(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】小型パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241114BHJP
【FI】
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024527616
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-10
(86)【国際出願番号】 US2022049072
(87)【国際公開番号】W WO2023086282
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マクファーソン ブライス
(72)【発明者】
【氏名】スィング シャスワット
(72)【発明者】
【氏名】シューバッハ ロベルト エム.
(57)【要約】
パワーモジュールは、基板と、複数のパワーデバイスと、ハウジングとを設けられている。複数のパワーデバイスは、基板の複数のデバイスパッド上にマウントされ、第1入力と第2入力と少なくとも1つの出力とを有する電力回路を提供するように配置されている。第1及び第2パワー端子は、電力回路に第1及び第2入力を供給する。少なくとも1つの出力パワー端子は、少なくとも1つの出力を供給する。ハウジングは、基板と、複数のパワーデバイスと、第1及び第2入力パワー端子の一部分と、さらに、少なくとも1つの出力パワー端子と、を取り囲んでいる。第1及び第2入力パワー端子は、ハウジングの第1側部から外へ延在し、少なくとも1つの出力パワー端子は、ハウジングの第2側部から外へ延在し、第1側部は、第2側部の反対側にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールであって、
サーマルパッドを有する裏側と複数のデバイスパッドを備える表側とを備える基板と、
前記複数のデバイスパッド上にマウントされ、第1入力と第2入力と少なくとも1つの出力とを有する電力回路を提供するように配置された、複数のパワーデバイスと、
前記電力回路に前記第1入力を供給する第1入力パワー端子と、
前記電力回路に前記第2入力を供給する第2入力パワー端子と、
前記電力回路に前記少なくとも1つの出力を供給する少なくとも1つの出力パワー端子と、
前記基板と、前記複数のパワーデバイスと、前記第1入力パワー端子、第2入力パワー端子及び前記少なくとも1つの出力パワー端子の一部分とを取り囲むハウジングであって、前記第1入力パワー端子及び前記第2入力パワー端子は、前記ハウジングの第1側部の外へ延在し、前記少なくとも1つの出力パワー端子は、前記ハウジングの第2側部の外へ延在し、前記第1側部は、前記第2側部の反対側にある、ハウジングと、
を備えているパワーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、さらに、
前記電力回路に前記第1入力を供給する第3入力パワー端子を備え、前記第2パワー端子は、前記第1入力パワー端子と前記第3入力パワー端子との間にある、パワーモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のパワーモジュールであって、
前記第2入力パワー端子は、第1パワー端子脚と、第2パワー端子脚と、前記ハウジングの内部にあって前記第1パワー端子脚を前記第2パワー端子脚に接続しているレールとを備えている、パワーモジュール。
【請求項4】
請求項3に記載のパワーモジュールであって、
前記第1入力パワー端子は、前記第2入力パワー端子の前記第1パワー端子脚に隣接し、前記第3入力パワー端子は、前記第2入力パワー端子の前記第2パワー端子脚に隣接している、パワーモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のパワーモジュールであって、さらに、
前記電力回路に複数の制御信号を供給する複数の信号端子を備え、
前記複数の信号端子の一部分は、前記ハウジングの外へ延在している、パワーモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子は、複数のゲート制御信号を前記複数のパワーデバイスの第1のセットの複数のゲートに供給する第1の複数のゲート信号端子と、複数のゲート制御信号を前記複数のパワーデバイスの第2のセットの複数のゲートに供給する第2の複数のゲート信号端子とを備えている、パワーモジュール。
【請求項7】
請求項6に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子はさらに、複数のケルビンソース制御信号を前記複数のパワーデバイスの前記第1のセットの複数のソースに供給する第1の複数のケルビンソース信号端子と、複数のケルビンソース制御信号を前記複数のパワーデバイスの前記第2のセットの複数のソースに供給する第2の複数のケルビンソース信号端子と、を備えている、パワーモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のパワーモジュールであって、
前記第1の複数のケルビンソース信号端子及び前記第1の複数のゲート信号端子は、前記第2入力パワー端子の前記第1パワー端子脚と前記第2パワー端子脚との間にある、パワーモジュール。
【請求項9】
請求項8に記載のパワーモジュールであって、
前記少なくとも1つの出力パワー端子は、前記電力回路の第1出力を供給する第1出力パワー端子と、前記電力回路の第2出力を供給する第2出力パワー端子と、前記電力回路の第3出力を供給する第3出力パワー端子と、を備えている、パワーモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のパワーモジュールであって、
前記第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの1つ目は、前記第1出力パワー端子に隣接し、前記第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの2つ目は、前記第2出力パワー端子に隣接し、前記第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの3つ目は、前記第3出力パワー端子に隣接している、パワーモジュール。
【請求項11】
請求項10に記載のパワーモジュールであって、
前記第2の複数のゲート信号端子のうちの1つ目は、前記第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの前記1つ目に隣接し、前記第2の複数のゲート信号端子のうちの2つ目は、前記第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの前記2つ目に隣接し、前記第2の複数のゲート信号端子のうちの3つ目は、前記第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの前記3つ目に隣接している、パワーモジュール。
【請求項12】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、さらに、
前記電力回路に複数の制御信号を供給する複数の信号端子を備え、
前記複数の信号端子の一部分は、前記ハウジングの外へ延在している、パワーモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子は、動作中に予想される電位に基づいて、前記第1入力パワー端子、前記第2入力パワー端子及び前記少なくとも1つの出力パワー端子と共にグループ化されている、パワーモジュール。
【請求項14】
請求項12に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも1つの線形ピンで終端されている、パワーモジュール。
【請求項15】
請求項14に記載のパワーモジュールであって、
前記第1入力パワー端子、前記第2入力パワー端子及び前記少なくとも1つの出力パワー端子、の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも1つの線形ピンで終端されている、パワーモジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子、前記第1入力パワー端子、前記第2入力パワー端子及び前記少なくとも1つの出力パワー端子、の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも2つの線形ピンで終端されている、パワーモジュール。
【請求項17】
請求項12に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子の第1グループのための複数のピンは、前記ハウジングの前記第1側部に沿った第1平面内に配列されており、前記複数の信号端子の第2グループのための複数のピンは、前記ハウジングの前記第2側部に沿った第2平面内に配列されており、前記第1及び第2入力パワー端子のための複数のピンは、前記ハウジングの前記第1側部に沿った第3平面内に配列されており、前記少なくとも1つの出力パワー端子のための複数のピンは、前記ハウジングの前記第2側部に沿った第4平面内に配列されている、パワーモジュール。
