(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-21
(54)【発明の名称】アパーチャ及び方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20241114BHJP
H05G 2/00 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
H05G2/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024530443
(86)(22)【出願日】2022-12-07
(85)【翻訳文提出日】2024-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2022084817
(87)【国際公開番号】W WO2023104895
(87)【国際公開日】2023-06-15
(32)【優先日】2021-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ティママンス,ロジャー,アントン,マリエ
(72)【発明者】
【氏名】リンコフ,アレクサンダー,エフゲネヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ドープ,バス,ウィレム,ヨハネス,ヨアンナ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】クーリ,トーマス,ウィリアム,ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】ブロム,ポール,ペーター,アナ,アントニウス
【テーマコード(参考)】
2H197
4C092
【Fターム(参考)】
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA05
2H197GA20
2H197GA24
2H197HA03
4C092AA06
4C092AA15
4C092AB15
4C092AC09
(57)【要約】
レーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、該アパーチャは、第1開口部を含む本体であって、第1軸を画定する本体と、ビームダンプと、第2開口部を含む光学素子であって、第1開口部及び第2開口部が第1軸と同軸であり、該光学素子が、位置ずれしたレーザビームを検出器に再誘導するか、又は位置ずれしたレーザビームを少なくとも2つのサブビームに分割するように構成されている、光学素子と、レーザ光を検出するように構成されたレーザビーム検出システムであって、上記光学素子が、第1サブビームをビームダンプに誘導し、且つ第2サブビームをレーザビーム検出システムに誘導するように構成されている、レーザビーム検出システムと、を含む、アパーチャ。また、囲い構造を含むアパーチャ、レーザビームの位置ずれを検出する方法、そのようなアパーチャを含む放射源、そのような放射源又はアパーチャを含むリソグラフィ装置、及びリソグラフィ装置又はリソグラフィ方法におけるこれらの使用についても記載される。
【選択図】
図2a及び
図2b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、
第1開口部を含み、第1軸を画定する本体と、
ビームダンプと、
第2開口部を含む光学素子であって、前記第1開口部及び前記第2開口部が前記第1軸と同軸であり、前記光学素子が、位置ずれしたレーザビームを検出器に再誘導するか、又は位置ずれしたレーザビームを少なくとも2つのサブビームに分割するように構成されている、光学素子と、
レーザ光を検出するように構成されたレーザビーム検出システムであって、前記光学素子が、第1サブビームを前記ビームダンプに誘導し、且つ第2サブビームを前記レーザビーム検出システムに誘導するように構成されている、レーザビーム検出システムと、を含むアパーチャ。
【請求項2】
前記光学素子が、入射レーザビームの一部分を反射し、且つ前記入射レーザビームの別の一部分を透過させるように構成された部分反射面を含む、請求項1に記載のアパーチャ。
【請求項3】
前記光学素子が、前記第1サブビームを拡大するように構成され、任意選択により、前記光学素子が、前記第1サブビームを拡大するように構成された湾曲面を含む、請求項1又は2に記載のアパーチャ。
【請求項4】
前記レーザビーム検出システムが、前記レーザビームの位置ずれを検出するように構成され、且つ位置ずれが検出された場合に信号を送信するように構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項5】
前記レーザビーム検出システムが1つ以上の光検出器を含み、任意選択によりフォトダイオードを含み、且つ/又はレーザ光を1つ以上の光検出器に誘導するように構成された複数の光ファイバを含む、請求項1~4のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項6】
前記光学素子が、前記第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるように構成されている、請求項1~5のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項7】
前記アパーチャが、前記第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるディフューザを含む、請求項1~6のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項8】
前記光学素子が、約1ミクロンの波長のレーザ光に対して透過性であるように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項9】
前記アパーチャが、所定の波長の光に対して光学的に透明な囲い構造を含む、請求項1~8のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項10】
前記囲い構造が、前記光学素子、前記ビームダンプ、及び前記レーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲み、任意選択で、前記囲い構造が前記光学素子の少なくとも一部を形成してもよい、請求項9に記載のアパーチャ。
【請求項11】
前記光学素子が、前記ビームダンプ及び前記レーザビーム検出システムを囲むように構成されている、請求項1~10のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項12】
前記本体と前記光学素子との間にシールが設けられている、請求項1~11のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項13】
前記光学素子が、前記シールから離れる方向にレーザ光を誘導するように構成されている、請求項12に記載のアパーチャ。
【請求項14】
前記アパーチャが、前記位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成された半透明の光学素子を更に含む、請求項1~13のいずれかに記載のアパーチャ。
【請求項15】
前記半透明の光学素子が、第2開口部を含む前記光学素子であり、前記第1開口部及び前記第2開口部が前記第1軸と同軸である、請求項14に記載のアパーチャ。
【請求項16】
ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、
第1開口部を含み、第1軸を画定する本体と、
ビームダンプと、
第2開口部を含む光学素子であって、前記第1開口部及び前記第2開口部が前記第1軸と同軸であり、前記光学素子が半透明であり、前記光学素子が前記位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成されている、光学素子と、を含むアパーチャ。
【請求項17】
前記光学素子が、前記位置ずれしたレーザビームを少なくとも5度(半円錐角)発散させるように構成されている、請求項16に記載のアパーチャ。
【請求項18】
前記光学素子が、前記位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成された半透明の光学素子を複数含んでいる、請求項16又は請求項17に記載のアパーチャ。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載のアパーチャを含む放射源又はメトロロジツール。
【請求項20】
請求項1~18のいずれかに記載のアパーチャ、又は請求項19に記載の放射源を含むリソグラフィ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年12月10日に出願された欧州出願第21213814.3号の優先権を主張するものであり、同出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、レーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャに関する。本発明はまた、レーザビームの位置ずれを検出する方法、並びにそのようなアパーチャを含む放射源、そのようなアパーチャ又は放射源を含むリソグラフィ装置、及びリソグラフィ装置又は方法におけるそのようなアパーチャ、放射源、リソグラフィ装置、又は方法の使用に関する。本発明は、EUV放射源、メトロロジツール、並びにEUVリソグラフィ装置及び方法に特に適用されるが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上に付与するように構築された機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。リソグラフィ装置は、例えば、パターニングデバイス(例えば、マスク)のパターンを、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)の層に投影することができる。
