(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】解剖学的に特異的な整形外科用髄内脛骨釘
(51)【国際特許分類】
A61B 17/72 20060101AFI20241114BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
A61B17/72
A61B17/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527475
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(85)【翻訳文提出日】2024-06-18
(86)【国際出願番号】 US2022049780
(87)【国際公開番号】W WO2023091366
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジスク、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ワタナベ、コウスケ
(72)【発明者】
【氏名】フェイバー、ヘンリー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リッチ、ウィリアム エム.
(72)【発明者】
【氏名】トルネッタ、三世、ポール
(72)【発明者】
【氏名】サンダース、ロイ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】クリーグ、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ダニエル エス.
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ジョセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェール、ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL29
4C160LL44
(57)【要約】
患者の脛骨の内部固定のための整形外科用脛骨髄内(IM)釘は、解剖学的に特異的な脛骨IM釘が、例えば、患者の後果、靭帯結合などの特定の骨の解剖学的構造を、例えば、標的化するために使用され得るように、側面特異的であるように配設および構成される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘であって、
近位端部分および遠位端部分を含む本体であって、前記遠位端部分が、締結具を受容するように配設および構成された複数のねじ孔を含み、前記複数のねじ孔が、最も遠位の第一のねじ孔を含む、本体を備え、
前記最も遠位の第一のねじ孔は、前記遠位端部分の中央長軸方向軸に対して上下方向に角度付けられる、解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項2】
前記最も遠位の第一のねじ孔は、角度αであって、約10度である角度αによって角度付けられ、その結果、前記最も遠位の第一のねじ孔内に位置決めされた第一のねじは、患者の後果を標的化することができる、請求項1に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項3】
前記遠位端部分に形成された前記複数のねじ孔は、前記本体の遠位端から位置決めされた第二、第三、および第四のねじ孔をさらに含む、請求項1および2のいずれかに記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項4】
前記第二のねじ孔および前記第四のねじ孔は、互いに実質的に平行に延在する、請求項3に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項5】
前記第二のねじ孔および前記第四のねじ孔は、原位置で前後平面に実質的に平行に延在する、請求項3および4に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項6】
前記最も遠位の第一のねじ孔は、第二および第四のねじ孔に対して角度∞だけ角度付けられ、前記角度∞は、約±62.5度である、請求項3、4、および5に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項7】
前記第三のねじ孔は、第二および第四のねじ孔に対して角度Ωだけ角度付けられ、前記角度Ωは、約±30度である、請求項3、4、5、および6に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項8】
前記近位端部分は、締結具を受容するように配設および構成された複数のねじ孔を含み、前記複数のねじ孔が、最も近位の第一のねじ孔を含み、
前記最も近位の第一のねじ孔は、上下方向に下向き角度である角度μを含む、請求項1~7のいずれかに記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項9】
前記角度μは、約10度である、請求項8に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項10】
前記近位端部分は、前記本体の近位端から位置決めされた第二のねじ孔をさらに含み、前記第一および第二のねじ孔が、実質的に同一レベルまたは平面で患者の脛骨の外面から出るように配設および構成される、請求項8および9に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項11】
前記第二のねじ孔は、前記近位端部分の中央長手方向軸に実質的に垂直である、請求項10に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項12】
前記近位端部分は、前記本体の前記近位端から位置決めされた第三および第四のねじ孔をさらに含む、請求項10および11に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項13】
前記複数のねじ孔のうちの一つ以上は、スロット付き孔として配設および構成される、請求項12に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項14】
前記第三のねじ開口部は、スロット付き孔として配設および構成される、請求項12に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項15】
前記最も近位の第一のねじ孔および前記第二のねじ孔は、前記第三のねじ孔に対して、それぞれ角度§
1、§
2だけ角度付けられる、請求項12~14に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項16】
前記角度§
1、§
2は、約±47.5度である、請求項15に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項17】
前記角度§
1は、前記角度§
2とは異なり、前記角度§
1は、約±44度であり、角度§