【請求項18】
請求項17に記載のパワーモジュールであって、
前記第1平面及び前記第2平面は、前記第3平面と前記第4平面の内側にある、パワーモジュール。
【請求項19】
請求項18に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子は、動作中に予想される電位に基づいて、前記第1入力パワー端子、前記第2入力パワー端子及び前記少なくとも1つの出力と共にグループ化されている、パワーモジュール。
【請求項20】
請求項17に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子は、複数のゲート制御信号を前記複数のパワーデバイスの第1のセットの複数のゲートに供給する第1の複数のゲート信号端子と、複数のゲート制御信号を前記複数のパワーデバイスの第2のセットの複数のゲートに供給する第2の複数のゲート信号端子とを備えている、パワーモジュール。
【請求項21】
請求項20に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の信号端子は、複数のケルビンソース制御信号を前記複数のパワーデバイスの前記第1のセットの複数のソースに供給する第1の複数のケルビンソース信号端子と、複数のケルビンソース制御信号を前記複数のパワーデバイスの前記第2のセットの複数のソースに供給する第2の複数のケルビンソース信号端子と、を備えている、パワーモジュール。
【請求項22】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記少なくとも1つの出力パワー端子は、前記電力回路の第1出力を供給する第1出力パワー端子と、前記電力回路の第2出力を供給する第2出力パワー端子と、前記電力回路の第3出力を供給する第3出力パワー端子と、を備えている、パワーモジュール。
【請求項23】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記サーマルパッドは、前記ハウジングを介して露出されている、パワーモジュール。
【請求項24】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記電力回路は、三相回路である、パワーモジュール。
【請求項25】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記パワーモジュールを別の装置に取り付けるための切り欠きが前記ハウジングの1つ以上の側部に凹設されている、パワーモジュール。
【請求項26】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記第1入力パワー端子、前記第2入力パワー端子及び前記少なくとも1つの出力パワー端子、の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも1つの線形ピンで終端されている、パワーモジュール。
【請求項27】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記ハウジングの上部及び底部に、沿面延伸器が設けられている、パワーモジュール。
【請求項28】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記ハウジングの前記第1側部において、前記第1入力パワー端子と前記第2入力パワー端子との間に、少なくとも1つの第1切り欠きが設けられ、
前記少なくとも1つの出力パワー端子は、複数の出力端子を備え、
前記複数の出力端子の隣接する各対の間に、少なくとも1つの第2切り欠きが設けられている、パワーモジュール。
【請求項29】
請求項28に記載のパワーモジュールであって、
前記ハウジングの前記第1側部及び前記第2側部の各々の幅の少なくとも75パーセントは、前記第1入力パワー端子、前記第2入力パワー端子、前記少なくとも1つの出力パワー端子、及び複数の信号端子、を含む複数の端子に対して割り当てられている、パワーモジュール。
【請求項30】
請求項29に記載のパワーモジュールであって、
前記複数の端子は、電位によって複数の端子グループにグループ化され、
前記少なくとも1つの第1切り欠きと前記少なくとも1つの第2切り欠きとのうちの1つは、前記複数の端子グループの隣接する対の間に設けられ、
各端子グループ内にある各端子は、動作中に30ボルト以下の電位を有する、パワーモジュール。
【請求項31】
請求項28に記載のパワーモジュールであって、
前記少なくとも1つの第1切り欠き及び前記少なくとも1つの第2切り欠きの各々によって与えられた実効沿面距離は、5ミリメートルから15ミリメートルの範囲内である、パワーモジュール。
【請求項32】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、
前記基板上に温度回路が設けられている、パワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[開示の分野]
本開示は、大電力用途向けのパワーモジュールに関する。
[開示の背景]
大電力用途では、回路の全部または一部のための複数の部品が電子モジュールにパッケージ化されることが多い。これらのモジュールは、一般にパワーモジュールと称されており、パワーモジュールは、熱可塑性の、エポキシなどで成形されたハウジング内に収容され、ハウジングは、複数の部品と、これらの部品が実装されている回路基板または基板とを封止している。パワーモジュールの入力/出力接続は、ハウジングから外部に延在する端子アセンブリによって提供されて、他のシステムとの一体化や接続を促進している。このようなシステムとしては、電気車両、電力の変換及び制御などが含まれ得る。
【0002】
[概要]
パワーモジュールには、基板と、複数のパワーデバイスと、ハウジングとが設けられている。基板は、サーマルパッドを有する裏側と、複数のデバイスパッドを有する表側とを有する。複数のパワーデバイスは、複数のデバイスパッド上にマウントされ、第1入力と、第2入力と、少なくとも1つの出力とを有する電力回路を提供するように配置されている。第1入力パワー端子は、電力回路に第1入力を供給する。第2パワー端子は、電力回路に第2入力を供給する。少なくとも1つの出力パワー端子は、電力回路に少なくとも1つの出力を供給する。ハウジングは、基板と、複数のパワーデバイスと、第1入力パワー端子、第2入力パワー端子及び少なくとも1つの出力パワー端子の一部分と、を取り囲む。第1入力パワー端子及び第2入力パワー端子は、ハウジングの第1側部から外に延在し、少なくとも1つのAC出力パワー端子は、ハウジングの第2側部から外に延在し、第1側部は、第2側部の反対側にある。
【0003】
一実施形態では、第3入力パワー端子は、電力回路に第1入力を供給し、第2入力パワー端子は、第1入力パワー端子と第3入力パワー端子との間にある。
一実施形態では、第2入力パワー端子は、第1パワー端子脚と、第2パワー端子脚と、ハウジングの内部にあって第1パワー端子脚を第2パワー端子脚に接続しているレールとを有している。
【0004】
一実施形態では、第1入力パワー端子は、第2入力パワー端子の第1パワー端子脚に隣接し、第3入力パワー端子は、第2入力パワー端子の第2パワー端子脚に隣接している。
一実施形態では、複数の信号端子は、電力回路に複数の制御信号を供給し、複数の信号端子の一部分は、ハウジングの外へ延在している。
【0005】
一実施形態では、複数の信号端子は、複数のゲート制御信号を複数のパワーデバイスの第1のセットの複数のゲートに供給する第1の複数のゲート信号端子と、複数のゲート制御信号を複数のパワーデバイスの第2のセットの複数のゲートに供給する第2の複数のゲート信号端子とを備えている。
【0006】
一実施形態では、複数の信号端子はさらに、複数のケルビンソース制御信号を複数のパワーデバイスの第1のセットの複数のソースに供給する第1の複数のケルビンソース信号端子と、複数のケルビンソース制御信号を複数のパワーデバイスの第2のセットの複数のソースに供給する第2の複数のケルビンソース信号端子と、を含んでいる。
【0007】
一実施形態では、第1の複数のケルビンソース信号端子及び第1の複数のゲート信号端子は、第2入力パワー端子の第1パワー端子脚と第2パワー端子脚との間にある。
一実施形態では、少なくとも1つの出力パワー端子は、電力回路の第1出力を供給する第1出力パワー端子と、電力回路の第2出力を供給する第2出力パワー端子と、電力回路の第3出力を供給する第3出力パワー端子と、を含んでいる。
【0008】
一実施形態では、第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの1つ目は、第1出力パワー端子に隣接し、第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの2つ目は、第2出力パワー端子に隣接し、第2の複数のケルビンソース信号端子のうちの3つ目は、第3出力パワー端子に隣接している。
