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特表2024-544149CO2リッチ合成ガスのメタノールへの転換及び従来の合成ガスのジメチルエーテルへの転換のための触媒
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  • 特表-CO2リッチ合成ガスのメタノールへの転換及び従来の合成ガスのジメチルエーテルへの転換のための触媒 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】CO2リッチ合成ガスのメタノールへの転換及び従来の合成ガスのジメチルエーテルへの転換のための触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/887 20060101AFI20241121BHJP
   C07C 43/06 20060101ALI20241121BHJP
   C07C 41/01 20060101ALI20241121BHJP
   C07C 31/04 20060101ALI20241121BHJP
   C07C 29/154 20060101ALI20241121BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
B01J23/887 Z
C07C43/06
C07C41/01
C07C31/04
C07C29/154
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024529140
(86)(22)【出願日】2022-11-15
(85)【翻訳文提出日】2024-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2022081980
(87)【国際公開番号】W WO2023088893
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】21208578.1
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フライ,エリーアス クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ゲンツェン,マヌエル フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】ボトケ,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】ボーチャーズ,ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】シュピーゲル,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ランヴェル,ヴィルジニー
(72)【発明者】
【氏名】ボスカリ,キアーラ
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,ヤン フィリップ
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA08B
4G169BB02A
4G169BB04A
4G169BC16A
4G169BC31A
4G169BC35A
4G169BD05A
4G169CC29
4G169DA05
4G169EA01Y
4G169FB05
4G169FB06
4G169FB09
4G169FB30
4G169FB44
4G169FB66
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC29
4H006BA05
4H006BA07
4H006BA09
4H006BA30
4H006BE20
4H006BE40
4H006BE41
4H006FE11
4H006GN24
4H006GP01
4H039CA61
(57)【要約】
本発明は、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒であって、元素状銅を含み、且つ5:1~27:1の範囲のZn:Si原子比を示す担持銅触媒、並びに触媒の前駆体に関する。さらに、本発明は、触媒及び触媒前駆体のそれぞれを調製するためのプロセス、並びに本発明の触媒をそれぞれ用いるCO含有合成ガスのメタノールへの転換方法及び合成ガスのジメチルエーテルへの転換方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒であって、元素状銅を含み、且つ5:1~27:1の範囲のZn:Si原子比を示す、担持銅触媒。
【請求項2】
Zn、Al、Zr及びSiの1種若しくは複数種の酸化物を含む、請求項1に記載の担持銅触媒。
【請求項3】
(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siのモル比を示す、請求項1又は2に記載の担持銅触媒。
【請求項4】
Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体であって、5:1~27:1のZn:Si原子比を示す、触媒前駆体。
【請求項5】
Cu、Zn及びAlのうちの2種以上を含む1種若しくは複数種のヒドロキシ炭酸塩混合酸化物を含む、請求項4に記載の触媒前駆体。
【請求項6】
前記触媒前駆体はZr変性CuZnAl(OH)16COを含み、前記Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、CuZnAl(OH)16COのX線回折図と比較して、より高い°2θ値にシフトしており、前記Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、11~13.5°2θの範囲に位置する、請求項4又は5に記載の触媒前駆体。
【請求項7】
Cu、Zn、Al、Zr及びSiの1種若しくは複数種の酸化物を含む、請求項4に記載の触媒前駆体。
【請求項8】
(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siのモル比を示す、請求項4~7のいずれか一項に記載の触媒前駆体。
【請求項9】
(i)1種若しくは複数種の銅含有化合物、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物、及び1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物を含み、pHは0~5の範囲である、第1の水溶液S1を調製すること;
(ii)pHは8.5~12の範囲の値に調整される、第2の水溶液S2を調製すること;
(iii)撹拌下S1をS2に投入することを含み、前記投入の間、前記投入から得られる水性混合物MのpHは8~10の範囲に保持される、水中に懸濁させた固体を含む前記水性混合物Mを調製すること;
(iv)1時間~12時間の範囲の時間で(iii)から得られた前記水性混合物Mを老化すること;並びに
(v)(iv)から得られた前記水性混合物から前記固体を分離すること
を含む、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体の調製方法であって、
1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間にMに添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加され、且つ1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間に前記混合物Mに添加される、方法。
【請求項10】
さらに、
(vi)(v)から得られる前記固体を洗浄すること;及び/又は
(vii)(v)又は(vi)から得られる前記固体を乾燥すること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらに、
(ix)(v)、(vi)又は(vii)から得られる前記固体を焼成すること
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒の調製方法であって、前記触媒は元素状銅を含み、前記方法は、
(1)請求項11に記載の方法に従って、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体を調製すること;
(2)前記担持銅触媒を得るために、水素を含む雰囲気中で、(1)から得られた前記触媒前駆体を還元すること
を含む、方法。
【請求項13】
CO含有合成ガスをメタノールに転換する方法であって、
(A)請求項1~3のいずれか一項に記載の担持銅触媒を提供すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~350℃の範囲の温度で、(A)において提供された前記担持銅触媒を(B)において調製された前記ガス混合物と接触させること
を含む方法。
【請求項14】
合成ガスをジメチルエーテルに転換する方法であって、
(A)請求項1~3のいずれか一項に記載の担持銅触媒を酸性共触媒と混合すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~300℃の範囲の温度で、(A)において提供された触媒混合物を(B)において調製された前記ガス混合物と接触させること
を含む方法。
【請求項15】
メタノールの改質、CO含有合成ガスのメタノールへの転換、ジメチルエーテルの改質、及び合成ガスのジメチルエーテルへの転換における、逆水-ガスシフト触媒としての、請求項1~3のいずれか一項に記載の担持銅触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担持Cu触媒の調製プロセス、担持Cu触媒及びその使用に関する。さらに、本発明は、触媒前駆体及び触媒前駆体の調製プロセスに関する。さらに、本発明は、担持触媒を用いたCO含有合成ガスのメタノールへの転換方法、及び担持触媒を用いた合成ガスのジメチルエーテルへの転換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタノール及びジメチルエーテル(DME)は、化学物質の製造や、例えばガソリン又はディーゼル燃料の代替としてエネルギー分野で広く応用されている重要な化合物である。メタノールを製造する標準的な方法は、CO量が多くCO量が少ない従来の合成ガスの転換に基づいており、主な反応は、式(1)に従う、水素によるCOのメタノールへの転換である:
【化1】
【0003】
このような典型的な転換反応では、CO分圧及びCO転換の副産物としてのHO分圧は低い。前記シナリオでは、典型的に、長い触媒寿命を可能にする、要求の厳しくない条件が必要とされる。COリッチ合成ガスの転換も可能であり、そこでは、式(2)に従ってCOが水素と反応し、メタノールに転換される:
【化2】
【0004】
COリッチ合成ガスを使用する場合、CO及びHは比較的高い分圧を示す。COリッチ合成ガスの転換の応用は、式(3)に従ってHOが生成する、逆水-ガスシフト反応のため、特に困難である:
【化3】
【0005】
このように、COリッチな合成ガス供給流には、要求の厳しい条件が必要とされる。さらに、酸性共触媒の存在下で生じ得るさらなる反応では、生成したメタノールが一段階合成でDMEへと反応する。適切な酸性共触媒は、欧州特許出願公開第3727681A1号明細書に開示されている。前記反応は、式4に従って、2つのCHOH分子がDMEへと脱水反応する際に、反応器内のHO濃度をさらに増加させる:
【化4】
【0006】
したがって、COリッチ合成ガス又はCO2のみの供給流の転換を実施するためには、特別な要件を満たさなければならない。特に、前記転換に使用される触媒は、触媒安定性を含む一定の要件を満たさなければならない。さらに、これらの触媒は、逆水-ガスシフト反応(上記式(3)参照)にも適切でなければならない。
【0007】
典型的には、Cuベースの触媒が使用され、Cuは、例えばZnO及びAlに担持されることが可能である。一般に、Cuベース触媒は、pH値、温度及び撹拌を制御しながら、塩基溶液によって金属塩溶液から共沈させることによって調製される。ほとんどの場合、使用する金属のヒドロキシ炭酸塩前駆体が得られる。その後の焼成により、それぞれの金属酸化物の規定された配列が得られる。通常、メタノール調製用触媒はペレット化される。その後、反応器での使用に先立って活性化が行われる。活性化の際、通常はCuOからCu元素が生成し、他の金属酸化物は主にその酸化状態のままである。
【0008】
Wuらは、CO及びHからメタノールを合成するためのCu/ZnOベースの多成分触媒の調製条件の最適化及び安定性の向上に関する研究を開示している。そこには、共沈法によって調製可能なCu/ZnOベースの多成分触媒が開示されている。特に、SiO源の添加が、Cu/ZnOベースの触媒の安定性の増加をもたらすことが開示されている。この触媒は、COからのメタノール合成に使用可能である。
【0009】
