IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポールの特許一覧

特表2024-543225ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング
<>
  • 特表-ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング 図1
  • 特表-ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング 図2A
  • 特表-ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング 図2B
  • 特表-ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング 図2C
  • 特表-ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング 図2D
  • 特表-ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング 図2E
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-19
(54)【発明の名称】ダイヤモンド膜堆積のための気相前駆体シーディング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/314 20060101AFI20241112BHJP
【FI】
H01L21/314 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024533045
(86)(22)【出願日】2022-12-05
(85)【翻訳文提出日】2024-08-01
(86)【国際出願番号】 US2022051880
(87)【国際公開番号】W WO2023102273
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】63/286,087
(32)【優先日】2021-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】タン, シー チエ
(72)【発明者】
【氏名】サムガナサン, ビクネシュ
(72)【発明者】
【氏名】ベンカタサブラマニアン, エスワラナンド
(72)【発明者】
【氏名】マリック, アブヒジット バス
(72)【発明者】
【氏名】スディジョノ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】グ, チートン
(72)【発明者】
【氏名】ロー, キアン ピン
【テーマコード(参考)】
5F058
【Fターム(参考)】
5F058BA12
5F058BB01
5F058BB02
5F058BB05
5F058BB06
5F058BE01
5F058BF07
5F058BF22
5F058BF26
(57)【要約】
集積回路の製作において使用され得る、アダマンタン膜を堆積させる方法が説明される。方法は、アダマンタンシード層が基板上に堆積させられた基板を処理することと、アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に変換することと、次いで、ダイヤモンド核層から完全なナノ結晶ダイヤモンド膜に成長させることとを含む。
【選択図】図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法であって、
第1の時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてアダマンタン蒸気に基板表面を曝露すること、および第1のプラズマ時間の間前記第1のプラズマプロセスチャンバにおいて第1のプラズマを生成することによって、アダマンタンシード層を形成することと、
前記アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に、前記アダマンタンシード層を変換することと、
前記ダイヤモンド核層から完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることと
を備える、方法。
【請求項2】
前記アダマンタンシード層を形成することが、1から1000の範囲内で、前記アダマンタン蒸気および前記第1のプラズマへの曝露のサイクルを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプラズマプロセスチャンバが、前記基板表面から第1の距離に位置するシャワーヘッド/電極を備え、前記第1の距離が、10mmよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプラズマが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプラズマが、アルゴン、窒素、C、二酸化炭素または分子状水素ガスのうちの1つまたは複数を備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のプラズマが、50ワットを超える電力を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記基板が、20~600℃の間の温度に維持される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイヤモンド核層に前記アダマンタンシード層を変換することが、第2のプラズマ源を含む第2のプラズマを用いて第2のプラズマプロセスチャンバにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のプラズマプロセスチャンバが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のプラズマが、10kW未満の電力のうちの1つまたは複数を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が、10cm未満の前記第2のプラズマ源からの距離に位置する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板が、50℃から600℃の範囲内の温度に維持される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることが、第2のプラズマ源、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマを含む導電/誘導結合プラズマから選択された第3のプラズマを使用して、第2のプラズマプロセスチャンバにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第3のプラズマが、60%よりも大きいデューティサイクルをもつ50Wよりも大きい電力のうちの1つまたは複数を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板が、室温から750℃の範囲内の温度に維持される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記基板が、10cm未満の前記第2のプラズマ源からの距離に位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法であって、
第1の時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてアダマンタン蒸気に基板表面を曝露すること、および第1のプラズマ時間の間前記第1のプラズマプロセスチャンバにおいてマイルドな第1のプラズマを生成することによって、アダマンタンシード層を形成することであって、前記マイルドな第1のプラズマが、アルゴン、窒素、C、二酸化炭素または分子状水素ガスのうちの1つまたは複数を備え、前記基板表面が、10mmよりも大きいかまたはそれに等しい前記第1のプラズマチャンバにおける第1のプラズマ源からの第1の距離に位置する、アダマンタンシード層を形成することと、
第2のマイルドなプラズマを用いて第2のプラズマプロセスチャンバにおいて前記アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に前記アダマンタンシード層を変換することであって、第2のプラズマ源が、10kW未満の電力のうちの1つまたは複数を備える前記第2のマイルドなプラズマを生成し、前記基板表面が、前記第2のプラズマ源から10cm未満の距離に位置する、前記アダマンタンシード層を変換することと、
60%よりも大きいデューティサイクルをもつ50Wよりも大きい電力のうちの1つまたは複数を備える第3のプラズマを使用して、前記第2のプラズマプロセスチャンバにおいてダイヤモンド核層から完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることと
を備える、方法。
【請求項18】
