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特表2024-543103ポリマーを含む組成物、ポリマー、及びそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ポリマーを含む組成物、ポリマー、及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20241112BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20241112BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20241112BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20241112BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D3/386
C11D3/48
C11D17/08
D06L1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529765
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2022081466
(87)【国際公開番号】W WO2023088776
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21209551.7
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラーシン,ヨッヘン エクハルト
(72)【発明者】
【氏名】ローター-ネーディング,ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッテラー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッファー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】デ,スワティ
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB11
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC09
4H003BA12
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB28
4H003EB30
4H003EB36
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA34
(57)【要約】
組成物であって、(A)少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mを有する少なくとも1種のポリマーであって、一般式(I)[式中、Zは、同一か又は異なり、水素及びメチルから選択され、Rは、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換され、R2aとR2bは、同一か又は異なり、H、C~C-アルキルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成し、nは、3~100で選択され、Xは、O及びN-R(Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、Aは、同一か又は異なり、C~C-アルキレン及び(AO)y1(ここで、AOは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy1は、2から200である)から選択される]による構造単位を繰り返し単位として含む少なくとも1種のポリマー(A)を含む組成物。更に、ポリマー(A)及びそのようなポリマー(A)を製造する方法。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗濯用組成物であって、
(A)少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mを有する少なくとも1種のポリマーであって、一般式(I)
【化1】
[式中、
は、同一か又は異なり、水素及びメチルから選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換され、
2aとR2bとは、同一か又は異なり、H、C~C-アルキルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成し、
nは、3~100で選択され、
は、O及びN-R(Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキレン及び(AO)y(ここで、AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにyは、2から200である)]
による構造単位を繰り返し単位として含むポリマー(A)
を含む組成物。
【請求項2】
ポリマー(A)が、構造式(II)
【化2】
[式中、Aは、(AO)y2(ここで、AOはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200である)から選択され、
は、水素、C~C10-アルキル、脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸のカルボキシレート、C10~C20-アルケニル脂肪酸のカルボキシレートから選択され、アスタリスクは、ポリマー(A)のN原子に結合する部分を示す]
の基、
又は(III)
【化3】
[式中、基(III)は、Xを介してポリマー(A)に結合しており、
及び他の変数は、上述の通りに定義される]
の基を更に有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
がα-アミノ酸をベースにする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
がリジンをベースにする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマー(A)が、2,500~100,000g/モルの範囲の平均分子量Mを有する請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、更に
(B)少なくとも1種のヒドロラーゼ
を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
(A)少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mを有するポリマー(A)であって、一般式(I)
【化4】
[式中、
は、同一か又は異なり、水素及びメチルから選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換され、
2aとR2bとは、同一か又は異なり、H、C~C-アルキルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成し、
nは、3~100で選択され、
は、O及びN-R(Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキレン及び(AO)y1(ここで、AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy1は、2から200である)]
による構造単位を繰り返し単位として含むポリマー(A)。
【請求項8】
2,500~100,000g/モルの範囲の平均分子量Mを有する請求項7に記載のポリマー(A)。
【請求項9】
がα-アミノ酸をベースにする請求項7又は8に記載のポリマー(A)。
【請求項10】
前記ポリマー(A)が、構造式(II)
【化5】
[式中、Aは、(AO)y2(ここで、AOはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200である)から選択され、
は、水素、C~C10-アルキル、脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸のカルボキシレート、C10~C20-アルケニル脂肪酸のカルボキシレートから選択され、アスタリスクは、ポリマー(A)のN原子に結合する部分を示す]
の基、又は(III)
【化6】
[式中、基(III)は、Xを介してポリマー(A)に結合しており、
及び他の変数は、上述の通りに定義される]
の基を更に有する請求項7~9のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載のポリマー(A)を製造する方法であって、
(α)場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル、別のCOOH基又はNHで置換されるC~C-アルキル残基を有する少なくとも1種のアミノ酸又はスルホン酸、或いはそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、
(β)1分子当たり少なくとも2当量の(メタ)アクリレートでエステル化された少なくとも1種のアルコキシル化ジオール若しくはポリオール、又はビス(メタ)アクリルアミドと、及び場合により、
(γ)未封止の、又はC~C10-アルキル基で封止した、又は脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸若しくはC10~C20-アルケニル脂肪酸でエステル化した、ポリエチレングリコールの少なくとも1種のモノ(メタ)アクリレートと、
(δ)又は場合により、式H-NR2a2bによるアミンと
反応させるステップを備える方法。
【請求項12】
前記化合物(α)が、1分子当たり少なくとも1つの第3級アミンを有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エステル化したポリアルキシル化(polyalkyoxylated)ジオール又はポリオール(β)が、エチレングリコールビス(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビス(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールビス(メタ)アクリレート、及び400~2,500g/モルの範囲の平均分子量Mを有するポリプロピレングリコールビス(メタ)アクリレートから選択される請求個11又は12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種のリパーゼ及び/又は少なくとも1種のプロテアーゼを含む洗剤組成物に請求項7~10のいずれか1項に記載のポリマー(A)を添加することにより、液体洗剤組成物の洗浄性能を改善する方法。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を微生物汚染又は増殖から保護する方法であって、2-フェノキシエタノールの添加を含む方法。
【請求項16】
4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物による処理後に、布地に抗菌効果を付与する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物であって、
(A)少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mを有する少なくとも1種のポリマーであって、一般式(I)
【化1】
[式中、
は、同一か又は異なり、水素及びメチルから選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換され、
2aとR2bとは、同一か又は異なり、H、C~C-アルキルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成し、
nは、3~100で選択され、
は、O及びN-R(Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキレン及び(AO)y1(ここで、AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy1は、2から200である)から選択される]
による構造単位を繰り返し単位として含む少なくとも1種のポリマー
を含む液体洗濯用組成物に関する。
【0002】
更に、本発明は、ポリマー(A)と、そのようなポリマー(A)を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
洗濯用洗剤は、幾つかの要件を満たす必要がある。洗濯用洗剤は、洗濯物から全種類の汚れ、例えば、全種類の顔料、粘土、脂肪質の土、並びに赤ワイン、紅茶、コーヒー、及びベリージュースを含む果物などの食物及び飲料からの染料をはじめとする染料を除去する必要がある。洗濯用洗剤はまた、特定の貯蔵安定性を呈する必要がある。殊に、液体の洗濯用洗剤又は吸湿性成分を含む洗濯用洗剤は、良好な貯蔵安定性に欠けることが多く、例えば酵素が失活しやすい。
【0004】
脂肪汚れは、依然として洗濯の際の課題である。ポリマー、酵素、界面活性剤など、除去するための数多くの提案がなされているが、うまく機能する解決策は依然として興味深いものである。リパーゼを使用して脂肪除去をサポートすることが提案されているが、多くのビルダーは、殊に液体洗濯用洗剤において、リパーゼとうまく機能しない。
【0005】
