(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】薬物送達装置の寿命終了接近に関するデータの特定
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20241114BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G16H40/40
A61M5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518323
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2022076289
(87)【国際公開番号】W WO2023046794
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ヘスター・ジェーン・コーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ジェイソン・ドレイク
(72)【発明者】
【氏名】ポール・リチャード・ドレイパー
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・アントニー・スミス
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA10
4C066BB01
4C066FF05
4C066QQ32
4C066QQ77
4C066QQ78
4C066QQ82
4C066QQ84
4C066QQ85
5L099AA25
(57)【要約】
薬物送達装置(1)の寿命終了の接近に関するデータを特定するように構成された電子システム(700)及びその方法が開示され、薬物送達装置の寿命終了の接近に関するデータを特定することは、以下、すなわち、薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧の評価、薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の、薬物送達装置(1)の寿命終了に関するエラーの検出、薬物送達装置(1)により排出される投与量の記録のためのメモリ(24)の記憶容量の評価のうちの1つ又は複数に基づく。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置(1)の寿命終了の接近に関するデータを、以下、すなわち、
・ 前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧の評価、
・ 前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の、前記薬物送達装置(1)の寿命終了に関するエラーの検出、
・ 前記薬物送達装置(1)により排出される投与量の記録のためのメモリ(24)の記憶容量の評価
のうちの1つ又は複数に基づいて特定するように構成される電子システム(700)。
【請求項2】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧の前記評価は、前記内部バッテリ(29)の電圧の測定と前記測定された電圧を出力することを含む、請求項1に記載の電子システム(700)。
【請求項3】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧の前記評価は、前記内部バッテリ(29)の電圧の測定と、前記測定された電圧が第一の閾値(th1)より低ければフラッグを立てることを含む、請求項1又は2に記載の電子システム(700)。
【請求項4】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧の前記評価は、前記内部バッテリ(29)の電圧の測定と、前記測定された電圧が第二の閾値(th2)より低ければエラーコードを不揮発性メモリ(24)に記憶することを含む、請求項1、2、又は3に記載の電子システム(700)。
【請求項5】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置のエラーの前記検出は、プロセッサ(23)の供給電圧の測定と、前記測定された供給電圧が第三の閾値(thmin)より低ければ前記プロセッサ(23)のリセットを実行することを含み、前記実行されるプロセッサのリセットは、不揮発性メモリ(24)の中に検出エラーとして記憶される、請求項1~4の何れか1項に記載の電子システム(700)。
【請求項6】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置のエラーの前記検出は、プロセッサ(23)の供給電圧の測定と、前記測定された供給電圧が第四の閾値より低いかぎり、前記プロセッサ(23)の動作を停止することを含み、前記プロセッサの動作の停止は不揮発性メモリ(24)の中に検出されたエラーとして記憶される、請求項1~5の何れか1項に記載の電子システム(700)。
【請求項7】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置のエラーの前記検出は、前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置のセンサ(215a、215b)の1つ又は複数の読み取り値の評価と、前記1つ又は複数の読み取り値の前記評価が低い供給電圧を示している場合のエラーの検出を含む、請求項1~6の何れか1項に記載の電子システム(700)。
【請求項8】
前記薬物送達装置(1)により排出される投与量の記録のためのメモリ(24)の記憶容量の前記評価は、前記薬物送達装置(1)により排出される、及び前記メモリ(24)の事前に割り当てられた記憶エリアに現在記憶されている投与量記録の数の特定と、残りの記憶容量の、前記特定された数及び前記メモリ(24)内の前記事前に割り当てられた記憶エリアに記憶するために利用可能な投与量記録の最大数に基づく特定を含む、請求項1~7の何れか1項に記載の電子システム(700)。
【請求項9】
前記薬物送達装置(1)により排出される投与量の記録のためのメモリ(24)の記憶容量の前記評価は、前記薬物送達装置(1)により排出される残りの投与量の数の、前記メモリ(24)の事前に割り当てられた記憶エリアに記憶するために利用可能な投与量記録の最大数から前記メモリ(24)に記憶された最新の投与量記録の数を差し引くことによる特定を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の電子システム(700)。
【請求項10】
前記薬物送達装置(1)の前記寿命終了の接近に関する前記特定されたデータを評価し、前記薬物送達装置(1)の前記寿命終了の接近の表示を前記評価に基づいて生成するようにさらに構成され、前記表示は特に、ディスプレイ(30)上で及び/又は光源を介して見ることのできる、音響変換器を介して聞くことのできる、及び/又は振動器を介して感じることのできる前記薬物送達装置(1)の特定された寿命終了の接近を出力するための制御信号を含む、請求項1~9の何れか1項に記載の電子システム(700)。
【請求項11】
薬物送達装置(1)の寿命終了の接近に関するデータを、以下、すなわち、
・ 前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧を評価すること、
・ 前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の、前記薬物送達装置(1)の寿命終了に関するエラーを検出すること、
