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特表2024-543401MoO2Cl2及びMoO2Br2を利用したALD堆積
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】MoO2Cl2及びMoO2Br2を利用したALD堆積
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/30 20060101AFI20241114BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20241114BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
C23C16/30
C23C16/455
H01L21/205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527529
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2022078674
(87)【国際公開番号】W WO2023086732
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】63/263,899
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ランドール ヒグチ
(72)【発明者】
【氏名】トング ゴ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリカ アズカティ-ザカッジ
(72)【発明者】
【氏名】シンチエン レイ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA03
4K030AA11
4K030AA16
4K030AA24
4K030BA12
4K030BA50
4K030CA04
4K030CA05
4K030CA12
4K030EA01
4K030FA01
4K030HA01
4K030JA05
4K030JA06
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA11
4K030LA15
5F045AA08
5F045AA15
5F045AB40
5F045AC02
5F045AC03
5F045AC07
5F045AC08
5F045AC09
5F045AC16
5F045AD05
5F045AD06
5F045AD07
5F045AD08
5F045AD09
5F045AD10
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045AE25
5F045AF08
5F045AF09
5F045BB19
5F045EE19
5F045EH18
(57)【要約】
開示され請求項に記載された主題は、プロセスを自己制御層合成成長モード又は自己制御層合成様成長モードに維持しながら、アルキル-カルコゲナイド、アルキル-ジカルコゲナイド、及び/又はジヒドロ-カルコゲナイド前駆体とともに、Mo前駆体としてMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上を利用する、2D MoX(X=S、Se又はTe)の原子層堆積(ALD)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mo含有膜を堆積する方法であって、
(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させ、
(ii) あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージし、
(iii) 前記堆積反応器内の前記基板を、式(i)RXR又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させ、
ここで、
X=S、Se又はTeであり、そして
及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つであり、そして、
(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする、
ことを含む、Mo含有膜を堆積する方法。
【請求項2】
Mo含有膜を堆積する方法であって、
(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させ、
(ii) あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージし、
(iii) 前記堆積反応器内の前記基板を、式(i)RXR又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させ、
ここで、
X=S、Se又はTeであり、そして
及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つであり、そして、
(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする、
ことから本質的に成る、Mo含有膜を堆積する方法。
【請求項3】
Mo含有膜を堆積する方法であって、
(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させ、
(ii) あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージし、
(iii) 前記堆積反応器内の前記基板を、式(i)RXR又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させ、
ここで、
X=S、Se又はTeであり、そして
及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つであり、そして、
(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする、
ことから成る、Mo含有膜を堆積する方法。
【請求項4】
Mo含有膜を堆積する方法であって、
(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させ、
(ii) あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージし、
(iii) 前記堆積反応器内の前記基板を、式(i)RXR又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させ、
ここで、
X=S、Se又はTeであり、そして
及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つであり、
(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージし、そして
(v) 前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する、
ことを含む、Mo含有膜を堆積する方法。
【請求項5】
Mo含有膜を堆積する方法であって、
(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させ、
(ii) あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージし、
(iii) 前記堆積反応器内の前記基板を、式(i)RXR又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させ、
ここで、
X=S、Se又はTeであり、そして
及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つであり、
(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージし、そして
(v) 前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する、
ことから本質的に成る、Mo含有膜を堆積する方法。
【請求項6】
Mo含有膜を堆積する方法であって、
(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させ、
(ii) あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージし、
(iii) 前記堆積反応器内の前記基板を、式(i)RXR又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させ、
ここで、
X=S、Se又はTeであり、そして
及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C1-C6アルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つであり、
(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージし、そして
(v) 前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する、
ことから成る、Mo含有膜を堆積する方法。
【請求項7】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約0.1秒~約25秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約0.3秒~約18秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約1秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約2秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約3秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約4秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約5秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約6秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約7秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約8秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約10秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約12秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記MoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上を、約15秒にわたってパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約55℃~約300℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約60℃~約160℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約65℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約75℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約85℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約90℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約115℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約130℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約150℃のアンプル温度でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
(原文に記載なし)
【請求項30】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約5sccm~約3000sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約30sccm~約1000sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約50sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約75sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約100sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約150sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約200sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約350sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約500sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、約650sccmのガス流量でパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
堆積反応器内で基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、1つ又は2つ以上のキャリアガスを用いてパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、アルゴンでパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、窒素でパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約1秒~約90秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約10秒~約90秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約15秒~約60秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約20秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約30秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約40秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
あらゆる未反応のMoOCl又はMoOBrを不活性ガスでパージする前記工程(ii)が、約60秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、式(i)RXRの前駆体を含み、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、式(ii)RXXRの前駆体を含み、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、式(i)RXRの前駆体を含み、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、式(ii)RXXRの前駆体を含み、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
XがSである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
