(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-11-28
(54)【発明の名称】フラッシングが改善されたフィルタのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B01D 29/11 20060101AFI20241121BHJP
B01D 46/24 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B01D29/10 510E
B01D29/10 530A
B01D29/10 510G
B01D46/24 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024534702
(86)(22)【出願日】2022-12-12
(85)【翻訳文提出日】2024-07-24
(86)【国際出願番号】 US2022052587
(87)【国際公開番号】W WO2023114150
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グレガーソン, バリー リー
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー, アダム レーン
【テーマコード(参考)】
4D058
4D116
【Fターム(参考)】
4D058JA02
4D058JB23
4D058QA01
4D058QA07
4D058SA13
4D116BB01
4D116BC01
4D116BC11
4D116BC13
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC46
4D116BC47
4D116BC76
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4D116GG12
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4D116QB02
4D116QB11
4D116QB12
4D116QB17
4D116VV07
4D116VV30
(57)【要約】
フィルタは、内部空間を有するハウジングを含み、ハウジングは少なくとも1つの開口端を有する。フィルタは、ハウジングの長さ方向に沿って延びる長さを有するハウジング内に配置された膜と、少なくともハウジングの内部空間に設けられたバッフルとをさらに含む。バッフルは、膜の長さの少なくとも一部に沿って延びてハウジングの内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割する少なくとも2つのバッフルパーティションを含み、その結果、流体がフィルタに供給されると、流体は最初に第1の部分を流れ、次いで第2の部分に導かれる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタであって、
内部空間を有し、少なくとも1つの開口端を備えるハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジングの長さ方向に沿って延びる長さを有する膜と、
少なくとも前記ハウジングの前記内部空間に設けられたバッフルであって、前記膜の前記長さの少なくとも一部に沿って延びて前記ハウジングの前記内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割し、それにより、流体が前記フィルタに供給されると、前記流体が最初に前記第1の部分を流れ、次いで前記第2の部分に導かれるようにする少なくとも2つのバッフルパーティションを備える、バッフルと
を備える、フィルタ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記少なくとも1つの開口端に接続された第1のエンドキャップをさらに備え、前記バッフルが前記第1のエンドキャップにも設けられ、前記第1のエンドキャップに少なくとも接続される、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項3】
前記少なくとも2つのバッフルパーティションと前記第1のエンドキャップの底面との間にギャップが設けられる、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項4】
前記第1のエンドキャップが、前記流体を受け入れるための第1のアパーチャを備え、前記バッフルが前記第1のアパーチャと流体連通する開口部を備え、前記入口が前記流体を前記内部空間の前記第1の部分に導くように構成される、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記第1のエンドキャップが、ベントとして作用する第2のアパーチャをさらに備える、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項6】
前記バッフルが、流体の流れが前記膜の外面に沿って流れるように導かれるように構成される、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項7】
前記ハウジングの第2の開口端と、前記ハウジングの前記第2の開口端に設けられ、前記膜を通して濾過された前記流体を排出するための第3のアパーチャを備える第2のエンドキャップとをさらに備える、請求項4に記載のフィルタ。
【請求項8】
前記第3のアパーチャが前記第2のエンドキャップの中心に設けられる、請求項7に記載のフィルタ。
【請求項9】
前記少なくとも2つのバッフルパーティションの各々が、前記第1のエンドキャップの近くに、または前記第1のエンドキャップに隣接して、または前記第1のエンドキャップ内に設けられた第1の端部と、前記ハウジング内の前記膜の端部までのみ延びる第2の端部とを備える、請求項2に記載のフィルタ。
【請求項10】
前記ハウジング内に配置されたコアをさらに備え、前記膜が前記コアと前記ハウジングとの間に位置決めされる、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項11】
前記バッフルが前記ハウジングの前記内部空間にのみ設けられ、前記バッフルが前記バッフルの中央に設けられた開口部をさらに備え、かつ前記フィルタが前記少なくとも1つの開口端に接続されたキャップをさらに備え、前記キャップが、前記流体を受け入れるための入口と、前記フィルタから前記流体を除去するために前記バッフルの前記開口部と流体接続された出口とを含む、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項12】
前記バッフルが、前記膜と前記ハウジングとの間の前記流体の低流量領域が最小化されるように設けられる、請求項1に記載のフィルタ。
【請求項13】
フィルタハウジングであって、
入口端と、
前記入口端とは反対側の前記ハウジングの端部に形成された出口端と、
内部空間と、