加えて、洗濯物の灰色化は、依然として重大な問題である。この灰色化は、洗浄中に汚れが再堆積したためと考えられる。汚れの再堆積を減らすために、気体又は液体のSOで処理した多糖類などの特定の天然又は変性多糖類が開発されている。様々な構造を有する数多くの成分が提案されている(例えば、国際公開第2015/091160号パンフレット、欧州特許出願公開第3 266 858 A1号明細書及び欧州特許出願公開第3 226 858 A1号明細書を参照のこと)が、依然として改善の余地が残されており、そのような化合物の抗灰色化の性能は依然として十分ではない。したがって、洗濯プロセスで使用できる改良された抗灰色化剤の継続的な必要性が存在する。特に、洗濯済みの布地が灰色化するのを低減する抗灰色化剤を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、上で検討した要件を満たす洗剤組成物を提供することが目的であった。上述の要件を満たす成分を提供することが更なる目的であり、そのような成分及び洗剤組成物を製造する方法を提供することが目的であった。
【0007】
それにより、最初に定義した組成物が見出され、以下では、本発明の組成物又は本発明による組成物とも称される。本発明の組成物は、少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mwを有する少なくとも1種のポリマー(A)を含み、そのポリマー(A)は、特定の繰り返し単位:
【化2】
[式中、
は、異なるか、又は好ましくは同一であり、水素及びメチルから選択され、全てのZが同一で水素であるのが好ましい。
は、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換される。例えば、Rは、アミノ安息香酸、好ましくは4-アミノ安息香酸を、2-アミノニコチン酸、スルファニル酸、4-アミノサリチル酸、及びそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、殊にナトリウム塩と共にベースとしてもよい。
好ましくは、Rは、α-アミノ酸、例えばアラニン、セリン、バリン、リジン、及び殊にリジンをベースとするのが好ましい。それぞれL-鏡像異性体が好ましい。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明においては、リジン、そのε-アミノ基の反応性がより高いと考えられる。
2aとR2bとは、異なるか、又は好ましくは同一であり、C~C-アルキルから選択され、C~C-アルキルは、上述の通りに定義され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成する。-NR2a2bの好ましい例は、-N(CH、-N(C、-N(CH、及び-N(CHである。]
を含む。
【0008】
変数nは、3~100、好ましくは3~45から選択される。
【0009】
繰り返し単位は、例えば一般式(II)に従って、別の繰り返し単位又は末端封止基への結合を象徴するアスタリスク*を介して互いに連結されている。
【0010】
は、O及びN-Rから選択され、Rは、水素及びメチルから選択され、全てのXが、酸素であるのが好ましい。
【0011】
は、同一か又は異なり、C~C-アルキレン、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-から選択され、好ましくは(AO)y1(ここで、AOは、エチレンオキシド(「EO」)及びプロピレンオキシド(「PO」)及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy1は、2~200、好ましくは2~10である)から選択される。
【0012】
(AO)y1がEOとPOからの組み合わせを指す実施形態においては、このようなEOとPOは、ランダムに、又は好ましくはブロック単位で、2つ若しくは3つのブロックに配置してよい。(AO)y1がEOとPOからの組み合わせを指す好ましい実施形態においては、AOの少なくとも50モル%が、例えば50~90モル%が、より好ましくは65~90モル%が、EOである。
【0013】
更により好ましくは、(AO)y1中の、つまりA中の全てのAOは、EOである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)の平均分子量Mwは、少なくとも1,500g/モル、好ましくは2,500~100,000g/モルの範囲である。平均分子量は、0.1重量%のトリフルオロ酸を移動相として含有する0.1MのNaCl水溶液中で、又はヘキサフルオロイソプロパノール(「HFIP」)中で、毎回好ましくは固定液としてTSKgelを用いて、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって求めることができる。
【0015】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)の多分散度Q=M/Mは、2~10、好ましくは2.5~6の範囲である。
【0016】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)は、10重量%の水溶液中で測定した、20~500の範囲のハーゼン色数を有する。
【0017】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)は、DIN53240(2013)に従って測定した、1~1000、好ましくは5~350mgKOH/gポリマー(A)の範囲のOH値を有する。
【0018】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)は、一般式(II)
【化3】
の基を1分子当たり1つ又は複数、好ましくは1分子当たり最大2つ更に有する。
【0019】
式(II)において、Aは、(AO)y2(ここで、AOは、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200、好ましくは2~45である)から選択され、
は、
水素、
~C10-アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソ-アミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、又はn-デシル、好ましくはCH又はC
脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はアラキジン酸などのカルボキシレート;或いはC10~C20アルケニル脂肪酸、例えばオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、及びα-リノレン酸、好ましくはオレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸などのカルボキシレートから選択される。
【0020】
は、同一か又は異なり、(AO)y2(ここで、AOは、エチレンオキシド(「EO」)及びプロピレンオキシド(「PO」)及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200、好ましくは2~45である)から選択される。
【0021】
(AO)y2がEOとPOからの組み合わせを指す実施形態においては、このようなEOとPOは、ランダムに、又は好ましくはブロック単位で、2つ若しくは3つのブロックに配置される。(AO)y2がEOとPOからの組み合わせを指す好ましい実施形態においては、AOの少なくとも50モル%が、例えば50~90モル%が、より好ましくは65~90モル%が、EOである。
【0022】
更により好ましくは、(AO)y2中の、つまりA中の全てのAOは、EOである。
【0023】
好ましくは、AとAは、同一である。
【0024】
式(II)においては、アスタリスクは、ポリマー(A)のN原子に結合する部分を示す。
【0025】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)は、分子
【化4】
当たり一般式(III)の基を少なくとも1つ有する。
【0026】
2aとR2bとは、異なるか、又は好ましくは同一であり、C~C-アルキルから選択され、C~C-アルキルは、上述の通りに定義され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成する。-NR2a2bの好ましい例は、1-イミダゾール、-N(CH、-N(C、-N(CH、及び-N(CHである。
【0027】
他の変数は、上述のように定義する。
【0028】
本発明の一実施形態においては、ポリマー(A)は、1分子当たり一般式(III)の基を1つ又は2つ有する。一般式(III)による基は、ポリマー(A)の残りの部分にZを介して結合する。
【0029】
本発明の配合物は、0.1~10重量%のポリマー(A)を含有することができる。
【0030】
本発明の組成物は、ポリマー(A)の合成に由来する不純物、例えば、アルキレンオキシド基の少なくとも50モル%がエチレンオキシド基であるポリアルキレンオキシドの未反応の一塩基酸又は二塩基酸、及びアルキレンオキシド基の少なくとも50モル%がエチレンオキシド基であるポリアルキレンオキシドの一塩基酸をベースとするポリエステルを含むこともある。
【0031】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、少なくとも1種の酵素を含む。酵素は、ポリペプチド配列(本明細書においてはアミノ酸配列とも呼ばれる)によって同定される。ポリペプチドの配列は、酵素の「活性部位」を含む三次元構造を特定し、それが結果として酵素の触媒活性を決定する。ポリペプチド配列は、配列番号により同定することができる。世界知的所有権機関(World Intellectual Property Office)(WIPO)Standard ST.25(1998)によると、本明細書においてアミノ酸は、最初の文字を大文字又は対応する1文字とした3文字コードで表される。
【0032】
本発明によるいずれの酵素も、両方とも酵素活性を有する親酵素及び/又はバリアント酵素に関する。酵素活性を有する酵素は、酵素的に活性であるか、又は酵素変換を行い、これは、酵素が基質に作用して生成物に変換することを意味する。本明細書においては、用語「酵素」は、酵素の不活性バリアントを除外する。
【0033】
(「親酵素」とも呼ばれる親タンパク質又は酵素の)「親」配列は、親配列の「バリアント」をもたらす配列の変化の導入(例えば、1つ又は複数のアミノ酸置換、挿入、欠失又はその組み合わせを導入することによる)のための開始配列である。親酵素(又は親配列)という用語には、野生型酵素(配列)及び(更なる)変化を導入するための開始配列として使用される合成的に生成した配列(酵素)が含まれる。
【0034】
用語「酵素バリアント」又は「配列バリアント」又は「バリアント酵素」は、そのアミノ酸配列においてその親酵素とはある程度異なる酵素を指す。特に明記されない限り、「酵素活性を有する」バリアント酵素は、このバリアント酵素がそれぞれの親酵素と同じ種類の酵素活性を有することを意味する。
【0035】
本発明のバリアントを説明する際には、以下のような命名法が使用される:
アミノ酸置換は、親酵素の元のアミノ酸の後に、アミノ酸配列内の位置の番号を与え、その後に置換されたアミノ酸を与えることによって記載される。アミノ酸欠失は、親酵素の元のアミノ酸の後に、アミノ酸配列内の位置の番号を与え、その後に*を付けて記載される。アミノ酸挿入は、親酵素の元のアミノ酸の後にアミノ酸配列内の位置の番号を与え、その後に元のアミノ酸及び追加のアミノ酸を与えることによって記載される。例えば、グリシンの隣のリジンの180位での挿入は、「Gly180GlyLys」又は「G180GK」として指定される。置換及び挿入が同じ位置に存在する場合、これは、S99SD+S99A又は要約すればS99ADとして示され得る。既存のアミノ酸残基と同一なアミノ酸残基が挿入される場合、命名法において縮重が生じる。例えば、グリシンが上の例においてグリシンの後に挿入される場合、これは、G180GGによって示されるであろう。異なる変質がある位置で導入され得る場合、異なる変質は、カンマによって隔てられ、例えば、それぞれ「Arg170Tyr,Glu」は、170位のアルギニンのチロシン又はグルタミン酸による置換を表す。或いは、異なる変質又は任意選択の置換は、括弧内に示すこともあり、例えば、Arg170[Tyr,Gly]若しくはArg170{Tyr,Gly};又は簡単にR170[Y,G]若しくはR170{Y, G};又は完全にはR170Y、R170Gである。
【0036】
酵素バリアントは、親酵素と比較する際にそれらの配列同一性によって定義することができる。配列同一性は、通常、「%配列同一性」又は「%同一性」として示される。配列同一性の計算のために、第1のステップで、配列アラインメントを生成する必要がある。本発明によれば、ペアワイズグローバルアラインメントを生成する必要があり、これは、2つの配列をその全長にわたってアラインメントする必要があることを意味し、通常、アラインメントアルゴリズムと呼ばれる数学的手法を使用して生成される。本発明によれば、アラインメントは、Needleman及びWunschのアルゴリズムを使用することによって生成される(J.Mol.Biol.(1979)48,p.443-453)。好ましくは、プログラム「NEEDLE」(European Molecular Biologyオープンソフトウェアスウィート(EMBOSS))が、プログラムデフォルトパラメーター(ギャップオープン=10.0、ギャップ伸長=0.5及びマトリックス=EBLOSUM62)を用いて、本発明に使用される。
【0037】
本発明によれば、以下の%-同一性の計算は、%-同一性=(同一の残基/その全長にわたって本発明のそれぞれの配列を示すアラインメント領域の長さ)*100
を適用する。
【0038】