XがSeである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
XがTeである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
及びRの一方又は両方が水素である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
及びRの一方又は両方がメチルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
及びRの一方又は両方がエチルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
及びRの一方又は両方がn-プロピルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
及びRの一方又は両方がイソ-プロピルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
及びRの一方又は両方がn-ブチルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
及びRの一方又は両方がイソ-ブチルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
及びRの一方又は両方がtert-ブチルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、iBuSを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、iPrSを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、iPrSeを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、Etを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、EtSeを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、tBuSHを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、HSeを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、HSを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、HTeを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、EtTeを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が、iPrTeを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約0.5秒~約25秒にわたって前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約1秒~約15秒にわたって前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約1秒にわたって前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約5秒にわたって前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約10秒にわたって前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約15秒にわたって前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約0.3Torr~約15,000Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約2Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約10Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約30Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約90Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約200Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約13,000Torrの蒸気圧で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約0sccm~約3000sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約5sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約50sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約100sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約250sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約500sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約750sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約1000sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約1250sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約1500sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約1750sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記堆積反応器内の前記基板を1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体と接触させる前記工程(iii)が、約2000sccmのキャリアガス流量で前記前駆体をパルス供給することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、アルゴンでパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、窒素でパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、約4秒~約90秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、約15秒~約60秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、約30秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、約60秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする前記工程(iv)が、約90秒にわたってパージすることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する前記工程(v)が、HSガスで処理することを含む、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する前記工程(v)が、HSプラズマで処理することを含む、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する前記工程(v)が、HSプラズマで処理することを含み、前記HSプラズマが前記反応器内で直接に生成される、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項111】
前記基板をHSガス及びHSプラズマのうちの1つ又は2つ以上で処理する前記工程(v)が、HSプラズマで処理することを含み、前記HSプラズマが前記反応器の外部で生成され、そして次いで反応器内へ供給される、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項112】
前記基板が酸化アルミニウム(Al)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記基板が窒化アルミニウム(AlN)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記基板が酸化ケイ素(SiO)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記基板が酸窒化ケイ素を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記基板が窒化ケイ素(Si)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記基板が酸化ジルコニウム(ZrO)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記基板が酸化ハフニウム(HfO)を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記基板が加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項120】
前記基板が約100℃~約650℃で加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項121】
前記基板が約200℃~約650℃で加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記基板が約250℃~約600℃で加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項123】
前記基板が約300℃~約550℃で加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
前記基板が約450℃~約525℃で加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記基板が約150℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記基板が約200℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
前記基板が約250℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記基板が約300℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記基板が約350℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
前記基板が約400℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項131】
前記基板が約425℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記基板が約450℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
前記基板が約475℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
前記基板が約500℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
前記基板が約525℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記基板が約550℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
前記基板が約600℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
前記基板が約625℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
前記基板が約650℃に加熱される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
前記基板表面が、1つ又は2つ以上の化学物質のレシピを用いて、及び/又はMoX堆積前のプラズマプロセス調製によって前処理される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項141】
前記基板表面温度が、前記プロセスで利用される前記前駆体のうちのそれぞれの前記前駆体の分解温度を下回る温度に設定される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
前記基板表面温度が、前記プロセスがALDプロセスとしてなおも作用する(無視し得るCVDコンポーネント)場合に前記プロセスで利用される前駆体のうちのただ1つだけの前記前駆体の分解温度に近い温度に、前記分解温度に、又は前記分解温度を上回る温度に設定される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記基板表面温度が、前記プロセスがALDプロセスとしてなおも作用する(無視し得るCVDコンポーネント)場合に前記プロセスで利用される前駆体のうちのただ2つ又は3つ以上の前駆体だけの分解温度に近い温度に、前記分解温度に、又は前記分解温度を上回る温度に設定される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記基板表面温度が、前記プロセスがALDプロセスとしてなおも作用する(無視し得るCVDコンポーネント)場合に前記プロセスで利用される前駆体のうちのそれぞれの前記前駆体の分解温度に近い温度に、前記分解温度に、又は前記分解温度を上回る温度に設定される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記反応器圧力が約0.1~約100Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
前記反応器圧力が約2~約10Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
前記反応器圧力が≦約50Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
前記反応器圧力が≦約40Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記反応器圧力が≦約30Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記反応器圧力が≦約20Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記反応器圧力が≦約10Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記反応器圧力が≦約5Torrである、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記方法が、約5~約2000サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記方法が、約20~約1000サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項155】
前記方法が、約50~約500サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項156】
前記方法が、約100~約300サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項157】
前記方法が、約5サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
