指数」を表し、RCIは、物質又は物質の混合物の炭素原子の総数に対するバイオベース原料由来の炭素原子数の比率である。
【0014】
「一級アミノ基」は、単一の有機基に結合し、且つ2つの水素原子を有するアミノ基を指し;「二級アミノ基」は、一緒に環の一部であり得る2つの有機基に結合し、且つ1つの水素原子を有するアミノ基を指し;「三級アミノ基」は、そのうちの2つ又は3つが1つ以上の環の一部であり得る3つの有機基に結合し、且つ水素原子を有しないアミノ基を指す。
【0015】
「アミン水素」は、一級アミン基及び二級アミン基の水素原子を指す。
【0016】
「アミン水素当量」は、1モル当量のアミン水素を含むアミン又はアミン含有組成物の質量を指す。これは、「g/eq」の単位で表される。
【0017】
「エポキシド当量」は、1モル当量のエポキシ基を含むエポキシ基含有化合物又は組成物の質量を指す。これは、「g/eq」の単位で表される。
【0018】
ポリアミン又はポリエポキシドなど、「ポリ」で始まる物質名は、形式的には、1分子あたりその名称に含まれる官能基を2つ以上含む物質を指す。
【0019】
「シンナー」は、エポキシ樹脂に可溶性でその粘度を低下させ、且つ硬化プロセス中にエポキシ樹脂ポリマーに化学的に組み込まれない物質を指す。
【0020】
「分子量」は、分子のモル質量(1モルあたりのグラム数)を指す。「平均分子量」は、オリゴマー分子又はポリマー分子の多分散混合物の数平均Mnを指し、これは、典型的には、ポリスチレンを標準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0021】
「ポットライフ」は、成分を混合してからエポキシ樹脂組成物を塗布するまでの時間のうち、混合された組成物が十分に流動性の状態であり、基材表面を濡らす優れた能力を有する最大の時間を指す。
【0022】
「ゲルタイム」は、エポキシ樹脂組成物の成分を混合してからゲル化するまでの時間を指す。
【0023】
「室温」は、23℃の温度を指す。
【0024】
本明細書で言及される全ての業界標準及び規範は、別段の明記がない限り、最初の出願日の時点で有効なバージョンを指す。
【0025】
重量パーセント(重量%)は、別段の明記がない限り、組成物全体を基準とした組成物中の成分の質量割合を指す。「質量」及び「重量」という用語は、本明細書では同義的に使用される。
【0026】
好ましくは、R1は、Hである。そのようなマンニッヒ塩基は、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒドのオリゴマー若しくはポリマーに由来する。これらは、特に容易に調製することができ、特に迅速に硬化する特に低粘度のエポキシ樹脂製品を可能にする。さらに、ホルムアルデヒドは、バイオベース原料から容易に入手することができる。
【0027】
好ましくは、Aは、1,2-エチレン、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、1,3-ブチレン、1,4-ブチレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、1,3-ペンチレン、1,5-ペンチレン、2-メチル-1,5-ペンチレン、1,6-ヘキシレン、1,7-ヘプチレン、1,8-オクチレン、1,9-ノニレン、2,2(4),4-トリメチル-1,6-ヘキシレン又は1,10-デシレンである。
【0028】
より好ましくは、Aは、2~6個の炭素原子を有する直鎖アルキレン基、すなわち1,2-エチレン、1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,5-ペンチレン又は1,6-ヘキシレン、特に1、2-エチレンである。これらのマンニッヒ塩基は、高いRCIで特に容易に得ることが可能であり、特に迅速に硬化する特に低粘度のエポキシ樹脂製品を可能にする。
【0029】
Aは、最も好ましくは、1,2-エチレンである。これらのマンニッヒ塩基は、アミン源に関わらず特に高いRCIを有し、極めて迅速に硬化する極めて低粘度のエポキシ樹脂製品を可能にする。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、Xは、15個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、Xに対してパラ位のY基は、式(II)の基であり、他のY基は、Hであり、及びマンニッヒ塩基は、したがって、式(Ia):
【化2】
(式中、A及びR
1は、既に示した定義を有する)
を有する。
【0031】
式(Ia)のマンニッヒ塩基は、カシューナッツ殻油に由来するアルケニルフェノール混合物であるカルダノールから誘導され、極めて高いRCIを有する。これは、フェナルカミンとも呼ばれる。
【0032】
ここでのXは、直鎖C
15H
31-、又はC
15H
29-、又はC
15H
27-、又はC
15H
25-ヒドロカルビル基、特に式
【化3】
の基である。
【0033】
特に、Aは、1,2-エチレンであり、R
1は、Hであり、及びマンニッヒ塩基は、したがって、式
【化4】
を有する。そのようなマンニッヒ塩基は、特に持続可能であり、特に迅速に硬化する特に低粘度のエポキシ樹脂製品を可能にする。特に、これは、0.9~1.1の範囲のRCIを有する。
【0034】
そのようなマンニッヒ塩基は、特に、式(III)の少なくとも1種のフェノール化合物と、式(IV)の少なくとも1種のアミン及び式(V)の少なくとも1種のアルデヒドとの縮合:
【化5】
(式中、Xは、15個の炭素原子を有する直鎖ヒドロカルビル基であり、A及びR
1は、既に与えられた定義を有する)
からの反応生成物である。
【0035】
式(III)のフェノール化合物及び式(IV)のアミンの初期装入物に式(V)のアルデヒドを徐々に添加することが好ましく、その場合、反応混合物の温度は、好ましくは、50~150℃の範囲内に維持される。続いて、遊離した水と存在する溶媒が蒸留される。
【0036】
式(III)のフェノール化合物1モルあたり少なくとも1モルの式(IV)のアミン及び少なくとも1モルの式(V)のアルデヒドを使用することが好ましい。
【0037】
より好ましくは、式(III)のフェノール化合物1モルあたり1~10モル、特に1~5モルの式(IV)のアミンと、約1モルの式(V)のアルデヒドとを使用することが好ましい。これにより、過剰の式(IV)のアミンの有無に関わらず、高い含有量の式(Ia)のマンニッヒ塩基を有する反応生成物が形成される。そのような反応生成物は、特に低粘度である。
【0038】
式(III)のフェノール化合物は、特にカシューナッツ殻油から得られるアルケニルフェノール混合物であるカルダノールであり、Xは、既に与えられた定義を有する。カルダノールの適切な品質は、工業グレードの品質又は特に蒸留され、任意選択的にさらに精製された品質である。特に適切なグレードは、市販されており、例えばCardoliteグレードNX-2021、NX-2022、NX-2023、Ultra LITE2023、NX-2024、NX-2025又はNX-2026(全てCardoliteから)である。
【0039】
本発明のさらに好ましい実施形態では、Xは、Hであり、フェニル基に対してオルト位の1つのY基は、メトキシであり、他の2つのY基は、それぞれ式(II)の基であり、及びマンニッヒ塩基は、したがって、式(Ib):
【化6】
(式中、R
1及びAは、既に記載された定義を有する)
を有する。
【0040】
そのようなマンニッヒ塩基は、特に高いRCIを有し、特に迅速に硬化する特に低粘度のエポキシ樹脂製品を可能にする。RCIは、好ましくは、0.8~1の範囲である。
【0041】
式(Ib)のマンニッヒ塩基は、式(III)のフェノール化合物としてのグアイアコール(o-メトキシフェノール)から誘導される。これらは、特に、グアイアコールと、式(IV)の少なくとも1種のアミン及び式(V)の少なくとも1種のアルデヒドとの縮合からの反応生成物である。
【0042】
バイオベースのグアイアコールを使用することが好ましい。
【0043】
調製は、好ましくは、カルダノールとの反応について既に記載した通りに行われ、好ましくはグアイアコール1モルあたり少なくとも2モルの式(IV)のアミン及び少なくとも2モルの式(V)のアルデヒドが使用される。
【0044】
より好ましくは、グアイアコール1モルあたり2~10モル、特に2~5モルの式(IV)のアミン及び約2モルの式(V)のアルデヒドを使用することが好ましい。これにより、過剰な式(IV)のアミンの有無に関わらず、高い含有量の式(Ib)のマンニッヒ塩基を有する反応生成物が形成される。