【0004】
[0004] 基板上にパターンを投影するために、リソグラフィ装置は電磁放射を使用する場合がある。この放射線の波長によって、基板上に形成可能なフィーチャの最小サイズが決まる。4~20nmの範囲内の波長、例えば、6.7nm又は13.5nmの波長を有する極端紫外線(EUV)放射を使用するリソグラフィ装置は、例えば、193nmの波長の放射を使用するリソグラフィ装置よりも小さいフィーチャを基板上に形成するために使用され得る。
【0005】
[0005] EUVリソグラフィ装置は、レーザビームを介してスズなどの燃料にエネルギーを蓄積することでEUV放射を生成する。スズはプラズマに変換され、プラズマのイオンと電子の脱励起及び再結合中にEUV放射を含む放射がプラズマ7から放出される。その後、EUV放射は集められ、結像に用いることができる。レーザビームは、スズをプラズマに変換するために使用される。EUVリソグラフィ装置のEUV源は、異なるエリア又は異なるセクションに分割される場合がある。かかるセクションとセクションの間、及びセクション内部において、レーザはアパーチャを通って進み得る。このようなアパーチャは、異なるセクション間の境界を画定することができる。レーザビームが位置ずれを起こすと、リソグラフィ装置の他のコンポーネントを保護する機能を持つアパーチャが破損する可能性がある。そしてその結果、リソグラフィ装置の汚染が引き起こされる可能性がある。
【0006】
[0006] この問題は他の用途においても生じ得る。例えば、メトロロジ装置は、レーザビームを介してターゲットにエネルギーを蓄積することでメトロロジ放射を生成する。このメトロロジ放射は、パターン形成された基板に送られ、基板内のパターンが仕様を満たしているかどうかが確認される。ここでの基板は、レチクル又はウェーハであってよい。ターゲットをプラズマに変換するために使用されるレーザビームは、アパーチャを介して提供される。このレーザビームが位置ずれを起こすと、アパーチャが破損する可能性がある。そしてその結果、基板又はメトロロジ装置の他の要素の汚染が引き起こされる可能性がある。
【0007】
[0007] したがって、レーザビームの位置ずれを検出し、それによって装置の破損を抑制又は防止する手段を提供することが望ましい。また、汚染物質が生成され装置が汚染されるリスクを低減又は排除することが望ましい。本発明は、これらの問題に対処することを意図している。
【発明の概要】
【0008】
[0008] 本発明の第1の態様によれば、ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャが提供され、このアパーチャは、第1開口部を含む本体であって、第1軸を画定する本体と、ビームダンプと、第2開口部を含む光学素子であって、第1開口部及び第2開口部が第1軸と同軸であり、該光学素子が、位置ずれしたビームを検出器に向かって再誘導するか、又は位置ずれしたレーザビームを少なくとも2つのサブビームに分割するように構成されている、光学素子と、レーザ光を検出するように構成されたレーザビーム検出システムであって、上記光学素子が、第1サブビームをビームダンプに誘導し、且つ第2サブビームをレーザビーム検出システムに誘導するように構成されている、レーザビーム検出システムと、を含む。本体は、環状であってよい。
【0009】
[00009] 上記アパーチャは、EUV源におけるレーザビームの位置ずれを検出するためのものであってよい。EUV源は、高出力のCO2レーザビームを用いて燃料(通常は、液滴状のスズ)にエネルギーを供給してプラズマを生成するものであり、このプラズマが、最終的にEUV放射を含む放射を放出する。レーザビームは、レーザビームがシステムから飛び出さないようにし、また精密な光学コンポーネントを保護するように設計されたアパーチャを通過する。レーザビームが正しく位置合わせされている場合、レーザビームは本体に当たることなくアパーチャを通過することが理解されるだろう。言い換えれば、位置合わせされたレーザビームは単にアパーチャを通過するのみである。公称レーザビームは、第1軸に沿って第1開口部及び第2開口部を通過することとなる。このレーザビームの位置がずれた場合、レーザ光はアパーチャに当たり、アパーチャの材料が熱せられ、アパーチャに関連付けられた温度スイッチが作動する。この安全スイッチがレーザビームの遮断を引き起こす。しかしながら、10ミクロンのレーザ光を使用する場合、アパーチャの寸法が大きくなり、積極的な水冷も必要になる。そのような水冷自体がより多くのスペースを占め、冷却に必要な水の供給を提供するための水関連の基盤設備が必要となる。さらに、この波長で光学的に透明な材料は非常に少ない。ダイヤモンドがこの波長では透明であるが、ダイヤモンドからなる構成部品でアパーチャを製造することは極めて高価であり、また困難である。また、アパーチャが反応するまでに数秒かかることがあり、特に高強度ビームの場合は、アパーチャが溶解を始めるまでの時間よりも遅くなる可能性がある。その結果、粒子及びデブリが発生し、アパーチャの近傍の精密な光学系が汚染される可能性がある。アパーチャは、EUV源と同様の問題が生じる可能性があるメトロロジツール又はメトロロジ装置におけるレーザビームの位置ずれを検出するためのものであってもよい。
【0010】
[00010] 用途によっては、レーザビームの波長を10ミクロン程度から1ミクロン程度に下げることが望まれる場合がある。0.5~1.5ミクロンの波長である場合もある。このことは、レーザビームの強度及び/又は出力を高め、位置ずれによる破損がより早期に発生する可能性がある。したがって、アパーチャの破損を回避し、且つ/又は粒子及びデブリの発生を回避しつつ、レーザビームの位置ずれを検出する手段を提供することが望ましい。ビームの直径を拡大して強度を下げることは可能であるが、これにはシステム全体でより大きな光学系とビームエンベロープとが必要となり、望ましくない。
【0011】
[00011] メトロロジツールにおいても、1ミクロン程度の波長のレーザビームを使用する場合がある。したがって、アパーチャの破損を回避し、且つ/又は粒子及びデブリの発生を回避しつつ、レーザビームの位置ずれを検出する手段を提供することが望ましい。
【0012】
[00012] 本発明は、位置ずれしたレーザビームを2つのサブビームに分割するように構成された光学素子を設けることでこの問題に対処する。レーザビームが分割されているため、レーザビーム検出システムに到達するレーザ光の強度又は出力は低下する。これにより、位置ずれしたレーザによって破損が引き起こされるまでにかかる時間が長くなり、また、強度の低下によって破損が十分に防止される場合もある。破損が発生するまでにより多くの時間が見込まれることにより、安全機構は、破損の発生を防止するための動作により多くの時間をかけることができる。位置ずれしたレーザビームの分割は均等でなくてもよく、光学素子は、位置ずれしたレーザビームのエネルギーの大部分がビームダンプに向けられ、該エネルギーのごく一部だけがレーザビーム検出システムに向けられるように構成されてもよい。光学素子は、付加的又は代替的に、位置ずれしたレーザビームを検出器に再誘導するように構成されてもよい。
【0013】
[00013] 光学素子は、入射レーザビームの一部分を反射し、且つ入射レーザビームの別の一部分を透過させるように構成された部分反射面を含んでよい。これにより、光学素子は、位置ずれしたレーザビームを2つ以上のサブビームに分割することができる。アパーチャの構成により、透過レーザビームがビームダンプに提供され、反射レーザビームがレーザビーム検出システムに提供され得る。他の構成では、透過レーザビームがレーザビーム検出システムに提供され、反射レーザビームがビームダンプに誘導され得る。反射レーザ光と透過レーザ光の相対的な割合は、必要に応じて選択され得る。これは、例えば、部分反射面の厚さ及び/又は組成を変更するなどの任意の適切な手段によって達成することができる。部分反射面は、ビームを拡大するように構成することができ、また任意選択により湾曲している。
【0014】
[00014] 光学素子は、第1サブビームを拡大するように構成されてもよい。第1サブビームを拡大することで、このビームがビームダンプに到達したときのビーム強度が低下し、ビームダンプを破損する可能性が減少する。
【0015】
[00015] 光学素子は、第1サブビームを拡大するように構成された湾曲面を含んでもよい。レーザビームが湾曲面に当たると、湾曲面の形状によりレーザ光が発散し、それによりビームダンプでの強度が低下する。
【0016】
[00016] レーザビーム検出システムは、レーザビームの位置ずれを検出し、位置ずれが検出された場合に信号を送信するように構成され得る。レーザビームが正しく位置合わせされている公称の事例では、(避けられない迷光を除いて)レーザビームがアパーチャに当たることはないが、レーザビームがアパーチャに当たった場合、アパーチャは、本明細書に記載の通りに構成されており、位置ずれが検出され、信号が生成される。この信号は、レーザビーム又はレーザビーム源を遮断するため、又はレーザビームを再度位置合わせするためのコントローラへの信号であってよい。
【0017】
[00017] レーザビーム検出システムには、1つ以上の光検出器を含んでよく、かかる光検出器はフォトダイオードであってよい。フォトダイオードは、入射するレーザ光を検出して信号を生成することができ、これは信号に変換することができる。フォトダイオードは、それらフォトダイオードが位置ずれしたレーザ光を検出できるような任意の適切な場所に位置してよい。一実施形態では、フォトダイオードは、環状体であってもよいアパーチャ本体内の第1開口部の周囲に配置される。フォトダイオードは、当初のレーザビームにさらされると破損する可能性があるが、この光学素子は、フォトダイオードに到達するレーザ光の強度又は出力をフォトダイオードが許容できるレベルまで低減するように構成されている。代替的又は付加的に、レーザビーム検出システムは、レーザ光を1つ以上の光検出器に誘導するように構成された複数の光ファイバを含んでもよい。