2は、約±47.5度である、請求項15に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項18】
前記第四のねじ孔は、角度£だけ上下方向に角度付けられ、前記角度£は、約±5度である、請求項12~17に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項19】
前記第四のねじ孔は、前記第三のねじ孔に対して、角度Σだけ角度付けられ、前記角度Σが、約±25度、約±35度、および約±40度のうちの一つから選択される、請求項18に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項20】
前記近位端領域は、第五のねじ孔を含む、請求項12~19に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項21】
前記第五のねじ孔は、前記第三のねじ孔に平行である、請求項20に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項22】
前記第三のねじ孔および前記第五のねじ孔は、前記第三のねじ孔と前記第五のねじ孔との間に位置決めされた前記第四のねじ孔によって互いに分離される、請求項20および21に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項23】
解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘であって、
近位端部分および遠位端部分を含む本体であって、前記近位端部分が、締結具を受容するように配設および構成された複数のねじ孔を含み、前記複数のねじ孔が、最も近位の第一のねじ孔を含む、本体を備え、
前記最も近位の第一のねじ孔は、上下方向に下向き角度である角度μを含む、解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項24】
前記角度μは、約10度である、請求項23に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項25】
前記近位端部分は、前記本体の近位端から位置決めされた第二のねじ孔をさらに含み、前記第一および第二のねじ孔が、実質的に同一レベルまたは平面で患者の脛骨の外面から出るように配設および構成される、請求項23および24に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項26】
前記第二のねじ孔は、前記近位端部分の中央長手方向軸に実質的に垂直である、請求項25に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項27】
前記近位端部分は、前記本体の前記近位端から位置決めされた第三および第四のねじ孔をさらに含む、請求項25および26に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項28】
前記複数のねじ孔のうちの一つ以上は、スロット付き孔として配設および構成される、請求項27に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項29】
前記第三のねじ開口部は、スロット付き孔として配設および構成される、請求項27に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項30】
前記最も近位の第一のねじ孔および前記第二のねじ孔は、前記第三のねじ孔に対して、それぞれ角度§
1、§
2だけ角度付けられる、請求項27~29に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項31】
前記角度§
1、§
2は、約±47.5度である、請求項30に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項32】
前記角度§
1は、前記角度§
2とは異なり、前記角度§
1は、約±44度であり、角度§
2は、約±47.5度である、請求項30に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項33】
前記第四のねじ孔は、角度£だけ上下方向に角度付けられ、前記角度£は、約±5度である、請求項27~32に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項34】
前記第四のねじ孔は、前記第三のねじ孔に対して、角度Σだけ角度付けられ、前記角度Σが、約±25度、約±35度、および約±40度のうちの一つから選択される、請求項33に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項35】
前記近位端領域は、第五のねじ孔を含む、請求項27~34に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項36】
前記第五のねじ孔は、前記第三のねじ孔に平行である、請求項35に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項37】
前記第三のねじ孔および前記第五のねじ孔は、前記第三のねじ孔と前記第五のねじ孔との間に位置決めされた前記第四のねじ孔によって互いに分離される、請求項35および36に記載の解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項38】
患者の右脛骨および患者の左脛骨の一方内に移植されるが、前記患者の右脛骨および左脛骨の他方には移植されないように配設および構成される、解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘。
【請求項39】
患者の後果骨折を治療する方法であって、
対応する側面特異的な脛骨IM釘を、前記骨折の部位に応じて、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択すること、
前記選択された側面特異的な脛骨IM釘を、前記患者の髄内管に移植すること、および
前記患者の後果骨折を標的化する締結具を、前記側面特異的な脛骨IM釘の遠位端部分に形成されたねじ孔を通って挿入すること、を含む、方法。
【請求項40】
患者の靭帯結合の骨折を治療する方法であって、
対応する側面特異的な脛骨IM釘を、前記骨折の部位に応じて、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択すること、
前記選択された側面特異的な脛骨IM釘を、前記患者の髄内管に移植すること、および