【0045】
本発明のさらに好ましい実施形態では、式(I)のマンニッヒ塩基において、Xは、Hであり、各Y基は、式(II)の基であり、及びマンニッヒ塩基は、したがって、式(Ic):
【化7】
(式中、R
1及びAは、既に与えられた定義を有する)
を有する。
【0046】
式(Ic)のマンニッヒ塩基は、特に高い最終硬度を可能にする。
【0047】
好ましくは、R1は、Hであり、Aは、1,2-エチレンであり、及び式(Ic)のマンニッヒ塩基は、したがって、2,4,6-トリス((2-フルフリルアミノエチル)アミノメチル)フェノールである。これにより、適度な粘度を併せ持つ、特に迅速に硬化するエポキシ樹脂製品が可能になる。2,4,6-トリス((2-フルフリルアミノエチル)アミノメチル)フェノールのRCIは、好ましくは、0.5~1、特に0.5~0.6の範囲である。
【0048】
式(Ic)のマンニッヒ塩基は、式(III)のフェノール化合物としてのフェノールから誘導される。これは、特に、フェノールと式(IV)の少なくとも1種のアミン及び式(V)の少なくとも1種のアルデヒドとの縮合からの反応生成物である。
【0049】
調製は、好ましくは、カルダノールとの反応について既に記載した通りに行われ、好ましくはフェノール1モルあたり少なくとも3モルの式(IV)のアミン及び少なくとも3モルの式(V)のアルデヒドが使用される。より好ましくは、フェノール1モルあたり3~10モル、特に3~5モルの式(IV)のアミン及び約3モルの式(V)のアルデヒドを使用することが好ましい。これにより、過剰な式(IV)のアミンの有無に関わらず、高い含有量の式(Ic)のマンニッヒ塩基を有する反応生成物が形成される。
【0050】
式(I)のマンニッヒ塩基の調製に適した式(IV)のアミンは、フルフラール及び水素を用いた式H
2N-A-NH
2の一級ジアミンの還元的アルキル化からの反応生成物である。そのような反応生成物は、典型的には、副生成物、特に水素化フラン環を有する成分及び/又はジアルキル化成分を含み、特に以下の式:
【化8】
で示される成分を含む。これに対応して、式(I)又は式(Ia)、(Ib)若しくは(Ic)のマンニッヒ塩基は、式(II)の基上で水素化されたフラン環の成分を含み得る。
【0051】
特に好ましい式(IV)のアミンは、特に0.7~1の範囲のRCIを有するN-フルフリルエタン-1,2-ジアミンである。
【0052】
式(I)のマンニッヒ塩基の調製に適した式(V)のアルデヒドは、特にホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール又はベンズアルデヒドであり、任意選択的にオリゴマー又はポリマーの形態である。ホルムアルデヒドは、適切な場合、1,3,5-トリオキサン又はパラホルムアルデヒドの形態が特に適している。バイオベース原料由来のホルムアルデヒドが好ましい。
【0053】
本発明のさらに好ましい実施形態では、式(I)のマンニッヒ塩基において、Xは、Hであり、1つ又は2つのY基は、R1=Hである式(II)の基であり、及び他のY基は、それぞれジメチルアミノメチルである。そのような式(I)のマンニッヒ塩基は、特に、ジメチルアミンを遊離させる2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールと式(IV)の少なくとも1種のアミンとの不完全なアミノ交換反応から得られる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態では、R
1=Hである式(Ic)のマンニッヒ塩基又は式中のXがHであり、1つ若しくは2つのY基が式(II)の基であり、R
1=Hであり、他のY基がそれぞれジメチルアミノメチルである式(I)のマンニッヒ塩基は、ジメチルアミンの遊離及び除去による2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールと、式(IV):
【化9】
の少なくとも1種のアミンとのアミノ交換反応からの反応生成物である。
【0055】
ここで、式(IV)のアミンを2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールに添加し、ジメチルアミンを蒸留除去しながら混合物を80~160℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。
【0056】
好ましくは、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1モルあたり1~10モルの式(IV)のアミンが使用される。
【0057】
より好ましくは、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1モルあたり3~10モル、特に3~5モルの式(IV)のアミンが使用される。これは、主に式(Ic)のマンニッヒ塩基を形成する。
【0058】
3モルを超える式(IV)のアミンがアミノ交換反応に使用される場合、反応生成物は、過剰の式(IV)のアミンを含み得る。そのような反応生成物は、特に低粘度であり、そのままエポキシ樹脂の硬化に使用することができる。しかしながら、過剰な式(IV)のアミンを蒸留除去することによって精製することもできる。
【0059】
例えば、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1モルあたり3モル未満の式(IV)のアミンを使用するか、又は完了するまで反応が行われなかったことにより、アミノ交換反応が不完全にのみ行われている場合、結果として1つ又は2つのY基がジメチルアミノメチルである式(I)のマンニッヒ塩基が得られる。
【0060】
アミノ交換反応に使用される2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールは、特にフェノールとジメチルアミン及びホルムアルデヒドとの縮合から得られる。この反応は、特に容易に行うことができ、特に高純度の生成物を可能にする。2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールは、例えば、Ancamine(登録商標)K54(Evonikから)又はAccelerator960-1(Huntsmanから)として市販されている。
【0061】
式(IV)の適切なアミンは、フルフラール及び水素を用いる、式H2N-A-NH2の一級ジアミンの還元的アルキル化からの既述の反応生成物である。これに対応して、そのようなマンニッヒ塩基は、式(II)の基上で水素化された一定の割合のフラン環を含むことも可能である。
【0062】
好ましい実施形態では、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールと式(IV)の少なくとも1種のアミンとのアミノ交換反応において、ポリエーテルジアミン、特に200~500g/モルの範囲の平均分子量Mnを有するポリオキシプロピレンジアミンが追加的に使用される。
【0063】
ここで、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール1モルあたり約2モルの式(IV)のアミン及び0.3~0.7モルのポリエーテルジアミンを使用することが好ましい。特に、式(I)の少なくとも1種のマンニッヒ塩基に加えて、追加のマンニッヒ塩基、特に式(VI)のマンニッヒ塩基も含む反応生成物が得られる:
【化10】
(式中、
Z基の2つは、R
1=Hである式(II)の基であり、及び第3のZ基は、式(VII)の基であり、
Bは、二価のポリエーテル基、特に170~470g/モルの範囲の平均分子量M
nを有するポリオキシプロピレンであり、
Mは、H又は式(VIIIa)若しくは(VIIIb):
【化11】
の基であり、
Aは、既に説明した定義を有する)。
【0064】
そのようなマンニッヒ塩基の混合物は、特に粘度が低く、高分子性であるため、取り扱いを容易にし、揮発性を低下させる。
【0065】
本発明は、上述した式(I)の少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含有する、エポキシ樹脂のための硬化剤をさらに提供する。
【0066】
硬化剤は、好ましくは、1重量%~95重量%、より好ましくは2重量%~80重量%、特に好ましくは3重量%~60重量%、特に3重量%~30重量%の式(I)のマンニッヒ塩基を含有する。
【0067】