本発明によれば、酵素バリアントは、それぞれの親酵素のアミノ酸配列と少なくともn%同一であるアミノ酸配列として記述することができ、ここで「n」は、10~100の整数である。一実施形態においては、バリアント酵素は、親酵素の全長アミノ酸配列と比較した場合、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であり、酵素バリアントは、酵素活性を有する。
【0039】
「酵素活性」は、酵素が発揮する触媒効果を意味し、通常、酵素1分子当たり1分間に変換される基質分子(分子活性)に関連する、酵素1ミリグラム当たりの単位(比活性)で表される。バリアント酵素は、前記酵素バリアントがそれぞれの親酵素の酵素活性の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を示す場合、本発明による酵素活性を有することができる。
【0040】
一実施形態においては、酵素は、ヒドロラーゼから、好ましくはプロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼから選択される。
【0041】
一実施形態においては、本発明の組成物は、
(B)以下ではヒドロラーゼ(B)とも称される少なくとも1種のヒドロラーゼであって、好ましくは以下ではリパーゼ(B)とも称されるリパーゼから選択されるヒドロラーゼ
を含む。
【0042】
「リパーゼ」、「脂肪分解酵素」、「脂質エステラーゼ」は全て、ECクラス3.1.1の酵素(「カルボキシルエステルヒドロラーゼ」)を指す。そのようなリパーゼ(B)は、リパーゼ活性(又は脂肪分解活性;トリアシルグリセロールリパーゼ、EC3.1.1.3)、クチナーゼ活性(EC3.1.1.74;クチナーゼ活性を有する酵素は、本明細書においてはクチナーゼと呼ばれ得る)、ステロールエステラーゼ活性(EC3.1.1.13)及び/又はワックス-エステルヒドロラーゼ活性(EC3.1.1.50)を有することができる。リパーゼ(B)としては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。
【0043】
市販のリパーゼ(B)としては、商品名Lipolase(商標)、Lipex(商標)、Lipolex(商標)及びLipoclean(商標)(Novozymes A/S)、Preferenz(商標)L(DuPont)、Lumafast(当初はGenencorから)及びLipomax(Gist-Brocades/現DSM)の下で販売されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
好適なリパーゼ(B)としては、脂肪分解活性を有する上述のリパーゼのバリアントであるものも挙げられる。好適なリパーゼバリアントとしては、上述の親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも40~100%同一性を有するバリアントが挙げられる。一実施形態においては、脂肪分解活性を有するリパーゼバリアントは、上述の親酵素の完全長ポリペプチド配列と比較した場合に、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一性であり得る。
【0045】
リパーゼ(B)は、「脂肪分解活性」を有する。脂肪分解活性を求める方法は、文献で良く知られている(例えば、Gupta et al.(2003)、Biotechnol.Appl.Biochem.37:63-71を参照されたい)。例えば、リパーゼ活性は、基質パラニトロフェニルパルミテート(pNP-Palmitate(パルミテート)、C:16)のエステル結合加水分解によって測定でき、黄色のpNPを放出し、405nmで検出できる。
【0046】
一実施形態では、リパーゼ(B)は、真菌トリアシルグリセロールリパーゼ(ECクラス3.1.1.3)から選択される。真菌トリアシルグリセロールリパーゼは、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)のリパーゼから選択され得る。一実施形態においては、少なくとも1種のサーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269によるトリアシルグリセロールリパーゼ及び脂肪分解活性を有するそのバリアントから選択される。
【0047】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269の完全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である脂肪分解活性を有するバリアントから選択することができる。
【0048】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269の機能性ドメインに属さない、保存的変異のみを含む脂肪分解活性を有するバリアントから選択することができる。脂肪分解活性を有するこの実施形態のリパーゼバリアントは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269の完全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似し得る。
【0049】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269と比較した場合、以下のアミノ酸置換:T231R及びN233Rを少なくとも含む脂肪分解活性を有するバリアントから選択することができる。前記リパーゼバリアントは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269と比較した場合、以下のアミノ酸交換:Q4V、V60S、A150G、L227G、P256Kの1つ又は複数を更に含むことができる。
【0050】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269のポリペプチド配列内に少なくともアミノ酸置換T231R、N233R、Q4V、V60S、A150G、L227G、P256Kを含む脂肪分解活性を有するバリアントから選択され得、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269の完全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%又は少なくとも97%類似している。
【0051】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269内にアミノ酸置換T231R及びN233Rを含む脂肪分解活性を有するバリアントから選択することができ、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269の完全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%類似している。
【0052】
サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)リパーゼは、脂肪分解活性を有する米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269のバリアントであり得、米国特許第5,869,438号明細書の配列番号2のアミノ酸1~269のバリアントは、アミノ酸置換T231R及びN233Rを含有することにおいて特徴付けられる。前記リパーゼは、本明細書においてはLipexと呼ばれることがある。
【0053】
本発明の一実施形態においては、前述のリパーゼ(B)の少なくとも2種の組み合わせを使用することができる。
【0054】
本発明の一実施形態においては、リパーゼ(B)は、完成した本発明の組成物がその組成物の100~0.005LU/mg、好ましくは25~0.05LU/mgの範囲の脂肪分解酵素活性を有するような量で本発明の組成物に含まれる。リパーゼ単位(LU)は、以下の条件下で、pHスタットにおいて1分間に1μモルの滴定可能な脂肪酸を生成するリパーゼの量である:温度30℃;pH=9.0;基質は、13ミリモル/LのCa2+と20ミリモル/LのNaClの存在下、5ミリモル/Lのトリス緩衝液中の3.3重量%のオリーブ油と3.3%のアラビアガムのエマルションである。
【0055】
一実施形態においては、本発明の組成物は、
(D)以下プロテアーゼ(D)とも称される、少なくとも1種のプロテアーゼ(D)
を含む。
【0056】
一実施形態においては、少なくとも1種のプロテアーゼ(D)は、セリンエンドペプチダーゼ(EC 3.4.21)の群から選択され、最も好ましくはサブチリシン型のプロテアーゼ(EC 3.4.21.62)の群から選択される。セリンプロテアーゼ又はセリンペプチダーゼは、触媒活性部位にセリンを有することを特徴とし、触媒反応中に基質と共有結合付加体を形成する。本発明の文脈におけるセリンプロテアーゼは、キモトリプシン(例えば、EC 3.4.21.1)、エラスターゼ(例えば、EC 3.4.21.36)、エラスターゼ(例えば、EC 3.4.21.37又はEC 3.4.21.71)グランザイム(例えば、EC 3.4.21.78又はEC 3.4.21.79)、カリクレイン(例えば、EC 3.4.21.34、EC 3.4.21.35、EC 3.4.21.118、又はEC 3.4.21.119)、プラスミン(例えば、EC 3.4 .21.7)、トリプシン(例えば、EC 3.4.21.4)、トロンビン(例えば、EC 3.4.21.5)、及びサブチリシンからなる群から選択することができる。サブチリシンは、スブチロペプチダーゼ、例えばEC 3.4.21.62としても既知であり、後者は、以下「サブチリシン」とも称される。サブチリシンに関連するクラスのセリンプロテアーゼは、キモトリプシンに関連するクラスのセリンプロテアーゼと区別される、触媒三残基を規定する共通のアミノ酸配列を共有する。サブチリシンとキモトリプシンに関連するセリンプロテアーゼは両方とも、アスパルテート、ヒスチジン、及びセリンを含む触媒三残基を有する。
【0057】
プロテアーゼは、「プロテアーゼ活性」又は「タンパク分解活性」を発揮する活性タンパク質である。タンパク質分解活性は、既定の期間でのプロテアーゼ又はタンパク質分解酵素によるタンパク質の分解の速度に関連する。
【0058】
タンパク質分解活性を分析する方法は、文献で良く知られている(例えば、Gupta et al.(2002)、Appl.Microbiol.Biotechnol.60:381-395を参照されたい)。タンパク質分解活性は、Succinyl-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリド(Suc-AAPF-pNA、略称AAPF)を基質として用いて求めることができる:例えば、DelMar et al.(1979)、Analytical Biochem 99、316-320を参照されたい)。pNAは、タンパク質分解切断によって基質分子から切断されて、その結果として、黄色の遊離pNAが放出され、これは、OD405を測定することにより、定量化することができる。
【0059】
タンパク質分解活性は、酵素1グラム当たりの単位で提供することができる。例えば、1Uのプロテアーゼは、(カゼインを基質として)pH8.0及び37℃で1分間に1μモルのフォリン陽性アミノ酸及びペプチド(チロシンとして)を遊離するプロテアーゼの量に相当し得る。
【0060】
サブチリシン型のプロテアーゼ(EC3.4.21.62)は、バシラス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバシラス属(Geobacillus)、ラクトバシラス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバシラス属(Oceanobacillus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)又はストレプトマイセス属(Streptomyces)プロテアーゼから選択される微生物に由来する細菌プロテアーゼ、或いはカンピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌(E.coli)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、イリオバクター属(Ilyobacter)、ナイセリア属(Neisseria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)及びウレアプラズマ属(Ureaplasma)などのグラム陰性菌ポリペプチドであってよい。
【0061】
本発明の一態様においては、少なくとも1種のプロテアーゼ(D)が、バシラス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)、バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バシラス・ブレビス(Bacillus brevis)、バシラス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バシラス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バシラス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バシラス・フィルムス(Bacillus firmus)、バシラス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)、バシラス・ロータス(Bacillus lautus)、バシラス・レンタス(Bacillus lentus)、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バシラス・プミルス(Bacillus pumilus)、バシラス・スファエリクス(Bacillus sphaericus)、バシラス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)又はバシラス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)プロテアーゼから選択される。
