IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2024-543070多焦点結像を容易にする制御電圧閾値選択
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】多焦点結像を容易にする制御電圧閾値選択
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
G03F7/20 505
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527783
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-07-09
(86)【国際出願番号】 US2022049842
(87)【国際公開番号】W WO2023096768
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/283,804
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513192029
【氏名又は名称】サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】イマーム,エムディー,フセイン,タウフィック
(72)【発明者】
【氏名】パウデル,ラビン
(72)【発明者】
【氏名】パドマバンドゥ,ガマラララゲ,ジー.
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197AA06
2H197CA07
2H197DB03
2H197DB11
2H197HA03
(57)【要約】
アクチュエータに接続された光学要素を動かすことによって別々の波長のパルスが生成され、且つパルスバースト内の所与のパルスの位置に応じて閾値上限を有する指令電圧によってアクチュエータが駆動されるシステムにおいて使用される装置及び方法が開示される。
【選択図】 図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ装置の光学アセンブリ内の光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、前記第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を含むレーザ放射のパルスバーストを生成するように適合されたレーザ装置であって、
前記パルスバーストを開始するためのトリガと、
前記パルスバーストにおいて発生したパルスの数の実行カウントを提供するためのパルスカウンタと、
電圧指令信号の制御下で前記光学素子の前記位置を制御するように前記光学素子に機械的に結合された電気作動可能素子(EAE)と、
前記EAEに電気的に接続された電圧コントローラと、を備え、
前記電圧コントローラは、前記パルスカウンタから前記実行カウントを受け取るように配置され、前記電圧コントローラは、前記電圧指令信号を生成するように適合され、前記電圧コントローラは、前記バーストが開始されたときから前記実行カウントが第1の所定値に達するまで、第1の電圧上限を前記電圧指令信号に適用するように構成され、前記電圧コントローラは、前記実行カウントが前記第1の所定値を超えた後に、第2の電圧上限を前記電圧指令信号に適用するように構成される、レーザ装置。
【請求項2】
前記第1の所定値は、前記EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントである、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記電圧コントローラは、前記実行カウントが、前記EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントに等しい第2の所定値を超えた後に、第3の電圧上限を前記電圧指令信号に適用する、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記第1の電圧上限は、前記第2の電圧上限より大きい、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項5】
第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、前記第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を生成するように適合されたレーザ装置であって、
パルスバーストの開始以降に発生したパルスの数の実行カウントを提供するように構成されたパルスカウンタと、
光学素子に機械的に結合され、且つ指令信号の制御下で前記光学素子の位置を調整するように構成された電気作動可能素子(EAE)であって、前記パルスバースト内のパルスのそれぞれの波長が前記光学素子の前記位置に少なくとも部分的に基づいている、EAEと、
前記EAEに電気的に接続され、前記実行カウントを前記パルスカウンタから受け取るように配置され、且つ前記指令信号を生成するように適合されたコントローラであって、前記実行カウントに少なくとも部分的に基づいて、前記指令信号に適用される信号上限を変更するように適合される、コントローラと、を備えるレーザ装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記実行カウントが、前記EAEがその応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したことに対応する所定の値に達したときに所定の信号上限を提供するように適合される、請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記実行カウントが、前記EAEがその応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したことに対応する所定の値に達したときに所定の信号上限を提供するように適合される、請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記実行カウントが、前記EAEがその応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したことに対応する第1の所定値に達したときに第1の所定信号上限を提供するように適合され、前記コントローラは、前記実行カウントが、前記EAEがその応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したことに対応する第2の所定値に達したときに第2の所定信号上限を提供するように適合され、前記第1の所定信号上限は、前記第2の所定信号上限より大きい、請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項9】
レーザ装置の光学アセンブリ内の光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、前記第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を含むレーザ放射のパルスバーストを生成するように適合されたレーザ装置を動作させる方法であって、前記光学素子の前記位置は、前記光学素子に機械的に結合された電気作動可能素子(EAE)によって決定され、前記方法は、
前記パルスバーストを生成することと、
前記パルスバーストを生成することと同時に、前記パルスバーストにおいて発生したパルスの数をカウントして前記パルスの実行カウントを提供することと、
前記EAEに対する指令電圧を生成することであって、前記指令電圧は前記実行カウントに少なくとも部分的に基づいて電圧上限を有する、生成することと、を含む方法。
【請求項10】
前記バーストが開始されたときから前記実行カウントが第1の所定値に達したときまで、第1の電圧上限が前記指令電圧に適用され、前記実行カウントが第2の所定値に達したときに、第2の電圧上限が前記指令電圧に適用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の所定値は、前記EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の所定値は、前記EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の所定値は、前記EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであり、前記第2の所定値は、前記EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであり、前記第1の電圧上限は、前記第2の電圧上限より大きい、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、「CONTROL VOLTAGE THRESHOLD SELECTION TO FACILITATE MULTIFOCAL IMAGING」という名称の2021年11月29日に出願された米国出願第63/283,804の優先権を主張するものであり、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本開示は、深紫外線(DUV)を使用して単一のリソグラフィ露光パスにおいて複数の空間像を形成する方法及び装置に関する。本明細書に記載のシステムは、例えば、3次元半導体コンポーネントを形成するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
[0003] フォトリソグラフィは、半導体回路をシリコンウェーハなどの基板の上にパターニングするプロセスである。フォトリソグラフィ光学源は、ウェーハ上のフォトレジストを露光するために用いられるDUV光を提供する。フォトリソグラフィ用のDUV光は、エキシマ光学源によって生成される。多くの場合、光学源はレーザ源であり、パルス光ビームはパルスレーザビームである。光ビームは、ビーム伝送ユニット、レチクル、又はマスクを通過し、その後、用意されたシリコンウェーハ上に投射される。このようにしてチップ設計がフォトレジスト上にパターニングされ、このフォトレジストは次にエッチング及び洗浄され、その後、このプロセスは繰り返される。
【0004】
[0004] 用途によっては、ウェーハに対して2つ以上の深さでパターン形成を行うことが望ましい。2つの深さの場合、連続するパルスの波長は、第1の波長と第2の波長との間でパルスごとに交互になり、波長の差により、第1の波長を有するパルスは第1のレベルに合焦され、第2の波長を有するパルスは第2のレベルで合焦される。これを実現するために、光学列内の要素が2つの角度位置間で前後に移動され、この要素が複数の位置のうちの1つにあるときに光源は第1の波長を有する光を生成し、この要素が他の位置にあるときに第2の波長を有する光を生成する。要素は、電気作動要素(EAE)、例えば圧電トランスデューサ(PZT)、ステッピングモータ、バルブ、圧力制御デバイス、電磁石、ソレノイド、別の種類の圧電デバイス、リニアモータ、油圧アクチュエータ、ボイスコイル、及び/又は制御信号の指令の下で駆動力を生成可能なその他の種類のデバイスによって、指令電圧の制御下で動かされる。