硬化剤は、好ましくは、式(I)に従わないさらなるアミン、促進剤及びシンナーから選択される少なくとも1種のさらなる成分、特に式(I)に従わない少なくとも1種のさらなるアミンを含有する。
【0068】
式(I)に従わない特に好ましいさらなるアミンは、上述した式(IV)のアミン、特にN-フルフリルエタン-1,2-ジアミンである。そのような硬化剤は、高いRCIを有し、特に低粘度のエポキシ樹脂製品の迅速且つ問題のない硬化を可能にする。
【0069】
硬化剤は、好ましくは、式(IV)のアミン及び式(I)のマンニッヒ塩基を5/95~99/1、好ましくは10/90~98/2、より好ましくは25/75~95/5、特に50/50~95/5の範囲の重量比で含有する。
【0070】
式(I)に従わない特に好ましいさらなるアミンは、高いRCIを有する少なくとも1種のアミンでもあり、特に2,5-ビス(アミノメチル)フラン、2,5-ビス(アミノメチル)テトラヒドロフラン、ビス(5-アミノメチルフラン-2-イル)メタン、ビス(5-アミノメチルテトラヒドロフラン-2-イル)メタン、2,2-ビス(5-アミノメチルフラン-2-イル)プロパン及び2,2-ビス(5-アミノメチルテトラヒドロフラン-2-イル)プロパンから選択される。
【0071】
式(I)に従わない適切なさらなるアミンは、特に脂肪族アミノ基と、少なくとも3つのアミン水素とを有するアミンでもあり、特にN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン、N-ベンジルプロパン-1,2-ジアミン、N-ベンジル-1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、N-(2-エチルヘキシル)-1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン、ペンタン-1,3-ジアミン(DAMP)、ペンタン-1,5-ジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチルペンタン-1,5-ジアミン(C11-ネオジアミン)、ヘキサン-1,6-ジアミン、2,5-ジメチルヘキサン-1,6-ジアミン、2,2(4),4-トリメチルヘキサン-1,6-ジアミン(TMD)、ヘプタン-1,7-ジアミン、オクタン-1,8-ジアミン、ノナン-1,9-ジアミン、デカン-1,10-ジアミン、ウンデカン-1,11-ジアミン、ドデカン-1,12-ジアミン、1,2-、1,3-又は1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、2(4)-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、メンタン-1,8-ジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4、8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン(MXDA)、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、ビス(2-アミノエチル)エーテル、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン又はこれらのジアミンの高級オリゴマー、ビス(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン又は他のポリテトラヒドロフランジアミン、ポリオキシアルキレンジ-又は-トリアミン、特にポリオキシプロピレンジアミン又はポリオキシプロピレントリアミン、例えばJeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400又はJeffamine(登録商標)T-403(全てHuntsmanから)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、N-(2-アミノエチル))プロパン-1,3-ジアミン(N3アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン(N4アミン)、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N3-(3-アミノペンチル)ペンタン-1,3-ジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、N,N’-ビス(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチルペンタン-1,5-ジアミン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(BHMT)、N-アミノエチルピペラジン、3-(3-(ジメチルアミノ)プロピルアミノ)プロピルアミン(DMAPAPA)、上記アミンとエポキシドとのアミン官能性付加物、カルダノールとアルデヒド、特にホルムアルデヒドとの反応生成物であるフェナルカミン及びポリアミン又はこれらのアミンの2種以上の混合物である。
【0072】
これらの中で、N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン、MPMD、TMD、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、IPDA、2(4)-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサン、MXDA、DETA、TETA、TEPA、N3アミン、N4アミン、DPTA、BHMT、200~500g/モルの範囲の平均分子量Mnを有するポリオキシプロピレンジアミン又は300~500g/モルの範囲の平均分子量Mnを有するポリオキシプロピレントリアミンが好ましい。
【0073】
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンが特に好ましい。これにより、特に迅速な硬化が可能になる。
【0074】
IPDAも特に好ましい。これにより、特に高いガラス転移温度が達成され、高い使用温度に対して特に優れた堅牢性が可能になる。バイオベースのアセトンからの高いRCIを有するIPDAを使用することが特に好ましい。
【0075】
MXDAも特に好ましい。これにより、高い硬化速度及び特に高い強度が実現される。
【0076】
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミンも特に好ましい。これにより、特に魅力的な表面を有するエポキシ樹脂製品が得られる。
【0077】
適切な促進剤は、特に酸又は酸に加水分解可能な化合物、特に酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸などの有機カルボン酸;メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸;スルホン酸エステル;他の有機酸若しくは無機酸、例えば特にリン酸又は前述した酸及び酸エステルの混合物;特に硝酸カルシウムなどの硝酸塩;三級アミン、例えば特に1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、イミダゾール、例えば特にN-メチルイミダゾール、N-ビニルイミダゾール又は1,2-ジメチルイミダゾール、そのような三級アミンの塩;四級アンモニウム塩、例えば特に塩化ベンジルトリメチルアンモニウム;アミジン、例えば特に1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン;グアニジン、例えば特に1,1,3,3-テトラメチルグアニジン;フェノール類、特にビスフェノール、フェノール樹脂又は他のマンニッヒ塩基、例えば特に2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;又はフェノールとホルムアルデヒドとN,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンとから製造されるポリマー;ホスファイト、例えば特にジ-又はトリフェニルホスファイト;又はメルカプト基を有する化合物である。
【0078】
酸、硝酸塩、三級アミン若しくは他のマンニッヒ塩基、特にサリチル酸、硝酸カルシウム若しくは2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール又はこれらの促進剤の組み合わせが好ましい。
