(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】水素回収システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C25B 1/02 20060101AFI20241121BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241121BHJP
C25B 9/23 20210101ALI20241121BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20241121BHJP
C25B 15/02 20210101ALI20241121BHJP
B01D 53/32 20060101ALI20241121BHJP
F04B 41/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
C25B1/02
C25B9/00 Z
C25B9/23
C25B15/08 302
C25B15/02
B01D53/32
F04B41/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024532558
(86)(22)【出願日】2022-11-30
(85)【翻訳文提出日】2024-05-30
(86)【国際出願番号】 IB2022061585
(87)【国際公開番号】W WO2023100097
(87)【国際公開日】2023-06-08
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ダンバー ザカリー ウィリアム
【テーマコード(参考)】
3H076
4K021
【Fターム(参考)】
3H076AA21
3H076AA35
3H076BB11
3H076CC41
3H076CC97
4K021AA01
4K021BC01
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA13
4K021DB16
4K021DB31
4K021DB43
4K021DB53
4K021DC03
4K021EA06
(57)【要約】
本発明の態様は、プロセスガスから水素を抽出するための水素回収システム(1)に関する。水素回収システム(1)は、プロセスガス中に発生する水素の少なくとも一部を抽出するための電気化学ポンプ(11)を含むことができる。電気化学ポンプ(11)は、少なくとも1つの陽極(14)を有する陽極区画(13)と、少なくとも1つの陰極(16)を有する陰極区画(15)と、陽極区画(13)と陰極区画(15)との間に配置された膜(17)とを有する。制御装置(59)は、電気化学ポンプ(11)に供給される電流を制御するために設けられている。陽極区画(13)は、プロセスガスを陽極区画(13)に導入するための陽極区画入口(23)と、廃ガスを陽極区画(13)から排出するための陽極区画出口(25)とを有する。陰極区画(15)は、プロセスガスから抽出された水素を排出するための陰極区画出口(27)を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスガスから水素を抽出する水素回収システムと、
準大気圧で前記プロセスガスを前記水素回収システムに供給するように作動可能な真空ポンプと、
を備える真空システムであって、
前記水素回収システムは、
前記プロセスガス中に発生する水素の少なくとも一部を抽出するための電気化学ポンプであって、少なくとも1つの陽極を有する陽極区画と、少なくとも1つの陰極を有する陰極区画と、前記陽極区画と前記陰極区画との間に配置された膜と、を含む電気化学ポンプと、
前記電気化学ポンプの動作を制御するための制御装置と、
前記プロセスガスを前記陽極区画の中に導入するための陽極区画入口と、
前記陽極区画から廃ガスを排出するための陽極区画出口と、
前記プロセスガスから抽出された水素ガスを排出するための陰極区画出口と、
を備える、真空システム。
【請求項2】
前記陽極区画入口で陽極区画入口圧力(ACP-IN)を測定するための第1の圧力センサと、前記陽極区画出口で陽極区画出口圧力(ACP-OUT)を測定するための第2の圧力センサとを備え、前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力(ACP-IN)及び前記陽極区画出口圧力(ACP-OUT)のうちの少なくとも一方に基づいて、前記電気化学ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項1に記載の真空システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力(ACP-IN)と前記陽極区画出口圧力(ACP-OUT)との間の圧力差に基づいて、前記電気化学ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項2に記載の真空システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力及び前記陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、前記電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を低減させるように構成されている、請求項2又は3に記載の真空システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力及び前記陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値より大きいという判定に基づいて、前記電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を増加させるように構成されている、請求項2から4のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項6】
前記陰極区画からの水素の質量流量を測定するための質量流量計を備え、
前記制御装置は、前記水素の質量流量に基づいて、前記電気化学ポンプの電流設定値を決定するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項7】
前記陽極区画出口と流体連通する補助ポンプを備え、前記補助ポンプは、前記陽極区画を通して前記プロセスガスをポンプ送給するように動作可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項8】
前記補助ポンプの入口圧力を測定するための補助ポンプ入口圧力センサを備え、前記制御装置は、前記補助ポンプの前記入口圧力に基づいて前記補助ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項7に記載の真空システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記補助ポンプの前記入口圧力が所定の上限閾値より大きいという判定に基づいて、前記プロセスを再始動させるように構成されている、請求項8に記載の真空システム。
【請求項10】
前記陽極区画から前記補助ポンプへの廃ガスの排出を制御するための絞り弁を備える、請求項7から9のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項11】
不活性ガスを前記補助ポンプに供給し、前記陽極区画を通る前記プロセスガスのポンプ送給を促進するためのガス源を備える、請求項8から10のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項12】
前記補助ポンプを前記陽極区画出口から隔離するように動作可能な少なくとも1つの弁を備える、請求項8から11のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記補助ポンプを作動させ、不純物をパージするために前記少なくとも1つの弁の1又は2以上を選択的に開くように構成されている、請求項12に記載の真空システム。
【請求項14】