【0009】
一実施形態では、第2の複数のゲート信号端子のうちの1つ目は、第1ケルビンソース信号端子に隣接し、第2の複数のゲート信号端子のうちの2つ目は、第2ケルビンソース信号端子に隣接し、第2の複数のゲート信号端子のうちの3つ目は、第3ケルビンソース信号端子に隣接している。
【0010】
一実施形態では、複数の信号端子は、電力回路に複数の制御信号を供給し、複数の信号端子の一部分はハウジングの外へ延在している。
一実施形態では、複数の信号端子は、動作中に予想される電位に基づいて、第1入力パワー端子、第2入力パワー端子及び少なくとも1つの出力パワー端子と共にグループ化される。
【0011】
一実施形態では、複数の信号端子の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも1つの線形ピンで終端されている。
一実施形態では、第1入力パワー端子、第2入力パワー端子及び少なくとも1つのパワー端子、の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも1つの線形ピンで終端されている。
【0012】
一実施形態では、複数の信号端子、第1入力パワー端子、前記第2パワー端子、及び少なくとも1つの出力パワー端子、の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも2つの線形ピンで終端されている。
【0013】
一実施形態では、複数の信号端子の第1グループのための複数のピンは、ハウジングの第1側部に沿った第1平面内に配列されており、複数の信号端子の第2グループのための複数のピンは、ハウジングの第2側部に沿った第2平面内に配列されており、第1及び第2入力パワー端子のための複数のピンは、ハウジングの第1側部に沿った第3平面内に配列されており、少なくとも1つの出力パワー端子のための複数のピンは、ハウジングの第2側部に沿った第4平面内に配列されている。一実施形態では、第1平面及び第2平面は、第3平面及び第4平面の内側にある。
【0014】
一実施形態では、複数の信号端子は、動作中に予想される電位に基づいて、第1入力パワー端子、第2入力パワー端子及び少なくとも1つの出力パワー端子と共にグループ化される。
一実施形態では、複数の信号端子は、複数のゲート制御信号を複数のパワーデバイスの第1のセットの複数のゲートに供給する第1の複数のゲート信号端子と、複数のゲート制御信号を複数のパワーデバイスの第2のセットの複数のゲートに供給する第2の複数のゲート信号端子とを備える。
【0015】
一実施形態では、複数の信号端子は、複数のケルビンソース制御信号を複数のパワーデバイスの第1のセットの複数のソースに供給する第1の複数のケルビンソース信号端子と、複数のケルビンソース制御信号を複数のパワーデバイスの第2のセットの複数のソースに供給する第2の複数のケルビンソース信号端子と、を含む。
【0016】
一実施形態では、少なくとも1つの出力パワー端子は、電力回路の第1出力を供給する第1出力パワー端子と、電力回路の第2出力を供給する第2出力パワー端子と、電力回路の第3出力を供給する第3出力パワー端子と、を含む。
【0017】
一実施形態では、サーマルパッドはハウジングを介して露出されている。
一実施形態では、電力回路は、三相回路である。
一実施形態では、パワーモジュールを別の装置に取り付けるための切り欠きがハウジングの1つ以上の側部に凹設されている。
【0018】
一実施形態では、第1入力パワー端子、第2DCパワー端子及び少なくとも1つの出力パワー端子、の各々は、別の装置にはんだ取り付けするように構成された少なくとも1つの線形ピンで終端される。
【0019】
一実施形態では、複数の特定の端子間の表面距離を延長する沿面伸長器がハウジングの上側上及び底側上に設けられる。
一実施形態では、ハウジングの複数の側部において、第1入力パワー端子と第2入力パワー端子との間に、複数の特定の端子間の表面距離を延長する少なくとも1つの切り欠きが設けられる。
【0020】
一実施形態では、基板上に温度回路が設けられる。
上記に基づいて、本開示は、次世代の炭化ケイ素(SiC)及び他の材料系パワーデバイス並びにパワーエレクトロニクス用途向けに設計された、小型で高電圧、大電流、低インダクタンスのパワーモジュールに関する。本開示は、サイズ及びコストを最適化された電力基板を組み込んでいる新規のレイアウトを利用する。
【0021】
この設計の特徴は、スケーラビリティ及びモジュール性である。このレイアウトは、(1)より大きなデバイスを収容するため、または(2)より多くのデバイスを並列配置するために、広げたり長くすることが可能である。本質的に、このパッケージの概念は、パッケージが提供するいかなる性能の利点を失うことなく、電力処理のニーズに合うように拡大または縮小できる。また、これらのパッケージを並列に配置して、コンバータの電流を増加させる、及び/または、(DC-DC電力変換でよく使用される)ハーフブリッジ及びフルブリッジ並びに(モータ駆動及びインバータで使用される)三相回路などのトポロジーを形成することも簡単である。
【0022】
当業者であれば、添付図面に関連する以下に続く詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を認識し、本開示のさらなる態様に気づくであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本明細書の一部に組み込まれていて、本明細書の一部を構成している添付図面の各図は、本開示のいくつかの態様を図示しており、その説明とともに、本開示の原理の説明に役立つ。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの上側の等角図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの底側の等角図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの平面図である。
【
図5】
図5,6,7は、本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの対応する側面図である。
【
図6】
図5,6,7は、本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの対応する側面図である。
【
図7】
図5,6,7は、本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの対応する側面図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係るパワーモジュールの底面図である。
【
図9】
図9,10,11は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングやボンドワイヤがない状態のパワーモジュールの平面図、上側等角図、及び側面図である。
【
図10】
図9,10,11は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングやボンドワイヤがない状態のパワーモジュールの平面図、上側等角図、及び側面図である。
【
図11】
図9,10,11は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングやボンドワイヤがない状態のパワーモジュールの平面図、上側等角図、及び側面図である。
【
図12】
図12及び13は、本開示の2つの実施形態に係る端子ピンを図示している。
【
図13】
図12及び13は、本開示の2つの実施形態に係る端子ピンを図示している。
【
図14】
図14,15,16は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングがなくボンドワイヤがある状態のパワーモジュールの平面図、上側等角図、及び側面図である。
【
図15】
図14,15,16は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングがなくボンドワイヤがある状態のパワーモジュールの平面図、上側等角図、及び側面図である。
【
図16】
図14,15,16は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングがなくボンドワイヤがある状態のパワーモジュールの平面図、上側等角図、及び側面図である。
【
図17】
図17及び18は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングがない状態のパワーモジュールの平面図及び上側等角図である。
【
図18】
図17及び18は、本開示の第1実施形態に係る、ハウジングがない状態のパワーモジュールの平面図及び上側等角図である。
【
図20】本開示の第1実施形態についての例示的な電力ループを図示している。
【
