(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】フォトマスクに対する動作を較正するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/70 20120101AFI20241112BHJP
G03F 1/74 20120101ALI20241112BHJP
【FI】
G03F1/70
G03F1/74
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531172
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 EP2022082747
(87)【国際公開番号】W WO2023094362
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】102021213163.8
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ブダッハ ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BB36
2H195BD03
(57)【要約】
本発明は、マスクに対する動作を較正するための方法および装置に関する。粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成するための、特に動作を較正するための方法が、(a.)補正マークの第1のグループを生成することと、(b.)補正マークの第2のグループを生成することとを含み、(c.)第1のグループ内および第2のグループ内の補正マークの分離は、第1のグループからの補正マークと、第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子ビームを用いて、離間された補正マークの少なくとも1つの局所的グループ(A1、B1、C1;A2、B2、C2)を用いてリソグラフィの対象に対する動作を較正するための方法であって、以下のシーケンス、すなわち、
S1.シーケンスタプル(A1;A2)を選択することであって、前記シーケンスタプルは、前記少なくとも1つのグループの補正マークのサブセットを含む、選択することと、
S2.前記シーケンスタプル(A1;A2)に少なくとも部分的に基づいて、較正を実行することと、
S3.前記実行された較正に少なくとも部分的に基づいて、前記動作の少なくとも一部を実行することと
を含み、
前記シーケンスは、少なくとも1回繰り返され、補正マークの異なるサブセットを含む少なくとも2つのシーケンスタプルが選択される、方法。
【請求項2】
前記シーケンスタプルの前記選択は、前記少なくとも1つのグループの少なくとも1つの補正マークに関連付けられた所定の判断基準の評価に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の判断基準は、以下の判断基準、すなわち、
前記少なくとも1つの補正マークの摩耗度合い、前記少なくとも1つの補正マークのコントラスト、前記少なくとも1つの補正マークの勾配像、前記少なくとも1つの補正マークの像の自己相関関数、前記少なくとも1つの補正マークの少なくとも2つの像の相互相関関数のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シーケンスタプルは、補正マークの少なくともm個のグループの各々からの補正マークのサブセットを含むように選択され、ここで、mは2以上であり、個々のグループ内の前記補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記シーケンスタプルの前記選択は、前記動作中の予測シーケンス数に少なくとも部分的に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記動作の前記シーケンスにわたる前記シーケンスタプルの前記選択は、所定の順序に従って実施される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記選択は、シーケンスタプルの周期的順序、シーケンスタプルのランダム化された順序、および/または同じシーケンスタプルの行に従って実施される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
2つのシーケンスタプルに関連付けられた粒子ビームパラメータの変換を決定することと、
前記決定された変換に少なくとも部分的に基づいて前記較正を実行することと
をさらに含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記変換を決定することは、
互いに対する異なるシーケンスタプルの補正マークの相対的位置を決定することと、
リソグラフィの対象の1つまたは複数の構造体に対する異なるシーケンスタプルの補正マークの前記相対的位置を決定することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成するための、特に動作を較正するための方法であって、
a.補正マークの第1のグループ(A1、B1、C1)を生成することと、
b.補正マークの第2のグループ(A2、B2、C2)を生成することと
を含み、
c.前記第1のグループ内および前記第2のグループ内の前記補正マークの分離は、前記第1のグループからの補正マークと、前記第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さく、
前記第1のグループ内および/または前記第2のグループ内の前記補正マークの分離は、前記第1のグループからの補正マークと、前記第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さく、少なくとも5分の1、好ましくは少なくとも10分の1、特に好ましくは少なくとも20分の1である、方法。
【請求項11】
前記第1のグループおよび/または前記第2のグループは、少なくとも部分的に同じ形態を有する補正マークを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のグループおよび/または前記第2のグループからの少なくとも1つの補正マークは、複数の幾何学的形状から構成される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のグループおよび/または前記第2のグループからの補正マークの数は、少なくとも3、好ましくは少なくとも4である、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記生成は、粒子ビーム誘起蒸着プロセスおよび/または粒子ビーム誘起エッチングプロセスに少なくとも部分的に基づく、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
補正マークの少なくとも1つの第3のグループ(A3、B3、C3)を生成することをさらに含み、個々のグループ内の前記補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記生成されたグループは、異なるグループの2つの補正マーク間の接続線が、動作の作業領域(500)に交差することなく前記作業領域を取り囲むことができるように前記作業領域を取り囲む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記較正は、前記粒子ビームのドリフトを決定すること、および/または前記粒子ビームのドリフトを補正することを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記動作は、欠陥を修復することを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成し、および/または動作を較正するための装置であって、
a.請求項1~18のいずれか1項に記載の方法を実行するための手段と、
b.コンピュータプログラムを実行するための手段と
を備える、装置。
【請求項20】
実行されると、請求項19に記載の装置に、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムを含むメモリを有する、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2021年11月23日に独国特許庁に出願された、「Verfahren und Vorrichtung zur Kalibrierung eines Arbeitsvorgangs auf einer Photomaske」と題する独国特許出願DE 10 2021 213 163.8の優先権を主張する。独国特許出願DE 10 2021 213 163.8は、本特許出願に、参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、マスクに対する動作を較正するための方法および装置に関する。特に、本発明は、リソグラフィの対象上に補正マークを生成するための方法、動作を較正するための方法、ならびに方法を実行するための対応する装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業では、集積密度の増大を保証するために、ますます小さな構造体がウエハ上に形成されている。構造体を形成するために、ここでは特に、前記構造体をウエハ上に結像する(image)リソグラフィ法が用いられる。例として、リソグラフィ法は、フォトリソグラフィ、UVリソグラフィ、DUVリソグラフィ、EUVリソグラフィ、X線リソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ等を含むことができる。このプロセスにおいて、リソグラフィは通常、例えば所望の構造体をウエハ上に結像するためのパターンを含むマスク(例えばフォトマスク、露光マスク、レチクル、ナノインプリントリソグラフィの場合にはスタンプ等)を利用する。
【0004】
集積密度が増大するにつれて、(例えば、マスク上の構造体寸法の付随する低減の結果として、またはリソグラフィにおけるより高い材料要件の結果として)マスク生成に関する要求も大きくなる。その結果、マスクの生成プロセスは、ますます複雑になり、ますます時間がかかり、ますます高価になり、マスクエラー(例えば欠陥)を回避することが常に可能というわけではない。したがって、マスクエラーは通常、更なる処理ステップで補修または修復される。
【0005】
例として、粒子ビームベースのプロセスによってマスクエラーを修復することができ、対応する動作は、書き込みフィールドにおける処理および/または像フィールドにおける像の記録を含むことが可能である。プロセスにおいて、粒子ビームは、通常、標的化された方式で(例えば、矩形ピクセルラスタに沿って)所定の書き込みまたは像フィールド上で走査される。
【0006】
マスクは通常、電気絶縁性の試料であるため、荷電粒子(例えば、電子ビームからの電子、イオンビームからのイオン)を用いてマスクを走査することにより、マスクの静電帯電が生じ、これによって、粒子ビームが意図される入射点から意図せずに逸れる場合がある。この影響は、粒子ビームの位置ドリフトまたはドリフトと呼ばれ、他のメカニズムもこれに影響を及ぼし得る。
【0007】
位置ドリフトは、変位、像歪みおよび/または歪みの形態で表され、これは、事前に定義される粒子ビームの書き込みまた像フィールドに大幅に影響を及ぼす場合がある。したがって、粒子ビームが所望の作業領域に沿って走査されることを確実にするために、通常、粒子ビームを補正または監視することが必要である(すなわち、ドリフト補正/ドリフト監視が行われなくてはならない)。
【0008】
マスクと粒子ビームとの間の相対的変位の影響は、多くの場合、例えば粒子ビームの像または走査領域における基準マーキングに対する修復を定義し、像処理方法によって修復持続時間にわたって基準マーキングの位置を追跡し、オフセットによって修復のための粒子ビームを変位することによって対処される。しかしながら、マーキングまたは基準マーキングは、それ自体が修復される欠陥と類似の条件を受けるため、修復プロセスの過程において劣化する。したがって、マーキングは、可能な限り低い頻度で、ただし必要なだけ頻繁に走査される。
【0009】
US2002122992Aは、フォトマスクを補正するための方法を開示しており、この方法において、イオンビームによって矩形基準孔がマスクパターンに形成される。基準孔の位置を決定することによって、マスクパターンにおける基準孔と欠陥との間の位置関係を計算することが可能であり、この位置関係を用いて欠陥が補正される。
【0010】
US20090218488は、ビームドリフトのビーム補正のための方法および装置を開示している。ビーム位置は、位置決めステージを動かすことなくマーカの像を記録することが可能であるように、作業領域に十分近いマーカを用いて位置合わせされる。粒子ビームは、ドリフトを予測するモデルを用いることによって処理中に補正される。
【0011】
しかしながら、特に、大きな欠陥、または大きな面積(例えば、約400×400nmを超える)を有する欠陥を修復または検査するとき、既知の手法は、必ずしも十分な程度機能しない。
【0012】
第1に、そのような大きな面積の欠陥の場合、関与するプロセスガスの吸収および拡散プロセスが異なる形で挙動することに起因して、修復プロセスの効率性が低下する。従来の手法において、加えて、そのような大きな面積の欠陥であっても、プロセス時間が欠陥サイズの増大と共に増大するため、基準マークがより頻繁に走査される必要があり、結果としてそれらはさらに劣化する。このように劣化した基準マークは、位置決定においてより大きなノイズを引き起こし、結果として、修復の品質を損ない、またはさらに修復を中断させる。さらに、マスクの臨界縁部(または他の関連する構造体)からの基準マークの距離が増大する。結果として、帯電に起因して非線形の影響が増大するため、縁部位置決めの正確性が減少する。
【0013】