前記アダマンタンシード層を形成することが、1から1000の範囲内で、前記アダマンタン蒸気および前記マイルドな第1のプラズマへの曝露のサイクルを備え、前記第1のプラズマが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを備え、50ワットを超える電力を有し、前記基板が、20~600℃の間の温度に維持される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のプラズマプロセスチャンバが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメントまたは電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを備え、前記基板が、50℃から400℃の範囲内の温度に維持される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることが、前記基板を室温から750℃の範囲内の温度に維持して行われ、前記基板が、10cm未満の前記プラズマ源からの距離に位置する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ナノ結晶ダイヤモンド膜を堆積させる方法に関する。より詳しくは、本開示の実施形態は、電子デバイス、とりわけ、集積回路(IC)の製造中のナノ結晶ダイヤモンド膜の堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業が、より高い性能およびより優れた機能性を有する新しい世代の集積回路(IC)を導入するにつれて、それらのICを形成するエレメントの密度が高まる一方で、個々の構成要素またはエレメント間の寸法、サイズ、および間隔が縮小されている。過去において、そのような低減は、フォトリソグラフィを使用して構造を画定する能力によってのみ制限されたが、μmまたはnm単位で測定される寸法を有するデバイスジオメトリは、金属要素の導電率、エレメントの間で使用される絶縁材料の誘電率、あるいは3D-NANDまたはDRAMプロセスにおける課題など、新しい制限ファクタを作り出した。これらの限界は、より耐久性があり、より高い硬度のハードマスクによって対処され得る。
【0003】
従来、ナノダイヤモンド(ND)が、アブレーションまたは超音波処理を介してシリコンの上にシードされている。これは、ウエハ表面上に欠陥を作り出す。そのうえ、NDは、ナノ結晶ダイヤモンド(NCD)膜特性にとって好ましくない高いsp含有量を有する。製造の観点からすると、シリコンの上にNCD前駆体をドライシードする機能により、プロセスの大規模生産への統合を可能にできる。高いsp含有量をもつ極めて揮発性が高い分子であるアダマンタンは、NDシードの潜在的代替物である。
【0004】
優れた硬度、化学的不活性および高い熱伝導率を備えたダイヤモンドは、無数のマイクロエレクトロニクスのアプリケーション用の有望な候補として出現した。しかしながら、ダイヤモンドとシリコンの表面エネルギーの大きな差(約6J/cmに対して、約1.5J/cm)、ガス状前駆体(たとえば、炭化水素ラジカル)の低い付着係数および非ダイヤモンド相との強力な競合が、一般的に、未処理のシリコン上の劣悪なダイヤモンド核生成密度を生じる。それでも、高品質のナノ結晶ダイヤモンド(NCD)膜を合成するために、>1011cm-2の核生成密度がターゲットにされる。
【0005】
核生成密度の問題に対処するために、基板は、しばしば、前処理され(たとえば、機械的アブレーションまたはマイクロチッピング)、および/または堆積に先立ってナノダイヤモンド(ND)粒子(~5nm)をシードされる。しかしながら、基板表面上のかき傷の存在は、マイクロエレクトロニクス適用にとって有害である。そのうえ、ND粒子中の広い粒子サイズ分布および高いsp炭素含有量は、極めて滑らかな連続NCD膜の成長にとって不利である。最も重要なことには、これらの多段階手順は、煩雑で、クリーンルーム適合性がない。これは、シリコン基板上にシードの均一な層を堆積させることが可能な、クリーンルーム適合性があるドライシーディング手順に対する動機づけを引き起こした。
【0006】
最も小さい「分子ダイヤモンド」であるアダマンタン(C1016)は、ダイヤモンド結晶格子から切り出されたサブユニットに似たケージ型構造を有する。アダマンタンおよびその誘導体は、その極めて小さい分子サイズ(<1nm)とともに、溶液および気相シーディングシステムにおけるダイヤモンドの潜在的成長のためのシードとして検討されている。
【0007】
それにもかかわらず、アダマンタンは、蒸気圧が高く昇華点が低いため、気相での供給が依然として困難なままである。これは、とりわけ高温および/または真空システム下では、基板からアダマンタンが著しく蒸発することにつながる。その後、低い核生成密度およびダイヤモンド成長の一様でない分布が生じる。それゆえに、ダイヤモンド膜を形成する改善された方法に対するニーズが当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法を対象とする。アダマンタンシード層が、第1の時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてアダマンタン蒸気に基板表面を曝露すること、および第1のプラズマ時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてマイルドな第1のプラズマを生成することによって形成される。アダマンタンシード層は、アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に変換される。完全なナノ結晶ダイヤモンド膜が、ダイヤモンド核層から成長させられる。
【0009】
本開示の上記で具陳された特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約された本開示のより詳細な説明が、それらのうちのいくつかが添付の図面中に図示されている、実施形態を参照することによって行われ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を図示するにすぎず、それゆえ、それの範囲の限定と見なされるべきではなく、なぜならば、本開示は、他の等しく効果的な実施形態を認め得るからであることに留意されたい。同様の参照符が類似のエレメントを指し示す、添付の図面の図中で、限定ではなく例として、本明細書で説明される実施形態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による方法の流れ図を図示する図である。
図2A】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2B】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2C】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2D】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2E】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の数個の例示の実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明において記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実践されるか、または行われることが可能である。
【0012】
本明細書で使用される「基板」は、膜処理が製造プロセス中にそれに対して実施される、基板、または基板上に形成された材料表面を指す。たとえば、処理がそれに対して実施され得る基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電性材料などの任意の他の材料を含む。基板は、限定はしないが、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨する、エッチングする、還元する、酸化する、ヒドロキシル化する、アニールする、および/または焼成するための前処理プロセスにさらされ得る。基板の表面自体に対して直接的に実施される膜処理に加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのうちのいずれかは、以下でより詳細に開示されるように、基板上に形成された下層に対して実施されてもよく、「基板表面」という用語は、コンテキストが指し示すような下層を含むことを意図される。例として、膜/層または部分膜/層が、基板表面の上に堆積させられた場合、新たに堆積させられた膜/層の露出した表面が、基板表面になる。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などという用語は、基板表面と反応することができる任意のガス核種を指すために、互換的に使用される。
【0014】
本明細書で使用される「ナノ結晶ダイヤモンド」という句は、シリコンなど、基板上に一般的に成長させられたダイヤモンドの固体膜を指す。1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶性は、ダイヤモンド成長における再核形成反応の強化の結果であり、ここで、ダイヤモンド結晶の成長は、ラジカル核種の量、温度、および圧力など、周囲環境の変動により妨げられる。1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶ダイヤモンド層は、主に、ナノ球状またはナノ柱状の小さいダイヤモンド結晶、および通常は周囲結晶の間の位置において分布されたまたは粒子境界に蓄積されたアモルファスカーボンから構成される。ナノ結晶ダイヤモンドは、ナノ結晶ダイヤモンドの化学不活性、光学的透明性、および良好な機械的性質により、半導体用途の硬質マスク材料として使用される。
【0015】
本明細書で使用される「アダマンタン」という用語は、限定はしないが、市販されているアダマンタンおよび/または自己合成アダマンタン、その誘導体、オリゴマー、およびポリマーを含むアダマンタン族の広い分類を指す。