前記患者の靭帯結合の骨折を標的化する締結具を、前記側面特異的な脛骨IM釘の遠位端部分に形成されたねじ孔を通って挿入すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月16日出願の「Anatomic Specific Orthopedic Intramedullary Tibial Nails」と題された係属中の米国仮特許出願第63/279,906号の非仮出願であり、その利益を主張するものであって、その出願の全体は、参照により、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一つ以上の患者の骨、骨部分、骨断片などを安定化するための整形外科用髄内(IM)釘に関し、より具体的には、神経、血管、腱などの解剖学的構造を回避しながら、例えば、患者の後果などの特定の骨の解剖学的構造を標的化するために、患者の脛骨内に移植されるように配設および構成された解剖学的に特異的な脛骨IM釘に関する。さらに、解剖学的に特異的な脛骨IM釘は、ねじの位置決めを改善するように配設および構成される。
【背景技術】
【0003】
整形外科用固定装置(インプラント)は、例えば、損傷を安定化し、骨折部を支持し、関節を癒合し、および/または変形を矯正するために使用され得る。整形外科用インプラントは、常設的または一時的に取り付けられ得、骨の管または他の空洞内に移植され、軟部組織の下に移植され、骨の外面に取り付けられ、または外部に配置され、ねじ、ピン、および/またはワイヤなどの締結具によって取り付けられることを含め、様々な箇所で骨に取り付けられ得る。一部の整形外科用固定装置により、二つ以上の骨片、または二つ以上の骨の位置および/または配向が互いに対して調整可能になる。整形外科用固定装置は、一般的に、例えば、チタン、チタン合金、ステンレス鋼、コバルトクロム合金、およびタンタルを含む金属などの等方性材料から機械加工または成形される。
【0004】
髄内(IM)釘は、一種の整形外科用固定装置である。IM釘の主な機能は、骨折断片を安定化し、それによって、骨の解剖学的アライメントを維持しながら、骨折部位にわたり荷重伝達を可能にすることである。現在、多数の異なる市販のIM釘が入手できる。
【0005】
既知の種類のIM釘は、脛骨IM釘である。脛骨IM釘は、患者の脛骨の髄管に挿入されるように配設および構成される。使用時に、脛骨IM釘の近位端部分は、脛骨プラトーを貫通することなく、脛骨プラトーの近くの適切な断片固定を可能にする必要がある。さらに、使用時に、脛骨IM釘の遠位端部分を固定することは、神経、血管、腱などの解剖学的構造を避けるべきである。
【0006】
現在の脛骨IM釘の欠点の一つは、側面非依存的であるように設計および構成されていることである。すなわち、現在の脛骨IM釘は、互いに同一である(例えば、現在の脛骨IM釘は、患者の右脛骨または左脛骨内に移植されているか否かにかかわらず、同一である)。つまり、現在まで、鏡像の脛骨釘は存在せず、二本の釘を、完璧な嵌合で互いに重ね合わせができない。結果として、患者の脛骨内またはそれに隣接した特定の骨の目印を標的化することは、ほぼ不可能である。例えば、現在の脛骨IM釘が、患者の左脛骨の特定の目印を標的化するために使用される場合、患者の右脛骨に移植された同一の脛骨IM釘は、目印を標的化することができなくなるであろう。
【0007】
したがって、例えば、現在の脛骨IM釘は、患者の後果を標的化することができない。一般的に、後果骨折は、螺旋型の骨折であるため、X線検出されない場合があり、治療が不十分となる。さらに、後果骨折は、検出された場合でも、治療が困難である。現在の脛骨IM釘は、後果骨折を標的化することができない。結果として、後果骨折は、別個の処置として指定される、骨プレートおよび/またはねじを使用して、典型的に治療される。脛骨IM釘の遠位端部分が、後果骨折の固定を可能にすることは、有益であろう。
【0008】
また脛骨IM釘の遠位端部分が、靭帯結合にわたる固定を可能にすることは、有益であろう。繰り返しになるが、現在の脛骨IM釘は、患者の腓骨への靭帯結合にわたる固定に適切に適応しない。繰り返しになるが、現在の脛骨IM釘は、側面に無関係であるため、側面特異的な固定点を収容するには不十分なねじ軌道を有する。結果として、現在の脛骨IM釘は、両肢の靭帯結合にわたる固定を可能にしない(例えば、現在の脛骨IM釘が、例えば、患者の左脛骨などの一肢の靭帯結合にわたる固定を可能にするねじ軌道を含む場合、脛骨IM釘は、例えば、患者の右脛骨などの対側肢の靭帯結合にわたる固定を可能にしないであろう、つまり、現在の脛骨IM釘は、両肢における標的を可能にしない)。
【0009】
最後に、固定に使用されるねじの駆動端が、患者に刺激を引き起こす可能性があるため、ねじが骨から過度に突出しないように挿入され得るように、任意の脛骨IM釘が配設および構成されることは、有益であろう。
【0010】
したがって、骨の内部固定のための改善された整形外科用脛骨IM釘を提供する必要性が依然として存在する。本開示は、これらのニーズを満たし、新規かつ自明でない様式で、他の利益および利点を提供する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の概要は、以下の発明を実施するための形態でさらに説明される、簡略化された形態における一連の概念を導入するために提供される。本発明の概要は、特許請求の範囲の主題の主要な特徴または基本的な特徴を識別することを意図しておらず、特許請求の範囲の主題の範囲を決定するための一助としても意図されない。
【0012】
解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘が、開示される。一部の実施例では、脛骨IM釘は、本体、近位端部分、および遠位端部分を含む。遠位端部分は、締結具を受容するように配設および構成された複数のねじ孔を含む。複数のねじ孔は、最も遠位の第一のねじ孔を含む。最も遠位の第一のねじ孔は、遠位端部分の中央長手方向軸に対して上下方向に角度付けられる、または傾斜している。一部の実施例では、最も遠位の第一のねじ孔は、角度αであって、約10度である角度αによって角度付けられ得、または傾斜され得、その結果、最も遠位の第一のねじ孔内に位置決めされた第一のねじは、患者の後果または他の骨の解剖学的構造を標的化することができる。
【0013】
任意の先行または後続の実施例では、遠位端部分に形成された複数のねじ孔は、本体の遠位端から位置決めされた第二、第三、および第四のねじ孔をさらに含む。
【0014】
任意の先行または後続の実施例では、第二のねじ孔および第四のねじ孔は、互いに実質的に平行に延在する。一部の実施例では、第二のねじ孔および第四のねじ孔は、原位置で前後平面に実質的に平行に延在する。
【0015】
任意の先行または後続の実施例では、最も遠位の第一のねじ孔は、内側-外側方向に角度∞だけ角度付けられ得る。一部の実施例では、角度∞は、前後平面から(または第二および第四のねじ孔に対して)約±70度である。一部の実施例では、角度∞は、前後平面から(または第二および第四のねじ孔に対して)約±62.5度である。
【0016】
任意の先行または後続の実施例では、第三のねじ孔は、内側-外側方向に角度Ωだけ角度付けられ得る。任意の先行または後続の実施例では、角度Ωは、前後平面から(または第二および第四のねじ孔に対して)約±30度である。
【0017】