少なくとも前記ハウジングの前記内部空間および前記入口端に設けられたバッフルであって、前記ハウジングの前記内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割し、それにより、流体が前記フィルタハウジングに供給されると、前記流体が最初に前記第1の部分に沿って流れ、次いで前記第2の部分に導かれるようにするために、前記フィルタハウジングの長さの少なくとも一部に沿って延びる少なくとも2つのバッフルパーティションを備える、バッフルと
を備える、フィルタハウジング。
【請求項14】
前記フィルタハウジングの前記入口端に接続された第1のエンドキャップをさらに備え、前記バッフルが前記フィルタハウジングの前記第1のエンドキャップに少なくとも接続される、請求項13に記載のフィルタハウジング。
【請求項15】
前記少なくとも2つのバッフルパーティションと前記第1のエンドキャップの底面との間にギャップが設けられる、請求項14に記載のフィルタハウジング。
【請求項16】
前記バッフルが、前記ハウジング内の前記流体の低流量領域が最小化されるように設けられる、請求項14に記載のフィルタハウジング。
【請求項17】
流体を濾過する方法であって、
入口を通してフィルタに前記流体を導入することと、
前記フィルタのハウジングの内部に形成されたバッフルを通して前記流体を導くことであって、前記バッフルが、前記膜の前記長さの少なくとも一部に沿って延びて前記ハウジングの内部を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割する少なくとも2つのバッフルパーティションを備える、前記流体を導くことと、
前記流体を前記バッフルおよび前記少なくとも2つのバッフル部分に通し、それにより、前記流体が最初に前記第1の部分を流れ、次いで前記第2の部分に導かれるようにすること
を含み、
前記流体が前記フィルタの膜を通って出口に送られる、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、流体処理フィルタおよびフィルタの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造産業において製造に使用される流体は、流体が分配される前に流体から夾雑物または望ましくない材料を除去するために複数のフィルタを通って流れることが多い。フィルタを使用して処理される有用な流体には、水、液体の工業用溶媒および処理流体、(例えば、半導体製造において)製造または処理に使用される工業用ガス、ならびに医療または医薬用途を有する液体が含まれる。流体から除去される望ましくない物質には、粒子、微生物、および溶解化学種などの不純物および夾雑物が含まれる。フィルタ用途の具体例としては、製薬産業における治療溶液から粒子および細菌を除去するための使用、マイクロエレクトロニクスおよび半導体処理で使用するための超純水性および有機溶媒溶液を処理するための使用、ならびに水精製プロセスのための使用が挙げられる。
【0003】
濾過機能を実行するために、フィルタは、望ましくない材料を除去する役割を果たすフィルタ膜を含む。フィルタ膜は、必要に応じて、平らなシートの形態であってもよく、巻き取られてもよく(例えば、螺旋状)、またはプリーツなどであってもよい。フィルタ膜は、代替的に中空繊維の形態であってもよい。濾過されている流体がフィルタ入口を通って入り、フィルタ出口を通過する前にフィルタ膜を通過する必要があるように、フィルタ膜をハウジング内に収容することができる。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、内部空間を有し、少なくとも開口部を含むハウジングと、ハウジング内に配置され、ハウジングの長さ方向に沿って延びる長さを有する膜と、少なくともハウジングの内部空間に設けられたバッフルとを備える、それらから本質的になる、またはそれらからなるフィルタが開示される。バッフルは、膜の長さの少なくとも一部に沿って延びてハウジングの内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割する少なくとも2つのバッフルパーティションを含み、その結果、流体がフィルタに供給されると、流体は最初に第1の部分を流れ、次いで第2の部分に導かれる。
【0005】
一実施形態では、フィルタハウジングは、入口端と、入口端とは反対側のハウジングの端部に形成された出口端と、内部空間と、バッフルとを含む。バッフルは、少なくともハウジングの内部空間および入口端に設けられ、バッフルは、フィルタハウジングの長さの少なくとも一部に沿って延びてハウジングの内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割する少なくとも2つのバッフルパーティションを含み、その結果、流体がフィルタハウジングに供給されると、流体は最初に第1の部分に沿って流れ、次いで第2の部分に導かれる。
【0006】
一実施形態では、流体を濾過する方法は、入口を通してフィルタに流体を導入することを含む。本方法はまた、フィルタのハウジングの内部に形成されたバッフルを通して流体を導くことを含み、バッフルは、膜の長さの少なくとも一部に沿って延びてハウジングの内部を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割する少なくとも2つのバッフルパーティションを含み、バッフルおよび少なくとも2つのバッフル部分に流体を通過させ、その結果、流体は最初に第1の部分を流れ、次いで第2の部分に導かれる。流体は、フィルタの膜を通って出口に送られる。
【0007】
本開示は、添付の図面に関連する様々な例示的な実施形態の以下の説明を考慮してより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態による例示的なフィルタの断面図である。
【
図3】実施形態による別の例示的なフィルタの分解図である。
【
図4A】別の例示的な実施形態によるフィルタの斜視図である。
【
図4B】別の例示的な実施形態によるフィルタの斜視図である。
【
図4C】別の例示的な実施形態によるフィルタの断面図である。
【
図5A】さらに別の例示的な実施形態によるフィルタの斜視図である。
【
図5B】さらに別の例示的な実施形態によるフィルタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、様々な修正および代替形態を受け入れることができるが、その詳細は、例として図面に示され、詳述されている。しかしながら、本開示の態様を記載された特定の例示的な実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。むしろ、本開示の趣旨および範囲内に入るすべての修正、等価物、および代替物を網羅することを意図している。
【0010】
同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を指す。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、内容上他に明確に指示されない限り、それらの複数の指示対象を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、一般に、内容上他に明確に指示されない限り、「および/または」を含む意味で使用される。