図21】本開示の第1実施形態に係る例示的な信号ループを図示している。
【
図22】複数の、より大きいパワーデバイスとともに使用される場合のパワーモジュールの例示的実施形態を図示している。
【
図23】複数の、より小さいパワーデバイスとともに使用される場合のパワーモジュールの例示的実施形態を図示している。
【
図24】複数の並列パワーデバイスとともに使用されるパワーモジュールの例示的実施形態を図示している。
【
図25】パワーデバイスのいくつかの利用可能位置が使用されていない状態のパワーモジュールの例示的実施形態を図示している。
【
図26】パワーモジュールの例示的なより大型の実施形態を図示している。
【
図27】パワーモジュールの例示的なより小型の実施形態を図示している。
【
図28】
図28及び29は、ハウジングがない状態の、異なる長さを有するパワーモジュールの平面図である。
【
図29】
図28及び29は、ハウジングがない状態の、異なる長さを有するパワーモジュールの平面図である。
【
図30】
図30及び31は、ハウジングがある状態の
図28及び29のパワーモジュールの平面図である。
【
図31】
図30及び31は、ハウジングがある状態の
図28及び29のパワーモジュールの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[詳細な説明]
以下に記載された実施形態は、当業者が実施形態を実施可能にするのに必要な情報を提示し、実施形態を実施するベストモードを例示している。添付図面の各図に鑑みて以下の説明を読んだ後に、当業者は、本開示の概念を理解することになり、本明細書で特に言及されていないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念及び用途は、本開示及び添付の請求項の範囲内にあることが理解されるはずである。
【0025】
種々の要素を説明するのに第1、第2などの語が本明細書において用いられることがあるものの、これらの要素はこれらの語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの語は、ある要素を別の要素と区別するためだけに使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1要素は第2要素と称され得るし、同様に、第2要素は第1要素と称され得る。本明細書で用いられているように、「及び/または」という語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のいずれかの組合せ及び全ての組合せを含む。
【0026】
例えば層、領域、または基板などの要素が別の要素の「上に」ある、または別の要素の「上へと」延在しているものと言及される場合、その要素は、別の要素の上に直接あってもよいし、または別の要素の上へと直接延在してもよいし、あるいは、介在している要素が存在してもよいことは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上へと」延在しているものと言及される場合、介在している要素は存在しない。同様に、例えば層、領域、または基板などの要素が別の要素の「上を覆って」いる、または「上を覆って」延在しているものと言及される場合、その要素は、別の要素の上を直接覆っていてもよく、または直接覆って延在してもよく、あるいは、介在している要素が存在してもよいことは理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素の「上を真接覆って」いる、または「上を真接覆って」延在しているものと言及される場合、介在している要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続され」ている、または「カップリングされ」ているものと言及される場合、その要素は別の要素に直接接続されるか、またはカップリングされてもよく、あるいは、介在している要素が存在してもよいことも理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続され」ている、または「直接カップリングされ」ているものと言及される場合、介在している要素は存在しない。
【0027】
例えば「下方」、「上方」、「上部」、「下部」、「水平」、または「垂直」などの相対語は、本明細書において、各図に図示されるように、ある要素、ある層、またはある領域と、別の要素、別の層、または別の領域との関係性を説明するのに使用され得る。これらの語及び上述の語は、各図に描かれた向きに加えてデバイスの異なる向きを包含することが意図されていることが理解されよう。
【0028】
本明細書で用いられている専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定することが意図されていない。本明細書で用いられるように、単数形「1つの」、「1つの」、及び「その」は、文脈が明確に単数を示していない限り、複数形も含むことが意図されている。「備える」、「備えている」、「含む」、及び/または「含んでいる」という語は、本明細書で用いられる場合には、記載された特徴、数、工程、動作、要素、及び/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、数、工程、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0029】
他の定義がなされない限り、本明細書で用いられる(技術用語及び科学用語を含む)全ての用語は、本開示が属する分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書で用いられる用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明確にそのように定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されることはないことが理解されよう。
【0030】
本開示は、大電力用途で使用されるパワーモジュールに関する。パワーモジュールは、多様な回路トポロジーに配置される1つ以上のパワー半導体デバイス、例えば金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ダイオードなどを含み得る。典型的な回路トポロジーは、シングルスイッチ、ハーフHブリッジ回路、フルHブリッジ回路、及びシックスパックと称されることが多い三相スイッチング回路を含むが、これらに限定されない。
【0031】
以下の説明では、本明細書で開示されているパッケージングの概念の理解を促すために三相回路を用いる。本開示の一実施形態に係る例示的な三相回路が
図1Aに図示されている。本例については、トランジスタQ1~Q6は、パワー炭化ケイ素(SiC)MOSFETであり、各々がドレイン(D)、ゲート(GX)、ソース(S)、及びケルビンソース(KX)の端子を有している、と仮定する。以下に説明される実施形態については、トランジスタQ1~Q6は縦型NチャネルMOSFETであり、ドレイン接点がデバイスの底部上にあり、ソース接点、ゲート接点、及びケルビンソース接点がデバイスの上部上にある。
【0032】
各ハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5は、対応するローサイドトランジスタQ2、Q4、Q6と直列にカップリングされている。ハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5のドレインDは、V+端子にカップリングされ、ローサイドトランジスタQ2、Q4、Q6のソースSは、V-端子にカップリングされている。三相回路の第1脚については、ハイサイドトランジスタQ1のソースSがローサイドトランジスタQ2のドレインDにカップリングされて、第1出力を供給し、第1出力は、端子Uと称される。三相回路の第2脚については、ハイサイドトランジスタQ3のソースSがローサイドトランジスタQ4のドレインDにカップリングされて、第2出力を供給し、第2出力は端子Vとし称される。三相回路の第3脚については、ハイサイドトランジスタQ5のソースSがローサイドトランジスタQ6のドレインDにカップリングされて、第3出力を供給し、第3出力は端子Wと称される。トランジスタQ1~Q6の各々はまた、独立したゲート端子G1~G6(一般にGX)とケルビンソース端子K1~K6(一般にKX)を有している。
【0033】
図1Bに図示されるように、例えば、内部デバイス温度を検出するための温度回路16などの追加の回路が、三相回路と関連して設けられてもよく、その追加の回路は、端子TEMP1及びTEMP2を有する、サーミスタまたは抵抗温度検出器(RTD)と同程度に簡素となり得る。このような実施形態では、サーミスタまたはRTDの抵抗は、温度とともに変化することになり、端子TEMP1と端子TEMP2との間で測定可能になる。サーミスタが一般的に、その抵抗が温度に対して負の相関を有するという負の温度係数を有することになる一方で、RTDは一般的に、その抵抗が温度に対して正の相関を有するという正の温度係数を有することになる。機能素子や専用のピンを用いて、電流検出などの追加の回路が想定されてもよい。