したがって、本発明は、リソグラフィの対象(例えばマスク)の検査および/または処理、特に、そのような対象上の大きな面積の欠陥(例えば、数百nm超の直径を有する)の検査および/または処理の改善された可能性を提供する方法および装置を指定する目的に基づいている。
【発明の概要】
【0014】
この目的は、本発明の様々な態様によって少なくとも部分的に解決される。
【0015】
本発明の第1の態様は、粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象(例えば、マスク)上に補正マークを生成するための、特に動作を較正するための方法に関する。方法は、以下のステップ、すなわち、(a.)補正マークの第1のグループを生成することと、(b.)補正マークの第2のグループを生成することとを含むことができる。ここで、第1のグループ内および第2のグループ内の補正マークの分離は、第1のグループからの補正マークと、第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さい。この場合、第1のグループは2つ以上の補正マークを含み、第2のグループは、同様に、2つ以上の補正マークを含む。
【0016】
この場合、2つの補正マーク間の分離は、2つの幾何学的物体間の距離を決定する従来の方式から生じる。例として、この距離は、2つの点間にわたる最も短い接続線の長さによって定義することができ、各点は異なる補正マークに属する。例として、この場合の点は、補正マークの縁部(例えば、補正マークの外縁部または内縁部)の点を含むことができ、および/または補正マークの面積/幾何学的形状に割り当てることができる任意の点とすることができる。このため、グループ内の補正マークは、厳密には、これらがそれぞれの他のグループの補正マークよりも常に互いに対し近くなるように、互いから離間される(例えば、互いの隣に配置される)。
【0017】
この場合、グループ内の補正マークの分離は、内部グループ分離と呼ぶことができるのに対し、第1および第2のグループからの補正マーク間の分離は、外部グループ分離と呼ぶことができる。この場合、内部グループ分離は、グループ内の補正マークの全ての可能な分離を含む。外部グループ分離は、第1のグループからの任意の(所望の)補正マークと、第2のグループからの任意の(所望の)補正マークとの間の全ての可能な分離を含む。したがって、いずれの内部グループ分離も、外部グループ分離よりも大きくなるべきでない。
【0018】
マスク上に補正マークを生成するための既知の方法は、以前は、補正マークのこのタイプの幾何学的配置に依拠していなかった。したがって、ある特定の目的で補正マークを必要とするマスクに対する動作は、以前は複数の不利な点を伴ってのみ実行可能であった。この場合、動作は、例えば、マスクの(粒子ビームベースの)処理、(例えば、走査型電子顕微鏡の電子ビームによる、イオンビームによる等)マスクを検査すること、作業領域を位置特定すること、粒子ビームを較正すること等を含むことができる。
【0019】
特に、補正マークの最適化された配置は、粒子ビームの位置ドリフトを、改善された形式で決定し、結果として、マスク上のエラー(例えば、マスク欠陥)の最適化された検査および/または修復を可能にする役割を果たすことができる。マスクエラーは、対応する標的値からのマスクのずれを表し、例えばマスク生成中に生じる場合がある。一般的なマスク欠陥は、過度に多くのまたは過度に少ない吸収体材料が存在し、例えば、対応する前駆体ガスが導入される間の、粒子ビームを用いた局所的エッチングまたは材料蒸着によって補修される部位または領域である。
【0020】
特に、複数のマークは、このように(第1または第2のグループの形態で)局所的に提供されるため、較正は複数のマークに基づいて実施することができる。このため、第1(第2)のグループのマークが摩耗すると、例えば、第1(第2)のグループの更なるマークに代替的に頼ることが可能になり、この更なるマークは近傍に配置され、このため、(例えば、比較的大きい欠陥を処理および/または結像するとき)比較的長期間にわたる動作の更なる較正に用いることができる。代替的に、グループのマークはまた、例えば、複数のマークにわたって摩耗を分散させ、これにより全てのマークを可能な限り長く維持するために、交代形式で用いることができる。
【0021】
例として、粒子ビームは、質量を有する粒子のビーム(例えば、電子ビームまたはイオンビーム)とすることができるか、またはそうでない場合、質量のない粒子ビーム(例えば、光子ビーム)とすることができる。
【0022】
本発明によるグループの生成によって可能にされる最適化された動作が、本発明の第2の態様においてより詳細に説明される。
【0023】
更なる例において、第1のグループおよび/または第2のグループは、少なくとも部分的に同じ形態を有する補正マークを含む。例えば、2つのグループにおける類似の幾何学的タイプの補正マーク(すなわち、幾何学的に類似の補正マーク)を生成することが可能であり、類似の補正マークは、その後、動作内で同じ機能に用いることが可能である。この概念は、例えば補正マーカが摩耗し、脱落し、および/または技術的理由で動作中に技術的にもはや使用可能でなくなる場合に、摩耗の発現の冗長性および/または分散の存在を容易にする。この場合、補正マークの機能は、動作の較正のための基準マーク、例えば、粒子ビームのドリフトを決定するためのマーク、粒子ビームを集束させるための集束マーク、作業領域を位置特定するための位置特定マーク、動作を位置合わせするための(例えば、処理のためのマスクを位置合わせするための)位置合わせマーク、動作を検証するための検証マーク等を含むことができる。この場合、補正マークの幾何学的形状および材料の双方を、補正マークによって採用されることが意図される特定の機能について最適化されるように設計することができる。この場合、マスクに(付加的に)取り付けることができる任意の材料は、材料(例えば、プラチナ、タングステン等の金属、および/または絶縁材料)として想定可能であり、補正マークは、同様に、マスク材料および/または関連付けられた基板から定義することができる(例えば、補正マークは、クロミウム、窒化タンタル、ケイ化モリブデン、マスクの吸収体材料等から形成することができる)。想定可能な幾何学的形状は、例えば、円形、球形、卵形、三角形または矩形の補正マーカを含むが、十字、フレーム、多角形等のより複雑な幾何学的形状も含む。例として、グループの十字形補正マーカは、作業領域の第1の位置特定のために設計することができるのに対し、このグループの円形補正マーカは、動作の較正に役立つことができる。
【0024】
更なる例において、補正マークは、互いの隣に配置することができる。例として、補正マークは、アレイの行および/またはスタイルにおいて(例えば、補正マークの複数の隣接する行を有するフィールド内で)マスクに取り付けることができる。別の例において、幾何学的に類似の補正マークのみが第1のグループおよび/または第2のグループにおいて生成され、類似の補正マークは、動作時に複数の機能に用いることができる。
【0025】
更なる例において、第1のグループおよび/または第2のグループからの少なくとも1つの補正マークは、複数の幾何学的形状から構成される。例えば、補正マークは、例えば、互いの隣に非常に密接して生成された、多数の別個の幾何学的に類似した形状から(例えば、同一の円形/球形点から)構成することができ、このように補正マークが形成される。例として、生成は、例えば、像処理によって補正マークを読み取るのに必要とされるある特定の拡大において、一様な連続補正マークの凹みが(例えば、非常に小さな)寸法を決められた別個の形状によって生じるように実施することができる。複数の別個の形状から補正マークを生成する本発明による手順は、リソグラフィマスクの処理に関するプロセス技術的観点から有利であり得る。最初に、プロセス条件の変動性(このため、エラーに対する感受性)を最小限にすることができるため、補正マークのこのタイプの生成において、最適化されたプロセス管理が生じる。これは、補正マークの生成を多数の類似の(別個の)個々のプロセスによって得ることができることに起因し、例えば各個々のプロセスは、マスク上の同じ幾何学的形状を生成し、このため同じプロセスパラメータを大規模に要求する。同じ幾何学的形状が適用されるべきマスク上の位置のみを、各ステップについて適応させる必要がある。これにより、プロセス複雑度の低減、プロセス変動の最小化、およびプロセス安定性の増大がもたらされ、その結果、比較的長い製造期間にわたってマスク上で同じ特性を確実に有する補正マークを生成することが可能である。これにより、例えば補正マークに基づく動作について補正マークが高信頼性で機能することが確実になる。さらに、多数の別個の幾何学的形状により、補正マークのより小さな面積がマスクに接続されるため、補正マークを除去するプロセスの単純化が可能になる。加えて、例えばマスク材料を有するギャップが、補正マーク内のマスクに対する複数の幾何学的形状の多数の別個の接続面積の結果として露出されるため、除去がより容易になり得る。したがって、除去プロセス(例えば、湿式化学プロセス、プラズマプロセス等によるクリーニング)は、例えば補正マーク内の幾何学的形状の縁部であっても均一に浸食され得るため、補正マークに対しより一様に作用することができる。このため、除去プロセスに続く残余を最小限にすることができる。
【0026】
更なる例において、補正マークは、必ずしも幾何学的に類似でない、多数のより複雑な幾何学的形状から構成することができる。例として、フレームにおける長方形、円形フレームにおける円形構造、レチクル等がこの場合に想定可能である。例えば、これは、特定の像処理方法に必要とされる補正マーク形状の作成を可能にする。
【0027】
例において、第1のグループおよび/または第2のグループからの補正マークの数は、少なくとも3、好ましくは少なくとも4である。これは、例えば補正マークに基づく動作について、適切な冗長性および/または適切な摩耗分散を提供するため、特に有利である。この場合、補正マークの数は、必要なだけ多くの補正マークであるが、可能な限り少ない補正マークが生成されるように、それに基づく動作について最適化することができる。これは、例えば、除去中の残余を最小限にするために、補正マークの不要な生成を回避する。
【0028】
例において、第1のグループ内および/または第2のグループ内の補正マークの分離は、第1のグループからの補正マークと、第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さく、少なくとも5分の1、好ましくは少なくとも10分の1、特に好ましくは少なくとも20分の1である。上述した分離における数桁の差の結果として、例えば、動作中に2つの補正マークの迅速なグループ割り当てが行われ得る。補正マークに基づく動作の作業領域は、例えば、第1のグループからの補正マークと、第2のグループからの補正マークとの間の(すなわち、外部グループ分離による)分離が及ぶ領域内に位置することができる。この場合、補正マークの特性は、例えば補正マークの読み出しを最適化するために、外部グループ分離の選ばれたまたは生成された寸法に依拠して変動することができる。例として、グループ内の補正マークの分離(すなわち、内部グループ分離)が外部グループ分離の少なくとも20分の1である場合、グループは、対応する大きな面積の補正マークを有し得る。対照的に、内部グループ分離が外部グループ分離の5分の1である場合、グループは、例えば、それと比較して小さな面積を有する補正マークを有し得る。これは同様に、外部グループ分離の寸法に依拠して選ばれ、生成される補正マークのタイプ(例えば、上記で説明したように、その材料、幾何学的形状等)についても想定可能である。
【0029】
例において、補正マークの生成は、粒子ビーム誘起蒸着プロセスおよび/または粒子ビーム誘起エッチングプロセスに少なくとも部分的に基づく。この文脈において、粒子ビーム誘起蒸着プロセスは、例えば、電子ビーム誘起および/またはイオンビーム誘起蒸着プロセスを含むことができる。例として、蒸着プロセスは、蒸着(例えば、化学および/または物理蒸着)に基づくことができ、これは、粒子ビームによって標的化された形式で誘起またはサポートされる。この場合、例えば、粒子ビームの標的化された誘導および適切なガス雰囲気によってマスク上の適切な材料から作製された補正マークの任意の所望の幾何学的形状を局所的に蒸着させることが可能である。当業者に既知の適切な方法は、例えば、(集束)電子ビーム誘起蒸着((F)EBID)、(集束)イオンビーム誘起蒸着((F)IBID)等を含む。
【0030】
粒子ビーム誘起エッチングプロセスは、例えば、電子ビーム誘起および/またはイオンビーム誘起エッチングプロセスを含むことができる。この文脈において、エッチングプロセスは、例えば、エッチング環境(例えば、エッチングガス、エッチングプラズマ等)において生じることができ、エッチングプロセスは、標的化された形式で粒子ビームによって誘起または支援することができる。例として、補正マークの任意の所望の幾何学的形状は、エッチング環境における粒子ビームの標的化された誘導によって、マスク材料(例えば、マスクの吸収体材料、基板)に局所的にエッチングすることができる。例として、(集束)電子ビーム誘起エッチング((F)EBIE)は適切な方法である。
【0031】
さらに、粒子ビーム誘起(例えば、イオンビーム誘起)ミリングプロセスを例において用いることもでき、その範囲内に、例えば、粒子ビームの誘導による局所的材料アブレーションが存在する。例として、イオンビームミリングは適切な方法である。
【0032】
更なる例において、方法は、補正マークの少なくとも1つの第3のグループを生成することをさらに含み、個々のグループ内の補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい。したがって、本発明による概念は、少なくとも1つの追加のグループによって拡張される。補正マークの少なくとも1つの第4のグループおよび/または補正マークの少なくとも第5のグループ等の生成は、例において同様に想定可能である。
