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特表2024-543342グラフィックスDDRメモリを用いたエラーピントレーニング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】グラフィックスDDRメモリを用いたエラーピントレーニング
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20241114BHJP
   G06F 13/16 20060101ALI20241114BHJP
   G11C 7/10 20060101ALI20241114BHJP
   G11C 11/4093 20060101ALI20241114BHJP
   G11C 11/4096 20060101ALI20241114BHJP
   H04L 25/49 20060101ALI20241114BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G06F12/00 564D
G06F12/00 597D
G06F13/16 520B
G11C7/10 505
G11C11/4093 100
G11C7/10 460
G11C11/4096 550
H04L25/49 L
H04L25/02 301J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024526597
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 US2022048247
(87)【国際公開番号】W WO2023086222
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/278,321
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/854,213
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591016172
【氏名又は名称】アドバンスト・マイクロ・ディバイシズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED MICRO DEVICES INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】アーロン ディー ウィリー
(72)【発明者】
【氏名】カーシク ゴパラクリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】プラディープ ジャヤラマン
【テーマコード(参考)】
5B160
5K029
5M024
【Fターム(参考)】
5B160CC00
5K029FF02
5K029KK24
5M024AA49
5M024BB03
5M024BB34
5M024DD32
5M024DD35
5M024DD36
5M024JJ03
5M024PP01
5M024PP02
5M024PP07
(57)【要約】
受信機は、データバスを介して信号を受信するようにトレーニングされる。揮発性メモリは、選択されたパルス振幅変調(PAM)ドライバを、指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して命令される。選択されたPAMドライバに結合された受信機回路において、指定された定常出力レベルに関連付けられたそれぞれの基準電圧を、電圧範囲にわたって掃引し、それぞれの基準電圧をPAMドライバから受け取った電圧と比較して、PAMドライバから受け取ったそれぞれの電圧レベルを判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機をトレーニングするための方法であって、
少なくとも3つのパルス振幅変調(PAM)レベルで動作する選択されたPAMドライバを、指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して揮発性メモリに命令することと、
前記選択されたPAMドライバに結合された受信機回路において、前記指定された定常出力レベルに関連付けられたそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記それぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取ったそれぞれの電圧レベルを判定することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記選択されたPAMドライバに、(i)その出力レベルの全て、及び、(ii)その出力レベルのサブセットのうち何れかを通じて予想される動作速度においてトグルするように命令することと、
前記選択されたPAMドライバがトグルしている間に、前記受信機回路の位相トレーニングを実行することと、を含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記選択されたPAMドライバを第2の指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して前記揮発性メモリに命令することと、
前記選択されたPAMドライバに結合された受信機回路において、前記第2の指定された定常出力レベルに関連付けられた第2のそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記第2のそれぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取った第2のそれぞれの電圧レベルを判定することと、を含む、
請求項3の方法。
【請求項4】
前記揮発性メモリに結合された追加のPAM受信機に関連付けられた2つの基準電圧のための初期レベルを、前記それぞれの電圧レベル及び前記第2のそれぞれの電圧レベルに基づいて設定することを含む、
請求項3の方法。
【請求項5】
前記選択されたPAMドライバは、コマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込み巡回冗長検査(CRC)情報をホストに提供する前記揮発性メモリの指定された出力端子に接続されており、
前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令することは、前記揮発性メモリにモードレジスタセット(MRS)コマンドを発行することによって実行される、
請求項4の方法。
【請求項6】
前記追加のPAM受信機は、前記データバスのデータ入力出力(DQ)端子用の受信機である、
請求項5の方法。
【請求項7】
前記指定された定常出力レベルに関連付けられたそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引することは、少なくとも2つのサブ受信機回路のうち何れかを選択することと、前記3つのサブ受信機回路のうち選択されたサブ受信機回路に結合された基準電圧を掃引することと、を含む、
請求項1の方法。
【請求項8】
データバスを介して揮発性メモリに結合するための物理層(PHY)回路であって、
少なくとも3つのパルス振幅変調(PAM)レベルで動作するPAM受信機と、
受信機制御回路と、を備え、
前記PAM受信機は、
デコーダ回路と、