【0062】
本発明の一実施形態においては、少なくとも1種のプロテアーゼ(D)は、以下から選択される:バシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)BPN’由来のサブチリシン(Vasantha et al.(1984) J.Bacteriol.Volume 159,p.811-819及びJA Wells et al.(1983)in Nucleic Acids Research,Volume 11,p.7911-7925)により記載されている);バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のサブチリシン(サブチリシンCarlsberg;EL Smith et al.(1968) in J. Biol Chem,Volume 243,pp.2184-2191及びJacobs et al.(1985) in Nucl.Acids Res, Vol 13,p.8913-8926に開示されている);サブチリシンPB92(アルカリプロテアーゼPB92の元の配列は、欧州特許出願公開第283075A2号明細書に記載されている);国際公開第89/06279号パンフレットに開示されているサブチリシン147及び/又は309(それぞれEsperase(登録商標)、Savinase(登録商標));国際公開第91/02792号パンフレットに開示されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来のサブチリシン、例えば国際公開第95/23221号パンフレットに記載されているバシラス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483由来のサブチリシン又はバシラス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483のバリアント;独国特許第10064983号明細書に開示されているバシラス・アルカロフィルス(Bacillus alcalophilus)(DSM11233)由来のサブチリシン;国際公開第2003/054184号パンフレットに開示されているバシラス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)(DSM14391)由来のサブチリシン;国際公開第2003/056017号パンフレットに開示されているバシラス属の種(Bacillus sp.)(DSM14390)由来のサブチリシン;国際公開第2003/055974号パンフレットに開示されているバシラス属の種(Bacillus sp.)(DSM14392)由来のサブチリシン;国際公開第2003/054184号パンフレットに開示されているバシラス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)(DSM14393)由来のサブチリシン;国際公開第2005/063974号パンフレットに記載されている配列番号4を有するサブチリシン;国際公開第2005/103244号パンフレットに記載されている配列番号4を有するサブチリシン;国際公開第2005/103244号パンフレットに記載されている配列番号7を有するサブチリシン;及び独国特許第102005028295.4号明細書に記載されている配列番号2を有するサブチリシン。
【0063】
本発明による有用なプロテアーゼの例としては:国際公開第92/19729号パンフレット、国際公開第95/23221号パンフレット、国際公開第96/34946号パンフレット、国際公開第98/20115号パンフレット、国際公開第98/20116号パンフレット、国際公開第99/11768号パンフレット、国際公開第01/44452号パンフレット、国際公開第02/088340号パンフレット、国際公開第03/006602号パンフレット、国際公開第2004/03186号パンフレット、国際公開第2004/041979号パンフレット、国際公開第2007/006305号パンフレット、国際公開第2011/036263号パンフレット、国際公開第2011/036264号パンフレット及び国際公開第2011/072099号パンフレットに記載されているバリアントが挙げられる。適切な例としては、特にタンパク質分解活性を有する、以下の位置:3、4、9、15、24、27、33、36、57、68、76、77、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、118、120、123、128、129、130、131、154、160、167、170、194、195、199、205、206、217、218、222、224、232、235、236、245、248、252及び274(BPNの番号付けによる)のうち1つ又は複数にアミノ酸置換を有する欧州特許第1921147号明細書に記載されている配列番号22(バシラス・レンタス(Bacillus lentus)DSM5483に由来する成熟アルカリプロテアーゼの配列である)に由来するサブチリシンプロテアーゼのバリアントが挙げられる。一実施形態では、そのようなプロテアーゼは、位置Asp32、His64及びSer221(BPN付番に従う)で変異されない。
【0064】
一実施形態においては、少なくとも1種のプロテアーゼ(D)は、欧州特許第1921147号明細書に記載されている配列番号22による配列、又は少なくとも80%同一であり、及びタンパク質分解活性を有するプロテアーゼを有する。一実施形態においては、前記プロテアーゼは、101位(BPNの番号付けによる)にアミノ酸、グルタミン酸、又はアスパラギン酸、又はグルタミン、又はアラニン、又はグリシン、又はセリンを有することにより特徴付けられ、タンパク質分解活性を有する。一実施形態においては、前記プロテアーゼは、1つ又は複数の更なる置換:(a)位置3でのスレオニン(3T)、(b)位置4でのイソロイシン(4I)、(c)位置63でのアラニン、スレオニン又はアルギニン(63A、63T又は63R)、(d)位置156でのアスパラギン酸又はグルタミン酸(156D又は156E)、(e)位置194でのプロリン(194P)、(f)位置199でのメチオニン(199M)、(g)位置205でのイソロイシン(205I)、(h)位置217でのアスパラギン酸、グルタミン酸又はグリシン(217D、217E又は217G)、(i)(a)~(h)に従う2つ以上のアミノ酸の組み合わせを含む。
【0065】
少なくとも1種のプロテアーゼ(D)は、欧州特許第1921147号明細書に記載される配列番号22と少なくとも80%同一であり得、1つのアミノ酸((a)~(h)による)又はアミノ酸101E、101D、101N、101Q、101A、101G又は101S(BPN番号付けによる)とともに(i)による組み合わせを含むことによって特徴付けられる。一実施形態においては、前記プロテアーゼは、変異(BPNの番号付けによる)R101E、又はS3T+V4I+V205I、又はR101E及びS3T、V4I及びV205I、又はS3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを含み、且つタンパク質分解活性を有することにより特徴付けられる。欧州特許第1921147号明細書に記載されている101Eを有する配列番号22による配列を有するプロテアーゼは、本明細書においてはLavergyと呼ばれることがある。
【0066】
一実施形態においては、欧州特許第1921147号明細書に記載されている配列番号22によるプロテアーゼは、変異(BPNの番号付けによる)S3T+V4I+S9R+A15T+V68A+D99S+R101S+A103S+I104V+N218Dを含み、且つタンパク質分解活性を有することにより特徴付けられる。
【0067】
本発明の組成物は、好ましくはセリンエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)の群から選択され、より好ましくはサブチリシン型プロテアーゼ(EC3.4.21.62)の群から選択される少なくとも2種のプロテアーゼの組み合わせを含んでもよく、これらの全ては既に開示されている。
【0068】
組成物中にリパーゼ(B)とプロテアーゼ(D)の組み合わせを、例えば両方とも組成物の総重量に対して1~2重量%のプロテアーゼ(D)と0.1~0.5重量%のリパーゼ(B)を使用するのが好ましい。
【0069】
本発明に関連して、リパーゼ(B)及び/又はプロテアーゼ(D)は、「適用時に利用可能な」その酵素活性が、貯蔵前の初期酵素活性と比較して少なくとも60%に等しい場合に、安定であるとみなされる。適用時に使用可能であるその酵素活性が、貯蔵前の初期酵素活性と比較して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%であるならば、酵素は、本発明の範囲内で安定であると呼んでもよい。
【0070】
100%からa%を引くことによって、貯蔵前の初期酵素活性と比較して、「貯蔵中の酵素活性の喪失」が得られる。一実施形態においては、酵素活性の喪失が貯蔵中に本質的に起こらない、即ち、酵素活性の喪失が貯蔵前の初期酵素活性と比較して0%に等しい場合に、本発明によれば、酵素は安定している。本発明内において酵素活性の喪失がほぼないとは、酵素活性の喪失が30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満であることを意味し得る。
【0071】
一実施形態においては、本発明の組成物は、
(C)少なくとも1種のアニオン性界面活性剤(以下アニオン性界面活性剤(C)とも称される)を含む。
【0072】
アニオン性界面活性剤(C)の例は、C~C18-アルキルスルフェートの、C~C18-脂肪アルコールポリエーテルスルフェートの、エトキシル化C~C12-アルキルフェノールの硫酸ハーフエステル(エトキシル化度:1~50モル/モルのエチレンオキシド)の、C12~C18スルホ脂肪酸アルキルエステルのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、例えばC12~C18スルホ脂肪酸メチルエステル、更にC12~C18-アルキルスルホン酸及びC10~C18-アルキルアリールスルホン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩である。上述の化合物のアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
【0073】
アニオン性界面活性剤(C)の更なる例は、石鹸、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エーテルカルボキシレート、及びアルキルエーテルホスファートのナトリウム塩又はカリウム塩である。
【0074】
好ましい本発明の一実施形態においては、アニオン性界面活性剤(C)は、一般式(IV)
-O(CHCHO)x1-SOM (IV)
[式中、
は、殊に偶数の炭素原子を有するn-C10~C18-アルキル、例えばn-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、又はn-オクタデシル、好ましくはC10~C14-アルキル、及び更により好ましくはn-C12-アルキルであり、
x1は、1~5の範囲の数字であり、好ましくは2~4、更により好ましくは3であり、
Mは、アルカリ金属、好ましくはカリウム、更により好ましくはナトリウムから選択される]
による化合物から選択される。
【0075】
アニオン性界面活性剤(C)においては、x1は平均数であってよいので、nは必ずしも整数ではないが、式(IIIa)による個々の分子においては、xは整数を表す。
【0076】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、0.1~60%、好ましくは5~50重量%のアニオン性界面活性剤(C)を含有することができる。
【0077】
本発明の組成物は、前述したもの以外の成分を含むことができる。例は、非イオン性界面活性剤、香料、染料、殺生物剤、防腐剤、酵素、ヒドロトロープ、ビルダー、粘度調整剤、ポリマー、緩衝液、脱泡剤、及び防食添加剤である。
【0078】
好ましい本発明の組成物は、1種又は複数の非イオン性界面活性剤を含有してもよい。
【0079】
好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコキシ化アルコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのジ-及びマルチブロックコポリマー、並びにソルビタンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドの反応生成物、アルキルポリグリコシド(APG)、ヒドロキシアルキル混合エーテル、並びにアミンオキシドである。
【0080】
アルコキシ化アルコール及びアルコキシ化脂肪アルコールの好ましい例は、例えば、一般式(IVa):
【化5】
[式中の可変要素を以下のように定義する:
は、同一か又は異なり、水素、及び直鎖C~C10アルキルから選択され、好ましくはそれぞれの場合で同一であってエチルであり、特に好ましくは水素又はメチルであり、
は、C~C22-アルキル、分岐若しくは直鎖の例えばn-C17、n-C1021、n-C1225、n-C1429、n-C1633又はn-C1837から選択され、
は、C~C10-アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル又はイソデシルから選択され、