【0034】
図2~
図8は、第1実施形態に係るパワーモジュール10の様々な等角図及び平面図であり、パワーモジュール10は、例えば
図1A及び
図1Bの三相回路及び温度回路16などの種々の電力回路を実装するのに必要な電子部品を提供する。
図2及び
図3は、上側等角図及び下側等角図である。
図4は平面図である。
図5、
図6及び
図7はそれぞれ、対向する側面図及び端面図である。
図8は底面図である。パワーモジュール10は、
図3、
図5~8で視認できるサーマルパッド14を含み得るハウジング12を有する。ハウジング12は後述のように成形されてもよいが、他のタイプのハウジングも想定される。サーマルパッド14は、内部回路のいずれとも電気的に絶縁され、パワーモジュール10から周囲にある図示されていないヒートシンク構造などへの熱伝達を促進する。これらの図において参照される他の特徴は、パワーモジュール10の内部構造の説明後にさらに後述される。
【0035】
図9~11は、パワーモジュール10の内部構造の様々な等角図及び平面図を図示し、ここでは、内部構造の種々のコンポーネントをより明瞭に図示するために、ハウジング12及びボンドワイヤBW(または同様の相互接続)が取り除かれている。
図14~16は、三相回路の実施形態についてボンドワイヤBWが所定の位置にある状態のパワーモジュール10の内部構造の様々な等角図及び平面図を図示している。以下の説明は、主に、ボンドワイヤBWが示されていない
図9~11に関する。
【0036】
内部構造の中心にあるのは基板Sであり、基板S上には、多数の導電性デバイスパッド18、20、22、24、26が一方の側に形成されている。サーマルパッド14は、
図11に最もよく図示されているように、その反対側に形成されている。デバイスパッド18~26及びサーマルパッド14は、例えば銅などのあらゆる導電材料から形成されてもよい。
図1Aの三相回路について、ハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5は、パワー端子U、V、Wに隣接する側に沿って延在する細長いデバイスパッド18上にマウントされている。ローサイドトランジスタQ2は、デバイスパッド20上にあり、デバイスパッド20は、デバイスパッド18の横にあって、パワー端子V+のうちの一方に隣接している。ローサイドトランジスタQ6は、デバイスパッド24上にあり、デバイスパッド24は、デバイスパッド18の横にあって、パワー端子V+のうちの他方に隣接している。ローサイドトランジスタQ4は、デバイスパッド22上にあり、デバイスパッド22は、デバイスパッド18の横でデバイスパッド20、24の間にあり、パワー端子V-に隣接している。温度回路16は、デバイスパッド26上にあり、デバイスパッド26は、基板上に形成されており、本実施形態では、デバイスパッド22、24の間に形成されている。デバイスパッド18~26の各々は互いに絶縁されている。
【0037】
一実施形態において、種々のトランジスタQ1~Q6のドレインDは、それぞれのデバイスパッド18~24に直接取り付けられて、デバイスパッド18~24へのトランジスタQ1~Q6の機械的及び電気的接続を形成する。温度回路16は、同様の手法でデバイスパッド26に機械的及び電気的に接続されてもよい。デバイスパッド18~26は、互いに電気的に絶縁されている。
【0038】
種々の端子は、パワー端子と信号端子とに分けられ得る。上述のとおり、パワー端子は、パワー端子V+、V-、U、V、及びWを含む。信号端子は、信号端子G1~G6、K1~K6、TEMP1、TEMP2を含む。これらの端子の各々は、その意図された用途で機能するのに必要な任意の形状を取ってよいものの、図示されている端子は、(図示しない)プリント回路基板の対応する穴へのはんだ付け、圧入、またはスナップ留めに向けて調整されている。図示されるように、直流(DC)入力パワー端子V-、V+は、パワーモジュール10のハウジング12の一側部から外へ延在し、交流(AC)出力パワー端子U、V、Wは、パワーモジュール10の反対側から外へ延在している。パワー端子V-は、U字形であり、2つのパワー脚PL-がパワーレールPR-によって接続されている。パワー脚PL-は、約90度(80~100度)の曲げを規定し、1対のパワーピンPP-で終端されている。パワー脚PL-の各々は、2本のパワーピンPP-を有して示されているものの、パワー脚PL-は、1本、3本、またはそれ以上のパワーピンPP-を有していてもよい。パワーレールPR-は、典型的にはハウジング12の内部にあり、パワー脚PL-の外側部分及びパワーピンPP-全体は、ハウジング12の外部にある。
【0039】
一対のパワー端子V+の各々は、パワーレールPR+と、パワーレールPR+の一端から延在するパワー脚PL+とを有している。パワー脚PL+は、約90度(80~100度)の曲げを規定し、1対のパワーピンPP+で終端されている。パワー脚PL+の各々は、2本のパワーピンPP+を有して示されているものの、パワー脚PL+は、1本、3本、またはそれ以上のパワーピンPP+を有していてもよい。パワーレールPR+は、典型的にはハウジング12の内部にあり、パワー脚PL+の外側部分及びパワーピンPP+全体は、ハウジング12の外部にある。
【0040】
パワー端子U、V、Wの各々は、パワー端子V+と同じまたは類似の形状を取ってもよい。したがって、パワー端子U、V、Wは、パワーレールPRU、PRV、PRWと、対応するパワーレールPRU、PRV、PRWの一端から延在するパワー脚PLU、PLV、PLWと、を有している。パワー脚PLU、PLV、PRWは、約90度(80~100度)の曲げを規定し、1対のパワーピンPPU、PPV、PPWで終端されている。パワー脚PLU、PLV、PLWの各々は、2本のパワーピンPPU、PPV、PPWを有して示されているものの、パワー脚PLU、PLV、PLWは、1本、3本、またはそれ以上のパワーピンPPU、PPV、PPWを有していてもよい。パワーレールPRU、PRV、PRWは、典型的にはハウジング12の内部にあり、パワー脚PLU、PLV、PLWの外側部分及びパワーピンPPU、PPV、PPW全体は、ハウジング12の外部にある。
【0041】
図10及び11の信号端子G1で図示されるように、端子G1~G6、K1~K6の各々は、信号パッド30と、信号ピン32と、信号パッド30と信号ピン32とを接続している信号脚34とを有している。信号脚34は、約90度(80~100度)の曲げを規定し、信号脚34の一部分及び信号ピン32は、ハウジング12の外部にあり、信号パッド30は、全体的にハウジング12の内部にある。
【0042】
以下に説明するように、信号端子G1~G6、K1~K6は、電位に基づいて、パワー端子V+、V-、U、V、Wとともに配置及びネストされている。
図9及び10を参照すると、信号端子G2、K2、G4、K4、Temp1、Temp2、G6、K6は、パワー脚PL-同士の間でパワー端子V-のパワーレールV-に沿って直線状にネストされている。動作中、信号端子G2、K2、G4、K5、G6、K6の電位は、一般的に、パワー端子V-の電位と相関する。信号端子K1、G1は、パワー端子UのパワーレールPRUに沿って直線状にネストされ、信号端子K1は、パワー脚PLUと信号端子G1との間にある。動作中、信号端子K1、G1の電位は、一般的に、パワー端子Uの電位と相関する。信号端子K3、G3は、パワー端子VのパワーレールPRVに沿って直線状にネストされ、信号端子K3は、パワー脚PLUと信号端子G3との間にある。動作中、信号端子K3、G3の電位は、一般的に、パワー端子Vの電位と相関する。信号端子K5、G5は、パワー端子WのパワーレールPRUに沿って直線状にネストされ、信号端子K5は、パワー脚PLWと信号端子G5との間にある。動作中、信号端子K5、G5の電位は、一般的に、パワー端子Wの電位と相関する。種々の端子を電位に基づいて配置またはグループ化することにより、デバイス性能が向上し、1つのスイッチング経路が別のスイッチング経路に与える影響が低減され、各ピンがグループ化されずに絶縁距離を要するであろう無グループ化と比較すると、より小さな沿面距離及び/またはクリアランス距離が必要となるだけであるため、パッケージサイズの削減に寄与する。
【0043】
図示された実施形態において、信号端子G2、K2、G4、K4、Temp1、Temp2、G6、K6は、互いに隣接しており、これらの信号ピンの全てが第1平面にあり、且つ、パワーモジュール10の第1側部上の第1ラインに沿って終端するように、直線状に配列されている。同様に、信号端子G1、K1、G3、K3、G5、K5は、これらの信号ピンの全てが第2平面にあり、且つ、パワーモジュール10の第1側部とは反対側にある第2側部上の第2ラインに沿って終端するように、直線状に配列されている。パワー端子V-、V+は、パワーモジュール10の第1側部に沿って直線状に配列され、パワーピンPP+、PP-は、第3平面にあり、且つ、第3ラインに沿って終端している。パワー端子U、V、Wは、パワーモジュール10の第2側部に沿って直線状に配列され、パワーピンPPU、PPV、PPWは、第4平面にあり、且つ、第4ラインに沿って終端している。このように、パワーモジュール10のどちらの側のパワー端子も互いに整列されており、パワーモジュール10のどちらの側の信号端子も互いに整列されているが、信号端子及びパワー端子は、互い違いに配置されたデュアルインラインパッケージ構成であって、互いに整列されていない。代替的な実施形態では、パワーモジュール10の各側上のパワー端子及び信号端子は、上述のように、オフセットされるか、または互い違いに配置される代わりに、互いに整列されてもよい。
