IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

特表2024-543727複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法
<>
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図1
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図2A
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図2B
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図2C
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図2D
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図3A
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図3B
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図4
  • 特表-複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-22
(54)【発明の名称】複数のコイル間でダイレクトドライブ無線周波数信号生成器から電流をスプリットするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20241115BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534453
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-08-06
(86)【国際出願番号】 US2022052563
(87)【国際公開番号】W WO2023114143
(87)【国際公開日】2023-06-22
(31)【優先権主張番号】63/291,307
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タリー・マシュー・ローウェル
(72)【発明者】
【氏名】パターソン・アレクサンダー・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ユホウ
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ・リチャード・エイ.
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB06
2G084BB28
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD25
2G084DD34
2G084EE23
2G084EE25
2G084HH05
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH24
(57)【要約】
【解決手段】無線周波数(RF)電力供給システムが、第1のコイルと、第2のコイルと、を含む。RF電力供給システムは、第1の周波数のRF信号を第1のコイルと第2のコイルの両方に供給するように接続された第1のRF電源をも含む。RF電力供給システムは、第1のコイルと、第2のコイルと、の間での第1の周波数のRF信号の分割を制御するように接続された電流スプリッタ可変キャパシタをも含む。RF電力供給システムは、第2の周波数のRF信号を第2のコイルに供給するように接続された第2のRF電源をも含む。いくつかの実施形態では、第1のRF電源および第2のRF電源は、それぞれ第1のリアクタンス回路および第2のリアクタンス回路を通して、それぞれ第1の周波数のRF信号および第2の周波数のRF信号を駆動する、それぞれ第1のダイレクトドライブRF電源および第2のダイレクトドライブRF電源である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のコイルと、
第2のコイルと、
第1の周波数の無線周波数信号を前記第1のコイルと前記第2のコイルの両方に供給するように接続された第1の無線周波数電源と、
前記第1のコイルと、前記第2のコイルと、の間での前記第1の周波数の前記無線周波数信号の分割を制御するように接続された電流スプリッタ可変キャパシタと、
第2の周波数の無線周波数信号を前記第2のコイルに供給するように接続された第2の無線周波数電源と、
を備える、無線周波数電力供給システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線周波数電力供給システムであって、
第1のリアクタンス回路であって、前記第1の無線周波数電源が、前記第1の周波数の前記無線周波数信号を前記第1のリアクタンス回路を通して前記第1のコイルと前記第2のコイルの両方に供給するように接続された、第1のリアクタンス回路と、
第2のリアクタンス回路であって、前記第2の無線周波数電源が、前記第2の周波数の前記無線周波数信号を前記第2のリアクタンス回路を通して前記第2のコイルに供給するように接続された、第2のリアクタンス回路と、
をさらに備える、無線周波数電力供給システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記第1のリアクタンス回路が、第1の同調可変キャパシタと、前記第1の同調可変キャパシタと直列に接続されたインダクタと、を含み、前記第1の同調可変キャパシタの入力端子が、前記第1の無線周波数電源の出力に接続され、前記インダクタの出力端子が、前記第1のコイルと前記電流スプリッタ可変キャパシタの入力端子の両方に接続された、無線周波数電力供給システム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記第2のリアクタンス回路が、第2の同調可変キャパシタと、前記第2の同調可変キャパシタと並列に接続された並列キャパシタと、を含む、無線周波数電力供給システム。
【請求項5】
請求項2に記載の無線周波数電力供給システムであって、
前記第2のリアクタンス回路と、前記第2のコイルと、の間に接続された遮断フィルタであって、前記遮断フィルタは、前記第1の周波数の前記無線周波数信号が、前記第2の無線周波数電源に進むのを遮断するように構成された、遮断フィルタ
をさらに備える、無線周波数電力供給システム。
【請求項6】
請求項5に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記遮断フィルタが、インダクタと並列に接続されたキャパシタを含む、無線周波数電力供給システム。
【請求項7】
請求項5に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記遮断フィルタが、第1の遮断フィルタであり、前記無線周波数電力供給システムが、前記電流スプリッタ可変キャパシタと、前記第2のコイルと、の間に接続された第2の遮断フィルタを含み、前記第2の遮断フィルタは、前記第2の周波数の前記無線周波数信号が、前記第1の無線周波数電源に進むのを遮断するように構成された、無線周波数電力供給システム。
【請求項8】
請求項1に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記第1の無線周波数電源が、第1のダイレクトドライブ無線周波数電源であり、前記第2の無線周波数電源が、第2のダイレクトドライブ無線周波数電源である、無線周波数電力供給システム。
【請求項9】
請求項1に記載の無線周波数電力供給システムであって、
システムコントローラから受け取られた電気制御信号に従って前記電流スプリッタ可変キャパシタのキャパシタンス設定を制御するように接続された制御構成要素
をさらに備える、無線周波数電力供給システム。
【請求項10】
請求項9に記載の無線周波数電力供給システムであって、
前記第1の無線周波数電源から前記第1のコイルに送出された無線周波数電力の第1の量を測定するように接続された第1のセンサーと、
第1の無線周波数電源から前記第2のコイルに送出された無線周波数電力の第2の量を測定するように接続された第2のセンサーと、
をさらに備える、無線周波数電力供給システム。
【請求項11】
請求項10に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記システムコントローラが、前記制御構成要素への伝送のために前記電気制御信号を生成するためのフィードバック信号として無線周波数電力の前記第1の量および無線周波数電力の前記第2の量のうちの少なくとも1つを使用するように構成された、無線周波数電力供給システム。
【請求項12】
出力端子を有する第1の無線周波数電源と、
入力端子と、出力端子と、を有する第1のリアクタンス回路であって、前記第1のリアクタンス回路の前記入力端子が、前記第1の無線周波数電源の前記出力端子に接続された、第1のリアクタンス回路と、
前記第1のリアクタンス回路の前記出力端子に接続された第1のコイルと、
入力端子と、出力端子と、を有する電流スプリッタ可変キャパシタであって、前記電流スプリッタ可変キャパシタの前記入力端子が、前記第1のリアクタンス回路の前記出力端子に接続された、電流スプリッタ可変キャパシタと、
前記電流スプリッタ可変キャパシタの前記出力端子に接続された第2のコイルと、
出力端子を有する第2の無線周波数電源と、
入力端子と、出力端子と、を有する第2のリアクタンス回路であって、前記第2のリアクタンス回路の前記入力端子が、前記第2の無線周波数電源の前記出力端子に接続された、第2のリアクタンス回路と、
入力端子と、出力端子と、を有する遮断フィルタであって、前記遮断フィルタの前記入力端子が、前記第2のリアクタンス回路の前記出力端子に接続され、前記遮断フィルタの前記出力端子が、前記第2のコイルに接続された、遮断フィルタと、
を備える、無線周波数電力供給システム。
【請求項13】