は、同一か又は異なり、水素、及び直鎖C~C10アルキルから選択され、好ましくはそれぞれの場合で同一であってエチルであり、特に好ましくは水素又はメチルである]
の化合物である。
【0081】
変数e及びfは、0から300の範囲であり、eとfの合計は、少なくとも1、好ましくは3~50の範囲である。eが1~100の範囲内にあり、且つfが0~30の範囲内にあるのが好ましい。
【0082】
一実施形態において、一般式(II)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってよく、ブロックコポリマーが好ましい。
【0083】
アルコキシ化アルコールの他の好ましい例は、例えば、一般式(IVb):
【化6】
[式中の可変要素を以下のように定義する:
は、同一か又は異なり、水素、及び直鎖C~Cアルキルから選択され、好ましくはそれぞれの場合で同一であってエチルであり、特に好ましくは水素又はメチルであり、
は、C~C20-アルキル、分岐若しくは直鎖の特にn-C17、n-C1021、n-C1225、n-C1327、n-C1531、n-C1429、n-C1633、n-C1837から選択され、
aは、0~10の範囲、好ましくは1~6の範囲の数であり、
bは、1~80の範囲、好ましくは4~20の範囲の数であり、
dは、0~50の範囲、好ましくは4~25の範囲の数である]
の化合物である。
【0084】
a+b+dの合計は、好ましくは5~100の範囲、更により好ましくは9~50の範囲である。
【0085】
一般式(IVa)及び(IVb)の化合物は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであってよく、ブロックコポリマーが好ましい。
【0086】
更に好適な非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから構成されるジ-及びマルチブロックコポリマーから選択される。更なる好適な非イオン性界面活性剤は、エトキシ化又はプロポキシル化されたソルビタンエステルから選択される。アミンオキシド又はアルキルポリグリコシド、殊に、直鎖C~C16-アルキルポリグルコシド及び分岐C~C14-アルキルポリグリコシド、例えば、平均的な一般式(IVc)の化合物も同様に好適である。
【化7】
[式中、
は、-(CH-Rであり、
は、C~Cアルキル、特にエチル、n-プロピル又はイソプロピルであり、
は、4~6個の炭素原子を有する単糖、特にグルコース及びキシロースから選択され、
y3は、1.1~4の範囲であり、y3は、平均数である]。
【0087】
非イオン性界面活性剤の更なる例は、一般式(V)及び(VI)
【化8】
[AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選択され、
EOは、エチレンオキシド、CHCH-Oであり、
は、C~C18-アルキル、分岐又は直鎖から選択され、Rは、上述のように定義される]
の化合物である。
【0088】
Oは、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選択され、
wは、15~70、好ましくは30~50の範囲の数であり、
w1及びw3は、1~5の範囲の数であり、及び
w2は、13~35の範囲の数字である。
【0089】
好適な更なる非イオン性界面活性剤の概説が、欧州特許出願公開第A0851023号明細書及び独国特許出願公開第A19819187号明細書に記載されている。
【0090】
前述の非イオン性界面活性剤から選択された2種以上の異なる非イオン性界面活性剤の混合物もまた、存在してもよい。
【0091】
存在することができる他の界面活性剤は、両性(双性イオン性)界面活性剤及びアニオン性界面活性剤並びにそれらの混合物から選択してよい。
【0092】
両性界面活性剤の例は、使用条件下で同じ分子内に正電荷及び負電荷を有する界面活性剤である。好ましい両性界面活性剤の例は、所謂ベタイン系界面活性剤である。ベタイン系界面活性剤の多くの例は、1分子当たり1個の第4級窒素原子及び1個のカルボン酸基を有する。両性界面活性剤の特に好ましい例は、コカミドプロピルベタイン(ラウラミドプロピルベタイン)である。
【0093】
アミンオキシド系界面活性剤の例は、一般式(VII)
101112N→O (VII)
[式中、R10、R11及びR12は、互いに独立して脂肪族、脂環式又はC~C-アルキレンC10~C20-アルキルアミド部分から選択される。好ましくは、R12は、C~C20-アルキル又はC~C-アルキレンC10~C20-アルキルアミドから選択され、及びR10とR11は、両方ともメチルである。]
の化合物である。
【0094】
特に好ましい例は、ラウラミンオキシドとも呼ばれることがある、ラウリルジメチルアミンオキシドである。更に特に好ましい例は、コカミドプロピルアミンオキシドとも呼ばれることがある、コカミジルプロピルジメチルアミンオキシドである。
【0095】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びアミンオキシド界面活性剤から選択される少なくとも1種の界面活性剤を0.1~60重量%含有してもよい。
【0096】
好ましい一実施形態においては、クリーナー用の、殊に自動食洗機用の本発明の固体洗剤組成物は、いかなるアニオン性界面活性剤も含有しない。
【0097】
本発明の組成物は、ブリーチとも呼ばれる少なくとも1種の漂白剤を含有してもよい。漂白剤は、塩素系漂白剤及び過酸化物系漂白剤から選択してよく、そして過酸化物系漂白剤は、無機過酸化物系漂白剤及び有機過酸化物系漂白剤から選択してよい。アルカリ金属過炭酸塩、アルカリ金属過ホウ酸塩及びアルカリ金属過硫酸塩から選択される無機過酸化物系漂白剤が、好ましい。
【0098】
有機過酸化物系漂白剤の例は、有機過カルボン酸、殊に有機過カルボン酸である。
【0099】
本発明組成物においては、アルカリ金属過炭酸塩、殊に過炭酸ナトリウムは、コーティングした形態で使用されるのが好ましい。このようなコーティングは、有機性でも無機性でもよい。例としては、グリセロール、硫酸ナトリウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、及び前述のもののうち少なくとも2つの組み合わせ、例えば炭酸ナトリウムと硫酸ナトリウムの組み合わせが挙げられる。
【0100】
好適な塩素含有漂白剤は、例えば、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、N-クロロスルファミド、クロラミンT、クロラミンB、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸マグネシウム、次亜塩素酸カリウム、ジクロロイソシアヌル酸カリウム及びジクロロイソシアヌル酸ナトリウムである。
【0101】
本発明の組成物は、塩素含有漂白剤を例えば3~10重量%の範囲で含んでもよい。
【0102】
本発明の組成物は、1種又は複数の漂白触媒を含んでもよい。漂白触媒は、漂白促進性遷移金属塩又は遷移金属錯体、例えば、マンガン-、鉄-、コバルト-、ルテニウム-又はモリブデン-サレン錯体又はカルボニル錯体などから選択することができる。マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウム及び銅の、窒素含有三脚配位子との錯体に加えて、コバルト-、鉄-、銅-及びルテニウム-アミン錯体も漂白触媒として使用することができる。
【0103】
本発明の組成物は、漂白活性化剤、例えばN-メチルモルホリニウム-アセトニトリル塩(「MMA塩」)、トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、例えばN-ノナノイルスクシンイミドなどのN-アシルイミド、1,5-ジアセチル-2、2-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(「DADHT」)又はニトリルクワット(トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩)を1種又は複数含んでもよい。
【0104】
好適な漂白活性剤の更なる例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)及びテトラアセチルヘキシレンジアミンである。
【0105】
香料の例は、サリチル酸ベンジル、Lilial(登録商標)として市販されている2-(4-tert-ブチルフェニル)2-メチルプロピオナール、及びヘキシルシンナムアルデヒドである。
【0106】
染料の例は、アシッドブルー9、アシッドイエロー3、アシッドイエロー23、アシッドイエロー73、ピグメントイエロー101、アシッドグリーン1、ソルベントグリーン7、及びアシッドグリーン25である。
【0107】
本発明の組成物は、1種又は複数の防腐剤又は殺生物剤を含有することができる。殺生物剤及び防腐剤は、微生物からの攻撃に起因する本発明の液体洗剤組成物の変質を防ぐ。殺生物剤及び防腐剤の例は、BTA(1,2,3-ベンゾトリアゾール)、塩化ベンザルコニウム、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン(「BIT」)、2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「MIT」)及び5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(「CIT」)、安息香酸、ソルビン酸、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル(「IPBC」)、ジクロロジメチルヒダントイン(「DCDMH」)、ブロモクロロジメチルヒダントイン(「BCDMH」)、及びジブロモジメチルヒダントイン(「DBDMH」)である。
【0108】
特に興味深い例は、以下の抗菌剤及び/又は防腐剤である:
4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(CAS番号3380-30-1)、更なる名称:Tinosan(登録商標)HP100の商品名で1,2-プロピレングリコールに溶解した4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルの30重量%溶液として市販される5-クロロ-2-(4-クロロフェノキシ)フェノール(Diclosan、DCPP):
並びに
2-フェノキシエタノール(CAS番号122-99-6、更なる名称:フェノキシエタノール、メチルフェニル-グリコール、フェノキセトール、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、Protectol(登録商標)PE);
2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール(CAS番号52-51-7、更なる名称:2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、Bronopol(登録商標)、Protectol(登録商標)BN、Myacide AS);
グルタルアルデヒド(CAS番号111-30-8、更なる名称:1-5-ペンタンジアール、ペンタン-1,5-ジアール、グルタラール、グルタルジアルデヒド、Protectol(登録商標)GA、Protectol(登録商標)GA50、Myacide(登録商標)GA);
グリオキサール(CAS番号107-22-2;更なる名称:エタンジアール、オキシルアルデヒド(oxylaldehyde)、1,2-エタンジアール、Protectol(登録商標)GL);
2-ブチル-ベンゾ[d]イソチアゾール-3-オン(BBIT、CAS番号 4299-07-4);2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT、CAS番号2682-20-4);2-オクチル-2H-イソチアゾール-3-オン(OIT、CAS番号26530-20-1);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(CIT、CMIT、CAS番号26172-55-4);5-クロロ-2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(CMIT、EINECS 247-500-7)と2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン(MIT、EINECS 220-239-6)の混合物( CMIT/MIT の混合物、CAS番号55965-84-9);1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン(BIT、CAS番号2634-33-5);
ヘキサ-2,4-ジエン酸(ソルビン酸、CAS 番号110-44-1)及びその塩、例えば:ソルビン酸カルシウム、ソルビン酸ナトリウム、カリウム(E,E)-ヘキサ-2,4-ジエン酸(ソルビン酸カリウム)、CAS番号24634-61-5);
乳酸及びその塩;殊に乳酸ナトリウム、
L-(+)-乳酸(CAS番号79-33-4);
安息香酸(CAS番号65-85-0、CAS番号532-32-1)、並びに安息香酸の塩、例えば、安息香酸ナトリウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、MEA-安息香酸塩、安息香酸カリウム;
サリチル酸及びその塩、例えば、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸MEA、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸TEA;塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、サッカリン酸ベンザルコニウム(CAS番号8001-54-5、63449-41-2、91080-29-4、68989-01-5、68424-85-1、68391-01-5、61789-y71)-7、85409-22-9);