【0005】
[0005] 一般的には、EAEを駆動する必要があるときの速度と、EAEが生成する必要がある機械的動作の大きさとにより、EAEをその能力の限界まで駆動する必要がある。特に、EAEに過度の電圧(オーバードライブ)を印加しないように注意する必要がある。そうでなければ、EAEが破損するおそれがある。同時に、EAEは、波長制御が損なわれないように駆動する必要がある。このような状況において、開示された主題の実施形態が生じることになる。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 以下では、実施形態を基本的に理解するために、1つ以上の実施形態の簡潔な概要を示す。この概要は、検討されている全ての実施形態の広範な概要ではなく、全ての実施形態の主要な又は重要な要素を特定すること、いずれか又は全ての実施形態の範囲に制限を設けることを意図したものではない。その唯一の目的は、以降に提示されるより詳細な説明の前置きとして、1つ以上の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【0007】
[0007] 実施形態の一態様によれば、レーザ装置の光学アセンブリ内の光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を含むレーザ放射のパルスバーストを生成するように適合されたレーザ装置であって、パルスバーストを開始するためのトリガと、パルスバーストにおいて発生したパルスの数の実行カウントを提供するためのパルスカウンタと、電圧指令信号の制御下で光学素子の位置を制御するように光学素子に機械的に結合されたEAEと、EAEに電気的に接続され、パルスカウンタから実行カウントを受け取るように配置され、且つ電圧指令信号を生成するように適合された電圧コントローラと、を備え、電圧コントローラは、バーストが開始されたときから実行カウントが第1の所定値に達するまで、第1の電圧上限を電圧指令信号に適用し、且つ実行カウントが第1の所定値を超えた後に、第2の電圧上限を電圧指令信号に適用する、レーザ装置が開示される。
【0008】
[0008] 第1の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであり得る。電圧コントローラは、実行カウントが、EAEがその電圧応答動作のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントに等しい第2の所定値を超えた後に、第3の電圧上限を電圧指令信号に適用し得る。第1の電圧上限は、第2の電圧上限より大きい。
【0009】
[0009] 実施形態の別の態様によれば、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を生成するように適合されたレーザ装置であって、パルスバーストにおいて発生したパルスの数の実行カウントを提供するためのパルスカウンタと、光学素子に機械的に結合されて電圧指令信号の制御下で光学素子の位置を決定することで、光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいてパルスバースト内のパルスのそれぞれの波長を変えるEAEと、EAEに電気的に接続され、カウントをパルスカウンタから受け取るように配置され、且つ指令信号を生成するように適合されたコントローラであって、実行カウントに少なくとも部分的に基づいて、指令信号に適用される上限を変更するように適合される、コントローラと、を備えるレーザ装置が開示される。
【0010】
[0010] 複数の所定の値のうちの1つが、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよい。また、複数の所定の値のうちの1つが、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよい。
【0011】
[0011] 複数の所定の値のうちの1つが、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよく、複数の所定の値のうちの第2の所定の値が、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよく、第1の電圧上限は、第2の電圧上限より大きくてよい。
【0012】
[0012] 一実施形態の別の態様によれば、レーザ装置の光学アセンブリ内の光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を含むレーザ放射のパルスバーストを生成するように適合されたレーザ装置を動作させる方法であって、光学素子の位置は、光学素子に機械的に結合されたEAEによって決定され、この方法は、パルスバーストを生成することと、パルスバーストを生成することと同時に、パルスバーストにおいて発生したパルスの数をカウントしてパルスの実行カウントを提供することとと、EAEに対する指令電圧を生成することであって、指令電圧は実行カウントに少なくとも部分的に基づいて電圧上限を有する、生成することと、を含む方法が開示される。
【0013】
[0013] バーストが開始されたときから実行カウントが第1の所定値に達したときまで、第1の電圧上限が指令電圧に適用されてよく、実行カウントが第2の所定値に達したときに、第2の電圧上限が指令電圧に適用されてよい。第1の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよい。第2の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよい。第1の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよく、第2の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであってよく、第1の電圧上限は、第2の電圧上限より大きくてよい。
【0014】
[0014] 本発明の更なる実施形態、特徴、及び利点、並びに様々な実施形態の構造及び動作を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】[0015] フォトリソグラフィシステムの一実施の例を示すブロック図である。
図1B】[0016] 図1Aのフォトリソグラフィシステム用の光学システムの一実施の例を示すブロック図である。
図1C】[0017] 図1Aのフォトリソグラフィシステムによって露光されたウェーハの一例を示す断面図である。
図2A】[0018] フォトリソグラフィシステムの一実施の別の例を示すブロック図である。
図2B】[0019] 図2Bは、フォトリソグラフィシステムにおいて使用することができるスペクトルフィーチャ選択モジュールの一実施の例を示すブロック図である。
図2C】[0020] 図2Cは、線狭化モジュールの一実施の例を示すブロック図である。
図3A】[0021] 光学源におけるパルス及び/又はパルスバーストの生成に関連するデータのプロットである。
図3B】[0021] 光学源におけるパルス及び/又はパルスバーストの生成に関連するデータのプロットである。
図3C】[0021] 光学源におけるパルス及び/又はパルスバーストの生成に関連するデータのプロットである。
図4】[0022] フォトリソグラフィシステムの一実施の別の例を示すブロック図である。
図5】[0023] 3次元半導体コンポーネントを形成するプロセスの例を示すフローチャートである。
図6A】[0024] 単一の光パルスの光スペクトルの例を示す。
図6B】[0024] 単一の光パルスの光スペクトルの例を示す。
図7】[0025] 単一の露光パスの平均光スペクトルの例を示す。
図8A】[0026] ウェーハの例の側面断面図を示す。
図8B】[0026] ウェーハの例の上面断面図を示す。
図9A】[0027] 3次元半導体コンポーネントの例の側面断面図を示す。
図9B】[0027] 3次元半導体コンポーネントの例の上面断面図を示す。
図10A】[0028] 固定振幅ディザリング電圧に応じて典型的なEAEステージの動態を示すグラフである。
図10B】[0029] 図10Aに示す動態をもたらすために使用されるEAEステージを駆動する固定振幅ディザリング電圧を示すグラフである。
図11】[0030] 最大電圧上限を適用したフィードフォワード制御アルゴリズムによって達成されるバーストの過渡領域中の波長プロファイルを示すグラフである。
図12A】[0031] EAE指令電圧をパルスインデックスの関数として示すグラフである。
図12B】[0032] 図12Aの指令電圧波形を使用してEAEが駆動されるシステムに対するパルスインデックスの関数としてのパルス離隔距離エラーを示すグラフである。
図12C】[0033] 指令電圧波形の閾値が緩和されたシステムに対するパルスインデックスの関数としてのパルス離隔距離エラーを示すグラフである。
図13A-13B】[0034] 図13Aは、過渡領域の分割を示す固定振幅ディザリング電圧に応じて典型的なEAEステージの動態を示すグラフである。 [0035] 図13Bは、図13Aに示す動態をもたらすために使用されるEAEステージを駆動する固定振幅ディザリング電圧を示すグラフである。
図14】[0036] パルス数の関数としての閾値電圧を示す図である。
図15】[0037] パルス数の関数として閾値電圧を制御するプロセスを示すフローチャートである。
【0016】
[0038] 本発明の更なる特徴及び利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造及び動作を、添付の図面を参照しながら以下に詳細に説明する。なお、本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。そのような実施形態は例示のためにのみ本明細書で示される。本明細書の教示に基づいて、追加の実施形態が当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0039] 次に、図面を参照して様々な実施形態を説明するが、全体を通じて同じ要素を示すために同じ参照符号を使用する。以下の記載において、説明の目的で、1つ以上の実施形態の完全な理解を促すために、多くの具体的詳細を述べる。もっとも、いくつかの又は全ての場合において、後述するいずれの実施形態も、後述する具体的な設計詳細を採用することなく実行可能であることは明らかであろう。その他の場合においては、1つ以上の実施形態の記載を容易にするために、周知の構造及びデバイスがブロック図の形で示される。