前記補助ポンプを選択的にバイパスするための制御弁を備え、前記制御装置は、前記水素回収システムの定常運転のために前記補助ポンプをバイパスするように前記制御弁を作動させるように構成されている、請求項8から13のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記水素回収システムの定常運転時に、前記真空システムへの不活性ガスの導入を阻止する制御信号を出力するように構成されている、請求項14に記載の真空システム。
【請求項16】
電気化学ポンプを使用して真空システム内のプロセスガスから水素を回収する方法であって、前記電気化学ポンプは、少なくとも1つの陽極を有する陽極区画と、少なくとも1つの陰極を有する陰極区画と、前記陽極区画と前記陰極区画との間に配置された膜とを備え、前記方法は、
準大気圧で前記プロセスガスを真空ポンプから前記電気化学ポンプの前記陽極区画に導入するステップと、
前記陽極区画から廃ガスを排出するステップと、
前記陰極区画から水素ガスを排出するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記電気化学ポンプを制御して、前記プロセスガスからの水素の回収を制御するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気化学ポンプが定常状態で動作している場合に、不活性ガスの前記プロセスガスへの導入を阻止するステップを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水素回収システム及び方法に関する。水素回収システムは、プロセスガス中に存在する水素の少なくとも一部を除去するように構成することができる。本発明の態様は、真空システム、電気化学ポンプ、及びプロセスガスから水素を回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
真空システム及び除害システムは、多くの場合、使用時にプロセスガスを大気圧で排気する真空ポンプを備える。真空ポンプは、例えば、ドライポンプとすることができる。プロセスガスを大気圧で排気するための真空ポンプの動作は、高い電力消費を必要とする場合がある。これは、大量のガスのポンプ送給を必要とする真空システムに特に関連する。例えば、極端紫外線(EUV)リソグラフィ用の真空システムでは、大量の水素のポンプ送給を必要とする場合がある。水素は、通常、大気圧で排気され、大気圧の空気で希釈される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術に関連する欠点の1又は2以上に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様及び実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されるように、水素回収システム、真空システム、電気化学ポンプ、及びプロセスガスから水素を回収する方法を提供する。
【0005】
本発明の一態様によれば、請求項1に記載の真空システムが提供される。
【0006】
本発明によれば、プロセスガスは準大気圧で供給される。水素回収システムは、真空システムと組み合わせて使用される。真空システムからのプロセスガスは、水素回収システムに供給される。プロセスガスは、大気圧未満の圧力で水素回収システムに排気される。プロセスガスを準大気圧で排気することにより、真空システムの消費電力を低減することができる。真空システムのドライポンプを作動させる場合に、50%を超える省電力が達成できると考えられる。加えて、極端紫外線(EUV)システムなどの水素システムでは、窒素パージガスの必要性を低減又は排除することができる。プロセスガスは、700mbar、600mbar、500mbar、400mbar、300mbar、又は200mbarのいずれかの圧力以下で水素回収システムに供給することができる。
【0007】
電気化学ポンプをEUVドライポンプの排気口に接続することにより、真空ポンプの排気圧力を低減することができ、例えば、約200mbarの排気出力で水素のより効率的なポンプ送給が可能になる。少なくとも特定の実施形態では、これにより、電力消費を低減すること及び/又は窒素パージを実行する必要性をなくすことができる。電気化学ポンプは最終段として機能することができ、さらに水素を大気圧又はそれ以上に圧縮するように動作することができる。水素回収システムによって回収された水素は、必要に応じて、顧客の水素ネットワークに再循環させることができる。水素回収システムは、回収された水素ガスを真空システムで使用する前に乾燥させるための乾燥器を備えることができる。
【0008】
プロセスガスは、混合ガスを含むことができる。プロセスガスは、1又は2以上の他のガスと混合される水素を含む。使用時、水素回収システムは、プロセスガスから水素の少なくとも一部を除去するように作動する。水素はプロセスガスから除去され、例えば工業プロセスで再利用することができる。処理されたプロセスガスは、除害システムに排出される廃ガスとすることができる。水素回収システムは、プロセスガスから少なくとも80%の水素を除去することができる。プロセスガスは真空システムから排出することができる。真空システムは、例えば半導体の製造に関連する工業プロセスの真空を確立するように作動する。工業プロセスは、例えば、極端紫外線(EUV)リソグラフィとすることができる。
【0009】
電気化学ポンプは、電気化学プロセスを通じて水素をポンプ送給するための電気化学水素ポンプ(圧縮機)を含む。
【0010】
制御装置は、プロセスガスからの水素の回収を制御するために、電気化学ポンプの動作を制御するように構成されている。制御装置は、例えば直流(DC)電源によって電気化学ポンプに供給される電流を制御するように構成することができる。制御装置は、少なくとも1つの陽極と少なくとも1つの陰極との間の電位差を制御することができる。制御装置は、膜を横切る場の密度を制御することができる。
【0011】
電気化学ポンプは、プロセスガス中に存在する水素の少なくとも一部を除去するように動作可能である。それにより、プロセスガス中の水素含有量が減少する。廃ガスは陽極区画に集まる。廃ガスは、電気化学ポンプに供給されるプロセスガスよりも水素含有量が低い。廃ガスは、除害ユニットに排出することができる。
【0012】
プロセスガスは、プロセスガス供給圧力で供給される。プロセスガス供給圧力は、大気圧未満(すなわち、1bar未満)とすることができる。
【0013】
水素回収システムは、陽極区画入口における陽極区画入口圧力を測定するための入口圧力センサを備えることができる。陽極区画入口圧力は、プロセスガス供給圧力に対応することができる。入口圧力センサは、陽極区画入口圧力を示す陽極区画入口圧力信号を制御装置に出力するように構成することができる。代替的に又は追加的に、水素回収システムは、陽極区画出口圧力を測定するための出口圧力センサを備えることができる。出口圧力センサは、陽極区画出口圧力を示す陽極区画出口圧力信号を制御装置に出力するように構成することができる。
【0014】
水素は、陰極区画出口圧力で陰極区画から排出することができる。陰極区画出口圧力は、陽極区画入口圧力より高くすることができる。陰極区画出口圧力は、大気圧より高くすること、例えば5barより高くすることができる。陰極区画出口圧力は、8bar以上とすることができる。特定の実施形態では、陰極区画出口圧力は、10bar以上とすることができる。
【0015】
制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方に基づいて、電気化学ポンプの動作を制御するように構成することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力を使用して、電気化学ポンプの陽極がプロセスガスから過剰な水素を抽出するのを防ぐのを助けることができる。電気化学ポンプの動作を制御することにより、陽極における電気化学プロセスの効率を維持することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力と陽極区画出口圧力との間の圧力差に基づいて、電気化学ポンプの動作を制御するように構成することができる。陽極区画入口圧力と陽極区画出口圧力との間の圧力差が所定の閾値を超えて増加する場合、制御装置は、電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を低減させる。この制御は、少なくとも1つの陽極への水素の適切な供給を保証するのを助ける。