少なくとも2つのサブ受信機回路であって、各々が、前記デコーダ回路に結合された出力と、データバス端子に結合された第1の入力と、それぞれの基準電圧回路に結合された第2の入力と、を含む、少なくとも2つのサブ受信機回路と、を備え、
前記受信制御回路は、
選択されたPAMドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令し、電圧範囲にわたって前記基準電圧回路のそれぞれの1つの基準電圧を掃引し、前記基準電圧を前記選択されたPAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記選択されたPAMドライバから受信されたそれぞれの電圧レベルを判定するように動作可能である、
PHY回路。
【請求項9】
前記受信機制御回路は、
前記選択されたPAMドライバに、(i)その出力レベルの全て、及び、(ii)その出力レベルのサブセットのうち何れかを通じて予想される動作速度においてトグルするように命令し、
前記選択されたPAMドライバがトグルしている間に、前記PAM受信機の位相トレーニングを実行するように動作可能である、
請求項8のPHY回路。
【請求項10】
前記受信機制御回路は、
前記選択されたPAMドライバを第2の指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して前記揮発性メモリに命令し、
前記第2の指定された定常出力レベルに関連付けられた第2のそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記第2のそれぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取った第2のそれぞれの電圧レベルを判定するように動作可能である、
請求項8のPHY回路。
【請求項11】
前記受信機制御回路は、
前記揮発性メモリに結合された追加のPAM受信機に関連付けられた2つの基準電圧のための初期レベルを、前記それぞれの電圧レベル及び前記第2のそれぞれの電圧レベルに基づいて設定するように動作可能である、
請求項10のPHY回路。
【請求項12】
前記選択されたPAMドライバは、コマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込み巡回冗長検査(CRC)情報をホストに提供する前記揮発性メモリの指定された出力端子に接続されており、
前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令することは、前記揮発性メモリにモードレジスタセット(MRS)コマンドを発行することによって実行される、
請求項11のPHY回路。
【請求項13】
前記追加のPAM受信機は、前記データバスのデータ入力出力(DQ)端子用の受信機である、
請求項12のPHY回路。
【請求項14】
メモリシステムであって、
揮発性メモリと、
前記揮発性メモリに結合されたデータバスと、
前記データバスに結合された物理層(PHY)回路を備えるメモリコントローラと、を備え、
前記PHY回路は、
少なくとも3つのパルス振幅変調(PAM)レベルで動作するPAM受信機であって、各々が、データバス端子に結合された第1の入力と、それぞれの基準電圧回路に結合された第2の入力と、を含む少なくとも2つのサブ受信機回路を備える、PAM受信機と、
受信機制御回路であって、選択されたPAMドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令し、電圧範囲にわたって前記基準電圧回路のそれぞれの1つの基準電圧を掃引し、前記基準電圧を前記選択されたPAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記選択されたPAMドライバから受信されたそれぞれの電圧レベルを判定するように動作可能な受信機制御回路と、を備える、
メモリシステム。
【請求項15】
前記受信機制御回路は、
前記選択されたPAMドライバに、(i)その出力レベルの全て、及び、(ii)その出力レベルのサブセットのうち何れかを通じて予想される動作速度においてトグルするように命令し、
前記選択されたPAMドライバがトグルしている間に、前記PAM受信機の位相トレーニングを実行するように動作可能である、
請求項14のメモリシステム。
【請求項16】
前記受信機制御回路は、
前記選択されたPAMドライバを第2の指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して前記揮発性メモリに命令し、
前記第2の指定された定常出力レベルに関連付けられた第2のそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記第2のそれぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取った第2のそれぞれの電圧レベルを判定するように動作可能である、
請求項14のメモリシステム。
【請求項17】
前記受信機制御回路は、
前記揮発性メモリに結合された追加のPAM受信機に関連付けられた2つの基準電圧のための初期レベルを、前記それぞれの電圧レベル及び前記第2のそれぞれの電圧レベルに基づいて設定するように動作可能である、
請求項16のメモリシステム。
【請求項18】
前記選択されたPAMドライバは、コマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込み巡回冗長検査(CRC)情報をホストに提供する前記揮発性メモリの指定された出力端子に接続されており、
前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令することは、前記揮発性メモリにモードレジスタセット(MRS)コマンドを発行することによって実行される、
請求項17のメモリシステム。
【請求項19】
前記追加のPAM受信機は、前記データバスのデータ入力出力(DQ)端子用の受信機である、
請求項18のメモリシステム。
【請求項20】
前記揮発性メモリの前記選択されたPAMドライバは、前記受信機制御回路からのコマンドに応じて、
コマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込み巡回冗長検査(CRC)情報を前記メモリコントローラに提供する動作モードと、
第1のPAMレベルにおいて定常出力を提供する第1のモードと、
第2のPAMレベルにおいて定常出力を提供する第2のモードと、
第3のPAMレベルにおいて定常出力を提供する第3のモードと、を含むいくつかのモードになるように動作可能である、
請求項14のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現代のダイナミックランダムアクセスメモリ(dynamic random-access memory、DRAM)は、DRAMと、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)等の1つ以上のデータプロセッサとを接続するバス上のデータ伝送の速度を増加させることによって、高いメモリ帯域幅を提供する。DRAMは、典型的には、安価で高密度であり、それによって、デバイスごとに大量のDRAMを集積することが可能になる。今日販売されている殆どのDRAMチップは、Joint Electron Devices Engineering Council(JEDEC)が普及を推進した様々なダブルデータレート(double data rate、DDR)DRAM規格と適合する。典型的には、いくつかのDDR DRAMチップが単一のプリント回路基板上に組み合わされて、比較的高速であるだけでなくスケーラビリティも提供できるメモリモジュールを形成する。しかしながら、これらの強化により、コンピュータシステムのメインメモリに使用されるDDRメモリの速度が改善されたが、更なる改善が求められている。