【0018】
[0040] ただし、そのような実施形態をより詳細に説明する前に、本発明の実施形態が実施され得る例示的な環境を提示することが有益である。以下の記載及び特許請求の範囲において、「上方(up)」、「下方(down)」、「上(top)」、「下(bottom)」、「垂直方向(vertical)」、「水平方向(horizontal)」等の用語を使用することがある。これらの用語は、別段の支持が無い限り、相対的な向きだけを示し、重力に対するいずれの向きも必ずしも示さないことが意図される。
【0019】
[0041] 図1Aを参照すると、フォトリソグラフィシステム100は、光ビーム160をリソグラフィ露光装置169に提供する光学源(又は光源)105を含み、このリソグラフィ露光装置169は、ウェーハホルダ又はステージ171が受けるウェーハ170を処理する。光ビーム160は、時間的に互いに離れた光のパルスを含むパルス光ビームである。リソグラフィ露光装置169は、光ビーム160がウェーハ170に到達する前に通過する投影光学システム175と、メトロロジシステム172とを含む。メトロロジシステム172は、例えば、ウェーハ170及び/又はウェーハ170における光ビーム160の画像を捕捉することができるカメラ若しくはその他のデバイス、又は、ウェーハ170におけるx-y平面の光ビーム160の強度などの、光ビーム160の特性を表すデータを捕捉することができる光検出器を含み得る。リソグラフィ露光装置169は、液浸システム、又は乾式システムであってよい。フォトリソグラフィシステム100は、光源105及び/又はリソグラフィ露光装置169を制御するための制御システム150も含み得る。
【0020】
[0042] 超小型電子フィーチャは、例えば、ウェーハ170上の放射線感受性フォトレジスト材料の層を光ビーム160で露光することによって、ウェーハ170上に形成される。また、図1Bを参照すると、投影光学システム175は、スリット176と、マスク174と、レンズ177を含む投影対物レンズとを含む。光ビーム160は光学システム175に入り、スリット176に衝突し、また、ビーム160の少なくとも一部はスリット176を通過する。図1A及び図1Bの例では、スリット176は矩形であり、光ビーム160を細長い矩形の光ビームに成形する。パターンがマスク174上に形成され、このパターンによって、成形済み光ビームのどの部分がマスク174を透過し、どの部分がマスク174を遮断されるかが決定される。パターンの設計は、ウェーハ170上に形成される特定の超小型電子回路の設計によって決定される。
【0021】
[0043] 成形済み光ビームはマスク174と相互作用する。マスク174を透過した成形済み光ビームの一部は、投影レンズ177を通過し(そして投影レンズ177によって合焦されることもある)、ウェーハ170を露光する。マスク174を透過した成形済み光ビームの一部は、ウェーハ170のx-y平面に空間像を形成する。空間像は、マスク174と相互作用した後にウェーハ170に到達する光によって形成される強度パターンである。空間像はウェーハ170に存在し、通常x-y平面に延在する。
【0022】
[0044] システム100は、単一の露光パス中に複数の空間像を形成することができ、各空間像は、ウェーハ170内のz軸に沿った空間的に別個の場所に位置する。また、ウェーハ170のy-z平面における断面図を示す図1Cを参照すると、投影光学システム175は、単一の露光パスにおいて、z軸に沿った異なる平面における2つの空間像173a、173bを形成する。以下でより詳細に説明するように、空間像173a、173bの各々は、異なる主波長を有する光から形成される。
【0023】
[0045] z軸に沿った空間像の場所は、光学システム175(投影レンズ177とマスク174とを含む)の特性と光ビーム160の波長とによって決まる。レンズ177の焦点位置は、レンズ177に入射する光の波長によって決まる。したがって、光ビーム160の波長を変化させること、又は制御することにより、空間像の位置を制御することができる。単一の露光パス中に別々の主波長を有する光パルスを提供することにより、光学システム175(又は光学システム175の任意のコンポーネント)とウェーハ170をz軸に沿って互いに対して動かすことなく、z軸に沿ってそれぞれ異なる場所にある複数(2つ以上)の空間像を単一の露光パスにおいて形成することができる。
【0024】
[0046] 図1Aの例では、マスク174を通過する光は、投影レンズ177によって焦点面に合焦される。投影レンズ177の焦点面は、投影レンズ177とウェーハステージ171との間にあり、焦点面のz軸に沿った位置は、光学システム175の特性と光ビーム160の波長とによって決まる。空間像173a、173bは別々の波長を有する光から形成されるため、空間像173a、173bはウェーハ170内の別々の位置にある。空間像173a、173bは、z軸に沿って離隔距離179の分だけ互いに離れている。離隔距離179は、空間像173aを形成する光の波長と空間像173bを形成する光の波長との差によって決まる。
【0025】
[0047] 離隔距離179は、露光パス中にマスク174を通過するパルスの主波長を制御できることに起因して形成される。さらに、空間像173a及び173bは共に、同じ露光パス中にウェーハ170上に存在する。言い換えれば、システム100では、空間像173aを最初の露光パスにおいて形成し、空間像173bを2回目の後続の露光パスにおいて形成する必要がない。
【0026】
[0048] 第1の空間像173a内の光は部分178aにおいてウェーハと相互作用し、第2の空間像173b内の光は部分178bにおいてウェーハと相互作用する。これらの相互作用により、ウェーハ170上に、開口部や穴などの電子フィーチャやその他の物理的特性が形成され得る。空間像173a、173bはz軸に沿った別々の平面にあるため、空間像173a、173bを使用して、ウェーハ170上に3次元のフィーチャを形成することができる。例えば、空間像173aは周辺領域を形成するために使用されてよく、空間像173bはz軸に沿った異なる位置にあるチャネル、トレンチ、又は凹部を形成するために使用されてよい。そのため、本明細書で説明する技術は、3次元NANDフラッシュメモリコンポーネントなどの3次元半導体コンポーネントを形成するために使用されてよい。
【0027】
[0049] 単一の露光パスにおいて複数の空間像を形成することに関する追加の詳細を検討する前に、図2A図2C図3A図3C、及び図4に関して、光源105及びフォトリソグラフィシステム100の例示的な実施について検討する。
【0028】
[0050] 図2Aを参照すると、フォトリソグラフィシステム200のブロック図が示されている。システム200は、システム100(図1A)の一実施の例である。例えば、フォトリソグラフィシステム200において、光学源205が光学源105(図1A)として使用される。光学源205はパルス光ビーム260を生成し、このパルス光ビーム260はリソグラフィ露光装置169に提供される。光学源205は、例えば、パルス光ビーム260(レーザビームであり得る)を出力するエキシマ光学源であり得る。パルス光ビーム260は、リソグラフィ露光装置169に入ると、投影光学システム175を通過してウェーハ170上に投影される。このようにして、1つ以上の超小型電子フィーチャがウェーハ170上のフォトレジスト上にパターン形成され、その後、このフォトレジストは後続のプロセスステップの前に現像及び洗浄され、このプロセスは繰り返される。フォトリソグラフィシステム200は、制御システム250も含んでおり、図2Aの例では、制御システム250は、光学源205のコンポーネントとリソグラフィ露光装置169とに接続されて、システム200の様々な動作を制御する。制御システム250は、図1Aの制御システム250の一実施の例である。
【0029】
[0051] 図2Aに示す例では、光学源205は、シード光ビーム224をパワー増幅器(PA)230に提供する主発振器(MO)212を含む2段レーザシステムである。MO212及びPA230は、光学源205のサブシステム、又は光学源205の一部であるシステムであると見なされ得る。パワー増幅器230は、シード光ビーム224を主発振器212から受け取り、シード光ビーム224を増幅して、リソグラフィ露光装置169において使用するための光ビーム260を生成する。例えば、主発振器212は、パルス状のシード光ビームを放出してよく、シードパルスエネルギーはパルス当たり約1ミリジュール(mJ)であり、これらのシードパルスは、パワー増幅器230によって約10~15mJに増幅され得る。
【0030】
[0052] 主発振器212は、2つの細長い電極217を有する放電チャンバ240と、ガス混合物である利得媒体219と、電極217間でガスを循環させるためのファンとを含む。共振器が、放電チャンバ240の1つの側にある線狭化モジュール216と、放電チャンバ240の第2の側にある出力カップラ218との間に形成される。線狭化モジュール216は、放電チャンバ240のスペクトル出力を微調整する格子などの回折光学部品を含み得る。図2B及び図2Cは、線狭化モジュール216についての更なる詳細を提示している。
【0031】
[0053] 図2Bは、線狭化モジュール216の1つ以上のインスタンスを含むスペクトルフィーチャ選択モジュール258の一実施の例を示すブロック図である。スペクトルフィーチャ選択モジュール258は、光学源205内を伝播する光に結合する。実施によっては(図2Bに示すものなど)、スペクトルフィーチャ選択モジュール258は、主発振器212のチャンバ214からの光を受け取って、主発振器212内の波長や帯域幅などのスペクトルフィーチャの微調整を可能にする。
【0032】
[0054] スペクトルフィーチャ選択モジュール258は、ファームウェアとソフトウェアの任意の組み合わせの形態の電子機器を含むスペクトルフィーチャ制御モジュール254などの制御モジュールを含み得る。制御モジュール254は、スペクトルフィーチャ作動システム255_1~255_nなどの1つ以上の作動システムに接続される。作動システム255_1~255_nの各々は、光学システム257のそれぞれの光学フィーチャ256_1~256_nに接続された1つ以上のアクチュエータを含み得る。光学フィーチャ256_1~256_nは、生成された光ビーム260の特定の特徴を調整し、それによって光ビーム260のスペクトルフィーチャを調整するように構成される。制御モジュール254は、制御信号を制御システム250から受け取り、制御信号は、作動システム255_1~255_nのうちの1つ以上を操作又は制御するための特定の指令を含む。作動システム255_1~255_nは、共に、すなわち連携して動作するように選択及び設計することができ、又は、作動システム255_1~255_nは、個別に動作するように構成されてもよい。さらに、各作動システム255_1~255_nは、特定の種類の外乱に応じるように最適化されてもよい。