【0012】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面の同様の要素には同じ番号が付してある。詳細な説明、および必ずしも縮尺通りではない図面は、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。図示された例示的な実施形態は、例示としてのみ意図されている。反対のことが明確に述べられていない限り、任意の例示的な実施形態の選択された特徴は、追加の実施形態に組み込まれてもよい。
【0013】
濾過の分野では、フィルタ内の流体の流動力学の改善は、例えば、製造、医療、医薬での使用などにおける多くの異なる用途にとって重要な特徴である。例えば、半導体製造の分野では、濾過プロセスにおける粒子状夾雑物の制御は、例えば5ppb未満のレベルの夾雑物を有するようなサブミクロン粒子を除去する膜を有するフィルタの使用を必要とする。半導体ウェハ上に堆積する任意の粒子は、粒子が十分に大きい場合に欠陥を生成することが理解される。典型的には、半導体産業において、故障した欠陥は、半導体チップの最小特徴部の約1/10ほどの小さな粒子によって生成され得る。したがって、汚染の制御は、ウェハ欠陥率を低減することによって製造歩留まりおよび信頼性を改善する。
【0014】
本明細書では、フィルタハウジングの内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割し、フィルタハウジング内に流体の流れを導くためのバッフルを含むフィルタが開示される。バッフルは、フィルタハウジング内に円形の流路を形成してフィルタ内の低流量領域またはデッドゾーン、例えば約0.05cm/秒未満の流れを除去または低減することによって流体の流れパターンを改善するように設計される。フィルタハウジング内に円形の流路を形成することにより、驚くべきことに、流体の分布および流れの改善は、フィルタ膜の化学物質の交換を改善し、これにより、フィルタの準備中のフィルタのフラッシングおよび洗浄が改善されるだけでなく、フィルタの使用中の流体の滞留時間が改善され、例えば流体の滞留時間が低減されることが見出された。例えば、理論に縛られることなく、フィルタの準備中に、低流量領域またはデッドゾーンを有するフィルタは、適切な洗浄およびフラッシングのために必要な流体の流れ接触を受けない可能性があり、したがって、その後のフラッシングを必要とし、および/またはフィルタの任意の必要な清浄度仕様を満たすために追加の時間を要する。さらに、フィルタの使用中、低流量領域またはデッドゾーンを有するフィルタは、低流量領域もしくはデッドゾーンに残留化学物質もしくは夾雑物を残す可能性があり、細菌増殖を蓄積および/もしくは細菌増殖の領域を提供する可能性があり、ならびに/または時間に敏感な反応性化学物質については、時間に敏感な反応性化学物質の使用のために適切な滞留時間を有さず、フィルタ膜全体を利用しない。一方、本明細書に開示されるバッフルを有するフィルタは、低流量領域またはデッドゾーンが低減または排除されるので、流体の滞留時間を改善し、使用中の残留化学物質または夾雑物の蓄積を低減または排除するだけでなく、半導体製造プロセスにおける潜在的な汚染源を除去するためのフィルタの準備も改善し、例えば、本バッフルを有するフィルタは、汚染が低くなるように調整、例えば洗浄および/またはフラッシングすることができる。
【0015】
本明細書で説明するフィルタは、特定のタイプのフィルタ設計に限定されないことが理解される。むしろ、本明細書で説明される開示は、例えば、使い捨ての単回使用フィルタ、またはフィルタ膜、コア、ハウジング、もしくはそれらの組み合わせを含むことができる交換可能なフィルタカートリッジを有するフィルタを使用する液体濾過において、フィルタの多くの異なる設計で使用することができることが理解される。一実施形態では、フィルタは、濾過モジュールの一端から他端まで流体を濾過するために使用することができる。このタイプのフィルタでは、供給接続部および透過接続部は、フィルタの両端に位置し、それによって液体の流れを一方の端部から他方の端部に移動させる。この流れ構成は、インライン流れ構成と呼ばれる。フィルタは、フィルタの性能に大きな影響を与えることなく、水平方向または垂直方向に向けることができる。
【0016】
別の実施形態では、フィルタは、モジュールの両側の「ヘッド」端部の頂部に水平に向けられた供給ポートおよび透過ポートを含む。この形状に起因して、これらのモジュールは、T字形構成を有すると称される。T字形構成は、ボウルおよびボウル内に位置決めされた濾過カートリッジを含む濾過モジュールの残りの部分への、ヘッドの接続を容易にする。このフィルタ設計では、ボウルおよび濾過カートリッジは別個の要素を含む。したがって、濾過モジュールを構築するとき、濾過カートリッジおよびボウルは、マニホールドヘッドに別々に固定され、封止される。
【0017】
すなわち、本開示のバッフル設計は、ハウジング内の流体の流れパターンを改善してフィルタ内のデッドゾーンまたは低流量領域を除去または低減するために、例えばインライン、T字形構成、U字形構成などの異なるタイプのフィルタ設計に使用することができることが理解される。本開示の範囲から逸脱することなく、フィルタ内の流れパターンを改善するために、外側から内側または内側から外側のフィルタ設計のいずれかにバッフル設計を使用できることも理解される。
【0018】
図1は、例示的なフィルタ100の断面図である。フィルタ100は、半導体産業における単回使用用途のための使い捨てフィルタとすることができる。フィルタ100は、内部空間106を有するハウジング105を含み、ハウジング105は、入口端107とハウジング105の反対側の端部にある出口端108とを含み得る少なくとも1つの開口端を含む。フィルタハウジング105は、一般に管状または円筒状であるが、濾過プロセスに適した任意の幾何学的形状として提供することができる。フィルタ100は、ハウジングの内部空間106に配置された膜110と、入口端107に接続された第1のエンドキャップ115と、出口端108に接続された第2のエンドキャップ120とをさらに含む。第1のエンドキャップ115および第2のエンドキャップ120は、ハウジングの内部空間106をさらに画定することができる。
図1に示すように、いくつかの実施形態では、フィルタはまた、その周りに膜110が配置されるコア125を含むことができる。他の実施形態では、
図1に示すコア125を省略することができる。内部空間106は、膜110を使用して濾過される流体と共に、フィルタの異なる要素、例えば膜110および任意選択的にコア125を収容することができる。
【0019】
ハウジング105は、限定はしないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含む、フィルタハウジングに典型的に使用される任意の適切な成形可能な材料から作製することができる。
【0020】
膜110は、多孔質膜とすることができ、プリーツ状構成を有することができる。膜に使用することができる適切な材料としては、非限定的な例として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン(超高分子量ポリエチレン(UPE)を含む)、およびポリスルホンが挙げられる。膜は、第1の縁部、第2の縁部、ならびに第1の縁部と第2の縁部との間に延びる第1の(または内部の)表面および第2の(または外部の)表面を有する。