【0018】
[00018] 光学素子は、第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるように構成されてもよい。レーザビーム検出システムがレーザ光を検出できない潜在的な死角を回避するうえで、光学素子にレーザ光を少なくとも部分的に拡散させるようにすることは、レーザ光がレーザビーム検出システムによって検出されない可能性が低くなることを意味する。
【0019】
[00019] アパーチャは、第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるディフューザを含んでもよい。ディフューザは光学素子とは別のコンポーネントであってもよい。
【0020】
[00020] 光学素子は、1ミクロン程度の波長のレーザ光に対して透過性であるように構成され得る。光学素子は、入射するレーザ光を透過及び/又は反射する必要があるため、レーザ光は光学素子を透過可能である必要がある。
【0021】
[00021] 本体は、複数の隆起部を含んでよく、これら隆起部は、内部表面に位置し、それにより任意の反射レーザ光を吸収するように構成されている。隆起部は、レーザ光の更なる反射を制限するために適した任意の形状とし得る。隆起部は、環状リングの形状であってよい。隆起部は、光学的に黒色であるか、又は実質的に光学的に黒色であってもよい。そのため、隆起部には、低い反射率と高い吸収率を保証する表面処理が施されている場合がある。
【0022】
[00022] 光学素子は、位置ずれしたレーザビームの少なくとも一部分を内面反射するように構成されてもよい。光学素子の表面を傾けて、位置ずれしたレーザ光の一部分を反射してサブビームを形成することによって、位置ずれしたレーザビームは分割され得る。サブビームは、その後、該サブビームをレーザビーム検出システムの場所に誘導するために内面反射され得る。
【0023】
[00023] アパーチャは、所定の波長の光に対して光学的に透明な囲い構造を含み得る。ここで所定の波長とは、レーザビームを構成する光の波長である。囲い構造は、アパーチャの少なくとも一部分を封止するように構成され得る。アパーチャの少なくとも一部分を囲むことによって、粒子又はデブリが生成された場合でも、粒子又はデブリは他の場所を汚染し得ないように囲い構造内に保持される。
【0024】
[00024] 囲い構造は、光学素子、ビームダンプ、及びレーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲むことができる。いくつかの実施形態では、囲い構造は、光学素子の少なくとも一部を形成してもよい。したがって、囲い構造は光学素子であり得る。
【0025】
[00025] 光学素子は、ビームダンプ及びレーザビーム検出システムを囲むように構成されてもよい。
【0026】
[00026] 本体と光学素子との間にシールが設けられていてもよい。光学素子は、レーザ光をシールから離れる方向に誘導するように構成されてもよい。
【0027】
[00027] 囲い構造は、溶融シリカ又は石英を含み得る。溶融シリカ及び石英はいずれも、EUV源で使用される1ミクロン程度の波長において光学的に透明であり、また、所望の形状に容易に成形可能である。
【0028】
[00028] 囲い構造は環状であってよく、また中央アパーチャを含んでよい。公称で位置合わせされたレーザビームはアパーチャの第1開口部を通過するため、レーザビームと相互作用する可能性のある材料がこのエリアに含まれないようにすることが望ましい。何らかの材料がレーザビームと相互作用することは、ビームの位置がずれた場合にのみ望ましい。中央アパーチャを有することで、公称で位置合わせされたレーザビームは囲い構造と相互作用することなく通過することができる。
【0029】
[00029] アパーチャは、位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成された半透明の光学素子をさらに含んでもよい。
【0030】
[00030] 半透明の光学素子を含むことで、入射するレーザビームは複数の反射及び屈折を受け、これにより、レーザビームは高度に平行な構成からわずかに発散するビームへと変化する。半透明の光学素子は、そのような複数の反射及び屈折を引き起こすために粗い表面仕上げを施されている場合がある。位置ずれしたレーザビームは半透明の光学素子を通過すると発散するため、該ビームがアパーチャに当たった場合、レーザビームはより広い範囲に広がっているためその影響は低減されており、したがって、強度は低下しているが、伝達されるエネルギー量はわずかに減少するのみであるため、アパーチャはほぼ同じ速度で熱せられる一方、エネルギーがより広い範囲に伝達されるためアパーチャに破損は生じない。
【0031】
[00031] 半透明の光学素子は、第2開口部を含む光学素子であってよく、ここで第1開口部と第2開口部とは第1軸と同軸である。代替的又は付加的に、半透明の光学素子は、第2開口部を含む光学素子とは別の光学素子であってもよく、ここで第1開口部と第2開口部とは第1軸と同軸である。位置合わせされたレーザビームの発散を引き起こすことは望ましくないため、半透明の素子は、公称で位置合わせされたレーザビームが通過する空隙又は透明部分を含むことが理解されるだろう。
【0032】
[00032] 本開示の第1又は第2の態様の別の実施形態によれば、ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャが提供され、このアパーチャは、第1開口部を含む本体であって、第1軸を画定する本体と、ビームダンプと、第2開口部を含む光学素子であって、第1開口部及び第2開口部が第1軸と同軸であり、光学素子が半透明であり、位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成されている、光学素子とを含んでいる。
【0033】
[00033] 本開示の第1の態様と同様に、位置ずれしたレーザビームの経路内に半透明の光学素子が存在すると、位置ずれしたレーザビームが発散する。位置ずれしたレーザビームが発散しているため、これがアパーチャに当たると、位置ずれしたレーザビームによって提供されるエネルギーは、そうでない場合と比較してより広い表面積に蓄積され、その結果、強度が低下し、破損が引き起こされる可能性が低くなる。位置ずれしたレーザビームは発散しているが、その出力は減少したとしてもわずかであるため、ほぼ同じ量のエネルギーが伝達され、破損のリスクなしに位置ずれを同様に迅速に検出することができる。
【0034】
[00034] オプトエレメントは、位置ずれしたレーザビームを少なくとも5度(半円錐角)発散させるように構成され得る。
【0035】
[00035] 光学素子は、位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成された複数の半透明の光学素子を含み得る。位置ずれしたレーザビームの経路内に1つ以上の半透明の光学素子が配置されることで、位置ずれしたレーザビームを発散させることができ、それによって、アパーチャに当たった際の位置ずれしたレーザビームの強度を低下させることができる。
【0036】
[00036] 本発明の第2の態様によれば、EUV源内のレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャが提供され、このアパーチャは、第1開口部を含む本体であって、第1軸を画定する本体と、ビームダンプと、レーザ光を検出するように構成されたレーザビーム検出システムとを含み、更に、本体、ビームダンプ、及びレーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲むように構成された囲い構造を含み、囲い構造は、所定の波長の光に対して透明であるように構成されている。
【0037】
[00037] 本発明の第2の態様によるアパーチャは、第1の態様によるアパーチャと類似しているが、第2の態様によるアパーチャは、位置ずれしたレーザビームを2つ以上のサブビームに分割するための光学素子を必ずしも必要としない。代わりに、本体、ビームダンプ、及びレーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲むように構成された囲い構造を含むアパーチャが提供される。囲い構造が設けられることにより、位置ずれしたレーザビームによって生成された粒子又はデブリはかかる囲い構造によって保持され、他の場所を汚染することがない。そのため、レーザビームが遮断される前にアパーチャの一部が溶融し始めるとしても、それが汚染につながることはない。レーザビーム検出システムは、直接的及び/又は間接的にレーザ光を検出するように構成され得る。例えば、直接検出はレーザ光自体の検出に依存し、一方、間接検出はレーザ光の加熱効果に依拠する。
【0038】
[00038] 囲い構造は、溶融シリカ又は石英を含み得る。囲い構造は、約0.5~約1.5ミクロンの波長の光に対して光学的に透明な任意の材料を含んでもよい。
【0039】
[00039] 囲い構造は、任意の位置ずれしたレーザ光を拡散させるように構成されてもよい。ここでも、位置ずれしたレーザ光を拡散させることにより、レーザ光がアパーチャの一部に当たった場合、その強度が低下し、それにより、破損が発生する速度が遅くなるか、又は低減する。位置ずれした光の拡散は、半透明の光学素子によって達成され得る。
【0040】
[00040] 本体と囲い構造との間にはシールが設けられてもよい。シールにより、囲い構造内で生成された汚染物質又はデブリが囲い構造から出ていくことが防止される。
【0041】
[00041] 囲い構造は、レーザ光をシールから離れる方向に誘導するように構成されてもよい。シールは、ゴム製であってよく、これは、位置ずれしたレーザビームにさらされると急速に溶融を起こす。そのため、囲い構造は、シールの破損を防ぐために、自身の影にシールを配置するように構成される。これは、レーザビームの経路に少なくとも部分的に反射性の表面を設ける、又はレーザ光をビームから離れるように反射又は屈折する角度付き表面を設けるなどの任意の好適な方法で達成することができる。