Wuらの結果に基づき、いくつかの触媒が開発された。米国特許第6048820号明細書は、Cuベースの触媒及びその製造方法に関するものである。この触媒は、本質的にCuO、ZnO、Al、SiOを含む。欧州特許出願公開第2857095A1号明細書には、メタノール製造用触媒、その製造方法、及びメタノール製造方法が開示されており、触媒は、特定のモル比でCu、Zn、Al及びSiを含む。
【0010】
国際公開第2020/212681A1号パンフレットには、CuO、ZnO、Al及びSiOを含む触媒が開示されており、この触媒は、105m/gを超えるBET比表面積及び37m/gを超えるCu比表面積を有する。触媒は、それらの活性及び安定性に関して試験された。国際公開第2020/212681A1号パンフレットの実施例8には、現在の最先端技術を代表する触媒が開示されている。前記触媒は、標準的な合成ガス条件(6体積%のCO、6体積%のCO、9体積%のN及び79体積%のH)及び低圧(50barg)下で試験された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、特にCOリッチ合成ガス、或いはCOのみの供給流、特に10体積%より高いCOを含み、且つ2より高いCO/COのモル比を有するCOリッチ合成ガスの転換に適切な改良された触媒が必要とされた。特に要求の厳しい安定性基準を満たす触媒が必要とされた。さらに、このような改良された触媒を調製するための新規プロセスが必要とされた。
【0012】
したがって、本発明の目的は、担持Cu触媒の調製のための新規プロセスを提供するとともに、改良された担持Cu触媒を提供することであった。特に、本発明の目的は、CO及びCOリッチ合成ガスの水素化のための安定性の高い担持Cu触媒を提供することであった。特に上記式(2)によるCOからのメタノールの合成、及び上記式(4)によるメタノールからのDMEの合成に関して、特に200~350℃の範囲である温度及び1~100baraの範囲、好ましくは40~85baraの範囲の圧力、又は上記式3による逆水-ガスシフト反応のための20bara未満の圧力である特定の要求の厳しい条件下で、改善された安定性を示す担持Cu触媒を提供することが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、驚くべきことに、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含み、元素状銅を含み、特定のZn:Si原子比を示す、改良された担持Cu触媒を提供することができることが見出された。さらに、驚くべきことに、本発明担持Cu触媒から調製され、特定の三叉断面を有する成形体は、従来の錠剤よりも比較的低い圧力損失を示すことが見出された。さらに、驚くべきことに、このような触媒は、特に反応混合物のpHが特定の範囲になるように制御される新規プロセスによって調製可能であることが見出された。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1A中、共沈及び乾燥後、焼成前に得られた実施例16による乾燥沈殿物の粉末XRDが示されている。図中、特徴的なハイドロタルサイト相が同定された。
図1B図1Bは、共沈及び乾燥後、焼成前に得られた実施例12による乾燥沈殿物の粉末XRDを示す。
図2】実施例16による焼成触媒の粉末XRDを示す。CuO相及びZnO相の他に、ZnAlスピネル相がハイドロタルサイト前駆体から形成されることが示されている。
図3】実施例8による焼成及び活性化触媒の粉末XRDを示す。Cu金属の他に、典型的なZnAlスピネル相がハイドロタルサイト前駆体から形成されることが示されている。さらに、ZnAlに加えて、CuAlが存在する可能性が高い。
図4A図4Aは、一段階ジメチルエーテルに関する実施例IVによる触媒試験の結果を示す。
図4B】一段階ジメチルエーテルに関する実施例IVによる触媒試験の結果を示す。
図5】三叉断面を有する成形体の概略図を示す。三叉断面は幾何学的中心Cを有し、三叉断面の各先端は円の弧によって丸みを帯び、三叉断面の各角は円の弧によって丸みを帯びる。
図6】先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の概略図を示す。三叉断面は、幾何学的中心C、先端基部b、先端高さi、高さh、及びコード長kを有し、三叉断面の各先端は、円の弧によって丸みを帯び、三叉断面の各角は、円の弧によって丸みを帯びている。
図7】先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の概略図を示す。成形体は高さHを有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
したがって、本発明は、
(i)1種若しくは複数種の銅含有化合物、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物、及び1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物を含み、pHが0~5の範囲、好ましくは0~4の範囲、より好ましくは0.5~3.5の範囲、さらにより好ましくは0.5~3の範囲、さらにより好ましくは1~2.5の範囲、さらにより好ましくは1~2の範囲である、第1の水溶液S1を調製すること;
(ii)pHが8.5~12の範囲、好ましくは8.5~11の範囲、より好ましくは8.5~10.5の範囲、さらに好ましくは8.5~10の範囲、さらにより好ましくは8.5~9.5の範囲の値に調整される、第2の水溶液S2を調製すること;
(iii)撹拌下S1をS2に投入することを含み、前記投入の間、前記投入から得られる水性混合物MのpHは8~10の範囲、好ましくは8.5~9.5の範囲に保持され、より好ましくはpHは9±0.2のpHに保持される、水中に懸濁させた固体を含む水性混合物Mを調製すること;
(iv)1時間~12時間の範囲、好ましくは1時間~6時間の範囲、より好ましくは1.5時間~3時間の範囲、さらに好ましくは2時間~2.5時間の範囲の時間で(iii)から得られた水性混合物Mを老化すること;並びに
(v)(iv)から得られた水性混合物から固体を分離すること
を含む、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体、好ましくは本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかによる触媒前駆体の調製のためのプロセスであって、
1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間にMに添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加され、且つ1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間に混合物Mに添加される、プロセスに関する。
【0016】
(i)における1種若しくは複数種の銅含有化合物が、1種若しくは複数種の銅塩、好ましくは1種若しくは複数種のCu(II)塩であることが好ましく、ここで、1種若しくは複数種の銅塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸、炭酸水素、硫酸、硫酸水素、水酸化物、硝酸、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素、硫酸水素、硝酸、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種の銅塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種の銅含有化合物は硝酸銅(II)を含み、より好ましくは、1種若しくは複数種の銅含有化合物は硝酸銅(II)である。
【0017】
(i)における1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物が、1種若しくは複数種の亜鉛塩、好ましくは1種若しくは複数種のZn(II)塩であることが好ましく、ここで、1種若しくは複数種の亜鉛塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸、炭酸水素、硫酸、硫酸水素、水酸化物、硝酸、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素、硫酸水素、硝酸、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種の亜鉛塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物は硝酸亜鉛(II)を含み、より好ましくは、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物は硝酸亜鉛(II)である。
【0018】
(i)における1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物が、1種若しくは複数種のアルミニウム塩であることが好ましく、ここで、1種若しくは複数種のアルミニウム塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、硫酸、水酸化物、硝酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硫酸、水酸化物、硝酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種のアルミニウム塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物は硝酸アルミニウムを含み、より好ましくは、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物は硝酸アルミニウムである。
【0019】
(i)における1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物が、1種若しくは複数種のジルコニウム塩及び/又はジルコニル塩、好ましくは1種若しくは複数種のZr(IV)塩であることが好ましく、ここで、1種若しくは複数種のジルコニウム塩及び/又はジルコニル塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸、炭酸水素、硫酸、硫酸水素、水酸化物、硝酸、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素、硫酸水素、硝酸、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種のジルコニウム塩及び/又はジルコニル塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物は、硝酸ジルコニウム(IV)及び/又は硝酸ジルコニルを含み、より好ましくは、1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物は、硝酸ジルコニウム(IV)及び/又は硝酸ジルコニル、好ましくは硝酸ジルコニウム(IV)である。
【0020】
互いに独立して、(ii)及び(iv)の1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、シリケートからなる群から、好ましくはケイ酸塩からなる群から、より好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましく、ここで、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Li、Na、K及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属は、Na及び/又はK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、ケイ酸ナトリウム、好ましくはナトリウム水ガラス、より好ましくは、NaSiOを含み、より好ましくは1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、ケイ酸ナトリウム、好ましくはナトリウム水ガラス、より好ましくはNaSiOである。
【0021】
(i)において、Cu、Zn、Al及びZrは、S1中にそれぞれ塩として、好ましくは硝酸塩として含まれることが好ましい。
【0022】
(i)から得られる溶液S1が、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~3)、さらに好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~1.6)のCu:Zn:Al:Zrモル比を示すことが好ましい。
【0023】