【0079】
適切なシンナーは、特に、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、3-メチル-2-ブタノール、n-ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、キシレン、2-メトキシエタノール、ジメトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-イソプロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、2-フェノキシエタノール、2-ベンジルオキシエタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオールモノイソブチレート、ジフェニルメタン、ジイソプロピルナフタレン、鉱油留分、例えばSolvesso(登録商標)グレード(Exxonから)、アルキルフェノール、例えばtert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、カルダノール、スチレン化フェノール、ビスフェノール、芳香族炭化水素樹脂、特にフェノール基を含むタイプ、アルコキシル化フェノール、特にエトキシル化又はプロポキシル化フェノール、特に2-フェノキシエタノール、アジペート、セバケート、フタレート、ベンゾエート、有機リン酸エステル若しくはスルホン酸エステル又はスルホンアミドである。
【0080】
これらの中で、沸点が200℃を超えるシンナー、特にベンジルアルコール、スチレン化フェノール、エトキシル化フェノール、フェノール基を含む芳香族炭化水素樹脂、例えば特にNovares(登録商標)グレードLS500、LX200、LA300又はLA700(Ruetgersから)、ジイソプロピルナフタレン又はカルダノール、特にベンジルアルコールが好ましい。
【0081】
フェノール基を含むシンナーも促進剤として有効である。
【0082】
これらの中で、特に高い希釈効果を有する芳香族シンナー、特にキシレンも好ましい。
【0083】
これらの中で、RCIが1であるシンナー、特にカルダノールが特に好ましい。これらにより特に持続可能な硬化剤を実現することが可能になる。
【0084】
硬化剤は、好ましくは、シンナーを少量のみ含み、硬化剤全体を基準として特に0重量%~50重量%、好ましくは0重量%~30重量%のシンナーを含む。
【0085】
硬化剤は、水性であり得、15重量%~90重量%、好ましくは20重量%~80重量%の範囲の水を含む。
【0086】
硬化剤は、好ましくは、水性ではない。これは、硬化剤全体を基準として好ましくは15重量%未満、特に10重量%未満の水を含有する。そのような硬化剤は、非水性エポキシ樹脂に特に適している。これにより、特に湿気に対する堅牢性が高いエポキシ樹脂製品が可能になる。
【0087】
硬化剤は、特に以下のさらなる成分を含み得る:
- エポキシドとのアミン官能性付加物、
- 特にベンジルアミン又はフルフリルアミンなどのモノアミン、
- 2つのアミン水素を有するアミン、特にN,N’-ジフルフリルエタン-1,2-ジアミン、N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン又は3-ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)、
- ポリアミドアミン、特に一塩基性若しくは多塩基性のカルボン酸又はそのエステル若しくは無水物、特に二量体脂肪酸と、化学量論過剰で使用されるポリアミン、特にDETA又はTETAとの反応生成物、
- 芳香族ポリアミン、例えば特に4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジアミノジフェニルメタン、トルエン-2,4(6)-ジアミン、3,5-ジメチルチオトルエン-2,4(6)-ジアミン又は3,5-ジエチルトリレン-2,4(6)-ジアミン、
- メルカプト基を有する化合物、特に液状メルカプタン末端ポリスルフィドポリマー、メルカプタン末端ポリオキシアルキレンエーテル、メルカプタン末端ポリオキシアルキレン誘導体、チオカルボン酸のポリエステル、2,4,6-トリメルカプト-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコールジメルカプタン又はエタンジチオール、
- 表面活性添加剤、特に消泡剤、脱気剤、湿潤剤、分散剤又はレベリング剤、又は
- 安定剤、特に酸化、熱、光又は紫外線に対する安定剤。
【0088】
本発明は、
- 少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む樹脂成分と、
- 上述した式(I)の少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含む硬化剤成分と
を含むエポキシ樹脂組成物をさらに提供する。
【0089】
適切なエポキシ樹脂は、公知の方法、特にエピクロロヒドリンと、ポリオール、ポリフェノール又はアミンとの反応から得られる。
【0090】
適切なエポキシ樹脂は、特に芳香族エポキシ樹脂、特に以下のグリシジルエーテルである:
- ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールA/F(Aはアセトンを表し、Fはホルムアルデヒドを表し、これらのビスフェノールの製造で反応物として使用されたものである)、ビスフェノールFの場合、位置異性体、より具体的には2,4’-又は2,2’-ヒドロキシフェニルメタンに由来する位置異性体も存在する場合がある;
- レゾルシノール、ヒドロキノン又はカテコールなどのジヒドロキシベンゼン誘導体;
- 追加のビスフェノール又はポリフェノール、例えばビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-tert-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールP)、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、4,4’-ジヒドロキシジフェニル(DOD)、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2-ヒドロキシナフト-1-イル)メタン、ビス(4-ヒドロキシナフト-1-イル)メタン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル又はビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン;
- ノボラック類、特にフェノール又はクレゾール類と、ホルムアルデヒド又はパラホルムアルデヒド又はアセトアルデヒド又はクロトンアルデヒド又はイソブチルアルデヒド又は2-エチルヘキサナール又はベンズアルデヒド又はフルフラールとの縮合生成物;
- 芳香族アミン、例えばアニリン、トルイジン、4-アミノフェノール、4,4’-メチレンジフェニルジアミン、4,4’-メチレンジフェニルジ(N-メチル)アミン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンP)又は4,4’-[1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン(ビスアニリンM)。
【0091】
さらに適切なエポキシ樹脂は、脂肪族又は脂環式ポリエポキシドであり、特に、
- 飽和又は不飽和の、分岐又は非分岐の、環状又は開鎖の、二、三又は四官能性のC2~C30アルコール、特にエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ポリプロピレングリコール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、ヒマシ油、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビトール若しくはグリセロール又はアルコキシル化グリセロール若しくはアルコキシル化トリメチロールプロパンのグリシジルエーテル;
- 水素化ビスフェノールA、F若しくはA/F液状樹脂又は水素化ビスフェノールA、F若しくはA/Fのグリシジル化生成物;
- アミド又は複素環式窒素塩基のN-グリシジル誘導体、例えばトリグリシジルシアヌレート又はトリグリシジルイソシアヌレート又はエピクロロヒドリンとヒダントインとの反応生成物