【0033】
[0055] 各光学フィーチャ256_1~256_nは、光学源105によって生成された光ビーム260に光学的に結合される。光学システム257は、図2Cに示すような線狭化モジュール216cとして実施され得る。線狭化モジュールは、光学フィーチャ256_1~256_nとして、反射格子291などの分散光学素子と、プリズム292、293、294、及び295などの屈折光学素子とを含む。プリズム292、293、294、及び295のうちの1つ以上は回転可能であり得る。この線狭化モジュールの例は、2012年3月27日発行の「System Method and Apparatus for Selecting and Controlling Light Source Bandwidth」という名称の米国特許第8,144,739号('739特許)に記載されている。'739特許では、ビームエクスパンダ(1つ以上のプリズム292、293、294、及び295を含む)及び格子291などの分散要素を含む線狭化モジュールが説明されている。
【0034】
[0056] 本明細書に引用されている全ての特許出願、特許、及び刊行物は、定義、主題の免責事項又は否認を除き、また、組み込まれた資料が本明細書に明示されている開示と矛盾する場合を除き、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書に開示の言語が優先される。
【0035】
[0057] 作動システム255_1~255_nの各アクチュエータは、光学システム257のそれぞれの光学フィーチャ256_1~256_nを動かすための、又は制御するためのEAEである。アクチュエータは、モジュール254からエネルギーを受け取り、そのエネルギーを、光学システム257の光学フィーチャ256_1~256_nに与えられる何らかの動きに変換する。例えば、'306出願では、力装置(力を格子の領域に付与する)、及びビームエクスパンダのプリズムのうちの1つ以上を回転させるための回転ステージなどの作動システムが記載されている。
【0036】
[0058] プリズム292、293、294、及び295のうちの1つ以上などの、光学フィーチャのそれぞれの作動システムは、図2Cにおいて、EAE292a、293a、294a、及び295aによって表されている。ミラーが存在し、回転することで、格子291への光線の入射角、ひいては放出される光の主な波長が変化し得る。共通する要因は、電圧指令信号の指令のもとで動作を引き起こすEAEが存在することである。したがって、一般に、線狭化モジュールは、モジュールから出る光の主な波長を変更するために回転する1つ以上の光学素子を含む。これらのEAEは、ディザリングと呼ばれるプロセスにおいて、光学素子を2つの位置(通常は2つの角度位置)間で非常に高速に移動可能である必要がある。
【0037】
[0059] 図2Aに戻ると、主発振器212は、出力カップラ218から出力光ビームを受け取る線中心解析モジュール220と、必要に応じて出力光ビームのサイズ又は形状を修正してシード光ビーム224を形成するビーム結合光学システム222も含む。線センター解析モジュール220は、シード光ビーム224の波長を測定又は監視するために使用することができる測定システムである。線中心解析モジュール220は、光学源205内の他の場所に配置されてよく、光学源205の出力に配置されてもよい。
【0038】
[0060] 放電チャンバ214内で使用されるガス混合物は、用途に必要な波長及び帯域幅で光ビームを生成するのに適した任意のガスであり得る。エキシマ光源の場合、ガス混合物は、緩衝ガスとして、ヘリウム及び/又はネオンの他に、アルゴン又はクリプトンなどの貴ガス(希ガス)、フッ素又は塩素などのハロゲン、及び微量のキセノンを含み得る。混合ガスの具体例としては、約193nmの波長で光を放出するフッ化アルゴン(ArF)、約248nmの波長で光を放出するフッ化クリプトン(KrF)、約351nmの波長で光を放出する塩化キセノン(XeCl)等が挙げられる。エキシマ利得媒体(ガス混合物)は、電圧を細長い電極217に印加することによって、高電圧放電において短い(例えばナノ秒)電流パルスでポンピングされる。
【0039】
[0061] パワー増幅器230は、シード光ビーム224を主発振器212から受け取り、光ビームを、放電チャンバ240を通ってビーム回転光学素子248に導くビーム結合光学システム232を含む。このビーム回転光学素子248は、シード光ビーム224の方向を修正又は変更して、放電チャンバ240に送り返す。放電チャンバ240は、一対の細長い電極241と、ガス混合物である利得媒体と、電極241間でガス混合物を循環させるためのファンとを含む。
【0040】
[0062] 出力光ビーム260は、帯域幅解析モジュール262を通過して誘導され、ここでビーム260の様々なパラメータ(帯域幅や波長など)が測定され得る。出力光ビーム260は、ビーム準備システム263を介して誘導されてもよい。ビーム準備システム263は、例えばパルスストレッチャを含んでよく、ここで、出力光ビーム260の各パルスが、例えば光遅延ユニット内で時間的に引き伸ばされて、リソグラフィ露光装置169に衝突する光ビームの性能特性を調整する。ビーム準備システム263は、ビーム260に作用することができる他のコンポーネント、例えば、反射及び/又は屈折光学素子(例えば、レンズ及びミラーなど)、フィルタ、及び光学絞り(自動シャッターを含む)も含み得る。
【0041】
[0063] フォトリソグラフィシステム200は、制御システム250も含み得る。図2Aに示す実施において、制御システム250は、光学源205の様々なコンポーネントに接続されている。例えば、制御システム250は、1つ以上のトリガ信号を光学源205に送信することにより、光学源205が光パルス又は1つ以上の光パルスを含む光パルスバーストを放出するタイミングを制御し得る。制御システム250は、リソグラフィ露光装置169にも接続されている。したがって、制御システム250は、リソグラフィ露光装置169の様々な態様を制御することもできる。例えば、制御システム250は、ウェーハ170の露光を制御してよく、したがって、どのように電子フィーチャがウェーハ170上に印刷されるかを制御するために使用されてよい。実施によっては、制御システム250は、x-y平面におけるスリット176の動きを制御することによって、ウェーハ170の走査を制御し得る(図1B)。さらに、制御システム250は、メトロロジシステム172及び/又は光学システム175とデータを交換し得る。
【0042】
[0064] リソグラフィ露光装置169は、例えば、温度制御デバイス(空調デバイス及び/又は加熱デバイスなど)及び/又は各種電気コンポーネント用の電源も含み得る。制御システム250は、これらのコンポーネントも制御し得る。実施によっては、制御システム250は、複数のサブ制御システムを含むように実施され、少なくとも1つのサブ制御システム(リソグラフィコントローラ)は、リソグラフィ露光装置169の態様を制御することに専念する。これらの実施において、リソグラフィコントローラを使用する代わりに、又はそれに加えて、制御システム250を使用してリソグラフィ露光装置169の態様を制御し得る。
【0043】
[0065] 制御システム250は、電子プロセッサ251、電子ストレージ252、及びI/Oインターフェイス253を含む。電子プロセッサ251は、汎用又は専用マイクロプロセッサなどのコンピュータプログラムの実行に適した1つ以上のプロセッサ、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、電子プロセッサは、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令とデータを受け取る。電子プロセッサ251は、任意のタイプの電子プロセッサであり得る。
【0044】
[0066] 電子ストレージ252は、RAMなどの揮発性メモリ、又は不揮発性メモリであり得る。実施によっては、電子ストレージ252は、不揮発性及び揮発性の部分又はコンポーネントを含む。電子ストレージ252は、制御システム250、制御システム250のコンポーネント、及び/又は制御システム250によって制御されるシステムの動作において使用されるデータ及び情報を記憶し得る。情報は、例えば、ルックアップテーブル又はデータベースに記憶され得る。例えば、電子ストレージ252は、異なる動作条件及び性能シナリオのもとでビーム260の様々な性質の値を示すデータを記憶し得る。
【0045】
[0067] さらに、電子ストレージ252は、使用中に光ビーム260のパラメータを指示する様々なレシピ又はプロセスプログラム259を記憶し得る。例えば、電子ストレージ252は、特定の露光パスに対する光ビーム260内の各パルスの波長を示すレシピを記憶し得る。レシピは、異なる露光パスに対する異なる波長を示し得る。以下で検討する波長制御技術は、パルスごとに適用され得る。言い換えれば、波長の内容は、露光パス内の個々のパルスに対して制御されて、z軸に沿った所望の場所での空間像の形成が容易になり得る。
【0046】
[0068] 電子ストレージ252は、実行されるとプロセッサ251に、制御システム250、光学システム205、及び/又はリソグラフィ露光装置169内のコンポーネントと通信させる命令(おそらくはコンピュータプログラム)も記憶し得る。
【0047】
[0069] I/Oインターフェイス253は、制御システム250がオペレータ、光学システム205、リソグラフィ露光装置169、光学システム205及び/若しくはリソグラフィ露光装置169内の任意のコンポーネント又はシステム、並びに/又は別の電子デバイス上で実行される自動プロセスとの間でデータ及び信号を受け取ること及び/又は提供することを可能にする任意の種類の電子インターフェイスである。例えば、I/Oインターフェイス253は、ビジュアルディスプレイ、キーボード、及び通信インターフェイスのうちの1つ以上を含み得る。
【0048】
[0070] 光ビーム260(及び光ビーム160)はパルス光ビームであり、時間的に互いに離れた1つ以上のパルスバーストを含み得る。各バーストは1つ以上の光パルスを含み得る。実施によっては、バーストは、数百のパルス(例えば、100~400のパルス)を含む。図3A図3Cは、光学源205におけるパルス及びバーストの生成の概要を示す。図3Aは、ウェーハ露光信号300の振幅を時間の関数として示し、図3Bは、ゲート信号315の振幅を時間の関数として示し、図3Cは、トリガ信号の振幅を時間の関数として示す。
【0049】