前記方法が、約10サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項159】
前記方法が、約15サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
前記方法が、約20サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項161】
前記方法が、約25サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記方法が、約50サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項163】
前記方法が、約100サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項164】
前記方法が、約150サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項165】
前記方法が、約200サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項166】
前記方法が、約250サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項167】
前記方法が、約300サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
前記方法が、約350サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項169】
前記方法が、約400サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項170】
前記方法が、約450サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
前記方法が、約500サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項172】
前記方法が、約550サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
前記方法が、約600サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項174】
前記方法が、約650サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項175】
前記方法が、約700サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項176】
前記方法が、約750サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項177】
前記方法が、約1000サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項178】
前記方法が、約1250サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項179】
前記方法が、約1500サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項180】
前記方法が、約1750サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項181】
前記方法が、約2000サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項182】
前記方法が、約2500サイクルの工程を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項183】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜。
【請求項184】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約1~約750のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項185】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約5~約500のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項186】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約10~約350のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項187】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約15~約300のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項188】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約1~約20のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項189】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約15~約200のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項190】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約5超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項191】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約10超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項192】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約20超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項193】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約30超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項194】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約50超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項195】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約70超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項196】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約100超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項197】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約150超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項198】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約200超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項199】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約300超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項200】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約400超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項201】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が、約500超のアスペクト比を有する任意の構造内へ堆積される、モリブデン含有膜。
【請求項202】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約1~約350の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項203】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約5~約300の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項204】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約10~約250の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項205】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約20~約220の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項206】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約30~約200の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項207】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約40~約180の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項208】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約15の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項209】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約30の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項210】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約50の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項211】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約80の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項212】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約100の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項213】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約125の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項214】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約150の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項215】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約175の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項216】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約200の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項217】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約250の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項218】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約300の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項219】
請求項1から182のいずれか1項に記載のプロセスによって堆積されたモリブデン含有膜であって、前記膜が約350の移動度を有する、モリブデン含有膜。
【請求項220】
基板をMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記基板をMoOClと接触させることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項221】
基板をMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記基板をMoOClと接触させることから本質的に成る、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項222】
基板をMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記基板をMoOClと接触させることから成る、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項223】
基板をMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記基板をMoOBrと接触させることを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項224】
基板をMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記基板をMoOBrと接触させることから本質的に成る、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項225】
基板をMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と接触させる前記工程(i)が、前記基板をMoOBrと接触させることから成る、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示され請求項に記載された主題は、プロセスを自己制御層合成成長モード又は自己制御層合成様成長モードに維持しながら、アルキル-カルコゲナイド、アルキル-ジカルコゲナイド、及び/又はジヒドロ-カルコゲナイド前駆体とともに、Mo前駆体としてMoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上を利用する、2D MoX(X=S、Se又はTe)の原子層堆積(ALD)に関する。
【背景技術】
【0002】
金属-カルコゲナイド薄膜を形成するために種々の前駆体が使用されてよく、そして種々の堆積技術を採用することができる。このような技術は、反応性スパッタリング、イオン支援型堆積、ゾル-ゲル堆積、化学蒸着(CVD)(有機金属CVD又はMOCVDを含む)、原子層堆積(ALD)を含む。CVD及びALDタイプのプロセスがますます用いられるようになっている。それというのもこれらの技術は、改善された組成制御、高い膜均一性、及び効果的なドーピング制御という利点を有するからである。
【0003】