【0042】
[00042] レーザビーム検出システムは、レーザビームを熱的に検出するように構成されてもよい。そのため、検出器は温度センサ又は熱スイッチを含み得る。これは、光センサよりも動作が遅くなる可能性があるが、高強度のレーザ光への曝露に対しては耐性が高い可能性がある。レーザビーム検出システムは、光センサを含んでもよい。すなわち、レーザビーム検出システムは、その加熱効果などによってレーザビームを間接的に検出するように、又は光検出器やフォトダイオードなどの光感受性手段等を介してレーザビームを直接的に検出するように構成することができる。レーザビーム検出システムは、1つ以上の温度センサを含んでもよい。温度センサが2つ以上ある場合、それらの温度センサは2つ以上の別々の回路上に設けられ得る。こうすることで、回路のうちの1つが機能しなくなった場合でも、他の回路によって温度の変動を検出することができる。同様に、同じ理由から、光センサを2つ以上の別々の回路上に設けることもできる。
【0043】
[00043] 本発明の第1の態様に関して記載された特徴は、本発明の第2の態様に関して記載された任意の特徴と組み合わせることができる。実際、技術的に適合しない場合を除いて、任意の態様に関して説明された特徴は、本明細書に記載の他の任意の態様の特徴と組み合わせることができる。こうした組み合わせはすべて、明示的に考慮及び開示されている。
【0044】
[00044] 本発明の第3の態様によれば、レーザビームの位置ずれを検出する方法が提供され、かかる方法は、位置ずれしたレーザビームを2つ以上のサブビームに分割することと、サブビームのうちの1つをレーザビーム検出システムに誘導することと、サブビームのうちの別の1つをビームダンプに誘導することとを含む。
【0045】
[00045] 本発明の前述の態様に関して説明したように、位置ずれしたレーザビームを分割することで、コンポーネントの破損が発生するまでの時間を長くすることができ、それによって安全対策の実施のためにより多くの時間をかけることができる。
【0046】
[00046] 上記方法は、サブビームのうちの少なくとも1つを拡大することを含み得る。ビームダンプに供給されるサブビームを拡大することにより、ビームの強度が低減され、それにより破損が回避又は軽減される。同様に、レーザビーム検出システムに供給されるサブビームを拡大することにより、レーザ光の強度が低減され、レーザ光が未検出となる可能性が低くなる。
【0047】
[00047] 上記方法は、サブビームのうちの少なくとも1つを傾けることで、該サブビームがビームダンプ又はレーザビーム検出器を斜めの角度で照明するようにすることを含み得る。サブビームをこのような角度に傾けることで、サブビームは、ビームダンプ又はレーザビーム検出器のより広い範囲を照明することとなり、それによりレーザ光の強度が低下する。
【0048】
[00048] 上記方法は、位置ずれが検出された場合に信号を生成することを含み得る。信号は、レーザビームをオフにするか、又はレーザビームを再度位置合わせするためにコントローラに送信され得る。
【0049】
[00049] 上記方法は、サブビームのうちの少なくとも1つを発散させることを含んでよく、任意選択で、かかるサブビームを半透明の光学素子を通過させることによって発散させ得る。
【0050】
[00050] 本発明の第4の態様によれば、本発明の第1又は第2の態様に係るアパーチャを含む放射源が提供される。この放射源は、EUV放射源、又はメトロロジ装置に適した放射源であり得る。
【0051】
[00051] 本発明の第5の態様によれば、本発明の第1又は第2の態様に係るアパーチャ、あるいは本発明の第4の態様に係る放射源を含むリソグラフィ装置が提供される。
【0052】
[00052] 本発明の第6の態様によれば、本発明の第1又は第2の態様に係るアパーチャ、あるいは本発明の第4の態様に係る放射源を含むメトロロジ装置が提供される。
【0053】
[00053] 本発明の第7の態様によれば、本発明のいずれかの態様に係るアパーチャ、放射源、メトロロジ装置、又は方法の、リソグラフィ装置又は方法での使用、あるいはメトロロジ装置での使用が提供される。
【0054】
[00054] 本発明の各態様の主題は、本発明のいずれかの他の態様の主題と組み合わせることができ、一態様に関して説明された特徴は、本発明のいずれの他の態様にも等しく適用可能であることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
[00055] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。
【
図1】リソグラフィ装置と放射源とを含むリソグラフィシステムを示す。
【
図2a】レーザビームが公称位置にある、本発明の一実施形態を示す。
【
図2b】レーザビームが位置ずれをしている場合を示す。
【
図2c】汚染物質及びデブリを封じ込めるように構成された囲い構造を含む、
図2a及び
図2bに記載のアパーチャと同様のアパーチャを示す。
【
図5b】汚染物質及びデブリを封じ込めるように構成された囲い構造を含む、本発明の一実施形態に係るアパーチャを示す。
【
図6】囲い構造を含む、本発明の一態様に係る装置の一実施形態を示す。
【
図7】
図6に示される囲い構造と同様であるが、レーザビームを拡大するように構成された湾曲壁を含む囲い構造を示す。
【
図8】レーザビーム検出システムを含む、本発明の一態様に係る装置の一実施形態を示す。
【
図9】EUV及び/又はSXR放射が用いられるメトロロジ装置の概略図を示す。
【
図10】半透明の光学素子を含む、本開示の一態様に係るアパーチャの概略図を示す。
【
図11A】本開示の一態様に係る光学素子の概略図を示す。
【
図11B】本開示の一態様に係る光学素子の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[00056] 放射源SOとリソグラフィ装置LAとを含むリソグラフィシステムを
図1に示す。放射源SOは、EUV放射ビームBを生成し、このEUV放射ビームBをリソグラフィ装置LAに供給するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えば、マスク)を支持するように構成されたサポート構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備えている。
【0057】
[00057] 照明システムILは、EUV放射ビームBがパターニングデバイスMAに入射する前に、EUV放射ビームBを調整するように構成されている。さらに、照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11を含み得る。ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11は共に、EUV放射ビームBに所望の断面形状と所望の強度分布を提供する。照明システムILは、ファセットフィールドミラーデバイス10及びファセット瞳ミラーデバイス11に加えて、又はそれらの代わりに、他のミラー又はデバイスを含んでもよい。
【0058】
[00058] EUV放射ビームBは、上述のように調整された後、パターニングデバイスMAと相互作用を起こす。この相互作用の結果、パターン形成されたEUV放射ビームB’が生成される。投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’を基板Wに投影するように構成されている。そのため、投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’を基板テーブルWTに保持された基板Wに投影するように構成された複数のミラー13、14を含んでよい。投影システムPSは、パターン形成されたEUV放射ビームB’に縮小係数を適用することができ、それにより、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さいフィーチャを有する像が形成される。例えば、縮小係数4又は8を適用することができる。
図1において、投影システムPSは2つのミラー13、14のみを有するように描かれているが、投影システムPSは異なる数のミラー(例えば、6個又は8個のミラー)を含み得る。
【0059】
[00059] 基板Wは、先に形成されたパターンを含んでいる場合がある。この場合、リソグラフィ装置LAは、パターン形成されたEUV放射ビームB’によって形成される像を、基板W上に先に形成されたパターンと位置合わせする。
【0060】
[00060] 放射源SO、照明システムIL、及び/又は投影システムPS内には、相対的真空、すなわち大気圧を大きく下回る圧力の少量のガス(例えば、水素)が提供されてもよい。
【0061】
[00061]
図1に示す放射源SOは、例えば、レーザ生成プラズマ(LPP)源とも呼ばれるタイプのものである。レーザシステム1は、例えば、CO
2レーザを含んでよく、このシステムは、例えば燃料エミッタ3から提供されるスズ(Sn)などの燃料にレーザビーム2を介してエネルギーを蓄積するように配置される。以下の説明ではスズが言及されているが、任意の適切な燃料が使用され得る。燃料は、例えば液体であってよく、また、例えば金属又は合金であってよい。燃料エミッタ3は、例えば液滴状のスズをプラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って誘導するように構成されたノズルを備えていてもよい。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4のスズに入射する。スズにレーザエネルギーが蓄積されることで、プラズマ形成領域4にスズプラズマ7が作り出される。プラズマのイオンと電子の脱励起及び再結合中に、EUV放射を含む放射がプラズマ7から放出される。