【0021】
コア125は、膜がコア125とハウジング105との間に配置されるように、膜によって囲まれた部材であってもよい。一実施形態では、コア125は、管状または円筒形の形状である。コア125は、流体が膜とコア125の中空中心との間を通過することを可能にする一連の開口部を有することができる。実施形態では、コアは、非限定的な例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含む任意の適切な材料であり得る。
【0022】
第1のエンドキャップ115は、ハウジング105、膜110、および存在する場合はコア125のうちの1つ以上に接続される。同様に、第2のエンドキャップ120は、ハウジング105、膜110、および存在する場合はコア125のうちの1つ以上に取り付けることができる。第1および第2のエンドキャップは、非限定的な例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含む任意の適切な材料であり得る。一実施形態では、第1のエンドキャップ115および第2のエンドキャップ120の一方または両方は、ハウジングと同じ材料であってもよい。第1および第2のエンドキャップ115、120は、従来の手段を使用してハウジング105および任意選択的に他の部品に取り付けられて、液密シールを形成し、一体型フィルタを形成することができる。そのような取り付けの非限定的な例には、熱または超音波溶接などの溶接、ねじ嵌合、接着剤、接合部に設けられたシールを含む機械的取り付けなどが含まれる。
【0023】
一実施形態では、第1のエンドキャップ115および/または第2のエンドキャップ120は、コネクタ116、117などの1つ以上のコネクタを含む。一実施形態では、コネクタ116、117の各々は、アパーチャ119を囲むねじ山を含む。実施形態では、2つのそのようなコネクタのみをエンドキャップの各々に含めることができるが、フィルタの用途または使用に応じて追加のコネクタを設けることができる。ねじ山は、コネクタ116、117の少なくとも一方への流体ラインの接続を可能にすることができる。実施形態では、ねじ山は、流体ラインとそれぞれのコネクタ116、117との間の封止接続を形成するための任意の他の適切な機械的コネクタと置き換えることができる。アパーチャ119は、例えば、濾過されている流体がハウジング105に出入りすることを可能にするために、または空気もしくは任意の他の流体をハウジング105から排出することを可能にするために、流体がハウジング105に流入および流出することを可能にすることができる。一実施形態では、第1のエンドキャップ115は、濾過される流体がハウジング105に入ることを可能にするための入口用のコネクタ116とベントとを含むことができる。第2のエンドキャップ120は、膜110を用いて濾過された流体がハウジング105から出ることを可能にする出口用のコネクタ117とベントとを含むことができる。入口および出口用のコネクタ116、117および/またはアパーチャは、流体の処理のために必要に応じて、エンドキャップの異なる位置に沿って設けることができることが理解される。例えば、一実施形態では、入口および出口用のコネクタ116、117ならびに/またはアパーチャ119のうちの少なくとも1つは、エンドキャップの中心に設けることができる。
【0024】
出口コネクタ117は、膜110が、入口コネクタ116から出口コネクタ117までの、ハウジング105ならびに第1および第2のエンドキャップ115、120によって画定された内部空間を通る流体経路内に位置するように位置決めすることができる。例えば、出口コネクタ117が第2のエンドキャップ120の中央に設けられる場合、フィルタは、流体が膜110に対して外側から内側への流れを有して濾過されるインラインフィルタである。ベントコネクタ116、117は、非限定的な例として、濾過される流体が以前に使用されていないフィルタ100に導入されたときに空気がハウジング105から出ることを可能にするなど、他の流体がハウジング105から出ることを可能にすることができる。フィルタ100によって濾過された流体と、116、117で排出された流体などの他の流体との両方を含む流体は、気相または液相のいずれかであり得る。
【0025】
図1に見られるように、フィルタ100は、内部空間106、または第1のエンドキャップ115に設けられた空間、またはハウジング105の入口端107、またはそれらの組み合わせに少なくとも部分的に設けられたバッフル130をさらに含む。バッフル130は、入口端107で膜110の開放端部を封止し、そして、膜110の少なくとも封止端部から膜110の長さの少なくとも一部に沿って延びて、ハウジング105の内部空間106を少なくとも第1の部分106Aと第2の部分106Bとに分割する少なくとも2つのバッフルパーティション135を含む。一実施形態では、バッフル130は、入口から流体を受け入れるためにコネクタ116に流体接続され、流体を内部空間の第1の部分106Aに導く開口部140を含む。開口部140は、第1のエンドキャップ115、またはフィルタハウジング105の内部空間106、またはそれらの組み合わせに設けることができることが理解される。
【0026】
一実施形態では、バッフル130は、ハウジング105の入口端107に接続され、少なくとも第1のエンドキャップ115に接続することができる。例えば、バッフル130は、当技術分野で公知の様々な結合技術、例えば、例えば、ねじ嵌合、タブなどを使用する機械的接続、圧入、熱接合、熱、超音波などを含む溶接、またはそれらの組み合わせを使用して、アパーチャ119を形成する第1のエンドキャップ115の一部に接続することができる。バッフルパーティション135は、第1のエンドキャップ115、バッフル130、膜110、コア125、および/もしくはフィルタカートリッジに接続することができ、またはハウジング105の内部空間106を分割するためにハウジング105に、もしくはそれらの組み合わせに接続することができる。
【0027】
バッフルパーティション135は、フィルタ100の中心軸に平行な膜110の長さの少なくとも一部に沿って膜の少なくとも封止端部から延びて、内部空間106を第1の部分106Aと第2の部分106Bとに分割している。バッフルパーティション135はまた、第1のエンドキャップ115のハウジング内に、またはハウジングに少なくとも部分的に延びることができる。したがって、バッフルパーティション135は、入口からフィルタ膜の一方の側に流体の流れを導き、次いでフィルタの反対側で流体を循環させるように、例えば、第2の部分106Bへの円形の流路を形成するように設計される。バッフルパーティション135を使用して流体の流れを導くことによって、フィルタを準備する、例えば調整するとき、またはフィルタの使用中に、フィルタ内の流体の低流量領域、静止領域、またはデッドゾーンを除去または低減することができることが理解される。例えば、バッフルパーティション135は、膜110の全長を膜110の第2の封止端面まで延ばすことができる。