・ 前記薬物送達装置(1)により排出される投与量の記録のためのメモリ(24)の記憶容量を評価すること
のうちの1つ又は複数に基づいて特定するコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置の内部バッテリ(29)の電圧を評価することは、以下、すなわち、
・ 前記内部バッテリ(29)の電圧を測定し、前記測定された電圧を出力すること、
・ 前記内部バッテリ(29)の電圧を測定し、前記測定された電圧が第一の閾値より低ければフラッグを立てること、
・ 前記内部バッテリ(29)の電圧を測定し、前記測定された電圧が第二の閾値より低ければエラーコードを不揮発性メモリ(24)に記憶すること
のうちの1つ又は複数を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置のエラーを検出することは、以下、すなわち、
・ プロセッサ(23)の供給電圧を測定し、前記測定された供給電圧が第三の閾値(thmin)より低ければ前記プロセッサ(23)のリセットを実行し、前記実行されたプロセッサのリセットは、検出されたエラーとして不揮発性メモリ(24)に記憶されること、
・ プロセッサ(23)の供給電圧を測定し、前記測定された供給電圧が第四の閾値より低いかぎり、前記プロセッサ(23)の動作を停止し、前記プロセッサの動作を停止したことは検出されたエラーとして不揮発性メモリ(24)に記憶されること、
・ 前記薬物送達装置(1)又は薬物送達付属装置のセンサ(215a、215b)の1つ又は複数の読み取り値を評価することと、前記1つ又は複数の読み取り値の評価が低い供給電圧を示していればエラーを検出すること
のうちの1つ又は複数を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記薬物送達装置(1)により排出される投与量の記録のためのメモリ(24)の記憶容量を評価することは、以下、すなわち、
・ 前記薬物送達装置(1)により排出される、及び前記メモリ(24)の事前に割り当てられた記憶エリア内に現在記憶されている投与量記録の数を特定すること、及び残りの記憶容量を、前記特定された数及び前記メモリ(24)の前記事前に割り当てられた記憶エリア内に記憶するために利用可能な投与量記録の最大数に基づいて特定すること、
・ 前記薬物送達装置(1)により排出される残りの投与量の数を、前記メモリ(24)の事前に割り当てられた記憶エリア内に記憶するのに利用可能な投与量記録の最大数から前記メモリ(24)内に記憶されている最新の投与量記録の数を差し引くことによって特定すること
のうちの1つ又は複数を含む、請求項11、12、又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記薬物送達装置(1)の前記寿命終了の接近に関する前記特定されたデータを評価することと、前記薬物送達装置(1)の前記寿命終了の接近の表示を前記評価に基づいて生成することとをさらに含み、前記表示を生成することは特に、ディスプレイ(30)上で及び/又は光源を介して見ることのできる、音響変換器を介して聞くことのできる、及び/又は振動器を介して感じることのできる前記薬物送達装置(1)の特定された寿命終了の接近を出力するための制御信号を生成することを含む、請求項11~14の何れか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬物送達装置の寿命終了に近付くことに関するデータの特定に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第8556847B2号明細書及び米国特許第7749186B2号明細書は、物質を送達するための装置とその製造及び使用方法に関し、より詳しくは、製品を投与量ごとに投与又は送達するための医療機器、例えば、それを使って流体製品、例えばインスリン、成長ホルモン、又は骨粗鬆症薬その他等の投与量をユーザが自己投与できる注入装置、シリンジ、注射ペン等に関する。注入装置は、注入装置の動作プロセスを検出するための少なくとも1つのセンサと、センサに接続された、使用寿命の開始と経過時間を、1つ又は複数のセンサ信号に基づいて確認するための電子回路と、回路に接続された、使用寿命の終了を示す信号を提供するための出力デバイスを含む。注入装置の使用寿命を特定する方法も含まれ、使用寿命の開始は、装置の動作プロセスを検出するための1つ又は複数のセンサにより確認され、使用寿命の終了を知らせる信号が生成され、光学、音響、又は触覚出力デバイスの少なくとも1つが注入装置に関連付けられて、使用寿命の終了を示す信号を提供する。タイマを、注入装置の使用寿命又は動作時間のうちの一方を検出するために電子回路に連結できる。使用寿命の終了をユーザに示す信号は、少なくとも1つのセンサが動作プロセスの試行を検出した後に連続的又は所定の時間にわたり出力できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、薬物送達装置の寿命終了の接近に関するデータを特定する電子システム及び方法を説明する。特定されたデータを評価して、薬物送達装置のユーザに薬物送達装置の寿命終了の接近を知らせることができる。
【0004】
ある態様において、本開示は、薬物送達装置の寿命終了の接近に関するデータを、以下、すなわち、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の内部バッテリの電圧の評価、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の、薬物送達装置の寿命終了に関するエラーの検出、薬物送達装置により排出される投与量の記録のためのメモリの記憶容量の評価のうちの1つ又は複数に基づいて特定するように構成される電子システムを提供する。上記に基づいてデータを特定することにより、薬物送達装置の寿命終了接近の特定の信頼性が増大する。例えば、注射ペンで使用される内部バッテリの、装置の寿命にわたるそれらの電圧に関する特性により、薬物送達装置の寿命終了の特定の正確さを向上させることができ得る。それだけでなく、注射ペン等の薬物送達装置の、例えばバッテリからの供給電圧が薬物送達装置の寿命の開始時ほど安定ではなくなったときに生じる可能性のある幾つかのエラーは、寿命終了接近に関するデータを取得するために検出され得る。特に注射ペンのまた別の特性は、投与量記録メモリの、限定され得る記憶容量である。それゆえ、薬物送達装置の寿命中に減少し得る記憶容量もまた、薬物送達装置の寿命終了に関するデータを取得するために評価できる。
【0005】
別の態様において、本開示は、薬物送達装置の寿命の終了の接近に関するデータを、以下、すなわち、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の内部バッテリの電圧を評価すること、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の、薬物送達装置の寿命終了に関するエラーを検出すること、薬物送達装置により排出される投与量の記録のためのメモリの記憶容量を評価することのうちの1つ又は複数に基づいて特定するコンピュータ実装方法を提供する。この方法は例えば、薬物送達装置の中に実装される、プロセッサ、特にマイクロコントローラを含む電子システムのファームウェアの一部として実装され得る。プロセッサは例えば、薬物送達装置の使用後に、例えば薬物投与量が排出された後に、頻繁に、ユーザのインタラクションにより、例えばユーザが薬物送達装置又は薬物送達付属装置のユーザインタフェースにコマンドを入力したとき、データが電子システムから外部機器、特にモバイルコンピュータ(スマートフォン、タブレットコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ等)に伝送されたとき、及び/又はユーザのインタラクションがなくても所定の期間で、例えば毎週又は毎月実行できる。