(iii)において、水性混合物MのpHが、第3の水溶液S3を水性混合物Mに計量することによってpH範囲に保持されることが好ましく、S3のpHは、S2のpH以上であり、S3のpHは、好ましくは11~14、より好ましくは12~14、より好ましくは13~14の範囲である。
【0024】
(iii)において、水性混合物MのpHが、第3の水溶液S3を水性混合物Mに計量することによってpH範囲に保持され、S3のpHがS2のpH以上である場合、S3が、ブロンステット塩基及びルイス塩基からなる群から選択される1種若しくは複数種の塩基を含むことが好ましく、好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、無機塩基及び有機塩基からなる群から選択され、より好ましくは、無機塩基の群から選択され、好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、水酸化物、カーボネート、アルミネート、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、Li、Na、K及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属は、Na及び/又はK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、炭酸ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含み、より好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、炭酸ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムである。
【0025】
(iii)における添加が、連続的又は断続的に、好ましくは連続的に実行されることが好ましい。
【0026】
水性混合物MのpHを(iii)のpH範囲に保持するために、水性混合物MのpHが半連続的又は連続的にモニターされることが好ましく、好ましくは連続的にモニターされる。
【0027】
(iii)における撹拌(agitation)が撹拌(stirring)によって達成されることが好ましい。
【0028】
(iv)における老化が、5~75℃、好ましくは15~70℃、より好ましくは25~65℃、より好ましくは40~60℃、より好ましくは45~55℃の範囲の温度で実行されることが好ましい。
【0029】
(iv)において、ナトリウム水ガラスが、0.5~11.5時間の範囲の老化期間の後に添加されることが好ましく、好ましくは、ナトリウム水ガラスが、1時間の老化期間の後に任意選択的に添加される。
【0030】
(iii)から得られる水性混合物M又は(iv)から得られる老化された水性混合物が、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5):(0.3~4.5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~3):(0.8~4)、より好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~1.6):(1.2~3.6)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siモル比を示すことが好ましい。
【0031】
(v)における分離が濾過によって達成されることが好ましい。
【0032】
プロセスが、
(vi)(v)から得られる固体を洗浄すること;及び/又は、好ましくは、及び
(vii)(v)又は(vi)から得られる固体を、好ましくは80~150℃、好ましくは90~140℃、より好ましくは105~130℃、さらに好ましくは115~125℃の範囲の温度で乾燥すること
をさらに含むことが好ましい。
【0033】
プロセスが(vi)をさらに含む場合、(vi)における洗浄が脱イオン水で実行されることが好ましい。
【0034】
プロセスが(vi)及び/又は(vii)をさらに含む場合、(vii)における乾燥が、1時間~48時間の範囲、好ましくは6時間~36時間の範囲、より好ましくは12時間~30時間の範囲、さらに好ましくは18時間~24時間の範囲の時間で実行されることが好ましい。
【0035】
プロセスが、
(ix)(v)、(vi)又は(vii)から得られる固体を、好ましくは400~750℃の範囲、好ましくは500~700℃の範囲、より好ましくは550~650℃の範囲の温度で焼成すること
をさらに含むことが好ましい。
【0036】
プロセスが(ix)をさらに含む場合、(ix)における焼成が、0.5~12時間、好ましくは1~6時間、より好ましくは1.5~2.5時間の範囲の時間で実行されることが好ましい。
【0037】
プロセスが(ix)をさらに含む場合、(ix)における焼成が、酸素を含む雰囲気中、好ましくは空気を含む雰囲気中で実行されることが好ましく、より好ましくは(ix)における焼成は空気中で実行される。
【0038】
本発明はまた、好ましくは、本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかのプロセスに従って得ることができる又は得られた、本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかによる、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体に関する。
【0039】
本発明はまた、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒、好ましくは本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかに従う担持銅触媒の調製のためのプロセスであって、触媒が元素状銅を含み、
(1)焼成ステップ(ix)を含む触媒前駆体の調製のための本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかのプロセスに従って、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体を調製すること;
(2)担持銅触媒を得るために、水素を含む雰囲気中で、(1)から得られた触媒前駆体を還元すること
を含むプロセスに関する。
【0040】
(2)の還元が、150~350℃、好ましくは170~300℃、より好ましくは170~230℃の範囲の温度で実行されることが好ましい。
【0041】
(2)の雰囲気が、0.25~80体積%のH、好ましくは0.5~50体積%のH、より好ましくは0.5~30体積%のH、さらに好ましくは1~10体積%のH、よりさらに好ましくは2~5体積%のHを含むことが好ましい。
【0042】
(2)の雰囲気が99.75~20体積%の不活性ガスを含むことが好ましく、より好ましくは99.5~50体積%、さらに好ましくは99.5~70体積%、さらに好ましくは99~90体積%、さらに好ましくは98~95体積%を含むことが好ましい。
【0043】
(2)の雰囲気が99.75~20体積%の不活性ガスを含む場合、不活性ガスが希ガス、窒素ガス及びメタンからなる群から選択される、好ましくはHe、Ar、Ne、N及びCHからなる群から選択される1種若しくは複数種のガスを含むことが好ましく、より好ましくは不活性ガスはNを含み、さらに好ましくは不活性ガスがNである。
【0044】
本発明はまた、好ましくは、その調製のための本発明プロセスの特定の及び好ましい実施形態のいずれかに従って得ることができるか又は得られた、本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかによる、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒であって、触媒が元素状銅を含む担持銅触媒に関する。
【0045】
本発明はまた、好ましくは、その調製のための本発明プロセスの特定の及び好ましい実施形態のいずれかに従って得ることができるか又は得られた、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体であって、触媒前駆体が、5:1~27:1の範囲、好ましくは5.5:1~25:1の範囲、より好ましくは6:1~20:1の範囲、より好ましくは6.5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは7.5:1~10:1の範囲、より好ましくは8:1~9:1の範囲のZn:Si原子比を示す触媒前駆体に関する。
【0046】
触媒前駆体が、Cu、Zn及びAlのうちの2種以上、好ましくはCu、Zn、Al及びZrのうちの2種以上を含む1種若しくは複数種のヒドロキシ炭酸塩混合酸化物を含むことが好ましく、より好ましくは、触媒前駆体は、Cu、Zn及びAl、好ましくはCu、Zn、Al及びZrのうちの1種若しくは複数種のヒドロキシ炭酸塩混合酸化物を含む。
【0047】
触媒前駆体がCuOを含むことが好ましい。
【0048】
触媒前駆体がZr変性CuZnAl(OH)16CO、好ましくはZr変性CuZnAl(OH)16CO・4HOを含むことが好ましい。ここで、Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、CuZnAl(OH)16COのX線回折図と比較して、より高い°2θ値にシフトしており、Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、11~13.5°2θの範囲に位置し、X線回折図は、好ましくは参考例2に従って決定される。
【0049】
或いは、触媒前駆体、好ましくは、焼成ステップ(ix)を含む本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかのプロセスに従って得ることができるか又は得られた触媒前駆体が、Cu、Zn、Al、Zr及びSiの酸化物の1種若しくは複数種の酸化物を含むことが好ましく、触媒前駆体は、好ましくは、CuO、ZnO、ZnAl及びCuAlからなる群から選択される1種若しくは複数種の酸化物を含み、より好ましくは、触媒前駆体は、CuO、ZnO及びZnAl又はCuO、ZnO及びCuAl又はCuO、ZnO、ZnAl及びCuAlを含む。前記好ましい実施形態によれば、触媒前駆体が、酸化物CuOとして計算され、触媒前駆体中に含まれる、CuO、ZnO、Al、ZrO及びSiOとして計算されるCu、Zn、Al、Zr及びSiの酸化物の重量の合計に基づいて、50~70重量%の範囲の量のCuOを含むことがさらに好ましい。触媒前駆体は、好ましくは、55~65重量%、より好ましくは58~62重量%の範囲の量でCuOを含む。さらに、前記好ましい実施形態によれば、触媒前駆体がSiOを含むことがさらに好ましい。
【0050】
触媒前駆体が、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5):(0.3~4.5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~4):(0.8~4)、より好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~3):(1.2~3.6)のCu:Zn:Al:Zr:Siモル比を示すことが好ましい。
【0051】
触媒前駆体の95~100重量%、より好ましくは97~100重量%であり、さらに好ましくは98~100重量%であり、より好ましくは99~100重量%であり、さらに好ましくは99.5~100重量%であり、さらに好ましくは99.9~100重量%がCu、Zn、Al、Zr、Si及びOからなることが好ましい。
【0052】
本発明はまた、好ましくは、その調製のための本発明プロセスの特定の及び好ましい実施形態のいずれかに従って得ることができるか又は得られた、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒であって、触媒が元素状銅を含み、触媒が、5:1~27:1の範囲、好ましくは5.5:1~25:1の範囲、より好ましくは6:1~20:1の範囲、より好ましくは6.5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは7.5:1~10:1の範囲、より好ましくは8:1~9:1の範囲のZn:Si原子比を示す、担持銅触媒に関する。
【0053】
担持銅触媒が、Zn、Al、Zr及びSiの1種若しくは複数種の酸化物を含むことが好ましく、担持銅触媒は、好ましくは、ZnO、ZnAl及びCuAlからなる群から選択される1種若しくは複数種の酸化物を含み、より好ましくは、担持銅触媒は、ZnO及びZnAl、又はZnO及びCuAl、又はZnO、ZnAl、及びCuAlを含む。
【0054】
担持銅触媒が130m/g以下のBET表面積を示すことが好ましく、好ましくは、60~130m/gの範囲のBET表面積を示す。BET表面積は、参考例1に従って決定されることが好ましい。
【0055】
担持銅触媒は、5~15m/g、好ましくは10~13m/gの範囲の銅表面積を示すことが好ましく、銅表面積は、参考例3に従って決定される。