そうすることで、流体が膜110の外面に沿って第1の部分106Aに導かれた後、流体は、例えば第2のエンドキャップ120内の空間またはハウジング105の内部空間106内で膜110の周りを循環し、第2の部分106B内の膜110の外面を横切って流れるように導かれる。流体は、第1の部分106Aおよび第2の部分106Bの膜110の外面に沿って導かれるが、流体の一部は、膜110を通って濾過され、その結果、透過液は、フィルタ100から濾過された流体を排出するために、第2のエンドキャップ120の出口117を通って、例えば膜の内部空間に沿って、例えばコア125を通って流れることができることが理解される。いくつかの実施形態では、流体を濾過する性質および必要性に応じて、流体が第1の部分106Aまたは第2の部分106Bを流れる間により多くの流れが濾過されるように、流体の流れを膜110を通して濾過するように付勢することができることが理解される。例えば、一実施形態では、コア125は、より多くの流れが指定された部分106Aまたは106Bを通って流れることを可能にして、指定された部分を通る流れが優先的な化学的性質を有するように、より大きな空間または孔を含むことができる。膜は、例えば、膜の特定の部分における膜の圧力降下を減少させるより大きな孔を有することで、濾過される流体をより付勢するように設計することができることも理解される。
【0028】
一実施形態では、バッフル130は、第1のエンドキャップ115のハウジングの底面とバッフルパーティション135の頂部との間にギャップ145を含むことができ、バッフルパーティション135は、第1のエンドキャップ115内には部分的にのみ延びている。ギャップ145は、内部空間の第1の部分106Aと内部空間の第2の部分106Bとの間の流体連通を可能にするために、第1のエンドキャップ115のハウジングの底面まで延びていないバッフルパーティション135の部分である。例えば、バッフルパーティション135は、アパーチャ119を形成する第1のエンドキャップ115の部分に接続されたバッフル130に等しい高さを有することができる。したがって、バッフルパーティション135が第1のエンドキャップ115のドーム型底面まで延びていないため、流体が入口アパーチャ119を通って供給され、バッフル130の開口部140を通って内部空間の第1の部分106Aに向かって導かれると、ベンチュリ/サイフォン効果が生じ、この効果により、流体、例えば、内部空間の第2の部分106B内の停滞したまたは低流量の流体が、バッフルパーティション135を横切って引き込まれ、内部空間の第1の部分106Aへの流体の流れと組み合わされて、流体ハウジング内に円形の流路を形成する。ギャップは、例えばベルヌーイの方程式などの、面積および流速に基づく流動力学の周知の原理に基づいて、所定の体積の流れをサイフォンするようなサイズにすることができることが理解される。ギャップは各バッフルパーティション135と第1のエンドキャップ115との間に設けることができ、またはギャップは、バッフルパーティション135のアパーチャとすることができ、かつ第1の流路内で第1の流体と共に循環される流れの量を制御するための、例えば、内部空間の第2の部分106Bからサイフォンされる様々な幾何学的形状を有する単一のギャップ(またはアパーチャ)または複数のギャップ(またはアパーチャ)とすることができる。すなわち、ギャップまたはアパーチャは、バッフルと第1のエンドキャップ115との間に設けられた構造、またはバッフル130および/またはバッフルパーティション135に設けられた構造とすることができ、例えば流体の入口流またはその近くで、第1のエンドキャップ115に接続されたバッフル130を介してフィルタハウジングの第1の部分と第2の部分との間の流体連通を可能にする。
【0029】
フィルタ100の分解図を示す
図2Aおよび
図2Bに示すように、バッフル130は、バッフル130、ならびにバッフルパーティション135、開口部140、および/またはギャップ145を含む単一の成形構成要素とすることができる。
図2Aに見られるように、バッフル130はまた、フィルタカートリッジ、例えばコア125、膜110などと成形および/もしくは組み合わせることができ、またはハウジングと成形および/もしくは組み合わせることができる。
図2Bは、バッフル130が成形および/またはフィルタカートリッジと組み合わされると、組み合わされたバッフルをハウジング105に挿入し、第1のエンドキャップ115および第2のエンドキャップ120で封止することができ、バッフルパーティション135が内部空間106を内部空間の第1の部分106Aと内部空間の第2の部分106Bとに分割することを示している。上述のように、バッフル130は、次いで、当技術分野で公知の様々な結合技術、例えば、例えば、ねじ嵌合、タブなどを使用する機械的接続、圧入、熱接合、熱、超音波などを含む溶接、またはそれらの組み合わせを使用して、アパーチャ119を形成する第1のエンドキャップ115の一部に接続することができる。第1および第2のエンドキャップ115、120は、従来の手段を使用してハウジング105および任意選択的に他の部品に取り付けられて、液密シールを形成し、一体型フィルタを形成することができる。そのような取り付けの非限定的な例には、熱または超音波溶接などの溶接、ねじ嵌合、接着剤、接合部に設けられたシールを含む機械的取り付けなどが含まれる。
【0030】
別の実施形態では、フィルタ100の分解図を示す
図3に見られるように、バッフル130は、いくつかの要素を一緒に追加することができるモジュール式設計として構築することができることも理解される。例えば、バッフル130は、例えばスロット付き舌部および溝接続、圧入、ピン接続などの結合技術を使用して、例えば追加のバッフルパーティション135Aなどの追加の要素をバッフル130に追加するための複数の接続を含むことができる。バッフル130が単一の成形構成要素からのものであることにより、バッフル130を、フィルタ100の製造または後付け中に、例えば既存の設計に追加して使い捨てフィルタの第1のエンドキャップ115に接続し、次いで膜110およびコア125を含むフィルタカートリッジに接続することが可能になり、フィルタカートリッジはまた、内部空間106を分割するためのバッフルパーティション135Bを含むことができることが理解される。バッフルパーティション135Aおよび135Bは、バッフルパーティション135Aおよび135Bを互いに接続するための接続タブを含むことができる。バッフル130は、非限定的な例として、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)を含む任意の適切な材料であり得る。フィルタ100の異なる要素の間にシールを設けることができる。例えば、出口シール160を、出口コネクタ117のアパーチャ119に接続されたハウジングの出口端の近くに設けることができる。シール、例えばゴム製のOリングを、バッフル130とフィルタカートリッジとの間および/またはバッフル130と第1のエンドキャップ115との間に設けて、圧入接続を可能にすることもできる。
【0031】
別の実施形態では、
図4A~
図4Cに見られるように、フィルタ400は、バッフル430の別の設計を含む。
図4A~
図4Cのフィルタ400は、上述したように、
図1~
図3に示すフィルタ100の同じまたは類似の要素および特徴を含み、バッフルパーティション435が膜の全長に沿って延在しない第1のエンドキャップ415およびバッフル430のみを示す。代わりに、