【0016】
本開示の実施形態は、気相デリバリを介したシリコンの上へのアダマンタンのドライシーディングのための新規の方法の開発および利用を説明する。本開示は、ナノ結晶ダイヤモンド膜へのアダマンタンのシーディング、変換、および成長を示す。この作業において、アダマンタン蒸気が、制御された様式でチャンバの中に放出され、シリコン基板の上にシードされた。シードされたサンプルは、次いで、アダマンタン「シード」がNCD膜を形成するために一連の変換を受ける、インキュベーションおよび主成長を受けた。
【0017】
アダマンタンの高い揮発性により、アダマンタン気相デリバリのシーディングの実証に成功した研究はほとんどなく、それの得られた膜は、本質的に一様でないかまたはダイヤモンド様炭素であった。代わりに、たいていの試みは、湿式化学合成または調製を伴った。その場合でも、NCDは局所的な島々にしか観測されなかった。本開示の1つまたは複数の実施形態は、均一なNCD膜の堆積のための、アダマンタンのその場(インシトゥ)の気相デリバリ、およびアダマンタンのドライシーディングを提供する。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態は、超音波処理とは異なりウエハ表面の完全性がそのまま保たれ、欠陥が発生する確率を低減する方法を有利に提供する。いくつかの実施形態は、ツール開発および大規模生産に有益である、様々なプロセスの統合を可能にするドライシーディングプロセスを提供する。アダマンタンの小さい分子サイズおよび高いsp含有量は、低い表面粗さを維持しながらより高い硬度および弾性率のNCD膜を達成するのに潜在的に役立ち得る。
【0019】
NCDの従来の多段階溶液ベースのシーディングは、煩雑であり、クリーンルーム適合性がない。本開示の実施形態は、NCD膜の後続の成長のための、シリコン基板の上へのアダマンタンの気相デリバリおよびドライシーディングのための方法を提供する。方法の1つまたは複数の実施形態は、その場(インシトゥ)であり、クリーンルーム適合性がある。
【0020】
炭素ベースのハードマスク層を使用するデバイス製作業者は、(1)下地材料の乾式エッチング中のハードマスクの高い選択性、(2)低い膜粗さ、(3)低い膜応力、および(4)膜剥離性、という要件が満たされることを要求する。本明細書で使用される「乾式エッチング」という用語は、一般に、材料が化学溶液への浸漬によって分解されないエッチングプロセスを指し、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、スパッタエッチング、および気相エッチングなどの方法を含む。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶ダイヤモンド層は、基板上に形成される。1つまたは複数の実施形態のプロセスは、有利に、高密度、高い硬度、高いエッチング選択性、低い応力、および優れた熱伝導率をもつナノ結晶ダイヤモンド層をもたらす。
【0022】
ハードマスクは、半導体処理においてエッチング停止層として使用される。アッシング可能ハードマスクは、アッシング可能ハードマスクがそれらの目的を果たすと、アッシングと呼ばれる技法によってアッシング可能ハードマスクが除去されることを可能にする化学組成物を有する。アッシング可能ハードマスクは、一般に、微量の1つまたは複数のドーパント(たとえば、窒素、フッ素、ホウ素、シリコン)をもつ炭素および水素から構成される。典型的な適用では、エッチングの後に、ハードマスクは、ハードマスクの目的を果たしたことになり、下層から除去される。これは、一般に、少なくとも部分的に、「プラズマアッシング」または「ドライストリッピング」とも呼ばれるアッシングによって達成される。アッシングされるべきハードマスクをもつ基板、すなわち、一般に部分的に製造された半導体ウエハは、真空下でチャンバの中に置かれ、酸素が導入され、酸素ラジカル(プラズマ)を作り出す高周波電力を受ける。ラジカルが、ハードマスクと反応して、水、一酸化炭素、および二酸化炭素にハードマスクを酸化させる。いくつかの事例では、たとえば、アッシング可能ハードマスクが、アッシングだけでは除去され得ない何らかの残留物を後に残したとき、ハードマスクの完全な除去は、追加の湿式または乾式エッチングプロセスをアッシングの後に行うことによって達成され得る。
【0023】
ハードマスク層は、しばしば、狭いおよび/または深いコンタクトをエッチングする用途において使用され、ここで、フォトレジストは、下層をマスクするのに十分厚くないことがある。これは、とりわけ、限界寸法が縮小するにつれてあてはまる。
【0024】
V-NANDまたは3D-NAND構造が、フラッシュメモリ用途において使用される。V-NANDデバイスは、ブロック中に配置された多数のセルをもつ垂直方向に積み重ねられたNAND構造である。本明細書で使用される「3D-NAND」という用語は、メモリセルが複数の層に積み重ねられた、あるタイプの電子(ソリッドステート)不揮発性コンピュータストレージメモリを指す。3D-NANDメモリは、一般に、フローティングゲートトランジスタを含む複数のメモリセルを含む。旧来、3D-NANDメモリセルは、ビット線の周りに3次元で配置された複数のNANDメモリ構造を含む。
【0025】
3D-NAND技術における重要なステップは、スリットエッチングである。ティアの数が、各技術ノードにおいて増加するにつれて、スリットエッチングプロファイルを制御するために、ハードマスク膜の厚さは、高アスペクトエッチングプロファイルに耐えるために、比例して増加しなければならない。現在、アモルファスカーボン(aC:H)膜が、高い硬度、およびスリットエッチングの後に剥離しやすいことにより使用されている。しかしながら、アモルファスカーボンハードマスク膜は、ベベル部で層間剥離が生じ、モルフォロジに乏しく、ピラー線紋につながる。
【0026】
図1および図2A図2Eを参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態は、ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法100を対象とする。工程110において、基板表面205を有する基板200が、第1のプラズマプロセスチャンバ310においてアダマンタン蒸気210に曝露される。アダマンタン蒸気210は、第1の時間期間Tの間基板表面205に当てられる。基板表面205は、次いで、基板表面205上にアダマンタンシード層220を形成するために、第1のプラズマ時間期間TP1の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてマイルドな第1のプラズマ215に曝露される。いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220は、第1のプラズマプロセスチャンバにおけるマイルドな第1のプラズマ215への曝露なしに形成される。いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220は、熱プロセスによって形成される(プラズマ曝露がないことを意味する)。
【0027】
第1のプラズマプロセスチャンバ310は、上記で説明されたプロセスチャンバのうちの1つなど、任意の好適なプラズマ源(たとえば、リモート、マイクロ波、容量結合プラズマ(CCP)、または誘導結合プラズマ(ICP))をもつ任意の好適なプラズマチャンバであり得る。いくつかの実施形態では、以下で説明される流量および他の処理パラメータは、300mm基板についてのものである。これらのパラメータは、処理される基板のサイズ、および本明細書で開示される実施形態からそれることなしに使用されるチャンバのタイプに基づいて調整され得ることを理解されたい。特定の実施形態では、マイルドな第1のプラズマ215は、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのうちの1つまたは複数を備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のプラズマ215は、アルゴン(Ar)、分子状窒素(N)、実験式C、ここで、yは2x+2、2xまたは2x-2である、を有する有機核種、二酸化炭素(CO)または分子状水素ガス(H)のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、第1のプラズマガスとともに共流される。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、プラズマ発生中に流されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のプラズマ215は、50ワット、100ワットまたは150ワットよりも大きい電力を用いて生成される。いくつかの実施形態では、基板200は、アダマンタンシード層220の形成中に20~600℃の範囲内の温度に維持される。
【0030】
いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220を形成することは、アダマンタン蒸気210および第1のプラズマ215への曝露の2つ以上のサイクルを備える。いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220を形成することは、1から1000の範囲内で、アダマンタン蒸気および第1のプラズマへの曝露のサイクルを備える。
【0031】