【0033】
この場合、グループ内の補正マークの分離は、ここでもまた内部グループ分離と呼ぶことができるのに対し、2つの異なるグループ(例えば第1および第3のグループ、第1および第4のグループ、第4および第5のグループ等)からの補正マーク間の分離は、外部グループ分離と呼ぶことができる。この場合、内部グループ分離は、グループ内の補正マークの全ての可能な分離を含む。外部グループ分離は、2つの異なるグループからの(任意の)2つの補正マーク間の全ての可能な分離を含む。したがって、本発明による概要は、複数のグループの場合(例えば、補正マークの3つおよび/または4つのグループの場合)であっても、内部グループ分離が外部グループ分離よりも大きくならないことに基づく。
【0034】
特に、例において4つのグループを生成することができる。これらは、少なくとも部分的に四辺形の配置(例えば、正方形または矩形の形態)で生成することができる。四辺形は、作業領域(例えば、欠陥)の周りに配置することができ、すなわち、個々のグループの補正マークの(幾何学的)重心は、作業領域を包囲する四辺形の角部を形成することができる。別の例において、配置は、例えば、4つの異なるグループからの4つの補正マークから作製された、その中に作業領域が位置する少なくとも1つの長方形を形成することができるように実施することができる。
【0035】
作業領域は、動作時に検査または処理されることが意図された対象の領域とみなすことができる。例として、これは、例えば欠陥材料が配置される領域とすることができる。本発明の範囲内で、作業領域は、特に、一様に検査/処理されることが意図された対象の領域、すなわち、互いに独立しているとみなすことができる複数の手順において検査も処理もされない領域を表すことができる。フォトマスクの作業領域は、特に、フォトマスク全体を包含しない局所的領域である。このため、作業領域は、例えば、複数の完全に別個の部分的欠陥に例えば分解しないか、または完全に別個の部分的欠陥に細分化され得る局所的欠陥を表すかまたは含むことができる。この場合、「局所的」欠陥は、例えば、対象、例えばマスクのサイズと比較して小さいことを意味することができる。例えば、作業領域またはそれに含まれる欠陥は、1mm未満、100μm未満、10μm未満、2μm未満、1μm未満または500nm未満の1つまたは複数の横方向範囲を有することができる。作業領域または局所的欠陥は、例えば、1mm、100μm、10μmまたは2μmまたは1μmまたは500nmの辺長を有する(仮想)正方形に当てはめることができる。
【0036】
この場合、作業領域は、周辺縁部または輪郭線によって区切ることができ、この縁部内またはこの輪郭線内の全てを作業領域とみなすことができる。比喩的用語において、例えば欠陥の周りに投げられ、最小限の長さで欠陥を「捉える」まで引き締められた「投げ縄」を想像されたい。この時、「投げ縄」は、作業領域の外縁部を表す(代替的に、欠陥の周りに投げられ、その周りで引き締められた弾性バンドを検討することもできる。このとき、バンドは、その幅(例えば、ここで論じる基準マーキングの一般的な直径程度の幅)に起因して、線形縁部ではなく作業領域の周りの縁部ストリップを画定する)。例として、作業領域は、修復される1つまたは複数の領域のエンベロープ、例えば凸型スリーブとして定義することができ、補正マークのグループは、それらが作業領域を封入するように配置することができる。
【0037】
更なる例において、補正マークの第1のグループおよび第2のグループは、補正マークのグループの少なくとも1つのエンベロープ、例えば凸型スリーブが、作業領域に交差しないように(または、補正マークの少なくとも1つのグループの凸型スリーブが(例えば、欠陥の)作業領域のサブセットを表さないおよび/または形成しないように)生成することができる。例として、補正マークのグループは、第1のグループの凸型スリーブおよび第2のグループの凸型スリーブが作業領域(例えば、欠陥)に交差しないように配置することができる。これは、さらに、補正マークのグループの凸型スリーブによって画定されるエリアが作業領域の一部(例えば、欠陥)を形成しないように解釈することができる。
【0038】
矩形配置は、動作の較正のための、例えば粒子ビームを用いて処理される書き込みまたは像フィールドの歪み補償のための較正窓として設計することができる。この場合、矩形配置は、例えば、歪み補償に必要とされるデジタルデータ処理または適切な像処理を容易にする。
【0039】
更なる例において、較正窓は、三角形の形式で(すなわち、3つの生成されたグループによって)、および/または異なるタイプの多角形によって(すなわち、m角形として、ここでmは生成されるグループ数である)提供することができる。
【0040】
更なる例において、生成されたグループは、各事例において、異なるグループの2つの補正マーク間の接続線が、作業領域に交差することなく作業領域を取り囲むことができるように動作の作業領域を取り囲む。例として、作業領域は、マスクエラー(例えば、マスク欠陥)とすることができ、異なるグループの2つの補正マーク間の接続線はマスクエラーに交差しない。さらに、これは、外部グループ分離を画定する接続線が作業領域に交差しないため、定式化することもできる。これは、例えば作業領域がグループ(およびそこに位置する補正マーク)によって完全に取り囲まれることを確実にするため、有利である。例として、これは、(例えば、歪み補償について上記で説明したような)較正窓が、縁部位置の正確性を低減させることなく較正窓にわたって作業領域全体が補間され得るようにマスクエラーを完全に包含することを可能にする。例えば、補正マークの位置の決定中に生じる場合がある(例えば、外挿領域を増大させる場合がある)測定エラーは、結果として、歪み補償中に増幅されない。
【0041】
方法の更なる例において、マスクは、マスク上の作業領域を見つけるおよび/または位置特定するために、最初に(例えば、粒子ビームによって走査されることにより)解析される。例として、これは、像処理による支援による(例えば、パターン認識を用いた欠陥モニタリングの方法による)マスクエラーの探索を含むことができる。その後、作業領域の位置に関する情報を用いて、上述した例のうちの1つに従ってグループを取り付けることが可能である。
【0042】
更なる例において、リソグラフィのための対象上に補正マークを生成するための方法は、以下のステップ:離間された補正マークの少なくとも局所的グループを生成することを含むことができる。例として、離間された補正マークの厳密に1つの局所的グループを生成することが可能であり、すなわち、2つのグループが生成されることは必須でない。局所的グループの補正マークが、局所的蓄積において生成され、補正マークのエンベロープの寸法(例えば、補正マークエンベロープの範囲)が、作業領域のエンベロープの寸法よりも小さい桁数となる(例えば、より短い)ことが想定可能である。例として、厳密に1つの局所的グループの補正マークのエンベロープの寸法は、作業領域のエンベロープの寸法の少なくとも4分の1、好ましくは少なくとも10分の1、最も好ましくは少なくとも20分の1とすることができる。更なる例において、補正マークの局所的グループの凸型スリーブは、作業領域に交差しない(または、例えば、凸型スリーブは、動作の作業領域のサブセットでない)。この場合、局所的グループにおける補正マークの分離は、これらが本発明の第2の態様に有利であるように設計することができる(これについては後程詳述する)。1つの局所的グループの生成のみが考案される場合、この方法は、本明細書に記載の更なるステップと組み合わせることができる。しかしながら、これとは独立して、2つ以上の局所的グループを生成することも可能である。
【0043】
本発明の第2の態様は、粒子ビームを用いて、離間された補正マークの少なくとも1つの局所的グループを用いてリソグラフィの対象(例えば、マスク)に対する動作を較正するための方法に関し、方法は、以下のシーケンス、すなわち、(S1.)シーケンスタプルを選択することであって、シーケンスタプルは、少なくとも1つのグループの補正マークのサブセットを含む、選択することと、(S2.)シーケンスタプルに少なくとも部分的に基づいて、較正を実行することと、(S3.)実行された較正に少なくとも部分的に基づいて、動作の少なくとも一部を実行することとを含む。
【0044】
例として、本発明の第2の態様は、少なくとも1つの局所的グループが、上述した例のうちの任意の1つに従って生成されたグループ(すなわち、本発明の第1の態様に従って生成されたグループ)であることに少なくとも部分的に基づくことができる。例において、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様を含むことができる(または例えば、本発明の第1の態様は、第2の態様も含むことができる)。例として、本発明の第2の態様の方法は、補正マークが本発明の第1の態様に従って生成されること(または生成されたこと)を含むことができる。(自然に)存在するマスク上の構造体(例えば、1つまたは複数の顕著な点、構造遷移部、様々なリソグラフィマーク等)を、補正マークの局所的グループとして用いることができることも同様に想定可能である。
【0045】
少なくとも1つのグループは局所的であるため、マスク上で、空間的に区切られた領域に配置される。空間的区切りまたは範囲は、例えば、少なくとも1つの局所的グループの補正マークの外部輪郭の周りのエンベロープによって提供することができる。この場合、空間的区切りは、動作の空間的範囲に関連付けることができる(例えば、補正マークの少なくとも1つの局所的グループを、動作にとって技術的に感知可能である範囲まで拡張することができる)。さらに、局所的グループの空間的範囲は、例えば連続エリアに制約することができ、以下のエリア寸法が可能である:30nm×30nm以下(または9×10-16m2以下)、100nm×100nm以下(または10-14m2以下)、および/または1mm×1mm以下(または10-6m2以下)。その上、局所的グループの空間的範囲は、例えば、マスクの全体面積AMに対する面積の比率によって定義することができる。例として、局所的グループの空間的範囲は、10-14×AM以下、10-12×AM以下、10-9×AM以下、および/または10-6×AM以下とすることができる。例として、上述した空間的範囲は、本発明の第1の態様の文脈において説明された、生成されたグループにも適用することができる。局所的グループは、補正マークのエンベロープの寸法(例えば、補正マークの周りのエンベロープの外周)が、作業領域のエンベロープの寸法よりも小さい桁数であるという点で区別することもできる。例として、局所的グループの補正マークのエンベロープの寸法は、作業領域のエンベロープの寸法の少なくとも4分の1、好ましくは少なくとも10分の1、最も好ましくは少なくとも20分の1であり得る。
【0046】
この場合、本発明による方法のシーケンスは、全体動作の範囲内で複数回繰り返すことができる。このため、較正は、動作中の(すなわち、シーケンス内の)安定したパラメータを確実にするために、動作の異なる部分(すなわち、シーケンス動作)について実行することができる。この場合の(全体)動作は、マスクの全体(すなわち、自己含有)処理を含むのに対し、動作の一部は(全体)動作の部分ステップとすることができる。この場合、動作は、粒子ビームベースの手順を含むことができ、例えば、粒子ビームを用いた像フィールドの像の記録または書き込みフィールドの処理が想定可能である。この場合、像の記録は、例えば、走査型電子顕微鏡による記録を含むことができるのに対し、書き込みフィールドの処理は、粒子ビーム誘起エッチングまたは蒸着プロセスを含むことができる。この場合、作業領域は、書き込みまたは像フィールドを含むことができる。例として、較正を用いて、動作のための粒子ビームのパラメータを較正または補正することができる。
【0047】
今日まで、粒子ビームの較正の対処は、例えば、同一の補正マークに対する動作を定義することを伴うことが知られていた。較正中、適切な補正マークは、通例、(例えば、記録された像について)粒子ビームを用いて走査される。しかしながら、対応する補正マークおよびそのすぐ近傍は、動作中または全体動作中、経時的に大幅に劣化する場合があり、これは較正の悪化にますますつながる場合がある。これは、較正中の補正マークが動作の同じプロセスの影響に曝される場合がある(例えば、粒子ビーム誘起蒸着またはエッチングプロセスの状態は依然として存在する)ことに起因する。以前から既知の手順の不利な点は、特に、連続的に信頼性のある較正が、特に、動作の処理持続時間によって限られていることである。より長い処理動作の場合(例えば、比較的大きな作業領域、低速でのみ処理可能な作業領域、複雑な作業領域等の場合)、通常、較正をより頻繁に実行することが必要であり、このため、補正マークおよびその周囲は、実質的により大きな範囲まで劣化する場合がある。補正マークの位置が像処理によって決定される正確度は、(例えば、低減したコントラスト、ウオッシュアウトされたように見える補正マーク等の結果として)経時的に大幅に低下する場合がある。加えて、永久損傷(例えば、欠陥)は、補正マークの周囲の劣化による動作に従ってマスク上に留まることができる。
【0048】
本発明による概念は、シーケンスごとに選択された補正マークのグループからの補正マークのサブセットを含むシーケンスタプルによる既知の不利な点を改善する。このサブセットは、その後、シーケンス内の較正に用いることができる。したがって、シーケンスの較正は、最適な較正の観点で選択された補正マークのサブセットの標的化された選択に基づく。この場合、サブセットは、少なくとも1つの補正マークを含むことができる(しかしながら、例えばグループからの複数の補正マークも想定可能である)。結果として、シーケンスについて適切な複数の補正マーク(または1つの補正マーク)の選択が可能であることになる。結果として、例えば補正マークが既に大幅に劣化している場合がある、較正のための固定された補正マークに頼ることが不要であるが、較正のために良好に機能する補正マークのサブセットを用いることが可能である。これは、動作の誤った較正が回避されるため、較正に基づく動作(動作の一部)を、最適におよび/または厄介な影響なしで行うことができることを確実にする。