図4Aおよび
図4Bは、バッフル430が、第1のエンドキャップ415から延びる長さを有し、第1のエンドキャップ415内の空間またはフィルタの内部空間またはそれらの組み合わせに少なくとも部分的に設けられた外周面450を含むことを示している。バッフル430は、入口アパーチャ419から流体を受け入れるためにコネクタ416に流体接続され、流体の流れをフィルタ400の一方の側に導く開口部440をさらに含む。
【0032】
バッフル430は、第1のエンドキャップ415に接続され、ハウジングの入口端または膜、例えばフィルタカートリッジの少なくとも1つに接続または当接することができる。例えば、バッフル430は、当技術分野で公知の様々な結合技術、例えば、ねじ嵌合、タブなどを使用した機械的接続、圧入、熱接合、熱、超音波、成形などを含む溶接、またはそれらの組み合わせを使用して、アパーチャ419を形成する第1のエンドキャップ415および/またはフィルタカートリッジに接続することができる。
【0033】
バッフルパーティション435は、エンドキャップ415またはフィルタハウジングの内部空間またはそれらの組み合わせに少なくとも部分的に設けられ、エンドキャップ415の内部空間および/またはフィルタハウジングの内部空間を少なくとも第1および第2の部分に少なくとも部分的に分割するように外周面450の長さだけを延ばす。したがって、フィルタ400に入る流体の流路は、第1のエンドキャップ415に接続されたバッフル430を使用して円形にすることができる。
【0034】
さらに、
図4Cに見られるように、バッフル430は、第1のエンドキャップ415とバッフルパーティション435との間にギャップ445を含むことができる。そうすることで、流体がバッフル430の開口部440を通って導かれると、ベンチュリ/サイフォン効果は、バッフル430の第2の部分から流体をサイフォンして円形の流路をさらに形成し、フィルタ400内の低流量領域またはデッドゾーンを除去または低減する。例えば、バッフルパーティション435は、第1のエンドキャップ415および/またはハウジングの内部空間に少なくとも部分的に延びているため、入口流体がバッフル430の開口部440を通って第1の部分に導かれると、流体の流れは、第1の部分から第2の部分への少なくとも半円形の流路をたどる。したがって、バッフルパーティション435は、入口からフィルタ膜の一方の側に流体の流れを導き、ギャップ445を介して流体を第2の部分に循環させて、少なくとも半円形の流路を形成する。このように流体の流れを導くことによって、フィルタを準備する、例えば調整するとき、またはフィルタの使用中に、フィルタ内の流体の流れの低流量領域、静止領域、またはデッドゾーンを除去または低減することができることが理解される。
【0035】
バッフル430は、バッフルパーティション435、開口部440、および/またはギャップ445を含み、第1のエンドキャップ415および/またはフィルタカートリッジに接続された単一の成形構成要素とすることができる。したがって、バッフル430は、フィルタ400の製造または後付け中に、例えば既存の設計に追加して使い捨てフィルタの第1のエンドキャップ415に接続することができることが理解される。
【0036】
バッフル130、430は、フィルタ100、400の中心軸に平行なバッフルパーティション135、435を有するものとして上述したが、バッフル130、430は、フィルタ100、400内の流体の流動力学を修正するために、異なる設計、例えばプロファイルを有することができることが理解される。例えば、バッフルパーティション135、435は、直線(または実質的に直線)、湾曲、波状などとすることができ、フィルタの中心軸に実質的に平行に延びるか、またはフィルタ100、400内の流動力学を修正するように角度を付けることができる。また、バッフルパーティション135、435は、2つの仕切り板を有して説明されているが、バッフルパーティションは、フィルタ内の低流量領域またはデッドゾーンを除去または低減するようにフィルタの流動力学を修正するために、必要に応じて追加の仕切り板を含むことができることも理解される。例えば、フィルタ100、400が4つのバッフルパーティション135、435を含み、ハウジングの内部空間を4つの部分に分離する場合、部分の少なくとも1つがフィルタの入口から流体を受け入れ、次いで、流体は、例えば対向流および/または平行流配置の他の部分の少なくとも1つに導かれることが理解される。
【0037】
バッフルを使用してインラインフィルタに円形の流れパターンを作り出すことによって流体を濾過する方法を以下に説明する。
図1に戻って参照すると、一実施形態では、フィルタ100は、入口アパーチャ119で濾過される流体を受け入れる。開口部140を有するバッフル130の一端は、第1のエンドキャップ115の入口アパーチャ119に接続され、他端は、流体がバッフル130の開口部140を通って導かれるように、膜および/またはコアの端部封止面に当接または接続される。バッフル130は、膜110の長さに沿って延びて、ハウジングの内部を少なくとも第1の部分106Aと第2の部分106Bとに分割する少なくとも2つのバッフルパーティション135を含む。したがって、バッフル開口部140は、流体の流れを内部空間106の少なくとも第1の部分106Aに向けて導く。
【0038】
流体は、フィルタの中心軸に平行な方向に、第1の部分106A内の膜(流体の少なくとも一部を濾過する)110の外面を横切って膜110の端部まで流れる。次いで、流体は、フィルタハウジング内および/または第2のエンドキャップ120内のいずれかで膜110の周りを流れ、次いで、第2の部分106Bの膜110の外面を横切って対向流方向に流れる。流体が膜110を通って濾過されると、濾液は、第2のエンドキャップ120内のフィルタ100の出口アパーチャに向かって流れる。
【0039】
バッフル130がバッフルパーティション135の端部にギャップ145を含む実施形態では、開口部140を通って少なくとも第1の部分106Aに向かう流体の流れは、バッフルパーティションの反対側から流入する流体の流れ内に第1の部分106Aに向かって流体を引き込むベンチュリ/サイフォン効果をもたらして、フィルタハウジング内に円形の流路をさらに形成することが理解される。そのような影響は、フィルタ内の低流量領域またはデッドゾーンをさらに除去または低減することが理解される。
【0040】