である。
【0092】
さらに適切なエポキシ樹脂は、高いRCIを有するエポキシ樹脂、特にバイオベースのヒドロキシ官能性原料とバイオベースのエピクロロヒドリンとの反応からのものである。特に好ましいものは、特にバニリンアルコールジグリシジルエーテル又はビスバニリン誘導体のグリシジルエーテルなどのバニリンベースのエポキシ樹脂及び特にグリセロール又はポリグリセロールのグリシジルエーテルなどのグリセロールベースのエポキシ樹脂である。
【0093】
エポキシ樹脂は、好ましくは、液状樹脂又は2種以上の液状エポキシ樹脂を含む混合物である。
【0094】
「液状エポキシ樹脂」は、25℃未満のガラス転移温度を有する工業用ポリエポキシドを指す。
【0095】
樹脂成分は、任意選択的に、一定割合の固体エポキシ樹脂を追加的に含む。
【0096】
エポキシ樹脂は、特にビスフェノール又はノボラックをベースとする液体樹脂であり、特に156~210g/eqの範囲の平均エポキシ当量を有する。
【0097】
例えば、Olin、Huntsman又はMomentiveから市販されているようなビスフェノールAジグリシジルエーテル及び/又はビスフェノールFジグリシジルエーテルが特に適している。これらの液状樹脂はエポキシ樹脂としては低い粘度を有し、迅速な硬化及び高い硬度を可能にする。これらは、一定割合の固体のビスフェノールA樹脂又はノボラックエポキシ樹脂を含み得る。
【0098】
ビスフェノールAとバイオベースのエピクロロヒドリンとの反応からの、RCIが0.3であるビスフェノールAジグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0099】
特に2.3~4、好ましくは2.5~3の範囲の平均官能価を有するフェノール-ホルムアルデヒドノボラックグリシジルエーテルも特に好ましい。これらは、一定の割合の他のエポキシ樹脂、特にビスフェノールAジグリシジルエーテル又はビスフェノールFジグリシジルエーテルを含み得る。
【0100】
高いRCIを有するエポキシ樹脂、特にバニリンアルコールジグリシジルエーテル又はグリセロール若しくはポリグリセロールのグリシジルエーテルも特に好ましい。
【0101】
樹脂成分は、反応性希釈剤を含み得る。
【0102】
好ましい反応性希釈剤は、エポキシ基を含む反応性希釈剤、特にブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ-若しくはトリグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、グアイアコールグリシジルエーテル、4-メトキシフェニルグリシジルエーテル、p-n-ブチルフェニルグリシジルエーテル、p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル、4-ノニルフェニルグリシジルエーテル、4-ドデシルフェニルグリシジルエーテル、カルダノールグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル又は天然アルコールのグリシジルエーテル、例えば特にC8~C10若しくはC12~C14若しくはC13~C15アルキルグリシジルエーテルである。
【0103】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、0.2~1、特に0.5~1の範囲のRCIを有する少なくとも1種のエポキシ樹脂を含む。これにより、特に持続可能なエポキシ樹脂製品が可能になる。
【0104】
エポキシ樹脂組成物の硬化剤成分は、好ましくは、上述した式(I)の少なくとも1種のマンニッヒ塩基を含有する硬化剤を含む。
【0105】
特に、硬化剤成分は、上述した式(IV)の少なくとも1種のアミンをさらに含む。
【0106】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、シンナー、促進剤、充填剤、顔料及び界面活性添加剤からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる成分を含有する。
【0107】
適切なシンナー又は促進剤としては、既に述べたものが特に挙げられる。
【0108】
適切な充填剤は、特に、脂肪酸、特にステアリン酸塩で任意選択的に被覆された粉砕又は沈降炭酸カルシウム、バライト(重晶石)、タルク、石英粉末、石英砂、炭化ケイ素、鉄雲母、ドロマイト、ウォラストナイト、カオリン、マイカ(ケイ酸アルミニウムカリウム)、モレキュラーシーブ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、セメント、石膏、フライアッシュ、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末、例えばアルミニウム、銅、鉄、亜鉛、銀又は鋼、PVC粉末又は中空ビーズ並びにバイオベースの充填剤、例えばリグニン粉末又は粉砕されたナッツ殻若しくは核果である。これらの中で、炭酸カルシウム、バライト、石英粉末、タルク、アルミニウム粉末、バイオベースの充填剤又はそれらの組み合わせが好ましい。
【0109】
適切な顔料としては、特に、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム(III)、有機顔料、カーボンブラック又は防食顔料、特に対イオンとして特にクロム、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、ストロンチウム又はこれらの金属の組み合わせを含有するリン酸塩、オルトリン酸塩又はポリリン酸塩が挙げられる。二酸化チタンが特に適している。
【0110】
適切な表面活性添加剤は、特に消泡剤、脱気剤、湿潤剤、分散剤、レベリング剤及び/又は分散パラフィンワックスである。
【0111】
エポキシ樹脂組成物は、任意選択的に、さらなる助剤及び添加剤、特に以下のものを含み得る:
- 反応性希釈剤、特に既に上述したもの又はエポキシ化大豆油若しくは亜麻仁油、アセトアセテート基を含む化合物、特にアセトアセチル化ポリオール、ブチロラクトン、カーボネート、アルデヒド、イソシアネート又は反応性基を有するシリコーン;
- ポリマー、特にポリアミド、ポリスルフィド、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PUR)、カルボキシル基を有するポリマー、ポリアミド、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、不飽和モノマーのホモポリマー又はコポリマー、特にエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、酢酸ビニル又はアルキル(メタ)アクリレートを含む群からのもの、特にクロロスルホン化ポリエチレン又はフッ素含有ポリマー又はスルホンアミド変性メラミン;
- 繊維、特にガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、ポリマー繊維、例えばポリアミド繊維若しくはポリエチレン繊維又はバイオベースの繊維、例えば特に木質繊維、セルロース繊維、麻繊維、亜麻(リネン)繊維、ジュート繊維若しくはココナッツ繊維;
- ナノフィラー、特にカーボンナノチューブ;
- レオロジー調整剤、特に増粘剤又は沈降防止剤;
- 接着性向上剤、特にオルガノアルコキシシラン;
- 難燃性物質、特に前述した水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム充填剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、ホウ酸(B(OH)3)、ホウ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸メラミン、シアヌル酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリ臭素化ジフェニルオキシド又はジフェニルエーテル、ホスフェート、例えば特にジフェニルクレジルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー、テトラフェニルレゾルシノールジホスファイト、エチレンジアミンジホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロイソプロピル)ホスフェート、トリス[3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド)、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタン又はクロロパラフィン;又は