【0049】
例において、シーケンスタプルの選択は、少なくとも1つのグループの少なくとも1つの補正マークに関連付けられた所定の判断基準の評価に少なくとも部分的に基づく。この場合、所定の判断基準は、補正マークの劣化度合いのインジケーションを提供することができるか、または劣化の度合いが最小限になるように設計することができる。例として、判断基準は、方法中に補正マーク(またはシーケンスタプル)が用いられた回数(これは、マークの摩耗度合いの推定値に対応することができる)を含むことができる。特に、シーケンスタプルがどの程度頻繁に連続して選択されたかを評価することが可能である。更なる例において、判断基準は、物理的解析によって(例えば、粒子ビームを用いた補正マークの像の記録によって)評価することができる。
【0050】
例において、所定の判断基準は、以下の判断基準、すなわち、少なくとも1つの補正マークの摩耗度合い、少なくとも1つの補正マークのコントラスト、少なくとも1つの補正マークの勾配像、少なくとも1つの補正マークの像の自己相関関数、少なくとも1つの補正マークの少なくとも2つの像の相互相関関数のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
例として、上述した判断基準は、補正マークの記録された像(例えば、走査電子像)に基づいて決定され得る(または、判断基準は、粒子ビームを用いて補正マークを走査することによって生成される基本信号に基づいて決定され得る)。例として、摩耗度合いは、像処理によって自動的に(および/または操作者によって手動で)測定または評価することができる。例として、勾配像は、補正マークの像の(または基本信号の)(デジタル)処理によって得ることができ、補正マークの縁部に関する情報を含むことができる。例として、これは、縁部の劣化の良好な評価を可能にし、これは時間と共に平坦になることができる。同様に、補正マークの自己相関関数の特性は、補正マークの像から(または基本信号から)決定することができる。例として、この場合、より広い自己相関関数は、より高い度合いの劣化と関連付けることができるため、対応する補正マークは、所与の閾値を超える較正にもはや用いられ得ない。さらに、(例えば2つの異なるシーケンスからの)2つの異なる時点における補正マークの像(または基本信号)に基づく補正マークの相互相関関数が存在することができる。このため、補正マークにおける相対的変化を、解析的に評価することができる。
【0052】
更なる例において、シーケンスは、少なくとも1回繰り返され、プロセスにおいて、補正マークの異なるサブセットを含む少なくとも2つのシーケンスタプルが選択される。(例えば、少なくとも2つのシーケンスを含む)全体動作について、結果として、較正について同一の補正マークを連続して用いる必要がない。これは、全ての補正マーク(または常に同じ補正マーク)が全てのシーケンスについて粒子ビームに曝される必要がないため、補正マークの劣化の発現、および較正によって生じるマスク損傷の双方を大幅に最小化することができる。これにより、例えば、多数のシーケンスの場合に生じる比較的長い処理時間であっても、較正の信頼性のある動作を確実にする。
【0053】
例において、シーケンスタプルは、補正マークの少なくともm個のグループの各々からの補正マークのサブセットを含むように選択され、ここで、mは2以上であり(例えば、m=4)、個々のグループ内の補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい。例として、この例は、本発明の第1の態様(その例が上記で説明された)に従って生成されたグループである少なくともm個のグループに少なくとも部分的に基づくことができる。例として、4つのグループをマスク上で矩形に配置することができ、各グループは、例えば少なくとも3つの補正マークを含む。これにより、多数の可能なシーケンスタプルから、シーケンスの較正のためにある特定のシーケンスタプルが選ばれることが可能になる。例として、各タプルは、m個のグループの各々からの(厳密に)1つの補正マークを含むことができる。
【0054】
例において、シーケンスタプルの選択は、動作中の予測シーケンス数に少なくとも部分的に基づく。例として、これは、予測される較正および/または動作の予測される部分の数に基づくことができる。(シーケンス、較正および/または動作の部分の)数は、中でも、作業領域を解析することによって決定することができる。例として、これは、マスク欠陥の解析を含むことができ、マスク欠陥のいくつかのパラメータ、例えば欠陥の面積、欠陥のタイプ、欠陥の材料、マスクタイプ等を、数の決定のために観察することができる。
【0055】
例において、動作のシーケンスにわたるシーケンスタプルの選択は、所定の順序に従って実施される。順序は、補正マーク上の摩耗の発現(または劣化の発現)が最小限になるかまたは一様に分布するように定義することができる。これに関して、シーケンスタプルの熟練した順序付けの結果として、例において、(例えば、いくつかの例において提示されているように、適切な判断基準を評価することによる)補正マークの物理的解析を省くことができる。同様に、シーケンスが摩耗の発現を最小限にする(および/または一様に分布させる)が、(例えば、後続の解析での像の記録によって)補正マークの偶発的物理的解析が存在する例が想定可能である。
【0056】
例において、(シーケンスタプルの)選択は、シーケンスタプルの周期的順序、シーケンスタプルのランダム化された順序、および/または同じシーケンスタプルの行に従って実施される。例として、複数の異なるシーケンスタプル(T1、T2、…Tm)がマスク上で利用可能とすることができる。周期的順序において、シーケンスタプルのある特定のサイクル順序は、方法の複数のシーケンスにわたって「ローテーション」される。例として、3つのシーケンスタプルが利用可能である場合(例えば、T1、T2、T3)、例示的なサイクル順序は、T1-T2-T3によって与えられ、方法のシーケンスにわたる対応する周期的シーケンス順序は、例えばT1-T2-T3-T1-T2-T3-T1-T2-T3-…等である。3つのシーケンスタプルの場合、ランダム化された順序は、方法の複数のシーケンスにわたるシーケンスタプルのランダムな順序(例えば、T3-T1-T3-T3-T2-T1-T1-T2-T2-…等)を含む。
【0057】
同じシーケンスタプルの行に従ってシーケンスタプルを選択するとき、(3つのシーケンスタプルの場合の)例示的なシーケンスは、プロセスにおいて、以下:T1-T1-T1-…-T2-T2-T2-…-T3-T3-…-T3、のように決定することができる。特に、同じシーケンスタプルの行に従ってシーケンスタプルを選択するとき、(例示的な形式において上記で説明したように)所定の判断基準の追加の評価が存在する可能性があり、これは、他の順序の場合にも想定可能である。例として、所定の判断基準の評価は、シーケンスタプルの補正マークの状態を検証するために、同じシーケンスタプルを用いた所定の数のシーケンスの後に実行することができる。適宜、シーケンスタプルの補正マークの状態に依拠して、後続のシーケンスにおいて(最適な較正を確実にするために)異なるシーケンスタプルに変更するか、またはシーケンスタプルの使用を継続する(例えば、摩耗の発現がまだないことに起因する)ことが可能である。
【0058】
例において、方法は、以下、すなわち、2つのシーケンスタプルに関連付けられた粒子ビームパラメータの変換を決定することと、決定された変換に少なくとも部分的に基づいて較正を実行することとをさらに含む。原則として、少なくとも2つのシーケンスタプルがこの概念に利用可能でなくてはならず、したがって、指定の手順は、全ての可能なシーケンスタプルについて(例えば、2つ以上のシーケンスタプルが利用可能である場合に)実施可能である。
【0059】
例として、方法は、この場合、方法について選択することができる(可能な)シーケンスタプルの補正マークの初期位置の決定を含むことができる。この場合、決定は、例えば方法の第1のシーケンスの前に実行することができる。マスクは、マスク(例えば、シーケンスタプルの補正マーク)が方法内の粒子ビームを用いて照射される場合、静電帯電させることができる。結果として、粒子ビームの所望の軌道に影響を及ぼす場合があるシステムの外乱が存在する。通常、所望の軌道は、粒子ビームパラメータ(例えば、加速電圧、偏向電圧、粒子ビーム光学素子に対する調節等)によって動的および静的の双方で調整することができる。上述した外乱の結果として、(可能な)シーケンスタプルの位置が、方法の過程で(例えば、粒子ビームによって更なる像が記録される場合)、それらの初期位置に対して変位されたように見える場合がある。この場合、これらの「新たな」位置を現在の位置と呼ぶことができる。この場合、(可能な)シーケンスタプルのオフセットは必ずしも一様でなく、補正マークは互いに独立して変位させることができ、またはこのように見えることができる(例えば、異なる帯電に起因する)。例として、(可能な)シーケンスタプルの補正マークは、最初に、それらの重心が直線を形成するように、行内で互いの隣に配置することができる。しかしながら、方法の過程中、補正マークは、それらの重心がもはや直線を形成しないように(例えば、第1の視点において、各補正マークは空間内でランダムにオフセットされているように見えることができる)、像の記録中に変位させることができる。これらの(例えば、非線形の)影響は、(例えば、作業領域にわたる)以前に望ましかった軌道がもはやトラバースされないように粒子ビームの較正に影響を及ぼすことができる。したがって、本発明によれば、例えば、2つのシーケンスタプルのうちのこのおよび/または他方のシーケンスタプルの現在の位置に対し、2つのシーケンスタプルのうちの一方(または双方)の初期位置を検討する変換を実行することが可能である。したがって、変換は、2つのシーケンスタプル間の正しい関係を再確立することができ、これはシステムにおける外乱の結果として、もはや図式的に与えられない。シーケンス内の較正は、その後、粒子ビームがそれに応じて較正され得るように、変換の情報をさらに検討することができる。これにより、粒子ビームの軌道が、方法内で選ばれたシーケンスタプルの変更から独立することが可能になる。これは、同じ作業領域が、粒子ビームによって少なくとも部分的にトラバースされることを確実にすることができる。作業領域の縁部は、欠落した変換(例えば、エッチングおよび/または蒸着された構造体において、より平坦な側壁角度が生じる場合がある)の場合に最適に処理されないため、変換は特に作業領域の縁部の品質が最適化されることを可能にする。
【0060】
例において、方法は、以下:選択されたシーケンスタプルおよび/または先行するシーケンスにおいて選択されたシーケンスタプルに関連付けられた粒子ビームパラメータの変換を決定すること、および/または、決定された変換に少なくとも部分的に基づいて較正を実行することをさらに含む。例として、変換は、各シーケンス変更の場合に実行することができる。別の例において、変換は、方法の間にシーケンスタプルを変更するとき(例えば、上記で説明したように、選ばれた順序に起因してシーケンスタプルを変更するとき)に実行することができる。
【0061】
例において、変換を決定することは、以下、すなわち、互いに対する異なるシーケンスタプルの補正マークの相対的位置を決定すること、および/または、リソグラフィの対象(例えば、マスク)の1つまたは複数の構造体に対する異なるシーケンスタプルの補正マークの相対的位置を決定することのうちの少なくとも1つを含む。この場合、相対的位置(または位置の差)は、例えば、ベクトルのスタイル(例えば、<x,y>)において定義することができる。
【0062】
例として、(可能な)シーケンスタプルの補正マークの初期位置間の相対的位置は、(例えば、各場合に、異なるグループからのシーケンスタプルの2つの補正マーク間で)決定することができる。さらに、(可能な)シーケンスタプルの補正マークの現在の位置間の相対的位置も決定することができる。次に、一方のシーケンスタプルから他方への変更を可能にし、プロセスにおける上述したエラーを最小限にする変換を、異なる相対的位置から決定することができる。さらに、シーケンスタプルの初期位置と、異なるシーケンスタプルの現在の位置との間の相対的位置を決定することも可能である。同様に、シーケンスタプルの初期位置と、このシーケンスタプルの現在の位置との間の相対的位置を決定することも可能である。
【0063】
さらに、1つまたは複数の構造体に対する様々なシーケンスタプルの補正マークの相対的位置の上述した決定は、(例えばマスクの)1つまたは複数の構造体を含む、少なくとも1つの第3の「固定点」を検討する。したがって、変換は、第1のシーケンスタプルの位置に対する(特性的)構造体の位置を決定し、第2のシーケンスタプルの位置に対する(特性的)構造体の位置を決定することによって特定することができる。このため、例えば、第1のシーケンスタプルから第2のシーケンスタプルへの、第3の「固定点」を介した変換が存在することができる。
【0064】
例において、較正は、粒子ビームのドリフトを決定することおよび/または粒子ビームのドリフトを補正することを含む。この場合、較正は、粒子ビームの決定されたドリフトに関連付けられたオフセットの決定を含むことができる。その後、オフセットは、粒子ビームの所望の軌道が、方法の間、一定であるかまたは維持されるように、粒子ビームのドリフトを補正するために用いることができる。
【0065】
例において、動作は欠陥を修復することを含む。この場合、欠陥は、例えばマスク欠陥を含むことができ、欠陥は、(上記の例において説明されるように)蒸着またはエッチングプロセスによって欠陥が少なくとも部分的に修復されるように処理することができる。ここで、作業領域は、欠陥を含むことができ、またはその寸法によって(例えばその輪郭によって)定義されることができる。
【0066】