ジデシルジメチル塩化アンモニウム(DDAC、CAS番号68424-95-3及びCAS番号7173-51-5);
N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシルプロパン-1,3-ジアミン(ジアミン、CAS番号2372-82-9);
過酢酸(CAS番号79-21-0);
過酸化水素(CAS番号7722-84-1)。
殺生物剤又は防腐剤は、組成物の総重量に対して0.001~10%の濃度で本発明の組成物に添加してよい。好ましくは、本発明の組成物は、0.1~2%の濃度の2-フェノキシエタノール、又は0.005~0.6%の濃度の4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(DCPP)を含有する。
【0109】
本発明は、したがって、細菌の汚染又は増殖から本発明の組成物を保護する方法であって、2-フェノキシエタノールの添加を含む方法に更に関する。
【0110】
本発明は、したがって、4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテル(DCPP)を含有する本発明の組成物による処理後に布地に抗菌効果を付与する方法に関する。
【0111】
粘度調整剤の例は、寒天、カラギーナン、トラガカント、アラビアガム、アルギン酸塩、ペクチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ゼラチン、ローカストビーンガム、架橋ポリ(メタ)アクリレート、例えばビス(メタ)アクリルアミドで架橋されたポリアクリル酸、更にケイ酸、粘土(限定されるものではないがモンモリロナイト、ゼオライト、デキストリンなど)、及びカゼインである。
【0112】
本発明の文脈におけるヒドロトロープとは、水中で限定された溶解度を示す化合物の溶解を促進する化合物である。ヒドロトロープの例は、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコールなどの有機溶媒、及び通常の条件下で水混和性である更なる有機溶媒であるが、これらに限定されない。好適なヒドロトロープの更なる例は、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、及びクメンスルホン酸のナトリウム塩である。
【0113】
ポリマー(A)以外のポリマーの例は、殊にポリアクリル酸及びそのそれぞれのアルカリ金属塩、殊にそのナトリウム塩である。好適なポリマーは、特にポリアクリル酸であり、好ましくは2,000~40,000g/モル、好ましくは2,000~10,000g/モル、特に3,000~8,000g/モルの範囲の平均分子量Mを有し、それぞれが部分的又は完全にアルカリ、殊にナトリウムで中和される。同様に好適なコポリマー性ポリカルボン酸塩は、特に、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、並びにアクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸及び/又はフマル酸とのコポリマーである。ポリアクリル酸及びその対応するアルカリ金属塩は、汚れ再付着防止剤として機能し得る。
【0114】
ポリマーの更なる例は、ポリビニルピロリドン(PVP)である。ポリビニルピロリドンは、移染防止剤として機能することができる。
【0115】
ポリマーの更なる例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリオキシエチレンテレフタレート、及び1分子当たり1個又は2個の親水性基で末端封止されたポリエチレンテレフタレートであり、親水性基は、CHCHCH-SONa、CHCH(CH-SONa)、及びCHCH(CHSONa)CH-SONaから選択される。
【0116】
緩衝液の例は、モノエタノールアミン及びN,N,N-トリエタノールアミンである。
【0117】
脱泡剤の例はシリコーンである。
【0118】
本発明の組成物は、油などの有機脂肪の汚れに対して汚れた洗濯物の洗浄に良好であるだけではない。本発明の液体洗剤組成物は、これらに限定されないが、洗濯物からの赤ワイン、紅茶、コーヒー、野菜、ベリージュースのような様々なフルーツジュースからの汚れなどの非漂白性の汚れを除去するのに非常に有用である。なお、本発明の組成物は、織布に残留物を残さない。
【0119】
本発明の更なる態様は、したがって、ランドリーケアのための本発明の組成物の使用である。この文脈におけるランドリーケアには、ランドリークリーニングが含まれる。
【0120】
別の態様においては、本発明の組成物は、硬表面洗浄に有用である。本発明の更なる一態様は、したがって、硬表面洗浄での本発明の組成物の使用である。
【0121】
本発明に関連して、用語「硬表面洗浄用の組成物」には、ホームケア用及び工業用又は施設向きの用途でのクリーナーが含まれる。「硬質表面洗浄用組成物」という用語には、食器洗浄用組成物、殊に手洗い食器洗浄用組成物、自動食器洗浄用及び陶器洗浄用の組成物、並びに、浴室洗浄用の組成物、台所洗浄用の組成物、床洗浄用の組成物、配管のスケール除去用組成物、窓洗浄用の組成物、トラック洗浄を含む自動車洗浄用の組成物、更に開放型プラント洗浄用の組成物、場内洗浄用の組成物、金属洗浄用組成物、殺菌洗浄用の組成物、農場洗浄用の組成物、高圧洗浄用の組成物などの硬表面洗浄用の組成物が含まれるが、これらに限定するものではなく、洗濯用洗剤組成物は含まれない。硬表面洗浄用の組成物の特定の実施形態は、自動食器洗浄組成物である。
【0122】
本発明に関連して、用語「硬表面洗浄用の組成物」及び「硬表面クリーナー用の組成物」は、互いに交換して使用される。
【0123】
本発明に関連して、特に明記されない限り、洗濯用洗剤組成物の成分に関する百分率は、重量パーセントであり、それぞれの洗濯用洗剤組成物の総固形分を指す。本発明に関連して、特に明記されない限り、硬表面クリーナー用の洗剤組成物の成分に関する百分率は、重量パーセントであり、硬表面洗浄用の洗剤組成物の総固形分の含有量を指す。
【0124】
自動食器洗浄に使用される場合の本発明の組成物は、好ましくは
(E)アミノポリカルボン酸及び好ましくはそれらのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1種のビルダー成分であって、本発明に関連して、錯化剤(E)又は金属イオン封鎖剤(E)とも呼ばれる成分
を含有する。本発明に関連して、用語「金属イオン封鎖剤」と「キレート剤」は、互いに交換して使用される。
【0125】
金属イオン封鎖剤(E)の例は、MGDA(メチルグリシン二酢酸)のアルカリ金属塩、GLDA(グルタミン酸二酢酸)のアルカリ金属塩、IDS(イミノジコハク酸)のアルカリ金属塩、EDTAのアルカリ金属塩、並びに20~90モル%のN原子が少なくとも1つのCHCOO基を有するような錯化基を有するポリマー、例えばポリエチレンイミン、及びそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、殊にそれらのナトリウム塩、例えば、MGDA-Na、GLDA-Na、又はIDS-Naである。
【0126】
好ましい金属イオン封鎖剤は、一般式(IXa)
[CH-CH(COO)-N(CH-COO)]M3-x2x2(IXa)
[式中、Mは、同一か又は異なり、アンモニウム及びアルカリ金属カチオン、例えばナトリウムカチオン、カリウムカチオン、及び前述の少なくとも2つの組み合わせから選択される。アンモニウムは、アルキルで置換してもよいが、非置換のアンモニウムNH が好ましい。アルカリ金属カチオンの好ましい例は、ナトリウム及びカリウム並びにナトリウムとカリウムの組み合わせ、そして一般式(IIa)による化合物において、全てのMが同じで且つそれらが全てNaであるのが更により好ましく;
式(IIa)におけるx2は、0~1.0の範囲である]、
又は(IXb)
[OOC-CHCH-CH(COO)-N(CH-COO)]M4-x3x3(IXb)
[式中、Mは、上述の通りであり、式(IXb)におけるx3は、0~2.0、好ましくは1.0までの範囲である]、
又は(IXc)
[OOC-CH-CH(COO)]-N-CH(COO)-CH-COO]M4-x4x4 (IXc)
[式中、Mは、上述の通りであり、式(IXc)におけるx4は、0~2.0、好ましくは1.0までの範囲である]
によるものである。
【0127】
本発明の一実施形態においては、前記の本発明の組成物は、前述のうちの少なくとも2つの組み合わせ、例えば一般式(IXa)によるキレート剤と一般式(IXb)によるキレート剤との組み合わせを含有する。
【0128】
一般式(IXa)及び(IXb)によるキレート剤が、好ましい。一般式(IXa)によるキレート剤が、更により好ましい。
【0129】
本発明の一実施形態においては、一般式(IXa)による化合物は、ラセミMGDAのアンモニウム又はアルカリ金属塩、並びに式(IXa)によるL-鏡像異性体とD-鏡像異性体との混合物のアンモニウム及びアルカリ金属塩から選択され、前記混合物は、5~99%、好ましくは5~95%、より好ましくは10~75%、そして更により好ましくは10~66%の範囲で鏡像異性体過剰率(ee)を有するそれぞれのL-異性体を主に含有する。
【0130】
本発明の一実施形態においては、一般式(IXb)による化合物は、式(IXb)によるL-鏡像異性体とD-鏡像異性体との混合物の少なくとも1種のアルカリ金属塩から選択され、前記混合物は、ラセミ混合物を含有し、又は例えば、5~99%、好ましくは15~95%の範囲で鏡像異性体過剰率(ee)を有するそれぞれのL-異性体を主に含有するのが好ましい。
【0131】
一般式(IXa)による化合物の鏡像異性体過剰率は、偏光を測定して(旋光分析)、又は好ましくはクロマトグラフィーによって、例えばキラルカラムを備えたHPLCによって、例えば固定相として1種又は複数のシクロデキストリンを用いるか、又は配位子交換(Pirkle-brush)コンセプトのキラル固定相を用いて求めることができる。銅(+II)塩の存在下でD-ペニシラミンなどの固定化光学活性アミンを用いて、HPLCによるee(鏡像異性体過剰率)の測定が好ましい。一般式(IXb)の塩による化合物の鏡像異性体過剰率は、偏光を測定して(旋光分析)により求めることができる。
【0132】
リン酸塩の使用に関連して生じる環境上の懸念のため、有利な組成物はリン酸塩を含有しないことが好ましい。「リン酸塩を含まない」とは、本発明に関連して、リン酸塩及びポリリン酸塩の含有量が、重量測定により求める検出レベルから合計で1重量%までの範囲、好ましくは10ppm~0.2重量%までの範囲であることを意味するものと理解されるべきである。
【0133】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、総固形分に対して、0.5~50重量%、好ましくは1~35%重量%の範囲で金属イオン封鎖剤(E)を含有する。
【0134】
液体洗濯用組成物として好適なものとするために、本発明の組成物は、バルク形態であってもよく、又は単位用量として例えば小袋若しくはパウチの形態であってもよい。パウチに好適な材料は、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーである。
【0135】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の組成物は、周囲温度で液体又はゲル型である。別の好ましい本発明の実施形態においては、本発明の組成物は、周囲温度で固体、例えば粉末又は錠剤である。
【0136】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、液体又はゲル型であり、且つ7~9、好ましくは7.5~8.5の範囲のpH値を有する。本発明の組成物が固体である実施形態においては、そのpH値は、周囲温度で蒸留水に1g/100mlを溶解した後に測定して、7.5~11の範囲であり得る。本発明の組成物が例えば浴室タイルなどのタイルのような硬表面に使用される実施形態においては、そのpH値が、酸性、例えば3~6であることも可能である。
【0137】
本発明の一実施形態においては、本発明の組成物は、液体又はゲル型であり、且つ80℃真空下において乾燥させて測定して、8~80%、好ましくは10~50%の範囲の総固形分を有する。
【0138】
本発明の別の態様は、ポリマー(A)に関し、以下本発明のポリマー(A)又は単にポリマー(A)とも称される。本発明のポリマー(A)は、既に説明されている。
【0139】
具体的には、本発明の一実施形態において、本発明のポリマー(A)は、2,500~100,000g/モルの範囲の平均分子量Mを有する
【0140】
具体的には、本発明の一実施形態において、Rは、α-アミノ酸、例えばアラニン、セリン、バリン、リジン、及び殊にリジンをベースとする。それぞれのL-鏡像異性体が好ましく、L-リジンが特に好ましい。
【0141】
具体的には、本発明の一実施形態において、本発明のポリマー(A)は、構造式(II)
【化9】
[式中、Aは、(AO)y2(ここで、AOはエチレンオキシド及びプロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200である)から選択され、
は、水素、C~C10-アルキル、脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸のカルボキシレート、C10~C20-アルケニル脂肪酸のカルボキシレートから選択され、及びアスタリスクは、ポリマー(A)のN原子に結合する部分を示す]、又は(III)
【化10】
[基(III)は、Xを介してポリマー(A)に結合しており、