【0056】
担持銅触媒がSiOを含むことが好ましい。
【0057】
担持銅触媒が、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5):(0.3~4.5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~4):(0.8~4)、より好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~3):(1.2~3.6)のCu:Zn:Al:Zr:Siモル比を示すことが好ましい。
【0058】
担持銅触媒の95~100重量、好ましくは97~100重量%、より好ましくは98~100重量%、さらに好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%%がCu、Zn、Al、Zr、Si及びOからなることが好ましい。
【0059】
担持銅触媒が、高さHを有し、且つ先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態であることが好ましい。このような成形体の概略図が図6及び図7に示されており、成形体の高さHが図7に示されている。
【0060】
本発明によれば、成形体は、付形プロセスから得られる三次元実体として理解される。したがって、「成形体」という用語は、「付形体」という用語と同義に使用される。
【0061】
担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面の先端基部b(図6参照)が、2.00~2.60mmの範囲、より好ましくは2.10~2.50mmの範囲、より好ましくは2.20~2.40mmの範囲、より好ましくは2.25~2.35mmの範囲であることが好ましい。
【0062】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面の先端高さi(図6参照)が、2.55~3.15mmの範囲、より好ましくは2.65~3.05mmの範囲、さらに好ましくは2.75~2.95mmの範囲、よりさらに好ましくは2.80~2.90mmの範囲であることが好ましい。
【0063】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面の高さh(図6参照)が、5.40~6.00mmの範囲、より好ましくは5.50~5.90mmの範囲、さらに好ましくは5.60~5.80mmの範囲、よりさらに好ましくは5.65~5.75mmの範囲であることが好ましい。
【0064】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面のコード長k(図6参照)が、6.00~6.60mmの範囲、より好ましくは6.10~6.50mmの範囲、さらに好ましくは6.20~6.40mmの範囲、よりさらに好ましくは6.25~6.35mmの範囲であることが好ましい。
【0065】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面が、5°~19°の範囲、より好ましくは8°~16°の範囲、より好ましくは10°~14°の範囲、さらにより好ましくは11°~13°の範囲の内角α(図6参照)を有することが好ましい。
【0066】
本発明に関連して、内角αは、三叉断面の先端の一部を形成する2つの軸の関係を定義する。本発明によれば、各先端は、特に特定の半径を有する円の弧によって丸みを帯びている。
【0067】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面の各先端が、互いに独立して、0.65~1.25mmの範囲、より好ましくは0.75~1.15mmの範囲、さらに好ましくは0.85~1.05mmの範囲、よりさらに好ましくは0.90~1.00mmの範囲の半径を有する円の弧によって丸みを帯びることが好ましい。
【0068】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面の幾何学的中心C(図6参照)と前記三叉断面の各先端との間の距離が、互いに独立して2.0~5.0mmの範囲、より好ましくは2.7~4.3mmの範囲、より好ましくは3.2~3.8mmの範囲、より好ましくは3.4~3.6mmの範囲である。
【0069】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面が、125°~155°の範囲、より好ましくは135°~145°の範囲、さらに好ましくは127°~137°の範囲、よりさらに好ましくは130°~134°の範囲の外角β(図6参照)を有することが好ましい。
【0070】
本発明に関連して、外角βは、三叉断面の隣接する先端の軸に対する1つの先端の軸の関係を定義し、それによって角が形成される。本発明によれば、各角は、特に特定の半径を有する円の弧によって丸みを帯びている。
【0071】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記三叉断面の各角が、互いに独立して、0.65~1.25mmの範囲、より好ましくは0.75~1.15mmの範囲、さらに好ましくは0.85~1.05mmの範囲、よりさらに好ましくは0.90~1.00mmの範囲の半径を有する円の弧によって丸みを帯びることが好ましい。
【0072】
さらに、担持銅触媒が、高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体の形態である場合、前記成形体の高さHが、3.0~11.0mmの範囲、より好ましくは3.5~10.5mmの範囲、さらに好ましくは4.5~9.5mmの範囲、より好ましくは5.5~8.5mmの範囲、さらに好ましくは6.5~7.5mmの範囲であることが好ましい。
【0073】
本発明はまた、CO含有合成ガスをメタノールに転換する方法であって、
(A)本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかによる担持銅触媒を提供すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~350℃の範囲の温度、好ましくは230~260℃の範囲の温度で、(A)において提供された担持銅触媒を(B)において調製されたガス混合物と接触させること
を含む方法にも関する。
【0074】
(B)における接触が、1~100baraの範囲、好ましくは40~85baraの範囲、より好ましくは70~82baraの範囲、さらに好ましくは74~81baraの範囲の圧力で実行されることが好ましい。
【0075】
(B)で調製されたガス混合物が、10~24体積%、好ましくは11~20体積%、より好ましくは12~19体積%、さらに好ましくは15~18体積%のCOを含むことが好ましい。
【0076】
(B)で調製されたガス混合物が、0.5~7体積%、好ましくは0.8~4体積%、より好ましくは1~2体積%のCOを含むことが好ましい。
【0077】
(B)で調製されたガス混合物が、2~20、好ましくは3~17、より好ましくは5~15、さらに好ましくは7~13の範囲のCO:COモル比を示すことが好ましい。
【0078】
(B)で調製されたガス混合物が、50~90体積%、好ましくは55~87体積%、より好ましくは60~85体積%、さらに好ましくは65~83体積%のHを含むことが好ましい。
【0079】
(B)で調製されたガス混合物が、0.1~40体積%、好ましくは0.3~30体積%、より好ましくは0.5~25体積%、さらに好ましくは0.8~20体積%、さらに好ましくは1~15体積%の不活性ガスを含むことが好ましい。
【0080】
(B)で調製されたガス混合物が0.1~40体積%の不活性ガスを含む場合、不活性ガスが希ガス及び窒素ガスからなる群から選択される、好ましくはHe、Ar、Ne、CH及びNからなる群から選択される、より好ましくはAr、CH、Nからなる群から選択される1種若しくは複数種のガスを含むことが好ましく、さらに好ましくは不活性ガスがCH及びNを含み、よりさらに好ましくは不活性ガスがCH及びNである。
【0081】
本発明はまた、合成ガスをジメチルエーテルに転換する方法であって、
(A)本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかによる担持銅触媒を酸性共触媒と混合すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~300℃、好ましくは250~270℃の範囲の温度で、(A)において提供された触媒混合物を(B)において調製されたガス混合物と接触させること
を含む方法に関する。
【0082】
本発明の意味において、酸性共触媒とは、酸性部位を含む固体触媒である。原則として、メタノールのジメチルエーテルへの脱水を触媒するために適切であれば、酸部位を含むいずれの固体触媒も使用されてよい。本発明によれば、酸性共触媒が、欧州特許出願公開第3727681A1号明細書に開示された特定の又は好ましい実施形態のいずれかによるメタノール-ジメチルエーテル触媒粒子を含むか又はそれからなる触媒、すなわち、以下からなる群から選択される触媒活性成分を含むメタノール-ジメチルエーテル触媒粒子を含むか又はそれからなる触媒であることが好ましい。
(i)酸性アルミシリケート、シリケート、ゼオライト、ガンマ-アルミナなどの酸化アルミニウム又はそれらの混合物、
(ii)触媒活性成分を基準として0.1~20重量%のニオブ、タンタル、リン若しくはホウ素を含有する酸性水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム及びガンマ-酸化アルミニウム、又はそれらの混合物、或いは
(iii)酸性酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、リン酸アルミニウム、リン酸ニオブ、又はそれらの混合物。
ここで、メタノール-ジメチルエーテル触媒粒子は、さらに、少なくとも1種の遷移金属を含み、欧州特許出願公開第3727681A1号明細書の特許請求の範囲及び明細書に開示されているような、その任意の好ましい又は特に好ましい実施形態が含まれる。
【0083】
(B)における接触が、1~100baraの範囲、好ましくは50~85baraの範囲、より好ましくは60~75baraの範囲の圧力で実行されることが好ましい。
【0084】
(B)で調製されたガス混合物は、25体積%以下、好ましくは2~15体積%、より好ましくは3~10体積%、さらに好ましくは4~6体積%のCOを含むことが好ましい。
【0085】
(B)で調製されたガス混合物が、2~30体積%、好ましくは5~29体積%、より好ましくは10~28体積%、さらに好ましくは20~27体積%、よりさらに好ましくは24~26体積%のCOを含むことが好ましい。
【0086】
(B)で調製されたガス混合物が、5以下、好ましくは0.05~2の範囲、より好ましくは0.05~1の範囲、より好ましくは0.1~0.5、さらに好ましくは0.15~0.25の範囲のCO:COモル比を示すことが好ましい。
【0087】
(B)で調製されたガス混合物が、30~70体積%、好ましくは40~65体積%、より好ましくは50~60体積%のHを含むことが好ましい。
【0088】
(B)で調製されたガス混合物が、1~30体積%、好ましくは5~25体積%、より好ましくは10~20体積%の不活性ガスを含むことが好ましい。
【0089】
(B)で調製されたガス混合物が1~30体積%の不活性ガスを含む場合、不活性ガスが希ガス及び窒素ガスからなる群から選択される、好ましくはHe、Ar、Ne、CH及びNからなる群から選択される1種若しくは複数種のガスを含むことが好ましく、さらに好ましくは不活性ガスがCH及びNを含み、よりさらに好ましくは不活性ガスがNである。
【0090】
本発明はまた、メタノールの改質、CO含有合成ガスのメタノールへの転換、ジメチルエーテルの改質、及び合成ガスのジメチルエーテルへの転換における、逆水-ガスシフト触媒としての、本発明の特定の及び好ましい実施形態のいずれかによる担持銅触媒の使用に関する。
【0091】
単位baraは、1barが10Paに相当する絶対圧を意味する。
【0092】
本発明を、示される従属関係及び後方参照から得られる下記の一連の実施形態及び実施形態の組み合わせによってさらに例示する。特に、例えば「実施形態(1)~(4)のいずれか1つ」などの用語に関連して実施形態の範囲が言及される各例において、この範囲中の全ての実施形態が当業者に明示的に開示されていることを意味し、すなわち、この用語の語法は、「実施形態(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれか1つ」と同義であると当業者に理解されるべきであることに留意されたい。さらに、下記の一連の実施形態は、保護の範囲を規定する一連の請求項ではなく、本発明の一般的態様及び好ましい態様を対象とする本明細書の好ましい構成がなされた一部を表すことに明示的に留意されたい。
【0093】
1.