[0071] 制御システム250は、ウェーハ露光信号300を光学源205に送信して、光学源205を制御することで光ビーム260を生成するように構成され得る。図3Aに示す例では、ウェーハ露光信号300は、光学源205が光のパルスバーストを生成する期間307にわたって、高い値305(例えば、1)を有する。それ以外の場合、ウェーハ露光信号300は、ウェーハ170が露光されていないときに低い値310(例えば、0)を有する。
【0050】
[0072] 図3Bを参照すると、光ビーム260はパルス光ビームであり、光ビーム260はパルスのバーストを含む。制御システム250は、ゲート信号315を光学源205に送信することによって、パルスバーストの期間及び周波数も制御する。ゲート信号315は、パルスバースト中に高い値320(例えば、1)を有し、連続するバースト間の時間中に低い値325(例えば、0)を有する。図示の例では、ゲート信号315が高い値を有する期間がバースト316の期間でもある。バーストとバーストとは、バースト間の時間間隔によって時間的に離れている。バースト間の時間間隔中に、リソグラフィ露光装置169は、露光のために次のダイをウェーハ170上に位置決めし得る。
【0051】
[0073] 図3Cを参照すると、制御システム250は、トリガ信号330を使用して、各バースト内のパルスの繰返し率も制御する。トリガ信号330には、光学源205に提供されて光学源205に光パルスを生成させるトリガ340を含む。制御システム250は、パルスが生成されるたびに、トリガ340を光学源205に送信し得る。したがって、光学源205によって生成されたパルスの繰返し率(2つの連続するパルス間の時間)、又はパルスの他のタイミングは、トリガ信号330によって設定され得る。
【0052】
[0074] 上述のとおり、電圧を電極217に印加することによって利得媒体219をポンピングすると、利得媒体219は光を放出する。電極217に対して電圧がパルス状に印加されると、媒体219から放出された光もパルス状になる。したがって、パルス光ビーム260の繰返し率は、電圧が電極217に印加される速度によって決定され、電圧が印加されるたびに光パルスが生成される。光パルスは利得媒体219中を伝播し、出力カップラ218を介してチャンバ214から出る。したがって、電極217に対して電圧を周期的に繰り返し印加することによって、パルス列が生成される。例えば、トリガ信号330は、電圧の電極217への印加とパルスの繰返し率を制御するために使用されてよく、この繰返し率は、ほとんどの印加について約500Hzから6,000Hzに及び得る。実施によっては、繰返し率は6,000Hzを超えてよく、例えば12,000Hz以上でよい。
【0053】
[0075] 制御システム250からの信号は、主発振器212及びパワー増幅器230内の電極217、241をそれぞれ制御するために使用されてもよく、それにより主発振器212及びパワー増幅器230のそれぞれのパルスエネルギー、ひいては光ビーム260のエネルギーを制御する。電極217に提供される信号と電極241に提供される信号との間には遅延が生じることがある。遅延の量は、パルス光ビーム260のコヒーレンス量など、ビーム260の特性に影響を及ぼし得る。
【0054】
[0076] パルス光ビーム260は、数十ワット、例えば約50Wから約130Wの範囲内の平均出力パワーを有し得る。出力における光ビーム260の放射照度(すなわち、単位面積あたりの平均出力)は、60W/cmから80W/cmに及び得る。
【0055】
[0077] 図4も参照すると、ウェーハ170は、光ビーム260によって照射される。リソグラフィ露光装置169は、光学システム175(図1A及び図1B)を含む。図4の例では、光学システム175(図示せず)は照明システム429を含み、この照明システム429は対物レンズ構成432を含む。対物レンズ構成432は、投影レンズ177(図1B)を含み、マスク174からウェーハ170上のフォトレジストへ画像転送を行うことを可能にする。照明システム429は、マスク174に衝突する光線260の角度の範囲を調整する。照明システム429は、マスク174全体にわたってx-y平面内の光ビーム260の強度分布を均質化(均一化)することもできる。
【0056】
[0078] 実施によっては、液浸媒体がウェーハ170を覆うために供給されてよい。液浸媒体は、液浸リソグラフィ用の液体(水など)であり得る。リソグラフィが乾式である他の実施において、液浸媒体は、乾燥窒素、乾燥空気、又は清浄空気などのガスであり得る。他の実施において、ウェーハ170は、圧力制御された環境(真空又は部分真空など)内に露出され得る。
【0057】
[0079] 露光パス中、光ビーム260の複数であるN個のパルスがウェーハ170の同じ領域を照明する。Nは2以上の任意の整数であり得る。同じ領域を照明する光ビーム110のパルス数Nは、露光ウィンドウ又は露光パス400と呼ばれることがある。ウィンドウ400のサイズは、スリット176によって制御され得る。例えば、スリット176は、ブレードが1つの構成において開いた開口を形成し、別の構成においてこの開口を閉じるように移動可能な複数のブレードを含み得る。スリット176のブレードを特定のサイズの開口を形成するように配置することにより、ウィンドウ400のサイズも制御することができる。
【0058】
[0080] N個のパルスは、露光パスの照明ドーズも決定する。照明ドーズとは、露光パス中にウェーハに供給される光エネルギーの量である。したがって、各パルスの光エネルギーなどのN個のパルスの特性が、照明ドーズを決定する。さらに、以下でより詳しく説明するように、N個のパルスは、各空間像173a、173bの光量を決定するためにも使用できる。特に、レシピが、N個のパルスのうち、一定数のパルスが空間像173aを形成する第1の主波長を有し、且つ一定数のパルスが空間像173bを形成する第2の主波長を有することを指定し得る。互いに異なる波長を有するこれらのパルスは、例えば、パルスごとに、又は他の何らかの方法、すなわち、交互のパルス群内に点在してよい。
【0059】
[0081] それに加えて、スリット176及び/又はマスク174は、ウェーハ170の一部のみが所与の時間に、又は特定の露光走査(又は露光パス)中に露光されるように、x-y平面内の走査方向に移動し得る。光ビーム160によって露光されるウェーハ170上の領域のサイズは、非走査方向のブレード間の距離と、走査方向の走査の長さ(距離)とによって決定される。実施によっては、Nの値は10単位であり、例えば、ウェーハ上の各点は、その点に対するスリットの走査中に10個~100個の連続パルスに由来する光を受け取り得る。他の実施において、Nの値は100パルスより大きく、例えば100~500パルスである。ウェーハ170の露光フィールド479は、リソグラフィ露光装置169内の露光スリット又はウィンドウの1回の走査で露光されるウェーハ170の物理的な領域である。
【0060】
[0082] ウェーハステージ171、マスク174、及び対物レンズ構成432は、関連する作動システムに固定され、それによって走査構成が形成される。走査構成において、マスク174、対物レンズ構成432、及びウェーハ170(ステージ171を介する)のうちの1つ以上が、x-y平面内で互いに対して移動し得る。ただし、ウェーハステージ171と、マスク174と、対物レンズ構成432との間の偶発的な相対動作を除いて、これらの要素は、露光パス中又は露光パス中に、z軸に沿って互いに対して移動しない。
【0061】
[0083] 図5を参照すると、プロセス500のフローチャートが示されている。プロセス500は、3次元半導体コンポーネント又はそのようなコンポーネントの一部を形成するプロセスの例である。プロセス500は、フォトリソグラフィシステム100又は200を使用して行われ得る。プロセス500は、図2Aに示すシステム200に関して説明される。プロセス500は、図6A図10Bに関しても説明される。
【0062】
[0084] ステップS510において、光ビーム260はマスク174に向けて誘導される。光ビーム260は、図3Cに示すように、それぞれが時間的に互いに離れている複数のパルスを含むパルス光ビームである。図6A及び6Bは、光ビーム260の一部である単一のパルスの光スペクトルの例を示す。光ビーム260内の他のパルスは、異なる光スペクトルを有し得る。
【0063】
[0085] 図6Aを参照すると、光パルス600Aの光スペクトル601Aが示されている。光パルス600Aは、波長帯域内でゼロ以外の強度を有する。波長帯域は、パルス600Aの帯域幅とも呼ばれることがある。
【0064】
[0086] 図6Aに示す情報は、パルス600Aの瞬間的な光スペクトル601A(又は発光スペクトル)である。光スペクトル601Aは、光ビーム260のパルスの光エネルギー又はパワーが様々な波長(又は周波数)にわたってどのように分布しているかに関する情報を含む。光スペクトル601Aは、スペクトル強度(必ずしも絶対較正を伴うものではない)が波長又は光周波数の関数としてプロットされた図の形式で表される。光スペクトル601Aは、光ビーム260のパルスのスペクトル形状又は強度スペクトルと呼ばれることがある。パルス600Aは主波長602Aを有し、図6Aの例ではこれがピーク強度である。光ビーム260のパルスについて、また、光ビーム260のパルスによって形成された空間像についての説明は、パルスの主波長に言及しているが、パルスは主波長以外の波長も含んでおり、パルスは、測定システムによって特徴付けられ得る有限の帯域幅がある。例えば、スペクトル形状の最大ピーク強度の割合(X)におけるスペクトル601Aの全幅(FWXMと呼ばれる)を使用して、光ビームの帯域幅を特徴付けてよい。別の例として、積分スペクトル強度の一部(Y)を含むスペクトルの幅(EYと呼ばれる)を使用して、光ビームの帯域幅を特徴付けてよい。
【0065】
[0087] パルス600Aは、光ビーム260内に存在し得るパルスの例として示されている。
【0066】
[0088] パルス600Aを使用してウェーハ120の一部を露光すると、パルス内の光が空間像を形成する。空間像のZ方向の場所(図1C及び図4)は、主波長602Aの値によって決定される。光ビーム260内の様々なパルスは、異なる主波長を有し得る。例えば、単一の露光パス中に2つの空間像を生成するために、光ビーム260のパルスの一部は1つの主波長(第1の主波長)を有し、光ビーム260の他のパルスは別の主波長(第2の主波長)を有する。第1及び第2の主波長は別々の波長である。第1の主波長と第2の主波長との間の波長差は、スペクトル離隔距離と呼ばれることがある。光ビーム260内の様々なパルスの波長は別々であり得るが、パルスの光スペクトルの形状は同じであり得る。
【0067】
[0089] 光源205は、バーストごとに、パルスごとに、又はパルス内ベースで、第1の主波長と第2の主波長との間で主波長のディザリング又は切り替えを行い得る。パルスごとの場合、各パルスは、時間的にそのパルスの直前又は直後のパルスとは異なる主波長を有する。これらの実施において、光ビーム260内のパルスの全てが同じ強度を有すると仮定すると、第1及び第2の主波長をこのように分散することで、同じ強度を有しつつz方向の異なる場所に2つの空間像がもたらされる。