請求項9に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記遮断フィルタが、入力端子と、出力端子と、を有するキャパシタを含み、前記キャパシタの前記入力端子が、前記遮断フィルタの前記入力端子に接続され、前記キャパシタの前記出力端子が、前記遮断フィルタの前記出力端子に接続され、前記遮断フィルタが、入力端子と、出力端子と、を有するインダクタを含み、前記インダクタの前記入力端子が、前記遮断フィルタの前記入力端子に接続され、前記インダクタの前記出力端子が、前記遮断フィルタの前記出力端子に接続された、無線周波数電力供給システム。
【請求項14】
請求項9に記載の無線周波数電力供給システムであって、前記第1のリアクタンス回路が、入力端子と、出力端子と、を有する第1の同調可変キャパシタを含み、前記第1の同調可変キャパシタの前記入力端子が、前記第1のリアクタンス回路の前記入力端子に接続され、前記第1のリアクタンス回路が、入力端子と、出力端子と、を有するインダクタを含み、前記インダクタの前記入力端子が、前記第1の同調可変キャパシタの前記出力端子に接続され、前記インダクタの前記出力端子が、前記第1のリアクタンス回路の前記出力端子に接続され、
前記第2のリアクタンス回路が、入力端子と、出力端子と、を有する第2の同調可変キャパシタを含み、前記第2の同調可変キャパシタの前記入力端子が、前記第2のリアクタンス回路の前記入力端子に接続され、前記第2の同調可変キャパシタの前記出力端子が、前記第2のリアクタンス回路の前記出力端子に接続され、前記第2のリアクタンス回路が、入力端子と、出力端子と、を有する並列キャパシタを含み、前記並列キャパシタの前記入力端子が、前記第2のリアクタンス回路の前記入力端子に接続され、前記並列キャパシタの前記出力端子が、前記第2のリアクタンス回路の前記出力端子に接続された、無線周波数電力供給システム。
【請求項15】
無線周波数電力をプラズマ処理システムに供給するための方法であって、
第1の周波数の無線周波数信号を生成することと、
前記第1の周波数の前記無線周波数信号の第1の部分を第1のコイルに供給することと、
前記第1の周波数の前記無線周波数信号の第2の部分を第2のコイルに供給することと、
第2の周波数の無線周波数信号を生成することと、
前記第2の周波数の前記無線周波数信号を前記第2のコイルに供給することと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第1の部分の量と、前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第2の部分の量と、を制御するために電流スプリッタ可変キャパシタを使用すること
をさらに含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記第2のコイルによって駆動されるプラズマの点火をサポートするために前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第2の部分の前記量を増加させるように前記電流スプリッタ可変キャパシタのキャパシタンス設定を制御することと、
前記プラズマの点火の後に、前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第2の部分の前記量を減少させるように前記電流スプリッタ可変キャパシタの前記キャパシタンス設定を制御することと、
をさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法であって、
前記第2のコイルによって駆動されるプラズマの安定性をサポートするために前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第2の部分の前記量を制御するように前記電流スプリッタ可変キャパシタのキャパシタンス設定を制御すること
をさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第2の部分によって前記第2のコイルに送出された無線周波数電力の量を測定することと、
無線周波数電力のターゲット量が、前記第1の周波数の前記無線周波数信号の前記第2の部分によって前記第2のコイルに送出されるように、無線周波数電力の前記測定された量を、前記電流スプリッタ可変キャパシタのキャパシタンス設定を制御するためのフィードバック信号として使用することと、
をさらに含む、方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法であって、
前記第1の周波数の前記無線周波数信号が、前記第2の周波数の前記無線周波数信号の源に進むのを防ぐために、遮断フィルタを使用すること
をさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プラズマ処理システムは、半導体デバイス、たとえば、半導体ウエハ上のチップ/ダイを製造するために使用される。プラズマ処理システムでは、半導体ウエハは、材料堆積および/または材料除去および/または材料注入および/または材料変更などによるものなど、半導体ウエハの状態の規定の変化を引き起こすために、様々なタイプのプラズマに曝される。半導体ウエハのプラズマ処理中に、無線周波数(RF)電力が、チャンバ内のプロセスガスを通して伝送されて、プロセスガスを、半導体ウエハに曝されるプラズマに変換する。ラジカルおよびイオンなど、プラズマの反応性成分は、半導体ウエハ上の材料と相互作用して、半導体ウエハ上での規定の効果を達成する。いくつかのプラズマ処理システムでは、生成されたRF電力が、プラズマ処理チャンバの外側に位置するコイルを介してプロセスガスに伝送される。本開示で説明される実施形態が行われるのは、この文脈においてである。
【発明の概要】
【0002】
例示的な一実施形態では、RF電力供給システムが開示される。RF電力供給システムは、第1のコイルと、第2のコイルと、を含む。RF電力供給システムは、第1の周波数のRF信号を第1のコイルと第2のコイルの両方に供給するように接続された第1のRF電源をも含む。RF電力供給システムは、第1のコイルと、第2のコイルと、の間での第1の周波数のRF信号の分割を制御するように接続された電流スプリッタ可変キャパシタをも含む。RF電力供給システムは、第2の周波数のRF信号を第2のコイルに供給するように接続された第2のRF電源をも含む。
【0003】
例示的な一実施形態では、RF電力供給システムが開示される。RF電力供給システムは、出力端子を有する第1のRF電源を含む。RF電力供給システムは、入力端子と、出力端子と、を有する第1のリアクタンス回路をも含む。第1のリアクタンス回路の入力端子は、第1のRF電源の出力端子に接続される。RF電力供給システムは、第1のリアクタンス回路の出力端子に接続された第1のコイルをも含む。RF電力供給システムは、入力端子と、出力端子と、を有する電流スプリッタ可変キャパシタをも含む。電流スプリッタ可変キャパシタの入力端子は、第1のリアクタンス回路の出力端子に接続される。RF電力供給システムは、電流スプリッタ可変キャパシタの出力端子に接続された第2のコイルをも含む。RF電力供給システムは、出力端子を有する第2のRF電源をも含む。RF電力供給システムは、入力端子と、出力端子と、を有する第2のリアクタンス回路をも含む。第2のリアクタンス回路の入力端子は、第2のRF電源の出力端子に接続される。RF電力供給システムは、入力端子と、出力端子と、を有する遮断フィルタをも含む。遮断フィルタの入力端子は、第2のリアクタンス回路の出力端子に接続される。遮断フィルタの出力端子は、第2のコイルに接続される。
【0004】
例示的な一実施形態では、RF電力をプラズマ処理システムに供給するための方法が開示される。本方法は、第1の周波数のRF信号を生成することを含む。本方法は、第1の周波数のRF信号の第1の部分を第1のコイルに供給することをも含む。本方法は、第1の周波数のRF信号の第2の部分を第2のコイルに供給することをも含む。本方法は、第2の周波数のRF信号を生成することをも含む。本方法は、第2の周波数のRF信号を第2のコイルに供給することをも含む。
【0005】
実施形態の他の態様および利点は、以下の発明を実施するための形態および添付の図面からより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】いくつかの実施形態による、RF電力供給システムを示す図である。
【0007】
図2A】いくつかの実施形態による、ダイレクトドライブRF信号生成器の概略図である。
【0008】
図2B】いくつかの実施形態による、時間の関数としての、第1の/第2のRF電源の出力端子において生成された例示的な整形増幅された矩形波形のパラメータのプロットを示す図である。
【0009】
図2C】いくつかの実施形態による、時間の関数としての、第1の/第2のリアクタンス回路の出力端子において生成された例示的な整形正弦波形のパラメータのプロットを示す図である。
【0010】
図2D】いくつかの実施形態による、図2Bの整形増幅された矩形波形に対応する整形正弦波形のプロットを示す図である。
【0011】
図3A】いくつかの実施形態による、図1のRF電力供給システムを利用する例示的なプラズマ処理システムを示す図である。
【0012】
図3B】いくつかの実施形態による、図3Aのプラズマ処理システム中の第1のコイルおよび第2のコイルの平面図である。
【0013】
図4】いくつかの実施形態による、RF電力をプラズマ処理システムに供給するための方法のフローチャートである。
【0014】
図5】いくつかの実施形態による、システムコントローラの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細の一部または全部なしに本開示の実施形態が実践され得ることは、当業者に明らかであろう。他の事例では、よく知られているプロセス動作は、本開示を不必要に不明瞭にしないために、詳細に説明されていない。
【0016】
基板、たとえば、半導体ウエハの処理のためにプラズマを駆動するために使用されるRF電力供給システムの複数のコイル間で第1の周波数のRF電流をスプリットすることを、その複数のコイルのうちのいくつかへの第2の周波数のRF電流の伝送と組み合わせて行うためのシステムおよび方法であって、それにより、その複数のコイルのうちの少なくとも1つが、第1の周波数のRF電流の部分と第2の周波数のRF電流の両方を受け取る、システムおよび方法が本明細書で開示される。これらのシステムおよび方法は、多くのプラズマ処理状況において有用であり、所与のコイルへの第2の周波数のRF電流の供給のみでは、規定の特性を有するプラズマを点火する(ignite)/点弧する(strike)および維持するのに十分でない状況において、特に有用である。そのような状況では、所与のコイルに伝送される第1の周波数のRF電流の部分は、第2の周波数のRF電流と組み合わせて、規定の特性を有するプラズマを点火すること/点弧することおよび維持することをサポートするように働く。上述の状況は、本明細書で開示するシステムおよび方法で可能である多くの使用および利点の一例にすぎない。