及び他の変数は、上述の通りに定義される]
の基を更に有する。
【0142】
一態様においては、本発明は、本発明によるポリマー(A)を、好ましくは少なくとも1種のリパーゼ及び/又は少なくとも1種のプロテアーゼを含む洗剤組成物に添加することによって、液体洗剤組成物の洗浄性能を改善する方法に関する。
【0143】
本明細書において用語「改善した洗浄性能」は、ポリマー(A)を含まない洗剤組成物の洗浄性能と比較した場合、ポリマー(A)が、関連する洗浄条件下での汚れの除去において、より良好な、即ち改善された特性を提供することを示すことができる。一実施形態においては、「改善した洗浄性能」とは、ポリマー(A)と、少なくとも1種の酵素、好ましくは少なくとも1種のヒドロラーゼ(B)、殊に少なくとも1種のリパーゼ(B)及び/又は少なくとも1種のプロテアーゼ(D)とを含む洗剤の洗浄性能が、ポリマー(A)を含み酵素を含まない洗剤の洗浄性能と比較した場合、改善されていることを意味する。一実施形態においては、「改善した洗浄性能」とは、ポリマー(A)と、酵素、好ましくはヒドロラーゼ(B)、より好ましくはリパーゼ(B)及び/又はプロテアーゼ(D)とを含む洗剤の洗浄性能が、少なくとも1種の酵素、好ましくは少なくとも1種のヒドロラーゼ(B)、好ましくはリパーゼ(B)及び/又は少なくとも1種のプロテアーゼ(D)を含み且つポリマー(A)を含まない洗剤の洗浄性能と比較した場合に、改善していることを意味する。
【0144】
本明細書の用語「適切なクリーニング条件」は、洗濯機、自動食器洗浄機又は手動でのクリーニングプロセスにおいて実際に使用される条件、特に、クリーニング温度、時間、クリーニング装置、泡濃度、洗剤の種類及び水の硬度を指す。
【0145】
本発明のポリマー(A)は、本発明の組成物として又は本発明の組成物の製造に非常に好適である。本発明のポリマー(A)は、生分解性を示す。
【0146】
本発明の更なる態様は、本発明のポリマー(A)を製造するための方法に関し、以下、本発明の方法とも称される。本発明の方法は、
(α)少なくとも1分子のR-NHを、
(β)1分子当たり少なくとも2つの(メタ)アクリレートでエステル化した少なくとも1種のアルコキシル化ジオール若しくはポリオールと、又はビス(メタ)アクリルアミド、特に好ましくはメチレンビスアクリルアミドと、そして場合により、
(γ)未封止の、又はC~C10-アルキル基で封止した、又は脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸若しくはC10~C20-アルケニル脂肪酸でエステル化した、ポリエチレングリコールの少なくとも1種のモノ(メタ)アクリレートと、
(δ)或いは場合により、式H-NR2a2bによるアミンと
反応させるステップを備える。
【0147】
本発明の方法は、以下により詳細に説明されることとなる。反応物(α)、(β)、及び該当するならば(γ)及び(δ)は、それぞれ化合物(α)、化合物(β)、化合物(γ)、又は化合物(δ)と、或いは単に(α)、(β)、及び該当するならば(γ)又は(δ)と呼ばれることとなる。
【0148】
本発明の方法においては、第1級アミノ基、-NHを有する少なくとも1種の化合物(α)が選択され、好ましくは正確に1種の化合物(α)が選択される。このような化合物(α)は、1分子当たり正確に1個の第1級アミノ基を有する。化合物(α)は、第1級アミノ基以外の官能基、例えば第3級アミノ基又はヒドロキシル基を有することがあるが、第2級アミノ基を含まない。
【0149】
本発明の一実施形態においては、化合物(α)は、1分子当たり少なくとも1つの第3級アミンを有する。
【0150】
好ましい一実施形態においては、このような化合物(α)は、式R-NHを有する。R~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリール、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換される。例えば、Rは、アミノ安息香酸、例えば4-アミノ安息香酸、2-アミノニコチン酸、スルファニル酸、4-アミノサリチル酸、及びそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、殊にナトリウム塩をベースとしてよい。
【0151】
は、α-アミノ酸、例えばアラニン、セリン、バリン、リジン、及び殊にリジンをベースとするのが好ましい。それぞれL-鏡像異性体が好ましい。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、本発明の方法に関連して、リジンのε-アミノ基は、α-アミノ基よりも反応性が高いと考えられる。
【0152】
2aとR2bは、異なるか、又は好ましくは同一であり、C~C-アルキルから選択され、C~C-アルキルは、上述の通りに定義され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成する。-NR2a2bの好ましい例は、-N(CH、-N(C、-N(CH、及び-N(CHである。
【0153】
化合物(β)は、ビスアクリルアミドから、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、ピペラジンビスアクリルアミド、N,N’-ヘキサメチレンビス(メタクリルアミド)、ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、及び1分子当たり少なくとも2当量の(メタ)アクリレートでエステル化したアルコキシル化ジオール又はポリオールから選択される。ジオールの例は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレンジオール、1,4-ブチレンジオールなどの脂肪族C~C-ジオールである。ポリオールの例は、脂肪族トリオール及び脂肪族テトラオール及び脂肪族ヘキサオール、例えば、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールブタン、1,1,1-トリメチロールエタン、及びトリエタノールアミンである。脂肪族テトラオールの例は、ビストリメチロールプロパン及びジグリセロールである。肪族ヘキサオールの例は、ソルビトールである。
【0154】
エチレングリコール及び1,2-プロピレングリコールなどの脂肪族C~C-ジオールが好ましい。
【0155】
本発明に関連して、用語「アルコキシル化」には、ポリアルコキシル化が含まれ、用語「ポリ」は、ジオール又はポリオール1つ当たり2つ以上のアルコキシレート基を指す。好ましいポリアルコキシル化は、ポリエトキシル化、及びポリプロポキシル化、並びにそれらの組み合わせから選択され、POのモル数よりもEOのモル数が多いのが好ましい。更により好ましい実施形態においては、アルコキシル化ジオールは、(AO)y1(ここで、AOは、エチレンオキシド(「EO」)、プロピレンオキシド(「PO」)及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy1は、2~200、好ましくは2~10である)を指す。
【0156】
(AO)y1がEOとPOからの組み合わせを指す実施形態においては、このようなEOとPOは、ランダムに、又は好ましくはブロック単位で、2つ若しくは3つのブロックに配置される。(AO)y1がEOとPOからの組み合わせを指す好ましい実施形態においては、AOの少なくとも50モル%が、例えば50~90モル%が、より好ましくは65~90モル%が、EOである。
【0157】
(AO)y1中の全てのAOが、EOであるのが、更により好ましい。
【0158】
化合物(β)の例は、エチレングリコールビス(メタ)アクリレート、プロピレングリコールビス(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビス(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールビス(メタ)アクリレート、及び230~2,500g/モル、好ましくは250~1250g/モルの範囲の平均分子量Mを有するポリエチレングリコールビス(メタ)アクリレートである。
【0159】
それぞれの場合においては、アクリレートが、それぞれのメタクリレートよりも好ましい。
【0160】
その量は、(α)のモル量が(β)の(メタ)アクリレート基に対して、0.9:1~2:1モル当量、好ましくは0.9:1~1.1:1モル当量、最も好ましくは1.0:1.0モル当量の範囲内となるように選択されるのが好ましい。化合物(α)のそれぞれの分子において、2つのプロトンが、反応に利用できると理解されるべきである。
【0161】
本発明の一実施形態においては、化合物(α)と化合物(β)との反応は、単一の溶媒中又は数種を組み合わせた溶媒中で実施される。好適な溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどのアルコール、ジ-n-ブチルエーテル、及びTHFや1,4-ジオキサンのようなエーテルが挙げられ、更に、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどのアルコール、THFや1,4-ジオキサンのようなエーテルから選択されるいずれかの溶媒と水との混合物であって、それらの溶媒が反応温度で水と混和できる程度までの混合物も同様に好適な溶媒である。他の実施形態においては、本発明の方法は、バルクにおいて実施される。
【0162】
本発明の一実施形態においては、化合物(α)と化合物(β)との反応は、50~150℃、好ましくは60~120℃の範囲の温度で実施される。溶媒を使用する実施形態においては、溶媒の沸点が、温度上限となる。
【0163】
本発明の一実施形態において、化合物(α)と化合物(β)との反応は、1時間~24時間、好ましくは2~6時間の範囲の期間を有する。
【0164】
好ましくは、化合物(α)と化合物(β)との反応は、化合物(α)のアミノ基のプロトン化を回避するために、8~11の範囲のpH値で実施される。pH値は、これらに限定しないがNaOH又はKOHなどの強塩基を添加することにより、制御することができ、反応混合物からサンプルを採取することにより、求めることができる。サンプルは、その後に、1:1の重量比に水で希釈される。サンプルのpH値は、23℃で測定され、反応混合物のpHは、強塩基の添加により調節される。
【0165】
ポリマー(A)を得る。ポリマー(A)は、例えば合成中に使用した溶媒を除去することによって、又は使用した触媒を例えば中和によって不活性化することにより、精製又は別の方法で後処理することができる。
【0166】
場合により、少なくとも1種の化合物(γ)又は少なくとも1種の化合物(δ)をポリマー(A)と反応させることがある。
【0167】
化合物(γ)は、未封止の、又はC~C10-アルキル基、好ましくはメチルで封止した、又は脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸若しくはC10~C20-アルケニル脂肪酸でエステル化した、ポリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレートから選択される。
【0168】
~C20-アルキル脂肪酸の例は、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、又はアラキジン酸;或いはC10~C20アルケニル脂肪酸の例は、例えばオレイン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、及びα-リノレン酸、好ましくはオレイン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸である。
【0169】
化合物(δ)での変換は、ポリマー(A)が未反応のアミノ基、例えばポリマー鎖当たり1~2個の未反応の第1級又は第2級のアミン基を依然として有するならば、有用である。過剰の化合物(α)を使用した実施形態においては、未反応のアミノ基が残ることがある。
【0170】
化合物(δ)は、式H-NR2a2b(ここで、R2aとR2bは、同一か又は異なり、C~C-アルキル、好ましくはメチル又はエチルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成する)のアミンである。C~C-アルキルは、上述の通りであり、又はトNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ基を一緒に形成する。H-NR2a2bの好ましい例は、H-N(CH
H-N(C、H-N(CH、及びH-N(CHである。
【0171】
化合物(δ)での変換は、ポリマー(A)が未反応の(メタ)アクリレート基、例えばポリマー鎖当たり1~2個の未反応の(メタ)アクリレートを依然として有するならば、有用である。化合物(α)のショーカットを使用した実施形態においては、未反応の(メタ)アクリレート基が残存することがある。
【0172】
化合物(δ)又は(δ)での変換のための反応条件は、化合物(α)と化合物(β)との反応の反応条件に準ずる。
【実施例
【0173】
実施例によって本発明を更に例示する。
【0174】
概要:D-DMSOを溶媒としてH-NMRスペクトルを記録した。プロピレングリコール部分の第3級炭素原子からのプロトンに対するオレフィンのプロトンの比を求めることにより、アクリレートの変換率を決定した。
【0175】
K値を1重量%の水溶液中で測定した。0.05重量%のトリフルオロ酢酸を含むヘキサフルオロイソプロパノール中でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を行った。
【0176】
ジプロピレングリコールジアクリレートは、不純物としてジプロピレングリコールを含有した。
【0177】
I.本発明のポリマー(A)の合成
I.1 直鎖の本発明のポリマー(ポリマーA.1)