いくつかの実施形態の第1のプラズマプロセスチャンバ310は、基板表面205から第1の距離Dに位置する(第1のプラズマ源とも呼ばれる)シャワーヘッド/電極312を備える。いくつかの実施形態では、第1の距離Dは、10mm、15mm、20mm、または25mmよりも大きいかまたはそれに等しい。
【0032】
工程120において、アダマンタンシード層220は、ダイヤモンド核層230に変換される。ダイヤモンド核層230は、部分結晶化プロセスの後のアダマンタンシード層220である。ダイヤモンド核層230への変換は、アダマンタンシード層220結晶特性の少なくとも一部分が増加される部分変換プロセスである。
【0033】
いくつかの実施形態のアダマンタンシード層220は、プラズマ源325によって生成された第2のマイルドなプラズマ225を用いて第2のプラズマプロセスチャンバ320においてダイヤモンド核層230に変換される。第2のプラズマプロセスチャンバは、上記で説明されたプロセスチャンバのうちの1つなど、任意の好適なプラズマ源(たとえば、リモート、マイクロ波、容量結合プラズマ(CCP)、または誘導結合プラズマ(ICP))をもつ任意の好適なプラズマチャンバであり得る。いくつかの実施形態では、以下で説明される流量および他の処理パラメータは、300mm基板についてのものである。これらのパラメータは、処理される基板のサイズ、および本明細書で開示される実施形態からそれることなしに使用されるチャンバのタイプに基づいて調整され得ることを理解されたい。特定の実施形態では、マイルドな第2のプラズマ225は、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのうちの1つまたは複数を備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2のマイルドなプラズマ225は、アルゴン(Ar)、分子状窒素(N)、実験式C、ここで、yは2x+2、2xまたは2x-2である、を有する有機核種、二酸化炭素(CO)または分子状水素ガス(H)のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、第1のプラズマガスとともに共に流される。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、プラズマ発生中に流されない。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、10キロワット、9kW、8kW、7kW、6kW、5kWまたは4kWよりも小さいかまたはそれに等しい電力をもつ第2のプラズマ源を用いて生成される。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、50Hzから100Hzの範囲内の、または60Hzから90Hzの範囲内の、または70Hzから80Hzの範囲内の周波数における75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%または40%よりも小さいかまたはそれに等しいデューティサイクルをもつパルス化されたプラズマである。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、連続モード(100%のデューティサイクル)で動作させられる。いくつかの実施形態では、第2のマイルドなプラズマ225は、70Hzから80Hzの範囲内の周波数にある50%よりも小さいかまたはそれに等しいデューティサイクルをもつ6kWよりも小さいかまたはそれに等しい電力を有する。いくつかの実施形態では、基板200は、ダイヤモンド核層230へのアダマンタンシード層220の変換中に50~600℃の範囲内の温度に維持される。
【0036】
いくつかの実施形態では、基板200は、プラズマ源325から第2の距離Dに位置する。いくつかの実施形態では、基板200は、プラズマ源325から12cm、11cm、10cm、9cm、または8cmよりも小さいかまたはそれに等しい距離Dに位置する。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ源325は、電極の働きをするシャワーヘッドを備える。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ源は、弱マイクロ波プラズマ源を備える。
【0037】
ダイヤモンド核層230は、アダマンタンシード層220と比較して増加された結晶化度を有する。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド核層230の結晶化度は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%よりも大きいかまたはそれに等しいだけ増加される。
【0038】
工程130において、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240が、ダイヤモンド核層230から成長させられる。この様式で使用される「成長させられる」という用語は、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240が、ダイヤモンド核層230上に形成され、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240の中にダイヤモンド核層230を組み込み得ることを意味する。完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、当業者に知られている任意の好適な技法によってエピタキシャル成長させられるかまたは堆積させられ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240を成長させることは、(強いプラズマと呼ばれることもある)第3のプラズマ235を使用して第2のプラズマプロセスチャンバ320において行われる。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、強い導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマを使用して成長させられる。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、強いマイクロ波プラズマを使用して成長させられる。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、第2のプラズマ225を使用して異なるプロセスチャンバにおいて形成される。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、アダマンタンシード層220および/またはダイヤモンド核層230が形成されるのと同じプロセスチャンバにおいて形成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第3のプラズマ235は、60%、65%、70%、75%または80%よりも大きいかまたはそれに等しいデューティサイクルをもつ50W、3kW、4kWまたは5kWよりも大きいかまたはそれに等しい電力を有するマイクロ波プラズマを備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、基板200は、第3のマイクロ波プラズマへの曝露中に室温(25℃)から750℃の範囲内の温度に維持される。いくつかの実施形態では、基板200は、強いマイクロ波プラズマ235への曝露中に室温(25℃)、50℃、75℃、100℃、150℃、200℃または250℃を超える温度に維持される。
【0042】
工程130中に、基板200は、プラズマ源325から距離D3に位置する。いくつかの実施形態では、距離D3は、距離D2と同じである。いくつかの実施形態では、距離D3は、距離D2から減少される。いくつかの実施形態では、基板200は、12cm、11cm、10cm、9cm、または8cm未満の強いマイクロ波プラズマ源からの距離に位置する。
【0043】
いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気の供給を準備するために、1~100gのアダマンタンが、チャンバに接続されたアンプルの中に移送され、25~100℃の間で予熱され得る。いくつかの実施形態では、1個のシリコンウエハが、容量結合プラズマ(CCP)チャンバの中にロードされ、弱いプラズマによってドライクリーニングされ得る。いくつかの実施形態では、弱いプラズマの後に、一定期間アダマンタン混合ガスの供給が行われ得る。その後に、いくつかの実施形態では、マイルドなC2x+2/CO/H CCPが、シリコン基板上へのアダマンタンの吸着を容易にするために、1~3600秒の間50~800Wの間でストライクされる。このシーディング手順は、1~1000サイクル繰り返され得る。いくつかの実施形態におけるステージ温度は、プロセス全体にわたって600℃未満に維持され、ステージとプラズマ源との間の間隙は、10mmよりも大きいかまたはそれに等しく設定され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、シードされたウエハは、次いで、後続のインキュベーションおよび主成長プロセスのためにマイクロ波(MW)プラズマCVDチャンバに移送される。50Wよりも大きい電力および10~100%のデューティサイクルのC2x+2/CO/H MWプラズマが生成される。基板支持体温度は、50℃と600℃との間に維持され、基板とプラズマ源との間の間隙は、12cmよりも小さく維持される。
【0045】