【0006】
実施形態において、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の内部バッテリの電圧の評価は、内部バッテリの電圧の測定と測定された電圧を出力することを含み得る。例えば、注射ペン等の薬物送達装置で使用される典型的なバッテリの特性は、寿命全体にわたり典型的な放電挙動を示し、これを評価して薬物送達装置の寿命終了接近に関するデータを得ることができる。
【0007】
実施形態において、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の内部バッテリの電圧の評価は、内部バッテリの電圧の測定と、測定された電圧が第一の閾値より低ければフラッグを立てることを含み得る。第一の閾値として、ある電圧が選択され得て、これはバッテリが寿命の終了に向かっていること、特に、まもなく消耗し得ることを示す、バッテリがその出力電圧の「プラト」領域を出たことを示す。フラッグを立てることは、投与量記録の一部であり、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の内蔵不揮発性メモリの中に毎回の投与量記録と共に記憶され得る。したがって、フラッグの履歴は、バッテリ、それゆえそのバッテリを使用する薬物送達装置の寿命終了の接近を示す記憶された投与量記録から評価され得る。フラッグ履歴は、バッテリが使用後に回復した場合、又は温度が若干上昇して、その後の投与量記録に「フラッグ」が立てられないときに有利であり得る。フラッグ履歴に基づいて、バッテリの寿命終了接近の正確な評価を得ることができる。
【0008】
実施形態において、薬物送達装置又は薬物送達付属装置の内部バッテリの電圧の評価は、内部バッテリの電圧の測定と、測定された電圧が第二の閾値より低ければエラーコードを不揮発性メモリに記憶することを含み得る。ある電圧レベルを第二の閾値として選択でき、これは電子システムのコンポーネントが正常に動作するために必要な最低電圧、例えばプロセッサ又はマイクロコントローラが動作するのに必要な最低電圧レベルよりわずかに高い。その後、エラーコードは不揮発性メモリ内に永久的に記憶され、それによってこれは後で呼び出され得る。
【0009】
実施形態において、薬物送達装置又は薬物送達付属装置のエラーの検出は、プロセッサの供給電圧の測定と、測定された供給電圧が第三の閾値より低い場合にプロセッサのリセットを実行することを含み得て、実行されるプロセッサのリセットは、不揮発性メモリの中に検出エラーとして記憶される。
【0010】
実施形態において、薬物送達装置又は薬物送達付属装置のエラーの検出は、プロセッサの供給電圧の測定と、測定された供給電圧が第四の閾値より低いかぎり、プロセッサの動作を停止することを含み得て、プロセッサの動作の停止は不揮発性メモリの中に検出エラーとして記憶される。
【0011】
実施形態において、薬物送達装置又は薬物送達付属装置のエラーの検出は、薬物送達装置又は薬物送達付属装置のセンサの1つ又は複数の読み取り値の評価と、1つ又は複数の読み取り値の評価が低い供給電圧を示している場合のエラーの検出を含み得る。
【0012】
実施形態において、薬物送達層により排出される投与量の記録のためのメモリの記憶容量の評価は、薬物送達装置により排出される、及びメモリの事前に割り当てられた記憶エリアに現在記憶されている投与量記録の数の特定と、残りの塔記憶容量の、特定された数及び、メモリの事前に割り当てられた記憶エリア内の記憶に利用可能な投与量記録の最大数に基づく特定を含み得る。
【0013】
実施形態において、薬物送達装置により排出される投与量の記録のためのメモリの記憶容量の評価は、薬物送達装置により排出される残りの投与量の数を、メモリの事前に割り当てられた記憶エリア内に記憶するのに利用可能な投与量記録の最大数からメモリ内に記憶された最新の投与量記録の数を差し引くことによって特定することを含み得る。
【0014】
実施形態において、薬物送達装置の特定された寿命終了の接近に関するデータが評価され得て、薬物送達装置の寿命終了の接近の表示がその評価に基づいて生成され得る。特に、表示を生成することは、ディスプレイ上及び/又は光源を介して見ることのできる、音響変換器を介して聞くことのできる、及び/又は振動器を介して感じることのできる、薬物送達装置の特定された寿命終了の接近を出力するための制御信号を生成することを含み得る。
【0015】
また別の態様において、本開示は、本願で開示される電子システムを含み、以下、すなわち、ディスプレイ、音響変換器、振動器、光源、外部機器との通信接続を確立するための通信インタフェースのうちの1つ又は複数をさらに含む薬物送達装置又は薬物送達付属装置を提供し、電子システムは、薬物送達装置の特定された寿命終了の接近に関するデータを評価及び/又は出力のために外部機器に伝送するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】装置コントローラのある実施形態の概略ブロック図を示す。
【
図3】注射ペンの中でバッテリとして使用されるボタン電池の典型的な放電挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本開示の実施形態を、注入装置、特にペン型の注入装置に関して説明する。しかしながら、本開示はこのような用途に限定されず、その他の種類の薬物送達装置でも、特にペン以外の形状のものでも等しく利用され得る。全ての絶対値は本明細書において例として示されているにすぎず、限定的と解釈されるべきではない。
【0018】
注入ボタンとグリップが組み合わせられた注射ペンの例とその機械的構成が、国際特許出願国際公開第2014033195A1号パンフレットに詳しく記載されている。別々の注入ボタン及びグリップコンポーネントがある注入装置の他の例は、国際公開第2004078239A1号パンフレットに記載されている。
【0019】
以下の記述の中で、「遠位」、「遠位方向に」、及び「遠位端」という用語は、注射ペンの、針が設けられる端を指す。「近位」、「近位方向に」、及び「近位端」は、注入装置の、注入ボタン又は投与量ノブが設けられる反対の端を指す。
【0020】
図1は、注射ペン1の分解図である。
図1の注射ペン1は、プレフィルド型使い捨て注射ペンであり、ハウジング10を含み、インスリン容器14が収容されており、そこに針15を取り付けることができる。針は、内側針キャップ16と、外側針キャップ17又は他のキャップ18の何れかにより保護される。注射ペン1から排出されるべきインスリン投与量は、投与量ノブ12を回すことによってプログラム、又は「ダイアル操作」でき、すると、その時現在プログラムされている投与量が投与量窓13を介して、例えば倍数単位で表示される。例えば、注射ペン1がヒトインスリンを投与するように構成されている場合、投与量はいわゆる国際単位(IU)で表示され得て、1IUは高純度結晶インスリン約45.5マイクログラム(1/22mg)の生物学的等価量である。インスリン類似体又はその他の薬剤を送達するための注入装置においては、他の単位が使用され得る。選択された投与量は、
図1の投与量窓13に示されているものとは異なる方法でも同等に表示され得る点に留意すべきである。
【0021】