- 酸化、熱、光若しくは紫外線に対する安定剤又は殺生物剤。
【0112】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、少ない含有量のシンナーのみ含有する。これは、好ましくは、20重量%未満、特に好ましくは10重量%未満、特に5重量%未満、最も好ましくは1重量%未満のシンナーを含有する。
【0113】
エポキシ樹脂組成物は、水を含み得る。
【0114】
一実施形態では、エポキシ樹脂組成物は、水性である。エポキシ樹脂は、好ましくは、50重量%~85重量%の量で水に乳化され、硬化剤成分は、好ましくは、20重量%~80重量%の水を含む。
【0115】
エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、少ない含有量の水のみを含み、好ましくは5重量%未満、特に1重量%未満の水のみを含む。そのような非水性エポキシ樹脂組成物は、特に汎用性が高く、特に耐水性を有する。
【0116】
以下のものを含むエポキシ樹脂組成物が好ましい:
- 少なくとも1種のエポキシ樹脂と、任意選択的にさらなる成分、例えば特にエポキシ基を含む反応性希釈剤、シンナー、充填剤、顔料及び/又は表面活性添加剤とを含む樹脂成分;
- 少なくとも1種の式(I)のマンニッヒ塩基と、任意選択的にさらなる成分、例えば特にさらなるアミン、促進剤及び/又はシンナーとを含む硬化剤成分。
【0117】
エポキシ樹脂組成物の樹脂成分と硬化剤成分とは、別々の容器に保管される。
【0118】
樹脂成分又は硬化剤成分の保管に適した容器は、特にバット、ホボック、袋、バケツ、缶、カートリッジ又はチューブである。成分は保管可能である。すなわち、それらは、使用前に数ヶ月から最大1年又はそれ以上、使用に関連する程度までそれぞれの特性を変化させることなく保管することができる。
【0119】
樹脂成分と硬化剤成分とは、塗布の直前又は塗布中に混合される。混合比は、好ましくは、エポキシ基に対するエポキシ基反応性基のモル比が0.5~1.5、特に0.7~1.2の範囲となるように選択される。重量部では、樹脂成分と硬化剤成分との混合比は、典型的には、1:2~20:1の範囲内である。
【0120】
成分の混合と塗と布の間に時間が経過しすぎないように、また塗布がポットライフ内に行われるように注意しながら、成分は、適切な方法で連続的に又はバッチ式で混合される。混合及び塗布は、典型的には、約5℃~40℃の範囲、好ましくは約10℃~35℃の範囲である周囲温度又は特に40℃~150℃、好ましくは50℃~120℃の範囲である高温で行うことができる。
【0121】
成分が混合されると、化学反応によるエポキシ樹脂組成物の硬化が始まる。一級及び二級アミノ基並びにエポキシ基に対して反応性を有する存在する追加の基は、エポキシ基と反応してこれを開環させる。さらに、式(I)のマンニッヒ塩基は、エポキシ基の単独重合を触媒する。主にこれらの反応の結果として、組成物は、重合し、それにより硬化する。
【0122】
硬化は、典型的には、数時間~数日を要する。継続時間は、温度、成分の反応性、その化学量論及び促進剤の存在/量などの要因に依存する。
【0123】
混合したての状態では、エポキシ樹脂組成物は、低粘度である。樹脂成分と硬化剤成分とを20℃で混合してから5分後の粘度は、コーンプレート粘度計を使用して10s-1のせん断速度で測定したとき、好ましくは0.1~20Pa・s、好ましくは0.2~10Pa・s、より好ましくは0.25~5Pa・sの範囲である。
【0124】
エポキシ樹脂組成物は、少なくとも1つの基材及び/又は少なくとも1つの鋳型に適用される。
【0125】
適切な基材は、特に、
- ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、セメントスクリード、繊維セメント、レンガ、タイル、漆喰又は花崗岩若しくは大理石などの自然石;
- PCC(ポリマー改質セメントモルタル)又はECC(エポキシ樹脂改質セメントモルタル)に基づく補修コンパウンド又はレベリングコンパウンド;
- アルミニウム、鉄、鋼、銅、他の非鉄金属などの金属又は合金(亜鉛メッキ又はクロムメッキされた金属などの表面仕上げされた金属又は合金を含む);
- アスファルト又はビチューメン;
- 革、布地、紙、木材、樹脂(例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂又はエポキシ樹脂)と接合された木質材料、樹脂-布地複合材料又はさらなるポリマー複合材料;
- 硬質及び軟質のPVC、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、PMMA、ABS、SAN、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PUR、POM、TPO、PE、PP、EPM又はEPDMなどのプラスチック(いずれも未処理であるか、又は例えばプラズマ、コロナ若しくは火炎などによって表面処理されたもの);
- 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、天然繊維強化プラスチック(NFRP)及びシートモールディングコンパウンド(SMC)などの繊維強化プラスチック;
- 断熱フォーム、特にEPS、XPS、PUR、PIR、ロックウール、グラスウール又は発泡ガラスから製造されたもの;
- コーティング又は塗装された基材、特に塗装されたタイル、コーティングされたコンクリート、パウダーコーティングされた金属若しくは合金又は塗装された金属シート;
- コーティング、塗料又はワニス、特に追加の床被覆層でオーバーコートされたコーティングされた床
である。
【0126】
基材は、必要に応じて、塗布前に、特に物理的及び/若しくは化学的な洗浄方法又は活性化剤若しくはプライマーの塗布によって前処理することができる。
【0127】
基材は、特にコーティング及び/又は接着により接合される。
【0128】
適切な鋳型は、混合された液状エポキシ樹脂組成物をその中に流し入れて中で硬化させることができ、硬化後にそこから離型すること又は取り出すことができ、硬化した組成物が成形体を形成する器具である。
【0129】
鋳型は、好ましくは、硬化したエポキシ樹脂組成物を傷付けることなく再び離すことができる表面の材料、特に金属、セラミック、プラスチック又はシリコーンから製造されており、任意選択的に非粘着性コーティング、特にテフロン(登録商標)、シリコーン又はワックスの非粘着性コーティングを備えている材料から少なくとも構成される。
【0130】
本発明は、樹脂成分と硬化剤成分とを混合した後に本記載のエポキシ樹脂組成物から得られる硬化した組成物をさらに提供する。
【0131】
エポキシ樹脂組成物は、コーティング、プライマー、接着剤、シーラント、ポッティングコンパウンド、注型樹脂、含浸樹脂として、又は成形体として、又は特にCFRP(炭素繊維を含む)、GFRP(ガラス繊維を含む)、NFRP(天然繊維を含む)若しくは木材複合材料などの複合材料のためのマトリックスとして好ましくは使用される。
【0132】
この使用により、本記載のエポキシ樹脂組成物から構成される硬化した組成物を含む物品が得られる。
【0133】
物品は、特に床のコーティング、壁のコーティング、部品のコーティング、パイプのコーティング、屋根のコーティング若しくは防食コーティング又は接着接合された物品若しくは成形体、特に複合材料である。
【実施例】
【0134】
以降では、記載されている発明をさらに明らかにすることを目的とした実施例を提示する。本発明は、当然のことながら、これらの記載されている実施例に限定されない。
【0135】
「AHEW」は、アミン水素当量を表す。
【0136】
「EEW」は、エポキシ当量を表す。
【0137】
「標準気候条件」(「SCC」)は、23±1℃の温度且つ50±5%の相対大気湿度を表す。
【0138】
別段の記載がない限り、使用した化学薬品は、Sigma-Aldrich Chemie GmbHからのものであった。
【0139】
測定方法の説明:
粘度は、サーモスタット付きRheotec RC30コーンプレート粘度計(コーン径50mm、コーン角1°、コーン先端プレート距離0.05mm、せん断速度10s-1)で測定した。100mPa・s未満の粘度は100s-1のせん断速度で測定した。
【0140】