本明細書に記載の第1および第2の態様は、互いに組み合わせることもできることを強調しておく。すなわち、本明細書に記載の補正マークの生成は、生成された補正マークによって支援される、本明細書に記載の較正方法によって辿ることができる。
【0067】
本発明の第3の態様は、粒子ビームを用いて、マスク上に補正マークを生成し、および/または動作を較正するための装置に関し、装置は、(a.)本明細書に記載の方法のうちの1つを(自動的に)実行するための手段と、(b.)コンピュータプログラムを実行するための手段とを備える。この場合、装置は、粒子ビームベースのプロセスを実行するのに適した装置を含むことができる。この場合、装置は、例えば、粒子ビーム誘起蒸着および/またはエッチングプロセスのために構成された電子ビームシステムおよび/またはイオンビームシステムを含むことができる。処理は、少なくとも1つの電子ビームおよびまた少なくとも1つのイオンビームを標的化された形式(例えば、デュアルビームシステムまたはクロスビームシステム)で制御することが可能な粒子ビームシステムにおいても想定可能である。
【0068】
本発明の第4の態様は、実行されると、上述した装置に、本明細書に記載の方法のうちの1つによる方法ステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0069】
更なる態様は、コンピュータプログラムを含むメモリを有する上述の装置に関する。さらに、装置は、コンピュータプログラムを実行するための手段を有することができる。代替的に、コンピュータプログラムが、別の場所(例えばクラウド)に記憶され、装置が、他の場所のプログラムの実行により生じる命令を受信するための手段のみを有することが可能である。いずれにしても、これにより、方法が装置内で自動化されたまたは自律的形式で実行されることを可能にすることができる。結果として、例えば操作者による介入を最小限にすることも可能であり、このため、マスクを処理するときに、コストおよび複雑性の双方を最小限にすることが可能である。さらに、方法は、例えば、方法手順に関する標的化された命令を操作者に通信するために、(例えば上述した装置のための命令マニュアルにおいて)書き込み形式で存在することもできる。
【0070】
以下の詳細な説明は、図面を参照して、本発明の技術的背景情報および例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】電子ビームを用いてフォトリソグラフィの対象を検査および/または処理するときに生じる問題の態様を示し、要素は帯電した表面を有する図である。
【
図2】従来技術に記載されるようなフォトリソグラフィマスクの欠陥の例示的な修復状況の上面図を概略的に示す図である。
【
図3】従来技術による、静電帯電によって引き起こされる、マーキングに対する電子ビームのドリフトの補償を概略的に示すグラフである。
【
図4】
図2の欠陥の修復中のx軸およびy軸に対するマーキングの変位を再生するグラフである。
【
図5a】本発明の様々な態様を概略的に示す図である。
図5aは、この場合、マスクに対する動作を較正するための、本発明による補正マークの例を示す図である。
【
図5b】本発明の様々な態様を概略的に示す図である。
図5bは、動作のためのシーケンスタプルの選択を示す図である。
【
図5c】本発明の様々な態様を概略的に示す図である。
図5cは、本発明における粒子ビームパラメータの変換のトピックを示す図である。
【
図6】最後に、本発明による方法を実行するための装置のいくつかの構成要素を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明による方法および装置のいくつかの技術的背景情報および可能な実施形態を、フォトリソグラフィマスクの検査およびフォトリソグラフィマスクの欠陥の処理に基づいて、以下により詳細に説明する。
【0073】
本発明による方法および装置は、全てのタイプの透過性および反射性フォトマスクを検査および/または処理するために最初に用いることができる。さらに、本発明による方法および装置は、ナノインプリントリソグラフィ用のテンプレートおよび/またはウエハを、検査および/または処理するために用いることもできる。本発明による装置および方法はさらに、原則として(フォト)リソグラフィの対象を検査および/または処理することにさえ限定されない。むしろ、これらは、一般に、荷電粒子ビームを用いて非導電性のもしくは導電性がわずかしかない試料を分析および/または処理するために用いることができる。
【0074】
しかしながら、明確にし、曖昧性を回避するために、以下の実施形態は、全体を通じてフォトリソグラフィマスクの例に関するが、これによって、説明される本発明の態様の他の可能な使用が常に包含され、したがってやはり常に考慮に入れられるべきである。
【0075】
図1の略
図100は、帯電したマスク110および走査型電子顕微鏡160の出力165の概略断面図を示す。マスク110は、その表面120上に、マスク110の電位分布または静電帯電を引き起こす表面電荷の分布を有する。左側のイメージ部分105には、マスク表面120は、正の帯電140を有する。右側のイメージ部分195では、マスク表面120は、過剰な負電荷150を示す。以降、参照符号140および150は、マスク表面120上の表面電荷の分布および帯電した表面によって引き起こされる電位分布の両方を示すために使用される。
【0076】
マスク表面120の帯電140、150は、荷電粒子のビーム170、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)160の電子ビーム170によって引き起こされることがある。マスク表面120の静電帯電140、150は、検査プロセスの一部としてマスク110の走査によって引き起こされることがあり、または処理プロセスの結果として生じることがある。例えば、静電帯電は、電子ビームまたはイオンビームを用いたマスク110の処理中に引き起こされることがある。さらに、マスク110の静電帯電140、150は、例えば、マスク110の取り扱いによって引き起こされることがある。
【0077】
図1の略
図100に表されているマスク110の部分において、表面電荷140、150の分布は、均一な密度を有する。しかしながら、これは、本明細書において行われる説明に必要な条件ではない。
【0078】
図1の例では、偏向システム175は、マスク110の構造要素130の寸法を決定するために、電子ビーム170を偏向させ、マスク表面120上で電子ビーム170を走査する。例として、構造要素130は、マスクの吸収体構造のパターン要素とすることができる。
【0079】
略
図100の左側のイメージ部分105に示されているように、マスク表面120の正の帯電140の引力効果の結果として、構造要素130を走査する電子ビーム170は、マスク表面120の近傍で光軸172の方向に偏向され、軌道174を辿る。電位分布140がなければ、電子ビーム170は、経路176を辿る。電子ビーム170によって生成されたSEM像では、走査された寸法178は、構造要素130の実際の寸法180よりも大きく見える。
【0080】
類推によって、
図1における右側のイメージ部分195は、電子ビーム170の電子170の経路移動184に対する負に帯電した(150)マスク表面120の反発効果を示す。電位分布150がなければ、電子ビーム170は、経路186を辿る。静電帯電150の結果として、マスク表面120の近傍で、ビーム軸172から離れる方向に向けられた電子ビーム170の更なる偏向の結果として、走査データから生成されたSEM像における構造要素130の測定寸法188は、構造要素130の実際の寸法180よりも小さい寸法を有するように見える。
【0081】
電子ビーム170によって、またはより一般的には荷電粒子ビーム170を用いて構造要素130を走査すると、マスク110の局所的な加熱、したがってマスク110の範囲の変化をもたらすことがある。マスク110の長さのこれらの変化がナノメートル程度しかない場合でも、これらの変化は、処理プロセスの成功を危うくしないために、マスク110の処理プロセスにおいて考慮されるべきである。さらに、SEM160および/もしくはマスク110、または試料マウント(
図1には図示せず)の熱効果により、マスク110上の電子ビーム170の入射点が、時間の関数として2桁のナノメートル範囲で再びドリフトする可能性がある。
【0082】
図2はマスク200の上面図の一部を示す。これは、例えば
図1におけるマスク110とすることができる。フォトマスク200は基板210を含む。吸収性のあるストリップの形態の2つのパターン要素220および230が、マスク200の基板210上に配置されている。パターン要素220において、マスク200は、過剰な材料の形態の欠陥250を有する。欠陥250を補正するために、
図2に示す例では、パターン要素220にマーキング240が施されている。マーキング240は(補正マークと呼ばれることもできる)、欠陥250の修復プロセス中に欠陥250に対する電子ビーム170のドリフトまたは変位を決定および補償するために用いられる。
【0083】
マーキング240は、マスク200上の欠陥250の識別後に、例えば、電子ビーム誘起蒸着(EBID:electron beam induced deposition)プロセスを用いて、すなわち、マスク200上に少なくとも1つの前駆体ガスまたはプロセスガスを供給することによって蒸着される。これは、マーキング240がマスク200のパターン要素220、230とは異なる材料組成を有するように前駆体ガスを選択する場合には有利である。SEM160の像では、マーキング240は、トポロジーコントラストに加えてさらに、材料コントラストによってそれ自体をさらに際立たせる。
【0084】
欠陥250を取り除くために、例えば、更なる前駆体ガスまたはプロセスガス(またはガス混合物)の供給により、欠陥250の場所における電子ビームまたは粒子ビームに起因してエッチング反応がトリガされ、これに伴い欠陥250が除去される。これに合わせて、および「作業領域」という用語の意味に関して上記で述べたものに合わせて、
図2における作業領域260は、実質的に、欠陥250の範囲によって画定され、輪郭線265によって境界を画されるかまたは取り囲まれる。作業領域は、ここで
図2において高度に概略的な形式でのみ示される。しかしながら、明確に見て取ることができるように、従来技術を示す
図2の場合、マーキング240は作業領域260の外側に位置する。
【0085】
例えば、マスク200の明確な欠陥を補正するための材料蒸着も同様に可能である。
【0086】
図3は、例として、従来技術による欠陥250の修復プロセス中の、マーキング240に対する電子ビーム170のドリフトまたは変位の補償を概略的に示す。マスク200の局所的な静電帯電は、数学的に定義することが困難である。これは、電子ビーム170とマーキング240との間の熱ドリフトにも当てはまる。したがって、マスク200の静電帯電の影響および/または電子ビーム170の入射点に対するその変位が、マーキング240に対して周期的な時間間隔で測定され、補正される。
図3の実線の曲線310は、欠陥250の修復プロセス中の、時間の関数としてのマーキング240の変化、変位、変動、またはドリフトを概略的に示す。
【0087】
修復プロセスの開始時に、マーキング240の基準位置330が決定される。基準位置330は、マスク200の基準マーキングに対して相対的に、またはマスク220の座標系に対して絶対的に指定することができる。第2のステップにおいて、マーキング240に対して修復形状の位置が定義される。この場合、修復形状は、作業領域260内の欠陥250をカバーするように設計することができる。例において、修復形状は、(少なくとも部分的に)欠陥250の空間的寸法に対応することができる(例えば、修復形状の面積、形状および/または輪郭は、欠陥250の対応する特性に対応することができる)。更なる例において、修復形状は、作業領域260に対応することができる(例えば、修復形状は、作業領域260と同一とすることができる)。欠陥250の検査または処理は、例えば、電子ビームが修復形状に沿って走査されるように行うことができ、結果として、それ自体既知の方式で、作業領域または欠陥の検査または処理を行うかまたは引き起こす。修復形状は、例えば類似の作業領域または欠陥(例えば、概ね同じサイズ、概ね同じ形状、材料特性、欠陥クラス等を有する作業領域または欠陥)の検査または処理から予め既知とすることができる。
【0088】
その後、欠陥250の修復が開始される。この目的のために、既に述べたように、
図2の欠陥250の位置に1つまたは複数のエッチングガスが供給され、修復形状によって予め規定されたように、欠陥250の上で、
図2に概略的に示す作業領域260を通って電子ビーム170が走査される。
【0089】
特定の時間間隔320の経過後、修復プロセスは、規則的または不規則な時間間隔340で中断されるが、マーキング240を電子ビーム170で走査するために、前駆体ガスの供給は、中断されない。基準位置330に対するまたはマーキング240の先行する測定に対するマーキングにおける変位、ドリフトまたは変化350は、マーキング240のSEM像から決定される。その後、マーキング240に対する相対的または絶対的観点における修復形状の位置は、マーキングの変化350に基づいて補正され、欠陥250の修復プロセスが継続する。
【0090】
図4は、従来技術による、欠陥250の修復プロセス中のマーキング240の変位またはドリフトの更なる例を表す。
図4のグラフ400のx軸には、時間が任意単位でプロットされている。グラフ400の横軸には、修復プロセス中のマーキング240の測定数を表すこともできる。2つの走査プロセスを実行する間の時間間隔は、1秒~50秒の範囲にあることができる。
図4に示す例は、約1000秒の時間範囲を示している。グラフ400のy軸には、マーキング240の総変位またはドリフトが、マーキング240の基準位置330に対して任意単位で表されている。例として、ドリフトは、一方向における電子ビーム170の走査されたピクセル数として指定することができる。電子ビームの集束に応じて、ピクセルは、0.1nm~10nmの範囲の寸法を有することができる。グラフ400の縦座標は、約120nmの位置変化を含む。