【0016】
制御装置は、電気化学ポンプの電流設定値及び/又は電圧設定値を決定するように構成することができる。電流設定値及び/又は電圧設定値は、陽極区画入口圧力及び出口圧力のうちの少なくとも一方に基づいて決定することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力と陽極区画出口圧力との間の圧力差に基づいて、電気化学ポンプのための電流設定点及び/又は電圧設定点を決定するように構成することができる。
【0017】
制御装置は、電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を選択的に増減させるように構成することができる。
【0018】
制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、電気化学ポンプの動作を制御するように構成することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力が所定の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、電気化学ポンプの動作を制御するように構成することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を低減させるように構成することができる。制御装置は、電流及び/又は電圧を所定の量だけ又は所定の割合だけ低減させることができる。例えば、電気化学ポンプに供給される電流は、陽極区画入口圧力及び出口圧力が250mbarの圧力閾値より低いという判定に基づいて、1%だけ低減させることができる。
【0019】
制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値よりも大きいという判定に基づいて、電気化学ポンプの動作を制御するように構成することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力が所定の圧力閾値よりも大きいという判定に基づいて、電気化学ポンプの動作を制御するように構成することができる。制御装置は、陽極区画入口圧力及び陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値より大きいという判定に基づいて、電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を増加させるように構成することができる。制御装置は、電流及び/又は電圧を所定の量だけ又は所定の割合だけ増加させることができる。例えば、電気化学ポンプに供給される電流は、陽極区画入口圧力及び出口圧力が250mbarの圧力閾値より高いという判定に基づいて、1%だけ増加させることができる。
【0020】
制御装置は、1又は2以上の測定圧力に基づいて水素回収システムの動作を制御すると説明されている。代替的に又は追加的に、制御装置は、少なくとも1つの質量流量に基づいて水素回収システムの動作を制御するように構成することができる。例えば、制御装置は、電気化学ポンプによって回収される水素の質量流量に基づいて、電気化学ポンプに供給される電流を制御するように構成することができる。他の制御技術も考えられる。
【0021】
水素回収システムは、陰極区画からの水素の質量流量を測定するための質量流量計(MFM)を備えることができる。制御装置は、水素の質量流量に基づいて電気化学ポンプの電流設定値を決定するように構成することができる。電流は、水素回収システムの定常状態の動作を維持するように制御することができる。ベース電流は、電気化学ポンプから出力される1個の水素分子に対して入力される2個の電子に対応して決定することができる。補足(ゲイン)電流は、定常状態運転を維持するためにベース電流に加えることができる。
【0022】
水素回収システムは、陽極区画出口と流体連通する補助ポンプを備えることができる。補助ポンプは、陽極区画を通してプロセスガスをポンプ送給するように動作可能である。補助ポンプは、陽極区画出口の圧力を上昇させるように動作可能である。補助ポンプの出口圧力は、陽極区画出口の圧力よりも高くすることができる。補助ポンプの出口圧力は、ほぼ大気圧(1bar)とすることができる。制御装置は、水素回収システムの始動時に補助ポンプを作動させるように構成することができる。制御装置は、水素回収システムの定常運転時に補助ポンプを非作動にするように構成することができる。
【0023】
水素回収システムは、補助ポンプの入口圧力を測定するための補助ポンプ入口圧力センサを備えることができる。制御装置は、補助ポンプの入口圧力に基づいて補助ポンプの動作を制御するように構成することができる。制御装置は、補助ポンプの入口圧力が所定の上限閾値よりも大きいとの判定に基づいて、プロセスを再始動させるように構成することができる。水素回収プロセスの再始動は、水素回収システムの上流に配置された真空ポンプに窒素を供給することを含むことができる。
【0024】
水素回収システムは、陽極区画から補助ポンプへの廃ガスの排出を制御するための絞り弁を備えることができる。制御装置は、陽極区画出口圧力又は補助ポンプの入口圧力に基づいて、絞り弁を制御するように構成することができる。制御装置は、廃ガスの圧力を所定の圧力設定点に少なくとも実質的に等しく維持するように、絞り弁を制御するように構成することができる。絞り弁は、陽極区画からの廃ガスの流量を増減させるように選択的に調節可能とすることができる。
【0025】
水素回収システムは、不活性ガスを補助ポンプに供給し、陽極区画を通るプロセスガスのポンプ送給を促進する供給流路を備えることができる。
【0026】
水素回収システムは、補助ポンプを陽極区画出口から隔離するように動作可能な少なくとも1つの弁を備えることができる。少なくとも1つの弁は、並列構成の第1及び第2の弁を備えることができる。
【0027】
制御装置は、補助ポンプを作動させ、不純物をパージするために少なくとも1つの弁の1又は2以上を選択的に開くように構成することができる。補助ポンプは、入口圧力を低下させるように動作することができる。制御装置は、不純物をパージするために少なくとも1つの弁の開放をパルス制御することができる。
【0028】
水素回収システムは、補助ポンプを選択的にバイパスするための制御(バイパス)弁を備えることができ、制御装置は、水素回収システムの定常運転のために補助ポンプをバイパスするように制御弁を作動させるように構成されている。制御弁は、三方弁で構成することができる。
【0029】
水素回収システムの定常運転は、予め規定された圧力での運転又は予め規定された圧力範囲内での運転に対応することができる。
【0030】
制御装置は、不活性ガスの供給を制御するための制御信号を出力するように構成することができる。制御装置は、水素回収システムの定常運転時に、真空システムへの不活性ガスの導入を阻止するための制御信号を出力するように構成することができる。不活性ガスは、例えば、窒素とすることができる。少なくとも特定の実施形態では、水素回収システムの上流のプロセスガスに導入される窒素の量は低減することができる。
【0031】
水素回収システムは、ガスが陽極区画出口から排出される速度を制御するように動作可能な流量制限器を備えることができる。流量制限器は、デッドヘッド運転を可能にする。
【0032】
真空ポンプは、ドライポンプとすることができる。真空システムは、極端紫外線(EUV)システムとすることができる。EUVシステムは、EUVリソグラフィなどのEUCプロセスを実行するように作動することができる。
【0033】
本発明のさらなる態様によれば、請求項16に記載の電気化学ポンプを使用してプロセスガスから水素を回収する方法が提供される。
【0034】
本方法は、プロセスガスからの水素の回収を制御するために、電気化学ポンプに供給される電流を制御することを含むことができる。
【0035】