ALD堆積は、前駆体ラインを備えた真空反応チャンバであって、前駆体ラインが、(i)蒸気圧(「蒸気ドロー(vapor draw)」)、(ii)前駆体アンプルを貫流するキャリア(「バブリング(bubbling)」)、又は(iii)瓶、タンク、又は他の供給源からのガス流を用いて、反応チャンバ内へ流入し得る真空反応チャンバを必要とする。動作中、反応チャンバ内へ基板を入れ、そしてパージガス流を使用してチャンバを排気する前に基板表面を飽和するのに十分な時間にわたって、チャンバ内へ第1前駆体/反応物質を流入させる(「第1前駆体パルス」)。パージが完了したあと、第1前駆体分子で前に被覆された基板表面を飽和するのに十分な時間にわたって、チャンバ内へ第2前駆体/反応物質を流入させる(「第2前駆体パルス」)。これに続いて、第2パージ工程が行われる。第2パージ工程は、2前駆体反応のサイクルを完了させる。この時点で、サイクルは最初から繰り返され、そして所期の膜厚を満たすために必要とされる回数だけ実行される。高圧で動作するときには、パージの終わりと、次の圧力前駆体パルスとの間に、圧力安定化工程を加えることができる。一般に、ALDモードは、前駆体が分解しない、又は分解されないことを必要とする。大部分の前駆体の場合、これはCVDコンポーネントをALDプロセスへ導入し、プロセスのALD特性、及び堆積された膜の純度に不都合な影響を及ぼす。成長曲線(厚さ対ALDサイクル数)は最も一般的には線形曲線であり、あるいは何らかのCVDコンポーネントがある場合には、超線形成長曲線でもあり得る(厚さ対ALDサイクル数のフィッティングにおいて、ALDサイクル数の二次以上の項を有する)。これは事実上、漸近曲線又は劣線形曲線では決して(少なくとも意図的には)ない。
【0004】
CVDは別の化学プロセスである。この場合、基板表面上に薄膜を形成するために前駆体が使用される。2つ又は3つ以上の前駆体を伴う典型的なCVDプロセスにおいて、前駆体はチャンバ内へ一緒に導入されるか、又は少なくとも、気相で若しくはウエハー表面で反応するように計画的なオーバーラップ状態で導入される。基板上に堆積膜を産出するように分解する1つの前駆体、例えばSi膜を産出するように分解するSiHを伴うCVDプロセスがある。いずれの場合にも、前駆体は低圧又は周囲圧反応器内で基板(例えばウエハー)の表面に引き渡される。前駆体は気相で又はウエハー表面上で反応及び/又は分解し、そしてこの材料は基板表面上に堆積して、堆積された材料から成る薄膜を形成する。CVDでは表面反応があり得るが、しかし大抵のCVDはALDとは異なり、気相での前反応又は前分解を伴う。ALDの場合には、分解反応は専ら表面反応である。揮発性副生成物は、反応器を通るガス流によって除去される。堆積膜厚は制御が難しいことがある。なぜならば膜厚は、多くのパラメータ、例えば温度、圧力、ガス流量及び均一性、化学的枯渇効果、並びに時間の調和に依存するからである。CVDプロセスは熱的に、又はプラズマ促進モードで実行することができ、そして通常は、分解及び/又は気相反応を保証するためにより高い温度(前駆体分解寸前の温度又はそれよりも高い温度)、及び/又は賦活化プラズマ条件を必要とする。したがって、CVDプロセスは通常、熱的なALDプロセスよりも複雑なハードウェアを必要とする。CVDプロセスにおいて、前駆体が多ければ多い(パルスが長い又はフラックスが多い)ほど、膜も多くなる。この場合、前駆体の時間又はフラックスの増大を伴う、成長又は軟飽和(soft saturation)(著しく低速の線形成長へ至る飽和)に対するいかなる漸近極限もない。
【0005】
マイクロ電子コンポーネント、例えば半導体デバイスのサイズの絶え間のない縮小は、幾つかの技術的難題を示し、改善された薄膜技術の必要性を高めている。具体的には、種々のデバイス内のトランジスタチャネルの向上を可能にするために、優れたコンフォーマル性及び均一な厚さへの自己制御性成長を伴う、薄い、高移動性の半導体堆積が重要である。トランジスタチャネル、例えば3D NANDセル、並びにフィンFET及びGAAデバイスを含む、最新式ロジックトランジスタにおいて、厚さ及び均一性の制御は必要不可欠である。フィンFET及びGAAデバイスでは、Siボディ厚は2.5nm以下に達する。CVD及びALDは、基板、例えばケイ素、酸化ケイ素、金属窒化物、金属酸化物、及び他の層上にコンフォーマルな遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)膜を製作するのに特に魅力的である。上記のように、これらの技術において、揮発性金属錯体の蒸気が、プロセス反応器内へ導入される。プロセス反応器内では、蒸気は気相において反応し、シリコンウエハーの表面と接触すると、化学反応が発生し、この化学反応は薄膜を堆積し(例えば、CVDの場合、ジシラン+H2ガスを熱的CVDチャンバ内へ、所望される限りは堆積温度まで加熱されたウエハーと一緒に注入することができる)、あるいは個々の前駆体が別々の工程において表面上で反応順序内に反応する(例えばALDの場合、トリメチルアルミニウムパルス供給+パージに続いてHOパルス供給を実施し、そして所望のサイクル数だけこれを繰り返すことができる)。前駆体がウエハー表面において熱的に、又はプロセス反応器内へ同時に添加された試薬と反応すると、CVDが発生し、そして膜成長が定常状態堆積で生じる。CVDは、所期の膜厚及び汚染レベルを達成するために、連続モード又はパルスモードで適用することができる。ALDの場合、前駆体は自己飽和性単原子層としてウエハー上へ化学吸着され、余剰の未反応前駆体が反応副生成物とともに不活性ガスによってパージされ、次いで化学吸着された前駆体の単原子層と反応して材料(金属、非金属、誘電体など)を形成するように、過剰の反応物質試薬が添加される。このような不活性ガスは、窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、クリプトン、若しくはキセノン、又はこれらのガスの任意の割合での任意の組み合わせの混合物のうちの1つであると理解される。次いで、余剰の試薬及び反応副生成物を不活性ガスによってパージする。次いでこのサイクルを、原子の精度で膜を所期厚まで構築するために、複数回にわたって繰り返すことができる。それというのも、前駆体及び試薬の化学吸着は自己制御性であり、厚さ対ALDサイクル数の、線形の成長曲線を生成するからである。ALDは、膜厚の正確な制御、膜厚の優れた均一性、及び深くエッチングされ高度に入り組んだ構造、例えば相互接続ビア及びトレンチを均一に被覆するための著しくコンフォーマルな膜成長を伴う、超薄型ではあるもののなおも連続的な膜の堆積を提供する。したがって、ALDは典型的には、高アスペクト比のフィーチャ上に薄膜を堆積するために好まれる。しかしながら、よく知られているMoX膜のALD成長は、約350℃未満の温度(MoCl+HSを除く)でしか達成することができず、これらの低い温度は結果として化学量論的特性を劣化させ、及び/又は結晶性を劣化させた。このことは、これらのALDプロセスを不可能にした。
【0006】
MoCl+HSは、「自己制御層合成(self-limiting-layer-synthesis)」堆積モードで成長させ得るプロセスの文献において確認されている。このモードは、成長曲線が線形又は超線形ではなく、厚さがALD動作モードにおけるMoCl+HSのALDサイクル数の増大に伴って漸近的に飽和する(DOI:10.1038/srep1875)ときのモードであるが、しかしこのようなプロセスの追加の例を見出すことはできない。加えて、このようなプロセスが確認され得るのであれば、これらはモリブデンハロゲン化物前駆体、例えばMoOClのような、酸素原子によって取り込まれるMo結合の三分の二を有する前駆体以外のモリブデン塩化物、フッ化物、臭化物、又はヨウ化物の中にあると予測されるはずである。このように、現在までは、より高い温度で自己制御層合成MoX膜を成長させる能力は、MoCl+HS→MoSを用いることに限定された。このことはMoX中のXを限定するだけではなく、MoOClの事例よりも著しく大きい、ALD又はCVDチャンバハードウェアに対する腐食性/酸度を有するプロセスをもたらした。
【0007】
ALD動作モードにおいて新しい前駆体集合を利用して、Mo系2D TMD膜(MoS膜以外)の成長を達成し得ることが極めて望ましい。このようにすると、幅広い種々のカルコゲナイド前駆体を利用しつつ、ALD膜の堆積に関して記載され且つ現在知られているより高い温度を用いることが可能になる。「自己制御層合成(self-limiting-layer-synthesis)」堆積モード又は「自己制御層合成様(self-limiting-layer-synthesis-like)」堆積モード(厚さが純粋に漸近的な曲線ではなく、ALDサイクルを伴う軟飽和状態を有する)を介した成長をも可能にするようにMo系2D TMD膜を成長させることにより、単原子層の数の制御、並びに粒径及び膜の半導体品質全体の改善が可能になる。ここで重要なのは、成長プロセスの堆積コンポーネントとエッチングコンポーネントとの相対比率のバランスをとることである。このことは、カルコゲナイド前駆体を変化させることにより調節することができる。2D TMD成長のためのALDモリブデン前駆体としてMoOClを使用することにより、本明細書中に記載されたいずれのカルコゲナイド前駆体も、結果として生じる2D TMDのために自己制御層合成成長又は自己制御層合成様成長を呈するようにする堆積速度とエッチング速度とが可能になる。加えて、堆積された膜はまた、TMDプロセスにおいて以前使用されたMoCl前駆体よりも著しく低いエッチング速度を呈する。
【0008】
上記の点を考えれば、開示され請求項に記載された主題は、自己制御性のMo系TMD膜が望ましい動作条件で形成されることを可能にする。具体的には、この主題は、五塩化モリブデンの腐食性の固有の制限なしに、そしてTMDに関してMoSだけに制限されることなしに、MoCl+HSを堆積するために使用されるものと同じ又は類似の堆積条件(例えば温度、圧力、流量、アンプル温度など)で、異なるMo膜及び/又は異なる膜厚を成長させるための方法を提供する。
【発明の概要】
【0009】
一実施態様では、開示され請求項に記載された主題は、MoOCl及びMoOBrのうちの1つ又は2つ以上と、式(i)RXR及び/又は式(ii)RXXRのうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体とを使用するALD堆積方法であって、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである、ALD堆積方法に関する。
【0010】
この実施態様の1つの態様では、ALD堆積は、2D MoS、2D MoSe又は2D MoTe層を成長させるために「自己制御層合成」及び/又は「自己制御層合成様」条件をもたらす条件下で実施される。
【0011】
この実施態様の別の態様では、ALD堆積は、MoX格子内の空孔部位、特にカルコゲン空孔部位が低減されることに基づき、半導体において有益である電子及び/又は正孔の移動度の増大とともに、成長した半導体膜内に高品質結晶秩序を呈する堆積済みMoX膜のために「自己制御層合成」又は「自己制御層合成様」条件をもたらす。
【0012】
この実施態様の別の態様では、ALD動作条件は、「自己制御層合成」又は「自己制御層合成様」堆積をもたらすように「バランスがとられる」。つまり、MoOCl前駆体及びリガンド交換反応後のカルコゲナイド前駆体のリガンドの塩化物における塩素原子のバランスがとられる。開示され請求項に記載された主題のこの態様において、これらの塩素原子はエッチングコンポーネントを加えるだけでなく、堆積された膜内のマイルドなClドーパントとしても挙動し、半導体MoX膜の電気特性を改善するのを助ける。
【0013】
この実施態様の別の態様では、ALD堆積温度ウィンドウは約100℃~約650℃の範囲であり、圧力は約0.1~約100Torrの範囲である。さらなる態様では、堆積温度及び圧力は、選択されたカルコゲナイド前駆体に合わせて調整される。
【0014】
この実施態様の別の態様では、基板表面は、1つ又は2つ以上の化学物質のレシピを用いて、及び/又は本明細書中に記載されたMoX膜の堆積前のプラズマプロセス調製によって前処理される。
【0015】
この発明の概要のセクションは、開示され請求項に記載された主題のいかなる実施態様及び/又は追加的に新規の態様も特定することはない。むしろ、この概要は、種々異なる実施態様、及びコンベンショナルな技術及び周知の技術を凌ぐ新規性の相応点に関する予備的な論議を提供するにすぎない。開示され請求項に記載された主題及び実施態様のさらなる詳細及び/又は考えられ得る全体像については、読者は、発明を実施するための形態、及びさらに後述する開示の対応図へ案内される。
【0016】
本明細書中に記載された種々異なる工程の論議の順序は、明確にする目的で提示されている。一般に、本明細書中に開示された工程は、任意の適宜の順序で実施することができる。加えて、本明細書中に開示された種々異なる特徴、技術、形態などのそれぞれが、本開示の種々異なる場所で論じられることがあるものの、コンセプトのそれぞれは、互いに独立して、又は適宜に互いに組み合わせて実施し得るものとする。したがって、開示され請求項に記載された主題は、数多くの異なる方法で具体化し観察することができる。
【0017】
開示された手段のさらなる理解を可能にし、本明細書中に組み込まれ、そして本明細書の一部を構成する添付の図面は、開示された主題の実施態様を例示し、そして記述とともに、開示された主題の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、開示され請求項に記載された主題の一実施態様(実施例1)における、450℃でMoOCl+iPrSeを使用した場合のMoSeのALD成長を示す図である。
図2図2は、開示され請求項に記載されたALDプロセスが、ALD堆積ウィンドウ全体にわたってフラットな堆積速度を呈することを示す図である。
図3図3は、開示され請求項に記載されたALDプロセスが、その成長曲線において自己制御層合成挙動を呈することを示す図である。
図4図4は、開示され請求項に記載されたALDプロセスにしたがって形成されたMoSe膜のラマン分光特性を示す図である。
図5図5は、成長曲線全体にわたるラマンFWHM(ラマンピークの半値全幅)対堆積温度を示す図である(左の画像は2つの温度におけるA1g FWHM対ALDサイクル数を示し、右の画像は2つの温度におけるXPS Se/Mo比対サイクル数を示す)。
図6図6は、DEDS飽和曲線を示しており、開示され請求項に記載された主題の一実施態様(実施例2)における、MoOCl+Etを使用した場合のMoSの約3s DEDSパルス長における飽和を示す図である。
図7図7は、約3s MoOClパルス長における飽和を示す、実施例2の飽和曲線を示す図である。
図8図8は、飽和プロセスに関する比較的一定の厚さ対温度をもたらす、実施例2の温度ウィンドウを示す図である。
図9図9は、実施例2のALD MoOCl+Et成長曲線が、自己制御層合成様挙動である軟飽和挙動を呈することを示す。
図10図10は、実施例2の試料に関するラマンA1g及びE2g FWHM対ALDサイクル数のプロットを、50サイクル及び500サイクルで示されたフルスペクトルで示し、最適なサイクルカウントにおけるFWHMの改善を示している。
図11図11は、フィン無しのMoSの成長を示すSEMを示す図である。
図12図12は、フィン無しのMoSの成長を示すTEMを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
特に断りがない限りは、明細書及び請求項に使用される下記用語は、本出願に関して下記意味を有するものとする。
【0020】
本出願において、単数形の使用は複数形を含み、そして「a」、「an」及び「the」は、特に断りのない限り「少なくとも1つ」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語、並びに他の形、例えば「含む(includes)」、及び「含まれた(included)」の使用は非限定的である。また「エレメント」又は「コンポーネント」のような用語は、特に断りのない限り、1つの単位を含むエレメント又はコンポーネント、及び2つ以上の単位を含むエレメント又はコンポーネントの両方を含む。特に断りのない限り、本明細書中に使用される接続詞「及び(and)」は、包括的であるように意図され、そして接続詞「又は(or)」は、排他的であるようには意図されない。例えば、「又は、その代わりに(or、alternatively)」という表現は、排他的であるように意図される。本明細書中に使用される「及び/又は(and/or)」という用語は、単独エレメントの使用を含む先行のエレメントの任意の組み合わせを意味する。