(i)1種若しくは複数種の銅含有化合物、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物、及び1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物を含み、pHは0~5の範囲、好ましくは0~4の範囲、より好ましくは0.5~3.5の範囲、さらにより好ましくは0.5~3の範囲、さらにより好ましくは1~2.5の範囲、さらにより好ましくは1~2の範囲である、第1の水溶液S1を調製すること;
(ii)pHは8.5~12の範囲、好ましくは8.5~11の範囲、より好ましくは8.5~10.5の範囲、さらに好ましくは8.5~10の範囲、さらにより好ましくは8.5~9.5の範囲の値に調整される、第2の水溶液S2を調製すること;
(iii)撹拌下S1をS2に投入することを含み、前記投入の間、前記投入から得られる水性混合物MのpHは8~10の範囲、好ましくは8.5~9.5の範囲に保持され、より好ましくはpHは9±0.2のpHに保持される、水中に懸濁させた固体を含む水性混合物Mを調製すること;
(iv)1時間~12時間の範囲、好ましくは1時間~6時間の範囲、より好ましくは1.5時間~3時間の範囲、さらに好ましくは2時間~2.5時間の範囲の時間で(iii)から得られた水性混合物Mを老化すること;並びに
(v)(iv)から得られた水性混合物から固体を分離すること
を含む、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体、好ましくは実施形態31~39のいずれか一項に記載の触媒前駆体を調製するためのプロセスであって、
1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、(ii)によるS2の調製のために添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、(iv)によるMの老化の間にMに添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、(ii)によるS2の調製のために添加され、且つ1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、(iv)によるMの老化の間に混合物Mに添加される、プロセス。
【0094】
2.(i)における1種若しくは複数種の銅含有化合物は、1種若しくは複数種の銅塩、好ましくは1種若しくは複数種のCu(II)塩であり、1種若しくは複数種の銅塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸、炭酸水素、硫酸、硫酸水素、水酸化物、硝酸、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素、硫酸水素、硝酸、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種の銅塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種の銅含有化合物は硝酸銅(II)を含み、より好ましくは、1種若しくは複数種の銅含有化合物は硝酸銅(II)である、実施形態1に記載のプロセス。
【0095】
3.(i)における1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物は、1種若しくは複数種の亜鉛塩、好ましくは1種若しくは複数種のZn(II)塩であり、1種若しくは複数種の亜鉛塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸、炭酸水素、硫酸、硫酸水素、水酸化物、硝酸、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素、硫酸水素、硝酸、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種の亜鉛塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物は硝酸亜鉛(II)を含み、より好ましくは、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物は硝酸亜鉛(II)である、実施形態1又は2に記載のプロセス。
【0096】
4.(i)における1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物は、1種若しくは複数種のアルミニウム塩であり、1種若しくは複数種のアルミニウム塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、硫酸、水酸化物、硝酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硫酸、水酸化物、硝酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種のアルミニウム塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物は硝酸アルミニウムを含み、より好ましくは、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物は硝酸アルミニウムである、実施形態1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【0097】
5.(i)における1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物は、1種若しくは複数種のジルコニウム塩及び/又はジルコニル塩、好ましくは1種若しくは複数種のZr(IV)塩であり、1種若しくは複数種のジルコニウム塩及び/又はジルコニル塩のアニオンは、好ましくは、ハロゲン化物、炭酸、炭酸水素、硫酸、硫酸水素、水酸化物、硝酸、リン酸、リン酸水素、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、臭化物、フッ化物、炭酸水素、硫酸水素、硝酸、リン酸二水素、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、塩化物、フッ化物、硝酸、酢酸、及びそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択され、
より好ましくは、1種若しくは複数種のジルコニウム塩及び/又はジルコニル塩のアニオンは、塩化物及び/又は硝酸、好ましくは硝酸であり、
より好ましくは、1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物は、硝酸ジルコニウム(IV)及び/又は硝酸ジルコニルを含み、より好ましくは、1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物は、硝酸ジルコニウム(IV)及び/又は硝酸ジルコニル、好ましくは硝酸ジルコニウム(IV)である、実施形態1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【0098】
6.互いに独立して、(ii)及び(iv)の1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、シリケートからなる群から、好ましくはケイ酸塩からなる群から、より好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩及びそれらの混合物からなる群から選択され、アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs及びそれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくは、Li、Na、K及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、アルカリ金属は、Na及び/又はK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、ケイ酸ナトリウム、好ましくはナトリウム水ガラス、より好ましくは、NaSiOを含み、より好ましくは1種若しくは複数種のケイ素含有化合物は、ケイ酸ナトリウム、好ましくはナトリウム水ガラス、より好ましくはNaSiOである、実施形態1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【0099】
7.(i)において、Cu、Zn、Al及びZrは、S1中にそれぞれ塩として、好ましくは硝酸塩として含まれる、実施形態1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【0100】
8.(i)から得られる溶液S1は、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~3)、さらに好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~1.6)のCu:Zn:Al:Zrモル比を示す、実施形態1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【0101】
9.(iii)において、水性混合物MのpHは、第3の水溶液S3を水性混合物Mに計量することによってpH範囲に保持され、S3のpHは、S2のpH以上であり、S3のpHは、好ましくは11~14、より好ましくは12~14、より好ましくは13~14の範囲である、実施形態1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【0102】
10.S3は、ブロンステット塩基及びルイス塩基からなる群から選択される1種若しくは複数種の塩基を含み、1種若しくは複数種の塩基は、無機塩基及び有機塩基からなる群から選択され、より好ましくは、無機塩基の群から選択され、好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、水酸化物、カーボネート、アルミネート、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルミン酸塩、及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
アルカリ金属は、好ましくは、Li、Na、K、Rb、Cs及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、Li、Na、K及びそれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、
より好ましくは、アルカリ金属は、Na及び/又はK、好ましくはNaであり、
より好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、炭酸ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含み、より好ましくは、1種若しくは複数種の塩基は、炭酸ナトリウム及び/又は水酸化ナトリウム、好ましくは炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムである、実施形態9に記載のプロセス。
【0103】
11.(iii)における添加は、連続的又は断続的に、好ましくは連続的に実行される、実施形態1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【0104】
12.水性混合物MのpHを(iii)のpH範囲に保持するために、水性混合物MのpHは半連続的又は連続的にモニターされ、好ましくは連続的にモニターされる、実施形態1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【0105】
13.(iii)における撹拌(agitation)は撹拌(stirring)によって達成される、実施形態1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【0106】
14.(iv)における老化は、5~75℃、好ましくは15~70℃、より好ましくは25~65℃、より好ましくは40~60℃、より好ましくは45~55℃の範囲の温度で実行される、実施形態1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【0107】
15.(iv)において、ナトリウム水ガラスは、0.5~11.5時間の範囲の老化期間の後に添加され、好ましくは、ナトリウム水ガラスは、1時間の老化期間の後に任意選択的に添加される、実施形態1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【0108】