【0002】
グラフィックスダブルデータレート(graphics double data rate、GDDR)メモリとして知られる1つのタイプのDDR DRAMは、グラフィックスアプリケーションに必要とされる高帯域幅に対応するためにデータ伝送レートの境界を押し上げてきた。新しいGDDR規格が開発されるにつれて、それらはより高いデータレートをサポートする傾向がある。しかしながら、これらのより高いデータレートでの動作は、概して、データリンクの送受信回路をトレーニングするプロセスの改善を必要とする。また、シグナリングリンク上で採用するシグナリングレベルの数が2を超えると、リンクトレーニングプロセスは複雑になる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】いくつかの実施形態による、データ処理システムを示すブロック図である。
図2図1のデータ処理システムのGDDR PHY-DRAMリンクを示すブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による、メモリバスを介してメモリからメモリコントローラに読み出しクロック信号を選択的に提供するための読み出しクロック回路を示すブロック図である。
図4】いくつかの実施形態による、PAM4受信機をトレーニングするためのプロセスのフロー図を示す。
図5図4のプロセスとともに採用され得る様々なシグナリングレベルを示す「アイ」(eye、目)ダイアグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
以下の説明において、異なる図面における同一の符号の使用は、同様のアイテム又は同一のアイテムを示す。別段の言及がなければ、「結合される(coupled)」という単語及びその関連する動詞形は、当該技術分野で周知の手段による直接接続及び間接電気接続の両方を含み、また、別段の言及がなければ、直接接続の任意の記述は、好適な形態の間接電気接続を使用する代替の実施形態も同様に意味する。
【0005】
データバスを介して信号を受信する受信機をトレーニングするための方法を使用する。この方法は、選択されたパルス振幅変調4レベル(pulse-amplitude modulation 4-level、PAM4)ドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して揮発性メモリに命令することと、次いで、所定の期間待機することと、を含む。選択されたPAM4ドライバに結合された受信機回路において、本方法は、指定された定常出力レベルに関連付けられたそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引(sweeping)し、それぞれの基準電圧をPAM4ドライバから受信された電圧と比較して、PAM4ドライバから受信されたそれぞれの電圧レベルを判定することを含む。次いで、指定された定常出力レベルが変更され、それぞれの基準電圧を掃引し、電圧レベルを判定するプロセスが、新しい出力レベルに対して繰り返される。
【0006】
データバスを介して揮発性メモリに結合するための物理層(physical layer、PHY)回路は、パルス振幅変調4レベル(PAM4)受信機と受信機制御回路と、を含む。受信機は、デコーダ回路と、3つのサブ受信機回路と、を含み、各サブ受信機回路は、デコーダ回路に結合された出力と、データバス端子に結合された第1の入力と、それぞれの基準電圧回路に結合された第2の入力と、を含む。受信機制御回路は、(a)選択されたPAM4ドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して揮発性メモリに命令する、(b)所定の期間待機する、(c)ある範囲の電圧にわたってそれぞれの1つの基準電圧回路の基準電圧を掃引し、基準電圧を選択されたPAM4ドライバから受け取った電圧と比較して、選択されたPAM4ドライバから受け取ったそれぞれの電圧レベルを判定する、(d)(a)~(c)を実行した後、指定された定常出力レベルを変更し、(a)~(c)を繰り返すように動作可能である。
【0007】
メモリシステムは、揮発性メモリと、揮発性メモリに結合されたデータバスと、メモリコントローラと、を含む。メモリコントローラは、データバスに結合された物理層(PHY)回路と、受信機制御回路と、を含む。PHY回路は、3つのサブ受信機回路を含むパルス振幅変調4レベル(PAM4)受信機を含み、各サブ受信機回路は、データバス端子に結合された第1の入力と、それぞれの基準電圧回路に結合された第2の入力と、を含む。受信機制御回路は、(a)選択されたPAM4ドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して揮発性メモリに命令する、(b)所定の期間待機する、(c)ある範囲の電圧にわたってそれぞれの1つの基準電圧回路の基準電圧を掃引し、基準電圧を選択されたPAM4ドライバから受け取った電圧と比較して、選択されたPAM4ドライバから受け取ったそれぞれの電圧レベルを判定、(d)(a)~(c)を実行した後、指定された定常出力レベルを変更し、(a)~(c)を繰り返すように動作可能である。
【0008】
図1は、いくつかの実施形態による、データ処理システム100を示すブロック図である。データ処理システム100は、概して、グラフィックス処理ユニット(GPU)110、ホスト中央処理ユニット(CPU)120、ダブルデータレート(DDR)メモリ130及びグラフィックスDDR(GDDR)メモリ200の形態のデータプロセッサを含む。
【0009】
GPU110は、最適化されたグラフィックス処理、レンダリング及び表示のために非常に高い性能を有する離散グラフィックスプロセッサであるが、これらのタスクを実行するために高いメモリ帯域幅を必要とする。GPU110は、概して、コマンドプロセッサ111のセットと、グラフィックス単一命令複数データ(SIMD)コア112と、キャッシュ113のセットと、メモリコントローラ114と、DDR物理インターフェース回路(DDR PHY)115と、GDDR PHY116と、を含む。この実施形態ではGPUが示されているが、GPU110は、機械学習並列加速プロセッサ等の種々のデータ処理要素のうち何れかであり得る。
【0010】
コマンドプロセッサ111は、OpenGLプログラミング言語で指定されるもの等の高レベルグラフィックス命令を解釈するために使用される。コマンドプロセッサ111は、OpenGL命令等の高レベルグラフィックス命令を受信するためのメモリコントローラ114への双方向接続、キャッシュ113への双方向接続、及び、グラフィックスSIMDコア112への双方向接続を有する。高レベル命令の受信に応じて、コマンドプロセッサは、キャッシュ113を一時記憶装置として使用して、フレームデータ等のデータのレンダリング、幾何学的処理、シェーディング及びラスタ化のための低レベル命令を発行する。グラフィックス命令に応じて、グラフィックスSIMDコア112は、大規模並列方式で大きいデータセットに対して低レベル命令を実行する。コマンドプロセッサ111及びキャッシュ113は、入力データ及び出力(例えば、レンダリング及びラスタ化された)データの一時的な記憶のために使用される。また、キャッシュ113は、グラフィックスSIMDコア112への双方向接続と、メモリコントローラ114への双方向接続と、を有する。