本方法は、プロセスガス中への不活性ガスの供給を制御することを含むことができる。本方法は、電気化学ポンプが定常状態で動作している場合に、プロセスガス中への不活性ガスの導入を阻止することを含むことができる。不活性ガスは、例えば、窒素とすることができる。少なくとも特定の実施形態では、水素回収システムの上流でプロセスガスに導入される窒素の量は低減することができる。
【0036】
本明細書に記載される何らかの制御ユニット又は制御装置は、好適には、1又は2以上の電子プロセッサを有する計算装置を含むことができる。システムは、単一の制御ユニット又は電子制御装置を備えることができ、代替的に、制御装置の異なる機能は、異なる制御ユニット又は制御装置に具現化すること又はホストされることができる。本明細書で使用される場合、用語「制御装置」又は「制御ユニット」は、単一の制御ユニット又は制御装置、及び何らかの規定された制御機能を提供するために集合的に動作する複数の制御ユニット又は制御装置の両方を含むことを理解されたい。制御装置又は制御ユニットを構成するために、実行されると、上記制御ユニット又は計算装置に本明細書で規定される制御技術を実施させる、適切な命令セットを提供することができる。命令のセットは、好適には、上記1又は2以上の電子プロセッサに組み込むことができる。あるいは、命令セットは、上記計算デバイス上で実行されるように、上記制御装置に関連する1又は2以上のメモリ上に保存されたソフトウェアとして提供することができる。制御ユニット又は制御装置は、1又は2以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装することができる。1又は2以上の他の制御ユニット又は制御装置は、1又は2以上のプロセッサ、随意的に第1の制御装置と同じ1又は2以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェアで実装することができる。他の適切な構成を使用することもできる。
【0037】
以下、本発明の1又は2以上の実施形態は、単に例示的に、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】始動モードで動作する本発明の第1の実施形態による水素回収システムの概略図を示す。
【
図2】定常モードで動作する
図1に示す水素回収システムの概略図を示す。
【
図3】
図1及び2に示す水素回収システムの動作を制御するための制御装置の概略図を示す。
【
図4】
図1及び2に示す水素回収システムの電気化学ポンプの概略図を示す。
【
図5】本発明の一実施形態による水素回収システムの動作を概略図に提示する第1のブロック図である。
【
図6】始動モードで動作する本発明の第2の実施形態による水素回収システムの概略図を示す。
【
図7】定常モードで動作する
図5に示す水素回収システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態による水素回収システム1を説明する。水素回収システム1は、プロセスガスの混合物から水素ガス(H2)を抽出するように構成されている。
【0040】
ガスの体積流量は、本明細書では、温度及び圧力の標準条件(STP)におけるガスの標準リットル/分(SLM又はSLPM)を参照して説明する。
【0041】
本実施形態の水素回収システム1は、真空システム3から排気されるプロセスガスから水素を回収するように構成されている。プロセスガスは、大気圧未満のプロセスガス供給圧力で水素回収システム1に供給される。水素回収システム1は、
図1に示されるような始動モードと、
図2に示されるような定常モードで動作可能である。本実施形態における真空システム3は、極端紫外線(EUV)システムであり、EUVリソグラフィなどのEUVプロセスを実行するための作業チャンバ(図示せず)内の真空を確立するように構成されている。真空システム3は、他の用途に使用することもできる。例えば、真空システム3は、半導体エッチングプロセス又は化学気相成長(CVD)プロセスで使用することができる。水素回収システム1は、真空システム3に組み込むことができる。本実施形態では、水素回収システム1は、真空システム3に接続される別個のシステムである。
【0042】
真空システム3は、システム真空ポンプ5を備える。真空ポンプ5は、例えば、ドライポンプとすることができる。真空ポンプ5は、真空システム3からプロセスガスをポンプ送給するように作動する。本実施形態の真空システム3は、水素ガスに依存するEUVシステムである。結果とし生じる真空システム3の真空ポンプ5から排気されるプロセスガスは、主として水素ガスから構成される。しかしながら、EUVシステムから排気されるプロセスガスは、他のプロセスガスで汚染されている場合がある。例えば、プロセスガスは、ポンプ送給を促進するために真空ポンプ5に供給される窒素を含む場合がある。本明細書では、水素と他のプロセスガスとの混合物を「プロセスガス」と呼ぶ。本実施形態では、プロセスガスは、1000SLMの流量で水素回収システム1に導入される。本実施形態の真空ポンプ5は、窒素(N2)などの不活性ガスを選択的に導入してポンプ送給を促進するための第1のポンプ送給ガス源7を備える。第1のガス供給弁8は、第1のポンプ送給ガス源7からのガスの供給を制御するために設けられている。第1のポンプ送給ガス源7は、窒素(N2)ガスを200SLMで真空ポンプ5に導入するように構成されている。水素回収システム1は、随意的に真空ポンプ5から排出されたプロセスガスを貯蔵するためのリザーバ9を備えることができる。
図1に示す実施形態では、リザーバ9は存在しない。
【0043】
水素回収システム1は、プロセスガスから水素を抽出するための電気化学ポンプ11を備える。電気化学ポンプ11は、電気化学プロセスによって水素をポンプ送給するための電気化学水素ポンプ(圧縮機)である。電気化学ポンプ11は単段スタックを含む。変形例では、電気化学ポンプ11は、複数の段を含むことができる。電気化学ポンプ11は、少なくとも1つの陽極14を有する陽極区画13と、少なくとも1つの陰極16を有する陰極区画15と、陽極区画13と陰極区画15との間に配置された膜17とを備える。膜17は電気化学膜であり、高分子膜とすることができる。膜17は、例えば、ポリベンゾイミダゾール(PBI)膜、プロトンドープした炭化水素膜、リン酸二水素セシウム膜などの固体酸膜、又はパーフルオロスルホン酸ベースの膜のうちの1又は2以上で構成することができる。膜17はナフィオン(商標)で構成することができる。直流(DC)電源20は、ECポンプ11に電流及び電圧を供給するために設けられている。
図4は、電気化学ポンプ11の概略図を示す。変形例では、水素回収システム1は、2以上の陽極区画13及び/又は2以上の陰極区画15を備えることができる。陽極区画13は、真空ポンプ5からプロセスガスを受け入れるための陽極区画入口23、及び水素含有量が低下した廃ガスを排出するための陽極区画出口25を備える。廃ガスは、陽極廃ガスと呼ぶことができる。陰極区画15は、プロセスガスから分離された水素を排出するための陰極区画出口27を備える。
【0044】
プロセスガスは、陽極区画入口圧力ACP-INで電気化学ポンプ11の陽極区画13に導入される。廃ガスは、陽極区画出口圧力ACP-OUTで陽極区画13から排出される。電気化学ポンプ11を横切る圧力降下を低減するために、通常よりも大きな流動場断面を利用することができる。ガス拡散層は、多孔率を最大にするように、従って圧力降下を最小にするように設計することができる。電気化学ポンプ11の温度は、プロトン伝導膜からの水の蒸発を最小限に抑えるために、通常の電気化学ポンプよりも低温で作用することができる。大量の水が蒸発すると、ガス拡散層及び触媒層への水素拡散が阻止される場合がある。随意的に、電気化学ポンプ11は、熱交換器を備えることができる。熱交換器は、例えば、凝縮を低減又は防止するために、膜17の冷却を可能にすることができる。少なくとも1つの陽極14及び/又は少なくとも1つの陰極16は、白金族金属粒子及び炭素担持白金族金属粒子のうちの1つを含むことができる。水素分圧が低いと、通常の電気化学的ポンプシステムよりも容易に物質移動過電圧が生じるため、様々な陽極触媒を使用することができる。加湿スキームは、陽極水分量を制限するために、陰極への直接注水に依存する場合がある。
【0045】