解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘が、開示される。一部の実施例では、脛骨IM釘は、本体、近位端部分、および遠位端部分を含む。近位端部分は、締結具を受容するように配設および構成された複数のねじ孔を含む。複数のねじ孔は、最も近位の第一のねじ孔を含む。最も近位の第一のねじ孔は、上下方向に角度μの下向き角度または傾斜を含む。一部の実施例では、角度μは、約10度である。
【0018】
任意の前述または後続の実施例では、近位端部分は、本体の近位端から位置決めされた第二のねじ孔をさらに含む。一部の実施例では、第一および第二のねじ孔は、実質的に同じレベルまたは平面で患者の脛骨の外面から突出、交差、退出などするように配設および構成される。一部の実施例では、第二のねじ孔は、近位端部分の中央長手方向軸に対して実質的に直角を成す。
【0019】
任意の先行または後続の実施例では、近位端部分は、本体の近位端から位置決めされた第三および第四のねじ孔をさらに含む。
【0020】
任意の先行または後続の実施例では、複数のねじ孔のうちの一つ以上は、スロット付き孔として配設および構成される。
【0021】
任意の先行または後続の実施例では、第三のねじ開口部は、スロット付き孔として配設および構成される。
【0022】
任意の先行または後続の実施例では、第三のねじ孔は、実質的に、原位置で内側-外側方向に延在する。
【0023】
任意の先行または後続の実施例では、最も近位の第一のねじ孔および第二のねじ孔は、内側-外側平面内でそれぞれ角度§1、§2だけ角度付けられ、それ故に、第三のねじ孔に対して角度付けられる。一部の実施例では、角度§1、§2は、同一である。一部の実施例では、角度§1、§2は、約±47.5度である。一部の実施例では、角度§1は、角度§2とは異なる。一部の実施例では、角度§1は、約±44度であり、角度§2は、約±47.5度である。
【0024】
任意の先行または後続の実施例では、第四のねじ孔は、角度£だけ上下方向に角度付けられる、または傾斜している。一部の実施例では、角度£は、約±5度である。
【0025】
任意の先行または後続の実施例では、第四のねじ孔は、内側-外側平面内で角度付けられ、したがって、第三のねじ孔に対して角度Σだけ角度付けられる。一部の実施例では、角度Σは、約±25度である。あるいは、一部の実施例では、角度Σは、約±35度である。あるいは、一部の実施例では、角度Σは、約±40度である。
【0026】
任意の先行または後続の実施例では、近位端領域は、第五のねじ孔を含む。
【0027】
任意の先行または後続の実施例では、第五のねじ孔は、内側-外側平面に延在し、それ故に、第三のねじ孔に平行である。一部の実施例では、第三のねじ孔および第五のねじ孔は、第三のねじ孔と第五のねじ孔との間に位置決めされた第四のねじ孔によって互いに分離される。
【0028】
一部の実施例では、解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘が開示される。解剖学的に側面特異的な脛骨IM釘は、患者の右脛骨および患者の左脛骨の一方に移植されるように配設および構成されているが、患者の右脛骨および左脛骨の他方には移植されていない。
【0029】
一部の実施例では、脛骨IM釘のキットまたはセットが開示される。一部の実施例では、キットまたはセットは、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘を含み、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘は、互いに鏡像である。すなわち、脛骨IM釘のキットまたはセットは、側面特異的な解剖学的脛骨IM釘の相互のセットを含み、一つの脛骨IM釘は、患者の左脛骨への移植のために配設および構成され、脛骨IM釘のうちの一つは、患者の右脛骨への移植のために配設および構成される。
【0030】
一部の実施例では、患者の後果骨折を治療する方法が開示される。一部の実施例では、本方法は、側面特異的な脛骨IM釘を、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択すること、選択された脛骨IM釘を、患者の髄内管に挿入すること、および患者の後果骨折を、選択された脛骨IM釘の遠位端部分に形成されたねじ孔を通って挿入された締結具を介して、標的化すること、を含む。例えば、一部の実施例では、患者の後果骨折を治療する方法は、対応する側面特異的な脛骨IM釘を、骨折部位に応じて、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択すること、選択された側面特異的な脛骨IM釘を、患者の髄内管内に移植すること、および患者の後果骨折を標的化する締結具を、側面特異的な脛骨IM釘の遠位端部分に形成されたねじ孔を通って挿入すること、を含む。
【0031】
一部の実施例では、患者の靭帯結合を治療する方法が開示される。一部の実施例では、本方法は、側面特異的な脛骨IM釘を、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択すること、選択された脛骨IM釘を、患者の髄内管に挿入すること、および患者の靭帯結合を、選択された脛骨IM釘の遠位端部分に形成されたねじ孔を通って挿入された締結具を介して、標的化すること、を含む。例えば、患者の靭帯結合の骨折を治療する方法は、対応する側面特異的な脛骨IM釘を、骨折部位に応じて、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択すること、選択された側面特異的な脛骨IM釘を、患者の髄内管内に移植すること、および患者の靭帯結合の骨折を標的化する締結具を、側面特異的な脛骨IM釘の遠位端部分に形成されたねじ孔を通って挿入すること、を含む。
【0032】
本開示の例示的な実施形態は、多数の利点を提供する。例えば、脛骨IM釘を、解剖学的に特定の構成で設計および提供することによって、脛骨IM釘は、例えば、患者の後果骨折、靭帯結合などの特定の骨の解剖学的構造を標的化するように配設および構成され得、これは、これまで脛骨IM釘では不可能であった。
【0033】
本開示の例示的な実施形態の少なくとも一部のさらなる特徴および利点、ならびに本開示の様々な例示的な実施形態の構造および動作が、添付図面を参照しながら、以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
例として、開示される装置の特定の実施例を、以下の添付図面を参照することで、ここに説明する。
【0035】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一つ以上の特徴に係る、脛骨髄内(IM)釘の実施例の斜視図であり、脛骨IM釘が、患者の左脛骨内に移植されて示される。
【0036】
【0037】
【
図2】
図2は、
図1Aに示す脛骨IM釘の遠位端部分または領域の詳細な斜視図である。
【0038】
【
図3】
図3は、
図1Aに示す脛骨IM釘の遠位端部分または領域の上面図である。
【0039】
【
図4】
図4は、
図1Aに示す脛骨IM釘の近位端部分または領域の詳細な斜視図である。
【0040】
【
図5】
図5は、
図1Aに示す脛骨IM釘の近位端部分または領域の上面図である。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【