【0011】
メモリコントローラ114は、コマンドプロセッサ111に接続された第1のアップストリーム双方向ポートと、キャッシュ113に接続された第2のアップストリーム双方向ポートと、DDR PHY115への第1のダウンストリーム双方向ポートと、GDDR PHY116への第2のダウンストリーム双方向ポートと、を有する。本明細書で使用されるように、「上流」ポートは、データプロセッサに向かい、且つ、メモリから離れる回路の側にあり、「下流」ポートは、データプロセッサから離れ、且つ、メモリに向かう方向にある。メモリコントローラ114は、DDRメモリ130及びGDDRメモリ200との間のデータ転送のタイミング及び順序付けを制御する。DDR及びGDDRメモリは非対称アクセスを有し、すなわち、メモリ内のオープンページへのアクセスは、クローズドページへのアクセスよりも高速である。メモリコントローラ114は、メモリアクセスコマンドを格納し、例えば、特定のサービス品質目標を遵守しながらオープンページへのアクセスを優先することによって、効率のためにそれらを順不同で処理する。
【0012】
DDR PHY115は、メモリコントローラ114の第1の下流ポートに接続された上流双方向ポートと、DDRメモリ130に双方向に接続された下流ポートと、を有する。DDR PHY115は、DDRバージョン5(DDR5)等のDDRメモリ130のバージョンの全ての指定されたタイミングパラメータを満たし、メモリコントローラ114の指示でタイミング較正動作を実行する。同様に、GDDR PHY116は、メモリコントローラ114の第2の下流ポートに接続された上流ポートと、GDDRメモリ200に双方向に接続された下流ポートと、を有する。GDDR PHY116は、GDDRメモリ200のバージョンの全ての指定されたタイミングパラメータを満たし、メモリコントローラ114の指示でタイミング較正動作を実行する。GDDRメモリ200は、動作のためにGDDRメモリ200を構成するように、GDDR PHY116上でプログラム可能なモードレジスタ141のセットを含む。
【0013】
動作中、データ処理システムは、グラフィックスSIMDコア112によって実行される高帯域幅グラフィックス処理のために、グラフィックスカード又はアクセラレータとして使用することができる。オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを実行するホストCPU120は、GPU110及びホストCPU120のための統合メモリとして働くDDRメモリ130を通して、グラフィックス処理コマンドをGPU110に送信する。それは、例えば、OpenGLコマンドとして使用して又は任意の他のホストCPUを通して、コマンドをGPUインターフェースに送信し得る。OpenGLは、2D及び3Dベクトルグラフィックスをレンダリングするためのクロス言語、クロスプラットフォームアプリケーションプログラミングインターフェースである。ホストCPU120は、アプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface、API)を使用して、GPU110と相互作用し、ハードウェア加速レンダリングを提供する。
【0014】
データ処理システム100は、2つのタイプのメモリを使用する。第1のタイプのメモリはDDRメモリ130であり、GPU110及びホストCPU120の両方によってアクセス可能である。グラフィックスSIMDコア112の高い性能の一部として、GPU110は、高速グラフィックスダブルデータレート(graphics double data rate、GDDR)メモリを使用する。
【0015】
図2は、いくつかの実施形態による、図1のデータ処理システム100のGDDR PHY-DRAMリンク200を示すブロック図である。GDDR PHY-DRAMリンク200は、物理インターフェース260を介して通信するGPU110及びGDDRメモリ200の部分を含む。
【0016】
GPU110は、位相ロックループ(phase locked loop、PLL)210と、コマンド及びアドレス(command and address、「C/A」)回路220と、読み取りクロック回路230と、データ回路240と、書き込みクロック回路250と、を含む。これらの回路は、GPU110のGDDR PHY116の一部を形成する。
【0017】
位相ロックループ210は、基準クロック発生回路として動作し、「CKIN」とラベル付けされた入力クロック信号を受信するための入力と、出力と、を有する。
【0018】
C/A回路220は、遅延要素221と、セレクタ222と、「TX」とラベル付けされた伝送バッファ223と、「ERR」受信機216と、を含む。遅延要素221は、PLL210の出力に接続された入力と、出力と、を有し、図2には具体的に示されていない入力によって制御される可変遅延を有する。可変遅延は、較正コントローラ115によって起動時に判定され、補償回路によって動作中に調整される。セレクタ222は、第1のコマンド/アドレス値を受信するための第1の入力と、第2のコマンド/アドレス値を受信するための第2の入力と、遅延要素221の出力に接続された制御入力と、を有する。伝送機223は、セレクタ222の出力に接続された入力と、「C/A」とラベル付けされたコマンド/アドレス信号を供給するために対応する集積回路端子に接続された出力と、を有する。C/A回路220は、図2に示された代表的なセレクタ222及びバッファ223と同じように構成された、C/A信号グループ内の各信号に対する個別バッファのセットを含むが、代表的なC/A回路220のみが示されていることに留意されたい。
【0019】
読み取りクロック回路230は、「RX」とラベル付けされた受信バッファ231と、セレクタ232と、を含む。受信バッファ231は、「RCK」とラベル付けされた信号を受信するための対応する集積回路端子に接続された入力と、出力と、を有する。受信クロックセレクタ232は、PLL210の出力に接続される第1の入力と、受信バッファ231の出力に接続される第2の入力と、出力と、図2には示されていないモード信号を受信する制御入力と、を有する。
【0020】