第1の制御弁29は、真空ポンプ5から電気化学ポンプ11へプロセスガスを選択的に供給するために設けられている。本実施形態では、第1の制御弁29は三方弁で構成される。第1の制御弁29は、プロセスガスを電気化学ポンプ11の陽極区画入口23又は除害ユニット31に供給するように動作する。
【0046】
廃ガスは、陽極区画出口25を介して電気化学ポンプ11から排出される。本実施形態における廃ガスは、水素と窒素の混合物を含む。水素成分は200SLMの流量を有することができ、窒素は200SLMの流量を有することができる。第2の制御弁33は、電気化学ポンプ11の陽極区画出口25から排出される廃ガスを制御するために設けられている。本実施形態では、第2の制御弁33は三方弁で構成される。第2の制御弁33は、陽極区画出口25に接続された出口流路35に配置されている。第2の制御弁33は、陽極区画出口25を補助真空ポンプ37に接続するように選択的に動作可能である。第2の制御弁33は、例えば定常運転時に補助真空ポンプ37をバイパスするように構成することができる。補助真空ポンプ37は、陽極区画出口25と流体連通する補助真空ポンプ入口38と、除害ユニット31と流体連通する補助真空ポンプ出口39とを備える。補助真空ポンプ37は、陽極区画13を通してプロセスガスをポンプ送給し、廃ガスを除害ユニット31にポンプ送給するように作動する。あるいは、廃ガスの少なくとも一部は、電気化学ポンプ11を通して再循環させること又はさらなる処理のために別の電気化学ポンプ11に供給することができる。本実施形態では、補助真空ポンプ37は、専用ポンプとして示されている。変形例では、水素回収システム1は、真空システム3又は関連する除害システムの別の真空ポンプを使用することができる。これにより、水素回収システム1は、電気化学ポンプ11を介してプロセスガスをポンプ送給するために、既存の真空ポンプを「ピギーバック(piggy-back)」することができる。第2のポンプ送給ガス源40は、補助真空ポンプ37に窒素などの不活性ガスを選択的に供給するために設けられている。第2のガス供給弁41は、第2のポンプ送給ガス源40から補助真空ポンプ37へのガスの供給を制御するために設けられている。
【0047】
絞り弁43は、陽極区画出口25の廃ガスの圧力を制御するために補助真空ポンプ37の入口側に設けられている。制御装置45は、絞り弁43の作動を制御するために設けられている。本実施形態の制御装置45は、比例-積分-微分(PID)制御装置を含むが、他のタイプの制御装置も考えられる。制御装置45は、陽極区画出口圧力ACP-OUTを測定するように構成された出口圧力センサ47から出口圧力信号SP-OUTを受け取る。随意的に、制御装置45は、陽極区画入口圧力ACP-INを測定するように構成された入口圧力センサ(本実施形態では図示せず)から入口圧力信号SP-INを受け取ることができる。制御装置45は、絞り弁43を制御して陽極区画出口圧力ACP-OUTを設定点(目標)圧力に維持するように構成されている。本実施形態では、設定点圧力は250mbarとして予め規定されている。より高い設定点圧力又はより低い設定点圧力を規定することができる。制御装置45は、陽極区画出口圧力ACP-OUTを少なくとも実質的に設定点圧力に等しく維持するために、絞り弁43を選択的に開閉する。あるいは、制御装置45は、陽極区画出口圧力ACP-OUTを目標圧力範囲内に維持するように絞り弁43を制御することができる。第2の制御弁33は、補助真空ポンプ37をバイパスするために、陽極区画出口25をバイパス流路49に接続するように選択的に作動する。逆止弁51は、バイパス流路49を通るガスの一方向の流れを可能にするために設けられている。バイパス流路49は、廃ガスを除害するための除害ユニット31に接続されている。
【0048】
電気化学ポンプ11は、プロセスガスから水素を抽出して圧縮するように作動する。水素は、陰極区画15に配置された少なくとも1つの陰極16に集められる。水素は、電気化学ポンプ11から陰極区画出口27を通して排出される。水素は、陰極区画出口圧力CCP-OUTで陰極区画15から排出される。本実施形態では、水素は、800SLMの流量及び約135psi(931kPa)(約120psig)の陰極区画出口圧力CCP-OUTで、陰極区画出口27から排出される。出口流路53は、水素を混合ボックス55に送るために、陰極区画出口27に接続されている。水素は、混合ボックス55に蓄積され、その後EUVプロセスで使用することができる。混合ボックス55に集められた水素の純度が低すぎる場合、混合ボックス55は、除害ユニット31に接続することができる。随意的に、混合ボックス55内の水素は、例えば、EUVプロセスに適切な供給量を維持するために外部供給源から補充することができる。
【0049】
水素回収システム1は、制御装置59を備える。
図3に示すように、制御装置59は、少なくとも1つの電子プロセッサ60及び記憶装置61を備える電子制御ユニット(ECU)である。少なくとも1つの電子プロセッサ60は、記憶装置61に記憶された一連の計算命令を実行して、本明細書に記載の方法(複数可)を実行するように構成されている。電子プロセッサ60は、1又は2以上のセンサ信号を受け取るための少なくとも1つの電気入力62と、1又は2以上の制御信号CS-nを出力するための少なくとも1つの電気出力63とを有する。制御装置59は、電気化学ポンプ11の動作を制御するように構成されている。詳細には、制御装置59は、電源20によって電気化学ポンプ11の電極に供給される電流及び/又は電圧を制御するように構成されている。制御装置59は、電気化学ポンプ11の電流設定値及び/又は電圧設定値を決定するように構成されている。制御装置59は、電気化学ポンプ11に供給される電流が、決定された電流設定点に少なくとも実質的に等しくなるように、電源20を制御する。あるいは、制御装置59は、電気化学ポンプ11に供給される電圧が、決定された電圧設定点に少なくとも実質的に等しくなるように、電源20を制御する。本明細書で説明するように、制御装置59は、水素回収システム1の1又は2以上の動作パラメータに基づいて、電流設定点及び/又は電圧設定点を増減させることができる。また、制御装置59は、第1の制御弁29、第2の制御弁33、及び補助真空ポンプ37を制御するように構成することもできる。制御装置59は、真空ポンプ5及び補助真空ポンプ37の少なくとも一方への窒素の供給を制御するように構成されている。
【0050】
使用時、真空ポンプ5は、大気圧以下、例えば200mbar以下又は300mbar以下の圧力でガスを排気するように構成されている。これは、対応するポンプが通常大気圧で排気するように構成されている先行技術の構成とは対照的である。電気化学ポンプ11は、追加の(最終)ポンプ段として機能し、真空ポンプ5から排気されるプロセスガス中に存在する水素を抽出する。電気化学ポンプ11は、プロセスガスから抽出された水素を圧縮するように作動する。少なくとも特定の実施形態では、電気化学ポンプ11は、水素を大気圧以上に圧縮することができる。
【0051】
制御装置59は、水素回収システム1が始動モード及び定常モードで動作するよう制御するように構成されている。始動モードは、真空システム3が動作している間に開始すること又は真空システム3が作動する前に開始することができる。始動モードは、電気化学ポンプ11を作動させることを含む。少なくとも1つの陽極14と少なくとも1つの陰極16との間に電位差が確立される。制御装置59は、電気化学ポンプ11の動作を制御するために電流設定値を制御する。制御装置59は、真空システム3からのプロセスガスを電気化学ポンプ11の陽極区画13に導くように、第1の制御弁29を設定する。制御装置59は、補助真空ポンプ37を作動させ、真空システム3からの廃ガスを補助真空ポンプ37に導くように、第2の制御弁33を設定する。補助真空ポンプ37は、電気化学ポンプ11を通してプロセスガスをポンプ送給するように作動する。廃ガスは陽極区画13から排出され、除害ユニット31にポンプ送給される。本実施形態の制御装置59は、始動モード時に真空ポンプ5に窒素を供給するように構成されている。窒素は、例えば、200SLMの流量で供給することができる。
【0052】