投与量窓13はハウジング10の開口の形態であり得、それによってユーザは、投与量ノブ12が回されると動き、現在プログラムされている投与量の視覚的表示を提供するように構成されたダイアルスリーブ70の限定部分を見ることができる。投与量ノブ12は、プログラミング中に回されるとハウジング10に関してらせん経路で回転する。この例において、データ収集装置(薬物送達又は注入付属装置)を取り付けやすくするために、投与量ノブ12は1つ又は複数の形成部71a、71b、71cを含む。
【0022】
注射ペン1は、投与量ノブ12を回すことによって機械的なクリック音を発生し、ユーザに音声フィードバックが提供されるように構成され得る。ダイアルスリーブ70は、インスリン容器14内のピストンと機械的に相互作用する。この実施形態において、投与量ノブ12は注入ボタンとしても機能する。針15が患者の皮膚部分に打ち込まれて投与量ノブ12が軸方向に押されると、表示窓13に表示されたインスリン投与量が注射ペン1から排出される。投与量ノブ12が押されてから注射ペン1の針15が皮膚部分に特定時間とどまると、投与量のうちの高いパーセンテージが実際に患者の体内に注入される。インスリン投与量の排出によっても機械的クリック音が発生し得るが、これは投与量のダイアル操作中に投与量ノブ12を回転させたときに発生する音とは異なる。
【0023】
この実施形態において、インスリン投与量の送達中に、投与量ノブ12は軸方向に移動して回転せずにその当初の位置に戻り、他方でダイアルスリーブ70は回転してその当初位置に戻り、例えばゼロ単位の投与量を表示する。
【0024】
注射ペン1は、インスリン容器14が空になるか、注射ペン1内の薬剤の消費期限(例えば、最初の使用から28日後)に到達するまで、複数回の注射プロセスに使用され得る。
【0025】
さらに、注射ペン1を初めて使用する前にインスリン容器14及び針15から空気を抜くために、例えば針15付きの注射ペン1を上向きにして持ち、インスリン2単位を選択し、投与量ノブ12を押すことによって、いわゆる「プライムショット」を実行する必要があり得る。説明を簡単にするために、以下において、排出量は注入される投与量に実質的に対応し、それによって、例えば注射ペン1から排出される薬剤の量は使用者が受ける投与量と等しいと仮定される。しかしながら、排出量と注入量との差(例えば、損失)は考慮する必要があり得る。
【0026】
前述のように、投与量ノブ12はまた、注入ボタンとしても機能し、それによって同じコンポーネントがダイアル操作及び吐出のために使用される。1つ又は複数の光センサを含むセンサ機構215(
図2)が注入ボタン又は投与量ノブ12の中に取り付けられ得て、これはダイアルスリーブ70の、注入ボタン12に関する相対的回転位置を検知するように構成される。この相対回転は、吐出又は送達される投与量の大きさと同等として、投与歴情報を生成し、保存又は表示するために使用できる。センサ機構215は、第一の(光)センサ215aと第二の(光)センサ215bを含み得る。センサ機構215はまた、薬物送達又は注入付属装置にも装着され得て、これは異なる注入装置1に使用できるようになされ、センサ機構215により取得されるデータを収集するように構成され得る。
【0027】
装置1又は装置1に取り付けるための付属装置はまた、
図2に概略的に示されるように、電子システム700も含み得る。電子システム700は、2つのセンサ215a、215bを含むセンサ機構215と、センサ機構215を制御し、外部装置との通信、ユーザ入力の処理、ユーザのための情報出力等のその他のタスクを実行するコンポーネントと、を含み得る。センサ機構215を制御することは特に、光センサ215a、215bの少なくとも1つを駆動することを含み得て、駆動することは特に、エンコーダリングの回転の測定のための光パルスを生成し、エンコーダの反射エリアからのこれらの測定光パルスの反射を検出するために、光センサをどのように制御するかを意味する。電子システムは、例えばマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はその他等の1つ又は複数のプロセッサと、プロセッサ機構23により実行されるソフトウェアを記憶できるメインメモリ24及びプログラムメモリ25を含むメモリユニット24、25と、Wi-Fi(商標)又はBluetooth(登録商標)等の無線ネットワークを介して他の機器と通信するための無線通信インタフェースであり得る通信ユニット又は出力27、及び/又は例えばユニバーサルシリアルバス(USB)、ミニUSB、又はマイクロUSBコネクタを受けるソケット等の無線通信リンク用インタフェースと、例えばLCD(液晶表示体)、1つ又は複数のLED、及び/又は電子ペーパディスプレイなどの表示ユニット30と、例えば1つ又は複数のボタン及び/又はタッチ入力装置等のユーザインタフェース(UI)31と、電源スイッチ28と、バッテリ29と、を含み得る。
【0028】
コンポーネント23、24、25、27、28、29、30、31は、コンポーネントの配線を含むPCBにはんだ付けされ得る。センサ機構215は、PCBに取り付けられても、プロセッサ機構23にワイヤ接続されてもよい。センサユニット700の実装は、それを組み込むべき薬物送達装置又は薬物送達付属装置に依存する。例えば、コンポーネント23、24、25、27、28、29、30、31を備えるPCBは、注入装置1の遠位端に組み込まれ得て、センサ215a、215bは、PCBにワイヤで接続され得る。コンポーネント23、24、25、27のうちの少なくとも幾つかは、SoC(システムオンチップ)又はマイクロコントローラにも含まれ得る。
【0029】
プログラムメモリ25に記憶されるファームウェアは、プロセッサ機構23を、センサ機構215を制御して、装置1を用いて送達される薬物投与量の排出を検出することができ、センサ215a、215bの各々が、検出された送達薬物投与量に対応するセンサ信号を出力するように構成し得る。プロセッサ機構23は、センサ215a、215bの各々のセンサ信号を受信して各センサ信号の読み取り値を得、これらが処理されて送達投与量が計算される。読み取り値は、例えばセンサ215a、215bのアナログ電圧信号の1つ又は複数の電圧サンプルを含み得る。読み取り値はまた、特定の時間範囲にわたるセンサ215a、215bのアナログ電圧信号の積分も含み得る。電圧信号の代わりに、センサにより生成される電流、電荷、又はその他の出力信号もまた、読み取り値、例えばセンサ信号の周波数、周波数シフトを得るために使用され得る。読み取り値は、注入装置1の動作中に、装置1により吐出される単位数を測定するために、各センサ215a、215bにより得られ得る。
【0030】
ファームウェアはさらに、プロセッサ機構23を、これから以下において説明する注射ペン又は装置1の寿命終了の接近に関するデータを特定するための機能を実行するように構成し得る。一般に、寿命終了に関するデータを特定するために4つの主な方法を提供でき、そのうちの幾つかによれば、寿命終了の接近を追跡することも可能となる:
1.バッテリ電圧
2.(寿命終了に関する)装置エラーの検出
3.経過時間
4.メモリ記憶容量
【0031】
これらについて、例として
図1に示される注射ペン又は装置1を用いて以下により詳しく説明する。しかしながら、以下に説明する機能は、装置エラーの検出、不揮発性メモリへの投与量記録の記憶、装置バッテリの電圧の測定、接続機能等の機能の少なくとも1つを有する何れの薬物送達装置の寿命終了に関するデータを特定するのにも適していることに留意すべきである。
【0032】
まず、寿命終了に関するデータを電子システム700のバッテリ29の電圧に基づいて特定することについて説明する。
【0033】
バッテリ29は、例えばLi/MnO2の化学式を有する一次リチウム電池であってよい。この電池は、