【0021】
「約(about)」又は「約(approximately)」という用語は、測定可能な数値変数との関連において使用されるときには、変数の指示された値、及び指示された値の実験誤差の範囲内(例えば平均に対する95%信頼限界の範囲内)、又は指示された値のパーセンテージの範囲内(例えば±10%、±5%)のいずれか大きい方にある、変数のすべての値を意味する。
【0022】
本明細書中に使用される「Cx-y」(x及びyはそれぞれ整数である)は、鎖内の炭素原子数を指定する。例えば、C1-6アルキルは、炭素原子数1~6の鎖を有するアルキル鎖(例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシル)を意味する。特に断りのない限り、鎖は直鎖状又は分枝状であり得る。
【0023】
特に断りがない限り、「アルキル」は、直鎖状、分枝状(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、及びこれに類するもの)、環式(例えばシクロヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、及びこれに類するもの)、又は多環式(例えばノルボニル、アダマンチル(adamantly)、及びこれに類するもの)であり得る炭化水素基を意味する。好適な非環式基はメチル、エチル、n-又はイソ-プロピル、n-、イソ、又はtert-ブチル、直鎖又は分枝ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、及びヘキサデシルであり得る。特に断りのない限り、アルキルは1~10炭素原子部分である。環式アルキル基は単環式又は多環式であってよい。単環式アルキル基の好適な例は、置換型シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチル基を含む。本明細書中に述べられているように、環式アルキル基は、非環式アルキル基のいずれをも置換基として有してよい。これらのアルキル部分は置換型又は無置換型であってよい。
【0024】
「ハロゲン化アルキル」は、上で定義したような直鎖状、環式、又は分枝状の飽和アルキル基であって、水素の1つ又は2つ以上がハロゲン(例えばF、Cl、Br及びI)によって置換されているものを意味する。このように、例えばフッ素化アルキル(別名「フルオロアルキル」)は、上で定義された直鎖状、環式、又は分枝状の飽和アルキル基であって、水素の1つ又は2つ以上がフッ素(例えばトリフルオロメチル、パーフルオロエチル(pefluoroethyl)、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロイソプロピル(prefluoroisopropyl)、パーフルオロシクロヘキシル、及びこれに類するもの)によって置換されているものを意味する。このようなハロアルキル部分(例えばフルオロアルキル部分)は、過ハロゲン化/多ハロゲン化されていないのならば、無置換型であってよく、あるいはさらに置換されていてよい。
【0025】
「アルコキシ」(別名「アルキルオキシ」)は、上で定義されたアルキル基であって、オキシ(-O-)部分(例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、1,2-イソプロポキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、及びこれに類するもの)を介して結合されているものを意味する。これらのアルコキシ部分は置換型又は無置換型であってよい。
【0026】
「アルキルカルボニル」は、上で定義されたアルキル基であって、カルボニル基(-C(=O-))部分(例えばメチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、ブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、及びこれに類するもの)を介して結合されたものを意味する。これらのアルキルカルボニル部分は置換型又は無置換型であってよい。
【0027】
「ハロ」又は「ハライド」はハロゲン(例えばF、Cl、Br及びI)を意味する。
【0028】
「ヒドロキシ」(別名「ヒドロキシル」)は-OH基を意味する。
【0029】
「アリール」という用語は、炭素原子数4~10、炭素原子数5~10、又は炭素原子数6~10の芳香族環式官能基を意味する。模範的アリール基の一例としては、フェニル、1-フェニルエチル(Ph(Me)CH-)、1-フェニル-1-メチル-エチル(Ph(Me)C-)、ベンジル、クロロベンジル、トリル、O-キシリル、1,2,3-トリアゾリル、ピロリル、及びフラニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
特に断りのない限り、アルキル、アルコキシ、フッ素化アルキル、及びこれに類するものに言及するときの「置換(substituted)」という用語は、1つ又は2つ以上の置換基をさらに含有するこれらの部分のうちの1つを意味する。これらの置換基の一例としては、下記置換基、すなわちアルキル、置換型アルキル、無置換型アリール、置換型アリール、アルキルオキシ、アルキルアリール、ハロアルキル、ハライド、ヒドロキシ、アミノ及びアミノアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、「無置換型」という用語は、水素から離れた置換基が存在しないこれらの同じ部分を意味する。
【0031】
本発明及びその請求項を目的として、元素周期表の族(Periodic Table Groups)の番号設定は、IUPAC元素周期表(IUPAC Periodic Table of Elements)に従う。
【0032】
本明細書中で「A及び/又はB」のような表現において使用される「及び/又は」は「A及びB」、「A又はB」、「A」及び「B」を含むものとする。
【0033】
「置換基」、「ラジカル」、「基」、及び「部分」という用語は相互置き換え可能に使用され得る。
【0034】
本明細書中に使用される「金属含有錯体」(又はより単純に「錯体」)及び「前駆体」という用語は、相互置き換え可能に使用され、蒸着プロセス、例えばALD又はCVDによって金属含有膜を調製するために使用し得る金属含有分子又は化合物を意味する。金属含有錯体は、金属含有膜を形成するように、基板若しくは基板表面上で堆積され、基板若しくは基板表面に吸着され、基板若しくは基板表面上で分解され、基板若しくは基板表面へ送達され、及び/又は基板若しくは基板表面へ引き渡され得る。1つ又は2つ以上の実施態様では、本明細書中に開示された金属含有錯体は、金属オキシハライド錯体、具体的にはモリブデンオキシクロリド錯体である。
【0035】
本明細書中に使用される「ALD」という用語は、自己制御堆積プロセスを意味し、その一例としては次のプロセス、すなわちa) MoOCl前駆体及びカルコゲナイド前駆体を含む蒸気を含む各反応物質を、反応器、例えば単独ウエハーALD反応器、準バッチALD反応器、又はバッチ炉ALD反応器内へ順次に導入するプロセス、b) 基板を反応器の種々の区分へ移動又は回転させることにより、MoOCl前駆体及びカルコゲナイド前駆体を含む蒸気を含む各反応物質を基板に暴露し、そして各区分を不活性ガスカーテン、すなわち空間ALD反応器又はロール・トゥ・ロールALD反応器によって分離する、プロセスが挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
本明細書中に使用される「金属含有膜」という用語は、下でより十分に定義される元素金属膜だけでなく、1つ又は2つ以上の元素を伴う金属、例えば金属酸化物膜、金属窒化物膜、金属ケイ化物膜、金属炭化物膜、金属硫化物膜、金属セレン化物膜、金属テルル化物、及びこれに類するものを含む膜をも含む。
【0037】
本明細書中に使用される「蒸着プロセス」という用語は、一例としてはCVD及びALDを含むが、これらに限定されないあらゆるタイプの蒸着技術を意味するために使用される。種々の実施態様では、CVDは、コンベンショナルな(すなわち連続流)CVD、液体注入CVD、又は光支援型CVDの形態を成してよい。CVDはパルス技術、すなわちパルスCVDの形態を成してもよい。ALDは、本明細書中に開示された少なくとも1つの金属錯体を蒸発させ、及び/又は基板表面に引き渡すことにより、金属含有膜を形成するために使用される。コンベンショナルなALDプロセスについては、例えばGeorge S.M.,et al. J.Phys.Chem.,1996,100,13121-13131を参照されたい。他の実施態様では、ALDはコンベンショナルな(すなわちパルス注入)ALD、液体注入ALD、光支援型ALD、プラズマ支援型ALD、又はプラズマ促進型ALDの形態を成してよい。「蒸着プロセス」という用語は、Chemical Vapour Deposition:Precursors,Processes,and Applications;Jones,A.C.;Hitchman,M.L.,Eds.The Royal Society of Chemistry:Cambridge,2009;Chapter 1,pp.1-36に記載された種々の蒸着技術をさらに含む。
【0038】
本明細書中に使用される「フィーチャ」という用語は、1つ又は2つ以上の側壁、底面、及び上側の角隅によって画定され得る基板の開口を意味する。種々の態様では、フィーチャはビア、トレンチ、コンタクト、デュアルダマシンなどであってよい。
【0039】
本明細書中に使用される「選択的成長」、「選択的に成長した」及び「選択的に成長する」という用語は、同義に使用されてよく、第1基板の少なくとも一部上に膜が成長して、第1基板の残りの部分上には実質的に膜が成長しないことを意味し、また第1基板の残りの部分上の膜成長量と比較して、第1基板の少なくとも一部上の膜成長量が多いことを意味する。例えば、選択的成長は、フィーチャのより低い部分に膜が成長するのに対して、そのフィーチャの上側部分又はそのフィーチャの外部に発生する膜成長がより少量であるか又は膜成長がないことを含んでよい。2つ以上の基板に関して、「選択的成長」、「選択的に成長した」及び「選択的に成長する」という用語は、第1基板上に膜が成長し、そして第2基板(又は第3基板、又は第4基板、若しくは第5基板など)上には実質的に膜が成長しないことをも含み、また第2基板(又は第3基板、又は第4基板、若しくは第5基板など)上よりも、第1基板上の膜成長量が多いことをも含む。
【0040】
開示され請求項に記載された主題に基づくMoOCl及び/又はMoOBr、並びに1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体は好ましくは水を実質的に含まない。本明細書に使用される、水に関する「実質的に含まない(substantially free)」という用語は、プロトンNMR又はカールフィッシャー滴定で測定して5000ppm(重量)未満、好ましくはプロトンNMR又はカールフィッシャー滴定で測定して3000ppm未満、そしてより好ましくはプロトンNMR又はカールフィッシャー滴定で測定して1000ppm未満、そして最も好ましくはプロトンNMR又はカールフィッシャー滴定で測定して100ppmであることを意味する。MoOCl及び1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体はまた好ましくは、金属イオン又は金属、例えばLi(Li)、Na(Na)、K(K)、Mg2+(Mg)、Ca2+(Ca)、Al3+(Al)、Fe2+(Fe)、Fe3+(Fe)、Ni2+(Fe)、Cr3+(Cr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、又は亜鉛(Zn)を実質的に含まない。これらの金属イオン又は金属は、MoOCl及び1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体を合成するために採用される出発材料/反応器に潜在的に由来する。Li、Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Ni、Cr、Ti、V、Mn、Co、Ni、Cu又はZnに関連する、本明細書中に使用される「実質的に含まない(substantially free)」という用語は、ICP-MSによって測定して5ppm(重量)未満、好ましくは3ppm未満、そしてより好ましくは1ppm未満、そして最も好ましくは0.1ppmであることを意味する。加えて、MoOCl及び/又はMoOBr、並びに1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体は好ましくは、合成中に採用される出発材料、又は合成中に生成される副生成物に由来する有機不純物を実質的に含まない。一例としては、アルカン、アルケン、アルキン、ジエン、エーテル、エステル、アセテート、アミン、ケトン、アミド、芳香族化合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書中に使用される、有機不純物を「含まない」という用語は、GCによって測定して1000ppm以下、好ましくはGCによって測定して500ppm(重量)以下、最も好ましくはGC又はアッセイのための他の分析法によって測定して100ppm(重量)以下であることを意味する。重要なことは、MoOCl及び1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体が好ましくは、Mo含有膜を堆積するために前駆体として使用されたときにGCによって測定して、98wt%以上、より好ましくは99wt%以上の純度を有することである。
【0041】
本明細書中に使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のためのものであり、記載された主題を限定するものと解釈されるべきではない。特許、特許出願、記事、書籍、及び論文を非限定的に含む、本出願において引用されたすべての文書、又は文書の部分が、あらゆる目的のためにその全体を参照することにより、本明細書中に明示的に援用される。援用された文献及び同様の資料がある用語を、本出願におけるその用語の定義と矛盾する形で定義する場合には、本出願が優先される。
【0042】
理解されるべきことは、先行の全般的な説明と以下の詳細な説明の両方は例示的且つ説明的なものであり、請求項に記載したように、主題を限定するものではないことである。開示された主題の目的、特徴、利点、及び発想は、明細書中に提供された記述から当業者には明らかになり、開示された主題は、本明細書中に出現する記述内容に基づいて、当業者によって容易に実施し得ることになる。あらゆる「好ましい実施態様」、及び/又は開示された主題を実施するための好ましい様式を示す実施例の記述は、説明を目的として含まれており、請求の範囲を限定しようとするものではない。
【0043】
開示された主題が、明細書中に記載された態様に基づいて、本明細書中に開示された主題の思想及び範囲を逸脱することなしに実施されるような種々の変更を加え得ることも、当業者には明らかである。
【0044】
上述のように、開示された主題は、MoOCl及び/又はMoOBrと、(i)RXR及び/又は式(ii)RXXR(X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである)のうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体とを使用するALD堆積プロセスに関する。一実施態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。一実施態様では、プロセスはMoOClを使用することを含む。一実施態様では、プロセスはMoOBrを使用することを含む。開示され請求項に記載されたALDプロセスの具体的な態様を以下に説明する。
【0045】