いくつかの実施形態では、0.5~6時間のインキュベーションの後に、第3のマイクロ波プラズマが、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を形成するための工程130のために、50W~12kWおよび60~100%のデューティサイクルにおいて印加される。基板支持体は、2時間を超える間、それぞれ、100~750℃の温度および10cm未満の間隙に維持される。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板は、次いで、より強いマイクロ波プラズマを用いて主成長を追加で2~10時間受ける。いくつかの実施形態では、小さいダイヤモンド粒子は、うまくファセットされほぼ完全に合体されたNCD膜を成長させ続け、最終的に形成する。
【0047】
「一実施形態」、「いくらかの実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への本明細書全体を通しての言及は、実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。これにより、本明細書全体にわたる様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「いくらかの実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、本開示の同じ実施形態を必ずしも指しているとは限らない。そのうえ、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0048】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照しながら説明されたが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用の例示的なものにすぎないことを理解されたい。様々な変更形態および変形形態が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく本開示の方法および装置に対して行われ得ることが当業者には明らかであろう。これにより、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある変更形態および変形形態を含むことが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法であって、
第1の時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてアダマンタン蒸気に基板表面を曝露すること、および第1のプラズマ時間の間前記第1のプラズマプロセスチャンバにおいて第1のプラズマを生成することによって、アダマンタンシード層を形成することと、
前記アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に、前記アダマンタンシード層を変換することと、
前記ダイヤモンド核層から完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることと
含む、方法。
【請求項2】
前記アダマンタンシード層を形成することが、1から1000の範囲内で、前記アダマンタン蒸気および前記第1のプラズマへの曝露のサイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のプラズマプロセスチャンバが、前記基板表面から第1の距離に位置するシャワーヘッド/電極を備え、前記第1の距離が、10mmよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のプラズマが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプラズマが、アルゴン、窒素、C、二酸化炭素または分子状水素ガスのうちの1つまたは複数を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のプラズマが、50ワットを超える電力を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記基板が、20~600℃の間の温度に維持される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイヤモンド核層に前記アダマンタンシード層を変換することが、第2のプラズマ源を含む第2のプラズマを用いて第2のプラズマプロセスチャンバにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のプラズマプロセスチャンバが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のプラズマが、10kW未満の電力のうちの1つまたは複数を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板が、10cm未満の前記第2のプラズマ源からの距離に位置する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板が、50℃から600℃の範囲内の温度に維持される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマから選択された第3のプラズマを使用して、第2のプラズマプロセスチャンバにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第3のプラズマが、60%よりも大きいデューティサイクルをもつ50Wよりも大きい電力のうちの1つまたは複数を備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基板が、室温から750℃の範囲内の温度に維持される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記基板が、10cm未満の前記第のプラズマ源からの距離に位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法であって、
第1の時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてアダマンタン蒸気に基板表面を曝露すること、および第1のプラズマ時間の間前記第1のプラズマプロセスチャンバにおいて第1のプラズマを生成することによって、アダマンタンシード層を形成することであって、前記第1のプラズマが、アルゴン、窒素、C、二酸化炭素または分子状水素ガスのうちの1つまたは複数を含み、前記基板表面が、10mmよりも大きいかまたはそれに等しい前記第1のプラズマプロセスチャンバにおける第1のプラズマ源からの第1の距離に位置する、アダマンタンシード層を形成することと、
第2のプラズマを用いて第2のプラズマプロセスチャンバにおいて前記アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に前記アダマンタンシード層を変換することであって、第2のプラズマ源が、10kW未満の電力のうちの1つまたは複数を有する前記第2のプラズマを生成し、前記基板表面が、前記第2のプラズマ源から10cm未満の距離に位置する、前記アダマンタンシード層を変換することと、
60%よりも大きいデューティサイクルをもつ50Wよりも大きい電力のうちの1つまたは複数を有する第3のプラズマを使用して、前記第2のプラズマプロセスチャンバにおいて前記ダイヤモンド核層から完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることと
含む、方法。
【請求項18】
前記アダマンタンシード層を形成することが、1から1000の範囲内で、前記アダマンタン蒸気および前記第1のプラズマへの曝露のサイクルを含み、前記第1のプラズマが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを含み、50ワットを超える電力を有し、前記基板が、20~600℃の間の温度に維持される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のプラズマプロセスチャンバが、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメントまたは電子サイクロトロン共鳴プラズマのいずれかを含み、前記基板が、50℃から00℃の範囲内の温度に維持される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を成長させることが、前記基板を室温から750℃の範囲内の温度に維持して行われ、前記基板が、10cm未満の前記プラズマ源からの距離に位置する、請求項19に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ナノ結晶ダイヤモンド膜を堆積させる方法に関する。より詳しくは、本開示の実施形態は、電子デバイス、とりわけ、集積回路(IC)の製造中のナノ結晶ダイヤモンド膜の堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業が、より高い性能およびより優れた機能性を有する新しい世代の集積回路(IC)を導入するにつれて、それらのICを形成するエレメントの密度が高まる一方で、個々の構成要素またはエレメント間の寸法、サイズ、および間隔が縮小されている。過去において、そのような低減は、フォトリソグラフィを使用して構造を画定する能力によってのみ制限されたが、μmまたはnm単位で測定される寸法を有するデバイスジオメトリは、金属要素の導電率、エレメントの間で使用される絶縁材料の誘電率、あるいは3D-NANDまたはDRAMプロセスにおける課題など、新しい制限ファクタを作り出した。これらの限界は、より耐久性があり、より高い硬度のハードマスクによって対処され得る。