【0017】
図1は、いくつかの実施形態による、RF電力供給システム100を示す。RF電力供給システム100は、第1のコイル113と、第2のコイル115と、を含む。いくつかの実施形態では、第1のコイル113は内側コイルであり、第2のコイル115は外側コイルである。これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1のコイル113(内側コイル)および第2のコイル115(外側コイル)の各々は、平面タイプらせん形コイルであり、第2のコイル115は、第1のコイル113を囲む。第1のコイル113は、入力端子113iと、出力端子113oと、を有する。第1のコイル113の入力端子113iは、第1のRF電源101から第1の周波数のRF信号を受け取るように接続される。第1のコイル113の出力端子113oは、基準接地電位119に接続される。第2のコイル115は、入力端子115iと、出力端子115oと、を有する。第2のコイル115の入力端子115iは、第2のRF電源103から第2の周波数のRF信号を受け取るように接続される。第2のRF電源103は、第2の周波数のRF信号を第2のコイル115に供給するように接続される。さらに、第2のコイル115の入力端子115iは、第1のRF電源101と、第2のコイル115と、の間に接続された電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定に従って、第1のRF電源101から第1の周波数のRF信号を受け取るようにも接続される。電流スプリッタ可変キャパシタ109は、第1のコイル113と並列に接続される。このようにして、第1のRF電源101は、第1の周波数のRF信号を第1のコイル113と第2のコイル115の両方に供給するように接続され、電流スプリッタ可変キャパシタ109は、第1のコイル113と、第2のコイル115と、の間での第1の周波数のRF信号の分割を制御するように接続される。また、第2のコイル115の出力端子115oは、基準接地電位119に接続される。
【0018】
いくつかの実施形態では、RF電力供給システム100は、第1のRF電源101の出力端子101oに接続された入力端子105iを有する第1のリアクタンス回路105を含む。このようにして、第1のRF電源101は、第1の周波数のRF信号を第1のリアクタンス回路105を通して第1のコイル113と第2のコイル115の両方に供給するように接続される。また、いくつかの実施形態では、RF電力供給システム100は、第2のRF電源103の出力端子103oに接続された入力端子107iを有する第2のリアクタンス回路107を含む。このようにして、第2のRF電源103は、第2の周波数のRF信号を第2のリアクタンス回路107を通して第2のコイル115に供給するように接続される。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のRF電源101および第2のRF電源103の各々は、それぞれのダイレクトドライブRF信号生成器である。図2Aは、いくつかの実施形態による、ダイレクトドライブRF信号生成器200概略図を示す。ダイレクトドライブRF信号生成器200は、入力セクション201と、出力セクション203と、を含む。入力セクション201は、出力セクション203に電気的に結合される。第1のRF電源101について、出力セクション203は、矢印205によって示されるように、出力端子101oに電気的に接続される。このようにして、第1のRF電源101について、出力セクション203は、矢印205によって示されるように、第1のリアクタンス回路105に電気的に接続される。同様に、第2のRF電源103について、出力セクション203は、矢印205によって示されるように、第2のリアクタンス回路107に電気的に接続される。入力セクション201は、電気信号生成器207と、ゲートドライバ209の入力部分209Aと、を含む。出力セクション203は、ゲートドライバ209の出力部分209Bと、ハーフブリッジトランジスタ回路211と、を含む。入力セクション201は、複数の矩形波信号を生成し、それらの矩形波信号を出力セクション203に提供する。出力セクション203は、入力セクション201から受け取られた複数の矩形波信号から、増幅された矩形整形波形を生成する。出力セクション203はまた、増幅された矩形整形波形のピークツーピーク大きさなど、振幅包絡線を整形する。たとえば、整形制御信号が、振幅包絡線を生成するために、入力セクション201から出力セクション203に供給される。整形制御信号は、振幅包絡線内の整形増幅された矩形波形を生成するために、増幅された矩形整形波形を整形するための複数の電圧値を有する。第1のRF電源101について、整形増幅された矩形波形は、出力セクション203から第1のリアクタンス回路105に伝送される。第2のRF電源103について、整形増幅された矩形波形は、出力セクション203から第2のリアクタンス回路107に伝送される。
【0020】
第1のリアクタンス回路105および第2のリアクタンス回路107の各々は、基本周波数を有する整形正弦波形を生成するために、整形増幅された矩形波形の高次高調波を、フィルタで除去するなど、除去する。整形正弦波形は、整形増幅された矩形波形と同じ振幅包絡線を有する。第1のRF電源101について、RF電力が、基本周波数および振幅包絡線を有する整形正弦波形の形態で、第1のリアクタンス回路105の出力端子105oを通して伝送される。同様に、第2のRF電源103について、RF電力が、基本周波数および振幅包絡線を有する整形正弦波形の形態で、第2のリアクタンス回路107の出力端子107oを通して伝送される。
【0021】
図2Bは、いくつかの実施形態による、時間の関数としての、第1の/第2のRF電源101/103の出力端子101o/103oにおいて生成された例示的な整形増幅された矩形波形213のパラメータのプロットを示す。整形増幅された矩形波形213のパラメータは、電力、電圧、または電流のいずれかである。図2Bは、整形増幅された矩形波形213の(太い破線によって表される)振幅包絡線215をも示し、振幅包絡線215は、ダイレクトドライブRF信号生成器200の出力セクション203に伝送される整形制御信号によって示される電圧値に従って生成される。図2Bの例では、振幅包絡線215は、整形増幅された矩形波形213のパラメータの絶対値が、第1のレベルL1(下位レベル)と、第2のレベルL2(上位レベル)と、の間で遷移するように制御される。しかしながら、様々なプロセスでは、振幅包絡線215は、出力セクション203に伝送される整形制御信号に従う時間の関数として、出力セクション203中の電力レールに供給される電圧を制御することによって、本質的に任意の所望の形状を有するように制御され得ることを理解されたい。たとえば、様々なプロセスでは、整形制御信号は、振幅包絡線215に、連続波形状、三角形状、マルチレベルパルス形状、または本質的に任意の他の規定の制御された形状を有するように指示するために生成され得る。
【0022】
図2Cは、いくつかの実施形態による、時間の関数としての、第1の/第2のリアクタンス回路105/107の出力端子105o/107oにおいて生成された例示的な整形正弦波形217のパラメータのプロットを示す。整形正弦波形217のパラメータは、電力、電圧、または電流のいずれかである。整形正弦波形217は、時間の関数としての、第1の/第2のリアクタンス回路105/107の入力端子105i/107iに伝送される整形増幅された矩形波形213に基づく。整形正弦波形217は、振幅包絡線215をも有する。整形増幅された矩形波形213は、基本周波数正弦波形213Aと複数の高次高調波周波数正弦波形213B、213Cなどとの合成である。たとえば、正弦波形213Bは、基本周波数正弦波形213Aの2次高調波周波数を表す。また、正弦波形213Cは、基本周波数正弦波形213Aの3次高調波周波数を表す。第1の/第2のリアクタンス回路105/107は、基本周波数正弦波形213Aだけが、時間の関数としての、第1の/第2のリアクタンス回路105/107の出力端子105o/107oにおける整形正弦波形217として提供されるように、整形増幅された矩形波形213から高次高調波周波数正弦波形213B、213Cなどを除去するように機能する。
【0023】
図2Dは、いくつかの実施形態による、図2Bの整形増幅された矩形波形213に対応する整形正弦波形217のプロットを示す。第1のRF電源101について、リアクタンス回路105の出力端子105oにおける整形正弦波形217は、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定に従って、第1のコイル113に、および第2のコイル115に伝送される。第2のRF電源103について、リアクタンス回路107の出力端子107oにおける整形正弦波形217は、第2のコイル115に伝送される。
【0024】
再び図1を参照すると、いくつかの実施形態では、第1のリアクタンス回路105は、第1のRF電源101の出力端子101oに接続された入力端子105iを含む。第1のリアクタンス回路105は、第1のリアクタンス回路105の入力端子105iに、および次には第1のRF電源101の出力端子101oに接続された、入力端子121iを有する第1の同調可変キャパシタ121を含む。第1のリアクタンス回路105は、第1の同調可変キャパシタ121と直列に接続されたインダクタ123をも含む。詳細には、インダクタ123の入力端子123iは、第1の同調可変キャパシタ121の出力端子121oに接続される。インダクタ123の出力端子123oは、第1のリアクタンス回路105の出力端子105oに接続される。第1のリアクタンス回路105の出力端子105oは、第1のコイル113の入力端子113iと電流スプリッタ可変キャパシタ109の入力端子109iの両方に接続される。このようにして、インダクタ123の出力端子123oは、第1のコイル113と電流スプリッタ可変キャパシタ109の入力端子109iの両方に接続される。