【0091】
x方向のマーキング240のドリフトは、グラフ400の曲線410によって表され、y方向のマーキング240の変位は、曲線420によって表されている。マーキング240の大きな位置変化または位置変位は、2つのプロセスガスまたは前駆体ガスを切り替えることによってもたらされる。これは、
図4の矢印440によって示されている。位置変化のより小さな揺動または跳動は、例えば、欠陥250を修復するための異なる修復形状間の切り替えによって生じる(矢印430を参照)。
【0092】
図2~
図4に示す従来技術による手順は、欠陥250等の小さな欠陥に適切とすることができる(欠陥250の範囲は、線220、230の寸法、およびそれらの間の空間よりも小さく、すなわち、典型的には数nmであることに留意すべきである)。しかしながら、大きな面積の欠陥(例えば、数百nmの範囲)の場合、状態は大幅に変化する。
【0093】
図5a~
図5cは、本発明の様々な態様を概略的に示す。従来技術から既知の状況から進んで、本発明によれば、中でも、特に大きな面積の連続欠陥の場合に、マスクの検査および/または処理の正確性および効率性の増大を行うことが可能である。
【0094】
この場合、
図5aは、マスク、および関連付けられた作業領域に対する動作を較正するための、本発明による補正マークの例を示す(これは、マーキング、基準マーキング等と呼ぶこともできる)。この場合、作業領域500は、修復されるべきマスクに対する欠陥を含むことができる。動作は、マスクに対する欠陥を修復する役割を果たすことができ、粒子ビームベースのプロセスがここで想定可能である(例えば、粒子ビーム誘起蒸着またはエッチングプロセス)。この文脈において、作業領域500は、最初に初期ステップに位置することができる。このために、例えば、マスク上の欠陥認識のための従来の方法を用いることが可能である。例として、マスクは、走査電子像が生成されるように電子ビームを用いて走査することができる。その後、像処理は、欠陥を位置特定し、加えて、作業領域500を定義するために、走査電子像を解析することができる。例として、像処理は、自動欠陥制御のための方法の一部とすることができ、関連欠陥のパターン認識を含むことができる。作業領域500は、書き込みフィールド(すなわち、マスクの物理的処理用に)および/または像フィールド(すなわち、作業領域の像の記録の目的として)とみなすことができる。
【0095】
本発明によれば、補正マークの少なくとも2つのグループは、作業領域500の周りに生成することができる。例として、グループは、粒子ビームベースのプロセスによって生成することができる。この場合、粒子ビーム誘起蒸着またはエッチングプロセス、例えば電子ビーム誘起蒸着、イオンビーム誘起蒸着、電子ビーム誘起エッチング、イオンビーム誘起ミリング等が想定可能である。蒸着またはエッチングは、ここでは、マスク材料上またはマスクの基板上で実施することができる。粒子ビームベースのプロセスのアプリケーションは、それらの幾何学的形状、それらの材料およびそれらのマスク上の位置に関して補正マークを設計するとき、大きな自由度を可能にすることができる。したがって、作業領域500の周りの補正マークのグループは、様々な変形体で設計することができる。例として、補正マークは、任意の所望の幾何学的形状、例えば円形構造体、密集した円形構造体の融合体、多角形、球形、孔、溝等を有することができる。この場合、補正マークの幾何学的形状は、選ばれた蒸着またはエッチングプロセスに決定的に依拠することができる。例として、更なるトポロジは、蒸着プロセスによって生成することができるのに対し、構造体は、エッチング手順における材料アブレーションによって生成することができる。同様に、補正マーク材料は、選択された蒸着プロセスまたはエッチングプロセスに依拠することができる。例として、補正マークの材料は、蒸着プロセスにおいて、金属(例えば、プラチナ、タングステン、銀、金等)、絶縁体(例えば、窒化物、酸化物、ポリイミド等)、半導体等を含むことができる。複合材料もここでは想定可能である。エッチングプロセスの場合、補正マーク材料は、マスクおよび/または基板の材料を含むかまたはこれによって定義することができる。例として、補正マークは、マスクの吸収体ストリップ、マスクの基板等における(エッチングされた/ミリングされた)孔として定義することができる。
【0096】
図5aに提示されているように、例えば、補正マークの4つのグループを作業領域の周りに配置することができる。この場合、第1のグループは、補正マークA1、B1、C1を含むことができる。第2のグループは、補正マークA2、B2、C2を含むことができる。第3のグループは、補正マークA3、B3、C3を含むことができる。第4のグループは、補正マークA4、B4、C4を含むことができる。グループは各々、同じ数の補正マーク(この例において、各グループは3つの補正マークを有する)を含むことができ、グループが異なる数の補正マークを含み得ることも想定可能である。
【0097】
本発明によれば、グループは、補正マークの異なるグループから空間的に区切られた補正マークの局所的蓄積によって定義される。この場合、個々のグループ(すなわち、内部グループ分離)内の補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離(すなわち、外部グループ分離)よりも小さくすることができる。例として、補正マーク間の以下の分離が第1のグループ内で生じる:A1B1(補正マークA1からB1まで)、A1C1(補正マークA1からC1まで)、B1C1(補正マークB1からC1まで)。この場合、分離は、例えば補正マークの重心、縁部、任意の表面点等によって決定することができる。2つの異なるグループからの補正マーク間の分離は、例えば、A1A3(補正マークA1からA3まで)、C1A2(補正マークC1からA2まで)、A1C4(補正マークA1からC4まで)、である。
図5aから明らかであるように、2つの異なるグループからの補正マーク間の分離は、単一のグループ(例えば、A1A3>A1C1)内の補正マークの分離(任意の分離)よりも小さい。
【0098】
このように配置されたグループは、マスクの処理またはマスクの作業領域の処理のための動作を最適化する役割を果たすことができる。
図3に関連して説明したように、マーキング(または補正マーク)を用いた較正は、マスクが処理されている間の動作について通常複数回実行されなくてはならない。例として、これは、粒子ビームのドリフトまたは変位の補償とすることができ、修復形状は、それに応じて適合させることができる。較正中、マーキング(または補正マーク)は、通例、前記マーキングの位置を決定するために粒子ビームを用いて測定されなくてはならず、その結果として、マーキング(または補正マーク)は、(上記で説明したように)劣化および/または摩耗する場合がある。
【0099】
本発明によれば、以前に既知であったように、全てのマーキング(または補正マーク)が、マスクの(全体)処理(またはマスクの対応する作業領域)の各較正ステップについて必然的に提供されるわけではない。補正マークのグループの生成された配置は、較正の所望の補正マークの標的化された選択を可能にする(例えば、マスクの作業領域における欠陥の修復時の較正の場合、これは例えばマーキングによって較正可能である)。この場合、較正のための境界条件は、各グループからの少なくとも1つの補正マークが用いられるというものであり得る。したがって、較正の目的で、較正ステップが補正マークの単一シーケンスタプルに限定されないように補正マークのセットから選択されることが可能である。
図5aによれば、多数の可能なシーケンスタプルが、指定の境界条件と共に生じる(例示的形式で4つのシーケンスタプルがリストされている:A1、A2、A3、A4;A1、B2、C3、C4;B1、A2、C3、A4;B1、A2、A3、A4;…)。このため、より一般的な観点で、較正のために、多数の異なるタプルT1、T2、…Tmから選択することが可能である。
【0100】
本発明によれば、シーケンスタプルの選択は、処理中の補正マークの劣化の最小化または分散を可能にする。例として、処理の経過中、様々なシーケンスタプルを較正ステップのために用いることができる。プロセスにおいて、劣化は複数の原理に従って最小化することができる。
【0101】
第1に、シーケンスタプルの使用の統計分布が想定可能である。例として、固定数のシーケンスタプル(例えば、3つのタプル:T1、T2、T3)を利用可能とすることができる。一様な分布を確保するために、シーケンスタプルを、1つの変形体における較正ステップにわたって周期的に用いることができる。例えば、シーケンスタプルの順序が周期的に再利用されることが想定可能である。3つのシーケンスタプルの場合、複数の較正ステップにわたるシーケンスタプルの選択は、ここでは以下のように見ることができる:T1-T2-T3-T1-T2-T3-T1-T2-T3-…。この結果として、各シーケンスタプルは、処理にわたって概ね同じ程度まで応力をかけられる。さらに、シーケンスタプルのランダム化された順序が選択されることが同様に想定可能である。この文脈において、この順序のタイプは、使用されるシーケンスタプルが、多数の較正ステップの後に概ね同じ程度まで用いられているように、数学的に一様な分布に基づくことができる。
【0102】
さらに、シーケンスタプルが、異なるシーケンスタプルへの変更が存在するまで、常に連続して用いられることが想定可能である。第1に、これは、シーケンスタプルの使用の統計的に一様な分布が存在するように設計することもできる。この場合、マスクの処理中の予測測定値(または較正ステップ)の数を推定することができる。例として、9つの較正ステップが1つの例における処理に必要とされることを推定することができる。したがって、例えば、3つのシーケンスタプルの場合、シーケンスタプルの使用の一様な分布が確保されるように、較正ステップにおいて以下の順序が選ばれ得る:T1-T1-T1-T2-T2-T2-T3-T3-T3。
【0103】
第2に、重大な度合いの摩耗がシーケンスタプルの補正マーク上で生じるまで、シーケンスタプルが連続して用いられることが想定可能である。重大な度合いの摩耗が生じると、次の較正ステップにおける異なるシーケンスタプルへの変更が存在し得る。例として、重大な度合いの摩耗は、シーケンスタプルの補正マークの品質判断基準の評価によって確かめることができる(例えば、走査電子像記録がこの目的で行われなくてはならない)。例において、シーケンスタプルの全ての補正マークは、品質判断基準に対して評価することができる。例として、品質判断基準は、例えば補正マークのコントラストであり得る。例として、これはまた、補正マークと、そのすぐ周りとの間のコントラストの差であり得る。この場合、過度に強力であるかまたは過度に弱いコントラストの場合に、次の較正ステップにおけるシーケンスタプルの変更を起動するトリガをプロンプトすることができる。さらに、品質判断基準は、補正マークの勾配像の評価であり得る。例として、勾配像から、補正マークの縁部が大幅に劣化していることが推測される場合、次の較正ステップにおけるシーケンスタプルの変更を起動するトリガをプロンプトすることが可能である。さらに、補正マークの像の自己相関関数の特性を解析することも可能である。この場合、シーケンスタプル変更のトリガをプロンプトするための閾値は、自己相関関数の幅とすることができ、これは例えば、補正マークの縁部の状態に関する情報を提供することもできる。さらに、2つの異なる時点における補正マークの像の相互相関関数の特性を解析することも可能である。結果として、像の対応性を解析的に評価することが可能であり、(様々な時点における)補正マークの像の類似性の尺度を決定することができる。例として、(様々な時点における)像の類似性の尺度が閾値を超過する場合、シーケンスタプル変更をもたらすトリガをプロンプトすることが可能である。さらに、異なる補正マークの像の相互相関関数の特性を解析することも可能である。例として、シーケンスタプルの補正マークと、同じシーケンスタプルの補正マークとの間に相互相関が存在することができる。さらに、シーケンスタプルの補正マークと、(現在の)シーケンスタプルに含まれていない補正マークとの間に相互相関が存在することもできる(例えば、この後者の補正マークは、較正に既に用いられているシーケンスタプルからのもの、または較正にまだ用いられていないシーケンスタプルからのものであり得る)。1つまたは複数の補正マークの自己相関および相互相関関数の組合せを品質判断基準の評価のために用いることもできる。さらに、補正マークの品質判断基準、または補正マークの摩耗度合いを推定することができる。例として、この推定値は、補正マークが処理中に既に用いられていた較正ステップの数に基づくことができる。例として、利用されたプロセス(例えば、電子ビーム誘起蒸着プロセス)に基づいて、例えば、補正マークが10回呼び出された後(すなわち、10回の較正ステップの場合)、補正マークの大幅な劣化が予期され得ることを推定することが可能であり、そのため異なるシーケンスタプルへの変更を行うべきである。例として、この推定は、経験的値および/または実験に基づくことができる。
【0104】
図5bは、動作のためのシーケンスタプルの選択を示す。特に、3つのシーケンスタプルP1、P2、P3が示される。
図5aに関して、この例ではP1が補正マークA1、A2、A3、A4によって与えられる(補正マークの参照符号は