【0062】
[00062] プラズマからのEUV放射は、コレクタ5によって集められ、集束される。コレクタ5は、例えば、近法線入射放射コレクタ5(より一般的には、法線入射放射コレクタと呼ばれることもある)を含む。コレクタ5は、EUV放射(例えば、13.5nmなどの所望の波長を有するEUV放射)を反射するように配置された多層ミラー構造であってもよい。コレクタ5は、2つの焦点を有する楕円体構造であってもよい。以下に説明するように、焦点のうちの第1のものはプラズマ形成領域4にあってよく、焦点のうちの第2のものは中間焦点6にあってよい。
【0063】
[00063] レーザシステム1は、放射源SOと空間的に分離されていてもよい。この場合、レーザビーム2は、例えば、適切な誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを含むビームデリバリシステム(図示せず)、及び/又は他の光学系を用いて、レーザシステム1から放射源SOへと送られ得る。レーザシステム1、放射源SO及びビームデリバリシステムをまとめて放射システムとみなしてもよい。
【0064】
[00064] コレクタ5によって反射された放射は、EUV放射ビームBを形成する。EUV放射ビームBは、中間焦点6に集束され、プラズマ形成領域4に存在するプラズマの像を中間焦点6に形成する。中間焦点6における像は、照明システムILの仮想放射源として機能する。放射源SOは、中間焦点6が放射源SOの囲み構造9の開口部8、又はその近くに位置するように配置される。
【0065】
[00065]
図9は、放射を用いることで基板上の構造のパラメータを測定することのできるメトロロジ装置302の概略図を示す。
図9に示されるメトロロジ装置302は、硬X線、軟X線、及び/又はEUV領域に適したものであり得る。
【0066】
[00066]
図9は、純粋な例示として、硬X線、軟X線、及び/又はEUV放射を(任意選択により斜入射で)使用する分光スキャトロメータを含むメトロロジ装置302の概略的な物理的配置を示している。代替的な形態の検査装置は、角度分解スキャトロメータの形態で提供される場合があり、これは、より長波長で動作する従来のスキャトロメータと同様に、法線入射又は近法線入射の放射を使用することができ、また、基板に平行な方向から1°又は2°を超える方向の放射を使用することもできる。代替的な形態の検査装置は、透過型スキャトロメータの形態で提供される場合もあり、この形態に対しては
図5の構成が適用される。
【0067】
[00067] 検査装置302は、放射源又はいわゆる照明源310と、照明システム312と、基板サポート316と、検出システム318、398と、メトロロジ処理ユニット(MPU)320とを備えている。
【0068】
[00068] この例において、照明源310は、EUV、硬X線、又は軟X線放射を生成するためのものである。照明源310は、
図9に示されるような高次高調波発生(HHG)技術に基づくものであってよく、その他のタイプの照明源、例えば、液体金属ジェット源、逆コンプトン散乱(ICS)源、プラズマチャネル源、磁気アンジュレータ源、自由電子レーザ(FEL)源、コンパクト蓄積リング源、放電生成プラズマ源、軟X線レーザ源、回転陽極源、固体陽極源、粒子加速器源、マイクロフォーカス源、又はレーザ生成プラズマ源などであってもよい。
【0069】
[00069] HHG源は、ガスジェット/ノズル源、キャピラリー/ファイバ源、又はガスセル源であってよい。
【0070】
[00070] HHG源の例では、
図9に示すように、放射源の主な構成部品は、ポンプ放射を放出するように動作可能なポンプ放射源330、及びガスデリバリシステム332である。任意選択により、ポンプ放射源330はレーザであり、任意選択により、ポンプ放射源330はパルス高出力赤外レーザ又は光レーザである。ポンプ放射源330は、例えば、光増幅器を備えたファイバベースのレーザであってよく、これは、例えば1パルスあたり1ns(1ナノ秒)未満持続し得る赤外線パルスを、必要に応じて最大で数メガヘルツのパルス繰り返し率で生成する。赤外線の波長は、200nm~10μmの範囲であってよく、例えば、1μm(1ミクロン)の領域であり得る。任意選択により、レーザパルスは、第1ポンプ放射340としてガスデリバリシステム332に送られ、ここで、ガス内で、放射の一部分が第1放射よりも高い周波数に変換されて放出放射342となる。ガス供給源334は、ガスデリバリシステム332に適切なガスを供給するものであり、任意選択により、該ガスは、ガスデリバリシステム332において電源336によってイオン化される。ガスデリバリシステム332は、カットチューブであってもよい。
【0071】
[00071] ガスデリバリシステム332によって提供されるガスは、ガスターゲットを画定し、これは、ガス流又は静的体積であり得る。ガスとしては、例えば、空気、ネオン(Ne)、ヘリウム(He)、窒素(N2)、酸素(O2)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、二酸化炭素、及びそれらの組み合わせが挙げられる。これらは、同一装置内で選択可能な選択肢であり得る。放出放射には複数の波長が含まれてよい。放出放射が単色放射であれば、測定計算(例えば、再構成)は簡便になり得るが、いくつかの波長を有する放射を生成する方が容易である。放出放射の放出発散角は、波長に依存する可能性がある。例えば、異なる材料からなる構造の像を形成する場合、異なる波長によって異なるレベルのコントラストが生じることとなる。金属構造又はシリコン構造の検査の場合、例えば、(炭素ベースの)レジストからなるフィーチャの像を形成するために使用される波長や、そのような異なる材料の汚染を検出するために使用される波長として異なる波長が選択され得る。1つ以上のフィルタリングデバイス344が設けられてもよい。例えば、アルミニウム(Al)又はジルコニウム(Zr)の薄膜などのフィルタは、基本的なIR放射がさらに検査装置へと到達するのを遮断する役割を果たし得る。生成される波長の中から1つ以上の特定の波長を選択するために格子(図示せず)が設けられてもよい。任意選択により、照明源は、真空排気されるように構成された空間を備え、ガスデリバリシステムは、その空間内にガスターゲットを供給するように構成される。SXR及び/又はEUV放射は空気中を移動する際に吸収されることを考慮して、任意選択により、ビーム経路の一部又は全部を真空環境内に収容してもよい。放射源310及び照明光学系312の様々なコンポーネントは、同じ装置内で様々なメトロロジ「レシピ」を実施するように調節可能であってもよい。例えば、異なる波長及び/又は偏光を選択可能としてもよい。
【0072】
[00072] 検査対象となる構造の材質に応じて、異なる波長によって所望のレベルの下層への透過が得られる場合がある。最小のデバイスフィーチャ、及び最小のデバイスフィーチャに含まれる欠陥を解像する場合、短い波長が好ましい可能性が高い。例えば、0.01~20nmの範囲、又は任意選択により1~10nmの範囲、又は任意選択により10~20nmの範囲の1つ以上の波長が選択され得る。5nmより短い波長では、半導体製造における関心材料から反射したときに臨界角が非常に小さくなってしまう可能性がある。したがって、5nmを超える波長を選択することで、より高い入射角でより強い信号が得ることが可能となる。一方、検査のタスクが特定の材質の存在を検出すること、例えば、汚染を検出することである場合、50nmまでの波長が有用となり得る。
【0073】
[00073] フィルタリングされたビーム342は、放射源310から検査チャンバ350に入ることができ、この検査チャンバ350では、対象構造を含む基板Wが検査のために基板サポート316によって測定位置に保持されている。対象構造は「T」とラベル付けされている。任意選択により、検査チャンバ350内の雰囲気は真空ポンプ352によって真空に近い状態に維持されてよく、これにより、SXR及び/又はEUV放射は過度の減衰なしに雰囲気中を通過することができる。照明システム312は、放射を集束ビーム356へと集束させる機能を有し、また、例えば、前述の米国特許出願公開第2017/0184981A1号(その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような2次元的に湾曲したミラー、又は1次元的に湾曲した一連のミラーを含み得る。集束は、対象構造上に投影されたときに直径10μm未満の円形又は楕円形のスポットSが得られるように行われる。基板サポート316は、例えば、X-Y並進ステージ及び回転ステージを備え、これらのステージにより、基板Wの任意の一部をビームの焦点位置に所望の向きで置くことができる。このようにして、対象構造上に放射スポットSが形成される。代替的又は付加的に、基板サポート316は、例えば、基板Wを特定の角度に傾斜させることで対象構造Tに対する集束ビームの入射角を制御し得る傾斜ステージを備える。
【0074】
[00074] 任意選択により、照明システム312は、フィルタリングされたビーム342内の異なる波長のスペクトル及び/又は強度を測定するように構成され得る基準検出器314に対して基準放射ビームを提供する。基準検出器314は、プロセッサ310に提供される信号315を生成するように構成され得、フィルタには、フィルタリングされたビーム342のスペクトル及び/又はフィルタリングされたビーム内の異なる波長の強度に関する情報が含まれ得る。
【0075】
[00075] 反射された放射360は、検出器318によって捕捉され、スペクトルがプロセッサ320に提供され、ターゲット構造Tの特性を計算するために使用される。このように、照明システム312及び検出システム318によって検査装置が形成される。この検査装置は、米国特許出願公開第2016282282A1号に記載されている種類の硬X線、軟X線、及び/又はEUV分光反射計を備えていてもよく、同文献の内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