16.(iii)から得られる水性混合物M又は(iv)から得られる老化された水性混合物は、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5):(0.3~4.5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~3):(0.8~4)、より好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~1.6):(1.2~3.6)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siモル比を示す、実施形態1~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【0109】
17.(v)における分離は濾過によって達成される、実施形態1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【0110】
18.プロセスは、
(vi)(v)から得られる固体を洗浄すること;及び/又は、好ましくは、及び
(vii)(v)又は(vi)から得られる固体を、好ましくは80~150℃、好ましくは90~140℃、より好ましくは105~130℃、さらに好ましくは115~125℃の範囲の温度で乾燥すること
をさらに含む、実施形態1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【0111】
19.(vi)における洗浄は脱イオン水で実行される、実施形態18に記載のプロセス。
【0112】
20.(vii)における乾燥は、1時間~48時間の範囲、好ましくは6時間~36時間の範囲、より好ましくは12時間~30時間の範囲、さらに好ましくは18時間~24時間の範囲の時間で実行される、実施形態18又は19に記載のプロセス。
【0113】
21.プロセスは、
(ix)(v)、(vi)又は(vii)から得られる固体を、好ましくは400~750℃の範囲、好ましくは500~700℃の範囲、より好ましくは550~650℃の範囲の温度で焼成すること
をさらに含む、実施形態1~20のいずれか一項に記載のプロセス。
【0114】
22.(ix)における焼成は、0.5~12時間、好ましくは1~6時間、より好ましくは1.5~2.5時間の範囲の時間で実行される、実施形態21に記載のプロセス。
【0115】
23.(ix)における焼成は、酸素を含む雰囲気中、好ましくは空気を含む雰囲気中で実行され、より好ましくは(ix)における焼成は空気中で実行される、実施形態21又は22に記載のプロセス。
【0116】
24.好ましくは、実施形態1~23のいずれか一項に記載のプロセスに従って得ることができるか又は得られた、実施形態31~39のいずれか一項による、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体。
【0117】
25.Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒、好ましく実施形態40~46のいずれか一項による担持銅触媒の調製のためのプロセスであって、触媒は元素状銅を含み、
(1)実施形態21~23のいずれか一項に記載のプロセスに従って、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体を調製すること;
(2)担持銅触媒を得るために、水素を含む雰囲気中で、(1)から得られた触媒前駆体を還元すること
を含むプロセス。
【0118】
26.(2)の還元は、150~350℃、好ましくは170~300℃、より好ましくは170~230℃の範囲の温度で実行される、実施形態25に記載のプロセス。
【0119】
27.(2)の雰囲気は、0.25~80体積%のH、好ましくは0.5~50体積%のH、より好ましくは0.5~30体積%のH、さらに好ましくは1~10体積%のH、よりさらに好ましくは2~5体積%のHを含む、実施形態25又は26に記載のプロセス。
【0120】
28.(2)の雰囲気は99.75~20体積%の不活性ガスを含み、より好ましくは99.5~50体積%、さらに好ましくは99.5~70体積%、さらに好ましくは99~90体積%、さらに好ましくは98~95体積%を含む、実施形態25~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【0121】
29.不活性ガスは、希ガス、窒素ガス及びメタンからなる群から選択される、好ましくはHe、Ar、Ne、N及びCHからなる群から選択される1種若しくは複数種のガスを含み、より好ましくは不活性ガスはNを含み、さらに好ましくは不活性ガスはNである、実施形態28に記載のプロセス。
【0122】
30.好ましくは、実施形態25~29のいずれか一項に記載のプロセスに従って得ることができるか又は得られた、実施形態40~46のいずれか一項による、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒であって、触媒は元素状銅を含む担持銅触媒。
【0123】
31.好ましくは、実施形態1~23のいずれか一項に記載のプロセスに従って得ることができるか又は得られた、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体であって、5:1~27:1の範囲、好ましくは5.5:1~25:1の範囲、より好ましくは6:1~20:1の範囲、より好ましくは6.5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは7.5:1~10:1の範囲、より好ましくは8:1~9:1の範囲のZn:Si原子比を示す、触媒前駆体。
【0124】
32.触媒前駆体は、Cu、Zn及びAlのうちの2種以上、好ましくはCu、Zn、Al及びZrのうちの2種以上を含む1種若しくは複数種のヒドロキシ炭酸塩混合酸化物を含み、より好ましくは、触媒前駆体は、Cu、Zn及びAl、好ましくはCu、Zn、Al及びZrのうちの1種若しくは複数種のヒドロキシ炭酸塩混合酸化物を含む、実施形態31に記載の触媒前駆体。
【0125】
33.触媒前駆体はCuOを含む、実施形態31又は32に記載の触媒前駆体。
【0126】
34.触媒前駆体は、Zr変性CuZnAl(OH)16CO、好ましくはZr変性CuZnAl(OH)16CO・4HOを含み、Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、CuZnAl(OH)16COのX線回折図と比較して、より高い°2θ値にシフトしており、Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、11~13.5°2θの範囲に位置し、X線回折図は、好ましくは参考例2に従って決定される、実施形態31~33のいずれか一項に記載の触媒前駆体。
【0127】
35.触媒前駆体は、Cu、Zn、Al、Zr、及びSiの1種若しくは複数種の酸化物を含み、触媒前駆体は、好ましくは、CuO、ZnO、ZnAl、及びCuAlからなる群から選択される1種若しくは複数種の酸化物を含み、より好ましくは、触媒前駆体は、CuO、ZnO、及びZnAl、又はCuO、ZnO及びCuAl、又はCuO、ZnO、ZnAl及びCuAlを含む、好ましくは、実施形態21~23のプロセスに従って得ることができるか又は得られた、実施形態31に記載の触媒前駆体。
【0128】
36.触媒前駆体は、酸化物CuOとして計算され、触媒前駆体中に含まれる、CuO、ZnO、Al、ZrO及びSiOとして計算されるCu、Zn、Al、Zr及びSiの酸化物の重量の合計に基づいて、50~70重量%の範囲の量のCuOを含み、好ましくは、触媒前駆体は、55~65重量%、より好ましくは58~62重量%の範囲の量でCuOを含む、実施形態35に記載の触媒前駆体。
【0129】
37.触媒前駆体はSiOを含む、実施形態35又は36に記載の触媒前駆体。
【0130】
38.触媒前駆体は、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5):(0.3~4.5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~4):(0.8~4)、より好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~3):(1.2~3.6)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siモル比を示す、実施形態31~37のいずれか一項に記載の触媒前駆体。
【0131】
39.触媒前駆体の95~100重量%、より好ましくは97~100重量%、さらに好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、さらに好ましくは99.5~100重量%、さらに好ましくは99.9~100重量%がCu、Zn、Al、Zr、Si及びOからなる、実施形態31~38のいずれか一項に記載の触媒前駆体。
【0132】
40.触媒は元素状銅を含み、触媒は、5:1~27:1の範囲、好ましくは5.5:1~25:1の範囲、より好ましくは6:1~20:1の範囲、より好ましくは6.5:1~15:1の範囲、より好ましくは7:1~12:1の範囲、より好ましくは7.5:1~10:1の範囲、より好ましくは8:1~9:1の範囲のZn:Si原子比を示す、好ましくは、実施形態25~29のプロセスに従って得ることができるか又は得られた、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒。
【0133】
41.担持銅触媒は、Zn、Al、Zr及びSiの1種若しくは複数種の酸化物を含み、担持銅触媒は、好ましくは、ZnO、ZnAl及びCuAlからなる群から選択される1種若しくは複数種の酸化物を含み、より好ましくは、担持銅触媒は、ZnO及びZnAl、又はZnO及びCuAl、又はZnO、ZnAl、及びCuAlを含む、実施形態40に記載の担持銅触媒。
【0134】
42.担持銅触媒は、130m/g以下のBET表面積を示し、好ましくは、60~130m/gの範囲のBET表面積を示し、BET表面積は、参考例1に従って決定される、実施形態40又は41に記載の担持銅触媒。
【0135】
43.担持銅触媒は、5~15m/g、好ましくは10~13m/gの範囲の銅表面積を示し、
銅表面積は、参考例3に従って決定される、実施形態40~42のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0136】
44.担持銅触媒はSiOを含む、実施形態40~43のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0137】
45.担持銅触媒は、(40~65):(10~25):(15~40):(0.2~10):(0.1~5)、好ましくは(45~62):(13~23):(18~35):(0.5~5):(0.3~4.5)、より好ましくは(50~59):(15~21):(22~30):(1~4):(0.8~4)、より好ましくは(55~56):(17~19):(25~26):(1.4~3):(1.2~3.6)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siモル比を示す、実施形態40~44のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0138】
46.担持銅触媒の95~100重量、好ましくは97~100重量%、より好ましくは98~100重量%、さらに好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%%はCu、Zn、Al、Zr、Si及びOからなる、実施形態40~45のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0139】
47.高さHを有し、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体である、実施形態40~46のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0140】
48.先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面の先端基部bは、2.00~2.60mmの範囲、好ましくは2.10~2.50mmの範囲、より好ましくは2.20~2.40mmの範囲、さらに好ましくは2.25~2.35mmの範囲である、実施形態47の担持銅触媒。
【0141】
49.先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面の先端高さiは、2.55~3.15mmの範囲、好ましくは2.65~3.05mmの範囲、より好ましくは2.75~2.95mmの範囲、さらに好ましくは2.80~2.90mmの範囲である、実施形態47又は48に記載の担持銅触媒。
【0142】
50.先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面の高さhは、5.40~6.00mmの範囲、好ましくは5.50~5.90mmの範囲、より好ましくは5.60~5.80mmの範囲、さらに好ましくは5.65~5.75mmの範囲である、実施形態47~49のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0143】