データ回路240は、受信バッファ241と、ラッチ242と、遅延要素243及び244と、シリアライザ245と、伝送バッファ246と、を含む。受信バッファ241は、「DQ」と一般的にラベル付けされるデータ信号を受信する集積回路端子に接続された第1の入力と、「VREF」とラベル付けされた基準電圧を受信するための第2の入力と、出力と、を有する。ラッチ242は、受信バッファ241の出力に接続された「D」とラベル付けされた入力、クロック入力、及び、出力データ信号を提供するための「Q」とラベル付けされた出力を有するD型ラッチである。GDDR PHY116とGDDRメモリ200との間のインターフェースは、2つのデータビットを4つの公称電圧レベルのうち何れかに符号化する、「PAM4」として知られる4レベルパルス振幅変調データシグナリングシステムを実現する。したがって、受信バッファ241は、入力電圧によって4つのレベルのうち何れが示されるかを識別し、それに応じて状態を表す2つのデータビットを出力する。例えば、受信バッファ241は、4つの電圧範囲を定義するVREFに基づいて3つのスライシングレベルを生成し、3つの比較器を使用して、受信データ信号が何れの範囲に入るかを判定することができる。データ回路240は、2つのデータビットをラッチし、各ビット位置に対して複製されるラッチを含む。遅延要素243は、入力がセレクタ232の出力に接続され、出力がラッチ242のクロック入力に接続されている。遅延要素244はPLL210の出力に接続された入力と、出力と、を有する。シリアライザ245は、バーストの連続サイクルに対応する、所定のビット位置の第1のデータ値及び所定のビット位置の第2のデータ値を受信するための入力と、遅延要素244の出力に接続された制御入力と、対応するDR端子に接続された出力と、を有する。データバスの各データバイトは、バイトの各ビットに対するデータ回路240のようなデータ回路のセットを有する。この複製によって、プリント回路基板上で異なるルーティングを有する異なるデータバイトが、異なる遅延値を有することが許容される。
【0021】
書き込みクロック回路250は、遅延要素251、セレクタ252、及び、伝送バッファ253を含む。遅延要素251は、PLL210の出力に接続された入力と、出力と、を有する。セレクタ252は、第1のクロック状態信号を受信するための第1の入力、第2のクロック電圧を受信するための第2の入力、遅延要素251の出力に接続された制御入力、及び、出力を有する。伝送バッファ253は、セレクタ252の出力に接続された入力と、「WCK_t」とラベル付けされた真の書き込みクロック信号を提供するために対応する集積回路端子に接続された第1の出力と、「WCK_c」とラベル付けされた相補的な書き込みクロック信号を提供するために対応する集積回路端子に接続された第2の出力と、を有する。
【0022】
GDDRメモリ200は、概して、書き込みクロック受信機270と、コマンド/アドレス受信機280と、データ経路トランシーバ290と、を含む。書き込みクロック受信機270は、受信バッファ271、バッファ272、分周器273、バッファ/ツリー274、及び、分周器275を含む。受信バッファ271は、WCK_t信号を受信するGDDRメモリ200の集積回路端子に接続された第1の入力と、WCK_c信号を受信するGDDRメモリ200の集積回路端子に接続された第2の入力と、出力と、を有する。図2に示される例では、受信バッファ271の出力は、8GHzの公称周波数を有するクロック信号である。バッファ272は、受信バッファ271の出力に接続された入力と、出力と、を有する。分周器273は、バッファ272の出力に接続された入力と、4GHzの公称周波数を有する分周クロックを提供するための出力と、を有する。分周器275は、バッファ/ツリー274の出力に接続された入力と、2GHzの公称周波数を有する「CK4」とラベル付けされたクロック信号を提供するための出力と、を有する。
【0023】
コマンド/アドレス受信機280は、受信バッファ281及びスライサ282を含む。受信バッファ281は、C/A信号を受信するGDDRメモリ200の対応する集積回路端子に接続された第1の入力と、VREFを受信するための第2の入力と、出力と、を有する。C/A入力信号は、2つの論理状態レベルを有する通常のバイナリ信号として受信され、非ゼロ復帰(non-return-to-zero、NRZ)信号符号化とみなされる。スライサ282は、各々が受信バッファ281の出力に接続されたD入力と、分周器275の出力のうちの対応する出力を受信するためのクロック入力と、対応するC/A信号を提供するためのQ出力と、を有する2つのデータラッチのセットを有する。PAM4ドライバ215も「ERR」というラベル付きで含まれており、更に以下で説明されるようにコマンド及びアドレス(Command and Address、CA)のパリティと書き込みCRC情報を提供する。
【0024】
データ経路トランシーバ290は、シリアライザ291、伝送機292、シリアライザ293、伝送機294、受信バッファ295、及び、スライサ296を含む。シリアライザ291は、第1の読み出しクロックレベルを受信するための入力、第2の読み出しクロックレベルを受信するための第2の入力、バッファ/ツリー274の出力に接続された選択入力、及び、出力を有する。伝送機292は、シリアライザ293の出力に接続された入力と、GDDRメモリ200のRCK端子に接続された出力と、を有する。シリアライザ293は、第1の読み出しデータ値を受信するための入力と、第2のデータ値を受信するための第2の入力と、バッファ/ツリー274の出力に接続された選択入力と、GDDRメモリ200のDQ端子に接続された出力と、を有する。伝送機294は、シリアライザ293の出力に接続された入力と、GDDRメモリ200の対応するDQ端子に接続された出力と、を有する。受信バッファ295は、GDDRメモリ200の対応するDQ端子に接続された第1の入力と、VREF値を受信するための第2の入力と、出力と、を有する。スライサ296は、受信バッファ295の出力に接続されたD入力と、バッファ/ツリー274の出力に接続されたクロック入力と、対応するDQ信号を提供するためのQ出力と、を各々が有する4つのデータラッチのセットを有する。
【0025】
インターフェース260は、GPU110ダイのボンドパッドから、パッケージインピーダンスを通ってパッケージ端子へ、プリント回路基板上のトレースを通ってGDDRメモリ200のパッケージ端子へ、パッケージインピーダンスを通ってGDDRメモリ200ダイのボンドパッドへルーティングされる物理接続のセットを含む。
【0026】
図3は、いくつかの実施形態による、システムオンチップ(system-on-chip、SOC)上の物理層(PHY)回路の一部、及び、DRAM上の関連する回路を示すメモリシステム300の一部分を示すブロック図である。メモリシステム300の図示された部分は、PAM4ドライバ215、PAM4受信機216、トレーニング制御回路310、エラーモードレジスタ320、並びに、「CTRL/CA PARITY/CRC」とラベル付けされた制御、コマンド/アドレスパリティ及び巡回冗長検査回路330を含む。
【0027】
この実施形態ではPAM4ドライバが示されているが、本明細書の技術は、3つ以上のPAMレベル、例えば、PAM3、PAM4、PAM6、PAM8ドライバ及び受信機を有するPAMシグナリングに適用可能である。
【0028】
メモリシステム300の図示された部分は、図2に示される図示されたGDDR PHY-DRAMリンク等のマルチレベルPAMシグナリングを採用するGDDRメモリに準拠するDRAMとともに使用するのに好適である。PAM4ドライバ215は、この実施形態では、ホストSOCへのメモリバスを介して、GDDR PHYの「ERR」ピン上に信号を送る(ドライブする)。PAM4ドライバ215は、「DIN<1:0>」とラベル付けされた2ビット信号を受信する入力と、「ERR(PAM4)」とラベル付けされたERRピンに接続された出力と、を有する。ERRピンは、GDDR DRAMによって非同期的に送られるPAM4信号をホストシステムオンチップ(SOC)に搬送し、CTRL/CA PARITY/CRC回路330によって提供されるコマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込みCRC情報をホストSOCに通信する。
【0029】