[00076] ターゲットTaが何らかの周期性を有する場合、集束ビーム356の放射は部分的に回折されることもある。回折放射397は、入射角と、その後の反射放射360に対して明確に定められた角度で別の経路をたどる。
図9において、図示の回折放射397は模式的に描かれており、回折放射397は描かれた経路以外の多くの他の経路をたどる場合もある。検査装置302は、回折放射397の少なくとも一部分を検出及び/又は結像する追加の検出システム398を含んでもよい。
図9では、単一の追加の検出システム398が描かれているが、検査装置302の実施形態によっては、複数の回折方向で回折放射397を検出及び/又は結像するために、異なる位置に配置された複数の追加の検出システム398を含んでいてもよい。すなわち、1つ以上の追加の検出システム398によって、ターゲットTaに当たる集束された放射ビームの(高次)回折次数が検出及び/又は結像される。1つ以上の検出システム398は、メトロロジプロセッサ320に提供される信号399を生成する。信号399は、回折光397の情報を含んでよく、且つ/又は回折光397から得られた像を含んでもよい。
【0077】
[00077] 所望の製品構造に対するスポットSの位置合わせ及び焦点合わせを支援するために、検査装置302が、メトロロジプロセッサ320の制御下で補助放射を使用する補助光学系を提供してもよい。メトロロジプロセッサ320は、並進ステージ、回転ステージ、及び/又は傾斜ステージを操作する位置コントローラ372と通信してもよい。プロセッサ320は、センサを介して基板の位置及び向きに関する非常に正確なフィードバックを受け取る。センサ374としては、例えば、ピコメートル領域での精度を実現可能な干渉計が挙げられる。検査装置302の動作において、検出システム318によって取り込まれたスペクトルデータ382がメトロロジ処理ユニット320に送られる。
【0078】
[00078] 前述の通り、代替的な形態の検査装置は、例えば、回折ベースの非対称性測定を行うために、硬X線、軟X線、及び/又はEUV放射を、任意選択で法線入射又は近法線入射で使用する。別の代替的な形態の検査装置は、基板に平行な方向から1°又は2°を超える方向の硬X線、軟X線、及び/又はEUV放射を使用する。どちらのタイプの検査装置も、ハイブリッドメトロロジシステムとして提供することが可能である。測定される性能パラメータとしては、オーバーレイ(OVL)、クリティカルディメンジョン(CD)、リソグラフィ装置がターゲット構造を印刷している間のリソグラフィ装置の焦点、コヒーレント回折イメージング(CDI)、及び解像度オーバーレイ(at-resolution overlay)(ARO)メトロロジが含まれ得る。硬X線、軟X線、及び/又はEUV放射は、例えば100nm未満の波長を有してよく、例えば5~30nmの範囲の放射、任意選択で10nm~20nmの範囲の放射を使用する。放射の性質として、狭帯域であっても、広帯域であってもよい。放射は、特定の波長域に離散的なピークを有していても、より連続的な性質を有していてもよい。
【0079】
[00079] 今日の製造施設で使用されている光学スキャトロメータと同様に、検査装置302は、リソセル内で処理されるレジスト材料内の構造を測定(現像後検査又はADI)するために、及び/又はより硬い材料に形成された後の構造を測定(エッチング後検査又はAEI)するために使用することができる。例えば、基板は、現像装置、エッチング装置、アニール装置、及び/又はその他の装置によって処理された後に、検査装置302を用いて検査されてもよい。
【0080】
[00080] 上述のスキャトロメータを含むがこれに限定されないメトロロジツールMTは、放射源からの放射を使用して測定を行い得る。メトロロジツールMTが使用する放射は、電磁放射であってよい。かかる放射は、光放射、例えば、電磁スペクトルの赤外部分、可視部分、及び/又は紫外部分の放射であってもよい。メトロロジツールMTは、放射を使用して、基板の特性及び態様、例えば、半導体基板上にリソグラフィで露光されたパターンなどを測定又は検査し得る。測定の種類及びその質は、メトロロジツールMTが使用する放射のいくつかの特性に依存する場合がある。例えば、電磁測定の解像度は放射の波長に依存する場合があり、例えば回折限界のため、波長が短いほどより小さいフィーチャを測定することができる。寸法の小さいフィーチャを測定するには、短波長の放射、例えば、EUV、硬X線(HXR)及び/又は軟X線(SXR)放射を用いて測定を行うことが好ましい場合がある。特定の波長又は波長範囲でメトロロジを行うために、メトロロジツールMTは、その波長での放射を提供する放射源にアクセスする必要がある。異なる波長の放射を提供するための異なるタイプの放射源が存在する。放射源が提供する波長に応じて、異なるタイプの放射生成方法が使用され得る。極端紫外線(EUV)放射(例えば、1nm~100nm)、及び/又は軟X線(SXR)放射(例えば、0.1nm~10nm)の場合、目的の波長の放射を得るために、放射源は高次高調波発生(HHG)又は逆コンプトン散乱(ICS)を使用する場合がある。
【0081】
[00081]
図2aは、本発明によるアパーチャ15の一実施形態の切断図を示す。本発明は、
図1に示されるEUV放射源又はEUVリソグラフィ装置、あるいは
図9に示されるようなメトロロジ装置若しくはメトロロジツールの照明源又はメトロロジ装置に使用することができる。アパーチャ15は、第1開口部17を含む環状体16を含んでおり、環状体16は、第1軸Aを画定し、公称では、第1軸Aに沿ってレーザビーム2が通過する。環状体16は、ビームダンプ18として機能し得るエリアを含んでいる。ビームダンプ18は、連続的であってもよく、環状体16の内壁に位置決めされてもよい。アパーチャ15は、第2開口部20を含む光学素子19も含んでいる。アパーチャ15は、レーザビーム検出システム21も含んでいる。レーザビーム検出システム21は、第1開口部17の周囲に設けられており、レーザビーム2はこれを通過しないことが理解されるだろう。
【0082】
[00082] レーザビーム2が適切に位置合わせされた公称の使用では、レーザビームは軸Aに沿って第1開口部17及び第2開口部20を通過する。公称状態では、レーザビーム2は光学素子19の開口部を通過し、レーザビーム検出システム21は、レーザビーム2からのレーザ光をまったく受け取らないか、又は活性化に十分なレーザ光を受け取ることはない。
図2bに示されるように、レーザビーム2の位置がずれると、レーザビーム2は、光学素子19と相互作用を起こす。レーザビーム2は、光学素子19の後壁22と相互作用する。後壁22は、レーザビーム2の一部分を通過させて第1サブビーム23を形成する。第1サブビーム23は、レーザビーム2よりも出力が低いため、レーザビーム検出システム21を破損することはない。また、後壁22は、レーザビーム2の一部分を反射して、ビームダンプ18へと誘導される第2サブビーム24を形成する。後壁22は湾曲しているため、第2サブビーム24は拡大され、ビームダンプ18に当たるレーザ光の強度が低減される。このようにして、レーザビーム2のエネルギーの大部分をビームダンプ18に向けることができる。好ましくは、レーザビーム2のエネルギーの90%超、95%超、98%超、又は99%超がビームダンプ18に向けられる。そのため、レーザビーム2のエネルギーのうちのわずかな量だけがレーザビーム検出システム21にもたらされる。図示されるように、ビームダンプ18は、隆起部を含んでよく、これは不要な反射を低減又は除去するために含められる。隆起部33は、光学素子19と重ならない箇所では実線で示され、光学素子19と重なる箇所では破線で示されている。光学素子19は、溶融シリカ又は石英で形成され得る。これらの材料はいずれも、1ミクロン程度の波長を有するレーザ光に対して光学的に透明である。
【0083】
[00083]
図2cは、
図2a及び
図2bと同様の、本発明による装置の別の構成を示す。この例では、アパーチャは、囲い構造27を備えている。囲い構造27は、レーザビーム2の光の波長に対して透明である。図示の構成では、囲い構造27は、アパーチャ15に生じた破損によって生成される粒子又はデブリを保持する機能のみを果たしている。囲い構造27は、公称での使用時にレーザビーム2が通過する中央アパーチャを含んでいる。本明細書に記載されるいずれのアパーチャについても、粒子及びデブリを保持するように構成された囲い構造が設けられ得ることが理解されるであろう。
【0084】
[00084]
図3aは、光学素子19が、レーザビーム2の大部分をビームダンプ18へと通過させ、且つレーザビーム2のわずかな部分をレーザビーム検出システム21に向かって反射するように構成されている代替的な構成を示す。光学素子19は、部分的に反射性である後壁22を含んでおり、これにより、レーザビーム2は2つのサブビーム23、24に分割される。光学素子19は、任意選択で反射防止コーティングが設けられた前壁25を含む。
図2a~
図2cに示される構成と同様に、後壁22は湾曲していてもまっすぐであってもよい。アパーチャ15は、レーザビーム検出システム21へと誘導されたサブビームを封じ込めるように構成された遮蔽壁26を含んでもよい。
【0085】
[00085]
図3bは、本発明の一実施形態の断面斜視図を示す。ビームダンプ18は、不要な反射を低減又は除去するために隆起部を含んでいる。レーザビーム検出システム21は、環状体16の周囲に配置されている。
【0086】
[00086]
図4は、
図3と同様の、本発明に係る装置の別の構成を示す。この構成では、第1サブビーム23が内面反射によって光学素子19を介して伝播するように、後壁22が傾けられている。レーザビーム2のエネルギーの大部分は、光学素子19を通過してビームダンプ18を照明することとなる。反射されたレーザビーム2は、レーザビーム検出システム21に到達することとなる。
【0087】
[00087]
図2a~