51.先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面のコード長kは、6.00~6.60mmの範囲、好ましくは6.10~6.50mmの範囲、より好ましくは6.20~6.40mmの範囲、さらに好ましくは6.25~6.35mmの範囲である、実施形態47~50のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0144】
52.先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面は、5~19°の範囲、好ましくは8~16°の範囲、より好ましくは10~14°の範囲、さらに好ましくは11~13°の範囲の内角αを有する、実施形態47~51のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0145】
53.三叉断面の各先端が、互いに独立して、0.65~1.25mmの範囲、好ましくは0.75~1.15mmの範囲、より好ましくは0.85~1.05mmの範囲、さらに好ましくは0.90~1.00mmの範囲の半径を有する円の弧によって丸みを帯びる、実施形態47~52のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0146】
54.三叉断面の幾何学的中心Cと三叉断面の各先端との間の距離が、互いに独立して、2.0~5.0mmの範囲、好ましくは2.7~4.3mmの範囲、より好ましくは3.2~3.8mmの範囲、さらに好ましくは3.4~3.6mmの範囲である、実施形態47~53のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0147】
55.先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面が、125°~155°の範囲、好ましくは135°~145°の範囲、より好ましくは127°~137°の範囲、さらに好ましくは130°~134°の範囲の外角βを有する、実施形態47~54のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0148】
56.三叉断面の各角が、互いに独立して、0.65~1.25mmの範囲、好ましくは0.75~1.15mmの範囲、より好ましくは0.85~1.05mmの範囲、さらに好ましくは0.90~1.00mmの範囲の半径を有する円の弧によって丸みを帯びる、実施形態47~55のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0149】
57.成形体の高さHが、3.0~11.0mmの範囲、好ましくは3.5~10.5mmの範囲、より好ましくは4.5~9.5mmの範囲、さらに好ましくは5.5~8.5mmの範囲、よりさらに好ましくは6.5~7.5mmの範囲である、実施形態47~56のいずれか一項に記載の担持銅触媒。
【0150】
58.CO含有合成ガスをメタノールに転換する方法であって、
(A)実施形態30又は40又は46のいずれか一項による担持銅触媒を提供すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~350℃の範囲の温度、好ましくは230~260℃の範囲の温度で、(A)において提供された担持銅触媒を(B)において調製されたガス混合物と接触させること
を含む方法。
【0151】
59.(B)における接触は、1~100baraの範囲、好ましくは40~85baraの範囲、より好ましくは70~82baraの範囲、さらに好ましくは74~81baraの範囲の圧力で実行される、実施形態58に記載の方法。
【0152】
60.(B)で調製されたガス混合物は、10~24体積%、好ましくは11~20体積%、より好ましくは12~19体積%、さらに好ましくは15~18体積%のCOを含む、実施形態58又は59に記載の方法。
【0153】
61.(B)で調製されたガス混合物は、0.5~7体積%、好ましくは0.8~4体積%、より好ましくは1~2体積%のCOを含む、実施形態58~60のいずれか一項に記載の方法。
【0154】
62.(B)で調製されたガス混合物は、2~20、好ましくは3~17、より好ましくは5~15、さらに好ましくは7~13の範囲のCO:COモル比を示す、実施形態58~61のいずれか一項に記載の方法。
【0155】
63.(B)で調製されたガス混合物は、50~90体積%、好ましくは55~87体積%、より好ましくは60~85体積%、さらに好ましくは65~83体積%のHを含む、実施形態58~62のいずれか一項に記載の方法。
【0156】
64.(B)で調製されたガス混合物は、0.1~40体積%、好ましくは0.3~30体積%、より好ましくは0.5~25体積%、さらに好ましくは0.8~20体積%、さらに好ましくは1~15体積%の不活性ガスを含む、実施形態58~63のいずれか一項に記載の方法。
【0157】
65.不活性ガスは希ガス及び窒素ガスからなる群から選択される、好ましくはHe、Ar、Ne、CH及びNからなる群から選択される、より好ましくはAr、CH、Nからなる群から選択される1種若しくは複数種のガスを含み、さらに好ましくは不活性ガスはCH及びNを含み、よりさらに好ましくは不活性ガスはCH及びNである、実施形態64に記載の方法。
【0158】
66.合成ガスをジメチルエーテルに転換する方法であって、
(A)実施形態30又は40~57のいずれか一項に記載の担持銅触媒を酸性共触媒と混合すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~300℃、好ましくは250~270℃の範囲の温度で、(A)において提供された触媒混合物を(B)において調製されたガス混合物と接触させること
を含む方法。
【0159】
67.(B)における接触は、1~100baraの範囲、好ましくは50~85baraの範囲、より好ましくは60~75baraの範囲の圧力で実行される、実施形態66に記載の方法。
【0160】
68.(B)で調製されたガス混合物は、25体積%以下、好ましくは2~15体積%、より好ましくは3~10体積%、さらに好ましくは4~6体積%のCOを含む、実施形態66又は67に記載の方法。
【0161】
69.(B)で調製されたガス混合物は、2~30体積%、好ましくは5~29体積%、より好ましくは10~28体積%、さらに好ましくは20~27体積%、よりさらに好ましくは24~26体積%のCOを含む、実施形態66~68のいずれか一項に記載の方法。
【0162】
70.(B)で調製されたガス混合物は、5以下、好ましくは0.05~2の範囲、より好ましくは0.05~1の範囲、より好ましくは0.1~0.5、さらに好ましくは0.15~0.25の範囲のCO:COモル比を示す、実施形態66~69のいずれか一項に記載の方法。
【0163】
71.(B)で調製されたガス混合物は、30~70体積%、好ましくは40~65体積%、より好ましくは50~60体積%のHを含む、実施形態66~70のいずれか一項に記載の方法。
【0164】
72.(B)で調製されたガス混合物は、1~30体積%、好ましくは5~25体積%、より好ましくは10~20体積%の不活性ガスを含む、実施形態66~71のいずれか一項に記載の方法。
【0165】
73.不活性ガスは、希ガス及び窒素ガスからなる群から選択される、好ましくはHe、Ar、Ne、CH及びNからなる群から選択される1種若しくは複数種のガスを含み、さらに好ましくは不活性ガスがCH及びNを含み、よりさらに好ましくは不活性ガスがNである、実施形態72に記載の方法。
【0166】
74.メタノールの改質、CO含有合成ガスのメタノールへの転換、ジメチルエーテルの改質、及び合成ガスのジメチルエーテルへの転換における、逆水-ガスシフト触媒としての、実施形態30又は40~57のいずれか一項に記載の担持銅触媒の使用。
【0167】
本発明を下記の参考実施例、実施例及び比較実施例によってさらに例示する。
【実施例
【0168】
温度、pH及び溶液の投入量を完全に制御した撹拌反応容器中で試料を合成した。
【0169】
参考例1.BET比表面積の決定
BET比表面積は、DIN66131に開示された方法に従って、77Kで窒素物理吸着により決定した。
【0170】
参考例2:粉末X線回折及び結晶化度の決定
40kV及び40mAで動作する銅陽極X線管で操作されるLYNXEYE検出器を備えた回折計(D8 Advance Series II,Bruker AXS GmbH)を用いて粉末X線回折(PXRD)データを収集した。幾何学的配置は、Bragg-Brentanoであり、空気散乱は、空気散乱シールドを使用して低減させた。
【0171】
結晶化度の計算:試料の結晶化度を、Bruker AXS GmbH(Karlsruhe)により提供されるソフトウェアDIFFRAC.EVAを用いて、ユーザーマニュアルの121ページに記載される方法に従い決定した。計算のためのデフォルトパラメーターを使用した。
【0172】
相組成の計算:相組成を、Bruker AXS GmbHにより提供されるモデリングソフトウェアDIFFRAC.TOPASを用いて、生データに対して計算した(User Manual for DIFFRAC.TOPAS Version 6,2017,Bruker AXS GmbH,Karlsruhe)。特定された相の結晶構造、機器パラメーター及び個々の相の結晶サイズを用いて、回折パターンをシミュレートした。これを、バックグラウンド強度をモデリングする機能に加えて、データに対して適合させた。
【0173】
データ収集:試料を乳鉢内で均質化させ、続いてBragg-Brentano幾何学的配置データ収集のために、Bruker AXS GmbHにより提供される標準の平坦な試料ホルダ内に圧入した。平坦な表面は、ガラスプレートを用いて、試料粉末を圧縮して平坦化することで得た。データを、角度範囲2~70°2θから0.02°2θのステップサイズで収集し、可変発散スリットは、0.1°の角度に設定した。結晶質含有量は、合計発散強度に対する結晶質信号の強度を示す。
【0174】
参考例3:Cu表面積の決定
Cu表面積は、欧州特許出願公開第0202824A号明細書に開示された方法に従って、NOを用い、25℃でパルス法により決定した。
【0175】
参考例4:調製した触媒の概要
【0176】
【表1】
【0177】
実施例I:投入前にSiO源が沈殿反応器中に添加される、CuO/ZnO/Al/ZrO/SiOを含む担持Cu触媒の調製
脱塩水(1000g)を反応容器に充填し、目標温度(15~45℃)にした。脱塩水に、適量のナトロン水ガラス(SiOとして計算されたSiが26重量%の水溶液1~60g)を添加した。pHを9に調整し、共沈を開始した。連続撹拌下、Cu、Zn、Al及びZrの酸性金属硝酸塩溶液(3,100g、密度1.4kg/l、組成は表1を参照)を投入した。並行して、NaCO(0.3M)と混合したNaOH(2M)の塩基水溶液(11,000g)を添加し、pH値を9に維持した。全共沈プロセスの間、pH及び温度を一定に保持した。溶液を完全に投入した後、得られた懸濁液を撹拌下、50℃で2時間老化させた。その後、懸濁液をろ過し、残留固体(700~800g)を洗浄した。洗浄した固体を120℃で一晩乾燥させ、最終的に触媒前駆体を得た。この前駆体を合成空気(21体積%O/79体積%N)下、600℃で焼成した。得られた金属酸化物粉末を黒鉛質バインダーと混合し、次いで打錠した。
【0178】
実施例II:SiO源が老化の間に添加される、CuO/ZnO/Al/ZrO/SiOを含む担持Cu触媒の調製
脱塩水(1000g)を反応容器に充填し、目標温度(15~45℃)にした。pHを9に調整し、共沈を開始した。連続撹拌下、Cu、Zn、Al及びZrの酸性金属硝酸塩溶液(3100g、密度1.4kg/l、組成は表1を参照)を投入した。並行して、NaCO(0.3M)と混合したNaOH(2M)の塩基水溶液(11,000g)を添加し、pH値を9に維持した。全共沈プロセスの間、pH及び温度を一定に保持した。溶液を完全に投入した後、得られた懸濁液を撹拌下、50℃で2時間老化させた。1時間老化後、適量のナトロン水ガラス(SiOとして計算されたSiが26重量%の水溶液1~60g)を添加した。その後、懸濁液をろ過し、残留固体(700~800g)を洗浄した。洗浄した固体を120℃で一晩乾燥させ、最終的に触媒前駆体を得た。この前駆体を合成空気(21体積%O/79体積%N)下、600℃で焼成した。得られた金属酸化物粉末を黒鉛質バインダーと混合し、次いで打錠した。
【0179】
実施例III:CO、CO及びHからのメタノール合成における触媒試験
最初に触媒を還元性雰囲気(Ar中5%のH)、250℃までの温度で活性化した。活性化が完了したら、圧力を80baraまで上昇させ、試験プロトコルを開始した。試験されたCOリッチ合成ガスは、15体積%のCO、2体積%のCO、73体積%のH、残りはNで構成され、6000~12000h-1の範囲のガス時空間速度(GHSV)で供給された。H及びCOの供給流がメイクアップガスとして適用され、COが副反応として逆水-ガスシフトの寄与によりリサイクル中に蓄積されるプロセスをシミュレートするために、2体積%のCOの含有量を選択した(式3参照)。