図9】
図9は、本開示の一つ以上の特徴に係る、脛骨IM釘の代替の実施例を示す。
【0045】
【
図10A】
図10Aおよび
図10Bは、
図1Aに示す脛骨IM釘の遠位端部分または領域に形成された第一のねじ孔を通って挿入されたねじの様々な図を示し、ねじが、本開示の一つ以上の特徴に係る、患者の後果を標的化するために使用される。
【0046】
【
図11A】
図11Aおよび
図11Bは、
図1Aに示す脛骨IM釘の遠位端部分または領域に形成された代替のまたは第三のねじ孔を通って挿入されたねじの様々な図を示し、ねじが、本開示の一つ以上の特徴に係る、患者の靭帯結合を標的化するために使用される。
【0047】
図面が必ずしも正確な縮尺ではなく、開示された実施例が、図式的および部分的な図で例示される場合があることは、理解されるべきである。特定の事例では、開示された方法および装置の理解に必要ではない、または他の詳細を知覚困難にする詳細は、省略され得る。本開示が、本明細書に例示される特定の実施例に限定されないことは、さらに理解されるべきである。図面では、同様の数字は、別段の記載がない限り、全体を通して同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
ここで、IM釘の様々な特徴または類似のものを、IM釘の一つ以上の特徴を示し説明する、添付図面を参照して、以下でより完全に説明する。様々な特徴または類似のものが、互いに独立して、または組み合わせて使用され得ることは、理解されるべきである。本明細書に開示されるIM釘が、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に示す実施例に限定されるものとして解釈されるべきではないことは、理解されよう。むしろ、これらの実施例は、本開示がIM釘の特定の特徴を当業者に伝達するように、提供される。
【0049】
本明細書では、患者の脛骨の髄管内に移植されるように配設および構成された一つ以上の特徴を含む様々なIM釘が開示される。本明細書でより詳細に説明するように、様々な実施例では、脛骨IM釘は、解剖学的に特異的であるように配設および構成される(例えば、脛骨IM釘は、患者の左脛骨または患者の右脛骨のいずれかであって、両方ではない、に位置決めされるように配設および構成される一つ以上の特徴を含む)。これは、現在市販の脛骨IM釘とは対照的であり、左右両方の脛骨に移植されるように配設および構成される。このように配置されると、側面特異的な脛骨IM釘を設計することによって、脛骨IM釘の遠位端が、例えば、患者の後果、靭帯結合などの一つ以上の特定の骨目印を標的化するように配設および構成され得る一方、脛骨IM釘の近位端は、患者の脛骨の後方内側および後方外側の角または部分を標的化するように配設および構成され得る。
【0050】
図1Aおよび
図1Bに示すとおり、本開示の一つ以上の特徴に係る、側面特異的な脛骨IM釘100の実施例を示す。図示のように、左側脛骨IM釘100は、患者の左脛骨Bの髄内管内に移植されて示される。右側脛骨IM釘は、示される左側脛骨IM釘の鏡像であろう。使用時、前述のように、脛骨IM釘100は、患者の脛骨の髄管に移植されるように配設および構成される。図示のように、側面特異的な脛骨IM釘100は、例えば、カニューレ状本体などの本体102を含む。本体102は、近位端部分または領域110および遠位端部分または領域130(用語である部分または領域は、限定または区別する意図なしに、本明細書で互換的に使用される)を含む。
【0051】
一般的に図示のように、遠位端部分130は、湾曲または屈曲を含み得る。一部の実施例では、湾曲または屈曲は、脛骨IM釘100の遠位先端から約60mmで始まる、後方から前方へ来る、前後方向に約2度であり得るが、これは、一つの構成に過ぎず、他の構成も想定される。
【0052】
図9をさらに参照すると、一部の実施例では、近位端部分110は、湾曲または屈曲を含み得る。一部の実施例では、湾曲または屈曲は、後方から前方に来て、脛骨IM釘100の近位端から約27mmに位置して、前後方向に約10度の角度を介して、近位に延在し得るが、これは一つの構成に過ぎず、他の構成も想定される。
【0053】
本開示の一つ以上の特徴によれば、側面特異的なIM釘を提供することによって、近位端部分110および遠位端部分130はまた、内側-外側平面に湾曲または屈曲を含み得る(例えば、近位端部分110および遠位端部分130は、前後平面の湾曲または屈曲に加えて、またはそれの代替として、内側-外側平面内またはその外に湾曲または屈曲を含み得る)。湾曲または屈曲を、内側-外側平面に提供することによって、IM釘は、近位部分に対する遠位部分の脛骨の固有回転をより良好に対処することができる。
【0054】
一部の実施例では、近位端部分110は、釘キャップを結合または受容するように配設および構成され得る。一部の実施例では、釘キャップは、0mm~20mmで始まる5mmの増分で一組として提供され得るが、これは、一つの構成に過ぎず、他の構成も想定される。
【0055】
図2をさらに参照すると、遠位端部分130は、締結具、ねじなど(限定する意図なしに、本明細書で互換的に使用される用語)を原位置で受容するように配設および構成された複数のねじ開口部、孔など132(限定する意図なしに、本明細書で互換的に使用される用語)を含む。一部の実施例では、複数のねじ孔132は、ねじ込まれ得る。あるいは、ねじ孔は、ねじ山無し、または、ねじ山付き孔とねじ山無し孔との何らかの組み合わせであり得、または現在公知もしくは今後開発される任意の他の構成を有し得る。図示のように、一部の実施例では、遠位端部分130が、第一、第二、第三、および第四のねじ孔132A、132B、132Cおよび132Dを含むが、より多くのまたはより少ないねじ孔は、組み込まれ得る。
【0056】
本開示の一つ以上の特徴によれば、側面特異的な脛骨IM釘100は、遠位端部分130の中央長手方向軸に対して上下方向に角度付けまたは傾斜している、最も遠位の第一のねじ孔132Aを含む。このように配置されると、使用時に、ねじは、最も遠位の第一のねじ孔132A内、および患者の後果または他の骨の解剖学的構造内に挿入され得る。例えば、最も遠位の第一のねじ孔132Aは、角度αを有し得る。一部の実施例では、角度αは、遠位端部分130の中央長手方向軸に対して8度~15度、好ましくは、およそ10度であってもよい。したがって、
図10Aおよび
図10Bをさらに参照すると、ねじ150は、IM釘100の遠位端部分130に形成された第一のねじ孔132Aを通って、患者の後方果部に直接挿入され得る。繰り返しになるが、これは、例えば、患者の後果などの患者特異的骨の解剖学的構造の標的化を可能にすることはできない(例えば、現在の脛骨IM釘の最も遠位の第一のねじ孔は、現在の脛骨IM釘が患者の左脛骨および右脛骨の両方に移植されるように設計されているため、およそ10度の角度で角度付けされ得ない)、現在の脛骨IM釘とは対照的である。このように配置されると、使用時に、IM釘100は、患者の後果骨折を治療するために使用され得る。一部の実施例では、使用時に、外科医は、対応する側面特異的な脛骨IM釘を、骨折部位(例えば、患者の右脛骨または左脛骨のいずれか)に応じて、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択し得る。その後、外科医は、選択された脛骨IM釘を、患者の髄内管内に移植または挿入し、締結具またはねじ150を、IM釘100の遠位端部分130に形成された第一のねじ孔132Aを通って挿入することによって、患者の後果骨折を標的化し得る。