図4の実施形態において、レーザビーム検出システム21は、1つ以上の光検出器を含んでよく、これはフォトダイオードであってよい。フォトダイオードは、入射するレーザ光を検出して信号を生成することができ、これは信号に変換することができる。代替的又は付加的に、レーザビーム検出システムは、レーザ光を1つ以上の光検出器に誘導するように構成された複数の光ファイバを含み得る。光検出器は1つ以上の電子回路に接続され得る。電子回路は、レーザビームのソースに停止信号を送信してソースを停止し、それ以上の破損を回避するように構成されている。
【0088】
[00088]
図5aに既存のアパーチャ15’を示す。このアパーチャ15’では、レーザビーム2の位置がずれると、アパーチャ15’が加熱されることになり、それによりアパーチャ15’が破損し、粒子及びデブリ31が生成される可能性がある。これらの粒子及びデブリは、リソグラフィ装置の他の部品の汚染につながる可能性もある。
図5bは、本発明の第2の態様に係る装置の一実施形態を示しており、この装置には囲い構造27が追加されている。囲い構造27は、レーザビーム2の光の波長に対して透明である。図示の構成では、囲い構造27は、アパーチャ15に生じた破損によって生成される粒子又はデブリを保持する機能のみを果たしている。囲い構造27は、公称での使用時にレーザビーム2が通過する中央アパーチャを含んでいる。本明細書に記載されるいずれのアパーチャについても、粒子及びデブリを保持するように構成された囲い構造が設けられ得ることが理解されるであろう。
図5bにおいて、レーザ検出システムは2つの熱スイッチ30を備えている。熱スイッチは、2つ以上の別々の電子回路上に設けられてもよい。こうすることで、回路のうちの一方が機能しなくなった場合でも、他方の回路によって温度の変動を検出することができる。電子回路は、レーザビームのソースに停止信号を送信してソースを停止し、それ以上の破損を回避するように構成される。
【0089】
[00089]
図6及び
図7は、アパーチャ15の破損によって生成された粒子又はデブリを保持するように構成された囲い構造27を含む、本発明の実施形態を示す。理解されるように、比較及び例示のため、公称位置にあるレーザビームと、位置ずれした位置にあるレーザビームとが合わせて記載されている。後壁34は、
図6に示すように直線状であっても、
図7に示すように湾曲していてもよい。後壁34は、サブビーム24を拡大することでビームダンプ18におけるサブビーム24の強度を低下させるように構成されてもよい。後壁34は、サブビーム24に角度を付けることで、サブビーム24が斜めの角度でビームダンプ18を照明し、それによりビームダンプ18におけるサブビーム24の強度を低下させるように構成されてもよい。図示の装置は、シール28を含み得る。シール28は、Oリングであってよく、ゴム製であってもよい。複数のシール28、28’が設けられていてもよい。囲い構造27は、シール28をレーザビーム2から保護するように構成された壁29を含んでもよい。壁29は、レーザビーム2の大部分をシール28から離れる方向に反射するように、少なくとも部分的に反射性であるか、又はレーザビーム2との入射角が小さくなるように傾けられてよい。環状体16には、温度変化に反応し、温度が所定のレベルを超えていることを検出するとレーザビーム2を遮断するように構成された熱スイッチ30が設けられていてもよい。
【0090】
[00090] 特定の実施形態では、アパーチャは複数の熱スイッチ30を備える。これらの熱スイッチ30は、異なる電子回路に接続され得る。熱スイッチ30の第1セットが第1電子回路に接続され、熱スイッチ30の第2セットが第2電子回路に接続されてもよい。熱スイッチ30は、第1アパーチャの周囲にリング状に配置されてもよい。これは、回路のうちの1つが動作していない状況に対してフェイルセーフを提供するものであり、そのためSIL-3基準に準拠することができるという利点を有する。2つ以上の電子回路で二重の障害が発生する可能性は非常に低い。このアパーチャには、1つの回路で誤作動が起きた場合でも、すぐにレーザをオフに切り換えるように構成されているという利点がある。熱スイッチの各セット内の熱スイッチ30の数は、2~10であってよい。電子回路は、レーザビームのソースに停止信号を送信してソースを停止し、それ以上の破損を回避するように構成される。
【0091】
[00091]
図8は、囲い構造27と本体16との間に光センサ32が配置されている点を除いて、
図6及び
図7と同様である。上述のように、囲い構造27は、レーザ光2と相互作用し、それにより光センサがレーザ光2の検出を介して位置ずれを検出することができるようにする光学素子19であってよい。囲い構造27は、光センサ32に供給されるレーザ光2の強度を低減して光センサ32の破損を回避するように構成されている。任意選択で熱スイッチ30が設けられてもよく、又は光センサ32の代わりに熱スイッチ30を省略することもできる。光学素子19と囲い構造27とは単一の部材として提供されてもよいことが理解されるであろう。その場合、光学素子の後壁22は、囲い構造の後壁22,34となる。このような構成では、光学素子/囲い構造は、本発明の第1の態様に従って、位置ずれしたレーザビームを少なくとも2つのサブビームに分割し、また、本発明の第2の態様に従って、汚染物質又はデブリを保持するように構成される。
【0092】
[00092]
図10は、2つの半透明の光学素子34が設けられた実施形態を示す。実施形態によっては、1つの半透明素子34のみが設けられてもよいことが理解されるであろう。また、前述の図面に示される光学素子が、実施形態によっては、少なくとも部分的に半透明であってもよいことが理解されるであろう。他の実施形態と同様に、半透明の光学素子34は、実質的に環状又はドーナツ形状であり、公称のレーザビームが妨げられることなく通過できる穴が中央に設けられている。位置ずれしたレーザビーム(当初平行な3本線として図示されている)は、第1の半透明の光学素子34を通過し、そこで発散する。位置ずれしたレーザビームは、その後第2の半透明の光学素子34を通過し、位置ずれしたレーザビームのさらなる発散が生じる。これにより、位置ずれしたレーザビームがアパーチャに当たった際、発散が生じない場合に比べてより広い範囲にレーザビームが広がる。半透明の光学素子は、中央に穴を備えた粗い表面仕上げの平坦なディスクの形状とすることができる点で有利となり得る。すなわち、半透明の光学素子は、精密な表面研磨が不要であるため、レーザビームを発散させるという同じ機能を果たすことを目的とした湾曲した光学素子よりも製造が容易である。
【0093】
[00093]
図11A及び11Bは、本開示に係る光学素子の1つの実施形態を示す。
図11Aは、使用時に、位置合わせされたレーザビームが通過する中央の穴を含む光学素子の断面を示している。
図11Bは、その光学素子の正面図であり、中央の開口部を示している。
【0094】
[00094] 本明細書では、リソグラフィ装置の関連での本発明の実施形態について具体的な言及がなされているが、本発明の実施形態は他の装置でも使用することができる。本発明の実施形態は、マスク検査装置、メトロロジ装置、あるいはウェーハ(又はその他の基板)やマスク(又はその他のパターニングデバイス)などの物体を測定又は処理する任意の装置の一部を成し得る。これらの装置は、一般にリソグラフィツールと呼ばれる場合がある。このようなリソグラフィツールは、真空条件又は周囲(非真空)条件を使用し得る。
【0095】
[00095] 本発明の実施形態は、状況が許す限り、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらのあらゆる組合せにおいて実施され得る。本発明の実施形態はまた、機械可読媒体に記憶され、1つ以上のプロセッサにより読み出され実行され得る命令として実施されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータデバイス)によって読み取りが可能な形態で情報を記憶又は送信するためのあらゆるメカニズムを含み得る。例えば、機械可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、又は電気、光、音、若しくはその他の形態の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)などを含み得る。また、本明細書において、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が何らかの動作を行うと説明されることがある。しかし、そのような説明は単に便宜上のものであり、かかる動作は実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、又はファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによるものであり、その際、アクチュエータ又は他のデバイスと物理世界との相互作用が引き起こされ得ることが理解されるべきである。
【0096】
[00096] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。
【0097】
[00097] 本発明の態様は、以下の番号付けされた条項に記載されている。
1.ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、
第1開口部を含み、第1軸を画定する本体と、
ビームダンプと、
第2開口部を含む光学素子であって、第1開口部及び第2開口部が第1軸と同軸であり、該光学素子が、位置ずれしたレーザビームを少なくとも2つのサブビームに分割するように構成されている、光学素子と、
レーザ光を検出するように構成されたレーザビーム検出システムであって、上記光学素子が、第1サブビームをビームダンプに誘導し、且つ第2サブビームをレーザビーム検出システムに誘導するように構成されている、レーザビーム検出システムと、を含むアパーチャ。
2.光学素子が、入射レーザビームの一部分を反射し、且つ入射レーザビームの別の一部分を透過させるように構成された部分反射面を含む、条項1に記載のアパーチャ。