図3に示される典型的な放電挙動100を辿り(この放電挙動は、CR1225ボタン電池の1つと同様である)、電圧の急峻な初期低下102があり、次に寿命のほとんどにわたる長いプラト104、その後、寿命の終了時に比較的急峻な下落が続く。
【0034】
したがって、バッテリ電圧だけでは有効寿命のどこまでかのパーセンテージを容易に測定するのを助けることにはならず、寿命終了接近に関するデータを特定するために使用でき、特にそのようにして特定されたデータを寿命終了の接近を早期に警告するために使用する。
【0035】
3つの主要な電圧ベースの機能は、ファームウェアにより、データを特定するために実装され得る。留意すべき点として、機能の各々を1つの機能性として実装することも、2つ又は3つ全部の機能を一緒に実装することもできる。機能は、バッテリ29の電圧の測定に基づいており、これは電子システム700のアナログ-デジタル変換器(ADC)(
図2では図示せず)により実行できる。ADCは、センサ215a、215bからのアナログ信号をデジタル信号に変換するために、例えばプロセッサ機構23に統合されるか、センサ機構215に含まれ得る。また、別のADCを提供して、バッテリ29の電圧を測定し、プロセッサ機構29がさらに処理するためにデジタル化することもできる。
【0036】
第一の電圧ベースの機能は、バッテリ29の電圧が毎回の投与量記録イベントの終了時に測定され、毎回の投与イベントのため、及び/又は投与量記録と、投与量記録のマニュアルでの毎回の同期イベントのための、特に拡張投与量記録の一部として、外部機器に、その外部機器と通信ユニット27との間の通信リンクを介して伝送できる。この機能は、バッテリ電圧の測定値を注射ペン1の内蔵不揮発性、例えばフラッシュメモリに記憶しないように実行され得る。ペン1の電子システム700の通信ユニット27と外部機器との間の通信リンクを介した通信イベントがあるたびに、現在のバッテリ電圧の測定値を通信できる。したがって、外部機器は、それ自体で決定を下し、ペンの寿命終了状態をさらに通信するためのデータを有する。また、何れの通信イベントとも関係なく、プロセッサ機構23は、この第一の機能によって、現在のバッテリ電圧の測定を周期的に実行するように構成され得るか、又はUI 31を介したユーザ入力及び/又は電源スイッチのトグリングがこのような測定をトリガし得る。バッテリ電圧の測定値はまた、例えば表示ユニット30上にそれを表示するために出力され得る。
【0037】
第二の電圧ベースの機能は、
図3に示されるようなバッテリ電圧の第一の閾値th1に基づく。第一の閾値は、注射ペン1の「低電圧フラッグ」に関係し得る。この第二の機能は特に、寿命終了接近の第一の早期警告を提供するためとされ得る。例えば、注射ペン1の(定格)3Vのリチウム電池は、(使用負荷の下で)初期低下102の後の電圧プラト104における約2.5V~2.7Vでその寿命のほとんどを使う。したがって、バッテリ29として使用される3Vリチウム電池について、投与量排出の終了時に測定されたバッテリ電圧が2.4V未満、約2.4V、又は2.4Vより高い(
図3の閾値th1)場合に「低電圧フラッグ」を立てることができる。「低電圧フラッグ」は、投与量記録の一部で、電圧がわずかに回復し得た、又は温度がわずかに上昇した場合に履歴の中で利用可能且つ閲覧可能となり、後の記録に「フラッグが立てられない」ように、ペンの内蔵不揮発性メモリに記憶できる。閾値th1は、ペン1がプラト領域104から出つつあり、寿命終了に向かい始める(急峻な下落106の開始時である)ことを示すように選択され得る。
【0038】
第三の電圧ベースの機能は、
図3に示されるようなバッテリ電圧の第二の閾値th2に基づく。第二の閾値は、注射ペン1の「超低電圧」エラーコードに関し得る。この第三の機能は、永久的に記憶され、読み取り可能な履歴のイベントであり得る特殊なエラーコードを用いた追加の投与量記録を作成して、投与終了時に測定されたバッテリ電圧が特定の閾値th2より低かったことを示し得る。「超低電圧」に関する閾値th2は、供給電圧がマイクロプロセッサが動作できる閾値(以下参照)より低く低下した場合に生じ始めるペン1内のその他のエラーの前に発生するように選択され得る。例えば、3Vリチウム電池の場合、この閾値th2は約2.3Vに設定され得て、この閾値は、投与イベントの後、ペン1が、より高電流イベントであり、したがってバッテリ電圧をより低く引き下げるユーザLEDsのフラッシュや通信を実行しているときに発生し得る追加の瞬間的電圧低下が可能となるように選択され得る。
【0039】
上述の機能は、注射ペン1のバッテリ29の電圧の評価を実行し、これによって注射ペン1の寿命終了の接近に関するデータを特定できる。
【0040】
第二に、注射ペン1のエラーを検出することに基づく寿命終了に関するデータの特定について説明する。
【0041】
3つのエラーベースの機能は、装置エラーを使って注射ペン1の寿命終了接近に関するデータを特定するためのファームウェアにより実装され得る。
【0042】
第一のエラーベースの機能は、いわゆる「ブラウンアウト検出」に基づき得る。プロセッサ機構23は、供給電圧が第三の閾値thmin(
図3)を下回ったことを検出するとマイクロプロセッサのソフトリセットを実行するための内蔵された機能を有し得る。これは、ソフトウェアの動作を通じて検出を継続し得る(時間サンプルベース)。第三の閾値thminは、バッテリ29としての3Vリチウム電池の場合に例えば約1.8Vでいわゆるブラウンアウトリセットを作動させるように選択され得る。リセットが約1.8V又はそれ以下の電圧の検出によりトリガされると、プロセッサ機構23のマイクロプロセッサはブラウンアウトイベントが発生したことを登録し得る。この検出は、プロセッサ機構23によるブラウンアウトの固有のコードを用いる装置エラーを生成するために使用され得る。これはさらに、永久的に記憶される読み取り可能な履歴のイベントを作成して、ブラウンアウトイベントが発生したことを示し得る。ブラウンアウトイベントの場合、これはソフトウェアの瞬間的リセット、したがって、何れかの関連する投与イベントが見落とされた、又は不正確であったかもしれないことを表し得る。そのため、ファームウェアは、前述の超低電圧装置エラーがブラウンアウトエラーの前に発生することが意図されるように実装され得る。
【0043】
第二のエラーベースの機能は、「電源オンリセット検出」に基づき得る。これはブラウンアウト検出メカニズムに似ているが、バッテリ29の供給電圧が低くなりすぎて、電圧が再び上昇するまで、マイクロプロセッサが実行を完全に停止した場合に行われる点が異なる。これは、「パワーサイクリング」の効果を有し、マイクロプロセッサは、それが再スタートしていることを検出する。ファームウェアは、このイベントに特定のエラーコードを割り当てて、装置エラー記録を作成するように実装され得る。
【0044】
第三のエラーベースの機能は、「センサヘルスチェック」に基づき得る。これは、センサ215a、215bからのアナログセンサ読み取り値がバッテリ29の供給電圧に比例することを利用している。したがって、バッテリ電圧が低下すると、センサの読み取り値も低下する。これには、光センサ215a、215bの場合に、エンコーダの反射エリアからのこれらの測定光パルスの反射の読み取り値が電圧の低下と共に減少するという効果があり、センサヘルスチェックが行われなければ、これらは大幅に減少して、黒と白の間の閾値より低くなる可能性がある。しかしながら、センサヘルスチェックは、投与終了時のセンサ215a、215bの最後の読み取り値がこの閾値の125%であったことを検出できる。したがって、センサヘルスチェックに応答して作成される装置エラーは、投与量記録エラーが発生する前の寿命終了の標識として使用できる。