【0068】
[0090] 実施によっては、パルスの特定の部分(例えば、33%)は第1の主波長を有し、残りの部分(この例では67%)は第2の主波長を有する。これらの実施において、光ビーム260内のパルスの全てが同じ強度を有すると仮定すると、異なる強度の2つの空間像が形成される。第1の主波長を有するパルスによって形成される空間像は、第2の主波長を有するパルスによって形成される空間像の強度の約半分の強度を有する。このように、z軸に沿ってウェーハ170内の特定の場所に供給されるドーズは、N個のパルスのうちの第1の主波長を有する部分と、N個のパルスのうちの第2の主波長を有する部分とを制御することによって制御され得る。
【0069】
[0091] 所与の露光パスについての特定の主波長を有するパルスの一部は、電子ストレージ252に記憶されているレシピファイル259において指定され得る(図2Aを参照)。レシピファイル259は、露光パスについての様々な主波長の比率を指定する。レシピファイル259は、他の露光パスについての比率を指定してもよいため、他の露光パスに対して別の比率が使用されてよく、空間像はフィールドごとに調整又は制御されてよい。
【0070】
[0092] 図6Bを参照すると、パルス600Bの光スペクトル601Bが示されている。パルス600Bは、光ビーム260のパルスの別の例である。パルス600Bの光スペクトル601Bは、光スペクトル601Aとは異なる形状を有している。特に、光スペクトル601Bは、パルス600Bの2つの主波長602B_1と602B_2に対応する2つのピークを有する。パルス600Bは、光ビーム260の一部である。パルス600Bを使用してウェーハ120の一部を露光すると、パルス内の光によってウェーハ上のz軸に沿った別々の位置に2つの空間像が形成される。空間像の場所は、主波長602B_lと602B_2という波長によって決定される。
【0071】
[0093] 図6A及び図6Bに示すパルスは、そのようなパルスを形成可能な任意のハードウェアによって形成され得る。例えば、パルス600Aなどのパルス列は、図2Cの線狭化モジュール216Cと同様の線狭化モジュールを使用して形成され得る。格子291によって回折される光の波長は、格子に入射する光の角度によって決まる。格子291と相互作用する光の入射角を変更する機構がそのような線狭化モジュールと共に使用されて、露光パス用のN個のパルスを含むパルス列が作成され得る。ここで、N個のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、N個のパルスのうちの別のパルスの主波長と異なる主波長を有する。例えば、プリズム292、293、294、及び295のうちの1つが回転されて、格子291に入射する光の角度がパルスごとに変更され得る。実施によっては、線狭化モジュールは、ビーム260の経路内にあり、且つ格子291に入射する光の角度を変更するように移動可能であるミラーを含む。そのような実施の例は、例えば、2001年2月20日発行の「Narrow Band Laser with Fine Wavelength Control」という名称の米国特許第6,192,064号で説明されている。
【0072】
[0094] 図5を再び参照すると、ステップS520において、一連の光パルスが、1回の露光パス中にマスク174を通ってウェーハ170に向かって進む。上述のとおり、N個の光パルスが、この露光パス中にウェーハ170に提供され得る。N個の光パルスは、ビーム260内の連続した光パルスであり得る。ウェーハ170の露光された部分には、露光パス全体にわたってN個のパルスのそれぞれの光スペクトルの平均が見受けられる。したがって、N個のパルスの一部が第1の主波長を有し、N個のパルスの残りの部分が第2の主波長を有する場合、ウェーハ170における平均光スペクトルは、第1の主波長でのピークと第2の主波長でのピークとを含む光スペクトルとなる。同様に、N個のパルスの個々のパルスの全て又は一部が2つ以上の主波長を有する場合、それらの主波長は平均光スペクトルにピークを形成し得る。図7は、ウェーハ170における平均光スペクトル701の例を示す。平均光スペクトル701は、第1の主波長702_1及び第2の主波長702_2を含む。図7の例では、第1の主波長702_1及び第2の主波長702_2は、スペクトル離隔距離703によって離れているが、他の組合せも考慮することができる。スペクトル離隔距離703は、第1の主波長702_1及び第2の主波長702_2が別々であるように存在し、平均光スペクトル701は、波長702_1と波長702_2との間に強度がほとんど無い、又はまったく無いスペクトル領域を含む。
【0073】
[0095] ステップS530において、平均光スペクトルに基づいて、2つ以上の空間像、例えば、第1の主波長に基づく第1の空間像及び第2の主波長に基づく第2の空間像が、ウェーハ170に形成される。平均光スペクトル701の例を続け、図8Aも参照すると、2つの空間像873a及び873bが、N個のパルスに基づいて単一の露光パスにおいて形成される。N個のパルスは、第1の主波長702_1を有するパルスと、第2の主波長702_2を有するパルスとを含む。第1の主波長702_1を有するパルスは第1の空間像873aを形成し、第2の主波長702_2を有するパルスは第2の空間像873bを形成する。空間像873aは第1の平面878aに形成され、空間像873bは第2の平面878bに形成される。平面878a及び878bは、ウェーハ170における光ビーム260の伝播方向に対して垂直である。平面878a及び878bは、z方向に沿って離隔距離879の分だけ離れている。
【0074】
[0096] 離隔距離879は、単一の主波長を有する平均光スペクトルに対するリソグラフィ装置169の焦点深度より大きい。焦点深度は、ドーズ値(ウェーハに供給される光エネルギーの量)に対してz方向に沿った焦点範囲として定義されてよく、この焦点範囲において、そのドーズが、ウェーハ170に適用されているプロセスについてのフィーチャのサイズの許容範囲に収まるフィーチャのサイズを規定する。プロセス500は、単一の露光パス中にウェーハ170において2つ以上の別個の空間像を提供することによって、リソグラフィ露光装置169の焦点深度を増加させることが可能である。これは、複数の空間像がそれぞれ、ウェーハをZ方向の別々の位置で、フィーチャのサイズの許容範囲に収まるフィーチャと共に露光することができるからである。言い換えれば、プロセス500によって、単一の露光パス中に、リソグラフィ露光装置169がより広い範囲の焦点深度を備えることができる。
【0075】
[0097] 上述のとおり、リソグラフィ露光装置169のオペレータは、レシピファイル259を介して露光プロセスの様々なパラメータを制御し得る。実施によっては、リソグラフィ露光装置169のオペレータは、情報をシミュレーションプログラムから受け取ってよく、この情報を使用してレシピファイル259のパラメータをプログラムしてよく、その他の方法で指定してよい。例えば、リソグラフィ露光装置169のオペレータは、次のロットが、以前に露光されたロットほどの焦点深度を必要としないことを知っている場合がある。この例では、オペレータは、シミュレーションプログラムに対して焦点深度及びドーズ変動を指定し、シミュレーションプログラムは、スペクトル離隔距離703の値を返して所望のパラメータを達成する。次に、オペレータは、I/Oインターフェイス253を介してレシピファイル259をプログラムすることによって、次のロットのスペクトル離隔距離703の値を指定し得る。実施によっては、オペレータは、シミュレーションを使用して、特定の露光パスに対してより大きな焦点深度(例えば、別個の平面において複数の空間像を使用してウェーハ170を露光することによって可能となる)が必要であるかどうかを判断し得る。半導体コンポーネントの特定の部分の形成において大きな焦点深度を必要としない場合、レシピファイル259は、例えば、半導体コンポーネントの特定の部分を形成に使用される露光パスが、単一の主波長を含む平均光スペクトルを有するように構成され得る。
【0076】
[0098] さらに、オペレータ及び/又はシミュレータは、メトロロジシステム172又は別のセンサーによって測定された、形成された3次元コンポーネントに関する情報を受け取り得る。例えば、メトロロジシステム172は、形成された3D半導体コンポーネントの側壁角度に関するデータを提供することができ、そのデータは、後続の露光パスのレシピファイル259内のパラメータをプログラムするために使用することができる。
【0077】
[0099] 図8Bは、平面878aにおけるx-y平面(図8Aの紙面を内側から見たとき)の空間像873aを示す。空間像873a及び873bは、通常、x-y平面に形成される2次元の強度パターンである。強度パターンの性質は、マスク174の特性によって決まる。第1及び第2の平面878a、878bは、ウェーハ170の一部である。図8Bに示すように、第1の平面878aは、ウェーハ170全体のごく一部に過ぎない。
【0078】
[0100] 離隔距離879の値は、スペクトル離隔距離703と光学システム275の特性とによって決まる。例えば、離隔距離879の値は、光学システム275内のレンズやその他の光学素子の焦点距離、収差、及びその他の特性によって決まり得る。色収差Cを有するスキャナレンズについて、離隔距離879は、式1から決定され得る。
AD=C*Δλ 式(1)
ここで、ADはナノメートル(nm)単位の離隔距離879であり、Cは色収差(波長変化に対して焦点面が伝搬方向に移動する距離として定義される)であり、Δλはピコメートル単位のスペクトル離隔距離873である。
【0079】
[0101] さらに、製造と設置プロセスのばらつき及び/又はエンドユーザーによりなされた修正に起因して、別々の主波長が、あるタイプの露光装置169の特定の場合に対して所望の離隔距離879を実現するために必要になり得る。図2Aに関連して上述したとおり、レシピ又はプロセス制御プログラムファイル259は、制御システム250の電子ストレージ252に記憶され得る。レシピファイル259は、特定の露光装置又はあるタイプの露光装置に合わせてカスタマイズされるように修正又はプログラムされ得る。レシピファイル259は、リソグラフィシステム200の製造時にプログラムされてよく、及び/又は、レシピファイル259は、システム200の性能に精通しているエンドユーザー又は他のオペレータによって、例えばI/Oインターフェイス253を介してプログラムされ得る。
【0080】