【0025】
いくつかの実施形態では、制御構成要素125が、第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定の制御を提供するために接続される。いくつかの実施形態では、制御構成要素は、機械的シャフトの手動旋回のためにアクセス可能であるロケーションまで延びる機械的シャフトであり、機械的シャフトの手動旋回は、第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定の変更を提供する。いくつかの実施形態では、制御構成要素125は、モーター、たとえば、ステッパーモーターを含み、モーターと、第1の同調可変キャパシタ121と、の間に延びる機械的リンケージを含む。いくつかの実施形態では、機械的リンケージは、たとえば、互いに対する、第1の同調可変キャパシタ121の離間された導電性部材(たとえば、プレート)の移動を引き起こすことによってなど、モーターのシャフトの回転移動を第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定の調整に変換する。いくつかの実施形態では、制御構成要素125は、制御構成要素125への電気信号の伝送を通して第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定の遠隔制御を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、制御構成要素125の動作が、第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定が、システムコントローラ311によって遠隔でおよび/またはプログラム的に設定され得るように、システムコントローラ311(図3A参照)から伝送される電気信号によって指示される。いくつかの実施形態では、第1のリアクタンス回路105のリアクタンスが、Qファクタ(quality factor)制御信号を制御構成要素125に伝送することによって修正され、Qファクタ制御信号は、第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定の変更の実装を指示することによってなど、第1のリアクタンス回路105のリアクタンスの特定の変更の実装を指示する。
【0026】
いくつかの実施形態では、電流スプリッタ可変キャパシタ109は、第2のコイル115の入力端子115iに接続された出力端子109oを有する。いくつかの実施形態では、制御構成要素133が、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定の制御を提供するために接続される。いくつかの実施形態では、制御構成要素133は、モーター、たとえば、ステッパーモーターを含み、モーターと、電流スプリッタ可変キャパシタ109と、の間に延びる機械的リンケージを含む。いくつかの実施形態では、機械的リンケージは、たとえば、互いに対する、電流スプリッタ可変キャパシタ109の離間された導電性部材(たとえば、プレート)の移動を引き起こすことによってなど、モーターのシャフトの回転移動を電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定の調整に変換する。いくつかの実施形態では、制御構成要素133は、制御構成要素133への電気信号の伝送を通して電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定の遠隔制御を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、制御構成要素133の動作が、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定が、システムコントローラ311によって遠隔でおよび/またはプログラム的に設定され得るように、システムコントローラ311(図3A参照)から伝送される電気信号によって指示される。
【0027】
電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定は、第2のコイル115のインピーダンスに影響を及ぼす。電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定を調整することによって、第1のコイル113と、第2のコイル115と、の間のインピーダンスが変更される。電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定が、第2のコイル115のインピーダンスの増加を引き起こすとき、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号のうちのより多くのRF信号が、第1のコイル113に伝送されることになり、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号のうちのより少ないRF信号が、第2のコイル115に伝送されることになる。逆に、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定が、第2のコイル115のインピーダンスの減少を引き起こすとき、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号のうちのより多くのRF信号が、第2のコイル115に伝送されることになり、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号のうちのより少ないRF信号が、第1のコイル113に伝送されることになる。このようにして、電流スプリッタ可変キャパシタ109は、第1のコイル113と、第2のコイル115と、の間での第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号の分割(スプリッティング)を制御する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2のリアクタンス回路107は、第2のRF電源103の出力端子103oに接続された入力端子107iを含む。第2のリアクタンス回路107は、第2のリアクタンス回路107の入力端子107iに、および次には第2のRF電源103の出力端子103oに接続された、入力端子127iを有する第2の同調可変キャパシタ127を含む。第2の同調可変キャパシタ127は、第2のリアクタンス回路107の出力端子107oに接続された出力端子127oを有する。第2のリアクタンス回路107は、第2の同調可変キャパシタ127と並列に接続されたキャパシタ131をも含む。詳細には、キャパシタ131の入力端子131iは、第2のリアクタンス回路107の入力端子107iに、および次には第2のRF電源103の出力端子103oに接続される。キャパシタ131は、第2のリアクタンス回路107の出力端子107oに接続された出力端子131oを有する。キャパシタ131は、本明細書では、並列キャパシタとも呼ばれる。第2のリアクタンス回路107の出力端子107oは、第2のRF電源103によって生成された第2の周波数のRF信号を第2のコイル115の入力端子115iに伝達するように接続される。
【0029】
いくつかの実施形態では、制御構成要素129が、第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定の制御を提供するために接続される。いくつかの実施形態では、制御構成要素129は、機械的シャフトの手動旋回のためにアクセス可能であるロケーションまで延びる機械的シャフトであり、機械的シャフトの手動旋回は、第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定の変更を提供する。いくつかの実施形態では、制御構成要素129は、モーター、たとえば、ステッパーモーターを含み、モーターと、第2の同調可変キャパシタ127と、の間に延びる機械的リンケージを含む。いくつかの実施形態では、機械的リンケージは、たとえば、互いに対する、第2の同調可変キャパシタ127の離間された導電性部材(たとえば、プレート)の移動を引き起こすことによってなど、モーターのシャフトの回転移動を第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定の調整に変換する。いくつかの実施形態では、制御構成要素129は、制御構成要素129への電気信号の伝送を通して第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定の遠隔制御を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、制御構成要素129の動作が、第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定が、システムコントローラ311によって遠隔でおよび/またはプログラム的に設定され得るように、システムコントローラ311(図3A参照)から伝送される電気信号によって指示される。いくつかの実施形態では、第2のリアクタンス回路107のリアクタンスが、Qファクタ制御信号を制御構成要素129に伝送することによって修正され、Qファクタ制御信号は、第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定の変更の実装を指示することによってなど、第2のリアクタンス回路107のリアクタンスの特定の変更の実装を指示する。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2のRF電源103によって生成された第2の周波数のRF信号は、途中の遮断フィルタ111を通して第2のコイル115の入力端子115iに伝達される。遮断フィルタ111は、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号が、第2のRF電源103に進むのを防ぐように構成される。このようにして、遮断フィルタ111は、電流スプリッタ可変キャパシタ109の出力端子109oを通して第2のコイル115に進む、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号の部分の伝達をサポートする。