【0045】
上述の機能は注射ペン1のエラーの検出を実行し、それによって注射ペン1の寿命終了接近に関するデータを特定できる。
【0046】
経過時間、すなわち使用時間は、寿命終了の標識として使用できる。全ての投与量記録及びエラー記録のためのタイムスタンプを作成するために、注射ペン1は永久的に動作する内蔵クロックである「リアルタイムクロック」すなわちRTCを有する。タイムスタンプに必要なデータ記憶スペースを最小にするために、各タイムスタンプは「初回使用時間」からの時間オフセットとして記憶できる。装置1が製造後初めて作動させられたときに、装置1は協定世界時間での時間と日付を検出して初回使用時間として記憶し得る。したがって、この初回使用後の何れの時点においても、ペン1がどれだけの時間にわたり動作しているかを特定することが可能である。初回使用時間と現在時刻は自動的に、及び要求に応じて、例えばBluetooth(登録商標)を介して外部機器に通信できる。したがって、外部機器は全ての情報を取得して、その後、寿命終了予測等を特定し、これらをさらにユーザに伝え得る。
【0047】
上述の方式に加えて、時間に関する寿命終了の標識もある。前述のように、各投与量に関するタイムスタンプは、初回使用時間からのオフセットを分の単位で記憶できる。そして、記憶されるデータ量を最小化及び最適化するために、このオフセットに一定の数のデータビットが割り当てられ得る。割り当てられたデータビット数は、3.99年の使用に対応し得る。この時間オフセットに到達すると、時間エラーコードを作成し、記憶し、タイムスタンプの代わりに伝送できる。この時間エラーコードを外部機器受信したことは、寿命終了状態に到達したことを示す。
【0048】
第三に、薬物送達装置により排出される投与量の記録のためのメモリの記憶容量の表化に基づいて寿命終了に関するデータを特定することについて説明する。
【0049】
注入装置1の投与量記録を記憶するために提供される不揮発性メモリは、限定的な容量を有し得る(例えば、これは限定的な記憶容量を有するフラッシュメモリとして実装され得る)。この限定された記憶容量を管理するために、事前にメモリのあるエリアを投与量記録に割り当てることができる。このような場合、装置が寿命の終了に到達するまでに幾つの投与量記録を作成できるかを最初から正確に知り得る(各投与量記録に同じ記憶容量が必要であることを前提とする)。
【0050】
注射ペンの中で、不揮発性投与量記録ストレージ内に例えば4500の投与量記録のための容量が事前に割り当てられ得る。何れの時点においても、ペンはそれゆえ、最初に幾つの投与量記録があり、現在は幾つ記憶されているかがわかる。それは、この情報が外部通信機器により利用可能であるようにして、装置の寿命状態の正確か知識が得られるようにするか、又はこの情報をプロセッサ機構23で処理して、寿命終了接近に関するデータを特定し得る。
【0051】
例えば、注射ペン1は最新の投与量記録数を拡張投与量記録の一部として通信ユニット27を通じて通信し得るため、全ての自動又はマニュアルデータ接続イベントがこの情報を提供し得る。それに加えて、開始時の投与量記憶容量はデジタル固有装置識別情報(UDI)の一部として利用可能であり得る。UDIは、要求に応じて、毎回の通信接続、特にBluetooth(登録商標)接続中に要求に応じて外部通信機器により利用可能とされ得る。したがって、外部機器は残りの投与量の数(=投与量記録容量-最新の投与量記録数-1)を特定でき、その際、投与量記録の番号付けは幾つかの注入装置については0から始まり得る。外部機器は同様に、残りのパーセンテージ又は使用済みパーセンテージを計算できる。
【0052】
このようにして、最新の投与量記録数が4499であることは、その装置は寿命の終了に到達したことを示す(それ以上の記録記憶は不可能であり、ペンは機能を停止する)。
【0053】
この計算は基本的に、電子システム700、すなわちファームウェアによってそのように構成されたプロセッサ機構23によっても実行可能である。すると、この結果は表示ユニット30上に示し、及び/又は通信ユニット27を介して外部機器に伝送できるか、後に利用するためにメインメモリ24又は不揮発性内蔵メモリに記憶できる。
【0054】
この実施形態の代替的実施形態も可能であるが、今は具現化されない。現在の投与量記録数の代わりに残りの記録数を報告すること、すなわちカウントアップではなく、容量からゼロに向かってカウントダウンすることも可能であろう。
【0055】
特定された注射ペン1の寿命終了接近に関するデータをさらに評価して、この評価に基づいて注射ペンの寿命終了接近の表示を生成できる。例えば、注射ペン1の寿命終了は次のx回の薬物排出後であり得、特にプロセッサ機構23によるさらなる処理のため、及び/又はユニット27を介した外部機器への伝送するために、これは対応する表示の生成に使用され得る。表示は、例えばディスプレイ上及び/又は光源を介して見ることのできる、音響変換器を介して聞くことのできる、及び/又は振動器を介して感じることのできる、特定された薬物送達装置の寿命終了の接近を出力するための制御信号を生成することを含み得る。
【0056】
上述の説明がプロセッサ機構23により実行されることになるファームウェアに関していても、本願で開示される機能は少なくとも一部にハードウェア、例えば(F)PGA((フィールド)プログラマブルゲートアレイ)、ASIC(特定用途集積回路)としても実装できる点に留意すべきである。
【0057】
また、本願で開示される機能の少なくとも一部は、薬物送達装置、例えば注射ペン1に通信可能に連結された外部コンピューティングデバイスによっても実行できる点にも留意すべである。例えば、バッテリ電圧測定値のほか、検出されたエラーも、受け取った寿命終了接近に関するデータを評価するための外部コンピューティングデバイスに伝送できる。
【0058】
「薬物」又は「薬剤」という用語は本明細書中では同義として使用され、1つ又は複数の活性薬剤成分又は薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和化合物と、任意選択的に薬学的に許容されるキャリアを含む医薬製剤を表す。活性薬剤成分(API(active pharmaceutical ingredient))は、最も広い意味において、人又は動物に対する生物学的効果を有する化学構造である。薬理学において、薬物又は薬剤は病気の治療、治癒、予防、若しくは診断で使用されるか、又はそれ以外に身体的若しくは精神的健康を向上させるために使用される。薬物又は薬剤は、限定的期間にわたり、又は慢性疾患のためには定期的に使用され得る。
【0059】
後述のように、薬物又は薬剤は、1つ又は複数の病気の治療のために、少なくとも1つのAPI、又はその組合せを様々な種類の調合で含むことができる。APIの例としては、分子量500Da以下の小分子、ポリペプチド、ペプチド、たんぱく質(例えば、ホルモン、増殖因子、抗体、抗体フラグメント、及び酵素)、炭水化物と多糖類、及び酸、二本鎖又は一本鎖DNA(ネイキッド及びcDNAを含む)、RNA、アンチセンスDNA及びRNA等のアンチセンス核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、及びオリゴヌクレオチドが含まれ得る。核酸は、ベクトル、プラスミド、又はリポソーム等の分子送達系に組み込まれ得る。1つ又は複数の薬物の混合物も想定される。
【0060】