[0102] レシピファイル259は、ウェーハ170の別々の領域を露光するために使用される別々の露光パスに対して異なる離隔距離879を指定してもよい。それに加えて、又はその代わりに、レシピファイル259は、ロットごとに、レイヤーごとに、又はウェーハごとに離隔距離879を指定し得る。ロット又はレイヤーは、同じ露光装置によって同じ公称条件下で処理されるウェーハのグループである。レシピファイル259は、各画像によって提供されるドーズなど、空間像873a、873bに関連するその他のパラメータも指定することができる。例えば、レシピファイル259は、N個のパルスのうち第1の主波長702_1を有するパルスの数と、第2の主波長702_2を有するパルスの数との比率を指定し得る。これらの他のパラメータも、フィールドごとに、ロットごとに(又はレイヤーごとに)、及び/又はウェーハごとに指定され得る。
【0081】
[0103] さらに、レシピファイル259は、いくつかの層が第1の主波長702_1及び第2の主波長702_2で露光されず、代わりに単一の主波長を含む光スペクトルを有するパルスで露光されることを指定し得る。そのような光学スペクトルは、例えば、3次元半導体コンポーネントの代わりに平面半導体コンポーネントを形成する場合に使用され得る。I/Oインターフェイス253によって、エンドユーザー及び/又は製造業者は、例えば特定のレイヤー又はロットに対して単一の主波長が使用されるシナリオを含め、主波長の数を指定するレシピをプログラム又は作成することができる。
【0082】
[0104] それに加えて、上記の例では、2つの主波長を有する平均光スペクトル701について説明したが、他の例では、平均光スペクトル701は、3つ以上の主波長(例えば、3つ、4つ、又は5つの主波長)を有してよく、各主波長は、最も近い他の主波長からスペクトル離隔距離の分だけ離れている。I/Oインターフェイス253によって、エンドユーザー及び/又は製造業者は、これらのパラメータを指定するためのレシピをプログラム又は作成することができる。
【0083】
[0105] 3次元(3D)半導体コンポーネントが、ステップS540において形成される。図9Aは、3D半導体コンポーネント995の一例の断面図を示す。図9Bは、ウェーハ170と、第1の平面878aにおけるx-y平面内のコンポーネント995を示す。3D半導体コンポーネント995は、完結したコンポーネントであってよく、より大きいコンポーネントの一部であってもよい。3D半導体コンポーネント995は、ウェーハ170内の1つのz位置にすべてが形成されてはいないフィーチャを有する任意のタイプの半導体コンポーネントであり得る。例えば、3D半導体コンポーネントは、z軸に沿って延在する凹部又は開口を含むデバイスであり得る。3D半導体コンポーネントは、任意のタイプの電子工学用途に使用され得る。例えば、3D半導体コンポーネントは、3DNANDフラッシュメモリコンポーネントの全体又は一部であり得る。3DNANDフラッシュメモリは、メモリセルがz軸に沿って層状に積み重ねられたメモリである。
【0084】
[0106] 図9Aの例では、3D半導体コンポーネント995は、周縁999に形成された凹部996を含む。凹部996は、床997及び側壁998を含み、この側壁998は、周縁999と床997との間で通常z軸に沿って延在している。床997は、第2の空間像873b(図8A)内の光で平面878bにおけるフォトレジストを露光することによって形成される。周縁999上のフィーチャは、第1の空間像873a(図8A)内の光を使用して形成される。
【0085】
[0107] プロセス500を使用すると、側壁角度992が90°に等しい場合、又は他のプロセスで可能な角度と比較して90°に近くなる場合もある。側壁角度992は、床997と側壁998との間の角度である。側壁998がx-z平面に延在し、床がx-y平面に延在する場合、側壁角度992は90°であり、この例では垂直であるとみなされ得る。垂直な側壁角度が望ましいのは、例えば、このような側壁により、3D半導体コンポーネントのフィーチャがより明確に定義されるからである。第1の空間像873a及び第2の空間像873b(それぞれ第1の平面878a及び第2の平面878b)の位置がウェーハ170の別々の部分にある別個の像であるため、プロセス500では、90°に等しいかそれに近い側壁角度992が実現される。単一の露光パスにおいて別々の空間像を形成すると、各画像の品質が向上し、品質の低い単一の空間像によって形成されたフィーチャと比較して、より垂直方向の、より明確なフィーチャが得られる。
【0086】
[0108] 上述のとおり、垂直方向に変位した画像を生成するシステムの一実施において、第1の波長を有するいくつかのパルスと、第2の波長を有する他のパルスとが使用される。第1の波長パルス及び第2の波長パルスは、バースト間又はパルス間で点在してよく、又は各セット内の数の様々な比率で交互にセットされてよい。波長は、光学システム内のEAEを作動させることによって変化する。例えば、線狭化モジュールでは、レーザキャビティから回折格子への光の衝突角度が決定される。例えば、異なる周波数の交互パルスを実現するために、EAEステージは、高速である角度位置から別の角度位置(ディザリングの位置)まで前後に振動する。
【0087】
[0109] 図10Aは、固定振幅のディザリング電圧に応じて典型的なEAEステージの角度運動の動態(角度対時間)を示す。動的応答を実現するために使用される入力電圧プロファイル(EAE電圧対時間)が、図10Bに示されている。図に示すように、バーストの開始時に、EAEステージの動的特性は、約35~40パルス後に落ち着く初期過渡領域を呈する。この過渡領域での動作中、ステージの角度変位は、機械的慣性に起因して初期のアンダーシュート領域(電圧によって動きが小さくなりすぎる)を経て、その後オーバーシュート領域(電圧によって動きが大きくなりすぎる)を経て、定常状態領域での動作に落ち着く。
【0088】
[0110] このバースト過渡現象の期間を短縮し、波長安定性をより迅速に達成するために、EAE過渡現状の動態の逆の動作をエミュレートする過渡電圧ビンを生成することによって、フィードフォワード方式が実施され得る。したがって、過渡領域内の別々のパルスで固定の波長ピーク離隔距離を達成するために必要な最大値から最小値までの電圧は、EAEの動的挙動に応じて変化する。過渡領域内の最初のアンダーシュートサブ領域を補償するには、大きな電圧スパイクが、バーストの最初の数パルスの間に必要である。必要な電圧振幅は、オーバーシュートの傾向が逆に補償される過渡領域の後半部分(オーバーシュートサブ領域)中に大幅に低くなる。通常、過渡領域では、単一の電圧上限がオーバーシュートを防ぐために適用される。
【0089】
[0111] 図11は、上述のように指令電圧を印加することによってバーストの過渡領域で達成される波長プロファイル(波長エラー対パルスインデックス)を示す。指令電圧は、最初の数パルスの間に最大閾値で飽和し、それらのパルスの波長ピーク離隔距離性能に悪影響を及ぼす。
【0090】
[0112] 大きな波長のディザリングでは、EAEが実質的な変位を生成する必要がある。これは、EAEを高電圧で作動させるか、EAEをその機械的共振に近づけて作動させることによって実現することができる。共振駆動システムにおいて、電圧のわずかな増加がEAEステージを容易に機械的にオーバードライブさせ、EAEに物理的な損傷を与える可能性があるため、信頼性に対するリスクは大きくなる。
【0091】
[0113] 最大閾値上限は、EAEステージが機械的にオーバードライブされるのを防いで信頼性リスクを低減させるために使用される。電圧上限は、電圧信号の大きさ又は最大値を制限する。様々な実施において、上限は、調整される信号の形式に応じて、電圧上限値又はデジタル上限値として提供され得る。従来は、過渡領域の閾値及び定常状態領域の閾値という2つの最大閾値のみが設定されていた。
【0092】
[0114] 上述のとおり、過渡領域において波長安定性を実現するためには、アンダーシュートサブ領域とオーバーシュートサブ領域との間で必要な電圧ディザリング振幅が大きく異なる。これにより、過渡領域における電圧上限の適切な値を決定する際にトレードオフが発生する。一方、この上限をより高い値に設定すると、異常な動作条件下でEAEステージが損傷するリスクがより高まる。一方、上限を低い値に設定すると、アンダーシュートサブ領域(例えば、各バーストの最初の4~5個のパルス)中の制御の柔軟性が低下し、図12A及び図12Bに示すように閉ループ波長性能に影響を及ぼす。これらの図は、テストケースのEAE電圧指令プロファイルと、スリット平均(スリットに沿った各空間ピクセルの適合された重心波長の平均)ピーク離隔距離エラーとを示しており、電圧閾値がEAEステージの信頼性要件を満たすように選択されている。図に示すように、オーバーシュート領域での動作中に信頼性要求を満たすためだけに電圧上限が設定されている場合、ピーク離隔距離性能が、バースト過渡現象中に悪影響を受ける。
【0093】
[0115] 一方、電圧閾値を緩和する、つまり高いレベルに設定すると、ピーク離隔距離性能は悪影響を受けず、ビーム品質のマージン、すなわち柔軟性が大幅に高まる。これは図12Cに示されており、この図は、テストケースのスリット平均ピーク離隔距離エラーであり、電圧閾値が過渡領域全体にわたって緩和されている。ただし、電圧閾値を過渡領域全体にわたって緩和すると、EAEステージの信頼性が損なわれる。
【0094】
[0116] 言い換えれば、過渡領域の全期間にわたって電圧上限について単一の値を適用する場合、通常は、電圧指令が初期のアンダーシュートサブ領域中に飽和するような妥協値に設定する必要がある。そうしないと、オーバードライブ及びEAEステージの損傷というリスクがオーバーシュート領域において過度に高くなる。ただし、電圧上限をこの妥協レベルで設定すると、波長ピーク離隔距離エラーに悪影響が生じる。例えば、バースト過渡現象中に長い(例えば、数パルスから数十パルス)テールが存在する場合がある。バースト内のパルスの総数と比較してパルスの数が少ないため、このテールがウェーハヒストグラムの性能に与える影響はそれほど大きくないが、この波長ピーク離隔距離エラーによって、回避可能なビーム品質イベント(例えば、光パルスが性能パラメータの望ましい範囲から外れる、又は性能パラメータの許容範囲から外れる特性を有するイベント)が発生することがある。したがって、電圧上限をこの妥協レベルで設定すると、信頼性と性能との間のトレードオフが要求されることになる。
【0095】
[0117] このような妥協を避けるため、実施形態の一態様によれば、過渡領域の期間全体にわたって単一の最大電圧閾値を適用する代わりに、別々の最大電圧閾値が過渡領域の別々のサブ領域中に適用される。一態様において、図13A及び図13Bに示すように、複数の、例えば2つの異なる電圧閾値が使用され、1つはアンダーシュートサブ領域用であり、1つはオーバーシュートサブ領域用である。これは限定されない例であり、バースト過渡現象(最初の約40個のパルス)領域中に個々のパルスに別個の閾値を設定するために、3つ以上の異なるサブ領域が使用され得ることは明らかである。例えば、図13Bに示すように、機械的なオーバードライブのリスクが非常に低いアンダーシュート領域中に、電圧上限をより高い値Vに設定して、より高い電圧振幅が可能となり、波長離隔距離性能が向上し得る。一方、EAEステージの機械的なオーバードライブのリスク、またその結果としてのEAEステージの故障のリスクが高いオーバーシュート領域中に、電圧上限は、性能に過度の影響を与えることなくEAEの信頼性を向上させるために、より低い値Vに設定され得る。複数の電圧上限ゾーンを有することで、アンダーシュート領域とオーバーシュート領域との間の円滑な遷移も可能になる。