【0057】
患者の脛骨内に移植された脛骨IM釘100の上面図(例えば、近位から遠位に向かって見たとき)を示す
図3をさらに参照すると、一部の実施例では、第二のねじ孔132Bおよび第四のねじ孔132D(例えば、遠位端から二番目に位置決めされたねじ孔および脛骨IM釘100の遠位端から最も近位のねじ孔)は、原位置で前後平面に実質的に平行に延在し得る。このように配置されると、第二のねじ孔132Bおよび第四のねじ孔132Dは、互いに、および前後平面に平行であり得る。使用時に、第二および第四のねじ孔132B、132Dを互いに平行に、かつ前後平面に平行に配置することによって、第二および第四のねじ孔132B、132Dは、例えば、蛍光透視法を使用して、ねじ孔132B、132Dを自由に標的化することなどの、より容易な標的化を提供するように配向され、これは、特に単純なシャフト破断に対してより迅速な外科手術時間を可能にする。あるいは、第二のねじ孔132Bおよび第四のねじ孔132Dが、前後平面に対して角度βで提供され得ることは想定される。一部の実施例では、角度βは、特定の量の脛骨ねじりを考慮するために、0度~15度であってもよい。しかしながら、前述したように、一部の実施例では、角度βは、0度であることが好ましい。
【0058】
さらに、一部の実施例では、最も遠位の第一のねじ孔132Aは、内側-外側方向に角度付けられ得る。例えば、最も遠位の第一のねじ孔132Aは、角度∞だけ角度付けられ得る。一部の実施例では、角度∞が、前後平面から(または第二および第四のねじ孔132B、132Dに対して)、約±60度~約±80度、好ましくは、約±70度、より好ましくは、約±62.5度であり得るが、他の角度も使用してもよい。繰り返しになるが、患者の後果の標的化を促進し、患者の靭帯結合を回避する。
【0059】
さらに、図示のように、一部の実施例では、第三のねじ孔132C(例えば、脛骨IM釘100の遠位端から三番目に位置決めされたねじ孔)は、内側-外側方向に角度付けられ得る。例えば、第三のねじ孔132Cは、角度Ωだけ角度付けられ得る。一部の実施例では、角度Ωが、前後平面から(または第二および第四のねじ孔132B、132Dに対して)約±30度~約±40度、好ましくは、約±30度であり得るが、他の角度も使用されてもよい。このように配置されると、第三のねじ孔132Cは、横断方向を横切ってしばしば生じる骨折の三分の一の低遠位におけるねじの位置決めおよび/または固定を容易にする。さらに、高齢または重度の骨粗しょう症患者に有益であり得る、腓骨固定を容易にし得る。
【0060】
さらに、
図11Aおよび
図11Bをさらに参照すると、ねじ152は、IM釘100の遠位端部分130に形成された第三のねじ孔132Cを通って、患者の靭帯結合に挿入され得る。繰り返しになるが、これは、例えば、患者の靭帯結合などの患者特異的骨の解剖学的構造の標的化を可能にすることができない(例えば、現在の脛骨IM釘のねじ孔は、現在の脛骨IM釘が患者の左右の脛骨の両方に移植されるように設計されているため、約30度の角度で角度付けされ得ない)、現在の脛骨IM釘とは対照的である。このように配置されると、本開示の一つ以上の特徴によれば、IM釘100は、患者の靭帯結合を治療するために使用され得る。一部の実施例では、使用時に、外科医は、対応する側面特異的な脛骨IM釘を、骨折部位(例えば、患者の右脛骨または左脛骨のいずれか)に応じて、右脛骨IM釘および左脛骨IM釘を含む複数の脛骨IM釘から選択し得る。その後、外科医は、選択された脛骨IM釘を、患者の髄内管内に移植または挿入し、締結具またはねじ152を、IM釘100の遠位端部分130に形成された第三のねじ孔132Cを通って挿入することによって、患者の靭帯結合を標的化し得る。
【0061】
一部の実施例では、脛骨IM釘100の遠位端部分130内の脛骨ねじりを考慮するために、遠位脛骨が、所望の遠位固定を達成するために、外科医が脛骨IM釘100を回転させる必要があり得るねじりの度合いを自然に経験するため、第三のねじ孔132Cと最も遠位の第一のねじ孔132Aとの間にオフセットが提供され得、これは、次善のねじ配置をもたらし得る。側面特異的な脛骨IM釘100を提供することによって、これは、第三のねじ孔132Cおよび最も遠位の第一のねじ孔132Aをオフセットすることによって、収容され得る。一部の実施例では、オフセットは、自然に存在する脛骨ねじりを説明するために、1~89度の範囲であり得る。あるいは、代替的な実施例では、脛骨IM釘100の遠位端部分130内の脛骨ねじりを説明するために、第二のねじ孔132Bおよび第四のねじ孔132Dを使用して、オフセットが提供されてもよい。
【0062】
図1A、
図1B、
図4および
図5を参照すると、
図1A、
図1B、
図2および
図3に関連する上述した脛骨IM釘100の遠位端部分130から分離して、またはそれを組み合わせて使用され得る本開示の一つ以上の特徴によれば、脛骨IM釘100の近位端部分110は、複数のねじを受容するように配設および構成された複数のねじ開口部、孔など112を含む。図示のように、一部の実施例では、脛骨IM釘100の近位端部分110が、第一、第二、第三、および第四の孔112A、112B、112C、112Dを含むが、他の構成も想定される。
【0063】
図示のように、一部の実施例では、脛骨IM釘100の近位端部分110に形成されたねじ孔112のうちの一つ以上は、スロットとして形成されてもよい。例えば、図示のように、近位端部分110からの第三のねじ孔112Cは、スロットの形態であってもよい。スロットを利用することにより、脛骨IM釘100の原位置でのダイナム化またはマイクロモーションが可能になる。一部の実施例では、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cは、実質的に内側-外側方向に原位置で延在し得る。一部の実施例では、スロット112Cは、およそ7mmの長さを有し得る。
【0064】