薬物又は薬剤は、薬物送達装置と共に使用するようになされた一次包装又は「薬物容器」に収容され得る。薬物容器は、例えばカートリッジ、シリンジ、リザーバ、又はその他の、1つ又は複数の薬物の適当な保存(例えば、短期又は長期保存)のための適当なチャンバを提供するように構成された固形若しくは柔軟な容器であり得る。例えば、幾つかの例において、チャンバは薬物を少なくとも1日(例えば、1~少なくとも30日間)保存するように設計され得る。幾つかの例において、チャンバは薬物を約1カ月~約2年間保存するように設計され得る。保管は、室温(例えば、約20℃)又は低温(例えば、約-4℃~約4℃)で行われ得る。幾つかの例において、薬物容器は投与される薬剤調合物の2つ以上の成分(例えば、APIと希釈剤、又は2種類の薬物)を別々に、各チャンバに1つずつ保管するように構成される2室式カートリッジであり得るか、それを含み得る。このような例において、2室式カートリッジの2つのチャンバは、人又は動物の体内に吐出する前及び/又は吐出中に2つ以上の成分を混合できるように構成され得る。例えば、2つのチャンバは、これらが相互に流体連通して(例えば、2つのチャンバ間の導管による)、吐出前にユーザが希望に応じて2つの成分を混合できるように構成され得る。代替的に、又はそれに加えて、2つのチャンバは、成分が人又は動物の体内に吐出されている間に混合できるように構成され得る。
【0061】
本明細書に記載の薬物送達装置に収容された薬物又は薬剤は、様々な種類の医学的障害の治療及び/又は予防に使用できる。障害の例としては、例えば真正糖尿病又は、糖尿病性網膜症などの真正糖尿病の合併症、深部静脈又は肺血栓等の血栓閉塞症が含まれる。障害のまた別の例は、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化、及び/又は関節リウマチである。API及び薬物の例は、Rote Liste 2014等のハンドブック、例えば、これらに限定されないが、メイングループ12(抗糖尿病薬)又は86(腫瘍薬)、及びメルクインデックス第15版に記載されているものである。
【0062】
1型若しくは2型真正糖尿病又は1型若しくは2型真正糖尿病の合併症の治療及び/又は予防のためのAPIの例には、インスリン、例えばヒトインスリン、又はインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1類似体若しくはGLP-1受容体作動薬、又はその類似体若しくは誘導体、ジペブチジルペプチターゼ-4(DPP4)阻害薬、又は薬学的に許容される塩若しくはその溶媒和化合物、又はそれらのあらゆる混合物が含まれる。本明細書で使用されるかぎり、「類似体」及び「誘導体」という用語は、形式的に天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンのそれから、天然に存在するペプチド内にある少なくとも1つのアミノ酸残基を削除及び/若しくは置換することによって、並びに/又は少なくとも1つのアミノ酸残基を追加することによって導出できる分子構造を有するポリペプチドを指す。追加及び/又は置換されるアミノ酸残基は、コード化可能なアミノ酸残基又はその他の天然に存在する残基か、又は純粋な合成アミノ酸残基の何れでもあり得る。インスリン類似体は、「インスリン受容体リガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、形式的に天然に存在するペプチドの構造、例えばヒトインスリンのそれから導出可能な、1つ又は複数の有機置換基(例えば、脂肪酸)がアミノ酸のうちの1つ以上と結合する分子構造を有するポリペプチドを指す。任意選択により、天然に存在するペプチドの中にある1つ又は複数のアミノ酸が削除され、及び/若しくはコード化不能なアミノ酸を含むその他のアミノ酸に置換されていてもよく、又はコード化不能のものを含むアミノ酸が天然に存在するペプチドに追加されていている。
【0063】
インスリン類似体の例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン)、Lys(B3)、Glu(B29)、ヒトインスリン(インスリンリスプロ)、Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト)、位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、又はAlaに置換され、位置B29のLysがProに置換され得るヒトインスリン、Ala(B26)ヒトインスリン、Des(B28-B30)ヒトインスリン、Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0064】
インスリン誘導体の例は例えば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、Levemir(登録商標))、B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-ミリストイルヒトインスリン、B29-N-パルミトイルヒトインスリン、B28-N-ミリストイル-LysB28ProB29ヒトインスリン、B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン、B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン、B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン、B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルカミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、Tresiba(登録商標))、B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン、及びB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0065】
GLP-1、GLP-1類似体、及びGLP-1受容体作動薬の例は、例えば、リキシセナチド(Lyxumia(登録商標))、エキセナチド(Exendin-4、Byetta(登録商標)、Bydureon(登録商標)、アメリカドクトカゲの唾液腺により生成される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(Victoza(登録商標))、セモグラチド、タスポグラチド、アルビグラチド(Syncria(登録商標))、デュラグラチド(Trulicity(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングルナチド/HM-11260C(Efpeglenatide)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、゜CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(Pegapamodtide)、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマデュチド(SAR425899)、エキセナチド-XTEN、及びグルカゴン-Xtenである。
【0066】
オリゴヌクレオチドの例は例えば、ミポメルセンナトリウム(Kynamro(登録商標))、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療薬、又はアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0067】