一実施態様では、開示され請求項に記載された主題は、MoOClと、(i)RXR及び/又は式(ii)RXXR(X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである)のうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体とを使用して、Mo含有膜を堆積する方法に関する。この実施態様の一態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。方法は、(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl蒸気と接触させ、(ii) あらゆる未反応のMoOClを不活性ガスでパージし、(iii) 堆積反応器内で基板を、上記式のカルコゲナイド前駆体と接触させ、そして(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする、ことを含む。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)から本質的に成る。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)から成る。
【0046】
一実施態様では、開示され請求項に記載された主題は、MoOClと、(i)RXR及び/又は式(ii)RXXR(X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである)のうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体とを使用して、Mo含有膜を堆積する方法に関する。この実施態様の一態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。方法は、(i) 堆積反応器内で基板をMoOCl蒸気と接触させ、(ii) あらゆる未反応のMoOClを不活性ガスでパージし、(iii) 堆積反応器内で基板を、上記式のカルコゲナイド前駆体と接触させ、(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージし、そして(v) 残留酸素を除去するために、基板をHSガス及び/又はHSプラズマで処理する、ことを含む。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)から本質的に成る。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)から成る。
【0047】
一実施態様では、開示され請求項に記載された主題は、MoOBrと、(i)RXR及び/又は式(ii)RXXR(X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである)のうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体とを使用して、Mo含有膜を堆積する方法に関する。この実施態様の一態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。方法は、(i) 堆積反応器内で基板をMoOBr蒸気と接触させ、(ii) あらゆる未反応のMoOClを不活性ガスでパージし、(iii) 堆積反応器内で基板を、上記式のカルコゲナイド前駆体と接触させ、そして(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージする、ことを含む。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)から本質的に成る。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)から成る。
【0048】
一実施態様では、開示され請求項に記載された主題は、MoOBrと、(i)RXR及び又は式(ii)RXXR(X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、水素、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである)のうちの1つ又は2つ以上のカルコゲナイド前駆体とを使用して、Mo含有膜を堆積する方法に関する。この実施態様の一態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。方法は、(i) 堆積反応器内で基板をMoOBr蒸気と接触させ、(ii) あらゆる未反応のMoOBrを不活性ガスでパージし、(iii) 堆積反応器内で基板を、上記式のカルコゲナイド前駆体と接触させ、(iv) 任意には、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージし、そして(v) 残留酸素を除去するために、基板をHSガス及び/又はHSプラズマで処理する。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)から本質的に成る。この実施態様のさらなる態様では、方法は工程(i)、(ii)、(iii)、(iv)、及び(v)から成る。
【0049】
一実施態様では、基板表面が、1つ又は2つ以上の化学物質のレシピを用いて、及び/又はMoX堆積前のプラズマプロセス調製によって前処理することができる。
【0050】
MoOCl及び/又はMoOBrの送達
上記のように、開示され請求項に記載された方法の工程(i)は、基板をMoOCl及びMoOBr蒸気のうちの1つ又は2つ以上と接触させることを含む。MoOCl及び/又はMoOBrは、ALD及び/又はプラズマ促進型原子層堆積(PEALD)のための揮発性前駆体として使用するのに著しく適している。本明細書中に使用される「原子層堆積プロセス」という用語は、自己制御式の(すなわちある特定の数のサイクル後に膜厚が漸近的に飽和する)、種々の組成を有する基板上へ材料膜を堆積する連続的な化学作用を意味する。
【0051】
当業者には明らかになるように、MoOCl及び/又はMoOBr前駆体を送達するときには、MoOCl及び/又はMoOBr前駆体のパルス時間、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気圧、及びチャンバへ入るMoOCl及び/又はMoOBr分子の到達速度を決定するためのMoOCl及び/又はMoOBrのキャリア流量、並びにチャンバへ入るMoOCl及び/又はMoOBr分子の総用量のようなファクタを調節し、これらのファクタのバランスをとることが可能である。例えば、蒸気圧を2倍だけ上昇させる一方で、パルス時間を2分の1に短縮すると、MoOCl及び/又はMoOBr分子の到達速度がなおも変化しつつ、MoOCl及び/又はMoOBr用量は一定に保たれる。これら3つの変数の共変動は、チャンバ内へのMoOCl及び/又はMoOBrの総用量、チャンバ内へのMoOCl及び/又はMoOBr分子のフラックス速度、それぞれのMoOCl及び/又はMoOBr分子が、MoOCl及び/又はMoOBrアンプル内で蒸発するために許される時間、並びにMoOCl及び/又はMoOBrアンプル内のあらゆるキャリアガス乱流を決定する。
【0052】
別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約0.1秒~約25秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約0.3秒~約18秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約1秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約2秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約3秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約4秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約5秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約6秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約7秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約8秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約10秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約12秒である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気パルス時間は、約15秒である。
【0053】
MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、MoOCl及び/又はMoOBrの蒸気圧を制御するために使用される。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約55℃~約300℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約60℃~約160℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約65℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約75℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約85℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約90℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約115℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約130℃である。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのアンプル温度は、約150℃である。
【0054】
別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約5sccm~約3000sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約30sccm~約1000sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約50sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約75sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約100sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約150sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約200sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約350sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約500sccmである。別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBrのキャリアガス流量は、約650sccmである。
【0055】
一実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBr蒸気は、反応器への導入前及び/又は導入中に他の前駆体材料から分離される。このプロセスは金属前駆体と任意の他の材料との前反応を回避する。
【0056】
別の実施態様では、MoOCl及び/又はMoOBr蒸気はその代わりに他の反応物質(例えばアンモニア蒸気、及び/又は他の前駆体若しくは試薬)と一緒に基板に暴露される。このプロセスは、膜成長が、表面反応、それぞれの前駆体又は試薬のパルス長、及び堆積温度を自己制御式に制御することによって進行するのを可能にする。しかし、膜成長は、基板の表面がMoOCl及び/又はMoOBr蒸気で飽和されると停止することに注目するべきである。
【0057】
別の実施態様では、前駆体パルス供給中にMoOCl及び/又はMoOBr蒸気を反応器へ送達するのを助けるために、アルゴン流及び/又は他のガス流がキャリアガスとして採用される。
【0058】
MoOCl及び/又はMoOBrのパージ工程。
開示され請求項に記載された方法の工程(ii)は、あらゆる未反応のMoOCl及び/又はMoOBrを不活性ガスでパージすることを含む。不活性ガスでパージすることにより、吸収されていない余剰の錯体がプロセス反応器から除去される。
【0059】
一実施態様では、パージ時間は約1秒~約90秒である。一実施態様では、パージ時間は約10秒~約90秒である。一実施態様では、パージ時間は約15秒~約60秒である。別の一実施態様では、パージ時間は約20秒である。別の一実施態様では、パージ時間は約30秒である。別の一実施態様では、パージ時間は約40秒である。別の一実施態様では、パージ時間は約60秒である。
【0060】
一実施態様では、パージガスはアルゴンを含む。別の実施態様では、パージガスは窒素を含む。
【0061】
カルコゲナイド前駆体
上記のように、開示され請求項に記載された方法の工程(iii)は、所定の時間にわたって、基板を堆積反応器内でカルコゲナイド前駆体と接触させることを含む。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体は、式(i)RXR及び/又は式(ii)RXXRを有し、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである。一実施態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。開示され請求項に記載されたALDプロセスの具体的な態様を以下に説明する。
【0062】
この実施態様の一態様では、カルコゲナイド前駆体は、式(i)RXRを有し、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである。さらなる態様では、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。
【0063】
この実施態様の別の一態様では、カルコゲナイド前駆体は、式(ii)RXXRを有し、ここで、X=S、Se又はTeであり、そしてR及びRはそれぞれ独立して、無置換型直鎖C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された直鎖C-Cアルキル基、アミノ基で置換された直鎖C-Cアルキル基、無置換型分枝C-Cアルキル基、1つ又は2つ以上のハロゲンで置換された分枝C-Cアルキル基、アミノ基で置換された分枝C-Cアルキル基、無置換型アミン、置換型アミン、及び-Si(CHのうちの1つである。さらなる態様では、一実施態様で、R及びRはそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルのうちの1つである。
【0064】
上記実施態様の一態様では、Xは好ましくはSである。上記実施態様の別の態様では、Xは好ましくはSeである。上記実施態様の別の態様では、Xは好ましくはTeである。
【0065】
上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくは水素である。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはメチルである。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはエチルである。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはn-プロピルである。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはイソ-プロピルである。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはn-ブチルである。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはイソ-ブチルである。上記実施態様の一態様では、R及びRの一方又は両方は好ましくはtert-ブチルである。
【0066】