遮断フィルタ111は、入力端子111iと、出力端子111oとを含み、入力端子111iは、第2のリアクタンス回路107の出力端子107oに接続され、出力端子111oは、第2のコイル115の入力端子115iに接続される。いくつかの実施形態では、遮断フィルタ111は、遮断フィルタ111の入力端子111iと、出力端子111oと、の間に互いと並列に接続された、キャパシタ135と、インダクタ137と、を含む。詳細には、キャパシタ135は、遮断フィルタ111の入力端子111iに接続された入力端子135iと、遮断フィルタ111の出力端子111oに接続された出力端子135oと、を有する。また、インダクタ137は、遮断フィルタ111の入力端子111iに接続された入力端子137iと、遮断フィルタ111の出力端子111oに接続された出力端子137oと、を有する。様々な実施形態では、遮断フィルタ111は、遮断フィルタ111が、第1のRF電源101から第2のRF電源103への第1の周波数のRF信号の伝送を遮断する間、第2のRF電源103から第2のコイル115への第2の周波数のRF信号の伝送を提供する限り、図1の例に示されているものとは別様に構成され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、オプションとして、遮断フィルタ117が、電流スプリッタ可変キャパシタ109と、第2のコイル115と、の間に接続される。詳細には、遮断フィルタの入力端子117iが、電流スプリッタ可変キャパシタ109の出力端子109oに接続され、遮断フィルタ117の出力端子117oが、第2のコイル115の入力端子115iに接続される。いくつかの実施形態では、遮断フィルタ117は、キャパシタ135およびインダクタ137と同様に、互いと並列に接続されたキャパシタおよびインダクタを含むように、遮断フィルタ111のように構成される。いくつかの実施形態では、電流スプリッタ可変キャパシタ109を通して伝達された第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号の部分は、次には、途中の遮断フィルタ117を通して第2のコイル115の入力端子115iに伝達される。遮断フィルタ117は、第2のRF電源103によって生成された第2の周波数のRF信号が、第1のRF電源101に進むのを防ぐように構成される。このようにして、遮断フィルタ117は、第2のRF電源103によって生成された第2の周波数のRF信号の、第2のコイル115への伝達をサポートする。様々な実施形態では、遮断フィルタ117は、遮断フィルタ117が、第2のRF電源103から第1のRF電源101への第2の周波数のRF信号の伝送を遮断する間、第1のRF電源101から第2のコイル115への第1の周波数のRF信号の伝送を提供する限り、様々なやり方で構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、RF電力供給システム100は、第1のコイル113に送出されたRF電力の量および/または第2のコイル115に送出されたRF電力の量を測定するための1つまたは複数のセンサーを含む。たとえば、いくつかの実施形態では、V/I(電圧/電流)センサー139が、第1のRF電源101から第1のコイル113に送出された量RF電力の測定値を提供するために接続される。いくつかの実施形態では、V/Iセンサー139は、第1のリアクタンス回路105の出力端子105oと、第1のコイル113の入力端子113iと、の間に接続される。いくつかの実施形態では、別のV/Iセンサー141が、第1のRF電源101から第2のコイル115に送出された量RF電力の測定値を提供するために接続される。いくつかの実施形態では、V/Iセンサー141は、電流スプリッタ可変キャパシタ109の出力端子109oと、第2のコイル115の入力端子115iと、の間に接続される。また、いくつかの実施形態では、V/Iセンサー141は、遮断フィルタ117の出力端子117oと、第2のコイル115の入力端子115iと、の間に接続される。いくつかの実施形態では、別のV/Iセンサー143が、第2のRF電源103から第2のコイル115に送出された量RF電力の測定値を提供するために接続される。いくつかの実施形態では、V/Iセンサー143は、遮断フィルタ111の出力端子111oと、第2のコイル115の入力端子115iと、の間に接続される。また、いくつかの実施形態では、V/Iセンサー141は、第2のリアクタンス回路107の出力端子107oと、第2のコイル115の入力端子115iと、の間に接続される。
【0033】
いくつかの実施形態では、V/Iセンサー139は、第1のRF電源101から第1のコイル113へのRF信号送出経路中の電気導体上に存在する電圧および電流を測定するように接続される。また、いくつかの実施形態では、V/Iセンサー141は、第1のRF電源101から第2のコイル115へのRF信号送出経路中の電気導体上に存在する電圧および電流を測定するように接続される。また、いくつかの実施形態では、V/Iセンサー143は、第2のRF電源103から第2のコイル115へのRF信号送出経路中の電気導体上に存在する電圧および電流を測定するように接続される。いくつかの実施形態では、V/Iセンサー139、141、および143の各々が、所与の時間における、2乗平均(RMS)電圧(Vrms)、RMS電流(irms)、および測定されたRMS電圧(Vrms)と、測定されたRMS電流(irms)と、の間の位相角(φ)を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、V/Iセンサー139、141、および143の各々はまた、所与の時間における、対応する電気導体を通して伝送されるRF電力(P)を、所与の時間における、測定されたRMS電圧(Vrms)、測定されたRMS電流(irms)、および測定されたRMS電圧(Vrms)と、測定されたRMS電流(irms)と、の間の位相角(φ)を使用することによって、P=(Vrms)(irms)cos(φ)のように決定するように構成される。様々な実施形態では、V/Iセンサー139、141、および143の各々は、本質的に任意の利用可能な電気測定または測定算出技法を使用して、所与の時間における、対応する電気導体を通して伝送されるリアルタイムRF電力を決定するように構成され得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、所与の時間における、V/Iセンサー139、141、143によって決定されたRF電力(P)を示す信号が、電気信号接続を通してシステムコントローラ311(図3A参照)に伝達される。また、いくつかの実施形態では、所与の時間における、測定されたRMS電圧(Vrms)、測定されたRMS電流(irms)、および測定されたRMS電圧(Vrms)と、測定されたRMS電流(irms)と、の間の位相角(φ)を示す信号が、電気信号接続を通してV/Iセンサー130、141、143からシステムコントローラ311に伝達される。
【0034】
いくつかの実施形態では、V/Iセンサー139、141、143は、第1のコイル113および第2のコイル115の各々に伝送されているRF電力の量を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、V/Iセンサー139、141、143から取得された情報は、第1のコイル113と、第2のコイル115と、の間のターゲットRF電流比を達成するために、システムコントローラ311が、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定をどのように調整すべきかを決定することを可能にする。いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、第1の周波数のRF信号に対応するRF電力のターゲット量が、第1のRF電源101から第2のコイル115に伝送されるように、制御構成要素133を介して、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定を制御するためのフィードバック信号として、V/Iセンサー139、141、143によって提供された(1つまたは複数の)RF電力測定値のうちの1つまたは複数を使用するように構成される。たとえば、いくつかの実施形態では、プラズマ処理レシピが、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定のための初期設定点と、第1のコイル113および第2のコイル115の各々のためのターゲットRFパラメータ(電圧、電流、および/または電力)と、を指定する。次いで、ウエハ上でのプラズマ処理レシピの実施中に、V/Iセンサー139、141、および143によって提供された測定値は、第1のコイル113および第2のコイル115の各々のためのターゲットRFパラメータ(電圧、電流、および/または電力)を達成および維持するために電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定を制御するためのフィードバック信号として、システムコントローラ311によって使用される。このようにして、閉ループフィードバック制御プロセスが、システムコントローラ311と、制御構成要素133と、電流スプリッタ可変キャパシタ109と、V/Iセンサー139、141、および/または143のうちの1つまたは複数と、を使用して実装される。
【0035】
図3Aは、いくつかの実施形態による、RF電力供給システム100を利用する例示的なプラズマ処理システム300を示す。図3Aは、例示的なプラズマ処理チャンバ301を通した例示的な縦断面図を示す。プラズマ処理チャンバ301は、外側構造302、たとえば、側面および底面構造と、上側ウィンドウ構造303と、を含む。上側ウィンドウ構造303は、第1のコイル113および第2のコイル115からプラズマ処理チャンバ301内のプラズマ処理領域310へのRF電力の伝送を提供する材料、たとえば、石英または同様の材料から形成される。基板支持構造305が、基板307のプラズマ処理中に基板307を支持するを提供するために、プラズマ処理領域310内に配設される。基板支持構造305は、プラズマ処理動作中に基板307をプラズマ処理領域310に曝されるように保持するように構成される。プラズマ処理チャンバ301は、基準接地電位119に接続される。