【0003】
従来、ナノダイヤモンド(ND)が、アブレーションまたは超音波処理を介してシリコンの上にシードされている。これは、ウエハ表面上に欠陥を作り出す。そのうえ、NDは、ナノ結晶ダイヤモンド(NCD)膜特性にとって好ましくない高いsp含有量を有する。製造の観点からすると、シリコンの上にNCD前駆体をドライシードする機能により、プロセスの大規模生産への統合を可能にできる。高いsp含有量をもつ極めて揮発性が高い分子であるアダマンタンは、NDシードの潜在的代替物である。
【0004】
優れた硬度、化学的不活性および高い熱伝導率を備えたダイヤモンドは、無数のマイクロエレクトロニクスのアプリケーション用の有望な候補として出現した。しかしながら、ダイヤモンドとシリコンの表面エネルギーの大きな差(約6J/cmに対して、約1.5J/cm)、ガス状前駆体(たとえば、炭化水素ラジカル)の低い付着係数および非ダイヤモンド相との強力な競合が、一般的に、未処理のシリコン上の劣悪なダイヤモンド核生成密度を生じる。それでも、高品質のナノ結晶ダイヤモンド(NCD)膜を合成するために、>1011cm-2の核生成密度がターゲットにされる。
【0005】
核生成密度の問題に対処するために、基板は、しばしば、前処理され(たとえば、機械的アブレーションまたはマイクロチッピング)、および/または堆積に先立ってナノダイヤモンド(ND)粒子(~5nm)をシードされる。しかしながら、基板表面上のかき傷の存在は、マイクロエレクトロニクス適用にとって有害である。そのうえ、ND粒子中の広い粒子サイズ分布および高いsp炭素含有量は、極めて滑らかな連続NCD膜の成長にとって不利である。最も重要なことには、これらの多段階手順は、煩雑で、クリーンルーム適合性がない。これは、シリコン基板上にシードの均一な層を堆積させることが可能な、クリーンルーム適合性があるドライシーディング手順に対する動機づけを引き起こした。
【0006】
最も小さい「分子ダイヤモンド」であるアダマンタン(C1016)は、ダイヤモンド結晶格子から切り出されたサブユニットに似たケージ型構造を有する。アダマンタンおよびその誘導体は、その極めて小さい分子サイズ(<1nm)とともに、溶液および気相シーディングシステムにおけるダイヤモンドの潜在的成長のためのシードとして検討されている。
【0007】
それにもかかわらず、アダマンタンは、蒸気圧が高く昇華点が低いため、気相での供給が依然として困難なままである。これは、とりわけ高温および/または真空システム下では、基板からアダマンタンが著しく蒸発することにつながる。その後、低い核生成密度およびダイヤモンド成長の一様でない分布が生じる。それゆえに、ダイヤモンド膜を形成する改善された方法に対するニーズが当技術分野において存在する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法を対象とする。アダマンタンシード層が、第1の時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいてアダマンタン蒸気に基板表面を曝露すること、および第1のプラズマ時間の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいて第1のプラズマを生成することによって形成される。アダマンタンシード層は、アダマンタンシード層と比較して増加された結晶化度を有するダイヤモンド核層に変換される。完全なナノ結晶ダイヤモンド膜が、ダイヤモンド核層から成長させられる。
【0009】
本開示の上記で具陳された特徴が詳細に理解され得るように、上記で手短に要約された本開示のより詳細な説明が、それらのうちのいくつかが添付の図面中に図示されている、実施形態を参照することによって行われ得る。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態を図示するにすぎず、それゆえ、それの範囲の限定と見なされるべきではなく、なぜならば、本開示は、他の等しく効果的な実施形態を認め得るからであることに留意されたい。同様の参照符が類似のエレメントを指し示す、添付の図面の図中で、限定ではなく例として、本明細書で説明される実施形態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による方法の流れ図を図示する図である。
図2A】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2B】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2C】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2D】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
図2E】1つまたは複数の実施形態による方法中の基板の断面概略図を図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の数個の例示の実施形態を説明する前に、本開示は、以下の説明において記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実施形態が可能であり、様々なやり方で実践されるか、または行われることが可能である。
【0012】
本明細書で使用される「基板」は、膜処理が製造プロセス中にそれに対して実施される、基板、または基板上に形成された材料表面を指す。たとえば、処理がそれに対して実施され得る基板表面は、用途に応じて、シリコン、酸化ケイ素、ストレインドシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、アモルファスシリコン、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ガラス、サファイアなどの材料、ならびに金属、金属窒化物、金属合金、および他の導電性材料などの任意の他の材料を含む。基板は、限定はしないが、半導体ウエハを含む。基板は、基板表面を研磨する、エッチングする、還元する、酸化する、ヒドロキシル化する、アニールする、および/または焼成するための前処理プロセスにさらされ得る。基板の表面自体に対して直接的に実施される膜処理に加えて、本開示では、開示される膜処理ステップのうちのいずれかは、以下でより詳細に開示されるように、基板上に形成された下層に対して実施されてもよく、「基板表面」という用語は、コンテキストが指し示すような下層を含むことを意図される。例として、膜/層または部分膜/層が、基板表面の上に堆積させられた場合、新たに堆積させられた膜/層の露出した表面が、基板表面になる。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される「前駆体」、「反応物」、「反応性ガス」などという用語は、基板表面と反応することができる任意のガス核種を指すために、互換的に使用される。
【0014】
本明細書で使用される「ナノ結晶ダイヤモンド」という句は、シリコンなど、基板上に一般的に成長させられたダイヤモンドの固体膜を指す。1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶性は、ダイヤモンド成長における再核形成反応の強化の結果であり、ここで、ダイヤモンド結晶の成長は、ラジカル核種の量、温度、および圧力など、周囲環境の変動により妨げられる。1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶ダイヤモンド層は、主に、ナノ球状またはナノ柱状の小さいダイヤモンド結晶、および通常は周囲結晶の間の位置において分布されたまたは粒子境界に蓄積されたアモルファスカーボンから構成される。ナノ結晶ダイヤモンドは、ナノ結晶ダイヤモンドの化学不活性、光学的透明性、および良好な機械的性質により、半導体用途の硬質マスク材料として使用される。
【0015】
本明細書で使用される「アダマンタン」という用語は、限定はしないが、市販されているアダマンタンおよび/または自己合成アダマンタン、その誘導体、オリゴマー、およびポリマーを含むアダマンタン族の広い分類を指す。
【0016】
本開示の実施形態は、気相デリバリを介したシリコンの上へのアダマンタンのドライシーディングのための新規の方法の開発および利用を説明する。本開示は、ナノ結晶ダイヤモンド膜へのアダマンタンのシーディング、変換、および成長を示す。この作業において、アダマンタン蒸気が、制御された様式でチャンバの中に放出され、シリコン基板の上にシードされた。シードされたサンプルは、次いで、アダマンタン「シード」がNCD膜を形成するために一連の変換を受ける、インキュベーションおよび主成長を受けた。
【0017】
アダマンタンの高い揮発性により、アダマンタン気相デリバリのシーディングの実証に成功した研究はほとんどなく、それの得られた膜は、本質的に一様でないかまたはダイヤモンド様炭素であった。代わりに、たいていの試みは、湿式化学合成または調製を伴った。その場合でも、NCDは局所的な島々にしか観測されなかった。本開示の1つまたは複数の実施形態は、均一なNCD膜の堆積のための、アダマンタンのその場(インシトゥ)の気相デリバリ、およびアダマンタンのドライシーディングを提供する。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態は、超音波処理とは異なりウエハ表面の完全性がそのまま保たれ、欠陥が発生する確率を低減する方法を有利に提供する。いくつかの実施形態は、ツール開発および大規模生産に有益である、様々なプロセスの統合を可能にするドライシーディングプロセスを提供する。アダマンタンの小さい分子サイズおよび高いsp含有量は、低い表面粗さを維持しながらより高い硬度および弾性率のNCD膜を達成するのに潜在的に役立ち得る。