制御装置59は、陽極区画出口流路35内の圧力が所定の設定値に達した場合に、及び/又は少なくとも実質的に一定になった場合に(すなわち、HRC1が定常状態で動作している)に、始動モードが完了したと判定する。本実施形態では、制御装置59は、陽極区画出口流路35内の圧力が250mbar未満である場合に、始動モードが完了したと判定する。この判定に基づいて、制御装置59は、定常状態モードでの動作に移行する。PID制御装置45は、陽極区画出口25の圧力を設定点圧力に少なくとも実質的に等しく維持するように絞り弁43を制御する。本実施形態では、設定点圧力は250mbarと規定される。設定点圧力は、250mbarより大きい場合又は小さい場合がある。制御装置59は、少なくとも部分的に、出口圧力センサ47からの出口圧力信号SP-OUTが、陽極区画出口圧力ACP-OUTが設定点圧力、例えば250mbar未満であることを示す場合に、第1のガス供給弁8を閉じて、第1のポンプ送給ガス源7からの窒素の供給を低減又は停止するように構成されている。随意的に、制御装置59は、補助真空ポンプ37に窒素を供給するように構成することができる。本実施形態では、窒素は50SLMの流量で補助真空ポンプ37に供給される。補助真空ポンプ37は、約250SLMの流量で定常状態のポンプ送給を達成又は維持するように作動する。補助真空ポンプ37の出口圧力は、少なくとも実質的に大気圧に等しくすることができる。廃ガスは、除害のために除害ユニット31にポンプ送給される。
【0053】
電気化学ポンプ11は、真空ポンプ5から排気されたプロセスガス中に存在する水素の少なくとも一部を抽出する。抽出された水素は、少なくとも1つの陰極16に集められ、陰極区画15に蓄積される。電気化学ポンプ11は、プロセスガスから抽出された水素を加圧するように作動する。水素は、陰極区画出口27を通して陰極区画15から排出され、混合ボックス55に回収される。本実施形態では、水素の流量は800SLMであり、陰極区画出口圧力CCP-OUTは約135psi(931kPa)(約120psig)である。
【0054】
本実施形態による水素回収システム1は、真空ポンプ5の必要出力圧力を低減し、それによりポンプ効率及び省電力を改善することができる。一例として、ポンプ1台当たり2kWの省電力を達成することができる。真空システム3は、複数のポンプ、例えば5台の真空ポンプを備えることができる。省電力は、各ポンプに関して可能である。電気化学ポンプ11は、窒素不純物をほとんど含まない高純度の水素の回収を可能にすることができる。少なくとも特定の実施形態では、水素回収システム1は、EUVシステムに導入される水素の約80%から100%の回収を可能にする。
【0055】
次に、
図5に示す第1のブロック
図100を参照して、水素回収システム1を用いてプロセスガスから水素を回収する方法を説明する。制御装置59は、本明細書に記載の方法(複数可)を実行するように構成されている。本明細書で説明するように、水素回収システム1は、陽極区画13及び陰極区画15を有する電気化学(水素)ポンプ(11)を備える。膜17は、陽極区画13と陰極区画15との間に配置されている。本方法は、真空システム3の真空ポンプ5からプロセスガスを排出するステップを含む(ブロック105)。随意的に、窒素などの不活性ガスを真空ポンプ5に導入して、プロセスガスのポンプ送給を容易にすることができる(ブロック110)。電気化学ポンプ11の出口側に配置された補助真空ポンプ37が作動される。真空システム3は、例えば、極端紫外線(EUV)システム3とすることができる。第1の制御弁29は、プロセスガスを電気化学ポンプ11に導入するように構成されている(ブロック115)。第2の制御弁33は、電気化学ポンプ11からの廃ガスを補助ポンプ37に導くように構成されている(ブロック120)。補助ポンプ37が作動される(ブロック125)。補助ポンプ37は、電気化学ポンプ11の陽極室13を通してプロセスガスをポンプ送給する(ブロック125)。随意的に、絞り弁45は、補助ポンプ37への廃ガスの供給を制御するために動作させることができる(ブロック130)。絞り弁45は、補助ポンプ37に供給される廃ガスの設定点圧力を維持するように制御することができる。補助ポンプ37は、廃ガスを除害ユニット31にポンプ送給する(ブロック135)。電気化学ポンプ11は、プロセスガス中に存在する水素ガスの少なくとも一部を濾過するために作動する(ブロック140)。回収された水素は、陰極区画15から、例えば貯蔵のためにリザーバ(混合ボックス55)に排出される(ブロック145)。本方法は、随意的に、プロセスガスからの水素の回収を制御するために、電気化学ポンプ11に供給される電流及び/又は電圧を制御するステップを含むことができる。電気化学ポンプ11からの廃ガスが、所定の圧力閾値、例えば250mbar未満の陽極区画出口圧力ACP-OUTで補助ポンプ37に出力されると、真空ポンプ5への窒素の供給が停止される(ブロック150)。圧力閾値は、水素回収システム1の定常運転に対応するように規定することができる。
【0056】
定常運転時、第2の制御弁33は、補助ポンプ37をバイパスするように構成されている(ブロック155)。水素回収システム1の定常運転時、補助ポンプ37の運転速度を低下させること又は補助ポンプ37を停止させることができる(ブロック160)。陽極区画13からの廃ガスは、直接、除害ユニット31に送られる(ブロック165)。逆止弁51は、電気化学ポンプ11への廃ガスの戻りを少なくとも実質的に阻止することができる(ブロック170)。本方法は、例えば、陽極区画13から排出される廃ガスの圧力が所定の閾値より大きい場合又はそれより小さい場合に、ポンプ送給プロセスを再始動させるステップを含むことができる(ブロック175)。本方法は、補助ポンプ37への廃ガスの供給を選択的に制御してパージ動作を行うステップを含むことができ、例えば、補助ポンプ37が動作している間に、制御弁をパルス制御して廃ガスを断続的に供給するステップを含むことができる。水素回収プロセスは、真空システム3が停止される場合に停止される(ブロック180)。
【0057】
本方法は、電気化学ポンプ11に供給される電流を選択的に増減させることを含む。本方法は、電気化学ポンプ11の陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTのうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を減少させることを含むことができる。本方法は、電気化学ポンプ11の陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTのうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値よりも大きいという判定に基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を増加させることを含むことができる。
【0058】
次に、
図6及び7を参照して水素回収システム1のさらなる実施形態を説明する。本実施形態による水素回収システム1は、
図1及び2に示す実施形態を発展させたものである。同様の構成要素には同様の参照数字が用いられている。
【0059】
図6に示すように、本実施形態の水素回収システム1は、真空システム3から排気されたプロセスガスを蓄積するためのリザーバ9を備える。水素回収システム1は、陽極区画入口23における陽極区画入口圧力ACP-INを測定するための入口圧力センサ65を備える。入口圧力センサ65は、入口圧力信号SP-INを制御装置59に出力する。出口圧力センサ67は、陽極区画出口27の陽極区画出口圧力ACP-OUTを測定するために設けられている。出口圧力センサ67は、出口圧力信号SP-OUTを制御装置59に出力する。制御装置59は、陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTのうちの少なくとも一方に基づいて、電気化学ポンプ11の動作を制御するように構成されている。
【0060】