PAM4受信機216は、DRAMに結合するためのホストSOCのPHY回路の一部である。PAM4受信機216は、PHYのERRピンに接続された入力と、基準電圧「VR_L3」を受信する第2の入力と、基準電圧「VR_L2」を受信する第3の入力と、基準電圧「VR_L1」を受信する第4の入力と、を有する。PAM4受信機216は、「A01」、「A02」及び「A03」とラベル付けされた3つの入力を有するデコーダ回路302と、3つのサブ受信機回路304、306、308と、を含み、各サブ受信機回路は、デコーダ回路302のそれぞれの入力に結合された出力と、PAM4受信機216の第1の入力に接続された第1の入力と、基準電圧VR_L3、VR_L2、VR_L1のそれぞれ1つを受信するように接続された第2の入力と、を含む。各サブ受信機は、その入力における基準電圧を、ERRピンを介して受信された電圧と比較し、ERR電圧が基準電圧よりも高い場合に「1」を出力し、ERR電圧が基準電圧よりも低い場合に「0」を出力する電圧比較器として実装される。
【0030】
PAM4方式は、データ伝送帯域幅が所与のクロック速度に対して2倍になることを許容するが、PHYの様々なビットレーンのトレーニングを、2つのシグナリングレベルを採用した従来のPHYビットレーンのトレーニングよりも困難にする。したがって、GDDR PHY116(例えば、図2、241、246、294、295)において採用される様々なDQドライバ及び受信機のためのトレーニングは、2レベルシグナリングとインターフェースするGDDR PHYのためのトレーニングよりも長く複雑である。トレーニング制御回路310は、PAM4ドライバ215及びPAM4受信機216のための簡略化されたPAMトレーニングプロセスを制御するためのデジタルロジックを含む。トレーニング制御回路310は、PHYデジタル制御ロジック(図示せず)への接続と、この実施形態ではモードレジスタセット(mode register set、MRS)コマンドインターフェースを通した、DRAM上のエラーモードレジスタ320への通信接続と、を含む。
【0031】
DRAM上のエラーモードレジスタ320は、GDDRコマンドインターフェースを通してMRSプログラミングコマンドでプログラムすることができ、概して、CTRL/CA PARITY/CRC回路330及びその関連するPAM4ドライバ215の動作モードを制御するための値を保持する。CTRL/CA PARITY/CRC回路330は、エラーモードレジスタ320に接続された入力と、パリティ及びCRC情報を作り出すための制御及びCAデータを受信するための入力(図示せず)と、DIN<1:0>信号を提供するためのPAM4ドライバ215に接続された出力と、を有する。
【0032】
動作では、PAM4受信機216は非同期的にデータを受信する、すなわち、データはRCKを参照せずに非同期的に受信される。この実施形態では、PAM4ドライバ215は、GDDR PHY116のDQ線のために使用されるレートよりも低いレートである4Gbpsのレートでデータを伝送する。したがって、PAM4受信機216のためのリンクトレーニングは、DQ線のために採用されるものよりも効率的で簡略化されたバージョンで提供される。トレーニング制御回路310は、エラーモードレジスタ320をプログラムして、CTRL/CA PARITY/CRC回路330を、図4に関して更に説明するように、簡略化されたトレーニングプロセスを実施するための様々なモードにする。この実施形態では、トレーニング制御回路310が選択可能なERR関連モードレジスタ状態として、通常モード(CTRL/CA PARITY/CRC回路330が通常動作してパリティ情報を提供する)、強制「00」モード、強制「01」モード、強制「10」モード、及び、強制「11」モードがある。強制モードでは、DIN<1:0>の値、したがってPAM4ドライバ215によって送られる値は、PAM4ドライバ215が送ることができるPAMレベルのうち何れかを表す一定値に強制される。
【0033】
図4は、いくつかの実施形態による、PAM4受信機をトレーニングするためのプロセスのフロー図400を示す。図5は、図4のプロセスとともに採用され得る様々なシグナリングレベルを示す「アイ」ダイアグラム500を示す。図4及び図5の両方を参照すると、フロー図400に示されるプロセスは、DRAM又は他の揮発性メモリから信号を受信するようにトレーニングされるPAM4受信機216等のPAM4受信機のための簡略化されたトレーニングプロセスを実施するために、図2及び図3に示されるもの等の様々なGDDR PHY回路とともに使用するのに適している。
【0034】
概して、このプロセスは、ERRピントレーニングの複雑さ、例えば、システムブート中又はDRAM PHYのリセット中に実施されるトレーニングを低減するという利点を有する。理想的には、システムはERRピンのトレーニングを完全に避けるべきであるが、そのようなアプローチは、PHYのドライバと受信機回路に関連付けられたプロセス、電圧、温度変化のために、現実的でないことが多い。図示されたプロセスは、典型的なPAM4受信機のトレーニングプロセスと比較して、実現が簡単で迅速に動作する低コストのトレーニング方法を提供するという利点がある。図示されたプロセスは、概して、ホストERR受信機基準電圧(VREF)レベルをトレーニングするために、ERRピン上でDRAMデバイスによって駆動されるDCレベルを採用する。
【0035】
プロセスは、ブロック402において、ERRピンについて受信機をトレーニングすることを開始する。この例では、図示されるように、PAM4受信機が採用されるが、同様のプロセスが、例えば、PAM6又はPAM8受信機等の他のタイプのPAM受信機とともに使用され得る。
【0036】
ブロック404において、トレーニング制御回路310(図3)等の受信機制御回路は、選択されたPAM4ドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介してDRAMに命令する。この実施形態では、CTRL/CA PARITY/CRC回路330に指定された出力レベルを設定するように命令するために、強制「01」等のMRSコマンドがエラーモードレジスタ320に記憶される。他の実施形態では、例えば、所望の定常DC出力レベルのための反復値を有するビットのトレーニングパターンを送信する等のように、指定されたDC出力レベルを達成する別の方法を使用することができる。ブロック404を参照すると、MRSコマンドは、PHY上でのコマンドアドレス(CA)トレーニングの前、その後又はその間の任意の時間において発せられる可能性がある。このトレーニング時間の間、適切な基準信号レベルを確実にするために、ホストERR終了が適用されることが好ましい。
【0037】
次いで、ブロック406において、プロセスは所定の期間待機する。この待機期間の後、DRAMは、PAM4ドライバ215等のPAM4ドライバによって駆動される命令されたDC出力レベルで、ERRピンを指定されたDC状態にしたと仮定される。PAM4ドライバのDC出力レベルは、「00」、「01」、「10」、「11」とラベル付けされて図5に示されている。
【0038】