フィルタハウジング内に円形の流路を形成することにより、驚くべきことに、流体の分布および流れの改善は、フィルタ膜の化学物質の交換を改善し、これは、フィルタの準備中のフィルタのフラッシングおよび洗浄の効率を改善するだけでなく、フィルタの使用中の流体の滞留時間を改善し、フィルタハウジング内の低流量領域またはデッドゾーンを少なくとも防止または低減することによって残留化学物質および/または夾雑物の蓄積を防止することが見出された。フィルタの従来の設計では、フィルタカートリッジとハウジングとの間にある、第2のエンドキャップおよび/または第1のエンドキャップを含む内部空間の領域に、低流量領域または流れが停滞した領域が存在していた。例えば、インラインフィルタの以前の設計は、内部空間の流れ領域の約15%を、例えば毎分3リットルにおいて0.05cm/秒未満の停滞した流れまたは低流量として有していた。しかしながら、本明細書に開示されているような、円形の流路を有するフィルタは、低流量または停滞した流れを有する内部空間の領域を、そのような低流量または停滞した流れを有する内部空間の10%未満、好ましくは8%未満、最も好ましくは6%未満に低減または排除することが見出された。すなわち、流体は、第2のエンドキャップの少なくとも一部を通って流れて、ハウジングの内部の第2の部分に流れるので、従来のフィルタに以前に設けられた低流量領域、または流れが停滞した領域が減少する。フィルタ内の低流量領域またはデッドゾーン、例えば約0.05cm/秒未満の流れは、細菌増殖を蓄積および/もしくは細菌増殖の領域を提供し得る残留化学物質もしくは夾雑物を残す可能性があり、ならびに/またはフィルタ膜全体を利用せず、ならびに/または流体の滞留時間が長すぎるため、フィルタの準備および使用は、このような改善された流れパターンによって改善することができる。
【0041】
本発明のさらに別の実施形態では、
図5Aおよび
図5Bに見られるように、フィルタ500はT字形ラインの再使用可能フィルタとして設けられ、バッフル530はハウジング505内に完全に設けられる。
図5A~
図5Bのフィルタ500は、上述したフィルタと同じ要素および特徴を含み、同様の要素および材料は繰り返されない。フィルタ500は、内部空間506を有するハウジング505を含み、ハウジング505は開口端507を含む。フィルタ500は、ハウジングの内部空間506に配置された膜510と、開口端507に接続されたキャップ515とをさらに含む。キャップ515は、ハウジングの内部空間506をさらに画定することができる。
図5Bに示すように、いくつかの実施形態では、フィルタはまた、その周りに膜510が配置されるコア525を含んでもよい。他の実施形態では、コア525を省略することができる。内部空間506は、膜510を使用して濾過される流体と共に、フィルタの異なる要素、例えば膜510および任意選択的にコア525を収容することができる。
【0042】
キャップ515は、ハウジング505、膜510、および存在する場合はコア525のうちの1つ以上に接続される。キャップ515は、従来の手段を使用してハウジング505および任意選択的に他の部品に取り付けられて、液密シールを形成し、一体型フィルタを形成することができる。そのような取り付けの非限定的な例には、ねじ嵌合、スナップ嵌合などの溶接、接合部に設けられたシールなどを含む機械的取り付けが含まれる。そのような取り付け具は、フィルタ500の再使用を可能にする。
【0043】
一実施形態では、キャップ515は、コネクタ516、517などの1つ以上のコネクタを含む。一実施形態では、コネクタ516、517の各々は、アパーチャ519を囲むチューブコネクタを含み、チューブコネクタは、ねじ嵌合、スナップ嵌合、圧入などのためのねじ山であり得る。実施形態では、2つのそのようなコネクタのみをキャップに含めることができるが、フィルタの用途または使用に応じて追加のコネクタを設けることができる。チューブコネクタは、コネクタ516、517の少なくとも一方への流体ラインの接続を可能にすることができる。アパーチャ519は、例えば、濾過されている流体がハウジング505に出入りすることを可能にするために、または空気もしくは任意の他の流体をハウジング505から排出することを可能にするために、流体がハウジング505に流入および流出することを可能にすることができる。一実施形態では、キャップ515は、濾過される流体がハウジング505に入ることを可能にするための入口用のコネクタ516とベントとを含むことができる。キャップ515は、膜510を使用して濾過された流体がハウジング505から出ることを可能にする出口用のコネクタ517とベントとを含むことができる。入口および出口用のコネクタ516、517ならびに/またはアパーチャは、流体の処理のために必要に応じて、エンドキャップの異なる位置に沿って設けることができることが理解される。
【0044】
出口コネクタ517は、膜510が、入口コネクタ516から出口コネクタ517までの、ハウジング505およびキャップ515によって画定された内部空間を通る流体経路内に位置するように位置決めすることができる。例えば、出口コネクタ517はキャップ515の中心に接続され、その結果、フィルタは、膜510に対して外側から内側への流れを有する、流体を濾過するT字形ラインフィルタである。
【0045】
図5A~
図5Bに見られるように、フィルタ500は、内部空間506に設けられたバッフル530をさらに含む。バッフル530は、開口端507で膜510の開口端を封止し、そして、膜510の少なくとも封止端部から膜510の長さの少なくとも一部に沿って延びて、ハウジング505の内部空間506を少なくとも第1の部分506Aと第2の部分506Bとに分割する少なくとも2つのバッフルパーティション535を含む。この実施形態では、バッフル530はまた、流体が出口コネクタ517から出て行くためにバッフル530の中央に設けられた開口部531を含む。バッフル530は、ハウジング505の開口端507に接続され、少なくともキャップ515に接続することができる。例えば、バッフル530は、当技術分野で公知の様々な結合技術、例えば、例えば、ねじ嵌合、タブ、圧入などを使用した機械的接続、またはそれらの組み合わせを使用して、出口コネクタ517に接続されたアパーチャ519を形成するキャップ515の一部に接続することができる。バッフルパーティション535は、バッフル530、膜510、コア525、および/もしくはフィルタカートリッジに接続することができ、またはハウジングの内部空間を分割するためにハウジング505もしくはそれらの組み合わせに接続することができる。すなわち、いくつかの実施形態では、バッフル530は、ハウジング505に挿入するためにフィルタカートリッジに設けることができ、および/またはハウジング505自体に取り付けられて設けることができる。
【0046】
バッフルパーティション535は、フィルタ500の中心軸に平行な膜510の長さの少なくとも一部に沿って膜の少なくとも封止端部から延びて、内部空間506を第1の部分506Aと第2の部分506Bとに分割している。一実施形態では、バッフルパーティション535はまた、第1のエンドキャップ515のハウジング内またはハウジングまで少なくとも部分的に延びることができる。したがって、バッフルパーティション535は、入口からフィルタ膜の一方の側に流体の流れを導き、フィルタの反対側で流体を循環させ、例えば、第2の部分506Bへの円形の流路を形成するように設計される。バッフルパーティション535を使用して流体の流れを導くことによって、フィルタを準備する、例えば調整するとき、またはフィルタの使用中に、フィルタ内の流体の低流量領域、静止領域、またはデッドゾーンを除去または低減して、流体の滞留時間を減少させることができることが理解される。例えば、バッフルパーティション535は、膜510の全長を膜510の第2の封止端面まで延ばすことができる。そうすることで、流体が膜510の外面に沿って第1の部分506Aに導かれた後、流体は、例えばハウジング505の内部空間506内の空間で膜510の周りを循環し、第2の部分506B内で膜510の外面を横切って流れるように導かれる。流体は、第1の部分506Aおよび第2の部分506Bにおいて膜110の外面に沿って導かれるが、流体の一部は、膜510を通って濾過され、その結果、透過液は、フィルタ100から濾過された流体を排出するために、例えば膜の内部空間に沿って、例えばコア525を通って、第2のエンドキャップ520の出口517に導かれ得ることが理解される。上述の実施形態と同様に、流体の濾過は、フィルタおよび濾過される流体の用途に応じて、第1の部分506Aまたは第2の部分506Bを流れる間に濾過されるように付勢することができることが理解される。したがって、バッフル530は、入口から流体を受け入れるためにコネクタ516に流体接続され、バッフルパーティション535は、流体を内部空間の第1の部分506Aに導き、透過液はコア525を通って濾過され、開口部531およびコネクタ517を通ってフィルタ500から出る。