撹拌機及び滴下漏斗を備えた四口丸底フラスコに、L-リジン(α.1)(19.49g、0.1335モル)及び35gの水(35g)を投入した。35gのイソプロパノール中、ジプロピレングリコールジアクリレート(β.1)(80%、40.39g、0.1335モル)を90℃で6時間ゆっくり撹拌した後、周囲温度まで冷却した。取得した中間体のH-NMRスペクトルにおいては、アクリレート基の変換率約90%を観察した。K値(水):15.5、GPC:M=2230g/モル、M=6610g/モル、M/M=3.0。
【0178】
I.2 直鎖の本発明のポリマー(ポリマーA.2)
撹拌機及び滴下漏斗を備えた四口丸底フラスコに、イソプロピルアルコール(70.0g)中、ジプロピレングリコールジアクリレート(β.1)(80%、60.67g、0.20モル)溶液を投入した。30%の水酸化ナトリウム水溶液でpH値をpH12に調整した。取得した溶液を90℃まで加熱した。次に、水(70g)中のβ-アラニン(β.2)(17.82g、0.20モル)の混合物を15分以内に溶液に滴下し、反応混合物を90℃で6時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却した。取得した中間体のH-NMRスペクトルにおいては、アクリレート基の変換率約75%を観察した。GPC:M=1170g/モル、M=6580g/モル、M/M=3.7。
【0179】
II.洗浄性能(
II.1 ランドリークリーニング
3.0g/Lの液体試験洗剤L.1(表2.1又は2.2の組成を参照)及び2.0%の表3による本発明のポリマー(A)を含有する14°dH硬度の水(2.5ミリモル/L;Ca:Mg:HCO 4:1:8)を用いて洗浄溶液を調製する洗濯機で、本発明ポリマーの一次洗浄性能を試験した。
【0180】
【表1】
【0181】
【表2】
【0182】
(D.1):
【化11】
【0183】
本発明のポリマー(A)を、ポリマーを含まない液体モデル組成物L.1又はLC.2のいずれかをそれぞれ含む洗濯液(液体モデル洗剤(owod)の重量に対して3%の添加量)に、市販の汚れが付着した布地(Center of Test Materials CFT Vlaardingenから、P-H108:粘土質の土壌、P-H115:標準的な粘土;P-H144:赤色陶磁器用粘土;P-H145:テニスコート粘土)、及び5gの市販の汚れバラストシートwfk SBL2004(wfk Testgewebe GmbH Brueggenによる)と共に添加した。洗浄条件は、3g/Lの洗剤、液250mL、30分、40℃、4回の測定であった。洗浄後、布地をすすいで乾燥させた。研究機関測定値を示すColourConsult社製MACH5 multi area color measurement機器を使用して、洗浄の前後に布地を計器評価した。これらの研究室測定値から、未洗浄の染みと洗浄した染みとの間のΔE値を計算した。ΔE値が高いほど、より性能が優れている。それぞれのポリマー試料自体の純粋な洗浄効果をより良好に判定するため、得られた値を、ポリマーを含まない参照に対するΔΔE値で更に表した(洗剤のみのプレーン洗浄効果に対するベースライン補正)。ここでも、それぞれより高いΔΔEの値が観察されるほど、より性能が優れている。
【0184】
色測定を用いて総合的な洗浄の度合いを評価した。標準汚染布上のシミの反射率の値は、460nmのUVカットオフフィルターを備えた積分球式反射率計(sphere reflectance spectrometer)(Datacolor,USAからのSF 500型、波長範囲360~700nm、光学ジオメトリd/8°)を使用して測定した。ここでは、CIE-Labによる色空間の分類を利用して、明度L*、赤-緑色軸に関するa*値及び黄-緑色軸に関するb*値を洗浄前後に測定し、標準汚染布のそれぞれのシミについて平均値を求めた。色値(デルタE、ΔE)の値の変化は、以下の式で定義され、評価カラーツールによって自動的に計算される。
【数1】
は、達成した洗浄効果の指標である。代表的な平均数を提供するために、全ての実験を3回繰り返した。
【0185】
4つの汚れに対する配合物のΔΔE値及びΔΔL値を表3に列挙する。
【0186】
【表3】
【0187】
III.生分解試験
概要:OECD Guidelinesに従って試験を実施した。OECDガイドラインによれば、試験は以下の場合に有効である:
1.参照物質が14日以内に60%に達する。
2.試験終了までの試験再現の極値の差異が20%未満である。
3.接種物ブランクの酸素摂取量が20~30mg O/lであり、60mg O/lを超えてはならない。
4.試験終了時に測定されるpH値が6~8.5でなければならない。
【0188】
本発明に関連して使用した試験方法の説明:
汚水中の生分解を、OECD 301Fのマノメーター呼吸測定法を用いて3回試験した。OECD 301Fは、酸素の消費を測定することにより汚水試料の生分解を測定する好気性検査である。測定された量の汚水に、名目上唯一の炭素源である100mg/Lの試験物質を接種物(Mannheim、Germanyの市営下水処理場から採取された通気汚泥)と共に添加した。この汚泥を、密閉したフラスコ内で一定温度(25℃)で28日間撹拌した。酸素の消費は、Oxi TopCを使用して密閉フラスコ内の圧力の変化を測定することによって測定する。放出された二酸化炭素は、水酸化ナトリウム溶液中に吸収される。硝化作用による酸素の消費を防ぐために、硝化阻害剤をフラスコに添加した。試験物質が生分解される間に微生物個体群により摂取される酸素量(並行して行われるブランク接種物による摂取に対して補正される)は、ThOD(化合物の元素分析によって測定される理論的酸素要求量)の百分率として表される。陽性対照のグルコース/グルタミン酸を、参照物質として各キャビネットの試験試料と共に実施する。
【0189】
計算:理論的酸素要求量:ある化合物を最終的な酸化生成物に酸化するのに必要とされるOの量。この量を元素分析データを使用して計算する。
【0190】
生物分解性%:
実験的O摂取量×100を理論的酸素要求量で割る。
【0191】
生物分解試験の結果を表4に要約する。
【0192】
【表4】
【0193】
それぞれの試験において、参照物質は、60%超の生物分解を有した。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗濯用組成物であって、
(A)少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mを有する少なくとも1種のポリマーであって、一般式(I)
【化1】
[式中、
は、同一か又は異なり、水素及びメチルから選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換され、
2aとR2bとは、同一か又は異なり、H、C~C-アルキルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成し、
nは、3~100で選択され、
は、O及びN-R(Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキレン及び(AO)y(ここで、AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにyは、2から200である)]
による構造単位を繰り返し単位として含むポリマー(A)
を含む組成物。
【請求項2】
ポリマー(A)が、構造式(II)
【化2】
[式中、Aは、(AO)y2(ここで、AOはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200である)から選択され、
は、水素、C~C10-アルキル、脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸のカルボキシレート、C10~C20-アルケニル脂肪酸のカルボキシレートから選択され、アスタリスクは、ポリマー(A)のN原子に結合する部分を示す]
の基、
又は(III)
【化3】
[式中、基(III)は、Xを介してポリマー(A)に結合しており、
及び他の変数は、上述の通りに定義される]
の基を更に有する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
がα-アミノ酸をベースにする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
がリジンをベースにする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
ポリマー(A)が、2,500~100,000g/モルの範囲の平均分子量Mを有する請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、更に
(B)少なくとも1種のヒドロラーゼ
を含む請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
(A)少なくとも1,500g/モルの平均分子量Mを有するポリマー(A)であって、一般式(I)
【化4】
[式中、
は、同一か又は異なり、水素及びメチルから選択され、
は、同一か又は異なり、C~C-アルキル、C-アリール及びC-ヘテロアリールから選択され、それぞれが、COOH基及びSOH基並びにそれらのそれぞれのアルカリ金属塩から選択される少なくとも1つの酸性基で置換され、場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル又は-NR2a2bで置換され、
2aとR2bとは、同一か又は異なり、H、C~C-アルキルから選択され、或いはNR2a2bは、C~C-シクロアルキレンアミノ又は1-イミダゾール基を一緒に形成し、
nは、3~100で選択され、
は、O及びN-R(Rは、水素及びメチルから選択される)から選択され、
は、同一か又は異なり、(AO)y(ここで、AOは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにyは、2から200である)]
による構造単位を繰り返し単位として含むポリマー(A)。
【請求項8】
2,500~100,000g/モルの範囲の平均分子量Mを有する請求項7に記載のポリマー(A)。
【請求項9】
がα-アミノ酸をベースにする請求項7又は8に記載のポリマー(A)。
【請求項10】
前記ポリマー(A)が、構造式(II)
【化5】
[式中、Aは、(AO)y2(ここで、AOはエチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの組み合わせから選択され、並びにy2は、2~200である)から選択され、
は、水素、C~C10-アルキル、脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸のカルボキシレート、C10~C20-アルケニル脂肪酸のカルボキシレートから選択され、アスタリスクは、ポリマー(A)のN原子に結合する部分を示す]
の基、又は(III)
【化6】
[式中、基(III)は、Xを介してポリマー(A)に結合しており、
及び他の変数は、上述の通りに定義される]
の基を更に有する請求項7~9のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載のポリマー(A)を製造する方法であって、
(α)場合によりヒドロキシ、C~C-アルキル、別のCOOH基又はNHで置換されるC~C-アルキル残基を有する少なくとも1種のアミノ酸又はスルホン酸、或いはそれらのそれぞれのアルカリ金属塩、
(β)1分子当たり少なくとも2当量の(メタ)アクリレートでエステル化された少なくとも1種のアルコキシル化ジオール若しくはポリオール、又はビス(メタ)アクリルアミドと、及び場合により、
(γ)未封止の、又はC~C10-アルキル基で封止した、又は脂肪族C~C20-アルキル脂肪酸若しくはC10~C20-アルケニル脂肪酸でエステル化した、ポリエチレングリコールの少なくとも1種のモノ(メタ)アクリレートと、
(δ)又は場合により、式H-NR2a2bによるアミンと
反応させるステップを備える方法。
【請求項12】
前記化合物(α)が、1分子当たり少なくとも1つの第3級アミンを有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記エステル化したポリアルキシル化(polyalkyoxylated)ジオール又はポリオール(β)が、エチレングリコールビス(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールビス(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールビス(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールビス(メタ)アクリレート、及び400~2,500g/モルの範囲の平均分子量Mを有するポリプロピレングリコールビス(メタ)アクリレートから選択される請求個11又は12に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1種のリパーゼ及び/又は少なくとも1種のプロテアーゼを含む洗剤組成物に請求項7~10のいずれか1項に記載のポリマー(A)を添加することにより、液体洗剤組成物の洗浄性能を改善する方法。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物を微生物汚染又は増殖から保護する方法であって、2-フェノキシエタノールの添加を含む方法。
【請求項16】
4,4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含有する請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物による処理後に、布地に抗菌効果を付与する方法。
【国際調査報告】