制御装置59は、陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTが所定の第1の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を低減するように構成されている。本実施形態における第1の圧力閾値は、250mbarである。第1の圧力閾値は、250mbarより大きい場合又はそれよりも小さい場合があることを理解されたい。制御装置59は、陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTの両方が所定の第1の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を所定の割合、例えば1%だけ減少させるように構成されている。
【0061】
制御装置59は、陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTが所定の第2の圧力閾値よりも大きいという判定に基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を増加させるように構成されている。本実施形態における第2の圧力閾値は、250mbarである。第2の圧力閾値は、250mbarより大きい場合又はそれより小さい場合があることを理解されたい。制御装置59は、陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTの両方が所定の第1の圧力閾値よりも大きいという判定に基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を所定の割合、例えば1%だけ増加させるように構成されている。
【0062】
本実施形態における陽極区画出口流路35は、陽極区画出口25に接続された出口流路35に配置された第1及び第2の出口制御弁69、71を備える。本実施形態では、第1及び第2の出口制御弁69、71は、第2の制御弁33と絞り弁43との間に配置されている。出口流路35における第1及び第2の出口制御弁69、71の位置は、様々とすることができることを理解されたい。本実施形態では、第1及び第2の出口制御弁69、71の各々は、空気圧弁で構成される。電磁弁などの他の種類の弁を用いることができる。第1及び第2の出口制御弁69、71は、互いに並列に配置されている。第1及び第2の出口制御弁69、71の作動は、制御装置59によって制御することができる。流量制限器73は、第2の出口制御弁71と直列に設けられている。流量制限器73は、水素回収システム1のデッドヘッド(deadhead)運転を可能にする。
【0063】
所望の運転圧力、例えば250mbarに達した後、真空ポンプ5への窒素の供給を止めることができる。この運転条件では、真空ポンプ5から出るガスは、少なくとも実質的に純粋な水素である。この状態では、陽極区画13の排気口は完全に閉じることができる。本実施形態における陽極区画13は、第1及び第2の出口制御弁69、71を閉じることによって閉じることができる。代替的に又は追加的に陽極区画13の出口を閉じるために、独立した専用のオン/オフ弁(図示せず)を設けることができる。電気化学ポンプ11内の圧力が上昇し始めることになる。制御装置59は、真空ポンプ5から流入する全ての水素が電気化学膜17を通して輸送される定常状態に達するまで、電気化学ポンプ11に供給される電流及び/又は電圧を比例的に増加させる。電気化学ポンプ11から出る極めて純粋な水素は、不活性ガス成分の急速な蓄積を防ぐ。場合によっては、微量レベルの窒素などの不活性成分が蓄積するため、陽極区画13の通気/パージが必要になることがある。これは、第1及び第2の出口制御弁69、71を一時的に開き、水素(及び微量の不活性成分)の一時的な流れが、陽極区画13から流出してプロセス廃棄ラインに流入するのを可能にすることによって達成される。このモードの利点は、真空ポンプの水素のほぼ100%が捕獲され、電気化学ポンプ11の陰極区画15に圧力をかけることである。この水素は、元の上流プロセスに再循環され、水素の「閉ループ」が形成される。水素の供給は補充を必要とする場合があるが、少なくとも特定の実施形態では、これを低減することができる。本発明の特定の態様による水素回収システム1は、物流、コスト、及び/又は水素製造の環境への影響を簡素化することができる。
【0064】
質量流量計(MFM)75は、陰極区画15からの水素の質量流量を測定するために設けられている。MFM75は、流量信号SMFを制御装置59に出力する。本実施形態では、MFM75は混合ボックス55内に配置されている。MFM75は、混合ボックス55とは別に、例えば陰極区画15の出口に配置することもできる。制御装置59は、水素の質量流量に基づいて電気化学ポンプ11の電流設定値を決定するように構成されている。電流設定値は、水素回収システム1の定常運転を維持するように決定することができる。電流設定値は、電気化学ポンプ11から所望の水素流量を供給するように決定することができる。電流設定値は、ベース(定常)電流と電流「ゲイン」の合計に対応する場合がある。水素回収システム1の定常状態動作のためのベース電流は、ポンプ送給される1個の水素分子に対して入力される2個の電子の質量流量測定値に対応する。電流「ゲイン」は、ベース電流に重畳することができる。電流「ゲイン」は、陽極区画入口23及び/又は陽極区画出口25における測定圧力に基づいて決定することができる。陽極区画入口23及び/又は陽極区画出口25で測定された圧力は、所定の目標圧力と比較することができる。代替的に又は追加的に、陽極区画入口23及び陽極区画出口25で測定された圧力は、例えば圧力差を決定するために、互いに比較することができる。制御装置59は、陽極区画入口23及び陽極区画出口25で測定された圧力のうちの少なくとも一方が250mbarなどの所定の圧力閾値未満である場合に、電流「ゲイン」を例えば1%だけ増加させるように構成することができる。制御装置59は、陽極区画入口23及び陽極区画出口25で測定された圧力のうちの少なくとも一方が250mbarなどの所定の圧力閾値を超える場合に、電流「ゲイン」を例えば1%だけ減少させるように構成することができる。
【0065】
水素回収システム1は、絞り弁43の作動を制御するための制御装置45を備える。補助ポンプ入口圧力センサ75は、補助真空ポンプ37の入口圧力を測定するために設けられている。絞り弁43は、補助真空ポンプ37の測定された入口圧力に基づいて制御される。制御装置59は、補助真空ポンプ37の入口における測定圧力に基づいて補助真空ポンプ37の動作を制御するように構成されている。本実施形態では、制御装置59は、補助真空ポンプ37の入口における測定圧力が所定の上限閾値、例えば500mbarよりも大きいという判定に基づいて、水素回収プロセスを再始動させるように構成されている。水素回収システム1の再始動は、第1のポンプ送給ガス源7を制御して真空ポンプ5に窒素を供給すること、及び/又は第2のポンプ送給ガス源40を制御して補助真空ポンプ37に窒素を供給することを含む。
【0066】
水素回収システム1の動作により、補助真空ポンプ37及び/又は関連する流路に不純物が蓄積する可能性がある。本実施形態の制御装置59は、蓄積された不純物を排出して廃棄するためのパージ処理を実施するように構成されている。制御装置59は、第1及び第2の出口制御弁69、71を閉じて補助真空ポンプ37を作動させる。第1及び第2の出口制御弁69、71の少なくとも一方は、補助真空ポンプ37に廃ガスを導入するためにパルス的に開き、蓄積された不純物をパージして廃棄することができる。
【0067】
使用時、制御装置59は、
図7に概略的に示すように、水素回収システム1が定常状態で動作している場合に、第1及び第2の出口制御弁69、71を閉じるように構成されている。制御装置59は、MFM75によって測定された質量流量に基づいて、電気化学ポンプ11の電流設定点を決定し続けることができる。定常状態運転時、制御装置59は、測定された質量流量と、陽極区画入口圧力ACP-IN及び陽極区画出口圧力ACP-OUTのうちの少なくとも一方とに基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を制御することができる。例えば、制御装置59は、測定された質量流量及び陽極区画入口圧力ACP-INに基づいて、電気化学ポンプ11に供給される電流を制御することができる。定常運転時、制御装置59は補助真空ポンプ37を停止させることができる。
【0068】