図4を参照すると、最も近位の第一のねじ孔112Aおよび第二のねじ孔112Bは、膝関節を保護しながら、患者の脛骨の後部態様の支持を最大化するように配設および構成される。すなわち、本開示の一つ以上の特徴によれば、脛骨IM釘100の近位端部分110に形成された第一および第二のねじ孔112A、112Bは、同一レベルで患者の脛骨を出るように配設および構成される。例えば、図示のように、最も近位の第一のねじ孔112Aは、近位端部分110の中央長手方向軸に対して上下方向に下向き角度または傾斜を含む。このように配置されると、使用時に、ねじは、最も近位の第一のねじ孔112Aに挿入され得る。原位置では、最も近位の第一のねじ孔112A内に位置決めされたねじの長手方向軸は、第二のねじ孔112B内に位置決めされたねじと実質的に同一レベルで患者の脛骨の外表面と交差する(例えば、最も近位の第一のねじ孔112Aに挿入された第一のねじが骨を出る平面は、第二のねじ孔112Bに挿入された第二のねじと同一である)。例えば、最も近位の第一のねじ孔112Aは、角度μの角度または傾斜を有してもよい。一部の実施例では、角度μは、近位端部分110の中央長手方向軸に対して5度~15度、好ましくは、約10度であってもよい(例えば、患者の膝から離れる下向きの十度の傾斜)。一方、第二のねじ孔112Bは、近位端部分110の中央長手方向軸に実質的に垂直であってもよい。このように配置されると、第一および第二のねじ孔112A、112Bと共に位置決めされた第一および第二のねじは、一緒になるように配設および構成され、したがって、それらの軌道は、同一レベルで原位置で患者の脛骨の外面を横断または出ることができる。
【0065】
患者の脛骨内に移植された脛骨IM釘100の上面図(例えば、近位から遠位に向かって見たとき)を示す
図5をさらに参照すると、一部の実施例では、最も近位の第一のねじ孔112Aおよび第二のねじ孔112は、内側-外側平面内で角度付けられ得るように配設および構成される。すなわち、一部の実施例では、第一および第二のねじ孔112A、112Bは、それぞれ角度§
1、§
2だけ内側-外側平面に対して、したがって、内側-外側方向に延在するように配設および構成され得る、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して角度付けられ得る。一部の実施例では、角度§
1、§
2は、同一であり得る。あるいは、角度§
1、§
2は、異なってもよい。一部の実施例では、角度§
1は、約±40度~約±50度、好ましくは、約±44度であってもよい。角度§
2は、約±45度~約±50度であってもよく、約±47.5度であることが好ましい。このように配置されると、第一および第二のねじ孔112A、112Bは、患者の脛骨の後方内側および後方外側の角または部分をより良好に標的化することができる。さらに、第一および第二のねじ孔112A、112Bに挿入された第一および第二のねじは、近位脛骨結節をより良好に回避することができる。
【0066】
さらに、一部の実施例では、
図4に示すように、第四のねじ孔112Dは、近位端部分110に対して上下方向に角度付けられ得、または傾斜し得る。例えば、第四のねじ孔112Dは、角度£を有してもよい。一部の実施例では、角度£は、近位端部分110に対して約0度~約±10度、好ましくは、約±5度であってもよい。したがって、一部の実施例では、第四のねじ孔112Dは、傾斜または低下され得る。このように配置されると、より近位の横方向骨折の場合に、固定を増加させる追加の機会を達成することができる。
【0067】
図5をさらに参照すると、一部の実施例では、第四のねじ孔112Dは、内側-外側平面内で角度付けられるように配設および構成される。すなわち、一部の実施例では、第四のねじ孔112Dは、内側-外側平面に対して、したがって、角度Σだけ内側-外側方向に延在するように配設および構成され得る第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して角度付けられ得る。一部の実施例では、角度Σは、約±25度~約±35度であり得、約±25度であることが好ましい。このように配置されると、第四のねじ孔112Dに挿入されたねじは、脛骨結節上のねじ頭部の突出を低減するように角度付けられる。
【0068】
患者の脛骨内に移植された脛骨IM釘100の代替の実施例の上面(例えば、近位から遠位に向かって見たとき)、前面、側面、および背面図を示す
図6A、
図6B、
図6Cおよび
図6Dを参照すると、一部の実施例では、最も近位の第一のねじ孔112Aの角度§
1は、内側-外側平面に対して、したがって、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して±30度であってもよい。このように配置されると、第一のねじ孔112Aに挿入された第一のねじは、最も近位のねじが脛骨結節から離れて位置決めされることに起因して、第一のねじのレベルにおける組織刺激の可能性を低減するように配設および構成される。本実施例では、第二のねじ孔112Bの角度§
2は、約±47.5度であってもよく、内側-外側平面に対して、したがって、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して第四のねじ孔112Dの角度Σは、約±25度であってもよい。
【0069】
患者の脛骨内に移植された脛骨IM釘100の代替例の上面(例えば、近位から遠位に向かって見たとき)、前面、側面、および背面図を示す
図7A、
図7B、
図7Cおよび
図7Dを参照すると、一部の実施例では、第四のねじ孔112Dの角度Σは、内側-外側平面に対して、したがって第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して、±35度~±40度、好ましくは、±40度で角度付けられ得る。このように配置されると、第四のねじ孔112Dに挿入された第四のねじは、第四のねじが脛骨結節から回転することに起因して、第四のねじのレベルでの組織刺激の可能性を低減し、第三のねじ孔112C内に位置決めされた第三のねじと第四のねじ孔112D内に位置決めされた第四のねじとの間の分離を増加するように配設および構成され、それによって、第三のねじ孔112C内に位置決めされたねじと第四のねじ孔112D内に位置決めされたねじとの両方を使用する場合、改善された固定を提供する。すなわち、本実施例では、第四のねじ孔112Dの角度Σが、内側-外側平面に対して±35度~±40度、好ましくは、±40度で角度付けられている場合、第四のねじは、患者の脛骨の後側方態様に向けられ、ねじ頭部の設置方法、ならびに近くの他の解剖学的構造とのその可能な干渉を変化させる。対照的に、代替的な実施例に関連して、角度Σが±25度または±35度で角度付けられる場合、第四のねじは、患者の脛骨の後内側態様に向けられ、ねじ頭部の突出を回避し、周囲の組織構造との安全なクリアランスを維持するために、より小さな角度を好む傾向がある。
【0070】
本実施例では、第一および第二のねじ孔112A、112Bの角度§1、§2は両方とも、およそ±47.5度であってもよい。
【0071】
患者の脛骨内に移植された脛骨IM釘100の代替の実施例の上面(例えば、近位から遠位に向かって見たとき)、前面、側面、背面図を示す
図8A、
図8B、
図8Cおよび
図8Dを参照すると、一部の実施例では、最も近位の第一のねじ孔112Aの角度§
1は、内側-外側平面に対して、したがって、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して±30度であってもよく、第四のねじ孔112Dの角度Σは、内側-外側平面に対して、したがって、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して±35度で角度付けられてもよい。本実施例では、第二のねじ孔112bの角度§