図5bに示されていない)。この場合、P2は補正マークA1、C2、A3、B4によって与えられる。この場合、P3はA1、A2、A3、A4によって与えられる。グループの補正マーク間の接続線は、各シーケンスタプルの破線を用いて提示され、第2のグループからの補正マークと第4のグループからの補正マークとの接続線はより詳細にラベル付けされる(501、502、503)。本発明によれば、補正マークは、シーケンスタプルが及ぶ多角形内(例えば、三角形、台形、長方形、五角形等)内に作業領域が位置するように配置することができる。例として、補正マークは、それらの凸型スリーブが作業領域を画定する(または作業領域を含む)ように配置することができる。この場合、これは、作業領域が接続線によって完全に取り囲まれるように、かつシーケンスタプルの接続線が作業領域に交差しないように実施することができる。結果として、これは(シーケンスタプルの補正マークが及ぶ)較正窓が作業領域500のエンベロープまたは輪郭を完全に取り囲む事例となる。このため、全体作業領域、または作業領域に対する粒子ビームの歪みを、較正窓にわたって補間することができる。例として、較正窓は、同様に1次収差として粒子ビームの変位を測定および補償することが可能な歪み補償に用いることができる。例として、これらの状況は、シーケンスタプルP3についてではなく、
図5bのシーケンスタプルP1およびP2について与えられる。シーケンスタプルP3において、補正マークA4から補正マークA2への接続線503は、作業領域500に交差するため、交差部533は較正窓の外側に位置する。例として、歪み補償(較正窓によって実行される)は、この事例において外挿を実施するため、(例えば欠陥の)縁部位置の正確性が低減する場合がある。作業領域(例えば、欠陥)の処理中、これにより、作業領域(例えば、欠陥)の縁部(または輪郭)が電子ビームによって最適にトラバースされない(例えば、所望の軌道に沿わない)ことにつながる場合がある。これらの状況は、マスク位置を決定するときの測定誤差をさらに増幅させる場合がある。したがって、シーケンスタプルP3のスタイルでの補正マークの生成を回避することができる。それにもかかわらず、そのようなシーケンスタプルが(例えば、製造変動により)生成される場合、このタイプのシーケンスタプルは、好ましくは、較正方法によって除外するか、または較正窓の形成から排除することができる。代替的に、1つのグループからのマークは、このタイプのシーケンスタプルが除外されるように、別のグループから選ばれたマークに基づいて選択することができる。
【0105】
図5cは、本発明における粒子ビームパラメータの変換のトピックを示す。例えばマスクに適用される、上述した補正マークの4つのグループが(
図5aおよび
図5bと類似の方式で)示される。マスクは、粒子ビーム(例えば、電子ビーム)の照射中に静電帯電することができる。これらの帯電現象は、中でも、粒子ビームに対し非線形の効果を有するため、技術的適応がない場合、プロセス中のシーケンスタプルの変更時の粒子ビームの軌道に対する影響が存在する。例として、
図5cは、シーケンスタプルに関連付けられた対応する起動を表す。更なる介入がなければ、これらの粒子ビーム軌道は、較正中にトラバースされることになる。この場合、軌道510はシーケンスタプルC1、C2、C3、C4に関連付けられ、軌道520はシーケンスタプルB1、B2、B3、B4に関連付けられる。さらに、軌道530はシーケンスタプルA1、A2、A3、A4に関連付けられる。
【0106】
これらの効果は、(
図5cに概略的に示されるように)必ずしも粒子ビームの大幅なオフセットにつながらない。しかしながら、軌道510、520、530によって概略的に表されるように、動作におけるエッチングまたは蒸着された構造体の縁部の品質は、作業領域500の縁部が粒子ビームによって同一にトラバースされないことに起因して劣化する場合がある。例として、これは、構造体のより平坦な側壁角度によって知覚可能にすることができる。この現象は、各シーケンスタプルの数学的変換を決定することによって対処することができ、この数学的変換は、シーケンスタプル間の差を補償する。この変換は、(例えば、修復形状の歪み補償に加えて)較正中にさらに考慮することができる。結果として、異なるシーケンスタプルを用いた較正の場合であっても、粒子ビームの軌道が同じままであることを確実にすることが可能である。最初に、シーケンスタプルの全ての補正マークの大域的位置、および/または互いに対する全ての補正マークの相対的(初期)位置を、変換の確立のために決定することができる。加えて、特徴的なマスク構造体の対応する位置を決定することが可能である。相対的位置は、ベクトルの観点において、例えばx距離およびy距離によって(例えば、<x,y>距離ベクトルによって)指定することができる。
【0107】
変換は、その後、複数の方式で、例えば、シーケンスタプルXおよびシーケンスタプルYの相対的位置を決定することによって決定することができる。例として、シーケンスタプルYは、最初に、(例えば、タプルの(2つ以上の)対応するマーク間の分離によって画定される)V1=<50nm,0nm>のシーケンスタプルXからのベクトル分離を有することを既知とすることができる。最初に、シーケンスタプルXのみを本発明の範囲内で用いることができる。しかしながら、方法の過程中にシーケンスタプルXからシーケンスタプルYに変更するとき、ここでシーケンスタプルYがV2=<100nm,10nm>のシーケンスタプルXからのベクトル分離を有することを判明することができる。この情報は、粒子ビームが、(見かけ上変化した分離を補うために)一定の軌道をもたらすためにそれに応じて適応することができるような変換のために用いることができる。
【0108】
例として、変換は、シーケンスタプルXおよびシーケンスタプルYに対する(特性的)マスク構造体の位置を確立することによって確立することもできる。最初に、シーケンスタプルXのみを方法の範囲内で用いることができる。最初に、シーケンスタプルXからの(特性的)マスク構造体の分離は、V3=<500nm,500nm>によって与えることができ、シーケンスタプルYからのものは、V4=<550nm,500nm>によって与えることができる。しかしながら、方法の過程中にシーケンスタプルXからシーケンスタプルYに変更するとき、ここで、例えば、V3=<600nm,400nm>およびV4=<700nm,350nm>を判明することができる。この情報は、粒子ビームが、一定の軌道をもたらすためにそれに応じて適応することができるような変換のために用いることができる。
【0109】
図6は、装置600のいくつかの構成要素を断面図で概略的に示す。この装置において、マスク(または一般的には、本発明を用いることができる、導入部において述べた対象のうちの1つ)を検査および/または処理するための本発明による方法の実施形態を行い、実施することができる。例として、
図6が参照され、
図5a~
図5cのマスク510に続く説明がなされるが、これは限定的に理解されるべきではない。代わりに、他のリソグラフィマスクまたは対象を用いることができる。
【0110】
装置600は、真空チャンバ602と、内部に走査型粒子顕微鏡620とを備える。
図6の例では、走査型粒子顕微鏡620は、走査型電子顕微鏡(SEM)620である。粒子ビームとしての電子ビームは、検査または処理されるマスク510が、実質的に、前記ビームによって損傷され得ないか、またはわずかな程度までしか損傷され得ないという利点を有する。しかしながら、他の荷電粒子ビーム、例えばFIB(集束イオンビーム)システム(
図6には図示せず)のイオンビームも可能である。
【0111】
SEM620は、粒子銃622と、電子光学ユニットまたはビーム光学ユニット626が配置されているカラム624と、を必須の構成要素として備える。電子銃622は、電子ビーム628を生成し、電子またはビーム光学ユニット626は、電子ビーム628を集束させ、電子ビーム628を、カラム624の出力でマスク510上に(または一般的には、リソグラフィの試料もしくは対象に)向ける。マスク510は、上記で既に詳細に説明したように、単数または複数の構造体530を有する表面520を有する。マスク510上に存在することができる表面電荷は、
図6には示されていない。
【0112】
マスク510は、試料ステージ605上に配置されている。
図6の矢印によって象徴されるように、試料ステージ605は、SEM620の電子ビーム628に対して3つの空間方向に移動することができる。
【0113】
分光計-検出器の組合せ640は、測定点635で電子ビーム628によって生成された二次電子および/またはマスク510によって後方散乱された電子をそれらのエネルギーに基づいて区別し、次にそれらを電気測定信号に変換する。次に、測定信号は、コンピュータシステム670の評価ユニット676に渡される。
【0114】
エネルギーを分離するために、分光計-検出器の組合せ640は、エネルギーで電子を区別するためのフィルタまたはフィルタシステムを含むことができる(
図6には図示せず)。
【0115】
分光計-検出器の組合せ640と同様に、エネルギー分解分光計をSEM620のカラム624の外側に配置することができる。しかしながら、分光計および関連付けられた検出器をSEM620のカラム624内に配置することも可能である。
図6に示す例では、分光計645および検出器650は、SEM620のカラム624内に組み込まれている。分光計-検出器の組合せ640に加えて、またはその代替として、分光計645および検出器650を装置600において用いることができる。
【0116】
さらに、
図6の装置600は、測定点635において入射電子ビーム628によって生成された光子を検出するための検出器655を任意に備えることができる。検出器655は、例えば、生成された光子のエネルギースペクトルをスペクトル分解することができ、それによって、マスク510の表面520または表面付近の層の組成に関する結論を引き出すことができる。
【0117】
加えて、装置600は、マスク510またはその表面520が電気絶縁性または半導電性であり、負の表面電荷を有する場合に、測定点635の領域に低エネルギーイオンを供給するイオン源(図示せず)を備えることができる。イオン源を用いて、マスク表面520の負の帯電を、局所的かつ制御された方法で低減することができる。
【0118】
マスク表面520が、例えばマスク510の取り扱いによって引き起こされる、正の表面電荷の望ましくない分布を有する場合、電子ビーム628を用いて、マスク表面520の帯電を低減することができる。
【0119】
コンピュータシステム670は、電子ビーム628をマスク510上で、特にマーキング540、580および/または欠陥550に対して走査する走査ユニット672を備える。走査ユニット672は、
図6には示されていない、SEM620のカラム624内の偏向素子を制御する。さらに、コンピュータシステム670は、SEM620の様々なパラメータを設定および制御するために、設定ユニット674を備える。設定ユニット674によって設定することができるパラメータは、例えば、倍率、電子ビーム628の焦点、非点収差補正装置の1つもしくは複数の設定、ビーム変位、電子源の位置、および/または1つもしくは複数の絞りとすることができる(
図6には図示せず)。
【0120】
走査ユニット672および/または設定ユニット674は、本発明による方法の実施形態の使用により、例えば作業領域560におけるマスク510の検査および/または処理を実行するか、または制御するか、またはこれに寄与することができる。
【0121】
さらに、コンピュータシステム670は、例えば、本発明による方法のうちの1つの実施形態を実行するための命令を記憶することができる、メモリユニット676を備える。コンピュータシステム670は、そのような命令を実施する、すなわち、コマンドに従って、装置600(例えばSEM620、走査ユニット672、設定ユニット674および/またはまだ説明されていないガス供給システム)の対応する構成要素を制御および起動するように設計された1つまたは複数のプロセッサを含むことができる。プロセッサは、例えば、強力なグラフィックプロセッサを含むことができる。
【0122】
図6のコンピュータシステム670は、装置600に一体化することができ、または専用の装置の形態をとることができる。コンピュータシステム670は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せを使用して具現化することができる。
【0123】
マスク510の欠陥550を処理するために、ならびに/あるいは(第1および/または第2の)基準マーキング540および/または580をマスク510に書き込むために、
図6の装置600は、好ましくは、異なるプロセスまたは前駆体ガスのための複数の異なる貯蔵容器を備える。例として与えられた装置600では、2つの貯蔵容器が示されている。しかしながら、装置600は、マスク510を処理するためのおよび/または基準マーキング540、580をマスク510に書き込むための3つ以上の貯蔵容器を有することもできる。第1の貯蔵容器652は、前駆体ガスまたは蒸着ガスを貯蔵し、これらは、例えばマスク510の基準マーキング540、580を生成するための材料を蒸着させるために、SEM620の電子ビーム628と協働して使用することができる。さらに、SEM620の電子ビーム628は、例えば、マスク510のパターン要素のうちの1つの欠落した吸収体材料を蒸着させるために使用することができる。第2の貯蔵容器662はエッチングガスを含み、例えばこれを用いて欠陥550をエッチングすることができる。
【0124】
各貯蔵容器652、662は、マスク510の表面520上の電子ビーム628の入射位置635における、単位時間あたりに供給されるガス粒子の量またはガス流量を制御するための独自のバルブ654および664をそれぞれ備えている。さらに、2つの貯蔵容器652、662は、マスク510上の電子ビーム628の入射点635付近のノズル658、668で終端する独自のガス供給部656、666を有する。
図6に例として示されている装置600では、バルブ654、664は、貯蔵容器の近傍に組み込まれている。代替の実施形態では、バルブ654、664は、それぞれ、対応するノズル658および668の近傍に配置することができる(
図6には図示せず)。各貯蔵容器652、662は、個々の温度設定および制御のための独自の要素を有することができる。温度設定は、各前駆体ガスの冷却および加熱の両方を可能にする。加えて、ガス供給部656、666は、各前駆体ガスが供給される温度を反応位置において設定および監視するための独自の要素をそれぞれ同様に有することができる(同様に、
図6には図示せず)。
【0125】