DPP4阻害薬の例は、リナグリプチン、ビルダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0068】
ホルモンの例としては、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、及びゴセレリン等の、脳下垂体ホルモン若しくは視床下部ホルモン又は調節性活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストが含まれる。
【0069】
多糖類の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン若しくは超低分子量ヘパリン、又はそれらの誘導体、又は硫酸化多糖類、例えば上述の多糖類のポリ硫酸化形態、及び/又は、薬学的に許容されるそれらの塩が含まれる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の一例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(Synvisc(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0070】
「抗体」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、免疫グロブリン分子又はその抗原結合部分を指す。免疫グロブリン分子の抗原結合部分の例には、抗原を結合する能力を保持するF(ab)及びF(ab’)2フラグメントが含まれる。抗体は、ポリクローナル、モノクローナル、組換え型、キメラ型、非免疫型又はヒト化、完全ヒト型、非ヒト型(例えばネズミ)、又は一本鎖抗体とすることができる。いくつかの実施形態において、抗体はエフェクタ機能を有し、補体を固定することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、Fc受容体と結合する能力が低い、又はそれを持たない。例えば、抗体は、アイソタイプ若しくはサブタイプ、抗体フラグメント又は変異体とすることができ、これはFc受容体との結合を支持せず、例えば、突然変異した、又は欠失したFc受容体結合領域を有する。抗体という用語はまた、四価二重特異性タンデム免疫グロブリン(TBTI)及び/又は交差結合領域の配向性を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗体結合分子も含む。
【0071】
「フラグメント」又は「抗体フラグメント」という用語は、全長抗体ポリペプチドを含まないが、抗原と結合することができる全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部を依然として含む、抗体ポリペプチド分子(例えば、抗体重鎖及び/又は軽鎖ポリペプチド)由来のポリペプチドを指す。抗体フラグメントは、全長抗体ポリペプチドの切断された部分を含むことができるが、この用語はそのような切断されたフラグメントに限定されない。本発明に有用である抗体フラグメントとしては、例えば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、直鎖抗体、単一特異性、又は二重特異性、三重特異性、四重特異性及び多重特異性抗体(例えば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)等の多重特異性抗体フラグメント、一価、又は二価、三価、四価及び多価抗体等の多価抗体フラグメント、ミニボディ、キレート組換え抗体、トリボディ又はバイボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュラー免疫薬(SMIP)、結合ドメイン免疫グロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、及びVHH含有抗体が含まれる。抗原結合抗体フラグメントのその他の例は当業界で知られている。
【0072】
「相補性決定領域」すなわち「CDR」は、特異的抗原認識を仲介する役割を主に担う重鎖及び軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列ではなく、CDR配列の正しい位置決めを維持して抗原結合を可能にする役割を主に担う重鎖及び軽鎖両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的に、当業界で知られているように、抗原結合に直接関与しないが、特定の抗体のフレームワーク領域内の特定の残基が、抗原結合に直接関与することができ、又はCDR内の1つ又は複数のアミノ酸が抗原と相互作用する能力に影響を与え得る。
【0073】
抗体の例は、アンチPCSK-9mAb(例えば、アリロクマブ)、アンチIL-6mAb(例えば、サリルマブ)、及びアンチIL-4mAb(例えば、デュピルマブ)である。
【0074】
本明細書に記載のあらゆるAPIの薬学的に許容される塩もまた、薬物送達装置における薬物又は薬剤において使用されることが想定される。薬学的に許容される塩は、例えば酸付加塩及び塩基性塩である
【0075】
当業者であれば、本発明の完全な範囲と主旨から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、製剤、装置、方法、システム、及び実施形態の様々な構成要素に修正(追加及び/又は削除)を加えることができ、本発明はそのような修正及びそのあらゆる均等物を包含することがわかるであろう。
【0076】
例示的な薬物送達装置は、ISO11608-1:2014(E)5.2項の表1に記載されている針ベースの注射システムを含み得る。ISO11608-1:2014(E)に記載されているように、針ベースの注射システムは広く、複数回投与容器システムと単回投与(部分又は全量排出)容器システムに分類され得る。容器は、交換可能容器でも、一体化された交換不能容器でもよい。
【0077】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、複数回投与容器システムは、交換式容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムでは、各容器は複数回分の投与量を保持し、その大きさは固定でも可変(ユーザにより事前設定される)でもよい。他の複数回投与容器システムは、一体化された交換不能容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムでは、各容器は複数回分の投与量を保持し、その大きさは固定でも可変(ユーザにより事前設定される)でもよい。
【0078】
ISO11608-1:2014(E)にさらに記載されているように、単回投与容器システムは交換式容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムの一例において、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の全量が排出される(全量排出)。別の例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の一部が排出される(部分排出)。同じくISO11608-1:2014(E)に記載されているように、単回投与容器システムは、一体化された交換不能容器を備える針ベースの注入装置を含み得る。このようなシステムの一例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の全量が排出される(全量排出)。別の例では、各容器は1回分の投与量を保持し、送達可能量の一部が排出される(部分排出)。
【国際調査報告】