当業者には明らかになるように、カルコゲナイド前駆体を送達するときには、カルコゲナイド前駆体のパルス時間、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧、及びチャンバへ入るカルコゲナイド前駆体分子の到達速度を決定するためのカルコゲナイド前駆体のキャリア流量、並びにチャンバへ入るカルコゲナイド前駆体分子の総用量のようなファクタを調節し、これらのファクタのバランスをとることが可能である。例えば、蒸気圧を2倍だけ上昇させる一方で、パルス時間を2分の1に短縮すると、カルコゲナイド前駆体分子の到達速度がなおも変化しつつ、カルコゲナイド前駆体の用量は一定に保たれる。これら3つの変数の共変動は、チャンバ内へのカルコゲナイド前駆体の総用量、チャンバ内へのカルコゲナイド前駆体分子のフラックス速度、それぞれのカルコゲナイド前駆体分子が、カルコゲナイド前駆体アンプル内で蒸発するために許される時間、及びカルコゲナイド前駆体アンプル内のあらゆるキャリアガス乱流を決定する。
【0067】
一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のパルス時間は、約0.5秒~約25秒である。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のパルス時間は、約1秒~約15秒である。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のパルス時間は、約1秒である。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のパルス時間は、約5秒である。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のパルス時間は、約10秒である。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のパルス時間は、約15秒である。
【0068】
前駆体の蒸気圧は、カルコゲナイド前駆体分子、及び前駆体が液体である場合にはアンプルの温度を選択することによって制御される。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧は、約0.3Torr~約15,000Torrである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧は、約2Torrである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧は、約10Torrである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧は、約30Torrである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧は、約90Torrである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体の蒸気圧は、約200Torrである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体は、チャンバへ送達されるガス(定義によれば、ガスは≧760Torrの蒸気圧を有する)、例えば蒸気圧が70℃で約13,000TorrのHSである。
【0069】
一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約0sccm(蒸気ドロー)~約3000sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約5sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約50sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約100sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約250sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約500sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約750sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約1000sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約1250sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約1500sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約1750sccmである。一実施態様では、カルコゲナイド前駆体のキャリアガス流量は、約2000sccmである。
【0070】
好ましい前駆体集合
開示され請求項に記載された主題のALDプロセスは、以下のように、MoOCl及び/又はMoOBrと、上記カルコゲナイド前駆体の1つ又は2つ以上とを組み合わせたいかなる前駆体集合をも利用することができる。
【0071】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びiBuSを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びiBuSを含む。
【0072】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びiPrSを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びiPrSを含む。
【0073】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びiPrSeを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びiPrSeを含む。
【0074】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びEtを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びEtを含む。
【0075】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びEtSeを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びEtSeを含む。
【0076】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びtBuSHを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びtBuSHを含む。
【0077】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びHSeを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びHSeを含む。
【0078】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びHSを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びHSを含む。
【0079】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びHTeを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びHTeを含む。
【0080】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びEtTeを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びEtTeを含む。
【0081】
一実施態様では、前駆体集合はMoOCl及びiPrTeを含む。一実施態様では、前駆体集合はMoOBr及びiPrTeを含む。
【0082】
任意のカルコゲナイド前駆体パージ工程
上記のように、開示され請求項に記載された方法の工程(iv)は、あらゆる未反応のカルコゲナイド前駆体を不活性ガスでパージすることを任意に含む。不活性ガスによるパージによって、プロセス反応器からあらゆる残留カルコゲナイド前駆体を除去する。一実施態様では、パージガスはアルゴンを含む。別の実施態様では、パージガスは窒素を含む。当業者には明らかであるように、大抵の事例とは言わないまでも多くの事例では、開示され請求項に記載されたプロセスは、未反応のカルコゲナイド前駆体をパージする工程を含む。
【0083】
一実施態様では、例えば任意のカルコゲナイド前駆体のパージ時間は、約4秒~約90秒である。一実施態様では、例えば任意のカルコゲナイド前駆体のパージ時間は、約15秒~約60秒である。別の実施態様では、例えば任意のカルコゲナイド前駆体のパージ時間は、約30秒である。別の実施態様では、例えば任意のカルコゲナイド前駆体のパージ時間は、約60秒である。別の実施態様では、例えば任意のカルコゲナイド前駆体のパージ時間は、約90秒である。
【0084】
付加的なガス及び/又はプラズマ処理
上記のように、開示され請求項に記載された方法の工程(v)は、前の工程中に形成された膜から残留酸素を除去するために、HSガス及び/又はHSプラズマで基板を処理することを含む。
【0085】
一実施態様では、プラズマの使用は、直接プラズマ生成プロセスを構成する。この場合プラズマは反応器内で直接に生成される。別の実施態様では、プラズマの使用は、遠隔プラズマ生成プロセスを構成する。この場合プラズマは反応器の外部で生成され、そして反応器内へ供給される。
【0086】
動作条件
上記のように、開示され請求項に記載されたモリブデン堆積プロセスは、高度にコンフォーマルなMo含有膜を提供するための極めて好都合なALD条件下で効率的に行うことができる。
【0087】
温度
一実施態様では、基板(例えば酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ケイ素(SiO)、酸窒化ケイ素、窒化ケイ素(Si)、酸化ジルコニウム(ZrO)、及び酸化ハフニウム(HfO))が、反応器内のヒータ段上で加熱される。ヒータ段は、錯体が基板の表面上へ化学的に吸着されるのを可能にするように最初にセットされた、選択された前駆体へ暴露される。一実施態様では、基板温度は約100℃~約650℃である。一実施態様では、基板温度は約200℃~約650℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約250℃~約600℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約300℃~約550℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約450℃~約525℃である。
【0088】
この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約150℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約200℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約250℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約300℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約350℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約400℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約425℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約450℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約475℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約500℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約525℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約550℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約600℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約625℃である。この実施態様のさらなる態様では、基板温度は約650℃である。
【0089】
一実施態様では、基板温度は、プロセス内に利用される前駆体のそれぞれの分解温度を下回るように設定される。一実施態様では、基板温度は、プロセスがALDプロセスとしてなおも作用する(無視し得るCVDコンポーネント)場合にプロセスで利用される前駆体のうちのただ1つだけの前駆体の分解温度に近い温度に、分解温度に、又は分解温度を上回る温度に設定される。一実施態様では、基板温度は、プロセスがALDプロセスとしてなおも作用する(無視し得るCVDコンポーネント)場合にプロセスで利用される前駆体のうちのただ2つ又は3つ以上の前駆体だけの分解温度に近い温度に、分解温度に、又は分解温度を上回る温度に設定される。一実施態様では、基板温度は、プロセスがALDプロセスとしてなおも作用する(無視し得るCVDコンポーネント)場合にプロセスで利用される前駆体のうちのそれぞれの前駆体の分解温度に近い温度に、分解温度に、又は分解温度を上回る温度に設定される。
【0090】
圧力
別の実施態様では、開示され請求項に記載された主題に基づく堆積のための反応器圧力は、約0.1~約100Torrである。別の実施態様では、開示され請求項に記載されたプロセスに基づく堆積のための反応器圧力は、約2Torr~約10Torrである。
【0091】
別の実施態様では、開示され請求項に記載されたプロセスに基づく堆積のための反応器圧力は、≦約50Torrである。別の実施態様では、開示され請求項に記載されたプロセスに基づく堆積のための反応器圧力は、≦約40Torrである。別の実施態様では、開示され請求項に記載されたプロセスに基づく堆積のための反応器圧力は、≦約30Torrである。この実施態様のさらなる態様では、反応器圧力は≦約20Torrである。この実施態様のさらなる態様では、反応器圧力は≦約10Torrである。この実施態様のさらなる態様では、反応器圧力は≦約5Torrである。
【0092】
工程のサイクル及び順序