本出願の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更及び修正を加えることができることを理解されたい。例えば、圧力センサは、陰極区画出口27に設けることができる。制御装置59は、陰極区画出口27で測定された圧力に基づいて、電気化学ポンプ11の電流設定点を制御するように構成することができる。特定の実施形態では、補助真空ポンプ37は省略することができる。
【0069】
随意的に、水素回収システム1は、回収された水素ガスを乾燥させるための乾燥器を備えることができる。例えば、乾燥器は、水素を真空システム3に再導入できるようにするための乾燥操作を行うことができる。
【0070】
本発明は、特に、大気圧以下で供給されるプロセスガスからの水素の抽出について説明されている。本明細書に記載のシステム及び方法は、大気圧以上の圧力で供給されたプロセスガスから水素を回収するために使用することができることを理解されたい。
【0071】
【符号の説明】
【0072】
1 水素回収システム(HRS)
3 真空システム
5 真空ポンプ
7 第1のポンプ送給ガス源
8 第1のガス供給弁
9 リザーバ(バッファータンク)
11 電気化学ポンプ
13 陽極区画
14 陽極
15 陰極区画
16 陰極
17 膜
19 (DC)電源
23 陽極区画入口
25 陽極区画出口
27 陰極区画出口
29 第1の制御弁
31 除害ユニット
33 第2の制御弁
35 出口経路
37 補助真空ポンプ
38 補助真空ポンプ入口
39 補助真空ポンプ出口
40 第2のポンプ送給ガス源
41 第2のガス供給弁
43 絞り弁
45 絞り弁制御装置
47 出口圧力センサ
49 バイパス流路
51 逆止弁
53 陰極区画出口流路
55 混合ボックス
59 制御装置
60 プロセッサ
61 記憶装置
62 電気入力
63 電気出力
65 入口圧力センサ
67 出口圧力センサ
69 第1の出口制御弁
71 第2の出口制御弁
73 流量制限器
75 質量流量計
77 補助ポンプ圧力センサ
【手続補正書】
【提出日】2024-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスガスから水素を抽出する水素回収システムと、
準大気圧で前記プロセスガスを前記水素回収システムに供給するように作動可能な真空ポンプと、
を備える真空システムであって、
前記水素回収システムは、
前記プロセスガス中に発生する水素の少なくとも一部を抽出するための電気化学ポンプであって、少なくとも1つの陽極を有する陽極区画と、少なくとも1つの陰極を有する陰極区画と、前記陽極区画と前記陰極区画との間に配置された膜と、を含む電気化学ポンプと、
前記電気化学ポンプの動作を制御するための制御装置と、
前記プロセスガスを前記陽極区画の中に導入するための陽極区画入口と、
前記陽極区画から廃ガスを排出するための陽極区画出口と、
前記プロセスガスから抽出された水素ガスを排出するための陰極区画出口と、
を備える、真空システム。
【請求項2】
前記陽極区画入口で陽極区画入口圧力(ACP-IN)を測定するための第1の圧力センサと、前記陽極区画出口で陽極区画出口圧力(ACP-OUT)を測定するための第2の圧力センサとを備え、前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力(ACP-IN)及び前記陽極区画出口圧力(ACP-OUT)のうちの少なくとも一方に基づいて、前記電気化学ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項1に記載の真空システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力(ACP-IN)と前記陽極区画出口圧力(ACP-OUT)との間の圧力差に基づいて、前記電気化学ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項2に記載の真空システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力及び前記陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値未満であるという判定に基づいて、前記電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を低減させるように構成されている、請求項
2に記載の真空システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記陽極区画入口圧力及び前記陽極区画出口圧力のうちの少なくとも一方が所定の圧力閾値より大きいという判定に基づいて、前記電気化学ポンプに供給される電流及び/又は電圧を増加させるように構成されている、請求項
2に記載の真空システム。
【請求項6】
前記陰極区画からの水素の質量流量を測定するための質量流量計を備え、
前記制御装置は、前記水素の質量流量に基づいて、前記電気化学ポンプの電流設定値を決定するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項7】
前記陽極区画出口と流体連通する補助ポンプを備え、前記補助ポンプは、前記陽極区画を通して前記プロセスガスをポンプ送給するように動作可能である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の真空システム。
【請求項8】
前記補助ポンプの入口圧力を測定するための補助ポンプ入口圧力センサを備え、前記制御装置は、前記補助ポンプの前記入口圧力に基づいて前記補助ポンプの動作を制御するように構成されている、請求項7に記載の真空システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記補助ポンプの前記入口圧力が所定の上限閾値より大きいという判定に基づいて、前記プロセスを再始動させるように構成されている、請求項8に記載の真空システム。
【請求項10】
前記陽極区画から前記補助ポンプへの廃ガスの排出を制御するための絞り弁を備える、請求項
7に記載の真空システム。
【請求項11】
不活性ガスを前記補助ポンプに供給し、前記陽極区画を通る前記プロセスガスのポンプ送給を促進するためのガス源を備える、請求項
8に記載の真空システム。
【請求項12】
前記補助ポンプを前記陽極区画出口から隔離するように動作可能な少なくとも1つの弁を備える、請求項
8に記載の真空システム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記補助ポンプを作動させ、不純物をパージするために前記少なくとも1つの弁の1又は2以上を選択的に開くように構成されている、請求項12に記載の真空システム。
【請求項14】
前記補助ポンプを選択的にバイパスするための制御弁を備え、前記制御装置は、前記水素回収システムの定常運転のために前記補助ポンプをバイパスするように前記制御弁を作動させるように構成されている、請求項
8に記載の真空システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記水素回収システムの定常運転時に、前記真空システムへの不活性ガスの導入を阻止する制御信号を出力するように構成されている、請求項14に記載の真空システム。
【請求項16】
電気化学ポンプを使用して真空システム内のプロセスガスから水素を回収する方法であって、前記電気化学ポンプは、少なくとも1つの陽極を有する陽極区画と、少なくとも1つの陰極を有する陰極区画と、前記陽極区画と前記陰極区画との間に配置された膜とを備え、前記方法は、
準大気圧で前記プロセスガスを真空ポンプから前記電気化学ポンプの前記陽極区画に導入するステップと、
前記陽極区画から廃ガスを排出するステップと、
前記陰極区画から水素ガスを排出するステップと、
を含む方法。
【請求項17】
前記電気化学ポンプを制御して、前記プロセスガスからの水素の回収を制御するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気化学ポンプが定常状態で動作している場合に、不活性ガスの前記プロセスガスへの導入を阻止するステップを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【国際調査報告】