図6の装置600は、必要とされる真空を生成および維持するためのポンプシステムを備えることができる。ポンプシステムは、明確にするために
図6には示されていない。加えて、装置600は、吸引抽出装置を備えることができる(同様に、
図6には図示せず)。ポンプまたはポンプシステムと組み合わせた吸引抽出装置により、前駆体ガスの分解中に生成される、局所的な化学反応に不要なフラグメントまたは成分が、実質的に発生地点において装置600の真空チャンバ602から抽出されることが可能になる。不要なガス成分は、このガス成分が装置600の真空チャンバ602内に分散して沈降することができる前に、電子ビーム628のマスク510への入射の位置において、真空チャンバ602からポンプで局所的に排出されるため、真空チャンバ602の汚染が防止される。以下において、本発明の更なる実施形態が説明される。
【0126】
実施形態1は、粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成するための、特に動作を較正するための方法に関し、この方法は、
a.補正マークの第1のグループ(A1、B1、C1)を生成することと、
b.補正マークの第2のグループ(A2、B2、C2)を生成することと、
を含み、
c.第1のグループ内および第2のグループ内の補正マークの分離は、第1のグループからの補正マークと、第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さい。
【0127】
実施形態2:第1のグループおよび/または第2のグループは、少なくとも部分的に同じ形態を有する補正マークを含む、実施形態1による方法。
【0128】
実施形態3:第1のグループおよび/または第2のグループからの少なくとも1つの補正マークは、複数の幾何学的形状から構成される、実施形態1~2のいずれかによる方法。
【0129】
実施形態4:第1のグループおよび/または第2のグループからの補正マークの数は、少なくとも3、好ましくは少なくとも4である、実施形態1~3のいずれか1つによる方法。
【0130】
実施形態5:第1のグループ内および/または第2のグループ内の補正マークの分離は、第1のグループからの補正マークと、第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さく、少なくとも5分の1、好ましくは少なくとも10分の1、特に好ましくは少なくとも20分の1である、実施形態1~4のいずれか1つによる方法。
【0131】
実施形態6:生成は、粒子ビーム誘起蒸着プロセスおよび/または粒子ビーム誘起エッチングプロセスに少なくとも部分的に基づく、実施形態1~5のいずれか1つによる方法。
【0132】
実施形態7:補正マークの少なくとも1つの第3のグループ(A3、B3、C3)を生成することをさらに含み、個々のグループ内の補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい、実施形態1~6のいずれか1つによる方法。
【0133】
実施形態8:生成されたグループは、各事例における異なるグループの2つの補正マーク間の接続線が、動作の作業領域(500)に交差することなく作業領域を取り囲むことができるように作業領域を取り囲む、実施形態7による方法。
【0134】
実施形態9は、粒子ビームを用いて、離間された補正マークの少なくとも1つの局所的グループ(A1、B1、C1;A2、B2、C2)を用いてリソグラフィの対象に対する動作を較正するための方法に関し、方法は、以下のシーケンス、すなわち、
S1.シーケンスタプル(A1;A2)を選択することであって、シーケンスタプルは、少なくとも1つのグループの補正マークのサブセットを含む、選択することと、
S2.シーケンスタプル(A1;A2)に少なくとも部分的に基づいて、較正を実行することと、
S3.実行された較正に少なくとも部分的に基づいて、動作の少なくとも一部を実行することと
を含む、方法に関する。
【0135】
実施形態10:シーケンスタプルの選択は、少なくとも1つのグループの少なくとも1つの補正マークに関連付けられた所定の判断基準の評価に少なくとも部分的に基づく、実施形態9による方法。
【0136】
実施形態11:所定の判断基準は、以下の判断基準、すなわち、少なくとも1つの補正マークの摩耗度合い、少なくとも1つの補正マークのコントラスト、少なくとも1つの補正マークの勾配像、少なくとも1つの補正マークの像の自己相関関数、少なくとも1つの補正マークの少なくとも2つの像の相互相関関数のうちの少なくとも1つを含む、実施形態10による方法。
【0137】
実施形態12:シーケンスは、少なくとも1回繰り返され、プロセスにおいて、補正マークの異なるサブセットを含む少なくとも2つのシーケンスタプルが選択される、実施形態9~11のいずれか1つによる方法。
【0138】
実施形態13:シーケンスタプルは、補正マークの少なくともm個のグループの各々からの補正マークのサブセットを含むように選択され、ここで、mは2以上であり、個々のグループ内の補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい、実施形態9~12のいずれか1つによる方法。
【0139】
実施形態14:シーケンスタプルの選択は、動作中の予測シーケンス数に少なくとも部分的に基づく、実施形態13による方法。
【0140】
実施形態15:動作のシーケンスにわたるシーケンスタプルの選択は、所定の順序に従って実施される、実施形態9~14のいずれか1つによる方法。
【0141】
実施形態16:選択は、シーケンスタプルの周期的順序、シーケンスタプルのランダム化された順序、および/または同じシーケンスタプルの行に従って実施される、実施形態9~15のいずれか1つによる方法。
【0142】
実施形態17:方法は、
2つのシーケンスタプルに関連付けられた粒子ビームパラメータの変換を決定することと、
決定された変換に少なくとも部分的に基づいて較正を実行することと
をさらに含む、実施形態9~16のいずれか1つによる方法。
【0143】
実施形態18:変換を決定することは、
互いに対する異なるシーケンスタプルの補正マークの相対的位置を決定することと、
リソグラフィの対象の1つまたは複数の構造体に対する異なるシーケンスタプルの補正マークの相対的位置を決定することと
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態17による方法。
【0144】
実施形態19:較正は、粒子ビームのドリフトを決定すること、および/または粒子ビームのドリフトを補正することを含む、実施形態1~18のいずれか1つによる方法。
【0145】
実施形態20:動作は、欠陥を修復することを含む、実施形態1~19のいずれか1つによる方法。
【0146】
実施形態21は、粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成し、および/または動作を較正するための装置であって、
a.請求項1~20のいずれか1つによる方法を実行するための手段と、
b.コンピュータプログラムを実行するための手段と
を備える、装置に関する。
【0147】
実施形態22は、実行されると、実施形態21による装置に、実施形態1~20のいずれか1つによる方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0148】
実施形態23:実施形態22によるコンピュータプログラムを含むメモリを有する、実施形態21による装置。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子ビームを用いて、離間された補正マークの少なくとも1つの局所的グループ(A1、B1、C1;A2、B2、C2)を用いてリソグラフィの対象に対する動作を較正するための方法であって、以下のシーケンス、すなわち、
S1.シーケンスタプル(A1;A2)を選択することであって、前記シーケンスタプルは、前記少なくとも1つのグループの補正マークのサブセットを含む、選択することと、
S2.前記シーケンスタプル(A1;A2)に少なくとも部分的に基づいて、較正を実行することと、
S3.前記実行された較正に少なくとも部分的に基づいて、前記動作の少なくとも一部を実行することと
を含み、
前記シーケンスは、少なくとも1回繰り返され、補正マークの異なるサブセットを含む少なくとも2つのシーケンスタプルが選択される、方法。
【請求項2】
前記シーケンスタプルの前記選択は、前記少なくとも1つのグループの少なくとも1つの補正マークに関連付けられた所定の判断基準の評価に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定の判断基準は、以下の判断基準、すなわち、
前記少なくとも1つの補正マークの摩耗度合い、前記少なくとも1つの補正マークのコントラスト、前記少なくとも1つの補正マークの勾配像、前記少なくとも1つの補正マークの像の自己相関関数、前記少なくとも1つの補正マークの少なくとも2つの像の相互相関関数のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シーケンスタプルは、補正マークの少なくともm個のグループの各々からの補正マークのサブセットを含むように選択され、ここで、mは2以上であり、個々のグループ内の前記補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項5】
前記シーケンスタプルの前記選択は、前記動作中の予測シーケンス数に少なくとも部分的に基づく、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記動作の前記シーケンスにわたる前記シーケンスタプルの前記選択は、所定の順序に従って実施される、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項7】
前記選択は、シーケンスタプルの周期的順序、シーケンスタプルのランダム化された順序、および/または同じシーケンスタプルの行に従って実施される、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項8】
2つのシーケンスタプルに関連付けられた粒子ビームパラメータの変換を決定することと、
前記決定された変換に少なくとも部分的に基づいて前記較正を実行することと
をさらに含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項9】
前記変換を決定することは、
互いに対する異なるシーケンスタプルの補正マークの相対的位置を決定することと、
リソグラフィの対象の1つまたは複数の構造体に対する異なるシーケンスタプルの補正マークの前記相対的位置を決定することと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成するための、特に動作を較正するための方法であって、
a.補正マークの第1のグループ(A1、B1、C1)を生成することと、
b.補正マークの第2のグループ(A2、B2、C2)を生成することと
を含み、
c.前記第1のグループ内および前記第2のグループ内の前記補正マークの分離は、前記第1のグループからの補正マークと、前記第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さく、
前記第1のグループ内および/または前記第2のグループ内の前記補正マークの分離は、前記第1のグループからの補正マークと、前記第2のグループからの補正マークとの間の分離よりも小さく、少なくとも5分の1、好ましくは少なくとも10分の1、特に好ましくは少なくとも20分の1である、方法。
【請求項11】
前記第1のグループおよび/または前記第2のグループは、少なくとも部分的に同じ形態を有する補正マークを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のグループおよび/または前記第2のグループからの少なくとも1つの補正マークは、複数の幾何学的形状から構成される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のグループおよび/または前記第2のグループからの補正マークの数は、少なくとも3、好ましくは少なくとも4である、請求項10
または11に記載の方法。
【請求項14】
前記生成は、粒子ビーム誘起蒸着プロセスおよび/または粒子ビーム誘起エッチングプロセスに少なくとも部分的に基づく、請求項10
または11に記載の方法。
【請求項15】
補正マークの少なくとも1つの第3のグループ(A3、B3、C3)を生成することをさらに含み、個々のグループ内の前記補正マークの分離は、2つの異なるグループからの補正マーク間にわたる分離よりも小さい、請求項10
または11に記載の方法。
【請求項16】
前記生成されたグループは、異なるグループの2つの補正マーク間の接続線が、動作の作業領域(500)に交差することなく前記作業領域を取り囲むことができるように前記作業領域を取り囲む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記較正は、前記粒子ビームのドリフトを決定すること、および/または前記粒子ビームのドリフトを補正することを含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項18】
前記動作は、欠陥を修復することを含む、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項19】
粒子ビームを用いて、リソグラフィの対象上に補正マークを生成し、および/または動作を較正するための装置であって、
a.請求項1に記載の方法を実行するための手段と、
b.コンピュータプログラムを実行するための手段と
を備える、装置。
【請求項20】
実行されると、請求項19に記載の装置に、請求項1に記載の方法の方法ステップを実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムを含むメモリを有する、請求項19に記載の装置。
【国際調査報告】