【0047】
したがって、本明細書で説明するバッフルの実施形態を使用するフィルタは、フィルタの内部空間の異なる部分、特に膜とハウジングと第2のエンドキャップとの間で、低流量領域またはデッドゾーン、例えば流れが停滞した、または流れのない領域が低減または除去される改善された流れパターンを有するフィルタをもたらす。
【0048】
態様:
態様1~12のいずれかを態様13~16または17のいずれかと組み合わせ得ることが理解される。態様13~16のいずれかを態様1~12または17のいずれかと組み合わせ得ることが理解される。
【0049】
態様1.フィルタであって、内部空間を有し、少なくとも1つの開口端を備えるハウジングと、ハウジング内に配置され、ハウジングの長さ方向に沿って延びる長さを有する膜と、少なくともハウジングの内部空間に設けられたバッフルであって、膜の長さの少なくとも一部に沿って延びてハウジングの内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割し、それにより、流体がフィルタに供給されると、流体が最初に第1の部分を流れ、次いで第2の部分に導かれるようにする少なくとも2つのバッフルパーティションを備える、バッフルとを備える、フィルタ。
【0050】
態様2.少なくとも1つの開口端に接続された第1のエンドキャップをさらに備え、バッフルが第1のエンドキャップにも設けられ、フィルタの第1のエンドキャップに少なくとも接続される、態様1に記載のフィルタ。
【0051】
態様3.少なくとも2つのバッフルパーティションと第1のエンドキャップの底面との間にギャップが設けられる、態様2に記載のフィルタ。
【0052】
態様4.第1のエンドキャップが、流体を受け入れるための第1のアパーチャを備え、バッフルが第1のアパーチャと流体連通する開口部を備え、入口が流体を内部空間の第1の部分に導くように構成される、態様2または3のいずれかに記載のフィルタ。
【0053】
態様5.第1のエンドキャップが、ベントとして作用する第2のアパーチャをさらに備える、態様4に記載のフィルタ。
【0054】
態様6.バッフルが、流体の流れが膜の外面に沿って流れるように導かれるように構成される、態様2~5のいずれかに記載のフィルタ。
【0055】
態様7.ハウジングの第2の開口端と、ハウジングの第2の開口端に設けられ、膜を通して濾過された流体を排出するための第3のアパーチャを備える第2のエンドキャップとをさらに備える、態様2~6のいずれかに記載のフィルタ。
【0056】
態様8.第3のアパーチャが、第2のエンドキャップの中心に設けられる、態様7に記載のフィルタ。
【0057】
態様9.少なくとも2つのバッフルパーティションの各々が、第1のエンドキャップの近くに、または第1のエンドキャップに隣接して、または第1のエンドキャップ内に設けられた第1の端部と、ハウジング内の膜の端部までのみ延びる第2の端部とを備える、態様2~8のいずれかに記載のフィルタ。
【0058】
態様10.ハウジング内に配置されたコアをさらに備え、膜がコアとハウジングとの間に位置決めされる、態様1~9のいずれかに記載のフィルタ。
【0059】
態様11.バッフルがハウジングの内部空間にのみ設けられ、バッフルがバッフルの中央に設けられた開口部をさらに備え、かつフィルタが少なくとも1つの開口端に接続されたキャップをさらに備え、キャップが、流体を受け入れるための入口と、フィルタから流体を除去するためにバッフルの開口部と流体接続された出口とを含む、態様1~10のいずれかに記載のフィルタ。
【0060】
態様12.バッフルが、膜とハウジングとの間の流体の低流量領域が最小化されるように設けられる、態様1~11のいずれかに記載のフィルタ。
【0061】
態様13.フィルタハウジングであって、入口端と、入口端とは反対側のハウジングの端部に形成された出口端と、内部空間と、少なくともハウジングの内部空間および入口端に設けられたバッフルであって、ハウジングの内部空間を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割し、それにより、流体がフィルタハウジングに供給されると、流体が最初に第1の部分に沿って流れ、次いで第2の部分に導かれるようにするために、フィルタハウジングの長さの少なくとも一部に沿って延びる少なくとも2つのバッフルパーティションを備える、バッフルとを備える、フィルタハウジング。
【0062】
態様14.フィルタハウジングの入口端に接続された第1のエンドキャップをさらに備え、バッフルがフィルタハウジングの第1のエンドキャップに少なくとも接続される、態様13に記載のフィルタハウジング。
【0063】
態様15.少なくとも2つのバッフルパーティションと第1のエンドキャップの底面との間にギャップが設けられる、態様14に記載のフィルタハウジング。
【0064】
態様16.バッフルが、ハウジング内の流体の低流量領域が最小化されるように設けられる、態様13~15のいずれかに記載のフィルタハウジング。
【0065】
態様17.流体を濾過する方法であって、入口を通してフィルタに流体を導入することと、フィルタのハウジングの内部に形成されたバッフルを通して流体を導くことであって、バッフルが、膜の長さの少なくとも一部に沿って延びてハウジングの内部を少なくとも第1の部分と第2の部分とに分割する少なくとも2つのバッフルパーティションを備える、流体を導くことと、流体をバッフルおよび少なくとも2つのバッフル部分に通し、それにより、流体が最初に第1の部分を流れ、次いで第2の部分に導かれるようにすることとを含み、流体がフィルタの膜を通って出口に送られる、方法。
【0066】
このように本開示のいくつかの例示的な実施形態を説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲内でさらに他の実施形態を作成および使用することができることを容易に理解するであろう。本文書が包含する本開示の多くの利点は、前述の説明に記載されている。しかしながら、本開示は、多くの点で例示にすぎないことが理解されよう。本開示の範囲を超えることなく、詳細に、特に部品の形状、サイズ、および配置に関して変更を加えることができる。本開示の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【国際調査報告】