【0044】
図12及び13は、上述の種々のピン(PP+、PP-、PPU、PPV、PPW、G1~6、K1~6)のいずれかに対する2つの例示的なピン構成を示している。
図12のピンP1は、直線状の先端部H1へと狭まる線状本体Bを有し、先端部H1は、プリント回路基板などの対応する開口に挿入されて、プリント回路基板と先端部H1との間の機械的及び電気的接続を促進するためにはんだ付けされるように構成されている。
図13のピンP2は、線状本体Bの端部に圧入先端部H2を有している。圧入先端部H2は、プリント回路基板の対応する開口へ挿入されると径方向に圧縮して、プリント回路基板と先端部H1との間にはんだ無しでの機械的及び電気的接続を提供するように設計されている。圧入先端部は、一旦挿入されると、径方向外向きの圧力をかけて、対応する開口内に圧入先端部H2を固定する。金属の厚さ及び挿入プロセスに応じて、多数の圧入先端部の型が使用され得る。
【0045】
図14~18は、パワーモジュール10の内部アーキテクチャの様々な等角図及び平面図を図示しており、ハウジング12が表されておらず、ボンドワイヤBW(または同様の相互接続)が図示されている。ボンドワイヤBWは、デバイスパッド18~24とともに、
図1A及び1Bの三相回路及び温度回路16を実装するのに必要な電気的相互接続を形成している。
図14、15及び16は、
図9、10及び11に相当するが、ボンドワイヤが図示されている。
図17及び18は、パワーモジュール10の底側の平面図及び等角図である。
【0046】
ここで、
図19のパワーモジュール10の分解図を参照する。本図の下側から、トランジスタQ1~Q6のドレインパッド及び温度回路16は、デバイス取付材料40を用いて、基板Sのデバイスパッド18~24及び温度デバイスパッド26に電気的及び機械的に取り付けられる。デバイス取付材料40は、機械的構造、大電流相互接続、及び高熱伝導性を提供する、はんだ、接着剤、焼結金属などであってもよい。
【0047】
パワー端子V+、V-、U、V、W、信号端子G1~G6、K1~K6、及び温度回路信号端子TEMP1、TEMP2は、1つのリードフレーム44から形成されてもよい。上述のとおり、ボンドワイヤBWは、
図1A及び1Bの三相回路及び温度回路を実装するのに必要な様々なコンポーネント及び端子の接続に用いられる。デバイス取付材料40は、機械的構造、大電流相互接続、及び高熱伝導性を提供する、はんだ、接着剤、焼結金属、レーザ溶接、超音波溶接などであってもよい。リードフレーム44は、典型的には、大電流外部接続と内部相互接続とを行う、金属コンタクト片である。いずれのコンタクトも、1枚のシート上で、多くの場合1枚のシートあたり複数の製品がある状態で、一緒に接合されてアレイとして処理され、その後に成形及び個片化が行われる。ボンドワイヤBWは、比較的大電流の電気的相互接続に対応可能な、超音波接合または超音波熱圧着された大口径ワイヤであってもよい。
【0048】
ハウジング12は、機械的構造や高電圧絶縁を提供するために、トランスファー成形工程または射出成形工程を用いて形成されてもよい。ハウジング12は、パワーモジュール10の内部部品を封止している。ハウジング12に使用される成形材料は、機械的構造、高電圧絶縁、熱膨張係数(CTE)整合、及び低湿気吸収をもたらすことができるトランスファー成形または圧縮成形されたエポキシ樹脂成形材料(EMC)であってもよい。
【0049】
図3及び8に図示されるように、パワーモジュール10の裏側上のサーマルパッド14は、ハウジング材料に覆われずに露出されている。製造中、ハウジング12に使用されたエポキシ樹脂が浸み込んで、サーマルパッド14上に少量のフラッシングが残ることがある。成形材料や他の封止材がサーマルパッド14の外面を確実に覆わないようにするために、押さえピンを用いて基板Sの周縁上または他の表面上に圧力をかけ、成形金型への封止性を高めてもよい。これらのピンは、材料が硬化するにつれて引っ込み、材料内に痕跡44を残すことがある。突き出しピンを用いて製品を成形金型から外しても、ピンが小さな痕跡を残すことになる。押さえピン及び突き出しピンの数及び位置は、モジュールの幅が変化すると、必要なこれらの要素の数が増えたり減ったりする可能性があるので、設計の実施形態に基づいて変化することになる。
【0050】
クリアランス及び沿面経路は、高電圧製品にとって重要な側面である。電圧ポテンシャルが異なる導体の間では、クリアランスとは、導体間にある空気中の最短直線経路である。沿面経路とは、導体間にある表面に沿った最短直線経路である。安全規格を満たすことは難題であり、製造(金型、エポキシ樹脂の流れなど)及び製品サイズ(フットプリント及び電力密度)と相反することも多い。小型のトランスファー成形パッケージ、具体的には、薄型で高電圧のSiC系製品については、モジュールサイズと電圧安全性との間で適切なバランスを取ることが必要である。
【0051】
特定の実施形態において、電圧安全性は、様々な技術を用いて達成される。信号端子G1~G6、K1~K6は、同一または類似の電圧ポテンシャルを有していることに基づいてグループ化される。電位の異なる信号端子G1~G6、K1~K6、例えばハイサイド及びローサイドのゲート及びケルビンソース信号端子G1~G6、K1~K6、またはそれら端子間などは、クリアランス基準を満たすように離間される。沿面距離については、
図7及び8に図示されるように、切り欠き46または隆起をそれらの間に設けて、表面距離を大きくしてもよい。
【0052】
信号端子G1~G6、K1~K6、パワー端子V+、V-、U、V、W、及び/またはサーマルパッド14の間の沿面距離は、材料の表面に細長いリッジ48及び隆起を追加するか、または電圧ノード間に細長いトレンチ50を配置することによる、第1の手法で対処される。具体的な特徴は、与えられた設計の実施形態のサイズ及び電圧クラスに依存することになる。図示された実施形態において、細長いトレンチ50は、ハウジング12の端子側の全体に沿って延在しており、沿面延伸切り欠き46は、高電圧端子間にそれらの側部に沿って設けられ、リッジ48は、パワーモジュール10の外縁に沿って設けられている。さらに図示されているのは、ハウジングの対向する無端子側部にあるマウント用切り欠き52である。これらのマウント用切り欠き52により、ボルト、ねじ、または他の留め具を用いてパワーモジュール10をPCBまたは他の構造に堅固に取り付けることができる。
【0053】
沿面距離とは、異なる電位の導体間の、例えば成形されたハウジング12などの絶縁体上の表面距離であり、電力用途における異なる電位とは、30Vを超える値とみなされてもよい。例えばSiCの特徴である高めの電圧(>600V)については、これらの沿面距離は、(材料、環境、及び用途に依存して、5から15mm、20mm、またはそれ以上までの範囲に及ぶ)かなりの大きさになり得る。数多くの電圧ポテンシャルが存在する場合に沿面距離を互いに合成すると、製品サイズが劇的に増大し得る。例えば、複数の電圧ポテンシャルが存在する場合、各々が隣り合う電位から十分な沿面距離を必要とする場合もある。これを補償するために、沿面延伸器を用いて表面距離を大きくするが、必ずしも製品サイズを大きくするわけではない。沿面距離の延伸は、成形されたハウジング12から材料が取り除かれた切り欠き46、または、ハウジングに材料が追加されたリブを用いて、容易に行われ得る。
【0054】
デュアルインラインパッケージの縁端に沿って、電圧差が大きい複数のノードが存在する。沿面延伸切り欠き46の数は、これら電圧差の数に等しい。もしくは、別の説明をすれば、縁端の導体はその反対側の沿面を必ずしも必要としないので、沿面延伸用切り欠き46の数は、固有の電圧ノード数から1を減じた数(n-1)に等しい。固有の電圧ノードは、近接する金属との間の差が30V以上であるものとみなされてもよい。制御端子及び/またはパワー端子の配置があまり論理的ではない場合、温度センサを有する三相トポロジーは、6つの関連する沿面延伸器/切り欠きと共に、縁端に沿って最大7つの固有ノードを有し得る。
【0055】
開示された実施形態は、(最大で30Vの差である)類似の電位のパワーノードと信号ノードとをグループ化して、沿面延伸機能の数を最小にする。この場合、制御端子及びパワー端子は、各側部上に3つの電圧「グループ」として配置されるので、成形されたハウジング12の対向する両側部に沿って、2つの沿面延伸用切り欠き46だけが使用される。延伸器の縦横比が考慮される成形の特徴を考慮すると、このアプローチによって、成形されたハウジング12の利用可能な幅の少なくとも70%、75%、80%、またはそれ以上を端子または他の特徴に使用することができる。この結果、製品のフットプリントがより小さくなり、パワータブがより広くなる。使用される縁端の割合は、電圧クラス及び動作条件次第であり、沿面延伸用切り欠き46に対して使用する空間をできる限り小さくする目的で、60%(超高電圧)から90%(中程度の電圧)の範囲に及ぶ可能性が最も高いように思われる。