【0180】
100時間及び200時間のタイムオンストリーム(time on stream)(TOS)に設定した基準点の間に、急速老化ステップ(36時間滞留)が含まれた。これは、260℃及びGHSV12000h-1でH(60体積%)中、化学量論下でCO(30体積%)がリッチであると定義され、残部はNであった。急速老化実験後の基準点は、失活、特に使用された触媒の安定性をモニターするために重要であった。触媒は400~500ミクロンの篩フラクションとして試験された。
【0181】
表2は、ZnO:SiO重量比に対応する相対空時収量(STY)値と、急速老化前後の活性の差(%)を示す。負の値は失活、正の値は活性化に対応する。さらに、NO表面積を記載する(欧州特許出願公開第0202824A号明細書による測定法、25℃でのパルス法)。
【0182】
【表2】
【0183】
表2に示す結果から分かるように、本発明による触媒は、このように特定のZn対Si原子比を有し、非常に良好な空時収量を示し、また比較的低い活性低下を示す。
【0184】
実施例IV:CO、CO及びHからのジメチルエーテルの直接合成における触媒試験
実施例16による触媒を一段階DME合成に適用した。この触媒は、MeOHからDMEへの脱水のための酸性共触媒(欧州特許出願公開第3727681A1号明細書によるゼオライト型触媒)と混合された。活性化プロトコルは実施例IIIと同じであった。実験は、63bara、温度220~280℃で実行され、COリッチ合成ガス(50体積%のH、25体積%のCO、5体積%のCO、残部N)をGHSV3000h-1で供給した。
【0185】
触媒試験の結果を図4A及び4Bに示す。図4Aから明らかなように、実施例16による触媒は、90%をわずかに下回る高いCO転換率を示した。プロセス開始後、CO転換率はプロセス中に絶えず上昇し、約92%まで上昇した。
【0186】
図4Bから明らかであるように、実施例16による触媒は、ジメチルエーテルに対して高い選択性を示した。特に、ジメチルエーテルに対する選択性は、プロセス開始直後に約63%であり、約64%までわずかに増加した。さらに、COに対する選択性は、プロセス開始直後は約27%のみであったが、その後26%に減少した。一方、MeOHに対する選択性は、プロセス開始直後は約8%であったが、その後約10%まで上昇した。全体として、この触媒は長いTOSにわたって活性化し、DMEに対する選択性を向上させた。
【0187】
以上のことをまとめると、実施例16による触媒は、CO及びCO2の安定した転換率、並びにジメチルエーテル、CO2及びMeOHに対する安定した選択性によって示されるように、非常に優れた性能を示すことが判明した。したがって、実施例16による触媒は改良された触媒であり、特に220~280℃の範囲の温度及び63baraの圧力の厳しい条件下で良好な試験結果を示すことが示された。また、実施例16による触媒は、CO及びHOの高い分圧に耐えることができることが示された。したがって、本発明触媒は、高分圧のCOが反応器供給物の一部であるか(式2及び3を参照)、又はHOが副生成物として特に濃縮される(式4を参照)、CO又はCOリッチの合成ガスの水素化反応に適用可能である。
【0188】
実施例V:錠剤及び成形体の圧力損失の評価
背圧に対する2つの異なる成形体の形状の影響を評価するために、CFDシミュレーションを実施した。
【0189】
先行技術を代表する形状として、直径6mm及び高さ4mmの錠剤をシミュレーションに使用した。前記錠剤は、金属酸化物粉末を黒鉛質バインダーと混合し、次いで打錠することによって調製できる成形体を示す。
【0190】
本発明による形状については、先端が丸みを帯び、角が丸みを帯びた三叉断面を有する成形体をシミュレーションに使用した。前記成形体は、本発明による金属酸化物粉末を黒鉛質バインダーと混合し、成形体に成形することによって調製することができた。
【0191】
錠剤並びに成形体に関してCFDシミュレーションにより触媒試験を実行した。
【0192】
圧力降下Δp(Pa/m)及び相対圧力降下は以下のように計算された:
Δp=(pin-pout)/H、及び
相対Δp=Δp/Δpref。
【0193】
錠剤の圧力損失は1であり、成形体では0.55であることが分かった。
【0194】
その結果、前記成形体は、同レベルの背圧で、かなり高いガス時空間速度を可能にすることが分かった。
【0195】
引用された先行技術
- Wu et al.Catalysis Today 1998,vol.45,p.215-220
- 米国特許第6048820号明細書
- 欧州特許出願公開第2857095A1号明細書
- 国際公開第2020/212681A1号パンフレット
- 欧州特許出願公開第3727681A1号明細書
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含み、元素状銅を含み、且つ5:1~27:1の範囲のZn:Si原子比を示す担持銅触媒であって、
(1)
(i)1種若しくは複数種の銅含有化合物、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物、及び1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物を含み、pHは0~5の範囲である、第1の水溶液S1を調製するステップ;
(ii)pHは8.5~12の範囲の値に調整される、第2の水溶液S2を調製するステップ;
(iii)撹拌下S1をS2に投入することを含み、前記投入の間、前記投入から得られる水性混合物MのpHは8~10の範囲に保持される、水中に懸濁させた固体を含む前記水性混合物Mを調製するステップ;
(iv)1時間~12時間の範囲の時間で(iii)から得られた前記水性混合物Mを老化するステップ;及び
(v)(iv)から得られた前記水性混合物から前記固体を分離するステップ
を含む方法により、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体を調製するステップであって、
1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間にMに添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加され、且つ1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間に前記混合物Mに添加される、ステップと;
(2)前記担持銅触媒を得るために、水素を含む雰囲気中で、(1)から得られた前記触媒前駆体を還元するステップと
を含む方法によって得ることができる、担持銅触媒。
【請求項2】
Zn、Al、Zr及びSiの1種若しくは複数種の酸化物を含む、請求項1に記載の担持銅触媒。
【請求項3】
(50~59):(15~21):(22~30):(1~3):(0.8~4)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siのモル比を示す、請求項1又は2に記載の担持銅触媒。
【請求項4】
Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含み、5:1~27:1の範囲のZn:Si原子比を示す触媒前駆体であって、
(i)1種若しくは複数種の銅含有化合物、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物、及び1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物を含み、pHは0~5の範囲である、第1の水溶液S1を調製するステップ;
(ii)pHは8.5~12の範囲の値に調整される、第2の水溶液S2を調製するステップ;
(iii)撹拌下S1をS2に投入することを含み、前記投入の間、前記投入から得られる水性混合物MのpHは8~10の範囲に保持される、水中に懸濁させた固体を含む前記水性混合物Mを調製するステップ;
(iv)1時間~12時間の範囲の時間で(iii)から得られた前記水性混合物Mを老化するステップ;及び
(v)(iv)から得られた前記水性混合物から前記固体を分離するステップ
を含み、
1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間にMに添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加され、且つ1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間に前記混合物Mに添加される方法によって得ることができる、触媒前駆体。
【請求項5】
Cu、Zn及びAlのうちの2種以上を含む1種若しくは複数種のヒドロキシ炭酸塩混合酸化物を含むか、又は
Cu、Zn、Al、Zr及びSiのうちの1種若しくは複数種の酸化物を含む、請求項4に記載の触媒前駆体。
【請求項6】
前記触媒前駆体はZr変性CuZnAl(OH)16COを含み、前記Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、CuZnAl(OH)16COのX線回折図と比較して、より高い°2θ値にシフトしており、前記Zr変性CuZnAl(OH)16COのX線回折図における003反射は、11~13.5°2θの範囲に位置する、請求項4又は5に記載の触媒前駆体。
【請求項7】
(50~59):(15~21):(22~30):(1~3):(0.8~4)の範囲のCu:Zn:Al:Zr:Siのモル比を示す、請求項4~6のいずれか一項に記載の触媒前駆体。
【請求項8】
(i)1種若しくは複数種の銅含有化合物、1種若しくは複数種の亜鉛含有化合物、1種若しくは複数種のアルミニウム含有化合物、及び1種若しくは複数種のジルコニウム含有化合物を含み、pHは0~5の範囲である、第1の水溶液S1を調製すること;
(ii)pHは8.5~12の範囲の値に調整される、第2の水溶液S2を調製すること;
(iii)撹拌下S1をS2に投入することを含み、前記投入の間、前記投入から得られる水性混合物MのpHは8~10の範囲に保持される、水中に懸濁させた固体を含む前記水性混合物Mを調製すること;
(iv)1時間~12時間の範囲の時間で(iii)から得られた前記水性混合物Mを老化すること;並びに
(v)(iv)から得られた前記水性混合物から前記固体を分離すること
を含む、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体の調製方法であって、
1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間にMに添加されるか、又は1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(ii)によるS2の調製のために添加され、且つ1種若しくは複数種のケイ素含有化合物が、(iv)によるMの老化の間に前記混合物Mに添加される、方法。
【請求項9】
前記1種若しくは複数種のケイ素含有化合物がナトリウム水ガラスを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
さらに、
(vi)(v)から得られる前記固体を洗浄すること;及び/又は
(vii)(v)又は(vi)から得られる前記固体を乾燥すること;及び/又は
(ix)(v)、(vi)又は(vii)から得られる前記固体を焼成すること
を含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
(iii)において、前記水性混合物MのpHは、前記水性混合物Mに第3の水溶液S3を計量することによって前記pH範囲に保持され、S3のpHは11~14の範囲である、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む担持銅触媒の調製方法であって、前記触媒は元素状銅を含み、前記方法は、
(1)請求項10に記載の方法に従って、Cu、Zn、Al、Zr、Si及びOを含む触媒前駆体を調製すること;
(2)前記担持銅触媒を得るために、水素を含む雰囲気中で、(1)から得られた前記触媒前駆体を還元すること
を含む、方法。
【請求項13】
CO含有合成ガスをメタノールに転換する方法であって、
(A)請求項1~3のいずれか一項に記載の担持銅触媒を提供すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~350℃の範囲の温度で、(A)において提供された前記担持銅触媒を(B)において調製された前記ガス混合物と接触させること
を含む方法。
【請求項14】
合成ガスをジメチルエーテルに転換する方法であって、
(A)請求項1~3のいずれか一項に記載の担持銅触媒を酸性共触媒と混合すること;
(B)CO、H及びCOを含むガス混合物を調製すること;
(C)200~300℃の範囲の温度で、(A)において提供された触媒混合物を(B)において調製された前記ガス混合物と接触させること
を含む方法。
【請求項15】
メタノールの改質、CO含有合成ガスのメタノールへの転換、ジメチルエーテルの改質、及び合成ガスのジメチルエーテルへの転換における、逆水-ガスシフト触媒としての、請求項1~3のいずれか一項に記載の担持銅触媒の使用。
【国際調査報告】