アミン価は滴定(クリスタルバイオレットに対して、酢酸中0.1NのHClO4を使用)によって決定した。
【0141】
ガスクロマトグラム(GC)は、15℃/分の加熱速度、320℃における実行時間10分で、60℃~320℃の温度範囲内で測定した。インジェクター温度は250℃であった。Zebron ZB-5カラムを1.5ml/分のガス流量で使用した(L=30m、ID=0.25mm、dj=0.5μm)。検出は水素炎イオン化(FID)により行った。
【0142】
1H NMRスペクトルは、Bruker Ascend400タイプの分光計で400.14MHzにおいて測定した。ケミカルシフトδは、テトラメチルシラン(TMS)に対するppmで報告される。真のカップリングパターンと擬似カップリングパターンは区別されなかった。
【0143】
物質及び使用された略語:
Ancamine(登録商標)K54:2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Evonikから)
Jeffamine(登録商標)D-230:ポリオキシプロピレンジアミン、平均分子量230g/mol、AHEW 60g/eq(Huntsmanから)
F-EDA:N-フルフリルエタン-1,2-ジアミン、AHEW 46.7g/eq、RCI 0.71、下記の通りに調製
B-EDA:N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン、AHEW50.1g/eq、下記の通りに調製
Araldite(登録商標)GY 250:ビスフェノールAジグリシジルエーテル、EEW約187g/eq(Huntsmanから)
Araldite(登録商標)DY-E:C12~C14アルコールのモノグリシジルエーテル、EEW 約290g/eq(Huntsmanから)
カルダノール Cardolite(登録商標)NX-2026(Cardoliteから)
【0144】
アミンの調製:
N-フルフリルエタン-1,2-ジアミン(F-EDA):
丸底フラスコに窒素雰囲気下において室温でエタン-1,2-ジアミン105.2g(1.75mol)を最初に入れた。よく撹拌しながら、イソプロパノール200ml中のフルフラール(フラン-2-カルバルデヒド、RCI=1)48.05g(0.5mol)の溶液を添加し、撹拌を40℃で1時間継続した。次いで、反応混合物をさらに1000mlのイソプロパノールと混合し、その後、Pd/C固定床触媒を備えた連続水素化装置内で、水素圧80bar、温度80℃、流量5ml/分で水素化した。IR分光法を使用して反応を監視し、約1665cm-1のイミンのバンドが消失したか否かを確認した。その後、水素化した溶液を65℃においてロータリーエバポレーターで濃縮して、未反応のエタン-1,2-ジアミン、水及びイソプロパノールを除去した。
【0145】
次いで、41.2gのこの反応混合物を70℃で減圧蒸留し、約50℃の蒸気温度及び0.1barで25.6gの留出物を回収した。これにより、アミン価が802mgKOH/gであり、AHEWが約46.7g/eqであり、RCIが0.71であり、粘度が20℃で3.2mPa・sであり、GCにより決定されるN-フルフリルエタン-1,2-ジアミンの含有量が94.6重量%であり、N-テトラヒドロフルフリルエタン-1,2-ジアミンの含有量が5.3重量%である無色の液体が得られた。これを以降でF-EDAとして使用した。
1H NMR(CDCl3):7.33(d,1H,Ar-H),6.27(m,1H,Ar-H),6.14(m,1H,Ar-H),3.76(s,2H,Ar-CH2),2.78(m,2H,NHCH2CH2),2.65(m,2H,CH2NH2),1.52(br s,3H,NH及びNH2).
【0146】
N-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(B-EDA):
180.3g(3mol)のエタン-1,2-ジアミンの初期装入物を、イソプロパノール1200ml中のベンズアルデヒド106.0g(1mol)の溶液と室温で混合し、2時間撹拌した後、固定床Pd/C触媒を備えた連続水素化装置内で、80℃、水素圧80bar、流量5ml/分で水素化し、水素化した溶液を65℃のロータリーエバポレーターで濃縮し、未反応のエタン-1,2-ジアミン、水及びイソプロパノールを除去した。得られた反応混合物を80℃で減圧蒸留することにより精製した。これにより、GCにより決定されるN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン含有量が>97%の無色液体が得られた。
【0147】
マンニッヒ塩基の調製:
マンニッヒ塩基B-1:
吊り下げ式コールドトラップを備えた丸底フラスコ(50重量%の酢酸水溶液を充填し、コールドフィンガーにドライアイスを入れ、氷浴で冷却した)に、窒素雰囲気で13.25g(0.05mol)の2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Ancamine(登録商標)K54、Evonikから)を最初に入れ、撹拌しながら22.03g(0.15mol)のN-フルフリルエタン-1,2-ジアミン(F-EDA、RCI0.71、上記の通りに調製)を添加した。この反応混合物を窒素気流下で撹拌しながら140℃まで加熱し、コールドトラップ内に遊離したジメチルアミンを回収した。反応混合物のアミン価は、数時間以内に735mgKOH/gから576mgKOH/gまで低下した。その後、反応混合物を室温まで冷却した。これにより、20℃における粘度が13.5Pa・sであり、RCIが0.5であり、推定されるAHEWが約92g/eqである2,4,6-トリス((2-フルフリルアミノエチル)アミノメチル)フェノールを含む黄色がかった透明な液体が得られた。
【0148】
HPLC-MSによる分析から、マンニッヒ塩基B-1は0.5重量%未満の2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールを含んでいたことが示された。
【0149】
マンニッヒ塩基B-2:
吊り下げ式コールドトラップを備えた丸底フラスコ(50重量%の酢酸水溶液を充填し、コールドフィンガーにドライアイスを入れ、氷浴で冷却した)に、窒素雰囲気で13.25g(0.05mol)の2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Ancamine(登録商標)K54、Evonikから)を最初に入れ、撹拌しながら14.20g(0.10mol)のN-フルフリルエタン-1,2-ジアミン(F-EDA、RCI0.71、上記の通りに調製)及び6.00g(0.025mol)のポリオキシプロピレンジアミン(Jeffamine(登録商標)D-230、平均分子量230g/mol、Huntsmanから)を添加した。この反応混合物を窒素気流中で撹拌しながら140℃まで加熱し、コールドトラップ内に遊離したジメチルアミンを回収した。反応混合物のアミン価は、数時間以内に677mgKOH/gから524mgKOH/gまで低下した。その後、反応混合物を室温まで冷却した。20℃における粘度が6.2Pa・sであり、推定されるAHEWが約105g/eqである黄色がかった透明な液体が得られた。
【0150】
マンニッヒ塩基B-3:
丸底フラスコに、最初に20.00g(67mmol)のカルダノール(RCI1)及び9.34g(67mmol)のN-フルフリルエタン-1,2-ジアミン(F-EDA、RCI0.71、上記の通りに調製)を入れ、2.00g(67mmol)のパラホルムアルデヒドを添加した。反応混合物を窒素雰囲気で3時間撹拌しながら100℃まで加熱し、次いで減圧下、65℃においてロータリーエバポレーターで揮発性成分を除去した。これにより、アミン価が247mgKOH/gである黄色がかった透明な液体27.2gが得られた。
1H NMR(CDCl3):7.56(d,1H,Ar-Hフラン),6.67(d,1H,Ar-Hカルダノール),6.55(t,2H,Ar-Hカルダノール),6.37(m,1H,Ar-Hフラン),6.27(d,1H,Ar-Hフラン),5.36(m,4H,2xCH=CH),3.71及び3.38(s,2H,Ar(カルダノール)-CH2-N),3.65(s,2H,Ar(フラン)-CH2-N),2.77(m,2H,Ar(カルダノール)-CH2-C),2.51(m,4H,NCH2CH2N),1.99(m,4H,2xC-CH2-C),1.51(m,2H,2xC-CH2-C),1.27(m,10H,5xC-CH2-C),0.85(m,3H,CH3).