2は、内側-外側平面に対して、したがって第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに対して±47.5度であってもよい。このように配置されると、第一のねじ孔112Aに挿入された第一のねじは、最も近位のねじが脛骨結節から離れて位置決めされることに起因して、第一のねじのレベルでの組織刺激の可能性を低減するように配設および構成され、第四のねじ孔112Eに挿入された第四のねじは、第四のねじが脛骨結節から離れて回転することに起因して、第四のねじのレベルでの組織刺激の可能性を低減し、第三のねじ孔112C内に位置決めされた第三のねじと第四のねじ孔112D内に位置決めされた第四のねじとの間の分離を増加するように配設および構成され、それによって、第三のねじ孔112C内に位置決めされたねじと第四のねじ孔112D内に位置決めされたねじとの両方を使用する場合に、改善された固定を提供する。
【0072】
図9を参照すると、本開示の一つ以上の特徴によれば、脛骨IM釘100の近位端部分110は、第五のねじ孔112Eを含み得る。図示のように、使用時に、第五のねじ孔112Eは、近位端部分110に形成されたねじ孔の最も遠位に配設および構成される。理解される通り、第五のねじ孔112Eは、本明細書に開示される脛骨IM釘のいずれか、または本明細書にもしくはその後に開発された任意の脛骨IM釘と組み合わせて使用され得る。
【0073】
一部の実施例では、図示のように、第五のねじ孔112Eは、内側-外側平面に延在するように配設および構成され得る。このように配置されると、第五のねじ孔112Eは、内側-外側平面に平行に、したがって、内側-外側方向に延在するように配設および構成され得る、第三のねじ孔(例えば、スロット)112Cに平行に延在するように配設および構成される。さらに、本開示の一つ以上の特徴によれば、第五のねじ孔112Eは、中間ねじ孔(例えば、図示した実施例の第四のねじ孔112D)を介して、第三のねじ孔112C(例えば、内側-外側平面に延在する二つのねじ孔)から分離される。このように配置されると、第五のねじ孔112Eは、第四のねじ孔112Dを介して、第三のねじ孔または圧縮スロット112Cから分離される。これは、互いに隣接する平行な内側-外側のねじ孔を含む現在の脛骨IM釘とは対照的である。二つの内側-外側のねじ孔を互いに分離することによって、二つの内側-外側のねじ孔間の距離は、増大される。さらに、平面外ねじは、第三のねじ孔112Cと第五のねじ孔112Eとの間に位置決めされ得る。一部の実施例では、第三のねじ孔112Cと第五のねじ孔112Eとの間の距離は、15mm~25mmであってもよい。
【0074】
一般的に、IM釘で処置された脛骨骨折の大部分は、単純なシャフト破損であり、近位および遠位ねじ軌道によって提供される追加の平面外固定オプションを必要としない。第五のねじ孔112Eを組み込むことによって、および第五のねじ孔112Eを、第三のねじ孔112Cおよび内側-外側平面に平行に配向することによって、脛骨IM釘100は、外科医が、単純な近位固定を、早急に、内側-外側に同様に配向され、前述のシャフト骨折を治療するために一般的に使用される、近位圧縮スロットと同じX線方向で、迅速かつより効率的に取得可能になり、このため、外科医が、第五のねじ孔112Eおよび第三のねじ孔(例えば、圧縮スロット)112Cが、同じ平面に配向されるため、手術時間ならびに放射線曝露を、透視画像化の必要性が低下する際に、低減可能である。さらに、第三のねじ孔112Cおよび第五のねじ孔112Eを分離することによって、脛骨IM釘100が、互いに隣接する同一平面に二つのねじ孔を有するため、二つの内側-外側のねじ孔間の距離を増大させることによって、改善された固定を提供可能になる。
【0075】
したがって、様々な実施例によれば、IM脛骨釘100は、二つのねじ孔が内側に向かって延在し、二つのねじ孔が遠位に延在する状態で、近位端部分110に第一、第二、第三、第四および第五のねじ孔112A、112B、112C、112Dおよび112Eを含んでもよい。様々な実施例では、二つの近位に延在する内側-外側のねじ孔および二つの遠位に延在する内側-外側のねじ孔は、互いに対して角度を付けて配向され得る(例えば、1~89度の角度範囲)。
【0076】
本開示の一つ以上の特徴によれば、複数の脛骨IM釘は、キット内に提供され得る。例えば、キットは、一つの脛骨IM釘が患者の左脛骨への移植のために配設および構成され、脛骨IM釘のうちの一つが患者の右脛骨への移植のために配設および構成される、側面特異的な解剖学的脛骨IM釘の相互のセットを含み得る。使用時に、脛骨IM釘は、互いに鏡像であってもよい。本開示の一つ以上の特徴によれば、脛骨IM釘は、患者の右脛骨への移植のために構成された脛骨IM釘を、患者の左脛骨への移植のために構成された脛骨IM釘と区別するように色分けされ得る。
【0077】
上述の説明は、幅広い用途を有する。したがって、いずれの実施例または実施形態の考察も、説明のみを目的とし、特許請求の範囲を含む本開示の範囲が、これらの実施例または実施形態に限定されることを示唆することを意図するものではない。言い換えれば、本開示の例示的な実施例または実施形態が本明細書に詳述されているが、本発明の概念が、別様に様々に具現化され用いられ得ること、および添付の特許請求の範囲が、先行技術によって限定される場合を除き、かかる変形を含むように解釈されることが意図されていることは、理解される。
【0078】
本明細書で使用する用語「a」または「an」が先行する物体は、一つ以上のその物体を指す。そのため、用語「a」(または「an」)、「一つ以上の」、および「少なくとも一つの」は、本明細書では交換可能に使用され得る。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびその変形の使用は、その後列挙される品目およびその等価物、ならびに追加の品目を包含することを意味する。したがって、用語「含む」、「備える」、または「有する」およびそれらの変形例は、非限定的表現であり、本明細書で互換的に使用され得る。本明細書で使用する語句「少なくとも一つ」、「一つ以上」、および「および/または」は、運用において、連言的および選言的の両方である非限定的表現である。
【0079】
全ての方向の言及語(例えば、近位、遠位、上、下、上向き、下向き、左、右、側方、長手方向、前、後、頂部、底部、上方、下方、垂直、水平、半径方向、軸方向、時計回り、および反時計回り)は、特に、本開示の位置、配向、または使用に関して、読み手の本開示の理解を助けるための識別目的のみに使用され、限定を生じさせない。接続の言及語(例えば、取り付け、結合、接続、および接合)は、広く解釈されるべきであり、別途示されない限り、要素の集合体の間の中間部材、および要素間の相対的な移動を含み得る。そのため、接続の言及語は、二つの要素が直接接続され、互いに固定関係にあることを必ずしも意味しない。識別の言及語(例えば、一次、二次、第一、第二、第三、第四など)は、重要性または優先順位を示すことを意図しておらず、一つの特徴を別の特徴と区別するために使用される。図面は例示のみを目的とし、本明細書に添付された図面に反映される寸法、位置、順序、およびサイズに対する相対性は、変更され得る。
【国際調査報告】