3.光学素子が、第1サブビームを拡大するように構成され、任意選択により、光学素子が、第1サブビームを拡大するように構成された湾曲面を含む、条項1又は2に記載のアパーチャ。
4.レーザビーム検出システムが、レーザビームの位置ずれを検出するように構成され、且つ位置ずれが検出された場合に信号を送信するように構成されている、条項1~3のいずれかに記載のアパーチャ。
5.レーザビーム検出システムが1つ以上の光検出器を含み、任意選択によりフォトダイオードを含み、且つ/又はレーザ光を1つ以上の光検出器に誘導するように構成された複数の光ファイバを含む、条項1~4のいずれかに記載のアパーチャ。
6.光学素子が、第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるように構成されている、条項1~5のいずれかに記載のアパーチャ。
7.アパーチャが、第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるディフューザを含む、条項1~6のいずれかに記載のアパーチャ。
8.光学素子が、約1ミクロンの波長のレーザ光に対して透過性であるように構成されている、条項1~7のいずれかに記載のアパーチャ。
9.本体が、内部表面に位置する複数の隆起部を含み、それにより任意の反射レーザ光を吸収するように構成されている、条項1~8のいずれかに記載のアパーチャ。
10.光学素子が、位置ずれしたレーザビームの少なくとも一部分を内面反射するように構成されている、条項1~9のいずれかに記載のアパーチャ。
11.アパーチャが、所定の波長の光に対して光学的に透明な囲い構造を含む、請求項1~10のいずれかに記載のアパーチャ。
12.囲い構造が、光学素子、ビームダンプ、及びレーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲み、任意選択で、囲い構造が光学素子の少なくとも一部を形成してもよい、条項11に記載のアパーチャ。
13.囲い構造が溶融シリカ又は石英を含む、条項11又は条項12に記載のアパーチャ。
14.囲い構造が、環状であり、中央アパーチャを含んでいる、条項11~13のいずれかに記載のアパーチャ。
15.EUV源内におけるレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、該アパーチャは、第1開口部を含む本体であって、第1軸を画定する本体と、ビームダンプと、レーザビーム検出システムとを含み、該アパーチャは、本体、ビームダンプ、及びレーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲むように構成された囲い構造を更に含み、該囲い構造が、所定の波長の光に対して透明であるように構成されている、アパーチャ。
16.囲い構造が、約0.5~約1.5ミクロンの波長の光に対して光学的に透明な材料を含み、任意選択で溶融シリカ又は石英を含む、条項15に記載のアパーチャ。
17.囲い構造が、任意の位置ずれしたレーザ光を拡散させるように構成されている、条項15又は条項16に記載のアパーチャ。
18.囲い構造又は光学素子と、本体との間にシールが設けられている、条項15~17のいずれかに記載のアパーチャ。
19.囲い構造が、レーザ光をシールから離れる方向に誘導するように構成されているか、且つ/又は光学素子が、ビームダンプ及びレーザビーム検出システムを囲むように構成されている、条項18に記載のアパーチャ。
20.レーザビーム検出システムが、レーザビームを熱的に検出するように構成されている、条項15~19のいずれかに記載のアパーチャ。
21.レーザビームの位置ずれを検出する方法であって、位置ずれしたレーザビームを2つ以上のサブビームに分割することと、サブビームのうちの1つをレーザビーム検出システムに誘導することと、サブビームのうちの別の1つをビームダンプに誘導することとを含む、方法。
22.サブビームのうちの少なくとも1つを拡大することを含む、条項21に記載の方法。
23.サブビームのうちの少なくとも1つを傾けることで、該サブビームがビームダンプ又はレーザビーム検出器を斜めの角度で照明するようにすることを含む、条項21又は条項22に記載の方法。
24.位置ずれが検出された場合に信号を生成することを含む、条項21~23のいずれかに記載の方法。
25.上記信号が、レーザビームをオフにするか、又はレーザビームを再度位置合わせするための、コントローラに対する信号である、条項24に記載の方法。
26.条項1~14のいずれかに記載のアパーチャを含む放射源又はメトロロジツール。
27.条項1~14のいずれかに記載のアパーチャ、又は条項26に記載の放射源を含むリソグラフィ装置。
28.リソグラフィ装置又は方法における、条項1~27のいずれかに記載のアパーチャ、放射源、メトロロジツール、又は方法の使用。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、
第1開口部を含み、第1軸を画定する本体と、
ビームダンプと、
第2開口部を含む光学素子であって、前記第1開口部及び前記第2開口部が前記第1軸と同軸であり、前記光学素子が、位置ずれしたレーザビームを検出器に再誘導するか、又は位置ずれしたレーザビームを少なくとも2つのサブビームに分割するように構成されている、光学素子と、
レーザ光を検出するように構成されたレーザビーム検出システムであって、前記光学素子が、第1サブビームを前記ビームダンプに誘導し、且つ第2サブビームを前記レーザビーム検出システムに誘導するように構成されている、レーザビーム検出システムと、を含むアパーチャ。
【請求項2】
前記光学素子が、入射レーザビームの一部分を反射し、且つ前記入射レーザビームの別の一部分を透過させるように構成された部分反射面を含む、請求項1に記載のアパーチャ。
【請求項3】
前記光学素子が、前記第1サブビームを拡大するように構成され、任意選択により、前記光学素子が、前記第1サブビームを拡大するように構成された湾曲面を含む、請求項1又は2に記載のアパーチャ。
【請求項4】
前記レーザビーム検出システムが、前記レーザビームの位置ずれを検出するように構成され、且つ位置ずれが検出された場合に信号を送信するように構成されている、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項5】
前記レーザビーム検出システムが1つ以上の光検出器を含み、任意選択によりフォトダイオードを含み、且つ/又はレーザ光を1つ以上の光検出器に誘導するように構成された複数の光ファイバを含む、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項6】
前記光学素子が、前記第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるように構成されている、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項7】
前記アパーチャが、前記第2サブビームを少なくとも部分的に拡散させるディフューザを含む、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項8】
前記光学素子が、約1ミクロンの波長のレーザ光に対して透過性であるように構成されている、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項9】
前記アパーチャが、所定の波長の光に対して光学的に透明な囲い構造を含む、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項10】
前記囲い構造が、前記光学素子、前記ビームダンプ、及び前記レーザビーム検出システムのうちの少なくとも1つを囲み、任意選択で、前記囲い構造が前記光学素子の少なくとも一部を形成してもよい、請求項9に記載のアパーチャ。
【請求項11】
前記光学素子が、前記ビームダンプ及び前記レーザビーム検出システムを囲むように構成されている、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項12】
前記本体と前記光学素子との間にシールが設けられている、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項13】
前記光学素子が、前記シールから離れる方向にレーザ光を誘導するように構成されている、請求項12に記載のアパーチャ。
【請求項14】
前記アパーチャが、前記位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成された半透明の光学素子を更に含む、請求項1
又は2に記載のアパーチャ。
【請求項15】
前記半透明の光学素子が、第2開口部を含む前記光学素子であり、前記第1開口部及び前記第2開口部が前記第1軸と同軸である、請求項14に記載のアパーチャ。
【請求項16】
ターゲットに当たるとプラズマを生成するように構成されたレーザビームの位置ずれを検出するためのアパーチャであって、
第1開口部を含み、第1軸を画定する本体と、
ビームダンプと、
第2開口部を含む光学素子であって、前記第1開口部及び前記第2開口部が前記第1軸と同軸であり、前記光学素子が半透明であり、前記光学素子が前記位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成されている、光学素子と、を含むアパーチャ。
【請求項17】
前記光学素子が、前記位置ずれしたレーザビームを少なくとも5度(半円錐角)発散させるように構成されている、請求項16に記載のアパーチャ。
【請求項18】
前記光学素子が、前記位置ずれしたレーザビームを発散させるように構成された半透明の光学素子を複数含んでいる、請求項16又は
17に記載のアパーチャ。
【請求項19】
請求項1
又は16に記載のアパーチャを含む放射源又はメトロロジツール。
【請求項20】
請求項1
又は16に記載のアパーチャを含むリソグラフィ装置。
【国際調査報告】