【0036】
プラズマ処理システム300は、RF電力が第1のコイル113および第2のコイル115からプラズマ処理領域310に伝送される誘導結合システムである。例示的なプラズマ処理システム300では、第1のコイル113は内側コイルであり、第2のコイル115は外側コイルである。図3Bは、いくつかの実施形態による、プラズマ処理システム300中の第1のコイル113および第2のコイル115の平面図を示す。図3Bの例では、第1のコイル113(内側コイル)は、交互配置されたらせん形コイル113Aおよび113Bのペアを含む。コイル113Aおよび113Bの各々は、第1のリアクタンス回路105の出力端子105oからRF信号を受け取るように接続されたそれぞれの第1の端部を有する。コイル113Aおよび113Bの各々は、基準接地電位119に接続されたそれぞれの第2の端部を有する。また、図3Bの例では、第2のコイル115(外側コイル)は、第1のコイル113(内側コイル)のコイル113Aおよび113Bを囲むように集合的に位置する交互配置されたらせん形コイル115Aおよび115Bのペアを含む。コイル115Aおよび115Bの各々は、遮断フィルタ111の出力端子111oから、および電流スプリッタ可変キャパシタ109の出力端子109oから(直接、または随意の遮断フィルタ117を介してのいずれかで)RF信号を受け取るように接続されたそれぞれの第1の端部を有する。コイル115Aおよび115Bの各々は、基準接地電位119に接続されたそれぞれの第2の端部を有する。様々な実施形態では、第1のコイル113および第2のコイル115の各々は、RF電力を上側ウィンドウ構造303を通しておよびプラズマ処理領域310に伝送するために好適である本質的に任意の構成を有することができる。様々な実施形態では、第1のコイル113および第2のコイル115の各々は、上側ウィンドウ構造303を通したおよびプラズマ処理領域310へのRF電力の伝送を提供するために適宜に任意の巻数ならびに任意の断面サイズおよび形状(円形、楕円形、長方形、台形など)を有することができる。
【0037】
プラズマ処理領域310は、1つまたは複数のプロセスガスが、矢印315によって表されるように、制御された様式でプラズマ処理領域310に供給され得るように、プロセスガス供給システム313に流体接続される。プロセスガス供給システム313は、制御された流量でおよび制御された流れ時間で、プラズマ処理領域310への1つまたは複数のプロセスガスの提供を可能にするために、1つまたは複数のプロセスガス源、ならびに弁およびマスフローコントローラの配置を含む。また、様々な実施形態では、1つまたは複数のプロセスガスは、基板支持構造305およびその上に保持された基板307に対して、時間的に制御された様式で、および空間的に制御された様式での両方で、プラズマ処理領域310に送出される。プラズマ処理システム300は、矢印317によって示されるように、プラズマ処理領域310からのプロセスガスの制御された除去を提供する排気システムをも含む。プラズマ処理システム300は、プラズマ処理領域310中で1つまたは複数のプロセスガスを(破線の楕円領域によって表される)プラズマ309に変換するために、プロセスガス供給システム313に、1つまたは複数のプロセスガスをプラズマ処理領域310に流させることによって、およびRF電力を第1のコイル113および/または第2のコイル115からプラズマ処理領域310に伝送することによって動作する。いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、プロセスガス供給システム313の動作を制御するように、およびRF電力供給システム100の動作を制御するように接続される。
【0038】
プラズマ309は、制御された様式で基板307の変化を引き起こすために生成される。様々な作製プロセスでは、基板307の変化は、基板307上の材料または表面条件の変化であり得る。たとえば、様々な作製プロセスでは、基板307の変化は、基板307からの材料のエッチング、基板307上の材料の堆積、または基板307上に存在する材料の変更のうちの1つまたは複数を含むことができる。プラズマ処理システム300は、RF電力が、プラズマ処理チャンバ301外に配設された第1のコイル113および第2のコイル115からプラズマ処理領域310内のプロセスガスに伝送されて、プラズマ処理領域310内でプラズマ309を生成する、任意のタイプのプラズマ処理システムであり得ることを理解されたい。
【0039】
いくつかの実施形態では、基板307は、作製手順を経た半導体ウエハである。しかしながら、様々な実施形態では、基板307は、プラズマベースの作製プロセスを受ける、本質的に任意のタイプの基板であり得ることを理解されたい。たとえば、いくつかの実施形態では、本明細書で言及される基板307は、シリコン、サファイア、GaN、GaAsまたはSiC、あるいは他の基板材料から形成された基板であり得、ガラスパネル/基板、金属箔、金属シート、ポリマー材料などを含むことができる。また、様々な実施形態では、本明細書で言及される基板307は、形態、形状、および/またはサイズが変動し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、本明細書で言及される基板307は、半導体ウエハサイズの中でも、直径200mm(ミリメートル)の半導体ウエハ、直径300mmの半導体ウエハ、または直径450mmの半導体ウエハに対応し得る。また、いくつかの実施形態では、本明細書で言及される基板307は、形状の中でも、フラットパネルディスプレイのための長方形基板など、非円形基板に対応し得る。
【0040】
図4は、いくつかの実施形態による、RF電力をプラズマ処理システムに供給するための方法のフローチャートを示す。本方法は、(たとえば、第1のRF電源101を動作させることによってなど)第1の周波数のRF信号を生成するための動作401を含む。本方法は、第1の周波数のRF信号の第1の部分を第1のコイル(たとえば、113)に供給するための動作403をも含む。本方法は、第1の周波数のRF信号の第2の部分を第2のコイル(たとえば、115)に供給するための動作405をも含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の周波数のRF信号の第1の部分の量と、第1の周波数のRF信号の第2の部分の量と、を制御するために電流スプリッタ可変キャパシタ(たとえば、109)を使用することを含む。本方法は、(たとえば、第2のRF電源103を動作させることによってなど)第2の周波数のRF信号を生成するための動作407をも含む。本方法は、第2の周波数のRF信号を第2のコイル(たとえば、115)に供給するための動作409をも含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の周波数のRF信号が、第2の周波数のRF信号のソースに進むのを防ぐために(たとえば、第1のRF電源101によって生成されたRF信号が、第2のRF電源103に進むのを防ぐために)遮断フィルタ(たとえば、111)を使用することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2のコイル(たとえば、115)によって駆動されるプラズマの点火/点弧をサポートするために第2のコイル(たとえば、115)に伝送された、第1のRF電源(たとえば、101)によって生成された第1の周波数のRF信号の第2の部分の量を増加させるように電流スプリッタ可変キャパシタ(たとえば、109)のキャパシタンス設定を制御するための動作を含む。また、これらの実施形態のうちのいくつかでは、本方法は、プラズマの点火/点弧の後に第2のコイル(たとえば、115)に伝送された、第1のRF電源(たとえば、101)によって生成された第1の周波数のRF信号の第2の部分の量を減少させるように電流スプリッタ可変キャパシタ(たとえば、109)のキャパシタンス設定を制御するための動作を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第2のコイル(たとえば、115)によって駆動されるプラズマの安定性をサポートするために第2のコイル(たとえば、115)に伝送された、第1のRF電源(たとえば、101)によって生成された第1の周波数のRF信号の第2の部分の量を制御するように電流スプリッタ可変キャパシタ(たとえば、109)のキャパシタンス設定を制御するための動作を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、第1のRF電源(たとえば、101)によって生成された第1の周波数のRF信号の第2の部分によって第2のコイル(たとえば、115)に送出されたRF電力の量を測定するための動作を含む。また、これらの実施形態では、本方法は、RF電力のターゲット量が、第1のRF電源(たとえば、101)によって生成された第1の周波数のRF信号の第2の部分によって第2のコイル(たとえば、115)に送出されるように、RF電力の測定された量を、電流スプリッタ可変キャパシタ(たとえば、109)のキャパシタンス設定を制御するためのフィードバック信号として使用するための動作を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1のRF電源101によって生成されたRF信号の第1の周波数は、約13メガヘルツ(MHz)であり、第2のRF電源103によって生成されたRF信号の第2の周波数は、約2MHzである。これらの実施形態では、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定は、約5ピコファラド(pF)から約500pFに及ぶ範囲内に制御される。また、これらの実施形態のうちのいくつかでは、第1の同調可変キャパシタ121のキャパシタンス設定は、約5pFから約1000pFに及ぶ範囲内に制御され、インダクタ123は、約300ナノヘンリー(nH)から約1000nHに及ぶ範囲内のインダクタンスを有する。また、これらの実施形態のうちのいくつかでは、第2の同調可変キャパシタ127のキャパシタンス設定は、約5pFから約2000pFに及ぶ範囲内に制御され、キャパシタ131は、約2000pFから約3500pFに及ぶ範囲内のキャパシタンスを有する。また、これらの実施形態のうちのいくつかでは、遮断フィルタ111は、約50pFから約500pFに及ぶ範囲内のキャパシタンスを有するキャパシタ135と、約200nHから約2000nHに及ぶ範囲内のインダクタンスを有するインダクタ137と、で構成される。また、これらの実施形態のうちのいくつかでは、随意の遮断フィルタ117は、遮断フィルタ111と同様に構成される。