【0096】
[0118] 共振周波数や電圧対角度利得などの特定のパラメータは、別々のEAEステージ間で異なり得るが、図13Aに示すEAEステージの動態は、様々なEAEステージについて同様であり得る。一部のタイプのEAE設計に関しては、過渡領域の電圧閾値プロファイルの較正を複数回実行する必要がなく、モジュールごとに修正する必要もない。一部の設計について、共振周波数及び電圧対角度利得に関するモジュール間の変動は、必要に応じて電圧閾値プロファイルをスケーリングする単一の乗算係数によって取得することができる。
【0097】
[0119] 電圧上限は、事前に発見的に決定することも、上述のように閉ループフィードバック方式を使用して決定することもできる。
【0098】
[0120] したがって、実施形態の一態様によれば、過渡領域は複数のセクションに分割され、電圧制御パラメータは各セクションの過渡及び感度のニーズに合わせて調整される。
【0099】
[0121] 図14は、開示されたシステムの動作の基礎となる特定の原理を示す図である。図示の例では、バーストの過渡領域が2つのサブ領域に分割されている。ただし、その過渡領域は、より多くのサブ領域に分割され得ることが理解されるであろう。第1の電圧閾値又は上限又は最大値Vが、第1のサブ領域においてアクチュエータ電圧指令信号に適用される。この例では、第1のサブ領域は、バーストの最初の4つのパルスを含む。ここでも、異なる数のパルスが使用されてよい。第2の電圧閾値又は上限又は最大値Vが、第2のサブ領域においてアクチュエータ電圧指令信号に適用される。この例では、第2のサブ領域は、バーストのパルス5からパルス40を含む。ここでも、異なる数のパルスが使用されてもよい。次に、過渡領域の終了後、第3の電圧閾値又は上限又は最大値Vが、バーストの期間にわたって適用される。
【0100】
[0122] 図15は、一実施形態の特定の態様に従った方法のフローチャートである。ステップS1010では、トリガによって、且つ第1の閾値を有する電圧指令信号を使用して、バーストが開始される。ステップS1020では、パルスの実行カウントが維持される。このステップS1020は、プロセスの期間にわたって継続することが理解されるであろう。ステップS1030では、遷移パルスカウントに達したかどうかが判定される。例えば、パルスカウントは、アンダーシュート領域にあると予想されるパルスの数になり得る。パルスカウントが遷移値に達していない場合、ステップS1040において、システムは、現在の閾値を有する電圧指令信号の適用を継続する。ただし、ステップS1030において遷移パルスカウントに達したと判断された場合、ステップS1050において、別の閾値を有する電圧指令信号がアクチュエータに適用される。その後、システムは再びステップS1030に戻って、パルスカウントが別の遷移の値に達したかどうかを判定する。このプロセスは、例えばバーストの期間中など、必要に応じて継続される。
【0101】
[0123] 上記の説明には、1つ以上の実施形態の例が含まれている。もちろん、前述の実施形態を説明するために、考えられる全てのコンポーネント又は方法の組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者であれば、様々な実施形態の多くの更なる組み合わせや順列が可能であることを認識し得る。したがって、記載された実施形態は、添付の請求項の精神及び範囲に含まれる全ての変更、修正、及び変形を包含することを意図している。さらに、「含む(includes)」という用語が詳細な説明又は請求項のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprising)」という用語が請求項内で移行語として使用されるときに解釈されるのと同様に包括的であることが意図されている。さらに、説明した態様及び/又は実施形態の要素は単数形で詳細な説明又は請求項において記載される場合があるが、単数形への限定が明示的に述べられない限り、複数形も想定される。さらに、特に明記しない限り、任意の態様及び/又は実施形態の全部又は一部は、他の任意の態様及び/又は実施形態の全部又は一部と共に利用される場合がある。
【0102】
[0124] 実施形態は、以下の条項を使用してさらに説明することができる。
1.レーザ装置の光学アセンブリ内の光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を含むレーザ放射のパルスバーストを生成するように適合されたレーザ装置であって、
パルスバーストを開始するためのトリガと、
パルスバーストにおいて発生したパルスの数の実行カウントを提供するためのパルスカウンタと、
電圧指令信号の制御下で光学素子の位置を制御するように光学素子に機械的に結合された電気作動可能素子(EAE)と、
EAEに電気的に接続された電圧コントローラと、を備え、
電圧コントローラは、パルスカウンタから実行カウントを受け取るように配置され、電圧コントローラは、電圧指令信号を生成するように適合され、電圧コントローラは、バーストが開始されたときから実行カウントが第1の所定値に達するまで、第1の電圧上限を電圧指令信号に適用するように構成され、電圧コントローラは、実行カウントが第1の所定値を超えた後に、第2の電圧上限を電圧指令信号に適用するように構成される、レーザ装置。
2.第1の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントである、条項1に記載のレーザ装置。
3.電圧コントローラは、実行カウントが、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントに等しい第2の所定値を超えた後に、第3の電圧上限を電圧指令信号に適用する、条項1に記載のレーザ装置。
4.第1の電圧上限は、第2の電圧上限より大きい、条項1に記載のレーザ装置。
5.第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を生成するように適合されたレーザ装置であって、
パルスバーストの開始以降に発生したパルスの数の実行カウントを提供するように構成されたパルスカウンタと、
光学素子に機械的に結合され、且つ指令信号の制御下で光学素子の位置を調整するように構成された電気作動可能素子(EAE)であって、パルスバースト内のパルスのそれぞれの波長が光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいている、EAEと、
EAEに電気的に接続され、実行カウントをパルスカウンタから受け取るように配置され、且つ指令信号を生成するように適合されたコントローラであって、実行カウントに少なくとも部分的に基づいて、指令信号に適用される信号上限を変更するように適合される、コントローラと、を備えるレーザ装置。
6.コントローラは、実行カウントが、EAEがその応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したことに対応する所定の値に達したときに所定の信号上限を提供するように適合される、条項5に記載のレーザ装置。
7.コントローラは、実行カウントが、EAEがその応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したことに対応する所定の値に達したときに所定の信号上限を提供するように適合される、条項5に記載のレーザ装置。
8.コントローラは、実行カウントが、EAEがその応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したことに対応する第1の所定値に達したときに第1の所定信号上限を提供するように適合され、コントローラは、実行カウントが、EAEがその応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したことに対応する第2の所定値に達したときに第2の所定信号上限を提供するように適合され、第1の所定信号上限は、第2の所定信号上限より大きい、条項5に記載のレーザ装置。
9.レーザ装置の光学アセンブリ内の光学素子の位置に少なくとも部分的に基づいて、第1の波長を有する第1の複数のレーザ放射パルスと、第1の複数のレーザ放射パルスと共に点在する、第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の複数のレーザ放射パルスと、を含むレーザ放射のパルスバーストを生成するように適合されたレーザ装置を動作させる方法であって、光学素子の位置は、光学素子に機械的に結合された電気作動可能素子(EAE)によって決定され、方法は、
パルスバーストを生成することと、
パルスバーストを生成することと同時に、パルスバーストにおいて発生したパルスの数をカウントしてパルスの実行カウントを提供することと、
EAEに対する指令電圧を生成することであって、指令電圧は実行カウントに少なくとも部分的に基づいて電圧上限を有する、生成することと、を含む方法。
10.バーストが開始されたときから実行カウントが第1の所定値に達したときまで、第1の電圧上限が指令電圧に適用され、実行カウントが第2の所定値に達したときに、第2の電圧上限が指令電圧に適用される、条項9に記載の方法。
11.第1の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントである、条項10に記載の方法。
12.第2の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントである、条項10に記載の方法。
13.第1の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のアンダーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであり、第2の所定値は、EAEがその電圧応答挙動のオーバーシュート領域の終わりに達したときの実行カウントであり、第1の電圧上限は、第2の電圧上限より大きい、条項10に記載の方法。
【0103】
[0125] 上記の実施及び他の実施は、以下の請求項の範囲内にある。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B-3C】
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図13A-13B】
図14
図15
【国際調査報告】