上記実施態様、並びに本明細書中に記載された他の実施態様では、記載された工程(例えば(i)~(iv)又は(i)~(v))は、方法の1つのサイクルを定義する。なお、サイクルは、所期の膜厚が得られるまで繰り返すことができる。一実施態様では、ALD法は約5~約2000サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約20~約1000サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約50~約500サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約100~約300サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約5サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約10サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約15サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約20サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約25サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約50サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約100サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約150サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約200サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約250サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約300サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約350サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約400サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約450サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約500サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約550サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約600サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約650サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約700サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約750サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約1000サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約1250サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約1500サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約1750サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約2000サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約2500サイクルを含む。
【0093】
一実施態様では、ALD法は、フィン無しTMD成長を可能にする。フィン無しTMD成長(例えば、デバイス、例えばトランジスタ内の超伝導チャネル層のための)は、成長サイクルをフィン核生成の開始に限定することにより、実施される。これらの成長サイクルはMoOCl+HSの場合、約400サイクルである。このようなものとして、一実施態様では、ALD法は50サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約100サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約150サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約200サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約250サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は約300サイクルを含む。一実施態様では、ALD法は、フィン核形成がその特定の前駆体の組み合わせ及びチャンバハードウェアに対してまだ出現していない場合には、最大サイクル数を含む。
【0094】
本明細書中に記載された実施態様では、方法の工程が、種々の順序で実施されてよく、(例えば別の工程の少なくとも一部の間に)順次又は同時に実施されてよく、そしてこれらの任意の組み合わせで実施されてよい。加えて、MoOCl及びMoOBrの1つ又は2つ以上、並びに窒素源のうちの1つ又は2つ以上を供給するそれぞれの工程は、膜組成を変化させるためにこれらを供給するための時間を変化させることにより実施されてもよい。例えば、一実施態様は、以下の順番、すなわち(iii)、(iv)、(i)、(ii)をx回繰り返す形でALDサイクルにおける工程を実行し、任意で工程(iii)が続く。
【0095】
模範的プロセス

開示され請求項に記載された主題は、本明細書中に記載された方法によって調製された膜を含む。
【0096】
一実施態様では、本明細書中に記載された方法によって形成された膜は、アスペクト比が約1~約750のトレンチ、ビア、又は他のトポグラフィカルなフィーチャを有する。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約5~約500である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約10~約350である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約15~約300である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約1~約20である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約15~約200である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約5超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約10超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約20超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約30超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約50超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約70超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約100超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約150超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約200超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約300超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約400超である。この実施態様のさらなる態様では、アスペクト比は約500超である。
【0097】
別の実施態様において、本明細書に記載された方法によって形成された膜は約1~約350の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約5~約300の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約10~約250の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約20~約220の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約30~約200の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約40~約180の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約15の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約30の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約50の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約80の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約100の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約125の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約150の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約175の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約200の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約250の移動度を有する。本実施態様のさらなる態様では、膜は約300の移動度を有する。
【0098】
本開示のより具体的な実施態様、及びこのような実施態様を指示する試験結果をここで参照する。実施例は、開示された主題をより十分に例示するために下に提供され、開示された主題を限定するものと決して解釈してはならない。
【0099】
当業者には明らかなように、開示された主題の思想又は変更を逸脱することなしに、種々の改変及び変更を、開示された主題及び本明細書中に提供された具体例に加えることができる。このように、以下の実施例により提供される記載内容を含む、開示された主題は、任意の請求項及びこれらと同等のものの範囲に含まれる、開示された主題の改変及び変更をカバーするものとする。
【0100】
材料及び方法
MoOClを含むすべての材料は、Versum Materialsから購入し、そして全ての膜はIntermolecular A30チャンバ内で堆積した。
【実施例
【0101】
実施例1
実施例1において、MoOClパルス長飽和が450℃基板温度にあるMoOCl+iPrSeを使用して、MoSeのALD 2D TMD成長を達成した。この場合、MoOClキャリア流量が50sccmに設定されており、MoOClパルス圧が4Torrに設定されており、MoOClパージ長が50sに設定されており、iPrSeパルス時間が10sに設定されており、iPrSeアンプル温度が29℃に設定されており、iPrSeキャリア流量が100sccmに設定されており、iPrSeパルス圧が5Torrに設定されており、iPrSeパージ長が50sに設定されており、そしてそれぞれの堆積を100ALDサイクルにわたって実行した。図1に示されているように、堆積されたMoSe厚は、1桁分にわたって飽和を有するMoOClフラックスの関数として示される。XRF Se/Mo比が、未加工カウント(raw counts)の比であり、そして未加工カウント比約0.6は、XRF Se/Mo比約2に換算されることに注目されたい。
【0102】
堆積プロセスは、ALD堆積ウィンドウの温度範囲全体にわたってフラットな堆積速度を呈する。図2に示されているように、ウエハー温度曲線は、ALD MoOCl+iPrSeが、Mo XRF kCPSによって測定して、ほぼ一定の温度において、約450℃~475℃から少なくとも約600℃の基板温度へ伸びるALDウィンドウを有することを示している。この場合、MoOClアンプル温度が65℃に設定されており、MoOCl前駆体パルス長が5sに設定されており、MoOClキャリア流量が50sccmに設定されており、MoOClパルス圧が4Torrに設定されており、MoOClパージ長が50sに設定されており、iPrSeパルス時間が10sに設定されており、iPrSeアンプル温度が29℃に設定されており、iPrSeキャリア流量が100sccmに設定されており、iPrSeパルス圧が5Torrに設定されており、iPrSeパージ長が50sに設定されており、そしてそれぞれの堆積を100ALDサイクルにわたって実行した。ここでも、XRF Se/Mo比が、未加工カウント(raw counts)の比であり、そして未加工カウント比約0.6は、XRF Se/Mo比約2に換算されることに注目されたい。
【0103】
ALDプロセスはまた、その成長曲線において自己制御層合成挙動を呈する。図3において、MoOCl+iPrSeのALD堆積は、約475℃~約600℃の自己制御層合成挙動を表示し、Mo XRF kCPSによって測定して同様の厚さに漸近的に到達する。MoOCl+iPrSe成長曲線は、約500サイクルにおいて厚さの飽和を示す。
【0104】
図4に示されているように、ラマン分光法は、MoSe膜がすべて良好な品質の2D 2H相MoSe膜であることを示している。加えて、図5に示されているように、図示の成長曲線全体にわたるラマンFWHM対堆積温度の分析は、膜が狭いFWHMを有し、そしてXPSによって測定して化学量論的又は近化学量論的であることを示している。図5において、左の画像は、2つの温度におけるA1g FWHM対ALDサイクルを示しており、右の画像は2つの温度におけるXPS Se/Mo比対サイクル数を示す。
【0105】
実施例2
実施例2において、ALD MoOCl+Et(ジエチルジスルフィド又は「DEDS」)を使用して、MoSのALD 2D TMD成長を達成した。図6及び図7は、この実施例に関して600℃で測定されたMoOCl及びEtの飽和曲線を示す。具体的には、図6はDEDS飽和曲線を示し、(600℃の基板温度において、そしてこれとともに(a)5秒のMoOClパルス時間、50sccmのMoOCl Arガスキャリア流量、(b)40秒のMoOClパージ時間、(c)50sccmのMoOCl Arガスキャリア流量、(d)40秒のMoOClパージ時間、(e)100sccmのDEDS Arガスキャリア流量、(f)60秒のDEDSパージ時間を用いて)、開示され請求項に記載された主題の実施態様(実施例2)ではMoOCl+Etを使用して、MoSの、約3秒のDEDSパルス長における飽和を示している。図7は、実施例2に対応するMoOCl飽和曲線を示し、約3秒のMoOClパルス長における飽和を示している。
【0106】
図8に示されたALD温度曲線は、実施例2に由来するALD MoOCl+EtのALDウィンドウが、Mo XRF kCPSによって測定して、約450℃~少なくとも625℃の基板温度であることを示している。
【0107】
図9は、ALD MoOCl+Et成長曲線が、軟飽和挙動(すなわち漸近曲線対ALDサイクル数の代わりに劣線形厚さ対ALDサイクル数)を呈することを示し、エッチングコンポーネントが堆積コンポーネントと、500サイクルまで完全にはバランスがとれていないことを示唆している。この堆積挙動は、線形又は超線形曲線(非自己制御層合成様挙動)と比較して、右のサイクルカウントにおいてより良好な厚さターゲティング及びより良好な厚さ均一性を可能にする。図10に示されているように、この堆積挙動は、より大きい厚さにおいてより多数の均一な単原子層をもたらす。図10は、図9の試料に関するラマンA1g及びE2g FWHM対ALDサイクル数をプロットしている。この分析は、300~500サイクルにおいて、ラマンが飽和MoOCl+DEDSプロセスにとって最適に狭いFWHMに到達することを示している。この分析は、50サイクル及び500サイクルで堆積された膜のための完全ラマンスペクトルをさらに含む。
【0108】
高品質2D材料の成長において、良好に分離された核形成部位で成長を開始させ、そしてこれらの部位から側方に、これらが周囲の島と合体するまで成長し、連続的な2D層を形成することが望ましい。合体していない島の上部で成長開始する二次的な島を有することは望ましくない。図11(SEM)及び図12(TEM)は、300ALDサイクル後の、合体層の上部における小さな新しい島の成長、及び500ALDサイクル後のフィン成長の出現を示している。図12は、MoSの100ALDサイクルのTEM画像であり、TEM分析が実施される領域全体にわたるフィン無しMoSを示している。
【0109】
実施例3
付加的な模範的調製物が表1に記載されている。表1には、関連材料及び適用可能なALD条件が記載されている。略語:カルコゲナイド(「CGD」)。
【0110】
【表1】
【0111】
開示され請求項に記載された主題をある程度の具体性を持って説明し例示してきたが、言うまでもなく、開示は一例としてのみ行われ、条件及び工程順序の数多くの変更を、開示され請求項に記載された主題の精神及び範囲を逸脱することなしに、当業者は講じることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】