【0043】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理システム300は、システムコントローラ311を介して、第1のコイル113だけへの第1の周波数のRF信号の伝送と組み合わせた第2のコイル115への第2の周波数のRF信号だけの伝送を使用してプラズマ309を点火する/点弧するおよび維持するのが困難であるプラズマモードにおけるプラズマ309の生成を含むプラズマ処理レシピを実施するようにプログラムされる。たとえば、いくつかのプラズマ処理レシピおよび規定のプラズマモードの場合、第2のRF電源103によって生成された、第2の周波数、たとえば、2MHzのRF信号は、それら自体では、外側コイル115によって駆動されたプラズマを点火する/点弧するおよび維持するのに十分なRF電力を提供しない。したがって、これらのプラズマ処理レシピおよび規定のプラズマモードについて、電流スプリッタ可変キャパシタ109は、制御構成要素133を介して、外側コイル115によって駆動されるプラズマ309の点火/点弧および維持を支援するために、第1の周波数、たとえば、13MHzのRF信号のうちのいくつかを外側コイル115に転送するように制御される。
【0044】
様々なプラズマ処理レシピでは、プラズマ309は、プラズマ309が、主に、コイル113/115と、プラズマ309と、の間の容量性電界によって駆動されているEモードにおいて、またはプラズマ309が主にコイル113/115によって生成された磁界によって駆動されているHモードにおいてのいずれかで生成され得る。いくつかの状況では、プラズマ309がHモードにおいて生成されるべきであるとき、第2のRF電源103から第2のコイル115に伝送された第2の周波数のRF信号によって供給されたRF電力は、プラズマ309を点火する/点弧するおよび維持するのに十分でない。また、プラズマ309生成内の遷移領域により、プラズマ309を点火する/点弧するおよび維持するために、第2のRF電源103から第2のコイル115に伝送された第2の周波数のRF信号によって供給されたRF電力を、桁違いに、たとえば、約300ワットから2キロワット超まで増加させることが必要であることになる。しかしながら、第2の周波数のRF信号によって供給されたRF電力を、そのような高いレベルに増加させることは、第2のコイル115を通した極めて高い電流の駆動を生じることになり、これは可能にされない。たとえば、第2のコイル115を通した極めて高い電流の駆動は、第2のコイル115上の電圧を、上側ウィンドウ構造303の問題になるプラズマスパッタリングを引き起こす許容できないレベルまで増加させることがある。したがって、そのような状況では、Hモードにおけるプラズマ309の生成は、第2のRF電源103から第2のコイル115への第2の周波数のRF信号によって供給されたRF電力を単純増加させることによって確実に行われ得ない。RF電力供給システム100は、第2のコイル115を通して許容できないほど高い電流を駆動する必要なしに、Hモードにおけるプラズマ309の信頼できる点火/点弧および維持を可能にする、この状況におけるソリューションを提供する。たとえば、この状況では、システムコントローラ311および制御構成要素133は、上側ウィンドウ構造303のスパッタリングを引き起こし得る、第2のコイル115上の許容できないほど高い電圧を生じることなしに、Hモードにおけるプラズマ309の点火/点弧および維持をサポートするために、第2のRF電源103から第2のコイル115に供給された第2の周波数のRF信号によって提供されたRF電力を拡張するために、第1のRF電源101によって生成された第1の周波数のRF信号の十分な量を第2のコイル115に転送するために電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンスを設定するように動作する。
【0045】
様々な実施形態では、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定は、必要に応じてプラズマ処理ステップ間で変更され得る。たとえば、プラズマ処理レシピは、第1の周波数のRF信号の大部分が第1のコイル113に伝送される処理ステップと、その後に続く、第1の周波数のRF信号のうちのいくつかが、第2のコイル115からプラズマ309への第2の周波数のRF信号の結合をサポートするために電流スプリッタ可変キャパシタ109を介して第2のコイル115に転送される別の処理ステップと、を含むことができる。また、いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、第1の周波数のRF信号の十分に大きい部分が、プラズマ309生成の点火/点弧フェーズのために第1のRF電源101から第2のコイル115に伝送され、その後に、第2のコイル115上の電圧が、上側ウィンドウ構造303のプラズマスパッタリングを引き起こし得るレベル、たとえば、1500Vを下回って維持されるように、プラズマ309の点火/点弧の後の、第1のRF電源101から第2のコイル115に伝送される第1の周波数のRF信号の部分の低減が続くように、制御構成要素133を介して、電流スプリッタ可変キャパシタ109のキャパシタンス設定を制御するようにプログラムされる。RF電力供給システム100によって、特に、電流スプリッタ可変キャパシタ109によって提供される、第1の周波数のRF信号のうちのいくつかを第2のコイル115に転送するプログラマブル能力は、プラズマ309の点火/点弧の増加された信頼性と、プラズマ処理動作中の改善されたプラズマ309の安定性と、上側ウィンドウ構造303のプラズマスパッタリングを防ぐ/低減するためのコイル115上の十分に低い電圧とを提供する。
【0046】
本明細書で開示されるRF電力供給システム100は、第1のコイル113、たとえば、内側コイルと、第2のコイル115、たとえば、外側コイルと、の間での、第1の周波数、たとえば、13MHzのRF信号によって提供されたRF電力をスプリットするためのやり方を提供する。RF電力供給システム100は、第1のRF電源101および第2のRF電源103の各々が、それぞれのダイレクトドライブRF信号生成器200であるとき、特に有用である。第2のコイル115への第1の周波数のRF信号の部分のスプリッティングは、第2の周波数のRF信号によって第2のコイル115に提供されたRF電力が、プラズマ309の点火を生じない、プラズマ309の不安定性を生じる、および/またはHモードプラズマ309の持続可能性問題を生じる状況における、第1のRF電源101および第2のRF電源103の各々についての、ダイレクトドライブRF信号生成器200の使用を可能にする。
【0047】
いくつかの実施形態では、第1の周波数、たとえば、13MHzのRF信号に対応する少量のRF電流を、第2のコイル115に加えることによって、プラズマ309の点火/点弧の両方が、より可能性が高く、プラズマ309安定性ウィンドウが増加される。また、いくつかの実施形態では、第2のコイル115に供給された、第1の周波数、たとえば、13MHzのRF信号に対応するRF電流が、プラズマ309をHモードに入れることを助け、第2のコイル115に供給された、第2の周波数、たとえば、2MHzのRF信号に対応するRF電流が、単独でプラズマ309をHモードに入れることができないので、プラズマ309のHモード維持は、より可能性が高い。さらに、第1の周波数、たとえば、13MHzのRF信号に対応する少量のRF電流を、第2のコイル115に加えることによって、プラズマ309の特性の中でも、イオン密度、電子密度、および電子温度など、プラズマ309特性の空間分布を制御することが可能である。
【0048】
図5は、いくつかの例示的な実施形態による、システムコントローラ311の図を示す。いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、プロセッサ509と、記憶ハードウェアユニット(HU)511(たとえば、メモリ)と、入力HU501と、出力HU505、入出力(I/O)インターフェース503と、I/Oインターフェース507と、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)515と、データ通信バス513と、を含む。プロセッサ509と、記憶HU511と、入力HU501と、出力HU505と、I/Oインターフェース503と、I/Oインターフェース507と、NIC515とは、データ通信バス513を介して互いとデータ通信している。入力HU501の例は、マウス、キーボード、スタイラス、データ収集システム、データ収集カードなどを含む。出力HU505の例は、ディスプレイ、スピーカー、デバイスコントローラなどを含む。NIC515の例は、ネットワークインターフェースカード、ネットワークアダプタなどを含む。様々な実施形態では、NIC515は、特に、イーサネット(登録商標)および/またはEtherCAT(登録商標)など、1つまたは複数の通信プロトコルおよび関連する物理層に従って動作するように構成される。I/Oインターフェース503および507の各々は、I/Oインターフェースに結合された異なるハードウェアユニット間の互換性を提供するように定義される。たとえば、I/Oインターフェース503は、入力HU501から受信される信号をデータ通信バス513と互換性がある形式、振幅、および/または速度に変換するように定義され得る。また、I/Oインターフェース507は、データ通信バス513から受信される信号を出力HU505と互換性がある形式、振幅、および/または速度に変換するように定義され得る。本明細書で説明される様々な動作は、システムコントローラ311のプロセッサ509によって実施されるが、いくつかの実施形態では、様々な動作は、システムコントローラ311の複数のプロセッサによって、および/またはシステムコントローラ311に接続された複数のコンピューティングシステムの複数のプロセッサによって実施され得ることを理解されたい。