【0019】
NCDの従来の多段階溶液ベースのシーディングは、煩雑であり、クリーンルーム適合性がない。本開示の実施形態は、NCD膜の後続の成長のための、シリコン基板の上へのアダマンタンの気相デリバリおよびドライシーディングのための方法を提供する。方法の1つまたは複数の実施形態は、その場(インシトゥ)であり、クリーンルーム適合性がある。
【0020】
炭素ベースのハードマスク層を使用するデバイス製作業者は、(1)下地材料の乾式エッチング中のハードマスクの高い選択性、(2)低い膜粗さ、(3)低い膜応力、および(4)膜剥離性、という要件が満たされることを要求する。本明細書で使用される「乾式エッチング」という用語は、一般に、材料が化学溶液への浸漬によって分解されないエッチングプロセスを指し、プラズマエッチング、反応性イオンエッチング、スパッタエッチング、および気相エッチングなどの方法を含む。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、ナノ結晶ダイヤモンド層は、基板上に形成される。1つまたは複数の実施形態のプロセスは、有利に、高密度、高い硬度、高いエッチング選択性、低い応力、および優れた熱伝導率をもつナノ結晶ダイヤモンド層をもたらす。
【0022】
ハードマスクは、半導体処理においてエッチング停止層として使用される。アッシング可能ハードマスクは、アッシング可能ハードマスクがそれらの目的を果たすと、アッシングと呼ばれる技法によってアッシング可能ハードマスクが除去されることを可能にする化学組成物を有する。アッシング可能ハードマスクは、一般に、微量の1つまたは複数のドーパント(たとえば、窒素、フッ素、ホウ素、シリコン)をもつ炭素および水素から構成される。典型的な適用では、エッチングの後に、ハードマスクは、ハードマスクの目的を果たしたことになり、下層から除去される。これは、一般に、少なくとも部分的に、「プラズマアッシング」または「ドライストリッピング」とも呼ばれるアッシングによって達成される。アッシングされるべきハードマスクをもつ基板、すなわち、一般に部分的に製造された半導体ウエハは、真空下でチャンバの中に置かれ、酸素が導入され、酸素ラジカル(プラズマ)を作り出す高周波電力を受ける。ラジカルが、ハードマスクと反応して、水、一酸化炭素、および二酸化炭素にハードマスクを酸化させる。いくつかの事例では、たとえば、アッシング可能ハードマスクが、アッシングだけでは除去され得ない何らかの残留物を後に残したとき、ハードマスクの完全な除去は、追加の湿式または乾式エッチングプロセスをアッシングの後に行うことによって達成され得る。
【0023】
ハードマスク層は、しばしば、狭いおよび/または深いコンタクトをエッチングする用途において使用され、ここで、フォトレジストは、下層をマスクするのに十分厚くないことがある。これは、とりわけ、限界寸法が縮小するにつれてあてはまる。
【0024】
V-NANDまたは3D-NAND構造が、フラッシュメモリ用途において使用される。V-NANDデバイスは、ブロック中に配置された多数のセルをもつ垂直方向に積み重ねられたNAND構造である。本明細書で使用される「3D-NAND」という用語は、メモリセルが複数の層に積み重ねられた、あるタイプの電子(ソリッドステート)不揮発性コンピュータストレージメモリを指す。3D-NANDメモリは、一般に、フローティングゲートトランジスタを含む複数のメモリセルを含む。旧来、3D-NANDメモリセルは、ビット線の周りに3次元で配置された複数のNANDメモリ構造を含む。
【0025】
3D-NAND技術における重要なステップは、スリットエッチングである。ティアの数が、各技術ノードにおいて増加するにつれて、スリットエッチングプロファイルを制御するために、ハードマスク膜の厚さは、高アスペクトエッチングプロファイルに耐えるために、比例して増加しなければならない。現在、アモルファスカーボン(aC:H)膜が、高い硬度、およびスリットエッチングの後に剥離しやすいことにより使用されている。しかしながら、アモルファスカーボンハードマスク膜は、ベベル部で層間剥離が生じ、モルフォロジに乏しく、ピラー線紋につながる。
【0026】
図1および図2A図2Eを参照すると、本開示の1つまたは複数の実施形態は、ナノ結晶ダイヤモンド膜を形成する方法100を対象とする。工程110において、基板表面205を有する基板200が、第1のプラズマプロセスチャンバ310においてアダマンタン蒸気210に曝露される。アダマンタン蒸気210は、第1の時間期間Tの間基板表面205に当てられる。基板表面205は、次いで、基板表面205上にアダマンタンシード層220を形成するために、第1のプラズマ時間期間TP1の間第1のプラズマプロセスチャンバにおいて第1のプラズマ215に曝露される。いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220は、第1のプラズマプロセスチャンバにおける第1のプラズマ215への曝露なしに形成される。いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220は、熱プロセスによって形成される(プラズマ曝露がないことを意味する)。
【0027】
第1のプラズマプロセスチャンバ310は、上記で説明されたプロセスチャンバのうちの1つなど、任意の好適なプラズマ源(たとえば、リモート、マイクロ波、容量結合プラズマ(CCP)、または誘導結合プラズマ(ICP))をもつ任意の好適なプラズマチャンバであり得る。いくつかの実施形態では、以下で説明される流量および他の処理パラメータは、300mm基板についてのものである。これらのパラメータは、処理される基板のサイズ、および本明細書で開示される実施形態からそれることなしに使用されるチャンバのタイプに基づいて調整され得ることを理解されたい。特定の実施形態では、第1のプラズマ215は、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのうちの1つまたは複数を備える。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のプラズマ215は、アルゴン(Ar)、分子状窒素(N)、実験式C、ここで、yは2x+2、2xまたは2x-2である、を有する有機核種、二酸化炭素(CO)または分子状水素ガス(H)のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、第1のプラズマガスとともに共流される。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、プラズマ発生中に流されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のプラズマ215は、50ワット、100ワットまたは150ワットよりも大きい電力を用いて生成される。いくつかの実施形態では、基板200は、アダマンタンシード層220の形成中に20~600℃の範囲内の温度に維持される。
【0030】
いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220を形成することは、アダマンタン蒸気210および第1のプラズマ215への曝露の2つ以上のサイクルを備える。いくつかの実施形態では、アダマンタンシード層220を形成することは、1から1000の範囲内で、アダマンタン蒸気および第1のプラズマへの曝露のサイクルを備える。
【0031】
いくつかの実施形態の第1のプラズマプロセスチャンバ310は、基板表面205から第1の距離Dに位置する(第1のプラズマ源とも呼ばれる)シャワーヘッド/電極312を備える。いくつかの実施形態では、第1の距離Dは、10mm、15mm、20mm、または25mmよりも大きいかまたはそれに等しい。
【0032】
工程120において、アダマンタンシード層220は、ダイヤモンド核層230に変換される。ダイヤモンド核層230は、部分結晶化プロセスの後のアダマンタンシード層220である。ダイヤモンド核層230への変換は、アダマンタンシード層220結晶特性の少なくとも一部分が増加される部分変換プロセスである。
【0033】