【0151】
マンニッヒ塩基R-1:
マンニッヒ塩基B-1について記載したように、窒素雰囲気下において13.25g(0.05mol)の2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(Ancamine(登録商標)K54、Evonikから)の初期装入物を撹拌しながら22.50g(0.15mol)のN-ベンジルエタン-1,2-ジアミン(B-EDA、上記の通りに調製)と反応させた。反応混合物のアミン価は、数時間以内に705mgKOH/gから565mgKOH/gまで低下した。その後、反応混合物を室温まで冷却した。20℃における粘度が44.2Pa・sであり、推定されるAHEWが約96.7g/eqである黄色がかった透明な液体が得られた。
【0152】
マンニッヒ塩基B-1は、本発明の実施例であり、式(Ic)のマンニッヒ塩基を主に含む。マンニッヒ塩基B-2は、本発明の実施例であり、式(Ic)のマンニッヒ塩基に加えて、さらに式(VI)のマンニッヒ塩基を含む。マンニッヒ塩基B-3は、本発明の実施例であり、式(Ia)のマンニッヒ塩基を主に含む。マンニッヒ塩基R-1は、参考例であり、比較としての役割を有する。
【0153】
エポキシ樹脂組成物の製造:
実施例Z-1~Z-4及びRef-1~Ref-4:
各実施例について、表1及び2で規定した樹脂成分の原料を、遠心ミキサー(Speed Mixer(商標)DAC150、FlackTek Inc.)を使用して規定量(重量部)で混合し、水分を排除して保管した。
【0154】
表1及び2に規定されている硬化剤成分の原料も同様に処理し、保管した。
【0155】
次いで、各組成物の2つの成分を、遠心ミキサーを用いて均一な液体が得られるように処理し、前記液体を直ちに以下通りに試験した。
【0156】
粘度は、樹脂成分と硬化剤成分とを混合してから5分後、記載の通りに20℃の温度で測定した。
【0157】
ゲルタイムは、標準気候条件で新たに混合した約3gの量を、塊がゲル化するまで一定の間隔においてスパチュラで動かすことによって決定した。
【0158】
ショアD硬度は、一方は標準気候条件で、他方は8℃且つ相対湿度80%で保管した2つの円筒型試験片(直径20mm、厚さ5mm)について、DIN 53505に従って決定し、硬度は、それぞれの場合に1日後(24時間後)及び2日後に測定した。
【0159】
さらに、ガラス板に500μmの層厚さでフィルムを塗布し、これを標準気候条件で保管/硬化した。このフィルムについて、1日後、2日後、7日後及び14日後(1d SCC)、(2d SCC)、(7d SCC)、(14d SCC)のケーニッヒ硬度(DIN EN ISO1522のケーニッヒ振り子硬度)を決定した。14日後、フィルムの外観(SCC)を評価した。透明なフィルムは、光沢のある非粘着性表面を有し、構造がないものを「魅力的」と表現した。「構造」とは、表面上のあらゆる種類の模様又はパターンを指す。
【0160】
ガラス板に500μmの層厚さでさらなるフィルムを塗布し、塗布直後に8℃且つ相対湿度80%で7日間、その後標準気候条件で2週間、保管/硬化した。塗布してから24時間後、湿らせたスポンジを下に置いたポリプロピレン製のボトルの蓋をフィルム上に置いた。さらに24時間後、スポンジとボトルの蓋を取り除き、フィルム上の新しい位置に配置し、さらに24時間後にその位置からこれらを取り除いて置き直し、これを合計4回行った。その後、このフィルムの外観を、外観(SCC)について記載した方法と同じ方法で評価した(表では「外観(8°/80%)」と表す)。ここで、それぞれの場合、湿ったスポンジ又はボトルの蓋を上に置いた結果としてフィルムに形成された目に見える跡の数と性質も報告した。白く変色したスポットの数は「ブラッシング」と報告した。かすかに白く変色したスポットは「(1)」と表した。はっきりと白く変色したスポットは「(1)」とした。塗布してから24時間後に、適用した最初のボトルの蓋の沈み込みに起因するリング形状の跡が存在した場合、「リング」という表現で報告した。そのようなリング形状の跡は、コーティングが依然として歩ける状態ではなかったことを示す。塗布してから24時間後の、適用した最初のボトルの蓋の沈み込みに起因する非常にわずかな跡を「(あり)」と報告し、透明な跡を「(あり)」と報告した。このようにして硬化したフィルムについて、それぞれ8℃且つ相対湿度80%で7日後(ケーニッヒ硬度(7d 8°/80%))、その後さらにSCCで2日後(ケーニッヒ硬度(+2d SCC))、SCCで7日後(ケーニッヒ硬度(+7d SCC))及びSCCで14日後(ケーニッヒ硬度(+14d SCC))に、ケーニッヒ硬度を再度決定した。
【0161】
結果は、表1及び表2に報告されている。
【0162】
エポキシ樹脂組成物Z-1~Z-4は、本発明の実施例である。エポキシ樹脂組成物Ref-1~Ref-4は、比較例である。
【0163】
【0164】
【国際調査報告】