【0056】
図示された実施形態において、トランジスタQ1~Q6は、スイッチ位置に基づいて、それぞれのデバイスパッド18、20、22、24上に一列に配置されている。各スイッチ位置についての全体的なレイアウト、長さ、幅、縦横比、及びトランジスタ数は、パワーモジュール10のための所望の出力電力に対してスケールアップまたはスケールダウンするように、パラメトリックに変化され得る。トランジスタQ1~Q6及びその他のあらゆるデバイスは、(1)金属焼結(銀、銅、または他の金属)、(2)はんだ付け、(3)導電性接着、または(4)他の導電性かつ熱伝導性接続のいずれかによって取り付けられてもよい。温度回路16で表されている温度センサは、温度回路16のセンサ技術または性質に依存して、示されているように、絶縁されたデバイスパッド26上、またはトランジスタQ1~Q6のうちの1つのすぐ隣、のいずれかに含まれて配置されてもよい。図示された温度センサは、一般的に、トランジスタQ1~Q6と同様の方法で取り付けられている。取付方法に応じて、デバイスパッド18~26に使用される基板金属は、材質の適合性に応じて、銀、ニッケル、ニッケル/金などで全面的にまたは部分的にめっきされてもよい。
【0057】
トランジスタQ1~Q6及び/または他のあらゆる組み込まれたコンポーネントの自動式装着を支援するため、そしてその後に続く、相対的位置の決定を要する処理工程を行うために、基準が付与されてもよい。基準は、部分めっき、エッチング形状または端、レーザマーキング記号、または機械視覚システムによって認識され得る他の視覚的に特有な形状によって与えられてもよい。
【0058】
図17及び18に図示されるように、基板Sの下面は、大型のサーマルパッド14を含み、サーマルパッド14は、基板Sの大部分を覆い、ヒートシンク、冷却板、または類似の熱除去装置に直接取り付けられることが意図されている。このような取り付けは、熱界面材料を用いたボルト締め、金属焼結(銀、銅、または他の金属)、はんだ付け、導電性接着、溶着、または他の熱伝導性取り付けのいずれかによってなされるであろう。他の設計の実施形態は、同様の方法で介在ベースプレートに取り付けられてもよく、その介在ベースプレートは、その後に冷却板にボルト締めまたは溶着されてもよい。
【0059】
パワーループの十分な分散と、パワーモジュール10内への低インダクタンス入力とを容易にするために、パワー端子V+及びV-は、パワーモジュール10の一側部に沿った両端上に効果的に配置される。パワー端子V-は、パワーレールPRV-によって接合された2つの端子を効果的に提供し、パワーレールPRV-は、2つの端子間の長さにわたっている。2つのパワー端子V+は、示されるように、ワイヤボンディングによって基板Sに接合されているか、または、基板Sまで延長されてはんだ付け、焼結、溶着、または同等の方法で取り付けられる。
【0060】
三相回路のAC出力を供給するパワー端子U、V、Wは、全電流を連続して伝送することが多いため、パワー端子V-、V+よりも幅が広くてもよい。信号端子G1~G6、K1~K6は、同程度の電位の領域内にネストされてもよい。ボンディング箇所は、歪み緩和のための成形ロックとして機能する延長された端部を有している。例えば切り欠きや穴などの信号端子G1~G6、K1~K6の他の特徴は、同一または類似の機能性を実現するために設けられてもよい。説明したように、信号端子及びパワー端子のためのピンは、わずかなオフセットをもたらすために互い違いに配置されてもよく、互い違いに配置されると、パワーモジュール10への接続により大きな柔軟性とより多くの選択肢をもたらす。
【0061】
一般的に、パワーモジュールには、パワーループ及び信号ループといった2種類の電気ループが存在する。パワーループは、パワー端子V+、V-の間にあって、トランジスタQ1~Q6のドレイン(またはコレクタ)とソース(またはエミッタ)とを介して負荷に電力を供給するためのトランジスタQ1~Q6を通る、高電圧且つ大電流の経路であり、負荷は、三相回路のための端子U、V、Wに接続されている。信号ループは、トランジスタQ1~Q6のゲートG1~G6(またはベース)とソース(またはエミッタ)を通る、低電圧且つ小電流の経路である。ゲート-ソース(またはベース-エミッタ)信号経路は、トランジスタQ1~Q6を作動させて、トランジスタQ1~Q6を効果的にオンまたはオフする。信号ループはまた、トランジスタQ1~Q6のケルビンソース接続K1~K6を伴っていてもよい。
【0062】
パワーループは、パワー端子V+、V-の間を効果的に通っている。パワー端子V+、V-は、典型的には、例えば、大容量キャパシタと並列なバッテリなどのDC電源の両端に接続される。図示されたパワーモジュール10のための例示的なパワーループが
図20に示されている。
図20は、上述の三相の実施形態のための例示的なパワー整流ループを図示している。内部及び外部のレイアウトによって、電力は、効率的かつ良好な磁束相殺量で、パワーモジュール10に入出力することができる。電力は、(1)パワー端子V+を通って流れ込み、(2)パワーボンドワイヤBWを通って基板Sのデバイスパッド18へと流れ込み、(3)ハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5のドレインDに流れ込み、(4)ハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5を通ってそれぞれのソースパッドSPに流れ込み、(5)ボンドワイヤBWを介して基板Sのそれぞれのデバイスパッド20、22、24に流れ、(6)それぞれのローサイドトランジスタQ2、Q4、Q6のドレインDに流れ込み、(7)ローサイドトランジスタQ2、Q4、Q6を通ってそれぞれのソースパッドSPに流れ込み、(8)ボンドワイヤBWを介してパワー端子V-に流れ込む。様々な出力について、パワー端子U、V、Wはそれぞれ、デイジーチェーン接続ボンドワイヤBWを用いて、ハイサイドトランジスタQ1、Q3、Q5のソースパッドSPにカップリングされ、且つ、デバイスパッド20、22、24を介して、ローサイドトランジスタQ2、Q4、Q6のドレインDにカップリングされている。これらループは、並列された各デバイスに対して良好に平衡化されている。モジュールの薄型化、小型のモジュールサイズ、磁束相殺、及び平衡化されたループによって、極めて低いループインダクタンス、及び、クリーンで効率的なスイッチングがもたらされる。
【0063】
各トランジスタ位置に対する信号ループは、好ましくは、スイッチング中にデバイスのゲートにかかる電圧ストレスを最小化するように低インピーダンスをもたらす。電圧ストレスは、抵抗器を追加することによって緩和または低減可能であるものの、このようにすると、複雑さの増加、コストの増大、スイッチング速度の低下という代償を伴うことが多い。スイッチング性能を高めるためには、パワーループ及び信号ループは、完全ではないのであれば、互いに実質的に独立させて、高速、且つ、よく制御された動力で低スイッチング損失を実現することができる。
【0064】
特定の実施形態では、いずれのドレイン-ソース(またはコレクタ-エミッタ)ループ及びゲート-ソース(またはゲート-エミッタ)ループも、種々のトランジスタQ1~Q6のソース(またはエミッタ)において同じ接続を共有する。電力経路が信号経路内にカップリングすると、正帰還または負帰還のいずれかを介して余分な動力が導入される。典型的に、負帰還は、電力経路のカップリングが制御信号に対抗するため、余分な損失をもたらす。要するに、電力経路のカップリングは、制御信号がトランジスタをオンしようとしているときにトランジスタをオフしようとする。正帰還は、典型的には、電力経路のカップリングが、トランジスタが破壊されるまで制御信号を増幅させるため、不安定性を引き起こす。最終的に、電力経路と信号経路とのいかなる著しいカップリングも、スイッチング品質の低下、スイッチング速度の低下、損失の増加、及び破壊の可能性をもたらす。
【0065】
したがって、スイッチング品質を向上させる1つの方法は、独立したパワーループと制御ループとを確保することである。電源接続は、一方が他方に重畳または干渉しないように、(ケルビンソースと称される)信号源とは別の経路を有する。トランジスタQ1~Q6への個別の接続が近くされるほど、スイッチング性能はより良くなる。
【0066】
図21は、ハイサイド位置及びローサイド位置のための内部信号ループを図示している。ここでは、信号は、(1)信号端子G1~G6を通り、(2)ボンドワイヤBWを渡ってトランジスタQ1~Q6のゲートパッドGPへ、(4)トランジスタQ1~Q6を介してゲートからソースへ、(3)ボンドワイヤBWを通って、トランジスタQ1~Q6のソースパッド(及び/またはケルビンソースパッド)から信号端子K1~K6へ、と流れる。図示された実施形態では、パワーループと信号ループとが完全に独立している、真のケルビンソースの実装が提供されている。