いくつかの実施形態のアダマンタンシード層220は、プラズマ源325によって生成された第2のプラズマ225を用いて第2のプラズマプロセスチャンバ320においてダイヤモンド核層230に変換される。第2のプラズマプロセスチャンバは、上記で説明されたプロセスチャンバのうちの1つなど、任意の好適なプラズマ源(たとえば、リモート、マイクロ波、容量結合プラズマ(CCP)、または誘導結合プラズマ(ICP))をもつ任意の好適なプラズマチャンバであり得る。いくつかの実施形態では、以下で説明される流量および他の処理パラメータは、300mm基板についてのものである。これらのパラメータは、処理される基板のサイズ、および本明細書で開示される実施形態からそれることなしに使用されるチャンバのタイプに基づいて調整され得ることを理解されたい。特定の実施形態では、第2のプラズマ225は、容量結合プラズマ、誘導結合プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマのうちの1つまたは複数を備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、アルゴン(Ar)、分子状窒素(N)、実験式C、ここで、yは2x+2、2xまたは2x-2である、を有する有機核種、二酸化炭素(CO)または分子状水素ガス(H)のうちの1つまたは複数を備える。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、第1のプラズマガスとともに共に流される。いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気は、プラズマ発生中に流されない。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、10キロワット、9kW、8kW、7kW、6kW、5kWまたは4kWよりも小さいかまたはそれに等しい電力をもつ第2のプラズマ源を用いて生成される。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、50Hzから100Hzの範囲内の、または60Hzから90Hzの範囲内の、または70Hzから80Hzの範囲内の周波数における75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%または40%よりも小さいかまたはそれに等しいデューティサイクルをもつパルス化されたプラズマである。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、連続モード(100%のデューティサイクル)で動作させられる。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ225は、70Hzから80Hzの範囲内の周波数にある50%よりも小さいかまたはそれに等しいデューティサイクルをもつ6kWよりも小さいかまたはそれに等しい電力を有する。いくつかの実施形態では、基板200は、ダイヤモンド核層230へのアダマンタンシード層220の変換中に50~600℃の範囲内の温度に維持される。
【0036】
いくつかの実施形態では、基板200は、プラズマ源325から第2の距離Dに位置する。いくつかの実施形態では、基板200は、プラズマ源325から12cm、11cm、10cm、9cm、または8cmよりも小さいかまたはそれに等しい距離Dに位置する。いくつかの実施形態では、第2のプラズマ源325は、電極の働きをするシャワーヘッドを備える
【0037】
ダイヤモンド核層230は、アダマンタンシード層220と比較して増加された結晶化度を有する。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド核層230の結晶化度は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%よりも大きいかまたはそれに等しいだけ増加される。
【0038】
工程130において、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240が、ダイヤモンド核層230から成長させられる。この様式で使用される「成長させられる」という用語は、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240が、ダイヤモンド核層230上に形成され、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240の中にダイヤモンド核層230を組み込み得ることを意味する。完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、当業者に知られている任意の好適な技法によってエピタキシャル成長させられるかまたは堆積させられ得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240を成長させることは、(強いプラズマと呼ばれることもある)第3のプラズマ235を使用して第2のプラズマプロセスチャンバ320において行われる。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、導電/誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、パルス放電プラズマ、ホットフィラメント、または電子サイクロトロン共鳴プラズマを使用して成長させられる。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、強いマイクロ波プラズマを使用して成長させられる。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、第2のプラズマ225を使用して異なるプロセスチャンバにおいて形成される。いくつかの実施形態では、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜240は、アダマンタンシード層220および/またはダイヤモンド核層230が形成されるのと同じプロセスチャンバにおいて形成される。
【0040】
いくつかの実施形態では、第3のプラズマ235は、60%、65%、70%、75%または80%よりも大きいかまたはそれに等しいデューティサイクルをもつ50W、3kW、4kWまたは5kWよりも大きいかまたはそれに等しい電力を有するマイクロ波プラズマを備える。
【0041】
いくつかの実施形態では、基板200は、第3のマイクロ波プラズマへの曝露中に室温(25℃)から750℃の範囲内の温度に維持される。いくつかの実施形態では、基板200は、第3のマイクロ波プラズマ235への曝露中に室温(25℃)、50℃、75℃、100℃、150℃、200℃または250℃を超える温度に維持される。
【0042】
工程130中に、基板200は、プラズマ源325から距離D3に位置する。いくつかの実施形態では、距離D3は、距離D2と同じである。いくつかの実施形態では、距離D3は、距離D2から減少される。いくつかの実施形態では、基板200は、12cm、11cm、10cm、9cm、または8cm未満の第3のマイクロ波プラズマ源からの距離に位置する。
【0043】
いくつかの実施形態では、アダマンタン蒸気の供給を準備するために、1~100gのアダマンタンが、チャンバに接続されたアンプルの中に移送され、25~100℃の間で予熱され得る。いくつかの実施形態では、1個のシリコンウエハが、容量結合プラズマ(CCP)チャンバの中にロードされ、プラズマによってドライクリーニングされ得る。いくつかの実施形態では、プラズマの後に、一定期間アダマンタン混合ガスの供給が行われ得る。その後に、いくつかの実施形態では、C 2x+2/CO/H CCPが、シリコン基板上へのアダマンタンの吸着を容易にするために、1~3600秒の間50~800Wの間でストライクされる。このシーディング手順は、1~1000サイクル繰り返され得る。いくつかの実施形態におけるステージ温度は、プロセス全体にわたって600℃未満に維持され、ステージとプラズマ源との間の間隙は、10mmよりも大きいかまたはそれに等しく設定され得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、シードされたウエハは、次いで、後続のインキュベーションおよび主成長プロセスのためにマイクロ波(MW)プラズマCVDチャンバに移送される。50Wよりも大きい電力および10~100%のデューティサイクルのC2x+2/CO/H MWプラズマが生成される。基板支持体温度は、50℃と600℃との間に維持され、基板とプラズマ源との間の間隙は、12cmよりも小さく維持される。
【0045】
いくつかの実施形態では、0.5~6時間のインキュベーションの後に、第3のマイクロ波プラズマが、完全なナノ結晶ダイヤモンド膜を形成するための工程130のために、50W~12kWおよび60~100%のデューティサイクルにおいて印加される。基板支持体は、2時間を超える間、それぞれ、100~750℃の温度および10cm未満の間隙に維持される。
【0046】
いくつかの実施形態では、基板は、次いで、第3のマイクロ波プラズマを用いて主成長を追加で2~10時間受ける。いくつかの実施形態では、小さいダイヤモンド粒子は、うまくファセットされほぼ完全に合体されたNCD膜を成長させ続け、最終的に形成する。
【0047】
「一実施形態」、「いくらかの実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」への本明細書全体を通しての言及は、実施形態に関して説明される特定の特徴、構造、材料、または特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。これにより、本明細書全体にわたる様々な場所での「1つまたは複数の実施形態では」、「いくらかの実施形態では」、「一実施形態では」または「実施形態では」などの句の出現は、本開示の同じ実施形態を必ずしも指しているとは限らない。そのうえ、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせられ得る。
【0048】
本明細書の開示は、特定の実施形態を参照しながら説明されたが、これらの実施形態は、本開示の原理および適用の例示的なものにすぎないことを理解されたい。様々な変更形態および変形形態が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく本開示の方法および装置に対して行われ得ることが当業者には明らかであろう。これにより、本開示は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある変更形態および変形形態を含むことが意図される。
【国際調査報告】