ブロック408において、プロセスは、次いで、電圧VR_L1、VR_L2、VR_L3を提供する基準電圧回路のうちそれぞれ1つの基準電圧を、電圧を電圧範囲にわたって連続的に変化させ、基準電圧を各変化後に選択されたPAM4ドライバから受け取った電圧と比較して、選択されたPAM4ドライバから受け取ったそれぞれの電圧レベルを判定することによって掃引(スウィープ)する。この実施形態では、ブロック410において示すように、受信された特定の電圧レベルを判定することは、PAM4受信機の複数のサブ受信機回路、例えばサブ受信機304、306、308のうちそれぞれ1つによって行われる。基準電圧がサブ受信機のうち選択された1つにおいて受け取った電圧を通過すると、サブ受信機は、受信された値をローからハイに(基準電圧が上方に掃引される場合)、又は、ハイからローに(基準電圧が下方に掃引される場合)変更する。この検出されたクロスオーバポイントは、ブロック414において、全ての基準電圧VR_L1、VR_L2、VR_L3を適切に設定するために保存される。
【0039】
ブロック412に示されるように、プロセスは、全てのPAMレベルに対して繰り返されるが、他の実施形態では、全てのレベルに対して繰り返される必要はない。例えば、ブロック412は、代わりに、PAMレベルの指定されたサブセットにプロセスを繰り返し得る。例えば、レベル「01」、「10」、「11」は、ブロック404~410を繰り返すことによってトレーニングされてもよく、レベル「00」は、0ボルトであると仮定され得る。
【0040】
ブロック414において、PAM4受信機の連続動作のための基準電圧レベルが、ブロック410において検出されたクロスオーバポイントに基づいて設定される。好ましくは、基準電圧は2つの周囲のクロスオーバポイントの平均として選択されるが、他の選択方法が使用され得る。これらの設定は、特定の値がPAM4受信機によって受信されたものとして認識される電圧レベルの範囲に対する「ウィンドウ」を確立する。
【0041】
PAM4受信機216(図3)がトレーニングされる例示的なシナリオでは、強制「11」コマンドがエラーモードレジスタ320にロードされ、PAM4ドライバ215に、図5に示される最高レベルである「11」レベルを出力させる。次いで、基準電圧VR_L3は、サブ受信機304が「1」の出力から「0」の出力に変わるまで、VR_L3の電圧レベルを増加させることにより、図5に示されている典型的なレベル等の指定されたレベルで開始する指定されたペースで変更され、VR_L3がERR端子で受信された実際の電圧レベルを越えたことを示す。次いで、強制「10」コマンドがロードされ、PAM4ドライバ215に「10」レベルを出力させ、VR_L2は、サブ受信機306がクロスオーバを検出するまで、指定された値から同様に掃引される。基準電圧VR_L2の電圧レベルを掃引する例が図5に示されており、図5は、VR_L2が変更される6つの異なる電圧レベル501、502、503、504、505、506を示す。電圧レベル501~506は、アイ(目)の期間中において経時的に広がって示されているが、この表示は、電圧レベルを分かりやすく示すためのものであり、基準電圧の変化及び測定の実際のタイミングは、実施形態により異なる。例えば、一実施形態では、測定はアイ(目)の同じ点において行われる。別の実施形態では、測定は、基準電圧の変更及びサブ受信機回路の出力の認識と同じ速さで行われる。各電圧レベルにおいて、プロセスは、基準電圧を、PAM4ドライバを介して受け取られた電圧と比較して、それがより高いかより低いかを判定する。この実施形態では、比較は、基準電圧についてそれぞれのサブ受信機回路(例えば、図3の306)を用いて実行される。サブ受信機回路出力がLOWからHIGHに遷移する場合、プロセスは、掃引されている基準電圧が受信電圧より高くなったことを検出している。6つの電圧レベルが示されているが、概して、受信機での使用に適した分解能において受信電圧レベルを検出するために、適切な電圧間隔で離間されたより多くの電圧レベルが使用される。例えば、電圧レベルは、基準電圧発生回路によって提供される最小の増加、又は、利用可能な最小の増加よりも大きい選択された電圧増加で、各変更とともに増加する可能性がある。
【0042】
次いで、強制「01」コマンドがロードされ、PAM4ドライバ215に「01」レベルを出力させ、VR_L1は、サブ受信機308がクロスオーバを検出するまで上方に掃引される。最後に、強制「00」コマンドも含まれてもよく、この場合、VR_L1は、クロスオーバが検出されるまで下方向に掃引される。下方掃引の場合、クロスオーバポイントは、HIGHからLOWに遷移するそれぞれのサブ受信機回路の出力によって検出され、掃引されている基準電圧が受信電圧より低くなったことを示す。「01」レベル及び「10」レベルに対して、指定されたレベルより下の基準電圧の上方掃引ではなく、指定されたレベルより上の基準電圧の下方掃引が使用され得ることが理解され得る。
【0043】
ブロック416において示すように、基準レベルが設定された後、トレーニングにおける別のオプションのステップは、位相トレーニングを実行するためにERRピンをトグルモードに設定するために、DRAMデバイス内のモードレジスタ設定をイネーブルにすることである。このようなプロセスでは、図5に示されるような「アイ」(目)の中心は、最適値が受信されるまで、PAM4受信機値が測定される位相遅延又は位相進みを調整することによって調整される。ブロック416では、ERRピンは、アイダイアグラムにおける各開口を位相トレーニングするために、通常動作におけるERRピンの予想されるトグル周波数において4レベルの全て又はサブセットを周期的に繰り返すように構成することができる。いくつかの実施形態では、そのような位相トレーニングは、特定の動作モードの下で有用である。
【0044】
ブロック418において示すように、別の任意選択のステップは、ブロック404~414において実施される効率的なレベルトレーニングプロセスに基づいて、PHY回路内の他のPAM4受信機が使用するために、ブロック414において判定された基準電圧レベルを提供することである。例えば、ブロック418は、DQ VREFレベル適応等の目的でDQ受信機(例えば、図2の241)のために、又は、DQ受信機をトレーニング又は動作させる際に使用するための初期VREFレベル設定を提供するために、VR_L1、VR_L2、VR_L3のための判定された基準電圧レベルをトレーニングプロセスに提供することを含み得る。
【0045】
本明細書に説明される基準電圧発生回路、あるいはその任意の部分を含む集積回路又は複数の集積回路は、プログラムによって読み取られて使用され得るデータベース又は他のデータ構造の形態で、コンピュータアクセス可能データ構造によって記述又は表されて、直接的に又は間接的に、集積回路を製造し得る。例えば、本データ構造は、ベリログ又はVHDL等の高位設計言語(high-level design language、HDL)におけるハードウェア機能の挙動レベル記述又はレジスタ転送レベル(register-transfer level、RTL)記述であり得る。記述は、合成ライブラリからゲートのリストを含むネットリストを生成するために記述を合成し得る合成ツールによって読み取られ得る。ネットリストは、集積回路を含むハードウェアの機能も表すゲートのセットを含む。次いで、ネットリストは、マスクに適用される幾何学的形状を記述するデータセットを生成するために配置及びルーティングされ得る。次いで、マスクを、様々な半導体製造ステップで使用して、集積回路を製造し得る。代替的に、コンピュータアクセス可能記憶媒体上のデータベースは、所望される場合、ネットリスト(合成ライブラリの有無にかかわらず)若しくはデータセット、又は、グラフィック・データ・システム(Graphic Data System、GDS)IIデータであり得る。
【0046】