【0067】
いくつかの実施形態では、トランジスタデバイスを並列化して出力電流を増加させてもよい。並列化する場合、トランジスタデバイス間の相互コンダクタンスの不整合というさらなる問題が生じる。相互コンダクタンスとは、実際上、デバイスの電流利得、つまり入力電圧に対する出力電流の関係のことである。スイッチング中、入力電圧は上昇し、それに伴い出力電流が上昇する。並列化されたトランジスタデバイス間に相互コンダクタンスの差がある場合(これは、炭化ケイ素、つまりSiCのパワーデバイスでは普通である)、それぞれのターンオン特性がわずかに異なる。各デバイスに流れている電流が異なると、デバイスは、それらの両端にわずかに異なる電圧を有することになる。この電圧不整合は、スイッチング中にデバイス間を流れる「平衡電流」をもたらすことになる。
【0068】
この平衡電流は、インピーダンスが最も低い経路を好むことになり、その経路は、パワーループではなく信号ループを介し得る。平衡電流が信号ループを通過する場合、スイッチングの質に影響し得る。この制御不能な大電流を信号ループに導入すると、信号ループは大電流を伝送することが意図されていないため、信頼性の懸念がもたらされる可能性もある。これらの並列化されたデバイスについては、ジャンパーボンドワイヤBWをソースパッドSP間に接続して、これらの平衡電流のための極低インピーダンス経路を形成してもよい。
【0069】
モジュール性は、本明細書で説明された概念の有益な特徴である。
図22及び23に図示されるように、ある与えられたフットプリント内に、トランジスタQ1~Q6及び/または種々のサイズの他のデバイスが組み込まれ得る。ある与えられたフットプリントについて、
図22のトランジスタQ1~Q6は、より小型且つより低電力の
図23のトランジスタQ1~Q6と比較して、かなり大型で大電力である。このような適応性により、設計者は、所定のシステム及び動作条件に対して、デバイスサイズ及び動作パラメータを最適化することができる。デバイスのサイズはパワーモジュール10の全体的な費用と相関していることが多いため、適切なサイズのデバイスを用いることがコストを低く抑える鍵となる。
【0070】
いくつかの実施形態では、
図24及び25に図示されるように、基板Sは、例えばトランジスタQ1~Q6、Q1’~Q6’などの複数の並列化されたデバイスを収容するように広げられてもよい。
図24では、スイッチ位置は、完全に、並列化されたトランジスタQ1~Q6、Q1’~Q6’が配置されており、全ての可能な箇所は埋まっている。特定の位置は、配置されずにいてもよく、
図25に図示されるように、可能な箇所のうちのいくつかしか埋まっていない。破線の四角枠は、配置されていない領域を表し、配置されていない領域には、追加のトランジスタが内在可能である。これもまた、所与の用途に対してデバイス領域を調整するのに有用な技術であり、新たなカスタムデバイスを開発または製造する必要がないという、さらなる利点を有している。ボンドパッドのレイアウト、異なるデバイスサイズ、及び並列化されたデバイスの数の大小に応じた、異なるデバイスローテーションを伴う、より多くの実施形態及びその組み合わせが想定される。
【0071】
高度にモジュール化されていることに加え、パワーモジュール10のためのレイアウトは、要求されたデバイスサイズ及びデバイス数に対して可能な限り小型になるように容易に大きさを変更可能である。パラメトリックなスケーラビリティにより、製品設計者には、所望の電気的性能パラメータのために熱的性能及び製品サイズの効率化を図るように調整する多くの変数が与えられる。
図26及び27は、パワーモジュール10のスケーラブルな性質を図示している。
図26のパワーモジュール10は、大きめの基板S上により大型でより電力の大きいトランジスタQ1~Q6を採用し、
図27のパワーモジュール10は、小さめの基板S上により小型でより電力の小さいトランジスタQ1~Q6を採用している。
【0072】
パワーモジュール10がスケールアップまたはスケールダウンすると、内部レイアウトもそれに対応したスケールになる。電流はデバイス総面積に基づいて変化することになるため、過度の抵抗損失がなく電流を適正に伝送するように、より幅広の電気経路が動的にスケールされる。電気経路のスケーリングは、各デバイスへの実効電流経路の実質的な均等化を確実にすることを補助する。内側及び外側の特徴のスケーリングが
図28及び29に示されており、
図28は、
図26のスケールされた実施形態に相当し、
図29は、
図27のスケールされた実施形態に相当する。
図30及び31はそれぞれ、
図28及び29のスケールされた実施形態のための、ハウジング12を有するパワーモジュール14を図示している。いくつかの状況では、サイズがスケールされると、必要または所望に応じて、パワー端子の幅及び電力ワイヤボンド数が、増減され得る。
【0073】
本明細書で開示された概念は、次世代のパワーモジュール10のために最適化された三相パッケージ設計を提供する。同一構造内に複数のデバイス領域を完全にまたは部分的に配置可能である、モジュール方式レイアウトが可能である。スケーラブルレイアウトは、所望のパワーデバイス領域及び/またはサイズを実現するために長さ及び幅を増減させるだけで、複数の最適化された製品をサポートする。レイアウトは、パワー端子と信号端子とをグループ化することによって、大電流に対して最適化されてもよい。パワー端子領域には、電圧絶縁に依拠するのではなく、インラインエッジが用いられてもよい。
【0074】
このアーキテクチャは、パワーループインダクタンスが最小化または低減された論理的な電力フローを提供し、その結果、クリーンで効率的なスイッチングがもたらされる。このアーキテクチャは、高バス電圧及び高電圧動作を促進する、電圧オーバーシュートが最小に抑えられた低インダクタンス構造を提供する。このレイアウトはまた、各パワーデバイスに対してほぼ同一のパワーループインダクタンスをもたらしながら、1つのスイッチ位置あたり2つ以上のパワーデバイスを並列化することをサポートする。
【0075】
信号端子及びパワー端子は、片側ではDC入力接続、もう片側ではAC出力接続、及び、電位でグループ化された信号接点を用いて、用途別に配置及び組織化されてもよい。DC入力端子の二重配置により、均等な電力分配及び外部バス接続への低インダクタンス接続が可能になる。内部レイアウトは、端子からデバイスパッドへの直接ボンディングによってボンドワイヤ距離を最小化するように構成されてもよい。
【0076】
本明細書の概念は、ワイヤボンドを介した、または直接はんだ付けによる、パワー端子から電力基板への電気的接続を形成する選択肢も提供する。互い違いに配置されたパワー端子及び信号端子は、種々の信号端子とパワー端子との間に電圧絶縁クリアランスを提供し得る。インラインのパワー端子及び信号端子により、ヘッダやPCBなどのピンピッチを一定の間隔にすることができる。
【0077】
このアーキテクチャは、信号ループに対して真のケルビン実装を提供し、その結果、クリーンで効率的なスイッチングがもたらされる。統合された温度センサなどは、パワーデバイスの近くに配置されてもよい。温度センサなどの回路構成は、(絶縁されていない直立したセンサのための)絶縁された基板トレース上に配置されてもよいし、または、(絶縁された横向きのセンサのための)あるデバイスと同じトレース上に配置されてもよい。過電流事象を検出する過電流/不飽和信号ピンという選択肢がある。
【0078】
このアーキテクチャは、使用される固有の部品点数を最小化すること、電力基板の面積を最小化すること、半導体領域の活用を最大化すること、並びに、リードフレーム、トランスファー成形、及び生産自動化を用いた大量処理を通じて、コストを削減できる。
【0079】
パワーモジュール10は、パッケージの上側と底側上に、モールド成形された電圧沿面延伸器を有していてもよい。パワーモジュール10はまた、はんだ取付、ヘッダへの接続、ワイヤへのクリップ留めまたははんだ留め、レーザ溶着、または、無はんだ接続のための圧入接点と一体化されるように構成可能なパワー端子を有していてもよい。信号端子は、はんだ取付、ヘッダへの接続、ワイヤへのクリップ留めまたははんだ留め、レーザ溶着、または、無はんだ接続のための圧入接点と一体化されるように構成可能である。パワーモジュール10の裏側上の露出されたたサーマルパッドは、銀永久焼結、銅焼結、または、冷却板やヒートシンクへ直接はんだ付けされるように構成可能である。ハウジング14の成形材料の端縁の切り欠きは、ボルト穴として機能して、熱界面材料、熱ギャップパッド、相変化材料などを用いて冷却板またはヒートシンクに直接、非永久的なボルト留めを行えるようにしてもよい。
【0080】
上述の概念は、上記のうちの1つ、いくつか、または全てに対処して、固有かつ新規なパワーモジュール10を提供する。当業者は、本開示に対する改良及び修正を認識するであろう。そのような改良及び修正は全て、本明細書で開示された概念の範囲内にあるとみなされる。
【国際調査報告】