【0049】
様々な実施形態では、プラズマ処理システム300は、基板307の処理前に、処理中に、および処理後にその動作を制御するためのエレクトロニクスと統合され、それらのエレクトロニクスは、RF電力供給システム100を含む、プラズマ処理システム300の様々な構成要素および/または下位部分を制御するように構成および接続された、システムコントローラ311内で実装される。プラズマ処理システム300の基板307処理要件および/または特定の構成に応じて、システムコントローラ311は、特に、プロセスガス供給システム313による(1つまたは複数の)プロセスガスの送出、温度設定(たとえば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、RF電力供給システム100設定、電気信号周波数設定、ガス流量設定、流体送出設定、位置および動作設定、プラズマ処理チャンバ301へのおよびそこからのならびに/あるいはプラズマ処理システム300に接続されたまたはそれとインターフェースされたロードロックへのおよびそこからの基板307移送を含む、本明細書で開示される任意のプロセスおよび/または構成要素を制御するようにプログラムされる。
【0050】
様々な実施形態では、システムコントローラ311は、タスク/動作の中でも、命令を受信すること、命令を発行すること、デバイス動作を制御すること、洗浄動作を可能にすること、終点測定を可能にすること、計測学測定(光、熱、電気、など)を可能にすることなど、様々なタスク/動作を指示および制御する様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有するエレクトロニクスとして定義される。いくつかの実施形態では、システムコントローラ311内の集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア、コンピューティングデバイスの中でも、プログラム命令(たとえば、ソフトウェア)を実行する、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)チップ、プログラマブル論理デバイス(PLD)、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、および/または1つまたは複数のマイクロコントローラのうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、プログラム命令は、プラズマ処理システム300内で基板307上でプロセスを行うための動作パラメータを定義する、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式で、システムコントローラ311に通信される。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、基板307上の1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはダイの作製中に1つまたは複数の処理ステップを達成するために、プロセス技術者によって定義されたレシピ中に含まれる。
【0051】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、プラズマ処理システム300と統合される、またはプラズマ処理システム300に接続される、あるいはさもなければプラズマ処理システム300にネットワーク接続される、コンピュータの一部であるか、あるいはコンピュータに接続されるか、あるいはその組合せである。たとえば、いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、「クラウド」あるいはファブホストコンピュータシステムの全部または一部中で実装され、これは、プラズマ処理システム300による基板307処理の制御のための遠隔アクセスを可能にする。システムコントローラ311は、作製動作の現在の進行の監視を提供すること、過去の作製動作の履歴の検査を提供すること、複数の作製動作からの傾向または性能メトリックの検査を提供すること、処理パラメータの変更を提供すること、後続の処理ステップの設定を提供すること、RF電力供給システム100動作パラメータの仕様を提供すること、および/あるいは新しい基板作製プロセスの開始を提供することを行うために、プラズマ処理システム300への遠隔アクセスを可能にする。
【0052】
いくつかの実施形態では、サーバコンピュータシステムなど、遠隔コンピュータが、ローカルネットワークおよび/またはインターネットを含むコンピュータネットワークを介してシステムコントローラ311にプロセスレシピを提供する。遠隔コンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含み、パラメータおよび/または設定は、次いで、遠隔コンピュータからシステムコントローラ311に通信される。いくつかの例では、システムコントローラ311は、プラズマ処理システム300内で基板307を処理するための設定の形態の命令を受信する。それらの設定は、基板307上で実施されるべきプロセスのタイプ、およびシステムコントローラ311がインターフェースするまたは制御するツール/デバイス/構成要素のタイプに固有であることを理解されたい。いくつかの実施形態では、システムコントローラ311は、ともにネットワーク接続され、基板307上で規定のプロセスを実施するためにプラズマ処理システム300を動作させることなどの共通の目的に向かって機能するように同期された、1つまたは複数の個別システムコントローラ311を含むことなどによって、分散される。そのような目的のための分散システムコントローラ311の一例が、チャンバ中のプロセスを制御するように組み合わせた、(プラットフォームレベルにおいて、または遠隔コンピュータの一部としてなどの)遠隔にある1つまたは複数の集積回路と通信しているチャンバ上の1つまたは複数の集積回路を含む。また、プラズマ処理システム300によって実施されるべきプロセス動作に応じて、システムコントローラ311は、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、近隣ツール、分散ツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、あるいは半導体製造工場におけるツールロケーションおよび/またはロードポートとの間で基板307のコンテナを運ぶ材料移送において使用されるツールのうちの1つまたは複数となど、半導体製造工場を通して様々なエンティティと通信する。
【0053】
本明細書で説明される様々な実施形態は、携帯型ハードウェアユニット、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラマブルコンシューマーエレクトロニクス、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む様々なコンピュータシステム構成とともに実践され得る。本明細書で説明される様々な実施形態はまた、コンピュータネットワークを通してリンクされた遠隔処理ハードウェアユニットによってタスクが実施される分散コンピューティング環境とともに実践され得る。また、本明細書で開示される様々な実施形態は、コンピュータシステムに記憶されたデータに関与する様々なコンピュータ実装動作の実施を含むことを理解されたい。これらのコンピュータ実装動作は、物理量を操作するものである。様々な実施形態では、コンピュータ実装動作は、汎用コンピュータまたは専用コンピュータのいずれかによって実施される。いくつかの実施形態では、コンピュータ実装動作は、選択的にアクティブにされたコンピュータによって実施され、および/あるいはコンピュータメモリに記憶され、またはコンピュータネットワークを介して取得される1つまたは複数のコンピュータプログラムによって指示される。コンピュータプログラムおよび/またはデジタルデータがコンピュータネットワークを介して取得されるとき、デジタルデータは、コンピュータネットワーク上の他のコンピュータ、たとえば、コンピューティングリソースのクラウドによって処理され得る。コンピュータプログラムおよびデジタルデータは、非一時的コンピュータ可読媒体にコンピュータ可読コードとして記憶される。非一時的コンピュータ可読媒体は、データを記憶する、任意のデータ記憶ハードウェアユニット、たとえば、メモリデバイスなどであり、データは、その後、コンピュータシステムによって可読である。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、ハードドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、ROM、RAM、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、CDレコーダブル(CD-R)、CDリライタブル(CD-RW)、デジタルビデオ/汎用ディスク(DVD)、磁気テープ、ならびに他の光学的および非光学的なデータ記憶ハードウェアユニットを含む。いくつかの実施形態では、コンピュータプログラムおよび/またはデジタルデータは、コンピュータプログラムおよび/またはデジタルデータが分散された様式で実行および/または記憶されるように、結合されたコンピュータシステムのネットワーク内の異なるコンピュータシステム中にある複数のコンピュータ可読媒体の間で分散される。
【0054】
上記の開示は、理解の明確さの目的で何からの詳細を含むが、いくつかの変更および修正が、添付の特許請求の範囲内で実践され得ることは明らかであろう。たとえば、本明細書で開示される任意の実施形態からの1つまたは複数の特徴が、本明細書で開示される任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせられ得ることを理解されたい。したがって、本実施形態は、限定的ではなく例示的であると見なされるべきであり、特許請求の範囲は、本明細書で与えられる詳細に限定されるべきでなく、説明される実施形態の範囲および均等物の範囲内で修正され得る。
【0055】
特許請求の範囲は以下の通りである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】