特定の実施形態を説明してきたが、これらの実施形態に対する様々な修正が当業者には明らかであろう。例えば、様々なPAM4ドライバ設計が異なる数のPAMレベルとともに使用され得る。更に、効率的なトレーニングプロセスのための所望の定常値を伝送するようにPAM4ドライバに命令する様々な方法を使用し得る。開示されている技術は、高速データ伝送を使用する多種多様な集積回路に適用可能である。1つの特定の例では、一方の集積回路は、データプロセッサ、システムオンチップ(SOC)又はグラフィックス処理ユニット(GPU)である可能性があり、他方の集積回路は、DDR又はGDDR SDRAMであるが、本明細書に説明される技術は、多くの他のタイプの集積回路とともに使用することができる。また、伝送媒体は、メモリバスの物理構造に応じて実施形態間で異なる場合もあり、プリント回路基板のトレース、ボンドワイヤ、シリコン貫通ビア(through-silicon via、TSV)等を含み得る。
【0047】
したがって、添付の特許請求の範囲は、開示された実施形態の範囲内に含まれる開示された実施形態の全ての変更を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機をトレーニングするための方法であって、
少なくとも3つのパルス振幅変調(PAM)レベルで動作する選択されたPAMドライバを、指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して揮発性メモリに命令することと、
前記選択されたPAMドライバに結合された受信機回路において、前記指定された定常出力レベルに関連付けられたそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記それぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取ったそれぞれの電圧レベルを判定することと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記選択されたPAMドライバに、(i)その出力レベルの全て、及び、(ii)その出力レベルのサブセットのうち何れかを通じて予想される動作速度においてトグルするように命令することと、
前記選択されたPAMドライバがトグルしている間に、前記受信機回路の位相トレーニングを実行することと、を含む、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記選択されたPAMドライバを第2の指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して前記揮発性メモリに命令することと、
前記選択されたPAMドライバに結合された受信機回路において、前記第2の指定された定常出力レベルに関連付けられた第2のそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記第2のそれぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取った第2のそれぞれの電圧レベルを判定することと、を含む、
請求項3の方法。
【請求項4】
前記揮発性メモリに結合された追加のPAM受信機に関連付けられた2つの基準電圧のための初期レベルを、前記それぞれの電圧レベル及び前記第2のそれぞれの電圧レベルに基づいて設定することを含む、
請求項3の方法。
【請求項5】
前記選択されたPAMドライバは、コマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込み巡回冗長検査(CRC)情報をホストに提供する前記揮発性メモリの指定された出力端子に接続されており、
前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令することは、前記揮発性メモリにモードレジスタセット(MRS)コマンドを発行することによって実行される、
請求項4の方法。
【請求項6】
前記追加のPAM受信機は、前記データバスのデータ入力出力(DQ)端子用の受信機である、
請求項5の方法。
【請求項7】
前記指定された定常出力レベルに関連付けられたそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引することは、少なくとも2つのサブ受信機回路のうち何れかを選択することと、前記3つのサブ受信機回路のうち選択されたサブ受信機回路に結合された基準電圧を掃引することと、を含む、
請求項1の方法。
【請求項8】
データバスを介して揮発性メモリに結合するための物理層(PHY)回路であって、
少なくとも3つのパルス振幅変調(PAM)レベルで動作するPAM受信機と、
受信機制御回路と、を備え、
前記PAM受信機は、
デコーダ回路と、
少なくとも2つのサブ受信機回路であって、各々が、前記デコーダ回路に結合された出力と、データバス端子に結合された第1の入力と、それぞれの基準電圧回路に結合された第2の入力と、を含む、少なくとも2つのサブ受信機回路と、を備え、
前記受信制御回路は、
選択されたPAMドライバを指定された定常出力レベルを有するモードにするように、前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令し、電圧範囲にわたって前記基準電圧回路のそれぞれの1つの基準電圧を掃引し、前記基準電圧を前記選択されたPAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記選択されたPAMドライバから受信されたそれぞれの電圧レベルを判定するように動作可能である、
PHY回路。
【請求項9】
前記受信機制御回路は、
前記選択されたPAMドライバに、(i)その出力レベルの全て、及び、(ii)その出力レベルのサブセットのうち何れかを通じて予想される動作速度においてトグルするように命令し、
前記選択されたPAMドライバがトグルしている間に、前記PAM受信機の位相トレーニングを実行するように動作可能である、
請求項8のPHY回路。
【請求項10】
前記受信機制御回路は、
前記選択されたPAMドライバを第2の指定された定常出力レベルを有するモードにするように、データバスを介して前記揮発性メモリに命令し、
前記第2の指定された定常出力レベルに関連付けられた第2のそれぞれの基準電圧を電圧範囲にわたって掃引し、前記第2のそれぞれの基準電圧を前記PAMドライバから受け取った電圧と比較して、前記PAMドライバから受け取った第2のそれぞれの電圧レベルを判定するように動作可能である、
請求項8のPHY回路。
【請求項11】
前記受信機制御回路は、
前記揮発性メモリに結合された追加のPAM受信機に関連付けられた2つの基準電圧のための初期レベルを、前記それぞれの電圧レベル及び前記第2のそれぞれの電圧レベルに基づいて設定するように動作可能である、
請求項10のPHY回路。
【請求項12】
前記選択されたPAMドライバは、コマンド及びアドレス(CA)パリティ及び書き込み巡回冗長検査(CRC)情報をホストに提供する前記揮発性メモリの指定された出力端子に接続されており、
前記データバスを介して前記揮発性メモリに命令することは、前記揮発性メモリにモードレジスタセット(MRS)コマンドを発行することによって実行される、
請求項11のPHY回路。
【請求項13】
前記追加のPAM受信機は、前記データバスのデータ入力出力(DQ)端子用の受信機である、
請求項12のPHY回路。
【国際調査報告】